(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】バルブモジュール、流体制御装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
F04B 43/02 20060101AFI20240723BHJP
F04B 43/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F04B43/02 D
F04B43/04 B
(21)【出願番号】P 2021554902
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(86)【国際出願番号】 JP2020040175
(87)【国際公開番号】W WO2021090729
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-09-06
(31)【優先権主張番号】P 2019203225
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 裕人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋志
(72)【発明者】
【氏名】堀内 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】松下 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】水田 大輔
【審査官】森 秀太
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-156454(JP,A)
【文献】特開2015-117647(JP,A)
【文献】特開2014-095347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/00-47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体によって弾性変形可能なフィルムからなり、流体が通過する開口を有する部材側に位置する第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを有する可動体と、
前記可動体よりも剛性が高く、前記第2の面のうち前記第2の面と垂直な方向からみて前記開口が位置しない領域の一部を覆い、前記部材に固定されるサポート材
と
を具備
し、
前記可動体と前記サポート材とが重なり合う重複領域と、前記サポート材のみの非重複領域と、を有し、
前記非重複領域は、それぞれ独立して弾性変形可能な第1の非重複領域と第2の非重複領域とを含む
バルブモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブモジュールであって、
前記可動体は、ヤング率が5GPa以下で厚みが20μm以下の有機フィルム、又は、厚みが10μm以下の金属フィルムからなる
バルブモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のバルブモジュールであって、
前記可
動体は比重が2以下である
バルブモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のバルブモジュールであって、
前記可動体は、ポリイミド又はポリエチレンテレフタレートからなる有機フィルムである
バルブモジュール。
【請求項5】
請求項2に記載のバルブモジュールであって、
前記可動体は、ニッケルと鉄の合金、又は、ステンレスからなる金属フィルムである
バルブモジュール。
【請求項6】
請求項2に記載のバルブモジュールであって、
前記サポート材は、ヤング率が6GPa以上である
バルブモジュール。
【請求項7】
請求項6に記載のバルブモジュールであって、
前記サポート材は、ニッケルと鉄の合金、又は、ステンレスからなる金属フィルムである
バルブモジュール。
【請求項8】
請求項1に記載のバルブモジュールであって
、
前記重複領域と前記非重複領域との境界を規定する前記サポート材の端部は直線状、又は、曲線状部を含む形状を有する
バルブモジュール。
【請求項9】
請求項
1に記載のバルブモジュールであって、
前記第1の非重複領域と前記第2の非重複領域とは異なる面積を有する
バルブモジュール。
【請求項10】
流体が移動可能な空間と、
前記空間を介して対向し、少なくとも一方が可撓性を有する弾性体を含む2枚の板状部材と、
前記弾性体を屈曲させ、前記空間の体積を変動させる駆動機構と、
前記空間内外を移動する前記流体が通過する、部材に設けられた開口と、
前記開口に配置され、流体によって弾性変形可能なフィルムからなり、前記開口を有する部材側に位置する第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを有する可動体と、前記可動体よりも剛性が高く、前記第2の面のうち前記第2の面と垂直な方向からみて前記開口が位置しない領域の一部を覆い、前記部材に固定されるサポート材と、を有するバルブモジュール
を備え
、
前記バルブモジュールは、前記可動体と前記サポート材とが重なり合う重複領域と、前記サポート材のみの非重複領域と、を有し、
前記非重複領域は、それぞれ独立して弾性変形可能な第1の非重複領域と第2の非重複領域とを含む
流体制御装置。
【請求項11】
請求項
10に記載の流体制御装置であって、
前記バルブモジュールが実装される凹部を更に具備し、
前記バルブモジュールは、その端部を前記凹部の内側面に当接させて位置決めされる
流体制御装置。
【請求項12】
請求項
10に記載の流体制御装置であって、
前記開口は、前記流体を前記空間へ吸入する吸入口と、前記空間から前記流体を吐出する吐出口とを含み、
前記吸入口と前記吐出口の数が異なる
流体制御装置。
【請求項13】
請求項
10に記載の流体制御装置であって、
前記開口は、前記流体を前記空間へ吸入する吸入口と、前記空間から前記流体を吐出する吐出口とを含み、
前記バルブモジュールは、前記吸入口及び前記吐出口それぞれに配置され、
前記吸入口に設けられるバルブモジュールの可動体と前記吐出口に設けられるバルブモジュールの可動体とは厚みが異なる
流体制御装置。
【請求項14】
請求項
10に記載の流体制御装置であって、
前記開口は、前記流体を前記空間へ吸入する吸入口と、前記空間から前記流体を吐出する吐出口とを含み、
前記バルブモジュールは、前記吸入口及び前記吐出口それぞれに配置され、
前記吸入口に設けられるバルブモジュールの可動体と前記吐出口に設けられるバルブモジュールの可動体とは形状が異なる
流体制御装置。
【請求項15】
請求項
10に記載の流体制御装置であって、
前記開口は、前記流体を前記空間へ吸入する吸入口と、前記空間から前記流体を吐出する吐出口とを含み、
前記バルブモジュールは、前記吸入口及び前記吐出口それぞれに配置され、
前記吸入口に設けられるバルブモジュールのサポート材と前記吐出口に設けられるバルブモジュールのサポート材とは形状が異なる
流体制御装置。
【請求項16】
請求項
10に記載の流体制御装置であって、
前記開口は、前記流体を前記空間へ吸入する吸入口と、前記空間から前記流体を吐出する吐出口とを含み、
前記バルブモジュールは、前記吸入口及び前記吐出口それぞれに配置され、
前記吸入口に設けられるバルブモジュールの可動体と前記吐出口に設けられるバルブモジュールの可動体とは材料が異なる
流体制御装置。
【請求項17】
請求項
10に記載の流体制御装置であって、
前記開口は、前記流体を前記空間へ吸入する吸入口と、前記空間から前記流体を吐出する吐出口とを含み、
前記吸入口及び前記吐出口の少なくとも一方は前記弾性体に設けられ、前記バルブモジュールは、前記弾性体に実装される
流体制御装置。
【請求項18】
流体が移動可能な空間と、
前記空間を介して対向し、少なくとも一方が可撓性を有する弾性体を含む2枚の板状部材と、
前記弾性体を屈曲させ、前記空間の体積を変動させる駆動機構と、
前記空間内外を移動する前記流体が通過する、部材に設けられた開口と、
前記開口に配置され、流体によって弾性変形可能なフィルムからなり、前記開口を有する部材側に位置する第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを有する可動体と、前記可動体よりも剛性が高く、前記第2の面のうち前記第2の面と垂直な方向からみて前記開口が位置しない領域の一部を覆い、前記部材に固定されるサポート材と、を有するバルブモジュールと
を備える流体制御装置
と
を具備
し、
前記バルブモジュールは、前記可動体と前記サポート材とが重なり合う重複領域と、前記サポート材のみの非重複領域と、を有し、
前記非重複領域は、それぞれ独立して弾性変形可能な第1の非重複領域と第2の非重複領域とを含む
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、流体を輸送する流体制御装置に用いられるバルブモジュール、これを用いた流体制御装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
小型かつ薄型のポンプとして、例えばダイヤフラムを用いたダイヤフラム型ポンプが実用化されている(例えば、特許文献1参照)。ダイヤフラム型ポンプは、ダイヤフラムの屈曲変形によって容積が変動するポンプ室を備え、容積を大きくすることにより流体をポンプ室に吸入し、容積を小さくすることにより流体をポンプ室から吐出することが可能である。ポンプ室に接続される開口には吸入弁及び吐出弁(バルブ)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダイヤフラムポンプのような流体制御装置において、小型化が望まれている。
小型で薄型のダイヤフラムポンプにおいては、ダイヤフラムの1回の振動によって生じるポンプ室内の体積変化量が少ないため、ダイヤフラムの振動数を増やすことにより単位時間当たりの流量を増やすことが原理的には可能である。しかしながら、ダイヤフラムの振動数を増やした場合、ポンプ室内の圧力変動にバルブの動きが追従できず、流量を大きくすることが難しいという問題がある。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、小型の流体制御装置に適したバルブモジュール、これを用いた流体制御装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本技術に係るバルブモジュールは、可動体と、サポート材とを具備する。
上記可動体は、流体によって弾性変形可能なフィルムからなり、流体が通過する開口を有する部材側に位置する第1の面と上記第1の面と反対側の第2の面とを有する。
上記サポート材は、上記可動体よりも剛性が高く、上記第2の面のうち上記第2の面と垂直な方向からみて上記開口が位置しない領域の一部を覆い、上記部材に固定される。
【0007】
上記目的を達成するため、本技術に係る流体制御装置は、空間と、2枚の板状部材と、駆動機構と、開口と、バルブモジュールとを具備する。
上記空間は、流体が移動可能である。
上記2枚の板状部材は、上記空間を介して対向し、少なくとも一方が可撓性を有する弾性体を含む。
上記駆動機構は、上記弾性体を屈曲させ、上記空間の体積を変動させる。
上記開口は、上記空間内外を移動する上記流体が通過し、部材に設けられる。
上記バルブモジュールは、上記開口に配置され、流体によって弾性変形可能なフィルムからなり、上記開口を有する部材側に位置する第1の面と上記第1の面と反対側の第2の面とを有する可動体と、上記可動体よりも剛性が高く、上記第2の面のうち上記第2の面と垂直な方向からみて上記開口が位置しない領域の一部を覆い、上記部材に固定されるサポート材と、を有する。
【0008】
上記目的を達成するため、本技術に係る電子機器は、流体制御装置を備える。
上記流体制御装置は、空間と、2枚の板状部材と、駆動機構と、開口と、バルブモジュールとを備える。
上記空間は、流体が移動可能である。
上記2枚の板状部材は、上記空間を介して対向し、少なくとも一方が可撓性を有する弾性体を含む。
上記駆動機構は、上記弾性体を屈曲させ、上記空間の体積を変動させる。
上記開口は、上記空間内外を移動する上記流体が通過し、部材に設けられる。
上記バルブモジュールは、上記開口に配置され、流体によって弾性変形可能なフィルムからなり、上記開口を有する部材側に位置する第1の面と上記第1の面と反対側の第2の面とを有する可動体と、上記可動体よりも剛性が高く、上記第2の面のうち上記第2の面と垂直な方向からみて上記開口が位置しない領域の一部を覆い、上記部材に固定されるサポート材と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本技術の実施形態に係る流体制御装置の分解斜視図である。
【
図3】上記流体制御装置が備えるバルブモジュール付近の分解斜視図及びバルブモジュールの平面図である。
【
図4】上記流体制御装置が備えるバルブモジュール付近の部分模式断面図、バルブモジュールの振動部の動作を示す部分模式断面図である。
【
図5】他の形状例のバルブモジュールの斜視図、平面図、模式断面図である。
【
図6】更に他の形状例のバルブモジュールの平面図である。
【
図7】更に他の形状例のバルブモジュールの平面図である。
【
図8】
図7に示すバルブモジュールにおけるサポート材の形状の違いによる効果を説明する図である。
【
図9】更に他の形状例のバルブモジュールの平面図である。
【
図10】バルブモジュールの製造方法を説明する図である。
【
図12】バルブモジュールの実装時における位置決めを説明するためのバルブモジュール付近の平面図である。
【
図13】バルブモジュールの実装時における接着剤の配置の様子を説明するためのバルブモジュール付近の斜視図である。
【
図14】バルブモジュールの流体制御装置への実装工程図である。
【
図15】バルブモジュールの流体制御装置の実装時における接着剤の配置例を説明するための流体制御装置の模式断面図である。
【
図16】バルブモジュールを収容する凹部の他の形状を説明するためのバルブモジュール付近の平面図である。
【
図17】他の例の流体制御装置の部分模式断面図である。
【
図18】更に他の例の流体制御装置の部分模式断面図である。
【
図19】更に他の例の流体制御装置の部分模式断面図である。
【
図20】更に他の例の流体制御装置の部分模式断面図である。
【
図21】更に他の例の流体制御装置の部分模式断面図である。
【
図22】更に他の例の流体制御装置の部分模式断面図である。
【
図24】本実施形態の流体制御装置におけるバルブモジュールの可動弁の応答性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本技術の実施形態に係る流体制御装置について説明する。
以下、図において、流体制御装置(ポンプ)及びバルブモジュールの厚み方向をZ軸方向とする。また、バルブモジュール付近の図において、流体制御装置に設けられる後述する開口(吸入口や吐出口)の長手方向をY軸方向とする。X軸、Y軸及びZ軸は互いに直交している。以下では、Z軸方向から見る場合を平面視という。
【0011】
[流体制御装置の概略的構成]
図1は、本実施形態に係る流体制御装置1の分解斜視図であり、
図2は流体制御装置1の部分模式断面図である。流体制御装置1は、流体を吸入し、排出することが可能なポンプである。流体は気体、液体又はその他の流動体等であり、特に限定されない。尚、
図2の模式図では、後述する吸入口と吐出口が、流体制御装置1を平面視したときに同じ位置となるように便宜的に図示している。
【0012】
図1及び
図2に示すように、流体制御装置1は、図上、上から順に第1部材2と、第2部材3と、第1駆動機構41と、第3部材5と、第4部材6と、第5部材7と、第2駆動機構42と、第6部材8と、第7部材9と、4つのバルブモジュール13と、を備え、これらがZ軸方向に積層して構成される。第1~6部材は板状部材である。流体制御装置1は、主に高剛性な金属材料を主体として構成される。以下、バルブモジュール13を除く流体制御装置1を構成する部分を流体制御装置本体ということがある。
【0013】
第3部材5と第5部材7とは間隙を持って対向配置され、第3部材5と第5部材7の間にはポンプ室となる空間19が設けられる。第4部材6は、第3部材5及び第5部材7が接合され、第3部材5及び第5部材7と共に空間19を形成する。空間19は流体が移動可能に構成される。
【0014】
第3部材5は、振動部51と固定部52を備える。振動部51は、第3部材5の中央部分に位置し、可撓性を有する弾性体からなる変位振動体である。振動部51の形状は特に限定されないが、平面視で円形状とすることができる。固定部52は、振動部51の周囲に配置され、非弾性体からなる。振動部51はダイヤフラムであり、固定部52に支持され、第1駆動機構41によって屈曲するように構成される。
第5部材7は、振動部71と固定部72を備える。振動部71は、第5部材7の中央部分に位置し、可撓性を有する弾性体からなる変位振動体である。振動部71の形状は特に限定されないが、平面視で円形状とすることができる。固定部72は、振動部71の周囲に配置され、非弾性体からなる。振動部71はダイヤフラムであり、固定部72に支持され、第2駆動機構42によって屈曲するように構成されている。
【0015】
図2は、振動部51、振動部71の屈曲動作を示す模式図である。
同図に示すように、振動部51は、第5部材7に接近する方向及び第5部材7から離間する方向に屈曲する。振動部51と固定部52の間には、振動部51の屈曲を促進するばね部が設けられてもよい。
振動部71は、第3部材5に接近する方向及び第3部材5から離間する方向に屈曲する。振動部71と固定部72の間には、振動部71の屈曲を促進するばね部が設けられてもよい。
【0016】
第3部材5と第5部材7は、
図1に示すように振動部51と振動部71が空間19を介して対向するように配置されている。空間19は、
図2に示すように振動部51及び振動部71が屈曲することにより容積が変動する空間であり、開口としての吸入口101a及び101b、吐出口102a及び102bを備える。本実施形態では、吸入口及び吐出口がそれぞれ2つずつ設けられる例をあげるが、数はこれに限定されない。以下、吸入口101a及び101bを特に区別する必要がない場合は吸入口101、吐出口102a及び102bを特に区別する必要がない場合は吐出口102と称する。また、以下の説明において、吐出口102と吸入口101を区別せず、開口10と称することがある。
図3(A)に示すように、吸入口101及び吐出口102は、平面視で長手方向(Y軸方向とする。)を有する略矩形状の開口である。
空間19は、吸入口101及び吐出口102を介して流体制御装置1の外部空間に連通する。吸入口101及び吐出口102は、流体が通過する開口である。
【0017】
第1駆動機構41は、振動部51を屈曲させる。第1駆動機構41は、
図1に示すように振動部51上に積層された圧電素子とすることができる。また、第1駆動機構41は圧電素子でなくてもよく、振動部51を屈曲させることが可能なものであればよい。
第2駆動機構42は、振動部71を屈曲させる。第2駆動機構42は、
図1に示すように振動部71上に積層された圧電素子とすることができる。また、第2駆動機構42は圧電素子でなくてもよく、振動部71を屈曲させることが可能なものであればよい。
【0018】
吸入口101a及び101bには、それぞれバルブモジュール13が設けられている。
吸入口101に設けられるバルブモジュール13は、吸入口101を介して空間19へ流体を吸入させる。吸入口101に設けられるバルブモジュール13は、外部空間から空間19へ向けて流れる流体を通過させ、空間19から外部空間へ向けて流れる流体を通過させない。
同様に、吐出口102a及び102bにも、それぞれバルブモジュール13が設けられている。
吐出口102に設けられるバルブモジュール13は、吐出口102を介して空間19内の流体を外部空間へ吐出させる。吐出口102に設けられるバルブモジュール13は、空間19から外部空間へ向けて流れる流体を通過させ、外部空間から空間19へ向けて流れる流体を通過させない。
【0019】
流体制御装置1は以上のような概略的構成を有する。流体制御装置1を板状部材(第1部材2、第2部材3、第3部材5、第4部材6、第5部材7、第6部材8及び第7部材9)が積層された構造とすることにより、流体制御装置1の薄型化が実現されている。各板状部材は接着、締結又はその他の接合方法によって接合することができる。
【0020】
流体制御装置1の形状は特に限定されないが、
図1に示すように、平面視で略四角形状とすることができる。また、流体制御装置1の形状は四角形状に限られず、平面視で六角形状又は八角形状等の多角形状とすることもできる。
【0021】
[流体制御装置の動作]
流体制御装置1の動作について説明する。
図2に示すように、振動部51が第5部材7から離間する方向に屈曲し、振動部71が第3部材5から離間する方向に屈曲すると、空間19の容積が増大する。これにより流体は、吸入口101を介して空間19に吸入される。この際、吐出口102は吐出口102に設けられるバルブモジュール13によって閉塞され、流体が吐出口102から吸入されることは防止される。
【0022】
図2に示すように、振動部51が第5部材7に接近する方向に屈曲し、振動部71が第3部材5に接近する方向に屈曲すると、空間19の容積が減少する。これにより流体は、空間19から吐出口102を介して外部空間へ吐出される。この際、吸入口101は吸入口101に設けられるバルブモジュール13によって閉塞され、流体が吸入口101から吐出されることは防止される。
このように振動部51及び71の屈曲を繰り返すことにより、継続的に流体は吸入口101から吸入され、吐出口102から吐出され、流体が輸送される。
【0023】
[バルブモジュールの構造]
図1及び2に示すように、バルブモジュール13は、第3部材5の固定部52及び第5部材7の固定部72のそれぞれに固定して設けられる。
バルブモジュール13は、振動部51及び71の振動によって生じる空間19の圧力変動や空気流によって逆止機能を発揮する。
バルブモジュール13は、流体制御装置1における各板状部材とは別体で構成され、流体制御装置本体にバルブモジュール13を実装することにより流体制御装置1を構成することができる。
【0024】
図3(A)は、流体制御装置1のバルブモジュール13付近における部分分解斜視図である。
図3(B)は、バルブモジュール13単体をZ軸方向上方からみた平面図である。
図4(A)は、流体制御装置1のバルブモジュール13付近における部分模式断面図である。
図4(B)は、流体制御装置1の稼動時におけるバルブモジュール13の動きを説明する部分模式断面図である。
【0025】
吸入口101及び吐出口102それぞれに設けられるバルブモジュール13には同様の構造のものを用いることができる。
図3(A)及び
図4(A)に示すように、バルブモジュール13は第3部材5(第5部材7)の固定部52(72)に設置され、後述する接着剤12等の固定手段によって固定部52(72)に固定される。
【0026】
固定部52(72)には、Z軸方向に凹陥する凹部17(18)が設けられる。平面視で、凹部17(18)の外形の一部は、バルブモジュール13の外形の一部とほぼ同じ形状を有する。凹部17(18)は、バルブモジュール13が実装される実装部である。
凹部17(18)は、内側面17a(18a)と、底面17b(18b)を有する。
凹部17(18)の内側面17a(18a)は、バルブモジュール13の流体制御装置本体への位置決めを行う位置決め面として機能する。凹部17(18)には、Z軸方向に貫通する吐出口102(吸入口101)が設けられている。
【0027】
図4(A)に示すように、バルブモジュール13は、可動体16と、サポート材15と、固定手段としての接着層14と、を備える。
バルブモジュール13は、可動体16の弾性バネ復元力を利用した逆止弁であり、可動体16の一部である後述する可動弁11は、バネ機構を有し、これを利用して開口10の開閉が行われる。
【0028】
可動体16は、流体によって弾性変形可能なフィルムから構成される。可動体16は、流体が通過する開口10を有する部材(本実施形態においては第3部材5及び第5部材7)側に位置する第1の面16aと、第1の面16aと反対側の第2の面16bを有する。
サポート材15は、第2の面16bと垂直な方向からみて、すなわち平面視で、可動体16の第2の面16bのうち開口10が位置しない領域の一部を覆う。サポート材15は、可動体16よりも剛性が高い材料で構成される。サポート材15は、可動体16の弾性変形可能な範囲を制御する。また、サポート材15は、流体制御装置本体にバルブモジュールを実装する際の結合部材としても機能し、サポート材15は後述する接着剤12によって第3部材15、第5部材7それぞれに固定される。
接着層14は、可動体16とサポート材15とを固定する固定手段である。可動体16とサポート材15とは、対向面で接着層14によって接合されている。
【0029】
可動体16は、サポート材15とZ軸方向で重なる領域においては、サポート材15によって動きが抑制される。この重なる領域は、後述する重複領域21に相当する。サポート材15は、バルブモジュール13を流体制御装置本体に実装して流体制御装置1を構成したときに、可動体16の一部を押さえつけて重複領域21の動きを抑制する。
一方、可動体16は、サポート材15とZ軸方向で重ならない領域においては、弾性変形可能となる。この重ならない領域は、後述する非重複領域22に相当する。非重複領域22は、バルブモジュール13の開閉に寄与する可動弁11を構成する。
流体制御装置本体にバルブモジュール13が搭載された流体制御装置1において、可動弁11は、空間19からの圧力や空気流によって変形可能であり、かつ、圧力変動に追従できる応答性を有する形状となっている。
【0030】
図3(B)に示すように、バルブモジュール13は、平面視で可動体16とサポート材15とが重なり合う重複領域21と、サポート材15が位置せず可動体16のみが位置する非重複領域22と、を有する。
重複領域21は、サポート材15が積層されることにより、サポート材15が位置しない非重複領域22よりも剛性が高く、変形しにくい領域である。このように、バルブモジュール13は、重複領域21と非重複領域22とで剛性の異なる領域を有する。
【0031】
可動弁11を構成する非重複領域22が、開口10を覆い、平面視で吐出口102(吸入口101)と重なるように、バルブモジュール13は第3部材5(第5部材7)の凹部17(18)に設置される。重複領域21と非重複領域22の境界部分は、可動弁11の開弁基点となり得る。
【0032】
図4(B)に示すように、吐出口102(吸入口101)に設けられるバルブモジュール13の可動弁11は、流体が空間19(外部空間)から外部空間(空間19)へ吐出(吸入)される際、第5部材7(第3部材5)から離間するように移動し、バルブが開く。
一方、吐出口102(吸入口101)に設けられるバルブモジュール13の可動弁11は、流体が外部空間(空間19)から空間19(外部空間)へ吸入(吐出)される際、第5部材7(第3部材5)の凹部18(17)の底面18b(17b)に接するように移動し、バルブが閉じる。これにより、流体が吐出口102(吸入口101)から吸入(吐出)されることは防止される。
【0033】
可動体16には、薄く柔軟性があり、バルブモジュール13を構成したときに可動弁11が大きく振動できる材料を用いる。可動体16には、所望のヤング率を有し、また、可動弁11の応答性の観点から比重ができるだけ小さい材料を用いることが好ましい。
より具体的には、可動体16に用いる材料は、可動弁11の開閉に必要な力に対してヤング率が適当な範囲にあることが好ましい。可動体16に用いる材料のヤング率は10GPa以下、更に好ましくは6GPa以下であり、2Gpa以上、更に好ましくは3GPa以上である。
可動体16に用いる材料には、可動弁11の応答性の観点から、比重が軽いものが好ましく、比重は、2.3以下、更に好ましくは2以下であり、0.7以上、更に好ましくは0.9以上である。比重を軽くすることにより、可動弁11の高速応答が可能となる。これにより、流体制御装置のオン、オフの切り替えを速やかに行うことができる。また、比重が小さければ小さいほどL長を伸ばしても応答性は悪化しにくい。
【0034】
また、可動体16に用いる材料には、バルブの開閉に必要な力の観点から、厚みの薄い材料がより好ましく、厚みは20μm以下、更に好ましくは15μm以下であり、2μm以上、更に好ましくは5μm以上である。
また、可動弁11が閉状態に位置したときに、流体の漏れの発生を抑制する観点から、可動体16の表面凹凸が少ないことがより好ましい。
また、可動体16の材料として、実装対象となる流体制御装置の稼働温度条件範囲の中で、可動弁11の熱変形や、軟化や硬化といった物理特性の変化が少ない材料を用いることが好ましい。
また、可動体16に用いる材料には、耐久性及び応答性の観点から、最大伸び率が1%以上であることが好ましい。
【0035】
可動体16には比重の低いプラスティック材料を用いることができる。
可動体16には、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、フッ素樹脂系等からなる有機フィルムを好適に用いることができる。
製造工程時における高温状況下に耐え、また、製品として用いた時の信頼性基準を満たす観点から、可動体16には、耐熱性の高い材料がより好ましい。例えば、ポリイミドフィルムやポリエチレンテレフタレート等は、耐熱性が高く、好適である。
尚、可動体16として金属フィルムを用いてもよく、厚み10μm以下の、42アロイ等の鉄とニッケルの合金やステンレス等の金属フィルムを用いることができる。42アロイは、42重量%のニッケルが鉄に配合された合金である。
可動体16の形状作製方法は、レーザ加工、エッチング加工、カッティング、打ち抜き等の既知の方法を用いることができ、材料の材質や厚み、加工形状等によって適宜選択される。
【0036】
サポート材15に用いる材料には、可動体16の一部を覆うことにより、重複領域21における可動体16の動きを抑制し、バルブモジュール13全体で振動して全体が変位することを防止するために、高剛性であることが好ましい。サポート材15には可動体16よりも剛性の高い材料を用いることができる。
サポート材15により可動体16の一部が覆われることにより、サポート材15が補強材として機能してバルブモジュール13の重複領域21の剛性が高められ、可動体16の可動範囲となる可動弁11の範囲が決定される。
また、可動弁11の変位特性は、可動体16の材料特性に加えて、積層されるサポート材15の剛性によっても変化するため、可動弁11が所望の変位特性を有するようにサポート材の厚みや材質を適宜決定することができる。
【0037】
サポート材15に用いる材料には、可動体16の可動範囲を制限するのに必要な剛性の観点から、ヤング率は6GPa以上、更に好ましくは10GPa以上であることが好ましい。
サポート材15の厚みは、可動体16の可動範囲を制限可能な程度の厚みがあればよい。
【0038】
サポート材15には、エッチング加工やプレス加工等による成型加工が可能な金属材料を用いることができ、例えば、42アロイ等の鉄とニッケルの合金やステンレス等の材料を用いることができる。他に、サポート材15の材料として、射出成型可能なプラスティック材料、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、液晶ポリマ等を用いてもよい。
【0039】
本実施形態においては、流体制御装置1にバルブモジュール13が実装される凹部17(18)が設けられ、バルブモジュール13の端部、より詳細には、サポート材15の端部を凹部17(18)の内側面17a(18a)に当接させることにより、バルブモジュール13を流体制御装置本体に対して位置決めする。
このため、サポート材15として、変形しにくい厚み及びヤング率の高い材料を用いることが好ましい。すなわち、剛性が高いサポート材15を用いることにより、サポート材15を内側面17a(18a)に当接して位置決めする際、サポート材15が変形することが抑制され、高精度な位置決めを行うことができる。
【0040】
接着層14には、エポキシ接着剤、シアノアクリレート接着剤、嫌気硬化や加熱硬化併用型の紫外線硬化型接着剤等を用いることができる。尚、サポート材15と可動体16との固定手段は接着剤に限定されない。例えば、超音波接合や熱可塑性樹脂を用いた熱接合を用いてもよい。
【0041】
図3(B)に示すバルブモジュール13の例において、非重複領域22は、重複領域21からX軸方向に突出した形状となっている。非重複領域22と重複領域21との境界を規定する重複領域21におけるサポート材15の端部に符号151を付す。また、重複領域21からみた非重複領域22の延出方向における可動体16の端部に符号161を付す。図において、端部151及び161はY軸方向に延在している。端部151と端部161との長さ、すなわち可動弁11のX軸方向における長さが最長となるときの長さをLとする。以下、長さLを「L長」ということがある。
【0042】
[作用、効果]
本実施形態では、バルブモジュール13の可動体16に、比重が軽く、ヤング率の低い柔軟性のある材料を用いることにより、振動部51及び71の高振動に追従可能な可動弁11を得ることができる。これにより、単位時間当たりの流量を増やすことができ、小型で薄型であっても単位時間当たりの流量を増加することが可能な流体制御装置を得ることができる。
また、本実施形態では、流体制御装置の小型薄型化が可能となるので、電子機器に当該流体制御装置を搭載する際、搭載位置の制限が緩和され、電子機器の設計範囲を広くすることができる。更に、流体制御装置を用いる電子機器に本技術の流体制御装置を用いることにより、電子機器の小型化が可能となる。
【0043】
バルブモジュール13は、流体制御装置本体を構成する部材とは別体で構成される。
これにより、バルブモジュール13を流体制御装置1の所望の位置に実装可能となり、吸入口101及び吐出口102の数や位置を自由に設計することができ、流体制御装置の設計範囲を広げることができる。
【0044】
バルブモジュール13の作製方法については後述するが、可動体16とサポート材15とを接着層14を介して固定することによりバルブモジュール13を作製する。可動体16とサポート材15との固定時、可動体16とサポート材15との重複領域21の範囲を調整することにより、可動体16やサポート材15の外形寸法や形状を変えることなく、可動弁11のL長を調整することができる。L長を変えることによって、バルブモジュール13毎で流体の流量及び可動弁11の応答性を制御することができる。
従って、流体制御装置本体とバルブモジュールとは別体であるので、異なる流体制御装置本体毎に適したバルブモジュールを個別に容易に作製することができる。
また、吸入口101及び吐出口102それぞれにおいて適したバルブモジュールを容易に作製することができるので、例えばL長が異なる複数のバルブモジュールを、同じ流体制御装置に設けられる吸入口101及び吐出口102それぞれに設けることができる。
【0045】
このように、バルブモジュール13は、流体制御装置本体と別体であり、また、L長を調整することにより流量や応答性を制御することができるので、汎用性が高い部品となる。
尚、ここではL長を変えることによってバルブモジュール13の特性を制御することを記載したが、後述するように、L長のほか、可動体16の材料の種類、厚み、可動体16やサポート材15の形状などを変えることによりバルブモジュールの特性を制御することができる。例えば、可動体16の材料を変更することにより、このバルブモジュールを用いる流体制御装置のポンプ特性のチューニング等の設計変更を容易に行うことができる。
【0046】
また、バルブモジュール13が実装される第3部材5及び第5部材7それぞれにはバルブモジュール13が位置決めされて配置され得る凹部17及び18それぞれが設けられている。これにより、バルブモジュール13を第3部材5(第5部材7)に精度良く、かつ、容易に配置することができ、実装時の作業効率を向上させることができる。
【0047】
[バルブモジュールの他の形状例]
バルブモジュール13を構成するサポート材15及び可動体16の平面形状は
図3に示す形状に限定されず、種々の形状を取ることが可能である。
以下、
図5~
図9を用いてバルブモジュールの他の形状例を説明するが、これらの形状に限定されない。
以下、サポート材又は可動体の少なくとも一方の形状が
図3に示すバルブモジュールと異なる例を説明するが、上述と同様に、バルブモジュールには符号13、サポート材には符号15、可動体には符号16、接着層には符号14、可動弁には符号11、可動体16のサポート材15と接する側の面である第2の面には符号16b、重複領域には符号21、非重複領域には符号22を付して説明する。また、バルブモジュール13を流体制御装置本体に搭載し流体制御装置1としたときの可動弁11と重なって位置する開口(吸入口又は吐出口)には符号10を付している。
【0048】
可動体16及びサポート材15の外形形状は、流体制御装置1に実装したときの、実装位置や位置決め方法に応じて適宜設定することができる。
【0049】
図5(A)~(C)は、サポート材15及び可動体16の形状が
図3に示すバルブモジュールと異なる例であり、バルブモジュールの斜視図、平面図及び模式断面図である。
図5に示すバルブモジュール13のように、サポート材15及び可動体16が、角が丸い矩形状を有していてもよい。また、
図5に示すバルブモジュール13のように、サポート材15のY軸方向における寸法が可動体16のY軸方向における寸法よりも大きく、Y軸方向において、サポート材15が可動体16から突出するようにしてもよい。
【0050】
図6(A)~(D)はサポート材15及び可動体16の形状が
図3に示すバルブモジュールと異なる例の平面図である。いずれのバルブモジュール13においても、サポート材15は可動体16の第2の面16bのうち、平面視で開口10が位置しない領域の一部を覆う。
図3に示すバルブモジュール13のサポート材15及び可動体16は、平面視で、略半楕円形状を有している。
これに対し、
図6(A)~(D)に示すバルブモジュール13の可動体16はいずれも角が丸い矩形状を有している。
図6(A)に示すバルブモジュール13のサポート材15は、2つの角が他の2つの角と曲率が異なった曲線部である略矩形状となっている。更に、サポート材15は、Y軸方向に可動体16より突出した部分を有する形状となっている。
図6(B)に示すバルブモジュール13のサポート材15は、角が丸い矩形状を有し、更に、重複領域21で可動体16の外形と一致する形状を有している。
図6(C)に示すバルブモジュール13のサポート材15は、
図6(B)に示すバルブモジュール13のサポート材15の向かい合う一対の辺それぞれに切り欠き152が設けられた形状となっている。
図6(D)に示すバルブモジュール13のサポート材15は、
図6(A)に示すバルブモジュール13のサポート材15の向かい合う一対の辺それぞれに切り欠き152が設けられた形状となっている。
【0051】
図7(A)~(C)はサポート材15及び可動体16の形状が
図3に示すバルブモジュールと異なる例である。いずれのバルブモジュール13においても、サポート材15は可動体16の第2の面16bの一部を覆う。
図3に示すバルブモジュール13のサポート材15及び可動体16は、平面視で、略半楕円形状を有している。また、
図3に示すバルブモジュール13において、重複領域21と非重複領域22との境界を規定するサポート材15の端部151は直線状を有している。
これに対し、
図7(A)~(C)に示すバルブモジュール13の可動体16はいずれも角が丸い矩形状を有している。
図7(A)に示すバルブモジュール13のサポート材15は、平面視で端部151が重複領域21に向かって凸状の滑らかな曲線状を有している。
図7(B)に示すバルブモジュール13のサポート材15は、Y軸方向に可動体16より突出した部分を有する形状となっている。更に、
図7(B)に示すサポート材15は、平面視で端部151が重複領域21に向かって凸状の曲線状部を含む形状を有している。端部151は、Y軸方向における両側方部それぞれに突出部を有する形状となっている。
図7(C)に示すバルブモジュール13のサポート材15は、平面視で端部151のY軸方向における中央部が非重複領域22に向かって凸状の曲線状部を含む形状を有している。また、サポート材15の一部と開口10が平面視で重なっている。
【0052】
図8(A)及び(B)は、
図7(A)~(C)で示したバルブモジュールのサポート材15の端部151の形状を異ならせることによる効果を説明するための図である。
各図において、矢印の左側に位置する図は、端部151が直線状のサポート材15のバルブモジュール13の平面図と、当該バルブモジュール13を流体制御装置本体に実装し、流体を輸送した場合の可動弁11の動きを説明するための断面模式図である。
各図において、矢印の右側に位置する図は、端部151が重複領域21又は非重複領域22に向かって凸の形状を有するサポート材15を有するバルブモジュール13の平面図と、当該バルブモジュール13を流体制御装置本体に実装し、流体を輸送した場合の可動弁11の動きを説明するための断面模式図である。
【0053】
図8(A)において、矢印の右側に図示する2つのバルブモジュール13は
図7(A)及び(B)に示すバルブモジュール13である。
図8(B)において、矢印の右側に図示するバルブモジュール13は
図7(C)に示すバルブモジュール13である。
【0054】
図8(A)の矢印の左側に図示するバルブモジュール13において、仮に、バルブが開いた時に、可動弁11がY軸方向においてZ軸方向に均一に移動せず、Y軸方向中央部がZ軸方向に凹むように可動弁11が変位したとする。
このような場合、
図8(A)の矢印の右側に図示するように、サポート材15の端部151を、平面視でY軸方向中央部が重複領域21に向かって凸となる形状とする。これにより、バルブが開いた時に、可動弁11のY軸方向中央部におけるZ軸方向の凹み度合いが緩和され、可動弁11がY軸方向においてZ軸方向にほぼ均一に変位するように、可動弁11の変位姿勢を調整することができる。
【0055】
また、
図8(B)の矢印の左側に図示するバルブモジュール13において、仮に、バルブが開いた時に、可動弁11がY軸方向においてZ軸方向に均一に移動せず、Y軸方向中央部がZ軸方向に凸となるように可動弁11が変位したとする。
このような場合、
図8(B)の矢印の右側に図示するように、サポート材15の端部151を、平面視でY軸方向中央部が重複領域21に向かって凸となる形状とする。これにより、バルブが開いた時に、可動弁11のY軸方向中央部におけるZ軸方向の凸の度合いが緩和され、可動弁11がY軸方向においてZ軸方向にほぼ均一に移動するように、可動弁11の変位姿勢を調整することができる。
【0056】
このように、重複領域21と非重複領域22との境界を規定するサポート材15の端部151の形状を変えることにより、流体制御装置1の可動時におけるバルブモジュール13の可動弁11の変位姿勢を調整することができる。
本実施形態では、流体制御装置1における各板状部材とは別体でバルブモジュール13が構成されるので、上述のような可動弁11の変位姿勢の調整をバルブモジュール13単位で行うことができる。従って、流体制御装置1毎、開口10毎に適切なバルブモジュール13を配置することができ、優れた流体輸送特性を有する流体制御装置1を安定して作製することができる。
【0057】
また、上述では、1つの開口10に対して1つのバルブモジュール13が設けられる例をあげたが、複数の開口10に対して1つのバルブモジュール13を設けるようにしてもよい。以下、
図9(A)~(C)を用いて2つの開口10に対応して設けられるバルブモジュール13の例について説明する。尚、開口10の数は限定されず3つ以上あってもよい。これにより、例えば複数の開口10が近接して位置する流体制御装置において、
図9(A)~(C)に示すバルブモジュール13を用いることにより、バルブモジュール13の部品点数を削減できる。
【0058】
図9(A)に示すバルブモジュール13は、可動体16と、可動体16の第2の面16bの一部を覆うサポート材15と、を有する。サポート材15及び可動体16は、それぞれ略矩形状を有する。サポート材15は、可動体16のX軸方向における中央部をY軸方向に跨ぐように積層して配置され、可動体16のX軸方向における両側部にはサポート材15は位置していない。
図9(A)に示すバルブモジュール13は、平面視で、サポート材15と可動体16とが重なりあう重複領域21と、サポート材15が積層されず可動体16のみが位置する非重複領域22と、を有する。更に、非重複領域22は、重複領域21を間に介してX軸方向に対向して位置する第1非重複領域221と第2非重複領域222とを含む。第1非重複領域221は第1可動弁111、第2非重複領域222は第2可動弁112を構成する。第1可動弁111及び第2可動弁112というように特に区別する必要がない場合は、可動弁11と称して説明する。以下、
図9(B)及び(C)の説明においても同様である。
第1非重複領域221と第2非重複領域222は、それぞれ、異なる2つの開口10それぞれと平面視で重なって位置する。第1可動弁111を構成する第1非重複領域221と、第2可動弁112を構成する第2非重複領域222とは、それぞれ独立して弾性変形可能となっている。
第1可動弁111及び第2可動弁112それぞれのX軸方向における長さ(突出長さ)は、サポート材15のサイズ及び配置位置、又は、可動体16の形状によって任意の寸法とすることが容易である。このため、各開口10に適した第1可動弁111及び第2可動弁112となるように調整することができる。
【0059】
図9(B)に示すバルブモジュール13は、可動体16と、可動体16の第2の面16bの一部を覆うサポート材15と、を有する。サポート材15は略矩形状を有し、可動体16は略六角形状を有する。サポート材15は、可動体16のX軸方向における中央部をY軸方向に跨ぐように配置され、可動体16のX軸方向における両側部にはサポート材15は位置していない。
図9(B)に示すバルブモジュール13は、平面視で、サポート材15と可動体16とが重なりあう重複領域21と、サポート材15が積層されず可動体16のみが位置する非重複領域22と、を有する。更に、非重複領域22は、重複領域21を間に介してX軸方向に対向して位置する第1非重複領域221と第2非重複領域222とを含む。
第1非重複領域221と第2非重複領域222は、それぞれ、異なる2つの開口10それぞれと平面視で重なって位置する。第1可動弁111を構成する第1非重複領域221と、第2可動弁112を構成する第2非重複領域222とは、それぞれ独立して弾性変形可能となっている。
本例では、第1非重複領域221と第2非重複領域222の面積は異なっており、第1非重複領域221に対応する開口10と第2非重複領域222に対応する開口10の開口形状及び開口面積も異なっている。
このように、第1非重複領域221と第2非重複領域222の面積を変えることにより各開口10を介して移動する流体の流量及び可動弁11の応答性を変えることができ、各開口10に適した第1可動弁111及び第2可動弁112となるように調整することができる。
【0060】
図9(A)及び(B)においては第1非重複領域221と第2非重複領域222とが重複領域21を介して対向配置される例をあげたが、
図9(C)に示すように、第1非重複領域221と第2非重複領域222とが隣り合って位置してもよい。
図9(C)に示すバルブモジュール13は、可動体16と、可動体16の第2の面16bの一部を覆うサポート材15と、を有する。サポート材15は略矩形状を有する。可動体16は、略矩形の一辺から2つの突出部が隣り合って位置する形状を有し、サポート材15は、可動体16のこの2つの突出部以外の部分を覆って位置する。
図9(C)に示すバルブモジュール13は、平面視で、サポート材15と可動体16とが重なりあう重複領域21と、サポート材15が積層されず可動体16のみが位置する非重複領域22と、を有する。更に、非重複領域22は、Y軸方向に並んで隣り合って位置する第1非重複領域221と第2非重複領域222とを含む。可動体16における2つの突出部がそれぞれ第1非重複領域221と第2非重複領域222を構成する
第1非重複領域221と第2非重複領域222は、それぞれ、異なる2つの開口10それぞれと平面視で重なって位置する。第1可動弁111を構成する第1非重複領域221と、第2可動弁112を構成する第2非重複領域222とは、それぞれ独立して弾性変形可能となっている。
第1非重複領域221及び第2非重複領域222それぞれのX軸方向における長さ(突出長さ)をサポート材15の形状や可動体の形状によって任意の寸法とすることが容易である。これにより、各開口10に適した第1可動弁111及び第2可動弁112となるように調整することができる。
【0061】
[バルブモジュールの製造方法]
次に、バルブモジュール13の製造方法について説明する。
図10は、バルブモジュール13の製造方法を説明する図である。
図11は、バルブモジュール13の製造工程図である。
以下、
図11のフローに従って、
図10を用いて説明する。以下では、サポート材15の材料にステンレス、可動体16の材料にポリイミドフィルムを用いる例をあげる。
【0062】
図10(A)に示すように、ステンレスフィルム150をエッチング等で、枠部153に細軸部154を介してサポート材15が繋がっている形状に加工する(S1)。1枚のステンレスフィルム150では、複数のサポート材15が所定のピッチで配置され、繋がっている。
【0063】
図10(B)に示すように、図示しないセパレータとポリイミドフィルム160とを貼り合わせて基板162を形成し(S2)、ポリイミドフィルム160を複数の可動体16の外形形状にカットし、可動体16の外形加工を行う(S3)。1枚の基板162では、複数の可動体16が、ステンレスフィルム150における複数のサポート材15のピッチ間隔と同じピッチで配置される。
【0064】
次に、複数のサポート材15がつながった状態のステンレスフィルム150の各サポート材15上に接着剤を塗布する(S4)。
次に、
図10(C)に示すように、接着剤を塗布した面を下方にしてステンレスフィルム150を基板162上に位置決めして配置する(S5)。例えば、ここでは、ステンレスフィルム150と基板162を同じ外形寸法の矩形状とし、それぞれの角をつきあわせることによって、可動体16とサポート材15が位置決め可能となるように、ステンレスフィルム150及び基板162において、それぞれ、サポート材15及び可動体16の外形加工が行われる。
【0065】
次に、ステンレスフィルム150と基板162とを接着剤を介して固定させた状態で接着剤を硬化し接着層14を得る(S6)。これにより、複数のバルブモジュール13が連なって形成される。
【0066】
次に、
図10(D)に示すように、細軸部154を切断して複数のバルブモジュール13を個別に切り離し(S7)、セパレータを剥離して、バルブモジュール13が完成する(S8)。
【0067】
以上のように、所望の精度で外形加工された複数のサポート材を有するステンレスフィルムと、所望の精度で外形加工された複数の可動体を有する基板とを、集合体の状態で位置決めし、接合した後に切り離することにより、複数のバルブモジュール13を一括して作製することができ、効率がよい。
【0068】
[バルブモジュールの実装方法]
次に、上述のバルブモジュール13を流体制御装置本体に実装し流体制御装置1を作製する方法について説明する。
図12は、バルブモジュール13実装時における、バルブモジュール13の第3部材5(第5部材7)に対する位置決めの様子を説明する平面図である。
図13は、バルブモジュール13の第3部材5(第5部材7)への実装例を説明するバルブモジュール付近の斜視図である。
図14は、バルブモジュール13の製造工程図である。
以下、
図14のフローに従い、
図12及び
図13を用いて説明する。
【0069】
図12に示すように、第3部材5(第5部材7)に設けられる凹部17(18)内にバルブモジュール13を配置し、内側面17a(18a)にバルブモジュール13のサポート材15が当接するように位置決めする(S11)。
図12に示す例では、凹部17(18)のY軸方向における寸法は、バルブモジュール13のY軸方向における寸法とほぼ同じであるため、Y軸方向におけるバルブモジュール13の位置決めを容易に行うことができる。更に、X軸方向においては、バルブモジュール13を凹部17(18)内に配置し、X軸方向にバルブモジュール13が内側面17a(18a)に当接するまでスライドさせることによって位置決めを容易に行うことができる。
【0070】
次に、
図13に示すように、バルブモジュール13の略矩形状のサポート材15のX軸方向に延在する一対の対向する辺それぞれを跨ぐように、サポート材15上と第3部材5(第5部材7)上に接着剤12を塗布し(S12)、接着剤12を硬化する(S13)。このように、サポート材15は、バルブモジュール13と流体制御装置とを結合する結合部材として機能する。接着剤12には、既知のものを用いることができ、例えば、接着剤12として、エポキシ接着剤、シアノアクリレート接着剤、紫外線硬化接着剤等を用いることができる。
これにより、バルブモジュール13の流体制御装置本体への実装が完了する(S14)。
尚、接着部分の補強が必要な場合、S13の後、再度接着剤12を塗布し(S22)、接着剤12を硬化する(S23)という工程を追加してもよい。
【0071】
このように、実装部となる凹部を設け、バルブモジュールの外形形状を利用して位置決めを行うことにより、作業効率が向上する。
尚、このような外形形状を利用した位置決めの他、可動弁11と開口10との位置決めを、画像処理を用いて行うこともできる。
【0072】
[接着剤の配置例]
図15(A)及び(B)は、接着剤12の配置例を説明する図である。
図15(A)及び(B)は、流体制御装置31及び53の部分模式断面図である。
図1に示す流体制御装置1と比較して、
図15に示す流体制御装置31及び53は、駆動機構4、吸入口101及び吐出口102の数等が主に異なり、板状部材が積層されている点は同じであり、後述する
図17~
図22に示す流体制御装置においても同様である。
【0073】
図15(A)に示す流体制御装置31は、第1部材32と、第2部材33と、振動部351と固定部352を有する第3部材35と、振動部351に対応して配置された圧電素子等の駆動機構4と、第4部材36と、第5部材37と、1つの吸入口101と、1つの吐出口102と、吸入口101及び吐出口102それぞれに設けられるバルブモジュール13と、を有する。
図15(A)に示す流体制御装置31では、第3部材35と、第4部材36と、第5部材37とにより空間19が形成される。また、第3部材35の固定部352には、吸入口101及び吐出口102が設けられている。図面上、吸入口101に設けられるバルブモジュール13は、第3部材35の下方に位置する面に設けられる。吐出口102に設けられるバルブモジュール13は、第3部材35の上方に位置する面に設けられる。
図15(A)に示すように、第3部材35のみに接着剤12が位置するようにしてもよい。
【0074】
図15(B)に示す流体制御装置53は、第1部材54と、第2部材55と、振動部561と固定部562を有する第3部材56と、振動部561に対応して配置された圧電素子等の駆動機構4と、第4部材57と、第5部材58と、1つの吸入口101と、1つの吐出口102と、吸入口101及び吐出口102それぞれに設けられるバルブモジュール13と、を有する。
図15(B)に示す流体制御装置53では、第3部材56と、第4部材57と、第5部材58とにより空間19が形成される。また、第3部材56の固定部562には、吸入口101及び吐出口102が設けられている。図面上、吸入口101に設けられるバルブモジュール13は、第3部材56の下方に位置する面に設けられる。吐出口102に設けられるバルブモジュール13は、第3部材56の上方に位置する面に設けられる。
第1部材54の、第3部材56の固定部562と対向する領域の一部には貫通孔541が設けられている。第5部材58の、第3部材56の固定部562と対向する領域の一部には貫通孔581が設けられている。貫通孔541及び581はそれぞれバルブモジュール13に対応して設けられている。
図15(B)に示すように、第1部材54と第3部材56との間、第3部材56と第5部材58との間に、Z軸方向に亘って接着剤12が位置するようにしてもよく、バルブモジュール13の接着強度を向上させることができる。更に、貫通孔541及び581内にも接着剤12が充填されるようにしてもよく、バルブモジュール13の接着強度をより向上させることができる。
【0075】
[バルブモジュール及び凹部の他の形状例]
図12に示すバルブモジュール13では、サポート材15のY軸方向の寸法が、X軸方向に亘って均一な形状となっているが、
図16に示すバルブモジュール13のように、X軸方向に沿って異なる部分があってもよい。
図16に示すバルブモジュール13のサポート材15は、X軸方向における一端部がY軸方向外方に凸の凸部155を有する形状となっている。サポート材15における凸部155が位置する部分では、Y軸方向の寸法が、凸部155が位置しない部分よりも大きくなっている。第3部材5(第5部材7)には、サポート材15の外形形状に対応した凹部17(18)が設けられている。このような形状とすることにより、バルブモジュール13の第3部材5(第5部材7)への位置決めの際、サポート材15の外形形状を用いてX軸方向及びY軸方向における位置決めを容易に行うことができる。
【0076】
[流体制御装置の他の構成例]
駆動機構4、吸入口101及び吐出口102それぞれの数、吸入口101及び吐出口102の配置位置は、上述の流体制御装置1、31及び53で挙げた例に限定されない。例えば、
図17~
図21にそれぞれ示す構成であってもよい。
【0077】
図17に示す流体制御装置60は、駆動機構4を2つ有し、吸入口101及び吐出口102をそれぞれ1つずつ有する。
図17に示す流体制御装置60は、第1部材62と、第2部材63と、振動部651と固定部652を有する第3部材65と、第4部材66と、振動部671と固定部672とを有する第5部材67と、第6部材68と、第1駆動機構41と、第2駆動機構42と、1つの吸入口101と、1つの吐出口102と、吸入口101及び吐出口102それぞれに設けられるバルブモジュール13と、を有する。第1~第6部材は板状部材である。
図17に示す流体制御装置60では、第3部材65と、第4部材66と、第5部材67とにより空間19が形成される。また、第3部材65の固定部652には吐出口102が設けられ、第5部材67の固定部672には吸入口101が設けられている。第1駆動機構41は、第3部材65の上方に振動部651と接して位置する。第2駆動機構42は、第5部材67の下方に振動部671に接して位置する。
【0078】
図18に示す流体制御装置61は、駆動機構4を2つ、吸入口101を2つ、吐出口102を1つ有する。
図17に示す流体制御装置60と同様の構成については同様の符号を付している。
図18に示す流体制御装置61は、第1部材62と、第2部材63と、振動部651と固定部652を有する第3部材65と、第4部材66と、振動部691と固定部692とを有する第5部材69と、第6部材68と、第1駆動機構41と、第2駆動機構42と、2つの吸入口101と、1つの吐出口102と、吸入口101及び吐出口102それぞれに設けられるバルブモジュール13と、を有する。第1~第6部材は板状部材である。
図18に示す流体制御装置61では、第3部材65と、第4部材66と、第5部材69とにより空間19が形成される。また、第3部材65の固定部652には1つの吐出口102が設けられ、第5部材69の固定部692には2つの吸入口101が設けられている。第1駆動機構41は、第3部材65の上方に振動部651と接して位置する。第2駆動機構42は、第5部材69の下方に振動部691に接して位置する。
【0079】
図19に示す流体制御装置80は、駆動機構4を1つ、吸入口101を2つ、吐出口102を1つ有する。
図19に示す流体制御装置80は、第1部材82と、第2部材83と、第3部材84と、振動部851と固定部852を有する第4部材85と、第5部材86と、駆動機構4と、2つの吸入口101と、1つの吐出口102と、吸入口101及び吐出口102それぞれに設けられるバルブモジュール13と、を有する。第1~第5部材は板状部材である。
図19に示す流体制御装置80では、第2部材83と、第3部材84と、第4部材85とにより空間19が形成される。また、第4部材85の固定部852には2つの吸入口101が設けられ、第2部材83の中央部には1つ吐出口102が設けられている。駆動機構4は、第4部材85の下方に振動部851に接して位置する。吐出口102は、平面視で振動部851の中央部に対向して位置している。
【0080】
図20に示す流体制御装置81は、駆動機構4を1つ、吸入口101を1つ、吐出口102を1つ有する。
図19に示す流体制御装置80と同様の構成については同様の符号を付している。
図20に示す流体制御装置81は、第1部材82と、第2部材83と、第3部材84と、振動部871と固定部872を有する第4部材87と、第5部材86と、駆動機構4と、1つの吸入口101と、1つの吐出口102と、吸入口101及び吐出口102それぞれに設けられるバルブモジュール13と、を有する。第1~第5部材は板状部材である。
図20に示す流体制御装置81では、第2部材83と、第3部材84と、第4部材87とにより空間19が形成される。また、第4部材87の固定部872には1つの吸入口101が設けられ、第2部材83の中央部には1つの吐出口102が設けられている。駆動機構4は、第4部材87の下方に振動部871に接して位置する。吐出口102は、平面視で振動部871の中央部に対向して位置している。
【0081】
図21に示す流体制御装置90は、駆動機構4を1つ、吸入口101を2つ、吐出口102を1つ有する。
図21に示す流体制御装置90は、第1部材92と、第2部材93と、第3部材94と、第4部材95と、振動部961と固定部962を有する第5部材96と、第6部材97と、駆動機構4と、2つの吸入口101と、1つの吐出口102と、吸入口101及び吐出口102それぞれに設けられるバルブモジュール13と、を有する。第1~第6部材は板状部材である。
図21に示す流体制御装置90では、第3部材94と、第4部材95と、第5部材96とにより空間19が形成される。また、第5部材96の固定部962には2つの吸入口101が設けられ、第3部材94の縁側部には1つの吐出口102が設けられている。駆動機構4は、第5部材96の下方に振動部961に接して位置する。
【0082】
図22に示す流体制御装置100は、駆動機構4を1つ、吸入口101を2つ、吐出口102を1つ有する。
図22に示す流体制御装置100は、第1部材103と、第2部材104と、振動部1051と固定部1052を有する第3部材105と、第4部材106と、振動部1071と固定部1072を有する第5部材107と、第6部材108と、駆動機構4と、2つの吸入口101と、1つの吐出口102と、吸入口101及び吐出口102それぞれに設けられるバルブモジュール13と、を有する。第1~第6部材は板状部材である。
図22に示す流体制御装置90では、第3部材105と、第4部材106と、第5部材107とにより空間19が形成される。駆動機構4は、第3部材105の上方に振動部1051に接して位置する。第5部材107の振動部1071には、2つの吸入口101と1つの吐出口102が設けられている。
このように、駆動機構4と対向する振動部1071に吸入口101及び吐出口102を設けてもよい。流体制御装置においては、振動部(弾性体、ダイヤフラム)の変位によって生じる圧力Vは、空間(ポンプ室)の体積V0と、振動部の変位によって生じる体積変化量ΔVの比によって生み出されるため、余分な流路体積分を減らしてV0をできるだけ小さくすることが好ましい。したがって、振動部の面上にバルブモジュールを実装する構成とすることにより、余分な流路体積分を減らせることができV0をより小さくすることができる。
【0083】
以上のような種々の構成の流体制御装置においても、本技術のバルブモジュールを好適に用いることができる。すなわち、本技術のバルブモジュールは、流体制御装置本体とは別体で構成され、可動体16の材料の種類、厚み、可動体16やサポート材15の大きさや形状、L長のうち少なくとも1つを変えることにより個々のバルブモジュール13の特性を制御することができるので、種々の流体制御装置に用いることができる。
【0084】
バルブモジュールの可動体の材料、厚み、形状、大きさ、サポート材の形状(支持形状)、
L長等の少なくとも1つを変えてバルブモジュールを作製することにより、可動弁の曲げバネ定位数をバルブモジュール毎に調整することができる。
【0085】
例えば、流体制御装置のサイズ制限がある場合、
図18、19及び21のように、吸入口の数と吐出口の数を異ならせる構成をとることがある。このような場合、同じ特性のバルブモジュールを吸入口及び吐出口に用いた際、各バルブモジュールの可動弁に加わる圧力、空気流の状態が異なる。しかし、上述のように、本技術のバルブモジュールでは、可動体の材料、厚み、形状、大きさ、サポート材の形状(支持形状)、L長等の少なくとも1つを変えバルブモジュールを作製することによりバルブモジュール毎に特性を変えることができる。従って、吸入口の数と吐出口の数が異なる流体制御装置においても、吸入口及び吐出口それぞれに適したバルブモジュールを設けることができ、優れた流体輸送特性を有する流体制御装置とすることができる。
本技術のバルブモジュールは、特に小型の流体制御装置に適している。すなわち、小型の流体制御装置においては、バルブモジュールの配置位置が制限されやすいが、本技術のバルブモジュールは、対応する開口毎に適したバルブモジュールを容易に作製することができる。
【0086】
また、吸入口の数と吐出口の数が異なる場合であっても、例えば吸入口と吐出口との配置関係等によって、吸入側と吐出側とで空気流の流れの違いが生じる場合がある。一例として、吐出側の空気流によって可動弁が大きく跳ね上げられ、戻り遅れが生じた場合、流体輸送のロスが生じる。このような場合、可動体の材料、厚み、形状、大きさ、サポート材の形状(支持形状)、L長等の少なくとも1つを異ならせて、吐出側のバルブモジュールの可動弁の曲げバネ定数を吸入側のバルブモジュールの可動弁よりも大きくするようにバルブモジュールを作製することで、流体輸送の効率を向上させることができる。
【0087】
[本実施形態の追加説明]
以下、本実施形態の説明を補足する。
(バルブモジュール等の各寸法例)
以下、バルブモジュール等の寸法例を挙げるが、これに限定されない。
図23に示すように、バルブモジュール13の可動弁11によって覆われる開口10の開口寸法は、超音波領域振動に追従させる為には例えばY軸方向における長さaが1mm~2mm、X軸方向における長さbが0.1mm~0.5mmである事が望ましい。
バルブモジュール13の可動弁11は、少なくとも開口10を覆う大きさが必要である。可動弁11のY軸方向における長さcは、超音波領域振動に追従させる為には例えば1.2mm~2.2mm、X軸方向における長さL(L長)は0.2mm~0.6mmである。
可動体16に用いる材料の比重及びヤング率、可動体16の厚み、目標とする振動部の1次共振周波数等によって、L長を適宜設定することができる。
【0088】
(可動体の厚みとL長について)
可動体16の厚み、目標とする振動部の1次共振周波数等によって、L長を適宜変更することができる。
以下、可動体16の材料、可動体16の厚み、可動弁11のL長を変えて複数のバルブモジュールを作製した。
【0089】
バルブモジュール13の可動体16の材料として、比重が1.45、ヤング率が5.8GPaの、厚み7.5μmと厚み12.5μmのポリイミドフィルムと、比重が1.4、ヤング率が10GPaの、厚み4.5μmと厚み12.5μmのポリアミドフィルムを用いた。
サポート材15の材料として、ヤング率が190GPa、厚み50μmのステンレスフィルムを用いた。
図23において、作製したバルブモジュール13の評価時の開口10の開口寸法は、X軸方向における長さを1.5mmとし、Y軸方向における長さを0.3mmとした。
図23において、バルブモジュール13の可動弁11のY軸方向における長さcは1.7mmとした。
L長は、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mmとした。
【0090】
可動体の材料としてポリイミドとポリアミドの2種類について、厚みとL長をかえて作製した各バルブモジュール13を、流体制御装置1に設置し、1次共振周波数と、1kPa圧力時の可動弁11の変位量を計算した。1次共振周波数の計算結果を表1に示す。変位量の計算結果を表2に示す。
【0091】
【0092】
【0093】
表1に示すように、可動弁11のL長が短くなるほど1次共振周波数が高くなり、可動弁11の厚みが増すと1次共振周波数が高くなる。1次共振周波数が高いほど単位時間当たりの流量を増やすことが可能となる。
表2に示すように、1kPa圧力に対する可動弁11の変位量は、可動弁11のL長が短くなるほど小さくなる。また、1kPa圧力に対する可動弁11の変位量は、可動弁11の厚みが増すと小さくなる。変位量が小さいほど流量が減少する。
【0094】
例えば、表2に示すように、L長が0.3mmで厚みが7.5μmのポリイミドフィルムの変位量は0.0066であるが、厚みが12.5μmのポリイミドフィルムを用いて、これと同程度の変位量とするには、L長は0.4mm程度必要となる。
表1に示すように、L長が0.3mmで厚みが7.5μmのポリイミドフィルムの共振周波数は26920Hzである。これに対し、L長が0.5mmで厚みが12.5μmのポリイミドフィルムの共振周波数は16152Hzである。
このように、可動弁11が同じ材料から構成され、同程度の変位量を示しても、厚み及びL長により1次共振周波数特性が異なる。従って、目標とする1次共振周波数特性を満たし、流量が増えるように、可動体に用いる材料や厚み、L長を適宜設定することができる。
【0095】
例えば、表1及び表2に示す例において、1次共振周波数特性が20kHz付近以上となるようにバルブモジュールを作製することを目標とした場合、この目標を満たし、変位量が大きい、厚み7.5μmのポリイミドフィルムを可動体16の材料として選択し、L長を0.3mm~0.35mmに設定してバルブモジュールを作製することができる。
これにより、流体輸送に優れたバルブモジュールを得ることができる。19~20kHz以上の帯域は人間が聞こえない帯域であるため、振動部(ダイヤフラム)の振動音が騒音として感じにくい。尚、ここでは、20kHz付近以上の共振周波数を例にあげて説明したが、これに限定されず、数百Hz、数kHz等でもよく、本技術を適用することができる。
【0096】
このように、可動体16のヤング率及び比重、可動体16の厚み、L長、材料の種類を変えることによって、バルブモジュール13毎に特性を調整することができる。
これにより、例えば、バルブモジュールにおいて可動体の材料を変更することにより、このバルブモジュールを用いる流体制御装置のポンプ特性のチューニング等の設計変更を容易に行うことができる。
【0097】
(バルブモジュールの応答性)
図24は、本実施形態のバルブモジュール13を搭載した流体制御装置1における、ダイヤフラム(振動体)が21.7kHzで振動しているときのバルブモジュール13の応答性を示す図である。
図24において、実線は駆動機構(圧電素子)4への入力電圧波形を示す。点線は、可動弁11の変位量を示し、図面上、変位量が増加するときが、可動弁11が開く状態であり、減少するときが、可動弁11が閉じる状態である。
バルブモジュール13の可動弁11には、厚みが5μm、比重が2以下、ヤング率が5GPa以下のポリイミドフィルムを用いた。サポート材15の材料には、ヤング率が6GPa以上のステンレスフィルムを用いた。L長は0.4mm~0.5mmとした。
図24に示すように、本実施形態のバルブモジュール13を搭載した流体制御装置1では、圧電素子(駆動機構)への電圧入力に追従して可動弁11が変位応答していることがわかった。このように、比重が2以下、ヤング率が5GPa以下の可動体と、サポート材を用い、L長を0.4mm~0.5mmとしたバルブモジュールを用いることにより、圧電素子(駆動機構)への電圧入力によって生じる振動部の21.7kHzという高振動によって生じる空間(ポンプ室)の圧力変動に追従してバルブモジュールの可動弁が応答し、逆止機能を十分発揮し得ることが確認された。
【0098】
[電子機器について]
流体制御装置1、31、53、60、61、80、81、90、100の用途は特に限定されないが、例えば電子機器に搭載することが可能である。流体制御装置1、31、53、60、61、80、81、90、100は電子機器内の空気を外部に排出し、あるいは電子機器外部から空気を吸入することができる。
上記の各流体制御装置は、電子機器内の発熱体に流体を吹き付けることによって発熱を抑制する冷却用デバイスとして利用することができる。例えば携帯電話などの携帯機器に流体制御装置を搭載させて、冷却を行うことができる。
また、触覚提示装置等の電子機器に上記流体制御装置を搭載することができ、擬似的圧覚や触覚を提示することができる。
また、血圧計といった電子機器に上記流体制御装置を搭載することができる。
また、空気圧で伸縮するゴムなどで作られる伸縮性のアクチュエータである人工筋肉に上述の各流体制御装置を適用することができる。
流体制御装置1、31、53、60、61、80、81、90、100は小型化が可能であるため、容易に電子機器内に内蔵させることが可能である。
【0099】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上述では、開口10の開口形状を、長手方向を有する略矩形状としたが、これに限定されず、種々の形状とすることができる。
【0100】
また、例えば、上述の各流体制御装置では、吸入口101及び吐出口102にバルブモジュール13を設ける例をあげたが、いずれか一方にのみ設ける形態としてもよい。この場合、他方の吸入口101又は吐出口102には孔を塞ぐものがない状態となる。このような形態においても、小型の流体制御装置では、空間19の体積の増減が速いので、吸入口101及び吐出口102のいずれか一方にバルブモジュール13を設けることにより、所望のポンプ特性の流体制御装置を得ることができる。このような形態では、バルブモジュール13の数を少なくすることができるので、コスト削減が可能となる。
【0101】
また、例えば、上述の各流体制御装置では、空間19の体積を変化させる機構としてダイヤフラム(振動部)の変位を用いる例をあげたが、これに限定されない。
また、上述の各流体制御装置では、駆動機構として圧電素子を用いる例をあげたが、これに限定されず、駆動機構として、振動部を屈曲させることができるものであればよい。
【0102】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)
流体によって弾性変形可能なフィルムからなり、流体が通過する開口を有する部材側に位置する第1の面と上記第1の面と反対側の第2の面とを有する可動体と、
上記可動体よりも剛性が高く、上記第2の面のうち上記第2の面と垂直な方向からみて上記開口が位置しない領域の一部を覆い、上記部材に固定されるサポート材
を具備するバルブモジュール。
(2)
上記(1)に記載のバルブモジュールであって、
上記可動体は、ヤング率が5GPa以下で厚みが20μm以下の有機フィルム、又は、厚みが10μm以下の金属フィルムからなる
バルブモジュール。
(3)
上記(1)又は(2)に記載のバルブモジュールであって、
上記可導体は比重が2以下である
バルブモジュール。
(4)
上記(3)に記載のバルブモジュールであって、
上記可動体は、ポリイミド又はポリエチレンテレフタレートからなる有機フィルムである
バルブモジュール。
(5)
上記(4)に記載のバルブモジュールであって、
上記可動体は、ニッケルと鉄の合金、又は、ステンレスからなる金属フィルムである
バルブモジュール。
(6)
上記(1)~(5)のうちいずれか一つに記載のバルブモジュールであって、
上記サポート材は、ヤング率が6GPa以上である
バルブモジュール。
(7)
上記(6)に記載のバルブモジュールであって、
上記サポート材は、ニッケルと鉄の合金、又は、ステンレスからなる金属フィルムである
バルブモジュール。
(8)
上記(1)から(7)のうちいずれか一つに記載のバルブモジュールであって、
上記可動体と上記サポート材とが重なり合う重複領域と、上記サポート材のみの非重複領域と、を有し、
上記重複領域と上記非重複領域との境界を規定する上記サポート材の端部は直線状、又は、曲線状部を含む形状を有する
バルブモジュール。
(9)
上記(1)から(8)のうちいずれか一つに記載のバルブモジュールであって、
上記可動体と上記サポート材とが重なり合う重複領域と、上記サポート材のみの非重複領域と、を有し、
上記非重複領域は、それぞれ独立して弾性変形可能な第1の非重複領域と第2の非重複領域とを含む
バルブモジュール。
(10)
上記(9)に記載のバルブモジュールであって、
上記第1の非重複領域と上記第2の非重複領域とは異なる面積を有する
バルブモジュール。
(11)
流体が移動可能な空間と、
上記空間を介して対向し、少なくとも一方が可撓性を有する弾性体を含む2枚の板状部材と、
上記弾性体を屈曲させ、上記空間の体積を変動させる駆動機構と、
上記空間内外を移動する上記流体が通過する、部材に設けられた開口と、
上記開口に配置され、流体によって弾性変形可能なフィルムからなり、上記開口を有する部材側に位置する第1の面と上記第1の面と反対側の第2の面とを有する可動体と、上記可動体よりも剛性が高く、上記第2の面のうち上記第2の面と垂直な方向からみて上記開口が位置しない領域の一部を覆い、上記部材に固定されるサポート材と、を有するバルブモジュール
を備える流体制御装置。
(12)
上記(11)記載の流体制御装置であって、
上記バルブモジュールが実装される凹部を更に具備し、
上記バルブモジュールは、その端部を上記凹部の内側面に当接させて位置決めされる
流体制御装置。
(13)
上記(11)又は(12)に記載の流体制御装置であって、
上記開口は、上記流体を上記空間へ吸入する吸入口と、上記空間から上記流体を吐出する吐出口とを含み、
上記吸入口と上記吐出口の数が異なる
流体制御装置。
(14)
上記(11)から(13)のうちいずれか一つに記載の流体制御装置であって、
上記開口は、上記流体を上記空間へ吸入する吸入口と、上記空間から上記流体を吐出する吐出口とを含み、
上記バルブモジュールは、上記吸入口及び上記吐出口それぞれに配置され、
上記吸入口に設けられるバルブモジュールの可動体と上記吐出口に設けられるバルブモジュールの可動体とは厚みが異なる
流体制御装置。
(15)
上記(11)から(14)のうちいずれか一つに記載の流体制御装置であって、
上記開口は、上記流体を上記空間へ吸入する吸入口と、上記空間から上記流体を吐出する吐出口とを含み、
上記バルブモジュールは、上記吸入口及び上記吐出口それぞれに配置され、
上記吸入口に設けられるバルブモジュールの可動体と上記吐出口に設けられるバルブモジュールの可動体とは形状が異なる
流体制御装置。
(16)
上記(11)から(15)のうちいずれか一つに記載の流体制御装置であって、
上記開口は、上記流体を上記空間へ吸入する吸入口と、上記空間から上記流体を吐出する吐出口とを含み、
上記バルブモジュールは、上記吸入口及び上記吐出口それぞれに配置され、
上記吸入口に設けられるバルブモジュールのサポート材と上記吐出口に設けられるバルブモジュールのサポート材とは形状が異なる
流体制御装置。
(17)
上記(11)から(16)のうちいずれか一つに記載の流体制御装置であって、
上記開口は、上記流体を上記空間へ吸入する吸入口と、上記空間から上記流体を吐出する吐出口とを含み、
上記バルブモジュールは、上記吸入口及び上記吐出口それぞれに配置され、
上記吸入口に設けられるバルブモジュールの可動体と上記吐出口に設けられるバルブモジュールの可動体とは材料が異なる
流体制御装置。
(18)
上記(11)から(17)のうちいずれか一つに記載の流体制御装置であって、
上記開口は、上記流体を上記空間へ吸入する吸入口と、上記空間から上記流体を吐出する吐出口とを含み、
上記吸入口及び上記吐出口の少なくとも一方は上記弾性体に設けられ、上記バルブモジュールは、上記弾性体に実装される
流体制御装置。
(19)
流体が移動可能な空間と、
上記空間を介して対向し、少なくとも一方が可撓性を有する弾性体を含む2枚の板状部材と、
上記弾性体を屈曲させ、上記空間の体積を変動させる駆動機構と、
上記空間内外を移動する上記流体が通過する、部材に設けられた開口と、
上記開口に配置され、流体によって弾性変形可能なフィルムからなり、上記開口を有する部材側に位置する第1の面と上記第1の面と反対側の第2の面とを有する可動体と、上記可動体よりも剛性が高く、上記第2の面のうち上記第2の面と垂直な方向からみて上記開口が位置しない領域の一部を覆い、上記部材に固定されるサポート材と、を有するバルブモジュールと
を備える流体制御装置
を具備する電子機器。
【符号の説明】
【0103】
1、31、53、60、61、80、81、90,100…流体制御装置
5…第3部材(板状部材)
7…第5部材(板状部材)
10…開口
11…吐出口
12…吸入口
13…バルブモジュール
15…サポート材
16…可動体
16a…第1の面
16b…第2の面
17、18…凹部
19…空間
21…重複領域
22…非重複領域
221…第1の非重複領域
222…第2の非重複領域
41、42…駆動機構(圧電素子)
51、71…振動部(弾性体)