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特許7524915制御装置、制御方法、及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240723BHJP
   B60W 50/02 20120101ALI20240723BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240723BHJP
   G05D 1/226 20240101ALI20240723BHJP
【FI】
G05D1/43
B60W50/02
B60W60/00
G05D1/226
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022020780
(22)【出願日】2022-02-14
(65)【公開番号】P2023117945
(43)【公開日】2023-08-24
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末廣 優樹
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 敏暢
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-012514(JP,A)
【文献】特開2020-154811(JP,A)
【文献】特開2019-083462(JP,A)
【文献】特開2004-295360(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0191387(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - G05D 1/87
B60W 50/02
B60W 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔オペレータによる遠隔操作の対象である移動体を制御する制御装置であって、
1又は複数のプロセッサを備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記移動体の前記遠隔操作の最中、前記遠隔オペレータ側の遠隔オペレータ端末と通信を行い、前記遠隔オペレータによる第1操作量を含む遠隔操作情報を受信する処理と、
前記遠隔操作情報の受信結果に基づいて、前記遠隔オペレータ端末から前記移動体への通信の遅延量を取得する処理と、
前記遅延量に基づいて前記第1操作量の遅延を補償することによって第1補正操作量を算出する遅延補償処理と、
サンプリングの無い期間における前記第1補正操作量を推定することによって前記第1補正操作量のサンプリング周波数を増加させるアップサンプリング処理と、
前記第1補正操作量に基づいて前記移動体を制御する処理と
を実行するように構成された
制御装置。
【請求項2】
請求項に記載の制御装置であって、
前記移動体を制御する制御周波数は、前記遠隔操作情報の通信周波数よりも高く、
前記1又は複数のプロセッサは、前記第1補正操作量の前記サンプリング周波数と前記制御周波数との間の差が前記通信周波数と前記制御周波数との間の差よりも小さくなるように、前記アップサンプリング処理を実行する
制御装置。
【請求項3】
請求項又はに記載の制御装置であって、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記アップサンプリング処理により得られる前記第1補正操作量の推定値及び前記遅延補償処理により得られる前記第1補正操作量をフィードバックすることにより、サンプリングの無い期間における前記第1補正操作量を推定し、
前記遅延量に基づいて前記遅延補償処理を行いながら、前記第1補正操作量の前記推定値を前記遠隔オペレータ端末から受信する前記第1操作量に基づいて補正することにより、前記第1補正操作量を算出する
制御装置。
【請求項4】
請求項に記載の制御装置であって、
前記1又は複数のプロセッサは、ディレイドカルマンフィルターを前記第1操作量に適用することによって、前記アップサンプリング処理及び前記遅延補償処理を実行する
制御装置。
【請求項5】
請求項乃至のいずれか一項に記載の制御装置であって、
前記アップサンプリング処理において、前記1又は複数のプロセッサは、前記移動体が移動する道路の形状及び前記移動体の制御量のうち少なくとも一方を含む補足情報に更に基づいて、前記第1補正操作量を推定する
制御装置。
【請求項6】
遠隔オペレータによる遠隔操作の対象である移動体を制御する制御装置であって、
1又は複数のプロセッサを備え、
前記1又は複数のプロセッサは、
前記移動体の前記遠隔操作の最中、前記遠隔オペレータ側の遠隔オペレータ端末と通信を行い、前記遠隔オペレータによる第1操作量を含む遠隔操作情報を受信する処理と、
前記遠隔操作情報の受信結果に基づいて、前記遠隔オペレータ端末から前記移動体への通信の遅延量を取得する処理と、
前記遅延量に基づいて前記第1操作量の遅延を補償することによって第1補正操作量を算出する遅延補償処理と、
前記第1補正操作量に基づいて前記移動体を制御する処理と
を実行するように構成され、
前記移動体は、自動運転機能を有し、
前記1又は複数のプロセッサは、更に、
前記遠隔オペレータ端末との前記通信の状態に基づいて、前記遠隔オペレータ端末との前記通信の異常が発生しているか否かを判定する通信異常判定処理と、
前記第1操作量に基づいて、前記遠隔オペレータ端末の異常が発生しているか否かを判定する端末異常判定処理と、
前記通信異常判定処理と前記端末異常判定処理の結果に応じて、前記第1補正操作量と前記自動運転機能により決定される第2操作量とのうち少なくとも一方から操作量を決定する操作量調停処理と、
前記決定された操作量に従って前記移動体を制御する処理と
を実行するように構成された
制御装置。
【請求項7】
遠隔オペレータによる遠隔操作の対象である移動体を制御する制御方法であって、
前記移動体の前記遠隔操作の最中、前記遠隔オペレータ側の遠隔オペレータ端末と通信を行い、前記遠隔オペレータによる第1操作量を含む遠隔操作情報を受信する処理と、
前記遠隔操作情報の受信結果に基づいて、前記遠隔オペレータ端末から前記移動体への通信の遅延量を取得する処理と、
前記遅延量に基づいて前記第1操作量の遅延を補償することによって第1補正操作量を算出する遅延補償処理と、
サンプリングの無い期間における前記第1補正操作量を推定することによって前記第1補正操作量のサンプリング周波数を増加させるアップサンプリング処理と、
前記第1補正操作量に基づいて前記移動体を制御する処理と
を含む
制御方法。
【請求項8】
遠隔オペレータによる遠隔操作の対象である移動体を制御する制御プログラムであって、
前記移動体の前記遠隔操作の最中、前記遠隔オペレータ側の遠隔オペレータ端末と通信を行い、前記遠隔オペレータによる第1操作量を含む遠隔操作情報を受信する処理と、
前記遠隔操作情報の受信結果に基づいて、前記遠隔オペレータ端末から前記移動体への通信の遅延量を取得する処理と、
前記遅延量に基づいて前記第1操作量の遅延を補償することによって第1補正操作量を算出する遅延補償処理と、
サンプリングの無い期間における前記第1補正操作量を推定することによって前記第1補正操作量のサンプリング周波数を増加させるアップサンプリング処理と、
前記第1補正操作量に基づいて前記移動体を制御する処理と
をコンピュータに実行させる
制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔オペレータによる遠隔操作の対象である移動体を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両の遠隔操作を行う運転制御システムを開示している。遠隔操作装置と車両側の運転制御装置とが無線通信を行う。運転制御装置は、遠隔操作装置との無線通信の遅延時間を算出する。遅延時間が閾値以上の場合、運転制御装置は、車両の運転制御を通常制御から安全制御に変更する。安全制御は、例えば、通常制御時よりも車速を低下させる。
【0003】
その他、車両の遠隔操作に関連する技術が、特許文献2及び特許文献3に開示されている。
【0004】
また、計測の分野において、カルマンフィルター(Kalman filter)が一般的に知られている。カルマンフィルターは、計測データからシステムの状態を推定する。但し、データ計測タイミングとカルマンフィルターの作動タイミングとの間にはズレが存在し、そのズレが大きくなると推定精度が低下する。
【0005】
非特許文献1及び非特許文献2は、遅延を含む計測データに対しても適用可能な「ディレイドカルマンフィルター(Delayed Kalman Filter)」を開示している。ディレイドカルマンフィルターは、OOSM (Out-of-Sequence Measurement)とも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-071585号公報
【文献】特開2004-295360号公報
【文献】特開2021-061516号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】Yaakov Bar-Shalom, "Update with Out-of-Sequence Measurements in Tracking: Exact Solution," IEEE Transactions on Aerospace and Electronic Systems, VOL. 38, No.3, pp.769-778, July 2002.
【文献】Keshu Zhang et al., "Optimal Update with Out-of-Sequence Measurements," IEEE Transactions on Signal Processing, Vol. 53, No.6, pp.1992-2004, June 2005.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
遠隔オペレータによる移動体(例:車両、ロボット)の遠隔操作について考える。遠隔操作システムは、遠隔操作の対象である移動体と、遠隔オペレータ側の遠隔オペレータ端末とを含む。遠隔操作の最中、移動体と遠隔オペレータ端末は互いに通信を行う。移動体は、遠隔オペレータによる操作量の情報を遠隔オペレータ端末から取得し、その操作量に従って制御を行う。
【0009】
遠隔オペレータ端末から移動体への通信には遅延が存在する。よって、遠隔オペレータによる操作量が実際に移動体制御に反映されるまで時間がかかる。その結果、遠隔オペレータによる移動体の遠隔操作がぎこちなくなる可能性がある。場合によっては、移動体が蛇行してしまう。このことは、移動体の遠隔操作の安全性の観点から好ましくない。
【0010】
本開示の1つの目的は、遠隔オペレータが移動体の遠隔操作をより滑らかに、より安全に行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の観点は、遠隔オペレータによる遠隔操作の対象である移動体を制御する制御装置に関連する。
制御装置は、1又は複数のプロセッサを備える。
1又は複数のプロセッサは、
移動体の遠隔操作の最中、遠隔オペレータ側の遠隔オペレータ端末と通信を行い、遠隔オペレータによる第1操作量を含む遠隔操作情報を受信する処理と、
遠隔操作情報の受信結果に基づいて、遠隔オペレータ端末から移動体への通信の遅延量を取得する処理と、
遅延量に基づいて第1操作量の遅延を補償することによって第1補正操作量を算出する遅延補償処理と、
第1補正操作量に基づいて移動体を制御する処理と
を実行するように構成される。
【0012】
第2の観点は、遠隔オペレータによる遠隔操作の対象である移動体を制御する制御方法に関連する。
制御方法は、
移動体の遠隔操作の最中、遠隔オペレータ側の遠隔オペレータ端末と通信を行い、遠隔オペレータによる第1操作量を含む遠隔操作情報を受信する処理と、
遠隔操作情報の受信結果に基づいて、遠隔オペレータ端末から移動体への通信の遅延量を取得する処理と、
遅延量に基づいて第1操作量の遅延を補償することによって第1補正操作量を算出する遅延補償処理と、
第1補正操作量に基づいて移動体を制御する処理と
を含む。
【0013】
第3の観点は、遠隔オペレータによる遠隔操作の対象である移動体を制御する制御プログラムに関連する。
制御プログラムは、
移動体の遠隔操作の最中、遠隔オペレータ側の遠隔オペレータ端末と通信を行い、遠隔オペレータによる第1操作量を含む遠隔操作情報を受信する処理と、
遠隔操作情報の受信結果に基づいて、遠隔オペレータ端末から移動体への通信の遅延量を取得する処理と、
遅延量に基づいて第1操作量の遅延を補償することによって第1補正操作量を算出する遅延補償処理と、
第1補正操作量に基づいて移動体を制御する処理と
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、移動体において、遠隔オペレータによる第1操作量の遅延を補償する遅延補償処理が行われる。移動体は、遅延補償処理により得られる第1補正操作量に基づいて制御される。これにより、遠隔オペレータは、移動体の遠隔操作をより滑らかに、より安全に行うことが可能となる。移動体の蛇行運転も抑制される。すなわち、本開示によれば、移動体の遠隔操作の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の実施の形態に係る遠隔操作システムの構成例を示す概略図である。
図2】本開示の実施の形態に係る車両の構成例を示すブロック図である。
図3】課題を説明するための概念図である。
図4】本開示の実施の形態に係る車両における遅延補償処理を説明するための概念図である。
図5】本開示の実施の形態に係る車両における遅延補償処理及びアップサンプリング処理を説明するための概念図である。
図6】本開示の実施の形態に係る車両における遅延補償処理に関連する機能構成例を示すブロック図である。
図7】本開示の実施の形態に係る遅延補償部の構成例を示すブロック図である。
図8】本開示の実施の形態に係る車両における異常判定処理及び操作量調停処理を説明するための概念図である。
図9】本開示の実施の形態に係る車両における異常判定処理及び操作量調停処理に関連する機能構成例を示すブロック図である。
図10】本開示の実施の形態に係る通信異常判定処理の例を示すフローチャートである。
図11】本開示の実施の形態に係る通信異常判定処理の例を示すフローチャートである。
図12】本開示の実施の形態に係る端末異常判定処理の例を示すフローチャートである。
図13】本開示の実施の形態に係る車両異常判定処理の例を示すフローチャートである。
図14】本開示の実施の形態に係る操作量調停処理の例を説明するための図である。
図15】本開示の実施の形態に係る車両における各種処理に関連する機能構成例を示すブロック図である。
図16】本開示の実施の形態に係る遠隔オペレータ端末の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0017】
1.遠隔操作システムの概要
移動体の遠隔操作(遠隔運転)について考える。遠隔操作の対象である移動体としては、車両、ロボット、飛翔体、等が例示される。車両は、自動運転車両であってもよいし、ドライバが運転する車両であってもよい。ロボットとしては、物流ロボット、作業ロボット、等が例示される。飛翔体としては、飛行機、ドローン、等が例示される。
【0018】
一例として、以下の説明においては、遠隔操作の対象である移動体が車両である場合について考える。一般化する場合には、以下の説明における「車両」を「移動体」で読み替えるものとする。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る遠隔操作システム1の構成例を示す概略図である。遠隔操作システム1は、車両100、遠隔オペレータ端末200、及び管理装置300を含んでいる。車両100は、遠隔操作の対象である。遠隔オペレータ端末200は、遠隔オペレータOが車両100を遠隔操作する際に使用する端末装置である。遠隔オペレータ端末200を遠隔操作HMI(Human Machine Interface)と言うこともできる。管理装置300は、遠隔操作システム1の管理を行う。遠隔操作システム1の管理は、例えば、遠隔操作が必要な車両100に対して遠隔オペレータOを割り当てることを含む。管理装置300は、通信ネットワークを介して車両100及び遠隔オペレータ端末200と通信可能である。典型的には、管理装置300は、クラウド上の管理サーバである。管理サーバは、分散処理を行う複数のサーバにより構成されていてもよい。
【0020】
車両100には、カメラを含む各種センサが搭載されている。カメラは、車両100の周囲の状況を撮像し、車両100の周囲の状況を示す画像情報を取得する。車両情報VCLは、各種センサにより得られる情報であり、カメラにより得られる画像情報を含む。車両100は、管理装置300を介して、車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に送信する。つまり、車両100は、車両情報VCLを管理装置300に送信し、管理装置300は、受け取った車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に転送する。
【0021】
遠隔オペレータ端末200は、車両100から送信された車両情報VCLを受け取る。遠隔オペレータ端末200は、車両情報VCLを遠隔オペレータOに提示する。具体的には、遠隔オペレータ端末200は、表示装置を備えており、画像情報等を表示装置に表示する。遠隔オペレータOは、表示された情報をみて、車両100の周囲の状況を認識し、車両100の遠隔操作を行う。遠隔操作情報OPEは、遠隔オペレータOによる遠隔操作に関する情報である。例えば、遠隔操作情報OPEは、遠隔オペレータOによる操作量を含む。遠隔オペレータ端末200は、管理装置300を介して、遠隔操作情報OPEを車両100に送信する。つまり、遠隔オペレータ端末200は、遠隔操作情報OPEを管理装置300に送信し、管理装置300は、受け取った遠隔操作情報OPEを車両100に転送する。
【0022】
車両100は、遠隔オペレータ端末200から送信された遠隔操作情報OPEを受け取る。車両100は、受け取った遠隔操作情報OPEに従って車両走行制御を行う。このようにして、車両100の遠隔操作が実現される。
【0023】
2.車両の例
2-1.構成例
図2は、車両100の構成例を示すブロック図である。車両100は、通信装置101、センサ群102、走行装置103、及び制御装置105を備えている。
【0024】
通信装置101は、車両100の外部と通信を行う。例えば、通信装置101は、遠隔オペレータ端末200や管理装置300と通信を行う。
【0025】
センサ群102は、認識センサ、車両状態センサ、位置センサ、等を含んでいる。認識センサは、車両100の周辺の状況を認識(検出)する。認識センサとしては、カメラ、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)、レーダ、等が例示される。車両状態センサは、車両100の状態を検出する。車両状態センサは、速度センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ、舵角センサ、等を含んでいる。位置センサは、車両100の位置及び方位を検出する。例えば、位置センサは、GNSS(Global Navigation Satellite System)を含んでいる。
【0026】
走行装置103は、操舵装置、駆動装置、及び制動装置を含んでいる。操舵装置は、車輪を転舵する。例えば、操舵装置は、パワーステアリング(EPS: Electric Power Steering)装置を含んでいる。駆動装置は、駆動力を発生させる動力源である。駆動装置としては、エンジン、電動機、インホイールモータ、等が例示される。制動装置は、制動力を発生させる。
【0027】
制御装置105は、車両100を制御するコンピュータである。制御装置105は、1又は複数のプロセッサ106(以下、単にプロセッサ106と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置107(以下、単に記憶装置107と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ106は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ106は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。記憶装置107は、プロセッサ106による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置107としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。制御装置105は、1又は複数のECU(Electronic Control Unit)を含んでいてもよい。
【0028】
車両制御プログラムPROG1は、プロセッサ106によって実行されるコンピュータプログラムである。プロセッサ106が車両制御プログラムPROG1を実行することにより、制御装置105の機能が実現される。車両制御プログラムPROG1は、記憶装置107に格納される。あるいは、車両制御プログラムPROG1は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。
【0029】
2-2.運転環境情報
制御装置105は、センサ群102を用いて、車両100の運転環境を示す運転環境情報ENVを取得する。運転環境情報ENVは、記憶装置107に格納される。
【0030】
運転環境情報ENVは、認識センサによる認識結果を示す周辺状況情報を含む。例えば、周辺状況情報は、カメラによって撮像される画像情報を含む。周辺状況情報は、車両100の周辺の物体に関する物体情報を含んでいてもよい。車両100の周辺の物体としては、歩行者、他車両(先行車両、駐車車両、等)、白線、信号、標識、路側構造物、等が例示される。物体情報は、車両100に対する物体の相対位置及び相対速度を示す。
【0031】
また、運転環境情報ENVは、車両状態センサによって検出される車両状態を示す車両状態情報を含む。
【0032】
更に、運転環境情報ENVは、車両100の位置及び方位を示す車両位置情報を含む。車両位置情報は、位置センサにより得られる。地図情報と周辺状況情報(物体情報)を用いた自己位置推定処理(Localization)により、高精度な車両位置情報が取得されてもよい。
【0033】
2-3.車両走行制御
制御装置105は、車両100の走行を制御する車両走行制御を実行する。車両走行制御は、操舵制御、駆動制御、及び制動制御を含む。制御装置105は、走行装置103(操舵装置、駆動装置、及び制動装置)を制御することによって車両走行制御を実行する。
【0034】
制御装置105は、運転環境情報ENVに基づいて自動運転制御を行ってもよい。より詳細には、制御装置105は、運転環境情報ENVに基づいて、車両100の走行プランを生成する。更に、制御装置105は、運転環境情報ENVに基づいて、車両100が走行プランに従って走行するために必要な目標トラジェクトリを生成する。目標トラジェクトリは、目標位置及び目標速度を含んでいる。そして、制御装置105は、車両100が目標トラジェクトリに追従するように車両走行制御を行う。
【0035】
2-4.遠隔操作に関連する処理
以下、車両100の遠隔操作が行われる場合について説明する。制御装置105は、通信装置101を介して、遠隔オペレータ端末200と通信を行う。
【0036】
制御装置105は、車両情報VCLを遠隔オペレータ端末200に送信する。車両情報VCLは、遠隔オペレータOによる遠隔操作に必要な情報であり、上述の運転環境情報ENVの少なくとも一部を含んでいる。例えば、車両情報VCLは、周辺状況情報(特に画像情報)を含んでいる。車両情報VCLは、更に、車両状態情報や車両位置情報を含んでいてもよい。
【0037】
また、制御装置105は、遠隔操作情報OPEを遠隔オペレータ端末200から受信する。遠隔操作情報OPEは、遠隔オペレータOによる遠隔操作に関する情報である。例えば、遠隔操作情報OPEは、遠隔オペレータOによる操作量を含む。制御装置105は、受信した遠隔操作情報OPEに従って車両走行制御を行う。
【0038】
以下、車両100の遠隔操作の安全性の向上について詳細に検討する。
【0039】
3.遅延補償処理とアップサンプリング処理
3-1.概要
まず、図3に示される比較例を参照して、本セクションにおいて検討する課題について説明する。横軸は時間を表し、縦軸は遠隔オペレータOによる操作量を表している。遠隔オペレータOによる操作量を、以下、「第1操作量X1」と呼ぶ。第1操作量X1は、遠隔オペレータ端末200から車両100に送信される遠隔操作情報OPEに含まれている。車両100の制御装置105は、受信した遠隔操作情報OPEに含まれる第1操作量X1に従って車両走行制御を行う。
【0040】
図3中の上段は、遠隔オペレータO側の第1操作量X1の時間変化を示している。上段中の丸印は、車両100に送信される第1操作量X1とその送信タイミングを示している。一方、下段は、車両100において制御に用いられる第1操作量X1の時間変化を示している。下段中の丸印は、車両100が受信する第1操作量X1とその受信タイミングを示している。
【0041】
一つ目の課題は、遠隔オペレータ端末200から車両100への通信の遅延である。その通信の遅延量DLは、一定ではなく、通信状態に応じて変動する。図3に示されるように、車両100側の第1操作量X1は、遅延量DLの分だけ、遠隔オペレータO側の第1操作量X1から遅延する。つまり、遠隔オペレータOによる第1操作量X1が実際に車両制御に反映されるまで、少なくとも遅延量DLの時間がかかる。その結果、遠隔オペレータOによる車両100の遠隔操作がぎこちなくなる可能性がある。場合によっては、車両100が蛇行してしまう。これらのことは、車両100の遠隔操作の安全性の観点から好ましくない。
【0042】
二つ目の課題は、通信周期と制御周期の違いである。一般的には、図3に示されるように、遠隔操作情報OPE(第1操作量X1)の通信周期は、車両100を制御するための制御周期よりも長い。言い換えれば、車両100を制御する制御周波数は、遠隔操作情報OPEの通信周波数よりも高い。そのため、車両100において制御に用いられる第1操作量X1は、遠隔オペレータOによる実際の第1操作量X1から乖離する。通信周期と制御周期との差が大きくなるほど、第1操作量X1の乖離は大きくなる。また、通信の遅延量DLが大きくなるほど、第1操作量X1の乖離は大きくなる。このような第1操作量X1の乖離によっても、遠隔オペレータOによる車両100の遠隔操作がぎこちなくなる可能性がある。場合によっては、車両100が蛇行してしまう。これらのことは、車両100の遠隔操作の安全性の観点から好ましくない。
【0043】
本実施の形態に係る車両100は、上記の課題の少なくとも一方を解決できるように構成される。
【0044】
図4は、本実施の形態に係る車両100における「遅延補償処理」を説明するための概念図である。車両100の制御装置105は、車両100側の第1操作量X1の遅延を補償するように構成される。より詳細には、制御装置105は、遠隔オペレータ端末200からの遠隔操作情報OPEの受信結果に基づいて、通信の遅延量DLの情報を取得する。そして、制御装置105は、その遅延量DLに基づいて、第1操作量X1の遅延を補償する。この処理が遅延補償処理である。制御装置105は、遅延補償処理後の第1操作量X1に基づいて車両100を制御する。このような遅延補償処理により、一つ目の課題が解決される。尚、遅延補償処理の具体例については後述される。
【0045】
図5は、本実施の形態に係る車両100における「アップサンプリング処理」を説明するための概念図である。車両100の制御装置105は、サンプリングの無い期間における第1操作量X1を推定(予測)することによって、第1操作量X1のサンプリング周波数(サンプリングレート)を増加させるように構成される。この処理が、アップサンプリング処理である。特に、制御装置105は、第1操作量X1のサンプリング周期(サンプリング周波数)と制御周期(制御周波数)との間の差が、通信周期(通信周波数)と制御周期(制御周波数)との間の差よりも小さくなるように、アップサンプリング処理を行う。例えば、制御装置105は、第1操作量X1のサンプリング周期(サンプリング周波数)と制御周期(制御周波数)が一致するように、アップサンプリング処理を行う。このようなアップサンプリング処理により、二つ目の課題が解決される。尚、アップサンプリング処理の具体例については後述される。
【0046】
本実施の形態に係る車両100の制御装置105は、遅延補償処理とアップサンプリング処理の少なくとも一方を実行するように構成される。制御装置105は、遅延補償処理とアップサンプリング処理の両方を実行するように構成されてもよい。これにより、遠隔オペレータOは、車両100の遠隔操作をより滑らかに、より安全に行うことが可能となる。車両100の蛇行運転も抑制される。すなわち、本実施の形態によれば、車両100の遠隔操作の安全性が向上する。
【0047】
3-2.機能構成例
図6は、車両100における遅延補償処理に関連する機能構成例を示すブロック図である。車両100は、機能ブロックとして、受信部110、遅延補償部120、及び制御部130を含んでいる。これら機能ブロックは、通信装置101及び制御装置105により実現される。
【0048】
受信部110は、車両100の遠隔操作の最中、遠隔オペレータ端末200から送信される遠隔操作情報OPEを受信する。遠隔操作情報OPEは、遠隔オペレータOによる第1操作量X1の情報を含んでいる。受信部110は、遠隔操作情報OPEの受信結果に基づいて、遠隔オペレータ端末200との通信状態を把握する。通信状態としては、データ受信の有無、遅延量DL、通信速度、電波受信強度、等が例示される。
【0049】
遅延補償部120は、遅延補償処理を行う。具体的には、遅延補償部120は、受信部110から、第1操作量X1と遅延量DLの情報を取得する。遅延量DLは、一定ではなく、通信状態に応じて変動する。遅延補償部120は、遅延量DLに基づいて第1操作量X1の遅延を補償する。遅延が補償された第1操作量X1を、以下、「第1補正操作量X1C」と呼ぶ。遅延補償部120は、遅延量DLに基づいて第1操作量X1の遅延を補償することによって第1補正操作量X1Cを算出すると言える。遅延補償部120は、アップサンプリング処理を行いつつ遅延補償処理を行ってもよい。遅延補償部120の具体例は、次のセクション3-3において説明する。
【0050】
制御部130は、遅延補償処理後の第1補正操作量X1Cを受け取る。制御部130は、その第1補正操作量X1Cに従って車両走行制御を行う。
【0051】
3-3.遅延補償部の例
図7は、遅延補償部120の構成例を示すブロック図である。図7に示される遅延補償部120は、アップサンプリング処理を行いつつ遅延補償処理を行うように構成されている。より詳細には、遅延補償部120は、補正部121、推定部122、及び出力部123を含んでいる。
【0052】
補正部121は、遠隔オペレータ端末200から受信する遠隔オペレータOによる第1操作量X1の情報を取得する。また、補正部121は、遅延量DLの情報を取得する。遅延量DLは、一定ではなく、通信状態に応じて変動する。補正部121は、第1操作量X1と遅延量DLに基づいて遅延補償処理を行い、第1補正操作量X1Cを算出する。出力部123は、第1補正操作量X1Cを出力する。
【0053】
推定部122は、出力部123から出力される第1補正操作量X1Cに基づいて、サンプリングの無い期間における第1補正操作量X1Cを推定(予測)する。つまり、推定部122は、アップサンプリング処理を行う。特に、推定部122は、第1補正操作量X1Cのサンプリング周波数と制御周波数との間の差が、通信周波数と制御周波数との間の差よりも小さくなるように、アップサンプリング処理を行う。
【0054】
例えば、推定部122は、車両100の運動を表す運動方程式を保持している。推定部122から出力される第1補正操作量X1Cの推定値は、出力部123を通して推定部122にフィードバックされる。推定部122は、運動方程式と第1補正操作量X1Cの推定値に基づいて、次のタイミングの第1補正操作量X1Cを推定(予測)する。但し、第1補正操作量X1Cの推定値は誤差を含む。その誤差は、補正部121によって補正される。
【0055】
具体的には、推定部122から出力される第1補正操作量X1Cの推定値は、補正部121にも入力される。その一方で、遠隔オペレータ端末200から受信する遠隔オペレータOによる第1操作量X1(実際値)も補正部121に入力される。上述の通り、通信周期は制御周期よりも長く、制御周波数は通信周波数よりも高いため、第1操作量X1(実際値)は、第1補正操作量X1Cの推定値よりも低い頻度で補正部121に入力される。補正部121は、遅延量DLに基づいて遅延補償処理を行いながら、第1補正操作量X1Cの推定値を第1操作量X1(実際値)に基づいて補正することにより、第1補正操作量X1Cを算出する。補正部121により算出された第1補正操作量X1Cは、出力部123を通して推定部122にフィードバックされる。推定部122は、出力部123から出力される第1補正操作量X1Cに基づいて、アップサンプリング処理を行う。
【0056】
このように、図7に示される遅延補償部120は、アップサンプリング処理を行いつつ遅延補償処理を行う。遅延補償部120は、アップサンプリング処理により得られる第1補正操作量X1Cの推定値及び遅延補償処理により得られる第1補正操作量X1Cをフィードバックすることにより、サンプリングの無い期間における第1補正操作量X1Cを推定する。また、遅延補償部120は、遅延量DLに基づいて遅延補償処理を行いながら、第1補正操作量X1Cの推定値を第1操作量X1(実際値)に基づいて補正することにより、第1補正操作量X1Cを算出する。
【0057】
アップサンプリング処理と遅延補償処理を行う遅延補償部120は、例えば、ディレイドカルマンフィルター(Delayed Kalman Filter)を利用することにより実現可能である。ディレイドカルマンフィルターは、OOSM (Out-of-Sequence Measurement)とも呼ばれる。ディレイドカルマンフィルターの詳細については、非特許文献1、非特許文献2を参照されたい。ディレイドカルマンフィルターは、遅延量DLが変動する第1操作量X1に対しても適用可能である。遅延補償部120は、遅延量DLが変動する第1操作量X1にディレイドカルマンフィルターを適用することによって、アップサンプリング処理及び遅延補償処理を実行する。
【0058】
推定部122による第1補正操作量X1Cの推定精度を向上させるために、補足情報SUPが用いられてもよい。例えば、補足情報SUPは、車両100が移動する道路の形状を含む。例えば、車両100がカーブ路を走行する場合、そのようなカーブ路の形状の情報が、将来の操作量の推定に利用される。道路形状は、例えば周辺状況情報から得られる。あるいは、道路形状は、車両位置情報と地図情報から取得されてもよい。補足情報SUPは、車両100の走行装置103(アクチュエータ)の制御量である車両走行制御量を含んでいてもよい。車両走行制御量も、推定部122による推定処理に有用である。このような補足情報SUPは、制御部130から遅延補償部120に提供される。推定部122は、補足情報SUPも考量して第1補正操作量X1Cを推定(予測)する。これにより、第1補正操作量X1Cの推定精度が更に向上する。
【0059】
3-4.効果
以上に説明されたように、本実施の形態に係る車両100の制御装置105は、遅延補償処理とアップサンプリング処理の少なくとも一方を実行するように構成される。制御装置105は、遅延補償処理とアップサンプリング処理の両方を実行するように構成されてもよい。これにより、遠隔オペレータOは、車両100の遠隔操作をより滑らかに、より安全に行うことが可能となる。車両100の蛇行運転も抑制される。すなわち、本実施の形態によれば、車両100の遠隔操作の安全性が向上する。
【0060】
4.異常判定処理と操作量調停処理
4-1.概要
次に、遠隔操作システム1において発生し得る「異常」について考える。異常は、故障、機能不全、不調、不具合を含む概念である。遠隔操作システム1における異常としては、車両100と遠隔オペレータ端末200との間の通信の異常である「通信異常」、車両100の異常である「車両異常」、及び遠隔オペレータ端末200の異常である「端末異常」が挙げられる。
【0061】
図8は、遠隔操作システム1における異常に関連する処理を説明するための概念図である。本実施の形態に係る車両100の制御装置105は、遠隔操作システム1において異常が発生しているか否かを判定する「異常判定処理」を行う。特に、制御装置105は、通信異常、車両異常、及び端末異常を互いに区別して判定する。つまり、制御装置105は、通信異常、車両異常、及び端末異常の少なくとも一つが発生しているか否かを判定する。
【0062】
車両100の遠隔操作の最中に異常が発生した場合、安全確保のために車両100を適切に制御することが望ましい。このとき、遠隔オペレータOによる第1操作量X1に従って車両100を制御することは必ずしも適切ではない。例えば、端末異常が発生した場合、遠隔オペレータ端末200から送られてくる第1操作量X1も異常である可能性があるからである。場合によっては、車両100が備える自動運転機能(自律走行機能)に運転を委ねた方が安全である可能性もある。
【0063】
そこで、本実施の形態に係る車両100の制御装置105は、異常の状況に応じて最終的な操作量Xを適切に決定する「操作量調停処理」を実行する。第1操作量X1は、遠隔オペレータOによる操作量であり、遠隔操作情報OPEに含まれている。一方、第2操作量X2は、車両100が備える自動運転機能により決定(要求)される操作量である。操作量調停処理において、制御装置105は、異常判定処理の結果(すなわち、異常の状況)に応じて、第1操作量X1と第2操作量X2のうち少なくとも一方から“最終的な操作量X”を決定する。そして、制御装置105は、決定された操作量Xに従って車両100を制御する。
【0064】
例えば、端末異常が発生した場合、第1操作量X1の代わりに第2操作量X2に従って車両100を制御することによって安全性が向上する。他の例として、通信異常が発生した場合も、第1操作量X1の代わりに第2操作量X2に従って車両100を制御することによって安全性が向上する。
【0065】
このように、本実施の形態によれば、車両100の制御装置105は、異常判定処理と操作量調停処理を実行するように構成される。操作量調停処理において、制御装置105は、異常判定処理の結果に応じて、第1操作量X1と第2操作量X2のうち少なくとも一方から“最終的な操作量X”を決定する。そして、決定された操作量Xに従って車両100が制御される。このようにして、遠隔操作システム1において異常が発生した場合、異常の状況を考慮して車両100を適切に制御することが可能となる。
【0066】
4-2.機能構成例
図9は、車両100における異常判定処理及び操作量調停処理に関連する機能構成例を示すブロック図である。車両100は、機能ブロックとして、受信部110、制御部130、通信異常判定部160、端末異常判定部170、及び車両異常判定部180を含んでいる。これら機能ブロックは、通信装置101及び制御装置105により実現される。
【0067】
受信部110は、車両100の遠隔操作の最中、遠隔オペレータ端末200から送信される遠隔操作情報OPEを受信する。遠隔操作情報OPEは、遠隔オペレータOによる第1操作量X1の情報を含んでいる。受信部110は、遠隔操作情報OPEの受信結果に基づいて、遠隔オペレータ端末200との通信状態を把握する。通信状態としては、データ受信の有無、遅延量DL、通信速度、電波受信強度、等が例示される。
【0068】
制御部130は、受信部110を通して第1操作量X1の情報を受け取る。また、制御部130は、自動運転制御部140と操作量調停部150を含んでいる。自動運転制御部140は、運転環境情報ENVに基づいて、上述の自動運転制御を行う。この自動運転制御により要求される操作量が、第2操作量X2である。操作量調停部150は、操作量調停処理を実行する。つまり、操作量調停部150は、第1操作量X1と第2操作量X2のうち少なくとも一方から“最終的な操作量X”を決定する。
【0069】
通信異常判定部160は、「通信異常判定処理」を行う。より詳細には、通信異常判定部160は、受信部110から通信状態に関する情報を取得する。そして、通信異常判定部160は、通信状態に基づいて、遠隔オペレータ端末200から車両100への通信の異常が発生しているか否かを判定する。通信異常判定処理の具体例については後述される(セクション4-3参照)。通信異常フラグFL-Cは、通信異常判定処理の結果を示す情報である。通信異常判定部160は、通信異常フラグFL-Cを操作量調停部150に出力する。
【0070】
端末異常判定部170は、「端末異常判定処理」を行う。より詳細には、端末異常判定部170は、遠隔操作情報OPEに含まれる第1操作量X1に基づいて、遠隔オペレータ端末200に異常が発生しているか否かを判定する。端末異常判定処理の具体例について後述される(セクション4-4参照)。端末異常フラグFL-Tは、端末異常判定処理の結果を示す情報である。端末異常判定部170は、端末異常フラグFL-Tを操作量調停部150に出力する。
【0071】
車両異常判定部180は、「車両異常判定処理」を行う。より詳細には、車両異常判定部180は、制御部130によって算出される車両走行制御量の情報を受け取る。そして、車両異常判定部180は、車両走行制御量に基づいて、車両走行制御に異常が発生しているか否かを判定する。車両異常判定処理の具体例について後述される(セクション4-5参照)。車両異常フラグFL-Vは、車両異常判定処理の結果を示す情報である。車両異常判定部180は、車両異常フラグFL-Vを操作量調停部150に出力する。
【0072】
操作量調停部150は、各種の異常フラグFL-C、FL-T、FL-Vに基づいて操作量調停処理を実行する。つまり、操作量調停部150は、各種の異常判定処理の結果に応じて操作量調停処理を実行する。操作量調停処理の具体例については後述される(セクション4-6参照)。
【0073】
制御部130は、操作量調停部150から出力される最終的な操作量Xに従って、車両100を制御する。
【0074】
4-3.通信異常判定処理の例
図10は、通信異常判定部160による通信異常判定処理の例を示すフローチャートである。
【0075】
ステップS110において、通信異常判定部160は、受信部110がデータを受信しているか否かを判定する。受信部110がデータを受信している場合(ステップS110;Yes)、処理はステップS120に進む。それ以外の場合(ステップS110;No)、処理はステップS130に進む。
【0076】
ステップS120において、通信異常判定部160は、受信状態が良好か否かを判定する。受信状態は、通信速度、電波受信強度、等のパラメータにより表される。当該パラメータが所定の閾値以上である場合(ステップS120;Yes)、受信状態は良好であると判定され、処理はステップS160に進む。それ以外の場合(ステップS120;No)、処理はステップS130に進む。
【0077】
ステップS130において、通信異常判定部160は、データを受信していない状態、あるいは、受信状態が良好ではない状態が、Ta秒継続したか否かを判定する。そのような不良状態がTa秒継続した場合(ステップS130;Yes)、処理はステップS140に進む。一方、そのような不良状態がまだTa秒継続していない場合(ステップS130;No)、処理はステップS150に進む。
【0078】
ステップS140において、通信異常判定部160は、通信異常が発生していると判定(断定)する。
【0079】
ステップS150において、通信異常判定部160は、判断を確定することなく、現在の状態を「通信異常判定中」とする。その後、処理はステップS110に戻る。
【0080】
図11は、ステップS160の例を示すフローチャートである。ステップS160では、通信の遅延量DLが考慮される。
【0081】
ステップS161において、通信異常判定部160は、受信部110から通信の遅延量DLの情報を取得する。
【0082】
ステップS162において、通信異常判定部160は、遅延量DLが第1閾値DL_th1を超えているか否かを判定する。第1閾値DL_th1は、通信異常が発生していると断定してもよいような遅延量DLである。例えば、第1閾値DL_th1は、通常は起こり得ないような遅延量DLである。遅延量DLが第1閾値DL_th1を超える場合(ステップS162;Yes)、処理はステップS163に進む。一方、遅延量DLが第1閾値DL_th1以下である場合(ステップS162;No)、処理はステップS164に進む。
【0083】
ステップS163において、通信異常判定部160は、通信異常が発生していると判定(断定)する。
【0084】
ステップS164において、通信異常判定部160は、遅延量DLが第2閾値DL_th2を超えているか否かを判定する。第2閾値DL_th2は、上記の第1閾値DL_th1よりも小さい。例えば、第2閾値DL_th2は、遅延量DLの許容範囲の上限値である。遅延量DLが第2閾値DL_th2を超える場合(ステップS164;Yes)、処理はステップS165に進む。一方、遅延量DLが第2閾値DL_th2以下である場合(ステップS164;No)、処理はステップS167に進む。
【0085】
ステップS165において、通信異常判定部160は、遅延量DLが第2閾値DL_th2を超えている状態がTb秒継続したか否かを判定する。そのような状態がTb秒継続した場合(ステップS165;Yes)、処理はステップS163に進む。一方、そのような状態がまだTb秒継続していない場合(ステップS165;No)、処理はステップS166に進む。
【0086】
ステップS166において、通信異常判定部160は、判断を確定することなく、現在の状態を「通信異常判定中」とする。その後、処理はステップS110に戻る。
【0087】
ステップS167において、通信異常判定部160は、通信異常は発生しておらず、通信は正常であると判定する。その後、処理はステップS110に戻る。
【0088】
4-4.端末異常判定処理の例
図12は、端末異常判定部170による端末異常判定処理の例を示すフローチャートである。
【0089】
ステップS171において、端末異常判定部170は、遠隔操作情報OPEを受け取る。そして、端末異常判定部170は、遠隔オペレータOによる第1操作量X1の前回値からの変化分である「操作量変化DX」を取得する。
【0090】
ステップS172において、端末異常判定部170は、操作量変化DXが第1閾値DX_th1を超えているか否かを判定する。第1閾値DX_th1は、端末異常が発生していると断定してもよいような操作量変化DXである。例えば、第1閾値DX_th1は、通常は起こり得ないような操作量変化DXである。操作量変化DXが第1閾値DX_th1を超える場合(ステップS172;Yes)、処理はステップS173に進む。一方、操作量変化DXが第1閾値DX_th1以下である場合(ステップS172;No)、処理はステップS174に進む。
【0091】
ステップS173において、端末異常判定部170は、端末異常が発生していると判定(断定)する。
【0092】
ステップS174において、端末異常判定部170は、操作量変化DXが第2閾値DX_th2を超えているか否かを判定する。第2閾値DX_th2は、上記の第1閾値DX_th1よりも小さい。例えば、第2閾値DX_th2は、操作量変化DXの許容範囲の上限値である。操作量変化DXが第2閾値DX_th2を超える場合(ステップS174;Yes)、処理はステップS175に進む。一方、操作量変化DXが第2閾値DX_th2以下である場合(ステップS174;No)、処理はステップS177に進む。
【0093】
ステップS175において、端末異常判定部170は、操作量変化DXが第2閾値DX_th2を超えている状態がTc秒継続したか否かを判定する。そのような状態がTc秒継続した場合(ステップS175;Yes)、処理はステップS173に進む。一方、そのような状態がまだTc秒継続していない場合(ステップS175;No)、処理はステップS176に進む。
【0094】
ステップS176において、端末異常判定部170は、判断を確定することなく、現在の状態を「端末異常判定中」とする。その後、処理はステップS171に戻る。
【0095】
ステップS177において、端末異常判定部170は、端末異常は発生しておらず、遠隔オペレータ端末200は正常であると判定する。その後、処理はステップS171に戻る。
【0096】
4-5.車両異常判定処理の例
図13は、車両異常判定部180による車両異常判定処理の例を示すフローチャートである。
【0097】
ステップS181において、車両異常判定部180は、制御部130によって算出される車両走行制御量の情報を受け取る。そして、車両異常判定部180は、車両走行制御量の前回値からの変化分である「制御量変化DC」を取得する。
【0098】
ステップS182において、車両異常判定部180は、制御量変化DCが第1閾値DC_th1を超えているか否かを判定する。第1閾値DC_th1は、車両異常が発生していると断定してもよいような制御量変化DCである。例えば、第1閾値DC_th1は、通常は起こり得ないような制御量変化DCである。制御量変化DCが第1閾値DC_th1を超える場合(ステップS182;Yes)、処理はステップS183に進む。一方、制御量変化DCが第1閾値DC_th1以下である場合(ステップS182;No)、処理はステップS184に進む。
【0099】
ステップS183において、車両異常判定部180は、車両異常が発生していると判定(断定)する。
【0100】
ステップS184において、車両異常判定部180は、制御量変化DCが第2閾値DC_th2を超えているか否かを判定する。第2閾値DC_th2は、上記の第1閾値DC_th1よりも小さい。例えば、第2閾値DC_th2は、制御量変化DCの許容範囲の上限値である。制御量変化DCが第2閾値DC_th2を超える場合(ステップS184;Yes)、処理はステップS185に進む。一方、制御量変化DCが第2閾値DC_th2以下である場合(ステップS184;No)、処理はステップS187に進む。
【0101】
ステップS185において、車両異常判定部180は、制御量変化DCが第2閾値DC_th2を超えている状態がTd秒継続したか否かを判定する。そのような状態がTd秒継続した場合(ステップS185;Yes)、処理はステップS183に進む。一方、そのような状態がまだTd秒継続していない場合(ステップS185;No)、処理はステップS186に進む。
【0102】
ステップS186において、車両異常判定部180は、判断を確定することなく、現在の状態を「車両異常判定中」とする。その後、処理はステップS181に戻る。
【0103】
ステップS187において、車両異常判定部180は、車両異常は発生しておらず、車両100は正常であると判定する。その後、処理はステップS181に戻る。
【0104】
4-6.操作量調停処理の例
図14は、操作量調停部150による操作量調停処理の例を説明するための図である。図14において、丸印は「正常(異常が発生していない)」を意味し、バツ印は「異常確定(異常が発生している)」を意味し、三角印は「判定中」を意味する。上記の図10図13で例示されたように、判定中の期間は、仮異常条件(例:図12中のステップS174、「DX>DX_th2」)が成立した後、その仮異常条件が成立した状態が継続する期間である。言い換えれば、判定中の期間は、異常が発生している可能性が検知された後、異常が発生しているか否かが確定するまでの期間である。
【0105】
第1操作量X1は、遠隔オペレータOによる操作量である。第2操作量X2は、通常時に車両100の自動運転機能により決定される操作量である。第3操作量X3は、第1操作量X1と第2操作量X2の組み合わせであり、「X3=a・X1+(1-a)X2」により表される。ここで、係数は、0より大きく1より小さい実数である。第4操作量X4は、車両100の自動運転機能により決定される第2操作量X2の一種であるが、特に緊急時に用いられる操作量である。例えば、第4操作量X4は、車両100を安全に停止あるいは退避させるための操作量である。
【0106】
操作量調停部150は、各種の異常判定処理の結果に応じて、第1操作量X1、第2操作量X2、第3操作量X3、及び第4操作量X4のうちいずれか1つを、最終的な操作量Xとして決定する。
【0107】
まず、簡単のため、通信状況と端末状況の組み合わせについて考える。通信異常も端末異常も発生していない場合、第1操作量X1が選択される(No.1,2参照)。端末異常が発生していると判定された場合、第1操作量X1の代わりに第2操作量X2が選択される(No.7,8,16,17,25,26参照)。これにより安全性が向上する。通信異常が発生していると判定された場合、第1操作量X1の代わりに第2操作量X2が選択される(No.19,20,22,23,25,26参照)。これにより安全性が向上する。
【0108】
「第1判定中期間」は、端末異常の判定中期間である。その第1判定中期間、通信異常が発生していないと判定されている場合、第3操作量X3が選択される(No.4,5参照)。第2操作量X2が操作量Xに部分的に寄与するため、実際に端末異常が発生していた場合の安全性が向上する。また、完全に第2操作量X2に切り替えるわけではなく、第1操作量X1の影響も残るため、実際には端末異常が発生していなかった場合の遠隔オペレータOの違和感が抑制される。
【0109】
「第2判定中期間」は、通信異常の判定中期間である。その第2判定中期間、端末異常が発生していないと判定されている場合、第1操作量X1が選択される(No.10,11参照)。通信異常の判定中においても第1操作量X1を使い続けることによって、遠隔オペレータOによる遠隔操作の継続性が向上する。
【0110】
第1判定中期間と第2判定中期間が重複する期間、第3操作量X3が選択される(No.13,14参照)。第2操作量X2が操作量Xに部分的に寄与するため、実際に端末異常が発生していた場合の安全性が向上する。また、完全に第2操作量X2に切り替えるわけではなく、第1操作量X1の影響も残るため、実際には端末異常が発生していなかった場合の遠隔オペレータOの違和感が抑制される。
【0111】
次に、通信状況と端末状況と車両状況の組み合わせについて考える。車両異常が発生していない場合、及び、車両異常の判定中は、上述の場合と同様である。一方、車両異常が発生していると判定された場合、基本的には、緊急時の第2操作量X2である第4操作量X4が選択される(No.3,6,12,15,18,21,24,27参照)。これにより、車両100を安全に停止させることが可能となる。但し、車両異常が発生していても、車両100に搭載されているカメラが正常である場合、第1操作量X1あるいは第3操作量X3が選択されてもよい(No.3,6,12,15参照)。
【0112】
4-7.効果
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、車両100の制御装置105は、異常判定処理と操作量調停処理を実行するように構成される。操作量調停処理において、制御装置105は、異常判定処理の結果に応じて、第1操作量X1、第2操作量X2、第3操作量X3、及び第4操作量X4の中から“最終的な操作量X”を決定する。そして、決定された操作量Xに従って車両100が制御される。このようにして、遠隔操作システム1において異常が発生した場合、異常の状況を考慮して車両100を適切に制御することが可能となる。
【0113】
5.組み合わせの構成例
上記のセクション3で説明された遅延補償処理と上記のセクション4で説明された異常判定処理及び操作量調停処理の組み合わせも可能である。図15は、その組み合わせの場合の機能構成例を示している。車両100は、受信部110、遅延補償部120、制御部130、通信異常判定部160、端末異常判定部170、及び車両異常判定部180を含んでいる。
【0114】
遅延補償部120は、第1操作量X1と遅延量DLに基づいて、第1補正操作量X1Cを算出する。操作量調停部150は、第1操作量X1の代わりに第1補正操作量X1Cを受け取る。そして、操作量調停部150は、第1補正操作量X1Cと第2操作量X2に基づいて操作量調停処理を行い、最終的な操作量Xを決定する。
【0115】
これにより、セクション3による効果とセクション4による効果の両方が得られる。すなわち、車両100の遠隔操作の安全性が更に向上する。
【0116】
6.遠隔オペレータ端末の例
図16は、遠隔オペレータ端末200の構成例を示すブロック図である。遠隔オペレータ端末200は、通信装置210、表示装置220、入力装置230、及び制御装置250を含んでいる。
【0117】
通信装置210は、車両100及び管理装置300と通信を行う。
【0118】
表示装置220は、各種情報を表示することにより、各種情報を遠隔オペレータOに提示する。
【0119】
入力装置230は、遠隔オペレータOからの入力を受け付ける。例えば、入力装置230は、遠隔オペレータOが車両100を遠隔操作する際に操作する遠隔操作部材を含む。遠隔操作部材は、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、方向指示器、等を含んでいる。
【0120】
制御装置250は、遠隔オペレータ端末200を制御する。制御装置250は、1又は複数のプロセッサ260(以下、単にプロセッサ260と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置270(以下、単に記憶装置270と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ260は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ260は、CPUを含んでいる。記憶装置270は、プロセッサ260による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置270としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD、SSD、等が例示される。
【0121】
遠隔操作プログラムPROG2は、プロセッサ260によって実行されるコンピュータプログラムである。プロセッサ260が遠隔操作プログラムPROG2を実行することにより、制御装置250の機能が実現される。遠隔操作プログラムPROG2は、記憶装置270に格納される。あるいは、遠隔操作プログラムPROG2は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。遠隔操作プログラムPROG2は、ネットワーク経由で提供されてもよい。
【0122】
制御装置250は、通信装置210を介して、車両100と通信を行う。制御装置250は、車両100から送信される車両情報VCLを受信する。制御装置250は、画像情報を含む車両情報VCLを表示装置220に表示することによって、車両情報VCLを遠隔オペレータOに提示する。遠隔オペレータOは、表示装置220に表示される車両情報VCLに基づいて、車両100の状態や周囲の状況を認識することができる。
【0123】
遠隔オペレータOは、入力装置230の遠隔操作部材を操作する。遠隔操作部材の操作量は、遠隔操作部材に設置されたセンサにより検出される。制御装置250は、遠隔オペレータOによる遠隔操作部材の操作量を反映した遠隔操作情報OPEを生成する。そして、制御装置250は、その遠隔操作情報OPEを通信装置210を介して車両100に送信する。
【符号の説明】
【0124】
1 遠隔操作システム
100 車両
101 通信装置
102 センサ群
103 走行装置
105 制御装置
106 プロセッサ
107 記憶装置
110 受信部
120 遅延補償部
130 制御部
140 自動運転制御部
150 操作量調停部
160 通信異常判定部
170 端末異常判定部
180 車両異常判定部
200 遠隔オペレータ端末
300 管理装置
DL 遅延量
FL-C 通信異常フラグ
FL-V 車両異常フラグ
FL-T 端末異常フラグ
OPE 遠隔操作情報
VCL 車両情報
X 操作量
X1 第1操作量
X1C 第1補正操作量
X2 第2操作量
図1
図2
図3
図4
図5
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図16