(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】振動発生装置、振動低減装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H02K 33/16 20060101AFI20240723BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H02K33/16 B
F16F15/02 A
(21)【出願番号】P 2022029123
(22)【出願日】2022-02-28
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】若林 慎一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 竜矢
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-006344(JP,A)
【文献】特開2019-180168(JP,A)
【文献】特開2014-066292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/00- 3/04
H02N 2/00- 2/18
F16F 15/02
H02K 33/16
G03B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を対象物に伝えるベースと、
回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、
磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動さ
せる駆動部と、を備え、
前記磁石及び前記コイルのうちの一方の部材は、前記回転軸から離れた前記振り子の位
置に設けられ、
前記ベースは、前記回転軸を中心に前記振り子を揺動可能に支持する支持部を有し、
前記支持部において前記振り子と対向する対向面の延長面の一部は、前記振り子の揺動
可能範囲に含まれ、
前記支持部は、前記回転軸に沿って見て、前記振り子の揺動可能範囲の外側に設けられ
、
前記振り子は、前記回転軸を中心に揺動可能に前記支持部に支持されるアームを有し、
前記回転軸からの前記アームの延出方向から見て、前記支持部は、前記アームの揺動可
能範囲において前記アームと重なる部分を有する、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動発生装置において、
前記回転軸からの前記振り子の延出方向から見て、前記支持部は、前記振り子の揺動可
能範囲において前記一方の部材と重なる部分を有する、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の振動発生装置において、
前記振り子は、
前記アームに設けられる錘部と、を有し、
前記回転軸からの前記アームの延出方向から見て、前記支持部は、前記アームの揺動可
能範囲において前記錘部と重なる部分を有する、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項4】
振動を対象物に伝えるベースと、
回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、
磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動さ
せる駆動部と、を備え、
前記磁石及び前記コイルのうちの一方の部材は、前記回転軸から離れた前記振り子の位
置に設けられ、
前記ベースの一方の面に取り付けられた、前記回転軸を中心に前記振り子を揺動可能に
支持する取付部を有し、
前記取付部を取り付ける前記ベースの前記一方の面の延長面の一部は、前記振り子の揺
動可能範囲に含まれ、
前記ベースの前記一方の面の前記取付部を取り付ける領域は、前記回転軸に沿って見て
、前記振り子の揺動可能範囲の外側に設けられ、
前記振り子は、前記回転軸を中心に揺動可能に前記取付部に支持されるアームを有し、
前記回転軸からの前記アームの延出方向から見て、前記取付部を取り付ける前記ベース
の前記一方の面は、前記アームの揺動可能範囲において前記アームと重なる部分を有する
、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項5】
振動を対象物に伝えるベースと、
回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、
磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動さ
せる駆動部と、を備え、
前記磁石及び前記コイルのうちの一方の部材は、前記回転軸から離れた前記振り子の位
置に設けられ、
前記ベースは、
前記回転軸を中心に前記振り子を揺動可能に支持する支持部と、
前記振り子における前記回転軸とは反対側の自由端側に、前記振り子の揺動時に前記
自由端との接触を回避する回避部と、を有し、
前記支持部は、前記振り子と対向する対向面を有し、
前記回避部は、前記対向面に垂直な方向に前記ベースを貫通する開口部である、ことを
特徴とする振動発生装置。
【請求項6】
振動を対象物に伝えるベースと、
回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、
前記ベースの一方の面に取り付けられた、前記回転軸を中心に前記振り子を揺動可能に
支持する取付部と、
磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動さ
せる駆動部と、を備え、
前記磁石及び前記コイルのうちの一方の部材は、前記回転軸から離れた前記振り子の位
置に設けられ、
前記ベースは、
前記振り子における前記回転軸とは反対側の自由端側に、前記振り子の揺動時に前記
自由端との接触を回避する回避部を有し、
前記回避部は、前記取付部を取り付ける前記ベースの一方の面に垂直な方向に前記ベー
スを貫通する開口部である、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の振動発生装置において、
前記一方の部材は、前記振り子の揺動時に前記回避部内に配置される、ことを特徴とす
る振動発生装置。
【請求項8】
請求項
5に記載の振動発生装置において、
前記振り子は、
前記回転軸を中心に前記支持部に揺動可能に支持されるアームと、
前記アームに設けられた錘部と、を有し、
前記錘部は、前記アームの揺動時に前記回避部内に配置される、ことを特徴とする振動
発生装置。
【請求項9】
請求項
5に記載の振動発生装置において、
前記振り子は、前記回転軸を中心に前記支持部に揺動可能に支持されるアームを有し、
前記アームは、揺動時に前記回避部内に配置される、ことを特徴とする振動発生装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の振動発生装置と、
前記対象物の振動を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された振動と逆位相の振動を、前記振動発生装置に発生させる
動作制御部と、を備える、ことを特徴とする振動低減装置。
【請求項11】
請求項10に記載の振動低減装置を備える、ことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項11に記載の電子機器において、
画像を投射する投射光学装置を備え、
前記振動低減装置は、前記投射光学装置に取り付けられている、ことを特徴とする電子
機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動発生装置、振動低減装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の振動機能を実現する振動アクチュエーターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の振動アクチュエーターは、固定体と、固定体に設けられた軸部を支点として揺動するように、固定体に支持された可動体と、を備える。可動体は、固定体に対してマグネットの吸引力による磁気バネによって可動可能に支持される。可動体は、磁性体であるコアと、コアに巻回されるコイルと、を備え、コイルに異なる周波数の電流が通電されて、コアの貫通孔を挿通する軸部を中心に可動する。コアの一端部には、コイルに電力を供給するフレキシブル基板が設けられている。
【0003】
固定体は、ベースプレート及びケースが組み合わされて構成される。固定体は、マグネット及び緩衝部を備える。マグネットは、可動体のコイルとの協働によって、可動体を可動する。緩衝部には、振動する可動体の自由端が接触する。これにより、可動体の振動を振動アクチュエーターの筐体に伝達でき、緩衝部は、大きな振動を発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の振動アクチュエーターでは、可動体の揺動時に可動体の自由端が緩衝部に接触する構成であるため、騒音が生じやすい他、可動体の揺動ストロークを大きくしづらいことから、大きな振動を発生しにくいという問題がある。
このため、騒音の発生を抑制しつつ、大きな振動を発生可能な構成が要望されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様に係る振動発生装置は、振動を対象物に伝えるベースと、回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動させる駆動部と、を備え、前記磁石及び前記コイルのうちの一方の部材は、前記回転軸から離れた前記振り子の位置に設けられ、前記ベースは、前記回転軸を中心に前記振り子を揺動可能に支持する支持部を有し、前記支持部において前記振り子と対向する対向面の延長面の一部は、前記振り子の揺動可能範囲に含まれ、前記支持部は、前記回転軸に沿って見て、前記振り子の揺動可能範囲の外側に設けられている。
【0007】
本開示の第2態様に係る振動発生装置は、振動を対象物に伝えるベースと、回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動させる駆動部と、を備え、前記磁石及び前記コイルのうちの一方の部材は、前記回転軸から離れた前記振り子の位置に設けられ、前記ベースは、前記回転軸を中心に前記振り子を揺動可能に支持する支持部と、前記振り子における前記回転軸とは反対側の自由端側に、前記振り子の揺動時に前記自由端との接触を回避する回避部と、を有する。
【0008】
本開示の第3態様に係る振動発生装置は、振動を対象物に伝えるベースと、回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動させる駆動部と、を備え、前記ベースは、前記振り子を支持する支持部を有し、前記磁石及び前記コイルのうち一方の部材は、前記振り子において前記回転軸からの前記振り子の延出方向の先端部に設けられ、前記先端部は、前記支持部に対向する位置から見て、前記支持部の外側に位置し、前記支持部の端部と、前記磁石及び前記コイルのうち他方の部材とは、互いに離間している。
【0009】
本開示の第4態様に係る振動発生装置は、振動を対象物に伝えるベースと、回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動させる駆動部と、を備え、前記磁石及び前記コイルのうちの一方は、前記回転軸から離れた前記振り子の位置に設けられ、前記ベースは、前記回転軸を中心に前記振り子を揺動可能に支持する支持部を有し、前記振り子は、前記支持部に対向する位置から見て、前記支持部の外側に延出し、前記振り子において前記回転軸とは反対側の自由端は、前記支持部に対向する位置から見て、前記ベースと重ならない位置に配置されている。
【0010】
本開示の第5態様に係る振動低減装置は、上記第1~第4態様に係る振動発生装置と、前記対象物の振動を検出する検出部と、前記検出部によって検出された振動と逆位相の振動を、前記振動発生装置に発生させる動作制御部と、を備える。
【0011】
本開示の第6態様に係る電子機器は、上記第5態様に係る振動低減装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係るプロジェクターを示す斜視図。
【
図2】第1実施形態に係る振動低減装置の装置本体を示す斜視図。
【
図3】第1実施形態に係る蓋部材を取り外した装置本体を示す平面図。
【
図4】第1実施形態に係る振動発生装置を示す斜視図。
【
図5】第1実施形態に係る振動発生装置を示す平面図。
【
図12】第1実施形態に係る振り子が基準位置に配置された振動発生装置を示す断面図。
【
図13】第1実施形態に係る振り子が最も第1回転方向に移動したときの振動発生装置を示す断面図。
【
図14】第1実施形態に係る振り子が最も第2回転方向に移動したときの振動発生装置を示す断面図。
【
図15】第1実施形態の変形に係る駆動部を示す断面図。
【
図16】第1実施形態の変形に係る振動発生装置を示す平面図。
【
図17】第1実施形態の変形に係るベースを示す平面図。
【
図18】第1実施形態の変形に係るベースを示す平面図。
【
図19】第1実施形態の変形に係るベースを示す平面図。
【
図20】第1実施形態の変形に係る振動発生装置を示す断面図。
【
図21】第2実施形態に係る振動発生装置を示す断面図。
【
図22】第2実施形態に係る第1ベースを示す平面図。
【
図23】第2実施形態の変形に係る振動発生装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1を示す斜視図である。
本実施形態に係るプロジェクター1は、光源から出射された光を変調して画像情報に応じた画像光を形成し、形成した画像光を被投射面に拡大投射する電子機器である。プロジェクター1は、
図1に示すように、外装筐体11、投射光学装置12及び振動低減装置2を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1は、光源、光変調装置、電源装置、冷却装置及び制御装置を備える。
光変調装置は、光源から出射された光を変調し、画像情報に応じた画像光を形成する。
電源装置は、プロジェクター1の電子部品に電力を供給する。
冷却装置は、プロジェクター1の内部に設けられた冷却対象を冷却する。
制御装置は、プロジェクター1の動作を制御する。
【0014】
[外装筐体の構成]
外装筐体11は、プロジェクター1の外装を構成し、上記した光源、光変調装置、電源装置、冷却装置及び制御装置を内部に収容する。外装筐体11は、略直方体形状に形成されている。
外装筐体11は、投射光学装置12による画像の投射方向の面111に、後述する振動低減装置2のケーブル28が接続される接続端子112を有する。接続端子112は、例えばUSB(Universal Serial Bus)端子であり、振動低減装置2に電力を供給する。
【0015】
[投射光学装置の構成]
投射光学装置12は、上記した光変調装置によって形成された画像光を被投射面に投射する。本実施形態では、投射光学装置12は、外装筐体11に装着及び脱離可能に取り付けられる。すなわち、投射光学装置12は、交換可能である。
図1に示す投射光学装置12は、投射光学装置12に入射する画像光の進行方向を2段階に順次屈曲させ、投射光学装置12に対する画像光の入射方向とは反対方向に画像光を投射する。すなわち、投射光学装置12は、側方から見て、反時計回りに90°回動された略U字形状に構成されている。
投射光学装置12は、鏡筒121を備える他、図示を省略するが、鏡筒121内に設けられる複数のレンズ及び複数の反射部材を備える。
【0016】
[振動低減装置の構成]
振動低減装置2は、振動低減対象に取り付けられ、振動低減対象に作用する振動に対して逆位相の振動である振動を発生させることによって、振動低減対象の振動を低減させるものである。本実施形態では、振動低減装置2は、鏡筒121に設けられ、鏡筒121に作用する振動を低減させる。
ここで、プロジェクター1に外部から振動が伝播された場合や、プロジェクター1のファン等の内的要因によって振動が発生した場合、外装筐体11の外側に突出するように設けられた投射光学装置12は、外装筐体11よりも大きく振動しやすい。このように、投射光学装置12が振動した場合、投射光学装置12によって被投射面に投射された画像が、大きく揺れることとなる。
このような問題から、本実施形態では、振動低減装置2を投射光学装置12に設けることによって、投射光学装置12の振動を低減させ、ひいては画像の揺れを抑制している。
以下、振動低減装置2の構成について詳述する。
【0017】
振動低減装置2は、装置本体21、ケーブル28及び固定具29を備える。
ケーブル28は、装置本体21から延出している。ケーブル28は、接続端子112と接続され、接続端子112から供給される電力を装置本体21に供給する。
固定具29は、装置本体21を振動低減対象に固定する。本実施形態では、固定具29は、ベルトによって構成されており、振動低減対象である投射光学装置12が有する鏡筒121の外周面に巻かれる。しかしながら、これに限らず、固定具29は、筐体22を振動低減対象に固定可能であれば、ねじ等の締結部材であってもよい。
【0018】
図2は、装置本体21を示す斜視図であり、
図3は、蓋部材24を取り外した状態の装置本体21を示す平面図である。
装置本体21は、鏡筒121の振動に対する逆位相の振動を発生させて、鏡筒121の振動を低減させる。装置本体21は、
図2に示すように、筐体22及び検出部25を備える他、
図3に示すように、動作制御部26及び振動発生装置3Aを備える。
筐体22は、検出部25、動作制御部26及び振動発生装置3Aを収容する。筐体22は、
図2に示すように、フレーム23及び蓋部材24を備え、フレーム23及び蓋部材24が組み合わされることによって略直方体形状に形成されている。
なお、蓋部材24は、矩形板状に形成されており、フレーム23の第1面23Aに着脱可能に取り付けられる。
【0019】
フレーム23は、
図2及び
図3に示すように、第1面23A、第2面23B、第3面23C、第4面23D、第5面23E及び第6面23Fを有する矩形枠状に形成されている。第1面23A及び第2面23Bは、互いに反対側の面である。第3面23C及び第4面23Dは、互いに反対側の面であり、第5面23E及び第6面23Fは、互いに反対側の面である。
フレーム23は、
図2に示すように、固定具取付部231、センサー取付部232、端子部233を有する。
【0020】
固定具取付部231は、フレーム23において第3面23C側の部分、及び、第4面23D側の部分に設けられた棒状部分である。各固定具取付部231には、固定具29の端部が取り付けられる。
センサー取付部232は、第3面23Cに配置されている。センサー取付部232には、検出部25が取り付けられる。
端子部233は、第6面23Fの略中央に設けられている。端子部233には、ケーブル28が接続され、接続端子112からケーブル28を介して電力が供給される。
【0021】
検出部25は、振動低減装置2に作用する振動を検出する。すなわち、検出部25は、振動低減対象である投射光学装置12の鏡筒121に作用する振動を検出する。検出部25は、プリント基板251と、プリント基板251に設けられたセンサー(図示省略)と、を備える。プリント基板251は、センサー取付部232に取り付けられ、センサーによって検出された振動方向及び振幅を、動作制御部26に出力する。なお、検出部25が有するセンサーとしては、加速度センサー及びジャイロセンサーが挙げられる。
【0022】
フレーム23は、
図3に示すように、配置部234及び取付部235を更に有する。
配置部234及び取付部235は、第1面23Aに取り付けられる蓋部材24によって覆われる。換言すると、配置部234及び取付部235は、蓋部材24がフレーム23から取り外されることによって露出される。
配置部234には、動作制御部26が配置される。
取付部235には、振動発生装置3Aが取り付けられる。
【0023】
動作制御部26は、複数の回路素子が実装されたプリント基板であり、配置部234に配置される。動作制御部26は、振動低減装置2の動作を制御する。具体的に、動作制御部26は、検出部25による検出結果に基づいて、振動発生装置3Aを動作させる。詳述すると、動作制御部26は、振動発生装置3Aに駆動電力を供給するとともに、検出部25によって検出された振動の逆位相の振動を発生させるように、振動発生装置3Aを動作させる。
【0024】
[振動発生装置の構成]
図4は、振動発生装置3Aを示す斜視図であり、
図5は、振動発生装置3Aを示す平面
図である。
振動発生装置3Aは、フレーム23内に設けられた取付部235に取り付けられる。振
動発生装置3Aは、動作制御部26による制御の下、振動低減対象物である鏡筒121の
振動を低減させる振動を発生させる。振動発生装置3Aは、
図4及び
図5に示すように、
ベース4Aと、振り子5Aと、少なくとも1つの駆動部6Aと、を備える。
なお、以下の説明では、互いに直交する三方向を+X方向、+Y方向及び+Z方向とす
る。+X方向は、振り子5Aの回転軸Rxに沿う方向であり、上記した第3面23Cから
第4面23Dに向かう方向である。+Y方向は、ベース4Aに対して垂直な方向であり、
上記した第2面23Bから第1面23Aに向かう方向である。+Z方向は、+Y方向から
見て回転軸Rxから振り子5Aが延出する方向であり、上記した
第6面23Fから第5面
23Eに向かう方向である。また、図示を省略するが、+X方向の反対方向を-X方向と
し、+Y方向の反対方向を-Y方向とし、+Z方向の反対方向を-Z方向とする。
【0025】
[ベースの構成]
ベース4Aは、平板状に形成された板状部材である。ベース4Aは、振動発生装置3Aによって発生した振動を、ベース4Aが設置された対象物、すなわち、フレーム23に伝える。ベース4Aは、振り子5A及び駆動部6Aを支持し、取付部235(
図3)に取り付けられる。ベース4Aは、支持部41、固定部42~44、逃げ部45及び取付部46を有する他、後述する緩衝部47(
図12~
図14参照)を有する。なお、緩衝部47については、後に詳述する。
支持部41は、ベース4Aにおいて振り子5Aを支持する部分である。支持部41は、ベース4Aにおいて-Z方向の端部に配置され、支持部41には、取付部46が取り付けられる他、緩衝部47が設けられる。
【0026】
図6は、取付部46を示す斜視図である。
先に、取付部46について説明する。
取付部46は、振り子5Aのアーム51における-Z方向の端部を回転可能に支持する部分であり、ベース4Aの支持部41に取外し可能に取り付けられる。すなわち、取付部46は、支持部41の一部である。取付部46は、一対の回転軸部461と、装着部462と、を備える。
一対の回転軸部461は、アーム51を+X方向において挟む位置に設けられ、回転軸Rxを中心にアーム51を回転可能に支持する。一対の回転軸部461は、
図6に示すように、振り子5Aの回転軸Rxを形成するピン4611を有する。一対の回転軸部461のうち、-X方向に配置された回転軸部461Lが有するピン4611は、回転軸部461Lから+X方向に突出し、+X方向に配置された回転軸部461Rが有するピン4611は、回転軸部461Rから-X方向に突出している。各ピン4611は、アーム51に挿入され、これにより、アーム51は、+X方向に沿う回転軸Rxを中心に揺動可能に支持される。このような一対の回転軸部461は、装着部462における-Z方向の端部に設けられている。
装着部462は、支持部41にねじSCによって取外し可能に取り付けられる。このため、装着部462を支持部41から取り外すことによって、アーム51、ひいては、振り子5Aをベース4Aから取り外すことが可能である。
【0027】
固定部42~44のそれぞれは、
図4及び
図5に示すように、ベース4Aにおいて駆動部6Aの保持部材92を固定可能な部分である。固定部42は、ベース4Aにおいて+Z方向の端部に設けられている。固定部43は、ベース4Aにおいて+X方向の端部に設けられ、固定部44は、ベース4Aにおいて-X方向の端部に設けられている。
すなわち、固定部43は、支持部41において回転軸Rxに沿う+X方向の端部から、回転軸Rxからの振り子5Aの延出方向である+Z方向に延出した部分である。固定部44は、支持部41において回転軸Rxに沿う-X方向の端部から、回転軸Rxからの振り子5Aの延出方向である+Z方向に延出した部分である。そして、固定部42は、固定部43,44において支持部41とは反対側の端部間を接続する部分である。
【0028】
逃げ部45は、+Z方向において支持部41と固定部42との間に設けられている。詳述すると、逃げ部45は、支持部41と固定部42~44とによって囲まれる部分に設けられている。逃げ部45は、少なくとも振り子5Aにおける回転軸Rxとは反対側の自由端である第1側面部516に応じて設けられ、回転軸Rxを中心とする振り子5Aの揺動時に第1側面部516との接触を回避する回避部である。換言すると、逃げ部45は、回転軸Rxを中心とする振り子5Aの揺動時に±Y方向に移動する第1側面部516から退避する部分である。本実施形態では、逃げ部45は、+Y方向に沿ってベース4Aを貫通する開口部である。
なお、逃げ部45と振り子5Aとの位置関係については、後に詳述する。
【0029】
[振り子の構成]
図7は、振り子5Aを示す斜視図である。
図8は、アーム51を+X方向から見た側面図である。
振り子5Aは、回転軸Rxを中心に揺動可能にベース4Aに支持され、回転軸Rxから+Z方向に延出している。振り子5Aは、駆動部6Aによって回転軸Rxを中心に揺動されることによって、振動を発生する。振り子5Aは、
図4、
図5、
図7及び
図8に示すように、アーム51及び錘部52を有する。
【0030】
[アームの構成]
アーム51は、支持部41に取り付けられる取付部46の一対の回転軸部461によって、回転軸Rxを中心に回転可能に支持される。
アーム51は、
図7に示すように、+Y方向から見て、+Z方向の端部が-Z方向の端部よりも大きい略T字状に形成されている。アーム51は、
図7及び
図8に示すように、接続部511、延出部512、拡大部513、配置部514,515、第1側面部516、第2側面部517及び第3側面部518を有する。第1側面部516は、拡大部513の先端部であり、第2側面部517及び第3側面部518は拡大部513の+X方向および-X方向の側面部である。
【0031】
接続部511は、アーム51において一対の回転軸部461によって支持される部分である。本実施形態では、接続部511は、アーム51における-Z方向の端部に設けられている。接続部511は、+X方向を向く接続部511の面及び-X方向を向く接続部511の面のそれぞれに孔部5111が設けられている。各孔部5111の内部には、ベアリングBR(
図7参照)が配置される。そして、ベアリングBRの内部に各回転軸部461が有するピン4611がワッシャー(図示省略)を介して挿入されることによって、ベース4Aの支持部41にアーム51、ひいては、振り子5Aが支持される。
このように接続部511が回転軸部461によって支持されたときには、振り子5Aは、支持部41から外側に向かう+Z方向に延出する。
【0032】
延出部512は、接続部511から拡大部513に至るまでの延出部分である。延出部512における+X方向に沿う寸法は、拡大部513における+X方向に沿う寸法より小さく、延出部512において+X方向に沿う寸法は、接続部511から拡大部513に至る範囲において同じである。延出部512には、アーム51の軽量化を図るとともに、アーム51の重心位置をより+Z方向に位置させるために、貫通孔5121が設けられている。しかしながら、これに限らず、貫通孔5121に代えて凹部を設けてもよく、貫通孔5121は無くてもよい。
【0033】
拡大部513は、アーム51における+Z方向の部分である。+X方向に沿う拡大部513の寸法は、+X方向に沿う接続部511の寸法よりも大きい。このような拡大部513を有するアーム51の重心は、回転軸Rxとアーム51における+Z方向の端部との間における中間位置よりも+Z方向に位置する。すなわち、アーム51の重心は、錘部52の構成及び配置に関わらず、回転軸Rxとアーム51における第1側面部516側の端部との間における中間位置よりも第1側面部516側に位置する。
【0034】
配置部514は、拡大部513における+Y方向の面に設けられている。詳述すると、配置部514は、拡大部513における+Y方向の面から-Y方向に凹んだ凹部であり、+Y方向から見て略正方形状に形成されている。
配置部515は、拡大部513における-Y方向の面に設けられている。詳述すると、配置部515は、拡大部513における-Y方向の面から+Y方向に凹んだ凹部であり、-Y方向から見て略正方形状に形成されている。
配置部514,515の少なくとも1つの配置部には、錘部52が配置される。すなわち、配置部514,515は、回転軸Rxから第1側面部516側に離間した位置に設けられ、錘部52が載置可能な部分である。
【0035】
錘部52は、少なくとも1つの錘部材53によって構成される。すなわち、錘部52を構成する錘部材53の数及び配置に応じて、錘部52の重量及び重心位置が調節される。
錘部材53は、配置部514,515のうち一方の配置部に回転軸Rxに沿って配置される。錘部材53は、+Y方向に沿って錘部材53を貫通する貫通孔531を有する。錘部材53は、貫通孔531を挿通するねじS1によって、配置部514,515のうち一方の配置部に固定される。
錘部材53は、配置部514に対向する位置から見て、回転軸Rxに直交する+Z方向に沿って3つ配列可能であり、配置部514に配置された錘部材53に対する+Y方向に、錘部材53を更に配置可能である。すなわち、錘部材53は、配置部514,515に積層して配置可能に構成されている。具体的に、錘部材53は、+X方向に沿う長手軸を有する略直方体形状に形成されている。配置部514に+Y方向に複数の錘部材53を重ねて配置する場合には、ねじS1は、各錘部材53の貫通孔531を挿通した状態にて、配置部514に固定される。配置部515も同様である。このような構成により、アーム51に設けられる錘部材53の数及び配置を調節できる他、錘部52が設けられたアーム51の重量及び重心位置を調節できる。
特に、配置部515に配置される錘部材53は、支持部41から振り子5Aに向かう+Y方向から見て、ベース4Aと重ならない位置に配置される。
【0036】
第1側面部516は、
図7及び
図8に示すように、回転軸Rxに交差する方向のうち、アーム51の延出方向(+Z方向)において、アーム51の中心に対して回転軸Rxとは反対側の端部である。すなわち、第1側面部516は、+Z方向を向くアーム51の先端部であり、アーム51が揺動したときの自由端である。第1側面部516は、-Z方向に凹む取付部5161を有する。取付部5161には、第1駆動部61を構成する板部材91が取り付けられる。詳しくは後述するが、第1側面部516は、支持部41から振り子5Aに向かう+Y方向から見て、ベース4Aと重ならない位置に配置される。
【0037】
第2側面部517及び第3側面部518は、回転軸Rxと平行な方向(+X方向)に交差し、かつ、互いに反対側となる端部である。詳述すると、第2側面部517は、+X方向を向く拡大部513の側面部であり、第3側面部518は、-X方向を向く拡大部513の側面部である。
第2側面部517は、-X方向に凹む取付部5171を有する。取付部5171には、第2駆動部62の板部材91が取り付けられる。
第3側面部518は、+X方向に凹む取付部5181を有する。取付部5181には、第3駆動部63の板部材91が取り付けられる。
第2側面部517および第3側面部518は、支持部41から振り子5Aに向かう+Y方向から見て、ベース4Aと重ならない位置に配置されてもよい。
【0038】
[駆動部の構成]
図9は、駆動部6Aを示す斜視図であり、
図10は、駆動部6Aを示す断面図である。
駆動部6Aは、ベース4Aに支持された振り子5Aを、回転軸Rxを中心に揺動させる。駆動部6Aは、振動発生装置3Aに少なくとも1つ設けられている。換言すると、振動発生装置3Aは、少なくとも1つの駆動部6Aを備える。
駆動部6Aは、
図9及び
図10に示すように、磁石7A、コイル8A、板部材91、保持部材92及び端子部93を備える。この他、駆動部6Aは、図示しない制御部を有する。
【0039】
[磁石の構成]
磁石7Aは、板部材91によって振り子5Aにおいて回転軸Rxから離間した位置に設けられる。磁石7Aは、コイル8Aにて発生する磁力に対して吸着又は反発することによって、回転軸Rxを中心に振り子5Aを揺動させる。磁石7Aは、第1磁石部材7A1及び第2磁石部材7A2によって構成されている。
第1磁石部材7A1及び第2磁石部材7A2のそれぞれは、長手軸を有する略直方体形状に形成されている。長手軸に沿う第1磁石部材7A1の寸法と、長手軸に沿う第2磁石部材7A2の寸法とは、同方向に沿うコイル8Aの寸法と略一致する。
【0040】
第1磁石部材7A1においてコイル8Aと対向する面7A11(
図10)は、コイル8Aの後述する第1延在部8A1と対向する。面7A11の磁極は、本実施形態ではS極である。
第2磁石部材7A2は、第1磁石部材7A1に対して-Y方向に離間して配置される。詳述すると、第2磁石部材7A2は、コイル8Aにおいて第1延在部8A1から後述する第2延在部8A2に向かう方向に、第1磁石部材7A1から離間している。第2磁石部材7A2においてコイル8Aと対向する面7A21(
図10)は、コイル8Aの第2延在部8A2と対向する。面7A21の磁極は、本実施形態ではN極である。すなわち、第1磁石部材7A1において第1延在部8A1に対向する面7A11の磁極と、第2磁石部材7A2において第2延在部8A2に対向する面7A21の磁極とは異なる。
【0041】
[板部材の構成]
板部材91は、平板状に形成されている。板部材91は、磁石7Aを支持するとともに、振り子5Aのアーム51に取り付けられる。これにより、磁石7Aは、振り子5Aに取り付けられる。板部材91は、磁石7Aにとってのヨークとして機能する。すなわち、板部材91は、磁石7Aに対してコイル8Aとは反対側の位置に設けられる磁石側ヨークである。
【0042】
[コイルの構成]
図11は、駆動部6Aを構成するコイル8Aを示す図である。
コイル8Aは、振り子5A以外の構成に設けられる。本実施形態では、コイル8Aは、保持部材92によってベース4Aに固定される。コイル8Aは、磁石7Aに非接触で対向して配置され、磁石7Aに作用する磁界を発生させる。
コイル8Aは、
図11に示すように、磁石7Aから見て、導線が平面的に巻回されることによって長手軸を有するトラック状又は長円形状に構成された空芯コイルである。このため、磁石7Aから見て、長手軸に沿うコイル8Aの寸法は、長手軸に直交する短手軸に沿うコイル8Aの寸法よりも大きい。
【0043】
このようなコイル8Aは、第1延在部8A1及び第2延在部8A2を有する。
第1延在部8A1は、コイル8Aの長手軸に沿って直線状に延在した部分である。第1延在部8A1は、コイル8Aの空芯部分SPに対して+Y方向に配置されている。
第2延在部8A2は、コイル8Aの空芯部分SPを挟んで第1延在部8A1とは反対側に配置されている。すなわち、第2延在部8A2は、第1延在部8A1に対して-Y方向に配置されている。第2延在部8A2は、コイル8Aの長手軸に沿って直線状に延在している。コイル8Aの長手軸に沿う第2延在部8A2の寸法は、コイル8Aの長手軸に沿う第1延在部8A1の寸法と略同じである。制御部によってコイル8Aに電流が通電した場合、第2延在部8A2における電流の向きは、第1延在部8A1における電流の向きとは反対方向となる。
本実施形態では、コイル8Aは、上記のようにコアを有しない空芯コイルであるが、第1延在部8A1と第2延在部8A2との間にコアを有するコイルであってもよい。
【0044】
[保持部材の構成]
保持部材92は、コイル8A及び端子部93を保持した状態にて、固定部42~44のうち1つの固定部に固定される。保持部材92は、+Y方向に直交する第1板状部921と、第1板状部921から+Y方向に起立する第2板状部922と、を有する。保持部材92は、強磁性体によって形成され、側方から見て略L字状に形成されている。
第1板状部921における-Y方向の面は、固定部42~44のうち1つの固定部と接触する。第1板状部921における+Y方向の面には、端子部93が取り付けられる。
第2板状部922において、第2板状部922から第1板状部921が延出する方向とは反対方向の面には、コイル8Aが取り付けられる。具体的に、第2板状部922において磁石7Aと対向する面には、コイル8Aが取り付けられる。保持部材92は、強磁性体によって形成されていることから、第2板状部922は、コイル8Aによって発生する磁界の向きを制御するヨークとして機能する。すなわち、振動発生装置3Aは、コイル8Aに対して磁石7Aとは反対側に配置されるコイル側ヨークである第2板状部922を有する保持部材92を備え、保持部材92は、コイル8Aを保持する強磁性体の保持部材である。
【0045】
[端子部の構成]
端子部93は、振動低減装置2の動作制御部26と電気的に接続され、動作制御部26から供給される電流を図示しない制御部に供給する。これにより、制御部は、コイル8Aにて磁力を発生させて、磁石7Aが設けられた振り子5Aに駆動力を付与して、振り子5Aを揺動させる。詳述すると、図示しない制御部は、コイル8Aに交流電流を通電させて、コイル8Aによって発生する磁界の向きを交互に反転させることによって、振り子5Aを揺動させる。すなわち、図示しない制御部は、コイル8Aに通電する電流の向きを交互に切り替える。
【0046】
コイル8Aに交流電流が通電すると、第1延在部8A1及び第2延在部8A2のうち、一方の延在部から他方の延在部に向かう磁界が発生する。すなわち、一方の延在部がN極となり、他方の延在部がS極となる。そして、制御部は、所定周波数の交流電流をコイル8Aに通電させることによって、第1延在部8A1の磁極と第2延在部8A2の磁極とを交互に切り替える。
上記のように、第1延在部8A1と非接触で対向する第1磁石部材7A1の面7A11の磁極と、第2延在部8A2と非接触で対向する第2磁石部材7A2の面7A21の磁極とは、異なる。
【0047】
このため、コイル8Aに交流電流が通電すると、板部材91によって磁石7Aが取り付けられた振り子5Aは、交流電流の周波数に応じて、回転軸Rxを中心に揺動する。コイル8Aに通電する交流電流の周波数は、動作制御部26によって、振動低減装置2が備える検出部25によって検出された振動に応じて設定される。これにより、振動発生装置3Aは、投射光学装置12に伝播された振動の逆位相の振動を発生させることができ、投射光学装置12の振動を低減できる。
【0048】
[第1駆動部、第2駆動部及び第3駆動部の構成の具体的な配置]
上記のように、振動発生装置3Aは、少なくとも1つの駆動部6Aを備える。本実施形態では、振動発生装置3Aは、複数の駆動部6Aを備え、複数の駆動部6Aは、第1駆動部61、第2駆動部62及び第3駆動部63を含む。
換言すると、第1駆動部61、第2駆動部62及び第3駆動部63のそれぞれは、振動発生装置3Aが有する複数の駆動部6Aのうちの1つである。第1駆動部61は、振り子5Aに対して+Z方向に設けられ、第2駆動部62は、振り子5Aに対して+X方向に設けられ、第3駆動部63は、振り子5Aに対して-X方向に設けられる。
【0049】
具体的に、第1駆動部61は、磁石7A、コイル8A、板部材91、保持部材92及び端子部93を備える他、図示しない制御部を備える。第1駆動部61の磁石7Aは、第1磁石に相当し、第1駆動部61のコイル8Aは、第1コイルに相当する。
第1駆動部61において、板部材91は、アーム51の第1側面部516に設けられた取付部5161に取り付けられる。
磁石7Aを構成する第1磁石部材7A1及び第2磁石部材7A2は、各磁石部材7A1,7A2の長手軸が+X方向に沿うように、板部材91における+Z方向の面に固定される。すなわち、第1駆動部61の磁石7Aは、回転軸Rxから離間して第1側面部516に設けられる。
保持部材92の第1板状部921は、ベース4Aの固定部42に固定される。
コイル8Aは、磁石7Aと非接触で対向するように、保持部材92の第2板状部922において磁石7Aと対向する-Z方向の面に取り付けられる。詳述すると、コイル8Aは、第1延在部8A1が第1磁石部材7A1と+Z方向において非接触で対向し、第2延在部8A2が第2磁石部材7A2と+Z方向において非接触で対向するように配置される。
上記のように、第1磁石部材7A1において第1延在部8A1と対向する面の磁極と、第2磁石部材7A2において第2延在部8A2と対向する面の磁極とは異なる。
【0050】
第2駆動部62は、磁石7A、コイル8A、板部材91、保持部材92及び端子部93を備える他、図示しない制御部を備える。第2駆動部62の磁石7Aは、第2磁石に相当し、第2駆動部62のコイル8Aは、第2コイルに相当する。
第2駆動部62において、板部材91は、アーム51の第2側面部517に設けられた取付部5171に取り付けられる。
磁石7Aを構成する第1磁石部材7A1及び第2磁石部材7A2は、各磁石部材7A1,7A2の長手軸が+Z方向に沿うように、板部材91における+X方向の面に固定される。すなわち、第2駆動部62の磁石7Aは、回転軸Rxから離間して第2側面部517に設けられる。
保持部材92の第1板状部921は、ベース4Aの固定部43に固定される。
コイル8Aは、磁石7Aと非接触で対向するように、保持部材92の第2板状部922において磁石7Aと対向する-X方向の面に取り付けられる。詳述すると、コイル8Aは、第1延在部8A1が第1磁石部材7A1と+X方向において非接触で対向し、第2延在部8A2が第2磁石部材7A2と+X方向において非接触で対向するように配置される。
上記のように、第1磁石部材7A1において第1延在部8A1と対向する面の磁極と、第2磁石部材7A2において第2延在部8A2と対向する面の磁極とは異なる。
【0051】
第3駆動部63は、磁石7A、コイル8A、板部材91、保持部材92及び端子部93を備える他、図示しない制御部を備える。第3駆動部63の磁石7Aは、第3磁石に相当し、第3駆動部63のコイル8Aは、第3コイルに相当する。
第3駆動部63において、板部材91は、アーム51の第3側面部518に設けられた取付部5181に取り付けられる。
磁石7Aを構成する第1磁石部材7A1及び第2磁石部材7A2は、各磁石部材7A1,7A2の長手軸が+Z方向に沿うように、板部材91における-X方向の面に固定される。すなわち、第3駆動部63の磁石7Aは、回転軸Rxから離間して第3側面部518に設けられる。
保持部材92の第1板状部921は、ベース4Aの固定部44に固定される。
コイル8Aは、磁石7Aと非接触で対向するように、保持部材92の第2板状部922における磁石7Aと対向する+X方向の面に取り付けられる。詳述すると、コイル8Aは、第1延在部8A1が第1磁石部材7A1と+X方向において非接触で対向し、第2延在部8A2が第2磁石部材7A2と+X方向において非接触で対向するように配置される。
上記のように、第1磁石部材7A1において第1延在部8A1と対向する面の磁極と、第2磁石部材7A2において第2延在部8A2と対向する面の磁極とは異なる。
【0052】
[各駆動部の同期]
各駆動部61~63の制御部は、対応するコイル8Aに交流電流を通電させることによってコイル8Aに磁界を発生させる。このとき、各制御部は、駆動部61~63のコイル8Aにおける第1延在部8A1が同じ磁極となり、各駆動部61~63のコイル8Aにおける第2延在部8A2が同じ磁極となるように、各コイル8Aに同じ周波数で同じ位相の交流電流を通電させる。
これにより、駆動部61~63のうち1つの駆動部によって、他の駆動部による振り子5Aの揺動が妨げられることを抑制できる。この他、各駆動部61~63の駆動力によって振り子5Aを揺動させることができるので、振り子5Aの揺動時の回転トルクを大きくできる。なお、複数の駆動部61~63は、1つの制御部を共用してもよい。
【0053】
[ベースの構成と振り子の構成との位置関係]
図12は、回転軸Rxに直交する平面に沿う振動発生装置3Aの断面を+X方向から見
た図である。詳述すると、
図12は、振り子5Aが基準位置に配置された振動発生装置3
Aを示す断面図である。
振り子5Aが揺動していない場合、振り子5Aは、振り子5Aの揺動可能範囲における
中央に配置される。このときの振り子5Aの位置を基準位置とすると、基準位置では、振
り子5Aは、
図5及び
図12に示すように、回転軸Rxから支持部41の外側に向かって
+Z方向に延出している。
このとき、図5及び
図12に示すように、支持部41に対向す
る+Y方向の位置から見て、振り子5Aの自由端である第1側面部516は、逃げ部45
に対応する位置に設けられる。詳述すると、拡大部513において第1側面部516、第
2側面部517及び第3側面部518を含む+Z方向の部分は、支持部41と対向する+
Y方向から見て、ベース4Aと重ならない位置に配置されている。
【0054】
また、
図12に示すように、支持部41における+Z方向の端部41Bと、自由端側の第1駆動部61のコイル8Aとは、+Z方向において互いに離間しており、端部41Bと第1駆動部61のコイル8Aとの間には、逃げ部45が設けられている。このため、端部41Bと第1駆動部61のコイル8Aとの間には、逃げ部45によって、揺動時の振り子5Aを避ける空間が形成されている。
【0055】
図13は、回転軸Rxに直交する平面に沿う振動発生装置3Aの断面を+X方向から見た図である。詳述すると、
図13は、振り子5Aの揺動可能範囲において振り子5Aが最も第1回転方向D1に移動したときの振動発生装置3Aを示す断面図である。
自由端である第1側面部516が-Y方向に移動するときの振り子5Aの回転方向を第1回転方向D1とする。振り子5Aが第1回転方向D1に最も回転した場合、
図13に示すように、支持部41において振り子5Aと対向する対向面41Aの延長面ESの一部は、振り子5Aの揺動可能範囲に含まれる。このため、延長面ESは、錘部52、磁石7A及び板部材91と交差する。換言すると、回転軸Rxからの振り子5Aの延出方向である+Z方向から見て、支持部41は、振り子5Aの揺動可能範囲において錘部52、磁石7A及び板部材91と重なる部分を有する。このため、逃げ部45は、錘部52及び磁石7Aを収容する収容部ということもできる。そして、支持部41は、回転軸Rxに沿う+X方向から見て、振り子5Aの揺動可能範囲の外側に設けられている。
また、上記のように、支持部41に対向する+Y方向の位置から見て、拡大部513において第1側面部516を含む+Z方向の部分は、逃げ部45内に配置されている。
このため、振り子5Aが第1回転方向D1に最も回転した場合でも、振り子5Aは、ベース4Aと直接接触しない。
【0056】
図14は、回転軸Rxに直交する平面に沿う振動発生装置3Aの断面を+X方向から見た図である。詳述すると、
図14は、振り子5Aの揺動可能範囲において振り子5Aが最も第2回転方向D2に移動した場合の振動発生装置3Aを示す断面図である。
自由端である第1側面部516が+Y方向に移動するときの振り子5Aの回転方向を第2回転方向D2とする。第2回転方向D2は、第1回転方向D1とは反対方向である。振り子5Aが第2回転方向D2に最も回転した場合、
図14に示すように、振り子5Aは、支持部41から+Y方向に離間する。このため、振り子5Aが第2回転方向D2に最も回転した場合でも、振り子5Aは、支持部41、ひいてはベース4Aに直接接触しない。
【0057】
なお、
図12~
図14に示すように、対向面41Aには、緩衝部47が設けられている。緩衝部47は、支持部41と振り子5Aとの間に配置されて、振り子5Aの延出部512において支持部41と対向する面と接触する。緩衝部47は、振り子5Aが必要以上に第1回転方向に回転することを規制し、振り子5Aが支持部41に直接接触することを抑制するものである。緩衝部47は、緩衝部材によって構成されている。緩衝部材は、例えば圧縮コイルばね及び板ばね等の付勢部材によって構成できる他、ゴム等の弾性部材によって構成できる。
【0058】
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1は、以下の効果を奏する。
電子機器であるプロジェクター1は、振動低減装置2を備える。振動低減装置2は、振動発生装置3A、検出部25及び動作制御部26を備える。検出部25は、対象物である鏡筒121の振動を検出する。動作制御部26は、検出部25によって検出された振動と逆位相の振動を、振動発生装置3Aに発生させる。
振動発生装置3Aは、ベース4A、振り子5A及び駆動部6Aを備える。ベース4Aは、振動発生装置3Aにて発生した振動を、フレーム23を介して鏡筒121に伝える。振り子5Aは、回転軸Rxを中心に揺動可能にベース4Aに支持される。駆動部6Aは、磁石7Aと、磁石7Aに非接触で対向して配置されるコイル8Aとを有する。駆動部6Aは、振り子5Aを揺動させる。磁石7A及びコイル8Aのうち、一方の部材である磁石7Aは、回転軸Rxから離れた振り子5Aの位置に設けられる。ベース4Aは、回転軸Rxを中心に振り子5Aを揺動可能に支持する支持部41を有する。支持部41において振り子5Aと対向する対向面41Aの延長面ESの一部は、振り子5Aの揺動可能範囲に含まれる。そして、支持部41は、回転軸Rxに沿う+X方向から見て、振り子5Aの揺動可能範囲の外側に設けられている。
【0059】
このような構成によれば、振り子5Aの揺動時に、振り子5Aが支持部41に直接接触することを抑制できる。従って、振り子5Aのストロークを大きくでき、振り子5Aの揺動によって生じる振動を大きくできる他、振り子5Aの揺動時に騒音が発生することを抑制できる。
従って、騒音の発生を抑制できる他、発生する振動を大きくできる。この他、振り子5Aと支持部41とが直接接触することによる共振が発生することを抑制できるので、振り子5Aの揺動によって発生する振動の大きさを調節しやすくすることができる。
更に、検出部25によって検出された振動と逆位相の振動を振動発生装置3Aによって発生できるので、振動低減装置2が設置される鏡筒121の振動を低減できる。
【0060】
振動発生装置3Aでは、回転軸Rxからの振り子5Aの延出方向である+Z方向から見て、支持部41は、振り子5Aの揺動可能範囲において磁石7Aと重なる部分を有する。
このような構成によれば、振り子5Aのストロークを大きくできるとともに、支持部41に垂直な+Y方向における振動発生装置3Aの寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置3Aの小型化を図ることができる。
【0061】
振動発生装置3Aでは、振り子5Aは、回転軸Rxを中心に揺動可能に支持部41に支持されるアーム51と、アーム51に設けられる錘部52と、を有する。回転軸Rxからのアーム51の延出方向である+Z方向から見て、支持部41は、アーム51の揺動可能範囲において錘部52と重なる部分を有する。
このような構成によれば、振り子5Aのストロークを大きくできるとともに、支持部41に垂直な+Y方向における振動発生装置3Aの寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置3Aの小型化を図ることができる。
【0062】
また、振動発生装置3Aは、ベース4A、振り子5A及び駆動部6Aを備える。ベース4Aは、振動発生装置3Aにて発生した振動を、フレーム23を介して鏡筒121に伝える。振り子5Aは、回転軸Rxを中心に揺動可能にベース4Aに支持される。駆動部6Aは、磁石7Aと、磁石7Aに非接触で対向して配置されるコイル8Aとを有する。駆動部6Aは、振り子5Aを揺動させる。磁石7A及びコイル8Aのうち、磁石7Aは、回転軸Rxから離れた振り子5Aの位置に設けられる。ベース4Aは、支持部41及び逃げ部45を有する。支持部41は、回転軸Rxを中心に振り子5Aを揺動可能に支持する。逃げ部45は、回避部に相当する。逃げ部45は、振り子5Aにおける回転軸Rxとは反対側の自由端である第1側面部516側に、振り子5Aの揺動時に第1側面部516との接触を回避する。
【0063】
このような構成によれば、ベース4Aが逃げ部45を有することによって、振り子5Aの揺動時に、振り子5Aの第1側面部516がベース4Aに直接接触することを回避できる。従って、振り子5Aのストロークを大きくでき、振り子5Aの揺動によって生じる振動を大きくできる他、振り子5Aの揺動時に騒音が発生することを抑制できる。また、第1側面部516とベース4Aとが直接接触することによる共振が発生することを抑制できるので、振り子5Aの揺動によって発生する振動の大きさを調節しやすくすることができる。
【0064】
振動発生装置3Aでは、支持部41は、振り子5Aと対向する対向面41Aを有する。逃げ部45は、対向面41Aに垂直な+Y方向にベース4Aを貫通する開口部である。
このような構成によれば、逃げ部45を簡易に構成できる。この他、振り子5Aのストロークを大きくしても、ベース4Aと振り子5Aとの直接的な接触を抑制できるので、振動発生装置3Aの小型化を図ることができる。
【0065】
振動発生装置3Aでは、磁石7Aは、振り子5Aの揺動時に逃げ部45内に配置される。
このような構成によれば、振り子5Aの揺動時に、磁石7Aがベース4Aと直接接触することを抑制できる。これにより、振り子5Aのストロークを大きくできるとともに、支持部41に垂直な+Y方向における振動発生装置3Aの寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置3Aの小型化を図ることができる。
【0066】
振動発生装置3Aでは、振り子5Aは、回転軸Rxを中心に支持部41に揺動可能に支持されるアーム51と、アーム51に設けられた錘部52と、を有する。錘部52は、アーム51の揺動時に逃げ部45内に配置される。
このような構成によれば、振り子5Aの揺動時に、錘部52がベース4Aと直接接触することを抑制できるので、振り子5Aのストロークを大きくできるとともに、支持部41に垂直な+Y方向における振動発生装置3Aの寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置3Aの小型化を図ることができる。
【0067】
また、振動発生装置3Aは、ベース4A、振り子5A及び駆動部6Aを備える。ベース4Aは、振動発生装置3Aにて発生した振動を、フレーム23を介して鏡筒121に伝える。振り子5Aは、回転軸Rxを中心に揺動可能にベース4Aに支持される。駆動部6Aは、磁石7Aと、磁石7Aに非接触で対向して配置されるコイル8Aとを有する。駆動部6Aは、振り子5Aを揺動させる。ベース4Aは、振り子5Aを支持する支持部41を有する。磁石7A及びコイル8Aのうち磁石7Aは、振り子5Aにおいて回転軸Rxからの振り子5Aの延出方向の先端部である第1側面部516に設けられる。第1側面部516は、支持部41に対向する+Y方向の位置から見て、支持部41の外側に位置する。支持部41において振り子5Aの延出方向の端部41Bと、磁石7A及びコイル8Aのうちコイル8Aとは、振り子5Aの延出方向である+Z方向において、互いに離間している。
【0068】
このような構成によれば、支持部41の端部41Bとコイル8Aとが+Z方向において互いに離間していることによって、端部41Bとコイル8Aとの間に、振り子5Aの揺動時に先端部である第1側面部516が移動可能なスペースを形成できる。これにより、振り子5Aの揺動時に、第1側面部516がベース4Aに直接接触することを回避できる。従って、振り子5Aのストロークを大きくでき、振り子5Aの揺動によって生じる振動を大きくできる他、振り子5Aの揺動時に騒音が発生することを抑制できる。更に、第1側面部516とベース4Aとが直接接触することによる共振が発生することを抑制できるので、振り子5Aの揺動によって発生する振動の大きさを調節しやすくすることができる。
【0069】
また、振動発生装置3Aは、ベース4A、振り子5A及び駆動部6Aを備える。ベース4Aは、振動発生装置3Aにて発生した振動を、フレーム23を介して鏡筒121に伝える。振り子5Aは、回転軸Rxを中心に揺動可能にベース4Aに支持される。駆動部6Aは、磁石7Aと、磁石7Aに非接触で対向して配置されるコイル8Aとを有する。駆動部6Aは、振り子5Aを揺動させる。磁石7A及びコイル8Aのうち、磁石7Aは、回転軸Rxから離れた振り子5Aの位置に設けられる。ベース4Aは、回転軸Rxを中心に振り子5Aを揺動可能に支持する支持部41を有する。振り子5Aは、支持部41に対向する位置から見て、支持部41の外側に延出する。振り子5Aにおいて回転軸Rxとは反対側の自由端である第1側面部516は、支持部41に対向する+Y方向の位置から見て、ベース4Aと重ならない位置に配置されている。
【0070】
このような構成によれば、振り子5Aの揺動時に、振り子5Aの第1側面部516がベース4Aに直接接触することを回避できる。これにより、振り子5Aのストロークを大きくできるので、振り子5Aの揺動によって生じる振動を大きくできる他、振り子5Aの揺動時に騒音が発生することを抑制できる。更に、第1側面部516とベース4Aとが直接接触することによる共振が発生することを抑制できるので、振り子5Aの揺動によって発生する振動の大きさを調節しやすくすることができる。
【0071】
プロジェクター1は、画像を投射する投射光学装置12を備える。振動低減装置2は、投射光学装置12に取り付けられている。
このような構成によれば、プロジェクター1の内的要因、又は、プロジェクター1に対する外的要因による投射光学装置12の振動を低減できる。従って、投射光学装置12によって被投射面に投射された画像が揺動することを抑制できる。
【0072】
[第1実施形態の第1変形例]
上記した振動発生装置3Aでは、磁石7Aは、第1延在部8A1から第2延在部8A2に向かう-Y方向において互いに離間した第1磁石部材7A1及び第2磁石部材7A2を含むとした。しかしながら、これに限らず、アーム51に設けられる磁石は、第1延在部8A1及び第2延在部8A2に対向する1つの磁石によって構成されていてもよい。
【0073】
図15は、駆動部6Aの変形を示す断面図である。詳述すると、
図15は、駆動部6Aが有する磁石7Aの変形である磁石7Bを示す断面図である。
例えば、振動発生装置3Aに用いられる駆動部6Aは、磁石7Aに代えて、
図15に示す磁石7Bを採用してもよい。すなわち、第1駆動部61、第2駆動部62及び第3駆動部63のうち、少なくとも1つの駆動部は、磁石7Aに代えて磁石7Bを備えていてもよい。
【0074】
磁石7Bは、第1磁石部材7A1及び第2磁石部材7A2を有する磁石7Aとは異なり、1つの磁石部材により構成されている。
磁石7Bは、コイル8Aの長手軸と略平行な長手軸を有する直方体形状に形成されており、コイル8Aと非接触で対向するように板部材91に固定される。長手軸に沿う磁石7Bの寸法は、長手軸に沿うコイル8Aの寸法と略同じであり、長手軸に直交する+Y方向に沿う磁石7Bの寸法は、+Y方向に沿うコイル8Aの寸法と略同じである。
磁石7Bは、コイル8Aの第1延在部8A1と対向する部分7B1と、コイル8Aの第2延在部8A2と対向する部分7B2と、を有し、部分7B1と部分7B2とは、接続されている。部分7B1において第1延在部8A1と対向する面の磁極と、部分7B2において第2延在部8A2と対向する面の磁極とは異なる。例えば部分7B1において第1延在部8A1と対向する面の磁極はS極であり、部分7B2において第2延在部8A2と対向する面の磁極はN極である。
このような磁石7Bが採用された駆動部6Aを備える振動発生装置3Aによっても、上記と同様の効果を奏することができる。
【0075】
[第1実施形態の第2変形例]
上記した振動発生装置3Aでは、第1駆動部61、第2駆動部62及び第3駆動部63が含まれる駆動部6Aは、磁石7A及びコイル8Aを備えるとした。すなわち、駆動部6Aは、1つの空芯コイルによって構成されるコイル8Aを備えるとした。しかしながら、これに限らず、1つの駆動部は、複数のコイルを備えていてもよい。
【0076】
例えば、1つの駆動部は、コイルの長手軸に沿って並列に配置された複数のコイルと、複数のコイルのそれぞれに応じて設けられる少なくとも1つの磁石と、を備えていてもよい。
この場合、少なくとも1つの磁石は、上記した磁石7Aと同様に、複数のコイルのそれぞれに応じて設けられる第1磁石部材及び第2磁石部材を有する複数の磁石でもよい。この場合、各第1磁石部材は、複数のコイルのうち対応するコイルの第1延在部と非接触で対向し、各第2磁石部材は、複数のコイルのうち対応するコイルの第2延在部と非接触で対向してもよい。
又は、少なくとも1つの磁石は、複数のコイルの第1延在部に跨って配置されて各第1延在部と非接触で対向する1つの第1磁石部材と、複数のコイルの第2延在部に跨って配置されて各第2延在部と非接触で対向する1つの第2磁石部材と、を備えていてもよい。
又は、少なくとも1つの磁石は、上記した磁石7Bと同様に、複数のコイルのうち対応するコイルの第1延在部と非接触で対向する部分と、複数のコイルのうち対応するコイルの第2延在部と非接触で対向する部分とを有する1つの磁石部材であってもよい。
又は、少なくとも1つの磁石は、複数のコイルの第1延在部に跨って配置されて各第1延在部と非接触で対向する部分と、複数のコイルのうち対応するコイルの第2延在部と非接触で対向する部分と、を有する1つの磁石部材であってもよい。
【0077】
[第1実施形態の第3変形例]
上記した振動発生装置3Aでは、アーム51は、ベース4Aにおいて-Z方向の端部に設けられた支持部41に取り付けられる取付部46よって、回転軸Rxを中心に揺動可能に支持されるとした。換言すると、回転軸Rxを中心に揺動可能にアーム51を支持する取付部46は、ベース4Aにおいて-Z方向の端部に設けられた支持部41に取り付けられるとした。しかしながら、これに限らず、支持部41の位置は、ベース4Aにおいて-Z方向の端部よりも+Z方向の位置に設けられていてもよい。
【0078】
図16は、振動発生装置3Aの変形を示す平面図である。詳述すると、
図16は、振動発生装置3Aのベース4A及び振り子5Aの変形であるベース4C及び振り子5Cを示す平面図である。
例えば、振動発生装置3Aに、ベース4A及び振り子5Aに代えて、
図16に示すベース4C及び振り子5Cを採用してもよい。ベース4Cは、取付部46が取り付けられる支持部41の位置がベース4Aと相違する。振り子5Cは、接続部511と拡大部513との間の寸法がアーム51と相違するアーム51Cを有する。この他、取付部46の向きが相違する。
【0079】
具体的に、ベース4Cにおいて支持部41は、ベース4Cにおける-Z方向の端部よりも+Z方向に配置されている。すなわち、支持部41は、ベース4Cにおいて-Z方向の端部と逃げ部45との間の位置に設けられている。
また、ベース4Cにおける支持部41の位置に応じて、アーム51Cにおける接続部511と拡大部513との間の寸法は、アーム51における接続部511と拡大部513との間の寸法よりも小さくなっている。すなわち、アーム51Cは、アーム51の接続部511から拡大部513に連なる延出部512を備えず、拡大部513と、拡大部513に連なる部分であって取付部46の一対の回転軸部461によって支持される部分で構成される。そして、拡大部513の-Z方向の端部は、一対の回転軸部461に隣接する。また、振り子5Cでは、取付部46は、+Y方向に沿う軸を中心に180°回転された状態にて支持部41に取り付けられる。
このようなベース4C及び振り子5Cが採用された振動発生装置3Aによっても、上記と同様の効果を奏することができる他、振動発生装置3Aをより小型に構成できる。
【0080】
[第1実施形態の第4変形例]
上記した振動発生装置3A,3Cは、駆動部6Aである第1駆動部61、第2駆動部62及び第3駆動部63を備えるとした。しかしながら、これに限らず、振動発生装置3A,3Cは、第1駆動部61、第2駆動部62及び第3駆動部63のうち1つの駆動部又は2つの駆動部を備える構成であってもよい。例えば、振動発生装置3A,3Cは、第1駆動部61のみ備えていてもよく、第2駆動部62及び第3駆動部63の2つの駆動部を備えていてもよい。
【0081】
図17は、ベース4Aの変形であるベース4Dを+Y方向から見た平面図である。
例えば、振動発生装置3Aが、第1駆動部61を備えない場合には、ベース4Aに代えて、
図17に示すベース4Dを採用してもよい。
ベース4Dは、固定部42を備えない他は、ベース4Aと同様の構成を備える。すなわち、ベース4Dは、支持部41、固定部43,44及び逃げ部45を有する他、
図17では図示しない取付部46及び緩衝部47を有する。なお、ベース4Dでは、逃げ部45は、支持部41が振り子5Aと対向する+Y方向にベース4Dを貫通するとともに、+Z方向に開口した切欠のような開口部である。このようなベース4Dによって支持される振り子5Aの第1側面部516(自由端)は、+Y方向から見てベース4Dの外側に配置される。
【0082】
図18は、ベース4Aの変形であるベース4Eを+Y方向から見た平面図である。
例えば、振動発生装置3Aが、第3駆動部63を備えない場合には、ベース4Aに代え
て、
図18に示すベース4Eを採用してもよい。
ベース4Eは、固定部44を備えない他は、ベース4Aと同様の構成を備える。すなわ
ち、ベース4Eは、支持部41、固定部42,43及び逃げ部45を有する他、
図18で
は図示しない取付部46及び緩衝部47を有する。なお、ベース4Eでは、逃げ部45は
、支持部41が振り子5Aと対向する+Y方向にベース4Eを貫通するとともに、-X方
向に開口した切欠のような開口部である。このようなベース4Eによって支持される振り
子5Aの第1側面部516(自由端)は、+Y方向から見て
ベース4Eの外側に配置され
る。
【0083】
図19は、ベース4Aの変形であるベース4Fを+Y方向から見た平面図である。
なお、振動発生装置3Aが駆動部61~63を備える場合であっても、ベース4Aに代えて、
図19に示すベース4Fを採用してもよい。
ベース4Fは、支持部41における+Z方向の寸法が、ベース4Aの支持部41に比べて小さい他は、ベース4Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、ベース4Fは、支持部41、固定部42,43及び逃げ部45を有する他、
図19では図示しない取付部46及び緩衝部47を有する。
これらベース4D,4E,4Fが、ベース4Aに代えて、駆動部6Aの数に応じて採用された振動発生装置3Aによっても、ベース4Aを備える振動発生装置3Aと同様の効果を奏することができる。
【0084】
[第1実施形態の第5変形例]
上記した振動発生装置3Aでは、逃げ部45は、対向面41Aに垂直な+Y方向に沿ってベース4Aを貫通する開口部であるとした。しかしながら、これに限らず、逃げ部は、振り子5Aと対向する+Y方向とは反対方向である-Y方向に凹み、+Y方向に開口する凹部であってもよい。
【0085】
図20は、振動発生装置3Aの変形を示す断面図である。詳述すると、
図20は、ベース4Aに代えてベース4Gを備える振動発生装置3AにおけるYZ平面に沿う断面を示す図である。
例えば、振動発生装置3Aは、ベース4Aに代えて、
図20に示すベース4Gを備えていてもよい。ベース4Gは、逃げ部45に代えて、逃げ部45Gを備える他は、ベース4Aと同様の構成及び機能を有する。逃げ部45Gは、回避部に相当し、ベース4Gに設けられ、-Y方向に凹み、+Y方向に開口する凹部である。すなわち、逃げ部45Gは、ベース4Gに設けられ、振り子5Aの揺動方向において自由端である第1側面部516側の部分に対向する凹部である。
このような逃げ部45Gは、拡大部513において第1側面部516を含む+Z方向の部分に対応して設けられている。詳述すると、逃げ部45Gは、+Y方向から見て拡大部513が内部に配置される程度に形成された凹部である。
このような逃げ部45Gを有するベース4Gを、ベース4Aに代えて備える振動発生装置3Aによっても、ベース4Aを備える振動発生装置3Aと同様の効果を奏することができる他、逃げ部45Gを簡易に構成できる。
【0086】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1と同様の構成を備えるが、駆動部を構成するコイルが、ベースとは異なる部材に設けられている点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0087】
図21は、本実施形態に係る振動発生装置3HのYZ平面に沿う断面を示す図である。
本実施形態に係るプロジェクター及び振動低減装置は、振動発生装置3Aに代えて、
図21に示す振動発生装置3Hを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1及び振動低減装置2と同様の構成及び機能を備える。
振動発生装置3Hは、ベース4Aに代えて、ベース4Hを備える他は、振動発生装置3Aと同様の構成を備える。すなわち、振動発生装置3Hは、ベース4H、振り子5A、及び、3つの駆動部6Aを備える。
【0088】
ベース4Hは、ベース4Aと同様に、振り子5A及び駆動部6Aを支持し、振動発生装置3Hによって発生した振動を、ベース4Hが設置されるフレーム23を介して、対象物である鏡筒121に伝える。ベース4Hは、
図21に示すように、第1ベース4H1及び第2ベース4H2を有し、これらが組み合わされて構成される。
【0089】
図22は、+Y方向から見た第1ベース4H1を示す平面図である。
第1ベース4H1は、平板状に形成された板状部材であり、回転軸Rxを中心に揺動可能に振り子5Aを支持する。第1ベース4H1は、
図22に示すように、支持部41を有する他、図示しない取付部46及び緩衝部47を有する。すなわち、第1ベース4H1は、駆動部6Aが固定される固定部42~44を備えない。
図示を省略するが、第1ベース4H1に支持された振り子5Aは、回転軸Rxから支持部41の外側である+Z方向に延出する。そして、振り子5Aの自由端である第1側面部516は、+Y方向から見て、第1ベース4H1の外側に配置される。
【0090】
第2ベース4H2は、第1ベース4H1が内部に取り付けられる筐体である。具体的に、第2ベース4H2は、+X方向から見て略直方体形状に形成された筐体であり、内部に第1ベース4H1、振り子5A及び駆動部6A等を収容する。第1ベース4H1は、支持部41における-Y方向の面が、第2ベース4H2の内面のうち+Y方向を向く設置面4H3に接触するように配置される。
第2ベース4H2の内面には、各駆動部6Aのコイル8Aが取り付けられる。具体的に、振動発生装置3Hが駆動部61~63を備える場合、第2ベース4H2の内面のうち+Z方向の内面4H4には、第1駆動部61のコイル8Aを保持する保持部材92が取り付けられる。第2ベース4H2の内面のうち+X方向の内面(図示省略)には、第2駆動部62のコイル8Aを保持する保持部材92が取り付けられる。第2ベース4H2の内面のうち-X方向の内面4H6には、第3駆動部63のコイル8Aを保持する保持部材92が取り付けられる。
【0091】
ベース4Hは、第1ベース4H1の支持部41と第2ベース4H2の設置面4H3とに
よって形成される逃げ部45Hを有する。
逃げ部45Hは、支持部41における+Z方向の端部41Bから-Y方向の凹む凹部で
ある。換言すると、逃げ部45Hは、支持部41に対して-Y方向に位置する設置面4H
3によって形成される段差部である。逃げ部45Hは、逃げ部45と同様に、振り子5A
の揺動時に、振り子5Aの自由端である第1側面部516が直接接触することを回避する
回避部である。このような逃げ部45H内には、振り子5Aがベース4Hと干渉すること
なく揺動可能な第1揺動可能領域AR1が設けられる。
なお、第2ベース4H2の内面のうち、-Y方向を向く内面4H7は、振り子5Aにお
ける+Y方向の面に対して十分に離間している。このため、内面4H7と振り子5Aとの
間には、振り子5Aがベース4Hと干渉することなく揺動可能な第2揺動可能領域AR2
が設けられる。
このような第2ベース4H2は、フレーム23と兼用されてもよい。このような場合、
フレーム23を別途設ける必要が無いので、振動発生装置3Hを備える振動低減装置2の
構成を簡略化できる。
【0092】
[第2実施形態の効果]
以上説明した振動発生装置3Hを備えるプロジェクター及び振動低減装置は、第1実施形態に係る振動発生装置3Aを備えるプロジェクター1及び振動低減装置2と同様の効果を奏することができる他、以下の効果を奏することができる。
振動発生装置3Hでは、ベース4Hは、振り子5Aを収容する筐体を構成する。回避部としての逃げ部45Hは、振り子5Aの揺動方向に対向する面に設けられる。
このような構成によれば、ベース4Hが振り子5Aを収容する筐体を構成していても、振り子5Aの揺動時に、振り子5Aの自由端がベース4Hに直接接触することを回避できる。これにより、振り子5Aのストロークを大きくできるとともに、支持部41に垂直な+Y方向における振動発生装置3Hの寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置3Hの小型化を図ることができる。
【0093】
[第2実施形態の第1変形例]
上記した振動発生装置3Hは、上記した第1実施形態の変形に記載した内容に沿って、変形させてもよい。例えば、振動発生装置3Hが備える駆動部のうち少なくとも1つの駆動部は、磁石7Aに代えて磁石7Bを有する駆動部であってもよい。また、振動発生装置3Hは、第1駆動部61、第2駆動部62及び第3駆動部63のうち、少なくとも1つの駆動部を備えていればよく、他の駆動部は省略されてもよい。
【0094】
[第2実施形態の第2変形例]
図23は、振動発生装置3Hの変形を示す断面図である。
上記した振動発生装置3Hでは、逃げ部45Hは、支持部41と設置面4H3とが接触することによって形成された凹部又は段差部であるとした。しかしながら、これに限らず、
図23に示すように、逃げ部45Hは、第2ベース4H2における-Y方向の面に第1側面部516(振り子5Aの自由端)に応じて設けられた開口部であってもよい。また、第2ベース4H2において+Y方向の面に第1側面部516に応じて開口部を設け、当該開口部を他の逃げ部45Hとしてもよい。このとき、支持部41における+Z方向の寸法を、
図19に示したベース4Fと同様に小さくすれば、振り子5Aのストロークを大きくできるだけでなく、+Y方向における振動発生装置3Hの寸法を更に小さくできる。
なお、逃げ部45Hは、振り子5Aと対向する方向とは反対方向に凹む凹部であってもよい。
【0095】
[実施形態の変形]
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記各実施形態では、回転軸Rxからの振り子5A,5Cの延出方向である+Z方向から見て、支持部41は、振り子5A,5Cの揺動可能範囲において磁石7A及び錘部52と重なる部分を有するとした。しかしながら、これに限らず、支持部41は、振り子5A,5Cの揺動可能範囲において磁石7A及び錘部52と重なる部分を備えなくてもよい。一方、振り子5A,5Cのストロークによっては、支持部41は、振り子5A,5Cの揺動可能範囲においてアーム51,51Cと重なる部分を有してもよい。
【0096】
上記各実施形態では、振り子5Aに設けられる磁石7Aのうち、振り子5Aの先端部である第1側面部516に設けられる磁石7Aは、振り子5A,5Cの揺動時に逃げ部45内に配置されるとした。なお、逃げ部45,45G,45Hは、回避部に相当する。しかしながら、これに限らず、磁石7Aは、逃げ部45,45G,45H内に配置されなくてもよい。
なお、振り子5A,5Cに第1駆動部61を構成するコイル8Aが設けられる場合には、振り子5A,5Cの揺動時に、コイル8Aは、逃げ部45,45G,45H内に配置されてもよく、逃げ部45,45G,45H内に配置されなくてもよい。
【0097】
上記各実施形態では、アーム51,51Cに設けられる錘部52は、振り子5A,5Cの揺動時に逃げ部45内に配置されるとした。なお、逃げ部45,45G,45Hは、回避部に相当する。しかしながら、これに限らず、錘部52は、逃げ部45,45G,45H内に配置されなくてもよい。
【0098】
上記各実施形態では、錘部52は、アーム51,51Cの配置部514,515の少なくともいずれかに取り付けられる錘部材53によって構成されるとした。しかしながら、これに限らず、錘部52は、アーム51,51Cに一体的に形成されていてもよい。
このような構成の場合、回転軸Rxからのアーム51,51Cの延出方向である+Z方向から見て、支持部41は、アーム51,51Cの揺動可能範囲においてアーム51,51Cと重なる部分を有することとなる。すなわち、振り子5A,5Cの揺動可能範囲の外側に設けられた支持部41が、回転軸Rxからの振り子の延出方向から見て、アーム51,51Cと重なる部分を有することとなる。この場合、振り子5A,5Cのストロークを大きくできるとともに、支持部41に垂直な方向における振動発生装置の寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置の小型化を図ることができる。
また、この場合、アーム51,51Cは、揺動時に回避部としての逃げ部45,45G,45H内に配置されることとなる。これによれば、振り子5A,5Cの揺動時に、アーム51,51Cがベースと直接接触することを抑制できるので、振り子5A,5Cのストロークを大きくできるとともに、支持部41に垂直な方向における振動発生装置の寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置の小型化を図ることができる。
なお、錘部52の位置、重量及び形状のうち少なくとも1つが異なる複数種類の振り子から選択されて振動発生装置に採用されてもよい。
【0099】
上記各実施形態では、回転軸Rxを中心に揺動可能に振り子5A,5Cを支持する取付部46は、支持部41に取外し可能に取り付けられるとした。しかしながら、これに限らず、取付部46は、支持部41に一体的に設けられていてもよい。
【0100】
上記各実施形態では、駆動部6Aを構成する磁石7A及びコイル8Aのうち、磁石7Aは振り子5A,5Cに取り付けられ、コイル8Aは、ベース4A,4C,4D,4E,4F,4G又は第2ベース4H2に取り付けられるとした。しかしながら、これに限らず、振り子にコイルが取り付けられ、ベース又は第2ベースに磁石が取り付けられていてもよい。
また、磁石及びコイルのうち一方の部材が振り子とは異なる部材に取り付けられる場合、当該一方の部材が取り付けられる部材の種別は問わない。
【0101】
上記各実施形態では、各駆動部61~63の磁石7Aは、拡大部513の側面部516~518に取り付けられるとした。しかしながら、これに限らず、回転軸Rxを中心に振り子を揺動させることが可能であれば、振り子において磁石7Aが設けられる位置は問わない。磁石7Aに代えてコイル8Aが振り子に設けられる場合も同様である。
例えば、振り子が回転軸Rxから-Z方向に延出する延出部を備える場合、磁石7A又はコイル8Aは、当該延出部に設けられていてもよい。
【0102】
上記各実施形態では、振動発生装置3A,3C,3Hを備える振動低減装置2を、電子機器であるプロジェクター1に適用した例を挙げた。しかしながら、振動低減装置2が適用される電子機器は、プロジェクターに限らず、他の電子機器に適用してもよい。また、振動低減装置2が取り付けられる位置は、投射光学装置12でなくてもよく、他の位置であってもよい。
更に、本開示の振動発生装置は、振動を発生するものとして、単独で用いてもよく、電子機器に採用してもよい。
【0103】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
本開示の第1態様に係る振動発生装置は、振動を対象物に伝えるベースと、回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動させる駆動部と、を備え、前記磁石及び前記コイルのうちの一方の部材は、前記回転軸から離れた前記振り子の位置に設けられ、前記ベースは、前記回転軸を中心に前記振り子を揺動可能に支持する支持部を有し、前記支持部において前記振り子と対向する対向面の延長面の一部は、前記振り子の揺動可能範囲に含まれ、前記支持部は、前記回転軸に沿って見て、前記振り子の揺動可能範囲の外側に設けられている。
【0104】
このような構成によれば、振り子を揺動可能に支持する支持部が振り子の揺動可能範囲の外側に設けられている。このため、振り子の揺動時に、振り子が支持部に直接接触することを抑制できる。これにより、振り子のストロークを大きくでき、振り子の揺動によって生じる振動を大きくできる。
更に、振り子の揺動時に振り子と支持部とが直接接触しないので、振り子の揺動時に騒音が発生することを抑制できる。
従って、騒音の発生を抑制できる他、発生する振動を大きくできる。この他、振り子と支持部とが直接接触することによる共振が発生することを抑制できるので、振り子の揺動によって発生する振動の大きさを調節しやすくすることができる。
【0105】
上記第1態様では、前記回転軸からの前記振り子の延出方向から見て、前記支持部は、前記振り子の揺動可能範囲において前記一方の部材と重なる部分を有していてもよい。
このような構成によれば、振り子の揺動可能範囲の外側に設けられた支持部が、回転軸からの振り子の延出方向から見て、振り子に設けられる上記一方の部材と重なる部分を有することによって、振り子のストロークを大きくできるとともに、支持部に垂直な方向における振動発生装置の寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置の小型化を図ることができる。
【0106】
上記第1態様では、前記振り子は、前記回転軸を中心に揺動可能に前記支持部に支持されるアームと、前記アームに設けられる錘部と、を有し、前記回転軸からの前記アームの延出方向から見て、前記支持部は、前記アームの揺動可能範囲において前記錘部と重なる部分を有していてもよい。
このような構成によれば、振り子の揺動可能範囲の外側に設けられた支持部が、回転軸からの前記振り子の延出方向から見て、振り子の錘部と重なる部分を有することによって、振り子のストロークを大きくできるとともに、支持部に垂直な方向における振動発生装置の寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置の小型化を図ることができる。
【0107】
上記第1態様では、前記振り子は、前記回転軸を中心に揺動可能に前記支持部に支持されるアームを有し、前記回転軸からの前記アームの延出方向から見て、前記支持部は、前記アームの揺動可能範囲において前記アームと重なる部分を有していてもよい。
このような構成によれば、振り子の揺動可能範囲の外側に設けられた支持部が、回転軸からのアームの延出方向から見て、アームと重なる部分を有することによって、振り子のストロークを大きくできるとともに、支持部に垂直な方向における振動発生装置の寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置の小型化を図ることができる。
【0108】
本開示の第2態様に係る振動発生装置は、振動を対象物に伝えるベースと、回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動させる駆動部と、を備え、前記磁石及び前記コイルのうちの一方の部材は、前記回転軸から離れた前記振り子の位置に設けられ、前記ベースは、前記回転軸を中心に前記振り子を揺動可能に支持する支持部と、前記振り子における前記回転軸とは反対側の自由端側に、前記振り子の揺動時に前記自由端との接触を回避する回避部と、を有する。
【0109】
このような構成によれば、ベースが回避部を有することによって、振り子の揺動時に、振り子の自由端がベースに直接接触することを回避できる。これにより、振り子のストロークを大きくでき、振り子の揺動によって生じる振動を大きくできる。
更に、振り子の揺動時に自由端がベースと直接接触しないので、振り子の揺動時に騒音が発生することを抑制できる。
従って、騒音の発生を抑制できる他、発生する振動を大きくできる。この他、自由端とベースとが接触することによる共振が発生することを抑制できるので、振り子の揺動によって発生する振動の大きさを調節しやすくすることができる。
【0110】
上記第2態様では、前記支持部は、前記振り子と対向する対向面を有し、前記回避部は、前記対向面に垂直な方向に前記ベースを貫通する開口部であってもよい。
このような構成によれば、回避部を簡易に構成できる。この他、振り子のストロークを大きくしても、ベースと振り子との直接的な接触を抑制できるので、振動発生装置の小型化を図ることができる。
【0111】
上記第2態様では、前記支持部は、前記振り子と対向する対向面を有し、前記回避部は、前記振り子の揺動方向における前記自由端に対向する前記ベースに設けられた凹部であってもよい。
このような構成によれば、回避部を簡易に構成できる。
【0112】
上記第2態様では、前記一方の部材は、前記振り子の揺動時に前記回避部内に配置されていてもよい。
このような構成によれば、振り子の揺動時に、上記一方の部材がベースと直接接触することを抑制できるので、振り子のストロークを大きくできるとともに、支持部に垂直な方向における振動発生装置の寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置の小型化を図ることができる。
【0113】
上記第2態様では、前記振り子は、前記回転軸を中心に前記支持部に揺動可能に支持されるアームと、前記アームに設けられた錘部と、を有し、前記錘部は、前記アームの揺動時に前記回避部内に配置されていてもよい。
このような構成によれば、振り子の揺動時に、錘部がベースと直接接触することを抑制できるので、振り子のストロークを大きくできるとともに、支持部に垂直な方向における振動発生装置の寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置の小型化を図ることができる。
【0114】
上記第2態様では、前記振り子は、前記回転軸を中心に前記支持部に揺動可能に支持されるアームを有し、前記アームは、揺動時に前記回避部内に配置されていてもよい。
このような構成によれば、振り子の揺動時に、アームがベースと直接接触することを抑制できるので、振り子のストロークを大きくできるとともに、支持部に垂直な方向における振動発生装置の寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置の小型化を図ることができる。
【0115】
上記第2態様では、前記ベースは、前記振り子を収容する筐体を構成し、前記回避部は、前記振り子の揺動方向に対向する面に設けられていてもよい。
このような構成によれば、ベースが振り子を収容する筐体を構成していても、振り子の揺動時に、振り子の自由端がベースに直接接触することを回避できる。これにより、振り子のストロークを大きくできるとともに、支持部に垂直な方向における振動発生装置の寸法を小さくできる。従って、発生する振動を大きくできるとともに、振動発生装置の小型化を図ることができる。
【0116】
本開示の第3態様に係る振動発生装置は、振動を対象物に伝えるベースと、回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動させる駆動部と、を備え、前記ベースは、前記振り子を支持する支持部を有し、前記磁石及び前記コイルのうち一方の部材は、前記振り子において前記回転軸からの前記振り子の延出方向の先端部に設けられ、前記先端部は、前記支持部に対向する位置から見て、前記支持部の外側に位置し、前記支持部の端部と、前記磁石及び前記コイルのうち他方の部材とは、互いに離間している。
【0117】
このような構成によれば、支持部の端部と、上記他方の部材とが、離間していることによって、当該端部と上記他方の部材との間に、振り子の揺動時に先端部が移動可能なスペースを形成できる。これにより、振り子の揺動時に、振り子の先端部がベースに直接接触することを回避できるので、振り子のストロークを大きくでき、振り子の揺動によって生じる振動を大きくできる。
更に、振り子の揺動時に先端部がベースと直接接触しないので、振り子の揺動時に騒音が発生することを抑制できる。
従って、騒音の発生を抑制できる他、発生する振動を大きくできる。この他、先端部とベースとが直接接触することによる共振が発生することを抑制できるので、振り子の揺動によって発生する振動の大きさを調節しやすくすることができる。
【0118】
本開示の第4態様に係る振動発生装置は、振動を対象物に伝えるベースと、回転軸を中心に揺動可能に前記ベースに支持される振り子と、磁石と、前記磁石に非接触で対向して配置されるコイルとを有し、前記振り子を揺動させる駆動部と、を備え、前記磁石及び前記コイルのうちの一方は、前記回転軸から離れた前記振り子の位置に設けられ、前記ベースは、前記回転軸を中心に前記振り子を揺動可能に支持する支持部を有し、前記振り子は、前記支持部に対向する位置から見て、前記支持部の外側に延出し、前記振り子において前記回転軸とは反対側の自由端は、前記支持部に対向する位置から見て、前記ベースと重ならない位置に配置されている。
【0119】
このような構成によれば、支持部に対向する位置から見て、振り子の自由端がベースの外側に配置されているので、振り子の揺動時に、振り子の自由端がベースに直接接触することを回避できる。これにより、振り子のストロークを大きくでき、振り子の揺動によって生じる振動を大きくできる。
更に、振り子の揺動時に自由端がベースと直接接触しないので、振り子の揺動時に騒音が発生することを抑制できる。
従って、騒音の発生を抑制できる他、発生する振動を大きくできる。この他、自由端とベースとが直接接触することによる共振が発生することを抑制できるので、振り子の揺動によって発生する振動の大きさを調節しやすくすることができる。
【0120】
本開示の第5態様に係る振動低減装置は、上記第1から第4態様に係る振動発生装置と、前記対象物の振動を検出する検出部と、前記検出部によって検出された振動と逆位相の振動を、前記振動発生装置に発生させる動作制御部と、を備える。
このような構成によれば、上記第1態様に係る振動発生装置と同様の効果を奏することができる。また、検出部によって検出された振動と逆位相の振動を振動発生装置によって発生できるので、振動低減装置の設置対象の振動を低減できる。
【0121】
本開示の第6態様に係る電子機器は、上記第5態様に係る振動低減装置を備える。
このような構成によれば、上記第5態様に係る振動低減装置と同様の効果を奏すること
ができ、電子機器の振動を低減できる。
【0122】
上記第6態様では、画像を投射する投射光学装置を備え、前記振動低減装置は、前記投射光学装置に取り付けられていてもよい。
このような構成によれば、電子機器の内的要因、又は、電子機器に対する外的要因による投射光学装置の振動を低減できる。従って、投射光学装置によって被投射面に投射された画像が揺動することを抑制できる。
【符号の説明】
【0123】
1…プロジェクター(電子機器)、11…外装筐体、12…投射光学装置、121…鏡筒、2…振動低減装置、21…装置本体、22…筐体、23…フレーム、24…蓋部材、25…検出部、26…動作制御部、3A,3C,3H…振動発生装置、4A,4C,4D,4E,4F,4G,4H…ベース、4H1…第1ベース、4H2…第2ベース、41…支持部、41A…対向面、41B…端部、42…固定部、43…固定部、44…固定部、45,45G,45H…逃げ部、46…取付部、461,461L,461R…回転軸部、462…装着部、47…緩衝部、5A,5C…振り子、51,51C…アーム、511…接続部、5111…孔部、512…延出部、513…拡大部、514,515…配置部、516…第1側面部(先端部、自由端)、517…第2側面部、518…第3側面部、52…錘部、53…錘部材、6A…駆動部、61…第1駆動部、62…第2駆動部、63…第3駆動部、7A,7B…磁石、7A1…第1磁石部材、7A2…第2磁石部材、8A…コイル、8A1…第1延在部、8A2…第2延在部、91…板部材、92…保持部材、93…端子部、BR…ベアリング、ES…延長面、Rx…回転軸。