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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022030848
(22)【出願日】2022-03-01
(65)【公開番号】P2023127210
(43)【公開日】2023-09-13
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】岩田 昌重
(72)【発明者】
【氏名】木村 和誠
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩章
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/099712(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0354918(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108706266(CN,A)
【文献】米国特許第10071857(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2004/0238326(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送台車と、前記搬送台車が昇降するための昇降経路部を有する搬送経路と、を備えた搬送設備であって、
水平面に沿う特定の方向を第1方向とし、前記第1方向に対して平面視で直交する方向を第2方向とし、前記搬送経路に沿う方向を搬送方向とし、前記第2方向に沿う第2方向視で前記搬送方向に直交する方向を搬送幅方向として、
前記搬送経路は、前記搬送方向に沿って延在すると共に互いに前記第2方向に離間して配置された一対の駆動レールと、一対の前記駆動レールに対して前記搬送幅方向の異なる位置において互いに前記第2方向に離間して配置された一対の補助レールと、を備え、
前記駆動レールは、前記搬送方向に沿って設けられたレール側ギヤ部を有し、
前記補助レールは、前記搬送方向に沿うと共に前記搬送幅方向に対向する一対の案内面を有し、
前記搬送台車は、前記第2方向における一対の前記駆動レールの間かつ前記第2方向における一対の前記補助レールの間に配置された本体部と、移載対象箇所との間で前記物品を移載する移載部と、一対の前記駆動レールのそれぞれの前記レール側ギヤ部に噛み合う車輪側ギヤ部を備えた駆動輪と、一対の前記補助レールのそれぞれに案内される第1補助輪と、一対の前記補助レールのそれぞれに案内される第2補助輪と、備え、
一対の前記駆動輪は、前記本体部から前記第2方向の外側に突出する駆動軸に連結され、
一対の前記第1補助輪及び一対の前記第2補助輪は、前記本体部に対して回転自在に支持された非駆動輪であり、
前記駆動輪と前記第1補助輪と前記第2補助輪とのうちの少なくとも2つが、上下方向の異なる位置に配置されている、搬送設備。
【請求項2】
前記搬送経路は、前記昇降経路部に接続され、上下方向に交差する方向に沿って延在する接続経路部を有し、
前記駆動レールと前記補助レールとは、前記昇降経路部と前記接続経路部とにおいて、前記駆動輪と前記第1補助輪と前記第2補助輪との前記第1方向及び上下方向の位置関係が同じになるように配置され、
一対の前記補助レールに対して前記第2方向の外側に、一対の前記駆動レールが配置され、
前記第2方向視で前記駆動レールと前記補助レールとが交差する交差部に、前記補助レールを分断する切欠部が設けられ、
前記切欠部は、前記交差部を前記駆動輪が通過する場合の前記駆動軸の移動軌跡と前記補助レールとが干渉しないように形成されている、請求項1に記載の搬送設備。
【請求項3】
前記補助レールの一対の前記案内面は、前記切欠部に対して下流側において、前記切欠部に接近するに従って前記搬送幅方向の対向間隔が次第に広くなるように形成されている、請求項2に記載の搬送設備。
【請求項4】
一対の前記駆動輪のそれぞれに対応して、前記駆動軸と同軸上に、前記駆動レールに対する一対の前記駆動輪のそれぞれの位置を規制するための第1規制輪及び第2規制輪が配置され、
前記駆動レールは、前記搬送方向に沿って延在すると共に前記第1規制輪の前記搬送幅方向の一方側への移動を規制する第1規制面と、前記搬送方向に沿って延在すると共に前記第2規制輪の前記搬送幅方向の他方側への移動を規制する第2規制面と、を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送設備。
【請求項5】
前記搬送経路は、前記昇降経路部に接続され、上下方向に交差する方向に沿って延在する接続経路部を有し、
前記第1方向における一方側を第1方向第1側とし、前記第1方向における他方側を第1方向第2側として、
前記昇降経路部は、第1昇降経路部と、前記第1昇降経路部に対して前記第1方向第2側に離間して配置された第2昇降経路部と、を含み、
前記接続経路部は、前記第1昇降経路部の上端部と前記第2昇降経路部の上端部とを接続する上側接続経路部と、前記第1昇降経路部の下端部と前記第2昇降経路部の下端部とを接続する下側接続経路部と、を含み、
前記移載対象箇所として、前記第1昇降経路部に対して前記第1方向第1側に隣接する位置に、前記物品が順次搬送されてきて保持される保持部を複数備えた保持装置が配置され、
前記移載対象箇所として、前記第1方向における前記第1昇降経路部と前記第2昇降経路部との間に、前記物品を一時的に保管可能な仮置き部が配置され、
前記移載対象箇所として、前記搬送経路のいずれかの箇所に、前記物品を外部へ搬出する搬出部が配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送設備。
【請求項6】
前記仮置き部は第1仮置き部であり、
前記第2昇降経路部に対して前記第1方向第2側に、前記物品を一時的に保管可能な第2仮置き部が配置されている、請求項5に記載の搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送する搬送台車と、前記搬送台車が昇降するための昇降経路部を有する搬送経路と、を備えた搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような搬送設備の一例が、特開2021-088465号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明の欄において括弧内に示される符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された設備では、軌道(110)に沿って昇降する搬送台車(200)が、ピッキングステーション(310)と複数の積み替え位置(375)との間で物品を搬送するように構成されている。ピッキングステーション(310)と複数の積み替え位置(375)とは、互いに上下方向に離間した位置に配置されている。また、複数の積み替え位置(375)のそれぞれも、互いに上下方向に離間した位置に配置されている。搬送台車(200)は、軌道(110)を昇降することで、上下方向に離間して配置されたこれら複数の移載対象箇所(310,375)の相互間で、物品を搬送可能となっている。
【0004】
搬送台車(200)は、互いに仮想水平面内に配置される4つの駆動輪(220)を備えている。4つの駆動輪(220)のそれぞれは、歯車(222)を有しており、軌道(110)に沿って設けられたラック(156)に噛み合うように構成されている。これにより、4つの駆動輪(220)のそれぞれが軌道(110)に支持され、搬送台車(220)の姿勢が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-088465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に開示された技術では、搬送台車(200)に設けられた4つの車輪の全てが駆動輪(220)となっているため、搬送台車(200)に搭載されるモータ等の駆動源の数が多くなり易く、コストが掛かり易いという問題がある。
【0007】
上記実状に鑑みて、昇降経路部を昇降する搬送台車の姿勢維持を適切に行えると共に、低コスト化を図ることが可能な技術の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
物品を搬送する搬送台車と、前記搬送台車が昇降するための昇降経路部を有する搬送経路と、を備えた搬送設備であって、
水平面に沿う特定の方向を第1方向とし、前記第1方向に対して平面視で直交する方向を第2方向とし、前記搬送経路に沿う方向を搬送方向とし、前記第2方向に沿う第2方向視で前記搬送方向に直交する方向を搬送幅方向として、
前記搬送経路は、前記搬送方向に沿って延在すると共に互いに前記第2方向に離間して配置された一対の駆動レールと、一対の前記駆動レールに対して前記搬送幅方向の異なる位置において互いに前記第2方向に離間して配置された一対の補助レールと、を備え、
前記駆動レールは、前記搬送方向に沿って設けられたレール側ギヤ部を有し、
前記補助レールは、前記搬送方向に沿うと共に前記搬送幅方向に対向する一対の案内面を有し、
前記搬送台車は、前記第2方向における一対の前記駆動レールの間かつ前記第2方向における一対の前記補助レールの間に配置された本体部と、移載対象箇所との間で前記物品を移載する移載部と、一対の前記駆動レールのそれぞれの前記レール側ギヤ部に噛み合う車輪側ギヤ部を備えた駆動輪と、一対の前記補助レールのそれぞれに案内される第1補助輪と、一対の前記補助レールのそれぞれに案内される第2補助輪と、備え、
一対の前記駆動輪は、前記本体部から前記第2方向の外側に突出する駆動軸に連結され、
一対の前記第1補助輪及び一対の前記第2補助輪は、前記本体部に対して回転自在に支持された非駆動輪であり、
前記駆動輪と前記第1補助輪と前記第2補助輪とのうちの少なくとも2つが、上下方向の異なる位置に配置されている。
【0009】
本構成によれば、搬送台車における第2方向の両側のそれぞれにおいて、駆動輪と第1補助輪と第2補助輪とが、それぞれに対応するレールに支持されている。これにより、搬送台車における第2方向の両側のそれぞれにおいて、3つの車輪による3点支持が実現されている。また、駆動輪と第1補助輪と第2補助輪とのうちの少なくとも2つが、上下方向の異なる位置に配置されている。すなわち、少なくとも2つの車輪が上下方向の異なる位置で支持されているため、搬送台車が上下方向に対して傾くことを抑制し易い。従って、昇降経路部を昇降する搬送台車の姿勢維持を適切に行うことが可能となる。さらに、本構成によれば、一対の第1補助輪及び一対の第2補助輪が非駆動輪であるため、搬送台車に搭載される駆動源の数を少なく抑えることができる。従って、搬送台車の低コスト化を図ることが可能となる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】搬送設備の第2方向視図
図2】搬送台車の第2方向視図
図3図2におけるIII-III断面図
図4図1におけるIV-IV断面図
図5図1におけるV-V断面図
図6図5におけるVI矢視図
図7】その他の実施形態における搬送台車を示す第2方向視図
図8】その他の実施形態における搬送台車を示す第2方向視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
搬送設備は、物品を搬送するための設備である。搬送対象とされる物品は、商品を収容する容器(折り畳みコンテナや段ボール箱等)や商品を載置するパレット、或いは、商品そのものであっても良い。なお、商品には、完成品や仕掛品が含まれる。以下、搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、搬送設備100は、物品Gを搬送する搬送台車1と、搬送台車1が昇降するための昇降経路部21を有する搬送経路2と、を備えている。図示の例では、搬送設備100は、同じ搬送経路2を移動する複数の搬送台車1を備えている。
【0014】
以下の説明では、水平面に沿う特定の方向を「第1方向D1」とし、第1方向D1に対して平面視で直交する方向を「第2方向D2」とする。本例では、第1方向D1に直交する水平方向を第2方向D2としている。そして、第1方向D1における一方側を「第1方向第1側D11」とし、第1方向D1における他方側を「第1方向第2側D12」とする。また、搬送経路2に沿う方向を「搬送方向Dt」とし、第2方向D2に沿う第2方向D2視で搬送方向Dtに直交する方向を「搬送幅方向Dw」とする。
【0015】
本実施形態では、搬送経路2は、昇降経路部21に接続され、上下方向に交差する方向に沿って延在する接続経路部22を有している。本例では、接続経路部22は、昇降経路部21に対して直交する方向に沿って延在している。具体的には、昇降経路部21は、鉛直方向に沿って延在するように形成されており、接続経路部22は、水平方向に沿って延在するように形成されている。
【0016】
本実施形態では、昇降経路部21は、第1昇降経路部211と、第1昇降経路部211に対して第1方向第2側D12に離間して配置された第2昇降経路部212と、を含んでいる。第1昇降経路部211と第2昇降経路部212とは、第2方向D2の同じ位置において、互いに第1方向D1に離間して配置されている。第1昇降経路部211と第2昇降経路部212とは、互いに平行状に配置されている。第1昇降経路部211の延在方向(上下方向)の寸法と第2昇降経路部212の延在方向(上下方向)の寸法とは、同等となっている。
【0017】
本実施形態では、接続経路部22は、第1昇降経路部211の上端部と第2昇降経路部212の上端部とを接続する上側接続経路部22uと、第1昇降経路部211の下端部と第2昇降経路部212の下端部とを接続する下側接続経路部22dと、を含んでいる。上側接続経路部22uと下側接続経路部22dとは、第2方向D2の同じ位置において、互いに上下方向に離間して配置されている。上側接続経路部22uと下側接続経路部22dとは、互いに平行状に配置されている。上側接続経路部22uの延在方向(第1方向D1)の寸法と下側接続経路部22dの延在方向(第1方向D1)の寸法とは、同等となっている。
【0018】
本実施形態では、搬送経路2は、搬送台車1が複数の移載対象箇所Zを通るように一方向に循環する循環経路を形成している。本例では、第1昇降経路部211、上側接続経路部22u、第2昇降経路部212、及び下側接続経路部22dが、互いに搬送方向Dtに沿って連続して配置されていることにより、第2方向D2視においてループ状を成す循環経路が形成されている。
【0019】
このように、搬送経路2は、第2方向D2視においてループ状を成す循環経路を形成している。そのため、上記で定義した「搬送方向Dt」、すなわち「搬送経路2に沿う方向」は、搬送経路2におけるいずれの位置を基準とするかによって変わる。具体的には、図1に示すように、搬送経路2における昇降経路部21(第1昇降経路部211及び第2昇降経路部212)では、搬送方向Dtは上下方向に相当する(図2も参照)。一方、搬送経路2における接続経路部22(上側接続経路部22u及び下側接続経路部22d)では、搬送方向Dtは第1方向D1に相当する(図4も参照)。
【0020】
また、上記で定義した「搬送幅方向Dw」、すなわち「第2方向D2視で搬送方向Dtに直交する方向」についても、搬送経路2におけるいずれの位置を基準とするかによって変わる。具体的には、図1に示すように、搬送経路2における昇降経路部21(第1昇降経路部211及び第2昇降経路部212)では、搬送幅方向Dwは第1方向D1に相当する(図2も参照)。一方、搬送経路2における接続経路部22(上側接続経路部22u及び下側接続経路部22d)では、搬送幅方向Dwは上下方向に相当する(図4も参照)。
【0021】
搬送経路2に隣接する位置には、搬送台車1との間で物品Gの移載が行われる移載対象箇所Zが設けられている。移載対象箇所Zは、搬送方向Dtに沿う複数箇所に設けられている。
【0022】
本実施形態では、移載対象箇所Zとして、第1昇降経路部211に対して第1方向第1側D11に隣接する位置に、物品Gが順次搬送されてきて保持される保持部50を複数備えた保持装置5が配置されている。詳細には、各保持部50が移載対象箇所Zとなる。保持装置5は、例えば、自動倉庫に保管されている物品Gを出庫するための装置とされる。この場合、各保持部50には、自動倉庫から出庫される物品Gが順次搬送されてくる。
【0023】
複数の保持部50は、搬送方向Dtに沿って並んで配置されている。本例では、複数の保持部50は、上下方向に沿って並んで配置されている。
【0024】
複数の保持部50のそれぞれは、物品Gを第1方向第2側D12に向けて搬送するように構成されている。これにより、複数の保持部50のそれぞれは、物品Gを搬送経路2に隣接する位置に順次搬送可能であると共に、搬送台車1に対して物品Gを引き渡すことが可能となっている。例えば、複数の保持部50のそれぞれは、第1方向D1に沿って物品Gを搬送するコンベヤを備えている。
【0025】
本実施形態では、移載対象箇所Zとして、搬送経路2のいずれかの箇所に、物品Gを外部へ搬出する搬出部7が配置されている。本例では、搬出部7は、搬送経路2(具体的には、第2昇降経路部212)に対して第1方向第2側D12に隣接する位置に配置されている。
【0026】
搬出部7は、物品Gを第1方向第2側D12に向けて搬送するように構成されている。これにより、搬出部7は、搬送台車1から適切に物品Gを受け取ることが可能であると共に、受け取った物品Gを次の工程が行われる場所(例えば、物品Gから商品を取り出すピッキング作業が行われる場所)等に搬送可能となっている。例えば、搬出部7は、第1方向D1に沿って物品Gを搬送するコンベヤを備えている。
【0027】
本実施形態では、移載対象箇所Zとして、第1方向D1における第1昇降経路部211と第2昇降経路部212との間に、物品Gを一時的に保管可能な仮置き部61が配置されている。すなわち、仮置き部61は、第1昇降経路部211に対して第1方向第2側D12に配置されていると共に、第2昇降経路部212に対して第1方向第1側D11に配置されている。
【0028】
本明細書では、仮置き部61を、「第1仮置き部61」とする。本例では、複数の第1仮置き部61が、搬送方向Dtに沿って並んで配置されている。図示の例では、複数の第1仮置き部61は、上下方向に沿って並んで配置されている。複数の第1仮置き部61は、搬送経路2における、複数の保持部50のいずれかから搬出部7までの間に配置されている。
【0029】
複数の第1仮置き部61のそれぞれは、物品Gを第1方向D1に沿って搬送するように構成されている。これにより、複数の第1仮置き部61のそれぞれは、第1昇降経路部211にある搬送台車1から物品Gを受け取ることが可能であると共に、第2昇降経路部212にある搬送台車1へ物品Gを引き渡すことが可能となっている。例えば、複数の第1仮置き部61のそれぞれは、第1方向D1に沿って物品Gを搬送するコンベヤを備えている。
【0030】
本実施形態では、移載対象箇所Zとして、第2昇降経路部212に対して第1方向第2側D12に、物品Gを一時的に保管可能な第2仮置き部62が配置されている。本例では、複数の第2仮置き部62が、搬送方向Dtに沿って並んで配置されている。図示の例では、複数の第2仮置き部62は、上下方向に沿って並んで配置されている。複数の第2仮置き部62は、搬送経路2における、複数の保持部50(詳細には最も下流端に配置された保持部50)から搬出部7までの間に配置されている。
【0031】
複数の第2仮置き部62のそれぞれは、物品Gを第1方向D1に沿って搬送するように構成されている。これにより、複数の第2仮置き部62のそれぞれは、第2昇降経路部212にある搬送台車1との間で物品Gの受け渡しが可能となっている。例えば、複数の第2仮置き部62のそれぞれは、第1方向D1に沿って物品Gを搬送するコンベヤを備えている。
【0032】
搬送台車1は、複数の保持部50のうちいずれかの保持部50に保持されている物品Gを、搬出部7へ搬送するように構成されている。搬送設備100は、制御システム(不図示)を備えており、搬送台車1は、制御システムによって実行される各処理に応じて制御される。
【0033】
例えば、制御システムは、中継搬出処理を実行する。中継搬出処理の実行により、搬送台車1は、搬出部7へ搬送すべき物品G(以下、「対象物品G」と称する。)を保持部50から受け取って第1昇降経路部211で第1仮置き部61に引き渡し、その後、第2昇降経路部212で当該第1仮置き部61から当該対象物品Gを受け取って搬出部7に引き渡す。すなわち、搬送台車1は、第1昇降経路部211にある状態で、対象物品Gを保持部50から受け取って第1仮置き部61に引き渡す。そして、搬送台車1は、第2昇降経路部212にある状態で、先ほど第1仮置き部61に引き渡した対象物品Gを当該第1仮置き部61から受け取って搬出部7に引き渡す。上記中継搬出処理は、複数の第1仮置き部61の中に、対象物品Gを引き渡し可能な空きの第1仮置き部61が存在していることを1つの条件として実行される。
【0034】
例えば、制御システムは、中間搬送処理を実行する。中間搬送処理は、中継搬出処理の途中で実行される処理である。具体的には、中継搬出処理の実行により搬送台車1が保持部50から受け取った物品Gを第1仮置き部61に引き渡した後に、中間搬送処理が実行される。中間搬送処理の実行により、搬送台車1は、中継搬出処理の途中で、対象物品Gとは異なる物品G(以下、「非対象物品G」と称する。)を保持部50から受け取って空きの第1仮置き部61又は第2仮置き部62に引き渡す。その後、中継搬出処理が再開され、搬送台車1は、第2昇降経路部212で第1仮置き部61から対象物品Gを受け取って搬出部7に引き渡す。上記中間搬送処理は、複数の第1仮置き部61及び複数の第2仮置き部62の中に、非対象物品Gを引き渡し可能な空きの第1仮置き部61又は第2仮置き部62が存在していることを1つの条件として実行される。
【0035】
例えば、制御システムは、直接搬出処理を実行する。直接搬出処理の実行により、搬送台車1は、対象物品Gを保持部50から受け取ってそのまま搬出部7まで搬送し、当該搬出部7に引き渡す。上記直接搬出処理は、対象物品Gを引き渡し可能な空きの第1仮置き部61が存在していないことを1つの条件として実行される。
【0036】
次に、搬送台車1及び搬送経路2の具体的構造について説明する。
【0037】
図2は、第1昇降経路部211の一部を示している。図3は、図2におけるIII-III断面図である。図4は、図1におけるIV-IV断面図であり、下側接続経路部22dの一部を示している。
【0038】
図2図4に示すように、搬送経路2は、搬送方向Dtに沿って延在すると共に互いに第2方向D2に離間して配置された一対の駆動レール3と、一対の駆動レール3に対して搬送幅方向Dwの異なる位置において互いに第2方向D2に離間して配置された一対の補助レール4と、を備えている。
【0039】
本実施形態では、駆動レール3は、第1昇降経路部211、上側接続経路部22u、第2昇降経路部212、及び下側接続経路部22dに沿って配置されており、第2方向D2視でループ状を成すように形成されている(図1参照)。
【0040】
本実施形態では、駆動レール3は、搬送台車1の駆動輪12が配置される内部空間を有している。本例では、駆動レール3は、第2方向D2の内側のみが開放した形状に形成されている(図3及び図4参照)。これにより、搬送台車1の本体部10から第2方向D2の外側に突出する駆動軸12aによって支持された駆動輪12が、駆動レール3の内部に適切に配置されるようになっている。
【0041】
駆動レール3は、搬送方向Dtに沿って設けられたレール側ギヤ部30を有している。レール側ギヤ部30は、搬送台車1の駆動輪12に噛み合うように構成されている。本実施形態では、レール側ギヤ部30は、駆動レール3の内部における搬送幅方向Dwの一方側を向く面に形成されている。
【0042】
補助レール4は、第1昇降経路部211、上側接続経路部22u、第2昇降経路部212、及び下側接続経路部22dに沿って配置されており、第2方向D2視でループ状を成すように形成されている(図1参照)。
【0043】
本実施形態では、補助レール4は、搬送台車1の第1補助輪15又は第2補助輪16が配置される内部空間を有している。本例では、補助レール4は、第2方向D2の内側のみが開放した形状に形成されている(図3及び図4参照)。これにより、搬送台車1の本体部10から第2方向D2の外側に突出する第1補助軸15aによって支持された第1補助輪15、又は、搬送台車1の本体部10から第2方向D2の外側に突出する第2補助軸16aによって支持された第2補助輪16が、補助レール4の内部に適切に配置されるようになっている。
【0044】
補助レール4は、搬送方向Dtに沿うと共に搬送幅方向Dwに対向する一対の案内面40を有している。一対の案内面40は、搬送台車1の第1補助輪15及び第2補助輪16を搬送方向Dtに沿って案内するように構成されている。一対の案内面40は、補助レール4の内部において互いに搬送幅方向Dwに対向するように形成されている。一対の案内面40の搬送幅方向Dwの間隔は、第1補助輪15や第2補助輪16が一対の案内面40の双方に同時に接触しない間隔に設定されている。搬送幅方向Dwにおける一対の案内面40の間に、搬送台車1の第1補助輪15及び第2補助輪16が配置される。
【0045】
搬送台車1は、第2方向D2における一対の駆動レール3の間かつ第2方向D2における一対の補助レール4の間に配置された本体部10と、移載対象箇所Zとの間で物品Gを移載する移載部11と、一対の駆動レール3のそれぞれのレール側ギヤ部30に噛み合う車輪側ギヤ部12gを備えた駆動輪12と、一対の補助レール4のそれぞれに案内される第1補助輪15と、一対の補助レール4のそれぞれに案内される第2補助輪16と、備えている。
【0046】
本実施形態では、本体部10は、第2方向D2の両側のそれぞれにおいて駆動輪12、第1補助輪15、及び第2補助輪16を支持する本体支持部101を備えている。本例では、本体支持部101は、駆動輪12が連結された駆動軸12aを介して当該駆動輪12を支持している。また、本体支持部101は、第1補助輪15が連結された第1補助軸15aを介して当該第1補助輪15を支持している。さらに、本体支持部101は、第2補助輪16が連結された第2補助軸16aを介して当該第2補助輪16を支持している。
【0047】
本実施形態では、本体支持部101は、第2方向D2に直交する面に沿って延在する板状に形成されている。一対の本体支持部101が、互いに第2方向D2に離間して配置されている。本実施形態では、本体部10は、一対の本体支持部101を連結する本体連結部102を備えている(図4参照)。本例では、本体連結部102は、一対の本体支持部101のそれぞれにおける下端部を連結している。また、本体連結部102は、水平面に沿って延在する板状に形成されている。
【0048】
移載部11は、第1方向D1に沿って物品Gを移動させるように構成されている。これにより、移載部11は、搬送台車1に対して第1方向D1に隣接して配置された各移載対象箇所Zとの間で、物品Gを移載可能となっている。本例では、移載部11は、コンベヤを用いて構成されている。但し、移載部11は、フォーク機構やチャック機構等を備えた周知の移載手段を用いて構成されていても良い。
【0049】
一対の駆動輪12は、本体部10から第2方向D2の外側に突出する駆動軸12aに連結されている。駆動輪12は、第2方向D2に沿う軸心まわりに回転するように構成されている。駆動軸12aは、モータ等の駆動源(不図示)によって回転駆動される。図4に示す例では、一対の駆動輪12は、共通の駆動軸12aに連結されている。但し、一対の駆動輪12のそれぞれが、別々の駆動軸12aに連結されていても良い。
【0050】
一対の第1補助輪15及び一対の第2補助輪16は、本体部10に対して回転自在に支持された非駆動輪である。第1補助輪15及び第2補助輪16は、第2方向D2に沿う軸心まわりに回転するように構成されている。第1補助輪15及び第2補助輪16は、補助レール4に備えられた一対の案内面40の間に配置され、案内面40との接触によって回転するように構成されている。上記のように、一対の第1補助輪15及び一対の第2補助輪16が非駆動輪であるため、搬送台車1に搭載される駆動源の数を少なく抑えることができる。従って、搬送台車1の低コスト化を図ることが可能となっている。
【0051】
図2に示すように、駆動輪12と第1補助輪15と第2補助輪16とのうちの少なくとも2つが、上下方向の異なる位置に配置されている。すなわち、搬送台車1における第2方向D2の両側のそれぞれにおいて、少なくとも2つの車輪が、上下方向の異なる位置で駆動レール3又は補助レール4によって支持されている。これにより、搬送台車1が上下方向に対して傾くことを抑制し易くなっている。
【0052】
本実施形態では、駆動輪12と第1補助輪15と第2補助輪16とが、互いに上下方向の異なる位置に配置されている。すなわち、搬送台車1における第2方向D2の両側のそれぞれにおいて、3つの車輪が上下方向の異なる位置で支持されている。本例では、駆動輪12に対して第1方向第2側D12に離間した位置において、第1補助輪15と第2補助輪16とが上下方向に離間して配置されている。そして、第1補助輪15と第2補助輪16との上下方向の間に、駆動輪12が配置されている。これにより、搬送台車1が上下方向に対して傾こうとした場合に生じるモーメントを、第1補助輪15と第2補助輪16とが案内面40に接触することによって受け止めることができる。そのため、搬送台車1の傾きに起因して駆動輪12に負荷が掛かることを回避することができる。従って、搬送台車1の傾きを抑制しつつ、搬送台車1が搬送経路2に沿って移動するための推進力を適切に付与し易い。なお、本例では、第1補助輪15と第2補助輪16とは、互いに上下方向に離間しつつ、第1方向D1の同じ位置に配置されている。
【0053】
本実施形態では、駆動レール3と補助レール4とは、昇降経路部21(第1昇降経路部211及び第2昇降経路部212)と接続経路部22(上側接続経路部22u及び下側接続経路部22d)とにおいて、駆動輪12と第1補助輪15と第2補助輪16との第1方向D1及び上下方向の位置関係が同じになるように配置されている。換言すれば、搬送台車1が搬送経路2におけるいずれの位置にある状態であっても、駆動輪12と第1補助輪15と第2補助輪16との相対位置は一定となっている。よって、搬送台車1は、その姿勢を維持した状態で、搬送経路2に沿って移動する。
【0054】
本実施形態では、駆動輪12は、第1補助輪15と第2補助輪16との双方に対して、常に第1方向第1側D11に配置されている。また、駆動輪12は、常に、上下方向における第1補助輪15と第2補助輪16との間に配置されている。第1補助輪15と第2補助輪16とは、駆動輪12に対して、常に第1方向第2側D12に配置されている。第1補助輪15は、第2補助輪16に対して、常に上方に配置されている。反対に、第2補助輪16は、第1補助輪15に対して、常に下方に配置されている。
【0055】
図1図4に示すように、本実施形態では、補助レール4は、第1補助輪15のみが通過する第1補助輪通過部41と、第2補助輪16のみが通過する第2補助輪通過部42と、第1補助輪15及び第2補助輪16の双方が通過する双輪通過部43と、を備えている。
【0056】
図1及び図4に示すように、第1補助輪通過部41と第2補助輪通過部42とは、接続経路部22(上側接続経路部22u及び下側接続経路部22d)に配置されている。接続経路部22において、第1補助輪通過部41と第2補助輪通過部42とは、互いに平行状に第1方向D1に沿って配置されると共に、上下方向の異なる位置に配置されている。第1補助輪通過部41と第2補助輪通過部42との双方は、接続経路部22と昇降経路部21との接続部分において、双輪通過部43に連続している。本例では、第1補助輪通過部41と第2補助輪通過部42とは、接続経路部22と昇降経路部21との接続部分において、第2方向D2視で湾曲している。これにより、第1方向D1に延在する第1補助輪通過部41と第2補助輪通過部42とが、上下方向に延在する双輪通過部43に対して緩やかな角度で連続するように形成されている。
【0057】
図1図3に示すように、双輪通過部43は、昇降経路部21(第1昇降経路部211及び第2昇降経路部212)に配置されている。本例では、昇降経路部21において、双輪通過部43は、上下方向に沿って延在している。接続経路部22において第1補助輪通過部41を通過している第1補助輪15と第2補助輪通過部42を通過している第2補助輪16とが、昇降経路部21において双輪通過部43に合流する。また、昇降経路部21において双輪通過部43を通過している第1補助輪15及び第2補助輪16が、接続経路部22において第1補助輪通過部41と第2補助輪通過部42とに分岐する。上述したように駆動輪12と第1補助輪15と第2補助輪16との相対位置は一定となっている。そのため、搬送台車1が昇降経路部21から接続経路部22に進入する際に、第1補助輪15は、第1補助輪15が進入すべき第1補助輪通過部41に分岐し、第2補助輪16は、第2補助輪16が進入すべき第2補助輪通過部42に分岐する。
【0058】
図3及び図4に示すように、本実施形態では、一対の駆動輪12のそれぞれに対応して、駆動軸12aと同軸上に、駆動レール3に対する一対の駆動輪12のそれぞれの位置を規制するための第1規制輪13及び第2規制輪14が配置されている。本例では、搬送台車1における第2方向D2の両側のそれぞれにおいて、第1規制輪13と第2規制輪14とが共通の駆動軸12aに連結されている。すなわち本例では、駆動軸12aには、一対の駆動輪12と、一対の第1規制輪13と、一対の第2規制輪14と、が連結されている。但し、第1規制輪13及び第2規制輪14は、駆動軸12aに対して空転するように構成されており、第1規制輪13及び第2規制輪14には、駆動軸12aからの駆動力は伝達されない。
【0059】
本実施形態では、駆動レール3は、搬送方向Dtに沿って延在すると共に第1規制輪13の搬送幅方向Dwの一方側への移動を規制する第1規制面31と、搬送方向Dtに沿って延在すると共に第2規制輪14の搬送幅方向Dwの他方側への移動を規制する第2規制面32と、を有する。駆動軸12aに連結された第1規制輪13と第2規制輪14との搬送幅方向Dwへの移動が第1規制面31と第2規制面32とにより規制されることにより、駆動レール3に対する駆動軸12aの搬送幅方向Dwの位置を一定の範囲内に制限することができる。そのため、当該駆動軸12aに連結された駆動輪12の駆動レール3に対する搬送幅方向Dwの位置を、安定させることができる。従って、駆動輪12の車輪側ギヤ部12gと駆動レール3のレール側ギヤ部30との噛み合い状態を安定させ易い。
【0060】
ここで、第1規制輪13が搬送幅方向Dwの一方側へ移動しようとした場合、第1規制輪13は、第1規制面31と接触して、第1規制面31を転動する。第2規制輪14が搬送幅方向Dwの他方側へ移動しようとした場合、第2規制輪14は、第2規制面32と接触して、第2規制面32を転動する。この場合、第1規制面31を転動する第1規制輪13と第2規制面32を転動する第2規制輪14とは、互いに反対方向に回転することになる。しかし、上述のように本例では、第1規制輪13及び第2規制輪14は、駆動軸12aに対して空転するように構成されているため、第1規制輪13と第2規制輪14とが互いに反対方向に回転する場合であっても、搬送台車1が搬送経路2に沿って移動する際の妨げとならない。従って、第1規制輪13と第2規制輪14とに、駆動輪12の位置調整機能を適切に発揮させることが可能となる。
【0061】
本実施形態では、一対の補助レール4に対して第2方向D2の外側に、一対の駆動レール3が配置されている。そして、上述のように、駆動輪12は、本体部10から第2方向D2の外側に突出する駆動軸12aに連結されている。そのため、図1に示すように、第2方向D2視で駆動レール3と補助レール4とが交差する交差部Xでは、本体部10から第2方向D2の外側に突出する駆動軸12aが、補助レール4に干渉し得る。
【0062】
しかしながら、本実施形態では、第2方向D2視で駆動レール3と補助レール4とが交差する交差部X(図1参照)に、補助レール4を分断する切欠部44が設けられている。図5に示すように、切欠部44は、交差部Xを駆動輪12が通過する場合の駆動軸12aの移動軌跡と補助レール4とが干渉しないように形成されている。このような構成により、駆動レール3と補助レール4とが交差する交差部Xを駆動輪12が通過する場合に、駆動軸12aが補助レール4に干渉することを回避することができる。また、交差部Xにおいて切欠部44により補助レール4を分断することで、駆動レール3については、搬送経路2のいずれの箇所においても分断箇所の無い連続した構成を実現できる。従って、搬送経路2のいずれの箇所においても、搬送台車1が搬送経路2に沿って移動するための推進力を適切に付与することができる。本例では、図1に示すように、搬送経路2における4箇所に、交差部Xがある。そして、4つの交差部Xのそれぞれに、切欠部44が設けられている。図5及び図6は、4つの交差部Xのうち、下側接続経路部22dと第2昇降経路部212とが交差する交差部X1を示している。
【0063】
補助レール4に切欠部44が設けられている構成では、補助レール4に案内されて移動している第1補助輪15及び第2補助輪16が、切欠部44において一旦補助レール4から外れ、再び補助レール4に進入することになる。第1補助輪15及び第2補助輪16が、再び補助レール4に進入する際に補助レール4に対して位置ずれしていると、補助レール4への再進入が適切に行えない場合がある。
【0064】
そこで、図6に示すように、本実施形態では、補助レール4の一対の案内面40は、切欠部44に対して下流側において、切欠部44に接近するに従って搬送幅方向Dwの対向間隔が次第に広くなるように形成されている。これにより、補助レール4に案内されて移動している第1補助輪15及び第2補助輪16が、切欠部44において一旦補助レール4から外れ、再び補助レール4に進入する際に、第1補助輪15及び第2補助輪16を補助レール4に適切に案内することができる。上述のように、図6は、下側接続経路部22dと第2昇降経路部212とが交差する交差部X1を示しているが、他の3箇所の交差部Xにおいても、補助レール4は同様の構成となっている。なお、図6は、図1を紙面の奥側から手前側に向けて見た状態を示している。
【0065】
以上説明した搬送設備100によれば、駆動輪12と第1補助輪15と第2補助輪16とのうちの少なくとも2つが、上下方向の異なる位置に配置されているため、搬送台車1が上下方向に対して傾くことを抑制し易い。そのため、昇降経路部21を昇降する搬送台車1の姿勢維持を適切に行うことができる。また、一対の第1補助輪15及び一対の第2補助輪16が非駆動輪であるため、搬送台車1に搭載される駆動源の数を少なく抑えることができる。そのため、搬送台車1の低コスト化を図ることが可能となる。
【0066】
〔その他の実施形態〕
次に、搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0067】
(1)上記の実施形態では、駆動輪12に対して第1方向第2側D12に離間した位置において、第1補助輪15と第2補助輪16とが上下方向に離間して配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば図7に示すように、駆動輪12に対して第1方向第1側D11に第1補助輪15が配置され、駆動輪12に対して第1方向第2側D12に第2補助輪16が配置されていても良い。すなわちこの場合、第1方向D1における第1補助輪15と第2補助輪16との間に、駆動輪12が配置される。なお、図7に示す例では、補助レール4は、昇降経路部21において第1補助輪15と第2補助輪16とが別々に通過可能な通過部を備えている。これにより、第1補助輪15と第2補助輪16とが第1方向D1における異なる位置に配置されていても、第1補助輪15と第2補助輪16とを補助レール4によって適切に支持することができる。
【0068】
(2)上記の実施形態では、第1補助輪15と第2補助輪16との上下方向の間に、駆動輪12が配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば図8に示すように、第1補助輪15と第2補助輪16との双方に対して、駆動輪12が下方に配置されていても良い。なお、図8では、第1補助輪15と第2補助輪16とが上下方向における同じ位置に配置されている例を示しているが、第1補助輪15と第2補助輪16とは、駆動輪12よりも上方において、互いに上下方向の異なる位置に配置されていても良い。また、図8に示す例とは反対に、第1補助輪15と第2補助輪16との双方に対して、駆動輪12が上方に配置されていても良い。この場合においても、第1補助輪15と第2補助輪16とは、上下方向における同じ位置に配置されていても良いし異なる位置に配置されていても良い。なお、図8に示す例では、補助レール4は、昇降経路部21において第1補助輪15と第2補助輪16とが別々に通過可能な通過部を備えている。これにより、第1補助輪15と第2補助輪16とが第1方向D1における異なる位置に配置されていても、第1補助輪15と第2補助輪16とを補助レール4によって適切に支持することができる。
【0069】
(3)上記の実施形態では、昇降経路部21が鉛直方向に沿って延在するように形成されており、接続経路部22が水平方向に沿って延在するように形成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、昇降経路部21は、鉛直方向に対して傾斜した方向に沿って延在するように形成されていても良いし、第2方向D2視で円弧状に形成されていても良い(或いは第2方向D2視で円弧状に形成された部分を一部に有していても良い。)。また、接続経路部22は、水平方向に対して傾斜した方向に沿って延在するように形成されていても良いし、第2方向D2視で円弧状に形成されていても良い(或いは第2方向D2視で円弧状に形成された部分を一部に有していても良い。)。
【0070】
(4)上記の実施形態では、搬送経路2が、上下方向に交差する方向に沿って延在する接続経路部22を有している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送経路2は、接続経路部22を備えていなくても良い。この場合に、昇降経路部21が第2昇降経路部212を含まない構成としても良く、或いは、昇降経路部21が第2昇降経路部212を含む構成としても良い。後者の場合、搬送設備100は、第1昇降経路部211を移動する搬送台車1と、第2昇降経路部212を移動する搬送台車1とを各別に備える。そして、例えば、第1昇降経路部211にある搬送台車1が第1仮置き部61に引き渡した物品Gを、第2昇降経路部212にある搬送台車1が当該第1仮置き部61から受け取って搬出部7に引き渡す。
【0071】
(5)上記の実施形態では、一対の駆動輪12のそれぞれに対応して、駆動軸12aと同軸上に、駆動レール3に対する一対の駆動輪12のそれぞれの位置を規制するための第1規制輪13及び第2規制輪14が配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、一対の駆動輪12のそれぞれに対して、第1規制輪13及び第2規制輪14のいずれか一方が配置されていても良い。或いは、第1規制輪13及び第2規制輪14のいずれもが配置されていなくても良い。
【0072】
(6)上記の実施形態では、補助レール4の一対の案内面40が、切欠部44に対して下流側において、切欠部44に接近するに従って搬送幅方向Dwの対向間隔が次第に広くなるように形成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、一対の案内面40の搬送幅方向Dwの対向間隔は、切欠部44の付近においても一定であって良い。
【0073】
(7)上記の実施形態では、移載対象箇所Zとして、第1昇降経路部211に対して第1方向第1側D11に隣接する位置に、物品Gが順次搬送されてきて保持される保持部50を複数備えた保持装置5が配置されている例について説明した。しかし、保持装置5は、必須の構成要素ではなく、搬送設備100に配置されていなくても良い。
【0074】
(8)上記の実施形態では、移載対象箇所Zとして、搬送経路2のいずれかの箇所に、物品Gを外部へ搬出する搬出部7が配置されている例について説明した。しかし、搬出部7は、必須の構成要素ではなく、搬送設備100に配置されていなくても良い。
【0075】
(9)上記の実施形態では、移載対象箇所Zとして、第1方向D1における第1昇降経路部211と第2昇降経路部212との間に、物品Gを一時的に保管可能な仮置き部61が配置されている例について説明した。しかし、仮置き部61は、必須の構成要素ではなく、搬送設備100に配置されていなくても良い。
【0076】
(10)上記の実施形態では、移載対象箇所Zとして、第2昇降経路部212に対して第1方向第2側D12に、物品Gを一時的に保管可能な第2仮置き部62が配置されている例について説明した。しかし、第2仮置き部62は、必須の構成要素ではなく、搬送設備100に配置されていなくても良い。
【0077】
(11)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0078】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した搬送設備について説明する。
【0079】
物品を搬送する搬送台車と、前記搬送台車が昇降するための昇降経路部を有する搬送経路と、を備えた搬送設備であって、
水平面に沿う特定の方向を第1方向とし、前記第1方向に対して平面視で直交する方向を第2方向とし、前記搬送経路に沿う方向を搬送方向とし、前記第2方向に沿う第2方向視で前記搬送方向に直交する方向を搬送幅方向として、
前記搬送経路は、前記搬送方向に沿って延在すると共に互いに前記第2方向に離間して配置された一対の駆動レールと、一対の前記駆動レールに対して前記搬送幅方向の異なる位置において互いに前記第2方向に離間して配置された一対の補助レールと、を備え、
前記駆動レールは、前記搬送方向に沿って設けられたレール側ギヤ部を有し、
前記補助レールは、前記搬送方向に沿うと共に前記搬送幅方向に対向する一対の案内面を有し、
前記搬送台車は、前記第2方向における一対の前記駆動レールの間かつ前記第2方向における一対の前記補助レールの間に配置された本体部と、移載対象箇所との間で前記物品を移載する移載部と、一対の前記駆動レールのそれぞれの前記レール側ギヤ部に噛み合う車輪側ギヤ部を備えた駆動輪と、一対の前記補助レールのそれぞれに案内される第1補助輪と、一対の前記補助レールのそれぞれに案内される第2補助輪と、備え、
一対の前記駆動輪は、前記本体部から前記第2方向の外側に突出する駆動軸に連結され、
一対の前記第1補助輪及び一対の前記第2補助輪は、前記本体部に対して回転自在に支持された非駆動輪であり、
前記駆動輪と前記第1補助輪と前記第2補助輪とのうちの少なくとも2つが、上下方向の異なる位置に配置されている。
【0080】
本構成によれば、搬送台車における第2方向の両側のそれぞれにおいて、駆動輪と第1補助輪と第2補助輪とが、それぞれに対応するレールに支持されている。これにより、搬送台車における第2方向の両側のそれぞれにおいて、3つの車輪による3点支持が実現されている。また、駆動輪と第1補助輪と第2補助輪とのうちの少なくとも2つが、上下方向の異なる位置に配置されている。すなわち、少なくとも2つの車輪が上下方向の異なる位置で支持されているため、搬送台車が上下方向に対して傾くことを抑制し易い。従って、昇降経路部を昇降する搬送台車の姿勢維持を適切に行うことが可能となる。さらに、本構成によれば、一対の第1補助輪及び一対の第2補助輪が非駆動輪であるため、搬送台車に搭載される駆動源の数を少なく抑えることができる。従って、搬送台車の低コスト化を図ることが可能となる。
【0081】
前記搬送経路は、前記昇降経路部に接続され、上下方向に交差する方向に沿って延在する接続経路部を有し、
前記駆動レールと前記補助レールとは、前記昇降経路部と前記接続経路部とにおいて、前記駆動輪と前記第1補助輪と前記第2補助輪との前記第1方向及び上下方向の位置関係が同じになるように配置され、
一対の前記補助レールに対して前記第2方向の外側に、一対の前記駆動レールが配置され、
前記第2方向視で前記駆動レールと前記補助レールとが交差する交差部に、前記補助レールを分断する切欠部が設けられ、
前記切欠部は、前記交差部を前記駆動輪が通過する場合の前記駆動軸の移動軌跡と前記補助レールとが干渉しないように形成されている、と好適である。
【0082】
本構成によれば、駆動レールと補助レールとが交差する交差部を駆動輪が通過する場合に、駆動軸が補助レールに干渉することを回避できる。
【0083】
前記補助レールの一対の前記案内面は、前記切欠部に対して下流側において、前記切欠部に接近するに従って前記搬送幅方向の対向間隔が次第に広くなるように形成されている、と好適である。
【0084】
本構成によれば、補助レールに案内されて移動している第1補助輪及び第2補助輪が、切欠部において一旦補助レールから外れ、再び補助レールに進入する際に、第1補助輪及び第2補助輪を補助レールに適切に案内することができる。
【0085】
一対の前記駆動輪のそれぞれに対応して、前記駆動軸と同軸上に、前記駆動レールに対する一対の前記駆動輪のそれぞれの位置を規制するための第1規制輪及び第2規制輪が配置され、
前記駆動レールは、前記搬送方向に沿って延在すると共に前記第1規制輪の前記搬送幅方向の一方側への移動を規制する第1規制面と、前記搬送方向に沿って延在すると共に前記第2規制輪の前記搬送幅方向の他方側への移動を規制する第2規制面と、を有する、と好適である。
【0086】
本構成によれば、駆動軸に連結された第1規制輪と第2規制輪との搬送幅方向への移動が第1規制面と第2規制面とにより規制されることにより、駆動レールに対する駆動軸の搬送幅方向の位置を一定の範囲内に制限することができる。そのため、当該駆動軸に連結された駆動輪の駆動レールに対する搬送幅方向の位置を、安定させることができる。従って、駆動輪の車輪側ギヤ部と駆動レールのレール側ギヤ部との噛み合い状態を安定させ易い。
【0087】
前記搬送経路は、前記昇降経路部に接続され、上下方向に交差する方向に沿って延在する接続経路部を有し、
前記第1方向における一方側を第1方向第1側とし、前記第1方向における他方側を第1方向第2側として、
前記昇降経路部は、第1昇降経路部と、前記第1昇降経路部に対して前記第1方向第2側に離間して配置された第2昇降経路部と、を含み、
前記接続経路部は、前記第1昇降経路部の上端部と前記第2昇降経路部の上端部とを接続する上側接続経路部と、前記第1昇降経路部の下端部と前記第2昇降経路部の下端部とを接続する下側接続経路部と、を含み、
前記移載対象箇所として、前記第1昇降経路部に対して前記第1方向第1側に隣接する位置に、前記物品が順次搬送されてきて保持される保持部を複数備えた保持装置が配置され、
前記移載対象箇所として、前記第1方向における前記第1昇降経路部と前記第2昇降経路部との間に、前記物品を一時的に保管可能な仮置き部が配置され、
前記移載対象箇所として、前記搬送経路のいずれかの箇所に、前記物品を外部へ搬出する搬出部が配置されている、と好適である。
【0088】
本構成によれば、保持装置に保持されている物品を、搬送経路に沿って搬送台車により搬送し、搬出部によって適切に外部に搬出することができる。また、保持装置に保持されている物品を、搬送台車によって受け取り、搬送途中において仮置き部に一時的に保管しておくことができる。仮置き部に保管されている物品は、搬送状況に応じて、搬送台車によって受け取られて搬出部に搬送される。このように、本構成によれば、保持装置に保持されている物品を、搬送状況に応じて、搬出部へ直接的または間接的に搬送し、或いは、仮置き部に貯めておくことができる。従って、設備全体の搬送効率を高め易い。
【0089】
前記仮置き部は第1仮置き部であり、
前記第2昇降経路部に対して前記第1方向第2側に、前記物品を一時的に保管可能な第2仮置き部が配置されている、と好適である。
【0090】
本構成によれば、保持装置に保持されている物品を、搬送台車によって受け取り、搬送途中において、第1仮置き部に加えて、第2仮置き部にも一時的に保管しておくことができる。従って、設備全体の搬送効率を更に高め易い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示に係る技術は、物品を搬送する搬送台車と、前記搬送台車が昇降するための昇降経路部を有する搬送経路と、を備えた搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0092】
100 :搬送設備
1 :搬送台車
10 :本体部
11 :移載部
12 :駆動輪
12a :駆動軸
12g :車輪側ギヤ部
13 :第1規制輪
14 :第2規制輪
15 :第1補助輪
16 :第2補助輪
2 :搬送経路
21 :昇降経路部
211 :第1昇降経路部
212 :第2昇降経路部
22 :接続経路部
22d :下側接続経路部
22u :上側接続経路部
3 :駆動レール
30 :レール側ギヤ部
31 :第1規制面
32 :第2規制面
4 :補助レール
40 :案内面
44 :切欠部
5 :保持装置
50 :保持部
7 :搬出部
61 :第1仮置き部(仮置き部)
62 :第2仮置き部
X :交差部
Z :移載対象箇所
G :物品
D1 :第1方向
D11 :第1方向第1側
D12 :第1方向第2側
D2 :第2方向
Dt :搬送方向
Dw :搬送幅方向
図1
図2
図3
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図7
図8