(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】光源装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240723BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240723BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
(21)【出願番号】P 2022046484
(22)【出願日】2022-03-23
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】岩間 裕一朗
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/173284(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0066109(US,A1)
【文献】実開平06-002762(JP,U)
【文献】特開2020-148978(JP,A)
【文献】特開2013-148719(JP,A)
【文献】特開2007-298600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K9/00-9/90
F21S2/00-45/70
F21V23/00-99/00
G02B7/00
7/18-7/24
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
H04N5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を射出する発光素子と、
前記発光素子から射出される前記光を導光させる導光部材と、
溝部を有し、前記溝部の内部に前記導光部材を支持する支持部材と、
前記溝部の内部において前記導光部材の位置を規制する位置規制部材と、
を備え、
前記導光部材は、前記導光部材の長手方向である第1方向において互いに反対側に位置
する第1面および第2面と、前記第1方向に垂直な仮想面内における第2方向において互
いに反対側に位置する第3面および第4面と、前記仮想面内における前記第2方向に垂直
な第3方向において互いに反対側に位置する第5面および第6面と、を有し、
前記導光部材を導光する前記光は、前記第1面から射出され、
前記発光素子は、前記第3面に対向して設けられ、
前記溝部は、前記第4面に対向している支持面と、前記第5面に対向し前記第5面と離
間している第1壁面と、前記第6面に対向し前記第6面と離間している第2壁面と、を有
、
前記位置規制部材は、前記溝部の内部において前記第5面と前記第1壁面との間に配置
される第1配置部と、前記溝部の内部において前記第6面と前記第2壁面との間に配置さ
れる第2配置部と、を有する、光源装置。
【請求項2】
前記第1配置部は、前記第5面に対向する第1規制面と、前記第1壁面に対向する第2
規制面と、を有し、
前記第2配置部は、前記第6面に対向する第3規制面と、前記第2壁面に対向する第4
規制面と、を有する、請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1規制面と前記第5面とが互いに当接し、前記第2規制面と前記第1壁面とが互
いに当接し、前記第3規制面と前記第6面とが互いに当接し、前記第4規制面と前記第2
壁面とが互いに当接する、請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記第1配置部および前記第2配置部のそれぞれは、弾性変形可能な材料で構成され、
前記第1配置部は、弾性変形した状態で前記溝部の内部において前記第5面と前記第1
壁面との間に配置され、
前記第2配置部は、弾性変形した状態で前記溝部の内部において前記第6面と前記第2
壁面との間に配置されている、請求項3に記載の光源装置。
【請求項5】
前記第1規制面と前記第5面とが互いに離間し、前記第2規制面と前記第1壁面とが互
いに離間し、前記第3規制面と前記第6面とが互いに離間し、前記第4規制面と前記第2
壁面とが互いに離間する、請求項2に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1配置部および前記第2配置部のそれぞれは、剛体で構成されている、請求項5
に記載の光源装置。
【請求項7】
前記位置規制部材は、前記第3面に対向して設けられ、前記第1配置部と前記第2配置
部とを連結する連結部をさらに有する、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載
の光源装置。
【請求項8】
前記第3面に垂直な方向から見て、前記位置規制部材は、前記発光素子と重ならない位
置に配置されている、請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記連結部は、前記第3面に向かって突出し、前記第3面に当接する凸部を有する、請
求項7または請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記第1配置部と前記第2配置部とは、それぞれ個別の部材で構成される、請求項1か
ら請求項6までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記位置規制部材は、第3配置部をさらに有し、
前記第3配置部は、前記支持部材と嵌合し、前記位置規制部材の前記第1方向への移動
を規制する、請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記第1壁面は、前記第3面側に位置している第1部分と、前記支持面側に位置してい
る第2部分とを有し、前記第1部分は前記支持面に対して垂直な方向に延び、前記第2部
分は、前記第1部分側から前記支持面側に向かうにつれて前記第5面に近づくように傾斜
し、
前記第
2壁面は、前記第3面側に位置している第3部分と、前記支持面側に位置してい
る第4部分とを有し、前記第3部分は前記支持面に対して垂直な方向に延び、前記第4部
分は、前記第3部分側から前記支持面側に向かうにつれて前記第6面に近づくように傾斜
し、
前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、および前記第4部分は、前記光の少なく
とも一部を反射する、請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項13】
前記発光素子は、第1波長帯を有する第1光を射出し、
前記導光部材は、蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1
波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光に変換し、前記第2光を射出する波長変換部
材である、請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項14】
請求項13に記載の光源装置と、
前記光源装置から射出される前記第2光を含む前記光を画像情報に応じて変調する光変
調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、発光素子から射出された励起光を蛍光体に照射した際に蛍光体から発せられる蛍光を利用した光源装置が提案されている。
【0003】
下記の特許文献1には、励起光を射出する励起光源と、励起光を蛍光に変換するロッド状の蛍光体と、蛍光体で発生する熱を放出させる熱伝導部材と、を備える光源装置が開示されている。蛍光体は、熱伝導部材の溝部の内部に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の光源装置において、発光素子から射出される励起光は、蛍光体の幅を超えて広がり、溝部の壁面と蛍光体との間隙に入射することが考えられる。ところが、特許文献1の光源装置においては、蛍光体が溝部の一方の壁面に近接して配置されているため、壁面に近接した側の蛍光体の側面からは励起光がほとんど入射されない。そのため、励起光の利用効率が低くなり、所望の強度を有する蛍光が得られないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の光源装置は、光を射出する発光素子と、前記発光素子から射出される前記光を導光させる導光部材と、溝部を有し、前記溝部の内部に前記導光部材を支持する支持部材と、前記溝部の内部において前記導光部材の位置を規制する位置規制部材と、を備え、前記導光部材は、前記導光部材の長手方向である第1方向において互いに反対側に位置する第1面および第2面と、前記第1方向に垂直な仮想面内における第2方向において互いに反対側に位置する第3面および第4面と、前記仮想面内における前記第2方向に垂直な第3方向において互いに反対側に位置する第5面および第6面と、を有し、前記導光部材を導光する前記光は、前記第1面から射出され、前記発光素子は、前記第3面に対向して設けられ、前記溝部は、前記第4面に対向している支持面と、前記第5面に対向し前記第5面と離間している第1壁面と、前記第6面に対向し前記第6面と離間している第2壁面と、を有し、前記位置規制部材は、前記溝部の内部において前記第5面と前記第1壁面との間に配置される第1配置部と、前記溝部の内部において前記第6面と前記第2壁面との間に配置される第2配置部と、を有する。
【0007】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置からの前記第2光を含む光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
【
図2】第1実施形態の第1照明装置の概略構成図である。
【
図3】Y軸方向から見た第1実施形態の光源装置の平面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿う光源装置の断面図である。
【
図5】
図3のV-V線に沿う光源装置の断面図である。
【
図7】位置規制部材の取り付け前の状態を示す図である。
【
図12】位置規制部材の取り付け前の状態を示す図である。
【
図15】Y軸方向から見た第3実施形態の光源装置の平面図である。
【
図18】比較例の光源装置の問題点を示す図である。
【
図19】比較例の光源装置の他の問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、
図1~
図7を用いて説明する。
本実施形態のプロジェクターは、光変調装置として液晶パネルを用いたプロジェクターの一例である。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0010】
図1は、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーン(被投写面)SCR上にカラー画像を表示する投写型画像表示装置である。プロジェクター1は、赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの各色光に対応した3つの光変調装置を備える。
【0011】
プロジェクター1は、第1照明装置20と、第2照明装置21と、色分離光学系3と、光変調装置4Rと、光変調装置4Gと、光変調装置4Bと、光合成素子5と、投写光学装置6と、を備える。
【0012】
第1照明装置20は、黄色の蛍光Yを色分離光学系3に向けて射出する。第2照明装置21は、青色光LBを光変調装置4Bに向けて射出する。第1照明装置20および第2照明装置21の詳細な構成については後述する。
【0013】
以下、図面においては、必要に応じてXYZ直交座標系を用いて説明する。Z軸は、プロジェクター1の上下方向に沿う軸である。X軸は、第1照明装置20の光軸AX1および第2照明装置21の光軸AX2と平行な軸である。Y軸は、X軸およびZ軸に直交する軸である。第1照明装置20の光軸AX1は、第1照明装置20から射出される蛍光Yの中心軸である。第2照明装置21の光軸AX2は、第2照明装置21から射出される青色光LBの中心軸である。
【0014】
色分離光学系3は、第1照明装置20から射出される黄色の蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。色分離光学系3は、ダイクロイックミラー7と、第1反射ミラー8aと、第2反射ミラー8bと、を備える。
【0015】
ダイクロイックミラー7は、蛍光Yを赤色光LRと緑色光LGとに分離する。ダイクロイックミラー7は、赤色光LRを透過するとともに、緑色光LGを反射する。第2反射ミラー8bは、緑色光LGの光路中に配置されている。第2反射ミラー8bは、ダイクロイックミラー7で反射した緑色光LGを光変調装置4Gに向けて反射する。第1反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置されている。第1反射ミラー8aは、ダイクロイックミラー7を透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。
【0016】
一方、第2照明装置21から射出される青色光LBは、反射ミラー9によって光変調装置4Bに向けて反射される。
【0017】
以下、第2照明装置21の構成について説明する。
第2照明装置21は、光源部81と、集光レンズ82と、拡散板83と、ロッドレンズ84と、リレーレンズ85と、を備える。光源部81は、少なくとも一つの半導体レーザーで構成されている。光源部81は、レーザー光からなる青色光LBを射出する。なお、光源部81は、半導体レーザーに限らず、青色光を発光するLEDで構成されていてもよい。
【0018】
集光レンズ82は、凸レンズから構成されている。集光レンズ82は、光源部81から射出される青色光LBを略集光した状態で拡散板83に入射させる。拡散板83は、集光レンズ82から射出される青色光LBを所定の拡散度で拡散させ、第1照明装置20から射出される蛍光Yと同様の略均一な配光分布を有する青色光LBを生成する。拡散板83としては、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスが用いられる。
【0019】
拡散板83で拡散された青色光LBは、ロッドレンズ84に入射する。ロッドレンズ84は、第2照明装置21の光軸AX2方向に沿って延びる角柱状の形状を有する。ロッドレンズ84は、一端に設けられた光入射端面84aと、他端に設けられた光射出端面84bと、を有する。拡散板83は、ロッドレンズ84の光入射端面84aに光学接着剤(図示略)を介して固定されている。拡散板83の屈折率とロッドレンズ84の屈折率とは、できるだけ一致させることが望ましい。
【0020】
青色光LBは、ロッドレンズ84の内部を全反射しつつ伝播することで照度分布の均一性が高められた状態で光射出端面84bから射出される。ロッドレンズ84から射出された青色光LBは、リレーレンズ85に入射する。リレーレンズ85は、ロッドレンズ84によって照度分布の均一性が高められた青色光LBを反射ミラー9に入射させる。
【0021】
ロッドレンズ84の光射出端面84bの形状は、光変調装置4Bの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、ロッドレンズ84から射出された青色光LBは、光変調装置4Bの画像形成領域に効率良く入射する。
【0022】
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0023】
光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bのそれぞれには、例えば透過型の液晶パネルが用いられる。また、液晶パネルの入射側および射出側には、偏光板(図示略)がそれぞれ配置されている。偏光板は、特定の方向の直線偏光のみを通過させる。
【0024】
光変調装置4Rの入射側には、フィールドレンズ10Rが配置されている。光変調装置4Gの入射側には、フィールドレンズ10Gが配置されている。光変調装置4Bの入射側には、フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10Rは、光変調装置4Rに入射する赤色光LRの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Gは、光変調装置4Gに入射する緑色光LGの主光線を平行化する。フィールドレンズ10Bは、光変調装置4Bに入射する青色光LBの主光線を平行化する。
【0025】
光合成素子5は、光変調装置4R、光変調装置4G、および光変調装置4Bから射出された画像光が入射することにより、赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投写光学装置6に向けて射出する。光合成素子5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0026】
投写光学装置6は、複数の投写レンズから構成されている。投写光学装置6は、光合成素子5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投写する。これにより、スクリーンSCR上に画像が表示される。
【0027】
以下、第1照明装置20の構成について説明する。
図2は、第1照明装置20の概略構成図である。
図2に示すように、第1照明装置20は、光源装置100と、インテグレーター光学系70と、偏光変換素子102と、重畳光学系103と、を備える。
【0028】
光源装置100は、波長変換部材50と、光源部51と、角度変換部材52と、ミラー53と、支持部材54と、位置規制部材65と、を備える。光源部51は、基板55と、発光素子56と、を備える。本実施形態の波長変換部材50は、特許請求の範囲の導光部材に対応する。
【0029】
波長変換部材50は、X軸方向に延びる四角柱状の形状を有し、6つの面を有する。波長変換部材50のX軸方向に延びる辺は、Y軸方向に延びる辺およびZ軸方向に延びる辺よりも長い。したがって、X軸方向は、波長変換部材50の長手方向に対応する。Y軸方向に延びる辺の長さとZ軸方向に延びる辺の長さとは等しい。すなわち、X軸方向に垂直な面で切断した波長変換部材50の断面形状は、正方形である。なお、X軸方向に垂直な面で切断した波長変換部材50の断面形状は、長方形であってもよい。
【0030】
波長変換部材50は、第1面50aおよび第2面50bと、第3面50cおよび第4面50dと、第5面50eおよび第6面50fと、を有する。第1面50aおよび第2面50bは、波長変換部材50の長手方向(X軸方向)に交差し、互いに反対側に位置する。第3面50cおよび第4面50dは、第1面50aおよび第2面50bと交差し、長手方向に垂直な仮想面内におけるY軸方向において互いに反対側に位置する。第5面50eおよび第6面50fは、第3面50cおよび第4面50dと交差し、長手方向に垂直な仮想面内におけるZ軸方向において互いに反対側に位置する。以下の説明で、第3面50c、第4面50d、第5面50e、および第6面50fを側面と称することがある。本実施形態のX軸方向は、特許請求の範囲の第1方向に対応する。本実施形態のY軸方向は、特許請求の範囲の第2方向に対応する。本実施形態のZ軸方向は、特許請求の範囲の第3方向に対応する。
【0031】
波長変換部材50は、蛍光体を少なくとも含み、第1波長帯を有する励起光Eを、第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する蛍光Yに変換する。励起光Eは、第3面50cから波長変換部材50に入射する。蛍光Yは、波長変換部材50の内部を導光した後、第1面50aから射出される。本実施形態の励起光Eは、特許請求の範囲の第1光に対応する。本実施形態の蛍光Yは、特許請求の範囲の第2光に対応する。
【0032】
波長変換部材50は、励起光Eを蛍光Yに波長変換する多結晶蛍光体からなるセラミック蛍光体を含んでいる。蛍光Yが有する第2波長帯は、例えば490~750nmの黄色の波長帯である。すなわち、蛍光Yは、赤色光成分および緑色光成分を含む黄色の蛍光である。
【0033】
波長変換部材50は、多結晶蛍光体に代えて、単結晶蛍光体を含んでいてもよい。もしくは、波長変換部材50は、蛍光ガラスから構成されていてもよい。もしくは、波長変換部材50は、ガラスまたは樹脂からなるバインダー中に多数の蛍光体粒子が分散された材料から構成されていてもよい。このような材料からなる波長変換部材50は、励起光Eを第2波長帯を有する蛍光Yに変換する。
【0034】
具体的には、波長変換部材50の材料は、例えばイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体を含んでいる。賦活剤としてのセリウム(Ce)を含有するYAG:Ceを例に挙げると、波長変換部材50の材料として、Y2O3、Al2O3、CeO3等の構成元素を含む原料粉末を混合して固相反応させた材料、共沈法、ゾルゲル法等の湿式法により得られるY-Al-Oアモルファス粒子、噴霧乾燥法、火炎熱分解法、熱プラズマ法等の気相法により得られるYAG粒子等が用いられる。
【0035】
光源部51は、第1波長帯の励起光Eを射出する発光面56aを有する発光素子56を備える。発光素子56は、例えば発光ダイオード(LED)から構成されている。発光素子56の発光面56aは、波長変換部材50の第3面50cに対向し、第3面50cに向けて励起光Eを射出する。第1波長帯は、例えば400nm~480nmの青色から紫色にかけての波長帯であり、ピーク波長は例えば445nmである。このように、光源部51は、波長変換部材50の長手方向に沿う4つの側面のうち、1つの側面に対向して設けられている。
【0036】
基板55は、発光素子56を支持する。基板55の一面55aには、発光素子56が設けられている。本実施形態の場合、光源部51は、発光素子56と基板55とから構成されているが、その他、導光板、拡散板、レンズ等の他の光学部材を備えていてもよい。また、本実施形態では、1つの発光素子56が用いられているが、発光素子56の個数は特に限定されない。
【0037】
支持部材54は、波長変換部材50の周囲を囲むように設けられている。支持部材54は、波長変換部材50を支持するとともに、波長変換部材50で発生する熱を拡散して外部に放出する。そのため、支持部材54は、所定の強度を有し、熱伝導率が高い材料で構成されることが望ましい。支持部材54の材料として、例えばアルミニウム、ステンレス等の金属が用いられ、特に6061系等のアルミニウム合金が用いられることが望ましい。支持部材54の具体的な構成については後述する。
【0038】
位置規制部材65は、支持部材54に対する波長変換部材50の位置を規制する。すなわち、波長変換部材50は、位置規制部材65によって支持部材54に対する位置が規制されている。位置規制部材65の具体的な構成については後述する。
【0039】
ミラー53は、波長変換部材50の第2面50bに設けられている。ミラー53は、波長変換部材50の内部を導光し、第2面50bに到達した蛍光Yを反射させる。ミラー53は、波長変換部材50の第2面50bに形成された金属膜または誘電体多層膜から構成されている。
【0040】
第1照明装置20において、光源部51から射出された励起光Eが波長変換部材50に入射すると、波長変換部材50の内部に含まれる蛍光体が励起され、任意の発光点から蛍光Yが発せられる。蛍光Yは任意の発光点から全ての方向に向かって進むが、4つの側面50c,50d,50e,50fに向かった蛍光Yは、側面50c,50d,50e,50fの複数の個所で全反射を繰り返しつつ、第1面50aまたは第2面50bに向かって進む。第1面50aに向かって進む蛍光Yは、角度変換部材52に入射する。第2面50bに向かって進む蛍光Yは、ミラー53で反射され、第1面50aに向かって進む。
【0041】
波長変換部材50に入射した励起光Eのうち、蛍光体の励起に使われなかった励起光Eの一部は、光源部51の発光素子56を含む波長変換部材50の周囲の部材、または第2面50bに設けられたミラー53で反射される。そのため、励起光Eの一部は、波長変換部材50の内部に閉じ込められて再利用される。
【0042】
角度変換部材52は、波長変換部材50の第1面50aの光射出側に設けられている。角度変換部材52は、例えばテーパーロッドから構成されている。角度変換部材52は、波長変換部材50から射出された蛍光Yが入射する光入射面52aと、蛍光Yを射出する光射出面52bと、入射した蛍光Yを光射出面52bに向けて反射させる側面52cと、を有する。
【0043】
角度変換部材52は、四角錐台状の形状を有し、光軸Jに垂直な断面積が光の進行方向に沿って広がっている。したがって、光射出面52bの面積は、光入射面52aの面積よりも大きい。光射出面52bおよび光入射面52aの中心を通り、X軸に平行な軸を角度変換部材52の光軸Jとする。なお、角度変換部材52の光軸Jは、第1照明装置20の光軸AX1に一致する。
【0044】
角度変換部材52に入射した蛍光Yは、角度変換部材52の内部を進行する間に、側面52cで全反射する毎に光軸Jに平行な方向に近付くように向きを変える。このようにして、角度変換部材52は、波長変換部材50の第1面50aから射出される蛍光Yの射出角度分布を変換する。具体的には、角度変換部材52は、光射出面52bにおける蛍光Yの最大射出角度を光入射面52aにおける蛍光Yの最大入射角度よりも小さくする。
【0045】
一般的に、光射出領域の面積と光の立体角(最大射出角)との積で規定される光のエテンデューは保存されるため、角度変換部材52の透過前後においても蛍光Yのエテンデューは保存される。角度変換部材52は、上述したように、光射出面52bの面積を光入射面52aの面積よりも大きくした構成を有する。そのため、エテンデュー保存の観点から、角度変換部材52は、光射出面52bにおける蛍光Yの最大射出角度を光入射面52aに入射する蛍光Yの最大入射角度よりも小さくすることができる。
【0046】
角度変換部材52は、光入射面52aが波長変換部材50の第1面50aに対向するように光学接着剤(図示略)を介して波長変換部材50に固定されている。すなわち、角度変換部材52と波長変換部材50とは光学接着剤を介して接触しており、角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙(空気層)は設けられていない。仮に角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙が設けられていた場合、角度変換部材52の光入射面52aに到達した蛍光Yのうち、臨界角以上の角度で光入射面52aに入射した蛍光Yは、光入射面52aで全反射し、角度変換部材52に入射できない。これに対して、本実施形態のように、角度変換部材52と波長変換部材50との間に空隙が設けられていない場合には、角度変換部材52に入射できない蛍光Yを減らすことができる。この観点から、角度変換部材52の屈折率と波長変換部材50の屈折率とは、できるだけ一致させることが望ましい。
【0047】
角度変換部材52として、テーパーロッドに代えて、複合放物面型集光器(Compound Parabolic Concentrator, CPC)が用いられてもよい。角度変換部材52としてCPCを用いた場合であっても、テーパーロッドを用いた場合と同様の効果が得られる。なお、光源装置100は、必ずしも角度変換部材52を備えていなくてもよい。
【0048】
光源装置100とインテグレーター光学系70との間に、コリメーターレンズ等からなる平行化光学系63が設けられている。平行化光学系63は、角度変換部材52から射出される蛍光Yの角度分布をさらに小さくし、平行度の高い蛍光Yをインテグレーター光学系70に入射させる。なお、平行化光学系63は、角度変換部材52から射出される蛍光Yの平行度が十分に高い場合には設けられていなくてもよい。
【0049】
インテグレーター光学系70は、第1レンズアレイ61と、第2レンズアレイ101と、を有する。インテグレーター光学系70は、重畳光学系103とともに光源装置100から射出された蛍光Yの強度分布を、被照明領域である光変調装置4R,4Gのそれぞれにおいて均一化する均一照明光学系として機能する。平行化光学系63から射出される蛍光Yは、第1レンズアレイ61に入射する。第1レンズアレイ61は、光源装置100の後段に設けられた第2レンズアレイ101とともに、インテグレーター光学系70を構成する。
【0050】
第1レンズアレイ61は、複数の第1小レンズ61aを有する。複数の第1小レンズ61aは、第1照明装置20の光軸AX1と直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。複数の第1小レンズ61aは、角度変換部材52から射出される蛍光Yを複数の部分光束に分割する。第1小レンズ61aの各々の形状は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、第1レンズアレイ61から射出された部分光束の各々は、光変調装置4R,4Gの画像形成領域にそれぞれ効率良く入射する。
【0051】
第1レンズアレイ61から射出された蛍光Yは、第2レンズアレイ101に向かって進む。第2レンズアレイ101は第1レンズアレイ61に対向して配置されている。第2レンズアレイ101は、第1レンズアレイ61の複数の第1小レンズ61aに対応する複数の第2小レンズ101aを有する。第2レンズアレイ101は、重畳光学系103とともに、第1レンズアレイ61の複数の第1小レンズ61aの像の各々を光変調装置4R,4Gの画像形成領域の近傍に結像させる。複数の第2小レンズ101aは、第1照明装置20の光軸AX1に直交するYZ平面に平行な面内にマトリクス状に配列されている。
【0052】
本実施形態において、第1レンズアレイ61の各第1小レンズ61aと第2レンズアレイ101の各第2小レンズ101aとは、互いに同じサイズを有しているが、互いに異なるサイズを有していてもよい。また、本実施形態において、第1レンズアレイ61の第1小レンズ61aと第2レンズアレイ101の第2小レンズ101aとは、互いの光軸が一致する位置に配置されているが、互いに偏心した状態に配置されていてもよい。
【0053】
偏光変換素子102は、第2レンズアレイ101から射出される蛍光Yの偏光方向を変換する。具体的に、偏光変換素子102は、第1レンズアレイ61で分割され、第2レンズアレイ101から射出された蛍光Yの各部分光束を直線偏光に変換する。
【0054】
偏光変換素子102は、光源装置100から射出される蛍光Yに含まれる偏光成分のうち、一方の直線偏光成分をそのまま透過させるとともに、他方の直線偏光成分を光軸AX1に垂直な方向に反射する偏光分離層(図示略)と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を光軸AX1に平行な方向に反射する反射層(図示略)と、反射層で反射された他方の直線偏光成分を一方の直線偏光成分に変換する位相差板(図示略)と、を有する。
【0055】
以下、本実施形態の光源装置100の特徴点について説明する。
図3は、Y軸方向から見た光源装置100の平面図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿う光源装置100の断面図である。
図5は、
図3のV-V線に沿う光源装置100の断面図である。
図6は、位置規制部材65の斜視図である。
図7は、位置規制部材65を支持部材54に取り付ける前の状態を示す図である。
【0056】
図3に示すように、支持部材54は、波長変換部材50の長手方向(X軸方向)に延び、波長変換部材50を収容する溝部54hを有する。
図4に示すように、支持部材54は、溝部54hを有することにより、X軸方向に垂直な断面がU字状の形状を有する。溝部54hは、支持面54sと、第1壁面54aと、第2壁面54bと、を有する。
【0057】
支持面54sは、溝部54hの底面に対応し、波長変換部材50の第4面50dに対向する。本実施形態の場合、支持面54sは、XZ平面に対して平行に延びている。第1壁面54aは、溝部54hの一方の側面に対応し、波長変換部材50の第5面50eに対向し、第5面50eから離間する。第2壁面54bは、溝部54hの他方の側面に対応し、波長変換部材50の第6面50fに対向し、第6面50fから離間する。すなわち、第1壁面54aと波長変換部材50の第5面50eとの間に間隙が設けられている。第2壁面54bと波長変換部材50の第6面50fとの間に間隙が設けられている。
【0058】
第1壁面54aは、第3面50c側に位置している第1部分54a1と、支持面54s側に位置している第2部分54a2とを有する。第1部分54a1は支持面54sに対して垂直な方向、すなわち、XY平面に対して平行に延びている。第2部分54a2は、第1部分54a1側から支持面54s側に向かうにつれて第5面50eに近づくように傾斜する。換言すると、支持面54s側における第2部分54a2と第5面50eとの間の距離は、第1部分54a1側における第2部分54a2と第5面50eとの間の距離よりも小さい。
【0059】
第2壁面54bは、第3面50c側に位置している第3部分54b3と、支持面54s側に位置している第4部分54b4とを有する。第3部分54b3は支持面54sに対して垂直な方向、すなわち、XY平面に対して平行に延びている。第4部分54b4は、第3部分54b3側から支持面54s側に向かうにつれて第6面50fに近づくように傾斜している。換言すると、支持面54s側における第4部分54b4と第6面50fとの間の距離は、第3部分54b3側における第4部分54b4と第6面50fとの間の距離よりも小さい。
【0060】
第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、支持部材54の構成材料であるアルミニウム、ステンレス等の金属の表面から構成されている。より具体的には、第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、上記の金属表面に鏡面加工が施された加工面から構成されている。そのため、第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、光反射性を有し、入射した励起光Eを反射する。なお、第1壁面54aおよび第2壁面54bのそれぞれは、アルミニウム、ステンレス等の金属の表面に形成された他の金属膜または誘電体多層膜から構成されていてもよい。
【0061】
発光素子56の発光面56aのZ軸方向に沿う寸法W1は、波長変換部材50のZ軸方向に沿う幅B2よりも大きい。これにより、Z軸方向において、発光素子56の発光面56aの両端部は、波長変換部材50の第3面50cの外側にはみ出している。具体的には、発光素子56の発光面56aの両端部は、第5面50eと第1壁面54aとの間隙および第6面50fと第2壁面54bとの間隙と重なる位置まではみ出している。換言すると、支持面54sから発光面56aをY軸方向に沿って見たとき、発光面56aの一部は、第3面50cと重なり、発光面56aの他の一部は、第5面50eと第1壁面54aとの間隙および第6面50fと第2壁面54bとの間隙と重なっている。
【0062】
支持部材54の支持面54sのZ軸方向に沿う寸法D2は、波長変換部材50のZ軸方向に沿う幅B2よりも大きい。これにより、Z軸方向において、支持面54sの両端部は、波長変換部材50の第4面50dの外側にはみ出している。換言すると、発光面56aから支持面54sをY軸方向に沿って見たとき、支持面54sの一部は、第4面50dと重なり、支持面54sの他の一部は、第4面50dの外側に露出している。このように、支持面54sは、波長変換部材50の外側に露出した露出部54rを有する。
【0063】
図3~
図6に示すように、位置規制部材65は、溝部54hの内部において波長変換部材50の位置を規制する。位置規制部材65は、第1配置部651と、第2配置部652と、連結部653と、を有する。位置規制部材65は、連結部653の中心に対して、第1配置部651の側と第2配置部652の側とが対称な形状を有する。第1配置部651および第2配置部652のそれぞれは、板状の連結部653の一方の面側に巻回された形状を有する。
【0064】
第1配置部651は、溝部54hの内部において、波長変換部材50の第5面50eと支持部材54の第1壁面54aとの間に配置される。第2配置部652は、溝部54hの内部において、波長変換部材50の第6面50fと支持部材54の第2壁面54bとの間に配置される。連結部653は、波長変換部材50の第3面50cに対向して設けられ、第1配置部651と第2配置部652とを連結する。位置規制部材65は、第1配置部651と第2配置部652とによって波長変換部材50のZ軸方向への所定距離以上の移動を規制する。
【0065】
第1配置部651は、第5面50eに対向する第1規制面65aと、第1壁面54aと対向する第2規制面65bと、を有する。第2配置部652は、第6面50fに対向する第3規制面65cと、第2壁面54bと対向する第4規制面65dと、を有する。本実施形態の場合、第1規制面65aと第5面50eとは互いに当接し、第2規制面65bと第1壁面54aとは互いに当接している。また、第3規制面65cと第6面50fとは互いに当接し、第4規制面65dと第2壁面54bとは互いに当接している。
【0066】
位置規制部材65は、弾性変形可能な材料で構成されている。一例として、位置規制部材65は、金属材料からなる板ばねで構成され、例えばSUS304などのステンレス材で構成されている。なお、位置規制部材65は、弾性変形可能な材料であれば、樹脂、ゴム等の材料で構成されていてもよい。ただし、位置規制部材65は、金属材料等の耐光性および耐熱性に優れる材料で構成されていることが望ましい。また、本実施形態の場合、第1配置部651と第2配置部652と連結部653とは一体の部材で構成されているが、別個の部材が連結された構成であってもよい。その場合、少なくとも第1配置部651および第2配置部652のそれぞれは、弾性変形可能な材料で構成されていることが望ましい。
【0067】
図7に示すように、位置規制部材65を支持部材54に取り付ける前の状態において、すなわち、位置規制部材65が弾性変形していない初期状態において、位置規制部材65の幅(Z軸方向の長さ)をA1とし、第1配置部651-第2配置部652間の間隔(Z軸方向の長さ)をB1とし、位置規制部材65の高さ(第1配置部651および第2配置部652の下端から連結部653の上端までのY軸方向の長さ)をC1とする。支持部材54の溝部54hの幅(Z軸方向の長さ)をA2とし、波長変換部材50の幅(Z軸方向の長さ)をB2とし、溝部54hの深さ(Y軸方向の長さ)をC2とする。
【0068】
このとき、各寸法の関係は、A1≧A2、B1≦B2、C1<C2を満たしている。すなわち、初期状態における位置規制部材65の幅A1は、溝部54hの幅A2と等しい、または、溝部54hの幅A2よりも大きい。第1配置部651および第2配置部652間の間隔B1は、波長変換部材50の幅B2と等しい、または、波長変換部材50の幅B2よりも小さい。位置規制部材65の高さC1は、溝部54hの深さC2よりも小さい。
【0069】
本実施形態の寸法の一例として、A1=2.2mm、B1=0.9mm、C1=0.5mm、A2=2.0mm、B2=1.0mm、C2=1.1mm、である。したがって、本実施形態の場合、初期状態において、位置規制部材65の幅A1が溝部54hの幅A2よりも大きく、第1配置部651-第2配置部652間の間隔B1が波長変換部材50の幅B2よりも小さい。このような位置規制部材65を弾性変形させ、波長変換部材50の上方から溝部54hに押し込むことにより、支持部材54に取り付ける。
【0070】
これにより、
図4に示すように、第1配置部651は、弾性変形した状態で溝部54hの内部において第5面50eと第1壁面54aとの間に配置される。同様に、第2配置部652は、弾性変形した状態で溝部54hの内部において第6面50fと第2壁面54bとの間に配置される。このとき、位置規制部材65の弾性力により、第1配置部651の第1規制面65aが波長変換部材50の第5面50eを押圧し、第2規制面65bが支持部材54の第1壁面54aを押圧する。同様に、第2配置部652の第3規制面65cが波長変換部材50の第6面50fを押圧し、第4規制面65dが支持部材54の第2壁面54bを押圧する。
【0071】
図3および
図5に示すように、波長変換部材50の第3面50cに垂直な方向(Y軸方向)から見て、位置規制部材65は、発光素子56と重ならない位置に配置されている。本実施形態の場合、位置規制部材65は、発光素子56と重ならない位置であって、波長変換部材50の長手方向の両端部、すなわち、波長変換部材50の第1面50aに近い側の端部と、第2面50bに近い側の端部の2個所にそれぞれ配置されている。位置規制部材65は、必ずしも波長変換部材50の端部に配置されていなくてもよい。例えば複数の発光素子が互いに間隔をあけて配置されている場合であれば、各発光素子と重ならない位置であって、2つの発光素子の間の領域と重なる位置に配置されていてもよい。
【0072】
[第1実施形態の効果]
本実施形態の光源装置100は、励起光Eを射出する発光素子56と、発光素子56から射出される励起光Eを蛍光Yに変換し、蛍光Yを導光させる波長変換部材50と、溝部54hを有し、溝部54hの内部に波長変換部材50を支持する支持部材54と、溝部54hの内部において波長変換部材50の位置を規制する位置規制部材65と、を備える。波長変換部材50は、波長変換部材50の長手方向であるX軸方向において互いに反対側に位置する第1面50aおよび第2面50bと、Y軸方向において互いに反対側に位置する第3面50cおよび第4面50dと、Z軸方向において互いに反対側に位置する第5面50eおよび第6面50fと、を有する。波長変換部材50を導光する蛍光Yは、第1面50aから射出される。発光素子56は、第3面50cに対向して設けられている。溝部54hは、第4面50dに対向する支持面54sと、第5面50eに対向し、第5面50eから離間する第1壁面54aと、第6面50fに対向し、第6面50fから離間する第2壁面54bと、を有する。位置規制部材65は、溝部54hの内部において第5面50eと第1壁面54aとの間に配置される第1配置部651と、溝部54hの内部において第6面50fと第2壁面54bとの間に配置される第2配置部652と、を有し、第1配置部651と第2配置部652とによって波長変換部材50のZ軸方向への所定距離以上の移動を規制する。
【0073】
この構成によれば、波長変換部材50の第5面50eが溝部54hの第1壁面54aから離間し、波長変換部材50の第6面50fが溝部54hの第2壁面54bから離間した状態が、位置規制部材65によって安定して維持される。そのため、発光素子56から射出される励起光Eは、波長変換部材50の第3面50cだけでなく、第5面50eおよび第6面50fからも入射される。その結果、波長変換部材が溝部の一方の壁面に近接して配置された従来の光源装置に比べて、励起光Eの利用効率を高めることができ、所望の強度を有する蛍光Yを得ることができる。
【0074】
波長変換部材50の側面が溝部54hの壁面から離間した状態に配置できたとしても、本実施形態の位置規制部材65がなかったとすると、
図18に示すように、波長変換部材50が支持部材54の溝部54hの内部において光軸Jに対して斜めにずれることが考えられる。この場合、光源装置200から射出される蛍光Yの進行方向がずれ、光源装置200の後段の光学系に対して想定以上の広角で蛍光Yが入射する、場合によっては光源装置200の後段の光学系に蛍光Yが入射されない、等の不具合が生じる。または、
図19に示すように、波長変換部材50の角部が支持部材54の溝部54hの第1壁面54aまたは第2壁面54bに乗り上げることが考えられる。この場合、波長変換部材50の第4面50dが支持部材54の支持面54sから離れるため、波長変換部材50の熱が支持部材54に十分に伝達されなくなり、波長変換効率が低下するおそれがある。
【0075】
これらの問題点に対して、本実施形態の光源装置100によれば、波長変換部材50は、位置規制部材65によって溝部54hの内部におけるZ軸方向の位置が規制されることにより、溝部54hのZ軸方向の略中央に配置された状態が維持される。したがって、光源装置100から射出される蛍光Yの進行方向が光軸Jに一致するため、光源装置100の後段の光学系に対して所望の入射角および所望の光量を有する蛍光Yを入射させることができる。また、波長変換部材50の角部が溝部54hの第1壁面54aまたは第2壁面54bに乗り上げることが抑制される。そのため、波長変換部材50の熱が支持部材54に十分に伝達され、所望の波長変換効率を維持することができる。
【0076】
本実施形態の光源装置100において、第1配置部651は、第5面50eに対向する第1規制面65aと、第1壁面54aに対向する第2規制面65bと、を有し、第2配置部652は、第6面50fに対向する第3規制面65cと、第2壁面54bに対向する第4規制面65dと、を有する。
【0077】
この構成によれば、波長変換部材50と位置規制部材65、および支持部材54と位置規制部材65とがともに面同士で対向するため、位置規制部材65は、波長変換部材50のZ軸方向の位置を安定して規制することができる。
【0078】
本実施形態の光源装置100において、第1規制面65aと第5面50eとが互いに当接し、第2規制面65bと第1壁面54aとが互いに当接し、第3規制面65cと第6面50fとが互いに当接し、第4規制面65dと第2壁面54bとが互いに当接する。
【0079】
この構成によれば、波長変換部材50のZ軸方向への移動をより確実に規制することができる。さらに、位置規制部材65を介して波長変換部材50の熱を支持部材54に伝達させることができる。
【0080】
本実施形態の光源装置100において、第1配置部651および第2配置部652のそれぞれは、弾性変形可能な材料で構成され、第1配置部651は、弾性変形した状態で溝部54hの内部において第5面50eと第1壁面54aとの間に配置され、第2配置部652は、弾性変形した状態で溝部54hの内部において第6面50fと第2壁面54bとの間に配置されている。
【0081】
この構成によれば、位置規制部材65が支持部材54に取り付けられた状態において、第1配置部651および第2配置部652のそれぞれが有する弾性力により、第1配置部651の第1規制面65aが第5面50eを押圧し、第2規制面65bが第1壁面54aを押圧し、第2配置部652の第3規制面65cが第6面50fを押圧し、第4規制面65dが第2壁面54bを押圧する。したがって、波長変換部材50の第5面50eおよび第6面50fが両側から略均等に押圧されるため、波長変換部材50を溝部54hの略中央に安定して配置することができる。
【0082】
本実施形態の光源装置100において、位置規制部材65は、第3面50cに対向して設けられ、第1配置部651と第2配置部652とを連結する連結部653をさらに有する。
【0083】
この構成によれば、位置規制部材65を一体の部材として取り扱うことができるため、光源装置100の組立作業が容易になる。
【0084】
本実施形態の光源装置100において、第3面50cに垂直な方向から見て、位置規制部材65は、発光素子56と重ならない位置に配置されている。
【0085】
この構成によれば、発光素子56から射出される励起光Eが波長変換部材50に入射する際に、励起光Eが位置規制部材65によって遮られることを抑制できる。これにより、励起光Eの利用効率の低下を抑えることができる。
【0086】
本実施形態の光源装置100において、第1壁面54aは、支持面54sから相対的に遠い側に位置し、支持面54sに対して垂直な方向に延びる第1部分54a1と、支持面54sから相対的に近い側に位置し、支持面54sに対して傾斜して延びる第2部分54a2と、を有する。第2壁面54bは、支持面54sから相対的に遠い側に位置し、支持面54sに対して垂直な方向に延びる第3部分54b3と、支持面54sから相対的に近い側に位置し、支持面54sに対して傾斜して延びる第4部分54b4と、を有する。第1部分54a1、第2部分54a2、第3部分54b3、および第4部分54b4は、励起光Eの少なくとも一部を反射する。
【0087】
この構成によれば、
図4に示すように、発光素子56の発光面56aから射出された一部の励起光E2は、波長変換部材50の第5面50eと第1部分54a1との間隙を通って進んだ後、支持面54sに対して傾斜した第2部分54a2に入射する。このとき、励起光E2は、第2部分54a2で反射して波長変換部材50の第5面50eに入射する。このように、波長変換部材50の第5面50eと第1壁面54aとの間隙を通る励起光E2が第5面50eに入射しやすくなるため、支持面54sで反射して光源部51の側に戻る励起光Eの量を減らすことができる。また、一部の励起光Eは、支持面54sに対して垂直に延びる第1部分54a1で反射して波長変換部材50の第5面50eに入射する。これにより、励起光Eの利用効率が高く、所望の強度を有する蛍光Yが得やすい光源装置100を実現することができる。
【0088】
本実施形態のプロジェクター1は、本実施形態の光源装置100を備えているため、光利用効率に優れる。
【0089】
[第1変形例]
以下、本実施形態の変形例について説明する。
図8は、第1変形例の光源装置110の断面図である。以下の各図面において、上記実施形
態の光源装置
100と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0090】
図8に示すように、第1変形例の光源装置110は、波長変換部材50と、支持部材54と、位置規制部材67と、光源部51と、を備える。位置規制部材67は、第1配置部671と、第2配置部672と、連結部673と、を有する。連結部673は、波長変換部材50の第3面50cに向かって突出し、第3面50cに当接する凸部67tを有する。凸部67tは、位置規制部材67を構成する板ばねの中央部をU字状に湾曲させた構成を有する。
【0091】
本変形例の光源装置110においても、励起光Eの利用効率が高まり、所望の波長変換効率を確保できるため、所望の強度を有する蛍光Yが得られる、光源装置110の後段の光学系に対して所望の蛍光を入射させることができる、といった上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0092】
本変形例の光源装置110においては、連結部673が波長変換部材50の第3面50cに向かって突出し、第3面50cに当接する凸部67tを有するため、第3面50cが凸部67tによって支持面54sの方向に押圧される。その結果、波長変換部材50の第4面50dと支持部材54の支持面54sとが密着するため、波長変換部材50の熱がより確実に支持部材54に伝達され、所望の波長変換効率を維持することができる。
【0093】
[第2変形例]
図9は、第2変形例の光源装置120の断面図である。
図9に示すように、第2変形例の光源装置120は、波長変換部材50と、支持部材54と、位置規制部材69と、光源部51と、を備える。位置規制部材69は、第1配置部691と、第2配置部692と、を有する。すなわち、本変形例の位置規制部材69は、連結部を有していない。第1配置部691と第2配置部692とは、それぞれ個別の部材で構成されている。第1配置部691と第2配置部692とは、同一の形状および同一の寸法を有する。第1配置部691は、第5面50eに当接する第1規制面69aと、第1壁面54aに当接する第2規制面69bと、を有する。第2配置部692は、第6面50fに当接する第3規制面69cと、第2壁面54bに当接する第4規制面69dと、を有する。
【0094】
本変形例の光源装置120においても、励起光Eの利用効率が高まり、所望の波長変換効率を確保できるため、所望の強度を有する蛍光Yが得られる、光源装置120の後段の光学系に対して所望の蛍光Yを入射させることができる、といった上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0095】
本変形例の光源装置120においては、第1配置部691と第2配置部692とがそれぞれ個別の部材で構成されており、連結部を有していないため、波長変換部材50の第3面50cが発光素子56の発光面56aと直接対向する。そのため、発光素子56から射出される励起光Eが位置規制部材69によって遮られるおそれがない。したがって、本構成によれば、位置規制部材69を発光素子56と重ならない位置に配置する必要がなく、位置規制部材69の配置の自由度を高めることができる。
【0096】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、
図10~
図12を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、位置規制部材の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置の基本構成の説明は省略する。
【0097】
図10は、第2実施形態の光源装置130の断面図である。
図11は、位置規制部材71の斜視図である。
図12は、位置規制部材71の取り付け前の状態を示す図である。
これらの図面において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0098】
図10~
図12に示すように、本実施形態の光源装置130において、位置規制部材71は、第5面50eと第1壁面54aとの間に配置される第1配置部711と、第6面50fと第2壁面54bとの間に配置される第2配置部712と、第1配置部711と第2配置部712とを連結する連結部713と、を有する。位置規制部材71は、連結部713の中心に対して、第1配置部711の側と第2配置部712の側とが対称な形状を有する。第1配置部711および第2配置部712のそれぞれは、板状の連結部713の一方の面側に壁部が設けられた形状を有する。位置規制部材71は、第1配置部711および第2配置部712によって波長変換部材50のZ軸方向への所定距離以上の移動を規制する。
【0099】
第1配置部711は、第5面50eに対向する第1規制面71aと、第1壁面54aに対向する第2規制面71bと、を有する。第2配置部712は、第6面50fに対向する第3規制面71cと、第2壁面54bに対向する第4規制面71dと、を有する。本実施形態の場合、第1規制面71aと第5面50eとは互いに離間し、第2規制面71bと第1壁面54aとは互いに離間している。また、第3規制面71cと第6面50fとは互いに離間し、第4規制面71dと第2壁面54bとは互いに離間している。
【0100】
本実施形態の場合、位置規制部材71は、剛体で構成されている。一例として、位置規制部材71は、金属材料からなるブロックで構成され、例えばA5052などのアルミニウム材で構成されている。なお、本実施形態の場合、第1配置部711と第2配置部712と連結部713とは一体の部材で構成されているが、別個の部材が連結された構成であってもよい。
【0101】
図12に示すように、位置規制部材71の幅(Z軸方向の長さ)をA1とし、第1配置部711および第2配置部712間の間隔(Z軸方向の長さ)をB1とし、位置規制部材71の高さ(第1配置部711および第2配置部712の下端から連結部713の上端までのY軸方向の長さ)をC1とする。支持部材54の溝部54hの幅(Z軸方向の長さ)をA2とし、波長変換部材50の幅(Z軸方向の長さ)をB2とし、溝部54hの深さ(Y軸方向の長さ)をC2とし、支持面54sの幅(Z軸方向の長さ)をD2とする。
【0102】
このとき、各寸法の関係は、A1<A2、B1>B2、C1<C2を満たしている。すなわち、位置規制部材71の幅A1は、溝部54hの幅A2よりも小さい。第1配置部711-第2配置部712間の間隔B1は、波長変換部材50の幅B2よりも大きい。位置規制部材71の高さC1は、溝部54hの深さC2よりも小さい。
【0103】
本実施形態の寸法の一例として、A1=1.9mm、B1=1.05mm、C1=0.5mm、A2=2.0mm、B2=1.0mm、C2=1.1mm、である。したがって、本実施形態の場合、位置規制部材71を支持部材54に取り付けた状態において、波長変換部材50が支持部材54の中央に配置された場合には、
図10に示すように、第1規制面71aと第5面50eとは互いに離間し、第2規制面71bと第1壁面54aとは互いに離間する。また、第3規制面71cと第6面50fとは互いに離間し、第4規制面71dと第2壁面54bとは互いに離間する。
【0104】
したがって、本実施形態の場合、波長変換部材50は、Z軸方向に全く移動できないことはなく、支持部材54の中央から、最大で第1規制面71aと第5面50eとが互いに当接し、第2規制面71bと第1壁面54aとが互いに当接する位置、または、第3規制面71cと第6面50fとが互いに当接し、第4規制面71dと第2壁面54bとが互いに当接する位置までは移動が可能である。上記の寸法例で言えば、波長変換部材50は、支持部材54の中央から、+Z方向、-Z方向のいずれか一方に向かって(2.0-1.9)/2+(1.05-1.0)/2=0.075mmの範囲内で移動が許容されるが、0.075mmを超える距離の移動は規制される。この移動許容距離は、光源装置130の後段の光学系に対して不具合が生じない範囲内に設定される。
【0105】
第1実施形態において、位置規制部材を有していない場合に波長変換部材の角部が溝部の壁面に乗り上げる不具合について説明した。これに対して、本実施形態では、波長変換部材50がZ軸方向にわずかに移動できるため、波長変換部材50の角部が溝部54hの第1壁面54aまたは第2壁面54bに乗り上げないための寸法の条件について、以下、検討する。
【0106】
図12に示すように、位置規制部材71の第1配置部711の幅(Z軸方向の長さ)をGとし、支持部材54の第1壁面54aの幅(Z軸方向の長さ)をFとする。第1配置部711の幅Gが第1壁面54aの幅F以上であれば、波長変換部材が+Z方向に最大の距離だけ移動したとしても、波長変換部材50が第1壁面54aに乗り上げることはない。したがって、波長変換部材50が第1壁面54aに乗り上げないための条件は、G≧Fである。また、G=(A1-B1)/2であり、F=(A2-D2)/2であるから、上記の条件式を書き換えると、波長変換部材50が第1壁面54aに乗り上げないための条件は、(A1-B1)/2≧(A2-D2)/2である。第2壁面54bについても同様である。
【0107】
図示を省略するが、本実施形態の場合も、第1実施形態と同様、波長変換部材50の第3面50cに垂直な方向(Y軸方向)から見て、位置規制部材71は、発光素子56と重ならない位置に配置されている。位置規制部材71は、発光素子56と重ならない位置であって、波長変換部材50の長手方向の両端部、すなわち、波長変換部材50の第1面50aに近い側の端部と、第2面50bに近い側の端部の2個所にそれぞれ配置されていることが望ましい。この配置であれば、位置規制部材71が発光素子56から射出される励起光Eを遮ることはない。また、波長変換部材50を支持部材54上に配置した際に波長変換部材50が第1壁面54aまたは第2壁面54bに乗り上げていたとしても、位置規制部材71を取り付けることにより、波長変換部材50の乗り上げを解消することができる。光源装置130のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0108】
[第2実施形態の効果]
本実施形態の光源装置130においても、励起光Eの利用効率が高まり、所望の波長変換効率を確保できるため、所望の強度を有する蛍光Yが得られる、光源装置130の後段の光学系に対して所望の蛍光Yを入射させることができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0109】
本実施形態の光源装置130において、位置規制部材71の第1配置部711および第2配置部712のそれぞれは、剛体で構成されており、第1規制面71aと第5面50eとが互いに離間し、第2規制面71bと第1壁面54aとが互いに離間し、第3規制面71cと第6面50fとが互いに離間し、第4規制面71dと第2壁面54bとが互いに離間している。
【0110】
この構成によれば、波長変換部材50がZ軸方向に全く移動できないわけではないが、上述の波長変換部材50の移動許容距離を適切に設定することによって、本来の効果を得ることができる。また、各部材を作製する際の寸法余裕、および光源装置130を組み立てる際の寸法余裕が生じるため、光源装置130の製造が容易になる。
【0111】
[第1変形例]
以下、本実施形態の変形例について説明する。
図13は、第1変形例の光源装置140の断面図である。以下の各図面において、上記実施形態の光源装置130と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0112】
図13に示すように、第1変形例の光源装置140は、波長変換部材50と、支持部材54と、位置規制部材73と、光源部51と、を備える。位置規制部材73は、第1配置部731と、第2配置部732と、連結部733と、を有する。連結部733は、波長変換部材50の第3面50cに向かって突出し、第3面50cに当接する凸部73tを有する。凸部73tは、第3面50cに対して安定して当接できるものであればよく、形状および個数は特に限定されない。
【0113】
本変形例の光源装置140においても、励起光Eの利用効率が高まり、所望の波長変換効率を確保できるため、所望の強度を有する蛍光Yが得られる、光源装置140の後段の光学系に対して所望の蛍光Yを入射させることができる、といった上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0114】
本変形例の光源装置140においては、連結部733が波長変換部材50の第3面50cに向かって突出し、第3面50cに当接する凸部73tを有するため、波長変換部材50が支持面54sに押圧される。これにより、波長変換部材50の熱がより確実に支持部材54に伝達され、所望の波長変換効率を維持することができる。
【0115】
[第2変形例]
図14は、第2変形例の光源装置150の断面図である。
図14に示すように、第2変形例の光源装置150は、波長変換部材50と、支持部材54と、位置規制部材75と、光源部51と、を備える。位置規制部材75は、第1配置部751と、第2配置部752と、を有する。第1配置部751と第2配置部752とは、それぞれ個別の部材で構成されている。第1配置部751と第2配置部752とは、同一の形状および同一の寸法を有する。本変形例の場合、第1配置部751および第2配置部752のそれぞれは一端側が先細りの楔状の形状を有しているが、形状は特に限定されない。
【0116】
第1配置部751は、第5面50eに当接する第1規制面75aと、第1壁面54aに当接する第2規制面75bと、を有する。第2配置部752は、第6面50fに当接する第3規制面75cと、第2壁面54bに当接する第4規制面75dと、を有する。なお、第1規制面75aと第5面50e、第2規制面75bと第1壁面54a、第3規制面75cと第6面50f、第4規制面75dと第2壁面54bのそれぞれは、互いに離間していてもよい。
【0117】
本変形例の光源装置150においても、励起光Eの利用効率が高まり、所望の波長変換効率を確保できるため、所望の強度を有する蛍光Yが得られる、光源装置150の後段の光学系に対して所望の蛍光Yを入射させることができる、といった上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0118】
本変形例の光源装置150においては、第1配置部751と第2配置部752とがそれぞれ個別の部材で構成されており、連結部を有していないため、位置規制部材75を発光素子56と重ならない位置に配置する必要がなく、位置規制部材75の配置の自由度を高めることができる。
【0119】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、
図15および
図16を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターおよび光源装置の基本構成は第1実施形態と同様であり、位置規制部材の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよび光源装置の基本構成の説明は省略する。
【0120】
図15は、第3実施形態の光源装置160の平面図である。
図16は、位置規制部材77の斜視図である。
図15において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0121】
図16に示すように、本実施形態の位置規制部材77は、第1配置部771と、第2配置部772と、連結部773と、第3配置部774と、を有する。本実施形態では、光源装置160の断面図の図示を省略するが、第1実施形態と同様、第1配置部771は、第5面50eと第1壁面54aとの間に配置される。第2配置部772は、第6面50fと第2壁面54bとの間に配置される。第1配置部771、第2配置部772、連結部773、および第3配置部774は、一体の部材として構成されている。位置規制部材77は、例えば金属材料からなる板材を屈曲させて作製されている。板材は、弾性変形可能な材料で構成されていてもよいし、弾性変形しない材料で構成されていてもよい。
【0122】
図15に示すように、第3配置部774は、第1配置部771および第2配置部772のそれぞれからZ軸方向の外側に平面状に張り出した形状を有する。したがって、第3配置部774は、YZ平面と平行に設けられている。一方、支持部材78の溝部78hの一部には、2つの細溝部78sが設けられている。2つの細溝部78sは、溝部78hのX側壁面からZ軸方向の外側にそれぞれ延びている。位置規制部材77が支持部材78に取り付けられた状態において、第3配置部774は、細溝部78sの内部に挿入される。光源装置160のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0123】
位置規制部材77の寸法の一例として、位置規制部材77の幅(Z軸方向の長さ)A3が2.5mmであり、第3配置部774の板厚K3が0.2mmである。この場合、支持部材78の溝部78hの幅A2を2.0mmとすると、第3配置部774は溝部78hの外側に0.25mm程度張り出した状態となる。
【0124】
[第3実施形態の効果]
本実施形態の光源装置160においても、励起光Eの利用効率が高まり、所望の波長変換効率を確保できるため、所望の強度を有する蛍光Yが得られる、光源装置160の後段の光学系に対して所望の蛍光Yを入射させることができる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0125】
第1実施形態の場合、光源装置100の組立工程において、位置規制部材65を支持部材54に取り付ける際には位置規制部材65を溝部54hに押し込むだけでよく、取り付け作業を簡便に行うことができる。ところが、この構成では、位置規制部材65の位置が溝部54hの延在方向(X軸方向)にずれるおそれがあり、場合によっては位置規制部材65が支持部材54から脱落するおそれがある。この問題に対し、本実施形態の光源装置160によれば、位置規制部材77が第3配置部774を有し、第3配置部774が支持部材78の細溝部78sに挿入されるため、位置規制部材77のX軸方向への移動が規制される。その結果、位置規制部材77が支持部材78の溝部78hの延在方向にずれるおそれを低減し、支持部材78から脱落するおそれを低減することができる。
【0126】
[第1変形例]
以下、本実施形態の変形例について説明する。
図17は、第1変形例の光源装置170の平面図である。
図17において、上記実施形態の光源装置160と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0127】
図17に示すように、第1変形例の光源装置170は、上記実施形態の光源装置160と同様の位置規制部材77を備える。すなわち、位置規制部材77は、第1配置部771および第2配置部772のそれぞれからZ軸方向の外側に張り出した第3配置部774を有する。一方、本変形例の場合、上記実施形態と異なり、支持部材54に細溝部は設けられていない。第3配置部774は、支持部材54の端面54iに当接している。
【0128】
本変形例の構成によれば、第3配置部774が支持部材54の端面54iに当接しているため、位置規制部材77の-X方向への移動は規制される反面、位置規制部材77の+X方向への移動は規制されない。したがって、本変形例の場合、支持部材54の端面54iに位置規制部材77の+X方向への移動を規制する嵌合手段等を設けてもよい。
【0129】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。また、本発明の一つの態様は、上記の各実施形態の特徴部分を適宜組み合わせた構成とすることができる。
【0130】
上記実施形態の光源装置において、位置規制部材は、耐光性および耐熱性に優れる金属材料から構成される例を挙げたが、耐光性および耐熱性を満足する材料があれば、例えば光透過性を有する材料から構成されていてもよい。この場合、位置規制部材が励起光を遮ることがないため、波長変換部材の第3面に垂直な方向から見て、位置規制部材を発光素子と重なる位置に配置してもよい。
【0131】
上記実施形態では、支持部材の溝部の各壁面が、支持面に対して垂直な部分と、支持面に対して傾斜した部分と、を有していたが、溝部の形状は特に限定されず、例えば溝部の壁面の全ての領域が支持面に対して垂直であってもよい。また、溝部の壁面が湾曲していてもよい。
【0132】
上記実施形態では、波長変換部材を備える光源装置に本発明を適用した例を挙げたが、この構成に代えて、波長変換を伴うことなく、入射光を伝搬させた後、例えば角度分布を制御して射出させる光源装置に対して本発明を適用してもよい。その場合、上記実施形態の波長変換部材は導光部材に代わり、発光素子から射出される光がそのままの波長帯の光として角度変換部材から射出される。
【0133】
その他、光源装置およびプロジェクターの各構成要素の形状、数、配置、材料等の具体的な記載については、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。また、上記実施形態では、本発明による光源装置を、液晶パネルを用いたプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置を、光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターに適用してもよい。また、プロジェクターは、複数の光変調装置を有していなくてもよく、1つの光変調装置のみを有していてもよい。
【0134】
上記実施形態では、本発明の光源装置をプロジェクターに適用した例を示したが、これに限られない。本発明の光源装置は、照明器具や自動車のヘッドライト等にも適用することができる。
【0135】
本発明の一つの態様の光源装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の光源装置は、光を射出する発光素子と、前記発光素子から射出される前記光を導光させる導光部材と、溝部を有し、前記溝部の内部に前記導光部材を支持する支持部材と、前記溝部の内部において前記導光部材の位置を規制する位置規制部材と、を備え、前記導光部材は、前記導光部材の長手方向である第1方向において互いに反対側に位置する第1面および第2面と、前記第1方向に垂直な仮想面内における第2方向において互いに反対側に位置する第3面および第4面と、前記仮想面内における前記第2方向に垂直な第3方向において互いに反対側に位置する第5面および第6面と、を有し、前記導光部材を導光する前記光は、前記第1面から射出され、前記発光素子は、前記第3面に対向して設けられ、前記溝部は、前記第4面に対向している支持面と、前記第5面に対向し前記第5面と離間している第1壁面と、前記第6面に対向し前記第6面と離間している第2壁面と、を有し、前記位置規制部材は、前記溝部の内部において前記第5面と前記第1壁面との間に配置される第1配置部と、前記溝部の内部において前記第6面と前記第2壁面との間に配置される第2配置部と、を有する。
【0136】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記第1配置部は、前記第5面に対向する第1規制面と、前記第1壁面に対向する第2規制面と、を有し、前記第2配置部は、前記第6面に対向する第3規制面と、前記第2壁面に対向する第4規制面と、を有していてもよい。
【0137】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記第1規制面と前記第5面とが互いに当接し、前記第2規制面と前記第1壁面とが互いに当接し、前記第3規制面と前記第6面とが互いに当接し、前記第4規制面と前記第2壁面とが互いに当接していてもよい。
【0138】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記第1配置部および前記第2配置部のそれぞれは、弾性変形可能な材料で構成され、前記第1配置部は、弾性変形した状態で前記溝部の内部において前記第5面と前記第1壁面との間に配置され、前記第2配置部は、弾性変形した状態で前記溝部の内部において前記第6面と前記第2壁面との間に配置されていてもよい。
【0139】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記第1規制面と前記第5面とが互いに離間し、前記第2規制面と前記第1壁面とが互いに離間し、前記第3規制面と前記第6面とが互いに離間し、前記第4規制面と前記第2壁面とが互いに離間していてもよい。
【0140】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記第1配置部および前記第2配置部のそれぞれは、剛体で構成されていてもよい。
【0141】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記位置規制部材は、前記第3面に対向して設けられ、前記第1配置部と前記第2配置部とを連結する連結部をさらに有していてもよい。
【0142】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記第3面に垂直な方向から見て、前記位置規制部材は、前記発光素子と重ならない位置に配置されていてもよい。
【0143】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記連結部は、前記第3面に向かって突出し、前記第3面に当接する凸部を有していてもよい。
【0144】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記第1配置部と前記第2配置部とは、それぞれ個別の部材で構成されていてもよい。
【0145】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記位置規制部材は、第3配置部をさらに有し、前記第3配置部は、前記支持部材と嵌合し、前記位置規制部材の前記第1方向への移動を規制してもよい。
【0146】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記第1壁面は、前記第3面側に位置している第1部分と、前記支持面側に位置している第2部分とを有し、前記第1部分は前記支持面に対して垂直な方向に延び、前記第2部分は、前記第1部分側から前記支持面側に向かうにつれて前記第5面に近づくように傾斜し、前記第2壁面は、前記第3面側に位置している第3部分と、前記支持面側に位置している第4部分とを有し、前記第3部分は前記支持面に対して垂直な方向に延び、前記第4部分は、前記第3部分側から前記支持面側に向かうにつれて前記第6面に近づくように傾斜し、前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、および前記第4部分は、前記光の少なくとも一部を反射してもよい。
【0147】
本発明の一つの態様の光源装置において、前記発光素子は、第1波長帯を有する第1光を射出し、前記導光部材は、蛍光体を含み、前記発光素子から射出される前記第1光を、前記第1波長帯とは異なる第2波長帯を有する第2光に変換し、前記第2光を射出する波長変換部材であってもよい。
【0148】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の一つの態様の光源装置と、前記光源装置から射出される前記第2光を含む光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投写する投写光学装置と、を備える。
【符号の説明】
【0149】
1…プロジェクター、4B,4G,4R…光変調装置、6…投写光学装置、50…波長変換部材(導光部材)、50a…第1面、50b…第2面、50c…第3面、50d…第4面、50e…第5面、50f…第6面、54,78…支持部材、54h,78h…溝部、54a…第1壁面、54b…第2壁面、54s…支持面、56…発光素子、65,67,69,71,73,75,77…位置規制部材、65a,69a,71a,75a…第1規制面、65b,69b,71b,75b…第2規制面、65c,69c,71c,75c…第3規制面、65d,69d,71d,75d…第4規制面、67t,73t…凸部、100,110,120,130,140,150,160,170…光源装置、651,671,691,711,731,751,771…第1配置部、652,672,692,712,732,752,772…第2配置部、653,673,713,733,773…連結部、774…第3配置部、E,E2…励起光(第1光)、Y…蛍光(第2光)。