(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H01H 50/02 20060101AFI20240723BHJP
H01H 9/02 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01H50/02 D
H01H9/02 C
(21)【出願番号】P 2022048250
(22)【出願日】2022-03-24
【審査請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】関谷 優志
(72)【発明者】
【氏名】高谷 幸悦
(72)【発明者】
【氏名】菊地 翔太
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/111901(WO,A1)
【文献】特開2002-008470(JP,A)
【文献】特開2019-050116(JP,A)
【文献】特開平08-296613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 50/02
H01H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の開放端側を第1方向に対向配置させることで電気部品を収納する第1フレーム及び第2フレームと、
前記第1フレーム及び前記第2フレームを着脱自在に連結し、前記第1方向に直交し、且つ同一平面内で直交する第2方向及び第3方向への相対的な変位を抑制する相対変位抑制機構と、を備え、
前記第1フレーム及び第2フレームの各々は、互いに前記第3方向に壁面を向けて前記第2方向に延在する一対の第1膨出壁と、これら一対の第1膨出壁の先端で前記第2方向に壁面を向けた第2膨出壁とを有する膨出壁部を対向配置し、
前記相対変位抑制機構は、前記第1フレームの前記第2膨出壁に形成した第1の固定部と、前記第1の固定部に前記第1方向で重なり合う前記第2フレームの前記第2膨出壁に形成した第2の固定部と、前記第1フレームの前記一対の第1膨出壁の少なくとも一方に形成した第3の固定部と、前記第2フレーム側から前記第1フレーム側に移動することで前記第1~第3の固定部に係合可能な連結部材と、を備え
、前記連結部材は、前記第1~第3の固定部の全てに同時に係合可能なコ字形状に一体形成された部材であることを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記相対変位抑制機構は、
前記連結部材を前記第1~第3の固定部の全てに係合させることで、前記第2方向及び前記第3方向への相対的な変位を抑制する連結状態と、
前記連結部材を前記第2フレームの前記第2の固定部のみに係合させることで、前記第2方向及び前記第3方向への相対的な変位を解除し、前記連結部材を仮に保持する仮保持状態と、を有することを特徴とする請求項1記載の電気機器。
【請求項3】
前記第1方向で重なり合う前記第1の固定部及び前記第2の固定部には、前記第2方向及び前記第3方向の位置が一致して前記第1方向に延在する第1の挿入部が形成され、前記第3の固定部には、前記第1方向に延在する第2の挿入部が形成されており、
前記連結部材は、前記第1の挿入部に挿入する第1の挿入片と、前記第2の挿入部に挿入する第2の挿入片と、を備えており、前記第1の挿入片及び前記第2の挿入片が、前記第1フレーム及び第2フレームの前記第2方向及び前記第3方向の相対的な変位を抑制して前記連結状態とすることを特徴とする請求項2記載の電気機器。
【請求項4】
前記連結部材は、先端に第1係止突起部を形成した可撓性アームを有し、
前記第1方向で重なり合う前記第1の固定部及び前記第2の固定部には、前記可撓性アームを挿通させる第3の挿入部が形成されており、
前記連結状態において、前記可撓性アームの弾性復帰力で前記第1係止突起部が前記第3の挿入部に係合して前記連結状態が保持されることを特徴とする請求項2又は3記載の電気機器。
【請求項5】
前記連結部材には、前記第1及び第2フレームの前記膨出壁部に向けて突出するストッパ突起部が形成されており、
前記連結状態では、前記第1フレームに形成した突起係合部に前記ストッパ突起部が係合することで前記連結状態が保持され、
前記仮保持状態では、前記突起係合部を乗り越えた前記ストッパ突起部が、前記第2フレームに設けたストッパ部に係合することで前記第2フレームからの前記連結部材の脱落が防止されることを特徴とする請求項2から4の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項6】
前記連結部材が前記連結状態及び前記仮保持状態の間を移動するときにクリック音が発生するクリック音発生手段を設け
ており、
前記クリック音発生手段は、前記第1の固定部及び前記第2の固定部と前記連結部材との一方にクリック凸部が形成され、他方に凹部が形成されており、前記連結部材が前記第1の固定部及び前記第2の固定部の間を移動して前記クリック凸部が前記凹部に入り込むときにクリック音が発生するようにしたことを特徴とする
請求項2から5の何れか1項に記載の電気機器。
【請求項7】
電気部品が、接点ユニットと、前記接点ユニットを駆動する電磁石ユニットであることを特徴とする請求項1から
6の何れか1項に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気部品を収納する第1フレーム及び第2フレームを備えた電気機器に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機器としての電磁接触器は、接点ユニット及び電磁石ユニットを収納する本体フレームを備えている。そして、本体フレームは、互に向かい合う第1フレーム及び第2フレームと、第1フレーム及び第2フレームを連結する連結機構とを備えている。
【0003】
特許文献1及び2には、連結機構として、スナップフィット機構を備えた電磁接触器が開示されている。特許文献1に記載のスナップフィット機構は、第1フレームのフック部に設けられた嵌合部と第2フレームに設けられた嵌合突起部との嵌合によって第1フレーム及び第2フレームを連結している。
【0004】
また、特許文献2に記載のスナップフィット機構は、上部ケース(第1フレーム)に設けられた係合突起と、下部ケース(第2フレーム)の弾性板部に設けられた受け口との嵌合によって上部ケース及び下部ケースを連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2015/177961号
【文献】特開平7-312159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電磁接触器は、顧客が使用する電源の種類に対応して電磁コイルなどの電気部品を交換する必要がある。そのため、第1フレーム及び第2フレームの連結状態及び解除を、工具を使用せずに簡単に行うのが好ましい。また、信頼性の高い電磁接触器を提供するために、電気部品の交換が完了して連結した第1フレーム及び第2フレームの相対変位を確実に抑制する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記技術の問題点に着目してなされたものであり、本願発明の目的は、第1フレーム及び第2フレームに収納した電気部品の交換を容易に行うことができるとともに、第1フレーム及び第2フレームの相対的な変位を抑制して信頼性を高めることができる電気機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電気機器は、各々の開放端側を第1方向に対向配置させることで電気部品を収納する第1フレーム及び第2フレームと、第1フレーム及び第2フレームを着脱自在に連結し、前記第1方向に直交し、且つ同一平面内で直交する第2方向及び第3方向への相対的な変位を抑制する相対変位抑制機構と、を備えている。第1フレーム及び第2フレームの各々は、互いに第3方向に壁面を向けて第2方向に延在する一対の第1膨出壁と、これら一対の第1膨出壁の先端で第2方向に壁面を向けた第2膨出壁とを有する膨出壁部を対向配置している。相対変位抑制機構は、前記第1フレームの前記第2膨出壁に形成した第1の固定部と、前記第1の固定部に前記第1方向で重なり合う前記第2フレームの前記第2膨出部に形成した第2の固定部と、前記第1フレームの前記一対の第1膨出壁の少なくとも一方に形成した第3の固定部と、前記第2フレーム側から前記第1フレーム側に移動することで前記第1~第3の固定部に係合可能な連結部材と、を備えたことを特徴とする電気機器。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気機器によれば、第1フレーム及び第2フレームに収納した電気部品の交換を容易に行うことができるとともに、第1フレーム及び第2フレームの相対的な変位を抑制して信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る1実施形態の電磁接触器の外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る相対変位抑制機構を構成する第1フレーム及び第2フレームの膨出壁部に形成した第1の固定部、第2の固定部及び第3の固定部を示す図である。
【
図4】第1フレームの膨出壁部に形成した第1の固定部及び第3の固定部を示す図である。
【
図5】本発明に係る相対変位抑制機構を構成する連結部材を示す図であり、(a)は連結部材の斜視図、(b)は連結部材を正面から示した図である。
【
図6】(a)は連結部材の連結状態を示す要部断面図であり、(b)が連結部材の仮保持状態を示す要部断面図である。
【
図7】連結部材の連結状態を示す要部断面図である。
【
図8】(a)は、連結状態において連結部材に形成したストッパ突起部が第1フレームに設けた突起係合部に係合している状態を示す図であり、(b)は、仮保持状態において連結部材のストッパ突起部が第2フレームのストッパ部に係合している状態を示す図である。
【
図9】(a)は、連結状態において連結部材に形成したクリック凸部が第1の固定部に形成した連結用凹部に係合している状態を示し、(b)は、仮保持状態において連結部材のクリック凸部が第2の固定部に形成した仮保持用凹部に係合している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0012】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
また、図面で記載しているX方向及びY方向は、同一平面内で直交する方向であり、Z方向は、X方向及びY方向に対して直交する方向である。また、Z方向が本発明で記載している第1方向に対応し、X方向が本発明で記載している第2方向に対応し、Y方向が本発明で記載している第3方向に対応している。
【0014】
以下に示す実施形態では、電気機器としての電磁接触器に本発明を適用した場合について説明する。本発明は、以下の実施形態のように電磁接触器に限定されるものではなく、他の電気機器にも適用することが可能である。
【0015】
図1は電磁接触器1の外観を示すものであり、第1フレーム2及び第2フレーム3からなる本体フレーム4と、第1フレーム2及び第2フレーム3をZ方向から連結しているスナップフィット機構5と、連結された第1フレーム2及び第2フレーム3のX方向及びY方向の相対変位を抑制する相対変位抑制機構6を備えている。
【0016】
第1フレーム2は、略角筒形状の側壁を有する第2フレーム3に連結する側が開放され、側壁の逆側が底壁部(不図示)で閉塞された有底筒体で構成されており、底部の四隅に取付け板部7が形成されている。
【0017】
第2フレーム3も、第1フレーム2と略同一形状の角筒形状の側壁を有し、第1フレーム2に連結する側が解放されているとともに、側壁の逆側に一次側端子部8(
図2参照)及び二次側端子部9が設けられている。
【0018】
図2は、電磁接触器1の内部構造を示すものであリ、第2フレーム3に接点ユニット10が収納され、第1フレーム2に接点ユニット10を駆動する電磁石ユニット11が収納されている。
【0019】
接点ユニット10は、前述した一次側端子部8及び二次側端子部9が一体に設けられている一対の固定接触子12及び13と、一対の固定接触子12及び13の固定接点に対して可動接点が接離可能に配置された橋連形の可動接触子14と、この可動接触子14を保持する可動接点支え15と、を有する。これら一対の固定接触子12及び13は、並びに可動接触子14は三相交流の電路に対応してY方向に3つ並んで配置されている。
【0020】
電磁石ユニット11は、固定鉄心20及び可動鉄心21と、電磁コイル22と、復帰バネ23と、を有する。固定鉄心20及び可動鉄心21は、各々の接極面が互いに向かい合うようにして配置されている。電磁コイル22は、電磁力によって固定鉄心20と可動鉄心21とを吸着させる磁界を発生する。電磁コイル22は、巻線24及びボビン25を有している。復帰バネ23は、可動鉄心21を固定鉄心20から離間する方向に付勢するコイルバネである。可動接触子14は、可動接点支え15のZ方向の一端側に固定されている。そして、可動接点支え15のZ方向の他端側は、可動鉄心21の脚部側とは反対側の背面部に固定されている。可動接触子14は、可動鉄心21のZ方向の移動に連動してZ方向に移動し、一対の固定接触子12及び13と可動接触子14とは、固定鉄心20と可動鉄心21とが相互に離間した釈放状態では離間し、固定鉄心20と可動鉄心21とが接触した投入状態では接触する。
【0021】
図1に戻って、第1フレーム2及び第2フレーム3をZ方向から連結しているスナップフィット機構5は、第2フレーム3の第1フレーム2に連結する側の側壁に開口して設けられた篏合孔部16と、第1フレーム2の第2フレーム3に連結する側の側壁に形成され、第1フレーム2及び第2フレーム3を相対的にZ方向に移動させることで、篏合孔部16に篏合する篏合突起部17と、を備えている。
図1は第1フレーム2及び第2フレーム3のY方向の一方に2箇所のスナップフィット機構5が設けられているが、図示しないY方向の他方にも、スナップフィット機構5が設けられている。
【0022】
図1に示すように、本体フレーム4には、X方向の一方に向けて膨出する膨出壁部18が設けられており、膨出壁部18は、第1フレーム2の膨出壁部18a及び第2フレーム3の膨出壁部18bがZ方向に連続することで形成されている。そして、膨出壁部18a及び膨出壁部18bが連続する部位に相対変位抑制機構6が設けられている。
【0023】
第1フレーム2の膨出壁部18aは、
図3(a)、(b)に示すように、Y方向の一方に壁面が向いている膨出壁2aと、Y方向の他方に壁面が向いている膨出壁2bと、膨出壁2a,2bに連続して形成されてX方向の一方に壁面が向いている膨出壁2cとで構成されている。また、第2フレーム3の膨出壁部18bは、Y方向の一方に壁面が向いている膨出壁3aと、Y方向の他方に壁面が向いている膨出壁3bと、膨出壁3a,3bに連続して形成されてX方向の一方に壁面が向いている膨出壁3cとで構成されている。膨出壁2a,3a及び膨出壁2b,3bは、互いに面一でZ方向に連続している。また、第1フレーム2の膨出壁2cは第2フレーム3の膨出壁3cよりX方向の一方に向けて凹んでおり、この膨出壁3cの端面が、後述するストッパ部19とされている。
【0024】
相対変位抑制機構6は、
図3(a),(b)に示すように、第1フレーム2の膨出壁2aに形成した第1フレーム固定部30と、第1フレーム2の膨出壁2bに形成された第1フレーム固定部31と、第1フレーム2の膨出壁2cに形成した第1フレーム固定部32と、第2フレーム3の膨出壁3cに形成され、第1フレーム固定部32に対してZ方向に重なリ合っている第2フレーム固定部33と、
図1に示すように、第1フレーム2の膨出壁部18a及び第2フレーム3の膨出壁部18bを跨いで配置され、第1フレーム固定部30~32及び第2フレーム固定部33に着脱自在に装着される連結部材34と、を備えている。
【0025】
第2フレーム固定部33には、
図3(a)に示すように、互いにY方向に離間してZ方向に貫通する一対の挿入部35が形成されているとともに、一対の挿入部35の間に互いにY方向に離間してZ方向に貫通する一対の挿入部36が形成されている。また、第2フレーム固定部33のX方向の一方を向く外壁には仮保持用凹部37が形成されている。
【0026】
第1フレーム固定部32には、
図4に示すように、互いにY方向に離間してZ方向に貫通する一対の挿入部38が形成されているとともに、一対の挿入部38の間に、互いにY方向に離間してZ方向に貫通する一対の挿入部39が形成されている。また、第1フレーム固定部32のX方向の一方を向く外壁には連結用凹部40が形成されている。また、第1フレーム固定部30には、
図3(a)に示すように、Z方向に貫通する挿入部41が形成されているとともに、第1フレーム固定部31には、
図3(b)に示すように、Z方向に貫通する挿入部42が形成されている。
【0027】
また、第1フレーム2の膨出壁2cには、
図3(a)に示すように、第1フレーム固定部32に対してY方向の一方側に、X方向の一方に突出する突起係合部43が形成されており、
図3(b)に示すように、第1フレーム固定部32に対してY方向の他方側に、X方向の一方に突出する突起係合部44が形成されている。
【0028】
連結部材34は、
図5(a)に示すように、長尺な主板45と、主板45の長手方向の両端から互いに平行に延在する一対の端板46a,46bとでコ字形状に形成されているとともに、主板45の短尺方向の一端に把持部材47が形成されている。
【0029】
連結部材34は、
図5(b)に示すように、主板45の長手方向の両端側に、一対の端板46a,46bに沿って延在する一対の位置決め部材48a,48bが形成されており、これら位置決め部材48a,48bの先端に爪形状のストッパ突起部48a1,48b1が形成されている。一対の位置決め部材48a,48bの間の中央部には、把持部材47に基部が固定され、主板45に沿って把持部材47から離間する方向に延在する一対の可撓性アーム49a,49bが形成されている。これら一対の可撓性アーム49a,49bの先端には、互いが近接する方向に膨出する第1係止突起部49a1,49b1が形成され、基部側にも互いが近接する方向に膨出する第2係止突起部49a2,49b2が形成されている。一方の位置決め部材48a及び一方の可撓性アーム49aの間には、把持部材47に基部が固定され、主板45に沿って把持部材47から離間する方向に延在する板形状の挿入片50が形成されている。他方の位置決め部材48b及び他方の可撓性アーム49bの間にも、把持部材47に基部が固定され、主板45に沿って把持部材47から離間する方向に延在する板形状の挿入片51が形成されている。一対の端板46a,46bにも、前述した挿入片50,51に対して面方向が直交した状態で延在する板形状の挿入片52,53が形成されている。ここで、主板45の長手方向中央部の内壁には、第1フレーム2の第1フレーム固定部32に形成した連結用凹部40、或いは第2フレーム3の第2フレーム固定部33に形成した仮保持用凹部37に係合する半球体形状のクリック凸部54が形成されている。
【0030】
ここで、
図6(a)、
図7、
図8(a)、
図9(a)は、相対変位抑制機構6を構成する連結部材34が、第1フレーム2の第1フレーム固定部30~32及び第2フレーム3の第2フレーム固定部33の内部に装着されている状態を示している。この状態を、以下の説明では連結部材34の連結状態と称する。
【0031】
連結部材34の連結状態では、
図6(a)に示すように、連結部材34の挿入片50,51が、第1フレーム固定部32の一対の挿入部38と、第2フレーム固定部33の一対の挿入部35とに挿入される。また、連結部材34の一対の可撓性アーム49a,49bの第1係止突起部49a1、49b1が、弾性変形しながら挿入部36を通過して第1フレーム挿入部39の開口周縁に係合する。さらに、
図7に示すように、連結部材34の挿入片52が挿入部41に挿入され、挿入片53が挿入部42に挿入される。
【0032】
連結部材34の連結状態では、
図7に示すように、連結部材34の挿入片50,51のX方向を向く面が一対の挿入部38のX方向を向く内壁に当接し、挿入片50,51のY方向を向く面が一対の挿入部38のY方向を向く内壁に当接するとともに、挿入片50,51のX方向を向く面が一対の挿入部35のX方向を向く内壁に当接し、挿入片50,51のY方向を向く面が一対の挿入部35のY方向を向く内壁に当接することで、第1フレーム2及び第2フレーム3のX方向及びY方向の相対変位が抑制される。
また、連結部材34の連結状態では、
図7に示すように、連結部材34の挿入片52,53のY方向を向く面が挿入部41,42のY方向を向く内壁に当接し、挿入片52,53のX方向を向く面が挿入部41,42のX方向を向く内壁に当接することで、第1フレーム2及び第2フレーム3のX方向及びY方向の相対変位が抑制される。
また、
図6に示すように、連結部材34の一対の可撓性アーム49a,49bの第1係止突起部49a1、49b1が、第1フレーム2の挿入部39の開口周縁に係合しているので、連結部材34のZ方向の相対変位も抑制される。
【0033】
また、
図8(a)に示すように、連結部材34の連結状態では、連結部材34のストッパ突起部48b1が、連結部材34の装着時に、第1フレーム2に形成した突起係合部44を乗り越えて係合している。なお、図示していないが、連結部材34のストッパ突起部48a1も、連結部材34の装着時に、第1フレーム2に形成した突起係合部43を乗り越えて係合している。これにより、連結部材34に振動などの外力が伝達されても、突起係合部43,44にストッパ突起部48a1,48b1が係合していることで、連結部材34の脱落が防止される。
【0034】
さらに、
図9(a)に示すように、連結部材34の連結状態では、連結部材34の主板45に形成したクリック凸部54が、第1フレーム2の第1フレーム固定部32に形成した連結用凹部40に入り込んで係合しているので、連結部材34に振動などの外力が伝達されても連結部材34の脱落が防止される。
【0035】
次に、
図6(b)、
図8(b)、
図9(b)は、相対変位抑制機構6の連結部材34が、第2フレーム3に仮保持されている状態を示している。この状態を、以下の説明では連結部材34の仮保持状態と称する。
【0036】
連結部材34の仮保持状態では、連結部材34の挿入片50,51、52,53が第1フレーム固定部30~32の内部から抜け出るとともに、
図6(b)に示すように、連結部材34の一対の可撓性アーム49a,49bの弾性復帰力により第2係止突起部49a2、49b2が第2フレーム3の挿入部36の開口周縁に係合する。これにより、連結部材34が重力などによって、
図6(b)におけるZ方向上方に逆戻りしない。
【0037】
また、
図8(b)に示すように、連結部材34の仮保持状態では、連結部材34のストッパ突起部48b1が、第2フレーム3の膨出壁3cに設けたストッパ部19に係合する。なお、図示していないが、連結部材34の仮保持状態では、連結部材34のストッパ突起部48a1も第2フレーム3の膨出壁3cに設けたストッパ部19に係合する。また、
図9(b)に示すように、連結部材34の仮保持状態では、連結部材34のクリック凸部54が、第2フレーム3の第2フレーム固定部33に形成した仮保持用凹部37に入り込んで係合する。このように、連結部材34の仮保持状態では、連結部材34のストッパ突起部48a1,48b1が第2フレーム3のストッパ部19に係合し、連結部材34のクリック凸部54が、第2フレーム3の仮保持用凹部37に係合するので、連結部材34は第2フレーム3から脱落しない。
【0038】
ここで、作業者が連結部材34の把持部材47を掴んで仮保持状態から連結状態に操作する場合には(
図9(b)から
図9(a)への動作)、連結部材34のクリック凸部54が連結用凹部40に入り込む際にクリック音が発生する。また、
図8(b)から
図8(a)への動作のように、ストッパ突起部48a1,48b1が突起係合部43,44を乗り越える際にもクリック音が発生する。このクリック音を聞いた作業者は、連結部材34の連結状態が完了したことを確認できる。
【0039】
また、作業者が連結部材34の把持部材47を掴んで連結状態から仮保持状態に操作する場合には(
図9(a)から
図9(b)への動作)、連結部材34のクリック凸部54が仮保持用凹部37に入り込む際にクリック音が発生するので、このクリック音を聞いた作業者は、連結部材34の仮保持状態が完了したことを確認できる。
【0040】
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0041】
本実施形態の電磁接触器1は、本体フレーム4を構成する互いに連結された第1フレーム2及び第2フレーム3の相対変位を抑制する相対変位抑制機構6を備えている。この相対変位抑制機構6は、第1フレーム2と第2フレーム3の相対変位の抑制及び解除を、工具を用いずに行うことができるので、本体フレーム4に収納されている電磁コイル22など電磁石ユニット11の部品交換を容易に行うことができる。
【0042】
そして、本実施形態の相対変位抑制機構6は、連結された第1フレーム2及び第2フレーム3の相対変位を確実に抑制するので、信頼性の高い電磁接触器1を提供することができる。
【0043】
また、相対変位抑制機構6は、第1フレーム2の膨出壁部18aに、Y方向に延在する第1フレーム固定部32と、互いにY方向に対向してX方向に延在する一対の第1フレーム固定部30,31とが形成されており、第2フレーム3の膨出壁部18bに、第1フレーム固定部32にZ方向から重なってY方向に延在する第2フレーム固定部33が形成されている。そして、連結部材34の挿入片50,51を第2フレーム固定部33の挿入部35及び第1フレーム固定部32の挿入部38に挿入し、連結部材34の挿入片52,53を一対の第1フレーム固定部30,31の挿入部41,42に挿入した状態で、連結部材34を第1フレーム2の膨出壁部18a及び第2フレーム3の膨出壁部18bを跨いで装着している。これにより、相対変位抑制機構6は、連結された第1フレーム2及び第2フレーム3のX方向及びY方向の相対変位を確実に抑制することができる。
【0044】
また、相対変位抑制機構6は、連結部材34の可撓性アーム49a,49bの弾性復帰力で第1係止突起部49a1,49b1が第1フレーム固定部32の挿入部39の開口周縁に係合することで、第1フレーム固定部30~32及び第2フレーム固定部33に対する連結部材34の連結状態を保持することができる。
【0045】
また、連結部材34の仮保持状態では、連結部材34のストッパ突起部48a1,48b1が第2フレーム3のストッパ部19に係合し、連結部材34のクリック凸部54が、第2フレーム3の仮保持用凹部37に入り込んでいるので、連結部材34が第2フレーム3から脱落するのを確実に防止することができる。
【0046】
さらに、作業者が連結部材34の把持部材47を掴んで仮保持状態から連結状態に操作する場合には、連結部材34のクリック凸部54が連結用凹部40に入り込む際にクリック音が発生し、ストッパ突起部48a1,48b1が突起係合部43,44を乗り越える際にもクリック音が発生することで、連結部材34の連結状態が完了したことを作業者が容易に確認できる。また、作業者が連結部材34を連結状態から仮保持状態に操作する場合には、クリック凸部54が仮保持用凹部37に入り込む際にクリック音が発生することで、連結部材34の仮保持状態が完了したことを作業者が容易に確認できる。したがって、連結部材34を仮保持状態、或いは連結状態に操作する際にクリック音が発生するので、作業者に対してクリック感を十分に付与することができる。
【0047】
なお、上記実施形態では、相対変位抑制機構6を構成する部材として、互いにY方向に対向してX方向に延在する一対の第1フレーム固定部30,31が形成されているが、本発明の要旨がこれに限定されるのではなく、一対の第1フレーム固定部30,31の一方のみが形成されており、連結部材34の挿入片52,53の一方が挿入される構造としても、同様の効果を奏することができる。
【0048】
また、連結部材34に一対の挿入片50,51を形成し、第1フレーム固定部32、第2フレーム固定部33にも2箇所の挿入部35、38を形成して一対の挿入片50,51を挿入しているが、本発明の要旨がこれに限定されるのではなく、連結部材34に一つの挿入片を形成し、第1フレーム固定部32、第2フレーム固定部33にも1箇所の挿入部を形成する構造としても、同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 電磁接触器
2 第1フレーム
2a,2b 膨出壁(第1膨出壁)
2c 膨出壁(第2膨出壁)
3 第2フレーム
3a,3b 膨出壁(第1膨出壁)
3c 膨出壁(第2膨出壁)
4 本体フレーム
5 スナップフィット機構
6 相対変位抑制機構
7 取付け板部
8 一次側端子部
9 二次側端子部
10 接点ユニット
11 電磁石ユニット
12,13 固定接触子
14 可動接触子
15 可動接点支え
16 篏合孔部
17 篏合突起部
18 膨出壁部
18a,18b 膨出壁部
19 ストッパ部
20 固定鉄心
21 可動鉄心
22 電磁コイル
23 復帰バネ
24 巻線
25 ボビン
30,31 第1フレーム固定部(第3の固定部)
32 第1フレーム固定部(第1の固定部)
33 第2フレーム固定部(第2の固定部)
34 連結部材
35 挿入部(第1の挿入部)
36 挿入部(第3の挿入部)
37 仮保持用凹部(凹部)
38 挿入部(第1の挿入部)
39 挿入部(第3の挿入部)
40 連結用凹部(凹部)
41,42 挿入部(第2の挿入部)
43、44 突起係合部
45 主板
46a,46b 端板
47 把持部材
48a,48b 位置決め部材
48a1,48b1 ストッパ突起部
49a,49b 可撓性アーム
49a1,49b1 第1係止突起部
49a2,49b2 第2係止突起部
50,51 挿入片(第1の挿入片)
52,53 挿入片(第2の挿入片)
54 クリック凸部