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特許7524992端末装置、無線通信装置、無線通信方法及びコンピュータプログラム
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  • 特許-端末装置、無線通信装置、無線通信方法及びコンピュータプログラム 図1
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  • 特許-端末装置、無線通信装置、無線通信方法及びコンピュータプログラム 図20
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】端末装置、無線通信装置、無線通信方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 68/00 20090101AFI20240723BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20240723BHJP
   H04W 72/0446 20230101ALI20240723BHJP
【FI】
H04W68/00
H04W88/04
H04W72/0446
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023043879
(22)【出願日】2023-03-20
(62)【分割の表示】P 2021082165の分割
【原出願日】2016-03-11
(65)【公開番号】P2023078319
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】P 2015080357
(32)【優先日】2015-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 博允
(72)【発明者】
【氏名】高野 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 淳
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-524691(JP,A)
【文献】特表2013-544452(JP,A)
【文献】特表2013-529409(JP,A)
【文献】特表2014-507865(JP,A)
【文献】特表2011-514777(JP,A)
【文献】国際公開第2011/080833(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0238208(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0063451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
基地局からページングメッセージを取得し、
マスタ端末である自装置を介して前記基地局との無線通信を行うスレーブ端末である1以上の他の端末装置から前記スレーブ端末の識別情報を取得し、
前記識別情報に基づいて、前記他の端末装置に対するページングの受信タイミングを決定し、
前記ページングメッセージおよび前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記他の端末装置に対するページングを実行し、
前記ページングの受信タイミングを前記基地局に通知し、前記基地局は前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新する、
端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末装置、無線通信装置、無線通信方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)のプラットフォームにおいて、ページングという技術が用いられている(例えば特許文献1等参照)。ページングは、主に、ネットワーク(eNodeB)側からアイドル(IDLE)モードの端末装置を呼び出すための技術であり、データや音声の着信、災害情報などの緊急通知のために用いられる技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-5090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のページングでは、eNodeBとの通信において端末装置のみがIDLEモードに入っていた。しかしながら、端末装置がセルのように振る舞うシステムにおいては、ページングの対象となる端末装置のみならず、セルの役割を果たす端末装置もIDLEモードに入ることが想定される。このような環境に適応する新しいページングの仕組みが必要となる。
【0005】
そこで本開示では、端末装置がセルのように振る舞うシステムにおいて、ページングの対象となる端末装置へ効果的にページングを行うことが可能な、新規かつ改良された端末装置、無線通信装置、無線通信方法及びコンピュータプログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、端末装置であって、基地局からページングメッセージを取得し、マスタ端末である自装置を介して前記基地局との無線通信を行うスレーブ端末である1以上の他の端末装置から前記スレーブ端末の識別情報を取得し、前記識別情報に基づいて、前記他の端末装置に対するページングの受信タイミングを決定し、前記ページングメッセージおよび前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記他の端末装置に対するページングを実行し、前記ページングの受信タイミングを前記基地局に通知し、前記基地局は前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新する、端末装置が提供される。
【0007】
また本開示によれば、無線通信装置であって、第1の端末装置にページングメッセージを送信し、前記第1の端末装置を介して無線通信を行う第2の端末装置に対するページングの受信タイミングを前記第1の端末装置から取得し、前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新する、無線通信装置が提供される。
【0008】
また本開示によれば、基地局からページングメッセージを取得することと、マスタ端末である自装置を介して前記基地局との無線通信を行うスレーブ端末である1以上の他の端末装置から前記スレーブ端末の識別情報を取得することと、前記識別情報に基づいて、前記他の端末装置に対するページングの受信タイミングを決定することと、前記ページングメッセージおよび前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記他の端末装置に対するページングを実行することと、前記ページングの受信タイミングを前記基地局に通知し、前記基地局は前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新することと、を含む、無線通信方法が提供される。
【0009】
また本開示によれば、第1の端末装置にページングメッセージを送信することと、前記第1の端末装置を介して無線通信を行う第2の端末装置に対するページングの受信タイミングを前記第1の端末装置から取得することと、前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新することと、を含む、無線通信方法が提供される。
【0010】
また本開示によれば、コンピュータに、基地局からページングメッセージを取得することと、マスタ端末である自装置を介して前記基地局との無線通信を行うスレーブ端末である1以上の他の端末装置から前記スレーブ端末の識別情報を取得することと、前記識別情報に基づいて、前記他の端末装置に対するページングの受信タイミングを決定することと、前記ページングメッセージおよび前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記他の端末装置に対するページングを実行することと、前記ページングの受信タイミングを前記基地局に通知し、前記基地局は前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新することと、を実行させる、コンピュータプログラムが提供される。
【0011】
また本開示によれば、コンピュータに、第1の端末装置にページングメッセージを送信することと、前記第1の端末装置を介して無線通信を行う第2の端末装置に対するページングの受信タイミングを前記第1の端末装置から取得することと、前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新することと、を実行させる、コンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本開示によれば、端末装置がセルのように振る舞うシステムにおいて、ページングの対象となる端末装置へ効果的にページングを行うことが可能な、新規かつ改良された端末装置、無線通信装置、無線通信方法及びコンピュータプログラムを提供することが出来る。
【0013】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】Small Cell Enhancement(SCE)について説明する説明図である。
図2】LN(Localized Network)の一例を示す説明図である。
図3】LTEのプラットフォームにおけるページングの概要を示す説明図である。
図4】LTEのプラットフォームにおけるページングの動作フローを示す流れ図である。
図5】FDDの場合のルックアップテーブルを示す説明図である。
図6】TDDの場合のルックアップテーブルを示す説明図である。
図7】本開示の実施形態に係る通信システム1の概略的な構成の一例を示す説明図である。
図8】本開示の実施形態に係る端末装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図9】本開示の一実施形態に係る基地局200の機能構成例を示すブロック図である。
図10】本開示の一実施形態に係る制御エンティティ300の機能構成例を示すブロック図である。
図11】ステータスの組み合わせを示す説明図である。
図12】本開示の一実施形態に係る通信システム1の動作例を示すシーケンス図である。
図13】本開示の一実施形態に係る通信システム1の動作例を示すシーケンス図である。
図14】既に規定されているS1AP:Pagingメッセージの構造を示す説明図である。
図15】既に規定されているRRC:Pagingメッセージの構造を示す説明図である。
図16】本開示に係る技術が適用され得るサーバ700の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図17】本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第1の例を示すブロック図である。
図18】本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第2の例を示すブロック図である。
図19】本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図20】本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。
なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の実施の形態
1.1.背景
1.2.構成例
1.2.1.通信システムの構成例
1.2.2.端末装置の構成例
1.2.3.基地局の構成例
1.2.4.制御エンティティの構成例
1.3.動作例
2.応用例
3.まとめ
【0017】
<1.本開示の実施の形態>
[1.1.背景]
まず、本開示の実施の形態について詳細に説明する前に、本開示の実施の形態の背景について説明する。
【0018】
近年の無線通信環境は、データトラフィックの急増に直面している。将来のトラフィック急増の対策として、現行の3GPP(登録商標)ではマクロセル基地局内にスモールセル基地局を高密度に配置し、ネットワーク密度を高めることでトラフィックの分散を行うSmall Cell Enhancementについて検討が行われている。図1は、Small Cell Enhancement(SCE)について説明する説明図である。SCEは、屋内等のスモールセル向けの周波数帯として3GHz帯以上の高い帯域を使うことを想定しており、マクロエリアの中にスモールセル局を配置し、データトラフィックをスモールセル側にオフロードすることで全体のキャパシティを向上させる事を目的とするものである。
【0019】
また、次世代無線通信である5Gへ向けての提案においても、より高い周波数を用いて、カバレッジの小さなスモールセル基地局をマクロセル基地局内に超高密度に配置するUltra-Dense Networkなどが提案されている。
【0020】
しかしながら、このような高密度のスモールセルの配置においては、基地局の配置スペースを確保したり、ネットワークの消費電力の拡大、設備コスト、保守費用等が増加したりするなどの実現に向けて解決すべき点が多い。従って、トラフィック急増を対策しつつ、より低コストで、かつネットワークのトラフィック状況に応じて柔軟な対応が可能なネットワークが望ましい。
【0021】
そこで、ヘテロジーニアスネットワーク環境下でスモールセル基地局が存在しないようなエリアにおいて、スモールセル基地局のような機能を備えたUE(User Equipment)が仮想的なスモールセルネットワークを構築するLNM(Localized Network Management)の提案が行われている。LNMでは、ネットワークの状況に応じて、柔軟かつ低コストに仮想的なスモールセルの配置が可能である。
【0022】
図2は、LN(Localized Network)の一例を示す説明図である。LNは、仮想的なスモールセルとなりうる端末(以下「マスタ端末」とも称する)及びマスタ端末に接続している端末(以下「スレーブ端末」とも称する)から構成されている。LNでは、マクロセル基地局、マスタ端末間の通信を行うバックホール回線及びマスタ端末とスレーブ端末との間の通信を行うアクセス回線を有している。バックホール回線は、無線であっても有線であってもよい。
【0023】
LNにおいて、通常、マスタ端末は、バックホール回線とアクセス回線の送受信を同時に行うと、アイソレーションが確保できない限り、送信信号が自身の受信機に回り込んで、干渉が問題となる。そのため、LNにおいて、マスタ端末は、時分割でバックホール回線とアクセス回線の通信を行う。時分割でバックホール回線とアクセス回線の通信を行うことにより、マスタ端末でのバッファ確保や、スレーブ端末側でのレイテンシが大きな問題になる。
【0024】
マスタ端末でのバッファ確保や、スレーブ端末側でのレイテンシを解決する手段として、マスタ端末にFull Duplex(全二重)通信を適用し、バックホール回線並びにアクセス回線において同時送受信を行うことが可能な、FDLN(Full Duplex Localized Network)の提案が行われている。これにより、同一周波数リソースを用いたFull Duplex通信による同時送受信が可能となり、マスタ端末でのバッファ確保や、スレーブ端末側でのレイテンシを解決し、ネットワーク全体のキャパシティ増加が期待できる。
【0025】
LTEのプラットフォームにおいて、ページングという技術が用いられている。ページングは、主に、ネットワーク(eNodeB)側からIDLEモードの端末装置を呼び出すための技術であり、データや音声の着信、災害情報などの緊急通知のために用いられる技術である。
【0026】
図3は、LTEのプラットフォームにおけるページングの概要を示す説明図である。また図4は、LTEのプラットフォームにおけるページングの動作フローを示す流れ図である。
【0027】
図3及び図4に示したように、ネットワーク側のMME(Mobility Management Entity)からeNodeBを経由して、UEへとページングメッセージが通知されることでページングが行われる。ネットワーク側からeNodeBまでをS1AP:Pagingと呼び、eNodeBからUEまでをRRC:Pagingと呼ぶ。
【0028】
MMEは、複数のTA(Tracking Area;位置登録エリア)に対してS1AP:Paging信号を送信し、各eNodeBは、受信した信号をベースにRRC:Paging信号を作成し、UEへと通知する。UEは、自分宛てのページング信号を発見した場合はRACH procedureへと移行し、eNodeBに対してRRC connected状態へ遷移する。なお、LTEのプラットフォームにおけるページングでは、タイマT3413が設定される。
【0029】
UEは、ページングを正しく受信するために、ネットワーク側から送信されるページング情報を適切に読む必要がある。しかし、常にネットワーク側からの信号を待ち受けていては、UEの消費電力が膨大になってしまう。そこで、LTEのプラットフォームでは、図4に示したように、DRX(Discontinuous Reception)という間欠受信の方式を取り入れることで効果的なページング信号の受信を行っている。
【0030】
図4を用いて既存のページング処理を簡単に説明する。MMEは、タイマT3413を開始して、eNodeBへS1AP:Pagingを送信する。またUEは、DRXサイクルに基づいて定期的にeNodeBからのRRC:Pagingメッセージを待機する。eNodeBは、DRXサイクルに合わせてeNodeBへRRC:Pagingメッセージを送信する。RRC:Pagingメッセージは、UEは、eNodeBからRRC:Pagingメッセージを受信すると、ランダムアクセス手順(Random Access Procedure)を開始してeNodeBとの通信を確立する。UEは、eNodeBへRRC Connection Requestを送信し、eNodeBはUEへRRC Connection Setupを送信する。UEは、RRC Connection Setupの受信に応じてRRC Connection Setup CompleteをeNodeBへ送信する。eNodeBは、RRC Connection Setup CompleteをUEから受信すると、MMEへService Requestを送信する。MMEは、eNodeBからのService Requestの受信によりタイマT3413を停止する。
【0031】
DRXは、一定のサイクルで間欠受信を行う仕組みである。間隔のデフォルト値はSIB2にて通知され、以下の範囲で設定される。
{32, 64, 128, 256} [Radio Frames]
間隔の値は、UE側からネットワーク側へとリクエストすることも可能である。この場合、取りうる値は同じであり、“Attach Request”や“Tracking Area Update Request”を用いてUE側からネットワーク側へと通知される。なお、デフォルト値とUEからのリクエストが両方設定された場合は、どちらか小さい方の値が採用される。
【0032】
UEは決まったページング間隔と、UE_IDなどの情報をベースに、ページング信号を受信するフレーム(PF:Paging Frame)の設定を行う。PFのシステムフレーム番号(SFN)は以下の数式を用いた計算によって設定される。
【0033】
SFN mod T=(T/N)×(UE_ID mod N)
【0034】
ここで、Tは、ページングメッセージを受信するためのUEのDRXサイクルであり、無線フレームの数で表される。Nは、TとnBのうち最小値である。nBは、4T,2T,T,T/2,T/4,T/8,T/16,およびT/32から選択される値である。
【0035】
また、UE_IDは、下記の式から求められる。
【0036】
UE_ID=IMSI mod 1024
【0037】
ここで、IMSIはUEのIMSI(International Mobile Subscriber Identity)であり、UEはUE自身のIMSIを知っている。UEは、MME(Mobile Management Entity)にUEのIMSIを通知し、MMEはeNodeBにそのIMSI、またはMMEが計算したUE_IDを通知する。
【0038】
次にUEは、このようにして求められたPFのうち、ページング信号を受信するサブフレーム(PO:Paging Occasion)を決定する。POのサブフレーム番号は、下記のように求められる。まず下記の式により、インデックスi_sを求める。
【0039】
i_s=floor(UE_ID/N) mod Ns
【0040】
ここで、Nsは、1とnB/Tのうち最大値である。また図5は、FDDの場合のルックアップテーブルを示す説明図であり、図6は、TDDの場合のルックアップテーブルを示す説明図である。
【0041】
ここで、Nsはセル固有に設定され、Nsの値が大きくなればなるほどページング容量(Paging capacity)が大きい。Subframe 0,5は、同期信号やシステム情報が入っているため、MBSFN Subframeが設定できない。そのため、ページング情報もこのSubframeに入れれば、スペックインパクトは小さい。
【0042】
しかしながら、ページング容量の小さい(帯域が狭い)セルにとっては、Subfmrae 0、5は既にリソースが無いので、ページング情報を入れることは難しい。そのため、Paging capacityが小さいセルには、Subframe 0、5以外、特にSubframe 4、9をページングのために割り当てる傾向がある。Subframe 4,9であれば、ページングの直後に同期信号とシステム情報を読むことができ、UEにとっては効率的である。一方、Subframe 0、5に比較的余裕があるセル(ページング容量の大きいセル)に対しては、Subframe0、5にページングを割り当てることができる。
【0043】
TDDのケースでは、少なくともDL subframeにマッピングする必要があるため、常にDLの設定があるSubframe 0、5が最優先される。この場合、ページング情報とシステム情報のクラッシュも許容される。ページング容量が大きいセルに対しては、Subframe 1、6がページングのために追加で使用できる。Subframe 1はSpecial subframeで、Subframe 6はSpecial subframeまたはDL subframeである。Special subframeはPDCCHの領域が制限されているため、ページング容量が小さいセルではページングに用いることができない。そのため、Special subframeはページング容量が高いセルのみに割り当てられている。
【0044】
このようにLTEのプラットフォームでは、DRXを取り入れることで、端末装置に効果的にページング信号を受信させることが出来る。
【0045】
従来のページングでは、eNodeBとの通信においてIDLEモードに入る可能性があるのは端末装置のみであった。しかしながら、端末装置がセルのように振る舞うLNMのようなシステムにおいては、ページングの対象となる端末装置のみならず、セルの役割を果たす端末装置もIDLEモードに入る可能性がある。端末装置がセルのように振る舞うシステムに適応する新しいページングの仕組みが必要となる。
【0046】
そこで本件開示者は、上述した背景に鑑み、端末装置がセルのように振る舞うシステムにおいて、ページングの対象となる端末装置へ効果的にページングを行うことが可能な技術について鋭意検討を行った。その結果、本件開示者は、端末装置がセルのように振る舞うシステムにおいて、ページングの対象となる端末装置へ効果的にページングを行うことが可能な技術を考案するに至った。
【0047】
以上、本開示の実施の形態の背景について説明した。続いて、本開示の実施の形態について詳細に説明する。
【0048】
(1.2.構成例)
(1.2.1.通信システムの構成例)
まず、本開示の一実施形態に係る通信システム1の概略的な構成を説明する。図7は、本開示の実施形態に係る通信システム1の概略的な構成の一例を示す説明図である。図7を参照すると、通信システム1は、端末装置100a、100b、基地局200及び制御エンティティ300を含む。通信システム1は、例えば、LTE、LTE-Advanced、又はこれらに準ずる通信規格に準拠したシステムである。
【0049】
端末装置100aは、基地局200や端末装置100bとの無線通信を行う。また端末装置100bは、基地局200や端末装置100aとの無線通信を行う。端末装置100a、100bは、間欠受信動作を行う。端末装置100a、100bは、例えば、アイドルモードである場合に、DRX動作を行う。具体的には、例えば、端末装置100a、100bは、端末装置100a、100bのページング機会に通常の受信動作を行い、他の期間では受信動作の少なくとも一部を停止する。例えば、端末装置100a、100bは、受信動作の少なくとも一部の停止の際に、受信動作に関連する回路の少なくとも一部に電力を供給しない。なお、端末装置100a、100bは、接続モードである場合にもDRX動作を行なってもよい。
【0050】
基地局200は、端末装置100aを含む1つ以上の端末装置との無線通信を行う。基地局200は、マクロセルの基地局(即ち、マクロ基地局)であってもよく、又はスモールセルの基地局(即ち、スモール基地局)であってもよい。また基地局200は、ページングを行う。具体的には、例えば、基地局200は、時間軸上に繰り返し存在する各ページング区間内で、必要に応じて、端末装置のページング機会に当該端末装置向けのページングメッセージを送信する。
【0051】
制御エンティティ300は、本開示の各実施形態に応じた制御を行う。制御エンティティ300は、例えば、既存の又は新規のコアネットワークノードである。あるいは、制御エンティティ300は、基地局であってもよい。一例として、基地局200がスモール基地局である場合に、制御エンティティ300はマクロ基地局であってもよい。
【0052】
以下の説明では、端末装置100aをマスタ端末として、端末装置100bをスレーブ端末とする。すなわち端末装置100aはスモールセル基地局のような機能を備えたUEであり、端末装置100a、100bは、仮想的なスモールセルネットワーク(LN)を構築する。そして本開示の一実施形態に係る通信システム1は、基地局200から端末装置100aへ、及び、基地局200から端末装置100aを介して端末装置100bへページング処理を実行する。なお、図7ではスレーブ端末が1台だけ存在している場合を図示しているが、本開示は係る例に限定されるものでは無く、1台のマスタ端末に複数台のスレーブ端末が存在していても良い。またスレーブ端末である端末装置100bは基地局200のカバレッジ範囲内に存在していても良く、基地局200のカバレッジ範囲内に存在していなくても良い。
【0053】
図7に示したような通信システム1のように、マスタ端末である端末装置100aがセルのように振る舞うシステムにおいては、スレーブ端末である端末装置100bのみならず、セルの役割を果たす端末装置100aもアイドルモードとなることが想定される。本実施形態では、端末装置100a及び端末装置100bがアイドルモードになった場合でも基地局200から端末装置100bへページングを効率的に実行する。
【0054】
基地局200から端末装置100bへページングを効率的に実行するために、本実施形態に係る通信システム1は「代理ページング受信(Proxy paging reception)」という処理を実行する。この代理ページング受信は、基地局200からスレーブ端末である端末装置100bに向けて送られるページング情報を、マスタ端末である端末装置100aが一括して受信するものである。端末装置100bに向けて送られるページング情報を受信した端末装置100aは、端末装置100bに対するページング処理を実行する。
【0055】
本実施形態に係る通信システム1は、代理ページング受信の仕組みを導入することで、端末装置100a及び端末装置100bがアイドルモードになった場合でも基地局200から端末装置100bへページングを効率的に実行することが可能になる。代理ページング受信の仕組みの詳細については、後に詳述する。
【0056】
以上、図7を用いて本開示の実施形態に係る通信システム1の概略的な構成の一例を説明した。続いて、本開示の実施形態に係る端末装置100a及び端末装置100b(これらを総称する場合は端末装置100とも称する)の構成例について説明する。
【0057】
(1.2.2.端末装置の構成例)
図8は、本開示の実施形態に係る端末装置100の構成の一例を示すブロック図である。図8を参照すると、端末装置100は、アンテナ部110、無線通信部120、記憶部130及び処理部140を備える。
【0058】
(アンテナ部110)
アンテナ部110は、無線通信部120により出力される信号を電波として空間に放射する。また、アンテナ部110は、空間の電波を信号に変換し、当該信号を無線通信部120へ出力する。
【0059】
(無線通信部120)
無線通信部120は、信号を送受信する。例えば、無線通信部120は、基地局からのダウンリンク信号を受信し、基地局へのアップリンク信号を送信する。
【0060】
(記憶部130)
記憶部130は、端末装置100の動作のためのプログラム及びデータを一時的にまたは恒久的に記憶する。本実施形態では、端末装置100がマスタ端末である場合は、記憶部130は、スレーブ端末のリストを記憶する。記憶部130に記憶されているスレーブ端末のリストは制御部143による処理、例えば、後述するスレーブ端末向けのページングタイミングの規定処理に用いられうる。
【0061】
(処理部140)
処理部140は、端末装置100の様々な機能を提供する。処理部140は、情報取得部141及び制御部143を含む。なお、処理部140は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、処理部140は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。
【0062】
(情報取得部141)
情報取得部141は、アンテナ部110が受信した電波から得られた信号から、種々の情報を取得する。本実施形態では、端末装置100がマスタ端末である場合は、情報取得部141は、基地局200から送られてくる、自装置向けのページング信号、及び、スレーブ端末向けのページング信号を取得する。また端末装置100がスレーブ端末である場合は、情報取得部141は、基地局200またはマスタ端末から送られてくる、スレーブ端末向けのページング信号を取得する。
【0063】
(制御部143)
制御部143は、端末装置100の動作を制御するものである。特に本実施形態では、制御部143は、端末装置100がマスタ端末である場合は、基地局200との間のページング処理、または、スレーブ端末との間のページング処理を実行する。また制御部143は、端末装置100がスレーブ端末である場合は、端末装置100aとの間のページング処理、または、マスタ端末から送られてくるスレーブ端末向けのページング信号に基づいたマスタ端末との間のページング処理を実行する。制御部143は、例えば、アイドルモードである場合に、DRX動作を行い、DRX動作によって、基地局200(端末装置100がスレーブ端末である場合は、端末装置100a)から送信されるページングメッセージを受信する。
【0064】
端末装置100がマスタ端末である場合、制御部143は、スレーブ端末向けのページングタイミングを規定する処理を実行する。既存のページング処理では、端末のIDをベースにページングファイルを特定していた。しかし、スレーブ端末向けのページング処理に、この既存のページング処理の仕組みを流用すると、マスタ端末もスレーブ端末も、それぞればらばらのページングファイルを割り当ててしまい、効率が悪い。特に、代理ページング受信をマスタ端末で行う場合、マスタ端末は、スレーブ端末の分のページングメッセージも読む必要があり、スレーブ端末の分のページングメッセージを一括して受信できるような効率的な仕組みが求められる。
【0065】
そこで本実施形態では、マスタ端末に所属するスレーブ端末向けのページングタイミング(PF/PO)を新たに規定し、制御部143は、マスタ端末に所属するスレーブ端末向けのページングタイミングを決定する。制御部143は、例えば全てのスレーブ端末について同じページングタイミングとしてもよく、全てのスレーブ端末についてPFは同じにするがPOを分けるようにしてもよく、全てのスレーブ端末でPFを分けるようにしても良い。制御部143が、マスタ端末に所属するスレーブ端末向けのページングタイミングを決定することで、マスタ端末である端末装置100は、スレーブ端末に対するページングを効率的に実行することが可能になる。なお、マスタ端末に所属するスレーブ端末向けのページングタイミングは、マスタ端末である端末装置100でなく、基地局200が決定しても良い。マスタ端末に所属するスレーブ端末向けのページングタイミングを基地局200が決定する場合には。制御部143は、マスタ端末を識別する情報及びスレーブ端末を識別する情報を基地局200へ送信する。
【0066】
以上、本開示の一実施形態に係る端末装置100の機能構成例について説明した。次に、本開示の一実施形態に係る基地局200の機能構成例について説明する。
【0067】
(1.2.3.基地局の構成例)
図9は、本開示の一実施形態に係る基地局200の機能構成例を示すブロック図である。図9に示したように、本開示の一実施形態に係る基地局200は、アンテナ部210と、無線通信部220と、ネットワーク通信部230と、記憶部240と、処理部250と、を備える。
【0068】
(アンテナ部210)
アンテナ部210は、無線通信部220により出力される信号を電波として空間に放射する。また、アンテナ部210は、空間の電波を信号に変換し、当該信号を無線通信部220へ出力する。
【0069】
(無線通信部220)
無線通信部220は、信号を送受信する。例えば、無線通信部220は、端末装置へのダウンリンク信号を送信し、端末装置からのアップリンク信号を受信する。
【0070】
(ネットワーク通信部230)
ネットワーク通信部230は、情報を送受信する。例えば、ネットワーク通信部230は、他のノードへの情報を送信し、他のノードからの情報を受信する。例えば、上記他のノードは、コアネットワーク及び他の基地局を含む。一例として、上記他のノードは、制御エンティティ300を含む。
【0071】
(記憶部240)
記憶部240は、基地局200の動作のためのプログラム及びデータを一時的にまたは恒久的に記憶する。
【0072】
(処理部250)
処理部250は、基地局200の様々な機能を提供する。処理部250は、情報取得部251及び制御部253を含む。なお、処理部250は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、処理部250は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。
【0073】
(情報取得部251)
情報取得部251は、基地局200の動作のための情報やプログラム、また、他のノードから受信した情報を取得する。情報取得部251は、基地局200の動作のための情報やプログラムを記憶部240から取得しうる。本実施形態では、情報取得部251は、制御エンティティ300から送られてくるS1AP:Pagingのためのページング信号を取得する。
【0074】
(制御部253)
制御部253は、基地局200の動作を制御する。本実施形態では、制御部253は、端末装置へのページングを行う。例えば、制御部253は、各ページング機会に送信されるページングメッセージを生成する。各ページング機会に送信されるページングメッセージは、ページング機会に対応する端末装置向けのページングメッセージである。また、制御部253は、無線通信部220を介して、各ページング機会に、生成されたページングメッセージを送信する。制御部253は、例えば端末装置100aに対してRRC:Pagingのためのページング信号を生成して、RRC:Pagingのためのページング信号を、無線通信部220を介してアンテナ部210から出力させる。
【0075】
また例えば、制御部253は、端末装置によるシステム情報の再取得が必要な場合に、当該端末装置へのページングを行う。また、制御部253は、他の装置からの要求に応じて、端末装置へのページングを行う。例えば、当該他の装置は、コアネットワークノード(例えば、制御エンティティ300)であり、上記要求は、上記他の装置からのページングメッセージ(例えば、S1APページングメッセージ)である。
【0076】
制御部253は、マスタ端末に所属するスレーブ端末向けのページングタイミングを、上述の端末装置100の制御部143が決定したタイミングとしてもよい。また、制御部253は、上述の端末装置100の制御部143が実行する、マスタ端末に所属するスレーブ端末向けのページングタイミングの決定処理を実行しても良い。制御部253が、マスタ端末に所属するスレーブ端末向けのページングタイミングを決定する際には、マスタ端末である端末装置100から、マスタ端末を識別する情報及びスレーブ端末を識別する情報を情報取得部251で取得しても良い。
【0077】
以上、本開示の一実施形態に係る基地局200の機能構成例について説明した。続いて、本開示の一実施形態に係る制御エンティティ300の機能構成例について説明する。
【0078】
(1.2.4.制御エンティティの構成例)
図10は、本開示の一実施形態に係る制御エンティティ300の機能構成例を示すブロック図である。図10に示したように、本開示の一実施形態に係る制御エンティティ300は、通信部310と、記憶部320と、処理部330と、を備える。
【0079】
(通信部310)
通信部310は、情報を送受信する。例えば、通信部310は、他のノードへの情報を送信し、他のノードからの情報を受信する。例えば、上記他のノードは、コアネットワーク及び基地局を含む。一例として、上記他のノードは、基地局200を含む。
【0080】
(記憶部320)
記憶部320は、制御エンティティ300の動作のためのプログラム及びデータを一時的にまたは恒久的に記憶する。
【0081】
(処理部330)
処理部330は、制御エンティティ300の様々な機能を提供する。処理部330は、情報取得部331及び制御部333を含む。なお、処理部330は、これらの構成要素以外の他の構成要素をさらに含み得る。即ち、処理部330は、これらの構成要素の動作以外の動作も行い得る。
【0082】
(情報取得部331)
情報取得部331は、制御エンティティ300の動作のための情報や、他のノードから受信した情報を取得する。情報取得部331は、制御エンティティ300の動作のための情報やプログラムを記憶部320から取得しうる。
【0083】
(制御部333)
制御部333は、制御エンティティ300の動作を制御する。制御部333は、情報取得部331が取得した情報に基づいて動作しうる。本実施形態では、制御部333は、基地局200に対してS1AP:Pagingのためのページング信号を生成して、S1AP:Pagingのためのページング信号を、通信部310から所定のタイミングで出力させる。
【0084】
以上、本開示の一実施形態に係る制御エンティティ300の機能構成例について説明した。続いて、本開示の一実施形態に係る通信システム1の動作例について説明する。
【0085】
(1.3.動作例)
図11は、本開示の一実施形態に係る通信システム1において、ダウンリンクの場合に想定される、ページングの宛先及びマスタ端末とスレーブ端末のステータスの組み合わせを示す説明図である。図7のように通信システム1が構成されている場合、ダウンリンクの場合に想定される、ページングの宛先及びマスタ端末とスレーブ端末のステータスの組み合わせは、図11に示した通り5つある。
【0086】
Case 1の、ページングの宛先がマスタ端末である場合は、既存のLTEのページングプロセスが用いられる。従ってこのCase 1の処理は、この実施形態では説明の対象とはしない。
【0087】
続いて、Case 2~4の、ページングの宛先がスレーブ端末である場合であるが、Case 3で示した、マスタ端末がIDLEモードで、スレーブ端末が基地局とRRC Connected(RRC接続状態)であるケースは、ここでは説明の対象とはしない。スレーブ端末が基地局とRRC Connectedである場合は、スレーブ端末が基地局と直接通信すれば良いからである。
【0088】
従って、以下では、Case 2の、マスタ端末とスレーブ端末の両方がIDLEモードの場合、Case 4の、マスタ端末はRRC Connectedでスレーブ端末がIDLEモードの場合、Case 5の、マスタ端末とスレーブ端末の両方がRRC Connectedの場合について検討する。
【0089】
まず、Case 2の、マスタ端末とスレーブ端末の両方がIDLEモードの場合において、IDLEモードの状態のマスタ端末を経由して、IDLEモードの状態のスレーブ端末を効率的にページングする仕組みについて説明する。
【0090】
図12は、本開示の一実施形態に係る通信システム1の動作例を示すシーケンス図である。図12に示したのは、制御エンティティ300から、IDLEモードの状態の端末装置100b(スレーブ端末)へページングメッセージを送信し、コネクションを確立する様子を示す動作例である。以下、図12を用いて本開示の一実施形態に係る通信システム1の動作例について説明する。
【0091】
まず前提として、端末装置100a(マスタ端末)及び端末装置100b(スレーブ端末)は、動作の開始時にはともにIDLEモードの状態にあることを想定している。
【0092】
制御エンティティ300は、対象のTAの基地局200に対してS1AP:Pagingメッセージを送信する(ステップS101)。ステップS101の処理は、例えば制御部333が実行しうる。
【0093】
制御エンティティ300からのS1AP:Pagingメッセージを受信した基地局200は、受信したS1AP:Pagingメッセージをベースに、RRC:Pagingメッセージを端末装置100aに通知する(ステップS102)。ステップS102の処理は、例えば制御部253が実行しうる。
【0094】
端末装置100aは、基地局200からのRRC:Pagingメッセージを、アンテナ部110を通じて無線通信部120で受信すると(ステップS103)、このRRC:Pagingメッセージに含まれている端末IDを確認し、対象のIDをサーチする(ステップS104)。ステップS104の処理は、例えば制御部143が実行しうる。ステップS104の、対象のIDをサーチする処理は、端末装置100aが予め保持しているスレーブ端末のリストが用いられる。
【0095】
端末装置100aは、所持するスレーブ端末のリスト内に、RRC:Pagingメッセージに含まれている端末IDと同じIDが見つかれば、端末装置100bとの間のコネクションを確立する(ステップS105)と共に、基地局200との間のコネクションを確立する(ステップS106)。ステップS105、S106の処理は、例えば制御部143が実行しうる。このステップS105とステップS106の順番は、逆でも良い。端末装置100aが端末装置100bとの間のコネクションを確立することで、端末装置100bはIDLEモードの状態から非IDLEモードの状態に移行する。
【0096】
端末装置100aから、IDLEモードの状態にある端末装置100bを非IDLEモードの状態に移行させる方法には、例えば以下の方法がある。
【0097】
例えば、端末装置100aと端末装置100bとの間に、新たにページングの仕組みを設ける。本実施形態では、端末装置100aと端末装置100bとの間のページングを「AL(Access Link) paging」と称する。このAL pagingは、既存のページング処理を適用して端末装置100aから端末装置100bへ通知するものである。このAL pagingによって、端末装置100aから、IDLEモードの状態にある端末装置100bを非IDLEモードの状態に移行させるようにしてもよい。
【0098】
また、マスタ端末を経由したスレーブ端末へのページングは、マスタ-スレーブ間のページング時間を考慮しなければならず、既存のタイマT3413では時間が不足する可能性がある。
【0099】
そこで本実施形態では、新たに、マスタ端末に属するスレーブ端末向けのタイマを規定する。このタイマは、既存のタイマT3413の時間に加えて、マスタ-スレーブ間のコネクションセットアップ時間を考慮した時間が規定される。
【0100】
端末装置100aが、端末装置100b及び基地局200との間のコネクションを確立すると、基地局200は、制御エンティティ300に対してレスポンスメッセージを返信する(ステップS107)。このステップS107のレスポンスメッセージの返信は、例えば制御部253が実行しうる。ステップS107のレスポンスメッセージの返信により、基地局200と、端末装置100a及び端末装置100bとのコネクションが確立される(ステップS108)。
【0101】
なお、ステップS104の対象のIDのサーチ処理で、所持するスレーブ端末のリスト内に、RRC:Pagingメッセージに含まれている端末IDと同じIDが見つからなければ、端末装置100aは、その後の処理は行わない。
【0102】
本開示の一実施形態に係る通信システム1は、上述した一連の動作を実行することで、マスタ端末とスレーブ端末の両方がIDLEモードの場合に、スレーブ端末向けに送られてくるページングメッセージをマスタ端末が一旦受信し、マスタ端末からスレーブ端末を非IDLEモードの状態に移行させることで、制御エンティティ300からスレーブ端末へのページング処理を行うことが出来る。
【0103】
既存のページング処理では、端末のIDをベースにページングファイルを特定していた。しかし、スレーブ端末向けのページング処理に、この既存のページング処理の仕組みを流用すると、マスタ端末もスレーブ端末も、それぞればらばらのページングファイルを割り当ててしまい、効率が悪い。特に、代理ページング受信をマスタ端末で行う場合、マスタ端末は、スレーブ端末の分のページングメッセージも読む必要があり、スレーブ端末の分のページングメッセージを一括して受信できるような効率的な仕組みが求められる。
【0104】
そこで本実施形態では、マスタ端末に所属するスレーブ端末向けのページングタイミング(PF/PO)を新たに規定する。マスタ端末に所属するスレーブ端末向けのページングタイミングを「PPRT(Proxy paging reception Timing)」と称する。
【0105】
図13は、本開示の一実施形態に係る通信システム1の動作例を示すシーケンス図である。図13に示したのは、基地局200から端末装置100bへ向けてページングメッセージを送信する際にPPRTを設定する様子を示す動作例である。以下、図13を用いて本開示の一実施形態に係る通信システム1の動作例について説明する。
【0106】
端末装置100bは、端末装置100aに所属する際に、IMSIまたはUE_IDの情報を端末装置100aに通知する(ステップS111)。ステップS111の処理は、例えば制御部143が実行しうる。
【0107】
端末装置100aは、端末装置100bが端末装置100aのネットワークに所属し、端末装置100bからIMSIまたはUE_IDの情報を受信すると、受信した情報を用いてPPRTを決定する(ステップS112)。ステップS112の処理は、例えば制御部143が実行しうる。代理ページング受信を端末装置100aが実行する場合、端末装置100aは、ステップS112で決定したPPRTをベースに端末装置100bに向けたれたページングメッセージも基地局200から一括して受信する。
【0108】
上記ステップS112におけるPPRTの決定処理について説明する。例えば、マスタ端末のIDを基準にしてPPRTを決定する場合、端末装置100aは、全てのスレーブ端末について同じページングタイミング(PF/PO)にしてもよく、全てのスレーブ端末について同じPFにするが、POは分けるようにしてもよく、スレーブ端末ごとに異なるPFにしてもよい。
【0109】
端末装置100aは、全てのスレーブ端末について同じページングタイミング(PF/PO)にする場合、例えばマスタ端末である端末装置100aのPFから任意のオフセットの後のPFであって、端末装置100aと同じサブフレームをページングタイミングに決定する。スレーブ端末のページングタイミングは、マスタ端末である端末装置100aのPFの直後が望ましい。
【0110】
端末装置100aは、全てのスレーブ端末について同じPFにするが、POは分ける場合、例えば、例えばマスタ端末である端末装置100aのPFから任意のオフセットの後のサブフレームに決定する。そして端末装置100aは、全てのスレーブ端末について同じPFにするが、POは分ける場合、POはスレーブ端末のID(Slave ID)で分離する。例えば端末装置100aは、スレーブ端末のPOを以下の数式のように決定しても良い。
PO=(Slave ID) mod (PO候補数)
【0111】
端末装置100aは、スレーブ端末ごとに異なるPFにする場合、例えばスレーブ端末向けにPFのプールを割り当てる。端末装置100aは、スレーブ端末のIDを用いて算出したオフセット値を用いてPFのプール内の割り当てを行う。
【0112】
例えば端末装置100aは、マスタ端末である端末装置100aのPFの直後の数サブフレーム間にプールを割り当て、その割り当てたプール内で、スレーブ端末のPFを割り当てる。端末装置100aは、スレーブ端末のPFを以下の数式のように決定しても良い。
PF=(Slave ID) mod (プールのサイズ)
【0113】
なお、上述した方法において、端末装置100a、いずれもマスタ端末である端末装置100aのPFの周期を使用してPPRTを決定するものとする。
【0114】
端末装置100aは、ステップS112でPPRTを決定すると、基地局200でページングメッセージの送信タイミングの更新を行って貰うために、基地局20へ決定したPPRTを通知する(ステップS113)。ステップS113の処理は、例えば制御部143が実行しうる。
【0115】
基地局200は、端末装置100aからPPRTを受信すると、受信したPPRTに基づいてページングメッセージの送信タイミングを更新する(ステップS114)。ステップS114の処理は、例えば制御部253が実行しうる。そして、基地局200は、端末装置100a、100bに対してページング動作を実行する(ステップS115)。ステップS115の処理は、例えば制御部253が実行しうる。
【0116】
マスタ端末である端末装置100aは、スレーブ端末である端末装置100bから取得したIMSIまたはUE_IDの情報を用いて、マスタ端末に所属するスレーブ端末向けのページングタイミングを決定し、その決定したページングタイミングを基地局200に通知することで、スレーブ端末の分のページングメッセージを一括して受信することができる。
【0117】
上述した例では、マスタ端末である端末装置100aがPPRTを決定していたが、本開示は係る例に限定されるものでは無い。PPRTは基地局200が決定しても良い。基地局200がPPRTを決定する場合、端末装置100aは、PPRTを決定せず、スレーブ端末である端末装置100bから取得したIMSIまたはUE_IDの情報と、マスタ端末である端末装置100aのIMSIまたはUE_IDの情報を基地局200に通知しても良い。基地局200は、マスタ端末である端末装置100aのIMSIまたはUE_IDの情報と、スレーブ端末である端末装置100bのIMSIまたはUE_IDの情報と、を用いて、PPRTを決定する。
【0118】
図11のCase 4では、基地局とRRC Connected状態のマスタ端末が、IDLEモードの状態のスレーブ端末向けのページング信号を代わりに受信する必要がある。そのため、基地局とRRC Connected状態のマスタ端末が、スレーブ端末向けのページング情報を確実に入手することが望ましい。マスタ端末が、スレーブ端末向けのページング情報を確実に入手するための手法として、本実施形態では以下の2つの手法を提案する。
【0119】
(手法1)
最初に提案する手法は、マスタ端末向けのページング情報の中にスレーブ端末向けのページング情報を新たに定義する手法である。また、マスタ端末がスレーブ端末向けのページング情報を確実に入手するための情報をS1AP:Pagingメッセージの中にも定義する。マスタ端末向けのページング情報の中にスレーブ端末向けのページング情報を新たに定義することにより、マスタ端末は、受信したメッセージが、自身に向けたメッセージなのか、自身に属するスレーブ端末に対してのメッセージなのかどうかを確実に判断することができる。
【0120】
図14は、LTEのプラットフォームにおいて既に規定されているS1AP:Pagingメッセージの構造を示す説明図である。本実施形態ではこのS1AP:Pagingメッセージに2つの情報を加える。1つはS1AP:Pagingメッセージが基地局から直接送信されるものか、マスタ端末経由で送信されるものかを判定するためのパラメータであり、本実施形態では、そのパラメータを「UE virtual cell parameter」と称する。もう1つは、目標のスレーブ端末がいるであろうマスタ端末を識別するための情報(Virtual cell ID)のリストであり、本実施形態では、その情報のリストを「List of UE virtual cell Identities」と称する。
【0121】
MME300は、基地局200に対して、上記「UE virtual cell parameter」及び上記「List of UE virtual cell Identities」を付加したS1AP:Pagingメッセージを送信する。
【0122】
図15は、LTEのプラットフォームにおいて既に規定されているRRC:Pagingメッセージの構造を示す説明図である。本実施形態ではこのRRC:Pagingメッセージに2つの情報を加える。1つは上記「UE virtual cell parameter」であり、もう1つは上記「List of UE virtual cell Identities」である。
【0123】
基地局200は、端末装置100aに対して、上記「UE virtual cell parameter」及び上記「List of UE virtual cell Identities」を付加したRRC:Pagingメッセージを送信する。端末装置100aは、上記「UE virtual cell parameter」及び上記「List of UE virtual cell Identities」が付加されたページングメッセージを受信することで、受信したものが自身に向けたメッセージなのか、自身に属するスレーブ端末に対してのメッセージなのかどうかを確実に判断することができる。
【0124】
なお、RRC:PagingメッセージではなくBH:Pagingメッセージに上記2つの情報が加えられてもよい。
【0125】
また、本実施形態では、端末装置100aと端末装置100bとの間のページングであるAL:pagingメッセージを端末装置100aが受信するために必要なパラメータを、以下の通り規定する。なお端末装置100aは、AL:pagingメッセージは、RRC:Pagingメッセージを転送することで対応する。
【0126】
-Paging
Frame update
書き換え後のPFの値、またはオフセット値を提供する。
-マスタ端末のページング情報
スレーブ端末のベースとなる情報であり、例えばマスタ端末である端末装置100aのPFや、端末装置100aの端末ID等が該当する。
【0127】
このように、マスタ端末向けのページング情報の中にスレーブ端末向けのページング情報を新たに定義することで、マスタ端末である端末装置100aは、受信したメッセージが自身に向けたメッセージなのか、自身に属するスレーブ端末に対してのメッセージなのかどうかを確実に判断することができる。
【0128】
(手法2)
次に提案する手法は、ページングとは異なる方法で、スレーブ端末向けのページング情報をマスタ端末に通知する手法である。基地局とRRC Connected状態のマスタ端末は、ページング情報をPOの度に確実にデコードしに行くとは限らない。その場合、基地局とRRC Connected状態のマスタ端末に対しては、ページングとは異なる方法でスレーブ端末向けのページング情報を通知する仕組みが望ましい。通知する方法としては、例えばPDCCH経由、PDSCH経由等があり得る。
【0129】
基地局とRRC Connected状態のマスタ端末に対しては、ページングとは異なる方法でスレーブ端末向けのページング情報を通知することで、マスタ端末は、自身に属するスレーブ端末に対してのメッセージを確実に取得することが可能になる。
【0130】
なお、上記2つの手法は、図11のCase 4の場合だけでなく、Case 2の場合、すなわちマスタ端末もスレーブ端末もIDLEモードの状態にいる場合にも適用可能である。すなわち、IDLEモードの状態にある端末装置100aが基地局200からのページングを受信してRRC Connected状態になると、図11のCase 4の場合に移行するので、端末装置100aは、同様にして端末装置100b向けのページングメッセージを受信することが出来る。
【0131】
<2.応用例>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用可能である。例えば、制御エンティティ300は、タワーサーバ、ラックサーバ、又はブレードサーバなどのいずれかの種類のサーバとして実現されてもよい。また、制御エンティティ300は、サーバに搭載される制御モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール、又はブレードサーバのスロットに挿入されるカード若しくはブレード)であってもよい。
【0132】
また、例えば、基地局200は、マクロeNB又はスモールeNBなどのいずれかの種類のeNB(evolved Node B)として実現されてもよい。スモールeNBは、ピコeNB、マイクロeNB又はホーム(フェムト)eNBなどの、マクロセルよりも小さいセルをカバーするeNBであってよい。その代わりに、基地局200は、NodeB又はBTS(Base Transceiver Station)などの他の種類の基地局として実現されてもよい。基地局200は、無線通信を制御する本体(基地局装置ともいう)と、本体とは別の場所に配置される1つ以上のRRH(Remote Radio Head)とを含んでもよい。また、後述する様々な種類の端末が一時的に又は半永続的に基地局機能を実行することにより、基地局200として動作してもよい。
【0133】
また、例えば、端末装置100a、100bは、スマートフォン、タブレットPC(Personal Computer)、ノートPC、携帯型ゲーム端末、携帯型/ドングル型のモバイルルータ若しくはデジタルカメラなどのモバイル端末、又はカーナビゲーション装置などの車載端末として実現されてもよい。また、端末装置100a、100bは、M2M(Machine To Machine)通信を行う端末(MTC(Machine Type Communication)端末ともいう)として実現されてもよい。さらに、端末装置100a、100bは、これら端末に搭載される無線通信モジュール(例えば、1つのダイで構成される集積回路モジュール)であってもよい。
【0134】
[2-1.制御エンティティに関する応用例]
図16は、本開示に係る技術が適用され得るサーバ700の概略的な構成の一例を示すブロック図である。サーバ700は、プロセッサ701、メモリ702、ストレージ703、ネットワークインタフェース704及びバス706を備える。
【0135】
プロセッサ701は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)であってよく、サーバ700の各種機能を制御する。メモリ702は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含み、プロセッサ701により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ703は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。
【0136】
ネットワークインタフェース704は、サーバ700を有線通信ネットワーク705に接続するための有線通信インタフェースである。有線通信ネットワーク705は、EPC(Evolved Packet Core)などのコアネットワークであってもよく、又はインターネットなどのPDN(Packet Data Network)であってもよい。
【0137】
バス706は、プロセッサ701、メモリ702、ストレージ703及びネットワークインタフェース704を互いに接続する。バス706は、速度の異なる2つ以上のバス(例えば、高速バス及び低速バス)を含んでもよい。
【0138】
図16に示したサーバ700において、図10を参照して説明した処理部330に含まれる1つ以上の構成要素(情報取得部331及び/又は制御部333)は、プロセッサ701において実装されてもよい。一例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)がサーバ700にインストールされ、プロセッサ701が当該プログラムを実行してもよい。別の例として、サーバ700は、プロセッサ701及びメモリ702を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムをメモリ702に記憶し、当該プログラムをプロセッサ701により実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてサーバ700又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるための上記プログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
【0139】
[2-2.基地局に関する応用例]
(第1の応用例)
図17は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第1の例を示すブロック図である。eNB800は、1つ以上のアンテナ810、及び基地局装置820を有する。各アンテナ810及び基地局装置820は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。
【0140】
アンテナ810の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、基地局装置820による無線信号の送受信のために使用される。eNB800は、図17に示したように複数のアンテナ810を有し、複数のアンテナ810は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図17にはeNB800が複数のアンテナ810を有する例を示したが、eNB800は単一のアンテナ810を有してもよい。
【0141】
基地局装置820は、コントローラ821、メモリ822、ネットワークインタフェース823及び無線通信インタフェース825を備える。
【0142】
コントローラ821は、例えばCPU又はDSPであってよく、基地局装置820の上位レイヤの様々な機能を動作させる。例えば、コントローラ821は、無線通信インタフェース825により処理された信号内のデータからデータパケットを生成し、生成したパケットをネットワークインタフェース823を介して転送する。コントローラ821は、複数のベースバンドプロセッサからのデータをバンドリングすることによりバンドルドパケットを生成し、生成したバンドルドパケットを転送してもよい。また、コントローラ821は、無線リソース管理(Radio Resource Control)、無線ベアラ制御(Radio Bearer Control)、移動性管理(Mobility Management)、流入制御(Admission Control)又はスケジューリング(Scheduling)などの制御を実行する論理的な機能を有してもよい。また、当該制御は、周辺のeNB又はコアネットワークノードと連携して実行されてもよい。メモリ822は、RAM及びROMを含み、コントローラ821により実行されるプログラム、及び様々な制御データ(例えば、端末リスト、送信電力データ及びスケジューリングデータなど)を記憶する。
【0143】
ネットワークインタフェース823は、基地局装置820をコアネットワーク824に接続するための通信インタフェースである。コントローラ821は、ネットワークインタフェース823を介して、コアネットワークノード又は他のeNBと通信してもよい。その場合に、eNB800と、コアネットワークノード又は他のeNBとは、論理的なインタフェース(例えば、S1インタフェース又はX2インタフェース)により互いに接続されてもよい。ネットワークインタフェース823は、有線通信インタフェースであってもよく、又は無線バックホールのための無線通信インタフェースであってもよい。ネットワークインタフェース823が無線通信インタフェースである場合、ネットワークインタフェース823は、無線通信インタフェース825により使用される周波数帯域よりもより高い周波数帯域を無線通信に使用してもよい。
【0144】
無線通信インタフェース825は、LTE(Long Term Evolution)又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、アンテナ810を介して、eNB800のセル内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース825は、典型的には、ベースバンド(BB)プロセッサ826及びRF回路827などを含み得る。BBプロセッサ826は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、各レイヤ(例えば、L1、MAC(Medium Access Control)、RLC(Radio Link Control)及びPDCP(Packet Data Convergence Protocol))の様々な信号処理を実行する。BBプロセッサ826は、コントローラ821の代わりに、上述した論理的な機能の一部又は全部を有してもよい。BBプロセッサ826は、通信制御プログラムを記憶するメモリ、当該プログラムを実行するプロセッサ及び関連する回路を含むモジュールであってもよく、BBプロセッサ826の機能は、上記プログラムのアップデートにより変更可能であってもよい。また、上記モジュールは、基地局装置820のスロットに挿入されるカード若しくはブレードであってもよく、又は上記カード若しくは上記ブレードに搭載されるチップであってもよい。一方、RF回路827は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ810を介して無線信号を送受信する。
【0145】
無線通信インタフェース825は、図17に示したように複数のBBプロセッサ826を含み、複数のBBプロセッサ826は、例えばeNB800が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。また、無線通信インタフェース825は、図17に示したように複数のRF回路827を含み、複数のRF回路827は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、図17には無線通信インタフェース825が複数のBBプロセッサ826及び複数のRF回路827を含む例を示したが、無線通信インタフェース825は単一のBBプロセッサ826又は単一のRF回路827を含んでもよい。
【0146】
(第2の応用例)
図18は、本開示に係る技術が適用され得るeNBの概略的な構成の第2の例を示すブロック図である。eNB830は、1つ以上のアンテナ840、基地局装置850、及びRRH860を有する。各アンテナ840及びRRH860は、RFケーブルを介して互いに接続され得る。また、基地局装置850及びRRH860は、光ファイバケーブルなどの高速回線で互いに接続され得る。
【0147】
アンテナ840の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、RRH860による無線信号の送受信のために使用される。eNB830は、図18に示したように複数のアンテナ840を有し、複数のアンテナ840は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図18にはeNB830が複数のアンテナ840を有する例を示したが、eNB830は単一のアンテナ840を有してもよい。
【0148】
基地局装置850は、コントローラ851、メモリ852、ネットワークインタフェース853、無線通信インタフェース855及び接続インタフェース857を備える。コントローラ851、メモリ852及びネットワークインタフェース853は、図17を参照して説明したコントローラ821、メモリ822及びネットワークインタフェース823と同様のものである。
【0149】
無線通信インタフェース855は、LTE又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、RRH860及びアンテナ840を介して、RRH860に対応するセクタ内に位置する端末に無線接続を提供する。無線通信インタフェース855は、典型的には、BBプロセッサ856などを含み得る。BBプロセッサ856は、接続インタフェース857を介してRRH860のRF回路864と接続されることを除き、図17を参照して説明したBBプロセッサ826と同様のものである。無線通信インタフェース855は、図18に示したように複数のBBプロセッサ856を含み、複数のBBプロセッサ856は、例えばeNB830が使用する複数の周波数帯域にそれぞれ対応してもよい。なお、図18には無線通信インタフェース855が複数のBBプロセッサ856を含む例を示したが、無線通信インタフェース855は単一のBBプロセッサ856を含んでもよい。
【0150】
接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)をRRH860と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース857は、基地局装置850(無線通信インタフェース855)とRRH860とを接続する上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
【0151】
また、RRH860は、接続インタフェース861及び無線通信インタフェース863を備える。
【0152】
接続インタフェース861は、RRH860(無線通信インタフェース863)を基地局装置850と接続するためのインタフェースである。接続インタフェース861は、上記高速回線での通信のための通信モジュールであってもよい。
【0153】
無線通信インタフェース863は、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、典型的には、RF回路864などを含み得る。RF回路864は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ840を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース863は、図18に示したように複数のRF回路864を含み、複数のRF回路864は、例えば複数のアンテナ素子にそれぞれ対応してもよい。なお、図18には無線通信インタフェース863が複数のRF回路864を含む例を示したが、無線通信インタフェース863は単一のRF回路864を含んでもよい。
【0154】
図17及び図18に示したeNB800及びeNB830において、図9を参照して説明した処理部250に含まれる1つ以上の構成要素(情報取得部251及び/又は制御部253)は、無線通信インタフェース855及び/又は無線通信インタフェース863において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、コントローラ851において実装されてもよい。一例として、eNB830は、無線通信インタフェース855の一部(例えば、BBプロセッサ856)若しくは全部、及び/又コントローラ851を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがeNB830にインストールされ、無線通信インタフェース855(例えば、BBプロセッサ856)及び/又コントローラ851が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてeNB830、基地局装置850又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
【0155】
また、図18に示したeNB830において、例えば、図9を参照して説明した無線通信部220は、無線通信インタフェース863(例えば、RF回路864)において実装されてもよい。また、アンテナ部210は、アンテナ840において実装されてもよい。また、ネットワーク通信部230は、コントローラ851及び/又はネットワークインタフェース853において実装されてもよい。
【0156】
[2-3.端末装置に関する応用例]
(第1の応用例)
図19は、本開示に係る技術が適用され得るスマートフォン900の概略的な構成の一例を示すブロック図である。スマートフォン900は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912、1つ以上のアンテナスイッチ915、1つ以上のアンテナ916、バス917、バッテリー918及び補助コントローラ919を備える。
【0157】
プロセッサ901は、例えばCPU又はSoC(System on Chip)であってよく、スマートフォン900のアプリケーションレイヤ及びその他のレイヤの機能を制御する。メモリ902は、RAM及びROMを含み、プロセッサ901により実行されるプログラム及びデータを記憶する。ストレージ903は、半導体メモリ又はハードディスクなどの記憶媒体を含み得る。外部接続インタフェース904は、メモリーカード又はUSB(Universal Serial Bus)デバイスなどの外付けデバイスをスマートフォン900へ接続するためのインタフェースである。
【0158】
カメラ906は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有し、撮像画像を生成する。センサ907は、例えば、測位センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び加速度センサなどのセンサ群を含み得る。マイクロフォン908は、スマートフォン900へ入力される音声を音声信号へ変換する。入力デバイス909は、例えば、表示デバイス910の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、キーパッド、キーボード、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス910は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの画面を有し、スマートフォン900の出力画像を表示する。スピーカ911は、スマートフォン900から出力される音声信号を音声に変換する。
【0159】
無線通信インタフェース912は、LTE又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース912は、典型的には、BBプロセッサ913及びRF回路914などを含み得る。BBプロセッサ913は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路914は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ916を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース912は、BBプロセッサ913及びRF回路914を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース912は、図19に示したように複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含んでもよい。なお、図19には無線通信インタフェース912が複数のBBプロセッサ913及び複数のRF回路914を含む例を示したが、無線通信インタフェース912は単一のBBプロセッサ913又は単一のRF回路914を含んでもよい。
【0160】
さらに、無線通信インタフェース912は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN(Local Area Network)方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ913及びRF回路914を含んでもよい。
【0161】
アンテナスイッチ915の各々は、無線通信インタフェース912に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ916の接続先を切り替える。
【0162】
アンテナ916の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース912による無線信号の送受信のために使用される。スマートフォン900は、図19に示したように複数のアンテナ916を有してもよい。なお、図19にはスマートフォン900が複数のアンテナ916を有する例を示したが、スマートフォン900は単一のアンテナ916を有してもよい。
【0163】
さらに、スマートフォン900は、無線通信方式ごとにアンテナ916を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ915は、スマートフォン900の構成から省略されてもよい。
【0164】
バス917は、プロセッサ901、メモリ902、ストレージ903、外部接続インタフェース904、カメラ906、センサ907、マイクロフォン908、入力デバイス909、表示デバイス910、スピーカ911、無線通信インタフェース912及び補助コントローラ919を互いに接続する。バッテリー918は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図19に示したスマートフォン900の各ブロックへ電力を供給する。補助コントローラ919は、例えば、スリープモードにおいて、スマートフォン900の必要最低限の機能を動作させる。
【0165】
図19に示したスマートフォン900において、図8を参照して説明した処理部140に含まれる1つ以上の構成要素(情報取得部141及び/又は制御部143)は、無線通信インタフェース912において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、プロセッサ901又は補助コントローラ919において実装されてもよい。一例として、スマートフォン900は、無線通信インタフェース912の一部(例えば、BBプロセッサ913)若しくは全部、プロセッサ901、及び/又は補助コントローラ919を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがスマートフォン900にインストールされ、無線通信インタフェース912(例えば、BBプロセッサ913)、プロセッサ901、及び/又は補助コントローラ919が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてスマートフォン900又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
【0166】
また、図19に示したスマートフォン900において、例えば、図8を参照して説明した無線通信部120は、無線通信インタフェース912(例えば、RF回路914)において実装されてもよい。また、アンテナ部110は、アンテナ916において実装されてもよい。
【0167】
(第2の応用例)
図20は、本開示に係る技術が適用され得るカーナビゲーション装置920の概略的な構成の一例を示すブロック図である。カーナビゲーション装置920は、プロセッサ921、メモリ922、GPS(Global Positioning System)モジュール924、センサ925、データインタフェース926、コンテンツプレーヤ927、記憶媒体インタフェース928、入力デバイス929、表示デバイス930、スピーカ931、無線通信インタフェース933、1つ以上のアンテナスイッチ936、1つ以上のアンテナ937及びバッテリー938を備える。
【0168】
プロセッサ921は、例えばCPU又はSoCであってよく、カーナビゲーション装置920のナビゲーション機能及びその他の機能を制御する。メモリ922は、RAM及びROMを含み、プロセッサ921により実行されるプログラム及びデータを記憶する。
【0169】
GPSモジュール924は、GPS衛星から受信されるGPS信号を用いて、カーナビゲーション装置920の位置(例えば、緯度、経度及び高度)を測定する。センサ925は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ及び気圧センサなどのセンサ群を含み得る。データインタフェース926は、例えば、図示しない端子を介して車載ネットワーク941に接続され、車速データなどの車両側で生成されるデータを取得する。
【0170】
コンテンツプレーヤ927は、記憶媒体インタフェース928に挿入される記憶媒体(例えば、CD又はDVD)に記憶されているコンテンツを再生する。入力デバイス929は、例えば、表示デバイス930の画面上へのタッチを検出するタッチセンサ、ボタン又はスイッチなどを含み、ユーザからの操作又は情報入力を受け付ける。表示デバイス930は、LCD又はOLEDディスプレイなどの画面を有し、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの画像を表示する。スピーカ931は、ナビゲーション機能又は再生されるコンテンツの音声を出力する。
【0171】
無線通信インタフェース933は、LTE又はLTE-Advancedなどのいずれかのセルラー通信方式をサポートし、無線通信を実行する。無線通信インタフェース933は、典型的には、BBプロセッサ934及びRF回路935などを含み得る。BBプロセッサ934は、例えば、符号化/復号、変調/復調及び多重化/逆多重化などを行なってよく、無線通信のための様々な信号処理を実行する。一方、RF回路935は、ミキサ、フィルタ及びアンプなどを含んでもよく、アンテナ937を介して無線信号を送受信する。無線通信インタフェース933は、BBプロセッサ934及びRF回路935を集積したワンチップのモジュールであってもよい。無線通信インタフェース933は、図20に示したように複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含んでもよい。なお、図20には無線通信インタフェース933が複数のBBプロセッサ934及び複数のRF回路935を含む例を示したが、無線通信インタフェース933は単一のBBプロセッサ934又は単一のRF回路935を含んでもよい。
【0172】
さらに、無線通信インタフェース933は、セルラー通信方式に加えて、近距離無線通信方式、近接無線通信方式又は無線LAN方式などの他の種類の無線通信方式をサポートしてもよく、その場合に、無線通信方式ごとのBBプロセッサ934及びRF回路935を含んでもよい。
【0173】
アンテナスイッチ936の各々は、無線通信インタフェース933に含まれる複数の回路(例えば、異なる無線通信方式のための回路)の間でアンテナ937の接続先を切り替える。
【0174】
アンテナ937の各々は、単一の又は複数のアンテナ素子(例えば、MIMOアンテナを構成する複数のアンテナ素子)を有し、無線通信インタフェース933による無線信号の送受信のために使用される。カーナビゲーション装置920は、図20に示したように複数のアンテナ937を有してもよい。なお、図20はカーナビゲーション装置920が複数のアンテナ937を有する例を示したが、カーナビゲーション装置920は単一のアンテナ937を有してもよい。
【0175】
さらに、カーナビゲーション装置920は、無線通信方式ごとにアンテナ937を備えてもよい。その場合に、アンテナスイッチ936は、カーナビゲーション装置920の構成から省略されてもよい。
【0176】
バッテリー938は、図中に破線で部分的に示した給電ラインを介して、図20に示したカーナビゲーション装置920の各ブロックへ電力を供給する。また、バッテリー938は、車両側から給電される電力を蓄積する。
【0177】
図20に示したカーナビゲーション装置920において、図8を参照して説明した処理部140に含まれる1つ以上の構成要素(情報取得部141及び/又は制御部143)は、無線通信インタフェース933において実装されてもよい。あるいは、これらの構成要素の少なくとも一部は、プロセッサ921において実装されてもよい。一例として、カーナビゲーション装置920は、無線通信インタフェース933の一部(例えば、BBプロセッサ934)若しくは全部及び/又はプロセッサ921を含むモジュールを搭載し、当該モジュールにおいて上記1つ以上の構成要素が実装されてもよい。この場合に、上記モジュールは、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラム(換言すると、プロセッサに上記1つ以上の構成要素の動作を実行させるためのプログラム)を記憶し、当該プログラムを実行してもよい。別の例として、プロセッサを上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムがカーナビゲーション装置920にインストールされ、無線通信インタフェース933(例えば、BBプロセッサ934)及び/又はプロセッサ921が当該プログラムを実行してもよい。以上のように、上記1つ以上の構成要素を備える装置としてカーナビゲーション装置920又は上記モジュールが提供されてもよく、プロセッサ上記1つ以上の構成要素として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。また、上記プログラムを記録した読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
【0178】
また、図20に示したカーナビゲーション装置920において、例えば、図8を参照して説明した無線通信部120は、無線通信インタフェース933(例えば、RF回路935)において実装されてもよい。また、アンテナ部110は、アンテナ937において実装されてもよい。
【0179】
また、本開示に係る技術は、上述したカーナビゲーション装置920の1つ以上のブロックと、車載ネットワーク941と、車両側モジュール942とを含む車載システム(又は車両)940として実現されてもよい。即ち、処理部140に含まれる上記1つ以上の構成要素を備える装置として車載システム(又は車両)940が提供されてもよい。車両側モジュール942は、車速、エンジン回転数又は故障情報などの車両側データを生成し、生成したデータを車載ネットワーク941へ出力する。
【0180】
<3.まとめ>
以上説明したように本開示の一実施形態によれば、端末装置がマスタ端末としてセルのように振る舞うシステムにおいて、ページングの対象となる端末装置(スレーブ端末)へ効果的にページングを行うことが可能な端末装置100aを提供することが出来る。
【0181】
以上説明したように本開示の一実施形態によれば、基地局からページングの対象となる端末装置(スレーブ端末)へページングを行う際に、セルのように振る舞う端末装置(マスタ端末)を介して効果的なページングの実行が可能になる。
【0182】
また本開示の一実施形態によれば、基地局からページングの対象となる端末装置(スレーブ端末)へページングを行う際に、マスタ端末が、スレーブ端末へのページングのタイミングを、基地局からマスタ端末へのページングのタイミングとは独立して規定する。マスタ端末が、スレーブ端末へのページングのタイミングを、基地局からマスタ端末へのページングのタイミングとは独立して規定することで、マスタ端末は、スレーブ端末へのページングを効率的に実行することが出来る。
【0183】
また本開示の一実施形態によれば、制御エンティティ300は、スレーブ端末へ向けたページングである旨を示す情報を予め付加してページング処理を実行する。スレーブ端末へ向けたページングである旨を示す情報は予め付加されていることで、基地局からページングの対象となる端末装置(スレーブ端末)へページングを行う際に、マスタ端末が、スレーブ端末へのページングを確実に受信して、スレーブ端末へページングを行えるようにすることが出来る。
【0184】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0185】
例えば、制御エンティティと基地局とが別々の装置である例を説明したが、本開示は係る例に限定されない。例えば、基地局の中に制御エンティティが実装されてもよい。
【0186】
また、例えば、本開示の実施形態では、通信システムがLTE又はLTE-Aに準拠する例を説明したが、本開示は係る例に限定されない。例えば、通信システムは、別の通信規格に準拠したシステムであってもよい。
【0187】
また、本明細書の処理における処理ステップは、必ずしもフローチャート又はシーケンス図に記載された順序に沿って時系列に実行されなくてよい。例えば、処理における処理ステップは、フローチャート又はシーケンス図として記載した順序と異なる順序で実行されても、並列的に実行されてもよい。
【0188】
また、本明細書の装置(例えば、端末装置、基地局もしくは制御エンティティ、又はそのモジュール)に備えられるプロセッサ(例えば、CPU、DSPなど)を上記装置として機能させるためのコンピュータプログラム(換言すると、上記プロセッサに上記装置の構成要素の動作を実行させるためのコンピュータプログラム)も作成可能である。また、当該コンピュータプログラムを記録した記録媒体も提供されてもよい。また、上記コンピュータプログラムを記憶するメモリと、上記コンピュータプログラムを実行可能な1つ以上のプロセッサとを備える装置(例えば、完成品、又は完成品のためのモジュール(部品、処理回路若しくはチップなど))も提供されてもよい。また、上記装置の1つ以上の構成要素(例えば、情報取得部及び/又は制御部など)の動作を含む方法も、本開示に係る技術に含まれる。
【0189】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0190】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
端末装置であって、
基地局からページングメッセージを取得し、
マスタ端末である自装置を介して前記基地局との無線通信を行うスレーブ端末である1以上の他の端末装置から前記スレーブ端末の識別情報を取得し、
前記識別情報に基づいて、前記他の端末装置に対するページングの受信タイミングを決定し、
前記ページングメッセージおよび前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記他の端末装置に対するページングを実行し、
前記ページングの受信タイミングを前記基地局に通知し、前記基地局は前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新する、
端末装置。
(2)
前記ページングメッセージは、前記他の端末装置に向けたページングメッセージが含まれる、前記(1)に記載の端末装置。
(3)
前記他の端末装置に対するページングの受信タイミングを、前記端末装置に対するページングとは独自に規定する、前記(1)または(2)に記載の端末装置。
(4)
全ての前記他の端末装置に対して同一のページングフレームでページングを実行するよう規定する、前記(1)、(2)または(3)に記載の端末装置。
(5)
全ての前記他の端末装置に対して同一のページングフレーム及びサブフレームでページングを実行するよう規定する、前記(1)~(4)のいずれかに記載の端末装置。
(6)
前記他の端末装置のそれぞれに対して異なるページングフレームでページングを実行するよう規定する、前記(1)~(5)のいずれかに記載の端末装置。
(7)
前記他の端末装置に対するページングの間隔を、前記端末装置に対するページングの間隔より長くなるよう規定する、前記(1)~(6)のいずれかに記載の端末装置。
(8)
自装置を識別する情報及び前記他の端末装置を識別する情報を前記基地局に送信する、前記(1)~(7)のいずれかに記載の端末装置。
(9)
無線通信装置であって、
第1の端末装置にページングメッセージを送信し、
前記第1の端末装置を介して無線通信を行う第2の端末装置に対するページングの受信タイミングを前記第1の端末装置から取得し、
前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新する、
無線通信装置。
(10)
前記第1の端末装置が規定したタイミングで前記第2の端末装置に対するページングを実行する、前記(9)に記載の無線通信装置。
(11)
前記第1の端末装置を識別する情報と前記第2の端末装置を識別する情報の少なくとも一つを用いて、前記第2の端末装置に対するページングのタイミングを規定する、前記(9)または(10)に記載の無線通信装置。
(12)
基地局からページングメッセージを取得することと、
マスタ端末である自装置を介して前記基地局との無線通信を行うスレーブ端末である1以上の他の端末装置から前記スレーブ端末の識別情報を取得することと、
前記識別情報に基づいて、前記他の端末装置に対するページングの受信タイミングを決定することと、
前記ページングメッセージおよび前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記他の端末装置に対するページングを実行することと、
前記ページングの受信タイミングを前記基地局に通知し、前記基地局は前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新することと、
を含む、無線通信方法。
(13)
第1の端末装置にページングメッセージを送信することと、
前記第1の端末装置を介して無線通信を行う第2の端末装置に対するページングの受信タイミングを前記第1の端末装置から取得することと、
前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新することと、
を含む、無線通信方法。
(14)
コンピュータに、
基地局からページングメッセージを取得することと、
マスタ端末である自装置を介して前記基地局との無線通信を行うスレーブ端末である1以上の他の端末装置から前記スレーブ端末の識別情報を取得することと、
前記識別情報に基づいて、前記他の端末装置に対するページングの受信タイミングを決定することと、
前記ページングメッセージおよび前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記他の端末装置に対するページングを実行することと、
前記ページングの受信タイミングを前記基地局に通知し、前記基地局は前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新することと、
を実行させる、コンピュータプログラム。
(15)
コンピュータに、
第1の端末装置にページングメッセージを送信することと、
前記第1の端末装置を介して無線通信を行う第2の端末装置に対するページングの受信タイミングを前記第1の端末装置から取得することと、
前記ページングの受信タイミングに基づいて、前記ページングメッセージの送信タイミングを更新することと、
を実行させる、コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0191】
1 通信システム
100a、100b 端末装置
200 基地局
300 制御エンティティ
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