(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】回転電機及び回転電機の冷却構造
(51)【国際特許分類】
H02K 1/20 20060101AFI20240723BHJP
H02K 3/24 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H02K1/20 C
H02K3/24 P
(21)【出願番号】P 2023073452
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2021000721の分割
【原出願日】2021-01-06
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2020098293
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】丹野 稔大
(72)【発明者】
【氏名】小坂 弥
(72)【発明者】
【氏名】山本 晋也
(72)【発明者】
【氏名】西川 敦准
(72)【発明者】
【氏名】原田 隆博
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-327558(JP,A)
【文献】特許第4496710(JP,B2)
【文献】特開2004-248429(JP,A)
【文献】特開2003-250239(JP,A)
【文献】特開平7-322566(JP,A)
【文献】特開2004-297924(JP,A)
【文献】特開2004-23805(JP,A)
【文献】特開2003-284277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/20
H02K 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のティース部を有するステータと、前記ティース部に巻かれたコイルと
、前記コイルが前記ティース部の間に形成されたスロットとを有し、前記コイルが前記スロットに設けられた回転電機の冷却構造であって、
前記スロットに充填され、前記コイルを覆う第1の樹脂組成物と、
前記第1の樹脂組成物が充填されている領域に設けられ、内部を冷却剤が循環する、回転軸方向に延出する第1の冷却用流路と、
を有
し、
前記第1の樹脂組成物が硬化した第1の樹脂硬化材のガラス転移温度Tg1が150℃以上である、回転電機の冷却構造。
【請求項2】
複数のティース部を有するステータと、前記ティース部に巻かれたコイルと、前記コイルが前記ティース部の間に形成されたスロットとを有し、前記コイルが前記スロットに設けられた回転電機の冷却構造であって、
前記スロットに充填され、前記コイルを覆う第1の樹脂組成物と、
前記第1の樹脂組成物が充填されている領域に設けられ、内部を冷却剤が循環する、回転軸方向に延出する第1の冷却用流路と、
を有し、
前記第1の樹脂組成物が硬化した第1の樹脂硬化材を、175℃で4時間加熱処理したサンプルに対して、動的粘弾性測定機を用いて、測定温度:-50℃~200℃、昇温速度:5℃/分、荷重:800gf、周波数:10Hz、3点曲げモードの条件で測定した、25℃における貯蔵弾性率が、20GPa以上70GPa以下である、回転電機の冷却構造。
【請求項3】
前記第1の樹脂硬化材の熱伝導率K1が1~10W/m・Kである、請求項
1または2に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項4】
前記コイルの側面部を覆う前記第1の樹脂組成物の樹脂厚みt1が0.3mm以上3.0mm以下である、請求項1
または2に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項5】
前記樹脂厚みt1と前記第1の樹脂組成物の熱伝導率K1の関係式P1=t1/K1が0.3×10
-4(m
2K/W)以上3×10
-3(m
2K/W)以下である、請求項4に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項6】
前記第1の冷却用流路の内壁は、高熱伝導性の金属からなる、請求項1
または2に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項7】
前記第1の冷却用流路の内壁は、高熱伝導性の無機材料からなる、請求項1
または2に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項8】
前記第1の冷却用流路は、前記コイルより前記回転軸方向側に設けられている、請求項1
または2に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項9】
前記コイルは複数のスロットをまたいで巻装された分布巻きとして構成されている、請求項1
または2に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項10】
前記第1の冷却用流路は、一つの分布巻きを構成するスロットの組毎に少なくとも一つ設けられている、請求項
9に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項11】
前記第1の樹脂組成物は、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂からなる群より選択される1種または2種の熱硬化性樹脂からなる、請求項1
または2に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項12】
前記ステータの軸方向両端に突き出したコイル端部を覆う第2の樹脂組成物を硬化した第2の樹脂硬化物と、
前記第1の冷却用流路と接続しており、前記コイル端部を覆う前記第2の樹脂硬化物の領域に設けられ、前記コイル端部の回転軸方向外側を冷却剤が循環する、円周方向に延伸する第2の冷却用流路と、
を有する請求項1
または2に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項13】
前記第2の樹脂組成物は第1の樹脂組成物の適用範囲と同等とし、同一の樹脂組成物または異なる樹脂組成物を硬化して得られる、請求項
12に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項14】
前記第2の冷却用流路の内壁は、前記第2の樹脂硬化物を備えてなる、請求項
12に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項15】
前記コイル端部を覆う前記第2の樹脂硬化物の樹脂厚みt2が0.3mm以上3mm以下である、請求項
12に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項16】
前記樹脂厚みt2と前記第2の樹脂硬化物の熱伝導率K2の関係式P2=t2/K2が0.3×10
-4(m
2K/W)以上3×10
-3(m
2K/W)以下である、請求項
15に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項17】
前記ステータの周囲に筒状に設けられた筐体筒部と前記筐体筒部の両端の開口を閉塞する筐体側板部と有する筐体と、
前記コイル端部を覆う前記第2の樹脂硬化物と前記筐体側板部との間に設けられた連結部と、を有し、
前記第2の冷却用流路は、前記第2の樹脂硬化物と、前記連結部と備える、請求項
12に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項18】
前記連結部は、前記筐体側板部から前記コイル端部に向かって一体に突出して設けられている、請求項
17に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項19】
前記連結部は、前記筐体側板部と別体として設けられている、請求項
17に記載の回転電機の冷却構造。
【請求項20】
請求項1
または2に記載の冷却構造を有する回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機及び回転電機の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ(発動機)や発電機のような回転電機において、ステータを効率よく冷却するために、ステータの外周に配置される円筒状のケースに冷却用ジャケット構造を配置し、ステータからケースへと熱を逃がす構造が従来から提案されている(従来技術)。
例えば、特許文献1では、ステータのティース部に集中巻きしたコイルを、ティース部間のスロットに収容した回転電機において、スロットの内部空間に軸方向に延びる複数のパイプを並列配置し、かつこれらパイプの隙間及びパイプと前記コイルとの隙間に樹脂材料を充填して、ステータ内周側に向けて開口するスロットを閉塞する樹脂層を形成し、パイプ内に冷媒を流すようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述した従来技術では、発熱したコイルからステータコアへ伝熱させ、更にステータコアからケース、ケースから冷却用ジャケットと熱の移動経路が長いため、冷却効率が良くない構造であった。また、コイルとステータコア、ステータコアとケースの間には微小な隙間が存在する場合が多く、これも熱の移動を妨げる要因となっていた。
特許文献1に開示の技術では、一定の冷却性能の向上は期待できるものの、構造が複雑になってしまい、製品として採用することは限定されてしまうという課題があった。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みなされたものであって、ステータの冷却性能を向上させる回転電機の冷却構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は回転電機の冷却構造であって、複数のティース部を有するステータと、前記ティース部に巻かれたコイルと、前記ティース部の間に形成されたスロットとを有し、前記コイルが前記スロットに設けられた回転電機の冷却構造であって、
前記スロットに充填され、前記コイルを覆う第1の樹脂組成物と、
前記第1の樹脂組成物が充填されている領域に設けられ、内部を冷却剤が循環する、回転軸方向に延出する第1の冷却用流路と、を有する。
本発明の別の態様は、上記の冷却構造を有する回転電機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ステータの冷却性能を向上させる回転電機の冷却構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る、モータの回転軸方向と垂直な方向の縦断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る、モータの回転軸方向の縦断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る、スロット周辺を拡大して示した図である。
【
図4】第2の実施形態に係る、モータの回転軸方向の縦断面図である。
【
図5】第2の実施形態に係る、
図4の断面図のコイル9b周辺を拡大して示した図である。
【
図6】第2の実施形態に係る、コイル端部冷却用流路が設けられた領域の回転軸方向と垂直な方向の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<<第1の実施形態>>
<概要>
本実施形態では、回転電機(電動機又、発電機または電動機/発電機の両用機)として電動機(モータ)に適用した例を説明する。
図1はモータ100の回転軸方向と垂直な方向の縦断面図である。
図2はモータ100の回転軸方向の縦断面図である。
図3は、
図1のスロット周辺を拡大して示した図である。
【0010】
本実施形態の概要は次の通りである。
モータ100は、ステータ6のティース部7に分布巻きしたコイル9を、ティース部7間のスロット8に収容する。スロット8の内部空間でステータ6の内周側(ティース内周面6a近傍)で且つコイル9と隣接する位置に、軸方向に延びるコイル内側冷却用流路10(第1の冷却用流路)を配置する。さらに、これらスロット8の内部空間でコイル9またはコイル内側冷却用流路10を除く隙間に樹脂材料(以下「第1の樹脂組成物」ともいう)を充填して、コイル内側冷却用流路10に冷却液を流すことでステータ6を冷却する。モータ100をこの様な構造とすることで、ステータ6のコイル9より内周側(ティース内周面6a近傍)の位置にコイル9に隣接してコイル内側冷却用流路10を配置でき、発熱するコイル9を効率良く冷却することができる。
以下具体的に説明する。
【0011】
<モータ100の基本構造>
モータ100は、ケース1と、ケース1の内部に収容されたロータ2(回転子)及びステータ6(固定子)を備える。
【0012】
ケース1は、円筒部1aと、この円筒部1aの軸方向両端を閉塞する側板部1b、1cとを有して構成される。ケース1の材料として、例えば、アルミニウム合金(鋳物鋳造品)や樹脂材料、それらを組み合わせたものを用いることができる。側板部1b、1cには、コイル内側冷却用流路10と外部の冷却流路とを連結する外部接続流路17が設けられている。
【0013】
ロータ2は、ケース1の内部に収容されている。ロータ2の中心には出力軸として回転軸3が取り付けられている。
【0014】
回転軸3の両端がそれぞれベアリング4を介して側板部1b、1cに支持されている。これによって、ロータ2は回転軸3を中心に回転自在となっている。
【0015】
ロータ2には永久磁石5が内装されている。具体的には、
図1に示すように、複数(ここでは8個)の永久磁石5が同一円周上に等間隔で配置されている。このとき、隣合う永久磁石5の磁極は互いに異なるように設置されている。
【0016】
円筒部1aの内周には円筒型のステータ6が、ロータ2の外周を取り囲むように配置され固定されている。
図3に示すように、ステータ6の内周面6aとロータ2の外周面2aとの間には微少な間隙(エアギャップ)が設けられている。
【0017】
ステータ6には内周面6aに向いたティース部7が配列されている。ここでは、
図1に示すように、24個のティース部7が設けられている。各ティース部7の間にスロット8が設けられている。
【0018】
スロット8にはコイル9が分布巻きで収容されている。ティース部7は上述の永久磁石5と対応して設けられ、各コイル9を順次励磁していくことにより、これに対応した永久磁石5との吸引、反発によりロータ2が回転する。
【0019】
<コイル内側冷却用流路10>
スロット8の内部空間でステータ6の内周6a側で且つコイル9と隣接する位置に、軸方向に延びるコイル内側冷却用流路10が設けられている。コイル内側冷却用流路10には冷却液、例えば冷却水が循環する。
【0020】
このコイル内側冷却用流路10は筒状の部品をスロット8に挿入することで形成可能である他、ステータ6に樹脂材料(第1の樹脂組成物)を直接成形する方法によっても得ることができる。この場合、コイル内側冷却用流路10の内壁10aは、ステータ6に注入された樹脂材料の硬化物(以下「第1の樹脂硬化材」という)の一部として構成される。
【0021】
コイル内側冷却用流路10が筒状の部品として設けられる場合、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような高熱伝導性の非磁性金属や、高熱伝導性の無機材料を用いることができる。さらに、上述したスロット8に充填される樹脂材料(第1の樹脂組成物)とは別に設けた樹脂製の筒状の部品が用いられてもよい。
以下では、ステータ6に樹脂材料(第1の樹脂組成物)を直接成形する方法を適用した例として説明する。
【0022】
一つのスロット8に配置するコイル内側冷却用流路10の数は1本または複数本のいずれでも良いが、スロット8の空間幅が狭い状況に於いては冷却液が通過する際の流路抵抗を考慮して流路の断面積が大きくなるように本数は少ない方が好ましい。コイル内側冷却用流路10の断面形状は本実施形態の様な円形の他、四角やスロット8の形状に合わせることもできる。
【0023】
また、本実施形態では、コイル9は複数のスロット8をまたいで巻装された分布巻きである。そこで、コイル内側冷却用流路10は、一つの分布巻きを構成するスロット8の組毎に少なくとも一つ設けられるようにしてもよい。例えば、あるコイル9が2つのスロット8をまたいで巻装される場合に、一方のスロット8にはコイル内側冷却用流路10を設け、他方のスロット8にはコイル内側冷却用流路10を設けないようにする。一つの分布巻きを構成する複数のスロット8の組において、少なくとも一つのスロット8にコイル内側冷却用流路10が設けられていれば、コイル9を介してコイル内側冷却用流路10が設けられていない他のスロット8(すなわちティース部7)も冷却することができる。
【0024】
また、スロット8とコイル9の間には絶縁層11を設ける。絶縁層11は絶縁紙や絶縁性の樹脂材料によって形成することができ、ステータ6にコイル9を挿入する前に配置した方が好ましい。ただし、後述するスロット8の内部空間でコイル9またはコイル内側冷却用流路10を除く隙間に樹脂材料(第1の樹脂組成物)を充填することによっても形成することができる。この場合、コイル内側冷却用流路10の内壁10aは、第1の樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層11によって構成される。
【0025】
そして、スロット8にコイル内側冷却用流路10、絶縁層11、コイル9を配置した後に各部材間の隙間に樹脂材料を充填し固定する。この樹脂材料はコイル9の発熱に耐えられるものとする。
【0026】
<第1の樹脂組成物>
コイル内側冷却用流路10、絶縁層11、および各部材間の隙間に充填する樹脂材料(第1の樹脂組成物)は、熱伝導性の良い樹脂材料であることが望ましく、1種類の樹脂または部材毎に複数種の樹脂の組み合わせとすることができる。例えば、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂からなる群より選択される1種または2種の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0027】
第1の樹脂組成物の硬化物である第1の樹脂硬化材の熱伝導率K1は1~10W/m・Kである。熱伝導率K1の下限は、好ましくは2W/m・K以上であり、より好ましくは3W/m・K以上である。熱伝導率K1の上限は、特に限定しないが、現実的な値として10W/m・Kである。
【0028】
第1の樹脂硬化物のガラス転移温度Tg1が150℃以上である。
ガラス転移温度Tg1を上記範囲とすることで、モータ100の耐熱性能を向上させ、高い出力を実現できる。
【0029】
第1の樹脂硬化物を、175℃で4時間加熱処理したサンプルに対して、動的粘弾性測定機を用いて、測定温度:-50℃~200℃、昇温速度:5℃/分、荷重:800gf、周波数:10Hz、3点曲げモードの条件で測定した、25℃における貯蔵弾性率が、20GPa以上70GPa以下である。
貯蔵弾性率の下限は、好ましくは30GPa以上、より好ましくは40GPa以上である。
貯蔵弾性率の上限は、好ましくは60GPa以下、より好ましくは50GPa以下である。
この観点においても、貯蔵弾性率を上記の範囲とすることで、モータ100の耐熱性能を向上させ、高い出力を実現できる。
【0030】
コイル9のコイル側面部9bを覆う第1の樹脂硬化物の樹脂厚みt1は、例えば0.3mm以上3.0mm以下である。
樹脂厚みt1の下限は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上である。樹脂厚みt1の上限は、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.0mm以下である。
樹脂厚みt1を上記の範囲にすることで、絶縁性を適切に維持でき、かつ、コイル9で発生した熱を良好にコイル内側冷却用流路10に伝えることができる。
【0031】
樹脂厚みt1と第1の樹脂硬化物の熱伝導率K1の関係式P1=t1/K1は、例えば0.3×10-4(m2K/W)以上3×10-3(m2K/W)以下である。
関係式P1の下限は、好ましくは0.4×10-4(m2K/W)以上、より好ましくは0.5×10-4(m2K/W)以上である。関係式P1の上限は、好ましくは2.5×10-3(m2K/W)以下、より好ましくは2×10-3(m2K/W)以下である。
関係式P1の値を上記範囲とすることで、絶縁性を適切に維持でき、かつ、コイル9で発生した熱を良好にコイル内側冷却用流路10に伝えることができる。
【0032】
また、絶縁層11の成形方法としては特に限定はしないが、インサート成形を用いることができる。このとき、分布巻きしたコイル9を配置したスロット8に、コイル内側冷却用流路10に対応する金型構造(入れ子構造)を配置してインサート成形する。
【0033】
以上のようにして、ステータ6の各スロット8に形成されたコイル内側冷却用流路10を側板部1b、1cの内側に配置する流路接続部品12に接続し、更に側板部1bおよび1cの冷却液出入口に接続することでモータ100を冷却可能とする。流路接続部品12は、図示のように、独立した部品として構成され、コイル内側冷却用流路10の端部に取り付けられる構成でもよいし、側板部1b、1cと一体となった構成でもよく、コイル内側冷却用流路10と外部接続流路17とを適切に連通できればよい。
【0034】
コイル内側冷却用流路10、流路接続部品12および側板部1b、1cの各接合部には冷却液の漏れを防止する為に必要なパッキン、Oリング、シール材などを配置する。
【0035】
流路接続部品12は、流路溝のデザインを調整することにより多数あるコイル内側冷却用流路10への冷却水の流し方を制御することができる。同様に、流路接続部品12の流路溝のデザインを調整することにより、冷却水の出入口をいずれか一方の側板部1b、1cに集約配置したり、円筒部1aに出入口を配置することができる。
【0036】
以上の構成のモータ100では、例えば、冷却水は、図示左側の側板部1bの外部接続流路17からモータ100の内部に導入される。モータ100内部に導入された冷却水は、流路接続部品12を経てコイル内側冷却用流路10を循環し、側板部1c側の流路接続部品12を経て、側板部1cの外部接続流路17から外部に排出される。
【0037】
<コイル内側冷却用流路10の作用・効果>
本実施形態により、分布巻きのモータ100において、コイル9による発熱を隣接するコイル内側冷却用流路10へ効率良く放熱することができ、且つコイル9周辺の空間(すなわちスロット8)を樹脂材料に置き換えることで更に熱の移動を容易にすることができる。特に、コイル9とステータ6が樹脂材料で密着充填されるため、さらにコイル内側冷却用流路10の内壁10aがその樹脂材料で形成されていることから、それらの間での熱伝導が良好になる。これにより、ステータ6の冷却性能を向上させることができ、銅損(コイル9の巻き線自体の抵抗により消費される損失)の低減、モータ出力の向上、モータ100の小型化などが実現できる。
【0038】
<モータ100(回転電機)の特徴・機能のまとめ>
本実施形態のモータ100の特徴について冷却構造に着目して纏めて説明する。
(1)複数のティース部7を有するステータ6と、前記ティース部7に巻かれたコイル9と、ティース部7の間に形成されたスロット8とを有し、コイル9がスロット8に設けられたモータ100(回転電機の一例)の冷却構造であって、
スロット8に充填され、コイル9を覆う第1の樹脂組成物と、
前記第1の樹脂組成物が充填されている領域に設けられ、内部を冷却剤が循環する、回転軸方向に延出するコイル内側冷却用流路10(第1の冷却用流路)と、
を有する。
コイル9周辺の空間(すなわちスロット8)を樹脂材料に置き換えることで、コイル9に発生した熱の移動を効率的に行える。
(2)コイル内側冷却用流路10の内壁10aは、高熱伝導性の樹脂硬化材からなってもよい。
(3)前記樹脂硬化材は、前記第1の樹脂組成物が硬化した部材であってもよい。
コイル内側冷却用流路10の内壁10aを、スロット8に充填された第1の樹脂組成物が硬化した部材とすることで、冷却構造における構成要素の削減、それに伴う冷却性能の向上、製造工程の簡素化を実現できる。
(4)第1の樹脂硬化材の熱伝導率K1が1~10W/m・Kであってもよい。
(5)第1の樹脂硬化物のガラス転移温度Tg1が150℃以上であってもよい。
(6)第1の樹脂硬化物を、175℃で4時間加熱処理したサンプルに対して、動的粘弾性測定機を用いて、測定温度:-50℃~200℃、昇温速度:5℃/分、荷重:800gf、周波数:10Hz、3点曲げモードの条件で測定した、25℃における貯蔵弾性率が、20GPa以上70GPa以下であってもよい。
(7)コイル9のコイル側面部9bを覆う第1の樹脂硬化物の樹脂厚みt1が0.3mm以上3.0mm以下である。
樹脂厚みt1の下限は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上である。樹脂厚みt1の上限は、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.0mm以下である。樹脂厚みt1を上記の範囲にすることで、絶縁性を適切に維持でき、かつ、コイル9で発生した熱を良好にコイル内側冷却用流路10に伝えることができる。
(8)樹脂厚みt1と第1の樹脂硬化物の熱伝導率K1の関係式P1=t1/K1が0.3×10-4(m2K/W)以上3×10-3(m2K/W)以下である。
関係式P1の下限は、好ましくは0.4×10-4(m2K/W)以上、より好ましくは0.5×10-4(m2K/W)以上である。
関係式P1の上限は、好ましくは2.5×10-3(m2K/W)以下、より好ましくは2×10-3(m2K/W)以下である。
関係式P1の値を上記範囲とすることで、絶縁性を適切に維持でき、かつ、コイル9で発生した熱を良好にコイル内側冷却用流路10に伝えることができる。
(9)コイル内側冷却用流路10の内壁10aは、高熱伝導性の金属からなってもよい。
(10)コイル内側冷却用流路10の内壁10aは、高熱伝導性の無機材料からなってもよい。
(11)コイル内側冷却用流路10は、コイル9より前記回転軸方向側に設けられてもよい。
コイル内側冷却用流路10をこのような配置とすることで、コイル9全体を効率的に冷却できる。
(12)コイル9は複数のスロット8をまたいで巻装された分布巻きとして構成されてもよい。
分布巻きの場合、その構造上、銅損が増加してしまう傾向にあり、放熱を効果的に行うことが要請されている。そこで、上述のような構成の冷却構造を採用することで、分布巻きのような回転電機においても良好な冷却性能(放熱性能)を実現できる。
(13)コイル内側冷却用流路10は、一つの分布巻きを構成するスロット8の組毎に少なくとも一つ設けられてもよい。
分布巻きの場合、複数のスロット8を跨ぐことから、少なくとも一つのスロット8にコイル内側冷却用流路10があれば、コイル9を介してコイル内側冷却用流路10のない他のスロット8(ティース部7)も冷却できる。
(14)第1の樹脂組成物は、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂からなる群より選択される1種または2種の熱硬化性樹脂からなってもよい。
第1の樹脂組成物としてこのような熱硬化性樹脂を用いることで、高い放熱性能を実現できる。
(15)上記の冷却構造を有する回転電機である。回転電機は、上述したモータ100(電動機)や発電機または電動機/発電機の両用機などである。
【0039】
<<第2の実施形態>>
本実施形態のモータ100Aは、第1の実施形態のモータ100のコイル端部周辺の構造において異なっており、以下では主に異なる部分に着目して説明する。
図4はモータ100Aの回転軸方向の縦断面図である。
図5は本実施形態に係る、
図4のコイル端部9a周辺を拡大して示した図である。
図6は実施形態に係る、モータ100Aの回転軸方向と垂直な方向の縦断面図であって、特にコイル端部冷却用流路14が設けられた領域の断面図である。
【0040】
本実施形態の概要は次の通りである。
モータ100Aは、第1の実施形態と同様に、ステータ6のティース部7に分布巻きしたコイル9を、ティース部7間のスロット8に収容する。スロット8の内部空間でステータ6の内周側(ティース内周面6a近傍)で且つコイル9と隣接する位置に、軸方向に延びるコイル内側冷却用流路10を配置する。これらスロット8の内部空間でコイル9またはコイル内側冷却用流路10を除く隙間に樹脂材料(第1の樹脂組成物)を充填する。
【0041】
また、本実施形態の大きな特徴のひとつとして、ステータ6の回転軸方向外側に突き出したコイル9のコイル端部9aを樹脂材料(第2の樹脂組成物)の硬化物である絶縁層13で覆い、コイル端部9aの回転軸方向外側および/または円周方向外側に、円周方向に延伸するコイル端部冷却用流路14を形成する
【0042】
モータ100Aをこの様な構造とすることで、ステータ6のコイル9より内周側(ティース内周面6a近傍)の位置にコイル9に隣接してコイル内側冷却用流路10を配置でき、更にコイル9の回転軸方向端部の位置にもコイル9に隣接してコイル端部冷却用流路14を配置でき、発熱するコイル9を効率良く冷却することができる。
以下、コイル端部冷却用流路14に着目して具体的に説明する。
【0043】
<コイル端部冷却用流路14>
ステータ6の回転軸方向外側(
図4や
図5では横方向)に突き出したコイル9の端部の空間で、コイル端部9aの回転軸方向外側およびまたは円周方向外側に、円周方向に延伸するコイル端部冷却用流路14が設けられている。コイル端部冷却用流路14には冷却液、例えば冷却水が循環する。
図6に示すように、コイル端部冷却用流路14は、例えば軸方向外側から見たときに、内部空間が環状に設けられており(
図6では環状の一部を示している)、複数のコイル内側冷却用流路10が共通に接続される構成となっている。
【0044】
コイル端部9aに配置するコイル端部冷却用流路14は、回転軸方向外側または円周方向外側に円周方向に延伸するよう配置してもよいが、冷却効率を上げる観点から、コイル9に対向する水路面14aの面積を大きくするために回転軸方向外側および円周方向外側の両方に配置するのが好ましい。
【0045】
すなわち、コイル端部冷却用流路14は、回転軸方向外側の領域に設けられたコイル端部冷却用流路本体14cと、円周方向外側の領域に設けられた端部側方冷却用流路14bとを有する。端部側方冷却用流路14bは、より具体的には、コイル端部9aの外周側側面と円筒部1aとの間の空間に、コイル端部冷却用流路本体14cから延出するように設けられている。円周方向の水路長さは1周分が連続した状態でも良いが、円周方向に複数分割する構造としても良い。コイル端部冷却用流路14の容量(体積)は、循環する冷却水の容量、循環速度等を考慮して、設定される。
【0046】
コイル端部冷却用流路14(コイル端部冷却用流路本体14c、端部側方冷却用流路14b)は、ステータ6およびコイル9の回転軸方向端部(すなわちコイル端部9a)に樹脂材料(第2の樹脂組成物)を直接成形する方法によって得ることができる。この場合、コイル端部冷却用流路14の内壁14aは、コイル端部9aに注入された硬化物の一部として構成される。
【0047】
以下では、ステータ6およびコイル9の回転軸方向端部(すなわちコイル端部9a)に樹脂材料を直接成形する方法を適用した例として説明する。
【0048】
ステータ6にコイル内側冷却用流路10、絶縁層11、コイル9、コイル端部冷却用流路14を配置した後に各部材間の隙間に樹脂材料を充填し固定する。この樹脂材料はコイル9の発熱に耐えられるものとする。
【0049】
<第2の樹脂組成物>
コイル内側冷却用流路10、コイル端部冷却用流路14、コイル9、ステータ6、および各部材間の隙間に充填する樹脂材料(第1及び第2の樹脂組成物)は、熱伝導性の良い樹脂材料であることが望ましく、1種類の樹脂または部材毎に複数種の樹脂の組み合わせとすることができる。例えば、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂からなる群より選択される1種または2種の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0050】
コイル端部冷却用流路14については水路形状を構成した金型により成形する。絶縁層11、コイル内側冷却用流路10、コイル端部冷却用流路14の各種成形は同時に実施しても良いが段階的に実施することもでき、成形部位毎に樹脂材料を変更することもできる。例えば、コイル内側冷却用流路10を成形するときは第1の樹脂組成物を樹脂材料として使用し、コイル端部冷却用流路14を成形するときは第1の樹脂組成物とは異なる第2の樹脂組成物を樹脂材料として使用する。
【0051】
第2の樹脂組成物は、第1の実施形態で説明した第1の樹脂組成物の適用範囲と同等とし、同一の樹脂組成物または異なる樹脂組成物を硬化して得られる。具体的には次の通りである。
【0052】
第2の樹脂組成物の硬化物である第2の樹脂硬化材の熱伝導率K2は1~10W/m・Kである。熱伝導率K2の下限は、好ましくは2W/m・K以上であり、より好ましくは3W/m・K以上である。熱伝導率K2の上限は、特に限定しないが、現実的な値として10W/m・Kである。
【0053】
第2の樹脂硬化物のガラス転移温度Tg2が150℃以上である。
ガラス転移温度Tg2を上記範囲とすることで、モータ100Aの耐熱性能を向上させ、高い出力を実現できる。
【0054】
第2の樹脂硬化物を、175℃で4時間加熱処理したサンプルに対して、動的粘弾性測定機を用いて、測定温度:-50℃~200℃、昇温速度:5℃/分、荷重:800gf、周波数:10Hz、3点曲げモードの条件で測定した、25℃における貯蔵弾性率が、20GPa以上70GPa以下である。
貯蔵弾性率の下限は、好ましくは30GPa以上、より好ましくは40GPa以上である。
貯蔵弾性率の上限は、好ましくは60GPa以下、より好ましくは50GPa以下である。
この観点においても、貯蔵弾性率を上記の範囲とすることで、モータ100Aの耐熱性能を向上させ、高い出力を実現できる。
【0055】
コイル9のコイル側面部9bを覆う第2の樹脂硬化物の樹脂厚みt2が0.3mm以上3.0mm以下である。
樹脂厚みt2の下限は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上である。樹脂厚みt2の上限は、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.0mm以下である。
樹脂厚みt2を上記の範囲にすることで、絶縁性を適切に維持でき、かつ、コイル9で発生した熱を良好にコイル端部冷却用流路14に伝えることができる。
【0056】
樹脂厚みt2と第2の樹脂硬化物の熱伝導率K2の関係式P2=t2/K2が0.3×10-4(m2K/W)以上3×10-3(m2K/W)以下である。
関係式P1の下限は、好ましくは0.4×10-4(m2K/W)以上、より好ましくは0.5×10-4(m2K/W)以上である。関係式P1の上限は、好ましくは2.5×10-3(m2K/W)以下、より好ましくは2×10-3(m2K/W)以下である。
関係式P2の値を上記範囲とすることで、絶縁性を適切に維持でき、かつ、コイル9で発生した熱を、コイル端部9aから良好にコイル内側冷却用流路14に伝えることができる。
【0057】
<流路接続部品12>
本実施形態では、流路接続部品12は、側板部1b、1cの内部壁1dと、コイル内側冷却用流路10の端部10c及びコイル端部冷却用流路14の端部14dとによって挟まれて配置されている。コイル内側冷却用流路10、流路接続部品12および側板部1b、1cの各接合部には冷却液の漏れを防止する為に必要なパッキン、Oリング、シール材などを配置する。なお、流路接続部品12は、第1の実施形態と同様に、独立した部品として構成され、コイル内側冷却用流路10の端部に取り付けられる構成でもよいし、側板部1b、1cと一体となった構成でもよく、コイル内側冷却用流路10、コイル端部冷却用流路14及び外部接続流路17とを適切に連通できればよい。
【0058】
以上のようにして、ステータ6の各スロット8に形成されたコイル内側冷却用流路10およびコイル端部に形成されたコイル端部冷却用流路14を側板部1b、1cの内側に配置する流路接続部品12に接続し、更に側板部1bおよび1cの冷却液出入口に接続することでモータ100を冷却可能とする。
【0059】
流路接続部品12は、コイル端部冷却用流路14の円周方向の分割構造と合わせて、流路溝のデザインを調整することにより多数あるコイル内側冷却用流路10への冷却水の流し方を制御することができる。同様に、流路接続部品12の流路溝のデザインを調整することにより、冷却水の出入口をいずれか一方の側板部1b、1cに集約配置したり、円筒部1aに出入口を配置することができる。
【0060】
<コイル内側冷却用流路10、コイル端部冷却用流路14の作用・効果>
本実施形態により、分布巻きのモータ100Aにおいて、コイル9による発熱を隣接するコイル内側冷却用流路10およびコイル端部冷却用流路14へ効率良く放熱することができ、且つコイル9周辺の空間(すなわちスロット8およびコイルの軸方向端部空間)を樹脂材料に置き換えることで更に熱の移動を容易にすることができる。
【0061】
コイル端部9aにおいても、第1の実施形態の空間放熱から、樹脂材料を介してコイル端部冷却用流路14までの接触式伝熱となることで熱伝導が良好になる。これにより、ステータ6の冷却性能を向上させることができ、銅損(コイル9の巻き線自体の抵抗により消費される損失)の低減、モータ出力の向上、モータ100の小型化などが実現できる。
【0062】
<モータ100A(回転電機)の特徴・機能のまとめ>
本実施形態のモータ100Aの特徴について冷却構造に着目して纏めて説明する。
本実施形態のモータ100Aによれば、第1の実施形態のモータ100の特徴・機能(1)~(15)と同様の特徴・機能を有するとともに、次の特徴・機能(16)~(22)を有する。
(16)ステータ6の軸方向両端に突き出したコイル端部9aを覆う第2の樹脂組成物を硬化した第2の樹脂硬化物(絶縁層13)と、
前記コイル内側冷却用流路(第1の冷却用流路)と接続しており、前記コイル端部9aを覆う前記第2の樹脂硬化物(絶縁層13)の領域に設けられ、前記コイル端部9aの回転軸方向外側を冷却剤が循環する、円周方向に延伸するコイル端部冷却用流路14(第2の冷却用流路)と、を有してもよい。
(17)第2の樹脂組成物は第1の樹脂組成物の適用範囲と同等とし、同一の樹脂組成物または異なる樹脂組成物を硬化して得られる。
(18)コイル端部冷却用流路14(第2の冷却用流路)の内壁は、第2の樹脂硬化物を備えてなる。すなわち、コイル端部冷却用流路14の構成の少なくとも一部が第2の樹脂硬化物からなってもよい。
(19)コイル端部9aを覆う第2の樹脂硬化物(絶縁層13)の樹脂厚みt2が0.3mm以上3mm以下であってもよい。
(20)樹脂厚みt2と第2の樹脂硬化物(絶縁層13)の熱伝導率K2の関係式P2=t2/K2が0.3×10-4(m2K/W)以上3×10-3(m2K/W)以下であってもよい。
(21)ステータ6の周囲に筒状に設けられた筐体筒部1aと筐体筒部1aの両端の開口を閉塞する筐体側板部1b、1cと有する筐体1と、
コイル端部9aを覆う第2の樹脂硬化物(絶縁層13)と筐体側板部1b、1cとの間に設けられた連結部(流路接続部品12)と、を有し、
コイル端部冷却用流路14は、第2の樹脂硬化物(絶縁層13)と、連結部12と備える。
(22)連結部(流路接続部品12)は、筐体側板部1b、1cからコイル端部9aに向かって一体に突出して設けられている。
【0063】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば、コイル9の巻き方は分布巻きに限定されず、集中巻きやその他の巻き方においても、同じような冷却機能を発揮させることができる。また、コイル内側冷却用流路10の配置を、スロット8のコイル9よりロータ外周面2a側としたが、ケース1(円筒部1a)側でもよく、さらには両方であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 ケース
1a 円筒部1a
1b、1c 側板部
2 ロータ
2a ロータ外周面
3 回転軸
4 ベアリング
5 永久磁石
6 ステータ
7 ティース部
8 スロット
9 コイル
9a コイル端部
9b コイル側面部
10 コイル内側冷却用流路
10a 内壁
11、13 絶縁層
14 コイル端部冷却用流路
14a 内壁
14b 端部側方冷却用流路
14c コイル端部冷却用流路本体
100、100A モータ