(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】什器制御装置、什器制御方法、および什器制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2023122370
(22)【出願日】2023-07-27
(62)【分割の表示】P 2019153066の分割
【原出願日】2019-08-23
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】松下 賢吾
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-174644(JP,A)
【文献】再公表特許第2006/085385(JP,A1)
【文献】特開2011-59798(JP,A)
【文献】特開2001-344639(JP,A)
【文献】特開2018-45454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
来店客を特定する客特定手段と、
特定された該来店客が興味を示す商品を予測する商品予測手段と、
駆動装置を有する什器に展示された前記商品の前記什器における配置を決定する配置決定手段と、
前記什器の一部を動かす前記駆動装置により前記商品を前記配置に移動させる移動データを生成する生成手段と、
を備え、前記配置決定手段は、前記来店客の身長、目線の高さ、又は現在の位置のいずれかに基づいて、前記来店客が手に取りやすい位置に前記商品が位置するよう前記商品の配置を決定する什器制御装置。
【請求項2】
前記配置決定手段は、一部が上下に動く前記什器において、前記来店客の身長又は目線の高さに基づいて、前記来店客に合う高さに前記商品の配置を決定する
請求項1に記載の什器制御装置。
【請求項3】
前記配置決定手段は、一部が前記来店客から見て奥側と手前側を入れ替え可能に動く前記什器において、前記来店客の現在の位置に基づいて、前記商品が前記来店客の前に位置するよう、前記商品の配置を決定する
請求項1または2に記載の什器制御装置。
【請求項4】
コンピュータが、
来店客を特定し、
特定された該来店客が興味を示す商品を予測し、
前記来店客の身長、目線の高さ、又は現在の位置のいずれかに基づいて、前記来店客が手に取りやすい位置に前記商品が位置するよう、駆動装置を有する什器に展示された前記商品の前記什器における配置を決定し、
前記什器の一部を動かす前記駆動装置により前記商品を前記配置に移動させる移動データを生成する、
什器制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
来店客を特定し、
特定された該来店客が興味を示す商品を予測し、
前記来店客の身長、目線の高さ、又は現在の位置のいずれかに基づいて、前記来店客が手に取りやすい位置に前記商品が位置するよう、駆動装置を有する什器に展示された前記商品の前記什器における配置を決定し、
前記什器の一部を動かす前記駆動装置により前記商品を前記配置に移動させる移動データを生成する、
を実行させる什器制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、商品の提示のための什器等に関する。
【背景技術】
【0002】
実店舗における商品の販売において、来店客の視線、動線、購買履歴、嗜好趣向を把握し、来店客が購入する商品を分析することが行われている。
【0003】
特許文献1において、店舗内での来店客の移動パターンに基づいて購買分析し、推奨売場配置を提示する技術が開示されている。特許文献2において、来店客の来店時に、来店客が購入すると思われる商品を優先的に品出しする装置が開示されている。特許文献3において、店舗内を回遊する来店客が興味を持った商品を把握する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-067293号公報
【文献】特開2018-136673号公報
【文献】特開2017-117384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実店舗において来店客にとって商品を見つけやすく手に取りやすい位置にするために売場配置を変更することは、販売機会の損失を防ぐことにつながる。しかし売場配置を変更するためには、店員が什器や商品を移動させる必要があり、手間がかかる。また来店した来店客に合わせて店員が什器や商品の配置を変更することは難しい。
【0006】
したがって本開示は、上述した課題を鑑み、店員による什器や商品の移動を軽減し、来店客に合わせて売場配置を変更するサーバ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る什器制御サーバは、来店客を特定する客特定手段と、特定された該来店客が興味を示す商品を予測する商品予測手段と、前記特定された来店客に基づいて予測された前記商品を展示する、駆動装置を有する可動什器の配置を決定する配置決定手段と、前記可動什器を前記駆動装置により前記配置に移動させる移動データを生成する生成手段と、を備える。
【0008】
本開示に係る可動什器は、可動手段と、駆動装置とを有し、来店客が興味を示すと予測された商品の決定された配置に関する移動データを取得し、前記駆動装置により前記可動手段を動作させ、前記決定された配置に前記商品を配置する。
【0009】
本開示に係る什器制御方法は、来店客を特定し、特定された該来店客が興味を示す商品を予測し、前記特定された来店客に基づいて予測された前記商品を展示する、駆動装置を有する可動什器の配置を決定し、前記可動什器を前記駆動装置により前記配置に移動させる移動データを生成する。
【0010】
本開示に係る什器制御プログラムは、コンピュータに、来店客を特定する処理と、特定された該来店客が興味を示す商品を予測する処理と、前記特定された来店客に基づいて予測された前記商品を展示する、駆動装置を有する可動什器の配置を決定する処理と、前記可動什器を前記駆動装置により前記配置に移動させる移動データを生成する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、店員による什器や商品の移動を軽減し、来店客に合わせて売場配置を変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は什器制御サーバ10の構成を示す図である。
【
図2B】
図2Bは第1実施形態における可動什器20の配置の移動の一例を示す図である。
【
図2C】
図2Cは第1実施形態における可動什器20の配置の移動の一例を示す図である。
【
図3B】
図3Bは第1実施形態における可動什器20の配置の回転の一例を示す図である。
【
図5】
図5は什器制御サーバ10の動作を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは第2実施形態における可動什器20の配置の上下移動の一例を示す図である。
【
図7B】
図7Bは第2実施形態における可動什器20の配置の上下移動の一例を示す図である。
【
図8A】
図8Aは第3実施形態における可動什器20の配置の上下移動の一例を示す図である。
【
図8B】
図8Bは第3実施形態における可動什器20の配置の上下移動の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、可動什器20の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、什器制御システム100の構成を示す図である。
【
図11】
図11は什器制御システム100の動作を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、什器制御サーバ10の他の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、什器制御サーバ10又は駆動装置21として機能するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本開示の実施形態について詳しく説明する。
[第1実施形態]
[構成]
第1実施形態にかかる什器制御サーバ10について図面を用いて説明する。第1実施形態において什器制御サーバ10は、来店客に応じて可動什器20の配置を制御する。
図1は什器制御サーバ10の構成を示す図である。什器制御サーバ10は、客特定部11、商品予測部12、配置決定部13、生成部14を備える。なお、第1実施形態において、什器制御サーバ10の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。
【0014】
可動什器20は可動部を有するラック、棚、ショーケースなどである。可動什器20は商品等の物体を展示できる。可動什器20は可動部を駆動する駆動装置21を備える。
図2Aおよび
図3Aはモータなどの駆動装置21とタイヤなどの可動部を備える可動什器20の例を示す図である。
図2Aに示す可動什器20は衣類を掛けられるハンガーラックあり、
図3Aに示す可動什器20は商品を置けるショーケースである。駆動装置21は什器制御サーバ10と通信可能に接続されている。
【0015】
可動什器20の店内における配置と、可動什器20に配置される商品は、在庫情報としてデータベース(図示せず)に記憶される。データベースには在庫情報として商品の可動什器20内における配置が記憶されてもよい。
【0016】
第1実施形態において、商品を展示する可動什器20が店内の床面上を移動することで売場配置が変更される。なお売場配置の変更は床面上の移動に限られない。例えば、可動什器20が上下に移動する、あるいは、回転する例も含まれる。上下に移動する可動什器20と回転ハンガーラックである可動什器20の例は、後の実施形態で説明する。
【0017】
客特定部11は来店客の顔画像、又は、会員証に付された識別子等の来店客に関する検知情報に基づいて来店客を特定する。例えば客特定部11は入店時に撮影した顔画像に基づいて、データベースに記憶された顧客情報に含まれる顔画像又は識別子を参照し、来店客を特定する。
図4にデータベースに記憶される顧客情報の例を示す。顧客情報には、顔画像の他、購買履歴、属性、サイズ等が含まれる。
【0018】
商品予測部12は特定された来店客が興味を示す1以上の商品を予測する。例えば商品予測部12は、データベース上で来店客に紐づけられた購買履歴、来店客の属性、身体的特徴等の顧客情報に基づいて、特定された来店客が興味を示す商品を予測する。商品予測部12は、特定された来店客の趣向やサイズに合った商品を、来店客が興味を示す商品として予測してもよい。商品予測部12は商品を複数予測するとき、複数の商品に優先順位を付してもよい。優先順位は例えば来店客が商品を買う可能性が高いと予測した順であってもよいし、商品の価格が安い順であってもよい。
【0019】
配置決定部13は、商品予測部12によって予測された商品を展示する可動什器20の配置を、特定された来店客に基づいて決定する。配置決定部13は可動什器20の配置を決定することで、商品の配置を決定しているともいえる。
図2B、
図2Cは可動什器20の配置の一例を示す図である。例えば
図2Bでは、配置決定部13は店内又は保管エリアに存在する複数の可動什器20から、予測された商品を展示する可動什器20aを選択する。配置決定部13は、可動什器20aを
図2Bに示す店内における所定のスペースに配置することを決定する。特定された来店客は、専用スペースに行くことで、来店客向けに予測された商品を見ることができる。
【0020】
また、
図2Cにおいて、商品予測部12が複数の商品を予測し、その商品が複数の可動什器20b、20cに配置されているとき、配置決定部13は可動什器20b、20cを選択する。その後、配置決定部13は可動什器20b、20cを
図2Cに示す場所に配置することを決定する。什器制御サーバ10が制御する可動什器20が1つである場合、配置決定部13は可動什器20を選択しなくてもよい。
【0021】
特定された来店客に基づいた可動什器20の配置の決定とは、例えば顧客情報に含まれる来店客が過去に来店した際の視線、あるいは行動の履歴等の情報に基づいた決定である。例えば、複数のラックが来店客に対して右側、正面、左側に並べられるとき、特定された来店客に右側のラックから先に見る傾向がデータベースに記憶されているとする。この時、配置決定部13は商品予測部12によって付された優先順位が高い商品を展示するラックを、来店客に対して右側に配置されるよう、ラックの配置関係を決定する。配置決定部13は、来店客の動線の履歴に基づいて、来店客が店内を回遊する順路の傾向に応じて店内の什器を配置してもよい。
【0022】
さらに例えば複数の商品が
図3Aに示す可動什器20に展示され、商品予測部12が予測した商品Pが来店客の立つ紙面手前側の位置から見て左側にあるとする。特定された来店客の傾向として、該来店客から見て右側の商品を先に見る傾向がデータベースに記憶されているとする。この時、配置決定部13は商品Pがラックの右側に配置されるよう、
図3Bに示すようにラックの向きを180度回転、つまり左右反転して配置することを決定する。
【0023】
特定された来店客に基づいた可動什器20の配置の決定方法の他の例は、他の実施形態で説明する。
【0024】
生成部14は、決定された配置に可動什器20を駆動装置21により移動させる移動データを生成する。什器制御サーバ10は、生成部14が生成した移動データを駆動装置21に送信する。駆動装置21への送信方法は無線式であっても有線式であってもよい。
図2A、2Bにおいて、移動データは例えば、店舗における可動什器20、20a、および専用スペースの位置情報が記された配置マップを含んでもよい。可動什器20aの駆動装置21は配置マップを取得し、可動什器20aを専用スペースへ移動させる。
図2Cにおいても同様に、駆動装置21は可動什器20、20b、20cの位置情報が記された配置マップを取得し、各可動什器20を移動させる。
【0025】
生成部14が生成する移動データは、上記配置マップに限られない。移動データは駆動装置21の駆動を制御する制御データを含んでもよい。制御データは例えば「現在の位置から何メートル直進させる」といった駆動装置21に対する指示を含む。
【0026】
[動作]
次に、第1実施形態に係る什器制御サーバ10の動作について、什器制御サーバ10の動作を示す
図5のフローチャートを用いて説明する。客特定部11は来店客に関する情報に基づいて来店客を特定する(ステップS11)。
【0027】
商品予測部12は特定された来店客が興味を示す商品を予測する(ステップS12)。配置決定部13は予測された商品を展示する1以上の可動什器20を選択し、特定された来店客に基づいて可動什器20の配置を決定する(ステップS13)。生成部14は決定された配置に可動什器20を駆動装置21により移動させる移動データを生成する(ステップS14)。
【0028】
上述の什器制御サーバ10の動作により、可動什器20は客が来店すると、決定された配置に移動する。
【0029】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態に係る什器制御サーバ10によれば、店員による什器や商品の移動を軽減し、来店客に合わせて売場配置を変更することが可能となる。
【0030】
その理由は、第1実施形態の什器制御サーバ10は、客特定部11が来店客を特定し、商品予測部12が来店客のために商品を予測し、配置決定部13が特定された来店客に基づいて、商品を展示する可動什器20の配置を決定するからである。生成部14は可動什器20を移動させるための移動データを生成し、可動什器20の駆動装置21は移動データを取得し、可動什器20は決定された配置に移動する。したがって可動什器20の配置が決定されることで、商品の配置が決定され、来店客の興味を示す商品が、店舗スタッフによらずに来店客に合わせて配置される。
【0031】
さらに第1実施形態の什器制御サーバ10によれば、来店客のために商品を予測し、商品を配置するから、来店客に対して特別感を演出することができ、買い物における来店客の満足度を高めることができる。商品は、来店客に合わせて例えば来店客が手に取りやすい位置や、目につきやすい位置に配置されるから、来店客の利便性も高まる。
【0032】
[変形例]
可動什器20はランプやスピーカー等の報知部(図示せず)を有していてもよい。例えば配置が決定された可動什器20が動いている間にランプを点灯あるいは点滅させ、スピーカーから音楽あるいは音声を流してもよい。報知部を設ける構成により、動く可動什器20に対して危険を知らせることができる。また、可動什器20が止まっている間も報知部により注目させたい什器あるいは商品をより目立たせることができるから、商品が来店客に対して注目されやすくなる。
【0033】
可動什器20を配置する場所は特定された来店客のための専用スペースであってもよい。来店客のための専用スペースは、一般の来店客は入れないよう仕切られた店内のスペースであってもよい。複数の来店客が特定される時、来店客のそれぞれのために、別々の専用のスペースを設けてもよい。また、専用スペースは特定された来店客のために予約された試着室であってもよい。
【0034】
高齢者などの歩行が困難な来店客は、店内を回遊することが億劫になる。一般の来店客も歩き続けると疲れてしまう。また来店客の中には店内を見る時間が限られている人もいる。第1実施形態に係る什器制御サーバ10を用いて、配置決定部13が可動什器20の配置を来店客のための専用スペースに決定すれば、来店客は店内を移動せずとも、興味のある商品が来店客に提示されることとなる。したがって、来店客は効率よく興味がある商品を見ることが可能になる。
【0035】
[第2実施形態]
第2実施形態として、第1実施形態にかかる什器制御サーバ10を他の可動什器20に適用した例について説明する。第2実施形態において、売場配置は、可動什器20が上下に移動することで変更される。第2実施形態において什器制御サーバ10の客特定部11と商品予測部12の構成および動作は、第1実施形態と同様であるから省略する。
【0036】
図6は可動什器20の他の例を示す図である。
図6に示す什器200は、床面に対して垂直に設けられる支柱201と、支柱に配置されたガイドレール202と、棚板20d、20e、20fと、棚板に設けられガイドレール202と係合する可動部(図示せず)と、可動部を駆動する駆動装置21とを有する。
図6に示す什器200は例えば棚板20d、20e、20fの上に靴や鞄などの商品を展示することができる。
図6に示す棚板20d、20e、20fは、ギアなどの可動部と駆動装置21とによって、ガイドレール202に沿って上下に移動する。
【0037】
図6に示すように、駆動装置21と、ガイドレール202と、支柱201とは複数の棚板20d、20e、20fにより共有されてもよい。
図6において、棚板20d、20e、20fのそれぞれは可動什器20とする。什器200に設けられる可動什器20は3つに限られず、什器200は可動什器20を1つ以上備えれば良い。
【0038】
商品予測部12は例えば棚板(可動什器)20dに配置された商品が、来店客が興味を示す商品であると予測する。配置決定部13は、特定された来店客に基づいた可動什器20の配置を決定する際に、例えばデータベースに予め記憶された来店客の身体的特徴に基づいて配置を決定する。身体的特徴は、例えば、来店客の身長や目線の高さのデータを含んでもよい。
【0039】
配置の決定について
図7A、7Bを参照して具体的に説明する。
図7Aは実施形態に係る什器制御サーバ10を使用しなかった場合に、来店客C1が棚板20dに展示された商品に気付かずに什器200から立ち去ることを示す。
図7Aにおいて来店客C1は見えやすい位置にある棚板20eに展示された商品を見たが、その商品には興味がなかったため立ち去っている。
【0040】
第1実施形態において、商品予測部12は来店客が棚板20dに配置された商品に興味を示すことを予測する。配置決定部13は、来店客の身長又は目線の高さのデータを参照し、来店客に合う棚板20dの配置高さを決定する。生成部14は決定された配置に棚板を駆動装置21に移動させるための移動データを生成する。駆動装置21は取得した移動データに基づいて可動部を動かし、
図7Aに示す配置から決定された
図7Bに示す配置まで棚板20dを移動させる。
図7Bにおいて什器制御サーバ10を使用したから来店客C1は好みの商品を見つけることができた。配置決定部13は棚板20dが降りてくると共に、他の棚板20e、20fの配置が下がるよう配置を決定してもよい。
【0041】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態に係る什器制御サーバ10によれば、店員による什器や商品の移動を軽減し、来店客に合わせて売場配置を変更することが可能となる。
【0042】
身長の低い人や高齢者にとって、高所に配置された商品は手に取れない。したがって高い位置にあるものが低い位置に陳列されることが好ましい場合がある。また、自分に合うサイズが什器の下の方に積まれていて、見つけづらいことがある。第2実施形態の什器制御サーバ10によれば、配置決定部13が来店客に基づいて、可動什器20の配置を決定するから、店舗に来店した来店客が手に取りやすい位置に商品が再配置される。また、商品予測部12が予測した商品を手に取りやすい位置に配置すれば、来店客が商品を購入する可能性が高まる。
【0043】
[変形例]
第2実施形態の説明において、棚板20d、20e、20fのそれぞれを可動什器20としたが、什器制御サーバ10は、棚板20d、20e、20fをまとめて1つの可動什器20として制御することもできる。
【0044】
棚板の動きは上下方向の動きに限られるものでなく、什器200に例えば横方向、斜め方向のガイドレール(図示せず)を設けることにより、様々な方向の動きを可能としてもよい。棚板は予測された商品が、他の商品よりも什器から張り出すように動いてもよい。
【0045】
[第3実施形態]
[構成]
第3実施形態において、配置決定部13は、来店客に関するリアルタイムに検知された情報に基づいて、可動什器20の配置を決定する。
【0046】
第2実施形態において配置決定部13は、予めデータベースに記憶された来店客の身体的特徴を参照した。一方第3実施形態において、配置決定部13は、店内に設けられた各種センサを用いてリアルタイムで来店客の身体的特徴を取得し、取得した身体的特徴のデータを参照してもよい。
【0047】
また、第1実施形態において配置決定部13は、来店客の過去の来店時の視線又は動線の履歴に基づいて配置を決定したが、第3実施形態の配置決定部13は、来店客の現在の来店時の視線又は動線に基づいてリアルタイムに可動什器20の配置を決定してもよい。
【0048】
第3実施形態として、什器制御サーバ10を
図7A、
図7Bに示した可動什器20に適用した例と、さらに他の可動什器20に適用した例について説明する。
図8A、
図8Bは
図7A、
図7Bに示した什器200と同様の什器200を示す図である。
図9は可動什器20の他の例を示す図である。
図9に示す可動什器20は回転ラック20gであり、例えばハンガーを用いて衣類を吊るすことができる。回転ラック20gは、鉛直方向の支柱203と、支柱の上端部にハンガー部204とを備え、支柱203を軸にしてハンガー部204が回転する。駆動装置21はハンガー部204を回転させる。回転ラック20gにおける売場配置の変更とは、回転ラック20gのハンガー部204が回転することである。回転ラック20gの構成は
図9に示すものに限定されない。
図2Aのラックと同様に、回転ラック20gは、タイヤとタイヤの駆動装置21を備えて、移動可能としてもよい。商品を展示する回転部分の形態は各種変更することができる。
【0049】
第3実施形態において、
図9に示す回転ラック20gの配置を決定する際に、配置決定部13は検知された来店客の現在の位置に基づいて、回転ラック20gの配置を決定することで、商品の配置場所を決定する。駆動装置21は可動部を動作させてハンガー部204を回転し、商品を現在の位置から来店客の前に移動させる。
【0050】
[動作]
図8A、8Bを参照して、検知された情報に基づいて、商品を展示する可動什器20としての棚板20が上下に動く例について説明する。
図8Aにおいて棚板20dの配置は来店客にとって高いため、来店客C3は道具を用いるか、店員を呼ばなければ、商品を手に取ることができないとする。このとき例えば客特定部11が特定した来店客C3が、
図8Aに示す棚板20dに配置された商品を所定の時間注視していることが検出されたとする。商品予測部12は注視されている商品を来店客C3が興味を示す商品として予測する。配置決定部13は来店客C3に関するリアルタイムに検出されたC3の身長に関する情報を参照して、注視されている商品を載せる棚板20dの高さを決定する。生成部14は移動データを生成し、移動データを取得した駆動装置21は可動部を作動させ、
図8Bに示すように商品を載せた棚板20dの位置を低くする。
【0051】
図9を参照して、回転ラック20gが、検知された情報に基づいて動く例について説明する。例えば来店客が回転ラック20gの付近の所定の位置に立っていることが検知されたとする。商品予測部12は什器に展示されている商品のうち、来店客が興味を示す商品を予測する。配置決定部13は来店客の位置に関する情報と商品の現在の配置に関する情報とに基づいて、予測された商品が来店客の前に配置されるよう、可動什器20である回転ラック20gの配置を決定する。生成部14は移動データを生成し、回転ラック20gの駆動装置21は移動データを取得する。
【0052】
[第3実施形態の効果]
店舗の接客において、店員は来店客の動向や視線を伺って、来店客に商品の提示をすることがある。第3実施形態の什器制御サーバ10によれば、検知された来店客の現在の位置、身体的特徴、視線等に基づいて配置決定部13が可動什器20の配置を決定する。したがって、可動什器20が自動で動くため、来店客は店員の手を借りずに商品を手に取ることができるため店舗スタッフの手間を減らすことができる。さらに、検知された情報に基づいて可動什器20が移動することで商品が来店客に合わせて移動すれば、来店客が商品を手に取る可能性が上がるため、来店客が商品を購入する可能性が高まる。また、第3実施形態の什器制御サーバ10によれば、顧客情報が予めデータベースに記憶されていなくても、来店客に合わせて商品を配置することが可能になる。
【0053】
[変形例]
第3実施形態において、棚板が上下する什器と回転ハンガーラックついて説明したが、可動什器20の例はこれに限られない。可動什器20は可動什器20を構成するレールに商品が乗せられ、レールが動く構成であってもよい。
【0054】
[第4実施形態]
次に第4実施形態に係る什器制御システム100について図面を用いて説明する。以下の実施の形態に記載されている構成要素は例示であり、本開示の技術範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
図10は什器制御システム100の構成を示す図である。什器制御システム100は什器制御サーバ10と、可動什器20と、検知装置30と、データベース40とを備える。什器制御サーバ10は第1から第3実施形態のいずれかのものと同様である。
【0055】
<来店客の検知>
検知装置30は来店客を検知し、検知情報を生成する。検知情報は来店客の来店時の顔画像、位置、動線、視線、表情、その他店内行動の少なくともいずれかを含む。検知情報はデータベース40に記憶され、来店客の特定に用いられる。検知情報は商品予測部12による商品の予測と、配置決定部13による配置の決定に用いられてもよい。検知装置30はカメラ等の各種センサである。店舗に敷設されるカメラは来店客を捕捉する。検知装置30により来店客の位置、動線、視線、表情その他行動を追跡してもよい。検知装置30として会員証の読み取り装置を設けてもよい。
【0056】
検知装置30は検知情報に基づいて来店客の属性を検知してもよい。来店客の属性とは、来店客の性別、身長、年齢などである。例えば、性別、年齢は来店客の顔画像から画像認識技術を用いて推定でき、身長は測距センサにより測定できる。検知装置30は来店客の服や靴のサイズや趣向を検知してもよい。例えば検知装置は検知した身長に基づいて、靴のサイズを推定することで靴のサイズを検知してもよい。また例えば特定の商品に対して好意的な表情を示したことが検知された場合、検知装置30はその商品が来店客の趣向に合うことを検知する。具体的には緑色のものに視線を向けている時間が長いことが検知された場合、検知装置30は来店客が緑色を好むことを検知する。検知された顧客の属性、サイズ、趣向は顧客情報としてデータベース40に記憶されてもよい。
【0057】
<情報の記憶>
データベース40は、検知情報、顧客情報、および在庫情報を記憶する。顧客情報は、ユーザの識別子、購買履歴、性別、サイズ、商品の好み、顔画像、視線・動線の傾向のうち少なくともいずれかを含む。在庫情報は、在庫の種類、色、サイズ、数、在庫がどの什器のどこに配置されているかの情報等を含む。在庫情報は商品に付されたタグに記されたバーコードや電子タグを読み取ることによって取得されてもよい。在庫情報は商品が配置された什器の画像を撮像し、画像を解析することで取得されてもよい。
【0058】
<来店客の特定>
客特定部11は検知情報に基づいて来店客を特定してもよい。客特定部11は出入口付近に設置されたカメラで撮影された来店客の顔画像と、データベース40に記憶された顧客情報とに基づいて来店客を特定してもよい。客特定部11は、入口で読み取られた会員証の情報に基づいて来店客本人を特定してもよい。顔認証によって来店客を特定すると、来店客は会員証等を提示する必要がない点メリットがある。
【0059】
データベース40に来店客に関する情報が記憶されていない場合、客特定部11は検知された来店客に関する情報をデータベース40に加え、来店客を特定してもよい。
【0060】
<商品の予測の方法>
商品予測部12は在庫情報および特定された来店客の顧客情報を参照して商品を予測する。商品予測部12は検知情報に基づいて商品を予測してもよい。商品予測部12は機械学習を用いて来店客が興味を示す商品又は購入する商品を予測してもよい。予測の例を以下に示す。
【0061】
商品予測部12は入力された予測ルールを参照して、商品を予測してもよい。店員は売り上げを伸ばしたい商品の優先順位が高くなるよう予測ルールを入力してもよい。入力された予測ルールはデータベース40に記憶される。
【0062】
商品予測部12は、来店客の購買履歴に基づいて、合わせて購入することを勧める商品を、興味を示す商品として予測してもよい。商品予測部12は、他の来店客の購買履歴に基づいて商品を予測してもよい。来店客本人の購買履歴がない場合、客特定部が特定した来店客の属性と同じ又は類似する属性を有する他の来店客の購買履歴に基づいて、予測してもよい。
【0063】
商品予測部12は、視線に関する情報に基づいて、興味がある商品の属性を判断して、同じ属性の商品に興味があると予測してもよい。例えば来店客が来店時にTシャツをよく見ている場合、商品予測部12は、来店客が今日はTシャツを買いに来たことを予測する。
【0064】
商品予測部12は、動線に関する情報に基づいて、この動線で店内を動いた人は次にこの商品を見たいであろうと予測してもよい。ある地点Pの通過速度は速かった場合、地点Pに配置された商品は興味がないことを予測する。地点Qの通過速度が遅い場合、地点Qに配置された商品と類似の商品を興味がある商品として予測してもよい。
【0065】
商品予測部12は、検知された店内行動に基づいて来店客が手に取った商品や買い物かごに入れた商品は興味が高いと予測し、手に取った商品と関連が深い商品を興味がある商品として予測してもよい。例えばこのシャツを手に取った人は、これに合うパンツが欲しくなるだろうなどと予測する。その他、商品予測部12は種々の予測方法を用いることができる。
【0066】
<配置の決定>
配置決定部13は、商品予測部12によって予測された商品を展示する可動什器20の配置を、特定された来店客に基づいて決定する。配置決定部13は入力された配置ルールに基づいて可動什器20又は商品の配置を決定してもよい。配置ルールは店員又は来店客が見せたい又は見たい商品をどのあたりに配置するかに関する設定であってもよい。また例えば配置ルールは1つの可動什器20に配置する商品の量に関する設定であってもよい。データベース40は、入力された配置ルールを記憶してもよい。店員又は来店客に入力することによって配置ルールを設定できるようになる。
【0067】
配置決定部13は機械学習を用いて商品の配置を決定してもよい。配置決定部13は商品の好ましい配置を学習し、商品のより好ましい配置を決定する。例えば配置決定部13が決定した配置に配置した商品が、来店客によって購入された場合、配置決定部13が商品の配置が好ましいことを学習する。また例えば、一度決定された配置は店員によって修正可能としてもよい。配置決定部13は修正された配置を商品の配置として再度決定する。配置決定部13は修正後の配置をより好ましい配置として学習する。修正を可能とすることで、店舗ごとの独自のスタイルを表現できるようになる。
【0068】
<可動什器が動く>
生成部14は可動什器20を駆動装置21により移動させる移動データを生成する。什器制御サーバ10は駆動装置21に移動データを送信する。駆動装置21は移動データを取得して作動し、可動部が動作する。したがって来店客に合わせて商品を手に取りやすくなるよう商品が動く。
【0069】
[動作]
次に、第4実施形態に係る什器制御システム100の動作について、什器制御システム100の動作を示す
図11のフローチャートを用いて説明する。検知装置30は来店客を検知し、検知情報を生成する(ステップS21a)。客特定部11は来店客に関する情報に基づいて来店客を特定する(ステップS21b)。
【0070】
商品予測部12は特定された来店客が興味を示す商品を予測する(ステップS22)。配置決定部13は予測された商品を展示する1以上の可動什器20を選択し、特定された来店客に基づいて可動什器20の配置を決定する(ステップS23)。生成部14は決定された可動什器20の配置に可動什器20が備える駆動装置21により可動什器を移動させる移動データを生成する(ステップS24)。
【0071】
上述の什器制御システム100の動作により、可動什器20は来店客に合わせて決定された配置に移動する。
【0072】
[第4実施形態の効果]
第4実施形態の什器制御システム100によれば、店員による什器や商品の移動を軽減し、来店客に合わせて売場配置を変更することが可能となる。
【0073】
その理由は、検知情報に基づいて客特定部11が来店客を特定し、データベースを参照し特定された来店客に基づいて、商品予測部12が来店客のために商品を予測し、配置決定部13が商品を展示する可動什器20の配置を決定するからである。生成部14は可動什器20を移動させる移動データを生成し、可動什器20の駆動装置21は移動データを取得し、可動什器20は決定された配置に移動する。したがって可動什器20の配置が決定されることで、商品の配置が決定され、来店客の興味を示す商品が、店舗スタッフによらずに来店客に合わせて配置される。
【0074】
[変形例1]
什器制御システム100における什器制御サーバ10はさらに決済部15を備えてもよい。
図12は、什器制御サーバ10の他の構成を示す図である。なお、第4実施形態において、什器制御サーバ10の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。来店客は商品を顔決済等により、キャッシュレスで購入することができる。検知装置30は来店客が手に取った商品を持って退店したことを検知し検知情報を生成する。顧客情報は来店客のクレジットカード情報又は来店客が利用するキャッシュレス決済サービスに関する情報を含む。決済部15は検知情報と顧客情報とに基づいて、来店客が手に持っていた商品の決済処理を行う。決済部15を備える構成により、来店客はレジに並ばずに商品を購入することが可能になる。
【0075】
[変形例2]
上記各実施形態において、商品は予め可動什器20に配置されているが、変形例として、ロボットが来店客に合わせて可動什器20に商品を配置してもよい。ロボットは少なくとも通信部と商品を運ぶアーム部を有する。ロボットは商品予測部12が予測した商品をアーム部で運び、配置決定部13が選択した可動什器20に商品を決定された配置に配置する。ロボット自身が可動什器20における商品の配置を決定してもよい。ロボットが決定した什器における配置はデータベースに記憶される。
【0076】
<<適用例>>
各実施形態に示したものは、衣類のセレクトショップにおける商品の展示に適用することができる。また各実施形態に示したものは、アパレル分野以外に、書店、スーパーマーケット、コンビニ、量販店等における商品の展示にも適用することができる。
【0077】
例えば広いスーパーマーケットの店内において、来店客が通らなかったコーナーや寄り忘れたコーナーがあるとする。商品予測部12は在庫商品の中からおすすめの商品を予測し、配置決定部13はおすすめの商品が配置された棚の配置を決定するから、おすすめの商品を載せた動く棚(可動什器)が決定された配置に動く。動く棚の配置がレジ付近や出入口付近に決定される場合、来店客はレジや出口に向かう途中に動く棚(可動什器)を見る可能性がある。来店客のためのおすすめ商品がその来店客にとって見えやすい位置に移動すると、そのおすすめ商品は購入される可能性が上がる。また来店客は各コーナーを回らなくても、買う可能性があるものを棚が運ぶため、来店客の利便性が向上する。
【0078】
<<ハードウェア構成>>
上記した各実施形態に示した手順は、什器制御サーバ10又は駆動装置21として機能するコンピュータ(
図5の9000)に、什器制御サーバ10又は駆動装置21としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、
図5のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インターフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、
図5のCPU9010にて、什器制御プログラムを実行し、その補助記憶装置9040等に保持された各計算パラメーターの更新処理を実施させればよい。
【0079】
上記した各実施形態に示した什器制御サーバ10又は駆動装置21の各部(処理手段、機能)は、什器制御サーバ10又は駆動装置21に搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0080】
本願発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではない。以上に説明した実施形態の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0081】
10 什器制御サーバ
11 客特定部
12 商品予測部
13 配置決定部
14 生成部
20 可動什器
21 駆動装置
30 検知装置
40 データベース
100 什器制御システム