(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】緩衝材用紙および紙緩衝材
(51)【国際特許分類】
B65D 81/00 20060101AFI20240723BHJP
D21H 27/10 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B65D81/00
D21H27/10
(21)【出願番号】P 2023129952
(22)【出願日】2023-08-09
【審査請求日】2023-10-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東川 一希
(72)【発明者】
【氏名】石川 友美子
(72)【発明者】
【氏名】平野 大信
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-195664(JP,A)
【文献】特開2013-159866(JP,A)
【文献】特開2002-255157(JP,A)
【文献】特開2015-140502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 57/00-59/08
B65D 81/00-81/17
D21H 11/00-27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密度が0.80g/cm
3以下であり、
JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張強度と横方向の比引張強度との相乗平均値が33.0Nm/g以上75.0Nm/g以下であ
り、
縦方向の比引張強度と、横方向の比引張強度との比(縦方向の比引張強度/横方向の比引張強度)が、1.8以上5.5以下であり、
ISO 2493-1:2010に準拠して測定される縦方向のこわさと、横方向のこわさとの相乗平均値が0.15mNm以上0.90mNm以下である、
緩衝材用紙。
【請求項2】
縦方向の比引張強度が40.0Nm/g以上110.0Nm/g以下であり、かつ、横方向の比引張強度が18.0Nm/g以上60.0Nm/g以下である、請求項1に記載の緩衝材用紙。
【請求項3】
緩衝材用紙を構成するパルプ繊維のカール値が
8.0%以下である、請求項1に記載の緩衝材用紙。
【請求項4】
坪量が40g/m
2以上150g/m
2以下である、請求項1に記載の緩衝材用紙。
【請求項5】
緩衝材用紙が原料パルプとして針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)および広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を含有し、針葉樹未晒クラフトパルプと広葉樹未晒クラフトパルプとの質量比(NUKP:LUKP)が40:60以上85:15以下である、請求項1に記載の緩衝材用紙。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の緩衝材用紙を折り曲げてなる、紙緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝材用紙および紙緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
梱包用の段ボールケース等のケースの中に商品等の収容物を収納したときに生じるケースと収容物との隙間を埋め、また、輸送の際に生じる収容物に加わる振動・衝撃等を吸収するために、緩衝材が利用されている。
緩衝材として、エアーキャップ、エアークッション、発泡チップなどが使用されてきた。エアーキャップおよびエアークッションは、ポリエチレンなどの樹脂によって形成され、樹脂シートに多数の中空の突起が形成されたものである。発泡チップは、発泡性を有する樹脂により形成された、比較的小サイズの緩衝材であり、ケースと収容物との隙間を埋めるように詰めて使用する。
環境保護の観点から、上述したようなプラスチック製の緩衝材に代わり、紙製の緩衝材(紙緩衝材)が普及しつつある。
【0003】
特許文献1は、従来緩衝材の利点、すなわち、安価に製造することができ、焼却処分時に有害ガスが発生しない等の点から廃棄処分が容易に行え、しかも、不定型であるので汎用性があるといった利点をそのまま有し、さらに、優れた緩衝効果を有する紙製緩衝材およびその製造方法を提供することを目的として、軸線方向に亘ってスリットが形成された中空ドラムの前記スリットから前記中空ドラム内に紙片を供給し、前記紙片の先端を前記中空ドラムの内面に引っ掛け、さらに前記紙片の供給を続けることによって、前記紙片を前記中空ドラム内においてジグザグに折り曲げ、次いで、前記中空ドラム内のジグザグに折り曲げられた前記紙片を、前記中空ドラム内をその軸線方向に沿って移動可能な圧縮板を移動させることによって、前記中空ドラムの端部側から圧縮して丸めることを特徴とする、紙製緩衝材の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の紙緩衝材の製造方法は、紙片から折り曲げられた紙緩衝材の製造方法について検討されているが、紙緩衝材に使用される緩衝材用紙自体について検討されていない。
本発明は、緩衝性に優れる紙緩衝材が得られるとともに、折り曲げ加工性に優れる緩衝材用紙を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記緩衝材用紙から得られる紙緩衝材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、緩衝材用紙の密度を特定の値以下とし、かつ、比引張強度の相乗平均値を特定の範囲とすることにより、上記の課題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>~<8>に関する。
<1> 密度が0.80g/cm3以下であり、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張強度と横方向の比引張強度との相乗平均値が33.0Nm/g以上75.0Nm/g以下である、緩衝材用紙。
<2> 縦方向の比引張強度が40.0Nm/g以上110.0Nm/g以下であり、かつ、横方向の比引張強度が18.0Nm/g以上60.0Nm/g以下である、<1>に記載の緩衝材用紙。
<3> 縦方向の比引張強度と、横方向の比引張強度との比(縦方向の比引張強度/横方向の比引張強度)が1.0以上5.5以下である、<1>または<2>に記載の緩衝材用紙。
<4> ISO 2493-1:2010に準拠して測定される縦方向のこわさと、横方向のこわさとの相乗平均値が0.10mNm以上1.50mNm以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の緩衝材用紙。
<5> 緩衝材用紙を構成するパルプ繊維のカール値が9.0%以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の緩衝材用紙。
<6> 坪量が40g/m2以上150g/m2以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の緩衝材用紙。
<7> 緩衝材用紙が原料パルプとして針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)および広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を含有し、針葉樹未晒クラフトパルプと広葉樹未晒クラフトパルプとの質量比(NUKP:LUKP)が40:60以上85:15以下である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の緩衝材用紙。
<8> <1>~<7>のいずれか1つに記載の緩衝材用紙を折り曲げてなる、紙緩衝材。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、緩衝性に優れる紙緩衝材が得られるとともに、折り曲げ加工性に優れる緩衝材用紙が提供される。さらに、本発明によれば、前記緩衝材用紙から得られる紙緩衝材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例で使用した緩衝性を評価した装置を示す図である。
【
図2】実施例で使用した折り曲げ加工性を評価した装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[緩衝材用紙]
本実施形態の緩衝材用紙は、密度が0.80g/cm3以下であり、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張強度と横方向の比引張強度との相乗平均値(以下、比引張強度の相乗平均値ともいう)が33.0Nm/g以上75.0Nm/g以下である。
本実施形態の緩衝材用紙によれば、緩衝性に優れる紙緩衝材が得られるとともに、折り曲げ加工性に優れる緩衝材用紙が提供される。
上記の効果が得られる理由としては、密度が0.80g/cm3以下であることにより、紙中のパルプ繊維間に多くの空隙が形成され、緩衝性に優れた緩衝材用紙が得られたと考えられる。また、比引張強度の相乗平均値が大きい値であると、緩衝性に優れるが、折り曲げ加工性に劣る傾向がある。比引張強度の相乗平均値を特定の範囲とすることで、緩衝性と折り曲げ加工性に優れた緩衝材用紙が得られたものと考えられる。
なお、上記の効果が得られる理由は、これに限定されるものではない。
また、本実施形態の緩衝材用紙によれば、従来のプラスチックから形成された緩衝材に比べ、パルプを主体とする紙により形成されており、環境負荷が低減される。
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
【0010】
本明細書中、「X~Y」で表される数値範囲は、Xを下限値、Yを上限値として含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限および下限は任意に組み合わせることができる。
また、緩衝材用紙の縦方向とは、抄紙方向(MD)を意味し、また、横方向とは、抄紙方向と直交する方向(CD)を意味する。
【0011】
本実施形態の緩衝材用紙は、紙基材を含み、紙基材は、原料としてパルプを含む。パルプの製法および種類は、特に限定されない。
なお、本実施形態の緩衝材用紙は、少なくとも紙基材を含み、これに、塗工層等を有するものであってもよいが、紙基材のみからなることが好ましい。また、紙基材は、単層構成であっても、多層構成であってもよい。多層紙である場合、紙層の層数は、特に制限されないが、例えば、好ましくは2層以上7層以下、より好ましくは2層以上6層以下である。
【0012】
<原料パルプ>
本実施形態において、紙基材を構成するパルプとしては、環境負荷低減の観点から、天然パルプ繊維が好ましく、天然パルプ繊維としては、木材繊維(化学パルプ、機械パルプ)、非木材繊維、古紙パルプなどが必要に応じて任意に使用される。木材繊維のうち化学パルプとしては、木材チップ蒸解時に苛性ソーダと硫化ナトリウムを使用するクラフトパルプや、亜硫酸と亜硫酸水素塩を使用する亜硫酸パルプなどが挙げられる。これらのパルプは未晒品でも、漂白処理を施したもの(晒品)でもよい。また、機械パルプとしては、丸太をグラインダーで磨砕して得られるグラウンドウッドパルプ(GP)、製材工場の廃材をリファイナーで磨砕(リファイニング)して得られるリファイナーグラウンドウッドパルプ(RGP)、木材チップを加熱、リファイニング処理して得られるサーモメカニカルパルプ(TMP)などが挙げられる。
これらの中でも、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)および広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)が好ましく使用される。
また、こうした木材繊維パルプのうち、針葉樹パルプの原料となる針葉樹としては、マツ、カラマツ、スギ、モミ、ヒノキ等が例示される。また、広葉樹パルプの原料となる広葉樹としては、ユーカリ、アカシア、カバ、ブナ、カエデ、ニレ、クリ等が例示される。
【0013】
また、本実施形態で使用できる非木材繊維としては、コウゾ、ミツマタ、ガンピ、アマ、タイマ、ケナフ、チョマ、ジュート、サンヘンプなどの靱皮繊維類や、木綿、コットンリンターなどの種毛繊維類や、マニラ麻、サイザル麻、エスパルトなどの葉繊維類や、竹、イネワラ、ムギワラ、サトウキビバガスなどの茎繊維類などが挙げられる。特にコウゾ、ミツマタ、ケナフ、マニラ麻、サイザル麻、木綿、コットンリンターなどは、繊維長も長く、本実施形態の原紙の強度を向上させることができるため好適に用いられる。非木材繊維の蒸解は、木材繊維と同様の方法で行うことができる。
本実施形態で使用できる古紙パルプとしては、段ボール古紙、雑誌古紙などが挙げられる。
【0014】
これらのパルプ繊維は単独で、あるいは2種類以上を併用して使用することができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて合成樹脂繊維を混合することができる。使用できる合成樹脂繊維としては、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリ乳酸繊維などが挙げられる。
【0015】
本実施形態では、後述する所望の比引張強度、こわさ、構成するカール値を得る観点から、原料パルプが針葉樹パルプを含有することが好ましく、針葉樹パルプと広葉樹パルプとを併用することがより好ましく、針葉樹未晒パルプと広葉樹未晒パルプとを併用することがさらに好ましい。
緩衝材用紙が原料パルプとして針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)および広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を含有する場合、後述する所望の比引張強度、こわさ、構成するカール値を得る観点から、針葉樹未晒クラフトパルプと広葉樹未晒クラフトパルプとの質量比(NUKP:LUKP)は、好ましくは40:60以上85:15以下であり、より好ましくは45:55以上、さらに好ましくは50:50以上、よりさらに好ましくは55:45以上であり、そして、より好ましくは80:20以下である。
緩衝材用紙が原料パルプとして針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)および広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を含有する場合、原料パルプ中のNUKPとLUKPの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、一層好ましくは95質量%以上であり、上限は特に限定されず、100質量%以下である。
また、原料パルプとして、古紙パルプを含有してもよいが、古紙パルプの含有量は、後述する所望の比引張強度、こわさ、構成するカール値を得る観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは10質量%以下、一層好ましくは5質量%以下である。
【0016】
<パルプ特性>
(カール値)
パルプのカール値(カール指数ともいう)とは繊維の緩やかな折れ曲がりの状態を表す指標である。折れ曲がりは単繊維の弾性率や伸び、ひいては緩衝材用紙全体の伸びや強度に影響を与える。
本実施形態の緩衝材用紙を構成するパルプ繊維のカール値は、好ましくは9.0%以下である。緩衝材用紙を構成するパルプ繊維のカール値が9.0%以下であると、高い比引張強度が得られるともに、緩衝性が向上するので好ましい。カール値が小さいと、単繊維の弾性率が向上し、その結果、比引張強度が高くなるとともに、緩衝材用紙の緩衝性が向上すると考えられる。前記カール値は、より好ましくは8.5%以下、さらに好ましくは8.0%以下、よりさらに好ましくは7.5%以下、一層好ましくは7.0%以下である。下限は特に限定されないが、製造容易性の観点から、好ましくは3.0%以上、より好ましくは4.0%以上、さらに好ましくは4.5%以上、よりさらに好ましくは5.0%以上、一層好ましくは5.5%以上である。
【0017】
前記紙基材を構成するパルプのカール値は、パルプ繊維を真っすぐに伸ばしたときの繊維の長さ(輪郭長、L1)および、カールしている状態での繊維の長さ(同一繊維上で最も遠い2点間の距離、L2)を用いて、以下のように示される。
カール値(%)=(L1-L2)/L2×100
ここで、繊維の長さ(L1)および繊維の長さ(L2)は、長さ0.2mm以上7.6mm以下の繊維を選択して測定した繊維の長さに対して、長さ加重平均値を算出する。
L1およびL2は画像処理にて算出される。L1は、繊維の長さが最長になるように画像処理(輪郭長を測定)し、L2は、カールしている(曲がった)状態で、長さが最長になるように画像処理(同一繊維上の最も遠い2点の長さの測定)を行う。
具体的には、実施例に記載の方法により測定され、緩衝材用紙を離解した後に得られたパルプについて測定する。
なお、カール値は、使用するパルプ原料の種類を適宜調整することで、所望の範囲とすることができ、一般に、針葉樹パルプの方が、広葉樹パルプに比べて、高いカール値を有する傾向があり、また、広葉樹パルプの方が、古紙パルプに比べて高いカール値を有する傾向がある。さらに、パルプ原料を叩解時のパルプスラリーの濃度を高くすることによって、カール値は高くなる傾向にある。従って、叩解時のパルプスラリーの濃度を調整することによって、緩衝材用紙を構成するパルプのカール値を調整することができる。
【0018】
(カナダ標準ろ水度)
緩衝材用紙を構成するパルプの、JIS P 8121-2:2012に準拠して測定されるカナダ標準ろ水度(CSF)は、比引張強度を所望の範囲とする観点から、好ましくは200mL以上800mL以下であり、より好ましくは300mL以上、さらに好ましくは350mL以上、よりさらに好ましくは400mL以上であり、そして、より好ましくは700mL以下、さらに好ましくは600mL以下、よりさらに好ましくは500mL以下である。なお、上記のCSFは、原料パルプの好ましいCSFである。
一方、緩衝材用紙を離解して得られるパルプのカナダ標準ろ水度(離解フリーネス)は、原料パルプのCSFよりも50mL程度大きくなる。ここで、離解フリーネスとは、緩衝材用紙をJIS P 8121:2012の方法に従って離解して得られたパルプスラリーを用いて、JIS P 8121:2012の方法に従って測定したカナダ標準ろ水度の値を指す。
【0019】
<任意成分>
紙基材は、必要に応じて、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性もしくは両性の歩留剤、濾水性向上剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、填料、定着剤(硫酸バンド)、サイズ剤等の内添助剤、染料、蛍光増白剤等の任意成分を含んでいてもよい。
乾燥紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの中でも、所望の比引張強度を得る観点から、ポリアクリルアミド系の乾燥紙力増強剤が好ましい。乾燥紙力増強剤の含有量は、特に限定されず、所望の比引張強度となるように、適宜調整すればよい。
湿潤紙力増強剤としては、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スメクタイト等の無機填料、アクリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等の有機填料が挙げられる。
サイズ剤としては、ロジンサイズ剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤等の内添サイズ剤、スチレン/アクリル酸共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体等の表面サイズ剤が挙げられる。
【0020】
<緩衝材用紙の製造方法>
緩衝材用紙の製造方法は、上記の原料パルプを含むスラリーを抄紙する工程を含むことが好ましい。
抄紙方法については、特に限定されず、例えばpHが4.5付近で抄紙を行う酸性抄紙法、pHが約6~約9で抄紙を行う中性抄紙法等が挙げられる。
抄紙工程では、必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等の抄紙工程用薬剤を適宜添加できる。
抄紙機についても、特に限定されず、例えば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。
【0021】
本実施形態において、抄紙工程において、ワイヤー上に噴出される紙料の流れ速度(J)と、抄紙ワイヤー走行速度(W)との比である、ジェット/ワイヤー比(J/W比)は、後述する縦方向の比引張強度と横方向の比引張強度との比(縦方向の比引張強度/横方向の比引張強度)を所望の範囲とする観点から、適宜調整すればよい。
【0022】
<緩衝材用紙の特性>
(密度)
本実施形態の緩衝材用紙は、緩衝性および折り曲げ加工性の観点から、密度が0.80g/cm3以下である。一般に、同じ坪量であれば、密度が低い方が、緩衝性に優れる緩衝材が得られる。
緩衝材用紙の密度は、好ましくは0.75g/cm3以下、より好ましくは0.70g/cm3以下、さらに好ましくは0.68g/cm3以下であり、所望の比引張強度を得る観点から、好ましくは0.40g/cm3以上、より好ましくは0.45g/cm3以上、さらに好ましくは0.50g/cm3以上、よりさらに好ましくは0.55g/cm3以上である。
緩衝材用紙の密度は、抄紙工程におけるプレス圧を調整することにより、適宜調整することができる。
また、緩衝材用紙の密度は、緩衝材用紙の厚さおよび坪量から算出される。
【0023】
(厚さ)
緩衝材用紙の厚さは、緩衝性および折り曲げ加工性の観点から、好ましくは50μm以上500μm以下であり、より好ましくは60μm以上、さらに好ましくは80μm以上、よりさらに好ましくは100μm以上、一層好ましくは110μm以上であり、そして、より好ましくは400μm以下、さらに好ましくは350μm以下、よりさらに好ましくは300μm以下、一層好ましくは250μm以下、より一層好ましくは200μm以下である。
緩衝材用紙の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定され、具体的には、実施例に記載の方法により測定される。
【0024】
(坪量)
緩衝材用紙の坪量は、緩衝性および折り曲げ加工性の観点から、好ましくは30g/m2以上250g/m2以下であり、より好ましくは40g/m2以上、さらに好ましくは50g/m2以上、よりさらに好ましくは60g/m2以上、一層好ましくは65g/m2以上であり、そして、より好ましくは200g/m2以下、さらに好ましくは180g/m2以下、よりさらに好ましくは150g/m2以下、一層好ましくは120g/m2以下、より一層好ましくは100g/m2以下である。
緩衝材用紙の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定される。
【0025】
(比引張強度)
本実施形態の緩衝材用紙は、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張強度と、横方向の比引張強度との相乗平均値(以下、「比引張強度の平均値」ともいう)が33.0Nm/g以上75.0Nm/g以下である。比引張強度が33.0Nm/g以上であると、緩衝性に優れるので好ましい。また、75.0Nm/g以下であると、折り曲げ加工性に優れるので好ましい。
上記の観点から、緩衝材用紙の比引張強度の平均値は、好ましくは35.0Nm/g以上、より好ましくは40.0Nm/g以上であり、そして、好ましくは70.0Nm/g以下、より好ましくは65.0Nm/g以下である。
緩衝材用紙の引張強度は、JIS P 8113:2006に準拠して測定し、縦方向の引張強度を坪量で除した値(縦方向の比引張強度)と、横方向の引張強度を坪量で除した値(横方向の比引張強度)の相乗平均を算出する。
緩衝材用紙の比引張強度は、原料パルプの種類、配合比、紙力剤(乾燥紙力増強剤)の配合量、緩衝材用紙の密度等により、所望の範囲に調整することができる。原料パルプとして、NUKPとLUKPとを使用する場合、NUKPの比率を増やすと、比引張強度が高くなる傾向がある。また、紙力剤の配合量を増やすと、比引張強度が高くなる傾向がある。
【0026】
縦方向の比引張強度は、緩衝性および折り曲げ加工性の観点から、好ましくは40.0Nm/g以上110.0Nm/g以下であり、より好ましくは45.0Nm/g以上、さらに好ましくは50.0Nm/g以上であり、そして、より好ましくは105.0Nm/g以下、さらに好ましくは100.0Nm/g以下である。
また、横方向の比引張強度は、緩衝性および折り曲げ加工性の観点から、好ましくは18.0Nm/g以上60.0Nm/g以下であり、より好ましくは19.0Nm/g以上、さらに好ましくは20.0Nm/g以上であり、そして、より好ましくは55.0Nm/g以下、さらに好ましくは50.0Nm/g以下、よりさらに好ましくは45.0Nm/g以下、一層好ましくは40.0Nm/g以下である。
【0027】
縦方向の比引張強度と、横方向の比引張強度との比(縦方向の比引張強度/横方向の比引張強度)(以下、比引張強度の縦横比ともいう)は、好ましくは1.0以上5.5以下である。比引張強度の縦横比が1.0以上であると、折り曲げ加工性に優れるので好ましい。また、比引張強度の縦横比が5.5以下であると、緩衝性に優れるので好ましい。
比引張強度の縦横比は、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.0以上であり、そして、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは3.5以下である。
比引張強度の縦横比は、抄紙工程におけるJ/W比を調整することで、適宜調整することができる。
【0028】
(こわさ)
本実施形態の緩衝材用紙は、ISO 2493-1:2010に準拠して測定される縦方向のこわさと、横方向とのこわさとの相乗平均値(以下、「こわさの平均値」ともいう)が、0.10mNm以上1.50mNm以下であることが好ましい。前記こわさの平均値が0.10mNm以上であると、緩衝性に優れるので好ましい。また、前記こわさの平均値が1.50mNm以下であると、折り曲げ加工性に優れるので好ましい。
こわさの平均値は、より好ましくは0.15mNm以上、さらに好ましくは0.20mNm以上、よりさらに好ましくは0.25mNm以上、一層好ましくは0.30mNm以上であり、そして、より好ましくは1.30mNm以下、さらに好ましくは1.10mNm以下、よりさらに好ましくは0.90mNm以下、一層好ましくは0.80mNm以下である。
緩衝材用紙のこわさは、原料パルプの種類、配合比、紙力剤(乾燥紙力増強剤)の配合量、緩衝材用紙の厚さ等により、所望の範囲に調整することができる。原料パルプとして、NUKPとLUKPとを使用する場合、NUKPの比率を増やすと、こわさが高くなる傾向がある。また、紙力剤の配合量を増やすと、こわさが高くなる傾向がある。さらに、厚さを増やすと、こわさが高くなる傾向がある。
【0029】
縦方向のこわさは、緩衝性および折り曲げ加工性の観点から、好ましくは0.10mNm以上2.00mNm以下であり、より好ましくは0.15mNm以上、さらに好ましくは0.20mNm以上、よりさらに好ましくは0.25mNm以上、一層好ましくは0.30mNm以上、より一層好ましくは0.40mNm以上であり、そして、より好ましくは1.80mNm以下、さらに好ましくは1.60mNm以下、よりさらに好ましくは1.50mNm以下、一層好ましくは1.40mNm以下、より一層好ましくは1.20mNm以下である。
横方向のこわさは、緩衝性および折り曲げ加工性の観点から、好ましくは0.05mNm以上1.20mNm以下であり、より好ましくは0.10mNm以上、さらに好ましくは0.15mNm以上、よりさらに好ましくは0.20mNm以上、一層好ましくは0.25mNm以上であり、そして、より好ましくは1.00mNm以下、さらに好ましくは0.90mNm以下、よりさらに好ましくは0.80mNm以下、一層好ましくは0.60mNm以下、より一層好ましくは0.50mNm以下である。
【0030】
縦方向のこわさと、横方向のこわさとの比(縦方向のこわさ/横方向のこわさ)(以下、こわさの縦横比ともいう)は、好ましくは1.0以上5.5以下である。比引張強度の縦横比が1.0以上であると、折り曲げ加工性に優れるので好ましい。また、比引張強度の縦横比が5.5以下であると、緩衝性に優れるので好ましい。
比引張強度の縦横比は、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.4以上、よりさらに好ましくは1.6以上であり、そして、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4.0以下、よりさらに好ましくは3.5以下、一層好ましくは3.0以下である。
こわさの縦横比は、抄紙工程におけるJ/W比を調整することで、適宜調整することができる。
【0031】
[紙緩衝材]
本実施形態の紙緩衝材は、本実施形態の緩衝材用紙を折り曲げてなる。
また、その他の態様として、本実施形態の緩衝材用紙に凹凸加工を施して紙緩衝材としてもよく、また、これをさらに折り曲げて紙緩衝材としてもよい。なお、凹凸加工を施す場合、緩衝材用紙にクルパック処理(抄紙機上で縦方向に紙を微細に収縮する処理)等を施すことで、伸長性能を向上しておくことが好ましい。
緩衝材用紙の折り曲げは、人の手で行ってもよく、緩衝材作製機により手動または電動により行ってもよく、特に限定されない。なお、電動の緩衝材作製機により緩衝材用紙を折り曲げて、紙緩衝材を作製する場合であっても、折り曲げ加工性に劣る緩衝材用紙を使用した場合には、機械への負荷が高くなったり、緩衝材用紙が詰まる、破れる等の不具合を生じる傾向がある。
上市されている緩衝材作製機としては、例えば、Nuevopak社製X-FILLシリーズ、Nuevopak社製X-PADシリーズ、Ranpak社製Padpakシリーズ、Ranpak社製FillPakシリーズ、Storopack社製PAPERplusシリーズ、Sealed Air社製ProPadシリーズ、Sealed Air社製FasFillシリーズ等が例示される。
なお、緩衝材用紙の形状は特に限定されず、ロール状であってもよく、折り畳み状であってもよく、また、枚葉状であってもよい。
本実施形態の紙緩衝材は、梱包用の段ボールケース等のケースと、商品等の収容物との隙間を埋めるために使用されることが好ましく、これにより、輸送の際に生じる収容物に加わる振動・衝撃等を吸収するために、使用されることが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下に実施例と比較例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0033】
[評価および分析]
実施例および比較例の原料パルプ、緩衝材用紙、および紙緩衝材について、以下の評価および分析を行った。
【0034】
〔原料パルプ〕
<カナダ標準ろ水度(CSF)の測定>
原料パルプのカナダ標準ろ水度(CSF)は、JIS P 8121-2:2012に準拠して測定した。
【0035】
〔緩衝材用紙〕
<カール値>
緩衝材用紙を構成するパルプ繊維のカール値は、以下の方法により測定した。
得られた緩衝材用紙を4cm角に切り出し、イオン交換水に15分間浸漬させた。浸漬させた緩衝材用紙を取り出し、濃度2%になるようイオン交換水で調整した。濃度調整した緩衝材用紙とイオン交換水の混合物を、JIS P 8220-2:2012に準拠して、標準型離解機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて20分間離解し、パルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーを分取し、繊維長測定器(品番FS-5 UHDベースユニット、バルメット社製)を用いて繊維のカール値を測定した。
【0036】
<坪量>
JIS P 8111:1998に規定された調湿環境下にて、実施例および比較例で得られた緩衝材用紙を24時間調湿した。
JIS P 8124:2011に準拠して、調湿後の緩衝材用紙の坪量を測定した。
【0037】
<厚さ>
JIS P 8111:1998に規定された調湿環境下にて、実施例および比較例で得られた緩衝材用紙を24時間調湿した。
JIS P 8118:2014に準拠して、調湿後の緩衝材用紙の厚さを測定した。
【0038】
<密度>
測定した坪量と厚さから、坪量(g/m2)÷厚さ(μm)の式で密度を算出した。
【0039】
<比引張強度>
JIS P 8111:1998に規定された調湿環境下にて、実施例および比較例で得られた緩衝材用紙を24時間調湿した後、JIS P 8113:2006に準拠して、調湿後の緩衝材用紙の引張強度を測定した。なお、縦方向(抄紙方向、MD方向)および横方向(抄紙方向に垂直な方向、CD方向)の引張強度を測定した。
試験は横型引張試験機(Lorentzen&Wattre社製、CODE SE-064)を用いて行い、得られた引張強度を坪量で割ることで比引張強度を算出した。
【0040】
<こわさ>
JIS P 8111:1998に規定された調湿環境下にて、実施例および比較例で得られた緩衝材用紙を24時間調湿した。
調湿後の緩衝材用紙の縦方向および横方向のこわさは、ISO 2493-1:2010(紙及び板紙-曲げ抵抗試験方法-第1部:定速たわみ)に準拠して測定した。
具体的には、調湿後の緩衝材用紙を、幅38mm、長さ70mmに切り出し、こわさ試験機(L&W BENDING RESISTANCE TESTERコードNo.16-D、Lorentzen&Wattre社製)にて、曲げ長さを10mm、曲げ角度を15°に設定した上で、縦(縦方向)、横(横方向)それぞれの曲げ抗力を測定した後、下記の式にてこわさを算出した。
【0041】
【0042】
<緩衝性>
実施例および比較例で得られた緩衝材用紙を幅38cm、流れ方向(長さ)50mになるよう断裁し、紙緩衝材自動製造機(Nuevopak社製、 X-FILL
TM Aタイプ)に設置後、速度100m/minで繰り出し、長さ90cmの紙緩衝材を得た。
次に、コンクリート製の床の上に長さ22.5cm×幅18cm×高さ10cmの囲いを乗せ、得られた紙緩衝材を22.5cmごとに折り曲げ、囲い内の底面を覆うよう蛇腹状に設置した(
図1)。
続いて、底面を鉛直下方に向けた状態で高さ50cmから、350mLの清涼飲料水のアルミ缶(φ6.6cm、高さ12.2cm、370g、空の缶17g)を上記囲い内の緩衝材の上に繰り返し垂直自由落下させ、缶にへこみや傷などの変形が生じるまでに要した回数をカウントした。
試験は5回ずつ行い、平均回数(小数第一位を四捨五入)により緩衝性を下記の基準で評価した。評価がA~Cであれば、実用上問題はない。
A:平均落下回数が10回以上
B:平均落下回数が7~9回
C:平均落下回数が4~6回
D:平均落下回数が3回以下
【0043】
<折り曲げ加工性>
折り曲げ加工性は、緩衝材製造機の折り曲げ加工工程における走行、繰り出し安定性である。実施例では、実用の製造を模して、ラボ機にて下記の方法によって評価を行った。
実施例および比較例で得られた緩衝材用紙をA4サイズに断裁し、流れ方向の先端部(5cm程度)を幅方向に3cm間隔で交互に折り返し、ハリセン状にしたものを紙緩衝材手動製造機(NUEVOPAK社製、 X-FILL
TM MMタイプ)の折り曲げ加工部に通した。
次に紙緩衝材手動製造機を
図2のようにテンシロン万能材料試験機(A&D社製、RTI1310)の下部に設置した。この時、紙緩衝材手動製造機の吐き出し口はテンシロン万能材料試験機の試験台から45℃の角度で、テンシロン万能材料試験機の上部チャックの下端と吐き出し口の中央の高さが揃い、吐き出し口の横方向の中央と上部チャックの中央が揃うよう設置した。
最後に吐き出し口から突出したハリセン状の緩衝材を上部チャックでつかみ、1000mm/minの速度で引張り上げた。
折り曲げ加工部を通過する際の荷重を測定し、試験回数5回の平均値により、下の基準で折り曲げ加工性を評価した。評価がA~Cであれば、実用上問題はない。なお、加工部通過時の荷重が大きいほど、加工時の抵抗が強いことを表し、実用上、紙詰まりの発生や走行性が不安定になり、処理速度を上げることが難しくなる。
A:最大荷重の平均値が8.0N未満
B:最大荷重の平均値が8.0N以上17.0N未満
C:最大荷重の平均値が17.0N以上22.0N未満
D:最大荷重の平均値が22.0N以上
【0044】
[実施例1]
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)と広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を60:40の質量比率で混ぜ、フリーネス(CSF:カナダ標準ろ水度(Canadian standard freeness))が450mLになるようにダブルディスクリファイナーを使用して叩解し、パルプスラリーを得た。得られたパルプスラリー(固形分換算)100質量部に対して、ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤(荒川化学工業株式会社製、品番:PS379)を0.80質量部(固形分換算)、内添サイズ剤としてロジンサイズ剤(荒川化学工業株式会社製、サイズパインN-811)を0.10質量部(固形分換算)、硫酸バンドを1.0質量部(固形分換算)添加し、紙料を調製した。
この紙料を用いて設定坪量95g/m2として、ツインワイヤー抄紙機を用いて抄紙した。抄紙工程中、紙の比引張強度の縦横比が2.3±0.3になるようにJ/Wを調節し、紙の厚さが150±5μmになるようにプレス圧を調節し、実施例1の緩衝材用紙を得た。
【0045】
[実施例2]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を0.90質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0046】
[実施例3]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を1.00質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0047】
[実施例4]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を1.50質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0048】
[実施例5]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を1.80質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0049】
[実施例6]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を1.10質量部(固形分換算)添加し、紙の厚さが170±5μmになるようにプレス圧を調節した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0050】
[実施例7]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を0.85質量部(固形分換算)添加し、紙の厚さが125±5μmになるようにプレス圧を調節した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0051】
[実施例8]
紙の比引張強度の縦横比が5.0±0.3になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例3と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0052】
[実施例9]
紙の比引張強度の縦横比が1.2±0.3になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例3と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0053】
[実施例10]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を1.10質量部(固形分換算)添加し、紙の比引張強度の縦横比が1.2±0.3になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0054】
[実施例11]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を0.90質量部(固形分換算)添加し、紙の比引張強度の縦横比が4.0±0.3になるようにJ/W比を調節した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0055】
[実施例12]
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)と広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を45:55の質量比率で混ぜ、ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を1.20質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0056】
[実施例13]
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)と広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を75:25の質量比率で混ぜ、ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を0.75質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0057】
[実施例14]
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)と広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を75:25の質量比率で混ぜ、ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を0.85質量部(固形分換算)添加し、設定坪量70g/m2とし、紙の厚さが115±5μmになるようにプレス圧を調節した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0058】
[実施例15]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を0.95質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例14と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0059】
[実施例16]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を1.40質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例14と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0060】
[実施例17]
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)と広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を75:25の質量比率で混ぜ、ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を1.10質量部(固形分換算)添加し、設定坪量70g/m2とし、紙の厚さが125±5μmになるようにプレス圧を調節した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0061】
[実施例18]
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)と広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を75:25の質量比率で混ぜ、ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を0.85質量部(固形分換算)添加し、設定坪量70g/m2とし、紙の厚さが95±5μmになるようにプレス圧を調節した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0062】
[実施例19]
設定坪量50g/m2とし、紙の厚さが80±5μmになるようにプレス圧を調節した以外は、実施例3と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0063】
[実施例20]
設定坪量135g/m2とし、紙の厚さが200±5μmになるようにプレス圧を調節した以外は、実施例3と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0064】
[比較例1]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を0.20質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0065】
[比較例2]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を2.50質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0066】
[比較例3]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を0.75質量部(固形分換算)添加し、紙の厚さが110±5μmになるようにプレス圧を調節した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0067】
[比較例4]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を0.15質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例14と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0068】
[比較例5]
ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を2.30質量部(固形分換算)添加した以外は、実施例14と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0069】
[比較例6]
パルプ原料として針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)と広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)を75:25の質量比率で混ぜ、ポリアクリルアミド系内添紙力増強剤を0.75質量部(固形分換算)添加し設定坪量70g/m2とし、紙の厚さが85±5μmになるようにプレス圧を調節した以外は、実施例1と同様の条件で緩衝材用紙を得た。
【0070】
得られた緩衝材用紙について、上述した評価を行った。
結果を以下の表に示す。
【0071】
【0072】
実施例および比較例の結果から、本発明の緩衝材用紙は、緩衝材とした際の緩衝性に優れるとともに、折り曲げ加工性に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の緩衝材用紙は、緩衝材とした際の緩衝性に優れるとともに、折り曲げ加工性に優れており、緩衝材に好適に使用される。
【要約】
【課題】緩衝性に優れる紙緩衝材が得られるとともに、折り曲げ加工性に優れる緩衝材用紙を提供すること、さらに、前記緩衝材用紙から得られる紙緩衝材を提供すること。
【解決手段】密度が0.80g/cm3以下であり、JIS P 8113:2006に準拠して測定される縦方向の比引張強度と横方向の比引張強度との相乗平均値が33.0Nm/g以上75.0Nm/g以下である、緩衝材用紙。
【選択図】なし