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特許7525024感光樹脂組成物、レジストパターンの形成方法、およびメッキ造形物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】感光樹脂組成物、レジストパターンの形成方法、およびメッキ造形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20240723BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240723BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G03F7/039 601
H01L21/92 604S
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023142473
(22)【出願日】2023-09-01
(62)【分割の表示】P 2020538198の分割
【原出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2023169213
(43)【公開日】2023-11-29
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2018157770
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榊原 宏和
(72)【発明者】
【氏名】西口 直希
(72)【発明者】
【氏名】谷口 拓弘
(72)【発明者】
【氏名】松本 朋之
【審査官】塚田 剛士
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-148740(JP,A)
【文献】特開2012-181511(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061944(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0219921(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0054136(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/039
H01L 21/60
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(a1)に示す構造単位(a1)、下記式(a2)に示す構造単位(a2)、および下記式(a3)に示す構造単位(a3)を有する重合体(A);ならびに
光酸発生剤(B);を
含有することを特徴とするメッキ造形物製造用感光性樹脂組成物。
【化1】
(式(a1)および(a2)中、R12およびR22はそれぞれ独立に炭素数1~10の有機基を示し;R21は、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基を示し;R13およびR23はそれぞれ独立に下記式(1)で表される酸解離性基を示し;lおよびmはそれぞれ独立に0~10の整数を示し;式(a3)中、R31は、水素原子、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、もしくはハロゲン原子を示し;R32は、炭素数1~10の有機基を示し、R33はヒドロキシアリール基を示し;nは0を示す。)
【化2】
式(1)中、R14~R16は、それぞれ独立に置換または非置換のアルキル基、または置換または非置換の脂環式炭化水素基、若しくはR14~R16は、結合する炭素原子とともに形成する脂環構造を示し;*は結合手を示す。
【請求項2】
前記重合体(A)中に含まれる前記構造単位(a3)の含有割合が、前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、5~70モル%である、請求項1に記載のメッキ造形物製造用感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記重合体(A)中に含まれる前記構造単位(a1)および前記構造単位(a2)の合計の含有割合が、前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、5~60モル%である、請求項1または2に記載のメッキ造形物製造用感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記重合体(A)中に含まれる、構造単位(a1)、構造単位(a2)および構造単位(a3)の合計の含有割合は、前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、50~100モル%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のメッキ造形物製造用感光性樹脂組成物。
【請求項5】
感光性樹脂組成物中に含まれる前記光酸発生剤(B)の含有量は、前記重合体(A)100質量部に対して0.1~20質量部である、請求項1~4のいずれか一項に記載のメッキ造形物製造用感光性樹脂組成物。
【請求項6】
さらに有機溶剤(C)を含有し、感光性樹脂組成物中に含まれる前記有機溶剤(C)の含有割合は、固形分濃度が10~60質量%となる量である、請求項1~5のいずれか一項に記載のメッキ造形物製造用感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のメッキ造形物製造用感光性樹脂組成物を基板上に塗布して樹脂塗膜を形成する工程(1);
前記樹脂塗膜を露光する工程(2);
露光後の前記樹脂塗膜を現像する工程(3);
を有することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項8】
請求項7に記載のレジストパターンの形成方法によって形成したレジストパターンをマスクにしてメッキ処理を行う工程(4)を有することを特徴とする、メッキ造形物の製造方法。
【請求項9】
前記メッキ処理が、銅メッキ処理およびニッケルメッキ処理から選ばれる少なくとも1種である、請求項8に記載のメッキ造形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光樹脂組成物、レジストパターンの形成方法、メッキ造形物の製造方法および半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や、表示素子等の接続端子に用いられるはんだ電極は、素子の高集積化に伴い、銅柱はんだバンプが用いられている。
ところで、はんだが無鉛はんだ、つまり、錫はんだの場合、銅-錫による金属間化合物は非常にもろいため、銅柱はんだバンプは、一般的に、銅柱と錫はんだとの間にニッケルを含む拡散バリア層が設けられている。
このような銅柱-ニッケル拡散バリア層-錫はんだ構造を含む銅柱はんだバンプは、通常、素子等を含む基板上に、レジストパターンを形成し、このレジストパターンを鋳型として銅メッキにより銅柱を形成し、次いで、ニッケルメッキにより銅柱上に拡散バリア層を形成し、最後に錫はんだを拡散バリア層上に形成することで製造する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-029636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、銅柱はんだバンプの製造に用いられるレジストは、銅メッキに対しても、ニッケルメッキに対しても、どちらにも適用可能なレジストが求められている。
本開示は上記実情を鑑みてなされたものであり、解像性に優れ、且つ銅メッキ液およびニッケルメッキ液に対してもレジストパターンが膨潤せず、且つ、銅メッキ液処理後、およびニッケルメッキ液処理後にレジストパターンにクラックが生じないレジストパターンを形成することができる感光性樹脂組成物を提供すること、前記感光性樹脂組成物を用いたレジストパターンの形成方法を提供すること、前記レジストパターンの形成方法により形成したレジストパターンを用いて銅柱はんだバンプのようなメッキ造形物を製造する製造方法を提供すること、および前記メッキ造形物の製造方法によって得られるメッキ造形物を有する半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は例えば、以下の〔1〕~〔11〕である。
〔1〕下記式(a1)に示す構造単位(a1)、下記式(a2)に示す構造単位(a2)、および下記式(a3)に示す構造単位(a3)を有する重合体(A);ならびに
光酸発生剤(B);を含有する感光性樹脂組成物。
【0006】
【化1】
【0007】
式(a1)~(a3)中、R12、R22、R32はそれぞれ独立に炭素数1~10の有機基を示し;R21は、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基を示し;R31は、水素原子、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、もしくはハロゲン原子を示し;R13およびR23はそれぞれ独立に酸解離性基を示し;R33はヒドロキシアリール基を示し;l、m、およびnはそれぞれ独立に0~10の整数を示す。
【0008】
〔2〕前記重合体(A)中に含まれる前記構造単位(a3)の含有割合が、前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、5~70モル%である前記〔1〕に記載の感光性樹脂組成物。
〔3〕前記重合体(A)中に含まれる前記構造単位(a1)および前記構造単位(a2)の合計の含有割合が、前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、5~60モル%である前記〔1〕または前記〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
【0009】
〔4〕前記重合体(A)中に含まれる、構造単位(a1)~構造単位(a3)の合計の含有割合は、前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、50~100モル%である、前記〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
【0010】
〔5〕感光性樹脂組成物中に含まれる前記光酸発生剤(B)の含有量は、前記重合体(A)100質量部に対して0.1~20質量部である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
【0011】
〔6〕さらに有機溶剤(C)を含有し、感光性樹脂組成物中に含まれる前記有機溶剤(C)の含有割合は、固形分濃度が10~60質量%となる量である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
【0012】
〔7〕メッキ造形物製造用である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
【0013】
〔8〕前記〔1〕乃至前記〔7〕のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して樹脂塗膜を形成する工程(1);
前記樹脂塗膜を露光する工程(2);
露光後の前記樹脂塗膜を現像する工程(3);
を有する、レジストパターンの形成方法。
〔9〕前記〔8〕に記載のレジストパターンの形成方法によって形成したレジストパターンをマスクにしてメッキ処理を行う工程(4)を有する、メッキ造形物の製造方法。
【0014】
〔10〕前記メッキ処理が、銅メッキ処理およびニッケルメッキ処理から選ばれる少なくとも1種である、前記〔9〕に記載のメッキ造形物の製造方法。
【0015】
〔11〕前記〔9〕または前記〔10〕に記載のメッキ造形物の製造方法によって得られるメッキ造形物を有する半導体装置。
【発明の効果】
【0016】
本開示の感光性樹脂組成物は、解像性に優れ、且つ銅メッキ液に対しても、およびニッケルメッキ液に対しても、レジストパターンが膨潤せず、且つ、銅メッキ液処理後およびニッケルメッキ液処理後にレジストパターンにクラックが生じないレジストパターンを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の、感光樹脂組成物(以下、「本組成物」ともいう)、レジストパターンの形成方法、およびメッキ造形物の製造方法について詳細に説明する。
本明細書中で例示する各成分、例えば本組成物中の各成分や、重合体(A)中の各構造
単位は、特に言及しない限り、それぞれ1種単独で含有してもよく、2種以上を含有することができる。
【0018】
1.感光樹脂組成物
本組成物は、式(a1)に示す構造単位(a1)、式(a2)に示す構造単位(a2)、および式(a3)に示す構造単位(a3)を有する重合体(A);ならびに光酸発生剤(B);を含有する。
【0019】
また、本組成物の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、有機溶剤(C)、クエンチャー(D)、および界面活性剤(E)、ならびにその他成分を含有することができる。
【0020】
〔重合体(A)〕
重合体(A)は、酸解離性基を有するアクリル系モノマー由来の構造単位(a1)、酸解離性基を有するメタクリル系モノマー由来の構造単位(a2)、ならびに前記構造単位(a3)を有する。
【0021】
重合体(A)は、構造単位(a1)~(a3)以外に、構造単位(a3)以外のアルカリ性の現像液への溶解性を促進する基(以下、「溶解性促進基」ともいう)を有する構造単位(以下、「構造単位(a4)」ともいう)、およびその他構造単位(以下、「構造単位(a5)」ともいう)を有することができる。
【0022】
構造単位(a1)~構造単位(a3)は同一または異なる重合体中に含有することができるが、同一の重合体中に構造単位(a1)~構造単位(a3)を含有することが好ましい。重合体(A)は1種単独又は2種以上を含有することができる。
【0023】
重合体(A)は、構造単位(a1)および構造単位(a2)に酸解離性基を有する。酸解離性基は、光酸発生剤(B)から生じる酸の作用により解離する。その結果、カルボキシ基が生成し、重合体(A)のアルカリ性現像液に対する溶解性が変化し、本組成物は、レジストパターンを形成することができる。
【0024】
一般的に、厚膜のレジストパターンを形成するための感光性樹脂組成物の解像性を向上させるためには、重合体(A)のような感光性樹脂組成物中に含まれる酸解離性基を有する重合体の酸解離性基を解離後のアルカリ現像液に対する溶解速度を上げることで可能となる。
【0025】
また、メッキ液に対するレジストパターンの膨潤耐性やメッキ処理後のレジストパターンのクラック耐性は、酸解離性基を有する重合体のガラス転移温度を上げることにより、メッキの成長に伴うレジストパターンへのメッキからの押し込みに対して耐えることができるため、向上することができると考えられる。
【0026】
ところで、酸解離性基を有する重合体において、メタクリル構造のように、α位にメチル基のようなアルキル基が存在すると、その構造単位の側鎖の回転を阻害するため、酸解離性基を有する重合体のガラス転移温度を上げることができるが、アルカリ現像液に対する溶解速度を下げることになる。一方で、酸解離性基を有する重合体において、アクリル構造のように、α位にメチル基のようなアルキル基などの置換基が存在しないと、その構造単位の側鎖の回転を阻害することがないため、酸解離性基を有する重合体のアルカリ現像液に対する溶解速度を上げることができるが、ガラス転移温度を下げることになる。
【0027】
つまり、感光性樹脂組成物の解像性を向上させ、且つ、メッキ液に対するレジストパターンの膨潤耐性やメッキ処理後のレジストパターンのクラック耐性を向上させるためには、酸解離性基を有する重合体のガラス転移温度と、アルカリ現像液に対する溶解速度を両立する必要があると考えられる。
【0028】
本組成物は、酸解離性基およびα位が水素原子であるアクリル系モノマー由来の前記構造単位(a1)、酸解離性基およびα位にR21に示す水素原子以外の基を有するメタクリル系モノマー由来の前記構造単位(a2)、ならびに前記構造単位(a3)を有することで、酸解離性基を有する重合体のガラス転移温度と、アルカリ現像液に対する溶解速度を両立でき、その結果、解像性に優れ、且つ、銅メッキ液およびニッケルメッキ液に対して膨潤せず、銅メッキ液処理後およびニッケルメッキ液処理後のレジストパターンにクラックが生じないレジストパターンを形成することができる感光性樹脂組成物となったと推定される。
【0029】
なお、本明細書における構造単位は、重合体の合成に用いられる単量体由来の構造を示す。例えば、構造単位(a1)となる単量体(a1’)としては、下記式(a1’)に示す重合性不飽和二重結合を有する単量体が挙げられる。
【0030】
【化2】
【0031】
式(a1’)中、R12、R13、およびlは、それぞれ式(a1)中のR12、R13、およびlと同義である。
【0032】
〔構造単位(a1)〕
構造単位(a1)は下記式(a1)に示す酸解離性基およびα位が水素原子であるアクリル系モノマー由来の構造単位である。
【0033】
【化3】
【0034】
式(a1)中、R12は炭素数1~10の有機基を示し、R13は酸解離性基を示し、lは0~10の整数を示す。lは好ましくは0~5、より好ましくは0~3である。
【0035】
12の炭素数1~10の有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、およびデカン-1,10-ジイル基等のアルカンジイル基;ならびに前記アルカンジイル基の1または2以上の水素原子を、フッ素原子および臭素原子等のハロゲン原子、フェニル基等のアリール基、水酸基、およびアル
コキシ基等の別の基に置換した基;が挙げられる。
【0036】
13の酸解離性基としては、ベンジル基、ならびにtert-ブチル基、1-アルキルシクロペンタン-1-イル基、および2-アルキルアダマンタン-2-イル基等の下記式(1)に示す酸解離性基が挙げられる。これらの中でも下記式(1)に示す酸解離性基が好ましい。
【0037】
【化4】
【0038】
式(1)中、R14~R16は、それぞれ独立に置換または非置換のアルキル基、または置換または非置換の脂環式炭化水素基、若しくはR14~R16は、結合する炭素原子とともに形成する脂環構造を示し;*は結合手を示す。
【0039】
前記R14~R16の置換または非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、およびデシル基等の非置換のアルキル基;ならびに前記アルキル基の1または2以上の水素原子を、フッ素原子および臭素原子等のハロゲン原子、フェニル基等のアリール基、水酸基、およびアルコキシ基等の別の基に置換した置換のアルキル基;が挙げられる。
【0040】
前記R14~R16の置換または非置換の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等の単環式飽和環状炭化水素基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基、及びシクロヘキセニル基等の単環式不飽和環状炭化水素基;ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基、及びテトラシクロドデシル基等の多環式飽和環状炭化水素基;が挙げられる。
【0041】
14~R16並びに炭素原子からなる前記脂環構造としては、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチル等の単環式飽和環状炭化水素構造;シクロブテニル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニル等の単環式不飽和環状炭化水素構造;ノルボルニル、アダマンチル、トリシクロデシル、及びテトラシクロドデシル等の多環式飽和環状炭化水素構造;が挙げられる。
【0042】
構造単位(a1)としては、例えば、下記化学式で表される構造単位が挙げられる。
【0043】
【化5】
【0044】
【化6】
【0045】
【化7】
【0046】
【化8】
【0047】
構造単位(a1)は、重合体(A)中に1種または2種以上含むことができる。
重合体(A)中に含まれる構造単位(a1)の含有割合は、前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、下限は、1モル%、好ましくは5モル%、より好ましくは10モル%、上限は40モル%、好ましくは30モル%、より好ましくは20モル%である。また、構造単位(a1)の含有割合は、いずれの上下限の組合せも用いることができる。
【0048】
〔構造単位(a2)〕
構造単位(a2)は下記式(a2)に示す酸解離性基およびα位にR21に示す水素原子以外の基を有するメタクリル系モノマー由来の構造単位である。
【0049】
【化9】
【0050】
式(a2)中、R21は炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基を示し;R22は炭素数1~10の有機基を示し、R23は酸解離性基を示し、mは0~10の整数を示す。mは好ましくは0~5、より好ましくは0~3である。
【0051】
21の炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ペンチル基、およびデシル基等の非置換のアルキル基;ならびに前記アルキル基の1または2以上の水素原子を、フッ素原子および臭素原子等のハロゲン原子、フェニル基等のアリール基、水酸基、およびアルコキシ基等の別の基に置換した置換のアルキル基;が挙げられる。
これらのなかでも非置換のアルキル基が、重合体(A)のガラス転移温度を調節するうえでは好ましい。
【0052】
22の炭素数1~10の有機基としては、前記R12の炭素数1~10の有機基と同じ基が挙げられる。
23の酸解離性基としては、前記R13の酸解離性基と同じ基が挙げられる。
【0053】
構造単位(a2)としては、例えば、下記化学式で表される構造単位が挙げられる。
【0054】
【化10】
【0055】
【化11】
【0056】
【化12】
【0057】
【化13】
【0058】
構造単位(a2)は、重合体(A)中に1種または2種以上含むことができる。
重合体(A)中に含まれる構造単位(a2)の含有割合は、重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、下限は1モル%、好ましくは5モル%、より好ましくは10モル%、上限は40モル%、好ましくは30モル%、より好ましくは20モル%である。また、構造単位(a2)の含有割合は、いずれの上下限の組合せも用いることができる。
【0059】
重合体(A)中に含まれる構造単位(a1)および構造単位(a2)の合計の含有割合は、重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、下限は5モル%、好ましくは10モル%、より好ましくは15モル%、上限は60モル%、好ましくは50モル%、より好ましくは45モル%である。また、構造単位(a1)と構造単位(a2)の合計の含有割合は、いずれの上下限の組合せも用いることができる。
【0060】
メッキ造形物の鋳型に適した厚膜のレジストパターンを形成する際、重合体(A)中に含まれる酸により解離する酸解離性基の含有割合が多すぎると、工程(3)の後にレジストパターンが倒壊する可能性があり、一方、酸解離性基の含有割合が少なすぎると、厚膜のレジストパターンを形成できない可能性がある。
【0061】
〔構造単位(a3)〕
構造単位(a3)は下記式(a3)に示す構造単位であり、溶解性促進基であるヒドロキシアリール基を有する。重合体(A)が構造単位(a3)を有することで、重合体(A)のガラス転移温度を上げ、且つアルカリ現像液に対する溶解速度を上げることができ、その結果、本組成物の厚膜での解像性を向上させ、且つ銅メッキに対しても、ニッケルメッキに対しても、どちらにも対応可能なレジストパターンを形成することができる。
【0062】
【化14】
【0063】
式(a3)中、R31はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、またはハロゲン原子を示し;R32は炭素数1~10の有機基を示し;R33はヒドロキシアリール基を示し;nはそれぞれ独立に0~10の整数を示す。
【0064】
31の炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基としては、R11の炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基に挙げた基が挙げられる。
32の炭素数1~10の有機基としては、R12の炭素数1~10の有機基に挙げた基が挙げられる。nは好ましくは0~4、より好ましくは0である。
【0065】
33のヒドロキシアリール基としては、例えば、2-ヒドロキシフェニル基、3-ヒドロキシフェニル基、4-ヒドロキシフェニル基、3-メチル-4-ヒドロキシフェニル基、トリヒドロキシフェニル基、テトラヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、およびヒドロキシベンゼンカルボニル基等のヒドロキシフェニル基;ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシナフタレンカルボニル基等のヒドロキシナフチル基;ヒドロキシアントラセンカルボニル基等のヒドロキシアントリル基;が挙げられる。
これらの中でもヒドロキシフェニル基が、メッキ処理に対応するためメッキ液耐性に優れたレジストパターンを形成することができる。
【0066】
構造単位(a3)の、好ましい構造としては下記式(a31)に示す構造単位(a31)が挙げられる。
【0067】
【化15】
【0068】
式(a31)中、Rは、構造単位(a3)のR31と同義であり;R34はベンゼン環に結合しており、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基を示し;-OHはベンゼン環に結合しており;oは0~4の整数を示し;pは1~5の整数を示し;o+p=5の関係を満たす。
【0069】
構造単位(a31)に由来する単量体としては、下記式(a31’)に示す単量体(a31’)が挙げられる。
【0070】
【化16】
【0071】
式(a31’)中、R31、R34、o、およびpは、それぞれ構造単位(a3)のR31、式(a31)のR34、o、およびpと同義である。
【0072】
構造単位(a3)は、重合体(A)中に1種または2種以上含むことができる。
重合体(A)中に含まれる、構造単位(a3)の含有割合は、前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、下限は5モル%、好ましく20モル%、より好ましくは30モル%、上限は70モル%、好ましくは65モル%、より好ましくは60モル%である。また、構造単位(a3)の含有割合は、いずれの上下限の組合せも用いることができる。
【0073】
重合体(A)中に含まれる構造単位(a3)の含有割合が上記範囲内であれば、重合体(A)のガラス転移温度を上げ、且つアルカリ現像液に対する溶解速度を上げることができ、その結果、本組成物の厚膜での解像性を向上させ、且つ銅メッキに対しても、ニッケルメッキに対しても、どちらにも対応可能なレジストパターンを形成することができる。
【0074】
重合体(A)中に含まれる、構造単位(a1)~構造単位(a3)の合計の含有割合は、前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、下限は50モル%、好ましくは55モル%、より好ましくは60モル%、上限は100モル%、好ましくは95モル%、より好ましくは90モル%である。構造単位(a1)~構造単位(a3)の合計の含有割合は、いずれの上下限の組合せも用いることができる。
【0075】
重合体(A)中に含まれる、構造単位(a1)~構造単位(a3)の合計の含有割合が上記範囲内であれば、重合体(A)のガラス転移温度を上げ、且つアルカリ現像液に対する溶解速度を上げることができ、その結果、本組成物の厚膜での解像性を向上させ、且つ銅メッキに対しても、ニッケルメッキに対しても、どちらにも対応可能なレジストパターンを形成することができる。
【0076】
〔構造単位(a4)〕
構造単位(a4)は、構造単位(a3)以外の溶解性促進基を有する構造単位であり、重合体(A)に構造単位(a4)を有することで、本組成物から形成する樹脂塗膜の解像性、感度、焦点深度、および露光ラチチュード等のリソ性を調節することができる。
【0077】
構造単位(a4)としては、例えば、カルボキシ基、ヒドロキシアリール基、ヒドロキシ基、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造、およびフッ素アルコール構
造を有する構造単位が挙げられる。これらの中でも本組成物から形成するレジストパターンのメッキ造形物形成時のメッキからの押し込みに対して強いことから、ヒドロキシアリール基を有する構造単位が好ましい。
【0078】
前記カルボキシ基を有する構造単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、2-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、および3-カルボキシプロピル(メタ)アクリレート等の単量体由来の構造単位;
【0079】
前記ヒドロキシアリール基を有する構造単位としては、例えば、2-ヒドロキシスチレン、4-ヒドロキシスチレン、4-イソプロペニルフェノール、4-ヒドロキシ-1-ビニルナフタレン、および4-ヒドロキシ-2-ビニルナフタレン等のビニル系単量体由来の構造単位;
【0080】
前記ヒドロキシ基を有する構造単位としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、および3-(メタ)アクリロイロオキシ-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン等の単量体由来の構造単位、ならびに特開2009-276607号公報の段落番号[0030]に記載の構造単位;
【0081】
前記ラクトン構造を有する構造単位としては、例えば、特開2017-058421号公報の段落番号[0104]~段落番号[0107]に記載の構造単位、国際公開2009/113228号公報の段落番号[0028]に記載の構造単位、特開2010-138330号公報の段落番号[0133]~段落番号[0134]に記載の構造単位、特開2010-275555号公報の段落[0064]、[0093]および[0095]に記載の構造単位、特開2016-098350号公報の段落番号[0019]に記載の単量体由来の構造単位、および特開2015-214634号公報の段落番号[0017]~[0023]に記載の単量体由来の構造単位;
【0082】
前記環状カーボネート構造を有する構造単位としては、特開2017-058421号公報の段落番号[0105]~段落番号[0106]に記載の構造単位、特開2009-223294号公報の段落番号[0034]に記載の単量体由来の構造単位、および特開2017-044875号公報の段落番号[0092]に記載の構造単位に記載の構造単位;
【0083】
前記スルトン構造を有する構造単位としては、特開2017-058421号公報の段落番号[0106]に記載の構造単位、特開2014-029518号公報の段落番号[0024]~段落番号[0028]に記載の構造単位、特開2016-061933号公報の段落[0033]、および[0036]に記載の構造単位、および特開2013-007846号公報の段落番号[0087]に記載の構造単位に記載の構造単位;
【0084】
前記フッ素アルコール構造を有する構造単位としては、特開2004-083900号公報の段落番号[0066]、[0069]および[0071]に記載の単量体由来の構造単位、特開2003-002925号公報の段落番号[0023]に記載の構造単位、特開2004-145048号公報の段落番号[0043]、[0045]、および[0047]に記載の構造単位、および特開2005-133066号公報の段落番号[0034]に記載の単量体由来の構造単位に記載の構造単位;が挙げられる。
なお、上記公知文献に記載の構造単位は本明細書に記載されているものとする。
【0085】
重合体(A)中に含まれる、構造単位(a3)および構造単位(a4)の合計の含有割合は、前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、通
常、10~80モル%である。
【0086】
〔構造単位(a5)〕
構造単位(a5)は前記構造単位(a1)~(a4)以外の構造単位である。
【0087】
構造単位(a5)としては、例えば、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-メトキシスチレン、3-メトキシスチレン、および4-メトキシスチレン等のビニル化合物由来の構造単位;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリル酸エステル化合物;
シクロペンチル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラニル(メタ)アクリレート、およびテトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物由来の構造単位;
フェニル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の芳香族含有(メタ)アクリル酸エステル化合物由来の構造単位;
【0088】
(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル、マレインニトリル、フマロニトリル等の不飽和ニトリル化合物由来の構造単位;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、等の不飽和アミド化合物由来の構造単位;ならびに
マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等の不飽和イミド化合物由来の構造単位;を挙げることができる。
【0089】
重合体(A)中に含まれる、構造単位(a5)の含有割合は、前記重合体(A)を構成する全ての構造単位の合計を100モル%とした場合、通常、40モル%以下である。
【0090】
〔重合体(A)の製造方法〕
重合体(A)は、各構造単位に由来する単量体を、イオン重合法またはラジカル重合法等の公知の重合方法により製造することができる。これらの中でも量産性の点から、ラジカル重合法により製造することが好ましい。
【0091】
前記ラジカル重合法に用いるラジカル重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、ベンゾイルペルオキシド、ラウリルペルオキシド、t-ブチルペルオキシド等の有機過酸化物等が挙げられる。
【0092】
前記ラジカル重合法に用いる重合溶媒は、単量体成分と反応せず、生成する重合体(A)を溶解するものであれば特に限定されない。例えば、酢酸n-ブチル、メチルイソブチルケトン、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、および乳酸エチル等が挙げられる。前記重合溶媒は、単独または2種以上を併用して用いることができる。
【0093】
重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、通常、1,000~500,000、好ましくは3,000~300,000、より好ましくは10,000~100,000、
さらに好ましくは20,000~60,000である。
重合体(A)のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常、1~5、好ましくは1~3である。
【0094】
また、必要に応じて、例えば、メルカプタン化合物、ハロゲン炭化水素等の分子量調節剤を使用することができる。
【0095】
〔光酸発生剤(B)〕
光酸発生剤(B)は、露光により酸を発生する化合物である。この酸の作用により、重合体(A)中の酸解離性基が解離して、カルボキシ基やヒドロキシアリール基等の酸性官能基が生成する。その結果、感光性樹脂組成物から形成された感光性樹脂塗膜の露光部がアルカリ現像液に易溶性となり、ポジ型のレジストパターンを形成することができる。
【0096】
光酸発生剤(B)としては、例えば、特開2004-317907号公報の段落番号[0017]~[0026]、[0028]~[0039]、[0042]~[0046]、[0049]および[0053]に記載の化合物、特開2014-157252号公報の段落番号[0090]~[0106]に記載の化合物、特開2002-268223号公報の段落番号[0117]~[0123]に記載の化合物、および特開2017-102260号公報の段落番号[0038]~[0041]に記載の化合物が挙げられる。これらは本明細書に記載されているものとする。
【0097】
光酸発生剤(B)としては、例えば、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム-p-トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4-t-ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4-t-ブチルフェニル・ジフェニルスルホニウムベンゼンスルホネート、4,7-ジ-n-ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、4,7-ジ-n-ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウム・ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、および4,7-ジ-n-ブトキシナフチルテトラヒドロチオフェニウム・トリス(ノナフルオロブチルスルホニル)メチド等のオニウム塩化合物;
【0098】
1,10-ジブロモ-n-デカン、1,1-ビス(4-クロロフェニル)-2,2,2-トリクロロエタンや、フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-メトキシフェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、スチリル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、およびナフチル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロゲン含有化合物;
【0099】
4-トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、およびビス(フェニルスルホニル)メタン等のスルホン化合物;
【0100】
ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、o-ニトロベンジルトリフルオロメタンスルホネート、およびo-ニトロベンジル-p-トルエンスルホネート等のスルホン酸化合物;
【0101】
N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジ
フェニルマレイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-4-ブチル-ナフチルイミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(4-フルオロフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.1.1]ヘプタン-5,6-オキシ-2,3-ジカルボキシイミド、N-(4-フルオロフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、およびN-(10-カンファ-スルホニルオキシ)ナフチルイミド等のスルホンイミド化合物; ならびに
【0102】
ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル-p-トルエンスルホニルジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル-1,1-ジメチルエチルスルホニルジアゾメタン、およびビス(1,1-ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン化合物;が挙げられる。
【0103】
これらの中でも、前記オニウム塩化合物、または前記スルホンイミド化合物、が解像性およびメッキ液耐性に優れたレジストパターンを形成できることから好ましい。
【0104】
光酸発生剤(B)は、単独で又は2種以上を併用して含有することができる。
本組成物中に含まれる光酸発生剤(B)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、下限が、0.1質量部、好ましくは0.3質量部、より好ましくは0.5質量部、さらに好ましくは1質量部、上限が、20質量部、好ましくは15質量部、より好ましくは10質量部、さらに好ましくは5質量部である。また、光酸発生剤(B)の含有量は、いずれの上下限の組合せも用いることができる。光酸発生剤(B)の含有量が上記範囲内であると、厚膜で解像性に優れたレジストパターンが得られるとともに、優れた形状のパターンが得られる。
【0105】
〔有機溶剤(C)〕
有機溶剤(C)は、本組成物中に含まれる各成分を均一に混合するために用いる成分である。
【0106】
有機溶剤(C)としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸エチル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;酢酸エチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、およびエトキシ酢酸エチル等のエステル類;メチルアミルケトン、およびシクロヘキサノン等のケトン類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-プロピルエーテル、およびジプロピレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル;ならびにエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、およびプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートが挙げられる。
【0107】
有機溶剤(C)は1種単独または2種以上を併用して含有することができる。
本組成物中に含まれる有機溶剤(C)の含有割合は、固形分濃度の下限が、10質量%、好ましくは20質量%、さらに好ましくは25質量%、上限が、60質量%、好ましく
は55質量%、さらに好ましくは50質量%となる量である。また、有機溶剤(C)の含有割合は、いずれの上下限の組合せも用いることができる。前記範囲内であると厚膜のレジストパターンを良好に形成することができる。なお、前記固形分濃度とは、本組成物に含まれる有機溶剤(C)以外の全成分の含有割合をいう。
【0108】
〔クエンチャー(D)〕
クエンチャー(D)は、露光により光酸発生剤(B)から生じる酸のレジスト膜中での拡散を制御するために用いる成分であり、その結果、本組成物の解像性を向上することができる。
【0109】
クエンチャー(D)としては、塩基性化合物または塩基を発生する化合物等が挙げられ、例えば、特開2014-013381号公報の段落番号[0076]、[0079]、および[0081]に記載の化合物、特開2016-099483号公報の段落番号[0101]~[0104]に記載の化合物、および特開2017-037320号公報の段落番号[0221]~[0224]に記載の化合物が挙げられる。これらは本明細書に記載されているものとする。
【0110】
クエンチャー(D)としては、例えば、n-ヘキシルアミン、n-ヘプチルアミン、ジ-n-ブチルアミン、およびトリエチルアミン等のアルキルアミン;アニリン、および1-ナフチルアミン等の芳香族アミン;トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;エチレンジアミン、1,3-ビス[1-(4-アミノフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン、およびポリエチレンイミン等のポリアミノ化合物;ホルムアミド等のアミド化合物;尿素、およびメチルウレア等のウレア化合物;イミダゾール、およびベンズイミダゾール等の含窒素複素環化合物;N-(t-ブトキシカルボニル)ピペリジン、N-(t-ブトキシカルボニル)イミダゾール、N-(t-ブトキシカルボニル)ベンズイミダゾール、N-(t-ブトキシカルボニル)-2-フェニルベンズイミダゾール等の酸解離性基を有する含窒素化合物が挙げられる。
【0111】
クエンチャー(D)は1種単独または2種以上を併用して含有することができる。
本組成物中に含まれるクエンチャー(D)の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、通常、0.001~10質量部である。
【0112】
〔界面活性剤(E)〕
界面活性剤(E)は、本組成物の塗布性、消泡性等を改良する作用を示す。
【0113】
界面活性剤(E)としては、公知の界面活性剤を用いることができる。市販されている界面活性剤としては、例えば、NBX-15、FTX-204D、FTX-208D、FTX-212D(以上、(株)ネオス製)、BM-1100(以上、BMケミー社製)、メガファックF142D(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC-135、同FC-170C、同FC-430、同FC-431(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-112、同S-145(以上、旭硝子(株)製)、SH-28PA、同-190(以上、東レダウコーニングシリコーン(株)製)が挙げられる。
【0114】
界面活性剤(E)は、1種単独で又は2種以上を併用して含有することができる。
本組成物中に含まれる前記界面活性剤の含有量は、重合体(A)100質量部に対して、通常、2質量部以下である。
【0115】
〔その他成分〕
その他成分としては、例えば、露光光を吸収して光酸発生剤の酸発生効率を向上させる増感剤;感光性樹脂組成物から形成した樹脂塗膜のアルカリ現像液への溶解速度を制御す
るフェノールノボラック樹脂やポリ(ヒドロキシスチレン)などのアルカリ可溶性樹脂および低分子フェノール化合物;露光時の散乱光の未露光部への回り込みによる光反応を阻止する紫外線吸収剤;保存安定性を高める熱重合禁止剤;酸化防止剤;接着助剤;および無機フィラー;が挙げられる。
【0116】
〔感光性樹脂組成物の製造〕
本組成物は、各成分を均一に混合することにより製造することができる。また、ゴミを取り除くために、各成分を均一に混合した後、得られた混合物をフィルター等で濾過することができる。
【0117】
2.レジストパターンの形成方法
本開示のレジストパターンの形成方法(以下、「本レジストパターンの形成方法」)は、本組成物を基板上に塗布して樹脂塗膜を形成する工程(1);
前記樹脂塗膜を露光する工程(2);
露光後の樹脂塗膜を現像する工程(3);を有する。
【0118】
〔工程(1)〕
工程(1)は、基板上に、本組成物の樹脂塗膜を形成する工程である。
前記基板としては、例えば、半導体基板、およびガラス基板ならびにこれら基板の表面に各種金属膜などを設けた基板を挙げることができる。基板の形状には特に制限はなく、表面形状は平坦状および凸凹状が挙げられ、基板の形状としては円形および正方形が挙げられる。また、基板の大きさに制限はない。
【0119】
前記金属膜としては、アルミニウム、銅、銀、金、およびパラジウム、ならびにこれらの金属2種以上の合金等が挙げられる。金属層は、スパッタ法等により形成することができる。金属膜の厚さは、通常、100~10,000Å、好ましくは500~2,000Åである。
【0120】
本組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、スクリーン印刷、およびアプリケーター法が挙げられ、これらの中でもスピンコート法が好ましい。スピンコート法の場合、回転速度は通常500~4000rpm、好ましくは800~3500rpmである。
【0121】
本組成物を塗布した後、加熱処理することができる。前記加熱処理の条件は、通常、50~200℃、0.5~20分間である。前記樹脂塗膜の膜厚は、通常、1~100μm、好ましくは5~80μmである。
【0122】
〔工程(2)〕
工程(2)は、工程(1)で形成した前記樹脂塗膜を露光する工程である。
前記露光は、通常、所定のマスクパターンを有するフォトマスクを介して、縮小投影露光で、前記樹脂塗膜に選択的に行う。
【0123】
前記露光の光は、通常、波長150~600nmのレーザー光、好ましくは、200~500nmのレーザー光を用いる。前記露光の光量は、通常、100~20,000mJ/cmである。
【0124】
前記露光後、加熱処理することができる。前記加熱処理の条件は、通常、70~180℃で1~10分間である。
【0125】
〔工程(3)〕
工程(3)は、工程(2)の露光後の樹脂塗膜を現像してレジストパターンを形成する工程である。
前記現像は、通常、アルカリ性現像液にて行う。前記現像の現像方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、浸漬現像法、およびパドル現像法等が挙げられる。前記現像の処理条件は、通常、23℃で1~30分間である。
【0126】
前記アルカリ性現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、およびピペリジン等のアルカリ性物質を1種又は2種以上含有する水溶液を挙げることができる。前記アルカリ性現像液は、例えば、メタノール、エタノール等の有機溶剤や界面活性剤等を含有することができる。
【0127】
前記現像後、レジストパターンを水等により洗浄することができる。その後、エアーガンまたはホットプレートにより乾燥することができる。
【0128】
3.メッキ造形物の製造方法
本開示のメッキ造形物の製造方法(以下、「本メッキ造形物の製造方法」ともいう)は、本レジストパターンの形成方法によって形成するレジストパターンをマスクにしてメッキ造形物を製造する。
【0129】
本メッキ造形物の製造方法は、前記工程(3)で形成されたレジストパターンを鋳型としてメッキ処理を行う工程(4)を有する。
具体的には、前記レジストパターンを鋳型とし、電解メッキ処理によりメッキ造形物(例えば、電極材料)が形成される。この際、パターン表面とメッキ液との親和性を高めるため、前記レジストパターンを、例えば、酸素プラズマによるアッシング処理等の親水化処理することができる。
【0130】
前記電解メッキ処理に使用されるメッキ液としては、例えば、銅、金、銀、またはニッケルを含むものを挙げることができる。前記電解メッキ処理としては、例えば、硫酸銅を用いた銅メッキ処理、又は硫酸ニッケルを用いたニッケルメッキ処理を挙げることができる。
【0131】
前記電解メッキ処理の条件は、前記メッキ液の組成等により異なるが、例えば、前記メッキ液が銅メッキ液の場合、温度が、通常、10~90℃、好ましくは20~70℃であり、電流密度が、通常、0.3~30A/dm、好ましくは0.5~20A/dmである。
【0132】
また、前記メッキ液がニッケルメッキ液の場合、温度が、通常、20~90℃、好ましくは40~70℃であり、電流密度が、通常、0.3~30A/dm、好ましくは0.5~20A/dmである。
前記メッキ処理後、水洗して乾燥したのち、パターンの状態、メッキ造形物の厚さや状態等を観察し、必要に応じて再び電解メッキを行う。
【0133】
本メッキ造形物の製造方法によって製造するメッキ造形物の厚さは、前記メッキ造形物の用途によって適宜選択できる。例えば、前記メッキ造形物の用途がバンプの場合、通常、5~100μm、好ましくは10~80μm、更に好ましくは20~60μmである。また、前記メッキ造形物の用途が配線の場合、通常、1~30μm、好ましくは3~20μm、更に好ましくは5~15μmである。
【0134】
[他の工程]
本メッキ造形物の製造方法は、工程(4)の後に、更に、レジストパターンを除去する工程(5)を備えることができる。
工程(5)は、前記工程(4)において前記基板上に残存するレジストパターンを剥離して除去する工程であって、例えば、20~80℃にて攪拌している剥離液に、工程(4)の後の前記レジストパターンを有する基板を、例えば1~10分間浸漬する方法が挙げられる。
【0135】
前記剥離液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルスルホキシド、および/またはN,N-ジメチルホルムアミドを含有する溶液が挙げられる。
【0136】
本メッキ造形物の製造方法は、前記メッキ造形物を形成した領域以外を、例えば、ウェットエッチング法等により除去する工程を含有することができる。
【0137】
4.半導体装置
本開示の半導体装置は、本メッキ造形物の製造方法によって得られるメッキ造形物を備える。本半導体装置は、メッキ処理用の鋳型として有用である本レジストパターンを用い、メッキ成分を堆積させるメッキ処理を行い、レジストパターンを写しとったメッキ造形物を備えるものであるため、信頼性が高められる。本半導体装置として、具体的には、多層LSI(半導体集積回路 http://www.jmq.jsr.co.jp/products.html参照)を挙げることができる。
【実施例
【0138】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。以下の実施例等の記載において、「部」は「質量部」の意味で用いる。
【0139】
<物性の測定方法>
(重合体の重量平均分子量(Mw)の測定方法)
下記条件下でゲルパーミエーションクロマトグラフィー法にてアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)を測定した。
・カラム:東ソー社製カラムのTSK-MおよびTSK2500を直列に接続
・溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:0.35mL/分
・温度:40℃
・検出方法:屈折率法
・標準物質:ポリスチレン
・GPC装置:東ソー製、装置名「HLC-8220-GPC」
【0140】
<重合体の製造>
[合成例]
2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)をラジカル重合開始剤として用いたラジカル重合により、表1に示す構造単位および含有割合を有する重合体(A1)~(A6)および(RA1)~(RA3)を製造した。表1中に示す構造単位の詳細を下記式(a1-1)~(a1-2)、(a2-1)~(a2-3)、(a3-1)、(a4-1)および(a5-1)に示す。なお、表1中の数値の単位はモル%である。
【0141】
【化17】
【0142】
【化18】
【0143】
【表1】
【0144】
<感光性樹脂組成物の製造>
[実施例1A~9A、比較例1A~3A]感光性樹脂組成物の製造
下記表2に示す成分の種類および量を含有する感光樹脂組成物を、各成分を均一に混合することにより製造した。表2に示す重合体以外の成分の詳細は以下のとおりである。なお、表2中の数値の単位は質量部である。
B1:下記式(B1)に示す構造を有する化合物
【0145】
【化19】
D1:下記式(D1)に示す構造を有する化合物
【0146】
【化20】
【0147】
E1:商品名「NBX-15」(ネオス(株)製)
C1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C2:メチルアミルケトン
C3:γ-ブチロラクトン
C4:ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0148】
【表2】
【0149】
<レジストパターンの形成>
[実施例1B~9B、比較例1B~3B]レジストパターンの形成
銅スパッタ膜を備えてなるシリコンウエハ基板の銅スパッタ膜上にスピンコーターを用いて、実施例1A~9A、比較例1A~3Aの感光性樹脂組成物を塗布し、ホットプレートにて120℃で60秒間加熱し、膜厚5μmの塗膜を形成した。塗膜を、ステッパー(ニコン社製、型式「NSR-i10D」)を用い、パターンマスクを介して、露光した。露光後の塗膜を、90℃で60秒間加熱し、次いで、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に80秒間浸漬して現像したのち、流水洗浄し、窒素ブローして、基板上に実施例1B~9B、比較例1B~3Bのレジストパターン(深さ5μmのホールパターン)を形成した。このレジストパターンを形成した基板を、「パターニング基板」という。このパターニング基板を用いて、下記に示す方法にて、「解像性」、「メッキ液耐性」を評価した。
【0150】
「解像性」
前記パターニング基板を走査型電子顕微鏡にて観察し、以下の基準にて解像性を評価した。評価結果を下記表3に示す。
A:縦0.7μm×横0.7μmのホールパターンを解像することができる。
B:縦0.7μm×横0.7μmのホールパターンは解像できないが、縦1μm×横1μmのホールパターンは解像できる。
C:縦1μm×横1μmのホールパターンが解像できない。
【0151】
「メッキ液耐性(膨潤耐性)」
前記パターニング基板を銅メッキ液(製品名「CU8502」、Dow Chemical社製)300mL中に23℃で10分間浸漬し、浸漬前後のレジストパターン形状を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡にて観察し、以下の基準にてメッキ液耐性(膨潤耐性)を評価した。
【0152】
同様に、ニッケルメッキ液(製品名「Ni200」、EEJA社製)300mL中に55℃で10分間浸漬し、浸漬前後のレジストパターン形状を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡にて観察し、メッキ液耐性を評価した。評価結果を表3に示す。
A:浸漬前後のホールパターンのサイズの縮小率が1%以下である。
B:浸漬前後のホールパターンのサイズの縮小率が1%より大きく、10%以下である。
C:浸漬前後のホールパターンのサイズの縮小率が10%より大きい。
【0153】
【表3】
【0154】
<メッキ造形物の製造>
[実施例1C~9C、比較例1C~3C]
実施例1B~9B、比較例1B~3Bのパターニング基板を、酸素プラズマによるアッシング処理(出力100W、酸素流量100mL/分、処理時間60秒)を行った。アッシング処理後のパターニング基板を銅メッキ液(製品名「CU8502」、Dow Chemical社製)300mL中に浸漬し、メッキ浴温度23℃、電流密度2A/dmに設定して、9分電界メッキを行い、メッキ造形物(金属パターン)を製造した。メッキ造形物を製造した後のレジストパターンを光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡にて観察し、以下の基準にて「メッキ液耐性(クラック耐性)」を評価した。
【0155】
同様に、アッシング処理後のパターニング基板をニッケルメッキ液(製品名「Ni200」、EEJA社製)300mL中に浸漬し、メッキ浴温度55℃、電流密度3A/dmに設定して、6.5分電界メッキを行い、メッキ造形物(金属パターン)を製造し、同様にレジストパターンのメッキ液耐性(クラック耐性)を評価した。評価結果を表4に示す。
A:レジストパターンにクラックがない。
B:レジストパターンにクラックが1個/μm以上、1,000個未満/μmある。
C:レジストパターンにクラックが1,000個以上/μmある。
【0156】
【表4】