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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】インクジェットインクおよび錠剤印刷物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/328 20140101AFI20240723BHJP
   C09D 11/38 20140101ALI20240723BHJP
   A61K 9/44 20060101ALI20240723BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C09D11/328
C09D11/38
A61K9/44
A61K47/26
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023203257
(22)【出願日】2023-11-30
【審査請求日】2023-11-30
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 泰久
(72)【発明者】
【氏名】星野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】小関 晟弥
(72)【発明者】
【氏名】橋本 理沙
(72)【発明者】
【氏名】谷岡 拓実
(72)【発明者】
【氏名】三瓶 美紗
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-100336(JP,A)
【文献】特開2012-111824(JP,A)
【文献】国際公開第2022/050128(WO,A1)
【文献】特許第7347700(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用染料として青色1号を含み、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含み、溶媒として水およびエタノールを含み、
前記トレハロースの配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して2.5質量%以上15.0質量%以下の範囲内であり、
前記還元イソマルツロースの配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して5.0質量%以上10.0質量%以下の範囲内であることを特徴とするインクジェットインク。
【請求項2】
前記青色1号の配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して1.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする請求項に記載のインクジェットインク。
【請求項3】
請求項1に記載のインクジェットインクで印刷した印刷部を備えた錠剤印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットインクおよび錠剤印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷用インク(以下、単に「インクジェットインク」とも称する。)には、例えばタール系色素等の食用染料を色材とすることにより可食性を有するものがある。
従来、インクジェットインクには、色材の劣化により、印刷した文字や画像等において色材の色味(色調)が変化する変色や、色材の彩度低下等による褪色が発生するものがある。例えばインクジェットインクにおいて耐光性が不足している場合、光の作用により色材が分解(光分解)されることによって変褪色(光変褪色)が生じ得る。このような変褪色は、印刷した文字や画像等(以下、「印刷画像」と総称する)における視認性の低下として認識される。
【0003】
こうした印刷画像の変褪色を抑制するために技術の開発が進められており、変褪色抑制のための種々の方法が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、従来の方法では印刷画像の光変褪色が十分に抑制されず、インクジェットインクの耐光性を向上することができなかった。
例えば、食用染料のうち青1号については、還元イソマルツロースをインクジェットインク内に含めることでインクジェットインクの耐光性が改善する場合がある。
還元イソマルツロースは、二糖類に分類される物質であるが、同じ二糖類の中で比較すると還元イソマルツロースは水に対する溶解性が相対的に低い。
そのため、インクジェットインクにおける還元イソマルツロースの添加可能な割合(含有率の上限)を十分に高めることが困難となる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6389506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、インクジェットインクの耐光性の更なる改善には、より溶解性の高い耐光抑制剤をインクジェットインクに添加する必要があることを見出した。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性が向上されたインクジェットインクおよび当該インクジェットインクで印刷した印刷部を備える錠剤印刷物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るインクジェットインクは、食用染料として青1号を含み、固着剤としてトレハロースのみを含み、溶媒として水およびエタノールを含み、前記トレハロースの配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して7.5質量%以上20.0質量%以下の範囲内であることを特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るインクジェットインクは、食用染料として青1号を含み、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含み、溶媒として水およびエタノールを含み、前記トレハロースの配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して2.5質量%以上15.0質量%以下の範囲内であり、前記還元イソマルツロースの配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して10.0質量%以下であることを特徴とする。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る錠剤印刷物は、上記インクジェットインクを用いて印刷した印刷部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、インクジェットインクの耐光性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態におけるインクジェットインクの浸透性および耐光性について説明する概念図である。
図2】本発明の実施形態に係る錠剤(素錠)の一例を示す概略断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る錠剤(フィルムコーティング錠)の一例を示す概略断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る錠剤(素錠)の印刷画像の一例である。
図5】本発明の実施形態に係る錠剤(フィルムコーティング錠)の印刷画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という)に係るインクジェットインクは、例えば、医療用錠剤の表面にインクジェット印刷法で施される印刷画像等の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を改善することができるインクジェットインクに関するものである。以下、本発明の実施形態に係るインクジェットインクおよびそのインクジェットインクで印刷した印刷部を備える錠剤の構成について、詳細に説明する。
【0011】
〔インクジェットインクの構成〕
本実施形態に係るインクジェットインクは、可食性を有するインクジェットインクであって食用染料(食用色素)として、食用青色1号(以下、単に「青色1号」と記載する)を含んでいる。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、被印刷物(例えば固体製剤)の表面にインクを固着させるための固着剤として、水に対する溶解度が比較的高い糖類を含んでいる。具体的には、本実施形態では、固着剤として20℃の水100mlに対する溶解度が69gであるトレハロース(二糖類)が用いられる。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、トレハロースをインクジェットインク全体の質量に対して7.5質量%以上20.0質量%以下の範囲内で含んでいる。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、溶媒として、水とエタノールとを含んでいる。
【0012】
また、本実施形態では、固着剤として、トレハロースと、20℃の水100mlに対する溶解度が38gである還元イソマルツロース(二糖類)とが用いられる。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、トレハロースをインクジェットインク全体の質量に対して2.5質量%以上15.0質量%以下の範囲内で含んでいる。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、還元イソマルツロースをインクジェットインク全体の質量に対して10.0質量%以下の範囲内で含んでいる。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、溶媒として、水とエタノールとを含んでいる。
このような構成によれば、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、インクジェットインクの耐光性を向上することができる。
以下、この点について、図1を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、被印刷物(固体製剤)の表面におけるインクの固着と耐光性との関係を説明するための概念図である。ここで固体製剤として、例えば空隙が少ないフィルムコート部を備えた錠剤、即ちフィルムコート錠を用いるとする。なお、本発明はこれに限られず、素錠やカプセル錠を被印刷物としてもよい。
【0014】
図1(a)から図1(c)は、それぞれ組成の異なるインクジェットインクA~Cを錠剤(ここでは、フィルムコート錠)に印字し、一定時間経過させた状態における錠剤の厚さ方向の断面模式図である。本例において、インクジェットインクAは、色材として特定染料4を用い、溶媒として水を用いたインクである。ここで、特定染料4には青色1号が含まれていればよい。また、インクジェットインクBは、インクジェットインクAに所定の糖類を添加したインクである。ここで、インクジェットインクBに添加した糖類は、水への溶解度が相対的に低く本実施形態における固着剤に該当しない糖類(例えば、還元イソマルツロース)である。また、インクジェットインクCは、インクジェットインクAに水への溶解度が相対的に高く本実施形態における固着剤に該当する二糖類(即ち、トレハロース)を添加し、さらに溶媒として、水にエタノールを添加したインクである。
【0015】
具体的には、図1(a)は、色材として特定染料4を含有し、溶媒として水を含有するインクジェットインクAを錠剤の基材1の表面1Sに印字し、一定時間(例えば140時間)経過させた状態における錠剤の厚さ方向の断面模式図である。また、図1(b)は、インクジェットインクBを、錠剤の基材1の表面1Sに印字し、一定時間(例えば140時間)経過させた状態における錠剤の厚さ方向の断面模式図である。また、図1(c)は、インクジェットインクCを、錠剤の基材1の表面1Sに印字し、一定時間(例えば140時間)経過させた状態における錠剤の厚さ方向の断面模式図である。
【0016】
まず、インクジェットインクにおける糖類の添加の有無と、染料の浸透性についてインクジェットインクA,Bを例にとって説明する。
インクジェットインクに用いられる種々の色材のうち例えば食用染料として用いるタール系色素では、固体製剤などの表面に印刷した文字や画像等において変褪色が発生し得る。例えばタール系色素のうち青色1号では、時間経過に伴う固体製剤への浸透や、光分解によって印刷画像の変褪色が発生していた。これに対し、インクジェットインクに糖類を添加することで、染料が固体製剤に浸透することを抑制し、印刷画像の変褪色を抑制する方法が知られている。
【0017】
図1(a)に示すように、糖類を含まないインクジェットインクAを印字した場合、印字から一定時間が経過すると特定染料4が錠剤の基材1の内部に浸透する。ここで、当該一定時間経過後のインクジェットインクAにおける特定染料4の浸透の深さを浸透深さX(μm)とする。これに対し、図1(b)に示すように、糖類を含むインクジェットインクBを印字した場合、印字から一定時間経過後において、インクジェットインクBの浸透深さY(μm)は、インクジェットインクAの浸透深さXよりも小さくなる(X>Y)。
【0018】
インクジェットインクBでは、所定の糖類の添加によってインクの粘度の上昇等が生じ、特定染料4の錠剤の基材1の内部への浸透が抑制される。このため、インクジェットインクBを印字した場合、印字から一定時間経過後においても、錠剤の基材1内において特定染料4が表面1Sの近傍に残留することとなる。つまり、所定の糖類を含むインクジェットインクは、糖類が添加されない場合と比べて、染料(例えば青色1号)の浸透による印刷画像の変褪色を抑制することができる。一方で、所定の糖類を添加したインクジェットインクBでは、光照射による印刷画像の変褪色(光変褪色)を十分に抑制できていない。
【0019】
これに対し、本実施形態に係るインクジェットインクは、添加する糖類および溶媒の種類や物性を選択することにより、インクを被印刷物の表面に固着させて、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を向上するものである。本発明者らは、印刷画像の光変褪色を抑制するには、被印刷物(例えば錠剤)の表面上にインクを固着させることが有効であることを見出した。本例では、錠剤の表面1S上にインクが固着することにより、特定染料4)が表面1S上に固着され、結果として、表面1S上に高濃度で特定染料4を残存させることができる。
【0020】
錠剤の基材1の表面1S上において特定染料4の濃度が高い場合、例えば表面1S上の特定染料4のうち光分解による光変褪色が生じる色材の割合が低減される。つまり、特定染料4の一部に光変褪色が生じても影響は限定的となり、印刷画像の視認性(可読性)の低下が抑制される。これにより、印刷画像全体としての視認性が維持され、結果として印刷画像の光変褪色を十分に抑制することができる。したがって、インクジェットインクの耐光性を向上することができる。そして本発明者らは、糖類の中でも二糖類が、色材として青色1号を含むインクを被印刷物の表面に固着する固着剤として機能することを発見した。さらに、本発明者らは、固着剤として用いる上記二糖類に関し、溶媒に対する溶解度が相対的に高い物質を用いることで、インクジェットインク中における当該二糖類の添加量を増加させることが可能となり、インクの固着効果が確実に発揮されることを発見した。
【0021】
具体的には、本実施形態に係るインクジェットインクは、色材であり食用染料として青色1号を含み、固着剤としてトレハロースのみを含み、溶媒として、水とエタノールとを含んでいる。また、トレハロースの配合割合は、インクジェットインク全体の質量に対して7.5質量%以上20.0質量%以下の範囲内である。
また、本実施形態に係るインクジェットインクは、色材であり食用染料として青色1号を含み、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含み、溶媒として、水とエタノールとを含んでいる。また、トレハロースの配合割合は、インクジェットインク全体の質量に対して2.5質量%以上15.0質量%以下の範囲内であり、還元イソマルツロースの配合割合は、インクジェットインク全体の質量に対して10.0質量%以下である。
このような構成によれば、被印刷物の表面に色材として用いる特定のタール系色素(本例では、青色1号)を含むインクを固着させ、当該表面に上記特定のタール系色素を高濃度で残存させることができる。これにより、本実施形態に係るインクジェットインクは、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を向上することができる。
【0022】
図1(c)に示すように、本実施形態に係るインクジェットインクに相当するインクジェットインクCを錠剤の基材1の表面1Sに印字すると、インク中の特定染料4(ここでは、青色1号)が表面1Sに固着される。具体的には、インクジェットインクCを印字した場合、印字から一定時間経過後の特定染料4の浸透深さZ(μm)は、所定の糖類を含むインクジェットインクBにおける特定染料4の浸透深さYよりもさらに低減されている(Y>Z)。例えば、インクジェットインクCでの特定染料4の浸透深さZは、インクジェットインクBでの特定染料4の浸透深さYの50%程度まで低減される。つまり、インクジェットインクCは、特定染料4の浸透をさらに抑制することができる。このため、当該表面1S上には特定染料4が高濃度で残存し、上述のように印刷画像の視認性の低下が抑制される。これにより、印刷画像の光変褪色が十分に抑制され、インクジェットインクCは、耐光性を向上することができる。
【0023】
一方、インクジェットインクBは、錠剤の基材1内部において表面1Sの近傍に特定染料4を残存させることはできるものの、特定染料4の浸透の抑制が十分でなく、表面1S上にインクを固着することはできない。つまり、インクジェットインクBでは、表面1S上に残存する特定染料4の濃度が低いため、印刷画像の光変褪色を十分に抑制できず、耐光性が向上(改善)されていない。
【0024】
このように、本実施形態に係るインクジェットインクは、固着剤として上記二糖類(トレハロースのみ、あるいはトレハロースおよび還元イソマルツロースの混合物)を添加し、さらに溶媒を上記成分構成(水とエタノールとの混合溶媒)とすることで、特定のタール系色素(青色1号)の被印刷物内部への浸透を大幅に抑制してインクを被印刷物の表面に固着させる。これにより、本実施形態に係るインクジェットインクは、印刷画像の光変褪色を抑制して耐光性を向上することができ、さらに、被印刷物内部への上記特定のタール系色素の浸透による印刷画像の変褪色をも抑制することができる。
【0025】
また、図1(c)に示すように、錠剤の基材1の表面1S上には、インクジェットインクCが若干盛り上がるようにして固着され得る。これにより、例えばインクジェットインクCを印字した場合、表面1S上において印字が濃く浮き出ているように認識される。このため、例えばインクジェットインクA,Bに比べて、インクジェットインクCでは、印刷画像の印刷時における視認性を向上することができる。つまり、本実施形態に係るインクジェットインクでは、印刷画像の光変褪色による視認性の低下を低減することに加え、印刷時点において印刷画像に良好な視認性を付与することができる。
【0026】
以下、本実施形態に係るインクジェットインクにおける耐光性の詳細について説明する。
本実施形態に係るインクジェットインクは、耐光試験前後でJIS Z 8781における色差△Eが25以下であればよい。ここで、耐光試験とは、例えば、本実施形態に係るインクジェットインクを用いて印刷された印刷画像について、可視光の照射前後における色度および光学色濃度の変化量を示す色差ΔE(JIS Z 8781に準拠するもの)を比較する試験である。具体的には、当該印刷画像に累積120万ルクスの可視光を照射する前後で色差ΔEを測定し、その値を比較する。可視光の照射には、例えば光安定性試験装置(ナガノサイエンス LT―120A―WD)を用いる。また、耐光試験における印刷画像は、例えば印刷対象物である錠剤(例えばフィルムコーティング錠)にベタ印刷されたものである。
【0027】
医療用錠剤等への印刷画像の形成上必要十分な耐光性とは、常湿下(試験機設置室内60%RH)で120万ルクスの可視光を照射する耐光試験において、可視光の照射前後の印刷画像の色差ΔEが25以下を指す場合が多い。色差ΔEが25以下であることを十分な耐光性の判定基準とすることは、発明者らが各医療関係者も交えて実施したオピニオンテストの結果、導き出したものであり、色差ΔEが25を超えると印刷画像の視認性(例えば、印字の可読性)が低下していると認識されはじめる。つまり、可視光照射前後の色差ΔEが25以下であれば、光変褪色が十分に抑制され、耐光性に優れたインクジェットインクであるといえる。なお、一般的な商業印刷物での色差ΔEの目安である3~6よりは大きめな数字であるが、通常、曝光前後の錠剤を比較するようなことは無く、錠剤表面の印刷画像は自然と褪色することを想定しているため、この数字を得ることが出来た。
【0028】
本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、20℃の水100mlに対する溶解度が比較的大きい二糖類(例えば、20℃の水100mlに対する溶解度が69gであるトレハロース)を固着剤とし、且つ上記成分構成の溶媒を用いる理由は、20℃の水100mlに対する溶解度が比較的小さい糖類(例えば、20℃の水100mlに対する溶解度が38gである還元イソマルツロース)のみを添加した場合や、溶媒を上記成分構成としない場合は、錠剤表面における特定のタール系色素、すなわち青色1号が被印刷物表面に十分に固着されず、ベタ印刷画像について上記耐光試験を行うと色差ΔEが25を超えるためである。水に対する溶解度が比較的大きい二糖類を固着剤として添加し、且つ上記成分構成を満たす溶媒を用いて溶媒に対する上記二糖類の溶解度を上昇させることで、耐光試験前後で色差ΔEは25を下回るようになり、インクジェットインクに優れた耐光性が付与される。
【0029】
以下、本実施形態に係るインクジェットインクを構成する各成分について、説明する。(色材)
上記のように、本実施形態によるインクジェットインクは、食用染料として少なくとも青色1号を含んでいる。青色1号は、食用タール系色素であって、ブリリアントブルーFCFとも称される。
本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、固着剤としてトレハロースのみを含む場合には、上記特定のタール系色素(青色1号)を含む食用染料の配合割合、すなわち当該食用染料の合計含有量は、インク全体の質量に対して1.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であることが好ましい。
【0030】
また、本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含む場合には、上記特定のタール系色素(青色1号)を含む食用染料の配合割合、すなわち当該食用染料の合計含有量は、インク全体の質量に対して1.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であることが好ましい。
このような構成であれば、印刷画像に良好な視認性を付与するとともに、高い間欠再開性を付与することができる。また、食用染料の合計含有量が上記範囲内であれば、上記固着剤の添加により確実に印刷物の表面に上記特定のタール系色素を高濃度で残存させて、印刷画像における光変褪色を抑制し、本実施形態に係るインクジェットインクの耐光性を向上することができる。
【0031】
これに対し、固着剤としてトレハロースのみを含むインクジェットインクでは、上記食用染料の合計含有量が1.0質量%未満であると、印刷色全体が薄くなり印刷画像の視認性が低下する傾向がある。また、含有量が15.0質量%を超えると、色材の溶解安定性の悪化によりインク中の色素が固体として析出したり、沈殿したりすることで、印刷時におけるインクジェットヘッドのノズル詰まりの原因となり、所謂、印刷再開性(間欠再開性)が低下し得る。
また、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含むインクジェットインクでは、上記食用染料の合計含有量が1.0質量%未満であると、印刷色全体が薄くなり印刷画像の視認性が低下する傾向がある。また、含有量が15.0質量%を超えると、色材の溶解安定性の悪化によりインク中の色素が固体として析出したり、沈殿したりすることで、印刷時におけるインクジェットヘッドのノズル詰まりの原因となり、所謂、印刷再開性(間欠再開性)が低下し得る。
【0032】
なお、本実施形態によるインクジェットインクには、上記特定のタール系色素、すなわち青色1号以外の色素(色材)が含まれてもよい。青色1号以外の色素は可食性のものであれば特に制限はない。本実施形態によるインクジェットインクに添加可能な色素は、例えば、従来公知の合成食用色素、天然食用色素から適宜選択して添加することができる。また、本実施形態に係るインクジェットインクに食用染料として上記特定のタール系色素以外の色材を含む場合も、食用染料の合計含有量は、固着剤としてトレハロースのみを含む場合には1.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であるとよく、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含む場合には1.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であるとよい。これにより、インクジェットインクの耐光性を向上しつつ、印刷画像に良好な視認性を付与することができ、且つインクジェットインクに十分な間欠再開性を付与することができる。
【0033】
合成食用色素としては、例えば、タール系色素、天然色素誘導体、天然系合成色素等が挙げられる。タール系色素としては、例えば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色2号、食用赤色2号アルミニウムレーキ、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用赤色40号アルミニウムレーキ、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用5号アルミニウムレーキ、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキ等が挙げられる。天然色素誘導体としては、例えば、ノルビキシンカリウム等が挙げられる。天然系合成色素としては、例えば、β-カロテン、リボフラビン等が挙げられる。
【0034】
また、天然食用色素としては、例えば、アントシアニン系色素、カロチノイド系色素、キノン系色素、クロロフィル系色素、フラボノイド系色素、ベタイン系色素、モナスカス色素、その他の天然物を起源とする色素が挙げられる。アントシアニン系色素としては、例えば、赤ダイコン色素、赤キャベツ色素、赤米色素、エルダーベリー色素、カウベリー色素、グーズベリー色素、クランベリー色素、サーモンベリー色素、シソ色素、スィムブルーベリー色素、ストロベリー色素、ダークスィートチェリー色素、チェリー色素、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、ブドウ果汁色素、ブドウ果皮色素、ブラックカーラント色素、ブラックベリー色素、ブルーベリー色素、プラム色素、ホワートルベリー色素、ボイセンベリー色素、マルベリー色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ムラサキヤマイモ色素、ラズベリー色素、レッドカーラント色素、ローガンベリー色素、その他のアントシアニン系色素が挙げられる。カロチノイド系色素としては、例えば、アナトー色素、クチナシ黄色素、その他のカロチノイド系色素が挙げられる。キノン系色素としては、例えば、コチニール色素、シコン色素、ラック色素、その他のキノン系色素が挙げられる。フラボノイド系色素としては、例えば、ベニバナ黄色素、コウリャン色素、タマネギ色素、その他のフラボノイド系色素が挙げられる。ベタイン系色素としては、例えば、ビートレッド色素が挙げられる。モナスカス色素としては、例えば、ベニコウジ色素、ベニコウジ黄色素が挙げられる。その他の天然物を起源とする色素としては、例えば、ウコン色素、クサギ色素、クチナシ赤色素、スピルリナ青色素などが挙げられる。
【0035】
(固着剤)
本実施形態に係るインクジェットインクは、上述のとおり、被印刷物の表面に特定のタール系色素(青色1号)を含むインクを固着させるための固着剤を含んでいる。具体的には、本実施形態に係るインクジェットインクに含まれる固着剤は、トレハロースである。トレハロースは、20℃の水100mlに対する溶解度が69gである二糖類である。トレハロースは、20℃の水100mlに対する溶解度が他の二糖類に比べて高いため、水を含む溶媒に対してトレハロースの添加量を多くすることができる。そのため、上記構成のインクジェットインクであれば、常湿下でも高い耐光性(ΔE≦25)を実現することができる。
【0036】
また、本実施形態に係るインクジェットインクでは、固着剤としてトレハロースと還元イソマルツロースを併用してもよい。還元イソマルツロースは、20℃の水100mlに対する溶解度が38gである二糖類である。また、トレハロースと還元イソマルツロースは、それぞれ溶解しやすい溶媒の種類が異なる。つまり、本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、溶媒として用いる水およびエタノールに対する溶解度がそれぞれ異なる。そのため、本実施形態では、固着剤としてトレハロースと還元イソマルツロースを併用することで、固着剤としてトレハロースのみを用いた場合に比べて、水およびエタノールを含む溶媒に対する最大溶解量(総溶解量)を多くすることができる。その結果、当該構成であれば、常湿下においても高い耐光性(ΔE≦25)を実現することができる。
【0037】
固着剤が当該構成であれば、上記成分構成(水およびエタノール)の溶媒とともにインクジェットインクに添加することで、上記特定のタール系色素を含むインクを被印刷物の表面に固着させることができる。これにより、本実施形態によるインクジェットインクは、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を向上することができる。また、本実施形態において固着剤として用いられる上記二糖類(トレハロースのみ、あるいはトレハロースおよび還元イソマルツロースの混合物)は、インクジェットインクの光照射による分解(光分解)を抑制する機能も有する。このため、光変褪色の発生自体を抑制することもできる。
【0038】
本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、固着剤としてトレハロースのみを含む場合のトレハロースの配合割合は、インク全体の質量に対して7.5質量%以上20.0質量%以下の範囲内であることが好ましく、7.5質量%以上18.0質量%以下の範囲内であることがより好ましく、7.5質量%以上16.0質量%以下の範囲内であることがさらに好ましい。
【0039】
また、本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含む場合のトレハロースの配合割合は、インク全体の質量に対して2.5質量%以上15.0質量%以下の範囲内であることが好ましく、5.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であることがより好ましく、7.5質量%以上15.0質量%以下の範囲内であることがより好ましい。また、還元イソマルツロースの配合割合は、インク全体の質量に対して10.0質量%以下であることが好ましく、8.0質量%以上10.0質量%以下の範囲内であることがより好ましい。
このような構成であれば、上記二糖類によるインクの固着効果がより確実に発揮され、インクジェットインクの耐光性を確実に向上することができる。また、本実施形態に係るインクジェットインクに高い間欠再開性を付与することができる。
【0040】
これに対し、固着剤としてトレハロースのみを含む場合には、固着剤の配合割合が7.5質量%未満であると、インクの固着効果が低減し耐光性を得にくい場合がある。また、固着剤(トレハロース)の配合割合が20質量%を超えると、インク粘度の上昇や、固着剤の溶解安定性の悪化によりインク中の固着剤が固体として析出したり、沈殿したりすることで、印刷時におけるインクジェットヘッドのノズル詰まりの原因となり、吐出安定性が低下する場合がある。
【0041】
また、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含む場合には、トレハロースの配合割合が2.5質量%未満であると、インクの固着効果が低減し耐光性を得にくい場合がある。また、トレハロースの配合割合が15.0質量%を超えると、インク粘度の上昇や、固着剤の溶解安定性の悪化によりインク中の固着剤が固体として析出したり、沈殿したりすることで、印刷時におけるインクジェットヘッドのノズル詰まりの原因となり、吐出安定性が低下する場合がある。
また、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含む場合には、還元イソマルツロースの配合割合が10.0質量%を超えると、インク粘度の上昇や、固着剤の溶解安定性の悪化によりインク中の固着剤が固体として析出したり、沈殿したりすることで、印刷時におけるインクジェットヘッドのノズル詰まりの原因となり、吐出安定性が低下する場合がある。
【0042】
なお、本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含む場合には、トレハロースと還元イソマルツロースの配合割合を、合計で7.5質量%以上含んでいればよい。
このような構成であれば、本実施形態に係るインクジェットインクの固着効果がより確実に発揮され、インクジェットインクの耐光性を確実に向上することができる。
また、トレハロースの配合割合は、還元イソマルツロースの配合割合よりも大きくてもよい。
このような構成であれば、上記二糖類によるインクの固着効果がより確実に発揮され、インクジェットインクの耐光性を確実に向上することができる。
【0043】
また、本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含む場合には、還元イソマルツロースの配合割合は、トレハロースの配合割合よりも大きくてもよい。
このような構成であれば、上記二糖類によるインクの固着効果がより確実に発揮され、インクジェットインクの耐光性を確実に向上することができる。
【0044】
(溶媒)
本実施形態に係るインクジェットインクは、上記特定のタール系色素(青色1号)および上記固着剤に加え、当該特定のタール系色素および当該固着剤を溶解(分散)させるために溶媒(分散媒)を含有している。本実施形態に係るインクジェットインクには、溶媒として、水(例えば精製水)と、エタノールとが含まれていればよい。
【0045】
糖類は、一般にアルコール類に溶解しづらい性質を有する。このため、本実施形態において、溶媒にエタノールが含まれることにより、固着剤として用いられる上記二糖類の溶媒に対する溶解度が適度に低下する。したがって、本実施形態において固着剤としての上記二糖類(トレハロースのみ、あるいはトレハロースおよび還元イソマルツロースの混合物)とともに上記アルコール類(エタノール)を含む溶媒をインクジェットインクに添加することで、インクの固着効果が確実に発揮され、インクに含まれる上記特定のタール系色素(本例では、青色1号)を被印刷物(例えば錠剤)の表面により高濃度で残存させることができる。これにより、本実施形態によるインクジェットインクは、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性を向上することができる。
【0046】
また、本実施形態に係るインクジェットインクは、溶媒として、プロピレングリコール(PG)をさらに含んでいてもよい。プロピレングリコールは、湿潤剤として機能し、インクジェットノズルでのインクの乾燥を防止して、インクに十分な間欠再開性を付与することができる。また、エタノールは揮発性が高いことから、インクジェットインクの耐転写性(乾燥性)を向上することができる。
また、本実施形態に係るインクジェットインクにおいて上記溶媒の各成分の配合割合は限定するものではないが、エタノールの配合割合、即ちエタノールの添加量は、インク全体の質量に対して、11.5質量%以上40質量%以下の範囲内であることが好ましい。このような構成であれば、溶媒に対する固着剤の溶解度が確実に低下し、上記特定のタール系色素を含むインクの固着効果がさらに向上する。このため、インクジェットインクにより優れた耐光性を付与することができる。
【0047】
一方、エタノールの添加量が11.5質量%未満であると、錠剤表面における印字表面の乾燥の遅れが増して、印刷した錠剤同士が接触したときに未乾燥のインクがもう一方の錠剤に付着して汚れとなるといった不具合(転写不良)の原因となることがある。一方、エタノールの添加量が40質量%を超えると、インクジェットノズルでのインクの乾燥が生じて印刷時におけるインクジェットヘッドのノズル詰まりの原因となり、間欠再開性が低下し得る。
【0048】
また、本実施形態に係るインクジェットインクにおいて、溶媒にプロピレングリコールが含まれる場合、当該プロピレングリコールの配合割合、即ちプロピレングリコールの添加量は、インク全体の質量に対して、0質量%以上40質量%以下の範囲内であることが好ましい。このような構成であれば、溶媒に対する固着剤の溶解度が確実に低下し、上記特定のタール系色素を含むインクの固着効果がさらに向上する。このため、インクジェットインクにより優れた耐光性を付与することができる。また、プロピレングリコールの添加量は、10質量%以上であるとより好ましい。これにより、溶媒に対する固着剤の溶解度がさらに確実に低下し、上記特定のタール系色素を含むインクの固着効果がさらに向上するため、インクジェットインクにさらに優れた耐光性を付与することができる。
プロピレングリコールの添加量が28質量%を超えると、錠剤表面における印字表面の乾燥の遅れが増して、印刷した錠剤同士が接触したときに未乾燥のインクがもう一方の錠剤に付着して汚れとなるといった不具合(転写不良)の原因となることがある。
【0049】
また、本実施形態に係るインクジェットインクは、溶媒として、グリセリンまたはイソプロピルアルコールのうち少なくとも一方をさらに含んでもよい。具体的には、上記溶媒において、グリセリンまたはイソプロピルアルコールのうちいずれか一方をさらに含んでもよいし、グリセリンおよびイソプロピルアルコールの両方をさらに含んでもよい。グリセリンは、上述のプロピレングリコールと同様に湿潤剤として機能する。また、イソプロピルアルコールは、上述のエタノールと同様に揮発性が高いことから、インクジェットインクの耐転写性(乾燥性)を向上することができる。上記成分に加え、グリセリン、イソプロピルアルコールをさらに溶媒に添加することで、インクジェットインクの耐光性をさらに向上させるとともに、各成分に応じた性能をインクジェットインクに付与することができる。また、溶媒にこれらの成分をさらに含むことにより、溶媒に対する固着剤の溶解度がさらに確実に低下し、上記特定のタール系色素を含むインクの固着効果をさらに向上させることができる。
【0050】
(内添樹脂)
本実施形態に係るインクジェットインクは、上述の色素や溶媒以外に、内添樹脂を含有してもよい。本実施形態に係るインクジェットインクに添加可能な内添樹脂は、可食性を有し、且つ水溶性粉末、ペースト、フレーク状の樹脂様物質であって、印字後の乾燥により錠剤表面に皮膜を形成可能な物質であればよい。上記内添樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール4000/ポリエチレングリコール1540等の高分子量ポリエチレングリコール(PEG)、セラック樹脂、メタクリル酸コポリマー(製品名:オイドラギットS100)、マルトデキストリン、エリスリトール等が挙げられる。
【0051】
(レベリング剤)
本実施形態に係るインクジェットインクは、上述の色素や溶媒、或いは内添樹脂以外に、レベリング剤を含有してもよい。本実施形態に係るインクジェットインクに添加可能なレベリング剤は、可食性を有し、且つ水溶性の界面活性剤であればよい。上記レベリング剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル(例:太陽化学社製ジステアリン酸デカグリセリンQ-182S、同社製モノラウリン酸デカグリセリンQ-12S)、ソルビタン脂肪酸エステル(例:日光ケミカルズ社NIKKOLSL-10)、ショ糖脂肪酸エステル(例:第一工業製薬社製 DKエステルF-110)、ポリソルベート(花王社製 エマゾールS-120シリーズ)等が挙げられる。
【0052】
〔印刷方法〕
本実施形態に係るインクジェットインクは、印刷方法について特に限定されず、市販のインクジェットプリンタ等のインクジェット装置を用いた印刷が可能である。このため、本実施形態に係るインクジェットインクは、応用範囲が広く、非常に有用である。例えば、本実施形態に係るインクジェットインクは、ピエゾ素子(圧電セラミックス)をアクチュエータとする、所謂ドロップオンデマンド方式のインクジェット装置で印刷し得るし、他の方式のインクジェット装置でも印刷し得る。
【0053】
ドロップオンデマンド方式のインクジェット装置としては、例えば、微小発熱素子を瞬間的に高温(200~300℃)にすることで発生する水蒸気圧力でインクジェットインクを吐出するサーマルインクジェット方式を採用した装置や、アクチュエータを静電気振動させることでインクジェットインクを吐出する静電タイプの装置、超音波のキャビテーション現象を利用する超音波方式を採用した装置等が挙げられる。また、本実施形態に係るインクジェットインクが荷電性能を備えていれば、連続噴射式(コンティニュアス方式)を採用した装置を利用することも可能である。
【0054】
〔錠剤〕
本実施形態では、本実施形態に係るインクジェットインクを、上述の印刷方法を用いて、例えば錠剤の表面に印字、印画してもよい。つまり、本実施形態に係る錠剤は、本実施形態に係るインクジェットインク用いて印刷した印刷部、すなわち印刷画像を備えていればよい。本実施形態に係るインクジェットインクであれば、例えば、医療用錠剤の表面にインクジェット印刷法を用いて施された印刷画像(例えば、印刷画像3)の耐光性を向上させることができる。以下、実施形態に係るインクジェットインクで印刷した印刷画像を備える錠剤の構成について説明する。
本実施形態に係る錠剤は、例えば、医療用錠剤である。ここで、「医療用錠剤」とは、例えば、素錠(裸錠)、糖衣錠、腸溶錠、口腔内崩壊錠などのほか、錠剤の最表面に水溶性表面層が形成されているフィルムコーティング錠などを含むものである。
【0055】
図2は、印刷(印字、印画)がなされた医療用錠剤(素錠)の一例を示す概略断面図である。図2には、断面視で、錠剤の基材1の上面に文字などの印刷画像3が印刷された素錠印刷物5が示されている。
図3は、印刷(印字、印画)がなされた医療用錠剤(フィルムコーティング錠)の一例を示す概略断面図である。図3には、断面視で、表面にフィルムコート層7が形成された錠剤の基材1の上面に文字などの印刷画像3が印刷されたフィルムコート錠印刷物9が示されている。
なお、本実施形態では、図4に示すように、素錠印刷画像11としてベタ画像を印刷してもよく、図5に示すように、フィルムコート錠印刷画像13として二次元バーコードを印刷してもよい。
【0056】
医療用錠剤中に含有される活性成分は特に限定されない。例えば、種々の疾患の予防・治療に有効な物質(例えば、睡眠誘発作用、トランキライザー活性、抗菌活性、降圧作用、抗アンギナ活性、鎮痛作用、抗炎症活性、精神安定作用、糖尿病治療活性、利尿作用、抗コリン活性、抗胃酸過多作用、抗てんかん作用、ACE阻害活性、β-レセプターアンタゴニストまたはアゴニスト活性、麻酔作用、食欲抑制作用、抗不整脈作用、抗うつ作用、抗血液凝固活性、抗下痢症作用、抗ヒスタミン活性、抗マラリア作用、抗腫瘍活性、免疫抑制活性、抗パーキンソン病作用、抗精神病作用、抗血小板活性、抗高脂血症作用等を有する物質など)、洗浄作用を有する物質、香料、消臭作用を有する物質等を含むが、それらに限定されない。
【0057】
本実施形態に係る錠剤は、必要に応じて、活性成分とともにその用途上許容される担体を配合することができる。例えば、医療用錠剤であれば、医薬上許容される担体を配合することができる。医薬上許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、増粘剤等が適宜適量配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を用いることもできる。
【0058】
本実施形態では、錠剤として医療用錠剤を例に挙げて説明したが、本発明のこれに限定されるものではない。本実施形態に係るインクジェットインクの印刷対象は特に制限されず、例えば、ヒト以外の動物(ペット、家畜、家禽等)に投与する錠剤、飼料、肥料、洗浄剤、ラムネ菓子などの錠菓やサプリメント等の食品といった各種錠剤の表面に印刷してもよい。また、本実施形態に係るインクジェットインクは、印刷対象のサイズについても特に制限されず、種々のサイズの錠剤について適用可能である。
【0059】
(本実施形態の効果)
(1)本実施形態に係るインクジェットインクは、食用染料として青1号を含み、固着剤としてトレハロースのみを含み、溶媒として水およびエタノールを含み、トレハロースの配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して7.5質量%以上20.0質量%以下の範囲内である。
このような構成であれば、従来技術と比較して、特定の色材を用いた印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、インクジェットインクに優れた耐光性を付与することができる。
【0060】
(2)本実施形態に係るインクジェットインクは、食用染料として青1号を含み、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含み、溶媒として水およびエタノールを含み、トレハロースの配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して2.5質量%以上15.0質量%以下の範囲内であり、還元イソマルツロースの配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して10.0質量%以下である。
このような構成であれば、従来技術と比較して、特定の色材を用いた印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、インクジェットインクに優れた耐光性を付与することができる。
【0061】
(3)また、本実施形態に係るインクジェットインクは、固着剤としてトレハロースのみを含む場合には、青1号の配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して1.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であってもよい。
このような構成であれば、従来技術と比較して、インクジェットインクに優れた耐光性を付与しつつ、インクジェットインクに高い視認性および間欠再開性を付与することができる。
【0062】
(4)また、本実施形態に係るインクジェットインクは、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含む場合には、青1号の配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して1.0質量%以上15.0質量%以下の範囲内であってもよい。
このような構成であれば、従来技術と比較して、インクジェットインクに優れた耐光性を付与しつつ、インクジェットインクに高い視認性および間欠再開性を付与することができる。
【0063】
(5)本実施形態に係る錠剤印刷物は、上述したインクジェットインクで印刷した印刷画像(印刷部の一例)3を備えている。
このような構成であれば、従来技術と比較して、錠剤の表面等に直接印刷した印刷画像3等における光変褪色を十分に抑制し、印刷画像3の耐光性を十分に向上することができる。さらに、錠剤の表面に印刷された印刷画像部分に対しても可食性を付与することができる。
【0064】
[実施例]
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1~63および比較例1~4>
以下、実施例1~63および比較例1~4のインクジェットインクの調製手順を説明する。
【0065】
(インクジェットインクの製造)
まず、印刷用インクを調製した。インクジェットインクは、色素(色材)、溶媒、固着剤(褪色抑制剤)の各成分を含んでいる。調製の順序としては、まず、溶媒に固着剤を添加して透明ベース液を得た。次いで、その透明ベース液に、食用染料を添加した。こうして、本実施例に係るインクを調製した。以下、具体的に各種成分について説明する。
本実施例では、溶媒には精製水(イオン交換水)、プロピレングリコールおよびエタノールを必要に応じてそれぞれ用いた。具体的には、精製水にプロピレングリコールおよびエタノールを添加し、よく撹拌して溶媒(混合溶媒)を得た。また前述の溶媒に固着剤(褪色抑制剤)としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを必要に応じて添加し、1時間程度撹拌して透明ベース液を得た。前述の透明ベース液に、色材として食用染料である青1号、および赤3号、赤102号、黄4号を必要に応じて添加して実施例1~63および比較例1~4のインクジェットインクを得た。
【0066】
<サンプル1(比較例1)>
サンプル1(比較例1)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を49.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)である還元イソマルツロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル1(比較例1)のインクジェットインクを得た。
【0067】
<サンプル2(実施例1)>
サンプル2(実施例1)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を51.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を2.5質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を5.0質量%とした。
こうして、サンプル2(実施例1)のインクジェットインクを得た。
【0068】
<サンプル3(実施例2)>
サンプル3(実施例2)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を50.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を2.5質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を6.0質量%とした。
こうして、サンプル3(実施例2)のインクジェットインクを得た。
【0069】
<サンプル4(実施例3)>
サンプル4(実施例3)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を48.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を2.5質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を8.0質量%とした。
こうして、サンプル4(実施例3)のインクジェットインクを得た。
【0070】
<サンプル5(実施例4)>
サンプル5(実施例4)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を46.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を2.5質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル5(実施例4)のインクジェットインクを得た。
【0071】
<サンプル6(実施例5)>
サンプル6(実施例5)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を44.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を5.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル6(実施例5)のインクジェットインクを得た。
【0072】
<サンプル7(実施例6)>
サンプル7(実施例6)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を41.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を7.5質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル7(実施例6)のインクジェットインクを得た。
【0073】
<サンプル8(実施例7)>
サンプル8(実施例7)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を39.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル8(実施例7)のインクジェットインクを得た。
【0074】
<サンプル9(実施例8)>
サンプル9(実施例8)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を36.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を13.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル9(実施例8)のインクジェットインクを得た。
【0075】
<サンプル10(実施例9)>
サンプル10(実施例9)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、赤3号の配合割合を0.5質量%とし、赤102号の配合割合を0.5質量%とし、黄4号の配合割合を0.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を34.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を13.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル10(実施例9)のインクジェットインクを得た。
【0076】
<サンプル11(実施例10)>
サンプル11(実施例10)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を35.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を14.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル11(実施例10)のインクジェットインクを得た。
【0077】
<サンプル12(実施例11)>
サンプル12(実施例11)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を34.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を15.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル12(実施例11)のインクジェットインクを得た。
【0078】
<サンプル13(比較例2)>
サンプル13(比較例2)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を32.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を17.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル13(比較例2)のインクジェットインクを得た。
【0079】
<サンプル14(比較例3)>
サンプル14(比較例3)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を52.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を5.0質量%とした。
こうして、サンプル14(比較例3)のインクジェットインクを得た。
【0080】
<サンプル15(実施例12)>
サンプル15(実施例12)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を5.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を48.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を7.5質量%とした。
こうして、サンプル15(実施例12)のインクジェットインクを得た。
【0081】
<サンプル16(実施例13)>
サンプル16(実施例13)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を5.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を45.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル16(実施例13)のインクジェットインクを得た。
【0082】
<サンプル17(実施例14)>
サンプル17(実施例14)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を45.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を12.0質量%とした。
こうして、サンプル17(実施例14)のインクジェットインクを得た。
【0083】
<サンプル18(実施例15)>
サンプル18(実施例15)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を42.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を15.0質量%とした。
こうして、サンプル18(実施例15)のインクジェットインクを得た。
【0084】
<サンプル19(実施例16)>
サンプル19(実施例16)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を43.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル19(実施例16)のインクジェットインクを得た。
【0085】
<サンプル20(実施例17)>
サンプル20(実施例17)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を41.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を18.0質量%とした。
こうして、サンプル20(実施例17)のインクジェットインクを得た。
【0086】
<サンプル21(実施例18)>
サンプル21(実施例18)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、赤3号の配合割合を0.5質量%とし、赤102号の配合割合を0.5質量%とし、黄4号の配合割合を0.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を39.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を18.0質量%とした。
こうして、サンプル21(実施例18)のインクジェットインクを得た。
【0087】
<サンプル22(実施例19)>
サンプル22(実施例19)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を39.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を20.0質量%とした。
こうして、サンプル22(実施例19)のインクジェットインクを得た。
【0088】
<サンプル23(比較例4)>
サンプル23(比較例4)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を37.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を22.0質量%とした。
こうして、サンプル23(比較例4)のインクジェットインクを得た。
【0089】
<サンプル24(実施例20)>
サンプル24(実施例20)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を0.7質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を35.8質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を15.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を9.0質量%とした。
こうして、サンプル24(実施例20)のインクジェットインクを得た。
【0090】
<サンプル25(実施例21)>
サンプル25(実施例21)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を35.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を15.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を9.0質量%とした。
こうして、サンプル25(実施例21)のインクジェットインクを得た。
【0091】
<サンプル26(実施例22)>
サンプル26(実施例22)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.2質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を35.3質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を15.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を9.0質量%とした。
こうして、サンプル26(実施例22)のインクジェットインクを得た。
【0092】
<サンプル27(実施例23)>
サンプル27(実施例23)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を40.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を9.0質量%とした。
こうして、サンプル27(実施例23)のインクジェットインクを得た。
【0093】
<サンプル28(実施例24)>
サンプル28(実施例24)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を2.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を39.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を9.0質量%とした。
こうして、サンプル28(実施例24)のインクジェットインクを得た。
【0094】
<サンプル29(実施例25)>
サンプル29(実施例25)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を2.0質量%とし、赤3号の配合割合を0.5質量%とし、赤102号の配合割合を0.5質量%とし、黄4号の配合割合を0.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を38.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を9.0質量%とした。
こうして、サンプル29(実施例25)のインクジェットインクを得た。
【0095】
<サンプル30(実施例26)>
サンプル30(実施例26)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を38.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を9.0質量%とした。
こうして、サンプル30(実施例26)のインクジェットインクを得た。
【0096】
<サンプル31(実施例27)>
サンプル31(実施例27)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を4.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を42.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を5.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を9.0質量%とした。
こうして、サンプル31(実施例27)のインクジェットインクを得た。
【0097】
<サンプル32(実施例28)>
サンプル32(実施例28)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を5.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を41.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を5.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を9.0質量%とした。
こうして、サンプル32(実施例28)のインクジェットインクを得た。
【0098】
<サンプル33(実施例29)>
サンプル33(実施例29)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を10.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を43.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を2.5質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を5.0質量%とした。
こうして、サンプル33(実施例29)のインクジェットインクを得た。
【0099】
<サンプル34(実施例30)>
サンプル34(実施例30)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を15.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を38.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を2.5質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を5.0質量%とした。
こうして、サンプル34(実施例30)のインクジェットインクを得た。
【0100】
<サンプル35(実施例31)>
サンプル35(実施例31)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を17.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を36.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を2.5質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を5.0質量%とした。
こうして、サンプル35(実施例31)のインクジェットインクを得た。
【0101】
<サンプル36(実施例32)>
サンプル36(実施例32)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を0.7質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を39.8質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を20.0質量%とした。
こうして、サンプル36(実施例32)のインクジェットインクを得た。
【0102】
<サンプル37(実施例33)>
サンプル37(実施例33)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を39.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を20.0質量%とした。
こうして、サンプル37(実施例33)のインクジェットインクを得た。
【0103】
<サンプル38(実施例34)>
サンプル38(実施例34)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.2質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を39.3質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を20.0質量%とした。
こうして、サンプル38(実施例34)のインクジェットインクを得た。
【0104】
<サンプル39(実施例35)>
サンプル39(実施例35)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を1.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を39.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を20.0質量%とした。
こうして、サンプル39(実施例35)のインクジェットインクを得た。
【0105】
<サンプル40(実施例36)>
サンプル40(実施例36)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を2.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を38.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を20.0質量%とした。
こうして、サンプル40(実施例36)のインクジェットインクを得た。
【0106】
<サンプル41(実施例37)>
サンプル41(実施例37)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を41.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル41(実施例37)のインクジェットインクを得た。
【0107】
<サンプル42(実施例38)>
サンプル42(実施例38)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を4.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を40.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル42(実施例38)のインクジェットインクを得た。
【0108】
<サンプル43(実施例39)>
サンプル43(実施例39)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を4.5質量%とし、赤3号の配合割合を0.5質量%とし、赤102号の配合割合を0.5質量%とし、黄4号の配合割合を0.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を39.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を15.0質量%とした。
こうして、サンプル43(実施例39)のインクジェットインクを得た。
【0109】
<サンプル44(実施例40)>
サンプル44(実施例40)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を5.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を40.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を15.0質量%とした。
こうして、サンプル44(実施例40)のインクジェットインクを得た。
【0110】
<サンプル45(実施例41)>
サンプル45(実施例41)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を10.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を40.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とした。
こうして、サンプル45(実施例41)のインクジェットインクを得た。
【0111】
<サンプル46(実施例42)>
サンプル46(実施例42)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を15.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を37.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を8.0質量%とした。
こうして、サンプル46(実施例42)のインクジェットインクを得た。
【0112】
<サンプル47(実施例43)>
サンプル47(実施例43)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を17.0質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を35.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を8.0質量%とした。
こうして、サンプル47(実施例43)のインクジェットインクを得た。
【0113】
<サンプル48(実施例44)>
サンプル48(実施例44)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を59.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を6.0質量%とした。
こうして、サンプル48(実施例44)のインクジェットインクを得た。
【0114】
<サンプル49(実施例45)>
サンプル49(実施例45)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を50.5質量%とし、エタノールの配合割合を20.0質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を6.0質量%とした。
こうして、サンプル49(実施例45)のインクジェットインクを得た。
【0115】
<サンプル50(実施例46)>
サンプル50(実施例46)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、赤3号の配合割合を0.5質量%とし、赤102号の配合割合を0.5質量%とし、黄4号の配合割合を0.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を49.0質量%とし、エタノールの配合割合を20.0質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を6.0質量%とした。
こうして、サンプル50(実施例46)のインクジェットインクを得た。
【0116】
<サンプル51(実施例47)>
サンプル51(実施例47)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を40.5質量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を6.0質量%とした。
こうして、サンプル51(実施例47)のインクジェットインクを得た。
【0117】
<サンプル52(実施例48)>
サンプル52(実施例48)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を30.5質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を6.0質量%とした。
こうして、サンプル52(実施例48)のインクジェットインクを得た。
【0118】
<サンプル53(実施例49)>
サンプル53(実施例49)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を69.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を6.0質量%とした。
こうして、サンプル53(実施例49)のインクジェットインクを得た。
【0119】
<サンプル54(実施例50)>
サンプル54(実施例50)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、赤3号の配合割合を0.5質量%とし、赤102号の配合割合を0.5質量%とし、黄4号の配合割合を0.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を67.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を6.0質量%とした。
こうして、サンプル54(実施例50)のインクジェットインクを得た。
【0120】
<サンプル55(実施例51)>
サンプル55(実施例51)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を59.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を6.0質量%とした。
こうして、サンプル55(実施例51)のインクジェットインクを得た。
【0121】
<サンプル56(実施例52)>
サンプル56(実施例52)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を49.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を20.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を6.0質量%とした。
こうして、サンプル56(実施例52)のインクジェットインクを得た。
【0122】
<サンプル57(実施例53)>
サンプル57(実施例53)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を41.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を10.0質量%とし、還元イソマルツロースの配合割合を6.0質量%とした。
こうして、サンプル57(実施例53)のインクジェットインクを得た。
【0123】
<サンプル58(実施例54)>
サンプル58(実施例54)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を59.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル58(実施例54)のインクジェットインクを得た。
【0124】
<サンプル59(実施例55)>
サンプル59(実施例55)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を50.5質量%とし、エタノールの配合割合を20.0質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル59(実施例55)のインクジェットインクを得た。
【0125】
<サンプル60(実施例56)>
サンプル60(実施例56)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、赤3号の配合割合を0.5質量%とし、赤102号の配合割合を0.5質量%とし、黄4号の配合割合を0.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を49.0質量%とし、エタノールの配合割合を20.0質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル60(実施例56)のインクジェットインクを得た。
【0126】
<サンプル61(実施例57)>
サンプル61(実施例57)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を40.5質量%とし、エタノールの配合割合を30.0質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル61(実施例57)のインクジェットインクを得た。
【0127】
<サンプル62(実施例58)>
サンプル62(実施例58)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を30.5質量%とし、エタノールの配合割合を40.0質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル62(実施例58)のインクジェットインクを得た。
【0128】
<サンプル63(実施例59)>
サンプル63(実施例59)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を69.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル63(実施例59)のインクジェットインクを得た。
【0129】
<サンプル64(実施例60)>
サンプル64(実施例60)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、赤3号の配合割合を0.5質量%とし、赤102号の配合割合を0.5質量%とし、黄4号の配合割合を0.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を67.5質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル64(実施例60)のインクジェットインクを得た。
【0130】
<サンプル65(実施例61)>
サンプル65(実施例61)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を59.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を10.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル65(実施例61)のインクジェットインクを得た。
【0131】
<サンプル66(実施例62)>
サンプル66(実施例62)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を49.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を20.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル66(実施例62)のインクジェットインクを得た。
【0132】
<サンプル67(実施例63)>
サンプル67(実施例63)のインクジェットインク全体に対して、色材である青1号の配合割合を3.5質量%とし、溶媒のうち精製水の配合割合を41.0質量%とし、エタノールの配合割合を11.5質量%とし、プロピレングリコール(PG)の配合割合を28.0質量%とし、さらに固着剤(褪色抑制剤)であるトレハロースの配合割合を16.0質量%とした。
こうして、サンプル67(実施例63)のインクジェットインクを得た。
【0133】
前述の実施例1~63および比較例1~4の各インクを、それぞれメンブレンフィルターを通過させることによって液中の固体異物を除去した。具体的には、口径5.0μmのメンブレンフィルター(酢酸セルロース膜)を1回透過させ、続いて口径0.8μmのメンブレンフィルター(酢酸セルロース膜)を1回透過させることで精製インクをそれぞれ得た。
【0134】
<評価>
上記各実施例および各比較例のインクによる上記精製インクについて、以下の方法で耐光性(ΔE、可読性)、印刷性を評価した。評価結果を上記各実施例および各比較例のインク組成と併せて後述の表1~6に示す。
【0135】
(耐光試験)
印刷解像度が主走査方向600dpi、副走査方向(錠剤等記録媒体の搬送方向)600dpi、トータルノズル数2,656の圧電セラミック駆動のドロップオンデマンド型インクジェットヘッドを用い、上記実施例1~63および比較例1~4の精製インクを1ドロップ6plの印刷ドロップ量にて画像を、下記錠剤にそれぞれ印刷した。
印刷対象の錠剤は、テスト用フィルムコーティング錠(基剤:調整澱粉、コーティング剤:ヒドロキシプロピルメチルセルロース70%・酸化チタン30%の混合、直径:6.5mm)とした。また、印刷画像は、円形のベタ画像(直径4.0mm)とした。これによりフィルムコーティング錠印刷物を得た。
なお、耐光試験は、試験機の周囲湿度を60%RH(25℃)に設定した環境下で行った。
【0136】
色度および光学色濃度を測定した各実施例および各比較例の上記フィルムコーティング錠印刷物に対して、光安定性試験装置(ナガノサイエンス LT―120A―WD)を用いて累積120万ルクスの可視光を照射した。可視光を照射したフィルムコーティング錠印刷物に対し分光光度計にて色度および光学色濃度を測定し、可視光の照射前後における色度および光学色濃度の変化量を示す色差ΔE(JIS Z 8781に準拠するもの)を比較した。比較した結果を表1~6に示した。上述のように、可視光の照射前後の色味の変化について、上述のように、発明者らは、JIS Z 8781における色差ΔEが25以下(ΔE≦25)であれば、光変褪色が十分に抑制され、優れた耐光性を持つことを導き出した。また、色差ΔEが25以下(ΔE≦25)であれば、優れた可読性も持つことを導き出した。そこで、ΔE≦25であれば、インクジェットインクが優れた耐光性および可読性を有しているとして、本評価においては合格とした。
なお、可読性の評価基準は以下の通りである。
◎:ΔE≦15
〇:ΔE≦20
△:ΔE≦25
×:ΔE>25
【0137】
(印刷性:初期吐出)
インクジェットヘッドには、印刷解像度が主走査方向600dpi、副走査方向(錠剤等の記録媒体の搬送方向)600dpi、トータルノズル数2,656の圧電セラミック駆動のドロップオンデマンド型インクジェットヘッドを用いた。上記インクジェットヘッドを用いて、ノズルメンテナンス実施直後に、テストパターンを印刷した。そして、テストパターンの印刷状況から、不吐出領域発生に伴う印字画像の可読性を確認した。評価基準は以下の通りである。
〇:不吐出なし
△:可読性あり
×:可読性なし
なお、初期吐出性の評価が「〇」、「△」であれば、使用上問題がないため、合格とした。
【0138】
各実施例および各比較例のインクジェットインクの組成および評価結果を表1~6に示す。なお、表1~6中で「空欄」の部分は、当該物質を使用していないことを示す。また、表1~6中の単位は、全て「質量%」である。
【0139】
【表1】
【0140】
【表2】
【0141】
【表3】
【0142】
【表4】
【0143】
【表5】
【0144】
【表6】
【0145】
表1~6に示すように、実施例1~63のフィルムコーティング錠印刷物においては、耐光試験の結果として、可視光の照射前後の色差△Eはいずれも25以下(ΔE≦25)となった。具体的には、実施例1~63のフィルムコーティング錠印刷物において、可視光の照射前後の色差△Eは2.2~24.6の範囲内であり、いずれも25未満となった。つまり、実施例1~63のインクジェットインクは、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、優れた耐光性が付与されていることが分かった。これに対し、表1~6に示すように比較例1~4のフィルムコーティング錠印刷物においては、耐光試験の結果として、可視光の照射前後の色差△Eはいずれも25を超える値(ΔE>25)、あるいは測定不可となった。つまり、比較例1~4のインクジェットインクは、印刷画像の光変褪色が十分に抑制できず、耐光性が不足していることが分かった
【0146】
上記耐光試験の結果から、食用染料として青1号を含み、固着剤としてトレハロースのみを含み、溶媒として水およびエタノールを含み、トレハロースの配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して7.5質量%以上20.0質量%以下の範囲内であるインクジェットインクであれば、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、優れた耐光性が付与されることがわかった。
また、上記耐光試験の結果から、食用染料として青1号を含み、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含み、溶媒として水およびエタノールを含み、トレハロースの配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して2.5質量%以上15.0質量%以下の範囲内であり、還元イソマルツロースの配合割合が、インクジェットインク全体の質量に対して10.0質量%以下であるインクジェットインクであれば、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、優れた耐光性が付与されることがわかった。
【0147】
さらに、表1~6に示すように、実施例1~63のインクジェットインクでは、印刷性(初期吐出)の評価結果が何れも「△」以上であり、優れた耐光性とともに十分な印刷性(初期吐出)を有することが分かった。
【0148】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
【符号の説明】
【0149】
1 錠剤の基材
1S 表面
3 印刷画像
4 特定染料
5 素錠印刷物
7 フィルムコート層
9 フィルムコート錠印刷物
11 素錠印刷画像(ベタ画像)
13 フィルムコート錠印刷画像(二次元バーコード)
【要約】
【課題】本発明は、印刷画像の光変褪色を十分に抑制し、耐光性に優れたインクジェットインクおよび当該インクジェットインクで印刷した印刷部を備える錠剤印刷物を提供することを目的とする。
【解決手段】本実施形態に係るインクジェットインクは、食用染料として青1号を含み、溶媒として水およびエタノールを含み、固着剤としてトレハロースのみを含む場合には、トレハロースの配合割合がインクジェットインク全体の質量に対して7.5質量%以上20.0質量%以下の範囲内であり、固着剤としてトレハロースおよび還元イソマルツロースを含む場合には、トレハロースの配合割合がインクジェットインク全体の質量に対して2.5質量%以上15.0質量%以下の範囲内であり、還元イソマルツロースの配合割合がインクジェットインク全体の質量に対して10.0質量%以下である。
【選択図】なし
図1
図2
図3
図4
図5