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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】生体情報測定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/251 20210101AFI20240723BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20240723BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20240723BHJP
   A61B 5/28 20210101ALI20240723BHJP
【FI】
A61B5/251
A61B5/02 D
A61B5/022 300A
A61B5/28
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023523918
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2021020459
(87)【国際公開番号】W WO2022249459
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】久保 大
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴史
(72)【発明者】
【氏名】原田 雅規
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-502940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0031662(US,A1)
【文献】特開2019-048009(JP,A)
【文献】特開2020-028421(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0094497(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02
A61B 5/022
A61B 5/24 -5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の手首に装着して用いられる生体情報測定装置であって、
少なくとも電源部を備える本体と、
第一電極と、第二電極と、前記第一電極と前記第二電極とが前記人体に接触した際の電位差に基づいて前記人体の心電波形を測定する心電波形測定手段と、
前記手首に装着した状態において前記手首に存在する動脈を圧迫する力を付与する第一カフと、
前記手首に装着した状態において前記第一カフよりも前記手首に近い側に位置し、前記動脈の脈動に起因する圧力変化を検知するための第二カフと、
前記第一カフと前記第二カフの間に配置され、前記手首に装着した状態において前記第一カフにより前記動脈を圧迫する力が付与された際に前記第二カフを押圧する押圧手段と、
前記第二カフの内圧に基づいて前記人体の血圧を測定する血圧測定手段と、を有しており、
前記第二電極は、前記手首に装着した状態において前記第一カフにより前記動脈を圧迫する力が付与された際に前記手首と当接可能に前記押圧手段に設けられる、
ことを特徴とする、生体情報測定装置。
【請求項2】
前記心電波形からノイズを除去するための第三電極をさらに有することを特徴とする、請求項1に記載の生体情報測定装置。
【請求項3】
前記第三電極は、前記手首に装着した状態において前記第一カフにより前記動脈を圧迫する力が付与された際に前記手首と当接可能に前記押圧手段に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の生体情報測定装置。
【請求項4】
前記押圧手段は、導電性材料により形成されており、前記第二電極を兼ねることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項5】
前記押圧手段は、前記第一カフの前記第二カフと対向する面に形成される、ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項6】
前記生体情報測定装置は、前記手首に近い側を内側として、前記第二電極が前記第一カフよりも内側に配置され、前記本体が前記第一カフよりも外側に配置される構成であり、
前記第一カフは、少なくとも前記第二電極と前記本体とを電気的に接続する配線を前記第一カフの内側と外側との間で取り回すための配線連絡部を備えている、
ことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の生体情報測定装置。
【請求項7】
前記配線は、フレキシブル基板に設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の生体情報測定装置。
【請求項8】
前記フレキシブル基板は、前記押圧手段を兼ねることを特徴とする請求項7に記載の生体情報測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルスケア関連の技術分野に属し、特に、生体情報測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧値、心電波形などの個人の身体・健康に関する情報(以下、生体情報ともいう)を、個人が自ら日常的に測定機器によって測定し、当該測定結果を健康管理に活用することが一般的に行われるようになってきている。このことから、携帯性を重視した機器の需要が高まっており、多くの携帯型測定装置が提案され、血圧値と心電波形の両方を測定できる携帯型の機器も提案されている(例えば、特許文献1など)。
【0003】
特許文献1には、血圧測定を行うためのカフと、心電測定を行うための電極とを備えた携帯型の心血管検測装置が記載されており、当該発明によれば、装置を携帯することにより、ユーザーは任意のタイミングで血圧値と心電波形を計測することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-36843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、当該特許文献1に記載の技術では、血圧測定のためにカフを膨らませると、電極を安定的に人体表面に接触させることが困難となるため、血圧と心電波形を同時に精度良く測定することができない、といった問題がある。
【0006】
上記のような問題に鑑みて、本発明は、血圧値と心電波形を同時に精度良く測定することが可能な携帯型の生体情報測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る生体情報測定装置は、
人体の手首に装着して用いられる生体情報測定装置であって、
少なくとも電源部を備える本体と、
第一電極と、第二電極と、前記第一電極と前記第二電極とが前記人体に接触した際の電位差に基づいて前記人体の心電波形を測定する心電波形測定手段と、
前記手首に装着した状態において前記手首に存在する動脈を圧迫する力を付与する第一カフと、
前記手首に装着した状態において前記第一カフよりも前記手首に近い側に位置し、前記動脈の脈動に起因する圧力変化を検知するための第二カフと、
前記第一カフと前記第二カフの間に配置され、前記手首に装着した状態において前記第一カフにより前記動脈を圧迫する力が付与された際に前記第二カフを押圧する押圧手段と、
前記第二カフの内圧に基づいて前記人体の血圧を測定する血圧測定手段と、を有しており、
前記第二電極は、前記手首に装着した状態において前記第一カフにより前記動脈を圧迫する力が付与された際に前記手首と当接可能に前記押圧手段に設けられる、ことを特徴とする。
【0008】
なお、「押圧手段」は、独立した部材であってもよいし、他のいずれかの構成と一体に設けられるものであってもよい。上記のような構成によれば、第二カフを押圧するための押圧手段に第二電極が設けられることによって、カフや本体筐体に第二電極を設ける場合と異なり、血圧測定時においても安定的に第二電極を人体表面に接触させることが可能になる。これによって、第一カフと第二カフの2種のカフによって精度よく血圧を測定できるとともに、それと同時に精度よく心電波形を測定することが可能になる。
【0009】
また、前記生体情報測定装置は、前記心電波形からノイズを除去するための第三電極をさらに有していてもよい。このような構成とすることで、心電測定時のノイズを低減させることができ、より高精度に心電波形を測定することが可能になる。
【0010】
また、前記第三電極は、前記手首に装着した状態において前記第一カフにより前記動脈を圧迫する力が付与された際に前記手首と当接可能に前記押圧手段に設けられていてもよい。
【0011】
また、前記押圧手段は、導電性材料により形成されており、前記第二電極を兼ねるものであってもよい。このような構成とすることで、装置の部品点数を低減することが可能になる。
【0012】
また、前記押圧手段は、前記第一カフの前記第二カフに対向する面に形成されるものであってもよい。押圧手段を独立した部材とするのではなく、第一カフの一部を押圧手段として形成することにより、装置の部品点数を低減することが可能になる。
【0013】
また、前記生体情報測定装置は、前記手首に近い側を内側として、前記第二電極が前記第一カフよりも内側に配置され、前記本体が前記第一カフよりも外側に配置される構成であり、
前記第一カフは、少なくとも前記第二電極と前記本体とを電気的に接続する配線を前記第一カフの内側と外側との間で取り回すための配線連絡部を備えていてもよい。
【0014】
第二電極は人体に接触する側(以下、内側ともいう)に配置される必要があるが、本体はそれとは反対の側(以下、外側ともいう)に配置されることになる。このため、電極と本体(の制御部)とを電気的に接続する導線を、装置の内側と外側とで取り回す必要が生じるが、上記のような第一カフの構成であると、このような配線を容易に行うことが可能になる。
【0015】
また、前記配線は、フレキシブル基板に設けられていてもよい。また、前記フレキシブル基板は、前記押圧手段を兼ねてもよい。このような構成とすることで、装置の部品点数を低減することが可能になる。
【0016】
なお、上記構成の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本発明は、血圧値と心電波形を同時に精度よく測定することが可能な携帯型の生体情報測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例1に係る生体情報測定装置の外観を示す概略図である。
図2図2は、実施例1に係る生体情報測定装置を装着した際の、各構成要素の配置関係を示す説明図である。
図3図3は、実施例1に係る生体情報測定装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図4図4Aは、実施例1に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第1の説明図である。図4Bは、実施例1に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第2の説明図である。図4Cは、実施例1に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第3の説明図である。
図5図5は、実施例1に係る生体情報測定装置の圧迫カフの構造を示す平面図である。
図6図6Aは、実施例1の変形例に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第1の説明図である。図6Bは、実施例1の変形例に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第2の説明図である。図6Cは、実施例1の変形例に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第3の説明図である。
図7図7Aは、実施例1の他の変形例に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第1の説明図である。図7Bは、実施例1の他の変形例に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第2の説明図である。図7Cは、実施例1の他の変形例に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第3の説明図である。
図8図8Aは、実施例1のさらに他の変形例に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第1の説明図である。図8Bは、実施例1のさらに他の変形例に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第2の説明図である。図8Cは、実施例1のさらに他の変形例に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第3の説明図である。
図9図9は、実施例2に係る生体情報測定装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図10図10Aは、実施例2に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第1の説明図である。図10Bは、実施例2に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第2の説明図である。図10Cは、実施例2に係る生体情報測定装置のカフアッシー部の構造を示す第3の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施例1>
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
(装置の全体構成)
図1は、本実施例に係る生体情報測定装置1の外観構成を示す概略図である。図2は、本実施例に係る生体情報測定装置1を手首に装着した際の、各構成要素の配置関係を示す説明図である。図3は、本実施例に係る生体情報測定装置1の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0021】
図1乃至3に示すように、生体情報測定装置1は概略、本体部100と、カフアッシー部200と、ベルト部400を有する構成であり、人体の手首に装着した状態で血圧値及び心電波形の測定を行うことができる。ベルト部400は、フックを備える面ファスナー411を備える第一ベルト部410と、ベルト通し環421を備える第二ベルト部420を有している。生体情報測定装置1を装着する際には、第一ベルト部410を手首に巻き付けたうえでベルト通し環421に挿通させ、面ファスナー411を第ベルト部40(フックが係合するループが形成されている)の任意の位置に貼りつけることで固定を行う。図2は、このようにして生体情報測定装置1を手首Tに装着した状態における、各構成要素の配置関係を示している。また、生体情報測定装置1は、本体部100の心電測定部130と、カフアッシー部200の第二電極241及び第三電極242とを電気的に接続するための配線が配置されるFPC(Flexible Printed Circuits)300(図1及び図2では不図示)を有している。
【0022】
本体部100は、図3に示すように、ハウジングと、電源部110、表示部111、操作部112、血圧測定部120、心電測定部130、及び第一電極140を備えている。
【0023】
電源部110は、装置の稼働に必要な電力を供給するバッテリーを含んで構成される。バッテリーは、例えばリチウムイオンバッテリーなどの二次電池であっても良いし、一次電池としても良い。
【0024】
表示部111は、液晶ディスプレイなどの表示装置を含んで構成され、LEDインジケータなどを備えていてもよい。操作部112は、例えば、電源ボタンなどの各種操作ボタンを含んで構成されるが、タッチパネルディスプレイなど表示部111と操作部112が一体となった構成としてもよい。
【0025】
血圧測定部120は、後述するカフアッシー部200を制御するとともに、これによって得られる情報に基づいてユーザーの血圧を測定する機能部であり、制御部121、演算部122、ポンプ123、排気弁124を含んでいる。制御部121、演算部122は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などによって構成され、図示しないが、RAM(Random Access Memory)などによって構成される記憶部を有していてもよい。
【0026】
制御部121は、血圧測定部120の制御を司る機能部であり、演算部122、ポンプ123などを介して、カフアッシー部200のカフ圧を制御し、生体情報測定装置1が装着された手首にある動脈から、ユーザーの血圧を測定するための情報を取得する。演算部122は、このようにして取得された情報に基づいて、血圧値を測定する。ポンプ123、排気弁124は、後述する圧迫カフ220、センシングカフ230への空気の供給と排出を担う機構である。
【0027】
心電測定部130は、人体表面に接触した第一電極140及び第二電極241の電位差に基づいて、ユーザーの心電波形を測定する機能部であり、制御部131、演算部132を含んでいる。制御部131、演算部132は、上述のCPUなどによって構成される。ハードウェアの観点からは、制御部131、演算部132は血圧測定部120の制御部121、演算部122と共通の構成であっても構わない。
【0028】
なお、血圧測定部120、心電測定部130は共に、上述のCPUやRAMなどの他に、図示しないAD変換回路、アンプ、フィルタなどを含んでいるが、これらは既知の技術で構成されるため、説明は省略する。
【0029】
カフアッシー部200は、カーラー210、圧迫カフ220、センシングカフ230、第二電極241、第三電極242、背板250を備えている。カーラー210は圧迫カフ220を保持するための土台となる部材であり、図2に示すように、カフアッシー部200の最も外側(即ち、手首から離れている側)に配置される。
【0030】
圧迫カフ220は、ポンプ123から送られた空気によって膨張することで装着部の手首Tを締め付け、手首Tに存在する動脈(図示せず)に外圧を加える役割を有する。また、センシングカフ230は、圧迫カフ220によって圧迫された部位に掛かる圧力を検出するための流体袋であり、センシングカフ230内に少量の空気が入った状態でその内圧を圧力計(図示せず)によって検出することにより、圧迫部位に掛かる圧力を測定する。また、背板250は、圧迫カフ220とセンシングカフ230の間に配置される可撓性を有する平板状部材であり、圧迫カフ220による圧迫時におけるセンシングカフ230の過度な屈曲を抑制し、センシングカフ230内の圧力分布を均整化する。即ち、本実施例においては、背板250が押圧手段に相当する。
【0031】
第二電極241、第三電極242はいずれも人体表面に接触可能な位置に配置される電極であり、第二電極241は心電波形測定用の電極、第三電極242はノイズ除去用のフィードバック信号を出力する中性(右足)電極として機能する。
【0032】
(カフアッシー部の構造)
続けて、図4に基づいてカフアッシー部200の構造について説明する。図4Aは、本実施例に係るカフアッシー部200を内側から見た際の概略平面図であり、図4B図4AのA-A断面を示す概略図、図4C図4AのB-B断面を示す概略図である。図4に示すように、カフアッシー部200は、カーラー210を最も外側として、圧迫カフ220、背板250、センシングカフ230の順に積層された構成となっている。そして、背板250上に第二電極241と第三電極242が設けられ、これらがセンシングカフ230の短手方向両端に配置される構成となっている。
【0033】
第二電極241と第三電極242は導線が設けられたFPC300に接続されており、このFPC300は本体部100の制御部131と接続されているため(図示せず)、制御部131と各電極とを電気的に接続する配線として機能する。ここで、第二電極241と第三電極242は、カフアッシー部200の最も内側(即ち、手首に近い側)に配置されているところ、本体部100は手首から最も離れた側に配置される構成となるため、圧迫カフ220には、FPC300を内側から外側へ取り回すための配線連絡部221が設けられている。図5に、圧迫カフ220における配線連絡部221の構成を示す。図5に示すように、配線連絡部221は、圧迫カフ220の短手方向の中央部付近を残すように、両側から切り欠かれた構造となっている。そして、図4に示すように、FPC300は当該切り欠きに挿通されることで、カフアッシー部200の内側と外側とで取り回される構成となっている。
【0034】
(生体情報の測定)
以上のような構成を有する生体情報測定装置1により生体情報の測定を行うには、まず、本体部100が手の甲側を向くようにして、カフアッシー部200と第一ベルト部410を手首に巻き付ける。そして、第一ベルト部410を第二ベルト部420のベルト通し環421に通したうえで折り返し、第一ベルト部410の面ファスナー411をベルト部40の任意の位置に貼り付けて、手首に生体情報測定装置1を装着する。この際、センシングカフ230、第二電極241及び第三電極242が、手首の手の平側に位置するように装着を行う。
【0035】
そして、操作部112を操作することで測定が開始される。具体的には、圧迫カフ220に空気が注入することで手首T(の動脈)を圧迫し、動脈を閉塞させて血流を一旦止めた後に徐々に圧迫カフ220から空気を排出して動脈の血流を戻し、その際の圧力をセンシングカフ230によって測定する。即ち、いわゆるオシロメトリック法による血圧測定が行われる。
【0036】
そして、上記血圧測定時、圧迫カフ220により手首が圧迫されている際には、第二電極241及び第三電極242は手首の表面に接触している(押し付けられている)状態となっている。このため、生体情報測定装置1を装着していない方の手指で、本体部100のハウジングに設けられている第一電極140に触れることにより、第一電極140と第二電極241との電位差に基づいて、いわゆるI誘導の方式により心電波形の測定を行うことができる。
【0037】
以上のように、本実施例に係る生体情報測定装置1によれば、手首に装着するタイプの携帯型の装置で、血圧値と心電波形を同時に精度よく測定することが可能になる。
【0038】
(変形例1)
なお、上記実施例1のカフアッシー部200は背板250を備える構造であったが、カフアッシー部は必ずしも背板を備える構成でなくともよい。図6に、実施例1の変形例に係るカフアッシー部201の構造を示す。なお、図6において、実施例1のカフアッシー部200と同一の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0039】
図6Aは、本変形例に係るカフアッシー部201を内側から見た際の概略平面図であり、図6B図6AのA-A断面を示す概略図、図6C図6AのB-B断面を示す概略図である。図6に示すように、本変形例に係るカフアッシー部201には背板が存在しない。その代わりに、FPC300がセンシングカフ230のすぐ外側に延在する構成となっており、第二電極241及び第三電極242もFPC300上に形成されている。
【0040】
即ち、本変形例ではFPC300が背板の役割を担うものとなっており、押圧手段に相当する。これにより、部材としての背板を省略することができ、装置の部品点数の低減に貢献することができる。
【0041】
(変形例2)
また、カフアッシー部において、第二電極241及び第三電極242は必ずしもセンシングカフ230の短手方向両端に配置する必要があるのではなく、長手方向両端に配置されていてもよい。図7に、そのような変形例に係るカフアッシー部202の構造を示す。
【0042】
図7Aは、本変形例に係るカフアッシー部202を内側から見た際の概略平面図であり、図7B図7AのA-A断面を示す概略図、図7C図7AのB-B断面を示す概略図である。図7に示すように、本変形例におけるカフアッシー部202は、第二電極241及び第三電極242がFPC300上、かつセンシングカフ230の長手方向両端に位置するように設けられている。即ち、本変形例においても、FPC300が背板の役割を果たす押圧手段となっている。
【0043】
(変形例3)
また、第二電極241及び第三電極242は、上記の各例以外の配置・構造とすることもできる。図8に、実施例1の第3の変形例に係るカフアッシー部203の構造を示す。図8Aは、本変形例に係るカフアッシー部203を内側から見た際の概略平面図であり、図8B図8AのA-A断面を示す概略図、図8C図8AのB-B断面を示す概略図である。
【0044】
図8に示すように、本変形例におけるカフアッシー部203は、第二電極241がセンシングカフ230の外側の面及び短手方向両端面に接しながら、センシングカフ230を図8Cにおいて三方から囲う形状に形成されている。即ち、本変形例においては、第二電極241を導電性材料で形成された背板としても捉えることが可能であり、押圧手段に相当するものとなっている。一方、第三電極242はセンシングカフ230の内側の面上において、センシングカフ230の短手方向中央部分を長手方向に縦断するようにして形成されている。このような本変形例に係るカフアッシー部203のような構造であっても、装置の部品点数を低減することが可能である。
【0045】
<実施例2>
上記実施例1では、カフアッシー部は第二電極と第三電極を有する構成であったが、これ以外の構成とすることも可能である。以下では、図9及び図10に基づいて、本発明に係る他の実施例について説明する。なお、本実施例に係る生体情報測定装置2は、実施例1に係る生体情報測定装置1と外観等において同様の構成を有しており、そのような構成については、実施例1と同一の符号を用いて、説明を省略する。
【0046】
図9は本実施例に係る生体情報測定装置2の機能構成を示す機能ブロック図であり、図10Aは本実施例に係る生体情報測定装置2のカフアッシー部205を内側から見た際の概略平面図、図10B図10AのA-A断面を示す概略図、図10C図10AのB-B断面を示す概略図である。
【0047】
図9及び図10に示すように、生体情報測定装置2のカフアッシー部205には、第三電極、及び背板が設けられていない。そして、第二電極241は、実施例1の変形例3の場合と同様に、センシングカフ230の外側の面及び短手方向両端面に接しながら、センシングカフ230を図10Cにおいて三方から囲う形状に形成されている。即ち、本実施例においては、第二電極241が背板、即ち押圧手段を兼ねる構成となっている。
【0048】
生体情報測定装置2のように第三電極を省略した構成であっても、実施例1の場合と同様に血圧及び心電波形を同時に測定することが可能である。そして、このように第三電極を省略した構成であれば、装置構成を簡略化でき、製造コストの削減に寄与することができる。
【0049】
<その他>
上記実施例の説明は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明は、その技術的思想の範囲内で種々の変形及び組み合わせが可能である。例えば、上記実施例1及びその変形例1、2のカフアッシー部の構造において、第三電極を省略した構成とすることも可能である。
【0050】
また、圧迫カフ220の配線連絡部221についても、両端から切り欠きが形成される構造に限らず、部分的に開口が設けられる構造であってもよいし、圧迫カフ220を第一圧迫カフ部と第二圧迫カフ部に分離して当該分離箇所を配線連絡部221としてもよい。
【0051】
また、圧迫カフ220を手首の手の甲側(即ち、センシングカフと手首を介して対向する側)だけに配置される構成とし、配線連絡部221を設けないようにしてもよい。
【0052】
また、装置を手首に固定する手段についても、面ファスナー411に限られない。一般的な腕時計のように、第一ベルト部に複数の孔を設け、第二ベルト部に尾錠とつく棒を設けるような構成であってもよいし、その他の所望の締結手段を用いることができる。また、本発明は必ずしも携帯を前提としない装置に対しても適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、2・・・生体情報測定装置
100・・・本体部
110・・・電源部
111・・・表示部
112・・・操作部
120・・・血圧測定部
121・・・制御部
122・・・演算部
123・・・ポンプ
124・・・排気弁
130・・・心電測定部
131・・・制御部
132・・・演算部
140・・・第一電極
200、201、202、203、205・・・カフアッシー部
210・・・カーラー
220・・・圧迫カフ
221・・・配線連絡部
230・・・センシングカフ
241・・・第二電極
242・・・第三電極
250・・・背板
300・・・FPC
400・・・ベルト部
410・・・第一ベルト部
411・・・面ファスナー
420・・・第二ベルト部
421・・・ベルト通し環
T・・・手首
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10