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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】多層基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240723BHJP
   H01P 3/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H01P3/00 100
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023546863
(86)(22)【出願日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 JP2022031488
(87)【国際公開番号】W WO2023037852
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】P 2021145148
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺西 慶祐
(72)【発明者】
【氏名】藤井 洋隆
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-126029(JP,A)
【文献】特開2000-59113(JP,A)
【文献】実開平4-4405(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第2244331(EP,A1)
【文献】特開平9-93005(JP,A)
【文献】特開2016-81999(JP,A)
【文献】米国特許第5408053(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0159460(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 3/00―3/08
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層基板は、
複数の樹脂層が積層方向に積層された構造を有している積層体と、
前記積層体に設けられている第1信号導体と、
前記積層体に設けられている第2信号導体であって、前記第2信号導体の前記積層方向の位置は、前記第1信号導体の前記積層方向の位置と異なっており、前記第2信号導体の少なくとも一部分は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体と重なっている、第2信号導体と、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第1信号導体と前記第2信号導体とを電気的に接続する複数の第1層間接続導体と、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第1信号導体と前記第2信号導体とを電気的に接続する複数の第2層間接続導体と、
前記積層体に設けられている第1グランド導体と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記積層方向に見て、前記第1グランド導体と重なっている第2グランド導体であって、前記第2グランド導体の前記積層方向の位置は、前記第1グランド導体の前記積層方向の位置と異なっている第2グランド導体と、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第1グランド導体と前記第2グランド導体とを電気的に接続する複数のグランド層間接続導体と、
を備えており、
前記複数の第1層間接続導体は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体に沿って延びる第1列に並んでおり、
前記複数の第2層間接続導体は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体に沿って延びる第2列に並んでおり、
前記積層方向に見て、前記第1信号導体が延びる方向に直交する方向が線幅方向であり、
前記第2列の前記線幅方向の位置は、前記第1列の前記線幅方向の位置と異なっており
前記線幅方向の一方が第1方向であり、前記線幅方向の他方が第2方向であり、
前記第1グランド導体は、前記第1信号導体より前記第1方向に位置し、
前記第2列は、前記第1列より前記第2方向に位置しており、
複数の前記グランド層間接続導体は、前記第1信号導体に沿って並んでおり、
前記複数のグランド層間接続導体のそれぞれは、前記線幅方向に見て、前記複数の第1層間接続導体と重なっていない、
多層基板。
【請求項2】
前記多層基板は、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第1信号導体と前記第2信号導体とを電気的に接続する1以上の第3層間接続導体を、
更に備えており、
前記1以上の第3層間接続導体は、前記積層方向に見て、前記第1列と前記第2列との間に位置している、
請求項1に記載の多層基板。
【請求項3】
前記1以上の第3層間接続導体の数は、前記複数の第1層間接続導体の数及び前記複数の第2層間接続導体の数より少ない、
請求項2に記載の多層基板。
【請求項4】
前記積層方向の一方が第3方向であり、前記積層方向の他方が第4方向であり、
前記第2信号導体は、前記第1信号導体より前記第4方向に位置しており、
前記多層基板は、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第2信号導体より前記第4方向に位置しており、かつ、前記積層方向に見て、前記第1信号導体及び前記第2信号導体と重なっている第3信号導体と、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第2信号導体と前記第3信号導体とを電気的に接続する複数の第4層間接続導体と、
を更に備えており、
前記複数の第4層間接続導体は、前記積層方向に見て、前記第2信号導体に沿って第3列に並んでいる、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の多層基板。
【請求項5】
前記複数の第1層間接続導体の数は、3以上であり、
前記複数の第1層間接続導体の内の少なくとも一部の前記第1層間接続導体は、等間隔に並んでいる、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の多層基板。
【請求項6】
記積層方向に見て、前記第1信号導体の前記線幅方向の中央を通過する線を第1中央線とし、
前記第1列は、前記第1中央線より前記第1方向に位置しており、
前記第2列は、前記第1中央線より前記第2方向に位置している、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の多層基板。
【請求項7】
前記積層方向に見た前記第1信号導体の外縁は、第1外縁を含んでおり、
前記第1外縁は、前記積層方向に見て、前記第1中央線より前記第1方向に位置し、かつ、前記線幅方向に直交する方向に延びており、
前記積層方向に見て、前記第1中央線と前記第1外縁との中間点を通過する線を第2中央線とし、
前記複数の第1層間接続導体のそれぞれの少なくとも一部分は、前記積層方向に見て、前記第1外縁と前記第2中央線との間に位置している、
請求項に記載の多層基板。
【請求項8】
記積層方向に見て、前記第1信号導体の前記線幅方向の中央を通過する線を第1中央線とし、
前記積層方向に見た前記第1信号導体の外縁は、第1外縁を含んでおり、
前記第1外縁は、前記積層方向に見て、前記第1中央線より前記第1方向に位置し、かつ、前記線幅方向に直交する方向に延びており、
前記複数の第1層間接続導体のそれぞれから前記第1外縁までの最短距離は、前記複数の第1層間接続導体の最大径より大きい、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の多層基板。
【請求項9】
前記積層方向の一方が第3方向であり、前記積層方向の他方が第4方向であり、
前記第2信号導体は、前記第1信号導体より前記第4方向に位置しており、
前記多層基板は、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1グランド導体より前記第4方向に位置しており、かつ、前記積層方向に見て、前記第1グランド導体と重なっている第4信号導体を、
更に備えている、
求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多層基板。
【請求項10】
前記第1信号導体の前記積層方向の位置は、前記第1グランド導体の前記積層方向の位置より前記第3方向に位置している、又は、前記第1グランド導体の前記積層方向の位置と同じである、
請求項に記載の多層基板。
【請求項11】
前記第2信号導体の前記積層方向の位置は、前記第1グランド導体の前記積層方向の位置より前記第4方向に位置している、
請求項に記載の多層基板。
【請求項12】
前記第4信号導体を伝送される高周波信号の周波数は、前記第1信号導体及び前記第2信号導体を伝送される高周波信号の周波数より高い、
請求項に記載の多層基板。
【請求項13】
前記第1グランド導体の電位は、前記第1信号導体の電位及び前記第2信号導体の電位と異なっており、
前記第1グランド導体は、前記第1信号導体より前記第3方向に位置しており、
前記積層方向に見て、前記第1グランド導体は、前記第1信号導体の一部分と重なっている、
請求項に記載の多層基板。
【請求項14】
前記積層方向に見て、前記複数の第1層間接続導体の内の少なくとも1以上の前記第1層間接続導体は、前記第1グランド導体と重なっている、
請求項13に記載の多層基板。
【請求項15】
前記多層基板は、
前記積層体に設けられており、かつ、前記第1信号導体より前記第1方向に位置している第2異電位導体を、
更に備えており、
前記第2異電位導体は、前記第1グランド導体より前記第4方向に位置しており、
前記積層方向に見て、前記第2異電位導体と前記第1信号導体との最短距離は、前記複数の第1層間接続導体の最大径より大きい、
請求項13に記載の多層基板。
【請求項16】
前記線幅方向に見て、前記複数の第2層間接続導体のそれぞれは、前記複数の第1層間接続導体と重なっていない、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の多層基板。
【請求項17】
前記第1信号導体の線幅は、前記第2信号導体の線幅と異なっている、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載の多層基板。
【請求項18】
多層基板は、
複数の樹脂層が積層方向に積層された構造を有している積層体と、
前記積層体に設けられている第1信号導体と、
前記積層体に設けられている第2信号導体であって、前記第2信号導体の前記積層方向の位置は、前記第1信号導体の前記積層方向の位置と異なっており、前記第2信号導体の少なくとも一部分は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体と重なっている、第2信号導体と、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第1信号導体と前記第2信号導体とを電気的に接続する複数の第1層間接続導体と、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第1信号導体と前記第2信号導体とを電気的に接続する複数の第2層間接続導体と、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第1信号導体と前記第2信号導体とを電気的に接続する1以上の第3層間接続導体と、
を備えており、
前記複数の第1層間接続導体は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体に沿って延びる第1列に並んでおり、
前記複数の第2層間接続導体は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体に沿って延びる第2列に並んでおり、
前記積層方向に見て、前記第1信号導体が延びる方向に直交する方向が線幅方向であり、
前記第2列の前記線幅方向の位置は、前記第1列の前記線幅方向の位置と異なっており、
前記1以上の第3層間接続導体は、前記積層方向に見て、前記第1列と前記第2列との間に位置しており、
前記1以上の第3層間接続導体の数は、前記複数の第1層間接続導体の数及び前記複数の第2層間接続導体の数より少ない、
多層基板。
【請求項19】
多層基板は、
複数の樹脂層が積層方向に積層された構造を有している積層体と、
前記積層体に設けられている第1信号導体と、
前記積層体に設けられている第2信号導体であって、前記第2信号導体の前記積層方向の位置は、前記第1信号導体の前記積層方向の位置と異なっており、前記第2信号導体の少なくとも一部分は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体と重なっている、第2信号導体と、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第1信号導体と前記第2信号導体とを電気的に接続する複数の第1層間接続導体と、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第1信号導体と前記第2信号導体とを電気的に接続する複数の第2層間接続導体と、
を備えており、
前記複数の第1層間接続導体は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体に沿って延びる第1列に並んでおり、
前記複数の第2層間接続導体は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体に沿って延びる第2列に並んでおり、
前記積層方向に見て、前記第1信号導体が延びる方向に直交する方向が線幅方向であり、
前記第2列の前記線幅方向の位置は、前記第1列の前記線幅方向の位置と異なっており、
前記線幅方向に見て、前記複数の第2層間接続導体のそれぞれは、前記複数の第1層間接続導体と重なっていない、
多層基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号導体を備える多層基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多層基板に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の高周波信号線路が知られている。この高周波信号線路は、2本の信号線路を備えている。2本の信号線路の両端のそれぞれは、ビアホール導体により接続されている。これにより、2本の信号線路が並列接続されている。従って、高周波信号は、2本の信号線路を伝送される。これにより、高周波信号線路の抵抗値の低減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2014/057761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の高周波信号線路の抵抗値を更に低減したいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、多層基板の抵抗値を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る多層基板は、
複数の樹脂層が積層方向に積層された構造を有している積層体と、
前記積層体に設けられている第1信号導体と、
前記積層体に設けられている第2信号導体であって、前記第2信号導体の前記積層方向の位置は、前記第1信号導体の前記積層方向の位置と異なっており、前記第2信号導体の少なくとも一部分は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体と重なっている、第2信号導体と、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第1信号導体と前記第2信号導体とを電気的に接続する複数の第1層間接続導体と、
前記樹脂層を前記積層方向に貫通し、かつ、前記第1信号導体と前記第2信号導体とを電気的に接続する複数の第2層間接続導体と、
を備えており、
前記複数の第1層間接続導体は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体に沿って延びる第1列に並んでおり、
前記複数の第2層間接続導体は、前記積層方向に見て、前記第1信号導体に沿って延びる第2列に並んでおり、
前記積層方向に見て、前記第1信号導体が延びる方向に直交する方向が線幅方向であり、
前記第2列の前記線幅方向の位置は、前記第1列の前記線幅方向の位置と異なっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る多層基板によれば、多層基板の抵抗値を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、多層基板10の分解斜視図である。
図2図2は、多層基板10の樹脂層16bの上面図である。
図3図3は、多層基板10の樹脂層16cの上面図である。
図4図4は、多層基板10aの断面図である。
図5図5は、多層基板10bの断面図である。
図6図6は、多層基板10cの樹脂層16bの上面図である。
図7図7は、多層基板10dの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
[多層基板10の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る多層基板10の構造について図面を参照しながら説明する。図1は、多層基板10の分解斜視図である。図2は、多層基板10の樹脂層16bの上面図である。図3は、多層基板10の樹脂層16cの上面図である。
【0010】
本明細書において、方向を以下のように定義する。多層基板10の積層体12の積層方向が上下方向である。上下方向(積層方向)の一方が第3方向DIR3である。上下方向(積層方向)の他方が第4方向DIR4である。本実施形態では、上方向が第3方向DIR3である。下方向が第4方向DIR4である。また、多層基板10の第1信号導体22a、第2信号導体22b及び第3信号導体22cが延びる方向が左右方向である。上下方向(積層方向)に見て、第1信号導体22aが延びる方向に直交する方向が線幅方向である。前後方向が第1信号導体22aの線幅方向である。前後方向(線幅方向)の一方が第1方向DIR1である。前後方向(線幅方向)の他方が第2方向DIR2である。本実施形態では、前方向が第1方向DIR1である。後方向が第2方向DIR2である。上下方向、前後方向及び左右方向は、互いに直交している。なお、本明細書の上下方向、前後方向及び左右方向は、多層基板10の実使用時の上下方向、前後方向及び左右方向と一致していなくてもよい。
【0011】
以下に、本明細書における用語の定義について説明する。まず、本明細書における部材の位置関係について定義する。XないしZは、多層基板10を構成する部材又は部品である。本明細書において、「XとYとが電気的に接続される」とは、XとYとの間で電気が導通できることを意味する。従って、XとYとが接触していてもよいし、XとYとが接触していなくてもよい。XとYとが接触していない場合には、XとYとの間に導電性を有するZが配置されている。一方、本明細書において、「XとYとが接続される」とは、XとYとが接触した状態で繋がっていることを意味する。
【0012】
以下では、Xは、多層基板10の部品又は部材である。本明細書において、特に断りのない場合には、Xの各部について以下のように定義する。Xの前部とは、Xの前半分を意味する。Xの後部とは、Xの後半分を意味する。Xの左部とは、Xの左半分を意味する。Xの右部とは、Xの右半分を意味する。Xの上部とは、Xの上半分を意味する。Xの下部とは、Xの下半分を意味する。Xの前端とは、Xの前方向の端を意味する。Xの後端とは、Xの後方向の端を意味する。Xの左端とは、Xの左方向の端を意味する。Xの右端とは、Xの右方向の端を意味する。Xの上端とは、Xの上方向の端を意味する。Xの下端とは、Xの下方向の端を意味する。Xの前端部とは、Xの前端及びその近傍を意味する。Xの後端部とは、Xの後端及びその近傍を意味する。Xの左端部とは、Xの左端及びその近傍を意味する。Xの右端部とは、Xの右端及びその近傍を意味する。Xの上端部とは、Xの上端及びその近傍を意味する。Xの下端部とは、Xの下端及びその近傍を意味する。
【0013】
まず、図1を参照しながら、多層基板10の構造について説明する。多層基板10は、高周波信号を伝送する。多層基板10は、スマートフォン等の電子機器において、2つの回路を電気的に接続するために用いられる。多層基板10は、図1に示すように、左右方向に延びる帯形状を有している。
【0014】
多層基板10は、図1に示すように、積層体12、第1信号導体22a、第2信号導体22b、第3信号導体22c、グランド導体24a,24b,24c,26a,26b,26c、信号電極28a,28b、グランド電極30a,30b,32a,32b、複数の第1層間接続導体v1、複数の第2層間接続導体v2、複数の第3層間接続導体v3、複数の第4層間接続導体v4、複数の第5層間接続導体v5、複数の第6層間接続導体v6、複数の層間接続導体v10、複数の層間接続導体v11、複数の層間接続導体v12、複数の層間接続導体v13及び層間接続導体v21~v26を備えている。
【0015】
積層体12は、図1に示すように、板形状を有している。従って、積層体12は、上下方向に並ぶ上主面及び下主面を有している。また、積層体12は、図1に示すように、樹脂層16a~16dが上下方向(積層方向)に積層された構造を有している。樹脂層16a~16dは、上から下へとこの順に並んでいる。樹脂層16a~16dは、上下方向に見て、積層体12の形状と同じ帯形状を有している。樹脂層16a~16dは、可撓性を有する誘電体シートである。樹脂層16a~16dの材料は、熱可塑性樹脂を含んでいる。熱可塑性樹脂は、例えば、液晶ポリマー、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)等である。また、樹脂層16a~16dの材料は、ポリイミドであってもよい。これにより、積層体12は、可撓性を有する。従って、多層基板10を折り曲げて使用することができる。多層基板10を折り曲げるとは、多層基板10に外力を加えることにより、多層基板10を変形させることを意味する。変形は、弾性変形でもよいし、塑性変形でもよいし、弾性変形及び塑性変形でもよい。
【0016】
第1信号導体22aは、図1に示すように、積層体12に設けられている。より詳細には、第1信号導体22aは、樹脂層16bの上主面に位置している。第1信号導体22aは、左右方向に延びる線形状を有している。
【0017】
ここで、図2に示すように、上下方向(積層方向)に見て、第1信号導体22aの前後方向(線幅方向)の中央を通過する線を第1中央線CL1とする。第1中央線CL1は、左右方向に延びている。また、上下方向に見て第1信号導体22aの外縁は、第1外縁OE1を含んでいる。第1外縁OE1は、上下方向(積層方向)に見て、第1中央線CL1より前(第1方向DIR1)に位置している。第1外縁OE1は、前後方向(線幅方向)に直交する方向(左右方向)に延びている。上下方向(積層方向)に見て、第1中央線CL1と第1外縁OE1との中間点を通過する線を第2中央線CL2とする。第2中央線CL2は、左右方向に延びている。
【0018】
また、上下方向に見た第1信号導体22aの外縁は、第2外縁OE2を含んでいる。第2外縁OE2は、上下方向(積層方向)に見て、第1中央線CL1より後(第2方向DIR2)に位置している。第2外縁OE2は、前後方向(線幅方向)に直交する方向(左右方向)に延びている。上下方向(積層方向)に見て、第1中央線CL1と第2外縁OE2との中間点を通過する線を第3中央線CL3とする。第3中央線CL3は、左右方向に延びている。
【0019】
第2信号導体22bは、積層体12に設けられている。第2信号導体22bの上下方向(積層方向)の位置は、第1信号導体22aの上下方向(積層方向)の位置と異なっている。第2信号導体22bは、第1信号導体22aより下(第4方向DIR4)に位置している。そこで、第2信号導体22bは、樹脂層16cの上主面に位置している。第2信号導体22bは、左右方向に延びる線形状を有している。また、第2信号導体22bの少なくとも一部分は、図1及び図3に示すように、上下方向(積層方向)に見て、第1信号導体22aと重なっている。本実施形態では、上下方向に見た第2信号導体22bの形状は、上下方向に見て第1信号導体22aの形状と同じである。また、上下方向に見て、第2信号導体22bの外縁の全体は、第1信号導体22aの外縁の全体と重なっている。従って、上下方向に見て、第2信号導体22bの全体は、第1信号導体22aと重なっている。
【0020】
ここで、図3に示すように、上下方向(積層方向)に見て、第2信号導体22bの前後方向(線幅方向)の中央を通過する線を第4中央線CL4とする。第4中央線CL4は、左右方向に延びている。また、上下方向に見て第2信号導体22bの外縁は、第3外縁OE3を含んでいる。第3外縁OE3は、上下方向(積層方向)に見て、第4中央線CL4より前(第1方向DIR1)に位置している。第3外縁OE3は、前後方向(線幅方向)に直交する方向(左右方向)に延びている。上下方向(積層方向)に見て、第4中央線CL4と第3外縁OE3との中間点を通過する線を第5中央線CL5とする。第5中央線CL5は、左右方向に延びている。
【0021】
また、上下方向に見た第2信号導体22bの外縁は、第4外縁OE4を含んでいる。第4外縁OE4は、上下方向(積層方向)に見て、第4中央線CL4より後(第2方向DIR2)に位置している。第4外縁OE4は、前後方向(線幅方向)に直交する方向(左右方向)に延びている。上下方向(積層方向)に見て、第4中央線CL4と第4外縁OE4との中間点を通過する線を第6中央線CL6とする。第6中央線CL6は、左右方向に延びている。
【0022】
第3信号導体22cは、積層体12に設けられている。第3信号導体22cの上下方向(積層方向)の位置は、第1信号導体22aの上下方向(積層方向)の位置及び第2信号導体22bの上下方向(積層方向)の位置と異なっている。第3信号導体22cは、第2信号導体22bより下(第4方向DIR4)に位置している。そこで、第3信号導体22cは、樹脂層16dの上主面に位置している。第3信号導体22cは、左右方向に延びる線形状を有している。また、第3信号導体22cの少なくとも一部分は、図1に示すように、上下方向(積層方向)に見て、第1信号導体22a及び第2信号導体22bと重なっている。本実施形態では、上下方向に見た第3信号導体22cの形状は、上下方向に見た第1信号導体22aの形状及び上下方向に見た第2信号導体22bの形状と同じである。また、上下方向に見て、第3信号導体22cの外縁の全体は、第1信号導体22aの外縁の全体及び第2信号導体22bの外縁の全体と重なっている。従って、上下方向に見て、第3信号導体22cの全体は、第1信号導体22a及び第2信号導体22bと重なっている。
【0023】
以上のような第1信号導体22a、第2信号導体22b及び第3信号導体22cには、高周波信号が伝送される。高周波信号の周波数は、例えば、13.56MHzである。
【0024】
複数の第1層間接続導体v1は、図1及び図2に示すように、樹脂層16bを上下方向(積層方向)に貫通している。複数の第1層間接続導体v1は、第1信号導体22aと第2信号導体22bとを電気的に接続している。複数の第1層間接続導体v1は、上下方向(積層方向)に見て、第1信号導体22aに沿って延びる第1列L1に並んでいる。本実施形態では、第1列L1は、左右方向に延びる直線である。複数の第1層間接続導体v1の数は、3以上である。複数の第1層間接続導体v1の内の少なくとも一部の第1層間接続導体v1は、等間隔に並んでいる。本実施形態では、全ての第1層間接続導体v1は、等間隔に並んでいる。
【0025】
また、第1列L1は、第1中央線CL1より前(第1方向DIR1)に位置している。更に、複数の第1層間接続導体v1のそれぞれの少なくとも一部分は、上下方向に見て、第1外縁OE1と第2中央線CL2との間に位置している。本実施形態では、複数の第1層間接続導体v1のそれぞれの全体は、上下方向に見て、第1外縁OE1と第2中央線CL2との間に位置している。そして、複数の第1層間接続導体v1のそれぞれから第1外縁OE1までの最短距離D1は、複数の第1層間接続導体v1の最大径より大きい。
【0026】
複数の第2層間接続導体v2は、図1及び図2に示すように、樹脂層16bを上下方向(積層方向)に貫通している。複数の第2層間接続導体v2は、第1信号導体22aと第2信号導体22bとを電気的に接続している。複数の第2層間接続導体v2は、上下方向(積層方向)に見て、第1信号導体22aに沿って延びる第2列L2に並んでいる。本実施形態では、第2列L2は、左右方向に延びる直線である。複数の第2層間接続導体v2の数は、3以上である。複数の第2層間接続導体v2の内の少なくとも一部の第2層間接続導体v2は、等間隔に並んでいる。本実施形態では、全ての第2層間接続導体v2は、等間隔に並んでいる。
【0027】
また、第2列L2の前後方向(線幅方向)の位置は、第1列L1の前後方向(線幅方向)の位置と異なっている。本実施形態では、第2列L2は、第1中央線CL1より後(第2方向DIR2)に位置している。更に、複数の第2層間接続導体v2のそれぞれの少なくとも一部分は、上下方向に見て、第2外縁OE2と第3中央線CL3との間に位置している。本実施形態では、複数の第2層間接続導体v2のそれぞれの全体は、上下方向に見て、第2外縁OE2と第3中央線CL3との間に位置している。そして、複数の第2層間接続導体v2のそれぞれから第3外縁OE3までの最短距離D2は、複数の第2層間接続導体v2の最大径より大きい。以上のような複数の第2層間接続導体v2のそれぞれは、前後方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と重なっている。従って、前後方向に並ぶ1つの第1層間接続導体v1と1つの第2層間接続導体v2とを含む複数のペアが左右方向に並んでいる。
【0028】
複数の第3層間接続導体v3は、樹脂層16bを上下方向(積層方向)に貫通している。複数の第3層間接続導体v3は、第1信号導体22aと第2信号導体22bとを電気的に接続している。複数の第3層間接続導体v3は、上下方向に見て、第1列L1と第2列L2との間に位置している。より詳細には、複数の第3層間接続導体v3は、上下方向(積層方向)に見て、第1信号導体22aに沿って延びる第5列L5に並んでいる。本実施形態では、第5列L5は、左右方向に延びる直線である。複数の第3層間接続導体v3の数は、3以上である。ただし、第3層間接続導体v3の数は、第1層間接続導体v1の数及び第2層間接続導体v2の数より少ない。なお、第3層間接続導体v3は、等間隔に並んでいてもよい。
【0029】
複数の第4層間接続導体v4は、図1及び図3に示すように、樹脂層16cを上下方向(積層方向)に貫通している。複数の第4層間接続導体v4は、第2信号導体22bと第3信号導体22cとを電気的に接続している。複数の第4層間接続導体v4は、上下方向(積層方向)に見て、第2信号導体22bに沿って延びる第3列L3に並んでいる。本実施形態では、第3列L3は、左右方向に延びる直線である。複数の第4層間接続導体v4の数は、3以上である。複数の第4層間接続導体v4の内の少なくとも一部の第4層間接続導体v4は、等間隔に並んでいる。本実施形態では、全ての第4層間接続導体v4は、等間隔に並んでいる。
【0030】
また、第3列L3は、上下方向(積層方向)に見て、第1列L1と重なっている。更に、第3列L3は、第4中央線CL4より前(第1方向DIR1)に位置している。これにより、複数の第4層間接続導体v4のそれぞれの少なくとも一部分は、上下方向に見て、第3外縁OE3と第5中央線CL5との間に位置している。本実施形態では、複数の第4層間接続導体v4のそれぞれの全体は、上下方向に見て、第3外縁OE3と第5中央線CL5との間に位置している。そして、複数の第4層間接続導体v4のそれぞれから第3外縁OE3までの最短距離D3は、複数の第4層間接続導体v4の最大径より大きい。以上のような複数の第4層間接続導体v4のそれぞれは、上下方向(積層方向)に見て、複数の第1層間接続導体v1と重なっていない。上下方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と複数の第4層間接続導体v4とは、左右方向に交互に並んでいる。
【0031】
複数の第5層間接続導体v5は、図1及び図3に示すように、樹脂層16cを上下方向(積層方向)に貫通している。複数の第5層間接続導体v5は、第2信号導体22bと第3信号導体22cとを電気的に接続している。複数の第5層間接続導体v5は、上下方向(積層方向)に見て、第2信号導体22bに沿って延びる第4列L4に並んでいる。本実施形態では、第4列L4は、左右方向に延びる直線である。複数の第5層間接続導体v5の数は、3以上である。複数の第5層間接続導体v5の内の少なくとも一部の第5層間接続導体v5は、等間隔に並んでいる。本実施形態では、全ての第5層間接続導体v5は、等間隔に並んでいる。
【0032】
また、第4列L4は、上下方向(積層方向)に見て、第2列L2と重なっている。そのため、第4列L4の前後方向(線幅方向)の位置は、第3列L3の前後方向(線幅方向)の位置と異なっている。本実施形態では、第4列L4は、第4中央線CL4より後(第2方向DIR2)に位置している。これにより、複数の第5層間接続導体v5のそれぞれの少なくとも一部分は、上下方向に見て、第4外縁OE4と第6中央線CL6との間に位置している。本実施形態では、複数の第5層間接続導体v5のそれぞれの全体は、上下方向に見て、第4外縁OE4と第6中央線CL6との間に位置している。そして、複数の第5層間接続導体v5のそれぞれから第4外縁OE4までの最短距離D4は、複数の第5層間接続導体v5の最大径より大きい。以上のような複数の第5層間接続導体v5のそれぞれは、前後方向に見て、複数の第4層間接続導体v4と重なっている。従って、前後方向に並ぶ1つの第4層間接続導体v4と1つの第5層間接続導体v5とを含む複数のペアが左右方向に並んでいる。以上のような複数の第5層間接続導体v5のそれぞれは、上下方向(積層方向)に見て、複数の第2層間接続導体v2と重なっていない。上下方向に見て、複数の第2層間接続導体v2と複数の第5層間接続導体v5とは、左右方向に交互に並んでいる。
【0033】
複数の第6層間接続導体v6は、樹脂層16cを上下方向(積層方向)に貫通している。複数の第6層間接続導体v6は、第2信号導体22bと第3信号導体22cとを電気的に接続している。複数の第6層間接続導体v6は、上下方向に見て、第3列L3と第4列L4との間に位置している。より詳細には、複数の第6層間接続導体v6は、上下方向(積層方向)に見て、第2信号導体22bに沿って延びる第6列L6に並んでいる。本実施形態では、第6列L6は、左右方向に延びる直線である。複数の第6層間接続導体v6の数は、3以上である。ただし、第6層間接続導体v6の数は、第4層間接続導体v4の数及び第5層間接続導体v5の数より少ない。なお、第6層間接続導体v6は、等間隔に並んでいてもよい。
【0034】
グランド導体24a(第1グランド導体・第1異電位導体)は、図1及び図2に示すように、積層体12に設けられている。グランド導体24aは、樹脂層16bの上主面に位置している。従って、グランド導体24aの上下方向の位置は、第1信号導体22aの上下方向の位置と同じである。ただし、グランド導体24a(第1グランド導体・第1異電位導体)は、第1信号導体22aより前(第1方向DIR1)に位置している。グランド導体24aは、左右方向に延びる帯形状を有している。従って、グランド導体24aは、第1信号導体22aの前において第1信号導体22aと平行に延びている。上下方向(積層方向)に見て、グランド導体24aと第1信号導体22aとの最短距離d1は、複数の第1層間接続導体v1の最大径より大きい。
【0035】
グランド導体24b(第2グランド導体)は、図1及び図3に示すように、積層体12に設けられている。グランド導体24b(第2グランド導体)の上下方向(積層方向)の位置は、グランド導体24a(第1グランド導体)の上下方向(積層方向)の位置と異なっている。グランド導体24bは、グランド導体24aより下に位置している。そのため、グランド導体24bは、樹脂層16cの上主面に位置している。従って、グランド導体24bの上下方向の位置は、第2信号導体22bの上下方向の位置と同じである。ただし、グランド導体24bは、第2信号導体22bより前(第1方向DIR1)に位置している。グランド導体24bは、左右方向に延びる帯形状を有している。従って、グランド導体24bは、第2信号導体22bの前において第2信号導体22bと平行に延びている。上下方向(積層方向)に見て、グランド導体24bと第2信号導体22bとの最短距離d2は、後述する複数の第2層間接続導体v2の最大径より大きい。このようなグランド導体24b(第2グランド導体)は、上下方向(積層方向)に見て、グランド導体24a(第1グランド導体)と重なっている。
【0036】
グランド導体24cは、図1に示すように、積層体12に設けられている。グランド導体24cの上下方向(積層方向)の位置は、グランド導体24a及びグランド導体24bの上下方向の位置と異なっている。グランド導体24cは、グランド導体24bより下に位置している。そのため、グランド導体24cは、樹脂層16dの上主面に位置している。従って、グランド導体24cの上下方向の位置は、第3信号導体22cの上下方向の位置と同じである。ただし、グランド導体24cは、第3信号導体22cより前(第1方向DIR1)に位置している。グランド導体24cは、左右方向に延びる帯形状を有している。従って、グランド導体24cは、第3信号導体22cの前において第3信号導体22cと平行に延びている。このようなグランド導体24cは、上下方向(積層方向)に見て、グランド導体24aと重なっている。
【0037】
複数の層間接続導体v10(グランド層間接続導体)は、図1及び図2に示すように、樹脂層16bを上下方向(積層方向)に貫通している。複数の層間接続導体v10(グランド層間接続導体)は、グランド導体24a(第1グランド導体)とグランド導体24b(第2グランド導体)とを電気的に接続している。複数の層間接続導体v10(グランド層間接続導体)は、第1信号導体22aに沿って並んでいる。複数の層間接続導体v10は、等間隔に並んでいる。ただし、複数の層間接続導体v10(グランド層間接続導体)のそれぞれは、前後方向(線幅方向)に見て、複数の第1層間接続導体v1と重なっていない。前後方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と複数の層間接続導体v10は、左右方向に交互に並んでいる。
【0038】
複数の層間接続導体v11は、図1及び図3に示すように、樹脂層16cを上下方向(積層方向)に貫通している。複数の層間接続導体v11は、グランド導体24b(第2グランド導体)とグランド導体24c(第3グランド導体)とを電気的に接続している。複数の層間接続導体v11は、第2信号導体22bに沿って並んでいる。複数の層間接続導体v11は、等間隔に並んでいる。ただし、複数の層間接続導体v11のそれぞれは、前後方向(線幅方向)に見て、複数の第4層間接続導体v4と重なっていない。前後方向に見て、複数の第4層間接続導体v4と複数の層間接続導体v11は、左右方向に交互に並んでいる。更に、複数の層間接続導体v11のそれぞれは、上下方向に見て、複数の層間接続導体v10と重なっていない。上下方向に見て、複数の層間接続導体v10と複数の層間接続導体v11とは、左右方向に交互に並んでいる。
【0039】
グランド導体26a~26c及び層間接続導体v12,v13は、グランド導体24a~24c及び層間接続導体v10,v11と前後対称な構造を有しているので、説明を省略する。
【0040】
信号電極28a,28b及びグランド電極30a,30b,32a,32bは、積層体12に設けられている。信号電極28a,28b及びグランド電極30a,30b,32a,32bは、樹脂層16aの上主面に位置している。信号電極28a及びグランド電極30a,32aは、樹脂層16aの左端部に位置している。グランド電極30a、信号電極28a及びグランド電極32aは、前から後へとこの順に並んでいる。信号電極28b及びグランド電極30b,32bは、樹脂層16aの右端部に位置している。グランド電極30b、信号電極28b及びグランド電極32bは、前から後へとこの順に並んでいる。以上のような信号電極28a,28b及びグランド電極30a,30b,32a,32bは、上下方向に見て、長方形状を有している。
【0041】
層間接続導体v21~v26は、樹脂層16aを上下方向に貫通している。層間接続導体v21は、第1信号導体22aの左端部と信号電極28aとを電気的に接続している。層間接続導体v22は、グランド導体24aの左端部とグランド電極30aとを電気的に接続している。層間接続導体v23は、グランド導体26aの左端部とグランド電極32aとを電気的に接続している。層間接続導体v24は、第1信号導体22aの右端部と信号電極28bとを電気的に接続している。層間接続導体v25は、グランド導体24aの右端部とグランド電極30bとを電気的に接続している。層間接続導体v26は、グランド導体26aの右端部とグランド電極32bを電気的に接続している。
【0042】
以上のような多層基板10では、信号電極28a,28bを介して高周波信号が入出力する。また、グランド電極30a,30b,32a,32bは、グランド電位に接続される。
【0043】
第1信号導体22a、第2信号導体22b、第3信号導体22c、グランド導体24a,24b,24c,26a,26b,26c、信号電極28a,28b及びグランド電極30a,30b,32a,32bは、樹脂層16a~16dの上主面に張り付けられた金属箔にパターニングが施されることにより形成された導体層である。金属箔は、例えば、銅箔である。
【0044】
複数の第1層間接続導体v1、複数の第2層間接続導体v2、複数の第3層間接続導体v3、複数の第4層間接続導体v4、複数の第5層間接続導体v5、複数の第6層間接続導体v6、複数の層間接続導体v10、複数の層間接続導体v11、複数の層間接続導体v12、複数の層間接続導体v13及び層間接続導体v21~v26は、樹脂層16a~16dを上下方向に貫通する貫通孔に導電性ペーストが充填され、加熱により導電性ペーストが固化されることにより形成されたビアホール導体である。ただし、複数の第1層間接続導体v1、複数の第2層間接続導体v2、複数の第3層間接続導体v3、複数の第4層間接続導体v4、複数の第5層間接続導体v5、複数の第6層間接続導体v6、複数の層間接続導体v10、複数の層間接続導体v11、複数の層間接続導体v12、複数の層間接続導体v13及び層間接続導体v21~v26は、樹脂層16a~16dを上下方向に貫通する貫通孔の内周面にメッキが施されることにより形成されたスルーホール導体であってもよい。
【0045】
[効果]
多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値を低減できる。より詳細には、複数の第1層間接続導体v1は、第1信号導体22aと第2信号導体22bとを電気的に接続している。複数の第2層間接続導体v2は、第1信号導体22aと第2信号導体22bとを電気的に接続している。複数の第1層間接続導体v1は、上下方向に見て、第1信号導体22aに沿って延びる第1列L1に並んでいる。複数の第2層間接続導体v2は、上下方向に見て、第1信号導体22aに沿って延びる第2列L2に並んでいる。そして、第2列L2の前後方向の位置は、第1列L1の前後方向の位置と異なっている。これにより、第1信号導体22aと第2信号導体22bとが多くの層間接続導体により接続されるようになる。更に、複数の第1層間接続導体v1及び複数の第2層間接続導体v2が第1信号導体22aの全体及び第2信号導体22bの全体に均一に分布しやすくなる。その結果、多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値を低減できる。
【0046】
多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値をより低減できる。より詳細には、複数の第1層間接続導体v1の内の少なくとも一部の第1層間接続導体v1は、等間隔に並んでいる。これにより、複数の第1層間接続導体v1が多層基板10の抵抗値の低減に寄与する効果が、第1信号導体22a及び第2信号導体22bにおいて均一に発生しやすくなる。その結果、多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値をより低減できる。
【0047】
多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値をより低減できる。より詳細には、第1列L1は、第1中央線CL1より前に位置している。第2列L2は、第1中央線CL1より後に位置している。これにより、第1列L1と第2列L2との距離が長くなる。これにより、第1信号導体22a及び第2信号導体22bにおいて、電流経路の断面積が広くなる。その結果、多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値をより低減できる。
【0048】
多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値をより低減できる。より詳細には、複数の第1層間接続導体v1のそれぞれの少なくとも一部分は、上下方向に見て、第1外縁OE1と第2中央線CL2との間に位置している。これにより、第1列L1と第2列L2との距離が更に長くなる。これにより、第1信号導体22a及び第2信号導体22bにおいて、電流経路の断面積が広くなる。その結果、多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値をより低減できる。
【0049】
多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値をより低減できる。より詳細には、複数の第1層間接続導体v1のそれぞれの少なくとも一部分は、上下方向に見て、第2外縁OE2と第3中央線CL3との間に位置している。これにより、第1列L1と第2列L2との距離が更に長くなる。これにより、第1信号導体22a及び第2信号導体22bにおいて、電流経路の断面積が広くなる。その結果、多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値をより低減できる。
【0050】
多層基板10によれば、以下の理由によっても、多層基板10の抵抗値を低減できる。より詳細には、複数の第1層間接続導体v1のそれぞれから第1外縁OE1までの最短距離D1は、複数の第1層間接続導体v1の最大径より大きい。これにより、複数の第1層間接続導体v1とグランド導体24a~24cとの距離が大きくなる。その結果、複数の第1層間接続導体v1とグランド導体24a~24cとの間に生じる寄生容量が小さくなる。同様に、複数の第1層間接続導体v1と複数の層間接続導体v10,v11(グランド層間接続導体)との距離が大きくなる。その結果、複数の第1層間接続導体v1と複数の層間接続導体v10,v11(グランド層間接続導体)との間に生じる寄生容量が小さくなる。以上より、多層基板10によれば、多層基板10の交流抵抗値を低減できる。
【0051】
多層基板10によれば、以下の理由によっても、多層基板10の抵抗値を低減できる。より詳細には、複数の層間接続導体v10(グランド層間接続導体)のそれぞれは、前後方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と重なっていない。これにより、複数の第1層間接続導体v1と複数の層間接続導体v10(グランド層間接続導体)との距離が大きくなる。その結果、複数の第1層間接続導体v1と複数の層間接続導体v10(グランド層間接続導体)との間に生じる寄生容量が小さくなる。以上より、多層基板10によれば、多層基板10の交流抵抗値を低減できる。
【0052】
多層基板10によれば、以下の理由によっても、多層基板10の抵抗値を低減できる。上下方向に見て、グランド導体24aと第1信号導体22aとの最短距離d1は、複数の第1層間接続導体v1の最大径より大きい。これにより、第1信号導体22aとグランド導体24aとの距離が大きくなる。その結果、第1信号導体22aとグランド導体24aとの間に生じる寄生容量が小さくなる。以上より、多層基板10によれば、多層基板10の交流抵抗値を低減できる。
【0053】
多層基板10によれば、以下の理由によっても、多層基板10の抵抗値を低減できる。より詳細には、第1信号導体22aの線幅及び第2信号導体22bの線幅が大きい場合、第1信号導体22aの線幅方向の中央及び第2信号導体22bの線幅方向の中央において、複数の第1層間接続導体v1及び複数の第2層間接続導体v2による抵抗値低減の効果が小さくなる。そこで、複数の第3層間接続導体v3は、第1信号導体22aと第2信号導体22bとを電気的に接続している。そして、複数の第3層間接続導体v3は、上下方向に見て、第1列L1と第2列L2との間に位置している。これにより、第1信号導体22aの線幅方向の中央及び第2信号導体22bの線幅方向の中央において、複数の第3層間接続導体v3による抵抗値低減の効果が生じるようになる。その結果、多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値をより低減できる。
【0054】
ただし、表皮効果により、第1信号導体22aの線幅方向の中央及び第2信号導体22bの線幅方向の中央には電流が流れにくい。そのため、第3層間接続導体v3の数は、第1層間接続導体v1の数及び2層間接続導体v2の数より少なくてもよい。これにより、第1信号導体22aの平坦性が第3層間接続導体v3によって損なわれることが抑制される。また、多層基板10の製造コストが低減される。
【0055】
多層基板10によれば、以下の理由によっても、多層基板10の抵抗値を低減できる。より詳細には、多層基板10では、複数の第4層間接続導体v4のそれぞれは、上下方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と重なっていない。これにより、第2信号導体22bにおいて第1層間接続導体v1と第4層間接続導体v4とを繋ぐ電流経路が発生する。よって、第2信号導体22bにおいて、電流経路の断面積が広くなる。その結果、多層基板10によれば、多層基板10の抵抗値をより低減できる。
【0056】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係る多層基板10aについて図面を参照しながら説明する。図4は、多層基板10aの断面図である。図4では、左右方向に直交する断面を示した。
【0057】
多層基板10aは、グランド導体24b,26bの代わりに第1異電位信号導体102a及び第2異電位信号導体102bを更に備えている点において多層基板10と相違する。第1異電位信号導体102aは、積層体12に設けられている。第1異電位信号導体102aは、グランド導体24a(第1グランド導体・第1異電位導体)より下(第4方向DIR4)に位置している。また、第1異電位信号導体102aは、グランド導体24cより上に位置している。本実施形態では、第1異電位信号導体102aは、樹脂層16cの上主面に位置している。更に、第1異電位信号導体102aは、上下方向(積層方向)に見て、グランド導体24a(第1グランド導体・第1異電位導体)と重なっている。第1異電位信号導体102aは、上下方向(積層方向)に見て、グランド導体24cと重なっている。このように、第1異電位信号導体102a及びグランド導体24a,24cは、ストリップライン構造を有している。第2異電位信号導体102bの構造は、第1異電位信号導体102aの構造と前後対称であるので、説明を省略する。第1異電位信号導体102a(第2異電位導体)及び第2異電位信号導体102bを伝送される高周波信号の周波数は、第1信号導体22a及び第2信号導体22bを伝送される高周波信号の周波数より高い。第1異電位信号導体102a及び第2異電位信号導体102bを伝送される高周波信号の周波数は、2.4GHz帯及び/又は5GHz帯に属している。
【0058】
また、第1信号導体22aの上下方向(積層方向)の位置は、グランド導体24a(第1グランド導体)の上下方向(積層方向)の位置より上(第3方向DIR3)に位置している、又は、グランド導体24a(第1グランド導体)の上下方向(積層方向)の位置と同じである。本実施形態では、第1信号導体22aの上下方向(積層方向)の位置は、グランド導体24a(第1グランド導体)の上下方向(積層方向)の位置と同じである。そのため、第1信号導体22a及びグランド導体24aは、樹脂層16bの上主面に位置している。
【0059】
また、第2信号導体22bの上下方向(積層方向)の位置は、グランド導体24a(第1グランド導体・第1異電位導体)の上下方向(積層方向)の位置より下(第4方向DIR4)に位置している。本実施形態では、第2信号導体22bの上下方向(積層方向)の位置は、第1異電位信号導体102aの上下方向(積層方向)の位置と同じである。そのため、第2信号導体22b及び第1異電位信号導体102aは、樹脂層16cの上主面に位置している。多層基板10aのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。
【0060】
多層基板10aによれば、多層基板10aの上下方向の大きさが小さくなる。より詳細には、第1異電位信号導体102a及び第2異電位信号導体102bを伝送される高周波信号の周波数は、第1信号導体22a及び第2信号導体22bを伝送される高周波信号の周波数より高い。換言すると、第1信号導体22a及び第2信号導体22bを伝送される高周波信号の周波数は、第1異電位信号導体102a及び第2異電位信号導体102bを伝送される高周波信号の周波数より低い。第1信号導体22aを伝送される高周波信号の波長が第1信号導体22aの長さより長くなりやすい。そのため、第1信号導体22aの両端間に定常波が発生しにくい。従って、第1信号導体22aからノイズが放射されにくいので、第1信号導体22aの上にグランド導体が不要である。
【0061】
そこで、第1信号導体22aの上下方向(積層方向)の位置は、グランド導体24a(第1グランド導体)の上下方向(積層方向)の位置より上(第3方向DIR3)に位置している、又は、グランド導体24a(第1グランド導体)の上下方向(積層方向)の位置と同じである。このように、多層基板10aでは、第1信号導体22aが積層体12の上主面近傍に位置することができる。その結果、第1信号導体22aの上に更なる導体が設けられなくてもよいので、多層基板10aの上下方向の大きさが小さくなる。
【0062】
一般的に、多層基板では、信号導体の上の領域にはグランド導体が設けられることが多い。一方、多層基板10aでは、第1信号導体22aが積層体12の上主面近傍に位置することができる。すなわち、多層基板10aでは、一般的にグランド導体が設けられる領域に第1信号導体22aが位置している。これにより、第1信号導体22aを配置するために、樹脂層を増加させる必要がない。すなわち、信号導体の数が増加しても、積層体12の上下方向の大きさが大きくなりにくい。よって、積層体12の上下方向の大きさが大きくなることを抑制しつつ、多層基板10aの抵抗値が低減される。換言すれば、多層基板10aにおいて所望の抵抗値を得る場合には、各信号導体層の上下方向の大きさを小さくしてもよい。その結果、多層基板10aの抵抗値の増加を抑制しつつ、多層基板10aの上下方向の大きさを小さくできる。
【0063】
また、多層基板10aでは、グランド導体24aの上下方向の位置と同じ位置に第1信号導体22aが存在している。そのため、グランド導体24aの上下方向の位置と同じ位置も信号導体の配置スペースとして利用される。すなわち、多層基板10aでは、信号導体の数を増加させることができる。複数の信号導体が並列に接続されることにより、多層基板10aの抵抗値を低減できる。
【0064】
(第2変形例)
以下に、第2変形例に係る多層基板10bについて図面を参照しながら説明する。図5は、多層基板10bの断面図である。図5では、左右方向に直交する断面を示した。
【0065】
多層基板10bは、樹脂層16e、第1異電位導体104a、第2異電位導体104b、第3異電位導体104c、第4異電位導体104d及び第4信号導体22dを更に備えている点において多層基板10と相違する。樹脂層16eは、樹脂層16aの上に積層されている。
【0066】
第4信号導体22d、第1信号導体22a、第2信号導体22b及び第3信号導体22cのそれぞれは、樹脂層16eの上主面、樹脂層16aの上主面、樹脂層16bの上主面、樹脂層16cの上主面及び樹脂層16dの上主面に位置している。第1信号導体22aの線幅及び第2信号導体22bの線幅は、第3信号導体22cの線幅及び第4信号導体22dの線幅と異なる。第1信号導体22aの線幅及び第2信号導体22bの線幅は、第3信号導体22cの線幅及び第4信号導体22dの線幅より大きい。
【0067】
第1異電位導体104a、第2異電位導体104b、第3異電位導体104c及び第4異電位導体104dは、積層体12に設けられている。第1異電位導体104aの電位、第2異電位導体104bの電位、第3異電位導体104cの電位及び第4異電位導体104dの電位のそれぞれは、第1信号導体22aの電位、第2信号導体22bの電位、第3信号導体22cの電位及び第4信号導体22dの電位と異なっている。第1異電位導体104a、第2異電位導体104b、第3異電位導体104c及び第4異電位導体104dは、上から下へとこの順に並んでいる。具体的には、第1異電位導体104a、第2異電位導体104b、第3異電位導体104c及び第4異電位導体104dのそれぞれは、樹脂層16aの上主面、樹脂層16bの上主面、樹脂層16cの上主面及び樹脂層16dの上主面に位置している。これにより、第1異電位導体104aは、第1信号導体22aより上(第3方向DIR3)に位置している。
【0068】
また、第1異電位導体104a及び第2異電位導体104bのそれぞれは、第1信号導体22aより前(第1方向DIR1)に位置している。ただし、上下方向(積層方向)に見て、第2異電位導体104bと第1信号導体22aとの最短距離D10は、複数の第1層間接続導体v1の最大径より大きい。そして、上下方向(積層方向)に見て、第1異電位導体104aは、第1信号導体22aの一部分と重なっている。更に、上下方向(積層方向)に見て、第1異電位導体104aは、複数の第1層間接続導体v1の内の少なくとも1以上の第1層間接続導体v1と重なっている。多層基板10bのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。多層基板10bは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。
【0069】
また、多層基板10bでは、上下方向(積層方向)に見て、第1異電位導体104aは、第1信号導体22aと重なっている。更に、上下方向(積層方向)に見て、第1異電位導体104aは、複数の第1層間接続導体v1の内の少なくとも1以上の第1層間接続導体v1と重なっている。多層基板10bがこのような構造を有することにより、多層基板10bの設計自由度が向上する。
【0070】
(第3変形例)
以下に、第3変形例に係る多層基板10cについて図面を参照しながら説明する。図6は、多層基板10cの樹脂層16bの上面図である。
【0071】
多層基板10cは、以下の点において多層基板10と相違する。
・前後方向(線幅方向)に見て、複数の第2層間接続導体v2のそれぞれは、複数の第1層間接続導体v1と重なっていない。
【0072】
これにより、前後方向(線幅方向)に見て、複数の第1層間接続導体v1及び複数の第2層間接続導体v2は、左右方向に交互に並んでいる。多層基板10cのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。多層基板10cは、多層基板10と同じ作用効果を奏することができる。
【0073】
多層基板10cによれば、多層基板10の抵抗値を低減できる。より詳細には、第1信号導体22a及び第2信号導体22bにおける第1層間接続導体v1と第2層間接続導体v2とを繋ぐ電流経路は、左右方向に対して斜めに傾斜する。これにより、第1信号導体22a及び第2信号導体22bにおいて、電流経路の断面積が広くなる。その結果、多層基板10cによれば、多層基板10cの抵抗値を低減できる。
【0074】
多層基板10cによれば、多層基板10cの抵抗値を低減できる。より詳細には、前後方向(線幅方向)に見て、複数の第2層間接続導体v2のそれぞれは、複数の第1層間接続導体v1と重なっていない。これにより、複数の第1層間接続導体v1と複数の第2層間接続導体v2との距離が大きくなる。その結果、複数の第1層間接続導体v1と複数の第2層間接続導体v2との間に生じる寄生容量が小さくなる。以上より、多層基板10cによれば、多層基板10cの交流抵抗値を低減できる。
【0075】
多層基板10cによれば、多層基板10cの抵抗値を低減できる。より詳細には、複数の層間接続導体v10(グランド層間接続導体)のそれぞれは、前後方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と重なっていない。これにより、複数の第1層間接続導体v1と複数の層間接続導体v10(グランド層間接続導体)との距離が大きくなる。その結果、複数の第1層間接続導体v1と複数の層間接続導体v10(グランド層間接続導体)との間に生じる寄生容量が小さくなる。以上より、多層基板10cによれば、多層基板10cの交流抵抗値を低減できる。
【0076】
(第4変形例)
以下に、第4変形例に係る多層基板10dについて図面を参照しながら説明する。図7は、多層基板10dの断面図である。
【0077】
多層基板10dは、第1信号導体22aの線幅が、第2信号導体22bの線幅及び第3信号導体22cの線幅と異なる点において多層基板10と相違する。本実施形態では、第1信号導体22aの線幅は、第2信号導体22bの線幅及び第3信号導体22cの線幅より小さい。多層基板10dのその他の構造は、多層基板10と同じであるので説明を省略する。多層基板10dは、多層基板10と同じ作用効果を奏する。
【0078】
(その他の実施形態)
本発明に係る回路基板は、多層基板10,10a~10dに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。なお、多層基板10,10a~10dの構成を任意に組み合わせてもよい。
【0079】
なお、第3信号導体22c及び第4信号導体22dは必須の構成要件ではない。
【0080】
なお、第1異電位導体104a、第2異電位導体104b、第3異電位導体104c及び第4異電位導体104dは、グランド導体であってもよいし、信号導体であってもよい。
【0081】
なお、第3層間接続導体v3は、必須の構成要件ではない。
【0082】
なお、第3層間接続導体v3の数は、1以上であればよい。また、複数の第3層間接続導体v3の数は、複数の第1層間接続導体v1の数及び複数の第2層間接続導体v2の数以上であってもよい。
【0083】
なお、グランド導体24a~24c,26a~26cは、必須の構成要件ではない。
【0084】
なお、複数の層間接続導体v10のそれぞれは、前後方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と重なっていてもよい。
【0085】
なお、複数の第4層間接続導体v4のそれぞれは、上下方向に見て、複数の第1層間接続導体v1と重なっていてもよいし、複数の第1層間接続導体v1と重なっていなくてもよい。
【0086】
なお、複数の第5層間接続導体v5のそれぞれは、上下方向に見て、複数の第2層間接続導体v2と重なっていてもよいし、複数の第2層間接続導体v2と重なっていなくてもよい。
【0087】
なお、第1列L1は、上下方向に見て、第3列L3と重なっていてもよいし、第3列L3と重なっていなくてもよい。
【0088】
なお、第2列L2は、上下方向に見て、第4列L4と重なっていてもよいし、第4列L4と重なっていなくてもよい。
【0089】
なお、複数の第1層間接続導体v1及び複数の第2層間接続導体v2は、等間隔に並んでいなくてもよい。
【0090】
なお、第1列L1及び第2列L2は、第1中央線CL1より前に位置していてもよい。第1列L1及び第2列L2は、第1中央線CL1より後に位置していてもよい。
【0091】
なお、複数の第1層間接続導体v1のそれぞれの少なくとも一部分は、上下方向に見て、第1中央線CL1と第2中央線CL2との間に位置していてもよい。
【0092】
なお、複数の第2層間接続導体v2のそれぞれの少なくとも一部分は、上下方向に見て、第1中央線CL1と第3中央線CL3との間に位置していてもよい。
【0093】
なお、複数の第1層間接続導体v1のそれぞれから第1外縁OE1までの最短距離d1は、複数の第1層間接続導体v1の最大径以下でもよい。
【0094】
なお、多層基板10bにおいて、第1異電位導体104aは、上下方向に見て、第1層間接続導体v1と重なっていなくてもよい。
【0095】
なお、多層基板10bにおいて、上下方向に見て、第2異電位導体104bと第1信号導体22aとの最短距離D10は、複数の第1層間接続導体v1の最大径以下でもよい。
【0096】
なお、積層体12は、上下方向に見て、前後方向に曲がっていてもよい。
【0097】
なお、第1列L1及び第2列L2は、直線でなくてもよい。第1列L1及び第2列L2は、曲線であってもよい。
【0098】
なお、多層基板10,10a~10cにおいて、第2信号導体22bの全体が、上下方向に見て、第1信号導体22aと重なっている。しかしながら、第2信号導体22bの一部分のみが、上下方向に見て、第1信号導体22aと重なっていてもよい。
【0099】
なお、第1異電位信号導体102a及び第2異電位信号導体102bを伝送される高周波信号の周波数は、第1信号導体22a及び第2信号導体22bを伝送される高周波信号の周波数以下でもよい。
【0100】
なお、下方向が第3方向DIR3であってもよい。上方向が第4方向DIR4であってもよい。
【0101】
なお、後方向が第1方向DIR1であってもよい。前方向が第2方向DIR2であってもよい。
【0102】
なお、樹脂層16a~16dの材料は、熱可塑性樹脂以外の樹脂であってもよい。ただし、樹脂層16a~16dの材料が熱可塑性樹脂である場合には、多層基板10を塑性変形させることができる。
【0103】
なお、多層基板10は、第1信号導体22aより上に位置し、かつ、上下方向に見て、第1信号導体22aと重なるグランド導体を更に備えていてもよい。多層基板10は、第3信号導体22cより下に位置し、かつ、上下方向に見て、第3信号導体22cと重なるグランド導体を更に備えていてもよい。
【0104】
なお、多層基板10aにおいて、第1信号導体22aの上下方向(積層方向)の位置は、グランド導体24a(第1グランド導体)の上下方向(積層方向)の位置より上(第3方向DIR3)に位置していてもよい。
【符号の説明】
【0105】
10,10a~10d:多層基板
12:積層体
16a~16e:樹脂層
22a:第1信号導体
22b:第2信号導体
22c:第3信号導体
22d:第4信号導体
24a~24c,26a~26c:グランド導体
102a:第1異電位信号導体
102b:第2異電位信号導体
104a:第1異電位導体
104b:第2異電位導体
104c:第3異電位導体
104d:第4異電位導体
CL1:第1中央線
CL2:第2中央線
CL3:第3中央線
CL4:第4中央線
CL5:第5中央線
CL6:第6中央線
L1:第1列
L2:第2列
L3:第3列
L4:第4列
L5:第5列
L6:第6列
OE1:第1外縁
OE2:第2外縁
OE3:第3外縁
OE4:第4外縁
v1:第1層間接続導体
v2:第2層間接続導体
v3:第3層間接続導体
v4:第4層間接続導体
v5:第5層間接続導体
v6:第6層間接続導体
v10~v13,v21~v26:層間接続導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7