(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】保守端末、ならびに保守端末に装着されるICカードの管理システム、管理プログラム、および管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2023554193
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 JP2021039012
(87)【国際公開番号】W WO2023067780
(87)【国際公開日】2023-04-27
【審査請求日】2023-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小口 明彦
(72)【発明者】
【氏名】小澤 匡史
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-96133(JP,A)
【文献】特開2009-152741(JP,A)
【文献】特開2019-204157(JP,A)
【文献】特開2019-149758(JP,A)
【文献】特開平10-79829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビル設備の保守作業を支援する保守端末であり、
広域通信網に接続するユーザの識別に用いられる識別情報を記憶するICカードを装着する装着部と、
前記装着部に装着されている前記ICカードから、前記識別情報を読み取る読取部と、
保守端末の起動時に前記読取部が読み取った前記識別情報または当該識別情報に一意に対応する情報を前記ICカードの情報として、前記ICカードの現品管理を行う管理サーバに保守端末の起動時に送信する通信部と、
前記管理サーバから送信される制御信号が入力されたときに保守端末を起動させ、前記通信部から前記管理サーバへの前記ICカードの情報の送信が完了したときに保守端末を停止させる制御部と、
を備える保守端末。
【請求項2】
前記通信部は、保守端末の起動時に、前記読取部が前記識別情報を読み取った時刻を前記管理サーバに送信する
請求項1に記載の保守端末。
【請求項3】
ビル設備の保守作業を支援する保守端末と、
広域通信網に接続するユーザの識別に用いられる識別情報を記憶するICカードの現品管理を行う管理サーバと、
を備え、
前記保守端末は、
前記ICカードを装着する装着部と、
前記装着部に装着されている前記ICカードから、前記識別情報を読み取る読取部と、
前記保守端末の起動時に前記読取部が読み取った前記識別情報または当該識別情報に一意に対応する情報を前記ICカードの情報として、前記管理サーバに前記保守端末の起動時に送信する通信部と、
前記管理サーバから送信される制御信号が入力されたときに前記保守端末を起動させ、前記通信部から前記管理サーバへの前記ICカードの情報の送信が完了したときに前記保守端末を停止させる制御部と、
を備える
管理システム。
【請求項4】
前記管理サーバは、
前記保守端末から前記ICカードの情報を受信するときに、受信した情報を記憶する記憶部
を備える
請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
前記通信部は、前記保守端末が置かれている拠点に構築された構内通信網を通じて前記ICカードの情報を前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記構内通信網を特定する情報に基づいて、前記ICカードが置かれている拠点を特定する
請求項3または請求項4に記載の管理システム。
【請求項6】
前記通信部は、前記保守端末の起動時に、送信元が偽装されていないことを示す電子証明書の情報を前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記電子証明書の情報に基づいて、前記ICカードを装着している前記保守端末を特定する
請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項7】
ビル設備の保守作業を支援し、広域通信網に接続するユーザの識別に用いられる識別情報を記憶するICカードを装着する保守端末に、
前記ICカードの現品管理を行う管理サーバから送信される制御信号が入力されたときに前記保守端末を起動させる起動ステップと、
前記保守端末の
前記起動ステップによる起動時に、前記保守端末に装着されている前記ICカードから、前記識別情報を読み取る読取ステップと、
前記読取ステップにおいて読み取った前記識別情報または当該識別情報に一意に対応する情報を前記ICカードの情報として、
前記管理サーバに送信する通信ステップと、
前記通信ステップにおける前記管理サーバへの前記ICカードの情報の送信が完了したときに前記保守端末を停止させる停止ステップと、
を実行させる管理プログラム。
【請求項8】
ビル設備の保守作業を支援する保守端末に装着され、広域通信網に接続するユーザの識別に用いられる識別情報を記憶するICカードの管理方法であり、
前記ICカードの現品管理を行う管理サーバから送信される制御信号が入力されたときに前記保守端末を起動させる起動ステップと、
前記保守端末の
前記起動ステップによる起動時に、前記保守端末に装着されている前記ICカードから、前記保守端末が前記識別情報を読み取る読取ステップと、
前記読取ステップにおいて読み取った前記識別情報または当該識別情報に一意に対応する情報を前記ICカードの情報として、
前記管理サーバに前記保守端末が送信する通信ステップと、
前記通信ステップにおける前記管理サーバへの前記ICカードの情報の送信が完了したときに前記保守端末を停止させる停止ステップと、
を備える管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保守端末、ならびに保守端末に装着されるICカードの管理システム、管理プログラム、および管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、通信端末の例を開示する。通信端末は、ICカード(IC:Integrated Circuit)を装着する。ICカードは、ユーザの識別に用いられる識別情報を記憶する識別情報に基づいてユーザが認証されるときに、通信端末は、通信網に接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ビル設備の保守作業において、作業を支援する保守端末が利用されることがある。保守端末において、通信網への接続のために、特許文献1のICカードなどが装着されることがある。このとき、ビル設備の保守会社は、保守端末に装着されるICカードの所在などの現品管理を行う。しかしながら、一般に、保守端末に装着されるICカード自体は小さく、また、保守端末に装着されているときにICカードが外部から視認されないことから、ICカードの所在を確認する棚卸の作業に手間がかかることがある。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、ICカードの所在の管理をより容易にできる保守端末、管理システム、管理プログラム、および管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る保守端末は、ビル設備の保守作業を支援する保守端末であり、広域通信網に接続するユーザの識別に用いられる識別情報を記憶するICカードを装着する装着部と、前記装着部に装着されている前記ICカードから、前記識別情報を読み取る読取部と、保守端末の起動時に前記読取部が読み取った前記識別情報または当該識別情報に一意に対応する情報を前記ICカードの情報として、前記ICカードの現品管理を行う管理サーバに保守端末の起動時に送信する通信部と、前記管理サーバから送信される制御信号が入力されたときに保守端末を起動させ、前記通信部から前記管理サーバへの前記ICカードの情報の送信が完了したときに保守端末を停止させる制御部と、を備える。
【0007】
本開示に係る管理システムは、ビル設備の保守作業を支援する保守端末と、広域通信網に接続するユーザの識別に用いられる識別情報を記憶するICカードの現品管理を行う管理サーバと、を備え、前記保守端末は、前記ICカードを装着する装着部と、前記装着部に装着されている前記ICカードから、前記識別情報を読み取る読取部と、前記保守端末の起動時に前記読取部が読み取った前記識別情報または当該識別情報に一意に対応する情報を前記ICカードの情報として、前記管理サーバに前記保守端末の起動時に送信する通信部と、前記管理サーバから送信される制御信号が入力されたときに前記保守端末を起動させ、前記通信部から前記管理サーバへの前記ICカードの情報の送信が完了したときに前記保守端末を停止させる制御部と、を備える。
【0008】
本開示に係る管理プログラムは、ビル設備の保守作業を支援し、広域通信網に接続するユーザの識別に用いられる識別情報を記憶するICカードを装着する保守端末に、前記ICカードの現品管理を行う管理サーバから送信される制御信号が入力されたときに前記保守端末を起動させる起動ステップと、前記保守端末の前記起動ステップによる起動時に、前記保守端末に装着されている前記ICカードから、前記識別情報を読み取る読取ステップと、前記読取ステップにおいて読み取った前記識別情報または当該識別情報に一意に対応する情報を前記ICカードの情報として、前記管理サーバに送信する通信ステップと、前記通信ステップにおける前記管理サーバへの前記ICカードの情報の送信が完了したときに前記保守端末を停止させる停止ステップと、を実行させる。
【0009】
本開示に係る管理方法は、ビル設備の保守作業を支援する保守端末に装着され、広域通信網に接続するユーザの識別に用いられる識別情報を記憶するICカードの管理方法であり、前記ICカードの現品管理を行う管理サーバから送信される制御信号が入力されたときに前記保守端末を起動させる起動ステップと、前記保守端末の前記起動ステップによる起動時に、前記保守端末に装着されている前記ICカードから、前記保守端末が前記識別情報を読み取る読取ステップと、前記読取ステップにおいて読み取った前記識別情報または当該識別情報に一意に対応する情報を前記ICカードの情報として、前記管理サーバに前記保守端末が送信する通信ステップと、前記通信ステップにおける前記管理サーバへの前記ICカードの情報の送信が完了したときに前記保守端末を停止させる停止ステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る保守端末、管理システム、管理プログラム、または管理方法によれば、ICカードの所在の管理がより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係る管理システムの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る管理システムの動作の例を示すシーケンス図である。
【
図3】実施の形態1に係る管理システムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る管理システム1の構成図である。
【0014】
管理システム1は、ビル設備の保守作業を行う保守会社などによって運用されるシステムである。ビル設備は、例えば、エレベーターもしくはエスカレーターなどの昇降機、空調設備、または入退管理装置などのビルに適用される設備である。管理システム1は、保守会社の備品などの現品管理を行うシステムである。管理システム1は、保守会社の複数の拠点2にわたって構築される。各々の拠点2は、例えば保守会社の本社、支社、支店、または情報センターなどである。各々の拠点2において、例えばLAN(Local Area Network)などの構内通信網3が構築されている。各々の拠点2の構内通信網3は、例えばインターネットまたは電話網などの広域通信網4によって互いに接続されている。管理システム1は、複数の保守端末5と、管理サーバ6と、を備える。
【0015】
各々の保守端末5は、保守員によるビル設備の保守作業を支援する端末装置である。保守端末5は、例えば、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはスマートフォンなどの可搬な情報端末である。各々の保守端末5は、広域通信網4を通じて、保守作業を支援する情報の通信などを行う機能を搭載する。各々の保守端末5は、広域通信網4のユーザの識別に用いられる識別情報を用いて広域通信網4に接続する。ここで、広域通信網4の接続に用いられる識別情報は、保守端末5に装着されるICカード7に記憶されている。広域通信網4のユーザは、例えば電話網の加入者などである。識別情報は、例えばIMSI(International Mobile Subscriber Identity)などである。ICカード7は、例えばSIMカード(SIM:Subscriber Identity Module)などである。各々の保守端末5は、保守作業の支援に利用されていないときに、例えば保守会社の支店などのいずれかの拠点2において保管される。各々の保守端末5は、いずれかの拠点2に置かれているときに、広域通信網4を通じて管理サーバ6に接続しうるように、当該拠点2の構内通信網3に接続可能に設定されている。このとき、保守端末5は、例えば、当該拠点2に設けられた外部電源に接続されて電力の供給を受けている。
【0016】
管理システム1における各々の保守端末5の動作は、保守端末5にインストールされている管理プログラムなどに基づいて実行される。管理プログラムは、例えば保守端末5にインストールされるアプリケーションソフトウェアなどである。各々の保守端末5は、装着部8と、読取部9と、第1通信部10と、制御部11と、を備える。
【0017】
装着部8は、ICカード7が装着される部分である。装着部8において、例えばICカード7が挿入されるスロットが設けられる。
【0018】
読取部9は、装着部8に装着されているICカード7から情報を読み取る機能を搭載する部分である。読取部9は、例えばICカード7から識別情報を読み取る。
【0019】
第1通信部10は、保守端末5の外部装置との間の通信を行う機能を搭載する部分である。第1通信部10は、例えば読取部9が読み取った識別情報を用いて広域通信網4に接続する。第1通信部10は、読取部9が読み取った識別情報に一意に対応する情報を用いて広域通信網4に接続してもよい。識別情報に一意に対応する情報は、例えば電話番号などである。ICカード7の識別情報および電話番号の対応は、例えば当該ICカード7に記憶されていてもよい。保守端末5がいずれかの拠点2に置かれているときに、第1通信部10は、当該拠点2の構内通信網3を通じて広域通信網4に接続してもよい。
【0020】
制御部11は、保守端末5の動作を制御する部分である。ここで、保守端末5の動作は、保守端末5の起動および停止などを含む。制御部11は、例えば保守端末5の起動時に起動処理を行う。
【0021】
管理サーバ6は、保守会社の備品などの現品管理に関する情報処理の機能を搭載する。保守会社の備品は、例えばICカード7などである。ここで、備品であるICカード7の現品管理は、ICカード7の所在の確認などの管理を含む。管理サーバ6の機能の一部または全部は、例えば、保守会社の情報センターなどのいずれかの拠点2に配置された1つまたは複数のサーバ装置に搭載される。あるいは、管理サーバ6の機能の一部または全部は、情報センターの外部に配置された1つもしくは複数のサーバ装置などに搭載されてもよい。管理サーバ6の機能の一部または全部は、クラウドサービス上の記憶または処理のリソースなどによって実装されるものであってもよい。管理サーバ6は、第2通信部12と、記憶部14と、処理部13と、を備える。
【0022】
第2通信部12は、管理サーバ6の外部装置との間の通信を行う機能を搭載する部分である。第2通信部12は、例えば広域通信網4を通じて外部装置と通信する。
【0023】
記憶部14は、情報を記憶する機能を搭載する部分である。記憶部14において、管理テーブルが記憶される。管理テーブルは、ICカード7の現品管理に関する情報を格納するテーブルである。管理テーブルにおいて、例えばICカード7の識別情報および当該ICカード7の所在などの情報が格納されている。
【0024】
処理部13は、ICカード7の現品管理に関する情報処理を行う機能を搭載する部分である。処理部13における情報処理は、例えば記憶部14が記憶している管理テーブルの情報の更新などの処理を含む。
【0025】
続いて、
図2を用いて、管理システム1の動作の例を説明する。
図2は、実施の形態1に係る管理システム1の動作の例を示すシーケンス図である。
【0026】
保守端末5がいずれかの拠点2に置かれているときに、例えば保守員または当該保守端末5の管理者などによって保守端末5が起動される。保守端末5が起動するときに、当該保守端末5の制御部11は、起動処理を開始する。ここで、起動処理において、第1通信部10は、保守端末5が置かれている拠点2の構内通信網3および広域通信網4を通じて、管理サーバ6の第2通信部12と通信を行う。
【0027】
起動処理が開始するときに、保守端末5の読取部9は、装着部8に装着されているICカード7から識別情報を読み取る。この例において、読取部9は、ICカード7から識別情報を読み取った時刻を取得する。また、読取部9は、保守端末5の電子証明書の情報を当該保守端末5の本体から読み取る。
【0028】
その後、保守端末5の第1通信部10は、読取部9が読み取った電子証明書の情報とともに、保守端末5の認証の要求を管理サーバ6の第2通信部12に送信する。
【0029】
その後、管理サーバ6の処理部13は、保守端末5から受信した電子証明書に基づいて、情報の送信元が偽装されていないことを確認する認証の処理を行う。送信元の保守端末5を認証した後に、管理サーバ6の第2通信部12は、保守端末5の第1通信部10に認証結果を送信する。
【0030】
その後、保守端末5の第1通信部10は、管理サーバ6に管理情報を送信する。管理情報は、ICカード7の情報を含む。管理情報に含まれるICカード7の情報は、当該ICカード7の識別情報などである。管理情報に含まれるICカード7の情報は、当該ICカード7の識別情報に一意に対応する電話番号などの情報であってもよい。この例において、管理情報は、読取部9が識別情報を読み取った時刻の情報を含む。管理サーバ6への管理情報の送信が完了したときに、制御部11は、起動処理を終了する。
【0031】
その後、管理サーバ6の処理部13は、保守端末5から受信した管理情報を用いて、記憶部14が記憶している管理テーブルを更新する。処理部13は、ICカード7の識別情報および電話番号の一方または両方、ならびに識別情報が読み取られた時刻の情報を関連付けて管理テーブルに格納する。処理部13は、保守端末5から受信した電子証明書に基づいて、当該保守端末5を、ICカード7が装着されている保守端末5として特定する。処理部13は、このとき特定した保守端末5の情報を、当該ICカード7の情報に関連付けて管理テーブルに格納する。処理部13は、保守端末5との通信を中継する構内通信網3を特定する情報に基づいて、当該構内通信網3が構築されている拠点2を、ICカード7が置かれている拠点2として特定する。処理部13は、このとき特定した拠点2の情報を、当該ICカード7の情報に関連付けて管理テーブルに格納する。ここで、構内通信網3を特定する情報は、例えばIPアドレス(IP:Internet Protocol)などである。当該情報は、IPアドレスの第3オクテットなどの一部の情報であってもよい。当該情報と拠点2との対応は、例えば管理サーバ6の記憶部14に記憶されている。
【0032】
以上に説明したように、実施の形態1に係る管理システム1は、保守端末5と、管理サーバ6と、を備える。保守端末5は、ビル設備の保守作業を支援する。管理サーバ6は、ICカード7の現品管理を行う。ICカード7は、広域通信網4に接続するユーザの識別に用いられる識別情報を記憶する。保守端末5は、装着部8と、読取部9と、第1通信部10と、を備える。装着部8は、ICカード7を装着する部分である。読取部9は、装着部8に装着されているICカード7から識別情報を読み取る。第1通信部10は、保守端末5の起動時に読取部9が読み取った識別情報または当該識別情報に一意に対応する情報をICカード7の情報として、管理サーバ6に保守端末5の起動時に送信する。
また、管理サーバ6は、記憶部14を備える。記憶部14は、保守端末5からICカード7の情報を受信するときに、受信した情報を記憶する。
また、実施の形態1に係る管理方法は、読取ステップと、通信ステップと、を備える。読取ステップは、保守端末5の起動時に、保守端末5に装着されているICカード7から、保守端末5が識別情報を読み取るステップである。通信ステップは、読取ステップにおいて読み取った識別情報または当該識別情報に一意に対応する情報をICカード7の情報として、管理サーバ6に保守端末5が送信するステップである。
また、実施の形態1に係る管理プログラムは、保守端末5に、読取ステップと、通信ステップと、を実行させるプログラムである。
【0033】
このような構成により、ICカード7を装着している保守端末5を起動することで、当該ICカード7の所在の情報が自動的に管理サーバ6に送信される。これにより、小さいICカード7を、装着されている保守端末5から取り外して探す必要がなくなるため、ICカード7の所在を確認する棚卸の作業がより容易になる。また、ICカード7自体に個体を容易に識別する情報が記載されていない場合においても、保守端末5の起動時にICカード7の所在の情報が自動的に管理サーバ6に送信されるので、保守端末5またはICカード7の管理者によるICカード7の棚卸の作業がより容易になる。
【0034】
また、第1通信部10は、保守端末5の起動時に、読取部9が識別情報を読み取った時刻を管理サーバ6に送信する。
【0035】
このような構成により、ICカード7の所在がいつの時点まで確認されていたかの情報が自動的に収集されるようになる。これにより、ICカード7の現品管理がより容易になる。
【0036】
また、第1通信部10は、保守端末5が置かれている拠点2に構築された構内通信網3を通じてICカード7の情報を管理サーバ6に送信する。管理サーバ6は、構内通信網3を特定する情報に基づいて、ICカード7が置かれている拠点2を特定する。
【0037】
このような構成により、ICカード7の所在がどこの拠点2で確認されていたかの情報が自動的に収集されるようになる。これにより、ICカード7の現品管理がより容易になる。例えばICカード7および保守端末5の管理および保管を行う拠点2が変わった場合などにおいても、管理テーブルにおける拠点2の情報を自動的に更新できるようになる。
【0038】
また、第1通信部10は、保守端末5の起動時に、送信元が偽装されていないことを示す電子証明書の情報を管理サーバ6に送信する。管理サーバ6は、電子証明書の情報に基づいて、ICカード7を装着している保守端末5を特定する。
【0039】
このような構成により、ICカード7の所在を確認した時点でどの保守端末5に装着されていたかの情報が自動的に収集されるようになる。これにより、ICカード7の現品管理がより容易になる。例えばICカード7を装着する保守端末5が変わった場合などにおいても、管理テーブルにおける保守端末5の情報を自動的に更新できるようになる。
【0040】
なお、保守端末5は、外部からの制御信号の入力によって自動的に起動してもよい。制御信号は、例えば管理サーバ6から送信される。制御信号は、例えば予め設定されたスケジュールに従って送信される。保守端末5の制御部11は、制御信号によって保守端末5が自動的に起動する場合に、第1通信部10から管理サーバ6へのICカード7の情報の送信が完了したときに、保守端末5を自動的に停止させてもよい。すなわち、制御部11は、起動処理が終了するときに、保守端末5を自動的に停止させてもよい。
【0041】
このような構成により、保守端末5の起動自体が自動的に行われるので、ICカード7の所在を確認する棚卸の作業がより容易になる。
【0042】
続いて、
図3を用いて、管理システム1のハードウェア構成の例について説明する。
図3は、実施の形態1に係る管理システム1の主要部のハードウェア構成図である。
【0043】
管理システム1における処理の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0044】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、管理システム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、管理システム1の各機能を実現する。
【0045】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0046】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0047】
管理システム1における処理の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、管理システム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。管理システム1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで管理システム1の各機能を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本開示に係る管理システムおよび管理方法は、広域通信網への接続に用いられる情報を記憶し保守端末に装着されるICカードの現品管理に適用できる。本開示に係る保守端末および管理プログラムは、当該管理システムおよび当該管理方法に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 管理システム、 2 拠点、 3 構内通信網、 4 広域通信網、 5 保守端末、 6 管理サーバ、 7 ICカード、 8 装着部、 9 読取部、 10 第1通信部、 11 制御部、 12 第2通信部、 13 処理部、 14 記憶部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア