(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電子部品、電子部品の実装構造体及び電子部品の分離方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240723BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20240723BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G2/06 500
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 201K
H01G4/30 201L
H01G4/30 201M
H01G4/30 515
H01F27/29 Z
(21)【出願番号】P 2023579348
(86)(22)【出願日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 JP2023023793
【審査請求日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2022205383
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】小島 慶次郎
(72)【発明者】
【氏名】正木 拓海
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-139446(JP,A)
【文献】特開2002-233856(JP,A)
【文献】特開平10-017948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 2/06
H01F 27/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層を含み、高さ方向に相対する天面及び底面と、前記高さ方向に直交する長さ方向に相対する第1の側面及び第2の側面と、前記高さ方向及び前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第3の側面及び第4の側面とを有する素体と、
前記素体の表面に設けられた外部電極と、
前記天面及び4つの前記側面のうちの少なくとも1つの面上に位置し、かつ、前記外部電極と接するように設けられたマイクロ波吸収層と、を備え、
前記マイクロ波吸収層の誘電率と誘電正接の積である誘電損率は、10以上である、電子部品。
【請求項2】
誘電体層を含み、高さ方向に相対する天面及び底面と、前記高さ方向に直交する長さ方向に相対する第1の側面及び第2の側面と、前記高さ方向及び前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第3の側面及び第4の側面と、を有する素体と、
前記素体の表面に設けられた外部電極と、
前記天面及び4つの前記側面のうちの少なくとも1つの面上に位置し、かつ、前記外部電極と接するように設けられたマイクロ波吸収層と、を備え、
前記マイクロ波吸収層の誘電率と誘電正接の積である誘電損率は、前記誘電体層の誘電率と誘電正接の積である誘電損率の2倍以上である、電子部品。
【請求項3】
前記マイクロ波吸収層は、前記素体及び前記外部電極に接するように設けられている、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記マイクロ波吸収層は、前記外部電極の最外層に接するように設けられている、請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記マイクロ波吸収層は、端部、段差部及び尖頭部の少なくとも1つを有している、請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
リビルド又はリサイクル用電子部品である、請求項1
又は2に記載の電子部品。
【請求項7】
請求項1
又は2に記載の電子部品と、
実装面を有する基板本体と、前記実装面上に形成されたランド電極とを備えた実装基板と、を備え、
前記電子部品の前記外部電極は、はんだを介して前記ランド電極に電気的に接続されており、
前記電子部品は、前記天面が前記基板本体の前記実装面と反対側を向くように、前記実装基板上に実装されている、電子部品の実装構造体。
【請求項8】
請求項7に記載の電子部品の実装構造体を準備する工程と、
前記電子部品の前記マイクロ波吸収層にマイクロ波を照射して加熱し、前記はんだを溶融させて前記電子部品を前記実装基板から分離する工程と、を含む電子部品の分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、電子部品の実装構造体及び電子部品の分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サーキュラーエコノミ―が社会的に求められている。しかしながら、実装された電子部品は、粉砕されて廃棄されることが多い。これを資源循環しようとすると、部品ごとに分離選別し、所定の金属濃度を高める前処理が必要になる。分離技術としては、機械的剥離、全体加熱等が知られている。
【0003】
特許文献1には、電子部品を基材に実装する技術であるが、支持体へのマイクロ波照射により支持体上の発熱パターンを選択的に加熱することによって、支持体上に配した基材上のはんだを発熱パターンに対応して加熱し、基材上の電極パターンにはんだを介して電子部品の電極を接合する技術が記載されている。
【0004】
非特許文献1には、空洞共振器法を用いた材料定数の温度特性測定法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】土屋明久、他1名、“空洞共振器法を用いた材料定数の温度特性測定法とその測定事例”、計測と制御、公益社団法人計測自動制御学会、2014年3月、第53巻、第3号、p.192-196
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術を実装された電子部品の分離に利用しようとした場合、支持体にマイクロ波を吸収して発熱する発熱パターンを設けるため、分離したい電子部品を任意に選択できない。また、該当する基材に実装された電子部品にしか適応できない。さらに、特許文献1に記載の技術では電磁波で金属部を加熱しているため、実装された電子部品の分離段階、すなわち当該製品の廃棄段階では、金属部へのフラックスや異物の付着により極端に加熱効率が落ちるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、基板から容易に分離可能な電子部品、電子部品の実装構造体及び電子部品の分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第1の態様において、誘電体層を含み、高さ方向に相対する天面及び底面と、上記高さ方向に直交する長さ方向に相対する第1の側面及び第2の側面と、上記高さ方向及び上記長さ方向に直交する幅方向に相対する第3の側面及び第4の側面とを有する素体と、上記素体の表面に設けられた外部電極と、上記天面及び4つの上記側面のうちの少なくとも1つの面上に位置し、かつ、上記外部電極と接するように設けられたマイクロ波吸収層と、を備え、上記マイクロ波吸収層の誘電率と誘電正接の積である誘電損率は、10以上である、電子部品である。
【0010】
本発明は、第2の態様において、誘電体層を含み、高さ方向に相対する天面及び底面と、上記高さ方向に直交する長さ方向に相対する第1の側面及び第2の側面と、上記高さ方向及び上記長さ方向に直交する幅方向に相対する第3の側面及び第4の側面と、を有する素体と、上記素体の表面に設けられた外部電極と、上記天面及び4つの上記側面のうちの少なくとも1つの面上に位置し、かつ、上記外部電極と接するように設けられたマイクロ波吸収層と、を備え、上記マイクロ波吸収層の誘電率と誘電正接の積である誘電損率は、上記誘電体層の誘電率と誘電正接の積である誘電損率の2倍以上である、電子部品である。
【0011】
本発明は、第3の態様において、上記電子部品と、実装面を有する基板本体と、上記実装面上に形成されたランド電極とを備えた実装基板と、を備え、上記電子部品の上記外部電極は、はんだを介して上記ランド電極に電気的に接続されており、上記電子部品は、上記天面が上記基板本体の上記実装面と反対側を向くように、上記実装基板上に実装されている、電子部品の実装構造体である。
【0012】
本発明は、第4の態様において、上記電子部品の実装構造体を準備する工程と、上記電子部品の上記マイクロ波吸収層にマイクロ波を照射して加熱し、上記はんだを溶融させて上記電子部品を上記実装基板から分離する工程と、を含む電子部品の分離方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、基板から容易に分離可能な電子部品、電子部品の実装構造体及び電子部品の分離方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る電子部品の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電子部品のA-A線断面図の一例である。
【
図3】
図3は、
図1に示す電子部品のA-A線断面図の他の例であり、電子部品が積層セラミックコンデンサである場合を示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る電子部品素体の変形例1を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る電子部品素体の変形例2を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る電子部品素体の変形例3を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る電子部品素体の変形例4を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係る電子部品の実装構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る電子部品の分離方法において電子部品にマイクロ波を照射する態様の一例を模式的に示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態に係る電子部品の分離方法において電子部品を分離する態様の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の電子部品、電子部品の実装構造体及び電子部品の分離方法について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0016】
まず、本発明の実施形態に係る電子部品について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電子部品の一例を模式的に示す斜視図である。
【0017】
図1に示す電子部品1は、チップ型電子部品(表面実装型電子部品)であり、素体10と、外部電極21、22と、マイクロ波吸収層31、32とを備えている。
【0018】
電子部品1の具体的な種類は、実装基板にはんだで実装可能な部品であれば特に限定されない。具体的には、例えば、積層セラミックコンデンサ、積層コイル、積層サーミスタ、積層バリスタ、積層LCフィルタ、積層圧電フィルタ等の積層セラミック電子部品が挙げられる。
【0019】
この場合、素体10は、誘電体セラミック層、磁性体セラミック層、圧電体セラミック層、半導体セラミック層のうち少なくともいずれかと、内部導体としての内部電極層とが積層された積層体からなることが好ましい。
【0020】
また、電子部品1は、上述のように積層部品でなくてもよく、その場合の具体例としては、例えば、シリコンキャパシタや、フェライト型コイル、金属紛と樹脂のコンポジット材料から成るインダクタ等が挙げられる。
【0021】
素体10は、誘電体層11及び内部導体(内部電極層、
図1では図示せず)を含み、高さ方向Tに相対する天面10a及び底面10bと、高さ方向Tに直交する長さ方向Lに相対する第1の側面10c及び第2の側面10dと、高さ方向T及び長さ方向Lに直交する幅方向Wに相対する第3の側面10e及び第4の側面10fとを有している。
【0022】
このように素体10は、略直方体状の外形を有しているが、角部及び稜線部に丸みが付けられていてもよい。角部は、素体10の3面が交わる部分であり、稜線部は、素体10の2面が交わる部分である。
【0023】
なお、天面10a及び底面10bの各面積は、第3の側面10e及び第4の側面10fの各面積と実質的に同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第1の側面10c及び第2の側面10dの各面積は、第3の側面10e及び第4の側面10fの各面積と実質的に同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0024】
内部導体の露出部を除いて、素体10の表面は、誘電体層11から構成されている。
【0025】
誘電体層11は、例えば、誘電体材料(酸化物)により形成することができる。誘電体材料は、電子部品1の種類に合わせて適宜選択することができ、例えば、誘電体セラミック材料、磁性体セラミック材料、圧電体セラミック材料、半導体セラミック材料等が挙げられる。
【0026】
なかでも、誘電体材料としては、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムカルシウム、又は、ジルコン酸カルシウム等の主成分を含む誘電体セラミック材料が好適である。このような材料は、室温からはんだの融点までの温度範囲のいずれかにおいて低誘電損率であり、マイクロ波照射による温度上昇が起こりにくいため、後述するマイクロ波吸収層31、32による効果が得られやすい。上記の誘電体セラミック材料を主成分として含む場合、電子部品1は、積層セラミックコンデンサとして機能し得るが、所望する積層セラミックコンデンサの特性に応じて、例えば、Mg化合物、Mn化合物、Si化合物、Al化合物、V化合物、Ni化合物、希土類化合物等の主成分よりも含有量の少ない副成分を添加したものを用いてもよい。
【0027】
誘電体材料としては、フェライトセラミック材料等の主成分を含む磁性体セラミック材料も好適である。このような材料は、マイクロ波吸収に時間がかかるため、この場合も後述するマイクロ波吸収層31、32による効果が得られやすい。磁性体セラミック材料を用いた場合、電子部品1は、積層コイルとして機能し得る。
【0028】
圧電体セラミック材料の具体例としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系セラミック材料等が挙げられる。圧電体セラミック材料を用いた場合、電子部品1は、積層圧電フィルタとして機能し得る。
【0029】
半導体セラミック材料の具体例としては、例えば、スピネル系セラミック材料等が挙げられる。半導体セラミック材料を用いた場合、電子部品1は、積層サーミスタとして機能し得る。
【0030】
外部電極21、22は、素体10の表面に設けられている。
【0031】
外部電極21は、素体10の第1の側面10cに設けられている。
図1では、外部電極21は、素体10の第1の側面10cから、天面10a、底面10b、第3の側面10e及び第4の側面10fの各々に亘って設けられている。外部電極21は、第1の側面10cにおいて素体10から露出した内部導体と電気的に接続されている。
【0032】
外部電極22は、素体10の第2の側面10dに設けられている。
図1では、外部電極22は、素体10の第2の側面10dから、天面10a、底面10b、第3の側面10e及び第4の側面10fの各々に亘って設けられている。外部電極22は、第2の側面10dにおいて素体10から露出した内部導体と電気的に接続されている。
【0033】
図2は、
図1に示す電子部品のA-A線断面図の一例である。なお、
図2と、後述する
図4~
図6、
図8及び
図9においても、素体10の内部導体の図示は省略している。
【0034】
図2に示すように、外部電極21、22は、導電成分と樹脂成分とを含む樹脂電極層23を有している。導電成分は、銀、銅、ニッケル、錫等の金属単体、又は、これらの金属の少なくとも1種を含有する合金等を主成分として含む。樹脂成分は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等を主成分として含む。樹脂電極層は、例えば、銀ペースト等の導電性ペーストを用いて形成可能である。
【0035】
なお、外部電極21、22は、樹脂電極層23の代わりに、銅又は銀の焼き付け電極層を有していてもよい。銅又は銀の焼き付け電極層とは、具体的には、ガラス成分を含む銅又は銀のペースト材料を焼き付けて形成された電極である。
【0036】
また、外部電極21、22は、樹脂電極層23(又は銅若しくは銀の焼き付け電極層でもよい。以下同じ。)上に、めっき法により形成される、いわゆるめっき層を有している。具体的には、樹脂電極層23を覆うように設けられたNiめっき層24と、Niめっき層24を覆うように設けられた最外層25としてのSnめっき層26とを有している。
【0037】
なお、外部電極21、22の最外層25として、Snめっき層26の代わりに、Auめっき層を設けてもよい。
【0038】
また、本発明において、外部電極は、素体の表面の一部に設けられればよく、その配置場所は特に限定されない。例えば、素体の底面のみに配置されてもよいし、素体のいずれかの側面の一部を覆い、かつ、当該側面から延伸して底面の一部を覆うように配置されてもよいし(断面視L字状)、素体のいずれかの側面の一部又は全部を覆い、かつ、当該側面から延伸して天面の一部及び底面の一部を覆うように配置されてもよい(断面視コ字状(C字状))。
【0039】
また、本発明において、外部電極の数は特に限定されず、外部電極は、素体に対して少なくとも1つ設けられればよい。例えば、素体に対して4つ設けられてもよいし(4端子)、素体に対して6つ設けられてもよい(6端子)。複数の外部電極を設ける場合は、各外部電極に対して当該外部電極に接するように、少なくとも1つのマイクロ波吸収層を設けることが好ましい。
【0040】
図3は、
図1に示す電子部品のA-A線断面図の他の例であり、電子部品が積層セラミックコンデンサである場合を示す。
【0041】
この場合、素体10は、誘電体層11としての誘電体セラミック層12と、内部導体としての内部電極層13、14とが積層された積層体である。
【0042】
内部電極層13は、素体10の第1の側面10cに引き出されて外部電極21に接続され、内部電極層14は、素体10の第2の側面10dに引き出されて外部電極22に接続される。
【0043】
誘電体セラミック層12は、誘電体セラミック材料と有機溶媒を含む誘電体スラリーをシート成形することによって得ることができる。
【0044】
内部電極層13、14は、導電成分を含む電極ペーストを印刷することにより得ることができる。内部電極層13、14は、導電成分としてNiを用いたNi電極層であることが好ましい。
【0045】
また、Ni電極層に代えてAg電極層、Pd電極層、Cu電極層としてもよい。
【0046】
図1及び
図2に示したように、マイクロ波吸収層31は、素体10の天面10a上に位置し、かつ、外部電極21と接するように設けられている。より詳細には、マイクロ波吸収層31は、素体10の天面10a上において素体10及び外部電極21にまたがる位置に設けられており、外部電極21の天面10a上に位置する端部21aを覆うように、素体10の天面10a及び外部電極21上に選択的に平面視帯状に設けられている。
【0047】
同様に、マイクロ波吸収層32は、素体10の天面10a上に位置し、かつ、外部電極22と接するように設けられている。また、マイクロ波吸収層32は、素体10の天面10a上において素体10及び外部電極22にまたがる位置に設けられており、外部電極22の天面10a上に位置する端部22aを覆うように、素体10の天面10a及び外部電極22上に選択的に平面視帯状に設けられている。
【0048】
そして、マイクロ波吸収層31は、下記(1)及び(2)の少なくとも一方の特徴を備えている。
(1)マイクロ波吸収層31の誘電率と誘電正接の積である誘電損率P1は、10以上である。
(2)マイクロ波吸収層31の誘電率と誘電正接の積である誘電損率P1は、素体10の誘電体層11の誘電率と誘電正接の積である誘電損率Pの2倍以上である。
【0049】
同様に、マイクロ波吸収層32は、下記(3)及び(4)の少なくとも一方の特徴を備えている。
(3)マイクロ波吸収層32の誘電率と誘電正接の積である誘電損率P2は、10以上である。
(4)マイクロ波吸収層32の誘電率と誘電正接の積である誘電損率P2は、素体10の誘電体層11の誘電率と誘電正接の積である誘電損率Pの2倍以上である。
【0050】
このようなマイクロ波吸収層31、32が外部電極21、22と接するように設けられているため、電子部品1にマイクロ波(特に電場)を照射してマイクロ波吸収層31、32を選択的に加熱することができる。そして、外部電極21、22を介して熱伝導したはんだを溶融し、電子部品1を実装基板から容易に分離することができる。したがって、電子部品1を容易にリビルド又はリサイクルすることが可能である。
【0051】
また、マイクロ波吸収層31、32は電子部品1に設けられているため、特定の電子部品を狙って実装基板から分離することができる(資源価値の高い電子部品を選択分離できる)。
【0052】
また、素体10と外部電極21、22にまたがる位置にマイクロ波吸収層31、32が設けられているため、マイクロ波照射時にフラックスの飛散がなく、電子部品1がデバイスとして使用された後も汚染(異物の付着)が少なく、マイクロ波照射による加熱効率の低下を防止することができる。
【0053】
上記(1)、(3)に関して、マイクロ波吸収層31、32の誘電率と誘電正接の積である誘電損率P1、P2は、それぞれ、10以上であることが好ましく、25以上であることがより好ましい。これらの誘電損率P1、P2が10未満であると、マイクロ波吸収層31、32のマイクロ波吸収による発熱速度が遅く、はんだの溶解に時間を要するおそれがある。これらの誘電損率P1、P2の上限は特に限定されないが、200以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましい。これらの誘電損率P1、P2が200を超えると、電子部品1の高周波特性に影響するおそれがある。
【0054】
上記(2)、(4)に関して、マイクロ波吸収層31、32の誘電率と誘電正接の積である誘電損率P1、P2は、それぞれ、素体10の誘電体層11の誘電率と誘電正接の積である誘電損率Pの2倍以上であることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。この誘電損率Pに対するこれらの誘電損率P1、P2の比が2倍未満であると、マイクロ波吸収層31、32のマイクロ波吸収による発熱速度が遅く、はんだの溶解に時間を要するおそれがある。この誘電損率Pに対するこれらの誘電損率P1、P2の比の上限は特に限定されないが、誘電損率P1、P2は、それぞれ、誘電損率Pの40倍以下であることが好ましく、20倍以下であることがより好ましい。この誘電損率Pに対するこれらの誘電損率P1、P2の比が40を超えると、電子部品1の高周波特性に影響するおそれがある。
【0055】
なお、素体10の誘電体層11の誘電率と誘電正接の積である誘電損率Pは、例えば、0.1以上、5以下であることが好ましい。
【0056】
本発明において、はんだを融点まで昇温するためには、マイクロ波吸収層は、はんだの融点までの温度帯で高い誘電損率を維持する必要があるが、ここで、マイクロ波吸収層及び素体の誘電体層の「誘電率」と「誘電正接」は、いずれも、非特許文献1に記載の測定法に準拠して、140℃かつ2.45GHz帯における空洞共振器を用いて測定された値とする。
なお、測定温度を140℃としているのは、チタン酸バリウムの場合、そのキュリー点を超え、誘電率が下がるため、はんだの融点を超えられなくなるためである。また、高温になると測定が難しくなるが、150℃以下では報告例があるためである。
【0057】
マイクロ波吸収層31、32は、例えば、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の非酸化物系のセラミック材料により形成することができる。このような材料は、誘電損率が大きいため、マイクロ波照射により瞬間的に温度上昇することが可能である。
また、マイクロ波吸収層31、32は、酸化物系のセラミック材料でも形成することができる。具体的には、例えば、二チタン酸バリウム、他元素置換チタン酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、ワラストナイト等の材料は誘電損率が大きいため、マイクロ波照射により瞬間的に温度上昇することが可能である。これらの材料は、130℃~240℃(チタン酸バリウムのキュリー点以上、はんだの融点未満)において、誘電率が高いため、誘電損率も高いと考えられる。
加えて、これらのコンポジット材料もマイクロ波吸収層31、32の候補になりえる。
【0058】
マイクロ波吸収層31、32の形成方法としては、例えば、蒸着、スパッタ、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ塗布、インクジェット印刷等が挙げられる。
【0059】
マイクロ波吸収層31、32の厚みは、0.1μm以上、10μm以下であることが好ましく、0.5μm以上、5μm以下であることがより好ましく、1μm以上、3μm以下であることがさらに好ましい。これにより、マイクロ波の吸収と熱伝導に充分な厚みとしつつ、電子部品1の寸法形状と高周波特性に影響を与えるのを防止できる。
【0060】
図1及び
図2に示したように、マイクロ波吸収層31は、素体10及び外部電極21に接するように設けられていることが好ましい。これにより、より短い時間でのマイクロ波照射による瞬間加熱が可能である(使用するエネルギーがより小さい)。
【0061】
同様に、マイクロ波吸収層32は、素体10及び外部電極22に接するように設けられていることが好ましい。
【0062】
また、マイクロ波吸収層31は、素体10と、外部電極21の最外層25とに接するように設けられていることがより好ましい。これにより、さらに短い時間でのマイクロ波照射による瞬間加熱が可能である(使用するエネルギーがさらに小さい)。
【0063】
同様に、マイクロ波吸収層32は、素体10と、外部電極22の最外層25とに接するように設けられていることがより好ましい。
【0064】
図4は、本発明の実施形態に係る電子部品素体の変形例1を模式的に示す断面図である。
図4は、
図2の断面図に対応する。
【0065】
図4に示すように、マイクロ波吸収層31は、素体10及び外部電極21に接するように、素体10及び外部電極21の間に設けられていてもよい。この場合、マイクロ波吸収層31の一部は、外部電極21から露出していることが好ましい。
【0066】
同様に、マイクロ波吸収層32は、素体10及び外部電極22に接するように、素体10及び外部電極22の間に設けられていてもよく、この場合、マイクロ波吸収層32の一部は、外部電極22から露出していることが好ましい。
【0067】
また、
図2に示したように、マイクロ波吸収層31は、素体10と、外部電極22の最外層25とに接するように設けられ、端部31a及び段差部31bの少なくとも一方を有していることがさらに好ましい。端部31aや段差部31bが存在すると、マイクロ波の電界が集中しやすいため、特に短い時間でのマイクロ波照射による瞬間加熱が可能である(使用するエネルギーが特に小さい)。
【0068】
同様に、マイクロ波吸収層32は、素体10と、外部電極22の最外層25とに接するように設けられ、端部32a及び段差部32bの少なくとも一方を有していることがさらに好ましい。
【0069】
図5は、本発明の実施形態に係る電子部品素体の変形例2を模式的に示す断面図である。
図5は、
図2の断面図に対応する。
【0070】
図5に示すように、マイクロ波吸収層31は、素体10と、外部電極22の最外層25とに接するように設けられ、尖頭部31cを有していてもよい。尖頭部31cが存在する場合も同様に、マイクロ波の電界が集中しやすいため、特に短い時間でのマイクロ波照射による瞬間加熱が可能である(使用するエネルギーが特に小さい)。
【0071】
同様に、
図5に示すように、マイクロ波吸収層32は、素体10と、外部電極22の最外層25とに接するように設けられ、尖頭部32cを有していてもよい。
【0072】
なお、尖頭部31c、32cは、例えば、マイクロ波吸収層31、32の表面を粗面(凹凸面)とすることによって形成することができる。
【0073】
図6は、本発明の実施形態に係る電子部品素体の変形例3を模式的に示す断面図である。
図6は、
図2の断面図に対応する。
【0074】
図6に示すように、外部電極21、22の両方と接するように1つのマイクロ波吸収層30Aを設けてもよい。マイクロ波吸収層30Aは、素体10の天面10aから外部電極21の端部21a及び外部電極22の端部22aを覆うように、素体10の天面10a及び外部電極21、22上に選択的に平面視矩形状に設けられている。
【0075】
図7は、本発明の実施形態に係る電子部品素体の変形例4を模式的に示す斜視図である。
図7は、
図1の斜視図に対応する。
【0076】
図7に示すように、外部電極21、22の両方と接するように1つのマイクロ波吸収層30Bを設けてもよい。マイクロ波吸収層30Bは、外部電極21、22の間にて素体10をぐるり一周囲んでいる。より詳細には、マイクロ波吸収層30Bは、外部電極21の端部21a及び外部電極22の端部22aと重なりつつ、外部電極21、22で覆われていない素体10の天面10a、底面10b、第3の側面10e及び第4の側面10f上に環状(腹巻状)に設けられている。
【0077】
なお、本発明において、マイクロ波吸収層は、素体の天面及び4つの側面のうちの少なくとも1つの面上に位置していればよく、その配置場所は特に限定されない。例えば、マイクロ波吸収層は、素体の天面上と、素体のいずれかの相対する2つの側面(好ましくは第3の側面10e及び第4の側面10f)上とにおいて、外部電極と接するように設けられていてもよい。また、マイクロ波吸収層は、素体のいずれかの相対する2つの側面(好ましくは第3の側面10e及び第4の側面10f)上のみにおいて、外部電極と接するように設けられていてもよい。さらに、
図7に例示したように、マイクロ波吸収層は、素体の天面及び4つの側面のうちの少なくとも1つの面上に加えて、素体の底面上に位置していてもよい。
【0078】
次に、本発明の実施形態に係る電子部品の実装構造体について説明する。
図8は、本発明の実施形態に係る電子部品の実装構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【0079】
図8に示す電子部品の実装構造体100は、上述の電子部品1と、実装基板110とを備えている。
【0080】
実装基板110は、実装面111aを有する基板本体111と、実装面111a上に形成されたランド電極112、113とを備えている。基板本体111は、例えば、ガラスエポキシ等の樹脂、あるいはガラスセラミック等のセラミックで形成されている。基板本体111は、積層された複数の絶縁体層で形成されてもよい。実装面111aは、基板本体111の一方の主面に設けられている。ランド電極112、113は、例えば平面視矩形状の電極であり、実装面111aに配設されている。
【0081】
電子部品1の外部電極21、22は、それぞれ、はんだ120を介してランド電極112、113に電気的に接続されている。このように各外部電極21、22に対応してランド電極112、113が設けられ、対応する外部電極21又は22とランド電極112又は113同士がはんだ120を介して接続固定されている。
【0082】
はんだ120は、Snを主成分とする合金から構成されており、フラックスを含有している。はんだ120は、外部電極21、22の最外層25と接合されている。
【0083】
そして、電子部品1は、素体10の天面10aが基板本体111の実装面111aと反対側を向くように、実装基板110上に実装されている。すなわち、素体10の底面10bと基板本体111の実装面111aとが対向している。このため、電子部品1のマイクロ波吸収層31、32は、実装構造体100の外部に露出した状態で存在している。したがって、マイクロ波をマイクロ波吸収層31、32に直接照射することが可能である。すなわち、加熱効率を低下させることなくマイクロ波をマイクロ波吸収層31、32に照射することができる。
【0084】
次に、本発明の実施形態に係る電子部品の分離方法について説明する。
【0085】
まず、上述の電子部品の実装構造体100を準備する。
【0086】
図9は、本発明の実施形態に係る電子部品の分離方法において電子部品にマイクロ波を照射する態様の一例を模式的に示す断面図である。
図10は、本発明の実施形態に係る電子部品の分離方法において電子部品を分離する態様の一例を模式的に示す断面図である。
【0087】
次に、
図9に示すように、実装構造体100を基板本体111の実装面111aが下方を向くようにマイクロ波照射空間内に配置する。
【0088】
そして、電子部品1のマイクロ波吸収層31、32にマイクロ波を照射して加熱し、
図10に示すように、はんだ120を溶融させて電子部品1を実装基板110から分離する。より詳細には、電子部品1にマイクロ波(電場がほぼ100%)が実質的に一様かつ最大になるように照射し、マイクロ波吸収層31、32を選択的かつ瞬間的に加熱する。そして、このマイクロ波吸収層31、32の加熱に伴い、マイクロ波吸収層31、32から熱がはんだ120に伝導し、熱伝導したはんだ120が溶融する。その結果、電子部品1は、自由落下により実装構造体100から分離される。このようにして、電子部品1を実装基板110から容易に分離することができる。
【0089】
外部電極21、22の最外層25としてSnめっき層26を用いた場合は、マイクロ波吸収層31、32からの熱伝導によりSnめっき層26も溶融し、電子部品1は、
図10に示したように、Snめっき層26が除去された状態で実装基板110から分離される。そのため、この分離された電子部品1は、例えば、外部電極21、22の最外層25を再形成して再利用することができる。
【0090】
また、外部電極21、22の最外層25としてAuめっき層を用いた場合は、マイクロ波吸収層31、32からの熱伝導によってもAuめっき層は溶融せず、電子部品1は、Auめっき層を有する状態で実装基板110から分離される。そのため、この分離された電子部品1は、例えば、そのまま再利用することができる。
【0091】
なお、マイクロ波とは、一般的に、周波数域が300MHzから3THzまでの電磁波であり、電場成分と磁場成分を有し、電場成分により誘電体が加熱され、磁場成分により導体や磁性体が加熱される。
【0092】
本実施形態では、照射されるマイクロ波の出力は、0.1kW以上、100kW以下であることが好ましい。
【0093】
また、照射されるマイクロ波の周波数は、0.1GHz以上、100GHz以下であることが好ましい。
【0094】
また、マイクロ波の照射時間は、0.1秒以上、100秒以下であることが好ましい。
【0095】
また、マイクロ波発生器としては、半導体発振器を利用することができる。半導体発振器は、周波数制御性に優れ、半導体発振器から発生したマイクロ波の電磁界分布は固定されるため、電子部品1の位置制御により、電場が実質的に一様かつ最大になる空間内に電子部品1が位置するように、マイクロ波を照射することができる。
【0096】
なお、マイクロ波の照射方法は、特に限定されず、例えば、マイクロ波を照射するプローブの先端を電子部品1付近に移動させることによってマイクロ波吸収層31、32を加熱してもよい。
【0097】
本明細書には、以下の内容が開示されている。
【0098】
<1>
誘電体層を含み、高さ方向に相対する天面及び底面と、前記高さ方向に直交する長さ方向に相対する第1の側面及び第2の側面と、前記高さ方向及び前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第3の側面及び第4の側面とを有する素体と、
前記素体の表面に設けられた外部電極と、
前記天面及び4つの前記側面のうちの少なくとも1つの面上に位置し、かつ、前記外部電極と接するように設けられたマイクロ波吸収層と、を備え、
前記マイクロ波吸収層の誘電率と誘電正接の積である誘電損率は、10以上である、電子部品。
【0099】
<2>
誘電体層を含み、高さ方向に相対する天面及び底面と、前記高さ方向に直交する長さ方向に相対する第1の側面及び第2の側面と、前記高さ方向及び前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第3の側面及び第4の側面と、を有する素体と、
前記素体の表面に設けられた外部電極と、
前記天面及び4つの前記側面のうちの少なくとも1つの面上に位置し、かつ、前記外部電極と接するように設けられたマイクロ波吸収層と、を備え、
前記マイクロ波吸収層の誘電率と誘電正接の積である誘電損率は、前記誘電体層の誘電率と誘電正接の積である誘電損率の2倍以上である、電子部品。
【0100】
<3>
前記マイクロ波吸収層は、前記素体及び前記外部電極に接するように設けられている、<1>又は<2>に記載の電子部品。
【0101】
<4>
前記マイクロ波吸収層は、前記外部電極の最外層に接するように設けられている、<3>に記載の電子部品。
【0102】
<5>
前記マイクロ波吸収層は、端部、段差部及び尖頭部の少なくとも1つを有している、<4>に記載の電子部品。
【0103】
<6>
リビルド又はリサイクル用電子部品である、<1>から<5>のいずれか1つに記載の電子部品。
【0104】
<7>
<1>から<6>のいずれか1つに記載の電子部品と、
実装面を有する基板本体と、前記実装面上に形成されたランド電極とを備えた実装基板と、を備え、
前記電子部品の前記外部電極は、はんだを介して前記ランド電極に電気的に接続されており、
前記電子部品は、前記天面が前記基板本体の前記実装面と反対側を向くように、前記実装基板上に実装されている、電子部品の実装構造体。
【0105】
<8>
<7>に記載の電子部品の実装構造体を準備する工程と、
前記電子部品の前記マイクロ波吸収層にマイクロ波を照射して加熱し、前記はんだを溶融させて前記電子部品を前記実装基板から分離する工程と、を含む電子部品の分離方法。
【符号の説明】
【0106】
1 電子部品
10 素体
10a 天面
10b 底面
10c 第1の側面
10d 第2の側面
10e 第3の側面
10f 第4の側面
11 誘電体層
12 誘電体セラミック層
13、14 内部電極層
21、22 外部電極
21a、22a 外部電極の端部
23 樹脂電極層
24 Niめっき層
25 最外層
26 Snめっき層
30A、30B、31、32 マイクロ波吸収層
31a、32a マイクロ波吸収層の端部
31b、32b マイクロ波吸収層の段差部
31c、32c マイクロ波吸収層の尖頭部
100 電子部品の実装構造体
110 実装基板
111 基板本体
111a 実装面
112、113 ランド電極
120 はんだ
【要約】
誘電体層11を含み、高さ方向Tに相対する天面10a及び底面10bと、高さ方向Tに直交する長さ方向Lに相対する第1の側面10c及び第2の側面10dと、高さ方向T及び長さ方向Lに直交する幅方向Wに相対する第3の側面10e及び第4の側面10fとを有する素体10と、素体10の表面に設けられた外部電極21、22と、天面10a及び4つの側面10c、10d、10e、10fのうちの少なくとも1つの面上に位置し、かつ、外部電極21、22と接するように設けられたマイクロ波吸収層31、32と、を備え、マイクロ波吸収層31、32の誘電率と誘電正接の積である誘電損率は、10以上である、電子部品1。