(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ダクト清掃器具及びダクト清掃装置
(51)【国際特許分類】
B08B 9/045 20060101AFI20240723BHJP
B08B 9/047 20060101ALI20240723BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B08B9/045
B08B9/047
F24F13/02 Z
(21)【出願番号】P 2020214545
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(73)【特許権者】
【識別番号】519281413
【氏名又は名称】株式会社グローバー
(74)【代理人】
【識別番号】100158850
【氏名又は名称】明坂 正博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 研
(72)【発明者】
【氏名】平田 勝治
(72)【発明者】
【氏名】浅井 克也
(72)【発明者】
【氏名】阿諏訪 剛
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107876522(CN,A)
【文献】特開平07-275821(JP,A)
【文献】実開昭63-036589(JP,U)
【文献】特開平06-238249(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108906703(CN,A)
【文献】特開平08-318238(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110900328(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/045
B08B 9/047
F24F 13/02
B08B 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトの内部に挿入されるダクト清掃器具であって、
駆動源からの駆動力を受けて前記ダクト内で回転可能に設けられる円筒形状の本体と、
前記本体の周面から放射方向に進退可能に設けられ、前記本体の回転による遠心力で前記周面から突出する複数本のピンと、を備え
、
前記本体には、前記ピンを収容する貫通孔が設けられ、
前記貫通孔は、拡径部分と、前記拡径部分よりも内径の小さい縮径部分とを有し、
前記ピンの一端には、外径が、前記拡径部分の内径よりも小さく、前記縮径部分よりも大きい抜止部が設けられた、
ことを特徴とするダクト清掃器具。
【請求項2】
前記複数本のピンのそれぞれは、前記本体の軸方向に互いに異なる位置に設けられる、ことを特徴とする請求項1記載のダクト清掃器具。
【請求項3】
前記複数本のピンのそれぞれは、前記本体の軸方向にみた平面視において互いに等間隔に設けられる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダクト清掃器具。
【請求項4】
前記複数本のピンにおける前記本体の前記周面から突出する位置は、前記周面に沿って螺旋状になっている、請求項1記載のダクト清掃器具。
【請求項5】
前記複数本のピンのそれぞれは、前記本体の軸方向において互いに等間隔に設けられる、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のダクト清掃器具。
【請求項6】
ダクトの内部を清掃するダクト清掃装置であって、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のダクト清掃器具と、
先端に前記ダクト清掃器具が取り付けられる可撓性シャフトと、
前記可撓性シャフトを回転させる駆動源と、
を備えたことを特徴とするダクト清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ダクトの内壁に付着した油や煤(すす)などの汚れを除去するダクト清掃器具及びダクト清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、飲食店の排気ダクトはテーブル周囲や厨房から煙を外部へ排出するために設置される。特に、焼き肉店に設置されているロースターから煙を吸引して排出する排気ダクトでは、多くの油や煤が付着しやすく、定期的に排気ダクトを清掃して内壁に固着した汚れを剥離して除去する作業が必要になる。
【0003】
特許文献1には、回転ブラシをダクトのコーナーの奥へ入れることが容易なダクト清掃器具が開示される。このダクト清掃器具は、金属線をらせん状に巻回した芯線を可撓性樹脂により被覆してなり、回転駆動装置に連結されて回転駆動されるフレキシブルシャフトと、フレキシブルシャフトの先端に着脱自在に連結される回転ブラシ、又は回転バフからなる回転清掃具とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
排気ダクトは、店内から床下や天井裏に伸びる枝ダクトからメインダクトへ繋がっている。枝ダクトは途中で屈曲していることが多いため清掃が難しい。また、床や天井を除去しないでダクトを清掃するには、ダクト内にブラシを挿入して擦る作業になるが、ブラシで擦る程度では付着した汚れを十分に除去しきれない。さらに、ダクトの繋ぎ目やネジなどの障害物にブラシが引っ掛かったり、枝ダクトからメインダクトにブラシ部分が落とし込まれたりすると、ブラシを抜き出せなくなるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、ダクト内に容易に挿入でき、十分に汚れを除去することができるとともに、ダクト内で引っ掛かりなく作業することが可能なダクト清掃器具及びダクト清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決すべく、本発明は、ダクトの内部に挿入されるダクト清掃器具であって、駆動源からの駆動力を受けてダクト内で回転可能に設けられる円筒形状の本体と、本体の周面から放射方向に進退可能に設けられ、本体の回転による遠心力で周面から突出する複数本のピンと、を備えたことを特徴とするダクト清掃器具である。また、本発明は、ダクトの内部を清掃するダクト清掃装置であって、上記ダクト清掃器具と、先端にダクト清掃器具が取り付けられ可撓性シャフトと、可撓性シャフトを回転させる駆動源と、を備えたことを特徴とするダクト清掃装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ダクト内に容易に挿入でき、十分に汚れを除去することができるとともに、ダクト内で引っ掛かりなく作業することが可能なダクト清掃器具及びダクト清掃装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るダクト清掃装置の構成を例示する模式図である。
【
図2】本実施形態に係るダクト清掃器具を例示する斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るダクト清掃器具を例示する断面図である。
【
図4】本実施形態に係るダクト清掃器具を例示する平面図である。
【
図5】(a)から(c)はダクト清掃器具のピンの動作を例示する断面図である。
【
図6】(a)及び(b)は、ダクトの清掃例について説明する模式図である。
【
図7】(a)及び(b)は、ダクトの清掃前後を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0011】
(ダクト清掃装置)
図1は、本実施形態に係るダクト清掃装置の構成を例示する模式図である。
ダクト清掃装置100は、煙や粉塵等を排出するダクトDの内部を清掃する装置である。ダクト清掃装置100は、ダクト清掃器具1と、先端にダクト清掃器具1が取り付けられる可撓性シャフト102と、可撓性シャフト102を回転させる駆動源103とを備える。ダクト清掃器具1の詳細については後述する。
【0012】
可撓性シャフト102は駆動源103による回転力を先端のダクト清掃器具1に伝える。可撓性シャフト102は先端に取り付けられたダクト清掃器具1をダクトD内に挿入していく際に座屈しない程度の剛性を備えるとともに、屈曲しても駆動源103による回転力をダクト清掃器具1に伝えられる可撓性を備える。
【0013】
駆動源103には電動ドリル(例えば、インパクトドリルやドライバドリルなど)のような回転工具が用いられる。駆動源103のチャック1031には治具1032が取り付けられる。この治具1032に可撓性シャフト102の後端が固定される。例えば、作業者が駆動源103を手で持ってスイッチを操作し、モータを回転させることで可撓性シャフト102を介してダクト清掃器具1を回転させることができる。
【0014】
(ダクト清掃器具)
次に、本実施形態に係るダクト清掃器具1について説明する。
図2は、本実施形態に係るダクト清掃器具を例示する斜視図である。
図3は、本実施形態に係るダクト清掃器具を例示する断面図である。
図4は、本実施形態に係るダクト清掃器具を例示する平面図(一部透視図)である。
本実施形態に係るダクト清掃器具1は、ダクトD(
図1参照)の清掃においてダクトDの内部に挿入され、回転ブラシとして機能する。ダクト清掃器具1は、本体10と、複数本のピン20と、を備える。本体10は円筒形状に設けられ、駆動源103からの駆動力を受けてダクトD内で回転可能に設けられる。
【0015】
本体10は例えば合成樹脂(フッ素樹脂など)や金属(アルミニウムなど)によって形成され、軸方向にダクトDへ挿入できるようダクトDの内径よりも小さい外径となっている。本体10の先端および後端側の面10aの縁部にはテーパ部10tが設けられていることが好ましい。これにより、本体10をダクトDに挿入・取出ししやすくなる。本体10の後端には可撓性シャフト102を固定する固定部10bが設けられる。
【0016】
複数本のピン20は、本体10の周面10cから放射方向に進退可能に設けられる。複数本のピン20は、本体10の回転による遠心力で周面10cから突出するように設けられる。ピン20は、本体10の中心を径方向に貫通する孔10hに挿入される。孔10hは、内径の大きい拡径部分10h1と、内径の小さい縮径部分10h2とを有する。ピン20は孔10hの拡径部分10h1側から縮径部分10h2側に挿入される。
【0017】
ピン20を挿入した状態で孔10hの拡径部分10h1側にはボルト25が取り付けられ、ピン20の孔10hからの脱落を防止している。ピン20の後端には拡径部分10h1よりも小さく、縮径部分10h2よりも大きい抜け止め部20aが設けられる。これにより、ピン20は孔10h内で進退可能に取り付けられ、本体10の周面10cから突出する方向には抜け止め部20aが縮径部分10h2に当たるまで突出し、周面10cから本体10内に入る方向には抜け止め部20aがボルト25に当接するまで入ることができる。
【0018】
複数本のピン20のそれぞれは、本体10の軸方向に互いに異なる位置に設けられる。また、複数本のピン20のそれぞれは、本体10の軸方向にみた平面視において互いに等間隔に設けられる。すなわち、複数本のピン20における本体10の周面10cから突出する位置(孔10hの開口端の位置)は、周面10cに沿って螺旋状になっている。
【0019】
例えば、12本のピン20が設けられる場合、12本のピン20は、本体10の先端側からみて放射状に30°間隔で配置される。また、12本のピン20のそれぞれは、本体10の軸方向に異なる高さで設けられる。これにより、12本のピン20は本体10の周面10cに螺旋状に配置されることになる。ここで、複数本のピン20のそれぞれは、本体10の軸方向において互いに等間隔に設けられることが好ましい。
【0020】
ピン20の材料としては、金属(鉄線、硬鋼線、ステンレス線、真鍮線など)や樹脂(フッ素樹脂、ナイロン、ポリプロピレン、塩化ビニル、アクリル、ポリエステル、耐熱性ナイロンなど)が用いられる。ダクトの汚れの状況や種類に応じてピン20の材料が適宜選択される。本体10の後端に設けられた固定部10bによってダクト清掃器具1は可撓性シャフト102と着脱自在に取り付けられる。したがって、互いに材料の異なるピン20を備えたダクト清掃器具1を複数種類用意しておき、ダクトDの汚れの除去に適した材料のピン20を備えたダクト清掃器具1を選択して、固定部10bによって付け替えながら使用するようにしてもよい。なお、後述のピン動作に支障ないようにする必要があるが、汚れの状況や種類に応じて、ピン20そのものの形状や、ピン20の先端形状(例えばブラシ状など)を変更してもよい。
【0021】
(ダクト清掃器具のピンの動作)
図5(a)から(c)はダクト清掃器具のピンの動作を例示する断面図である。
図5では、説明の便宜上、1本のピン20についての動作を例示している。
図5(a)にはピン20が最も退いた状態が示され、
図5(b)にはピン20が途中まで突出した状態が示され、
図5(c)にはピン20が最も突出した状態が示される。
ピン20は本体10の孔10h内で放射方向に進退可能に設けられている。したがって、本体10を回転させることでピン20に遠心力が働き、
図5(a)に示す状態から遠心力に応じて
図5(b)及び(c)に示すように突出するようになる。
【0022】
このように、本体10の回転によって複数本のピン20は遠心力で突出し、突出した複数本のピン20が本体10とともに回転しながらピン20の先端によってダクトDの内壁を擦っていく。これにより、ダクトDの内壁に付着した汚れを掻き落とすことができる。
【0023】
一方、本体10の回転を弱めるとピン20への遠心力が弱くなり、ピン20は本体10側へ戻ることが可能となる。例えば、ピン20への遠心力が弱まり、ピン20の先端がダクトDの内壁に当たることによる反力のほうが遠心力よりも大きくなれば、ピン20は本体10側へ戻る状態となる。
【0024】
このように、本体10の回転による遠心力で複数本のピン20が突出することになるため、本体10の回転数によってピン20の突出の力を調整できる。つまり、ダクトDの内壁を強く掻き落としたい場合には駆動源103の回転数を高めて本体10を高速に回転させる。一方、ダクトDの内壁を弱く擦りたい場合には駆動源103の回転数を低くして本体10を低速に回転させるようにすればよい。
【0025】
また、本体10の回転を止めることでピン20の戻りを可能にしているため、ダクト清掃器具1をダクトに挿入する際や、清掃後にダクト清掃器具1をダクトから引き出す際には、ピン20が最大に突出していない状態になっており、ダクト内のボルトや繋ぎ目、屈曲部などでピン20が引っ掛かることなくスムーズに引き出すことができる。
【0026】
(ダクトの清掃例)
次に、ダクトの清掃例について説明する。
図6(a)及び(b)は、ダクトの清掃例について説明する模式図である。
図6では、ロースター付きテーブルTから床に設けられたダクトDの清掃を行う例が示される。
図6(a)に示すように、ロースター付きテーブルTは、ロースターRで食材を焼いた際に出る油や煙を店内に出さないように引き込むダクトDが設けられる。店内に複数のロースター付きテーブルTが配置されている場合、各ロースター付きテーブルTからダクトDが床下に引き込まれている。床下にはメインダクトMDが設けられており、各ロースター付きテーブルTのダクトDが枝ダクトとしてメインダクトMDに繋げられている。
【0027】
ダクトDの清掃を行う場合には、ロースター付きテーブルTの天板TPとロースターRを取り外し、
図6(b)に示すように、ダクトDの引き込み口D1を露出させる。そして、本実施形態に係るダクト清掃装置100を用意し、ダクトDの引き込み口D1から本実施形態に係るダクト清掃器具1を挿入する。ダクト清掃器具1の本体10に設けられた複数本のピン20は突出していない状態のため、引き込み口D1からダクトD内へスムーズにダクト清掃器具1を挿入することができる。
【0028】
次に、ダクト清掃器具1をダクトDの適宜の位置に挿入した状態で駆動源103の例であるインパクトドライバによって本体10を回転させる。この回転によって本体10の周面10cから複数本のピン20が遠心力によって突出して回転しながらダクトDの内壁を擦り、付着した汚れを掻き落としていく。作業者は、駆動源103の回転数によって複数本のピン20の遠心力による突出強さを調整しながら、ダクト清掃器具1をダクトD内で適宜進退させる。ダクトDが屈曲していても可撓性シャフト102によってダクト清掃器具1をダクトDの奥まで挿入し、本体10に回転力を与えることができる。このようにしてダクトDの内壁の付着物を掻き落とす。
【0029】
図7(a)及び(b)は、ダクトの清掃前後を例示する図である。
図7(a)にはダクトDを清掃する前の状態が示され、
図7(b)には本実施形態に係るダクト清掃装置100でダクトDを清掃した後の状態が示される。
図7(a)に示すように、清掃前にはダクトDの内壁に油汚れや煤が全体に付着している。これを本実施形態に係るダクト清掃装置100で清掃することにより、
図7(b)に示すようにダクトDの内壁の油汚れや煤などが十分に除去されていることが分かる。
【0030】
本実施形態に係るダクト清掃器具1では、本体10の周面10cに複数のピン20が放射状に設けられ、突出位置が螺旋状に設けられているため、隣り合うピン20の間隔(直線距離)を広く設定しつつ、回転することで複数本のピン20の全体でダクトDの内壁を掻いて付着物を除去することができる。
【0031】
また、隣り合うピン20の間隔(直線距離)を広く設けることで、ダクトDの繋ぎ目などに設けられたネジや何らかの突起物があっても、隣り合うピン20の間に引っ掛かることがない(ピン20の間から抜けやすい)。
【0032】
さらに、ダクト清掃器具1をダクトD内に進めて行き、メインダクトMDに落ちそうになっても、本体10が円筒形状になっているため(軸方向に長さを有するため)、本体10がメインダクトMDへ完全に落ちてしまうことを防ぎやすい。また、もしダクト清掃器具1がメインダクトMDに落ちてしまった場合でも、本体10の回転を止めることでピン20がフリーに進退動作可能な状態になり、この状態でダクト清掃器具1を前後させることでメインダクトMDからダクトD側へ引き戻しやすくなる。
【0033】
以上のように、本実施形態に係るダクト清掃器具1は、ダクトDの内部に挿入される器具であって、駆動源103からの駆動力を受けてダクトD内で回転可能に設けられる円筒形状の本体10と、本体10の周面10cから放射方向に進退可能に設けられ、本体10の回転による遠心力で周面10cから突出する複数本のピン20と、を備えたことを特徴とする。
【0034】
このような構成により、ダクトDを清掃する際には本体10を回転させることで複数本のピン20を放射方向に突出させてダクトDの内壁に回転させながら当接させることができ、的確にダクトDの内壁の付着物を掻き落とすことができる。また、ダクトDを清掃する前や清掃した後では、本体10を回転させないことで複数本のピン20の突出を抑制し、ダクト清掃器具1をダクトDに容易に挿入したり、ダクトDから容易に抜き出したりすることができる。
【0035】
上記ダクト清掃器具1において、複数本のピン20のそれぞれは、本体10の軸方向に互いに異なる位置に設けられることが好ましい。これにより、複数本のピン20の本体10の回転方向への過密を防ぎ、ピン20へ異物の絡みつきを抑制することができる。
【0036】
上記ダクト清掃器具1において、複数本のピン20のそれぞれは、本体10の軸方向にみた平面視において互いに等間隔に設けられることが好ましい。これにより、本体10を回転させた際にバランスよく複数本のピン20を突出させることができ、安定した回転による付着物除去を行うことができる。
【0037】
上記ダクト清掃器具1において、複数本のピン20における本体10の周面10cから突出する位置は、周面10cに沿って螺旋状になっていることが好ましい。これにより、隣り合うピン20の間隔(直線距離)を広く設定でき、異物の絡みつきを抑制しつつ、回転することで複数本のピン20の全体でダクトDの内壁を掻いて効果的に付着物を除去することができる。
【0038】
上記ダクト清掃器具1において、複数本のピン20のそれぞれは、本体10の軸方向において互いに等間隔に設けられることが好ましい。これにより、本体10の軸方向にバランスよく複数本のピン20を配置でき、異物の絡みつき抑制とバランスのよい付着物除去を行うことができる。
【0039】
また、本実施形態に係るダクト清掃装置100は、ダクトDの内部を清掃する装置であって、上記ダクト清掃器具1と、先端にダクト清掃器具1が取り付けられる可撓性シャフト102と、可撓性シャフト102を回転させる駆動源103と、を備えたことを特徴とする。このような構成により、ダクトDを清掃する際には本体10を回転させることで複数本のピン20を放射方向に突出させてダクトDの内壁に回転させながら当接させることができ、的確にダクトDの内壁の付着物を掻き落とすことができる。また、ダクトDを清掃する前や清掃した後では、本体10を回転させないことで複数本のピン20の突出を抑制し、ダクト清掃器具1をダクトDに容易に挿入したり、ダクトDから容易に抜き出したりすることができる。
【0040】
以上説明したように、本発明によれば、ダクトD内に容易に挿入でき、十分に汚れを除去できるとともに、ダクトD内で引っ掛かりなく作業することが可能なダクト清掃器具1及びダクト清掃装置100を提供することができる。
【0041】
なお、上記の説明では、ピン20が孔10h内で自由に進退可能に設けられる例を示したが、ピン20はバネによって本体10側に戻る方向へ付勢されていてもよい。この際、バネの付勢力は本体10の回転による遠心力でピン20が突出可能な程度の力に設定しておく。これにより、本体10を回転した際には遠心力がバネの付勢力に打ち勝ってピンを突出させ、本体10の回転を止めた際にはバネの付勢力でピン20を本体10側に確実に収容することができる。
【0042】
また、複数本のピン20のそれぞれにおける本体10の軸方向の位置は、全てにおいて異なっていなくてもよく、一部又は全部において同じ位置でもよい。また、複数本のピン20のそれぞれは、本体10の軸方向にみた平面視において互いに等間隔に設けられていなくてもよい。例えば、この間隔が狭い/広いを交互に繰り返すように配置されていてもよいし、ランダムな間隔で配置されていてもよい。
【0043】
また、ピン20は孔10h内で固定されていてもよい。ピン20が固定されていても、ピン20の先端を含めた外径がダクトDの内径より小さければダクト清掃器具1をダクトD内に挿入できる。
【0044】
また、本体10を回転させた際、複数本のピン20の突出量や配置、本体10の重心設定などによって本体10の回転がアンバランスになるようにしてもよい。これにより、ピン20の進退やピン20の固定にかかわらず、本体10のアンバランスな回転によってピン20の先端をダクトDの内壁に不規則に当接させて付着物を掻き落とすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、ダクトD内に容易に挿入でき、油や煤のほかにも種々の汚れを十分に除去できるとともに、ダクトD内で引っ掛かりなく作業することができるダクト清掃器具1及びダクト清掃装置100を提供することができる。このため、排気用のダクトD以外であっても各種のパイプ内の清掃を行う場合に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 ダクト清掃器具
10 本体
10a 面
10b 固定部
10c 周面
10h 孔
10h1 拡径部分
10h2 縮径部分
20 ピン
20a 抜け止め部
25 ボルト
100 ダクト清掃装置
102 可撓性シャフト
103 駆動源
1031 チャック
1032 治具
D ダクト
D1 引き込み口
MD メインダクト
R ロースター
T ロースター付きテーブル
TP 天板