(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】スプレー用補助カバー
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20240723BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20240723BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B05B11/00 102E
(21)【出願番号】P 2022188639
(22)【出願日】2022-11-25
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000227331
【氏名又は名称】株式会社ソフト99コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】503025030
【氏名又は名称】アスモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082083
【氏名又は名称】玉田 修三
(72)【発明者】
【氏名】溝口 亮
(72)【発明者】
【氏名】堺谷 哲也
(72)【発明者】
【氏名】平井 康雄
(72)【発明者】
【氏名】福田 真優
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-299992(JP,A)
【文献】特表2019-531984(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0108407(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0189834(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0222243(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00-83/76
B05B 11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器首部の口部に装着可能な噴射ノズル及び操作片を備える噴射機構とこの噴射機構の上部及び左右の側部を覆う正面視略門形の着脱可能なシュラウドとを備え、上記口部に装着された噴射機構の上記操作片を容器首部を掴んだ片手の指で操作することによって上記噴射ノズルから容器の内容液が噴射されるスプレーに用いられるスプレー用補助カバーであって、
噴射機構に装着された上記シュラウドの上部及び左右の側部を覆う正面視門形のカバー本体部と、このカバー本体部から後方に
延び出しかつその長さに応じて上記容器首部を掴んだ片手の手首や前腕、上腕、肩部から選ばれる部位によって支えられる後方延出部と、を一体に有し、
上記カバー本体部及び上記後方延出部の両方に作業用具の着脱部が備わり、
上記着脱部に、後方延出部に設けられて作業用具としての柄付きブラシの柄を挿抜可能な孔部、後方延出部に設けられて作業用具としての柄付きモップの柄を係脱可能な係合部、及び、カバー本体部に設けられて作業用具としてのスポンジ体の切り目に抜き差しされる板片状の突出片が含まれていると共に、上記カバー本体部の側面に上記容器首部を掴んだ片手の指に乗りかかる横向き突片が設けられ、
上記突出片と上記横向き突片とが同一部位によって共用されていることを特徴とするスプレー用補助カバー。
【請求項2】
カバー本体部の下端縁に凹入状の湾曲部が具備され、この湾曲部に設けられて内向きに突き出た第1内向きリブとカバー本体部との協働によって上記シュラウドが上下方向及び左右方向で挟まれている
請求項1に記載したスプレー用補助カバー。
【請求項3】
上記カバー本体部及び上記後方延出部と共に、上記カバー本体部から下方に延びて容器首部の背部及び左右の側部を覆う首部覆部を一体に有する
請求項1に記載したスプレー用補助カバー。
【請求項4】
容器首部の口部に対する噴射機構の装着箇所では、噴射機構に備わっているキャップが容器首部の口部にねじ合わされていて、このキャップの下端に、上記首部覆部に設けられている円弧状の内向きに突き出た第2内向きリブが重なり合っている
請求項3に記載したスプレー用補助カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内容液を噴出させることに用いられるスプレーを使用対象とし、スプレーを片手に持って取り扱うときの安定性や操作性を向上させることのできるスプレー用補助カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
容器内の洗浄液などの内容液を洗浄用具などの作業用具と共に用いて汚れた部位、たとえば自動車のホイールを洗浄する際には、洗浄液でホイールを濡らした後、柄付きブラシや柄付きモップ、スポンジ体などの洗浄用具で洗うといった作業が行われている。そして、ホイールを洗浄液で濡らす工程では、洗浄液を入れた容器に装着したスプレーが多々用いられている。
【0003】
図8は従来例としての一般的なスプレー100を例示した一部省略側面図である。同図において、スプレー100は、容器200に備わっている首部(容器首部)210の口部(図に現れていない。)に装着可能な噴射ノズル120及び操作片130を備える噴射機構Mを有していて、噴射機構Mには着脱可能なシュラウド110が装着されている。
図9はシュラウド110の概略斜視図であり、同図のように、シュラウド110は正面視略門形に形成されていて、噴射機構Mに装着した状態では、シュラウド110が噴射機構Mの上部及び左右の側部を覆う。なお、「正面視略門形」とは、
図9の矢視A方向から見た形状が門形である、という意味である。
【0004】
図8に示した噴射機構Mはトリガータイプのものとして形成されている。また、容器首部210の口部に対する噴射機構Mの装着箇所では、噴射機構Mに備わっているキャップ140が容器首部210の口部にねじ合わされている。このスプレー100では、容器首部210を掴んだ片手の指で操作片130を引き込み操作することによって噴射ノズル120から容器200の内溶液が噴射される。操作片130に対する引き込み操作を止めると、操作片130が元の初期位置に復帰する。
【0005】
先行例(特許文献1)にはトリガー式噴出器についての記述がある。このトリガー式噴出器は、手で把持したときの安定性や操作性を向上させることを意図して、シュラウドに保持部材を取り付け、この保持部材をシュラウドの上側に被せられる第1位置とシュラウドの下側部分に配置される第2位置との間で回転可能としたものである。そして、保持部材を第2位置に配置しておくと、トリガー式噴出器を手で把持したときに、親指と人差し指との間の部分にシュラウドの後端部が乗りかかることにより、トリガー式噴出器を手で把持したときの安定性や操作性が向上するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図8を参照して説明した従来例によるスプレー100を容器首部210の口部に装着した状態では、同図に明示されているように噴射機構Mに装着されているシュラウド110の後端部が容器首部210のやや後方に突き出ていることにより、容器首部210を片手で掴んだときにシュラウド110の後端部が親指と人差し指との付け根部分に乗りかかってスプレー100が安定して支えられるようになるとも考えられる。また、スプレー100が安定して支えられることによって操作性が改善されるようになるとも考えられる。
【0008】
しかしながら、大形の大容量の容器200に洗浄液などの内容液が入っている場合に、スプレー100を容器首部210の口部に装着して使用すると、容器200の重量が大きくなることにより、容器200の重心位置によっては、容器首部210を片手で掴んでいても容器200が傾いて噴射ノズル120の向きを適切に保つことが難しくなる。このことを解消するには、容器首部210を掴んでいる片手に力をいれて容器200の重量を支える必要があるけれども、そのようにすると、容器首部210を掴んだ手にかかる負担が大きくなるだけでなく、その負担のために洗浄作業を持続することが困難になることもある。
【0009】
上掲の特許文献1によって提案されているトリガー式噴出器によると、大形の容器に対しては、第2位置に配置した保持部材の作用によって手にかかる負担が幾分かは軽減するとも考えられる。しかしながら、調査の結果、保持部材を第2位置に配置したときには、トリガー式噴出器を手で把持したときに親指と人差し指との間の部分にシュラウドの後端部(保持部材の後端部)が乗りかかるに過ぎないため、手に加わる負担を軽減するのに十分ではないことが判った。
【0010】
また、
図8に示した従来例のような既存のスプレー100を使用する場合に、特許文献1によって提案されている技術を利用して上記保持部材をシュラウドに取り付けることは容易ではなく、消費者にとっては現実的ではない。
【0011】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、既存のスプレーに装着するだけで、重量の大きな大形の大容量の容器にスプレーを装着して使用しても、片手にかかる負担が大幅に軽減されるだけでなく、スプレーを片手に持って取り扱うときの安定性や操作性を向上させることのできるスプレー用補助カバーを提供することを目的としている。
【0012】
また、本発明は、作業用具をスプレーと共に1セットとして保管したり取り扱ったりすることのできるスプレー用補助カバーを提供すること、を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るスプレー用補助カバーは、容器首部の口部に装着可能な噴射ノズル及び操作片を備える噴射機構とこの噴射機構の上部及び左右の側部を覆う正面視略門形の着脱可能なシュラウドとを備え、上記口部に装着された噴射機構の上記操作片を容器首部を掴んだ片手の指で操作することによって上記噴射ノズルから容器の内容液が噴射されるスプレーに用いられる。そして、噴射機構に装着された上記シュラウドの上部及び左右の側部を覆う正面視門形のカバー本体部と、このカバー本体部から後方に延び出た後方延出部とを一体に有し、上記カバー本体部及び上記後方延出部の両方に、作業用具の着脱部が備わっている。
【0014】
このように構成されているスプレー用補助カバーによると、当該補助カバーの後方延出部の長さに応じて、容器首部を掴んだ片手の手首や前腕、上腕、肩部などでその後方延出部を支えることが可能になり、このことが、容器首部を掴んだ片手にかかる負担を大幅に軽減させることに役立つ。また、当該補助カバーは、既存のスプレーに対して装着することができるという利便性がある。また、カバー本体部及び後方延出部の両方に、作業用具の着脱部が備わっていることにより、各種の作業用具をスプレーと共に1セットとして保管したり取り扱ったりすることができるようになる。この着脱部は、後方延出部に設けられて作業用具としての柄付きブラシの柄を挿抜可能な孔部、後方延出部に設けられて作業用具としての柄付きモップの柄を係脱可能な係合部、及び、カバー本体部に設けられて作業用具としてのスポンジ体の切り目に抜き差しされる板片状の突出片、から選択されている、という構成を採用することが可能である。これによれば、各種の作業用具をスプレーと共に1セットとして保管したり取り扱ったりすることができるようになる。さらに、上記突出片と上記横向き突片とが同一部位によって共用されている、という構成を有する。
【0015】
この発明の範囲内においては、上記後方延出部はその後端部が容器首部を掴んだ片手の手首に当接する長さを有する、という構成を採用することが可能である。これによれば、後方延出部の後端部が、容器首部を掴んだ片手の手首に当接することにより、スプレーが装着されている容器の重量が手首で支えられるようになって、容器首部を掴んだ片手にかかる負担が大幅に軽減される。
【0016】
本発明では、カバー本体部の下端縁に凹入状の湾曲部が具備され、この湾曲部に設けられて内向きに突き出た第1内向きリブとカバー本体部との協働によって上記シュラウドが上下方向及び左右方向で挟まれている、という構成を採用することが可能である。これによれば、当該補助カバーがぐらつきなくシュラウドに装着される。
【0017】
本発明では、上記カバー本体部及び上記後方延出部と共に、上記カバー本体部から下方に延びて容器首部の背部及び左右の側部を覆う首部覆部を一体に有する、という構成を採用することが望ましい。これによれば、首部覆部が容器首部の背部及び左右の側部を覆うことによって、当該補助カバーがいっそうぐらつきなくシュラウドに装着される。
【0018】
本発明では、容器首部の口部に対する噴射機構の装着箇所では、噴射機構に備わっているキャップが容器首部の口部にねじ合わされていて、このキャップの下端に、上記首部覆部に設けられている円弧状の内向きに突き出た第2内向きリブが重なり合っている、という構成を採用することができる。この構成は、シュラウドに装着された当該補助カバーのぐらつきを確実に抑制することに役立つ。
【0019】
本発明では、上記カバー本体部の側面に、容器首部を掴んだ片手の指に乗りかかる横向き突片が備わっている、という構成を採用することが可能である。これによれば、容器首部を掴んだ片手の指で横向き突片を支えることが可能になり、後方延出部による作用と共に、より安定してスプレーが装着されている容器を支えることができ、より一層容器首部を掴んだ片手にかかる負担を軽減させることに役立つ。特に、この横向き突片を設けておくことにより、スプレーが装着されている容器を持ち上げるときや、腕を上げた体勢で内容液を噴射する場合になど、上記した後方延出部によって片手の手首や前腕、上腕、肩部などでその後方延出部が支えられていない状態でも、容器首部を掴んだ片手にかかる負担が軽減される。
【0020】
なお、本発明に係るスプレー用補助カバーは、容器の内容液を噴出させることに用いられるスプレーを使用対象としていて、容器の内容液には、上記した洗浄液のほかにも、液体ワックス、撥水剤、解氷剤といった様々な液体が含まれる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明に係るスプレー用補助カバーによれば、既存のスプレーに容易に装着して使用することができ、装着することによって、重量の大きな大形の大容量の容器にスプレーを装着して使用しても片手にかかる負担を大幅に軽減させることができて、スプレーを手に持って取り扱うときの安定性や操作性が向上する。
【0022】
また、例えば洗浄用具などの作業用具をスプレーと共に1セットとして保管したり取り扱ったりすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る補助カバーの概略外観斜視図である。
【
図2】スプレーに装着した
図1の補助カバーの縦断面図である。
【
図3】スプレーに装着した
図1の補助カバーの側面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る補助カバーの概略外観斜視図である。
【
図5】スプレーに装着した
図4の補助カバーの縦断面図である。
【
図6】スプレーに装着した
図4の補助カバー10の側面図である。
【
図7】作業用具を
図4の補助カバーと共に示した説明図である。
【
図8】従来例としてのスプレーを例示した一部省略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明の第1実施形態に係る補助カバー10の概略外観斜視図、
図2はスプレー100に装着した
図1の補助カバー10の縦断面図、
図3はスプレー100に装着した
図1の補助カバー10の側面図である。
【0025】
この第1実施形態の補助カバー10は樹脂成形体でなる。この補助カバー10には、正面視門形のカバー本体部20と、カバー本体部20から後方に延び出た後方延出部40とが一体に備わっている。
図2及び
図3を併せ見ることによって判るように、この補助カバー10は、
図8を参照して説明した従来例と同様のスプレー100にシュラウド110を介して装着して使用される。スプレー100にシュラウド110を介して装着された補助カバー10にあっては、カバー本体部20がシュラウド110の上部及び左右の側部を覆う。なお、「正面視略門形」とは、
図1の矢視A方向から見た形状が門形である、という意味である。
【0026】
こうして補助カバー10が装着されたスプレー100では、容器首部210を、
図3に仮想線で示したように片手で掴み、その手の指で噴射機構Mの操作片130を引き込み操作すると、噴射ノズル120から容器200の内容液が噴射される。ここで、容器200の内容液としては洗浄液のほか、液体ワックス、撥水剤、解氷剤といった様々な液体が含まれることは勿論である。なお、以下の説明では、便宜上、容器200の内容液が洗浄液である場合を一例として説明する。
【0027】
補助カバー10の後方延出部40は、容器首部210を片手で掴んで操作片130を指で引き込み操作するときに、その後端部41が、
図3によって明らかなように容器首部210を掴んでいる片手の手首Rに当接する程度の長さを有している。このことにより、スプレー100が装着されている容器200の重量が手首Rで支えられるようになり、容器200が大容量で大きな重量を有しているとしても、容器首部210を掴んだ片手にかかる負担が大幅に軽減されて操作の安定性やスプレー100の取扱性が改善される。
【0028】
この第1実施形態では、カバー本体部20の左右の側面に横向き突片50が備わっている。この横向き突片50は、容器首部210を掴んだ片手の指に乗りかかり、後方延出部40と共に、より安定してスプレー100が装着されている容器200を支えることができ、より一層、容器首部210を掴んだ片手にかかる負担を軽減させることに役立つ。特に、この横向き突片50を設けておくことにより、スプレー100が装着されている容器200を持ち上げるときや、腕を上げた体勢で内容液を噴射する場合になど、上記した後方延出部40によって片手の手首や前腕、上腕、肩部などでその後方延出部40が支えられていない状態であっても、容器首部210を掴んだ片手にかかる負担が軽減されるという利点がある。
【0029】
この第1実施形態に係る補助カバー10では、上記したようにカバー本体部20が正面視門形に形成されていると共に、
図1に示したように、カバー本体部20の下端縁に凹入状の湾曲部21が具備され、この湾曲部21に内向きに突き出た第1内向きリブ22が設けられている。そして、補助カバー10をシュラウド110に装着した状態では、上記第1内向きリブ22とカバー本体部20との協働によってシュラウド110が上下方向及び左右方向で挟まれている(
図2及び
図3参照)。すなわち、上下方向ではカバー本体部20の上壁部分と第1内向きリブ22とがシュラウド110を挟み、左右方向ではカバー本体部20の左右の側壁部分がシュラウド110を挟んでいる。この構成は、補助カバー10をぐらつきなくシュラウド110に装着することに役立っている。
【0030】
図4は本発明の第2実施形態に係る補助カバー10の概略外観斜視図、
図5はスプレー100に装着した
図4の補助カバー10の縦断面図、
図6はスプレー100に装着した
図4の補助カバー10の側面図である。また、
図7は洗浄用具などの作業用具を
図4の補助カバーと共に示した説明図である。
【0031】
この第2実施形態の補助カバー10は樹脂成形体でなる。この補助カバー10には、正面視門形のカバー本体部20と、カバー本体部20から後方に延び出た後方延出部40とが一体に備わっていることに加えて、これらのカバー本体部20及び後方延出部40と共に、カバー本体部20から下方に延びる首部覆部30が一体に設けられている。そして、
図5及び
図6を併せ見ることによって判るように、補助カバー10は、
図8を参照して説明した従来例と同様のスプレー100にシュラウド110を介して装着して使用される。スプレー100にシュラウド110を介して装着された補助カバー10にあっては、
図5又は
図6のように、カバー本体部20がシュラウド110の上部及び左右の側部を覆い、首部覆部30が容器首部210の背部及び左右の側部を覆う。
【0032】
こうして補助カバー10が装着されたスプレー100では、容器首部210を、
図6に仮想線で示したように首部覆部30の上から片手で掴み、その手の指で噴射機構Mの操作片130を引き込み操作すると、噴射ノズル120から容器200の内容液、たとえば洗浄液が噴射される。ここで、補助カバー10の後方延出部40は、容器首部210を首部覆部30の上から片手で掴んで操作片130を指で引き込み操作するときに、その後端部41は、第1実施形態参照して説明したところと同様に、
図6のように首部覆部30を掴んでいる片手の手首Rに当接する程度の長さを有している。このことにより、スプレー100が装着されている容器200の重量が手首Rで支えられるようになり、容器200が大形で大きな重量を有しているとしても、容器首部210を掴んだ片手にかかる負担が大幅に軽減されて操作の安定性やスプレー100の取扱性が改善される。
【0033】
この第2実施形態でも、カバー本体部20の左右の側面に横向き突片50が備わっている。この横向き突片50は、容器首部210を掴んだ片手の指に乗りかかり、後方延出部40と共に、より安定してスプレー100が装着されている容器200を支えることができ、より一層、容器首部210を掴んだ片手にかかる負担を軽減させることに役立つ。したがって、この横向き突片50を設けておくことにより、スプレー100が装着されている容器200を持ち上げるときや、腕を上げた体勢で内容液を噴射する場合になど、上記した後方延出部40によって片手の手首や前腕、上腕、肩部などでその後方延出部40が支えられていない状態であっても、容器首部210を掴んだ片手にかかる負担が軽減されるという利点がある。
【0034】
この第2実施形態に係る補助カバー10についても、上記したようにカバー本体部20が正面視門形に形成されていると共に、
図4に示したように、カバー本体部20の下端縁に凹入状の湾曲部21が具備され、この湾曲部21に内向きに突き出た第1内向きリブ22が設けられている。そして、補助カバー10をシュラウド110に装着した状態では、上記第1内向きリブ22とカバー本体部20との協働によってシュラウド110が上下方向及び左右方向で挟まれている(
図5及び
図6参照)。すなわち、上下方向ではカバー本体部20の上壁部分と第1内向きリブ22とがシュラウド110を挟み、左右方向ではカバー本体部20の左右の側壁部分がシュラウド110を挟んでいる。この構成は、補助カバー10をぐらつきなくシュラウド110に装着することに役立っている。「正面視略門形」とは、
図4の矢視A方向から見た形状が門形である、という意味である。
【0035】
また、
図4に示したように、補助カバー10の首部覆部30の内側には、円弧状の第2内向きリブ31が設けられている。一方、容器首部210の口部に対する噴射機構Mの装着箇所では、噴射機構Mに備わっているキャップ140が容器首部210の口部にねじ合わされている。そして、このキャップ140の下端に、上記首部覆部30に設けられている円弧状の第2内向きリブ31が重なり合っている。この構成は、上記したところの、第1内向きリブ22とカバー本体部20との協働によってシュラウド110が上下方向及び左右方向で挟まれているという構成による補助カバー10のぐらつきを抑制する、という作用をさらに補強することに役立っている。
【0036】
さらに、この第2実施形態に係る補助カバー10にあっては、
図4に示したように、カバー本体部20及び後方延出部40の両方に、例えば、容器200の内容液である洗浄液と併用される洗浄用具などの作業用具の着脱部が備わっている。図例では、作業用具として、
図7に仮想線で示したサイズの異なる2本の柄付きブラシ71,72と柄付きモップ73とスポンジ体74とが選択されている。また、補助カバー10側の作業用具の着脱部として、
図4又は
図7に示してあるように、後方延出部40に長手方向の2箇所に設けられた孔部61,62と後方延出部40の後端部に設けられた切欠状の係合部63とカバー本体部20の左右の側壁部分にそれぞれ設けられた板片状の突出片64とが選択されている。この第2実施形態では、板片状の突出片64が、上記した横向き突片50によって共用される構成を採用している。
言い換えると、突出片64と横向き突片50とが同一部位によって共用されている、という構成を採用している。
【0037】
この第2実施形態によると、
図7に説明的に示したように、後方延出部40に設けられている2つの孔部61,62(
図4又は
図5参照)に2本の柄付きブラシ71,72の柄をそれぞれ挿入し、後方延出部に設けられている係合部63(
図4又は
図5参照)に柄付きモップ73の柄を係合させ、カバー本体部20に設けられている突出片64にスポンジ体74に形成した切り目を差し込んでおくことによって、これらの作業用具をスプレー100と共に1セットとして保管したり取り扱ったりすることができるようになるという利便性が得られる。なお、スプレー100を使用するときには、全部の作業用具又はじゃまになる作業用具を、補助カバー10から取り外しておけばよい。
【0038】
この第2実施形態に係る補助カバー10にあっては、カバー本体部20及び後方延出部40の両方に作業用具の着脱部が備わっている事例を説明したけれども、着脱部は、カバー本体部20及び後方延出部40のうちのいずれか一方だけに設けておくことも可能である。また、作業用具は上記した柄付きブラシ71,72などに限定されることはなく、他の種類の作業用具であってもよいことは勿論である。また、着脱部の構成は作業用具の形状や構成に応じて適切に選定することが可能である。
【0039】
以上説明したものと同様に、第1実施形態に係る補助カバー10についても、カバー本体部20及び後方延出部40の両方に作業用具の着脱部が備わっている(
図1~
図3参照)。また、第1実施形態に係る補助カバー10についても、板片状の突出片64が、上記した横向き突片50によって共用される構成を採用している。
言い換えると、突出片64と横向き突片50とが同一部位によって共用されている、という構成を採用している。
【0040】
なお、容器200の内容液としての洗浄液には、自動車のホイール用洗浄液のほか、家庭の水周り箇所の洗浄に使用されるカビ取り用洗浄液など、各種の洗浄液が含まれる。この実施形態では、容器200の内容液が洗浄液である場合を説明したけれども、上記したように容器200の内容液としては洗浄液のほか、液体ワックス、撥水剤、解氷剤といった様々な液体を採用し得ることは勿論である。
【0041】
上記した第1及び第2の各実施形態では、補助カバー10の後方延出部40の後端部41が、首部覆部30を掴んでいる片手の手首Rに当接する程度の長さを有している事例を説明したけれども、後方延出部40の長さを適切に定めておくと、後方延出部40の長さに応じて、首部覆部30を掴んだ片手の手首や前腕、上腕、肩部などでその後方延出部を支えさせることも可能である。したがって、大容量で重量の大きな容器の内容液を噴出させることに用いられるスプレーを使用対象とする場合でも、スプレーを取り扱うときの安定性や操作性を向上させることができる。
【0042】
図1~
図9においては、説明の便宜上、同一又は相応する要素には同一符号を付してある。
【符号の説明】
【0043】
10 補助カバー
20 カバー本体部
21 湾曲部
22 第1内向きリブ
30 首部覆部
31 第2内向きリブ
40 後方延出部
41 後方延出部の後端部
50 横向き突片
61,62 孔部(着脱部)
63 係合部(着脱部)
64 突出片(着脱部)
71,72 柄付きブラシ(作業用具)
73 柄付きモップ(作業用具)
74 スポンジ体(作業用具)
100 スプレー
110 シュラウド
120 噴射ノズル
130 操作片
140 キャップ
200 容器
210 容器首部
M 噴射機構
R 手首