(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 58/10 20060101AFI20240723BHJP
D06F 58/24 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
D06F58/10 Z
D06F58/24
(21)【出願番号】P 2019233553
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 肇
(72)【発明者】
【氏名】永井 孝之
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205893751(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0355548(US,A1)
【文献】特開2008-215756(JP,A)
【文献】国際公開第2016/180373(WO,A1)
【文献】特開2006-158586(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107724025(CN,A)
【文献】実開昭57-008098(JP,U)
【文献】特開2000-037598(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0126422(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/10
D06F 58/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、衣類が収容される収容室と、
前記収容室内に温風を供給する温風供給部と、
前記収容室内にスチームを供給するスチーム供給部と、
前記収容室内にオゾンを含む空気を供給するオゾン供給部と、
前記収容室内の空気を除湿する除湿部と、
前記収容室内の空気を排出するための排出口と、
前記排出口から排出された空気を前記筐体の外部へ導く排気ダクトと、
前記筐体の外部の空気を取り込んで前記排気ダクトを流れる空気に混合する空気混合部と、
前記排気ダクト内に設けられ、前記排気ダクトを開閉する第1開閉部と、
前記排気ダクト内を流れる空気に含まれるオゾンを除去するオゾン除去フィルタと、
前記温風供給部、前記スチーム供給部、
前記オゾン供給部、前記空気混合部および前記第1開閉部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記排気ダクトが前記第1開閉部により閉鎖された状態において、前記スチーム供給部を動作させて、前記収容室内にスチームを供給するスチーム工程を実行し、
前記オゾン除去フィルタは、前記排気ダクト内において、前記第1開閉部よりも下流に設けられる、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の衣類処理装置において、
前記筐体の外部の空気が取り込まれる第1吸気路と、
前記収容室内の空気が取り込まれる第2吸気路と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記排気ダクトが前記第1開閉部により閉鎖された状態において、前記温風供給部
が前記第2吸気路に取り込まれた前記収容室内の空気から温風を生成して前記収容室内に供給し、前記除湿部
が前記収容室内の空気を除湿
する循環乾燥工程を実行し、
前記循環乾燥工程の後、前記排気ダクトが前記第1開閉部により開放された状態において、前記温風供給部
が前記第1吸気路に取り込まれた前記筐体の外部の空気から温風を生成して前記収容室内に供給し、前記空気混合部
が前記排気ダクト内に前記筐体の外部の空気を供給する
排気乾燥工程を実行する、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の衣類処理装置において、
前記第1吸気路を開閉する第2開閉
部をさらに備え、
前記排気ダクトが前記第1開閉部により閉鎖され、前記第1吸気路が前記第2開閉部により閉鎖された状態において、前記オゾン供給部は、前記第2吸気路に取り込まれた前記収容室内の空気からオゾンを生成して当該オゾンを含む空気を前記収容室内に供給する、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項4】
請求項
1ないし3の何れか一項に記載の衣類処理装置において、
前記空気混合部は、前記排気ダクト内の前記オゾン除去
フィルタよりも下流に前記筐体の外部から取り込んだ空気を供給する、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【請求項5】
請求項
2に記載の衣類処理装置において、
前記制御部は、前記スチーム工程を実行した後に、前記循環乾燥工程と前記排気乾燥工程とを順次実行する、
ことを特徴とする衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類に乾燥等の処理を施す衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収容部内において衣類を吊り下げ、その衣類を温風により乾燥することができる衣類処理装置が知られている。このような衣類処理装置の一例が、たとえば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の衣類処理装置では、収容部内で衣類から水分を奪うことで湿度の高まった温風が衣類処理装置の外部へ排出されるので、衣類処理装置の周辺の湿度が高くなりやすかった。
【0005】
そこで、本発明は、衣類の乾燥が行われたときの排気によって周辺の湿度が高まることを抑制できる衣類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主たる態様に係る衣類処理装置は、筐体内に配置され、衣類が収容される収容室と、前記収容室内に温風を供給する温風供給部と、前記収容室内にスチームを供給するスチーム供給部と、前記収容室内にオゾンを含む空気を供給するオゾン供給部と、前記収容室内の空気を除湿する除湿部と、前記収容室内の空気を排出するための排出口と、前記排出口から排出された空気を前記筐体の外部へ導く排気ダクトと、前記筐体の外部の空気を取り込んで前記排気ダクトを流れる空気に混合する空気混合部と、前記排気ダクト内に設けられ、前記排気ダクトを開閉する第1開閉部と、前記排気ダクト内を流れる空気に含まれるオゾンを除去するオゾン除去フィルタと、前記温風供給部、前記スチーム供給部、前記オゾン供給部、前記空気混合部および前記第1開閉部を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記排気ダクトが前記第1開閉部により閉鎖された状態において、前記スチーム供給部を動作させて、前記収容室内にスチームを供給するスチーム工程を実行する。前記オゾン除去フィルタは、前記排気ダクト内において、前記第1開閉部よりも下流に設けられる。
【0007】
上記の構成によれば、温風供給部から収容室内に温風を供給して衣類を乾燥させる際に、除湿部を動作させることにより、衣類から奪われた水分を含む収容室内の空気を除湿できる。これにより、衣類処理装置から外部に排出される湿気が少なくなり、衣類処理装置の周辺の湿度が高くなりにくくなる。
【0008】
また、衣類を乾燥させる際に、空気混合部を動作させることにより、排気ダクト内を流れる空気に筺体の外部からの空気を混合させて相対湿度を低下させた後、その空気を筺体の外部に排出できる。これにより、排出された空気によって衣類処理装置の周囲にある部屋の壁面に結露が生じるなど、高湿の空気による衣類処理装置の周辺への影響が出にくくなる。
さらに、収容室内にスチームを供給することにより、衣類のしわを伸ばすことができる。しかも、この際に、第1開閉部により排気ダクトが閉鎖されるので、機外へのスチームの漏れを抑制できる。これにより、収容室内がスチームで満たされやすくなって衣類のしわ伸ばし効果が高まるとともに、衣類処理装置の周辺の湿度の上昇を抑制できる。
さらに、オゾン除去フィルタは、排気ダクトにおいて、第1開閉部よりも下流に設けられているので、オゾン除去フィルタにスチームが接触してオゾン除去フィルタが酷く濡れてしまうことが防止される。
【0009】
本態様に係る衣類処理装置において、前記筐体の外部の空気が取り込まれる第1吸気路と、前記収容室内の空気が取り込まれる第2吸気路と、をさらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記排気ダクトが前記第1開閉部により閉鎖された状態において、前記温風供給部が前記第2吸気路に取り込まれた前記収容室内の空気から温風を生成して前記収容室内に供給し、前記除湿部が前記収容室内の空気を除湿する循環乾燥工程を実行し、前記循環乾燥工程の後、前記排気ダクトが前記第1開閉部により開放された状態において、前記温風供給部が前記第1吸気路に取り込まれた前記筐体の外部の空気から温風を生成して前記収容室内に供給し、前記空気混合部が前記排気ダクト内に前記筐体の外部の空気を供給する排気乾燥工程を実行する。
なお、前記制御部は、前記スチーム工程を実行した後に、前記循環乾燥工程と前記排気乾燥工程とを順次実行できる。
【0010】
上記の構成によれば、排気ダクトを閉鎖して、衣類に接触した温風、即ち空気を収容室と温風供給部との間で循環させながら、その空気を除湿部により除湿する循環乾燥を行うことができる。これにより、湿った空気を筐体の外部へ極力排出させないようにしながら衣類を乾燥させることができる。
【0011】
また、排気ダクトを開放して、衣類に接触した温風、即ち空気を積極的に収容室内から排出させる排気乾燥を行うことができ、この際に、収容室から排出された空気を、空気混合部により相対湿度を低下させて筐体の外部へさせることができる。これにより、収容室内の空気が入れ替わることで湿度の低い空気が衣類に接触しやすくなり、衣類が乾燥しやすくなるとともに、高湿の空気による衣類処理装置の周辺への影響を抑えることができる。
【0012】
上記の構成とされた場合、さらに、前記第1吸気路を開閉する第2開閉部を備えるような構成が採られ得る。この場合、前記排気ダクトが前記第1開閉部により閉鎖され、前記第1吸気路が前記第2開閉部により閉鎖された状態において、前記オゾン供給部は、前記第2吸気路に取り込まれた前記収容室内の空気からオゾンを生成して当該オゾンを含む空気を前記収容室内に供給する。
【0013】
このような構成とされれば、オゾン供給部によりオゾンを生成しながら、収容室とオゾン供給部との間でオゾンを含む空気を循環させる循環型の脱臭運転を行うことができる。これにより、収容室内の衣類に濃度の高いオゾンを作用させることができるので、高い脱臭効果が期待できる。また、排気ダクトと第1吸気路とが閉鎖されているので、濃度の高いオゾンが筐体の外部に漏れるのを防止できる。
【0014】
本態様に係る衣類処理装置において、前記空気混合部は、前記排気ダクト内の前記オゾン除去フィルタよりも下流に前記筐体の外部から取り込んだ空気を供給する。
【0015】
このような構成とされれば、オゾン除去フィルタによりオゾンが除去された空気を衣類処理装置の外部へ排出できる。しかも、オゾン除去フィルタの通過により流速が低下した収容室からの空気に筐体の外部の空気を混合させることができるので、収容室からの空気に外部の空気が混合されやすくなり、外部に排出される空気の相対湿度が低下しやすくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、衣類の乾燥が行われたときの排気によって周辺の湿度が高まることを抑制できる衣類処理装置を提供できる。
【0019】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1(a)は、実施の態様に係る、衣類処理装置の正面図であり、
図1(b)は、実施の態様に係る、衣類処理装置の右側面図である。
【
図2】
図2は、実施の態様に係る、第1供給ユニットの位置で切断した、衣類処理装置の正面断面図である。
【
図3】
図3は、実施の態様に係る、第2供給ユニットの位置で切断した、衣類処理装置の正面断面図である。
【
図4】
図4(a)および(b)は、それぞれ、実施の態様に係る、カバーが取り外された状態および取り付けられた状態の衣類処理装置の平面断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る、第1供給ユニットの吸気ダクトの位置で切断した、衣類処理装置の要部の側面断面図である。
【
図6】
図6(a)は、実施の形態に係る、排気ユニットの位置で切断された衣類処理装置の右側の平面断面図であり、
図6(b)は、実施の形態に係る、排気ユニットの位置で切断された衣類処理装置の上部の側面断面図である。
【
図7】
図7(a)は、実施の形態に係る、空気循環ユニットの前方位置で切断した、衣類処理装置の要部の正面断面図であり、
図7(b)は、実施の形態に係る、カバーが外された状態の空気循環ユニットの正面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る、衣類処理装置の要部の側面断面図である。
【
図9】
図9(a)は、実施の形態に係る、収容室の後面に配置された除湿ユニットを後方から見た図であり、
図9(b)は、実施の形態に係る、
図9(a)のA-A´線の位置で切断された衣類処理装置の要部の平面断面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る、衣類処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る、衣類処理装置の運転制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1(a)は、衣類処理装置1の正面図であり、
図1(b)は、衣類処理装置1の右側面図である。
図2は、第1供給ユニット300の位置で切断した、衣類処理装置1の正面断面図である。
図2では、第2供給ユニット400および空気循環ユニット700の図示が省略されている。
図3は、第2供給ユニット400の位置で切断した、衣類処理装置1の正面断面図である。
図3では、空気循環ユニット700の図示が省略されている。
図4(a)および(b)は、それぞれ、カバー240が取り外された状態および取り付けられた状態の衣類処理装置1の平面断面図である。
図4(a)および(b)では、空気循環ユニット700および除湿ユニット800の図示が省略されている。
図5は、第1供給ユニット300の吸気ダクト350の位置で切断した、衣類処理装置1の要部の側面断面図である。なお、
図2には、オゾンを含む空気および温風の流れが実線矢印で示されている。また、
図3には、スチームの流れが実線矢印で示されており、結露水の流れが破線矢印で示されている。さらに、
図5には、衣類処理装置1の外部からの空気の流れが実線矢印で示されており、収容室200内からの空気の流れが破線矢印で示されている。さらに、
図3には、便宜上、切断面よりも前方にあるハンガー台260が、一点鎖線にて描かれている。
【0023】
衣類処理装置1は、縦長の直方体形状を有する筐体100を備える。筐体100の外底面には、4つの角部に脚110が設けられる。筐体100の内部には、スーツ、コート等の各種の衣類が吊られた状態で収容される収容室200が配される。収容室200は、縦長の直方体形状を有する。また、筐体100の内部には、収容室200の下方に、収容室200に温風とオゾンとを供給可能な第1供給ユニット300と、収容室200にスチームを供給可能な第2供給ユニット400とが配される。第1供給ユニット300は、本発明の温風供給部およびオゾン供給部に相当し、第2供給ユニット400は、本発明のスチーム供給部に相当する。
【0024】
収容室200の前面は、衣類の投入口201として開口する。筐体100の前面は、投入口201に対応する部分が開口する。筐体100の前面には、ドア500が設けられる。ドア500は、筐体100の前面とほぼ同じ大きさを有する。投入口201がドア500により覆われる。ドア500の右端部は図示しないヒンジ部により筐体100と連結されており、ヒンジ部を支点にしてドア500を前方へ開くことができる。
【0025】
収容室200には、底面の中央部に、第1供給口210と第2供給口220が、互いに隣接するように設けられる。第1供給口210および第2供給口220は、両側に直線部分を有するほぼ半円形の筒状を有する。第1供給口210の円弧状部211と第2供給口220の円弧状部221は、上方から見て、互いに反対方向に湾曲する。これにより、第1供給口210と第2供給口220とを合わせた形状が、
図4(a)の一点鎖線のような円形に近い形状となる。第1供給口210と第2供給口220との間には僅かに隙間が設けられており、この隙間に取付穴231を有する取付ボス230が設けられる。
【0026】
第1供給口210および第2供給口220の上方には、これらを覆うように、カバー240が配置される。カバー240は、円盤状の天面部241と、天面部241の周縁から下斜め方向に延びる周面部242とを含む。天面部241は、第1供給口210と第2供給口220とを合わせた大きさよりも大きい。天面部241の裏面中央には、下方に突出する軸243が形成される。カバー240の天面部241と第1供給口210および第2供給口220との間に所定の隙間ができるように、軸243が取付ボス230の取付穴231に取り付けられる。カバー240の周面部242には、全周に亘って、複数の排出孔244が形成される。排出孔244は、カバー240の径方向に長い方形状を有し、第1供給口210および第2供給口220の周囲、即ち、カバー240における第1供給口210および第2供給口220の投影領域よりも外側に位置する。これにより、衣類から落ちた埃や異物が、排出孔244を通じて第1供給口210や第2供給口220に侵入しづらくなる。カバー240の外周縁と収容室200の底面との間には、所定の隙間が設けられる。
【0027】
収容室200には、底面の右前部に、複数の孔により構成される底面吸気口250が設けられる。
【0028】
収容室200の天面には、前後方向における中央部に、ハンガー台260が設けられる。ハンガー台260は、左右方向に延びる丸棒状のポール261と、ポール261の左右の端部を収容室200の天面から支持する支持板262とを含む。衣類が掛けられたハンガーが、ハンガー台260のポール261に掛けられる。このように、衣類は、ハンガー台260のポール261によって、収容室200の天面から吊られた状態に保持される。
図2および
図3に示すように、ポール261には、衣類の前後の方向がポール261の延びる方向となるように、複数の衣類を並べて掛けることができる。
【0029】
図2および
図5を参照し、第1供給ユニット300は、第1供給ダクト310と、オゾン発生器320と、加熱器330と、送風ファン340と、吸気ダクト350とを含む。
【0030】
第1供給ダクト310は、その導入口311が送風ファン340の吐出口342に接続され、その導出口312が第1供給口210の入口に接続される。第1供給ダクト310内の導入口311の近傍にオゾン発生器320が配置される。第1供給ダクト310は、導入口311から左方に延び、オゾン発生器320の配置位置を過ぎた部分から右方に折り返されるように湾曲した後、上方に延びて第1供給口210へと至るような形状を有する。
【0031】
オゾン発生器320は、放電方式のオゾン発生器であり、一対の電極間にコロナ放電、無声放電等の放電を生じさせ、一対の電極間に通された空気からオゾンを生成する。加熱器330は、第1供給ダクト310内において、オゾン発生器320よりも第1供給口210側に配置され、第1供給ダクト310内を流れる空気を加熱する。加熱器330として、たとえば、PTCヒータを用いることができる。
【0032】
送風ファン340は、遠心ファンであり、側面に吸込口341が設けられ、周面に吐出口342が設けられる。送風ファン340は、吸込口341から空気を取り込み、取り込んだ空気を第1供給ダクト310内のオゾン発生器320へ送る。送風ファン340として、遠心ファン以外のファン、たとえば、軸流ファンが用いられても良い。
【0033】
筐体100の前面には、送風ファン340の吸込口341と対向する位置に前面吸気口101が形成される。前面吸気口101には、前面吸気口101から取り込まれる空気に含まれる埃などを除去するダストフィルタ120が設けられる。
【0034】
ドア500には、後面における筐体100の前面吸気口101に対応する位置に複数の通気孔501が形成され、底面に空気の取込口502が形成される。ドア500の内部では、取込口502と複数の通気孔501とが連通する。
【0035】
前面吸気口101および底面吸気口250と吸込口341との間には、吸気ダクト350が設けられる。吸気ダクト350は、前面吸気口101に繋がる第1ダクト351と、底面吸気口250に繋がる第2ダクト352と、第1ダクト351および第2ダクト352と吸込口341との間をつなぐ第3ダクト353とで構成される。第1ダクト351は、本発明の第1吸気路に相当し、第2ダクト352は、本発明の第2吸気路に相当する。
【0036】
吸気ダクト350の第3ダクト353には、吸気ダンパー360が設けられる。吸気ダンパー360は、開閉板361と、開閉板361を回動させるダンパーモータ362とを含む。吸気ダンパー360は、本発明の第2開閉部に相当する。
【0037】
開閉板361は、第2ダクト352の出口352aを塞ぐ第1閉塞位置と、第1ダクト351の出口351aを塞ぐ第2閉塞位置との間で切り替わる。開閉板361が第1閉塞位置に切り替えられると、前面吸気口101から衣類処理装置1の外部の空気を吸気できる状態となり、第2ダクト352は閉鎖された状態となる。一方、開閉板361が第2閉塞位置に切り替えられると、底面吸気口250から収容室200内の空気を吸気できる状態となり、第1ダクト351は閉鎖された状態となる。以降、衣類処理装置1の外部を、機外ということとする。
【0038】
図3を参照し、第2供給ユニット400は、第2供給ダクト410と、スチーム発生装置420と、排水装置430とを含む。第2供給ダクト410は、下部が右方に膨らんだ形状を有する。第2供給ダクト410には、上端部に第2供給口220の入口に接続される導出口411が設けられる。また、第2供給ダクト410には、下部の右側面に導入口412が設けられる。さらに、第2供給ダクト410には、導入口412の下方に、その底部を導入口412の位置よりも低くすることにより、貯水部413が設けられる。貯水部413の底面には、排出口414が設けられる。
【0039】
スチーム発生装置420は、給水タンク440と、給水槽450と、ポンプモジュール460と、スチーム発生器470とを含む。給水タンク440には、スチーム発生器470に供給される水が溜められる。給水タンク440は、筐体100内において、図示しない給水タンク設置部に着脱可能に設置される。給水タンク440が給水タンク設置部に設置されると、その供給口441が上方から給水槽450の入口451に接続される。供給口441には開閉弁442が設けられ、供給口441が入口451に接続されると、開閉弁442が開いて給水タンク440から給水槽450に水が供給され、給水槽450内全体が水で満たされる。
【0040】
ポンプモジュール460は、ポンプ461と、接続ホース462と、給水ホース463とを含む。ポンプ461の吸込口は、接続ホース462により給水槽450の出口452に接続される。ポンプ461の吐出口には、給水ホース463が接続される。ポンプ461は、給水槽450内の水を、接続ホース462を通じて吸い込み、給水ホース463を通じてスチーム発生器470に送る。
【0041】
スチーム発生器470は、本体部471と、ヒータ472とを含み、第2供給ダクト410の導入口412に、図示しない断熱部材を介して装着される。本体部471は、アルミダイカスト等の金属材料で形成され、内部にスチーム発生室473を有する。また、本体部471には、スチーム発生室473の上方に、給水ホース463が接続される給水口474が設けられ、スチーム発生室473の右方に、第2供給ダクト410内に繋がる放出口475が設けられる。ヒータ472は、本体部471に埋め込まれる。
【0042】
本体部471は、ヒータ472により加熱されて高温となる。ポンプ461により送られた水がスチーム発生室473の底面に滴下し蒸発することで高温のスチームが発生する。発生したスチームは、放出口475を通じて第2供給ダクト410内へ放出される。
【0043】
排水装置430は、排水タンク480と、排水ホース490とを含む。排水ホース490は、上端部に第2供給ダクト410の排出口414に接続される接続口491を有する。接続口491には、排出口414を塞ぐようにして抵抗板492が配置される。抵抗板492は、例えば、金属製の目の細かな網板であり、脱臭・除菌運転時に収容室200内に供給されたオゾンが排水ホース490を通じて筐体100の内部に漏れにくくするためのものである。
【0044】
排水タンク480は、第2供給ダクト410内で発生した結露水を回収するための容器である。排水タンク480は、筐体100内において、図示しない排水タンク設置部に着脱可能に設置される。排水タンク480が排水タンク設置部に設置されると、その入口481が、排水ホース490の下端の真下に位置づけられる。
【0045】
筐体100の前面には、筐体100内に設置された給水タンク440および排水タンク480の正面位置に、これらタンク440、480の出入口102が設けられている。出入口102は、開閉可能な蓋103で覆われる(
図1参照)。ユーザは、ドア500を開いて蓋103を開けることにより、筐体100内に対して給水タンク440および排水タンク480を出し入れできる。
【0046】
図1を参照し、収容室200の天面には、左側であって中央よりもやや前側の位置に排出口202が形成される。排出口202には、着脱可能に排気カバー270が装着される。排気カバー270には、複数の排気窓271が設けられる。また、排気カバー270の内部には、空気に含まれる糸屑等を除去するリントフィルタ272が配置される。
【0047】
収容室200の天面と筐体100の天面との間には、排出口202の位置に、収容室200内の空気を機外へ排気するための排気ユニット600が設けられる。
【0048】
図6(a)は、排気ユニット600の位置で切断された衣類処理装置1の右側の平面断面図であり、
図6(b)は、排気ユニット600の位置で切断された衣類処理装置1の上部の側面断面図である。なお、
図6(a)では、除湿ユニット800の図示が省略されている。
【0049】
排気ユニット600は、排気ダクト610と、排気ダンパー620と、オゾン除去フィルタ630とを含む。排気ダクト610は、排出口202から後方へと延びる。筐体100の後面には、複数の孔からなる排気口104が形成され、この排気口104に排気ダクト610が接続される。収容室200天面は、左側の部分が筐体100の後面まで延ばされ、排気ダクト610の下面を構成する。排気ダクト610は、排出口202から排出された空気を機外へ導く。
【0050】
排気ダンパー620は、排気ダクト610に設けられ、排気ダクト610を開閉する。排気ダンパー620は、開閉板621と、開閉板621を回動させるダンパーモータ622とを含む。排気ダクト610の途中には、ダクト内の上下の幅が狭められることにより、前側のダクトと後側のダクトとを連通する連通口611が形成される。開閉板621は、連通口611を閉塞する閉塞位置と連通口611を開放する開放位置との間で切り替えられる。連通口611が開閉板621で閉塞されることにより排気ダクト610が閉鎖され、連通口611が開放されることにより排気ダクト610が開放される。なお、排気ダンパー620は、本発明の第1開閉部に相当する。
【0051】
オゾン除去フィルタ630は、排気ダクト610内において、排気ダンパー620よりも後方、即ち空気の流れの下流に配置される。オゾン除去フィルタ630には、オゾンを吸着し分解する活性炭・触媒フィルタが用いられ得る。オゾン除去フィルタ630は、排気ダクト610内を流れる空気に含まれるオゾンを除去する。オゾン除去フィルタ630は、本発明のオゾン除去部に相当する。
【0052】
図7(a)は、空気循環ユニット700の前方位置で切断した、衣類処理装置1の要部の正面断面図であり、
図7(b)は、カバー712bが外された状態の空気循環ユニット700の正面図である。
図8は、衣類処理装置1の要部の側面断面図である。
図9(a)は、収容室200の後面に配置された除湿ユニット800を後方から見た図であり、
図9(b)は、
図9(a)のA-A´線の位置で切断された衣類処理装置1の要部の平面断面図である。なお、
図7(a)および
図8には、空気循環ユニット700から吹き出した空気の流れが実線矢印や破線矢印、一点鎖線矢印で示されている。また、
図9(b)には、冷却用の空気の流れが実線矢印で示されている。さらに、
図7(a)には、便宜上、切断面よりも前方にあるハンガー台260が、一点鎖線にて描かれている。
【0053】
収容室200の内部には、底部であって収容室200の後面の近傍に、空気循環ユニット700が配置される。空気循環ユニット700は、収容室200内の空気を吸い込んで収容室200内に吹き出し、吹き出した空気を吊られた衣類に向かわせる。
【0054】
空気循環ユニット700は、循環ファン710と、ルーバー機構720とを備える。
【0055】
循環ファン710は、クロスフローファンであり、ファン711と、ケーシング712と、ファンモータ713とを含む。ファン711は、円筒状に配されたランナー711aを有し、軸方向の寸法が径方向の寸法よりも大幅に大きい。ファン711には、中心にファン軸714が設けられる。ファン軸714の両端部は、ファン711の両端面から突出する。
【0056】
ファン711はケーシング712内に収容され、ファン軸714の両端部がケーシング712の両側面に回転可能に支持される。ケーシング712は、前面が開口する本体712aと、本体712aの前面を覆うカバー712bとで構成される。ケーシング712には、ファン711の前側、即ちカバー712bの前面に、前方に開口する吸込口715が設けられ、ファン711の後側に上方に開口する吐出口716が設けられる。吸込口715は、収容室200の底面に沿う方向に開口し、その下端が収容室200の底面より僅かに高くなっている。吸込口715には、格子状に走る複数の桟715aが設けられる。吸込口715および吐出口716の軸方向の寸法はファン711の寸法とほぼ同じである。即ち、吸込口715および吐出口716は、軸方向に長い形状を有する。
【0057】
ケーシング712内には、吸込口715とファン711との間に、フィルタ717が配置される。フィルタ717は、空気とともに吸込口715から吸い込まれた埃を捕集する。
【0058】
ファン軸714の右側の端部は、ケーシング712の右側の側面を貫通し、さらに、収容室200の右側面を貫通する。収容室200の右側面は、空気循環ユニット700に対応する部分が内側に凹んでおり、その部分の外側にファンモータ713が取り付けられる。収容室200の右側面を貫通したファン軸714は、ファンモータ713のロータ(図示せず)に連結される。
【0059】
ファンモータ713は、ファン軸714を介してファン711を回転駆動する。ファン711が回転すると、吸込口715から空気が吸い込まれ、吸い込まれた空気がファン711により送られて吐出口716から吹き出す。
【0060】
ルーバー機構720は、ルーバー721と、ルーバーモータ722とを含む。
【0061】
ルーバー721は、循環ファン710の軸方向に長い方形状を有し、循環ファン710の吐出口716よりもやや大きなサイズを有する。ルーバー721の左右の両端部には庇部723が設けられ、庇部723の下端部にルーバー軸724が設けられる。循環ファン710には、ケーシング712の両側面の後上端部に支持部718が設けられる。ルーバー721の両側のルーバー軸724がケーシング712の両側の支持部718に回転可能に支持される。これにより、ルーバー721は、吐出口716の上方に位置付けられ、上下方向に揺動可能となる。
【0062】
ルーバー軸724の右側の端部は、右側の支持部718を貫通し、さらに、収容室200の右側面を貫通する。収容室200の右側面の外側には、ファンモータ713の上方にルーバーモータ722が取り付けられる。収容室200の右側面を貫通したルーバー軸724は、ルーバーモータ722のロータ(図示せず)に連結される。
【0063】
ルーバーモータ722は、所定の回転角だけ正転および反転することにより、ルーバー軸724を介してルーバー721を揺動させる。循環ファン710の吐出口716から上方に吹き出した空気がルーバー721に接触して偏向される。空気の偏向角度は、揺動するルーバー721の角度に従って変化し、空気、即ち風が向かう方向が変化する。
【0064】
循環ファン710のファン軸714は、ファン711が回転するときの回転軸となり、ルーバー機構720のルーバー軸724は、ルーバー721が揺動するときの揺動軸となる。
図8に示すように、循環ファン710、即ち、空気循環ユニット700は、ファン711の回転軸およびルーバー721の揺動軸の軸方向が、左右方向、即ち、ハンガー台260のポール261によって吊られた衣類の前後の方向と平行またはほぼ平行な状態となるように、収容室200の底部に配置される。言い換えれば、ハンガー台260のポール261は、ポール261に吊られた衣類の前後の方向が、空気循環ユニット700のファン711の回転軸およびルーバー721の揺動軸の軸方向と平行またはほぼ平行な状態となるように、収容室200の上部において衣類を保持する。このとき、循環ファン710では、ファン711の回転軸の軸方向における中心が、ポール261の中心とほぼ一致する。
【0065】
収容室200の後面と筐体100の後面との間には、収容室200内の空気を除湿するための除湿ユニット800が配置される。
【0066】
除湿ユニット800は、収容室200との間で空気を循環させる循環風路810と、循環風路810に設けられた熱交換器820と、熱交換器820へ冷却用の空気を送る冷却ファン830と、熱交換器820へ送られる冷却用の空気が流れる冷却ダクト840とを含む。除湿ユニット800は、本発明の除湿部に相当する。
【0067】
循環風路810は、導入ダクト811と、導出ダクト812と、これらのダクト811、812の間に配置された熱交換器820とで構成される。即ち、熱交換器820は、循環風路810の一部を構成する。収容室200の後面には、空気循環ユニット700の右端部分の上方の位置に、循環風路810への空気の導入口203が形成され、導入口203の上方の位置に、循環風路810からの空気の導出口204が形成される。導入ダクト811は導入口203に接続され、導入口203から後方へ延びた後に屈曲して上方へ延びる。導出ダクト812は、導出口204に接続され、導出口204から後方へ延びた後に屈曲して下方へ延びる。導入ダクト811の下面には、排水口813が形成される。排水口813には排水ホース814が接続される。排水ホース814は、第2供給ダクト410の貯水部413に接続される。
【0068】
熱交換器820は、所定の間隔を置いて左右方向に配列された複数の伝熱管821を備える。各伝熱管821は、左右方向に扁平であり、上下方向に延びる。熱交換器820には、複数の伝熱管821の下端部と上端部に、それぞれ下部接続板822と上部接続板823が形成される。下部接続板822および上部接続板823には、それぞれ、各伝熱管821と繋がる開口部824a、825aを有する接続口824、825が形成され、これら接続口824、825に、それぞれ、導入ダクト811および導出ダクト812が接続される。また、熱交換器820には、複数の伝熱管821の左右両側をそれぞれ覆う左側面板826および右側面板827が、下部接続板822と上部接続板823の間に形成される。これら下部接続板822、上部接続板823、左側面板826および右側面板827で複数の伝熱管821が囲まれることにより、複数の伝熱管821が収容される冷却風路828が形成される。
【0069】
冷却ファン830は、遠心ファンであり、ケーシング831内に、ファン832と、ファン832を回転させるモータ833とを備える。ケーシング831には、側面に吸込口834が設けられ、周面に吐出口835が設けられる。冷却ファン830として、遠心ファン以外のファン、たとえば、軸流ファンが用いられても良い。
【0070】
冷却ダクト840は、その一端が、冷却ファン830の吐出口835に対応する形状を有し、吐出口835に接続され、その他端が、熱交換器820の冷却風路828の入口に対応する形状を有し、冷却風路828の入口に接続される。
【0071】
筐体100の後面には、複数の孔からなる吸気口105および排気口106が設けられる。冷却ファン830の吸込口834が吸気口105に接続され、熱交換器820の冷却風路828の出口が排気口106に接続される。
【0072】
除湿ユニット800において、導入ダクト811、導出ダクト812および冷却ダクト840は樹脂材料により形成され、熱交換器820も樹脂材料により形成される。このように熱交換器820が樹脂材料により形成されることで、除湿ユニット800の軽量化を図ることができる。
【0073】
収容室200の後面には、導入口203の前方を覆うフード280が設けられる。フード280は、下方、即ち空気循環ユニット700側に開口する取込口281を有し、空気循環ユニット700が吹き出した空気の一部を受け、導入口203を通じて循環風路810へと導く。
【0074】
収容室200の天面と筐体100の天面との間には、排気ダクト610に隣接するようにして、空気混合ユニット850が設けられる。空気混合ユニット850は、筐体100の外部、即ち機外の空気を取り込んで排気ダクト610を流れる空気に混合する。空気混合ユニット850は、本発明の空気混合部に相当する。
【0075】
図6(a)を参照して、空気混合ユニット850は、混合ファン860と、導入ダクト870とを含む。混合ファン860は、遠心ファンであり、ケーシング861内に、ファン862と、ファン862を回転させるモータ863とを備える。ケーシング861には、側面に吸込口864が設けられ、周面に吐出口865が設けられる。混合ファン860として、遠心ファン以外のファン、たとえば、軸流ファンが用いられても良い。
【0076】
排気ダクト610には、オゾン除去フィルタ630よりも空気の流れの下流の位置に、導入口612が形成される。導入ダクト870は、一端が導入口612に接続され、他端が混合ファン860の吐出口865に接続される。
【0077】
筐体100の後面には、複数の孔からなる吸気口107が設けられる。混合ファン860の吸込口864が吸気口107に接続される。吸気口107は、排気口104から排出された空気を、排出された直後に吸い込まない距離だけ、排気口104から離され得る。
【0078】
図10は、衣類処理装置1の構成を示すブロック図である。
【0079】
衣類処理装置1は、上記の構成の他、操作部901と、制御部902とを備える。
【0080】
操作部901は、運転コースを選択するための選択ボタン、運転を開始させるためのスタートボタン等の操作ボタンを含み、ユーザに操作された操作ボタンに応じた操作信号を制御部902に出力する。
【0081】
制御部902は、マイクロコンピュータ、各種のドライバ回路などを含み、第1供給ユニット300のオゾン発生器320、加熱器330、送風ファン340および吸気ダンパー360、第2供給ユニット400のポンプ461およびヒータ472、排気ユニット600の排気ダンパー620、空気循環ユニット700のファンモータ713およびルーバーモータ722、除湿ユニット800の冷却ファン830、空気混合ユニット850の混合ファン860などを制御する。
【0082】
本実施の形態の衣類処理装置1では、衣類の脱臭・除菌を行う脱臭・除菌運転と、衣類の乾燥を行う乾燥運転と、衣類のしわを伸ばすしわ伸ばし運転とを行うことができる。
【0083】
図11は、衣類処理装置1の運転制御を示すフローチャートである。
【0084】
運転開始の操作が行われると、制御部902は、脱臭・除菌運転、乾燥運転およびしわ伸ばし運転のうち、何れの運転が選択されているかを判定する(S1)。
【0085】
脱臭・除菌運転が選択されている場合(S1:脱臭・除菌)、脱臭・除菌運転が開始され、制御部902は、脱臭・除菌工程を実行する(S2)。脱臭・除菌工程では、制御部902は、第1供給ユニット300において、送風ファン340とオゾン発生器320を動作させる。運転開始前、即ち衣類処理装置1が停止状態にあるときには、吸気ダンパー360の開閉板361は第1閉塞位置にあり、排気ダンパー620の開閉板621は開放位置にある。制御部902は、吸気ダンパー360と排気ダンパー620を動作させず、開閉板361が第1閉塞位置にあり、開閉板621が開放位置にある状態を維持する。
【0086】
図5の実線矢印に示すように、送風ファン340の動作によって、機外の空気が前面吸気口101から吸気ダクト350に取り込まれ、第1供給ダクト310内に送り込まれる。
【0087】
図2に示すように、第1供給ダクト310内を流れる空気がオゾン発生器320を通過し、この際に、オゾン発生器320で発生したオゾンが空気に混入される。こうして、オゾンを含む空気が第1供給ダクト310内を通って第1供給口210へと至り、第1供給口210から収容室200内に排出される。排出されたオゾンを含む空気は、カバー240に当たって周囲に拡がり、その一部は、複数の排出孔244から排出され、残りがカバー240と収容室200の底面との間から排出される。こうして、オゾンを含む空気は、カバー240により拡散されて上方の衣類へと向かい、広く衣類に当てられる。オゾンの脱臭・除菌作用により衣類が脱臭・除菌される。
【0088】
図6(a)の一点鎖線矢印で示すように、衣類の脱臭・除菌によりオゾン濃度が低下した空気は、収容室200の天面に設けられた排出口202から排気ダクト610内に排出され、排気ダクト610内を流れて排気口104から機外へ排出される。排気ダクト610内を流れる空気は、オゾン除去フィルタ630を通過する。これにより、空気中のオゾンが除去され、適正なオゾン濃度まで低下した空気が機外に排出される。
【0089】
さらに、脱臭・除菌工程において、制御部902は、空気循環ユニット700において、ファンモータ713を駆動して循環ファン710を動作させるとともに、ルーバーモータ722を駆動してルーバー721を上下方向に揺動させる。このとき、ルーバー721は、連続的に揺動してもよいし、一往復ないし数往復揺動するごとに、所定時間、停止してもよい。
【0090】
図7(a)に示すように、収容室200内のオゾンを含む空気が吸込口715からケーシング712内に取り込まれ、オゾン風として吐出口716から吹き出す。吹き出したオゾン風は、ルーバー721で偏向されて衣類へと向かう。このとき、ルーバー721が揺動していることによりオゾン風の偏向角度が変化するため、衣類には、様々な方向からオゾン風が接触するようになる。これにより、衣類へのオゾン風の接触効率が良くなり、衣類が脱臭・除菌されやすくなる。また、様々な方向からのオゾン風により衣類が押されることで吊られた衣類が揺らされる。これにより、衣類の袖と胴体との間など、衣類が静止した状態では行き渡りにくい部分に、オゾンを行き渡らせることができる。また、衣類に付着した埃が落ちやすくなる。
【0091】
さらに、ハンガー台260のポール261には、衣類が、その前後の方向が空気循環ユニット700のルーバー721の揺動軸の軸方向と平行となるように吊られている。このため、
図7(a)のように複数の衣類が収容室200内に収容された場合であっても、循環ファン710から吐き出されてルーバー721で偏向されたオゾン風が、衣類と衣類の間を通って収容室200の上部まで行き渡りやすくなる。これにより、オゾン風が複数の衣類に万遍なく当たりやすくなり、複数の衣類が良く脱臭・除菌される。
【0092】
所定の脱臭・除菌時間が経過すると、制御部902は、オゾン発生器320、送風ファン340、循環ファン710およびルーバー721の動作を停止させ、脱臭・除菌工程を終了する。こうして、脱臭・除菌運転が終了する。
【0093】
次に、ステップS1において、制御部902は、乾燥運転が選択されていると判定すると(S1:乾燥)、乾燥運転を開始する。まず、制御部902は、循環乾燥工程を実行する(S3)。循環乾燥工程では、制御部902は、吸気ダンパー360を動作させて、開閉板361を第1閉塞位置から第2閉塞位置へ切り替える。また、制御部902は、排気ダンパー620を動作させて、開閉板621を開放位置から閉塞位置へ切り替える。次に、制御部902は、第1供給ユニット300において、送風ファン340と加熱器330を動作させる。
【0094】
図5の破線矢印に示すように、送風ファン340の動作によって、収容室200内の空気が底面吸気口250から吸気ダクト350に取り込まれ、第1供給ダクト310内に送り込まれる。
【0095】
図2に示すように、第1供給ダクト310内を流れる空気は、加熱器330で加熱され、乾燥に適する温度(たとえば、60℃程度)の温風となる。その後、温風は、第1供給口210へと至り、第1供給口210から収容室200内に排出される。排出された温風は、オゾンを含む空気と同様、カバー240により拡散されて上方の衣類へと向かい、広く衣類に当てられる。これにより、衣類が乾燥する。
【0096】
循環乾燥工程では、排気ダンパー620により排気ダクト610が閉鎖されている。このため、収容室200内の空気は、排出口202から排出されず筐体100の外に排出されない。空気は、収容室200と、吸気ダクト350、送風ファン340および第1供給ダクト310との間を循環する。第1供給ダクト310に取り込まれる空気の温度は徐々に高くなるので、それに合わせて加熱器330の出力が下げられる。これにより、収容室200内に排出される空気の温度が適温に維持される。
【0097】
循環乾燥工程において、制御部902は、空気循環ユニット700において、循環ファン710を動作させるとともに、ルーバー721を上下方向に揺動させる。また、制御部902は、除湿ユニット800の冷却ファン830を動作させる。
【0098】
図7(a)に示すように、温風の供給により温まった収容室200内の空気が吸込口715からケーシング712内に取り込まれ、温風として吐出口716から吹き出す。吹き出した温風は、揺動するルーバー721で偏向されることにより、様々な方向から衣類に接触する。これにより、衣類への温風の接触効率が良くなり、衣類が乾燥しやすくなる。また、衣類が揺らされることにより、衣類が静止した状態では行き渡りにくい衣類の部分に温風を行き渡らせることができ、また、衣類に付着した埃が落ちやすくなる。
【0099】
さらに、脱臭・除菌運転の場合と同様、
図7(a)のように複数の衣類が収容室200内に収容された場合であっても、循環ファン710から吐き出されてルーバー721で偏向された温風が、衣類と衣類の間を通って収容室200の上部まで行き渡りやすくなる。これにより、温風が複数の衣類に万遍なく当たりやすくなり、複数の衣類が乾燥しやすくなる。
【0100】
循環ファン710が吸気する空気には、衣類から奪われた水分が含まれる。
図7(a)の一点鎖線矢印に示すように、循環ファン710、即ち空気循環ユニット700の右端部分から吹き出した空気は、フード280で受けられ、導入口203を通じて循環風路810へ導入される。導入された空気は循環風路810を流れ、導出口204から収容室200内に導出される。また、
図9(b)に示すように、冷却ファン830の動作により、機外の空気が冷却用の空気として吸気口105から吸気され、熱交換器820へ送られ、熱交換器820の冷却風路828を通過した後に、排気口106から機外に排出される。
【0101】
循環風路810を流れる空気は、熱交換器820の複数の伝熱管821を通過する際に、冷却風路828を流れる冷却用の空気と熱交換を行って冷却され、除湿される。空気から出た水は、導入ダクト811の排水口813から排水され、最終的に、第2供給ユニット400の排水タンク480に溜められる。
【0102】
このようにして、除湿ユニット800により収容室200内の空気が除湿される。これにより、衣類に当てられる前の温風に含まれる水分の増加が抑制されるので、衣類の乾燥が進行しやすくなる。
【0103】
循環乾燥工程では、上記のように除湿ユニット800による除湿が行われるものの、収容室200内から空気が排出され、新たな空気が機外から第1供給ダクト310に取り込まれて温風となり収容室200内に供給される、いわゆる排気式の乾燥が行われる場合に比べて、温風に含まれる水分が多くなり、衣類から水分を奪いにくくなる。このため、ハンガー台260に吊り下げられた衣類は、温風によって揺らされながら、ゆっくりと乾燥することになるので、乾燥とともに衣類に付いたしわが伸びやすくなる。
【0104】
所定の時間が経過し、収容室200内の衣類がある程度乾いた状態になると、制御部902は、加熱器330、送風ファン340および冷却ファン830を停止させて、循環乾燥工程を終了する。
【0105】
次に、制御部902は、排気乾燥工程を実行する(S4)。排気乾燥工程では、制御部902は、吸気ダンパー360を動作させて、開閉板361を第2閉塞位置から第1閉塞位置へ切り替える。また、制御部902は、排気ダンパー620を動作させて、開閉板621を閉塞位置から開放位置へ切り替える。そして、制御部902は、送風ファン340と加熱器330を動作させる。なお、空気循環ユニット700、即ち循環ファン710とルーバー721は、循環乾燥工程に引き続いて動作している。
【0106】
図5の実線矢印に示すように、送風ファン340の動作によって、外部の空気が前面吸気口101から吸気ダクト350に取り込まれ、第1供給ダクト310内に送り込まれる。加熱器330の加熱により第1供給ダクト310内で温風が生成され、第1供給口210から収容室200内に排出される。排出された温風と、空気循環ユニット700により収容室200内を循環する温風とが衣類に当てられ、衣類が乾燥する。
【0107】
図6(a)の実線矢印で示すように、収容室200内で衣類から水分を奪った空気は、排出口202から排出される。排出口202は、収容室200の天面に設けられており、温まった空気が排出されやすい。排出された空気は、排気ダクト610を流れてオゾン除去フィルタ630を通過する。この際、オゾン除去フィルタ630が抵抗となって空気の流速が低下する。
【0108】
排気乾燥工程では、制御部902は、空気混合ユニット850、即ち混合ファン860を動作させる。
図6(a)の破線矢印で示すように、機外の空気が吸気口107から取り込まれ、導入ダクト870を通じて排気ダクト610内のオゾン除去フィルタ630の下流の位置に供給される。排気ダクト610内に供給された機外からの空気は、オゾン除去フィルタ630を通過した収容室200からの空気に混合される。このとき、収容室200からの空気は、流速が遅くなっているので、機外からの空気が混合されやすい。機外からの空気が混合されることにより、収容室200からの空気の相対湿度が低下する。
図6(a)の白抜き矢印で示すように、相対湿度が低下した空気は、排気口104から機外に排出される。
【0109】
排気乾燥工程の開始から所定の時間が経過すると、制御部902は、加熱器330、送風ファン340、循環ファン710およびルーバー721の動作を停止させ、循環乾燥工程を終了する。こうして、乾燥運転が終了する。
【0110】
このように、乾燥運転では、排気乾燥工程の前に循環乾燥工程が行われ、この循環乾燥工程において、除湿ユニット800により収容室200内の空気が除湿される。これにより、乾燥運転において、衣類処理装置1から外部に排出される湿気が少なくなるので、衣類処理装置1の周辺の湿度が高くなりにくくなる。
【0111】
また、乾燥運転では、排気乾燥工程において、空気混合ユニット850により機外の空気が排気ダクト610を流れる空気に混合され、相対湿度が低下した空気が機外に排出される。これにより、排出された空気によって衣類処理装置1の周囲にある部屋の壁面に結露が生じるなど、高湿の空気による衣類処理装置1の周辺への影響が出にくくなる。
【0112】
なお、排気乾燥工程において、冷却ファン830が動作することにより、除湿ユニット800による収容室200内の空気の除湿が行われるようにしてもよい。これにより、衣類処理装置1から外部に排出される湿気をより少なくすることができる。
【0113】
次に、ステップS1において、制御部902は、しわ伸ばし運転が選択されていると判定すると(S1:しわ伸ばし)、しわ伸ばし運転を開始し、準備工程を実行する(S5)。準備工程では、制御部902は、第2供給ユニット400において、ポンプ461を停止させたままスチーム発生器470のヒータ472を動作させる。これにより、スチーム発生器470の本体部471の温度が上昇していく。
【0114】
さらに、準備工程において、制御部902は、空気循環ユニット700において、循環ファン710を動作させるとともに、ルーバー721を上下方向に揺動させる。
図7(a)に示すように、収容室200内の空気が吸込口715からケーシング712内に取り込まれ、風として吐出口716から吹き出す。吹き出した風は、揺動するルーバー721で偏向されることにより、様々な方向から衣類に接触し、衣類を揺らす。これにより、衣類から埃が落ちやすくなる。
【0115】
スチーム発生器470の本体部471が十分に高温になると、制御部902は、準備工程を終了し、スチーム工程を実行する(S6)。スチーム工程では、制御部902は、排気ダンパー620を動作させて、開閉板621を開放位置から閉塞位置に切り替える。これにより、排気ダクト610が閉鎖される。次に、制御部902は、ヒータ472を引き続き動作させた状態でポンプ461を動作させる。
図3に示すように、スチーム発生器470で高温のスチームが発生し、第2供給ダクト410内に放出される。放出されたスチームは、第2供給ダクト410内を上昇して第2供給口220へと至り、第2供給口220から収容室200内に排出される。排出されたスチームは、カバー240に当たって周囲に拡がり、その一部は、複数の排出孔244から排出され、残りがカバー240と収容室200の底面との間から排出される。こうして、スチームは、カバー240により拡散されて上方の衣類へと向かい、広く衣類に当てられる。スチームが有する水分と熱により、衣類のしわが伸ばされる。
【0116】
スチームが第2供給ダクト410内を流れる際、その一部が結露して結露水が生じ得る。結露水は、下方へ流れて貯水部413に溜まり、排出口414から排出される。排出された結露水は、排水ホース490を通って排水タンク480に回収される。このように、本実施の形態では、第2供給ダクト410の導入口412よりも下方に、結露水が溜められる貯水部413が設けられているので、結露水が導入口412からスチーム発生器470の内部へと流れることが防止される。
【0117】
さらに、スチーム工程では、引き続き、循環ファン710とルーバー721が動作する。吐出口716から吹き出してルーバー721により偏向された風により、衣類が揺らされる。衣類が吊られた状態で揺れると、衣類に遠心力等の力が加わりやすくなる。これにより、スチームが当てられた衣類の表面が伸ばされやすくなるので、衣類のしわが伸びやすくなる。また、衣類がスチームで濡らされているために準備工程での乾いた状態ほどではないが、衣類が揺らされることで、衣類に付着した埃が落ち得る。
【0118】
さらに、脱臭・除菌運転の場合と同様、
図7(a)のように複数の衣類が収容室200内に収容された場合であっても、循環ファン710から吐き出されてルーバー721で偏向された風が、衣類と衣類の間を通って収容室200の上部まで行き渡りやすくなる。これにより、風が複数の衣類に万遍なく当たりやすくなり、複数の衣類が良く揺らされて、そのしわが伸びやすくなる。
【0119】
スチーム工程中、排気ダクト610は閉じた状態にある。よって、収容室200内のスチームが排気ダクト610を通じて機外に排出されることが防止される。また、オゾン除去フィルタ630は、排気ダクト610において、排気ダンパー620よりも下流に設けられているので、オゾン除去フィルタ630にスチームが接触してオゾン除去フィルタ630が酷く濡れてしまうことが防止される。
【0120】
所定のスチーム供給時間が経過すると、制御部902は、ヒータ472とポンプ461を停止させて、スチーム工程を終了する。
【0121】
次に、制御部902は、循環乾燥工程と排気乾燥工程とを順次実行する(S7、S8)。循環乾燥工程および排気乾燥工程は、乾燥運転における循環乾燥工程および排気乾燥工程と同様である。循環乾燥工程および排気乾燥工程により、スチームによって湿った衣類が乾燥する。なお、しわ伸ばし運転での循環乾燥工程および排気乾燥工程の時間は、しわ伸ばし運転に適したものとされ、乾燥運転の時間とは異なるものとされ得る。また、循環乾燥工程では、すでに排気ダンパー620は閉塞位置にあるため、吸気ダンパー360のみが動作し、開閉板361が第1閉塞位置から第2閉塞位置に切り替えられる。
【0122】
排気乾燥工程が終了すると、制御部902は、換気工程を実行する(S9)。即ち、制御部902は、排気乾燥工程に引き続いて循環ファン710とルーバー721を動作させたままとする。収容室200内の空気が吸込口715から取り込まれ、吐出口716から収容室200内に吹き出すことにより、機外の空気が、第1供給ユニット300の吸気ダクト350および第1供給ダクト310を通じて第1供給口210から収容室200内に取り込まれ、収容室200内の空気が排出口202および排気ダクト610を通じて機外に排出される。これにより、収容室200内が換気され、収容室200内の内壁などが、スチームにより湿っていても乾かされる。
【0123】
所定の換気時間が経過すると、制御部902は、循環ファン710とルーバー721の動作を停止させ、換気工程を終了する。こうして、しわ伸ばし運転が終了する。
【0124】
このように、しわ伸ばし運転では、スチーム工程において、排気ダンパー620により排気ダクト610が閉鎖されて収容室200内から機外へスチームが排出されないようにされる。また、排気乾燥工程の前に循環乾燥工程が行われ、この循環乾燥工程において、除湿ユニット800により収容室200内の空気が除湿される。これにより、しわ伸ばし運転において、衣類処理装置1から外部に排出される湿気が少なくなるので、衣類処理装置1の周辺の湿度が高くなりにくくなる。さらに、排気乾燥工程において、空気混合ユニット850により機外の空気が排気ダクト610を流れる空気に混合され、相対湿度が低下した空気が機外に排出されるので、高湿の空気による衣類処理装置1の周辺への影響が出にくくなる。
【0125】
なお、衣類処理装置1において、脱臭・除菌運転、乾燥運転、しわ伸ばし運転の他、たとえば、乾燥に続いて脱臭・除菌が行われる乾燥・脱臭・除菌運転が行われてもよい。
【0126】
また、上述した排気型の脱臭・除菌運転に加えて、循環型の脱臭・除菌運転を行うことができる。この循環型の脱臭・除菌運転では、制御部902は、循環乾燥工程と同様、吸気ダンパー360を第2閉塞位置に切り替えるとともに排気ダンパー620を閉塞位置に切り替え、収容室200と、吸気ダクト350、送風ファン340および第1供給ダクト310との間で空気を循環させながら、オゾン発生器320を動作させる。この循環型の脱臭・除菌運転では、空気が循環している間に空気中のオゾン濃度が高まるので、濃度の高いオゾンを衣類に作用させることができ、高い脱臭・除菌効果が期待できる。また、この脱臭・除菌運転では、排気ダンパー620により排気ダクト610が閉鎖された状態とされるだけでなく、吸気ダンパー360により第1ダクト351と前面吸気口101が閉鎖された状態とされるので、第1ダクト351および前面吸気口101を通じて濃度の高いオゾンが機外に漏れるのを防止できる。
【0127】
さらに、排気ダンパー620は、開閉板621が完全に開放される開放位置に切り替えられるだけでなく、開閉板621が開放されるときに複数の開放角度の位置で停止できるようにされてもよい。開閉板621の開放角度が変わることにより、排気ダクト610の連通口611の開口量が変わり、収容室200内からの空気の排気量が変わる。この場合、乾燥運転やしわ伸ばし運転の排気乾燥工程において、時間の経過とともに徐々に開閉板621の開放角度が大きくされて収容室200内の空気の排出量が多くされる。このようにされると、収容室200内の湿度が少しずつ下げられることになるので、排気乾燥工程においても、しわ伸ばし効果が発揮され得る。
【0128】
さらに、収容室200内に温度センサや湿度センサが配置されてもよい。この場合、収容室200内の温度や湿度に基づいて、循環乾燥工程から排気乾燥工程への切り替え、あるいは、排気乾燥工程の終了が行われてもよい。さらに、排気乾燥工程において、収容室200内の温度や湿度の変化具合に応じて徐々に開閉板621の開放角度が大きくされてもよい。
【0129】
さらに、スチーム工程では、前面吸気口101からも僅かにスチームが漏れる虞がある。よって、このようなスチームの漏れを防止するために、スチーム工程において、吸気ダンパー360の開閉板361を第2閉塞位置に切り替えて、第1ダクト351と前面吸気口101を閉鎖するようにしてもよい。
【0130】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、第1供給ユニット300から収容室200内に温風を供給して衣類を乾燥させる際に、除湿ユニット800を動作させることにより、衣類から奪われた水分を含む収容室200内の空気を除湿できる。これにより、衣類処理装置1から外部に排出される湿気が少なくなり、衣類処理装置1の周辺の湿度が高くなりにくくなる。
【0131】
また、本実施の形態によれば、衣類を乾燥させる際に、空気混合ユニット850を動作させることにより、排気ダクト610内を流れる空気に機外からの空気を混合させて相対湿度を低下させた後、その空気を機外に排出できる。これにより、排出された空気によって衣類処理装置1の周囲にある部屋の壁面に結露が生じるなど、高湿の空気による衣類処理装置1の周辺への影響が出にくくなる。
【0132】
さらに、本実施の形態によれば、循環乾燥工程において、排気ダンパー620により排気ダクト610を閉鎖して、衣類に接触した温風、即ち空気を収容室200内から排出させず、収容室200と第1供給ユニット300との間で循環させながら、その空気を除湿ユニット800により除湿するようにしている。これにより、湿った空気を機外へ極力排出させないようにしながら衣類を乾燥させることができる。
【0133】
さらに、本実施の形態によれば、排気乾燥工程において、排気ダクト610を開放して、衣類に接触した温風、即ち空気を積極的に収容室200内から排出させるようにしつつ、収容室200から排出された空気を、空気混合ユニット850により相対湿度を低下させて機外へ排出させるようにしている。これにより、収容室200内の空気が入れ替わることで湿度の低い空気が衣類に接触しやすくなり、衣類が乾燥しやすくなるとともに、高湿の空気による衣類処理装置1の周辺への影響を抑えることができる。
【0134】
さらに、本実施の形態によれば、第1供給ユニット300によりオゾンを生成しながら、収容室200と第1供給ユニット300との間でオゾンを含む空気を循環させる循環型の脱臭・除菌運転を行うことができる。これにより、収容室200内の衣類に濃度の高いオゾンを作用させることができるので、高い脱臭・除菌効果が期待できる。また、排気ダクト610と第1ダクト351とが閉鎖されているので、濃度の高いオゾンが機外に漏れるのを防止できる。
【0135】
さらに、本実施の形態によれば、排気ダクト610内にオゾン除去フィルタ630が設けられているので、オゾン除去フィルタ630によりオゾンが除去された空気を機外へ排出できる。しかも、オゾン除去フィルタ630は、排気ダンパー620よりも下流に配置されているので、収容室200内へのスチームの供給の際に排気ダンパー620が閉塞されることにより、オゾン除去フィルタ630がスチームにより濡れてしまうことが防止でき、オゾン除去フィルタ630によるオゾン除去性能の低下を防止できる。
【0136】
さらに、本実施の形態によれば、空気混合ユニット850の動作により機外から取り込まれた空気は、排気ダクト610内のオゾン除去フィルタ630よりも下流に供給されるので、オゾン除去フィルタ630の通過により流速が低下した収容室200からの空気に機外の空気を混合させることができる。これにより、収容室200からの空気に機外の空気が混合されやすくなるので、機外に排出される空気の相対湿度が低下しやすくなる。
【0137】
さらに、本実施の形態によれば、第2供給ユニット400から収容室200内にスチームを供給することにより、衣類のしわを伸ばすことができる。しかも、この際に、排気ダンパー620により排気ダクト610が閉鎖されるので、機外へのスチームの漏れを抑制できる。これにより、収容室200内がスチームで満たされやすくなって衣類のしわ伸ばし効果が高まるとともに、衣類処理装置1の周辺の湿度の上昇を抑制できる。
【0138】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0139】
たとえば、上記実施の形態では、第1供給ユニット300からオゾンおよび温風の双方が収容室200内に供給された。しかしながら、衣類処理装置1に、オゾンを供給するオゾン供給ユニットと温風を供給する温風供給ユニットとが別個に設けられてもよい。この場合、吸気ダクト350が第3ダクト353において分岐され、オゾン供給ユニットと温風供給ユニットに接続されるとよい。
【0140】
また、上記実施の形態では、除湿ユニット800は、熱交換器820が循環風路810の一部を構成し、収容室200からの空気が伝熱管821の内側を通って伝熱管821の外側を通る冷却用の空気との間で熱交換を行うものであった。しかしながら、除湿ユニット800は、他の構成のものであってもよく、たとえば、熱交換器820が循環風路810の内部に配置され、収容室200からの空気が伝熱管821の外側を通って伝熱管821の内側を通る液体や気体の冷媒と熱交換を行うものであってもよい。
【0141】
さらに、上記実施の形態では、空気循環ユニット700を利用して、収容室200内と循環風路810の間で空気を循環させる構成が採られたが、空気循環ユニット700を利用せずに、循環用のファンが循環風路810内などに配置される構成が採られてもよい。
【0142】
さらに、上記実施の形態では、収容室200の天面に排出口202が設けられた。しかしながら、排出口202が、他の位置、たとえば、収容室200の後面の上部に設けられてもよい。
【0143】
さらに、上記実施の形態では、混合ファン860の吸込口864が筐体100の吸気口107に接続された。しかしながら、混合ファン860の吸込口864が吸気口107に接続されず、筐体100内に開放されるようにしてもよい。この場合、混合ファン860の動作により、吸気口107から筐体100内に機外の空気が取り込まれ、筐体100内から空気が混合ファン860に取り込まれる。この場合も、排気ダクト610に供給されるのは、機外の空気ということになる。
【0144】
さらに、上記実施の形態では、吸気口107が筐体100の後面に設けられたが、筐体100のその他の面、たとえば、左右の何れかの側面に設けられてもよい。
【0145】
さらに、上記実施の形態では、空気混合ユニット850は、混合ファン860が導入ダクト870を介して排気ダクト610に接続される構成とされた。しかしながら、空気混合ユニット850は、混合ファン860の吐出口865が排気ダクト610に直接的に接続される構成とされてもよい。また、この場合、混合ファン860の吸込口864は、吸気口107に直接的に接続されてもよいし、吸気口107にダクトを介して接続されてもよいし、筐体100内に開放されてもよい。この他、空気混合ユニット850は、排気ダクト610を流れる空気に機外の空気を混合できれば、如何なる構成とされてもよい。
【0146】
さらに、上記実施の形態では、オゾン除去フィルタ630に、活性炭・触媒フィルタが用いられたが、活性炭フィルタ等、その他のオゾン除去性能を有するフィルタが用いられてもよい。
【0147】
さらに、上記実施の形態では、衣類処理装置1は、脱臭・除菌運転が行われるものであった。しかしながら、衣類処理装置1は、脱臭・除菌運転が行われないものであってもよく、第1供給ユニット300にオゾン発生器320が配されないようにされてもよい。この場合、排気ユニット600からオゾン除去フィルタ630が無くされる。
【0148】
さらに、上記実施の形態では、第2供給ユニット400のスチーム発生器470は、高温にされたスチーム発生室473の底面にポンプ461で送られた水を落として蒸発させることによりスチームを発生させる構成であった。しかしながら、スチーム発生器470は、上記の構成に限られるものではなく、たとえば、水が溜められた水槽を加熱して水を沸騰させることによりスチームを発生させる構成であってもよい。
【0149】
さらに、上記実施の形態では、空気循環ユニット700は、収容室200の底部であって収容室200の内側に配された。しかしながら、空気循環ユニット700は、収容室200の底部であって収容室200の外側に設けられてもよい。この場合、収容室200の壁面には、循環ファン710への空気の取込口と、収容室200内への空気の吹出口とが設けられる。また、空気循環ユニット700は、収容室200の底部以外の部分であって収容室200の内外何れかに配されてもよい。
【0150】
さらに、上記実施の形態では、循環ファン710として、クロスフローファンが用いられたが、シロッコファン等、クロスフローファン以外のものが用いられてもよい。
【0151】
さらに、上記実施の形態では、排気ダクト610を開閉するための開閉部として、排気ダンパー620が用いられた。しかしながら、他の構造の開閉部、たとえば、排気ダクト610内を上下に移動するシャッターと、このシャッター駆動する駆動部とで構成されるシャッター機構が用いられてもよい。
【0152】
さらに、衣類処理装置1は、第2供給ユニット400を備えず、しわ伸ばし運転が行われないものであってもよい。また、衣類処理装置1は、空気循環ユニット700を備えないものであってもよい。
【0153】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0154】
1 衣類処理装置
100 筺体
200 収容室
202 排出口
300 第1供給ユニット(温風供給部、オゾン供給部)
351 第1ダクト(第1吸気路)
352 第2ダクト(第2吸気路)
360 吸気ダンパー(第2開閉部)
400 第2供給ユニット(スチーム供給部)
600 排気ユニット
610 排気ダクト
620 排気ダンパー(第1開閉部)
630 オゾン除去フィルタ(オゾン除去部)
800 除湿ユニット(除湿部)
850 空気混合ユニット(空気混合部)