(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】充填包装機、内容物充填容器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65B 9/20 20120101AFI20240723BHJP
【FI】
B65B9/20
(21)【出願番号】P 2020556674
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2019037870
(87)【国際公開番号】W WO2020095562
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2022-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2018208549
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019015864
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000180298
【氏名又は名称】四国化工機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(72)【発明者】
【氏名】盛川 康弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠治
(72)【発明者】
【氏名】曽良 弘
(72)【発明者】
【氏名】佐瀬 和彦
(72)【発明者】
【氏名】宮川 茂和
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-168873(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038330(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3004786(JP,U)
【文献】国際公開第2006/038486(WO,A1)
【文献】特開2015-101395(JP,A)
【文献】特開2008-137702(JP,A)
【文献】特開2008-143523(JP,A)
【文献】特開2009-184724(JP,A)
【文献】特開2008-207830(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ状包材の片面の一端縁部にシーリングテープを
当該シーリングテープの幅の一部がはみ出すように貼り付けるテープ貼り付け装置と、
ウェブ状包材の両端縁部を所定幅ずつオーバーラップさせて縦シールすることによりチューブ状包材を形成するとともに、オーバーラップ部の内側の段差を被覆しうるようにチューブ状包材の内面にシーリングテープのはみ出し部を貼り付ける縦シール装置と、
チューブ状包材を挟んで開閉自在に設けられかつチューブ状包材の長さ方向と直交する方向にのびた互いに向かい合うシール面が形成されている超音波ホーンおよびアンビルを有しており、超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面にオーバーラップ部とその他の部分との間に生じる段差を吸収するための吸収部が形成されており、内容物が充填されたチューブ状包材を容器1つ分の長さ毎に横シールする横シール装置とを備えている充填包装機において、横シール装置によって形成される横シール部に、シーリングテープの両端縁のうちオーバーラップ部の内側の段差から見てオーバーラップ部側に位置する第1の端縁とチューブ状包材の内面との間でのシール不良が発生するのを防止するための方法であって、
シーリングテープの第1の端縁がオーバーラップ部の外側の段差に対してオーバーラップ部の内側の段差から離れる方向に0.5mm以上ずれて配置されるように、テープ貼り付け装置によってシーリングテープの所要幅部分をウェブ状包材の片面の一端縁部に貼り付けることを特徴とする、充填包装機における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項2】
シーリングテープとして、オーバーラップ部の幅の1~10倍の幅を有するものが使用されている、請求項1記載の充填包装機における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項3】
ウェブ状包材の片面の一端縁部にシーリングテープを
当該シーリングテープの幅の一部がはみ出すように貼り付けるテープ貼り付け装置と、
ウェブ状包材の両端縁部を所定幅ずつオーバーラップさせて縦シールすることによりチューブ状包材を形成するとともに、オーバーラップ部の内側の段差を被覆しうるようにチューブ状包材の内面にシーリングテープのはみ出し部を貼り付ける縦シール装置と、
チューブ状包材を挟んで開閉自在に設けられかつチューブ状包材の長さ方向と直交する方向にのびた互いに向かい合うシール面が形成されている超音波ホーンおよびアンビルを有しており、超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面にオーバーラップ部とその他の部分との間に生じる段差を吸収するための吸収部が形成されており、内容物が充填されたチューブ状包材を容器1つ分の長さ毎に横シールする横シール装置とを備えている充填包装機において、横シール装置によって形成される横シール部に、シーリングテープの両端縁のうちオーバーラップ部の内側の段差から見てオーバーラップ部側に位置する第1の端縁とチューブ状包材の内面との間でのシール不良が発生するのを防止するための方法であって、
シーリングテープの第1の端縁がオーバーラップ部の外側の段差に対してオーバーラップ部の内側の段差に近づく方向に0.5~3mmずれて配置されるように、テープ貼り付け装置によってシーリングテープの所要幅部分をウェブ状包材の片面の一端縁部に貼り付けることを特徴とする、充填包装機における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項4】
シーリングテープとして、オーバーラップ部の幅の1~10倍の幅を有するものが使用されている、請求項3記載の充填包装機における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項5】
シーリングテープの第1の端縁および同端縁に重なるチューブ状包材部分と、シーリングテープにおける第1の端縁と反対側の第2の端縁および同端縁に重なるチューブ状包材部分とをそれぞれ押圧する押圧用凸部が、超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面の各対応箇所に形成されている、請求項1~4のいずれか1つに記載の充填包装機における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項6】
各押圧用凸部が、シール面の長さ方向に沿ってのびる畝状のものであって、
各押圧用凸部の長さが1~5mm、厚さが0.1~0.6mm、突出高さが0.1~0.5mmとなされている、請求項5記載の充填包装機における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項7】
ウェブ状包材の片面の一端縁部にシーリングテープを
当該シーリングテープの幅の一部がはみ出すように貼り付けるテープ貼り付け工程と、
ウェブ状包材の両端縁部を所定幅ずつオーバーラップさせて縦シールすることによりチューブ状包材を形成するとともに、オーバーラップ部の内側の段差を被覆しうるようにチューブ状包材の内面にシーリングテープのはみ出し部を貼り付ける縦シール工程と、
内容物が充填されたチューブ状包材を、チューブ状包材を挟んで開閉自在に設けられかつチューブ状包材の長さ方向と直交する方向にのびた互いに向かい合うシール面が形成されている超音波ホーンおよびアンビルを有しており超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面にオーバーラップ部とその他の部分との間に生じる段差を吸収するための吸収部を有している横シール装置によって、容器1つ分の長さ毎に横シールする横シール工程とを含んでいる、内容物充填容器の製造方法において、横シール工程によって形成される横シール部に、シーリングテープの両端縁のうちオーバーラップ部の内側の段差から見てオーバーラップ部側に位置する第1の端縁とチューブ状包材の内面との間でのシール不良が発生するのを防止するための方法であって、
シーリングテープの第1の端縁がオーバーラップ部の外側の段差に対してオーバーラップ部の内側の段差から離れる方向に0.5mm以上ずれて配置されるように、テープ貼り付け工程においてシーリングテープの所要幅部分をウェブ状包材の片面の一端縁部に貼り付けることを特徴とする、内容物充填容器の製造方法における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項8】
シーリングテープとして、オーバーラップ部の幅の1~10倍の幅を有するものを使用する、請求項7記載の内容物充填容器の製造方法における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項9】
ウェブ状包材の片面の一端縁部にシーリングテープを
当該シーリングテープの幅の一部がはみ出すように貼り付けるテープ貼り付け工程と、
ウェブ状包材の両端縁部を所定幅ずつオーバーラップさせて縦シールすることによりチューブ状包材を形成するとともに、オーバーラップ部の内側の段差を被覆しうるようにチューブ状包材の内面にシーリングテープのはみ出し部を貼り付ける縦シール工程と、
内容物が充填されたチューブ状包材を、チューブ状包材を挟んで開閉自在に設けられかつチューブ状包材の長さ方向と直交する方向にのびた互いに向かい合うシール面が形成されている超音波ホーンおよびアンビルを有しており超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面にオーバーラップ部とその他の部分との間に生じる段差を吸収するための吸収部を有している横シール装置によって、容器1つ分の長さ毎に横シールする横シール工程とを含んでいる、内容物充填容器の製造方法において、横シール工程によって形成される横シール部に、シーリングテープの両端縁のうちオーバーラップ部の内側の段差から見てオーバーラップ部側に位置する第1の端縁とチューブ状包材の内面との間でのシール不良が発生するのを防止するための方法であって、
シーリングテープの第1の端縁がオーバーラップ部の外側の段差に対してオーバーラップ部の内側の段差に近づく方向に0.5~3mmずれて配置されるように、テープ貼り付け工程においてシーリングテープの所要幅部分をウェブ状包材の片面の一端縁部に貼り付けることを特徴とする、内容物充填容器の製造方法における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項10】
シーリングテープとして、オーバーラップ部の幅の1~10倍の幅を有するものを使用する、請求項9記載の内容物充填容器の製造方法における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項11】
横シール工程において、シーリングテープの第1の端縁および同端縁に重なるチューブ状包材部分と、シーリングテープにおける第1の端縁と反対側の第2の端縁および同端縁に重なるチューブ状包材部分とを、超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面の各対応箇所に形成した押圧用凸部によって押圧する、請求項7~10のいずれか1つに記載の内容物充填容器の製造方法における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項12】
各押圧用凸部を、シール面の長さ方向に沿ってのびる畝状とするとともに、
各押圧用凸部の長さを1~5mm、厚さを0.1~0.6mm、突出高さを0.1~0.5mmとする、請求項11記載の内容物充填容器の製造方法における横シール部のシール不良発生防止方法。
【請求項13】
ウェブ状包材の片面の一端縁部にシーリングテープを
当該シーリングテープの幅の一部がはみ出すように貼り付けるテープ貼り付け装置と、ウェブ状包材の両端縁部を所定幅ずつオーバーラップさせて縦シールすることによりチューブ状包材を形成するとともに、オーバーラップ部の内側の段差を被覆しうるようにチューブ状包材の内面にシーリングテープのはみ出し部を貼り付ける縦シール装置と、チューブ状包材を挟んで開閉自在に設けられかつチューブ状包材の長さ方向と直交する方向にのびた互いに向かい合うシール面が形成されている超音波ホーンおよびアンビルを有しており、超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面にオーバーラップ部とその他の部分との間に生じる段差を吸収するための吸収部が形成されており、内容物が充填されたチューブ状包材を容器1つ分の長さ毎に横シールする横シール装置とを備えている充填包装機を使用して製造されている内容物充填容器であって、
請求項1~6のいずれか1つに記載のシール不良発生防止方法によって、横シール装置によって形成される横シール部に、シーリングテープの両端縁のうちオーバーラップ部の内側の段差から見てオーバーラップ部側に位置する第1の端縁とチューブ状包材の内面との間でのシール不良が発生するのが防止されていることを特徴とする、内容物充填容器。
【請求項14】
ウェブ状包材の片面の一端縁部にシーリングテープを
当該シーリングテープの幅の一部がはみ出すように貼り付けるテープ貼り付け工程と、ウェブ状包材の両端縁部を所定幅ずつオーバーラップさせて縦シールすることによりチューブ状包材を形成するとともに、オーバーラップ部の内側の段差を被覆しうるようにチューブ状包材の内面にシーリングテープのはみ出し部を貼り付ける縦シール工程と、内容物が充填されたチューブ状包材を、チューブ状包材を挟んで開閉自在に設けられかつチューブ状包材の長さ方向と直交する方向にのびた互いに向かい合うシール面が形成されている超音波ホーンおよびアンビルを有しており超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面にオーバーラップ部とその他の部分との間に生じる段差を吸収するための吸収部を有している横シール装置によって、容器1つ分の長さ毎に横シールする横シール工程とを含んでいる製造方法によって製造されている内容物充填容器であって、
請求項7~12のいずれか1つに記載のシール不良発生防止方法によって、横シール工程によって形成される横シール部に、シーリングテープの両端縁のうちオーバーラップ部の内側の段差から見てオーバーラップ部側に位置する第1の端縁とチューブ状包材の内面との間でのシール不良が発生するのが防止されていることを特徴とする、内容物充填容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流動性食品や飲料等の内容物を、紙等を主体とするウェブ状包材から形成された容器に充填して包装することにより内容物充填容器を製造する方法、同方法により製造された内容物充填容器、および同方法に用いられる充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、紙等よりなる基材層の両面に熱可塑性樹脂よりなるシーラント層を積層してなるウェブ状包材を用いて、流動性食品や飲料等の内容物を充填包装することにより、内容物充填容器を製造するための充填包装機として、
図16に示すものが知られている。
この充填包装機(10)は、ロール状に巻かれたウェブ状包材(W)を支持しているリワインダ(11)と、リワインダ(11)からウェブ状包材(W)を順次巻き戻す巻戻し装置(12)と、巻き戻されたウェブ状包材(W)の片面の一端縁部に熱可塑性樹脂よりなるシーリングテープ(S)をその幅の一部がはみ出すように貼り付けるテープ貼り付け装置(13)と、ウェブ状包材(W)を過酸化水素水等の殺菌液に浸漬して殺菌を行う殺菌槽(14)と、ウェブ状包材(W)の両端縁部を所定幅ずつオーバーラップさせて縦シールすることによりチューブ状包材(T)を形成するとともに、オーバーラップ部の内側の段差(ウェブ状包材の一端面)を被覆しうるようにチューブ状包材(T)の内面にシーリングテープ(S)のはみ出し部を貼り付ける縦シール装置(15)と、チューブ状包材(T)内に上方から挿入された充填管(16a)によってチューブ状包材(T)内に流動状の内容物を充填する内容物充填装置(16)と、内容物が充填されたチューブ状包材(T)を容器1つ分に相当する長さ毎に横シールして横シール部の幅中間で切断することにより中間形態である枕状の内容物充填容器(C1)を形成する横シール装置(17)と、上記容器(C1)を完成形態である直方体状の内容物充填容器(C2)に成形する容器完成装置(18)とを備えている。
【0003】
テープ貼り付け装置(13)は、シーリングテープ(S)がロール状に巻かれたテープ用リール(131)と、テープ用リール(131)からシーリングテープ(S)を順次巻き戻すテープ巻き戻し装置(132)と、シーリングテープ(S)が貼り付けられるウェブ状包材(W)の片面の一端縁部を予備加熱するヒータ(133)と、シーリングテープ(S)をウェブ状包材(W)の片面の一端縁部に圧着させてシールする1対の圧着ローラ(134)とを備えている。
【0004】
縦シール装置(15)は、ウェブ状包材(W)が図示しない成形ロールによってチューブ状に成形される中間過程においてウェブ状包材(W)の両端縁部およびシーリングテープ(S)を予備加熱するヒータ(151)と、オーバーラップされたウェブ状包材(W)の両端縁部およびシーリングテープ(S)を圧着させてシールする1対の圧着ローラ(152)とを備えている。
【0005】
横シール装置(17)としては、熱シール式、高周波シール式、超音波シール式等が知られている。
図17に示すように、超音波シール式の横シール装置(17)の場合、チューブ状包材(T)を挟んで開閉自在に配された超音波ホーン(17A)およびアンビル(17B)を備えている。超音波ホーン(17A)およびアンビル(17B)には、チューブ状包材(T)の長さ方向と直交する方向にのびた互いに向かい合うシール面(171)(172)が形成されている。また、図示は省略したが、超音波ホーン(17A)およびアンビル(17B)には、チューブ状包材(T)をその両側から挟み付けることにより所定の容器形状(例えば横断面正方形)に予備成形する成形フラップが付設されている。
横シール時には、チューブ状包材(T)を、所定の高さ位置において、超音波ホーン(17A)およびアンビル(17B)のシール面(171)(172)により所定の加圧力で局部的に挟み込んで変形させ、それによって偏平状となされた2つの包材(T)部分どうしを圧着させた状態で、図示しない超音波発振器を作動させることにより、圧着された2つの包材(T)部分の内面どうしが融着されるとともに、シーリングテープ(S)がオーバーラップ部と反対側の包材(T)部分の内面に融着される。この時、シーリングテープ(S)の両端縁も、前記包材(T)部分の内面に融着され、それによって優れたシール性が得られるようになっている。
ここで、チューブ状包材(T)のオーバーラップ部(T1)は、その他の部分(T2)が2枚重ねであるのに対して、3枚重ねとなっており、その分だけ厚みが大きくなっている。そのため、オーバーラップ部(T1)とその他の部分(T2)との間に内外両側で段差が生じ、これらの段差により、超音波ホーン(17A)およびアンビル(17B)のシール面(171)(172)による加圧力の分布が不均一となり、シール不良が生じるおそれがあった。
【0006】
そこで、横シール時の加圧力の分布を均一にしてシール不良の発生を抑制するため、例えばアンビル(17B)のシール面(172)に、チューブ状包材(T)のオーバーラップ部(T1)とその他の部分(T2)との間に生じる段差(T11)(T12)を吸収するための吸収部を形成した横シール装置が提案されている(下記特許文献1参照)。
上記横シール装置の吸収部は、例えば、
図18に示すように、シール面(172)の長さ中央部にシール面(172)を横断するように形成された横断面等脚台形状の凹溝(173)よりなる。凹溝(173)は、その両側の傾斜面(173a)に、チューブ状包材(T)のオーバーラップ部(T1)の内側段差(T11)および外側段差(T12)がそれぞれ位置するように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、超音波ホーン(17A)およびアンビル(17B)のシール面(171)(172)によってチューブ状包材(T)を局部的に挟み込む際に、チューブ状包材(T)が適正な位置から回転したりシール面(171)(172)の長さ方向にずれたりすることがあり、それによって、オーバーラップ部(T1)の内外両側の段差(T11)(T12)が凹溝(173)の両傾斜面(173a)に正確に位置せず、同段差(T11)(T12)部分を最適な圧力で加圧できないことがあった。
その結果、横シール部において、シーリングテープ(S)の両端縁のうちオーバーラップ部(T1)の内側段差(T11)から見てオーバーラップ部側(以下、「SA側」という場合がある。)に位置する第1の端縁(S11)がチューブ状包材(T)の内面に融着されなかったり、同第1の端縁(S11)とチューブ状包材(T)の内面との間に空洞部が生じたりすることがある。横シール部にこのような未融着部や空洞部があると、特に過酸化水素水等による包材の殺菌が必要なアセプティック製品を製造する場合に、内容物の漏れや外部からの菌の侵入につながる懸念があった。
【0009】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、超音波シールにより形成される横シール部において、シーリングテープとチューブ状包材の内面との間にシール不良を生じさせることがない充填包装機を提供し、また、上記のようなシール不良の発生が効果的に抑制されてシール性が向上した内容物充填容器およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、超音波シールによる横シール部に発生するシール不良の原因について鋭意研究を重ねた結果、シーリングテープの両端縁のうちオーバーラップ部側に位置する第1の端縁とオーバーラップ部の外側の段差とがチューブ状包材の厚さ方向から見て互いに重なるように配置されている場合に、オーバーラップ部の内外両側の段差がアンビル等のシール面に設けられた吸収部(凹溝)の適切な位置から外れると、同段差部分を最適な圧力で加圧できないことによるシール不良が発生しやすいことを突き止め、この発明を完成するに至った。
すなわち、この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0011】
1)ウェブ状包材の片面の一端縁部にシーリングテープをその幅の一部がはみ出すように貼り付けるテープ貼り付け装置と、
ウェブ状包材の両端縁部を所定幅ずつオーバーラップさせて縦シールすることによりチューブ状包材を形成するとともに、オーバーラップ部の内側の段差を被覆しうるようにチューブ状包材の内面にシーリングテープのはみ出し部を貼り付ける縦シール装置と、
チューブ状包材を挟んで開閉自在に設けられかつチューブ状包材の長さ方向と直交する方向にのびた互いに向かい合うシール面が形成されている超音波ホーンおよびアンビルを有しており、超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面にオーバーラップ部とその他の部分との間に生じる段差を吸収するための吸収部が形成されており、内容物が充填されたチューブ状包材を容器1つ分の長さ毎に横シールする横シール装置とを備えている充填包装機であって、
シーリングテープの両端縁のうちオーバーラップ部の内側の段差から見てオーバーラップ部側に位置する第1の端縁とオーバーラップ部の外側の段差とがチューブ状包材の厚さ方向から見て互いにずれて配置されるように、テープ貼り付け装置がシーリングテープの所要幅部分をウェブ状包材の片面の一端縁部に貼り付けるようになっている、充填包装機。
【0012】
2)シーリングテープの第1の端縁がオーバーラップ部の外側の段差に対してオーバーラップ部の内側の段差から離れる方向に0.5mm以上ずれて配置されるように、テープ貼り付け装置がシーリングテープの所要幅部分をウェブ状包材の片面の一端縁部に貼り付けるようになっている、上記1)の充填包装機。
【0013】
3)シーリングテープの第1の端縁がオーバーラップ部の外側の段差に対してオーバーラップ部の内側の段差に近づく方向に0.5~3mmずれて配置されるように、テープ貼り付け装置がシーリングテープの所要幅部分をウェブ状包材の片面の一端縁部に貼り付けるようになっている、上記1)の充填包装機。
【0014】
4)シーリングテープとして、オーバーラップ部の幅の1~10倍の幅を有するものが使用されている、上記1)~3)のいずれか1つの充填包装機。
【0015】
5)シーリングテープの第1の端縁および同端縁に重なるチューブ状包材部分と、シーリングテープにおける第1の端縁と反対側の第2の端縁および同端縁に重なるチューブ状包材部分とをそれぞれ押圧する押圧用凸部が、超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面の各対応箇所に形成されている、上記1)~4)のいずれか1つの充填包装機。
【0016】
6)各押圧用凸部が、シール面の長さ方向に沿ってのびる畝状のものであって、その長さが1~5mm、厚さが0.1~0.6mm、突出高さが0.1~0.5mmとなされている、上記5)の充填包装機。
【0017】
7)ウェブ状包材の片面の一端縁部にシーリングテープをその幅の一部がはみ出すように貼り付けるテープ貼り付け工程と、
ウェブ状包材の両端縁部を所定幅ずつオーバーラップさせて縦シールすることによりチューブ状包材を形成するとともに、オーバーラップ部の内側の段差を被覆しうるようにチューブ状包材の内面にシーリングテープのはみ出し部を貼り付ける縦シール工程と、
内容物が充填されたチューブ状包材を、チューブ状包材を挟んで開閉自在に設けられかつチューブ状包材の長さ方向と直交する方向にのびた互いに向かい合うシール面が形成されている超音波ホーンおよびアンビルを有しており超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面にオーバーラップ部とその他の部分との間に生じる段差を吸収するための吸収部を有している横シール装置によって、容器1つ分の長さ毎に横シールする横シール工程とを含んでいる、内容物充填容器の製造方法であって、
シーリングテープの両端縁のうちオーバーラップ部の内側の段差から見てオーバーラップ部側に位置する第1の端縁とオーバーラップ部の外側の段差とがチューブ状包材の厚さ方向から見て互いにずれて配置されるように、テープ貼り付け工程においてシーリングテープの所要幅部分をウェブ状包材の片面の一端縁部に貼り付ける、内容物充填容器の製造方法。
【0018】
8)シーリングテープの第1の端縁がオーバーラップ部の外側の段差に対してオーバーラップ部の内側の段差から離れる方向に0.5mm以上ずれて配置されるように、テープ貼り付け工程においてシーリングテープの所要幅部分をウェブ状包材の片面の一端縁部に貼り付ける、上記7)の内容物充填容器の製造方法。
【0019】
9)シーリングテープの第1の端縁がオーバーラップ部の外側の段差に対してオーバーラップ部の内側の段差に近づく方向に0.5~3mmずれて配置されるように、テープ貼り付け工程においてシーリングテープの所要幅部分をウェブ状包材の片面の一端縁部に貼り付ける、上記7)の内容物充填容器の製造方法。
【0020】
10)シーリングテープとして、オーバーラップ部の幅の1~10倍の幅を有するものを使用する、上記7)~9)のいずれか1つの内容物充填容器の製造方法。
【0021】
11)横シール工程において、シーリングテープの第1の端縁および同端縁に重なるチューブ状包材部分と、シーリングテープにおける第1の端縁と反対側の第2の端縁および同端縁に重なるチューブ状包材部分とを、超音波ホーンおよびアンビルのうちいずれか一方のシール面の各対応箇所に形成した押圧用凸部によって押圧する、上記7)~10)のいずれか1つの内容物充填容器の製造方法。
【0022】
12)各押圧用凸部を、シール面の長さ方向に沿ってのびる畝状とするとともに、その長さを1~5mm、厚さを0.1~0.6mm、突出高さを0.1~0.5mmとする、上記11)の内容物充填容器の製造方法。
【0023】
13)上記1)~6)のいずれか1つの充填包装機を使用して製造されている、内容物充填容器。
【0024】
14)上記7)~12)のいずれか1つの方法によって製造されている、内容物充填容器。
【発明の効果】
【0025】
上記1)の充填包装機、上記7)の内容物充填容器の製造方法、および上記13)、14)の内容物充填容器によれば、シーリングテープの両端縁のうちオーバーラップ部の内側の段差から見てオーバーラップ部側に位置する第1の端縁と、オーバーラップ部の外側の段差とが、チューブ状包材の厚さ方向から見て互いにずれて配置されるようになっているので、横シール時にオーバーラップ部の内外両側の段差が超音波ホーンまたはアンビルのシール面に形成された吸収部の適切な位置から外れた場合であっても、シーリングテープの第1の端縁がチューブ状包材の内面に融着されなかったり、シーリングテープの第1の端縁とチューブ状包材の内面との間に空洞部が生じたりするというシール不良の発生が抑制され、横シール部のシール性を向上させることができる。
【0026】
上記2)~6)の充填包装機、および上記8)~12)の内容物充填容器の製造方法によれば、前述した横シール部のシール不良の発生を抑制する効果が、より一層確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】この発明の第1の実施形態に係る充填包装機の横シール装置の概略を示す斜視図である。
【
図2】同横シール装置のアンビルを示す正面図である。
【
図3】同アンビルの長さ中央部の拡大正面図である。
【
図4】
図2のIV-IV線に沿う横シール装置の拡大断面図である。
【
図5】
図2のV-V線に沿う横シール装置の拡大断面図である。
【
図6】横シール時におけるチューブ状包材のオーバーラップ部、シーリングテープおよびアンビルのシール面の吸収部(凹溝)の位置関係の第1の態様を示す拡大断面図である。
【
図7】同位置関係の第2の態様を示す拡大断面図である。
【
図8】同位置関係の第3の態様を示す拡大断面図である。
【
図9】この発明の第2の実施形態に係る充填包装機の横シール装置を示すものであって、同横シール装置のアンビルの長さ中央部の拡大正面図である。
【
図10】同横シール装置の
図5に相当する拡大断面図である。
【
図11】横シール時におけるチューブ状包材のオーバーラップ部、シーリングテープ、アンビルのシール面の吸収部(凹溝)、および押圧用凸部の位置関係の第1の態様を示す拡大断面図である。
【
図12】同位置関係の第2の態様を示す拡大断面図である。
【
図13】同位置関係の第3の態様を示す拡大断面図である。
【
図14】押圧用凸部の形状および寸法を説明するための拡大図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は横断面図である。
【
図15】押圧用凸部の形状のバリエーションを示すものであって、(a-1)ないし(a-4)は正面図、(b-1)ないし(b-5)は側面図、(c-1)ないし(c-4)は横断面図である。
【
図16】従来の充填包装機の全体概略を示す斜視図である。
【
図17】同充填包装機の横シール装置による横シール工程の概略を示す断面図である。
【
図18】同横シール装置による横シール時におけるチューブ状包材のオーバーラップ部、シーリングテープ、およびアンビルのシール面の吸収部(凹溝)の位置関係を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、この発明の実施形態を、図面を参照して以下に説明する。
【0029】
[第1の実施形態]
図1は、この発明の第1の実施形態に係る充填包装機の横シール装置の概略を示したものであり、
図2~
図5は、同横シール装置の詳細を示したものである。なお、
図4では、チューブ状包材(T)のオーバーラップ部(T1)の2つの重なり部分およびシーリングテープ(S)の図示を省略している。また、充填包装機の構造は、後述する横シール装置の詳細構造を除けば、
図16および
図17を参照して先に説明した従来技術と実質的に同じであるので、重複する説明は省略する。
【0030】
図1に示すように、横シール装置の超音波ホーン(17A)およびアンビル(17B)は、チューブ状包材(T)の長さ方向と直交する方向にのびかつチューブ状包材(T)を挟んで互いに向かい合う金属製のバーによって構成されている。
【0031】
超音波ホーン(17A)は、チューブ状包材(T)に臨む内側面に、長さ方向に沿って互いに平行にのびる上下2つの帯状のシール面(171)を有している。2つのシール面(171)どうしの間は、カッター逃がし溝(178)となされている。
超音波ホーン(17A)は、チューブ状包材(T)に臨む内側面に開口を有する中空バーよりなるストッパ(170A)に、同開口からシール面(171)が僅かに突出するように収容されている。詳しい図示は省略したが、超音波ホーン(17A)は、超音波発振器から発せられた振動エネルギーがコンバータで増減されて伝達されることにより、所要の振幅で振動させられるようになっている。
【0032】
図2~
図5に示すように、アンビル(17B)は、チューブ状包材(T)に臨む内側面に、長さ方向に沿って互いに平行にのびかつ超音波ホーン(17A)の2つのシール面(171)と向かい合う上下2つの帯状のシール面(172)を有している。2つのシール面(172)どうしの間に形成されたスリット(174)には、横シール部を幅中間位置で切断するためのカッター(175)が出没自在に収容されている。スリット(174)の開口の上下縁部には超音波ホーン(17A)側を向いた段差(174a)が形成されている。上下各シール面(172)には、その幅中間部に、シール面(172)を上下に分断するようにシール面(172)の長さ方向に沿ってのびる横断面V形の水平溝(176)が形成されている。これらの水平溝(176)は、横シールによって互いに融着される偏平状の2つの包材(T)部分の内面に隣接する箇所に、同包材(T)部分の内面のシーラント層を構成する溶融した熱可塑性樹脂の一部が押し出されて樹脂溜まり(R)が形成されるようにするためのものである。これらの樹脂溜まり(R)により、シール性に優れた良好な横シール部が形成され、また、カッター(175)による横シール部の切断を支障なく行うことが可能となる。
これらのシール面(172)の長さ中央部には、チューブ状包材(T)におけるオーバーラップ部(T1)とその他の部分(T2)との間に生じる段差(T11)(T12)を吸収するための吸収部(173)が形成されている。吸収部(173)は、両シール面(172)の長さ方向と直交する方向にのびる横断面等脚台形状の凹溝(173)よりなる。横シール時には、通常、凹溝(173)の両側の傾斜面(173a)に、チューブ状包材(T)のオーバーラップ部(T1)の内側の段差(T11)および外側の段差(T12)(換言すれば、これらの段差を形成している包材の端面)がそれぞれ位置するようになっている。各シール面(172)の凹溝(173)は、横断面V形の水平溝(176)によって上下2つに分断されている。凹溝(173)の上下両側には、凹溝(173)の深さよりもやや深い凹所(177)が形成されている。なお、吸収部は、図示の形態には限定されず、例えば、横断面凹弧状の凹溝や、横断面波形の凹凸部などで構成されてもよい。また、吸収部は、超音波ホーンのシール面に形成されていてもよい。
【0033】
図6~
図8は、横シール時におけるチューブ状包材(T)のオーバーラップ部(T1)、シーリングテープ(S)、およびアンビル(17B)のシール面(172)の吸収部(凹溝)(173)の位置関係の3つの態様を示したものである。
ここで、オーバーラップ部(T1)は、製造される容器のサイズに応じて適切な幅が設定されており、シーリングテープ(S)は、「オーバーラップ部(T1)の幅×2」にほぼ等しい幅を有するものとなされるのが一般的である。例えば、オーバーラップ部(T1)が幅3.8mmである場合、シーリングテープ(S)の幅は7.5mmである。そして、シーリングテープ(S)のうちテープ貼付け工程でウェブ状包材(W)の片面に先に貼り付けられてオーバーラップ部(T1)側に位置するSA側部分(S1)と、縦シール工程においてチューブ状包材(T)の内面に貼り付けられてオーバーラップ部(T1)の内側の段差(T11)を挟んでオーバーラップ部(T1)と反対側に位置するLS側部分(S2)とが、ほぼ等しい幅となるように設定されていた。具体的には、シーリングテープ(S)の全体幅が7.5mmである場合、7.5mmからオーバーラップ部(T1)の内側の段差(T11)に隣接する箇所に生じるエアギャップ(G)に臨んでいる部分(S3)の幅約0.6mmを引いた値の2分の1、すなわち約3.45mmが、シーリングテープ(S)のSA側部分(S1)、LS側部分(S2)の幅となる(
図18参照)。そのため、
図18に示すように、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)が、チューブ状包材(T)の厚さ方向から見て、オーバーラップ部(T1)の外側の段差(T12)とほぼ重なるように配置されるのが一般的であった。
【0034】
これに対して、この発明の第1の実施形態では、
図6~
図8に示す通り、シーリングテープ(S)の両端縁のうちオーバーラップ部(T1)の内側の段差(T11)から見てオーバーラップ部側(SA側)に位置する第1の端縁(S11)(図では左端縁)と、オーバーラップ部(T1)の外側の段差(T12)とが、チューブ状包材(T)の厚さ方向から見て互いにずれて配置されるようになっている。
上記の配置は、テープ貼り付け装置(13)によるテープ貼り付け工程において、ウェブ状包材(W)の片面の一端縁部に貼り付けられるシーリングテープ(S)のSA側部分(S1)の幅を適宜変更調整することにより、確保することができる。詳しい図示は省略したが、テープ貼り付け装置(13)は、シーリングテープ(S)の送り方向と直交する方向に移動して位置調整可能となされており、それによって、テープ貼付け工程におけるシーリングテープ(S)とチューブ状包材(T)との幅方向の相対位置を任意に変更して調整できるようになっている。
【0035】
3つの態様をより詳細に見ていくと、まず、第1の態様では、
図6に示すように、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)が、オーバーラップ部(T1)の外側の段差(T12)に対して、オーバーラップ部(T1)の内側の段差(T11)から離れる方向に0.5mm以上、好ましくは1mm以上の距離(D1)だけずれて配置されている。
この場合、シーリングテープ(S)としては、従来と同様に、オーバーラップ部(T1)の幅のほぼ2倍程度の幅を有するものが用いられている。
上記のように、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)を、オーバーラップ部(T1)の外側の段差(T12)から、オーバーラップ部(T1)の内側の段差(T11)と反対方向に0.5mm以上、好ましくは1mm以上の距離(D1)だけずらすことによって、横シール時にオーバーラップ部(T1)の内外両側の段差(T11)(T12)がアンビル(17B)のシール面(172)の凹溝(吸収部)(173)の両傾斜面(173a)から外れた場合であっても、シーリングテープ(S)のSA側の第1の端縁(S11)がチューブ状包材(T)の内面に融着されなかったり、第1の端縁(S11)とチューブ状包材(T)の内面との間に空洞部が生じたりするといったシール不良の発生が効果的に抑制される。
【0036】
次に、第2の態様は、
図7に示すように、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)が、オーバーラップ部(T1)の外側の段差(T12)に対して、オーバーラップ部(T)の内側の段差(T11)に近づく方向に0.5~3mm、好ましくは1.5~3mmの距離(D2)だけずれて配置されている。
この場合も、シーリングテープ(S)としては、従来と同様に、オーバーラップ部(T1)の幅のほぼ2倍程度の幅を有するものが用いられている。
上記態様の場合にも、横シール時にオーバーラップ部(T1)の内外両側の段差(T11)(T12)がアンビル(17B)のシール面(172)の凹溝(吸収部)(173)の両傾斜面(173a)から外れたとしても、シール不良の発生が効果的に抑制される。
【0037】
また、第3の態様は、
図8に示すように、シーリングテープ(S)の幅を広げたものが使用されている。具体的には、例えば、オーバーラップ部(T1)の幅が4mmである場合に、その約3倍の11mmの幅を有するシーリングテープ(S)が用いられる。
これにより、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)は、オーバーラップ部(T1)の外側の段差(T12)に対して、オーバーラップ部(T1)の内側の段差(T11)から離れる方向に十分な距離(D1)(例えば約3mm程度)だけずれて配置される。
したがって、上記態様の場合も、横シール時にオーバーラップ部(T1)の内外両側の段差(T11)(T12)がアンビル(17B)のシール面(172)の凹溝(吸収部)(173)の両傾斜面(173a)から外れたとしても、シール不良の発生がより確実に抑制される。
【0038】
なお、詳しい図示は省略したが、上記3つの態様の他、シーリングテープ(S)の幅を通常よりも小さくした態様であってもよい。その場合、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)は、
図7に示す態様と同様に、オーバーラップ部(T1)の外側の段差(T12)に対して、オーバーラップ部(T1)の内側の段差(T11)に近づく方向にずれて配置されるのが一般的である。但し、シーリングテープ(S)の幅がオーバーラップ部(T1)の幅の1倍未満であると、シール面積が小さくなりすぎてシール性が低下するおそれがある。
一方、シーリングテープ(S)は、上記3つの態様に示すようなオーバーラップ部(T1)の幅の約2~3倍の幅を有するものと比べて、さらに大きな幅を有するものとされる場合もある。そのような大きな幅を有するシーリングテープ(S)によれば、上述したシール不良の発生を抑制する効果に加えて、例えば天面にプルタブ等によって開封可能な飲み口が形成される容器に使用することにより、飲み口の内面を被覆するためのインナーテープをシーリングテープ(S)で代用することが可能となり、インナーテープが不要となるという効果が得られる。但し、シーリングテープ(S)の幅がオーバーラップ部(T1)の幅の10倍を超えると、シーリングテープ(S)が容器のクリースに掛かるおそれがある。
以上の点から見て、シーリングテープ(S)としては、オーバーラップ部(T1)の幅の1~10倍の幅を有するものを好適に使用することができる。
【0039】
[第2の実施形態]
図9~
図15は、この発明の第2の実施形態に係る充填包装機の横シール装置の詳細を示したものである。第2の実施形態の横シール装置は、以下の点を除いて、
図1~
図8に示した第1の実施形態の横シール装置と実質的に同一である。
すなわち、この実施形態の横シール装置では、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)および同端縁(S11)に重なるチューブ状包材(T)部分と、シーリングテープ(S)における第1の端縁(S11)と反対側の第2の端縁(S12)および同端縁(S12)に重なるチューブ状包材(T)部分とをそれぞれ押圧する押圧用凸部(179)が、アンビル(17B)のシール面(172)の各対応箇所に形成されている。より詳細には、アンビル(17B)の上側のシール面(172)における水平溝(176)の下方部分、およびアンビル(17B)の下側のシール面(172)における水平溝(176)の上方部分に、それぞれ左右2つの押圧用凸部(179)が形成されている。
上記の横シール装置によれば、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)および第2の端縁(S12)とチューブ状包材(T)の内面とがより確実にシールされ、したがって、同部分のシール不良に起因する内容物の漏れの発生がより効果的に抑制される。
なお、図示は省略したが、押圧用凸部は、超音波ホーン(17A)のシール面(171)に形成されていてもよい。
【0040】
図11~
図13は、
図6~
図8に示した横シール時におけるチューブ状包材(T)のオーバーラップ部(T1)、シーリングテープ(S)、およびアンビル(17B)のシール面(172)の吸収部(凹溝)(173)の位置関係の3つの態様の場合について、押圧用凸部(179)を形成する箇所を詳細に示したものである。
まず、
図11に示すように、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)が、オーバーラップ部(T1)の外側の段差(T12)に対して、オーバーラップ部(T1)の内側の段差(T11)から離れる方向に所要距離(D1)だけずれて配置されている(
図6の態様)場合、押圧用凸部(179)は、上下各シール面(172)における凹溝(吸収部)(173)の左右両隣の箇所に形成されている。
次に、
図12に示すように、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)が、オーバーラップ部(T1)の外側の段差(T12)に対して、オーバーラップ部(T1)の内側の段差(T11)に近づく方向に所要距離(D2)だけずれて配置されている(
図7の態様)場合、押圧用凸部(179)は、上下各シール面(172)における凹溝(吸収部)(173)の底部中央部分と、凹溝(吸収部)(173)から右側に大きく離れた箇所とに形成されている。なお、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)に対応する押圧用凸部(179)は、シーリングテープ(S)の貼付け位置によっては、凹溝(吸収部)(173)の底部において、その中央部分から左右にずれることがある。
また、
図13に示すように、幅広のシーリングテープ(S)が使用されることにより、シーリングテープ(S)の第1の端縁(S11)が、オーバーラップ部(T1)の外側の段差(T12)に対して、オーバーラップ部(T1)の内側の段差(T11)から離れる方向に十分な距離(D1)だけずれて配置されている(
図8の態様)場合、押圧用凸部(179)は、上下各シール面(172)における凹溝(吸収部)(173)から左右両側に大きく離れた箇所に形成されている。
さらに、図示は省略したが、通常の幅を有するシーリングテープ(S)(
図11,12参照)よりも小さい幅のシーリングテープが使用された場合、押圧用凸部は、上下各シール面(172)における凹溝(吸収部)(173)の底部と、凹溝(吸収部)(173)の右隣の箇所とに形成される。
【0041】
図14に詳しく示すように、各押圧用凸部(179)は、シール面(172)の長さ方向に沿ってのびる畝状のものである。
また、各押圧用凸部(179)の寸法は、その長さ(L)を1~5mmとし、厚さ(TH)を0.1~0.6mmとし、突出高さ(H)を0.1~0.5mmとするのが好ましい。
押圧用凸部(179)の長さ(L)が1mm未満であると、横シール時にチューブ状包材(T)およびシーリングテープ(S)の位置がずれた場合にシーリングテープ(S)の両端縁(S11)(S12)およびこれらと重なるチューブ状包材(T)部分を確実に押圧できないおそれがある一方、長さ(L)が5mmを超えると、横シール時に上記以外の部分も広く押圧してしまうおそれがある。
押圧用凸部(179)の厚さ(TH)が0.1mm未満であると、同凸部(179)がすぐに摩耗してしまうおそれがある一方、厚さ(TH)が0.6mmを超えると、シール面(172)の幅との差が小さくなって上記効果が十分に得られないおそれがある。
また、押圧用凸部(179)の突出高さ(H)が0.1mm未満であると、上記効果が確実に得られないおそれがある一方、突出高さ(H)が0.5mmを超えると、横シール時にチューブ状包材(T)が焼けたり切れたりするおそれがある。
【0042】
各押圧用凸部(179)の形状は、
図14に示すような正面視長方形、側面視長方形、横断面方形である略四角柱状のものとする他、
図15に示すような正面形状、側面形状、横断面形状を任意に組み合わせたものとすることができる。
より詳細には、押圧用凸部(179)の正面形状は、
図15(a-1)ないし(a-4)に順次示すように、4つの角部が円弧状となされた略長方形、4つの角部が斜めに面取りされた略長方形、両短辺が半円弧状となされたトラック形、または両短辺がく字状となされた横長六角形としてもよい。
押圧用凸部(179)の側面形状は、
図15(b-1)ないし(b-5)に順次示すように、先端側の両角部が円弧状となされた略長方形、先端側の両角部が斜めに面取りされた略長方形、横長等脚台形、両短辺が円弧状となされた略横長等脚台形、またはドーム形としてもよい。
また、押圧用凸部(179)の横断面形状は、
図15(c-1)ないし(c-4)に順次示すように、先端側の両角部が円弧状となされた略方形、先端側の両角部が斜めに面取りされた略方形、三角形、または半円形としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
この発明は、流動性食品や飲料等の内容物を、紙等のウェブ状包材から形成された容器に充填して包装する充填包装機、内容物充填容器およびその製造方法として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0044】
(10):充填包装機
(13):テープ貼り付け装置
(15):縦シール装置
(17):横シール装置
(17A):超音波ホーン
(171):(超音波ホーンの)シール面
(17B):アンビル
(172):(アンビルの)シール面
(173):凹溝(吸収部)
(173a):傾斜面
(179):押圧用凸部
(W):ウェブ状包材
(T):チューブ状包材
(T1):オーバーラップ部
(T11):内側の段差
(T12):外側の段差
(S):シーリングテープ
(S11):第1の端縁
(S12):第2の端縁