(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20240723BHJP
B01J 3/00 20060101ALI20240723BHJP
C02F 1/74 20230101ALI20240723BHJP
【FI】
B01D53/14 220
B01J3/00 J
C02F1/74 101
(21)【出願番号】P 2020526998
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 CN2019082573
(87)【国際公開番号】W WO2019196951
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-05-15
【審判番号】
【審判請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】201810331691.1
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512172224
【氏名又は名称】ペトロチャイナ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PETROCHINA COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】No.9 Dongzhimen North Street, Dongcheng District, Beijing 100007, China
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】フー、シュエシェン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、フェイ
(72)【発明者】
【氏名】へー、シェンバオ
(72)【発明者】
【氏名】リー、インウェン
(72)【発明者】
【氏名】リー、シャオ
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ミン
(72)【発明者】
【氏名】ドン、ウェイガン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フー、チン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ユアン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、フアクン
【合議体】
【審判長】門前 浩一
【審判官】弘實 由美子
【審判官】塩見 篤史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101077981(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106939172(CN,A)
【文献】中国実用新案第204999859(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第105038850(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105112092(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104694151(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103146416(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104743726(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/14
C02F1/74
B01J3/00
C10G1/00-99/00
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法であって、
スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の条件下で、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を熱交換後、ポンプで超重力反応器の液体入口に注入し、酸素含有ガスを超重力反応器のガス入口に導入し、超重力反応器内で気液混合し、酸化反応させて、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させる工程を含み、
液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液及び酸素含有ガスを超重力反応器内で混合し、酸化触媒と接触させて酸化反応させると同時に、高気液比の条件で、生成した二硫化物及び多硫化物を気相に抽出して排出し、二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離を完了させて、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を達成し、
前記超重力反応器は、バルク粒子充填材を使用しない回転充填床又は固定子-回転子反応器であり、
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含むものであり、
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液と酸素含有ガスとの体積比が1:10~500であり、前記スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の添加濃度が10mg/kg~300mg/kgであり、
前記酸素含有ガスは、空気である、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法。
【請求項2】
硫黄元素換算で、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムの含有量≦20000mg/kgであり、硫化ナトリウムの含有量≦10000mg/kgである、請求項
1に記載の再生方法。
【請求項3】
硫黄元素換算で、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムの含有量が100~20000mg/kgであり、硫化ナトリウムの含有量が50~10000mg/kgである、請求項1に記載の再生方法。
【請求項4】
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとの含有量のモル比が0.1~200:1である、請求項1又は請求項2に記載の再生方法。
【請求項5】
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとの含有量のモル比が0.3~100:1である、請求項4に記載の再生方法。
【請求項6】
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、熱交換後の温度が20℃~80℃である、請求項1又は請求項2に記載の再生方法。
【請求項7】
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、熱交換後の温度が20℃~60℃である、請求項6に記載の再生方法。
【請求項8】
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、熱交換後の温度が45~60℃である、請求項7に記載の再生方法。
【請求項9】
前記スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒は、スルホン化コバルトフタロシアニン、二核フタロシアニンコバルトスルホン酸塩、ポリ(コバルトフタロシアニン)又はそれらの複合触媒である、請求項1に記載の再生方法。
【請求項10】
前記スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒は、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液に対する添加量が10~100mg/kgである、請求項1に記載の再生方法。
【請求項11】
前記超重力反応器は、回転充填床超重力反応器の充填材を規則充填材又は金網充填材とする回転充填床である、請求項
1に記載の再生方法。
【請求項12】
前記超重力反応器における液流の流れ方向が、気液対向流、気液並流又は気液折り返し流である、請求項1
又は請求項11
に記載の再生方法。
【請求項13】
前記酸化反応の圧力が常圧~0.8MPaである、請求項1に記載の再生方法。
【請求項14】
前記酸化反応の圧力条件が0.1MPa~0.2MPaである、請求項
13に記載の再生方法。
【請求項15】
前記酸化反応が回転速度100rpm~2000rpmで行われる、請求項1に記載の再生方法。
【請求項16】
前記酸化反応が回転速度300rpm~2000rpmで行われる、請求項
15に記載の再生方法。
【請求項17】
前記酸化反応が回転速度600rpm~1200rpmで行われる、請求項
16に記載の再生方法。
【請求項18】
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液と酸素含有ガスとの体積比が1:(100~400)である、請求項1に記載の再生方法。
【請求項19】
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液と酸素含有ガスとの体積比が1:(120~350)である、請求項
18に記載の再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油精製技術分野に関し、具体的には、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の浄化方法に関し、特に、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液化ガスは、精製過程において通常にアルカリ洗浄方法により脱メルカプタンされている。一般的な過程としては、脱メルカプタンユニットにおいて液化ガスをアルカリ液と接触させて抽出され、液化ガスにおける酸性を呈す低分子メルカプタンを水酸化ナトリウムと反応させて生成するメルカプタンナトリウムがアルカリ液相に入り、液化ガスの硫化物が脱除されることにより、総硫黄量が低下する。アルカリ洗浄抽出に対しては、一般的には、抽出塔又は繊維膜接触器が使用されており、メルカプタンナトリウムを含むアルカリ液の酸化再生に対しては、塔型反応器が使用されている。反応式(1)により示される。
【0003】
RSH + NaOH = NaSR + H2O (1)
[ただし、Rはアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基などであってもよい。]
【0004】
メルカプタンナトリウムを含むアルカリ液が酸化塔内で空気と接触し、スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の作用によりメルカプタンナトリウムから二硫化物及び水酸化ナトリウムが生成し、生成された二硫化物がアルカリ液に溶解せず、二硫化物沈降タンク内で重力沈降によりアルカリ液と分離し、再生後のアルカリ液が再度抽出系に入って使用される。反応式(2)により示される。
【0005】
4NaSR + 2H2O + O2 → 2R1S2R2 + 4NaOH (2)
[ただし、R、R1、およびR2はアルキル基であり、R、R1、およびR2は同じであっても異なっていてもよく、メチル基、エチル基、プロピル基などであってもよい。]
【0006】
アルカリ洗浄により脱メルカプタンする前に一般的に「予備アルカリ洗浄」のプロセスがある。上流アミン洗浄において脱除されていなかった10~20mg/Nm3の残存硫化水素を脱除するように、通常に、低濃度のアルカリ液を使用して液化ガスを洗浄する。予備アルカリ洗浄によるアルカリ液に大量の硫化ナトリウム及び少量のメルカプタンナトリウムが含まれている。予備アルカリ洗浄では、通常に、タンク、静的混合器又は繊維膜接触器が反応器として使用されている。反応式(3)により示される。
【0007】
H2S+ NaOH → Na2S + H2O (3)
【0008】
典型的なマーロックス(Merox)プロセスにおいて、予備アルカリ洗浄によるアルカリ液は、再生せずに、アルカリスラグとして直接排出され、又は、下流湿式酸化装置により処理される。繊維膜による脱硫プロセスにおいて、一般的に予備アルカリ洗浄が取り消され、この硫化水素の脱除により生成した硫化ナトリウムは、メルカプタンの脱除により生成したメルカプタンナトリウムアルカリ液と一緒に酸化塔に入り、スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒作用により空気における酸素と酸化反応し、この時、メルカプタンナトリウムが二硫化物に酸化され、硫化ナトリウムがチオ硫酸ナトリウムに酸化される。メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとが酸化された際に完全に水酸化ナトリウムを生成した場合にのみ、処理後のアルカリ液は、循環利用されることができ、即ち、所謂アルカリ液の完全再生が達成できる。硫化ナトリウムからチオ硫酸ナトリウムへの転換反応が発生した際、一部のみが水酸化ナトリウムを生成するため、処理後のアルカリ液には、一定量のチオ硫酸ナトリウムがまだ存在し、それを循環利用できず、即ち、完全に再生されておらず、アルカリスラグとしてしか処理できない。反応式(4)により示される。
【0009】
2Na2S+ 2O2 + H2O → Na2S2O3+ 2NaOH (4)
【0010】
アルカリ液に存在する硫化ナトリウム及びその酸化生成物であるチオ硫酸ナトリウムは、アルカリ液のメルカプタンの脱除・抽出能力の低下を招く重要な原因の一つとなっており、更にそれによりアルカリスラグが大量排出されることになる。
【0011】
従来技術において、反応式(2)及び(4)により示されるように、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの再生は、酸素分子の物質伝達過程の制限及び長滞留時間の制限を受けるため、それらがそれぞれの酸化過程に従って行われ、硫化ナトリウムがチオ硫酸ナトリウムに転換されるので、硫化ナトリウムを含有するアルカリ液が完全に再生されることができない。つまり、「後処理技術」に過ぎず、「完全な再生技術」ではない。
【0012】
CN104694151Aには、メルカプタンナトリウムの酸化及び二硫化物の分離の過程を同一の超重力設備においてカップリングすることにより、非常に良いアルカリ液再生効果を達成でき、反応が酸化触媒の存在する条件下で行われるチオレート含有アルカリ液の酸化再生方法が開示されている。その過程において、メルカプタンナトリウムを含むアルカリ液のみを再生するが、硫化ナトリウムを含むアルカリ液を再生しない。一般的には、本分野では、メルカプタンナトリウムを含むアルカリ液と硫化ナトリウムを含むアルカリ液とは、一般的に、別々に再生され、即ち、両者の完全転換を達成できない。
【0013】
CN103146416Aには、空気等のガスによりアルカリ液における二硫化物を5mg/kg以内にストリッピング脱除する、超重力技術によるアルカリ液における二硫化物の脱除方法が開示されている。しかし、その過程は、単にストリッピング分離過程のみに過ぎず、酸化触媒の添加には係らないため、メルカプタンナトリウムも硫化ナトリウムも酸化反応が発生し難い。同時に、酸化反応には係らないため、使用されるガスは、窒素ガス、空気又は燃料ガスであり、酸素ガス含有量≦20%である。更に、係られた二硫化物は、ジメチルジスルフィド、メチルエチルジスルフィド、ジエチルジスルフィド等のみに限り、多硫化物には係らない。
【0014】
CN104743726Aには、超重力装置内で非浄化風がアルカリスラグにおける硫化ナトリウム、及びメルカプタンナトリウムと反応して、それぞれチオ硫酸ナトリウム及び二硫化物に転換させ、酸化過程に必要な触媒量を50~500mg/kg範囲内に維持する必要がある、超重力酸化法による石油精製アルカリスラグの無害化処理の装置及び方法が提案されている。超重力反応器に使用されるバルク粒子充填材の液体に対する剪断破砕能力には限界があるため、気相における酸素ガスが液相への物質伝達過程を良好的に強化できないため、この過程では、硫化ナトリウムをチオ硫酸ナトリウムまでしか転換できず、それを水酸化ナトリウムに完全には還元させない。即ち、硫化ナトリウムとメルカプタンナトリウムとを共に含むアルカリ液は、完全に再生されず、単に「無害化処理」されるに過ぎない。
【0015】
CN101371967Aには、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の酸化再生方法及び装置が開示されている。当該方法では、メルカプタンの脱除後のアルカリ液の小部分を酸化・再生させて再生アルカリ液を得て、更に大部分の未再生アルカリ液と合併・混合し、脱メルカプタン反応器へ循環し、それにより、再生アルカリ液における二硫化物の含有量を制御する。当該方法では、酸化装置及び分離装置が実質的には改良さらず、且つ、脱メルカプタンアルカリ液の一部のみが再生されるため、循環アルカリ液の品質が低く、再生アルカリ液の抽出効果が影響される。
【0016】
CN104263403Aには、脱メルカプタンアルカリ液の高度酸化及び二硫化物の分離に関する方法及び装置が開示されている。当該方法では、被再生アルカリ液及び空気がそれぞれ液体分配器及び空気分配器を経由して酸化塔に入り、繊維膜抽出接触器により二硫化物を高度抽出することにより再生アルカリ液の品質が向上する。当該方法では、酸化塔においてメルカプタンナトリウムの転化率が一定程度しか向上せず、繊維膜を二硫化物の抽出に適用する過程において、繊維糸に要求される媒体の清浄度が非常に厳しいため、触媒の溶解性がよくなく不安定により触媒が凝集する場合、濾過器又は配管に閉塞され、二硫化物の効果的な脱除が達成できない。
【0017】
CN102557300Aには、全体相接触微泡酸化技術を利用して、酸化によりアルカリスラグにおける硫化ナトリウム及びメルカプタンナトリウムの含有量を10mg/kg以下に低下し、同時に、多階段全相接触微泡炭素化技術を利用して、アルカリスラグにおける水酸化ナトリウムを炭酸水素ナトリウムに完全に炭素化・中和することにより、残存された硫化ナトリウム、メルカプタンナトリウム及び二硫化物を更に1ppm以下に低下し、生成された廃水のpHを8~9に低下させ、CODを1000mg/L以下に低下する、液化ガスアルカリスラグを脱硫及び中和する装置及び処理方法が開示されている。この過程では、硫化ナトリウムをチオ硫酸ナトリウム及び硫酸ナトリウムに転化させるが水酸化ナトリウムに還元せず、即ち、硫化ナトリウムを再生せず、アルカリスラグの「処理技術」に過ぎない。
【0018】
従って、上記の検討に基づいて、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムの完全再生とを同時に達成できる方法を提供する。液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の一括的な完全再生処理を実現するのが、急務の課題となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記の技術的課題を解決するために、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を一括的に完全に再生でき、分離後のアルカリ液における二硫化物及び多硫化物の含有量を5mg/kg以下に低下できる液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の完全再生方法を提供することを目的とする。本発明の再生方法は、従来技術における液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液に対する処理方式を完全に覆すものであって、操作方法が簡単で、コストが低く、環境に優しいという特徴を有するものである。
【0020】
本発明は、スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の条件下で、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を熱交換してから、酸化反応させることにより、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させる工程を含み、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液と酸素含有ガスとの体積比は1:10~500であり、好ましくは1:50~500であり、前記スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の添加濃度は10~300mg/kgである液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法を提供する。
【0021】
本発明の具体的な実施態様によれば、本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法において、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムを共に含む。
【0022】
さらに、硫黄元素換算で、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムの含有量≦20000mg/kgであり、硫化ナトリウムの含有量≦10000mg/kgであり、好ましくは、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムの含有量は100~20000mg/kgであり、硫化ナトリウムの含有量は50~10000mg/kgである。
【0023】
さらに、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとの含有量のモル比は、好ましくは0.1~200:1であり、更により好ましくは、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとの含有量のモル比は0.3~100:1である。
【0024】
本発明の具体的な実施態様によれば、本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法において、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、熱交換後の温度は20℃~80℃であり、処理すべき液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の温度は該範囲内である場合、熱交換する必要がないと、理解されるべきである。本発明に記載の「前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の熱交換」は、実際の状況に応じて選択的に実行される。好ましくは、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、熱交換後の温度は20℃~60℃である。より好ましくは、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、熱交換後の温度は、45~60℃である。
【0025】
さらに、前記酸化反応に使用のスルホン化コバルトフタロシアニン系触媒は、スルホン化コバルトフタロシアニン、二核フタロシアニンコバルトスルホン酸塩、ポリ(コバルトフタロシアニン)又はそれらの複合触媒を含むが、これらに限られない。前記触媒における低価コバルトイオンは、迅速的に酸素と反応して強い酸化能力を有する高価コバルトイオンを生成でき、高価コバルトイオンにより、更に硫黄含有イオンの酸化過程を完了させ、該過程により硫黄含有イオンの酸化速度を非常に向上できる。さらに、前記スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の添加量は10~300mg/kgであり、好ましくは、前記スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の添加量は10~100mg/kgである。
【0026】
本発明の具体的な実施態様によれば、本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法は、超重力反応器で行われる。
【0027】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記超重力反応器は、バルク粒子充填材の使用を除いて、回転充填床又は固定子-回転子反応器であり、より好ましくは、回転充填床超重力反応器の充填材は、規則充填材又は金網充填材とされる回転充填床である。
【0028】
本発明の酸化反応及び分離過程では、超重力反応器として通常の回転充填床は、モーター、シール、チャンバー、ロータ、エンドキャップからなり、ロータ内には、規則充填材又は金網充填材により充填されることが望ましい。バルク粒子充填材が液体に対する剪断破砕の效果には限界があり、本発明の作用效果に影響を及ぼす。そのため、バルク粒子によりロータが充填された回転充填床は、本発明に適しない。
【0029】
本発明の具体的な実施態様によれば、前記超重力反応器における液流の流れ方向は気液対向流、気液並流又は気液折り返し流であってもよい。好ましくは、超重力反応器内部における流体の流れ方向の形態は気液対向流である。
【0030】
具体的には、本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法は、スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の条件下で、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を熱交換してから、ポンプによって超重力反応器の液体入口に注入することにより、酸素含有ガスを超重力反応器のガス入口に導入させ、気液を超重力反応器内で混合させ酸化反応させて、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させる工程を含む。
【0031】
本発明の具体的な実施態様によれば、本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法において、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液と酸素含有ガスとが超重力反応器内で混合され酸化触媒と接触して酸化反応させるとともに、高気液比の条件により、生成された二硫化物及び多硫化物を気相に抽出して排出させ、二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離を完了させて、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を達成する。
【0032】
本発明の具体的な実施態様によれば、本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法において、前記酸化反応の圧力は常圧~0.8MPa(0.1~0.8MPa)である。好ましくは、前記酸化反応の圧力条件は0.1~0.2MPaである。
【0033】
本発明の具体的な実施態様によれば、本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法において、前記酸化反応が回転速度100~2000rpmで行われ、好ましくは、前記酸化反応が回転速度300~2000rpmで行われ。より好ましくは、回転速度600~1200rpmで行われる。
【0034】
本発明では、好ましくは、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液と酸素含有ガスとの体積比は1:(100~400)であり、より好ましくは1:(120~350)である。本発明で選択された超重力反応器を使用するため、高気液比条件で二硫化物及び多硫化物の気相への物質伝達過程を促進させることができ、二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との完全な分離の達成に有利であるが、大きすぎる気液比となると、気液同伴現象又はフラッディングが起きる恐れがあり、却って気液二相間における物質伝達過程に不利であり、さらにメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの酸化過程、並びに二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離過程に影響を及ぼす。
【0035】
さらに、前記酸素含有ガスは、空気又は酸素富化ガスであり、好ましくは、前記酸素含有ガスは、前記空気又は酸素富化ガスの酸素含有量が、21~35%である。
【0036】
本発明における二硫化物は、R1S2R2で示されても良く、多硫化物は、R1SnR2,(n≧3)で示されてよく、但し、nは、好ましくは3~5であり、R1、R2は、アルキルであり、R1、R2は、同じでも異なっていてもよく、メチル基、エチル基、プロピル基などであってもよい。
【0037】
本発明に生成される二硫化物及び多硫化物は、気相に抽出されることによりアルカリ液と分離され、それにより液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液におけるメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムが水酸化ナトリウムに完全転換され、処理後のアルカリ液は、脱メルカプタン過程前の状態に戻り、即ち、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の完全再生の状態に達する。
【0038】
本発明において、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を熱交換してから、ポンプによって前記超重力反応器の液体入口に注入することにより、酸素含有ガスを前記超重力反応器のガス入口に導入させる。高速回転のロータ内部の充填材又は固定子・回転子構造により液体が微小的な液滴、液糸及び液膜に破裂・分散され、それにより、巨大な相間物質伝達比表面積及び表面更新速度を有させる。前記酸素含有ガスは、充填材又は固定子・回転子構造内部で液体と接触し、酸素ガスが酸化触媒の作用により液相へ快速的な物質伝達し酸化反応される。二硫化物及び多硫化物は、気相へ快速的な物質伝達する(分離過程)ことにより、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させる。得られた再生アルカリ液と、二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスとが、それぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口より反応器から排出し、硫黄含有酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットに入って処理され、再生アルカリ液が脱酸素過程を経ってから、脱メルカプタンユニットに返戻し再利用する。
【0039】
本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の完全再生方法は、特定の超重力反応器で行われる。超重力反応器は、遠心場により超重力場を模擬することにより多相反応における微視的混合及び相間物質伝達の強化を実現し、ある程度で伝統酸化塔の物質伝達過程における不足を克服し、酸素分子のアルカリ液/酸素含有ガスの相間物質伝達係数を向上させ、酸素分子の利用率を間接に向上させのものである。
【0040】
従って、本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の完全再生方法は、特にメルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む被処理液である液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液に適用される。本発明の再生方法により、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液に含有されるメルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとは、チオ硫酸ナトリウムの蓄積という問題がなく、二硫化物、多硫化物及び水酸化ナトリウムに完全転換でき、それにより、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を徹底的に再生させることができる。
【0041】
実験により、本発明者らは、本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を完全に再生させることができる方法を意外に発見した。特定の超重力反応器及び高気液比を使用することで、その相乗効果によりメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの再生過程と二硫化物及び多硫化物の分離過程とをカップリングさせることができ、チオ硫酸ナトリウムを生成せずにメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムを含有するアルカリ液の完全再生を促進する。アルカリ液の測定結果によれば、本発明者らは、起こり得る反応過程が以下のように推定する。
【0042】
(n-2)Na2S + 2NaSR + (n-1)H2O+ (0.5n-0.5)O2 → (2n-2)NaOH + R1SnR2 n≧3
[ただし、nは、3~5が好ましく、R、R1、R2は、アルキル基であり、R1、R2は、同じでもよく異なってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基等であってもよい]。
【0043】
スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の作用により、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムが、気液界面から拡散してきた大量の酸素分子により水酸化ナトリウム及び多硫化物に迅速に酸化されるとともに、高気液比の条件によって生成物である多硫化物(R1SnR2,n≧3)のアルカリ液からの迅速分離が促進され、それにより長時間酸化雰囲気条件下で多硫化物(R1SnR2,n≧3)のさらなる酸化が回避され、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの一括的な同時完全再生が達成される。
【0044】
従って、本発明では、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムを共に含有するものである。脱硫アルカリ液は、硫化ナトリウムのみを含む場合、本発明で示されるプロセスを使用すると、最終に、再生可能なアルカリ液を得ることができず、アルカリスラグしか得ることができない。
【0045】
本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法では、純酸素、逆抽出溶媒及びその装置を使用する必要がなく、アルカリ液におけるメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムという不純物を効果的に除去できる。
【0046】
本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の一括的な完全再生方法を使用することにより精製されたアルカリ液において、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの含有量を最低で500mg/kg以内に制御でき、二硫化物及び多硫化物の合計含有量を最低で5mg/kg以内に低下できる。又、チオ硫酸ナトリウム含有量を最低で100mg/kg以内に低下できる。検出される二硫化物及び多硫化物は、一般的に、ジメチルジスルフィド、メチルエチルジスルフィド、ジエチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィド等である。
【0047】
メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の完全再生処理を達成するために、本発明は、超重力反応器、特に好ましい超重力反応器、及び特定の酸化反応条件を採用し、その相乗効果により、従来技術における各種の反応条件及び原理を突破して、最終にメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの同時処理に至った。本発明者らは、大量研究及び工夫を重ね、酸化反応過程における気/液相の混合程度の反応に対する影響を探索した結果、適宜的な超重力反応器形態及び気液比を特定することに至った。
【0048】
本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法は、プロセスが簡単で、取り扱いが容易で、コストが低く、普及が容易である。
【0049】
本発明の有利効果は、次のとおりである。
【0050】
1、本発明の再生方法では、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の完全再生処理を突破的に達成でき、特定の超重力反応器によりメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムを水酸化ナトリウムに転換する。
【0051】
2、従来技術における再生方法では、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の処理には、処理過程において複数回の分離又は転換が必要である。しかし、本発明は、突破的に反応器内で酸化反応と分離過程を同時に行うことができ、ワンステップ完全処理の技術革新を実現し、処理フローが簡単で、操作が容易で、処理コストが低い等の特徴を有するため、普及がより容易である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の技術特徴、目的及び有利な効果を明確に理解させるため、実施例により本発明の技術方案を以下に具体的に説明するが、本発明の実施可能な範囲は、それに限定されるものとは解されない。
【0053】
その中、スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒存在の条件下で、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を熱交換してから、ポンプによって超重力反応器の液体入口に注入させ、液体が巨大な相間物質伝達比表面積及び快速更新的な相間表面を有するように高速回転ロータにより微小的な液膜、液糸や液滴に剪断・分割され、酸素含有ガスを流量計により計測してから、ガス入口に導入させ、気液二相を回転充填床のロータ内部又は固定子-回転子反応器の固定子・回転子構造内部で混合させることにより、激しい気液物質伝達過程を発生させ、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの酸化反応及び生成された二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離過程を達成させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させる。再生済みアルカリ液と二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスとがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出する。再生アルカリ液を脱酸素してから、脱メルカプタンユニットに返戻し再利用し、二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットへ行く。
【0054】
その中、被再生アルカリ液におけるメルカプタンナトリウム(NaSR)及び硫化ナトリウムの濃度を電位差滴定法により測定する。再生アルカリ液における二硫化物及び多硫化物(表において、硫化物R1SmR2と総称,m≧2)の濃度の測定方法として、次のとおりである。アルカリ液をn-ヘキサンを使って三回抽出した後、クーロンメータで抽出剤を分析・測定する。再生アルカリ液におけるチオ硫酸ナトリウム濃度の測定方法として、次のとおりである。酢酸によりpH値が6となるように酸性化した後、窒素ガスを導入することで硫化水素及びメルカプタンの干渉を解消し、メタナールを添加することで亜硫酸イオンの干渉を解消した後、ヨードメトリー法によりチオ硫酸ナトリウム濃度を測定する。
【0055】
但し、R、R1、R2は、アルキル基であり、R、R1、R2は、同じでもよく異なってもよく、メチル基、エチル基、プロピル基等であってもよい。
【0056】
(実施例1)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の一括的な完全再生方法を提供した。
【0057】
スルホン化コバルトフタロシアニン触媒の濃度は300mg/kgである条件下で、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が55℃となるように熱交換してから、ポンプによって金網充填材を使用した超重力反応器の液体入口に注入させ、液体が巨大な相間物質伝達比表面積及び快速更新的な相間表面を有するように高速回転ロータにより微小的な液膜、液糸や液滴に剪断・分割され、空気を流量計により計測してから、ガス入口に導入させ、気液を超重力反応器ロータ内で混合させることにより、激しい気液物質伝達過程を発生させ、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの酸化反応及び生成された二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離過程を達成させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。再生済みアルカリ液と二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスとがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出した。再生アルカリ液を脱酸素してから、脱メルカプタンユニットに返戻し再利用し、二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットへ行く。但し、超重力反応器内における気液比を300:1(v/v)とし、回転速度を1100rpmとし、操作圧力を0.15MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表1に示す。
【0058】
【0059】
(実施例2)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の一括的な完全再生方法を提供した。
【0060】
二核フタロシアニンコバルトスルホン酸塩触媒の濃度は100mg/kgである条件下で、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が45℃となるように熱交換してから、ポンプによって規則充填材としてモノリシック発泡炭化珪素を使用した超重力反応器の液体入口に注入させ、液体が巨大な相間物質伝達比表面積及び快速更新的な相間表面を有するように高速回転ロータにより微小的な液膜、液糸や液滴に剪断・分割され、酸素富化ガス(酸素含有量は、35%である)を流量計により計測してから、ガス入口に導入させ、気液を超重力反応器ロータ内で混合させることにより、激しい気液物質伝達過程を発生させ、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの酸化反応及び生成された二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離過程を達成させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。再生済みアルカリ液と二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスとがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出した。再生アルカリ液を脱酸素してから、脱メルカプタンユニットに返戻し再利用し、二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットへ行く。但し、超重力反応器内における気液比を250:1(v/v)とし、回転速度を900rpmとし、操作圧力を0.6MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表2に示す。
【0061】
【0062】
(実施例3)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の一括的な完全再生方法を提供した。
【0063】
スルホン化コバルトフタロシアニン触媒の濃度は10mg/kgである条件下で、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が50℃となるように熱交換してから、ポンプによって固定子・回転子構造を使用した超重力反応器の液体入口に注入させ、液体が巨大な相間物質伝達比表面積及び快速更新的な相間表面を有するように高速回転ロータにより微小的な液膜、液糸や液滴に剪断・分割され、空気を流量計により計測してから、ガス入口に導入し、気液を固定子-回転子反応器内で混合させることにより、激しい気液物質伝達過程が発生することでメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの酸化反応及び生成された二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離過程を達成させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。再生済みアルカリ液と二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスとがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出した。再生アルカリ液を脱酸素してから、脱メルカプタンユニットに返戻し再利用し、二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットへ行く。但し、超重力反応器内における気液比を100:1(v/v)をとし、回転速度を500rpmとし、操作圧力を0.1MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表3に示す。
【0064】
【0065】
(実施例4)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の一括的な完全再生方法を提供した。
【0066】
ポリ(コバルトフタロシアニン)触媒の濃度は200mg/kgである条件下で、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が55℃となるように熱交換してから、ポンプによって金網充填材を使用した超重力反応器の液体入口に注入させ、液体が巨大な相間物質伝達比表面積及び快速更新的な相間表面を有するように高速回転ロータにより微小的な液膜、液糸や液滴に剪断・分割され、空気を流量計により計測してから、ガス入口に導入させ、気液を超重力反応器ロータ内で混合させることにより、激しい気液物質伝達過程を発生させ、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの酸化反応及び生成された二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離過程を達成させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。再生済みアルカリ液と二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスとがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出した。再生アルカリ液を脱酸素してから、脱メルカプタンユニットに返戻し再利用し、二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットへ行く。但し、超重力反応器内における気液比を150:1(v/v)とし、回転速度を1000rpmとし、操作圧力を0.3MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表4に示す。
【0067】
【0068】
(実施例5)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の一括的な完全再生方法を提供した。
【0069】
スルホン化コバルトフタロシアニン/二核フタロシアニンコバルトスルホン酸塩複合触媒(スルホン化コバルトフタロシアニン:二核フタロシアニンコバルトスルホン酸塩=1:1 w/w)の濃度は100mg/kgである条件下で、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が50℃となるように熱交換してから、ポンプによって金網充填材を使用した超重力反応器の液体入口に注入させ、液体が巨大な相間物質伝達比表面積及び快速更新的な相間表面を有するように高速回転ロータにより微小的な液膜、液糸や液滴に剪断・分割され、空気を流量計により計測してから、ガス入口に導入させ、気液を超重力反応器ロータ内で混合させることにより、激しい気液物質伝達過程を発生させ、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの酸化反応及び生成された二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離過程を達成させ、流量計を経由して酸素含有ガスをガス入口に導入し、気液を超重力反応器内で混合して、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。再生済みアルカリ液と二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスとがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出した。再生アルカリ液を脱酸素してから、脱メルカプタンユニットに返戻し再利用し、二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットへ行く。但し、超重力反応器内における気液比を300:1(v/v)とし、回転速度を1000rpmとし、操作圧力を0.5MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表5に示す。
【0070】
【0071】
(実施例6)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の一括的な完全再生方法を提供した。
【0072】
二核フタロシアニンコバルトスルホン酸塩触媒の濃度は100mg/kgである条件下で、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が50℃となるように熱交換してから、ポンプによって金網充填材を使用した超重力反応器の液体入口に注入させ、液体が巨大な相間物質伝達比表面積及び快速更新的な相間表面を有するように高速回転ロータにより微小的な液膜、液糸や液滴に剪断・分割され、空気を流量計により計測してから、ガス入口に導入させ、気液を超重力反応器ロータ内で混合させることにより、激しい気液物質伝達過程を発生させ、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの酸化反応及び生成された二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離過程を達成させ、流量計を経由して酸素含有ガスをガス入口に導入し、気液を超重力反応器内で混合して、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。再生済みアルカリ液と二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスとがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出した。再生アルカリ液を脱酸素してから、脱メルカプタンユニットに返戻し再利用し、二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットへ行く。但し、超重力反応器内における気液比を150:1(v/v)とし、回転速度を300rpmとし、操作圧力を0.3MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表6に示す。
【0073】
【0074】
(実施例7)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の一括的な完全再生方法を提供した。
【0075】
ポリ(コバルトフタロシアニン)触媒の濃度は100mg/kgである条件下で、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が45℃となるように熱交換してから、ポンプによって固定子・回転子構造を使用した超重力反応器の液体入口に注入させ、液体が巨大な相間物質伝達比表面積及び快速更新的な相間表面を有するように高速回転ロータにより微小的な液膜、液糸や液滴に剪断・分割され、空気を流量計により計測してから、ガス入口に導入させ、気液を固定子-回転子反応器の固定子・回転子構造内部で混合させることにより、激しい気液物質伝達過程を発生させ、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの酸化反応及び生成された二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離過程を達成させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。再生済みアルカリ液と二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスとがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出した。再生アルカリ液を脱酸素してから、脱メルカプタンユニットに返戻し再利用し、二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットへ行く。但し、超重力反応器内における気液比を200:1(v/v)とし、回転速度を600rpmとし、操作圧力を0.2MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表7に示す。
【0076】
【0077】
(実施例8)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法を提供した。
【0078】
300mg/kgのスルホン化コバルトフタロシアニンの存在下で、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が60℃となるように熱交換してから、ポンプによって超重力反応器の液体入口に注入させ、流量計を経由して酸素含有ガスをガス入口に導入し、気液を超重力反応器内で混合させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。但し、気液比を500:1(v/v)とし、回転速度を2000rpmとし、操作圧力を常圧とした。反応前後のアルカリ液の組成を表8に示す。
【0079】
【0080】
(実施例9)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法を提供した。
【0081】
100mg/kgのスルホン化コバルトフタロシアニンの存在下で、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が40℃となるように熱交換してから、ポンプによって超重力反応器の液体入口に注入させ、酸素含有ガスをガス入口に導入し、気液を超重力反応器内で混合させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。但し、気液比を400:1(v/v)とし、回転速度を1000rpmとし、操作圧力を0.8MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表9に示す。
【0082】
【0083】
(実施例10)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法を提供した。
【0084】
10mg/kgのスルホン化コバルトフタロシアニンの存在下で、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が20℃となるように熱交換してから、ポンプによって超重力反応器の液体入口に注入させ、酸素含有ガスをガス入口に導入し、気液を超重力反応器内で混合させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。但し、気液比を50:1(v/v)とし、回転速度を300rpmとし、操作圧力を常圧とした。反応前後のアルカリ液の組成を表10に示す。
【0085】
【0086】
(実施例11)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法を提供した。
【0087】
200mg/kgのスルホン化コバルトフタロシアニンの存在下で、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が50℃となるように熱交換してから、ポンプによって超重力反応器の液体入口に注入させ、酸素含有ガスをガス入口に導入し、気液を超重力反応器内で混合させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。但し、気液比を100:1(v/v)とし、回転速度を800rpmとし、操作圧力を0.3MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表11に示す。
【0088】
【0089】
(実施例12)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法を提供した。
【0090】
100mg/kgのスルホン化コバルトフタロシアニンの存在下で、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が45℃となるように熱交換してから、ポンプによって超重力反応器の液体入口に注入させ、酸素含有ガスをガス入口に導入し、気液を超重力反応器内で混合させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。但し、気液比を300:1(v/v)とし、回転速度を1200rpmとし、操作圧力を0.4MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表12に示す。
【0091】
【0092】
(実施例13)
本実施例は、以下の工程を含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法を提供した。
【0093】
100mg/kgのスルホン化コバルトフタロシアニンの存在下で、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が55℃となるように熱交換してから、ポンプによって超重力反応器の液体入口に注入させ、酸素含有ガスをガス入口に導入し、気液を超重力反応器内で混合させ、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させた。但し、気液比を150:1(v/v)とし、回転速度を400rpmとし、操作圧力を0.1Mpaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表13に示す。
【0094】
【0095】
(比較例1)
本比較例では、500mLのガラスフラスコにメルカプタンナトリウム、硫化ナトリウムを含有するアルカリ液300mLを添加し、ガス導入管によりフラスコ底部に空気を導入し、窒素ガス流量を150L/hとし、反応時間を1時間とし、温度を60℃とし、攪拌速率を2000rpmとし、スルホン化コバルトフタロシアニンを300mg/kgとし、常圧で操作した。反応前後のアルカリ液の組成を表14に示す。
【0096】
【0097】
(比較例2)
本比較例では、500mLのガラスフラスコにメルカプタンナトリウム、硫化ナトリウムを含有するアルカリ液300mLを添加し、ガス導入管によりフラスコ底部に空気を導入し、窒素ガス流量を15L/hとし、反応時間を1時間とし、温度を20℃とし、攪拌速率を300rpmとし、スルホン化コバルトフタロシアニンを10mg/kgとし、常圧で操作した。反応前後のアルカリ液の組成を表15に示す。
【0098】
【0099】
(比較例3)
本比較例では、500mLのガラスフラスコにメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムを含むアルカリ液300mLを添加し、ガス導入管によりフラスコ底部に空気を導入し、酸素含有ガス流量を150L/hとし、反応時間を1時間とし、温度を60℃とし、攪拌速率を1200rpmとし、スルホン化コバルトフタロシアニン触媒の濃度を300mg/kgとし、常圧で操作した。反応前後のアルカリ液の組成を表16に示す。
【0100】
【0101】
(比較例4)
本比較例では、500mLのガラスフラスコにメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムを含むアルカリ液300mLを添加し、ガス導入管によりフラスコ底部に空気を導入し、空気流量を15L/hとし、反応時間を1時間とし、温度を50℃とし、攪拌速率を300rpmとし、スルホン化コバルトフタロシアニン触媒の濃度を10mg/kgとし、常圧で操作した。反応前後のアルカリ液の組成を表17に示す。
【0102】
【0103】
(比較例5)
本比較例では、スルホン化コバルトフタロシアニン触媒不存在の条件下以外、実施例1と同様にした。メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が55℃となるように熱交換してから、ポンプによって金網充填材を使用した超重力反応器の液体入口に注入させ、液体が巨大な相間物質伝達比表面積及び快速更新的な相間表面を有するように高速回転ロータにより微小的な液膜、液糸や液滴に剪断・分割され、空気を流量計により計測してから、ガス入口に導入し、気液を超重力反応器ロータ内で混合させることにより、激しい気液物質伝達過程を発生させた。必須な酸化触媒が不存在であるため、アルカリ液におけるメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムは、いずれも、酸化反応を発生できない。気液混合過程を完了させたアルカリ液及び排気ガスがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出した。未再生アルカリ液が大きい比率で希釈してから、廃水処理ユニットへ行く。但し、超重力反応器内における気液比を300:1(v/v)とし、回転速度を1100rpmとし、操作圧力を0.15MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表18に示す。
【0104】
【0105】
(比較例6)
本比較例では、超重力反応器内における気液比を80:1(v/v)とした。スルホン化コバルトフタロシアニン触媒の濃度は8mg/kgである条件下で、回転速度を300rpmとし、操作圧力を0.1MPaとした。メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が20℃となるように熱交換してから、ポンプによって金網充填材を使用した超重力反応器の液体入口に注入させ、液体が巨大な相間物質伝達比表面積及び快速更新的な相間表面を有するように高速回転ロータにより微小的な液膜、液糸や液滴に剪断・分割され、空気を流量計により計測してから、ガス入口に導入させ、気液を超重力反応器ロータ内で混合し、気液物質伝達過程を発生させた。低い気液比に起因してメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの酸化反応は不完全であり、硫化ナトリウムは、一部のみが全部硫化物及び水酸化ナトリウムに転換されており、同時に、生成された二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離過程は不完全であり、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の完全再生は未完了であった。部分再生済みアルカリ液と二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスとがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出した。部分再生アルカリ液が希釈してから、廃水処理ユニットへ行き、二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットへ行く。反応前後のアルカリ液の組成を表19に示す。
【0106】
【0107】
(比較例7)
本比較例では、被処理アルカリ液が異なっている以外、実施例1と同様にした。スルホン化コバルトフタロシアニン触媒の濃度は300mg/kgである条件下で、硫化ナトリウムのみを含むアルカリ液を温度が55℃となるように熱交換してから、ポンプによって金網充填材を使用した超重力反応器の液体入口に注入させ、液体が巨大な相間物質伝達比表面積及び快速更新的な相間表面を有するように高速回転ロータにより微小的な液膜、液糸や液滴に剪断・分割され、空気を流量計により計測してから、ガス入口に導入し、気液を超重力反応器ロータ内で混合させることにより、激しい気液物質伝達過程を発生させ、硫化ナトリウムの酸化反応を実現させた。無害化処理過程を完了させたアルカリ液と酸化排気ガスとがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出した。アルカリ液が廃水処理ユニットへ行き、酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットへ行く。但し、超重力反応器内における気液比を300:1(v/v)とし、回転速度を1100rpmとし、操作圧力を0.15MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表20に示す。
【0108】
【0109】
(比較例8)
本比較例では、超重力反応器類型及び気液比が異なっている以外、実施例2と同様にした。二核フタロシアニンコバルトスルホン酸塩触媒の濃度は100mg/kgである条件下で、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとを共に含む液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を温度が45℃となるように熱交換してから、ポンプによって直径5mmの発泡金属バルク粒子充填材を使用した超重力反応器の液体入口に導入した。液体がバルク粒子充填材により良好に剪断・分割されることできないため、相間物質伝達比表面積及び相間表面更新速度の増加が僅かであった。酸素富化ガス(酸素含有量は、35%である)を流量計により計測してから、ガス入口に導入させ、気液を超重力反応器ロータ内で混合し、気液物質伝達過程を発生させた。相間物質伝達比表面積及び相間表面更新速度の増加が僅かであるため、酸素ガスの液相中への物質伝達過程がアルカリ液完全再生の要求を満足できないため、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムの酸化反応及び生成された二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離過程は、いずれも、不完全であった。それにより、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生は、不完全であった。部分再生済みアルカリ液と二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスとがそれぞれ超重力反応器の液体出口及びガス出口から排出した。部分再生アルカリ液が希釈してから、廃水処理ユニットへ行き、二硫化物及び多硫化物を含有する酸化排気ガスが排気ガス処理ユニットへ行く。但し、超重力反応器内における気液比は80:1(v/v)であり、回転速度を900rpmとし、操作圧力を0.6MPaとした。反応前後のアルカリ液の組成を表21に示す。
【0110】
【0111】
前記の実施例及び比較例を比較して分かるように、本発明の液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法は、操作簡単であり、アルカリ液におけるメルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムを水酸化ナトリウム、二硫化物及び多硫化物として再生でき、含有量が5mg/kg未満となるように二硫化物及び多硫化物をアルカリ液から脱除できる。
【0112】
以上は、本発明の具体的な実施態様のみであるが、本発明の保護の範囲をここに限定するものではない。本分野に詳しい当業者であれば、本発明に開示された技術範囲内において、その各種の変更又は置換に容易に想到できる。これらは、本発明の保護の範囲内に含まれるものと解すべきである。
<付記>
本開示の態様は以下を含む。
<項1>
液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法であって、
スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の条件下で、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を熱交換してから、酸化反応させることにより、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させる工程を含み、
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液と酸素含有ガスとの体積比は1:10~500であり、好ましくは1:50~500であり、前記スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の添加濃度は10~300mg/kgである、ことを特徴とする液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生方法。
<項2>
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、メルカプタンナトリウム及び硫化ナトリウムを共に含む、ことを特徴とする項1に記載の再生方法。
<項3>
硫黄元素換算で、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムの含有量≦20000mg/kgであり、硫化ナトリウムの含有量≦10000mg/kgであり、好ましくは、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムの含有量は100~20000mg/kgであり、硫化ナトリウムの含有量は50~10000mg/kgである、ことを特徴とする項2に記載の再生方法。
<項4>
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとの含有量のモル比は0.1~200:1であり、好ましくは、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液において、メルカプタンナトリウムと硫化ナトリウムとの含有量のモル比は0.3~100:1である、ことを特徴とする項2又は項3に記載の再生方法。
<項5>
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、熱交換後の温度は20℃~80℃であり、好ましくは、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、熱交換後の温度は20℃~60℃であり、より好ましくは、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液は、熱交換後の温度が45~60℃である、ことを特徴とする項1又は項2に記載の再生方法。
<項6>
前記スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒は、スルホン化コバルトフタロシアニン、二核フタロシアニンコバルトスルホン酸塩、ポリ(コバルトフタロシアニン)又はそれらの複合触媒である、ことを特徴とする項1に記載の再生方法。
<項7>
前記スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒は、液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液に対する添加量は10~100mg/kgである、ことを特徴とする項1に記載の再生方法。
<項8>
超重力反応器で行われる、ことを特徴とする項1に記載の再生方法。
<項9>
前記超重力反応器は、バルク粒子充填材の使用を除いて、回転充填床又は固定子-回転子反応器であり、好ましくは、回転充填床超重力反応器の充填材は、規則充填材又は金網充填材とされる回転充填床である、ことを特徴とする項8に記載の再生方法。
<項10>
前記超重力反応器における液流の流れ方向は、気液対向流、気液並流又は気液折り返し流である、ことを特徴とする項8又は項9に記載の再生方法。
<項11>
スルホン化コバルトフタロシアニン系触媒の条件下で、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液を熱交換してから、ポンプによって超重力反応器の液体入口に注入させることにより、酸素含有ガスを超重力反応器のガス入口に導入させ、気液を超重力反応器内で混合させ酸化反応させて、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を完了させる工程を含む、ことを特徴とする項8に記載の再生方法。
<項12>
液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液と酸素含有ガスとが超重力反応器内で混合されて酸化触媒と接触して酸化反応させるとともに、高気液比の条件により、生成された二硫化物及び多硫化物を気相に抽出して排出させ、二硫化物及び多硫化物とアルカリ液との分離を完了させて、前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液の再生を達成する、ことを特徴とする項11に記載の再生方法。
<項13>
前記酸化反応の圧力は常圧~0.8MPaであり、好ましくは、前記酸化反応の圧力条件は0.1~0.2MPaである、ことを特徴とする項1に記載の再生方法。
<項14>
前記酸化反応が回転速度100~2000rpmで行われ、好ましくは、前記酸化反応が回転速度300~2000rpmで行われ、より好ましくは、回転速度600~1200rpmで行われる、ことを特徴とする項1に記載の再生方法。
<項15>
前記液化ガスの脱メルカプタンによるアルカリ液と酸素含有ガスとの体積比は1:(100~400)であり、好ましくは1:(120~350)である、ことを特徴とする項1に記載の再生方法。
<項16>
前記酸素含有ガスは、空気又は酸素富化ガスであり、好ましくは、前記酸素含有ガスは、空気又は酸素の含有量が21~35%である酸素富化ガスである、ことを特徴とする項1又は項15に記載の再生方法。