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特許7525169薄膜形成用ハイブリッドシステムアーキテクチャ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】薄膜形成用ハイブリッドシステムアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240723BHJP
   B65G 49/00 20060101ALI20240723BHJP
   C23C 14/50 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B65G49/00 A
C23C14/50 K
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021535690
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 US2019067235
(87)【国際公開番号】W WO2020132105
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】62/781,577
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/583,165
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507310307
【氏名又は名称】インテヴァック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ブラック, テリー
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/108266(WO,A1)
【文献】特開2000-129442(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0064728(US,A1)
【文献】特開平11-317438(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0025469(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B65G 49/00
C23C 14/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空エンクロージャと、
前記真空エンクロージャの側壁に取り付けられた複数の処理チャンバと、
第一ゲートバルブを介して前記真空エンクロージャのローディング端に結合され、内部に搬送トラックを有する移送チャンバと、
第二ゲートバルブを介して前記移送チャンバに結合され、入口側に第三ゲートバルブを有するとともに、内部に搬送トラックを有するロードロックと、
前記ロードロックの側壁に取り付けられ、前記ロードロック内で垂直又は略垂直な姿勢で基板を保持するウェハホルダーを有するウェハ保持モジュールと、
回転可能な手首を介して末端部にエンドエフェクタが取り付けられており、前記ロードロックの外側で且つFOUPから基板を水平方向に取り出すために到達可能に配置され、該基板を垂直又は略垂直な姿勢へと回転させて前記ウェハホルダー上に該基板を載置する多関節ロボットアームと、
前記搬送トラック上を移動し、前記ウェハ保持モジュールとの間で基板の交換を行う複数の基板キャリアとを備える基板処理システム。
【請求項2】
直線状トラック部を有するターンテーブルをさらに備え
前記ターンテーブルは、前記真空エンクロージャの末端、前記ロードロック内、前記移送チャンバ内、又は、前記処理チャンバと基板ローディングシステムとの間に配置された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ターンテーブルは、前記基板キャリアをアンローディング位置からローディング位置へと搬送するように回転可能となっている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ターンテーブルは、前記基板キャリアを一方の搬送トラックから他方の搬送トラックへと搬送するように回転可能となっている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記ターンテーブルは、前記真空エンクロージャ内に配置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記ターンテーブルは、前記ロードロック内に配置されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記ターンテーブルは、さらに電動式ホイールを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記真空エンクロージャ内に配置されたレーストラック形状のモノレールと、
前記真空エンクロージャ内に配置され、前記レーストラック形状のモノレールの上を自由に進む各キャリアと係合する無端ベルトと、
前記レーストラック形状のモノレールの一端に配置され、前記レーストラック形状のモノレールと前記搬送トラックとの間で各基板を搬送するトラック交換器とをさらに備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記基板キャリアは、それぞれ略垂直姿勢で配置された静電チャックを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記基板キャリアは、それぞれが略垂直姿勢で配置された基板ホルダーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記真空エンクロージャの末端であって前記ローディング端に対向する末端に配置されたターンテーブルと、
前記真空エンクロージャ内に配置されたレーストラック形状のモノレールと、
前記真空エンクロージャ内に配置され、前記レーストラック形状のモノレールの上を自由に進む各キャリアと係合する無端ベルトと、
前記レーストラック形状のモノレールの一端に配置され、前記レーストラック形状のモノレールと前記ターンテーブルとの間で各キャリアを搬送するトラック交換器と、
前記真空エンクロージャにおける前記末端に取り付けられた少なくとも1つの第二処理システムとをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記無端ベルトは、複数のドライビングフォークを含み、各々の前記基板キャリアは、前記レーストラック形状のモノレールと係合するように構成された複数の自由に回転するホイールと、前記ドライビングフォークと係合するように構成されたドライビングピンとを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ターンテーブルは、直線状トラック部と電動式ホイールとを含み、各々の前記基板キャリアは、前記電動式ホイールと係合するドライブバーを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記真空エンクロージャのローディング端に結合された第二移送チャンバと、
前記第二移送チャンバに結合された第二ロードロックとをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第二ロードロックから前記ロードロックへと前記基板キャリアを搬送する搬送機構をさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第二移送チャンバから前記移送チャンバへと前記基板キャリアを搬送する搬送機構をさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記真空エンクロージャ内に配置された搬送機構をさらに備え、
前記搬送機構は、可動テーブル、該テーブル上に配置された直線状モノレール部、及び、該テーブル上に配置された曲線状モノレール部を有する少なくとも1つのトラック交換器を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項18】
前記送機構は、上部に直線状トラック部を有するターンテーブルをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記真空エンクロージャ内に配置され、レーストラックのような形状が設定された第一モノレール部と、2つの平行な直線状モノレール延長部を有する第二モノレール部とで構成されたモノレールと、
前記第一モノレール部に配置された原動要素と、
前記第二モノレール部に沿って配置された複数の電動式ホイールとをさらに備え、
前記トラック交換器は、前記第一モノレール部及び前記第二モノレール部との間で各キャリアを移送する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
複数の前記キャリアの各々は、
基体と、
前記基体に取り付けられ、前記第一モノレール部にある該キャリアを移動させるよう、前記原動要素と係合するように構成された係合機構と、
前記基体に取り付けられたドライブバーであって、前記第モノレール部を進んでいる該キャリアを移動させるよう、複数の電動式ホイールと係合するように構成されたドライブバーとを含む、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連技術)
本出願は、2019年9月25日に出願された米国出願第16/583165号の一部継続出願であり、その開示内容の全体が参照による方法で本明細書に組み込まれる。また、本出願は、2018年12月18日に出願された米国仮出願62/781577号の優先権の利益を主張するものであり、その開示内容の全体が参照による方法で本明細書に組み込まれる。
(技術分野)
本開示内容は、概して、基板、特に半導体ウェハの薄膜コーティングなどの基板処理の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の真空処理は、当技術分野ではよく知られており、薄膜処理と呼ばれることもある。一般に、薄膜処理システムは、バッチ処理、クラスタシステム、インラインシステムの3つのアーキテクチャのいずれかに分類できる。これらのアーキテクチャのそれぞれの利点と欠点は、当技術分野でよく知られている。
【0003】
いくつかのシステムアーキテクチャ、特に、半導体ウェハを使用してマイクロチップを製造するために用いられるシステムアーキテクチャにおいては、基板はロボットアームによって個々に処理チャンバに搬送され、ステーショナリーチャックやサセプタの上に置かれる。これに対して、他のシステム、例えば、ハードディスクドライブや太陽電池の製造に使用されるシステムでは、基板は搬送可能な基板キャリアに配置された状態で搬送され処理される。
【0004】
当技術分野では、様々なタイプの基板の上に薄膜を形成するために使用できる改良型システムアーキテクチャが必要とされている。加えて、当技術分野では、高いスループットと商業的に許容されるコストで薄膜コーティングを形成できる装置が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
下記の本開示内容の概要は、本発明のいくつかの側面及び態様に関しての基本的な理解が可能となるよう含めたものである。本概要は、本発明の広範に至る全体像ではなく、故に、本発明の主要な若しくは重要な要素を殊更に特定したり、或いは、本発明の範囲を描写したりすることを意図したものではない。その唯一の目的は、以下に示す更に詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化して提示することにある。
【0006】
開示の実施形態は、大量生産で且つ許容可能な商業コストで改良型薄膜コーティングを形成できるよう特別に設計されたシステムを提供するものである。開示のシステムは、MRAM(Magnetoresistive Random-Access Memory;磁気抵抗ランダムアクセスメモリ)の製造など、半導体ウェハの上に異なる組成の複数の薄膜を形成するのに特に有効である。
【0007】
MRAMセルでは、磁気記憶素子によってデータが保存される。その各素子は、薄い絶縁層で隔てられた2枚の強磁性プレートで構成されている。2枚のプレートのうちの1枚は、リファレンス層と呼ばれ、特定の極性に設定された永久磁石である。もう1枚は、フリープレートであり、その磁化状態は、外部から与えられる磁化に合わせて変化させ、メモリービットを記憶することができる。この構成は、磁気トンネル接合として知られており、MRAMビットに関する最も単純な構造である。MRAMのメモリーチップは、このような「セル」を格子状に並べて構築される。実際には、各々の強磁性プレートは、異なる材料組成の薄膜を何層にも重ねて形成されており、いくらかハードディスクの構造に似たものとなっている。
【0008】
開示の実施形態は、薄膜層の高速形成に適した真空処理システムの2つの重要な要素、すなわち、真空システムのアーキテクチャ及びウェハローディングシステムのアーキテクチャを扱っている。このアーキテクチャは、円形シリコンウェハ上に磁性材料の薄膜をスパッタリングする際に関する様々な課題を解決するように設計されている。そのいくつかの課題として、水蒸気が層に到達するのを回避すること、粒子による汚染を避けること、ウェハの位置ずれや破損を避けることなどが含まれる。
【0009】
開示の実施形態において、真空エンクロージャは、これに取り付けられた複数の処理チャンバを有している。処理中、キャリアは、真空エンクロージャの内部を連続的に一斉に移動していき、処理チャンバによって処理される。ロードロック部は、真空エンクロージャに取り付けられ、ロード側とアンロード側とを有しうるものであり、それらは真空環境を共有していてもよいし独立して有していてもよい。ゲートバルブは、ロードロック部を真空エンクロージャから分離する。トラック交換器は、真空エンクロージャ内に配置される。トラック交換器は、キャリアが真空エンクロージャ内を連続的に移動する第一の位置と、キャリアを真空エンクロージャとロードロック部との間で移動させるための第二の位置との間で移動可能となっている。
【0010】
一般的な態様によれば、処理システムが提供される。該処理システムは、真空エンクロージャと、前記真空エンクロージャの側壁に取り付けられた複数の処理チャンバと、第一ゲートバルブを介して前記真空エンクロージャのローディング端に結合され、内部に搬送トラックを有する移送チャンバと、第二ゲートバルブを介して前記移送チャンバに結合され、入口側に第三ゲートバルブを有するとともに、内部に搬送トラックを有するロードロックと、前記ロードロックの側壁に取り付けられ、前記ロードロック内で垂直又は略垂直の姿勢で基板を保持するウェハホルダーを有するウェハ保持モジュールと、回転可能な手首を介して多関節ロボットアームの末端部に取り付けられたエンドエフェクタを有する多関節ロボットアームであって、前記ロードロックの外側で且つFOUPから基板を水平方向に取り出すために到達可能に配置され、該基板を垂直又は略垂直な姿勢へと回転させて前記ウェハホルダー上に該基板を載置する多関節ロボットアームと、前記搬送トラック上を移動し、前記ウェハ保持モジュールとの間で基板の交換を行う複数の基板キャリアとを備える。
【0011】
該システムは、上部に直線状トラック部が設けられたターンテーブルを含んでもよい。前記ターンテーブルは、前記基板キャリアをアンローディング位置からローディング位置へと、或いは、前記基板キャリアを一方の搬送トラックから他方の搬送トラックへと搬送するように回転可能となっていてもよい。前記ターンテーブルは、真空エンクロージャ内に配置されてもよいし、ロードロック内に配置されてもよく、また、電動ホイールを含んでいてもよい。
【0012】
該システムは、前記真空エンクロージャ内に配置されたレーストラック形状のモノレールと、前記真空エンクロージャ内に配置され、前記レーストラック形状のモノレールの上を自由に進む各キャリアと係合する無端ベルトと、前記レーストラック形状のモノレールの一端に配置され、前記レーストラック形状のモノレールと前記搬送トラックとの間で各キャリアを搬送するトラック交換器とを含むものであってもよい。
【0013】
前記各基板キャリアは、それぞれ略垂直姿勢で配置されたウェハホルダー及び/又は静電チャックを含むものでもよい。
【0014】
該システムは、前記真空エンクロージャの末端であって前記ローディング端に対向する末端に配置されたターンテーブルと、前記真空エンクロージャ内に配置されたレーストラック形状のモノレールと、前記真空エンクロージャ内に配置され、前記レーストラック形状のモノレールの上を自由に進む各キャリアと係合する無端ベルトと、前記レーストラック形状のモノレールの一端に配置され、前記レーストラック形状のモノレールと前記ターンテーブルとの間で各キャリアを搬送するトラック交換器と、前記真空エンクロージャにおける前記末端に取り付けられた少なくとも1つの第二処理システムとを含むものであってもよい。前記無端ベルトは、複数のドライビングフォーク(driving fork)を含み、各々の前記基板キャリアは、前記レーストラック形状のモノレールと係合するように構成された複数の自由に回転するホイールと前記ドライビングフォークと係合するように構成されたドライブピンとを含むものであってもよい。前記ターンテーブルは、直線状トラック部と電動式ホイールとを含み、各々の前記基板キャリアは、前記電動式ホイールと係合するドライブバーを含むものでもよい。
【0015】
さらに、該システムは、前記真空エンクロージャのローディング端に結合された第二移送チャンバと、前記第二移送チャンバに結合された第二ロードロックとを備えるものでもよい。該システムは、さらに、記第二ロードロックから前記ロードロックへと、或いは、前記第二移送チャンバから前記移送チャンバへと、前記キャリアを搬送する。前記搬送機構は、可動テーブル、該テーブル上に配置された直線状モノレール部、及び、該テーブル上に配置された曲線状モノレール部を有する少なくとも1つのトラック交換器を含むものでもよく、また、上部に直線状トラック部を有するターンテーブルをさらに含むものでもよい。また、該システムは、前記真空エンクロージャ内に配置され、レーストラックのような形状が設定された第一モノレール部と2つの平行な直線状モノレール延長部を有する第二モノレール部とで構成されたモノレールと、前記第一モノレール部に配置された原動要素と、前記第二モノレール部に沿って配置された複数の電動式ホイールとを含んでいてもよく、前記トラック交換器は、前記第一モノレール部及び前記第二モノレール部との間で各キャリアを搬送するようになっていてもよい。複数の前記キャリアの各々は、基体と、前記基体に取り付けられ、該キャリアを前記第一モノレール部にあるときに移動させるよう、前記原動要素と係合するように構成された係合機構と、前記基体に取り付けられたドライブバーであって、前記第2モノレール部を進んでいる該キャリアを移動させるよう、複数の電動式ホイールと係合するように構成されたドライブバーとを含むものでもよい。
【0016】
さらに別の態様によれば、複数の処理ウィンドウを有し且つ内部に連続トラックが配置された真空エンクロージャと、前記真空エンクロージャの側壁に取り付けられ、それぞれが前記処理ウィンドウの1つに対応して設けられる複数の処理チャンバと、前記真空エンクロージャの一端に取り付けられ、内部にローディングトラックが配置されたロードロックと、前記真空エンクロージャから前記ロードロックを分離する少なくとも1つのゲートバルブと、前記連続トラックと前記ローディングトラックの上を移動するように構成された複数の基板キャリアと、前記真空エンクロージャの内部に配置され、前記基板キャリアを前記連続トラック上で連続的に移動させるための第一の位置と上記基板キャリアを前記連続トラックと前記ローディングトラックとの間で移送させるための第二の位置との間で移動可能な少なくとも1つのトラック交換器とを含む処理システムが提供される。
【0017】
さらに別の態様では、
第一サイド及び該第一サイドの反対側に位置する第二サイドを有するロードロック部と、
前記ロードロック部の第一サイドに連結された大気部と、
前記ロードロック部の第二サイドに取り付けられ、複数の処理チャンバが取り付けられた真空部と、
以下の(i)~(iv)を含むキャリア搬送機構と、
(i)レーストラック形状をなし、前記真空部内に配置された第一モノレール部、前記ロードロック部内に配置され、前記大気部及び真空部の中に延びる延長部を持つ2つの平行な直線状モノレールを有する第二モノレール部、ならびに、前記大気部に配置されるとともに曲線状をなし、一端が前記各直線状モノレールのうちの一方における延長部に対応し、他端が前記各直線状モノレールのうちの他方における延長部に対応した第三モノレール部として形成されたモノレール
(ii)前記レーストラックに配置された原動要素
(iii)前記第二モノレール部に沿って配置された複数の電動式ホイール
(iv)前記第一モノレール部の一端に配置され、それぞれ、可動テーブル、該テーブル上に配置された直線状モノレール部、及び、該テーブル上に配置された曲線状モノレール部を含む2つのトラック交換器
複数のホイールを有し、前記モノレールと係合して前記キャリアが前記モノレール上を進むように構成された複数のキャリアと、を備える基板処理システムが提供される。
【0018】
一実施形態において、前記システムは、第一サイド及び該第一サイドの反対側に位置する第二サイドを有するロードロック部と、該ロードロック部の第一サイドに取り付けられた大気部と、前記ロードロック部の第二サイドに取り付けられ、複数の処理チャンバが取り付けられた真空部と、以下の(i)~(v)を含むキャリア搬送機構と、
(i)レーストラック形状をなし、前記真空部内に配置された第一モノレール部、前記ロードロック部内に配置され、前記大気部及び真空部の中に延びる延長部を持つ2つの平行な直線状モノレールを有する第二モノレール部、ならびに、前記大気部に配置されるとともに曲線状をなし、一端が前記各直線状モノレールのうちの一方における延長部に対応し、他端が前記各直線状モノレールのうちの他方における延長部に対応した第三モノレール部として形成されたモノレール
(ii)前記レーストラックに配置され、複数のドライブフォーク(drive fork)が取り付けられた無端ベルト
(iii)前記大気部に配置され、複数のドライブフォークが取り付けられたドライビングホイール
(iv)前記第二モノレール部に沿って配置された複数の電動式ホイール
(v)前記第一モノレール部の一端に配置され、それぞれ、可動テーブル、該テーブル上に配置された直線状モノレール部、及び、該テーブル上に配置された曲線状モノレール部を含む2つのトラック交換器
基体と、該基体に取り付けられ、前記モノレールと係合して前記キャリアが前記モノレール上を自由に進むように構成された複数のホイールと、前記基体に取り付けられ、前記第二モノレール部を進んでいる前記キャリアを移動させるよう、前記複数の電動式ホイールと係合するように構成されたドライブバーと、前記基体に取り付けられ、前記第一モノレール部又は第三モノレール部にある前記キャリアを移動させるよう、前記ドライビングフォークと係合するように構成されたドライブピンとを有する複数のキャリアとを備え、前記トラック交換器が第一の位置にあるとき、前記曲線状モノレール部は、前記第一モノレール部と整列し、前記キャリアを前記ドライビングフォークにより前記第一モノレール部に沿って連続的に移動させ、前記トラック交換器が第二の位置にあるとき、前記直線状モノレール部は、前記第一モノレール部を前記第二モノレール部に接続し、前記ロードロック部と前記真空部との間で前記キャリが交換されるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の他の態様及び特徴は、以下の図面を参照して行う詳細な説明により明らかになろう。詳細な説明及び図面は、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の様々な実施形態の非限定例を提供するものである、という点を理解されたい。
【0020】
本明細書に組み込まれて当該明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、本明細書とともに本発明の原理を説明、図解する役割を果たすものである。図面は、例示的な実施形態の主な特徴を図式的に説明することを意図したものである。当該図面は、実際の実施形態における全ての特徴を描写することを意図したものではなく、また、図示の各要素の相対的な寸法を描写することやそれらを原寸で描くことを意図したものでもない。
図1図1図1A、及び図1Bは、デュアル-モーションキャリアを使用して薄膜コーティングを形成するためのモジュールシステムの実施形態を示す。
図2図2Aは、デュアル-モーション基板キャリアの一実施形態を示し、図2Bは、円形基板用の基板ホルダーを示す。
図3図3A図3Bは、半導体ウェハを処理するために構成したアーキテクチャの実施形態を示し、図3Cは、本システムの一端に処理モジュールを取り付けるための実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
さて、薄膜コーティングを製造するための本発明に係るシステム及びそのウェハローディングシステムの各実施形態について、図面を参照しながら説明する。種々の用途において、また、種々の利点を得るために、多様なの実施形態又はそれらの組み合わせを用いることができる。本明細書で開示する種々の特徴は、達成しようとする成果に応じ、部分的に又は最大限に、また、単独で又は他の特徴との組み合わせで、そして、利点と要求や制限とのバランスを取りながら用いることができる。したがって、特定の利点が種々の実施形態を参照して強調されても、その利点がその開示の実施形態に限定されることはない。すなわち、本明細書で開示する各特徴は、それらを説明している実施形態に限定されるものではないし、他の特徴との「組み合わせや整合」を図ったり、或いは、他の実施形態に組み込んだりしてもよい。
【0022】
開示の実施形態は、薄膜層の高速形成に適した真空処理システムの2つの重要な要素、すなわち、真空システムのアーキテクチャとウェハローディングシステムのアーキテクチャを説明するものである。以下に示す開示内容は、真空処理システムの説明から始まり、次いでローディングシステムの説明に移るようになっている。
【0023】
開示の実施形態は、キャリアモーションの第一モードを使用して連続通過処理部内での基板の連続処理を可能にするシステムのアーキテクチャ、及び、キャリアモーションの第二モードを使用してキャリアを連続通過処理部外へ搬送するメカニズムを提供するものである。何れのキャリアモーションモードにおいても、キャリアは自由にトラック上を進むが、キャリアをトラック上で進ませるために該キャリアに与える原動力は、キャリアモーションモードごとに異なる。連続通過処理部内においては、すべてのキャリが一斉に移動するが、連続通過処理部から出るときには、各キャリアは独立して移動しうる。
【0024】
次に、図2A及び図2Bと併せて図1を参照しながら第一実施形態について説明するが、図2Bは半導体ウェハの処理に特化したものである。図1は、システムの上面概略図であり、図2Aはキャリアを示し、図2B図2Aのキャリアの交換用基板ホルダーを示している。
【0025】
図1のシステム100は、大気部105、ロードロック部110、及び、真空部115から構成されている。各キャリアは、大気部105でロード又はアンロードされ、ロードロック部110を経由して大気部105と真空部115との間で移送される。 基板は、連続通過処理部を形成する真空部115内で処理される。この例では4つの処理チャンバ120A~120Dを図示しているが、以下でさらに示すように、任意数の処理チャンバを設けることができる。図示の処理チャンバ120A~120Dは、それぞれエッチングチャンバ、スパッタリングチャンバ、イオン注入チャンバなどでもよく、本実施形態においては、各処理チャンバは、それらの間にバルブゲートを設けることなく共通の真空雰囲気に接続されており、通過処理が可能な構成になっている。MRAMの製造においては、該チャンバは、磁性層を形成すべく、コバルト(Co)、タンタル(Ta)、プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)、及び、コバルト-鉄-ホウ素(CoFeB)のような合金など、種々の材料から成るターゲットを備えたマグネトロンスパッタリングチャンバとすることができる。
【0026】
モノレールセグメント125は、3つの構成部105、110、及び115に設けられており、基板キャリアが3つの構成部全てを横断できるようになっている。モノレールセグメントは、連続通過処理部115内にレーストラックモノレール127を形成し、また、ロードロック部110を横断して部分的に大気部と真空部とに延在する直線状トラック128A及び128Bを形成し、そして、大気部105内で湾曲して三日月形状をなす回転トラック129を形成している。無端ベルト130は、連続通過処理部115内の回転ドラム131Aから回転ドラム131Bにわたって設けられており、該無端ベルト130には複数の原動フォーク132が取り付けられている。直線状トラックの隣には複数の通電可能なホイール135が設けられており、大気部105内に複数の原動フォーク132を備えた回転ホイール137が設けられている。
【0027】
連続通過処理部115内に2つのトラック交換器140が設けられており、その拡大図を吹き出しで示す。トラック交換器は、曲線状トラックセグメント142及び直線状トラックセグメント144が設けられたテーブル141を含む。図1の双方向矢印で示すように、該トラック交換器は、2つの位置のうちの一方の位置へと移動できるようになっている。一方の位置では、真空部内のキャリアがレーストラックに沿って連続的に移動してチャンバ120A~120Dによって基板が連続的に処理されるように、曲線状トラックセグメントがレーストラック127を完成させる。真空チャンバ内での基板の処理が完了すると、トラック交換器は第二の位置に移動し、真空チャンバ内の各キャリアがロードロックに出てロードロック内の各キャリアが真空部に入るように、直線状トラックが直線状トラック128A及び128Bとレーストラック127の直線状部との間の接続を形成する。
【0028】
基板キャリア150の実施形態を図2Aに示す。本実施形態において、キャリア150は、基体152と基板ホルダー154とを有している。基板ホルダー154は、異なる形状と数の基板の処理できるように、ベースに対して着脱可能になっている。例えば、図2Aに示すホルダー154は、正方形又は長方形の基板を3段に保持し、図2Bに示すホルダー154’は、半導体ウェハなどの円形基板を保持するものとなっている。MRAMの製造に有利な一実施形態におけるホルダー154’は、静電チャック157を含む。代替的に又は追加的に、ホルダー154’は、ウェハの周縁部と係合する任意的な支持ピン159を含むものでもよい。また、ホルダーの平面は、水平に対して角度θで傾斜している。この例では、当該角度は15度である。
【0029】
図2Aに示すように、基体152は、モノレール125に係合して進むローラー機構153を含む。該ローラー機構は、電動化されておらず、基体がモノレール上を自由に進むことができるような、自由に回転する複数のホイールを含んでもよい。原動力は、ドライブバー156と係合するホイール135又はドライブピン158と係合するフォーク132の何れかにより得られるようになっている。
【0030】
次に、システム100で実行される一般的な処理の一例を説明する。空のキャリアがローディングステーション160まで駆動され、ローラー機構153が直線状トラック128Aと係合するとともに、電動式ホイール135がドライブバー156と係合する。そして、新しい基板が基板ホルダー154にロードされる。一方、処理された基板は、アンロードステーション161に配置された別のキャリアから取り除くことができる。ロード及びアンロードが完了すると、ローディング部160におけるロードロックの入口ゲートバルブENが開く。適宜、アンローディング部161におけるロードロックの出口ゲートバルブEXも開く。ローディングロードロックの出口ゲートバルブは閉じたままである。また、アンロード部の出口ゲートバルブが開くと、その入口ゲートバルブは閉じる。いくつかの実施形態では、破線の仕切り170で例示したように2つのロードロックが独立しており、故に、それぞれが互いに独立して真空を維持できるようになっている。このような構成では、新しいキャリアがローディングロードロック内へとロードされている間に、処理済みのキャリアを真空部からアンローディングロードロック161にロードすることができる。入口ゲートバルブと出口ゲートバルブの構造は同じで、入口ゲートバルブと出口ゲートバルブは、キャリアの進行方向によって識別されている点に留意されたい。つまり、進行方向が反転すれば、入口バルブと出口バルブの呼称も反転する。
【0031】
この条件においては、電動式ホイール135が通電され、ローディングステーション内のキャリアをそれぞれのロードロックに移送する一方で、他のロードロック内のキャリアを大気部105に移動させることができ、且つ/又は、処理済みのキャリアをアンローディングロードロックへと移動させることができる。但し、これらの操作を必ずしも同時に実行する必要はない点に留意されたい。適宜、ローディングを時間差で実行することもでき、そのような場合には、アンロード部の電動ホイールには通電せずに新し基板を搭載したキャリア用の入口ゲートバルブだけを開けて該キャリアをロードロックへと移動させる。つまり、直線状トラック部の電動式ホイールは独立して通電することも、或いは、一部の電動式ホイールだけを通電させるような、纏めての通電も可能となっている。また、各ロードロックが独立している場合は、つまり、独立した専用のポンプ機構を有している場合は、様々なゲートバルブに独立して通電することができることから、ローディング及びアンローディングを同期させる必要はない。勿論、作業効率を考えれば、同期処理は有益である。
【0032】
ロードロックが共通の真空雰囲気を維持し、共通にポンピングされる実施形態においては、例えば、仕切り170が無い実施形態では、ゲートバルブは同期して作動する。例えば、ローディングロードロックのゲートバルブENは、アンローディングロードロックのゲートバルブEXと一緒に作動し、ローディングロードロックのゲートバルブEXは、アンローディングロードロックのゲートバルブENと一緒に作動する。
【0033】
キャリアがロードロックに入ると、入口ゲートバルブが閉じて真空引きが行われる。処理済みキャリアが出口ロードロックから取り出された場合には、その場合も真空状態になるようポンピングされる。適切な真空度に到達すると、ローディングロードロックの出口ゲートバルブEXが開き、適切な電動式ホイールに通電してキャリアを真空部115に移動させる。このとき、トラック交換器140は、直線状トラック部144がレーストラックモノレール127の直線状部と整列する位置をとるように移動する。そして、キャリアを真空部へと移動させるためにホイールに通電すると、キャリアがレーストラック周回路に入り、原動フォークの1つがドライブピン158に係合する。次いで、トラック交換器140は、曲線状トラック部142がレーストラックモノレール127の直線状部と整列する位置をとるように移動する。この位置では、キャリアは、電動式ホイール135ではなく、無端ベルト130によって移動する。そして、この状態において、無端ベルトが回転すると、キャリアが処理部から出る準備が整うまでの間、必要な回数だけレーストラックに沿って移動することとなる。故に、チャンバ120A~120Dの各々により、キャリア上の基板を必要な回数だけ繰り返し処理することができる。
【0034】
処理が完了すると、アンロード部のトラック交換器140は、直線状トラック部144がレーストラックモノレール127の直線状部と整列する位置をとるように移動する。無端ベルトが回転し続けると、キャリアはトラック交換器へと移動し、原動フォークとの係合が解除されると同時にドライブバー156が電動式ホイール135と係合する。そして、キャリアがレーストラック周回路の外へ出るように、電動式ホイールが通電される。
【0035】
見てわかるように、説明した実施形態においては、キャリアは2つの動作モードを有していて、直線状トラックの範囲内では電動式ホイールと係合し、レーストラック内及び大気還流回路ARC内では原動フォークと係合する。レーストラックにおける当該フォークは、無端ベルトに取り付けられており、大気還流回路における当該フォークはドライビングホイールに取り付けられている。そして、トラック交換器は、キャリアをレーストラックに案内したりレーストラックから取り出したりするために使用される。第一の位置にあるトラック交換器により、キャリアをレーストラック周りに無限に駆動させることができ、第二の位置にあるトラック交換器により、キャリアをレーストラックに案内したりレーストラックから取り出したりすることができる。
【0036】
前述のように、本システムは、必要数の処理チャンバを含むように調整可能である。その例を図1Aに示す。図1Aに示す例は、図1に示した例と同様であり、同様の要素は同じ符号で示す。主な違いは、本例は6つの処理チャンバ120A~120Fを含んでいる点である。それ以外の全ての要素は、図1のものと同一であってもよく、これらは、当該アーキテクチャの汎用性を説明するものである。
【0037】
図1Bは、6つの処理チャンバを有する実施形態の外観を示しており、当該視点からは処理チャンバ120A~120Cが見えている。この構成においても、本システムは、3つの構成部、すなわち、大気部105、ロードロック110、及び、処理チャンバが取り付けられた真空エンクロージャ163を含む真空部115から構成されている。この図は、真空エンクロージャの内部の視覚化のため、サービスアクセスウィンドウ166、167、及び168が開いた状態を示している。例えば、回転ドラム311A及び311Bは、それぞれ、サービスアクセスウィンドウ166及び168から見ることができる。レーストラックモノレール127及び無端ベルト130の一部は、サービスアクセスウィンドウ167を通してみることができる。
【0038】
この例では、チャンバ120Bは、処理ウィンドウ172を介して処理チャンバ及び真空エンクロージャの内部に容易にアクセスできるように、開いた状態で示している。具体的に説明すると、この例では、処理チャンバ120A~120Cは、回転可能なヒンジ170(図1Bでは隠れて見えないが、図1Aでは示されている)を介して、真空エンクロージャ163に取り付けられている。チャンバ120Bが該ヒンジで回転すると、真空エンクロージャ163の内部が露出し、4つの基板を備えたキャリア150が見える。
【0039】
ここまで開示してきたアーキテクチャは、大気部105、ロードロック部110、複数の処理チャンバ120が取り付けられた真空部115を有する処理システムを提供するものである。キャリア搬送機構は、レーストラック形状をなして上記真空部内に配置された第一モノレール部127と、上記ロードロック部内に配置され、上記大気部及び真空部の中へと延びる延長部を有する2つの平行な直線状モノレール128A及び128Bを有する第二モノレール部と、上記大気部に配置されて一端が上記各直線状モノレールのうちの一方における延長部に対応し且つ他端が上記各直線状モノレールのうちの他方における延長部に対応した三日月形状の回転トラック129をなす曲線状の第三モノレール部と、上記レーストラックに配置され、複数のドライブフォーク32が取り付けられた無端ベルト130と、上記大気部に配置され、複数のドライブフォーク132が取り付けられたドライビングホイール137と、上記第二モノレール部に沿って配置された複数の電動式ホイール135と、上記第一モノレール部の一端に配置された2つのトラック交換器140とを備え、各トラック交換器140は、可動テーブル141、該テーブル上に配置された直線状モノレール部144、及び、該テーブル上に配置された曲線状モノレール部142を有している。
【0040】
複数のキャリアが処理対象の基板を支持するところ、各キャリアは、基体152と、該基体に取り付けられるとともに上記モノレールと係合して該キャリアを上記モノレール上で自由に進ませるように構成された複数の自由回転ホイール153と、上記基体に取り付けられ、上記複数の電動式ホイール135と係合して該キャリアを上記第二モノレール部に乗っている間に移動させるように構成された複数のドライブバー156と、上記基体に取り付けられ、上記ドライビングフォーク132と係合して該キャリアを上記第一モノレール部又は第三モノレール部にある間に移動させるように構成されたドライブピン158とを有している。
【0041】
上記トラック交換器が第一の位置にあるときは、上記曲線状モノレール部が上記第一モノレール部と整列し、上記ドライビングフォークによって上記キャリアを上記第一モノレール部に沿って連続的に移動させ、上記トラック交換器が第二の位置にあるときは、上記直線状モノレール部が上記第一モノレール部と第二モノレール部とを接続し、上記ロードロック部と上記真空部との間で上記キャリアを交換するようになっている。
【0042】
開示の処理システムで基板を処理する方法は、キャリアに該基板をロードするステップと、搬送トラックを介して該キャリアをロードロックに搬送するステップと、該ロードロック内を真空引きするステップと、上記搬送トラック上のキャリアを複数の処理チャンバが取り付けられた処理エンクロージャに搬送するステップと、第一の位置をとるようにトラック交換器を操作し、それにより、上記搬送トラックと処理トラックとの接続を形成するステップと、該トラック交換器上で該キャリアを移動させ、そこから当該キャリアを上記処理エンクロージャ内の処理トラックに移動させるステップと、第二の位置をとるように上記トラック交換器を操作し、それにより、上記処理トラックを上記処理トラックから分離するステップと、上記処理チャンバに通電しながら上記処理トラック上で上記キャリアを連続的に移動させるステップと、処理が完了してから、上記第一の位置をとるように上記トラック交換器を操作して、上記キャリアを上記処理トラックから上記搬送トラックに搬送するステップとを含むものでもよい。上記キャリアを連続的に移動させる方法としては、例えば、複数のキャリアを無端ベルトに連結して当該複数のキャリアを一斉に且つ連続的に移動させる方法を含むものでもよい。
【0043】
ここまで説明してきたシステムの一般的なアーキテクチャは、様々な基板を処理するのに使用できる。他方、MRAMの製造等、半導体ウェハの処理のためには、一般にファブと呼ばれるウェハ製造工場での使用に向けた調整を容易に行えるよう、本システムを再構成することが望ましい。ファブにおいて、ウェハは、複数のウェハを保持するための特別に設計された筐体であるFOUP(Front Opening Universal Pod)に入れて搬送される。以下の開示内容は、FOUPから本明細書記載の処理システムへのウェハの搬送を可能にする機構を提供するものである。
【0044】
図3Aは、半導体ウェハを処理するために構成された実施形態を示している。本実施形態は、シリコンウェハ上にMRAMの磁性層を作るのに特に有効であるが、標準的な円形シリコンウェハ上に他のデバイスを製造するために使用してもよい。ここで、円形シリコンウェハ上に薄い層を作る際における3つの潜在的な困難性、及び、本開示の実施形態によって此れらの困難性に対処する方法について、特に説明しておくのがよい。
【0045】
製造後の磁性層の品質は、汚染、特に水蒸気に対して非常に敏感である。したがって、開示の実施形態は、システムにおけるウェハ搬送機構の如何なる部分も真空環境から出ないように設計されている。これにより、上記キャリアが大気環境で汚染されることがなくなる。また、磁性層の形成には、スパッタリングが必要であり、粒子による汚染が懸念されるところ、本システム内ではウェハが略垂直姿勢で移動するため、粒子による汚染の可能性が低減する。ウェハは、丸いうえにその周縁部でしか保持できないので、本システム内で該ウェハを垂直姿勢で保持すると、上記キャリアから外れやすくなって危険である。そこで、開示の実施形態に係るシステムでは、略垂直姿勢のキャリアでウェハを保持するようにしている。開示の実施形態では、略垂直姿勢とは、ウェハが垂直から5~20度傾いて保持されていることを指し、これにより、汚染の可能性が低減すると同時に、ウェハがキャリアから脱落する可能性も低減する。
【0046】
図3Aでは、図1図1Bの要素と同様の要素には同じ番号を付して識別する。また、Vac115と示した連続通過処理部は、図1~1Bのものと同様である。しかし、連続通過処理部115の真空環境にウェハをロードする配置が異なっている。
【0047】
このように、連続通過処理部115内では、ウェハは略垂直姿勢で移動する。しかし、ファブ内のFOUPは、ウェハを水平姿勢で収容している。したがって、本処理システムの真空環境にウェハを導入するだけではなく、該ウェハを略垂直の姿勢へと回転させることも必要になる。これらの目的は、以下のようにして達成される。
【0048】
ウェハは、ロボット312によってFOUP300から取り出され、又は補充される。開示の実施形態では、ロボット312は、回転手首316を介してロボットアームに結合されたエンドエフェクタ314を有するSCARA(Selective Compliance Assembly Robot Arm)ロボットである。回転手首316は、エンドエフェクタ314がウェハを水平姿勢から垂直姿勢の範囲で回転させることを可能にしている。ここで、エンドエフェクタという語は、一般的に受け入れられている意味、すなわち、ワークピース、この場合はウェハと相互作用するロボットアームの最後のリンクについて使用するものとする。従来のエンドエフェクタを使用してもよいが、開示の実施形態において、エンドエフェクタは、接触するようなもの(ウェハをその周縁部で物理的に把持するようなもの)や、引き寄せるようなもの(ウェハをその背面から真空引き或いは磁気的/電気的な吸着力を利用して保持するようなもの)とすることができる。
【0049】
そして、本システムに新しいウェハをロードするため、エンドエフェクタは、FOUP300からウェハを取り出すべく水平姿勢をとる。SCARAロボットが回転すると手首316が回転し、ウェハは垂直又は略垂直、すなわち、垂直方向から0度~20度傾いた姿勢をとる。ゲートバルブINが開くと、該ロボットは、ロードロック/交換チャンバLL/EX305内のウェハ保持モジュール302上にウェハを配置する。ウェハは、垂直又は略垂直、すなわち、垂直から0度~20度傾いた姿勢でウェハ保持モジュール302のウェハホルダー304上に配置される。次いで、ロボット312が引っ込み、ゲートバルブINが閉じられる。これでロードロック/交換チャンバLL/EX305内を真空引きできるようになる。真空引きが行われると、搬送キャリア150は、ロードロック/交換チャンバLL/EX305内のローディング位置に移動し、ウェハがウェハホルダー304から搬送キャリア150上に移動する。
【0050】
前述の通り、いくつかの実施形態では、キャリア150は、静電チャック157を含む基板ホルダー154’を有している。そのような実施形態では、本方法は、ウェハのデバイス面がウェハホルダー304と対面し且つウェハの裏面がホルダー304から離れる方向を向く姿勢で該ウェハがウェハホルダー304上に置かれるようにエンドエフェクタを作動させて進行する。次いで、キャリアがロードロック305に入ると静電チャックが通電され、ウェハがその裏側にて基板ホルダー154’に吸着される。
【0051】
本実施形態では、ウェハ保持モジュール302は、第一の配置と第二の配置、すなわち、伸長位置と収縮位置との間で水平移動する伸縮型ウェハホルダー304を有している。一方の位置は、ロボット312との間でウェハを交換するのに使用され、他方の位置は、キャリア150との間でウェハを交換するのに使用される。また、一方の位置は、(新しい基板をロードする場合はロボットから、処理済みの基板をアンロードする場合はキャリアから)ウェハを受け取るために、他方の位置は、(新しい基板をロードする場合はキャリアへ、処理済み基板をアンロードする場合はロボットへ)ウェハを送り出すために用いられる。
【0052】
キャリア150は、使用される特定のアーキテクチャに応じて、種々の位置から、そして、種々の方法と経路で、ロードロック305内のローディング位置へと移動させることができる。図3Aに示す例では、キャリア150は、ターンテーブル322の回転によってローディング位置に移動するようになっている。図3Bに関して説明するように、別の例では、搬送キャリア150は、移送チャンバTR310からロードロック/交換チャンバLL/EX305のローディング位置に移動する。逆に、図3Cに関して説明するように、別の例では、ターンテーブルを使用しないで搬送キャリア150をローディング位置に移動させる。
【0053】
ターンテーブル322は、直線状トラック部321を含み、キャリアが直線状トラック128A及び128Bに対して乗降できるようにしている。また、ターンテーブル322は、直線状トラック部321上でのキャリアの効果的な直線移動を実現するために、ホイール135と同様の電動式ホイールを有していてもよい。
【0054】
搬送キャリア150に新しいウェハがロードされた後、該キャリア150は、移送チャンバ310内に移動し、ゲートバルブENは、別のローディングサイクルのために閉鎖可能となる。ゲートバルブENを閉じた後でゲートバルブEXを開くことができ、搬送キャリア150が連続通過処理部115に入っていく。次いで、ウェハの処理は、開示の実施形態の何れかに対応して上述の如く進行し、キャリアは、レーストラックモノレールに入って必要な通過数に至るまでレーストラック周回路に沿って移動する。
【0055】
勿論、アンロードは逆の操作となる。処理済みのウェハを載せたキャリアは、移送チャンバ310に入った後、ターンテーブル322上のアンロード位置に移動し、ウェハがウェハホルダー304上にロードされる。次いで、空のキャリアは、ローディング位置に移動し、新しいウェハを受け取る。一方、SCARAロボットを使用して、ウェハホルダー304からウェハを取り外し、取り外したウェハをFOUP300内に置く。
【0056】
このように、ウェハローディングシステムは、回転手首を介してエンドエフェクタが連結されたロボットアームと、ウェハホルダーを作動させるウェハ保持モジュールを有するロードロックチャンバと、該ロードロックチャンバを緩和する移送チャンバと、該ロードロックチャンバと該移送チャンバとの間に配置されたゲートバルブと、該ロードロックチャンバと該移送チャンバとを通過するトラックと、該トラック上を進み、上記ウェハホルダーとの間でウェハを交換するように構成されたウェハキャリアとを備えるものとして開示されている。また、本ウェハローディングシステムは、ターンテーブルを含んでもよく、該ターンテーブルの上には、キャリアを受け取るためのトラック部が配置されていてもよい。該ターンテーブルは、キャリアを直線状トラック部上で移動させる電動式ホイールをさらに含んでいてもよい。該キャリアは、上記トラック上を自由に進むよう設定されていてもよいし、該電動式ホイールによって搬送されるように構成されてもよい。さらに、該キャリは、静電チャックを含んでいてもよい。
【0057】
輸送キャリアをアンロード位置からロード位置に搬送させるためには、搬送キャリアをアンロード位置から連続通過処理部115へと単に戻すだけでよく、また、無端ベルト130を使用して、キャリアをレーストラックに沿って移動させ、ローディングステーションに出すことができる。しかし、開示の実施形態では、このような搬送プロセスは、例えば、ターンテーブル322を使用することによって回避される。図3Aの実施形態では、ターンテーブル322は、ロードロックチャンバ内に配置されている。しかし、ターンテーブル322は、以下に示すように、本システムにおける他のチャンバに配置したり、完全に撤廃したりしてもよい。
【0058】
図3Bは、半導体ウェハを処理するために構成された別の実施形態を示している。図3Bの実施形態は、ターンテーブル322がロードロックチャンバ及び移送チャンバの外側に配置されていることを除いて、図3Aの実施形態と同様である。この例では、ターンテーブルは、移送チャンバ310と処理部115との間に、すなわち、移送チャンバとレーストラック部との間に配置されている。別の実施形態(図示せず)では、ターンテーブル322は、例えば、移送チャンバTR310内に配置されていてもよい。
【0059】
このように、本ウェハローディングシステムは、直線状トラック部を有するターンテーブルをさらに備えていてもよい。これに代えて、処理チャンバが、直線状トラック部を有するターンテーブルをさらに備えるものでもよい。さらに、これに代えて、直線状トラック部を有するターンテーブルは、処理チャンバとウェハローディングシステムとの間に配置されてもよい。
【0060】
ここまでに説明してきた実施形態は、何れも他の処理チャンバ及び/又はシステムと結合させることができる。その一例を図3Cに示す。明確化のため、図3Cにおける図示では、ローディング部の一部を省略しているが、本明細書で詳述した実施形態の何れかに記載の任意のローディング部を使用して、該システムに基板をロードすることができる。
【0061】
ターンテーブル323は、ローディング側とは反対側の端側にあるレーストラックを越えて配置されている。該ターンテーブル323は、レーストラックから搬送キャリアを受け取り、取り付けられている処理チャンバ又は処理システム(例えば、従来の大型汎用処理システム)に該キャリアを搬送するように構成されている。図3Cの図示において、要素326の何れかが、そのような処理チャンバ、又は処理システム、例えば、大型汎用器を示しうる。反対側にあるトラック交換器140の機構と同様、トラック交換器140Aの機構を使用して、レーストラックモノレール127からターンテーブル323にキャリア150を移送するようにしてもよい。例えば、ターンテーブル323は、キャリアを受け取るための直線状トラック部321を含み、また、直線状トラック部321上でキャリアを移動させるための電動式ホイール135を含んでいてもよい。
【0062】
また、図3Cにおいて、ターンテーブルの異なる構造を示しており、該ターンテーブルは、開示の実施形態の何れにおいても使用することができ、単にターンテーブルと言及されてもよい。具体的には、ターンテーブル327は、スポーク329を有するハブ328としての構造になっている。直線状トラック部331は、各々のスポーク329の端部に取り付けられている。各直線状トラック部331は、トラック128の続きを形成するように適合化されている。
【0063】
図3A図3Cは、ローディング機構とアンローディング機構とに分割され、アンローディング側からローディング側にキャリアを移動させるターンテーブルを備えた実施形態を示している。しかし、この構成は必須ではなく、これに代えて、ローディングとアンローディングのための単一の機構を使用することもできる。処理シーケンスにおいて十分な時間がある場合には、処理ウェハをアンロードして新しいウェハをロードするのにあたって、単一のローディング/アンローディング機構を使用することができる。図3Dに一例を示す。ロードロック305の排気が完了した後、ゲートバルブENを開き、移送チャンバ310で待機している処理済みウェハを搭載したキャリア150をロードロック305に移動できるようにする。次いで、処理済みウェハをキャリア150からウェハホルダー304に移動させる。その後、キャリアを移送チャンバ310に戻すことができるようになり、ゲートバルブENは閉じる。次いで、ロードロックを大気圧にして、ゲートバルブINを開き、ロボット312によって処理済みウェハをホルダー304から取り出し、新しいウェハをホルダー304に配置できるようにする。次いで、ゲートバルブINを閉じて、ロードロック305内を真空引きする。次いで、ゲートバルブENを開き、キャリア150をロードロックに戻し、ウェハホルダー304から新しいウェハをロードする。次いで、キャリアを移送チャンバに戻し、ゲートバルブENを閉じる。その後、ゲートバルブEXを開いてキャリアを進ませ、トラック交換器140を介して該キャリアをレーストラックモノレール127に移送させる。
【0064】
本明細書に記載の処理及び技術は、本質的に特定の装置に関するものではなく、任意の適切な構成要素と組み合わせて実施してもよい点を理解されたい。また、本明細書に記載の教示事項に従い、様々なタイプの汎用装置を使用できる。本発明を特定の例に関して説明してきたが、その全ての点において制限的ではなく例示的な意図で説明している。当業者であれば、本発明の実施において、好適な異なる組み合わせが多数存在することを理解するであろう。
【0065】
さらに、本発明の他の実施の態様についても、本明細書及び本明細書で開示した本発明の実施例を考慮することにより、当業者においては明らかであろう。以上に述べてきた実施形態の種々の態様及び/又は構成要素は、単独で又は任意の組み合わせで用いることができる。本明細書及び実施例は、あくまで一例として考えられたものであって、本発明の真の範囲及び真髄は、以下の特許請求の範囲によって指定される。
図1
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D