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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】回路保護装置
(51)【国際特許分類】
   H01C 1/026 20060101AFI20240723BHJP
   H01C 7/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01C1/026
H01C7/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022025242
(22)【出願日】2022-02-22
(65)【公開番号】P2022140314
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2022-02-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0032398
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504474150
【氏名又は名称】スマート エレクトロニクス インク
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ・ウォン,カン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ジェ,ムン
(72)【発明者】
【氏名】ア・ラム,シン
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】篠原 功一
【審判官】山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-97705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/02
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、前記本体に形成された一対の電極からなる発熱体と、前記一対の電極にそれぞれ連結される一対のリード線と、を含む素子と、
ハウジングと、前記ハウジング内部で延在する少なくとも1つの壁と、少なくとも前記ハウジング内部で延在する前記壁によって形成され少なくとも前記発熱体が収容される前記ハウジング内の他の空間から独立した収容空間と、を有するケースと、を含み、
前記ケースは、前記ハウジングと前記ハウジング内部で延在する前記少なくとも1つの壁との間であって前記収容空間の周辺に配される少なくとも1つの断熱層を含み、
前記少なくとも1つの断熱層は、前記ケース内部に最初から形成されたエアポケット又は真空層からなる密閉された断熱層であり、
前記素子は、負温度係数(NTC)サーミスタ素子であり、
前記ケースの断熱層は、前記負温度係数(NTC)サーミスタ素子から発生する熱を前記ケースの内部に閉じ込めることによって前記負温度係数(NTC)サーミスタ素子の温度を高め、それにより、前記負温度係数(NTC)サーミスタ素子の抵抗値を減少させる、ことを特徴とする回路保護装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記素子が前記収容空間の内部に挿入されるように開放された下面を含み、前記ケースは、前記ハウジングの開放された下面を閉鎖するカバーを含むことを特徴とする請求項1に記載の回路保護装置。
【請求項3】
前記ハウジングは、直方体状であることを特徴とする請求項2に記載の回路保護装置。
【請求項4】
前記断熱層は、前記ハウジングで前記収容空間の前側と後側とのうち少なくとも一側に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の回路保護装置。
【請求項5】
前記断熱層は、前記ハウジングで前記収容空間の上部に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の回路保護装置。
【請求項6】
前記断熱層は、前記ハウジングで前記収容空間の左側と右側とのうち少なくとも一側に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の回路保護装置。
【請求項7】
前記ケースは、プラスチックで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の回路保護装置。
【請求項8】
前記ハウジングと前記カバーとのうち何れか1つは、熱硬化性プラスチックで形成され、他の1つは、熱可塑性プラスチックで形成されたことを特徴とする請求項2に記載の回路保護装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、前記ハウジングの前面部または背面部の一部が印刷回路基板に形成されたハウジング挿入孔に挿設されるように、前記ハウジングの前面部または背面部に段差が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の回路保護装置。
【請求項10】
前記ハウジングには、前記ハウジングの一部が印刷回路基板に形成されたハウジング挿入孔に挿入される時、前記印刷回路基板の一部を収容することができる溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の回路保護装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路保護装置に係り、より詳細には、電子製品の初期駆動時に、突入電流を制限し、内部温度の上昇や過電流による火災を防止するための回路保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、TV、エアコン、洗濯機、冷蔵庫、乾燥機のような大型電子製品の電気回路には、電源オン時に発生する突入電流、サージ電圧のような過電圧などによって発生する機器故障を防止するために、電気回路の電源入力端に回路保護装置を設けて電源回路を保護している。
【0003】
ここで、突入電流とは、電気製品の電源をターンオンさせる瞬間、回路内で一時的に発生する大容量の電流値を言うものであって、大きな突入電流は、電源装置に使われるダイオードを含む半導体素子の電流限界値を超過するか、これにより発生するスパイク電圧によって半導体素子の損傷を起こす。
【0004】
図1は、突入電流から回路を保護するための従来の回路保護装置の構成及び動作を簡略に示す図面である。従来の回路保護装置は、抵抗(R)と前記抵抗(R)に直列連結される第1リレー(S1)と前記抵抗(R)及び第1リレー(S1)に並列連結される第2リレー(S2)とを含んで構成される。
前記回路保護装置は、電源が印加されて駆動される時点には、第1リレー(S1)は閉状態、第2リレー(S2)は開状態(a)であって、経時的には第1リレー(S1)が開状態、第2リレー(S2)が閉状態(b)に転換される。
【0005】
図1の(a)状態で、入力電流は、第1リレー(S1)と抵抗(R)とを経て電気回路に入力される。この際、抵抗(R)が突入電流を所定電流に制限して、突入電流が消える。入力電流が安定化される一定時間(例えば、約0.5秒内外)が経てば、回路保護装置は、(b)状態に転換されて、定常状態の入力電流が第2リレー(S2)を経て電気回路に入力される。
【0006】
このような従来の回路保護装置は、抵抗(R)と比較的体積が大きな第1リレー(S1)及び第2リレー(S2)の3種の部品で構成されるので、コスト高になり、頻繁な誤動作及び空間を多く占める問題があった。そして、定常状態の入力電流は、洗濯機の場合、2~4A以上まで至り、乾燥機の場合、7A以上になる。したがって、第1リレー(S1)と第2リレー(S2)として高電流リレーが使われなければならないが、このような高電流リレーは、コストが高いだけではなく、商用化された国産製品が不足であって、ほとんど日本などから輸入している実情である。
そして、第1リレー(S1)と第2リレー(S2)は、電子製品をオン/オフする度に、開閉動作が反復されるので、電子製品を長く使用するほど耐久性が落ちて、誤動作が発生する。第1リレー(S1)と第2リレー(S2)との誤動作は、電気回路に過電流の流入を招くか、さらには火災を誘発してしまう恐れがある。したがって、リレーを使用する回路保護装置は、このような危険要素を常に内在している。
【0007】
このような問題を解決するために、NTCサーミスター(Negative temperature coefficient Thermistor;負温度係数サーミスター)などを用いて突入電流を下げる回路保護装置が活用されている。サーミスターは、温度変化に対応して半導体の抵抗率が変化する性質を利用した素子であり、そのうち、NTCサーミスター素子は、温度が高くなれば、抵抗値が減少する特性がある。NTCサーミスター素子は、円板状からなる胴体と、胴体の対向する両面に形成された一対の電極と、それぞれの電極にソルダリングされて延びる一対のリード線と、を含みうる。
【0008】
特許文献1のような従来技術では、NTCサーミスター素子をセラミックケースに入れ、セラミックケースにセメント材質の充填材を充填させることにより、放熱特性を向上させた回路保護装置(セラミック放熱素子、ICL)が開示されている。
以下、本明細書において、従来技術によるセラミック放熱素子をICL(Inrush Current Limiter)と表示する。また、本発明の実施形態による回路保護素子をICM(Inrush Current limiter injection Molding)と表示する。
このような従来のセラミック放熱素子(ICL)は、消費電力が200W未満である既存の40インチ程度のTVのような家電製品に適用される場合、特に問題がなく、200W程度の消費電力を有する家電製品にも、2~4個のセラミック放熱素子(ICL)を直列連結して使用することができた。例えば、4個のセラミック放熱素子(ICL)を直列連結すれば、TVのような家電製品でほぼ5Ωの抵抗値で回路保護装置を制御しようとする場合、それぞれのセラミック放熱素子(ICL)は、1.3Ω程度からなる。5Ωの抵抗値を有する1個のセラミック放熱素子(ICL)よりは、1.3Ωの抵抗値を有するセラミック放熱素子4個が発熱(P=IR、ジュール熱)がさらに小さいので、発熱管理の側面で利点がある。
【0009】
ところで、最近、商用化されている65インチ以上のTVのように200Wを超過する大きな消費電力を必要とする家電製品に、このような既存のセラミック放熱素子(ICL)を適用しようとすれば、発熱管理のために算術的に1.3Ω未満の抵抗値を有するセラミック放熱素子(ICL)5個以上を直列連結しなければならないが、現実的に1.3Ω未満の抵抗値を有するNTCサーミスターは作りにくく、作るとしても、1.3Ω未満の抵抗値を有する場合、実質的にNTCサーミスターの特性を示すことができない。
したがって、65インチ以上のTVのように200Wを超過する大きな消費電力を必要とする家電製品の場合には、前記のように単純にセラミック放熱素子(ICL)を直列連結して使用することができず、高い電流による発熱に耐えるために所定の抵抗値(例えば、5Ω)を有する1つのセラミック放熱素子(ICL)を図1に示したような従来の第1リレー(S1)と第2リレー(S2)とを使用する回路に抵抗(R)として使用するしかなかった。
しかし、このように第1リレー(S1)、第2リレー(S2)及びセラミック放熱素子(ICL)をいずれも使用する場合、コスト高になり、空間を多く占め、前述した第1リレー(S1)、第2リレー(S2)の機械的誤動作及び耐久性の問題をそのまま有するので、改善された回路保護装置が要求されている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】大韓民国登録特許第10-1189853号(登録日:2012年10月4日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記問題点を解決するために案出されたものであって、200Wを超過する大きな消費電力を必要とする家電製品に使われる場合にも、発熱を効果的に管理することができ、空間を多く占めないながら、製造コストも節減することができる回路保護装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した課題を解決するための手段であって、本発明は、本体と、前記本体に形成された一対の電極からなる発熱体と、前記一対の電極にそれぞれ連結される一対のリード線と、を含む素子;及び少なくとも前記発熱体が収容される独立した収容空間が形成されたケース;を含み、前記ケースは、前記収容空間の周辺に配される少なくとも1つの断熱層を含むことを特徴とする回路保護装置を提供する。
【0013】
前記断熱層は、空気層、真空層及び断熱材層のうち何れか1つであることを特徴とする。
前記素子は、NTCサーミスター素子であることを特徴とする。
前記ケースは、前記素子が前記収容空間の内部に挿入されるように下面が開放されたハウジングと、前記ハウジングの開放された下面を閉鎖するカバーと、からなることを特徴とする。
前記ハウジングは、直方体状であることを特徴とする。
前記断熱層は、前記ハウジングで前記収容空間の前側と後側とのうち少なくとも一側に形成されていることを特徴とする。
前記断熱層は、前記ハウジングで前記収容空間の上部に形成されていることを特徴とする。
前記断熱層は、前記ハウジングで前記収容空間の左側と右側とのうち少なくとも一側に形成されていることを特徴とする。
【0014】
前記ケースは、プラスチックで形成されたことを特徴とする。
前記ハウジングと前記カバーとのうち何れか1つは、熱硬化性プラスチックで形成され、他の1つは、熱可塑性プラスチックで形成されたことを特徴とする。
前記ハウジングは、前記ハウジングの前面部または背面部の一部が印刷回路基板に形成されたハウジング挿入孔に挿設されるように、前記ハウジングの前面部または背面部に段差が形成されていることを特徴とする。
前記ハウジングには、前記ハウジングの一部が印刷回路基板に形成されたハウジング挿入孔に挿入される時、前記印刷回路基板の一部を収容することができる溝が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施形態による回路保護装置は、NTC素子を収容するケースの収容空間の周辺に断熱層(空気層)を配置してケースの内部に熱を閉じ込めることにより、作動時に、NTC素子の抵抗値を減少させて、発熱を従来技術に比べて、30℃程度減少させることができる。
本発明の実施形態による回路保護装置は、既存の2個のリレーとセラミック放熱素子(ICL)とを代替しうるので、空間をさらに小さく占めることができ、リレーによる誤作動や耐久性の低下問題も解決しうる。
また、本発明の実施形態による回路保護装置は、製造コストが節減され、製造工程が簡単であって、製造時間が短縮されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来の回路保護装置の構成及び動作を簡略に示す図面である。
図2】本発明の一実施形態による回路保護装置の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による回路保護装置の分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による回路保護装置のハウジングを透明に示す図面である。
図5図2のA-Aラインに沿って本発明の回路保護装置を切断した縦断面図である。
図6図2のB-Bラインに沿って本発明の回路保護装置を切断した平断面図である。
図7】本発明の実施形態による回路保護装置のハウジングとハウジングカバーとを分解した状態の底面図である。
図8】本発明の一実施形態による回路保護装置を印刷回路基板に設置する方式を概略的に示す図面である。
図9】本発明の他の実施形態による回路保護装置を示す斜視図である。
図10】本発明の他の実施形態による回路保護装置が印刷回路基板に設けられた状態を示す図面である。
図11図10のC-Cラインに沿って切断した断面図である。
図12】従来の回路保護装置(ICL)と本発明の実施形態による回路保護装置(ICM)との比較実験データを示す図面である。
図13】本発明の多様な実施形態による回路保護装置の平断面図である。
図14】本発明の多様な実施形態による回路保護装置の比較実験データを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。以下、説明及び添付図面で実質的に同じ構成要素は、それぞれ同じ符号で示すことにより、重複説明を省略する。また、本発明を説明するに当って、関連した公知の機能あるいは構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合、それについての詳細な説明は省略する。
本発明の実施形態の構成要素を説明するに当って、第1、第2、A、Bなどの用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって、当該構成要素の本質や順番または順序などに限定されるものではない。
以下、説明の便宜のために、図面において、x軸は、左右方向、y軸は、上下方向、z軸は、前後方向に設定して説明する。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態による回路保護装置の斜視図であり、図3は、本発明の一実施形態による回路保護装置の分解斜視図であり、図4は、本発明の一実施形態による回路保護装置のハウジングを透明に示す図面であり、図5は、図2のA-Aラインに沿って本発明の回路保護装置を切断した縦断面図であり、図6は、図2のB-Bラインに沿って本発明の回路保護装置を切断した平断面図であり、図7は、本発明の実施形態による回路保護装置のハウジングとハウジングカバーとを分解した状態の底面図である。
【0019】
図2ないし図7に示したように、本発明の一実施形態による回路保護装置1は、大きく回路を保護するための素子10と素子10を収容するケース20とを含む。
前記素子10は、図3に示したように、円板状の本体111と本体111に前側及び後側にそれぞれ備えられた円板状の一対の電極112、112からなる発熱体11及び一対の電極112、112にそれぞれ連結されている一対のリード線12、12を含み、前記素子10の発熱体11とリード線12、12との一部は、コーティング材13でコーティングされる。
【0020】
前記素子10は、NTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスター素子10である。1つまたは多数の実施形態において、NTCサーミスターは、まずMn、Niなどの遷移元素の酸化物を複数種含有する円板状のセラミック本体111を形成し、その両面に銀(Ag)ペーストを塗布し、ベーキングすることにより、電極112、112を形成して発熱体11を形成する。次いで、発熱体11の電極112、112にソルダーによってリード線12、12を接合し、発熱体11全体とリード線12、12の少なくとも一部とをコーティング材13でコーティングすることにより、NTCサーミスター素子10を形成しうる。
前記ケース20は、図2ないし図7に一実施形態として示したように、ほぼ直方体状の箱状に形成され、内部には素子10の発熱体11とリード線12、12の少なくとも一部とが収容される独立した収容空間211が備えられており、収容空間211の前側と後側とに配される断熱層212を含みうる。
【0021】
前記ケース20は、前記素子10が前記収容空間211の内部に挿入されるように下面が開放されたハウジング21と前記ハウジング21の開放された下面を閉鎖するハウジングカバー22とからなりうる。ハウジング21の下部内部面の両側には、係止溝213が形成されており、ハウジングカバー22の両側には、係止溝213に対応する係止片221が形成されており、ハウジング21の下部にハウジングカバー22を挿入すれば、ハウジングカバー22の係止片221が係止溝213に引っ掛かってハウジングカバー22が堅固にハウジング21に装着される。係止片221は、係止溝213に容易に挿入されるように側面が傾斜面で形成されうる。
前記ハウジング21とハウジングカバー22は、断熱効果に優れたプラスチックで形成されうる。
【0022】
1つまたは多数の実施形態において、前記ハウジング21は、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂のような熱硬化性プラスチックで形成され、前記ハウジングカバー22は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネートのような熱可塑性プラスチックで形成されうる。
熱硬化性プラスチックは、非常に固く、耐熱性に優れているので、本発明の実施形態で素子10を保護するために、ハウジング21を熱硬化性プラスチックで形成しうる。
熱可塑性プラスチックは、熱硬化性プラスチックに比べて柔軟なので、ハウジング21との容易な結合のために、本発明の実施形態でハウジングカバー22を熱可塑性プラスチックで形成しうる。
【0023】
前記ハウジング21の内部に位置する前記収容空間211は、前記素子10が挿入されるように下面が開放されており、ほぼ前記素子10の形状に相応するように形成されうる。
図6に一実施形態として示したように、一対のリード線12、12が発熱体11で交互に結合されることにより、斜めに形成される素子10の形状を反映して、前記収容空間の平断面の形状も、このような素子10の形状に対応するようにほぼ斜めに形成される多角状からなりうる。但し、これは、1つの実施形態であるので、収容空間211の平断面の形状は、素子10の形状に合わせて傾いた楕円形のように多様な形状に形成されうる。
前記ハウジング21の内部には、前記収容空間211の前側と後側とにほぼ収容空間211と類似している幅と高さとを有し、所定の厚さで形成されるほぼ直方体状の断熱層212が配置される。
【0024】
本発明の実施形態において、前記断熱層212は、空気層である。但し、これに限定されるものではなく、前記断熱層212は、真空層のような空き空間からなるか、断熱材層からなりうる。
図5及び図7に一実施形態として示したように、ハウジング21の内部に配される断熱層212は、収容空間211と同様に下面が開放された状態で形成され、このような断熱層212の下面は、ハウジングカバー22がハウジング21に結合されれば、ハウジングカバー22の上面によって閉鎖される。すなわち、ハウジング21とハウジングカバー22との結合によって密閉された断熱層212、すなわち、空気層212が形成される。但し、これは、一実施形態であるので、このような実施形態に限定されるものではなく、最初からハウジング21の内部にエアポケットや真空層のような密閉された断熱層212を形成しても良い。
本発明の実施形態によれば、ハウジング21の前面部の両側にハウジング21の内部に陥没された段差215をそれぞれ形成しうる。
【0025】
通常、印刷回路基板2に設けられる部品は、その高さが印刷回路基板2から所定の高さ(例えば、9mm)を超過してはならない。
図8は、本発明の一実施形態による回路保護装置を印刷回路基板に設置する方式を概略的に示す図面である。
前述した印刷回路基板2で要求される高さ(例えば、9mm)を合わせるために、本発明の実施形態による回路保護装置1は、図8の(a)に一実施形態として示したように、リード線12、12を90°程度の角度で曲げて印刷回路基板2に設置することができる。そして、ハウジング21の前面部の両側に段差215を形成し、印刷回路基板2に長方形の挿入孔5を形成して、ハウジング21の前面部の一部214を挿入孔5に挿入させることができる。ハウジング21の前面部の一部214が印刷回路基板2の挿入孔5に挿入される時、段差215で形成された残りの部分が印刷回路基板2の一面6に引っ掛ってハウジング21が印刷回路基板2に載置される。
【0026】
図8の(b)に一実施形態として示したように、本発明のハウジング21は、横たわらせた状態でも全体として高さが10.5mmの程度になる。しかし、図8の(c)に示したように、ハウジング21の前面部の両側に形成された段差215によってハウジング21の前面部のうち、一部214が印刷回路基板2の挿入孔5の内部に挿入されることにより、印刷回路基板2上に突出するハウジング21の高さが9mmの以下になる。
本発明の実施形態によれば、本発明の回路保護装置1が図8の(c)のように印刷回路基板2と結合する場合、ハウジング21の前面部に形成された断熱層212が印刷回路基板2の挿入孔5の内部に配されるので、ハウジング21の前面部に形成される断熱層212による断熱効果がさらに向上する。
【0027】
図9は、本発明の他の実施形態による回路保護装置を示す斜視図であり、図10は、本発明の他の実施形態による回路保護装置が印刷回路基板に設けられた状態を示す図面であり、図11は、図10のC-Cラインに沿って切断した断面図である。
図9に示された回路保護装置1の場合、図1ないし図8に示された回路保護装置1と類似しているが、ハウジング21の上面に左右方向に沿って印刷回路基板2の一部が収容される溝216が形成されているという点で差がある。以下、図1ないし図8の実施形態と同じ部分についての説明は省略し、差異点を中心に説明する。
図9に実施形態として示したように、ハウジング21の前面部の上部及び両側に沿って段差215を形成させ、上部に形成された段差215から所定間隔ほど離隔した位置に段差217が形成されるように溝216を形成しうる。印刷回路基板2が収容されるように溝216の幅は、印刷回路基板2の厚さとほぼ同一であるか、少し大きく形成される。
【0028】
図10ないし図11に示したように、図9の回路保護装置1が印刷回路基板2に設けられる場合、印刷回路基板2の一部が溝216に挿入されて、ハウジング21の段差215は、印刷回路基板の上面6に引っ掛かり、ハウジングの段差217は、印刷回路基板の下面7に引っ掛かる。したがって、印刷回路基板に外部衝撃などが加えられても、回路保護装置1が印刷回路基板2の上面6と下面7とのうち、何れかの側にも離脱されず、安定して固定される。
前記のような本発明の実施形態によるハウジング21とハウジングカバー22とからなるケース20によれば、回路保護装置1の製造工程が従来に比べて簡素になる利点がある。
【0029】
従来、NTC素子が挿入されるセラミックケースを別途に製作して、これにNTC素子を配置した後、セメント材料の充填材を充電させ、充填材を1次で常温で乾燥させた後、2次で熱硬化させて回路保護装置(ICL)を製作していたために、製造工程が複雑であり、長時間がかかり、セメント充填材とセラミックケースなど材料費も増加するという問題があった。
しかし、本発明の実施形態によれば、図3に示したように、射出成形によってハウジング21を製造し、NTC素子10をモールドに配置してハウジングカバー22を射出成形することにより、NTC素子10のリード線12、12が結合されたハウジングカバー22を一回に製造することができる。次いで、ハウジング21とハウジングカバー22とを結合させれば、回路保護装置1が完成される。したがって、本発明の回路保護装置1の場合、製造工程が非常に簡単であって、製造時間を短縮させることができる。また、本発明の場合、セラミックや充填材などを使用する必要がないので、材料費の節減によって製造コストを縮小させることができる利点もある。
【0030】
本発明の実施形態によるケース20は、従来のセラミックケース及びこれに充填されるセメント材質の充填材と相反する効果を発揮する。従来、セラミックケースとこれに充填されるセメント材質の充填材によってケースの内部に収容されたNTCサーミスター素子から発生する熱を外部に放出する効果を有するが、本発明の実施形態によるケース20は、一方、ケース20を断熱性に優れたプラスチックケース20で形成し、NTC素子10を収容する収容空間211の前側と後側とに断熱層212を形成して、NTC素子10から発生する熱をケース20の内部に閉じ込める効果を有する。
NTC素子10は、温度が高くなれば、抵抗値が減少する特性があるので、本発明の場合、従来技術とは違って、ケース20の内部に熱を閉じ込めることにより、ケース20に収容されたNTC素子10の温度をさらに高め、これにより、NTC素子10の抵抗値を減少させて、発熱(P=IR、ジュール熱)を減少させる。
【0031】
図12は、従来の回路保護装置(ICL)と本発明の実施形態による回路保護装置(ICM)との比較実験データを示す図面である。
電源を印加して試験する前、NTC素子10の抵抗値をほぼ5.2Ωで同様にセッティングし、同じ時間(20分)の間に、同じ電流(3.5A)を印加して、従来の回路保護装置(ICL)と本発明の実施形態による回路保護装置1(ICM)との発熱を測定した。その結果、図12に示したように、従来の回路保護装置(ICL)の場合、発熱が最も高い部分の温度が111.7℃であり、その周辺部分も類似している温度を示すが、本発明の実施形態による回路保護装置1(ICM)の場合、発熱が最も高い部分の温度が82.1℃であって、従来技術に比べて30℃程度低く、その周辺に行くほど温度が急激に下降すると表われた。
図12の実験データを説明すれば、従来技術の場合、NTC素子の抵抗値が0.274Ωに下降したのに比べて、本発明の場合、ケースによる断熱性能によってNTC素子の抵抗値が0.171Ωに顕著に下降することにより、発熱温度が30℃程度低く表われたことが分かる。
【0032】
図12に示されているように、本発明の実施形態による回路保護装置1(ICM)のサイズは、ほぼL:22.5mm、H:27mm、W:10mmであって、従来の回路保護装置(ICL)のサイズ(L:20mm、H:24mm、W:9.5mm)よりも少し大きい。しかし、図1に示したように、従来の回路保護装置(ICL)は、200Wを超過する大きな消費電力を必要とする最近に販売されている家電製品(例えば、TV)で第1及び第2リレー(S1、S2)と共に使用しなければならないので、全体として回路保護装置のサイズが非常に大きくなるが、本発明の場合には、図2に示された回路保護装置1(ICM)を単独で使用することができるので、全体として見る時、従来技術に比べて非常に小さなサイズに形成しうる。すなわち、本発明の回路保護装置1(ICM)の1つは、従来の回路保護装置(ICL)と第1及び第2リレー(S1、S2)とをいずれも代替しうる効果がある。
したがって、本発明の実施にによる回路保護装置1の場合、従来技術に比べて製造工程が簡単であり、空間をさらに小さく占めながら、発熱も減少させ、製造コストも節減することができる効果がある。
【0033】
図13は、本発明の多様な実施形態による回路保護装置の平断面図を図示している。
図2ないし図7に示された本発明の回路保護装置1の実施形態は、NTC素子10の収容空間211の前側と後側とにそれぞれ1個ずつ2個の断熱層が備えられた構造を有しているが、図13の(a)ないし図13の(d)には、これと異なる個数の断熱層を備えた回路保護装置を図示している。
【0034】
図13の(a)には、収容空間211の後側に1個の断熱層212-1が備えられた構造を図示している。この場合、断熱層212-1は、図2ないし図7に示されたそれぞれの断熱層212よりもさらに大きく形成されうる。
図13の(b)には、収容空間211の後側及び左右両側にも断熱層が備えられて、総3個の断熱層212-1、212-2、212-3が収容空間211を取り囲んでいる実施形態を図示している。この場合にも、同様に収容空間211の後側に配された断熱層212-1は、図2ないし図7に示されたそれぞれの断熱層212よりもさらに大きく形成されうる。
図13の(c)には、収容空間211の前側と後側及び左右両側に断熱層が備えられて、総4個の断熱層212-1、212-2、212-3、212-4が収容空間211を取り囲んでいる実施形態を図示している。この場合、収容空間211の前側と後側とに配された断熱層212-1、212-4は、図2ないし図7に示された断熱層212と実質的に同じサイズに形成されうる。
図13の(d)は、図13の(c)の4個の断熱層212-1、212-2、212-3、212-4を備えた構造で収容空間211の上部にも追加的に断熱層212-5が備えられた実施形態を図示している。1つまたは多数の実施形態において、図13の(d)に示したように、上部断熱層212-5は、前面部で開放されて空気が出入りする空気層で形成されうる。
【0035】
図14は、本発明の多様な実施形態による回路保護装置の比較実験データを図示している。
図14において、図13の(a)の構造は、収容空間211の一側面のみに断熱層212-1を備えたものであって、「1面」と表示され、図2ないし図7の実施形態の構造は、収容空間211の前側及び後側両面に断熱層212を備えたものであって、「2面」と表示され、図13の(b)の構造は、収容空間211の後側及び左右両側面に断熱層212-1、212-2、212-3を備えたものであって、「3面」と表示され、図13の(c)の構造は、収容空間211の前側、後側及び左右両側面に断熱層212-1、212-2、212-3、212-4を備えたものであって、「4面」と表示され、図13の(d)の構造は、収容空間211の前側、後側、左右両側面、及び上部に断熱層212-1、212-2、212-3、212-4、212-5を備えたものであって、「5面」と表示される。
電源を印加して試験する前、NTC素子10の抵抗値をほぼ5.2Ωで同様にセッティングし、同じ時間(20分)の間に、同じ電流(3.5A)を印加して、従来の回路保護装置(ICL)と本発明の多様な実施形態による回路保護装置(ICM)との発熱を測定した。その結果、図14に示したように、従来の回路保護装置(ICL)の場合、発熱が最も高い部分の温度が111.7℃であるが、「1面」ないし「5面」からなる本発明の多様な実施形態による回路保護装置(ICM)の場合、発熱が最も高い部分の温度がほぼ75.3~82.1℃であって、従来技術に比べて顕著に低く表われることが分かる。
【0036】
図14の実験データを説明すれば、従来技術の場合、NTC素子の抵抗値が0.274Ωに下降したのに比べて、本発明の多様な実施形態による回路保護装置の場合、ケースによる断熱性能によってNTC素子の抵抗値がほぼ0.170~0.171Ωに顕著に下降することにより、発熱温度が低く表われることが分かる。
【0037】
以上、本発明について、その望ましい実施形態を中心に説明した。当業者ならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態として具現可能であるということを理解できるであろう。したがって、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にあるあらゆる差異点は、本発明に含まれたと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0038】
1:回路保護装置(ICM)
2:印刷回路基板
5:挿入孔
6:上面
10:素子
11:発熱体
12:リード線
13:コーティング材
20:ケース
21:ハウジング
22:ハウジングカバー
111:本体
112:電極
211:収容空間
212:断熱層
213:係止溝
215:段差
221:係止片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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