(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】動的漏洩電流補償および動的RF変調を含む電気手術装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2022172273
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2019527334の分割
【原出願日】2017-11-17
【審査請求日】2022-11-01
(32)【優先日】2016-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519175592
【氏名又は名称】アピックス メディカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ ディミトロフ シルフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル トモフ トモフ
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-131108(JP,A)
【文献】特開2013-154168(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10054963(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第10044189(DE,A1)
【文献】特開2007-195981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気手術エネルギーを出力するように構成された電力発生器回路であって、前記電気手術エネルギーを生成する電力増幅器に電力を供給するように構成された電源、および、前記電力増幅器で生成された前記電気手術エネルギーを異なる周波数で変調するように構成された発振器を備える前記電力発生器回路と、
ケーブルを介して電気手術アプリケータに結合され、前記電気手術エネルギーを負荷に供給する前記電気手術アプリケータに前記電気手術エネルギーを供給するように構成された能動端子と、
前記負荷に印加された前記電気手術エネルギーのための戻り経路を提供するように構成された戻り端子と、
前記能動端子および前記戻り端子に結合され、前記能動端子および前記戻り端子において前記電気手術エネルギーを電圧データおよび電流データについてサンプリングするように構成されたセンサと、
前記電力発生器回路を制御するように構成されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記サンプリングされた電圧データおよび電流データに基づいて、前記能動端子と前記戻り端子との間のインピーダンスを計算し、
前記能動端子と前記戻り端子との間の前記インピーダンス
が増大すると、前記電力発生器回路によって出力される前記電気手術エネルギーのオフタイム
が増大するように前記オフタイムを決定し、前記決定したオフタイムが増大すると、前記電力発生器回路によって出力される前記電気手術エネルギーの変調周波数
が減小するように前記変調周波数を決定し、
前記能動端子と前記戻り端子との間の前記インピーダンスが減小すると、前記電力発生器回路によって出力される前記電気手術エネルギーのオフタイムが減小するように前記オフタイムを決定し、前記決定したオフタイムが減小すると、前記電力発生器回路によって出力される前記電気手術エネルギーの変調周波数が増大するように前記変調周波数を決定し、
前記電力増幅器によって出力される電気手術エネルギーを変調するために、前記発振器に第1制御信号を提供することによって、前記決定された変調周波数に一致するように、前記電力発生器回路によって出力される前記電気手術エネルギーを調整し、
前記変調周波数は、前記能動端子と前記戻り端子との間のインピーダンスが変化している間、前記電気手術エネルギーの波高率を動的に制御するために、前記インピーダンスの変化に応じて継続的に更新される、
電気手術発電機。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記サンプリングされた電圧データに基づいて、前記能動端子と前記戻り端子との間のRMS電圧を決定するように構成され、
前記サンプリングされた電流データに基づいて、前記能動端子における前記電気手術エネルギーのRMS電流を決定するように構成される、
請求項1に記載の電気手術発電機。
【請求項3】
ルックアップテーブルを含むメモリをさらに備え、
前記ルックアップテーブルは、前記能動端子と前記戻り端子との間のインピーダンスの各値に対応するオフタイムの各値を含み、
前記コントローラは、前記能動端子と前記戻り端子との間のインピーダンスに対応するオフタイムの値を前記ルックアップテーブルから読み出すことによって、前記オフタイムを決定するように構成される、
請求項
1に記載の電気手術発電機。
【請求項4】
前記変調周波数は、以下の式
ModulationFrequency
=1/(Period×NumberOfPulses+OffTime)
に従って前記コントローラによって決定され、
前記Period
は、RFパルスの周期であり、NumberOfPulsesは、
RFパルス数であり、前記電気手術発電機のメモリに保存された所定の値である、
請求項
1に記載の電気手術発電機。
【請求項5】
前記コントローラは、前記決定、前記計算および前記調整を周期的に実行するように構成され、前記電力発生器回路によって出力される前記電気手術エネルギーの前記変調周波数を動的に調節する、
請求項1に記載の電気手術発電機。
【請求項6】
前記コントローラは、さらに、
前記能動端子と前記戻り端子との間の漏れインピーダンスに基づいて、前記電気手術アプリケータおよび前記ケーブルに関連する漏洩電流を決定し、決定された漏洩電流に基づいて、前記電気手術アプリケータによって前記負荷に供給される前記電気手術エネルギーの電力レベルを決定するように構成され、
前記負荷に供給された前記電気手術エネルギーの前記電力レベルが所定の電力レベルと一致しないと決定されると、前記電力増幅器に供給される電力を増減するように前記電源に第2制御信号を提供することによって、前記電力発生器回路によって出力される前記電気手術エネルギーを前記所定の電力レベルと一致するように調整するように構成される、
請求項1に記載の電気手術発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、「電気手術装置」と題する、2016年11月17日出願の米国仮特許出願第62/423,379号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に、電気手術ならびに電気手術システムおよび装置に関し、より詳細には、一体型閉ループシステムを有する電気手術装置に関する。
【背景技術】
【0003】
高周波電気エネルギーは、手術において広く使用されてきた。電気手術エネルギーを使用して組織が切断され、体液が凝固させられる。
【0004】
電気手術器具は、一般に、「単極」装置または「双極」装置を備える。単極装置は、電気手術器具に設けられた能動電極を備え、戻り電極が患者に取り付けられている。単極電気手術では、電気手術エネルギーは、器具の能動電極を通り、患者の身体を通って戻り電極に流れる。そのような単極装置は、組織の切断および凝固が必要とされ、迷走電流が患者に大きな危険を及ぼさない手術処置において効果的である。
【0005】
双極装置は、手術器具上に能動電極および戻り電極を備える。双極電気手術装置では、電気手術エネルギーは、能動電極を通って患者の組織に短い距離を通って流れ、組織を通って戻り電極へと流れる。電気手術的効果は、手術器具上の2つの電極間に配置されている組織の小領域に実質的に局在化している。双極電気手術装置は、迷走電流が患者に危険を及ぼし得るか、または他の処置上の懸念が能動電極および戻り電極の近接を必要とする外科手術処置に有用であることが見出されている。双極電気手術を含む外科手術は、単極電気手術を含む方法および処置とは実質的に異なる方法および処置を必要とすることが多い。
【0006】
ガスプラズマは、電気エネルギーを伝導することができるイオン化ガスである。プラズマは、電気手術エネルギーを患者に伝導するために手術装置において使用される。プラズマは、比較的低い電気抵抗の経路を提供することによってエネルギーを伝導する。電気手術エネルギーは、プラズマを通って進み、患者の血液または組織を切断、凝固、乾燥、または固定する。電極と治療される組織との間に物理的な接触は必要とされない。
【0007】
調節されたガスの供給源を組み込んでいない電気手術システムは、能動電極と患者との間の周囲空気をイオン化する可能性がある。それによって生成されるプラズマは、電気手術エネルギーを患者に伝導することになるが、プラズマアークは、通常、イオン化可能なガスの調節された流れを有するシステムと比較して、より空間的に分散して見える。
【0008】
大気圧放電コールドプラズマアプリケータは、表面滅菌、止血、および腫瘍の切除を含む様々な用途において使用を見出している。後者の例では、プロセスは、比較的遅く、気化して焦げた組織と共に大量の有害な煙を発生させる可能性があり、高出力の電気手術エネルギーが使用されると周囲の健康な組織に付随的な損傷を引き起こすことがある。プラズマビームの幅に起因して、精度もまた問題となり得る。多くの場合、問題の組織を切除するために簡単な手術用ナイフが使用され、続いて焼灼、滅菌、および止血のためにコールドプラズマアプリケータが使用される。
【0009】
前述の電気手術およびプラズマビーム手術に使用される医療装置は、通常、発電機ユニットおよび取り付けられたハンドピースまたはアプリケータからなる。既定の発電機ユニットには様々な異なるアプリケータが利用可能であることができ、そのうちのいくつかは汎用であり、他のものは特定のタスクに合わせて設計されている。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、電気手術アプリケータに結合され得る電気手術発電機を含む電気手術システムを対象とする。本開示の一態様では、電気手術発電機のコントローラは、電気手術アプリケータおよび電気手術発電機に結合された関連するケーブル付属品の漏洩電流を補償するために、動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能を実行するように構成される。本開示の別の態様では、電気手術発電機のコントローラは、電気手術発電機の能動端子と戻り端子との間の測定されたインピーダンスに基づいて、電気手術発電機の出力波形の波高率を動的に制御するために動的高周波(RF)変調のアルゴリズムまたは機能を実行するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の上記および他の態様、特徴、および利点は、添付の図面と併せて解釈されることで、以下の詳細な説明に照らしてより明らかになるであろう。
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態による例示的な単極電気手術システムの図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による電気手術装置の概略図である。
【
図2B】
図2Aに示される電気手術装置の線A-Aについての断面図である。
【
図3A】本開示の一実施形態による、電気手術装置の拡大断面図である。
【
図3B】
図3Aに示される電気手術装置の線B-Bについての正面図である。
【
図4】ブレードが延びた状態の、
図3Aに示される電気手術装置の拡大断面図である。
【
図5】本開示の別の実施形態による電気手術装置の図である。
【
図6A】本開示の一実施形態による、電気手術発電機の電気概略図である。
【
図6B】本開示の別の実施形態による、別の電気手術装置の図である。
【
図7】本開示の一実施形態による分布素子モデルの図である。
【
図8】本開示の一実施形態による集中素子モデルの図である。
【
図9】本開示の一実施形態による出力負荷回路の図である。
【
図10】本開示の一実施形態による、漏洩補償を実施するための等価負荷回路の図である。
【
図11】本開示の一実施形態による、
図10に示される回路の等価電気モデルの図である。
【
図12A】本開示の一実施形態による、動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能のフローチャートである。
【
図12B】本開示の一実施形態による、
図12Aの動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能に基づいて負荷に供給されている電力を調整するための方法のフローチャートである。
【
図13】本開示の一実施形態による、変調された電力信号の波形図である。
【
図14】本開示の一実施形態による、20kΩ出力負荷の測定値を含むグラフである。
【
図15】本開示の一実施形態による、1000Ω出力負荷の測定値を含むグラフである。
【
図16】本開示の一実施形態による、動的RF変調のアルゴリズムまたは機能のフローチャートである。
【
図17】本開示の一実施形態による、接地基準の内部Jプラズマ動作モードにおける電気手術装置の測定された電力曲線のグラフである。
【
図18】本開示の一実施形態による、絶縁された内部Jプラズマ動作モードにおける電気手術装置の測定された電力曲線のグラフである。
【0013】
図は、本開示の概念を例示する目的のためのものであり、必ずしも本開示を説明するための唯一の可能な構成ではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、添付図を参照しながら、本開示の好ましい実施形態が詳細に説明される。以下の説明では、不必要な詳細により本開示が不明瞭になることを避けるために、周知の機能または構成は、詳細に説明されていない。後続の図および説明において、用語「近位」は、従来通り、デバイス、例えば器具、装置、アプリケータ、ハンドピース、鉗子などの使用者に近い方の端部を指す。一方、用語「遠位」は、使用者から遠い方の端部を指す。本明細書では、「結合された」という語句は、直接的に接続される、または1つ以上の中間部品を介して間接的に接続されることを意味すると定義される。そのような中間部品は、ハードウェアおよびソフトウェアベースの部品の両方を含むことができる。
【0015】
図1は、10として全体的に示される例示的な単極型電気手術システムを示し、電気手術装置10のための電力を発生させるための12として全体的に示される電気手術発電機(ESU)と、プラズマ流16を発生させて、導電性板または支持面22上に載っている患者20上の手術部位または標的領域18に当てるための14として全体的に示されるプラズマ発生器とを備える。電気手術発電機12は、プラズマ発生器14に高周波電気エネルギーを供給するために電源(図示せず)に結合された一次側および二次側を含む、24として全体的に示される変圧器を含む。典型的には、電気手術発電機12は、いかなる電位も基準にしていない絶縁された浮遊電位を含む。こうして、能動電極と戻り電極との間に電流が流れる。出力が絶縁されておらず、「アース」を基準にしている場合、電流は、アース電位を有する領域に流れ得る。この領域と患者との接触面が比較的小さい場合、望ましくない灼熱感が生じる可能性がある。
【0016】
プラズマ発生器14は、電極28を有するハンドピースまたはホルダ26を備える。電極28は、流体流れハウジング29内に少なくとも部分的に配置され、変圧器24に結合されてそこからの高周波電気エネルギーを受け取り、ハンドピースまたはホルダ26の流体流れハウジング29に送られる希ガスを少なくとも部分的にイオン化してプラズマ流16を生成または創出する。高周波電気エネルギーは、変圧器24の二次側から活性導体30を介してハンドピース26内の電極28(集合的に能動電極)に供給されて、患者20の手術部位18に当てるためのプラズマ流16を創出する。さらに、電流制限コンデンサ25が電極28と直列に設けられて、患者20に供給される電流量を制限する。
【0017】
電気手術発電機12への戻り経路は、患者20の組織および体液、導体板または支持部材22、および戻り導体32(集合的に戻り電極)を通って変圧器24の二次側に到達して、絶縁された浮遊電位回路を完成する。
【0018】
別の実施形態では、電気手術発電機12は、いかなる電位も基準にしていない絶縁された非浮遊電位を含む。電気手術発電機12に戻るプラズマ電流は、組織および体液、ならびに患者20を通る。そこから、戻り電流回路は、組み合わされた外部静電容量を通ってプラズマ発生器ハンドピース26、外科医、そして変位電流を通って完成される。静電容量は、とりわけ、患者20の体格によって決まる。そのような電気手術装置および発電機は、Koneskyの共同所有の米国特許第7,316,682号に説明されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
以下の様々な実施形態で説明されるように、変圧器24は、プラズマ発生器ハンドピース26内に配置されてもよいことを理解されたい。この構成では、ハンドピース内の変圧器に適切な電圧および電流を供給するために他の変圧器、例えば、降圧変圧器、昇圧変圧器、またはそれらの任意の組み合わせが発電機12内に設けられてもよい。
【0020】
図2Aを参照すると、本開示による電気手術装置100が示される。一般に、装置100は、近位端103および遠位端105を有するハウジング102と、開放遠位端106と、ハウジング102の遠位端105に結合された近位端108とを有するチューブ104とを含む。ハウジング102は、右側ハウジング110および左側ハウジング112を含み、ボタン114およびスライダ116のための設備をさらに含む。スライダ116を作動させると、チューブ104の開放遠位端106のところにブレード118が露出する。ボタン114を作動させると、ブレード118に電気手術エネルギーが印加され、いくつかの実施形態では、以下に詳細に説明されるように、流れチューブ122を通してガスを流れさせる。
【0021】
さらに、高周波(RF)エネルギー源を装置100に結合するために、変圧器120がハウジングの近位端103に設けられている。変圧器120を装置100内に設けることにより(変圧器を電気手術発電機内に配置することとは対照的に)、装置100の電力は、変圧器が発電機内に遠隔に配置されるときに必要とされるときよりも高い電圧および低い電流から生じ、その結果、熱化効果はより低くなる。これとは対照的に、発電機内に変圧器を戻すと、より低い電圧およびより高い電流で、熱化効果がより大きい状態でアプリケータ電力を生成する。したがって、装置100に変圧器120を設けることによって、手術部位の組織に対する付随的な損傷が最小限に抑えられる。
【0022】
装置102の線A-Aについての断面図が、
図2Bに示される。ハウジング102およびチューブ104内に配置されているのは、装置100の長手方向軸に沿って延びる流れチューブ122である。流れチューブ122の遠位端124において、ブレード118は、流れチューブ122内に保持される。流れチューブ122の近位端126は、チューブコネクタ128および可撓性チューブ129を介してガス源に結合されている。流れチューブ122の近位端126は、変圧器120に結合するプラグ130を介してRFエネルギー源にも結合されている。流れチューブ122は、以下に説明されるように、プラズマ利用または電気手術切断に使用されるときにRFエネルギーをブレード118に伝導するように、導電性材料、好ましくはステンレス鋼で作成される。外側チューブ104は、例えばLestranのような非導電性材料から構成される。スライダ116は、保持用環132を介して流れチューブ122に結合されている。プリント回路基板(PCB)134がハウジング102内に配置され、ボタン114を介して変圧器120からのRFエネルギーの印加を制御する。
【0023】
スライダ116は、直線方向に自由に移動可能であってもよく、または、装置100のオペレータがブレード118を過度に延ばすのを防止するために、段階的な移動、例えばラチェット移動のための機構を含んでもよいことを理解されたい。ブレード118の段階的な移動のための機構を採用することにより、手術部位における組織への損傷を回避するために、オペレータは、露出されたブレード118の長さに対して、より大きな制御を持つことになる。
【0024】
図2Bには、外側チューブ104の遠位端106の拡大図も示されている。ここで、ブレード118は、流れチューブ122に結合されている。流れチューブ122は、少なくとも1つのシール136によって外側チューブ104内の適所に保持されている。少なくとも1つのシール136は、チューブ104およびハウジング102内へのガスの逆流を防ぐ。円筒状セラミック挿入物138は、外側チューブ104の遠位端に配置されて、ブレードを装置100の長手方向軸に沿った状態に保持し、ブレードが外側チューブ104の遠位端から露出して機械的な切断を行っている間、構造的に支持する。
【0025】
次に、装置100の動作態様が
図3Aおよび
図3Bに関連して説明される。
図3Aは装置の拡大断面図を示し、
図3Bは装置の正面図を示す。
【0026】
図3Aを参照すると、流れチューブ122は外側チューブ104内に配置され、円筒状絶縁体140が流れチューブ122の周囲に配置されている。スライダ116は絶縁体140に結合されており、ブレード118を伸縮させるために使用される。外側チューブ104の遠位端106において、環状またはリング形状のシール136および円筒状セラミック挿入物138は、流れチューブ122の周りに配置されている。
図3Bにおいて分かるように、略平面状のブレード118は、2つのガス通路142、144がブレード118の両側に形成されるように円筒状流れチューブ122の内周に結合される。ガスがハウジングの近位端103から流れチューブ122を通って流れると、ガスは、ブレード118を越えて外側チューブ104の遠位端106から出る。
【0027】
図3Aに示されようにブレードが後退位置にあるとき、装置100は、プラズマを生成するのに適している。後退位置では、RFエネルギーは、電気手術発電機(図示せず)から流れチューブ122を介してブレード118の先端146に伝導される。次いで、ヘリウムまたはアルゴンのような不活性ガスが、電気手術発電機または外部のガス供給源のいずれかから流れチューブに供給される。高電圧および高周波数に保持されたブレード118の鋭敏点146上を不活性ガスが流れると、低温プラズマビームが生成される。
【0028】
図4を参照すると、スライダ116を介してブレード118が前進しているので、先端146は、外側チューブ104の遠位端106を越えて延びている。この状態では、ブレード118は、2つの切断モード、すなわち機械的切断および電気手術切断に使用することができる。機械的切断モードでは、RFまたは電気手術エネルギーは、流れチューブ122またはブレード118に印加されず、したがってブレード118は電気供給が停止された状態にある。このモードでは、ブレード118は、機械的切断によって組織を切除するために使用され得る。組織が除去された後、スライダ116を介してブレード118を後退させることができ、ボタン114を介して電気手術エネルギーおよびガスを印加して、手術患者部位の焼灼、滅菌および/または止血のための低温プラズマビームを生成させることができる。
【0029】
電気手術切断モードでは、ブレード118は、電圧が印加され、かつ不活性ガスが流れる間、前進されて、使用される。この構成は、電気手術エネルギーが切断を行うという点で、電気手術ナイフの手法に類似する。しかし、不活性ガス流を追加すると、形成された切断部は、実質的に焼痂を示さず、切断部の側壁に沿った切断に伴って起きる損傷はほとんどない。ナイフブレードに電圧が印加されていないとき、すなわち機械的切断モードのときに比べて、切断速度は大幅に速く、機械的な切断抵抗は小さい。この過程の間、止血も影響を受ける。
【0030】
図5および
図6Aを参照すると、本開示の別の実施形態による電気手術装置200が、示される。全体的に、装置200、アプリケータ210およびESU223である。アプリケータ210は、近位端203および遠位端205を有するハウジング202と、開放遠位端206と、ハウジング202の遠位端205に結合された近位端208とを有するチューブ204とを含み、ハンドピースまたはアプリケータを形成する。ハウジング202は、複数のボタン207、例えばボタン214、215、および219と、第1スライダ216と、第2スライダ221とを含む。第1スライダ216を作動させると、上述のように、チューブ204の開放遠位端206でブレード218が露出する。後述のように、第2スライダ221を作動させると、装置は異なるモードに設定される。個々のボタン214、215、219を作動させると、ブレード218に電気手術エネルギーが印加されて、異なる電気手術モードに作用し、ある実施形態では、後に詳述されるように、内部流れチューブ222を通ってガスを流れさせる。加えて、ケーブル260およびコネクタ262を介して高周波(RF)エネルギー源をアプリケータ210に結合するために、変圧器組立体220がハウジング202の近位端203に設けられている。ケーブル260は、電気手術エネルギーをアプリケータ210に供給するため、および、アプリケータ210とRF源、例えば電気手術発電機223との間で通信信号を送受信するための、複数の導体を含む。コネクタ262は、コネクタ262を発電機223の対応する端子225に結合するための様々なピン、例えばピン281,282,283,284,286,288および290を含む。
【0031】
図6Aにおいて分かるように、電気手術発電機223は、DC電源272と、発振器273と、電力増幅器274と、降圧変圧器275と、昇圧変圧器276とを含む。電源272、発振器273、電力増幅器274、降圧変圧器275、および昇圧変圧器276は、全体で、アプリケータ210に電力または電気手術エネルギーを供給するための電力発生器回路270を形成する。電気手術発電機223は、さらに、コントローラ277、メモリ278、およびセンサ279を含む。一実施形態では、コントローラ277は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として構成できることを理解されたい。
【0032】
電源272は、電力増幅器274に電力を供給するように構成される。電力増幅器274は、電源272からの供給電力を受け取るように、かつ、電力信号(すなわち、コネクタ262およびケーブル260を介して電気手術アプリケータに供給される電気手術エネルギー)を生成するように構成される。発振器273は、電力増幅器274により生成された電力信号を、動作モードに基づき異なる周波数で変調するように構成される。電源272および発振器273は、それぞれ、コントローラ277から制御信号を受け取る。コントローラ277は、電力増幅器274に供給される電力を増大または低減させるために電源272に制御信号を供給するように構成され、それによって電気手術アプリケータ210によって出力される電気手術エネルギーの電力を増大または低減させる。コントローラ277は、さらに、電力増幅器274によって出力される波形の特性(例えば、周波数、振幅、デューティサイクル、波高率など)を変更するために、発振器273に制御信号を供給するように構成される。コントローラ277は、ボタン214,215,219の作動を介して1つまたは複数の通信信号を受信して、電気手術動作モード(すなわち、後述されるJプラズマまたはプラズマモード、CUTモード、およびCOAGモード)をユーザの所望に応じて変更するように構成される。
【0033】
個々のボタン214,215,219を作動させると、電力発生器回路270を介してブレード218に電気手術エネルギーが印加されて、ブレード218の位置に応じて異なる電気手術モードに作用する。図示の実施形態では、ボタン214は、Jプラズマモードを起動するように構成され、ボタン215は、COAG(または凝固)モードを起動するように構成され、ボタン219は、通常の電気手術CUTモードを起動するように構成される。Jプラズマモードは、負荷に印加されるプラズマビームをアプリケータ210が生成するモードに対応することを理解されたい。従来の電気手術モードとは異なり、Jプラズマモードは、より高い公称動作インピーダンスおよびより高い動作電圧を使用し、これらは、従来の電気手術モードに比べて、低い電力(例えば最大40Wまで)および低い出力電流を用いるアプリケータ210などのアプリケータの出力において緩やかなプラズマビームを生成することができる。Jプラズマモードは、ブレード218が(例えばプラズマモードで)組織を凝固または切除するために非接触処置を支援するために引っ込められたとき、および、ブレード218が切断処置(ガスとともに)および組織のピンポイントの凝固を支援するために延ばされたときの両方において、プラズマビームを生成するために使用できる。Jプラズマモードとは対照的に、COAGおよびCUTなどの他のモードでは、より高い電力(例えば40W超)が使用される。例えば、ブレード218が引き込まれた状態でボタン215が押されると、非接触用途で使用するためのCOAGモード(または高周波療法モード)において、より大電力のプラズマが生成される。ブレード218が延ばされると、第2のCOAGモード、例えばピンポイントモードが実現する。ボタン214が押され、ブレード218が延ばされると、プラズマの穏やかなCUTモードを使用することができる。ESU223および/またはアプリケータ210は、単極動作モードと双極動作モードとの間の切り替えを可能にする1つまたは複数のボタンを含むことができる。
【0034】
2つの昇圧変圧器220、276(すなわち、Jプラズマモードを可能にするためのアプリケータ210内の変圧器220および一般的な電気手術モードを可能にするための発電機223内の変圧器276)は、2つの異なる電力曲線を有することを理解されたい。つまり、それらの出力インピーダンスは、異なる負荷条件に適合する。アプリケータ210内の変圧器220は、ESU223内の電気手術用変圧器276よりも高い電圧を出力するが、変圧器220は、直列に組み合わされた組織負荷およびプラズマビームのインピーダンスの、より高い出力インピーダンスにも適合する。ESU223内に戻した電気手術用変圧器276は、出力電圧がより低く、電流能力がより高く、その出力インピーダンスは、組織と直接接触している電気手術用ブレード218のより低いインピーダンス値に一致する。Jプラズマモードにおける出力の例示的な値は、10キロオームの出力インピーダンス、4kV~6kVのピーク-ピークおよび140mAであり、ここで、電気手術モード(すなわち、CUT、COAG(例えば、ピンポイントまたは高周波療法)、および双極モードなどのJプラズマ以外のモードに対応して)における出力の例示的な値は、150~250オームの出力インピーダンス、300V~6.5kVのピーク-ピークおよび1.5Aである。これらの例示的な値は、例示目的のためだけのものであり、使用中に値が異なってもよいことを理解されたい。
【0035】
いくつかの実施形態では、COAG/CUTモードのときにガスがアプリケータ210に供給されてもよい。ブレード218が延ばされた一実施形態では、例えばガスを使用するCUTのために、ガスを流すことを可能にする、モードボタンが発電機に設けられてもよい。別の実施形態では、ブレード218が引き込まれたときに、高周波療法またはガスを用いる高周波療法が、ESU223内のボタンから可能にされてもよい。
【0036】
電極218は、上記実施形態ではブレードとして示され説明されているが、他の実施形態では、電極218は、必要に応じて他の形状、例えばワイヤ、針または球型の電極だがこれらに限定されない、で構成されてもよい。
【0037】
本開示の別の実施形態では、ESU223は、また、変圧器を含まない電気手術アプリケータとともに使用されるように構成されてもよい。一実施形態では、電気手術アプリケータ210の変圧器220は、取り除かれる。例えば、
図6Bを参照すると、ESU223に結合されたアプリケータ310を含む電気手術装置300が、本開示によって示される。
図3に示されるように、アプリケータ310は、変圧器組立体220などの変圧器組立体を含まない。ESU223は、内部変圧器を含むアプリケータ(例えばアプリケータ210)および内部変圧器を含まないアプリケータ(例えばアプリケータ310)の両方で使用されるように構成されていることを理解されたい。
【0038】
電気手術アプリケータ310が内部変圧器を含まない(すなわち変圧器220が含まれない)、この実施形態では、本明細書では内部Jプラズマモードと呼ばれる新しいプラズマモードが、ESU223のコントローラ277によって、アプリケータ310に内部変圧器が無くても、アプリケータ310がJプラズマモードを模倣するように、実行される。内部Jプラズマモードは、出力RF変圧器(例えば変圧器276)が、(電気手術アプリケータ310内ではなく)ESU223内にのみ配置される場合に使用されるように、設計されている。内部変圧器を含まない電気手術アプリケータ310の性能を最適化するために、本開示は、2つのアルゴリズムまたは機能を提供する。
【0039】
第1のアルゴリズムまたは機能は、動的漏洩電流補償と呼ばれ、電気手術アプリケータ310などのESU223に結合された器具において出力電流および出力電圧を計算するときに使用される。本開示の動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能は、内部Jプラズマモードが非常に高いRMS電圧で動作し、変圧器220などの変圧器を含む電気手術アプリケータ210によって使用されるプラズマモードの性能を最大限に模倣することを可能にする。以下に、より詳細に説明されるように、本開示の動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能は、20kΩまでの平坦な電力曲線を有する低電力RF電気手術用途に使用されるときに有利である。そのような電力曲線は、患者の組織に対する付随的な損傷を最小限に抑えるために、ユーザが非常に低い電力(例えば10Wまで低下)で作業することを可能にし、同時に、電極の引きずりおよび粘着なしに種々の組織に対して改善された性能を提供する。
【0040】
第2のアルゴリズムまたは機能は、動的RF変調と呼ばれ、電気手術アプリケータ310が内部Jプラズマモードのときに測定された組織インピーダンスに基づいて出力波形の波高率を(変調周波数を調整することによって)動的に制御するために使用される。本開示の動的RF変調のアルゴリズムまたは機能は、無負荷(すなわち使われていない)で動作しているときにアプリケータ310の遠位端206でのプラズマ点火を助けるために非常に高いピーク電圧(すなわち高い波高率)を提供するが、それと同時に、電気手術アプリケータのブレード(例えば、ブレード218)を用いて組織を切断するときにはかなり低い波高率を提供し、こうして新しい内部Jプラズマモードの性能を改善するのに役立つ。
【0041】
動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能および動的RF変調のアルゴリズムまたは機能の両方が、ESU223のコントローラ277などの電気手術発電機のプロセッサ、コントローラ、またはFPGAに実装されてもよいことを理解されたい。コントローラ277は、電力増幅器274に供給される電力を調整する(したがって、アプリケータ310によって負荷に印加される電気手術エネルギーの電力も調整する)ために、1つまたは複数の制御信号を電源272に送ることによって、動的漏洩電流補償アルゴリズムを実行するように構成される。コントローラ277は、電力増幅器274によって出力される電力信号の変調周波数を調整する(したがって、アプリケータ310によって負荷に印加される電気手術エネルギーの変調周波数および波高率も調整する)ために、1つまたは複数の制御信号を発振器273に送ることによって、動的RF変調アルゴリズムを実行するように構成される。後述されるように、いくつかの実施形態では、コントローラ277は、各アルゴリズムまたは機能を同時に実行するように構成される。
【0042】
本開示の各アルゴリズムまたは機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせでコントローラ277によって実行され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、各アルゴリズムまたは機能は、メモリデバイス(例えばメモリデバイス)に記憶され、適切な命令実行システム(たとえば、コントローラ277などの処理装置)によって実行可能なソフトウェアまたはファームウェア内に実装され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ277の様々なモジュール(例えば、動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能に対応する第1のモジュール、動的RF変調のアルゴリズムまたは機能に対応する第2のモジュールなど)は、例えば、ディスクリートの論理回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはそれらの任意の組み合わせを使用するハードウェア内に実装され得る。
【0043】
一実施形態では、ESU223は、ESU223の端子(すなわち能動端子および戻り端子)および単極用途で患者に取り付けられる中性電極または戻りパッドの1つまたは複数の電気的パラメータを感知するためのセンサを含む。例えば、再び
図6Aを参照すると、ESU223は、ESU223の能動端子および戻り端子の1つまたは複数の電気的パラメータ(例えば、電圧、電流など)を感知するように構成されたセンサ279を含むことができる。ESU223の能動端子は、コネクタ262のピン283に結合された変圧器276の出力に対応する。ESU223の戻り端子は、端子291に対応する。ESU223の能動端子は、昇圧変圧器276から出力された電力信号(すなわち電気手術エネルギー)をアプリケータ310などの電気手術アプリケータに供給する。ESU223の戻り端子は、電気手術アプリケータ310によって出力されて負荷に印加される電力信号の戻り経路を提供する。
【0044】
図6Aに示されるように、センサ279はコントローラ277に結合される。センサ279は、さらに、端子291(ESU223の戻り端子)を介して戻りパッド292に結合され、かつ、変圧器276の出力(ESU223の能動端子)に結合されている。センサ279は、電圧および電流データを感知するために、ESU223の能動端子および戻り端子において、電力信号をサンプリングするように構成される。センサ279は、感知されまたは測定された電気的パラメータをコントローラ277に送信するように構成される。さらに、一実施形態では、センサ279は、感知された任意のアナログデータを、コントローラ277によって読み取り可能なデジタルデータに変換するための1つまたは複数のアナログ-デジタル変換器を含むことができる。いくつかの実施形態において、センサ279は、電流を感知するための少なくとも1つの電流センサと、電圧を感知するための少なくとも1つの計器用変圧器とを含むことができる。ESU223の能動端子および戻り端子における電気的パラメータを感知するための他のセンサが、本開示の範囲内にあると考えられることを理解されたい。
【0045】
RFパラメータ
以下に示される表1は、動的漏洩電流補償および動的RFモジュラーのアルゴリズムまたは機能を実施するために使用される出力プッシュプル発生器のためのRFパラメータを含む。プッシュプル発生器は、出力変圧器275、276を駆動する電力増幅器段274であることを理解されたい。
【表1】
【0046】
表1に示される結果、および以下に説明される結果は、内部Jプラズマモードで動作する電気手術アプリケータ310(すなわち、アプリケータ310が変圧器を含まない場合)などの電気手術アプリケータを使用して、ESU223などのESUにおいて実行された。
【0047】
RF漏洩補償モデル
ESU223が高出力電圧(例えば400Vrms超)または高出力電流(例えば1Arms超)で動作しているとき、ESU223に結合された電気手術アプリケータ310の付属品ケーブル260のインピーダンス特性を、出力電力を供給するときに考慮に入れなければならない。考慮すべきインピーダンス特性は、ケーブル260内のワイヤの直列抵抗およびインダクタンスと、アースおよび中性電極292に対する並列浮遊容量とを含む。Jプラズマモードの場合(例えば、変圧器組立体220などの内部変圧器を含む電気手術アプリケータが使用される場合)、高い出力電圧(最大900Vrms)および最大20kΩの出力インピーダンスが存在する。さらに、動作RF周波数の付属品インピーダンス値は、出力負荷に近いか、またはそれ以下になり、すなわち336kHzで長さ2.4mのケーブルで測定されたインピーダンスは、6300Ω~7200Ωの間である(この測定は、接地基準モードの付属品に負荷が取り付けられていない場合である)。
【0048】
付属品のインピーダンスは、ケーブル260の長さおよびそれが作られた材料に依存するので、回路の特質は、その長さおよび材料全体にわたって分布すると仮定することができる。付属品は、分布素子モデルとして表すことができ、ここでδxは、付属品長さの小部分である。例えば、
図7を参照すると、ケーブル260などのESU付属品の分布素子モデル350が、本開示によって示される。
【0049】
図7に示される分布モデル350は、付属品ケーブル260の寸法と波長とが同等である高周波で使用される。波長と比較してケーブルの長さが短すぎる電気手術動作周波数(200kHz~2MHz)の場合、この分布素子モデル350は、本開示により、
図8に示されるように集中素子回路400に単純化することができる。
図8のZ
LEADSおよびZ
LEAKAGEは、例えばケーブル260である付属品の集中インピーダンスを表すことを理解されたい。Z
LEADSが直列成分であり、Z
LEAKAGEが並列成分であると仮定される。いくつかの実施形態では、Z
LEAKAGEは、アプリケータ310の等価並列インピーダンスも含むことを理解されたい。
【0050】
図8に示される集中素子モデル400は、出力負荷インピーダンス(すなわち、組織インピーダンス)を加えることによって、単純化されたESU出力回路を導出するために使用され得ることを理解されたい。電気手術用途において、Z
LOADは組織インピーダンスであることを理解されたい。Jプラズマモードでは、Z
LOADは、プラズマビームと組織インピーダンスとの組み合わされたインピーダンスである。例えば
図9を参照すると、出力負荷回路500が、本開示によって示される。
図9は、
u
ESU、
i
ESU、Z
LEAKAGE、Z
LEADS、およびZ
LOADを含む。ここで、
u
ESUは、ESU223の能動端子と戻り端子との間の出力電圧であり、
i
ESUは、ESU223の能動端子を通って出る出力電流であり、Z
LEAKAGEは、ESU223の能動端子および戻り端子に対する並列インピーダンスに等価なオーム単位の漏洩インピーダンスであり、Z
LEADSは、(例えばケーブル260などの付属品の)出力リード線の等価直列インピーダンスであり、Z
LOADは、患者インピーダンス(すなわち出力負荷)である。
【0051】
出力負荷回路500に基づいて、以下の式が導き出される。
i
LEAKAGE=(u
ESU-u
LEADS)/ZLEAKAGE (1)
i
LOAD=i
ESU-i
LEAKAGE (2)
u
LEADS=i
ESU-ZLEADS (3)
u
LOAD=u
ESU-u
LEADS (4)
【0052】
(FPGAまたはコントローラ277によって実行される)本開示の動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能は、一定の仮定をおくことによって、さらに単純化することができることを理解されたい。一実施形態では、2つのタイプの補償(すなわち、漏洩およびリード線)が互いに小さいまたは無視できる程度の影響しか及ぼさないと仮定される。言い換えると、高電流および低出力インピーダンスの場合、漏洩補正は無視できるほどである。ESU223の動作範囲全体にわたって、漏洩補償が優勢であるか、またはリード線補償が優勢であると仮定される。この仮定のもとで、式1(上に示される)は次のように修正される。
i
LEAKAGE=u
ESU/ZLEAKAGE (5)
【0053】
上記式5の修正は、本開示の動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能のための論理をより明快にする。
【0054】
図10を参照すると、本開示による等価負荷回路600が示され、回路600は、漏洩補償を実行するときに負荷電流を測定するために使用される。
【0055】
内部Jプラズマモードは、非常に高い動作電圧(例えば最大900VRMS)および最大20kΩまで平坦な電力曲線を必要とする。しかし、400VRMSを超えると、等価負荷回路600の電気モデルは、出力電圧の増大とともに、ますます不正確になる。出力電圧が増大するにつれて、回路600の電気モデルに含まれていない他の漏洩損失に起因して、漏洩電流も増大する。これは、より高いインピーダンスで動作するときに内部Jプラズマモードの性能を低下させ、電力曲線の平坦度を悪化させる可能性がある。
【0056】
より高い電圧で動作するときの回路600のモデルにおける上述の不正確さを補償するために、新しいモデルが提供される。
図11を参照すると、本開示による回路700が示される。回路700は、
図10に示されるESU出力負荷回路600の等価電気モデルである。回路700では、漏洩インピーダンス(Z
LEAKAGE)は、ESU出力電圧(
u
ESU)および(例えばセンサ279によって)感知されたESUインピーダンス(Z
ESU)の関数である制御された電流源(
i
LKG)に置き換えられる。
【0057】
漏洩電流が大きいほど、出力電圧の上昇に伴って漏洩インピーダンス(Z
LEAKAGE)が減少すると仮定される。より高い出力負荷で動作しているとき、漏洩電流が出力電力に与える影響はより大きいということも仮定される。これは、
図11の回路700における、出力電圧およびインピーダンスに依存する制御された電流源への漏洩インピーダンスの置換を正当化する。電流制御源の式は、以下の式で与えられる。
i
LKG=f(
u
ESU,Z
ESU)
=
u
ESU/Z
LEAKAGE(Z
ESU) (6)
ここで、Z
LEAKAGEは、Z
ESUの関数である。Z
ESUが増大していくと、Z
LEAKAGEは減少していく。
【0058】
関数ZLEAKAGE=f(ZESU)は近似によって導出されることを理解されたい。実験的には、漏洩インピーダンスは、出力負荷の組(例えば、20kΩ、15kΩ、10kΩ、5kΩなど)について内部Jプラズマモード機器を用いて測定することができる。漏洩インピーダンス(ZLEAKAGE)は、出力負荷と並列であると仮定されているので、次の式が導出される。
ZESU=ZLEAKAGE×ZLOAD/(ZLEAKAGE+ZLOAD) (7)
そして、漏洩インピーダンスは:
ZLEAKAGE=ZLOAD×ZESU/(ZLOAD-ZESU) (8)
【0059】
式(2)および式(6)に基づいて、出力電流は、次の式で求められる。
i
LOAD=i
ESU-u
ESU/ZLEAKAGE(ZESU) (9)
【0060】
動的漏洩補償
図12Aを参照すると、動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能が、本開示による方法800として示される。一実施形態では、動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能は、コントローラ277によって実行されて、電源272により出力される電力、したがって患者または負荷に供給される電気手術エネルギーの電力を制御することができることを理解されたい。さらに、一実施形態では、コントローラ277は、コントローラ277内部のシステムクロックの各立上りで方法800の各ステップを並列に実行することを理解されたい。
【0061】
ステップ802および810において、センサ279は、ESU223の能動端子および戻り端子における電圧データおよび電流データを同時にサンプリングする。ここで、サンプリングされた電圧データおよび電流データは、電力発生器回路270を介してアプリケータ310に供給される電気手術エネルギーと関連している。例えば、センサ279は、ESU223の能動端子と戻り端子との間の出力電圧と、ESU223の能動端子における昇圧変圧器276の出力電流とをサンプリングすることができる。一実施形態では、センサ279は、電圧および電流のアナログサンプルをデジタルデータに変換するための並列アナログ-デジタル変換器を含むことを理解されたい。ここで、電圧データおよび電流データは、その後、コントローラ277に供給される。次いで、コントローラ277は、ステップ804において、電圧データを用いて、電圧データに対する移動平均RMSを計算し、ステップ812において、電流データを用いて、電流データに対する移動平均RMSを計算する。一実施形態では、ステップ804および812における移動平均RMS計算の出力は、センサ279によってサンプリングされた、最後の4096個のサンプリング点についてのRMS値を含むことができることを理解されたい。
【0062】
次いで、ステップ806において、(ステップ804で計算された)電圧データの移動平均RMSは、電圧データの移動平均RMSに電圧スケーリング係数を乗算することによって、コントローラ277によりスケーリングされて、ステップ808において、ESU223端子間のRMS電圧が得られる。ステップ814において、(ステップ812で計算された)電流データの移動平均RMSは、電流データの移動平均RMSに電流スケーリング係数を乗算することによって、コントローラ277によりスケーリングされて、ステップ816において、変圧器276により出力され、ESU223の能動端子から負荷(すなわち患者の組織)に向かって流れるRMS電流(i
ESU)が得られる。電圧係数および電流係数は、メモリ278などのESU223のメモリに記憶されてもよいことを理解されたい。一実施形態では、電圧係数は、6.25mA/LSB(ここで、LSBはサンプリングされた電流データの最下位ビットを表す)であり、電流係数は、9.1V/LSB(ここでLSBはサンプリングされた電圧データの最下位ビットを表す)である。一実施形態では、電圧係数および電流係数は、センサ279の構成要素などの、ESU223のハードウェア構成要素に基づいて決定される。
【0063】
ステップ818において、コントローラ277は、ESU223の能動端子と戻り端子との間のRMS電圧(u
ESU)を、変圧器276により出力されたRMS電流で除算する。ステップ818の出力は、ステップ820において、ESU223の能動端子と戻り端子との間のインピーダンス(ZESU)を与える。
【0064】
一実施形態では、ESU223のメモリ278は、ESU223の端子間のインピーダンス(ZESU)の関数としての測定された漏洩インピーダンスの近似値(ZLEAKAGE)を含む第1のルックアップテーブル(LUT)を含むことができる。第1LUTは、ESU223の端子間のインピーダンス(ZESU)の各値に対応する漏洩インピーダンスの各値を含む。第1LUTにおける測定された漏洩インピーダンスは、測定値でもよく、または代替的に上記式(8)を用いて計算された値でもよいことを理解されたい。例えば、一実施形態では、第1LUTの値は、変化する既知の負荷条件(すなわち既知の負荷インピーダンスZLOAD)の下で、アプリケータ310を使用して電気手術エネルギーを供給しながら、ESU223の端子間のインピーダンス(ZESU)を測定することにより決定される。測定されたZESUおよび既知のZLOADを用いて漏洩インピーダンス(ZLEAKAGE)が計算され、第1LUTに保存される。これは、ESU223の端子間で測定されたインピーダンス(ZESU)の異なる値に対応する漏洩インピーダンス(ZLEAKAGE)の値が第1LUTに多く含まれるまで、変化する負荷インピーダンス(ZLOAD)に対して繰り返される。第1LUTテーブルを使用することによって、コントローラ277の計算上の負担が軽減され、漏洩インピーダンス(ZLEAKAGE)がコントローラ277によって即座に決定されることができる。
【0065】
他の実施形態では、コントローラ277は、第1LUTを使用せずに、ESUの端子間のインピーダンス(ZESU)の関数として漏洩インピーダンス(ZLEAKAGE)を近似する式を使用することによって、漏洩インピーダンス(ZLEAKAGE)を動的に決定するように構成される。
【0066】
この実施形態では、コントローラ277は、ステップ822において、第1LUT内のESU223の端子間の計算されたインピーダンス(ZESU)を調べて、ESU223の能動端子と戻り端子との間の計算されたインピーダンス(ZESU)に対応する、電気手術アプリケータ310の漏洩インピーダンス(ZLEAKAGE)を見つける。上述のように、電気手術アプリケータ310の漏洩インピーダンス(ZLEAKAGE)は、電気手術アプリケータ310および電気手術アプリケータ310をESU223に結合するために使用される任意の付属品(例えばケーブル260)の等価漏洩インピーダンスである。このようにして、ステップ824において、コントローラ227は、内部Jプラズマモードになっている電気手術アプリケータ310の漏洩インピーダンス(ZLEAKAGE)を動的に導出する。
【0067】
ステップ826において、コントローラ277は、ESU223の能動端子と戻り端子との間のRMS電圧(u
ESU)を漏洩インピーダンス(ZLEAKAGE)で除算する。ステップ826の出力は、ステップ828において、電気手術アプリケータ310の漏洩電流(i
LEAKAGE)を与える。上述のように、電気手術アプリケータ310の漏洩電流(i
LEAKAGE)は、電気手術アプリケータ310および電気手術アプリケータ310をESU223に結合するために使用される任意の付属品(例えばケーブル260)による漏洩電流(i
LEAKAGE)である。
【0068】
ステップ830において、コントローラ277は、メモリ278から出力リード線のインピーダンスZLEADSを読み出す。一実施形態では、ZLEADSは、所定の長さのケーブル260を使用して実験的に決定されることを理解されたい。次に、ステップ832において、コントローラ277は、変圧器276から出力され、ESU223の能動端子から負荷に向かって流れるRMS電流(i
ESU)を使用して、出力リード線の電圧(u
LEADS)を計算する。出力リード線の電圧(u
LEADS)は、ケーブル260の長さにわたる等価電圧であり、ステップ832において上記式(3)を使用して計算されることを理解されたい。
【0069】
ステップ834において、ステップ808からの能動端子と戻り端子との間の電圧(u
ESU)と、ステップ832からの出力リード線の電圧(u
LEADS)とが、コントローラ277により使用されて、負荷に現在印加されている電圧(u
LOAD)が計算される。さらに、ステップ836において、ステップ828からの電気手術アプリケータ310の漏洩電流(i
LEAKAGE)と、ステップ816からのESU223の能動端子から負荷に向かって流れるRMS電流(i
ESU)とが、コントローラ277により使用されて、現在負荷に印加されている出力電流(i
LOAD)が計算される。負荷に現在印加されている電圧(u
LOAD)は、上記式(4)を使用してコントローラ277によって計算することができ、負荷に現在印加されている出力電流(i
LOAD)は、上記式(9)を使用してコントローラ277によって計算することができることを理解されたい。
【0070】
次いで、ステップ838において、負荷に現在印加されている電圧(u
LOAD)と、負荷に現在印加されている出力電流(i
LOAD)とが、コントローラ277により使用されて、アプリケータ310により負荷に現在印加されている出力電力が計算される。さらに、ステップ840において、負荷に現在印加されている電圧(u
LOAD)は、コントローラ277により、負荷に現在印加されている出力電流(i
LOAD)で除算されて、ステップ842において、負荷のインピーダンス(ZLOAD)が計算される。ステップ840で計算された負荷のインピーダンス(ZLOAD)は、患者または負荷の計算されたインピーダンス(ZLOAD)がESU223によって感知されたインピーダンス(ZESU)と比較して、どの程度異なるかを確認するための診断データとして使用されるために、コントローラ277によりESU223のメモリ278内に保存されてもよい。
【0071】
方法800の動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能は、ESU223のコントローラ277により継続的に実行されて、方法800のステップ838で計算された漏洩電流を補償するために患者または負荷に供給される電力を動的に調整してもよいということを理解されたい。
【0072】
例えば、
図12Bを参照すると、方法800の動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能に基づいて、患者または負荷に現在印加されている電気手術エネルギーの電力レベルを調整するための方法850のフローチャートが、本開示によって示される。ステップ852において、コントローラ277は、漏洩電流(
i
LEAKAGE)に基づいて、アプリケータ310によって患者または負荷に現在印加されている電気手術エネルギーの電力レベルを決定する。コントローラ277は、方法800のステップ838に関して上述された方法で、負荷に現在印加されている電気手術エネルギーの電力レベルを決定することを理解されたい。ステップ854において、コントローラ277は、負荷に現在印加されている電気手術エネルギーの電力レベルが所定の電力レベルと一致するか否かを判定する。ここで、所定の電力レベルは、特定の処置で使用されることが望まれる(ESU223を使用してユーザにより選択可能な)目標または設定点の電力レベルである。所定の電力レベルは、メモリ278に記憶されてもよい。
【0073】
ステップ854において、現在負荷に印加されている電気手術エネルギーの電力レベルが所定の電力レベルと一致する(または所定の電力レベルの所定の範囲内にある)とコントローラ277が決定した場合、方法850は、ステップ852に戻る。あるいは、ステップ854において、コントローラ277が、現在負荷に印加されている電気手術エネルギーの電力レベルが所定の電力レベルと一致しない(すなわち、現在供給されている電力が電気手術アプリケータ310の漏洩電流(i
LEAKAGE)に起因して所定の電力レベル未満である)場合、コントローラ277は、ステップ856において、負荷に印加されている電気手術エネルギーの決定された電力レベルに基づいて、電源272によって出力され電力発生器回路270の電力増幅器274に供給される電力信号の電力レベルを調整するように構成される。コントローラ277は、制御信号を電源272に送ることによって、電源272により出力される電力信号の電力レベルを調整し、必要に応じて電源272により出力される電力信号の電力レベルを増減して、所定の電力レベルに一致させることを理解されたい。コントローラ277が、電源272が出力する電力信号の電力レベルを増大させると、患者または負荷に印加される電気手術エネルギーの電力レベルも増大する(逆もまた同様)。ステップ856の後、方法850は、コントローラ277によって再度実行される。このようにして、アプリケータ310によって負荷に印加される電気手術エネルギーの電力レベルは、負荷に供給された実際の電力(ステップ838/852において決定された)に基づいてコントローラ277により継続してかつ動的に調整されて、電気手術アプリケータ310の漏洩電流(i
LEAKAGE)を補償し、特定の処置に望まれる所定の電力レベルを維持する。
【0074】
一実施形態では、方法800、850は、400usの時間間隔(例えば周波数2.44kHz)で周期的にコントローラ277によって実行される。
【0075】
動的RF変調
ESU223のコントローラ277は、また、本開示の動的RF変調のアルゴリズムまたは機能を実行し、ESU223内のRFプッシュプルドライバまたは発振器273を制御して、所望の波高率を有する、負荷または患者への電力信号または電気手術エネルギーを供給するように構成されてもよい。動的RF変調のアルゴリズムまたは機能は、コントローラ277がアプリケータ310などの電気手術アプリケータのRF出力のいくつかのパラメータを制御することを可能にするように構成される。パラメータは、
・周波数(1/Period)
・プッシュプルパルス間のデッドタイム*
・1変調周期内のRFパルス数(NumberOfPulses)
・各変調サイクル間のオフタイム(OffTime)
を含む。
【0076】
発振器273におけるデッドタイムは、電力増幅器274の両方のレッグ(both legs)の対応する駆動パルス間に、重なりを防ぐために導入されている時間であることを理解されたい。
【0077】
内部Jプラズマモードの場合、上記にリストされた各パラメータは、上記表1に示される。動作周波数、デッドタイム、およびRFパルス数は、固定されていることを理解されたい。1変調サイクルにおける周波数、デッドタイム、およびRFパルス数のそれぞれに関連する値は、それぞれESU223のメモリ278に保存される。しかしながら、動的RF変調のアルゴリズムまたは機能は、方法800に示される動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能のステップ820からのESUインピーダンス(ZESU)に基づいて、各変調サイクル間のOffTimeを動的に変更するために、コントローラ277によって使用されてもよい。言い換えると、変調されたサイクル間のOffTimeは、ZESUの関数である。
【0078】
図13を参照すると、例示的な変調電力信号1150が、本開示によって示される。電力増幅器274によって出力された電力信号は、発振器273によって変調される。
図13の信号1150は、電力増幅器274によって出力された例示的な変調された電力信号である。
図13に示されるように、変調された電力信号1150は、オンタイムまたは発振サイクル1152を有し、ここで信号は変調される。変調された電力信号1150は、オフタイム1154も含み、ここで信号は動作していない(つまり変調されていない)。オンタイム1152およびオフタイム1154の合計は、変調された信号1150の変調サイクルまたは変調周期から構成される。
【0079】
ESU223の能動端子と戻り端子との間のインピーダンス(ZESU)が増大すると、OffTimeは増大し、逆も同様である。以下の式(10)および(11)から分かるように、OffTimeが増大すると、変調周波数(つまりオンタイム1152+オフタイム1154の周波数)およびデューティサイクルは、減少する。さらに、負荷に供給される電力信号または電気手術エネルギーの波高率(VPEAK/VRMS)は増大し、それによって、ESU223の閉ループシステムが出力RMS電力または出力電圧を維持する場合、ピーク電圧が高くなる。RMS電力は、上述の漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能を実行することによって、維持されるかまたは比較的一定に保持されることを理解されたい。さらに、出力インピーダンスが比較的低い場合(最大2000Ω)、動的RF変調のアルゴリズムまたは機能により、コントローラ277は、OffTimeをより低く設定し、それによってデューティサイクルは増大する。このようにして、切断組織効果は、炭化を少なくしながら、より強くなる。以下に、変調周波数およびデューティサイクルの式が与えられる。
ModulationFrequency
=1/(Period×NumberOfPulses+OffTime) (10)
DutyCycle
=Period×NumberOfPulses/(Period×NumberOfPulses+OffTime) (11)
【0080】
一実施形態では、メモリ278は、ZESUの異なる値の関数として、かつZESUの異なる値に対応する、OffTimeの値を含む第2LUTを含む。OffTimeの値を含む第2LUTは、動的RF変調のアルゴリズムまたは機能において、コントローラ277によって使用され、決定されたZESUに基づいて(すなわち、方法800のステップ820で決定されたように)、所望のOffTimeが決定される。以下で説明されるように、所望のOffTimeは、実行されている処置にとって所望の波高率に関連するOffTimeであることを理解されたい。
【0081】
次いで、OffTimeは、決定されたZESUに基づいて所望のModulationFrequencyを決定するためにコントローラ277によって使用される。次いで、コントローラ277は、発振器273に制御信号を送り、電力増幅器274によって出力される電力信号に、決定されたZESUに基づく所望のModulationFrequencyを持たせる。このようにして、ZESUが変化すると(異なる負荷条件で負荷インピーダンスZLOADが変化するのに起因して)、ModulationFrequencyが調整され、したがって負荷に印加される電力信号または電気手術エネルギーの波高率も調整される。
【0082】
OffTimeを含む第2LUTにおける値は、負荷インピーダンス(ZLOAD)が低い場合、アプリケータ310の接触/切断動作モードを支援するために波高率も低くなり、かつ、負荷インピーダンス(ZLOAD)が高い場合、非接触動作モードを支援するために波高率も高くなるように、選択される。一実施形態では、第2LUTは、後述のように3つの部分に分けられる。
【0083】
第2LUTの第1の部分において、第2LUTは、アプリケータ310が接触処置(例えば組織を切断する)において使用されている負荷状態に関連するZESUおよび対応するOffTimeの値を含む。第1の部分におけるZESUの値は、第1閾値(例えば、最大2kΩの負荷インピーダンスZLOADに関連する1.6kΩ以下のZESUの値)以下である。第2LUTの第1の部分において、ZESUが第1閾値以下である間にZESUに対応するOffTimeの値が選択される。その結果、ModulationFrequencyが第2LUTの第1の部分におけるOffTimeに基づいて決定されるときに、接触処置に対して最適な波高率(例えば2.0~2.3)が、電力増幅器274によって出力される電気手術エネルギーに対して得られる。一実施形態では、第2LUTの第1の部分のOffTimeの値は、第2LUTが使用されるときに、電力増幅器274によって出力される電気手術エネルギーの波高率が、第1所定値または第1範囲(例えば2.0~2.3)内で比較的一定のままであるように、選択される。
【0084】
第2LUTの第2の部分において、第2LUTは、アプリケータ310が非接触処置(例えば、組織を凝固させるためのプラズマモード)において使用されている負荷状態に関連するZESUおよび対応するOffTimeの値を含む。第2の部分におけるZESUの値は、第2閾値(例えば、最大4.5kΩの負荷インピーダンスZLOADに関連する3.5kΩ以上のZESUの値)以上である。第2閾値は、第1閾値より大きいことを理解されたい。第2LUTの第2の部分において、ZESUが第2閾値以上である間にZESUに対応するOffTimeの値が選択される。その結果、第2LUTの第2の部分におけるOffTimeに基づいてModulationFrequencyが決定されるときに、非接触処置に最適な波高率(例えば5.0~6.0)が、電力増幅器274によって出力される電気手術エネルギーに対して得られる。一実施形態では、第2LUTの第2の部分におけるOffTimeの値は、第2LUTが使用されるときに電力増幅器274によって出力される電気手術エネルギーの波高率が、第2所定値または第2範囲(例えば5.0~6.0)内で比較的一定のままであるように、選択される。
【0085】
LUTの第3の部分は、ZESUと、第1所定閾値を超え、第2所定閾値未満のZESUの値(例えば、1.6kΩより大きく3.5kΩより小さいZESUの値)に対応するOffTimeの値を含む。第1所定閾値を超え、第2所定閾値未満のZESUの値についてのこの遷移範囲では、OffTimeの値は、遷移範囲においてZESUが増大するにつれて、第2LUTが使用されるときに電力増幅器274によって出力される電気手術エネルギーの波高率も比較的比例して増大するように、選択される。一実施形態では、OffTimeの値は、ZESUが増大するにつれて波高率が比較的線形に増大するように、選択される。ZESUが増大するにつれて波高率が徐々に増大するようにOffTimeの値を選択することにより、アプリケータ310によって出力されるプラズマビームの不安定性または望ましくない振動が、遷移範囲全体にわたって低減する。
【0086】
第2LUTテーブルを使用することにより、コントローラ277に掛かる計算の負担が軽減され、OffTimeは、コントローラ277により即座に決定されることができる。他の実施形態では、コントローラ277は、ESUの端子間のインピーダンス(ZESU)の関数としてOffTimeを近似する方程式を使用することによって、第2LUTを使用せずに動的にOffTimeを決定するように構成される。
【0087】
一実施形態では、LUTにおけるOffTimeの値は、それぞれ、26~57kHzのModulationFrequencyの上下限または31~68%のデューティサイクルの上下限を表す最小値および最大値を含む。このようにして、ModulationFrequencyは、26~57kHzで変化し、デューティサイクルは、31~68%の範囲内である。
【0088】
図14および
図15を参照すると、本開示によるグラフ900およびグラフ1000が示される。グラフ900は、ESU223に結合されたアプリケータ310によって負荷に供給された電気手術エネルギーの、20kΩの出力負荷における測定値を示し、ここで、波形は、顕著な凝固効果(例えばデューティサイクル31%)を有する。グラフ1000は、出力負荷が1000Ωに変更された後における測定値を示す。グラフ1000の測定値は、波形が顕著な切断効果(例えばデューティサイクル68%)を有することを示している。グラフ900およびグラフ1000は、本開示の動的RF変調のアルゴリズムまたは機能を使用して、変調周波数、オフタイム、デューティサイクル、および波高率が、異なる負荷条件(すなわち、変化する負荷インピーダンスZ
LOADおよび変化するESUインピーダンスZ
ESU)に基づいて、どのように自己調整するかを示す。
【0089】
図16を参照すると、動的RF変調のアルゴリズムまたは機能は、本開示による方法1100として示されている。一実施形態では、動的RF変調のアルゴリズムまたは機能は、200msの所定の時間間隔で周期的にコントローラ277によって実行されてもよいことを理解されたい。
【0090】
ステップ1102において、ESU223の能動端子と戻り端子との間のインピーダンス(ZESU)が、コントローラ277によって計算される。ZESUは、方法800のステップ820で説明されたように計算できることを理解されたい。ステップ1104において、コントローラ277は、ステップ1102で計算されたZESUに基づいて、アプリケータ310によって負荷に供給される電気手術エネルギーに関連する電力信号のOffTimeを決定する。一実施形態では、コントローラ277は、ステップ1102で計算されたZESUを使用して、ZESUの異なる値に基づくOffTimeを含む第2LUTにおいて対応するOffTimeを探して、ZESUに基づくOffTimeを決定する。(ステップ1104で計算された)OffTime、(ステップ1102で計算された)ZESUは、今やコントローラ277によって知られており、かつ、電力信号のPeriodおよびNumberOfPulsesは、(固定されているために)予め決定されメモリ278に記憶されているので、コントローラ277は、ステップ1106において、(上に示される)式(10)を用いて、ModulationFrequencyを計算する。
【0091】
ステップ1106においてModulationFrequencyが決定された後、コントローラ277は、ステップ1108において、決定されたModulationFrequencyを有するように、電力増幅器274によって出力される信号のModulationFrequencyを調整する(したがって、アプリケータ310によって負荷に印加される電気手術エネルギーまたは電力信号の変調周波数も調整する)。コントローラ277は、制御信号を発振器273に送信して、計算されたModulationFrequencyにおいて電力増幅器274によって出力された電力信号を変調することによって、電力増幅器274によって出力された電力信号のModulationFrequencyを調整するように構成される。ステップ1108の後、方法1100は繰り返される。方法1100において示される動的RF変調のアルゴリズムまたは機能は、計算されたZESUに基づいて電力信号のModulationFrequencyを動的に調整するために、コントローラ277によって継続して実行され得ることを理解されたい。ZESUに基づいて電力信号のModulationFrequencyを動的に調整することにより、波高率も動的に調整される。
【0092】
計算されたZESUに基づいてOffTimeを動的に調整することにより、方法1100において示される動的RF変調のアルゴリズムまたは機能は、コントローラ277によって実行されると、変調された電力信号をESU223の電力発生器回路270が電気手術アプリケータ310に供給することを可能にする。この変調された電力信号は、ZESUが変化している間に電気手術アプリケータ310によって出力される電力信号または電気手術エネルギーの波高率を最適化するModulationFrequencyを有する。これにより、電気手術アプリケータ310によって出力される電力信号は、(電気手術アプリケータ310の接触モードまたは切断モードを支援するための)低い負荷インピーダンス(ZLOAD)に対する低い波高率(および低いVPEAK)と、(電気手術アプリケータ310の非接触モードまたはプラズマモードのための)プラズマ点火を支援するための高い負荷インピーダンス(ZLOAD)に対する高い波高率(および高いVPEAK)とを有することになる。本開示の動的RF変調のアルゴリズムまたは機能がコントローラ227によって実行されると、電気手術アプリケータ310によって出力される電力信号の波高率が、単一の動作モードを使用して、様々な負荷インピーダンス(ZLOAD)の下で、切断モードと非接触モードまたはプラズマモードとの両方を支援することができるように、コントローラ227によって自動的に調整されるように、LUTにおけるOffTimeの値が選択される。
【0093】
一実施形態では、本開示の動的漏洩電流補償および動的RF変調のアルゴリズムまたは機能の両方は、ESU223のコントローラ277によって、同時に実行されてもよい。両方のアルゴリズムまたは機能は、それらの入力パラメータがアルゴリズムまたは機能自体に依存しないので、並列に実行されることができる。両方のアルゴリズムまたは機能に対して、入力パラメータは、(方法800および方法1100のステップ820およびステップ1102において計算される)ZESUである。動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能を使用して患者に供給される電力信号の電力レベルを調整すること、および、動的RF変調のアルゴリズムまたは機能を使用してModulationFrequency(したがって波高率)を調整することは、ZESUに影響を与えない。両方のアルゴリズムまたは機能がコントローラ277によって並列に実行されることにより、ESU223の能動端子と戻り端子との間のインピーダンス(ZESU)に基づいて、調整された適切な、負荷または患者に供給される出力電力と、動的波高率とが得られる。さらに、コントローラ277によって並列に実行される両方のアルゴリズムまたは機能は、ESU223およびアプリケータ310が、所望の電気手術効果を達成するのに必要な最小量の電力で動作することを可能にする。必要最小限の電力を使用することにより、組織の損傷が大幅に軽減される。
【0094】
高い出力RMS電圧を維持するために漏洩電流(方法800のステップ828で計算されるi
LEAKAGE)を補償する能力は、(変圧器220が電気手術アプリケータ310に含まれる)元のJプラズマモードを可能な限り近似するシミュレーションを行う閉ループ動作モードを実行することを可能にする。本開示の動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能を備えることによって、最大20kΩまで非常に平坦な電力曲線を得ることができる。これによって、低い電力設定において高いRMS電圧が確実に得られ、それによって電気手術アプリケータ310のプラズマ点火が容易に行われ、電気手術アプリケータ310によって生成されたプラズマビームが維持される。一方、電気手術的範囲(50Ω~2000Ω)の出力電力は、非常に正確であり、これによって、患者の組織に対する電気手術の効果の度合いが非常に正確に維持される。また、ESU223の内部からの閉ループ制御によって、異なる周波数変調、最大出力RMS電流および電圧などの異なるRF構成を迅速に探索し、新しいプラズマ特性および性能を評価する機会が与えられる。
【0095】
動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能は、最大20kΩの平坦な電力曲線を有する低電力切断モードの用途(例えば最大50ワット)にも使用することができる。これによって、本開示の動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能を実施するESU223に結合された電気手術アプリケータ310を使用して、非常に低い電力で動作して正確な組織切断を行う能力がユーザに与えられる。この理由は、ESU223が10ワット設定であっても開回路において高いRMS電圧を維持し、それによって、当初の切断プロセスが容易になり、かつ、患者の組織上におけるブレード218の引きずりが最小限になるからである。
【0096】
本開示の動的RF変調のアルゴリズムまたは機能を内部Jプラズマ動作モードに導入することによって、本開示の動的RF変調のアルゴリズムまたは機能を実施するESU223に結合された電気手術アプリケータ310によって生成されたプラズマの物理的プラズマ特性が、著しく改善される。動的RF変調のアルゴリズムまたは機能は、ZESUに基づいて、ESU223によって電気手術アプリケータ310に供給されるRF信号の(したがって負荷に供給される電力信号の)波高率を動的に変更する。出力インピーダンスZESUが増大すると、動的RF変調のアルゴリズムまたは機能は、波高率を増大させ、またその逆も同様である。この動作は、プラズマが点火される前のイオン化の可視性を高める。言い換えると、これは、プラズマの電気手術アプリケータ310の照準能力を向上させる。無負荷状態で波高率またはピーク電圧が高く保たれると、動的RF変調のアルゴリズムまたは機能は、同じ出力電力およびRMS電圧を維持しながら、プラズマビームを点火することができる距離を増大させる。
【0097】
本開示の動的RF変調のアルゴリズムまたは機能の別の態様は、より低い出力インピーダンスZESU(例えば、電気手術的範囲100Ω~3000Ω)で動作するとき、動的RF変調のアルゴリズムまたは機能を使用するESU223は、RFの波高率を低減させ、組織に対する切断効果を大幅に向上させる。
【0098】
ESU223および電気手術アプリケータ310を含む1つのシステムに、閉ループと動的漏洩電流補償および動的RF変調のアルゴリズムまたは機能の両方とを組み合わせると、内部Jプラズマモードの独自の性能特性、すなわち切断し、凝固させ、かつ、プラズマビームを維持することができるハイブリッドモードを作りだす独自の能力が、比較的簡単でコスト効果の高い変圧器不要の付属品、例えば変圧器220を取り除いた電気手術アプリケータ310を用いて、得られる。
【0099】
例示的な結果
図17および
図18を参照すると、グラフ1200およびグラフ1300が本開示によって示される。
【0100】
グラフ1200は、ESU223に結合された電気手術アプリケータ310の出力負荷の測定された電力曲線を示し、アプリケータ310は、コントローラ277において可能にされる本開示の両方のアルゴリズムまたは機能を有する接地基準の内部Jプラズマ動作モードになっている。グラフ1200の電力曲線は、20kΩまで比較的平坦な電力曲線を示す。接地基準モードで動作すると、漏洩電流は、空間内の電気手術アプリケータ310の位置およびオペレータの取り扱いに依存する(例えばハンドピースまたは足踏みスイッチからRFを起動させると、漏洩電流に僅かな差が生じる)。しかし、グラフ1200に示されるように、適用されたアルゴリズムまたは機能(すなわち、動的漏洩電流補償および動的RF変調のアルゴリズム機能)を用いると、40Wでも電力曲線は依然として平坦である。
【0101】
グラフ1300は、電気手術アプリケータ310が、コントローラ277において可能にされる本開示の両方のアルゴリズムまたは機能を有する、絶縁された内部Jプラズマ動作モードになっているときの、測定された電力曲線を示す。絶縁モードにおいて漏洩電流が小さくなるとき、動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能で使用される漏洩インピーダンスLUTも異なる。当該モードは、絶縁付属品用のインピーダンスLUTで微調整される。グラフ1300に示される測定された電力曲線は、動的漏洩電流補償のアルゴリズムまたは機能が、最大20kΩまでの低電力で平坦な曲線を必要とする任意の絶縁動作モードに適用できることを示す。電力曲線は、
図17に示される接地基準動作モードに比べて、さらにいっそう正確である。
【0102】
グラフ1200およびグラフ1300に示される測定された電力曲線は、本開示の動的漏洩電流補償および動的RF変調のアルゴリズムまたは機能を使用して、内部Jプラズマ動作モードになっているESU223および電気手術アプリケータ310を使用して、取得されたことを理解されたい。典型的な組織インピーダンスをシミュレーションするために、300オーム抵抗器を介して中性電極292に連結された金属板を使用して、測定が行われた。金属板が50mm離れて位置決めされたときにストリーマが測定された。ストリーマは、アプリケータが任意の物体から離れて向けられているときに見られる微かな放電ビームであり、ストリーマを用いて方向精度を向上させることができることを理解されたい。以下において、表は、グラフ1200のプラズマビーム測定値に関連するプラズマビーム特性を含む。
【表2】
【0103】
図示され説明される様々な機能は、交換可能であること、すなわち、一実施形態に示される機能は、他の実施形態に組み込まれてもよいこと、を理解されたい。本開示のいくつかの好ましい実施形態を参照して、本開示が示され説明されてきたが、当業者によって、添付された特許請求の範囲で定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、実施形態において形態および詳細に様々な変更を加えることができることが理解されるであろう。さらに、前述の文章は、多数の実施形態の詳細な説明を記載しているが、本発明の法的範囲は、この特許の末尾に明記された特許請求の範囲の言葉によって定義されることを理解されたい。すべての可能な実施形態を説明することは、不可能ではないにしても実現困難であるため、詳細な説明は、例示的なものにすぎないと解釈されるべきであり、すべての可能な実施形態を説明するものではない。現在の技術またはこの特許の出願日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多数の代替実施形態が実施されることができ、それらも依然として特許請求の範囲内に入る。「本明細書で使用される場合、用語『___』は、本明細書では、…を意味する」という文または同様の文を使用して、用語が本特許において明示的に定義されない限り、その用語の意味は、明示的または暗示的にかかわらず、その明白なまたは通常の意味を超えて限定する意図はなく、そのような用語は、(特許請求の範囲の文言以外の)本特許のいずれかの節での記述に基づいて範囲が限定されると解釈されるべきではないことも理解されたい。本特許の末尾の特許請求の範囲に記載する任意の用語が単一の意味と一致するように本特許において言及される限りにおいて、それは読者を混乱させないように明確にするためにのみなされ、そのような特許の用語が、暗示または他の方法により、その単一の意味に限定されることは意図されない。最後に、請求項の要素が「手段」という語および構造を列挙せずに機能を列挙することによって定義されない限り、いかなる請求項の要素の範囲も、米国特許法第112条第6項の適用に基づいて解釈されることを意図しない。