(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 33/00 20060101AFI20240723BHJP
B65D 30/16 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B65D33/00 Z
B65D30/16 G
(21)【出願番号】P 2023064864
(22)【出願日】2023-04-12
(62)【分割の表示】P 2020089095の分割
【原出願日】2020-05-21
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】391003794
【氏名又は名称】押尾産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正和
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-189474(JP,A)
【文献】登録実用新案第3118609(JP,U)
【文献】特開2019-1507(JP,A)
【文献】特開2020-7033(JP,A)
【文献】特開2015-30537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 30/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材からなる袋状の袋本体と、前記袋本体の両側部を屈曲させて該袋本体を収容する筒状のカバーとを備える包装袋であって、
前記カバーには、縁側から中央側に向かって切り欠かれた切欠部が設けられ、
前記カバーは、前記袋本体が屈曲してなる角部に前記切欠部が位置するように前記袋本体に取り付けられ、
前記切欠部は、上縁から中央側に向かって切り欠かれている切欠部と、下縁から中央側に向かって切り欠かれている切欠部とを含むことを特徴とする包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材から構成される包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチックボトルやガラス瓶等のボトル容器に代えて、樹脂シートを袋状に形成した包装袋が使用されている。樹脂シートから形成される包装袋は、プラスチックボトルやガラス瓶等のボトル容器に比べて省資源化が可能であり、また使用後に小さく折り畳むことができるため、ごみの減容化にも寄与する。
【0003】
上記包装袋としては、例えば、特許文献1に開示される包装袋が知られている。特許文献1の包装袋の袋本体は、底面シートと一対の側面シートとからなり、二つ折りにした底面シートを一対の側面シートの間に挟み込ませた状態として、底面シート及び側面シートの各側縁を熱溶着することにより袋状に形成されている。また、特許文献1の包装袋には、包装袋の自立性の向上を目的として、袋本体の両側部が接近するように屈曲させて袋本体を収容する筒状のカバーが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の包装袋は、包装袋を手で把持した際に、袋本体に対して、筒状のカバーが周方向に回転することにより、カバーの位置がずれてしまうことがあった。
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、カバーの周方向の位置ずれを抑制することを可能にした包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する包装袋は、シート材からなる袋状の袋本体と、前記袋本体の両側部を屈曲させて該袋本体を収容する筒状のカバーとを備える包装袋であって、前記カバーには、縁側から中央側に向かって切り欠かれた切欠部が設けられ、前記カバーは、前記袋本体が屈曲してなる角部に前記切欠部が位置するように前記袋本体に取り付けられ、前記切欠部は、上縁から中央側に向かって切り欠かれている切欠部と、下縁から中央側に向かって切り欠かれている切欠部とを含む。
【0007】
上記構成によれば、カバーは、袋本体の両側部が屈曲してなる角部、即ち、角が突き出ている部分に切欠部が位置するように配置される。これにより、包装袋を手で把持した際に、筒状のカバーに対して、カバーを回転させる方向の力が作用したとしても、袋本体の角部がカバーの切欠部の内縁に引っ掛かることによって、カバーの周方向の位置ずれが抑制される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の包装袋によれば、カバーの周方向の位置ずれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)は、袋本体の斜視図、(b)は、袋本体の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
図1(a)及び
図1(b)に示すように、包装袋は、シート材としての樹脂シートにより袋状に形成される袋本体10を備えている。袋本体10を構成する樹脂シートとしては、包装袋に一般的に用いられる公知の樹脂シートを用いることができる。上記樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、及びポリエステル等からなる単層又は多層の樹脂シートが挙げられる。
【0011】
袋本体10は、折り目が上方を向くように二つ折りにされた横長長方形状の底面シート11と、その底面シート11を挟み込むように対向配置された一対の縦長長方形状の側面シート12とから構成されている。袋本体10は、底面シート11を挟んで一対の側面シート12を重ね合わせた状態とされ、その左辺部分、右辺部分及び下辺部分がそれぞれ接着されることにより、上辺部分を開口可能な袋状に形成されている。本実施形態においては、袋本体10の上辺部分が、袋本体10の周縁の一部が未接着とされてなる開口部13を構成する。なお、
図1(a)において、ドットが付与されている領域は、シート材同士が接着されている部分を示している。
【0012】
袋本体10の両側部には、一対の補強部材20が取り付けられている。補強部材20は、袋本体10の縁部の接着部分を外側から覆う横断面コ字状(溝状)をなす柱状の部材である。補強部材20は、袋本体10の側縁全体、及び上縁の端部を補強するように全体として略L字状に形成されている。両補強部材20は、袋本体10の上縁及び側縁の接着部分に対して一体に固定されている。
【0013】
図1(a)に示すように、包装袋は、袋本体10の上縁の開口部13に取付部材としての口具30を取り付けて使用される。詳述すると、口具30は、上下に開口する円筒状の筒部31を備えている。筒部31の下部には、半径方向に突出する取付部32が設けられている。筒部31の上部の外周には、キャップ34が取り付けられている。また、筒部31における取付部32の上部には、取付部32よりも半径方向に突出するフランジ33が設けられている。口具30の取付部32を袋本体10の開口部13に挿入する挿入工程、及び取付部32の周面と袋本体10の開口部13である袋本体10の上辺部分とを接着するとともに、開口部13の側面シート12同士を接着する接着工程を順に行うことにより、袋本体10の開口部13に口具30が取り付けられる。
【0014】
図2に示すように、袋本体10は、両側部を接近させるように屈曲させた屈曲形状、即ち上面視において略C字状に丸められたような形状とされている。具体的には、袋本体10の両側部を、袋本体10を構成する一方の側面シート12側に屈曲させて、両側部を互いに接近させた状態とされている。なお、
図2及び
図4においては、補強部材20の図示を省略している。上記屈曲形状とされている袋本体10は、上部側の幅が狭く、下部側の幅が広い側面視台形状をなしている。そして、上記屈曲形状とされている袋本体10の上部の外周に対して筒状のカバー40が装着されることにより、袋本体10は、上記屈曲形状に保持されている。
【0015】
図2及び
図3に示すように、カバー40は、側面視台形状をなす筒体であって、上部41に形成された上開口42と下部43に形成された下開口44を有し、その断面積は上開口42側ほど小さくなるように形成されている。カバー40は、扇形状をなすシート材としての樹脂シートを、径方向に延びる二つの折り線Lで三つ折りに折り曲げるとともに、その両端部分を重ねてなる接着代45を接着剤45aにて接着することにより筒状に形成されている。
【0016】
カバー40を構成する樹脂シートとしては、包装袋に一般的に用いられる公知の樹脂シートを用いることができる。上記樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、及びポリエステル等からなる単層又は多層の樹脂シートが挙げられる。
【0017】
ここで、カバー40を構成する樹脂シートとしては、袋本体10を構成する樹脂シートよりも硬質のシート材が用いられている。カバー40を構成する樹脂シートの硬さを調整する方法としては、例えば、袋本体10を構成する樹脂シートの材料よりも硬質の材料を用いる方法、袋本体10を構成する樹脂シートよりも厚い樹脂シートを用いる方法、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
図3に示すように、カバー40における各折り線Lが位置する部分には、カバーの幅方向(上下方向)の両端の縁である上縁及び下縁から幅方向の中央側に向かって切り欠かれた切欠部46が設けられている。上縁は、上開口42を形成する縁であり、下縁は、下開口44を形成する縁である。各切欠部46は、折り線Lを中心として上縁又は下縁から中央側に向かって徐々に幅が狭くなる三角形状に形成されている。切欠部46の先端の角度、即ち、切欠部46の内縁同士がなす角度は、例えば、15~120度であることが好ましく、30~90度であることがより好ましい。
【0019】
図4に示すように、カバー40は、上記屈曲形状とされている袋本体10の上部の外周を覆うようにして袋本体10に装着されることにより、袋本体10を上記屈曲形状に保持している。カバー40の上部41は、上開口42が位置する上縁が口具30のフランジ33の下面に当接するように配置されている。カバー40の上開口42は、その内周長が口具30の取付部32の外周長と、袋本体10の側面シート12の厚みとを考慮して設定されている。カバー40の下縁は、袋本体10の上下方向の中央部に位置している。また、カバー40の各切欠部46は、上記屈曲形状の袋本体10の周方向において、袋本体10の両側部が屈曲してなる角部Cの位置に一致するように配置されている。
【0020】
次に、本実施形態の作用について説明する。
包装袋は、上記屈曲形状とされている袋本体10をカバー40の下開口44から挿入し、口具30の上端側をカバー40の上開口42から抜け出させることにより、カバー40を装着した状態となる。このとき、カバー40は、袋本体10の両側部が屈曲してなる角部C、即ち、角が突き出ている部分に切欠部46が位置するように配置される。これにより、包装袋を手で把持した際に、筒状のカバー40に対して、カバー40を回転させる方向の力が作用したとしても、袋本体10の角部Cがカバー40の切欠部46の内縁に引っ掛かることによって、カバー40の周方向の位置ずれが抑制される。
【0021】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)包装袋は、シート材からなる袋状の袋本体10と、袋本体10の両側部を屈曲させて袋本体10を収容する筒状のカバー40とを備えている。カバー40には、上縁及び下縁の各縁側から中央側に向かって切り欠かれた切欠部46が設けられている。カバー40は、袋本体10が屈曲してなる角部Cに切欠部46が位置するように袋本体10に取り付けられている。
【0022】
上記構成によれば、包装袋を手で把持した際に、筒状のカバー40に対して、カバー40を回転させる方向の力が作用したとしても、袋本体10の角部Cがカバー40の切欠部46の内縁に引っ掛かることによって、カバー40の周方向の位置ずれが抑制される。
【0023】
(2)カバー40は、袋本体10よりも硬質のシート材からなる。
上記構成によれば、カバー40における切欠部46の角部分、即ち、上縁又は下縁と切欠部46の内縁とがなす角部分が折れ曲がり難くなる。これにより、袋本体10の角部Cがカバー40の切欠部46の内縁に引っ掛かった際に、切欠部46の角部分を折り曲げながらカバー40が回転してしまうことを抑制できる。その結果、カバー40の周方向の位置ずれを抑制する効果が向上する。
【0024】
(3)切欠部46は、縁側から中央側に向かって徐々に幅が狭くなる形状である。
上記構成によれば、カバー40の切欠部46の角部分が鈍角になることにより、角部分が折れ曲がり難くなる。これにより、袋本体10の角部Cがカバー40の切欠部46の内縁に引っ掛かった際に、切欠部46の角部分を折り曲げながらカバー40が回転してしまうことを抑制できる。その結果、カバー40の周方向の位置ずれを抑制する効果が向上する。
【0025】
(4)袋本体10は、側面視台形状となるように屈曲されている。切欠部46は、カバー40において、側面視台形状に屈曲された袋本体10の幅が狭い側に位置する縁である上縁に設けられている。
【0026】
側面視台形状に屈曲された袋本体10の角部Cは、幅が狭い側(上側)の方が鋭く折れた形状となり、幅が広い側(下側)の方が緩やかに折れた形状となる。そのため、袋本体10の角部Cにおける鋭く折れた上側の部分にカバー40の切欠部46を位置させると、袋本体10の角部Cがカバー40の切欠部46の内縁に引っ掛かりやすくなる。その結果、カバー40の周方向の位置ずれを抑制する効果が向上する。
【0027】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、カバー40の上縁及び下縁のそれぞれに切欠部46を設けていたが、上縁及び下縁のいずれか一方のみに切欠部46を設ける構成としてもよい。
【0028】
・カバー40の周方向において、切欠部46を形成する数は1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
・カバー40の切欠部46の形状を変更してもよい。例えば、縁側から中央側に向かって幅が一定の形状であってもよいし、縁側から中央側に向かって徐々に幅が広くなる形状であってもよい。
【0029】
・カバー40の折り線Lの数は1であってもよいし、3以上であってもよい。また、折り線Lが設けられていない筒状のカバー40としてもよい。
・袋本体10におけるカバー40が取り付けられる位置を変更してもよい。例えば、袋本体10の中央部のみ又は下部のみを覆うようにカバー40が取り付けられていてもよい。また、カバー40は、袋本体10の上下方向の全体を覆うものであってもよい。
【0030】
・袋本体10の屈曲態様を変更してもよい。例えば、上面視において、C字状に代えてS字状をなすように袋本体10を屈曲させてもよい。
・口具30の取付部32の構成はとくに限定されない。例えば、円板状や四角板状のフランジ33を備える口具30であってもよい。
【0031】
・カバー40の上縁が口具30のフランジ33から離間するように配置されてもよい。また、口具30等の取付部材が省略された包装袋であってもよい。
・上記実施形態では、カバー40によって、袋本体10を上記屈曲形状に保持していたが、カバー40を装着する前の状態において、接着剤等により上記屈曲形状にて固定された袋本体10を用いてもよい。
【0032】
・補強部材20が省略された包装袋であってもよい。
・上記実施形態では、袋本体10を構成するシート材として樹脂シートを用いたが、樹脂シート以外のシート材、例えば、アルミ箔や紙等をラミネート加工してなるシート材を用いてもよい。カバー40を構成するシート材についても同様である。
【0033】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)シート材からなる袋状の袋本体と、前記袋本体の両側部を屈曲させて該袋本体を収容する筒状のカバーとを備える包装袋であって、前記カバーには、縁側から中央側に向かって切り欠かれた切欠部が設けられ、前記カバーは、前記袋本体が屈曲してなる角部に前記切欠部が位置するように前記袋本体に取り付けられていることを特徴とする包装袋。
【0034】
(付記2)前記カバーは、前記袋本体よりも硬質のシート材からなる前記包装袋。
(付記3)前記袋本体は、側面視台形状となるように屈曲されており、前記切欠部は、カバーにおいて、側面視台形状に屈曲された前記袋本体の幅が狭い側に位置する縁に設けられている前記包装袋。
【0035】
(付記4)前記カバーは、前記袋本体よりも厚いシート材からなる前記包装袋。
(付記5)前記切欠部は、縁側から中央側に向かって徐々に幅が狭くなる形状である前記包装袋。
【符号の説明】
【0036】
C…角部
10…袋本体
40…カバー
46…切欠部