(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/40 20140101AFI20240723BHJP
A63F 13/55 20140101ALI20240723BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240723BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240723BHJP
【FI】
A63F13/40
A63F13/55
G06N20/00 130
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023205725
(22)【出願日】2023-12-05
【審査請求日】2023-12-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522201495
【氏名又は名称】株式会社Ememe
(74)【代理人】
【識別番号】100138221
【氏名又は名称】影山 剛士
(72)【発明者】
【氏名】小島 由香
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-097978(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0384362(US,A1)
【文献】特開2019-166299(JP,A)
【文献】登録実用新案第3124018(JP,U)
【文献】特開2005-118372(JP,A)
【文献】特開2003-210833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの会話テキストを取得する会話取得部と、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定する動作推定部と、
前記キャラクタに関するコンテキスト情報を取得するコンテキスト情報取得部と、
を備え、
前記会話取得部は、前記コンテキスト情報を前記機械学習モデルに与えて前記会話テキストを生成させ、
前記動作推定部は、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて前記動作を表すラベルを生成させ、生成させた前記ラベルを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記キャラクタに前記動作を行わせるための制御を行う動作処理部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記キャラクタのパーソナリティ情報を取得するパーソナリティ情報取得部を備え、
前記動作推定部は、前記会話テキスト、前記コンテキスト情報及び前記パーソナリティ情報を前記機械学習モデルに与えること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムであって、
前記パーソナリティ情報取得部は、前記会話テキスト及び前記コンテキスト情報の少なくともいずれかと前記パーソナリティ情報とを前記機械学習モデルに与えて、更新された前記パーソナリティ情報を生成させ、生成結果に応じて前記パーソナリティ情報を更新すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
会話表現に所定のラベルが設定され、
予め用意された前記動作を示す動作データに前記ラベルの少なくともいずれかが設定され、
前記会話テキストと、前記会話テキストに含まれる部分テキストのそれぞれに対応する前記会話表現に対応する前記ラベルとをトレーニングデータとして、機械学習により前記機械学習モデルに学習させる学習処理部を備え、
前記動作推定部は、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えることにより前記ラベルを推測させること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
ユーザの会話テキストを取得する会話取得部と、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定する動作推定部と、
を備え、
会話表現に所定のラベルが設定され、
予め用意された前記動作を示す動作データに前記ラベルの少なくともいずれかが設定され、
前記会話テキストと、前記会話テキストに含まれる部分テキストのそれぞれに対応する前記会話表現に対応する前記ラベルとをトレーニングデータとして、機械学習により前記機械学習モデルに学習させる学習処理部を備え、
前記機械学習モデルは大規模言語モデルであり、
前記動作推定部は、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタの前記動作を表す、前記動作に予め紐付けられた所定のラベルのうちの1つを選択させ、
前記動作推定部は、前記ラベルを、前記動作データを生成するための学習済み学習モデルに与えることにより、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
ユーザの会話テキストを取得する会話取得部と、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定する動作推定部と、
を備え、
会話表現に所定のラベルが設定され、
予め用意された前記動作を示す動作データに前記ラベルの少なくともいずれかが設定され、
前記会話テキストと、前記会話テキストに含まれる部分テキストのそれぞれに対応する前記会話表現に対応する前記ラベルとをトレーニングデータとして、機械学習により前記機械学習モデルに学習させる学習処理部を備え、
前記機械学習モデルは大規模言語モデルであり、
前記動作推定部は、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタの前記動作と、前記キャラクタ及び前記会話テキストに関するコンテキストの少なくともいずれかとを表すラベルを生成させ、
前記動作推定部は、前記ラベルを、前記動作データを生成するための学習済み学習モデルに与えることにより、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記キャラクタのパーソナリティ情報を取得するパーソナリティ情報取得部を備え、
前記会話取得部は、前記コンテキスト及び前記パーソナリティ情報を前記機械学習モデルに与えて前記会話テキストを生成させること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理システムであって、
前記パーソナリティ情報取得部は、前記キャラクタのパーソナリティを説明するテキストデータの入力を受け付け、受け付けた前記テキストデータを前記機械学習モデルに与えて前記パーソナリティ情報を生成させること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
ユーザの会話テキストを取得するステップと、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定するステップと、
前記キャラクタに関するコンテキスト情報を取得するステップと、
をコンピュータが実行し、
前記コンピュータは、
前記会話テキストを取得するステップにおいて、前記コンテキスト情報を前記機械学習モデルに与えて前記会話テキストを生成させ、
前記動作を推定するステップにおいて、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて前記動作を表すラベルを生成させ、生成させた前記ラベルを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
ユーザの会話テキストを取得するステップと、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定するステップと、
をコンピュータが実行し、
会話表現に所定のラベルが設定され、
予め用意された前記動作を示す動作データに前記ラベルの少なくともいずれかが設定され、
前記コンピュータは、前記会話テキストと、前記会話テキストに含まれる部分テキストのそれぞれに対応する前記会話表現に対応する前記ラベルとをトレーニングデータとして、機械学習により前記機械学習モデルに学習させるステップを実行し、
前記機械学習モデルは大規模言語モデルであり、
前記コンピュータは、前記動作を推定するステップにおいて、
前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタの前記動作を表す、前記動作に予め紐付けられた所定のラベルのうちの1つを選択させ、
前記ラベルを、前記動作データを生成するための学習済み学習モデルに与えることにより、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とする情報処理方法。
【請求項12】
ユーザの会話テキストを取得するステップと、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定するステップと、
をコンピュータが実行し、
会話表現に所定のラベルが設定され、
予め用意された前記動作を示す動作データに前記ラベルの少なくともいずれかが設定され、
前記コンピュータは、前記会話テキストと、前記会話テキストに含まれる部分テキストのそれぞれに対応する前記会話表現に対応する前記ラベルとをトレーニングデータとして、機械学習により前記機械学習モデルに学習させるステップを実行し、
前記機械学習モデルは大規模言語モデルであり、
前記コンピュータは、前記動作を推定するステップにおいて、
前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタの前記動作と、前記キャラクタ及び前記会話テキストに関するコンテキストの少なくともいずれかとを表すラベルを生成させ、
前記ラベルを、前記動作データを生成するための学習済み学習モデルに与えることにより、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
ユーザの会話テキストを取得するステップと、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定するステップと、
前記キャラクタに関するコンテキスト情報を取得するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記会話テキストを取得するステップにおいて、前記コンテキスト情報を前記機械学習モデルに与えて前記会話テキストを生成させ、
前記動作を推定するステップにおいて、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて前記動作を表すラベルを生成させ、生成させた前記ラベルを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とするプログラム。
【請求項14】
ユーザの会話テキストを取得するステップと、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラムであって、
会話表現に所定のラベルが設定され、
予め用意された前記動作を示す動作データに前記ラベルの少なくともいずれかが設定され、
前記コンピュータに、前記会話テキストと、前記会話テキストに含まれる部分テキストのそれぞれに対応する前記会話表現に対応する前記ラベルとをトレーニングデータとして、機械学習により前記機械学習モデルに学習させるステップを実行させ、
前記機械学習モデルは大規模言語モデルであり、
前記コンピュータに、前記動作を推定するステップにおいて、
前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタの前記動作を表す、前記動作に予め紐付けられた所定のラベルのうちの1つを選択させ、
前記ラベルを、前記動作データを生成するための学習済み学習モデルに与えることにより、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とするプログラム。
【請求項15】
ユーザの会話テキストを取得するステップと、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
会話表現に所定のラベルが設定され、
予め用意された前記動作を示す動作データに前記ラベルの少なくともいずれかが設定され、
前記コンピュータに、前記会話テキストと、前記会話テキストに含まれる部分テキストのそれぞれに対応する前記会話表現に対応する前記ラベルとをトレーニングデータとして、機械学習により前記機械学習モデルに学習させるステップを実行させ、
前記機械学習モデルは大規模言語モデルであり、
前記コンピュータに、前記動作を推定するステップにおいて、
前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタの前記動作と、前記キャラクタ及び前記会話テキストに関するコンテキストの少なくともいずれかとを表すラベルを生成させ、
前記ラベルを、前記動作データを生成するための学習済み学習モデルに与えることにより、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プレイヤキャラクタにゲーム状況に即した台詞を喋らせることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャラクタの動作が台詞に合っていないと違和感を感じてしまう。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、キャラクタの動作を決めることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、ユーザの会話テキストを取得する会話取得部と、前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定する動作推定部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャラクタの動作を決めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】情報処理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る情報処理システムについて説明する。本実施形態の情報処理システムは、ゲーム中に登場するキャラクタの動作を自動的に決定しようとするものである。キャラクタには、プレイヤ(ユーザが操作するキャラクタ)と、NPC(Non Player Character;ユーザが操作しないキャラクタ)とを含みうる。本実施形態の情報処理システムでは、キャラクタの発する会話(ユーザが音声又はテキストで入力したもの、又はNPCについてシステムが自動生成したもの)に応じてキャラクタの動作を決定し、決定した動作をキャラクタが実行するように制御を行う。キャラクタを動作させるためのデータ(動作データ)は、例えば、キャラクタのエモートやモーションなどを実現するものであれば形式を問わない。
【0011】
図1は、情報処理システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の情報処理システムは、管理サーバ2を含んで構成される。管理サーバは、ゲームサーバ1と通信ネットワークを介して通信可能に接続される。通信ネットワーク3は、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0012】
ゲームサーバ1は、ゲームを実行するコンピュータである。ユーザは、スマートフォンやゲーム機、パーソナルコンピュータなどのユーザ端末3を操作してゲームサーバ1にアクセスしてゲームをプレイすることができる。ゲームサーバ1では、ユーザが操作するキャラクタやNPCの位置情報や移動履歴、会話データの履歴などが管理されている。
【0013】
管理サーバ2は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0014】
<管理サーバ>
図2は、管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ2の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ2の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0015】
図3は、管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ2は、機械学習モデル記憶部231と、動作データ記憶部232と、会話取得部211と、動作推定部212と、動作処理部213と、コンテキスト情報取得部214と、パーソナリティ情報取得部215と、を備える。
【0016】
機械学習モデル記憶部231は、機械学習により作成された機械学習モデルを記憶する。機械学習モデル記憶部231に記憶される機械学習モデルは、例えば、大規模言語モデルとすることができる。また、学習済みの機械学習モデル(大規模言語モデル等)を、会話テキストと動作を表す情報とをトレーニングデータとしてファインチューニングしたモデルとしてもよい。機械学習モデルは、例えば、ニューラルネットワークなどにより構築するようにしてもよい。機械学習モデル記憶部231は、管理サーバ2が備えず、外部のサーバが備えるようにし、管理サーバ2は、外部のサーバが提供するAPI等によりを機械学習モデルを利用するように構成してもよい。
【0017】
動作データ記憶部232は、動作データを記憶する。動作データ記憶部232は、機械学習モデルにより生成される動作ごとに動作データを記憶することができる。動作データには、例えば、キャラクタの動作を指示する一連のコマンド(例えば、ボーンやジョイントの回転、移動等であってよい。)を含めることができる。
【0018】
会話取得部211は、キャラクタの会話テキストを取得する。会話テキストは、例えば、プレイヤを操作するユーザがゲーム中に打ち込んだチャットメッセージとすることができる。また、会話テキストは、プレイヤ及び/又はNPCについて、ゲームサーバ1が生成した台詞であってもよい。また、会話取得部211が、機械学習モデルにプロンプトを与えてキャラクタの台詞を生成させるようにしてもよい。
【0019】
動作推定部212は、キャラクタの動作を推定する。動作推定部212は、キャラクタの台詞に合ったキャラクタの動作を推定する。動作推定部212は、会話取得部211が取得した会話テキストと、ゲーム中にキャラクタが行うべき動作を生成する旨の指示とを機械学習モデルに与えて、キャラクタの動作を推定することができる。動作推定部212は、会話テキストに対応する1つの動作を推定させるようにしてもよいし、会話テキストに対応する一連の動作を推定させるようにしてもよい。動作推定部212は、例えば、キャラクタが移動せずに行う身体表現としいての動作を推定するようにしてもよいし、例えば、ゲーム空間内で別の場所に移動すること、話しかける相手を変更することなど、ゲーム空間中におけるキャラクタの行動を推定するようにしてもよい。
【0020】
動作処理部213は、キャラクタに動作を行わせるための制御を行う。動作処理部213は、動作推定部212が推定した動作をキャラクタに行わせるように制御を行う。動作処理部213は、動作推定部212により推定された動作に対応する動作データを動作データ記憶部232から読み出し、読み出した動作データをゲームサーバ1に送信することにより、ゲーム中にキャラクタを動作させることができる。
【0021】
コンテキスト情報取得部214は、会話テキストに関するコンテキスト情報を取得する。コンテキスト情報は、ゲーム中におけるキャラクタの状態を示す情報であってよい。コンテキスト情報には、例えば、キャラクタによる過去の会話の履歴、他のキャラクタ(現在近傍にいるキャラクタのみであってもよい。)との間の関係、地理情報、キャラクタが経験したイベント(喧嘩をした、喧嘩中、試験に落ちた、宝くじに当たった、クエストを終了したなど)、キャラクタの状況(恋人と一緒にいるなど)、キャラクタの現在位置、キャラクタの記憶などを含めることができる。コンテキスト情報取得部214は、例えば、ゲームサーバ1にアクセスしてコンテキスト情報を取得することができる。コンテキスト情報は、例えば、ゲームの進捗度、シーンの時間情報、シーンに配置されているオブジェクト、キャラクタの装備及び所持品、シーンに存在する他のキャラクタの装備及び所持品、他のキャラクタが発した台詞などとすることができる。
【0022】
会話取得部211は、コンテキスト情報をプロンプトに含めて機械学習モデルに与えて、キャラクタの台詞を生成させるようにすることができる。
【0023】
動作推定部212は、会話テキスト及びコンテキスト情報を機械学習モデルに与えて動作を推定するようにすることができる。動作推定部212は、コンテキスト情報に応じてキャラクタの行動を推定するように指示するプロンプトを機械学習モデルに与えることができる。
【0024】
パーソナリティ情報取得部215は、ユーザ及び/又はキャラクタのパーソナリティ情報を取得する。パーソナリティ情報には、例えば、ユーザ及び/又はキャラクタの年齢、性別、性格、感情などを含めることができる。パーソナリティ情報には、例えば、ユーザ及び/又はキャラクタのデモグラフィック属性、サイコグラフィック属性、ジオグラフィック属性、ビヘイビオラル属性などを含めてもよいし、その他のユーザ及び/又はキャラクタの分類を示す情報を含めてもよい。パーソナリティ情報取得部215は、ゲームサーバ1にアクセスして、ゲームサーバ1において把握されているユーザ及び/又はキャラクタのパーソナリティ情報を取得することができる。なお、パーソナリティ情報取得部215は、例えば、ユーザのウェブブラウザの閲覧履歴やオンラインショッピングの傾向などに基づくビヘイビオラル属性を、ウェブサーバ(不図示)から取得するようにしてもよい 。また、パーソナリティ情報を管理するパーソナリティ情報管理部を管理サーバ2が備えるようにしてもよい。パーソナリティ情報取得部215は、例えば、ユーザ及び/又はキャラクタのパーソナリティを説明するテキストデータの入力を受け付けて、受け付けたテキストデータを機械学習モデルに与えてパーソナリティ情報を生成させるようにしてもよい。パーソナリティ情報取得部215は、会話テキスト及び/又はコンテキスト情報と、パーソナリティ情報とを機械学習モデルに与えて、更新したパーソナリティ情報を生成するように指示することもできる。ここで与える会話テキストは、当該キャラクタが発声した会話内容のみでなく、他のキャラクタから語りかけられた会話内容を含めてもよい。例えば、ゲーム環境内におけるコンテキストに応じて、あるいは、キャラクタが発言した及び/又は他のキャラクタから受けた会話テキストに応じて、キャラクタの感情が変化したり、トラウマが発生したり、性格が変化していったりするように更新させたパーソナリティ情報を生成させることができる。パーソナリティ情報取得部215は、生成されたパーソナリティ情報に基づいて、キャラクタのパーソナリティ情報を更新することができる。パーソナリティ情報取得部215は、例えば、ゲームサーバ1やパーソナリティ情報管理部にアクセスして、管理されているパーソナリティ情報を更新することができる。
【0025】
動作推定部212は、会話テキスト及びパーソナリティ情報を機械学習モデルに与えて動作を推定するようにすることができる。したがって、推定される動作もパーソナリティ情報の更新に応じて変更されうる。よって、同一キャラクター及び同一コンテキストであっても、キャラクタのパーソナリティ情報の変化に応じて、異なる動作とすることができる。
【0026】
動作推定部212は、会話テキスト、コンテキスト情報及びパーソナリティ情報を機械学習モデルに与えて動作を推定することもできる。
【0027】
<動作>
図4は、管理サーバ2の動作を説明する図である。
【0028】
管理サーバ2は、ユーザ/キャラクタの会話テキスト、コンテキスト情報、パーソナリティ情報を取得し(S301)、会話テキスト、コンテキスト情報、パーソナリティ情報を含むプロンプトを機械学習モデルに与えて、キャラクタの動作を推定する(S302)。管理サーバ2は、推定した動作をキャラクタに実行させる制御を行う(S303)。
【0029】
以上のようにして、本実施形態の情報処理システムによれば、キャラクタの台詞に応じた動作を、自動的にキャラクタに行わせることができる。
【0030】
<第2実施形態>
第1実施形態では、機械学習モデルに会話テキストを与えて動作を生成させることを説明したが、第2実施形態では、より具体的な動作の生成について規定する。
【0031】
第2実施形態では、会話テキストに含まれうる会話表現(単語、フレーズ、文などとすることができる。)のそれぞれに予めラベル付けを行っておく。また、動作をキャラクタに行わせるための動作データを予め準備しておき、各動作データにも上記ラベルを紐付けておく。なお、ラベルは、性別や年齢などのパーソナリティ情報に含まれる項目別に異なるラベルを設定しておくようにしてもよいし、パーソナリティ情報に含まれる項目自体をラベルとして、アクションの種類を示すラベルと、項目を示すラベルとの両方を生成するようにしてもよい。
【0032】
図5は、第2実施形態に係る管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。
図5に示すように、管理サーバ2は、さらに学習処理部216を備えることができる。第2実施形態では、機械学習モデルは大規模言語モデルを想定する。学習処理部216は、会話テキストから会話表現を抽出し、抽出した会話表現のそれぞれについて、会話表現に設定されたラベル(複数であってもよい。)を選択する。
【0033】
動作推定部212は、会話テキストと、ラベルを生成するように指示するプロンプトとを機械学習モデルに与えることにより、会話テキストに対応するラベルを生成させることができる。動作推定部212は、ラベルに紐付く動作データを動作データ記憶部232から取得することができる。また、動作推定部212は、動作データを生成する、事前学習済みの学習モデル(生成系AI)に対してラベルを与えることにより、動作データを生成させるようにしてもよい。動作データを生成する学習モデルは既知のモーション生成用の生成系AIを利用することができる。
【0034】
<第3実施形態>
第3実施形態では、機械学習モデル(大規模言語モデル)にラベルを生成させる。ラベルは、キャラクタ(プレイヤ又はNPC)の動作を表す。
【0035】
機械学習モデルには、予め設定された、動作を表すシンプルかつ一般的なラベルの選択肢から選択させるようにすることができる。この場合、ラベルは、例えば、「ハッピーに感じている」「腕立て伏せをしている」「バイクに乗っている」などを事前に準備しておくことができる。動作推定部212は、会話テキストと、事前に準備したラベルの選択肢の中からラベルを選択する旨の指示とを設定したプロンプトを機械学習モデルに与えて1つ又は一連のラベルを選択させることができる。
【0036】
ラベルには事前に動作データを紐付けておいてもよい。この場合、動作データ記憶部232は、ラベルに対応付けて動作データを記憶することができる。なお、動作データ記憶部232は、1つの動作データについて、複数のラベルを対応付けてもよいし、1つのラベルに対して複数の動作データを対応付けてもよい。動作推定部212は、機械学習モデルにより生成されたラベルに対応する動作データを動作データ記憶部232から取得することができる。動作推定部212は、1つのラベルに対して複数の動作データが対応する場合には、対応する動作データのうちの1つを、任意の手法で(例えばランダムに)選択することができる。
【0037】
また、ラベルを機械学習モデルに生成させるようにしてもよい。この場合、キャラクタのパーソナリティやコンテキストについての情報を付与させるように指示してもよい。例えば、機械学習モデルは、「人物は年老いており、彼は膝を痛がっており、彼は幸せを感じている」というようなラベルを生成することができる。動作推定部212は、会話テキストと、ラベルを生成する旨の指示とを含むプロンプトを機械学習モデルに与えて、1つ又は一連のラベルを生成させることができる。
【0038】
機械学習モデルにラベルを生成させる場合、機械学習モデル(ラベルを生成する機械学習モデルと同じであっても別であってもよい。)を用いてラベルから動作データを生成するようにすることができる。学習処理部216は、機械学習モデルに、ラベルに対応する動作データを機械学習により学習させておくことができる。動作推定部212は、ラベルに紐付く動作データを動作データ記憶部232から取得することができる。また、動作推定部212は、動作データを生成する、事前学習済みの学習モデル(生成系AI)に対してラベルを与えることにより、動作データを生成させるようにしてもよい。動作データを生成する学習モデルは既知のモーション生成用の生成系AIを利用することができる。この場合、パーソナリティ及び/又はコンテキスト を含むラベルを生成系AIに与えることにより、生成される動作データをキャラクタのパーソナリティやコンテキストに合わせることが可能となる。
【0039】
<第4実施形態>
第4実施形態では、大規模言語モデルなどの生成器である機械学習モデルを用いて会話テキストを生成する。
【0040】
会話取得部211は、コンテキスト情報取得部214が取得したコンテキスト情報を機械学習モデルに与えて会話テキストを生成させることができる。また、会話取得部211は、コンテキスト情報及びパーソナリティ情報を機械学習モデルに与えて会話データを生成させるようにしてもよい。
【0041】
動作推定部212は、生成された会話テキストを機械学習モデルに与えて、動作を表すラベルを生成させ、生成させたラベルに対応する動作データを動作データ記憶部232から読み出すことができる。
【0042】
また、動作推定部212は、ラベルに紐付く動作データを動作データ記憶部232から取得することができる。また、動作推定部212は、動作データを生成する、事前学習済みの学習モデル(生成系AI)に対してラベルを与えることにより、動作データを生成させるようにしてもよい。動作データを生成する学習モデルは既知のモーション生成用の生成系AIを利用することができる。また、動作推定部212は、会話テキストを機械学習モデルに与えて動作データを生成させるようにしてもよい。
【0043】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0044】
<開示事項>
なお、本開示には、以下のような構成も含まれる。
[項目1]
ユーザの会話テキストを取得する会話取得部と、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定する動作推定部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記キャラクタに前記動作を行わせるための制御を行う動作処理部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目3]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記会話テキストに関するコンテキスト情報を取得するコンテキスト情報取得部を備え、
前記動作推定部は、前記会話テキスト及び前記コンテキスト情報を前記機械学習モデルに与えて前記動作を推定すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目4]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記キャラクタのパーソナリティ情報を取得するパーソナリティ情報取得部を備え、
前記動作推定部は、前記会話テキスト及び前記パーソナリティ情報を前記機械学習モデルに与えて前記動作を推定すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目5]
項目4に記載の情報処理システムであって、
前記パーソナリティ情報取得部は、前記キャラクタのパーソナリティを説明するテキストデータの入力を受け付け、受け付けた前記テキストデータを前記機械学習モデルに与えて前記パーソナリティ情報を生成させ、生成された前記パーソナリティ情報を取得すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目6]
項目3に記載の情報処理システムであって、
前記キャラクタのパーソナリティ情報を取得するパーソナリティ情報取得部を備え、
前記動作推定部は、前記会話テキスト、前記コンテキスト情報及び前記パーソナリティ情報を前記機械学習モデルに与えて前記動作を推定すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目7]
項目6に記載の情報処理システムであって、
前記パーソナリティ情報取得部は、前記会話テキスト及び前記コンテキスト情報の少なくともいずれかと前記パーソナリティ情報とを前記機械学習モデルに与えて、更新された前記パーソナリティ情報を生成させ、生成結果に応じて前記パーソナリティ情報を更新すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目8]
項目1に記載の情報処理システムであって、
会話表現に所定のラベルが設定され、
予め用意された前記動作を示す動作データに前記ラベルの少なくともいずれかが設定され、
前記会話テキストと、前記会話テキストに含まれる前記部分テキストのそれぞれに対応する前記会話表現に対応する前記ラベルとをトレーニングデータとして、機械学習により前記機械学習モデルに学習させる学習処理部を備え、
前記動作推定部は、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えることにより前記ラベルを推測させること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目9]
項目8に記載の情報処理システムであって、
前記動作推定部は、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて前記動作を表すラベルを予め決められたラベルから選択させ、選択された前記ラベルに予め紐付けられた、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを取得すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目10]
項目8に記載の情報処理システムであって、
前記機械学習モデルは大規模言語モデルであり、
前記動作推定部は、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタの前記動作を表す、前記動作に予め紐付けられた所定のラベルのうちの1つを選択させること、
前記動作推定部は、前記ラベルを前記動作データを生成するための学習済み学習モデルに与えることにより、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目11]
項目8に記載の情報処理システムであって、
前記機械学習モデルは大規模言語モデルであり、
前記動作推定部は、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタの前記動作と、前記キャラクタ及び前記会話テキストに関するコンテキストを表すラベルを生成させ、
前記動作推定部は、前記ラベルを前記動作データを生成するための学習済み学習モデルに与えることにより、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目12]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記キャラクタに関するコンテキスト情報を取得するコンテキスト情報取得部を備え、
前記会話取得部は、前記コンテキスト情報を前記機械学習モデルに与えて前記会話テキストを生成させ、
前記動作推定部は、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて前記動作を表すラベルを予め決められたラベルから選択させ、選択させた前記ラベルに予め紐付けられた、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを取得すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目13]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記キャラクタに関するコンテキスト情報を取得するコンテキスト情報取得部を備え、
前記会話取得部は、前記コンテキスト情報を前記機械学習モデルに与えて前記会話テキストを生成させ、
前記動作推定部は、前記会話テキストを前記機械学習モデルに与えて前記動作を表すラベルを生成させ、生成させた前記ラベルを前記機械学習モデルに与えて、前記キャラクタに前記動作を行わせるための動作データを生成させること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目14]
項目13に記載の情報処理システムであって、
前記キャラクタのパーソナリティ情報を取得するパーソナリティ情報取得部を備え、
前記会話取得部は、前記コンテキスト及び前記パーソナリティ情報を前記機械学習モデルに与えて前記会話データを生成させること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目15]
ユーザの会話テキストを取得するステップと、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
[項目16]
ユーザの会話テキストを取得するステップと、
前記会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0045】
1 ユーザ端末
2 管理サーバ
【要約】
【課題】キャラクタの動作を決めることができるようにする。
【解決手段】情報処理システムであって、ユーザの会話テキストを取得する会話取得部と、会話テキストを機械学習モデルに与えて、ゲーム中におけるプレイヤ又はNPCであるキャラクタが行うべき動作を推定する動作推定部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1