(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法及びそれに対応する消毒滅菌装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/14 20060101AFI20240723BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A61L2/14
H05H1/24
(21)【出願番号】P 2023512257
(86)(22)【出願日】2020-05-09
(86)【国際出願番号】 CN2020089416
(87)【国際公開番号】W WO2021226751
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】522437418
【氏名又は名称】蒂森滅菌科技(孝感)有限公司
【氏名又は名称原語表記】DISEN STERILIZATION TECHNOLOGY (XIAOGAN) CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.29 Xiaohan Avenue, Gaochuang Intelligent Manufacturing Industrial Park Xiaogan, Hubei 432000,China
(74)【代理人】
【識別番号】100178434
【氏名又は名称】李 じゅん
(72)【発明者】
【氏名】張 麟徳
(72)【発明者】
【氏名】厳 祥軍
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-010694(JP,A)
【文献】特開2006-205085(JP,A)
【文献】国際公開第2012/112042(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマジェット方式を用いる、調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法であって、
出入口の差圧が調整可能な消毒滅菌チャンバ内で常圧プラズマを励起させるステップ1と、
常圧プラズマが安定した後に、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧を調整することで、チャンバ内のプラズマ密度の調整を実現するステップ2と、
消毒滅菌する予定の微生物を担持した担体を消毒滅菌チャンバ内に連続的に送り込み、消毒滅菌を行うステップ3と、
消毒滅菌チャンバから担体を送出し、消毒又は滅菌を完成させるステップ4と、を含み、
前記ステップ1は具体的に、
常圧プラズマユニットに作動媒体ガスを通し、前記常圧プラズマユニットが作動媒体ガスに飽和された後、パワーモジュールによってエネルギーを供給し始め、プラズマの点火に成功し、プラズマジェットが形成されるまで、エネルギーを供給し続けるステップ1S1と、
プラズマの安定性が維持できることを前提として、入力パワーが目標パワーに達するまで、パワーモジュールの入力パワーを徐々に調整するステップ1S2と、
を含み、
前記ステップ2は具体的に、
プラズマの安定性が維持できることを前提として、消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニット内の出口圧力調整モジュールにより、消毒滅菌チャンバの出口圧力を所定の出口圧力値に調整すること、及び、
プラズマの安定性が維持できることを前提として、消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットの入口圧力調整モジュールにより、消毒滅菌チャンバの入口圧力を所定の入口圧力値に調整すること、により、
前記出入口の差圧を所定の出入口差圧値に調整することを含むことを特徴とする、前記調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項2】
前記ステップ1S1におけるパワーモジュールのパワーは0.5W~100kWであり、
前記ステップ1S2における入力パワーを徐々に調整する方法は、最初にパワーを高く調整してからパワーを目標パワーまで下げる方法と、パワーを徐々に目標パワーに増大させる方法との二つの方法のいずれかを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項3】
前記常圧プラズマは、表面結合誘起プラズマであることを特徴とする請求項1に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項4】
前記常圧プラズマは、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、高電圧直流アーク、高電圧交流アーク、マイクロ波プラズマ、表面結合誘起プラズマのうちの一つ又は複数を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項5】
前記常圧プラズマのプラズマ密度が1.0×10
3個/cm
3~1.0×10
30個/cm
3であり、
前記常圧プラズマの原子温度が1.0×10
0K~1.0×10
12Kであり、
前記常圧プラズマの電子温度が1.0×10
0K~1.0×10
12Kである
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項6】
前記担体に担持される微生物は、細菌(およびその芽胞)、古細菌、真菌、放線菌、原生動物、藻類、ウイルス、マイコプラズマ、クラミジア、ウイロイド、ウイルソイド、プリオンを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項7】
前記微生物の殺滅率範囲は90%~99.9999%である
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項8】
前記ステップ1S1における作動媒体ガスは、水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、人工空気、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、塩素ガス、フッ素ガス、臭素蒸気、フッ化水素ガス、塩化水素ガス、ヨウ化水素ガス、臭素化水素ガス、二酸化窒素ガス、一酸化二窒素ガス、三フッ化窒素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、アンモニアガス、六フッ化硫黄ガス、四フッ化炭素ガス、シランガス、ゲルマンガス、有機ガスのうちの一つ又は複数の混合物を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項9】
前記消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が0Pa~120Mpaであり、
前記消毒滅菌チャンバの入口圧力が0.0000001Pa~120MPaであり、
前記消毒滅菌チャンバの出口圧力が0.0000001Pa~120MPaである
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項10】
前記消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が0Pa~200000Paであり、
前記消毒滅菌チャンバの入口圧力が100000Pa~200000Paであり、
前記消毒滅菌チャンバの出口圧力が0.01Pa~
100000Paである
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項11】
プラズマの安定性が維持できることを前提として、消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニット内の出口圧力調整モジュールにより、消毒滅菌チャンバの出口圧力を所定の出口圧力値に調整することにおいて、前記出口圧力調整モジュールは、ボルテックスブロワ、遠心ファン、軸流ファン、負圧ルーツブロワ、ベンチュリ管、空気圧縮機、ガス減圧ポンプ、ピストン式コンプレッサ、ジェット真空ポンプ、スクリュー型真空ポンプ、液封真空ポンプ、回転翼型真空ポンプ、クロー型真空ポンプ、ルーツ真空ポンプ、往復式真空ポンプ、分子ポンプ、拡散ポンプ、イオン輸送ポンプ、ソープションポンプ、サブリメーションポンプ、クライオポンプのうちの一つ又は複数を含み、
プラズマの安定性が維持できることを前提として、消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットの入口圧力調整モジュールにより、消毒滅菌チャンバの入口圧力を所定の入口圧力値に調整することにおいて、前記入口圧力調整モジュールは、ボルテックスブロワ、遠心ファン、軸流ファン、ルーツブロワ、ベンチュリ管、ガス昇圧ポンプ、ピストン式コンプレッサ、ガスボンベのうちの一つ又は複数を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項12】
前記ステップ3は具体的に、
微生物担体を一定の速度で消毒滅菌チャンバに送り込み、微生物担体が消毒滅菌チャンバ内に消毒又は滅菌に必要な作業時間だけ滞留できることを保証するために、消毒滅菌チャンバのサイズとプラズマ源のパワーに応じて、微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度と移動形式を調整するステップ3S1を含み、
前記ステップ3S1における微生物担体は、気流担体と、液体流担体と、多相流担体と、搬送移動機構を有する固体担体とのうちの一つ又は複数を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項13】
前記微生物担体が気流担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、流速が0.0001m
3/min~100000m
3/minであり、
前記微生物担体が液体流担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、流速が0.0001m
3/min~100000m
3/minであり、
前記微生物担体が多相流担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、流速が0.0001m
3/min~100000m
3/minであり、
前記微生物担体が搬送移動機構を有する固体担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、線速度が0.0001m/min~60m/minである
ことを特徴とする請求項12に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項14】
前記ステップ3S1における、微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動形式は、直線移動、螺旋移動、渦巻き移動、回転移動、往復移動、ランダム移動のうちの一つ又は複数を含み、
前記ステップ3S1における消毒滅菌チャンバ内に滞留できる消毒又は滅菌に必要な作業時間は、0.5s~24hである
ことを特徴とする請求項12に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項15】
前記ステップ4は具体的に、
微生物担体が消毒滅菌チャンバ内で消毒又は滅菌に必要な作業時間を経過した後に、微生物担体を消毒滅菌チャンバから送出し、消毒プロセスを完成させるステップ4S1を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法。
【請求項16】
請求項1~15の何れか一つに記載の調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法を実行できる消毒滅菌装置であって、
消毒滅菌チャンバユニットと、圧力調整ユニットと、常圧プラズマユニットと、微生物担体搬送ユニットと、状態測定制御ユニットと、温度制御ユニットとを備え、
前記消毒滅菌装置において、前記消毒滅菌チャンバユニットには、前記常圧プラズマユニットの点火モジュールが内蔵されており、前記消毒滅菌チャンバユニットの入口及び出口は、前記圧力調整ユニットと連通しており、
前記圧力調整ユニットは、出口圧力調整モジュールと、入口圧力調整モジュールと、圧力測定インターフェースと、流量測定インターフェースとを備え、出口圧力調整モジュールと入口圧力調整モジュールにはいずれも圧力測定インターフェースと流量測定インターフェースが取り付けられ、
プラズマの安定性が維持できることを前提として、消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニット内の出口圧力調整モジュールにより、消毒滅菌チャンバの出口圧力を所定の出口圧力値に調整すること、及び、
プラズマの安定性が維持できることを前提として、消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットの入口圧力調整モジュールにより、消毒滅菌チャンバの入口圧力を所定の入口圧力値に調整すること、により、
前記出入口の差圧を所定の出入口差圧値に調整することを特徴とする、前記消毒滅菌装置。
【請求項17】
前記消毒滅菌装置において、前記微生物担体搬送ユニットが前記圧力調整ユニットと連通していることにより、微生物担体を異なる圧力環境下で前記消毒滅菌チャンバに送り込み、消毒完成後に送出することができる
ことを特徴とする請求項16に記載の消毒滅菌装置。
【請求項18】
前記消毒滅菌装置において、前記温度制御ユニットは、消毒滅菌チャンバユニット、常圧プラズマユニット、微生物担体搬送ユニットに接続されていることにより、上記各ユニットの動作温度の調整と恒温を実現する
ことを特徴とする請求項16に記載の消毒滅菌装置。
【請求項19】
前記消毒滅菌装置において、前記状態測定制御ユニットは、前記消毒滅菌チャンバユニット、前記常圧プラズマユニットを制御する
ことを特徴とする請求項16に記載の消毒滅菌装置。
【請求項20】
前記消毒滅菌装置において、前記微生物担体搬送ユニット及び前記圧力調整ユニットの状態を制御することにより、消毒プロセスに対する連続的な測定、制御及び調整を行う
ことを特徴とする請求項16に記載の消毒滅菌装置。
【請求項21】
前記消毒滅菌装置において、前記消毒滅菌チャンバユニットは、消毒滅菌チャンバモジュールと、光学的測定インターフェースと、電気的測定インターフェースと、温度測定インターフェースとを備える
ことを特徴とする請求項16に記載の消毒滅菌装置。
【請求項22】
前記消毒滅菌装置において、前記消毒滅菌チャンバモジュールの構造は、矩形チャンバ構造、円柱型チャンバ構造、球形チャンバ構造、錐体チャンバ構造、楕円体チャンバ構造、放物面チャンバ構造、双曲面チャンバ構造、螺旋型チャンバ構造、ボリュート型チャンバ構造、異形チャンバ構造のうちの一つ又は複数の組み合わせを含む
ことを特徴とする請求項16に記載の消毒滅菌装置。
【請求項23】
前記消毒滅菌装置において、前記常圧プラズマユニットは、プラズマ源パワーモジュールと、作動媒体吸気モジュールと、点火モジュールと、パワーフィードバック測定インターフェースとを備え、プラズマ源点火モジュールが消毒滅菌チャンバモジュール内に設置され、作動媒体吸気モジュールが点火モジュールの後端に取り付けられ、プラズマ源パワーモジュール自身にパワーフィードバック測定インターフェースが設けられており、状態測定制御ユニットによって監視されることが可能である
ことを特徴とする請求項16に記載の消毒滅菌装置。
【請求項24】
前記消毒滅菌装置において、前記温度制御ユニットは、放熱モジュールと熱交換モジュールとを備え、熱交換モジュールは消毒滅菌チャンバユニット、常圧プラズマユニット及び微生物担体搬送ユニットと接続されており、上記ユニットの動作時に発生した熱を迅速に外へ伝達できることを保証するとともに、熱交換モジュールはさらに放熱モジュールと接続されており、熱が迅速に環境或いは冷媒/熱媒体と接触できることを保証することによって、温度を制御することができる
ことを特徴とする請求項16に記載の消毒滅菌装置。
【請求項25】
前記消毒滅菌装置において、前記微生物担体搬送ユニットは、気流搬送モジュール、又は液体流搬送モジュール、又は多相流搬送モジュール、又は搬送移動機構を有する固体担体モジュールのうちの一つ又は複数を含む
ことを特徴とする請求項16に記載の消毒滅菌装置。
【請求項26】
前記消毒滅菌装置において、前記状態測定制御ユニットは、制御パネルと、主制御モジュールと、光学的測定モジュールと、電気的測定モジュールと、温度測定モジュールと、圧力測定モジュールと、流量測定モジュールと、プラズマ源パワーフィードバック測定モジュールとを備える
ことを特徴とする請求項16に記載の消毒滅菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消毒滅菌の分野に関するものである。また、本発明は、上記の消毒滅菌の分野における装置及びデバイスにも関する。
【背景技術】
【0002】
細菌、真菌とウイルスなどの各種微生物は自然環境の重要な構成部分の一つであり、自然環境中の大量の物質の転化、分解と合成はすべてこれらの微生物に依存している。遺伝子組み換えされた特定の微生物、例えばペニシリン合成遺伝子が組み入れられた大腸桿菌は、発酵液内の炭素源、窒素源及び硫黄源をペニシリンという特定構造の小分子に一方的に転化させることができる。しかしながら、人間にとって、微生物による影響は有害で、ひいては致命的で解決が困難な可能性がある。例えばメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、多剤耐性肺炎連鎖球菌(MDRSP)などのスーパーバグ、アシネトバクター属、シュードモナス属と各種腸内細菌科のよく見かける細菌、SARS-CoV-2、エボラ(Ebola)ウイルスなどの危険性が極めて大きいウイルス、カンジダ・アウリス(Candida Auris)などの薬剤抵抗性が強く致死性が高い真菌などの微生物による生物安全問題はすでに人類の健康に対する最大の脅威となっている。体内環境において、これらの細菌、ウイルスと真菌の成長を、通常の抗生物質や抗ウイルス薬によって抑制することが困難である。体外環境において、これらの微生物の伝染性は極めて強く、従来の消毒手段ではこれらの微生物を不活化させる能力は限られていた。これはまた、多くの公共安全事件を引き起こし、人類社会の経済運営、社会組織などの各方面に大きな影響を与えた。それだけでなく、各種の微生物自身に変異と拮抗力の遺伝が存在するため、既存の抗生物質と消毒技術が効きにくくなり、ひいては効かなくなることにより、人類とこれらの病原性微生物の間の戦争が必然的にシーソーゲームになり、これらの微生物の来襲に応じるために、常により広範囲、より広域スペクトル、より強力な消毒技術を必要とする。
【0003】
そのため、消毒技術、つまり化学的あるいは物理的な方法によって伝播媒介上の病原微生物を殺滅あるいは除去して、伝播や感染が発生しないレベルにする処理の技術レベルの向上は、基礎研究分野の技術の飛躍的な進展と、微生物研究分野での実用化を必要とする。伝統的な消毒技術には、機械的消毒、熱による消毒、放射線による消毒、化学的消毒などの方法が含まれている。その中の机械的消毒はすなわち、流水によるリンス、無菌気流層流によるパージングなどの方法により、環境の消毒を実現する方法である。熱による消毒は、火炎、煮沸、流動蒸気や高圧蒸気、乾熱などの異なる加熱手段を介して、消毒対象の物体に対して熱処理を行い、細菌を殺滅する方法であり、その温度レベルは一般的に100~200℃で、時間は数分間から数時間で、消毒対象によって異なる。放射線による消毒は、主に電離放射線と非電離放射線の二種類の放射線による照射で消毒を実現する方法であり、その中で、非電離放射線は紫外線、赤外線とマイクロ波を含み、電離放射線は陰極線、Co-60放射線源による照射などの方式を含む。化学的消毒は主にフェノール、エタノール、エチレンオキシド、漂白剤、二酸化塩素、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、過酢酸、過酸化水素、グルタルアルデヒド、第4級アンモニウム塩系などを含む異なる消毒剤を利用し、これらの消毒剤を環境内で散布、霧化、清拭することによって、環境に対する消毒を実現する。
【0004】
総括して言えば、上記の異なる消毒技術は、それぞれ適用できる場面と環境があり、その消毒レベルは、環境中の微生物の殺滅率の違いによって、異なる位置付けを持っている。すべての微生物の殺滅や除去が可能である場合の消毒レベルを滅菌と称することができる。
【0005】
上記の技術では、例えばエチレンオキシド消毒、高圧蒸気消毒、乾熱消毒、電離放射線消毒などの方法によって、滅菌レベルを達成することができる。滅菌とは、処理される微生物を完全に殺滅させることを意味する絶対的概念であり、滅菌処理された物は、感染を起こすことなく人体の無菌組織に直接入り込むことができる。したがって、滅菌は最も徹底する消毒であると考えられる。しかしながら、実際にはこのようなレベルを達成させることは困難であるため、国際的に通常の方法では、滅菌プロセスによって物を汚染した微生物の生存確率を10‐6(滅菌保証レベル)まで減少させなければならない、言い換えれば、対象とする微生物の殺滅率を99.9999%まで達成しなければ、滅菌の技術的要求を達成することができないと規定している。滅菌レベルに達する消毒技術は、最も効果的な消毒技術とも考えられる。
【0006】
しかしながら、滅菌を実現できる技術には、応用上の制約が伴うことも多い。最も基本的な滅菌方法は、高圧蒸気滅菌によって、120℃までの蒸気の中で、30分間以上処理する方法である。様々な異なる消毒技術を見比べて分かるように、一つの消毒技術が滅菌できる消毒レベルに達するには、他のコストが伴うことが多く、仮に広い範囲で実行できなければ、人体に対して巨大な被害を与える可能性もある。逆に、温和すぎると、滅菌の消毒レベルに達することができなくなる。したがって、理想的な消毒技術は以下の特徴を持つべきであることは容易に推察できる。
【0007】
消毒強度が可能な限り高く、微生物の殺滅率が99.9999%、すなわち滅菌レベルに達することができる。消毒の速度が可能な限り速く、消費する時間は可能な限り短く、かつ後処理を必要とせず、残留物がある場合、無害な残留物でなければならない。消毒プロセスは大面積の環境、特にエアゾール環境に対する消毒を実現でき、しかも環境における器械と物品を損傷しない。消毒プロセスの消耗材のコストが可能な限り低く、人力を必要としないか、比較的少ない人力を必要とする。
【0008】
上記特徴はまさに、従来の消毒技術が同時に備えられないものであり、逆に、基礎研究から実用化した新技術を消毒滅菌領域に導入するには、可能な限りこれらの指標と特徴に近づけるべきである。現在、最も理想的な消毒技術に近い技術はプラズマ消毒技術であると思われる。
【0009】
現在、主流となっているプラズマ消毒技術は、やはり真空や負圧のプラズマを使って消毒を行うようにしている。このため、これらのプラズマはいずれも真空負圧プラズマであり、通常低温プラズマに属する。一般的な低温プラズマは、原子温度が102K~103K程度と低く、電子温度は通常すべて104Kであり、しかもイオン化の程度は通常1%と低い。このため、冷たいプラズマ内ではわずかな粒子のみがイオン化し、しかも形成されたプラズマも低エネルギー状態の励起状態にあることになる。そのため、プラズマ内の活性成分に高い活性を持たせるために他の助剤が必要となることが多く、例えば過酸化水素注入法を用いて、過酸化水素でプラズマのイオン化を補助することにより、高濃度の酸素ラジカルを得て、閉じられたキャビティ内での消毒を実現することができる。負圧で一定時間密封して消毒を行い、消毒が完了した後に、再び常圧のクリーンガスを充填して、キャビティを常圧に戻すことで、消毒を完成させる。このような過酸化水素でコールドプラズマを補助するイオン化消毒の技術は、一般的には、キャビティ内圧力は数Paから数十Paで、作業温度は約35~45℃で、一般的な器具と高分子材料に対して非破壊滅菌を実現でき、その滅菌周期は通常30~60分間で、他の方法より効率がはるかに高い。
【0010】
低温プラズマ消毒技術とし、現在、すでに多くの成熟した事例がある。例えば、米ジョンソン・エンド・ジョンソン社が1997年にFDAの承認を得て発売した過酸化水素プラズマ滅菌器「Starrad 100S」は、2004年からすでに中国市場に進出しており、広く受け入れられている。しかしながら、だからといって低温プラズマ消毒技術が消毒技術の頂点に達したわけではなく、現在までにプラズマ消毒技術にはいくつかのジレンマが依然として存在している。最も直接的な問題の一つは、この種のプラズマはすべて負圧あるいは真空プラズマであり、広範囲の消毒滅菌を行うことができないことである。例えキャビティ内であっても、プラズマの環境に差圧がないため流れが阻まれるので、大規模で均一なプラズマ雰囲気を形成することが困難である。キャビティのサイズが大きくなると、対応する真空度の要求が高くなり、達成がより困難になる。
【0011】
率直に言えば、プラズマ消毒技術を大規模応用する最大の障害は、真空度の要求によるものであるため、常圧環境下でのプラズマの形成、すなわちプラズマジェットの形成を実現するために多くの研究が着手されている。常圧下での粒子の平均自由行程は低い傾向にあり、粒子間の衝突を通じて、エネルギーは急速に周囲に伝達されるので、初期の非平衡状態の程度が高くなければ、安定したプラズマを形成することは困難であるため、常圧下で安定したプラズマを形成することは容易ではない。常圧プラズマ、特に表面結合プラズマは、より高いエネルギー供給効率、より広い電子温度とイオン温度の調整可能な温度範囲、およびより高いエネルギー密度を有する。このような常圧プラズマが研究で見いだされることにより、高温常圧プラズマ技術の消毒技術分野への応用が可能になった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これに鑑み、本発明は、卓越した性能を持つ、調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法及び対応する消毒滅菌装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様において、本発明は、調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法を提供し、該方法は、
【0014】
出入口の差圧が調整可能な消毒滅菌チャンバ内で常圧プラズマを励起させるステップと、常圧プラズマが安定した後に、対応する消毒又は滅菌のプロセス要求に応じて、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧を調整することで、チャンバ内のプラズマ密度の調整を実現するステップと、その後、消毒滅菌する予定の微生物を担持した担体を消毒滅菌チャンバ内に連続的に送り込み、消毒滅菌を行うステップと、処理が完了した後に、消毒滅菌チャンバから担体を送出し、異なるレベルの微生物殺滅率の要求に従って担体の消毒又は滅菌を実現するステップと、
を含む。
【0015】
さらに、前記常圧プラズマは、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、高電圧直流アーク、高電圧交流アーク、マイクロ波プラズマ、表面結合誘起プラズマを含む。
【0016】
さらに、前記常圧プラズマのプラズマ密度が1.0×103個/cm3~1.0×1030個/cm3である。
【0017】
さらに、前記常圧プラズマの原子温度が1.0×100K~1.0×1012Kである。
【0018】
さらに、前記常圧プラズマの電子温度が1.0×100K~1.0×1012Kである。
【0019】
さらに、前記担体に担持される微生物は、細菌(およびその芽胞)、古細菌、真菌、放線菌、原生動物、藻類、ウイルス、マイコプラズマ、クラミジア、ウイロイド、ウイルソイド、プリオンを含む。
【0020】
さらに、前記微生物の殺滅率範囲は90%~99.9999%である。
【0021】
さらに、出入口の差圧が調整可能な消毒滅菌チャンバ内で常圧プラズマを励起させる前記ステップは具体的に、常圧プラズマユニットに作動媒体ガスを通し、常圧プラズマが作動媒体ガスに飽和された後、プラズマのパワー源にエネルギーを供給し始め、プラズマの点火に成功し、プラズマジェットが形成されるまで、エネルギーを供給し続けるステップ1S1と、プラズマの安定性が維持できることを前提として、プラズマの入力パワーが目標パワーに達するまで、プラズマ源の入力パワーを徐々に調整するステップ1S2と、を含む。
【0022】
さらに、前記ステップ1S1における作動媒体ガスは、水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、人工空気、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、塩素ガス、フッ素ガス、臭素蒸気、フッ化水素ガス、塩化水素ガス、ヨウ化水素ガス、臭素化水素ガス、二酸化窒素ガス、一酸化二窒素ガス、三フッ化窒素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、アンモニアガス、六フッ化硫黄ガス、四フッ化炭素ガス、シランガス、ゲルマンガス、有機ガスのうちの一つ又は複数の混合物を含む。
【0023】
さらに、前記ステップ1S1におけるプラズマパワー源のパワーは0.5W~100kWである。
【0024】
さらに、前記ステップ1S2における入力パワーを徐々に調整する方法は、最初にパワーを高く調整してからパワーを目標パワーまで下げる方法と、パワーを徐々に目標パワーに増大させる方法との二つの方法を含む。
【0025】
さらに、常圧プラズマが安定した後に、対応する消毒又は滅菌のプロセス要求に応じて、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧を調整することで、チャンバ内のプラズマ密度の調整を実現する前記ステップは具体的に、プラズマの安定性が維持できることを前提として、消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニット内の出口圧力調整モジュールにより、消毒滅菌チャンバの出口圧力を調整するステップ2S1と、プラズマの安定性が維持できることを前提として、消毒滅菌チャンバの圧力調整ユニットの入口圧力調整モジュールにより、消毒滅菌チャンバの入口圧力を調整するステップ2S2と、を含む。
【0026】
さらに、前記消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が0Pa~120Mpaである。
【0027】
さらに、前記消毒滅菌チャンバの入口圧力が0.0000001Pa~120MPaである。
【0028】
さらに、前記消毒滅菌チャンバの出口圧力が0.0000001Pa~120MPaである。
【0029】
さらに、前記ステップ2S1における出口圧力調整モジュールは、ボルテックスブロワ、遠心ファン、軸流ファン、負圧ルーツブロワ、ベンチュリ管、空気圧縮機、ガス減圧ポンプ、ピストン式コンプレッサ、ジェット真空ポンプ、スクリュー型真空ポンプ、液封真空ポンプ、回転翼型真空ポンプ、クロー型真空ポンプ、ルーツ真空ポンプ、往復式真空ポンプ、分子ポンプ、拡散ポンプ、イオン輸送ポンプ、ソープションポンプ、サブリメーションポンプ、クライオポンプのうちの一つ又は複数を含む。
【0030】
さらに、前記ステップ2S2における入口圧力調整モジュールは、ボルテックスブロワ、遠心ファン、軸流ファン、ルーツブロワ、ベンチュリ管、ガス昇圧ポンプ、ピストン式コンプレッサ、ガスボンベのうちの一つ又は複数を含む。
【0031】
さらに、消毒滅菌する予定の微生物を担持した担体を消毒滅菌チャンバ内に連続的に送り込み、消毒滅菌を行う前記ステップは具体的に、微生物担体を一定の速度で消毒滅菌チャンバに送り込み、微生物担体が消毒滅菌チャンバ内に消毒又は滅菌に必要な作業時間だけ滞留できることを保証するために、消毒滅菌チャンバのサイズとプラズマ源のパワーに応じて、微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度と移動形式を調整するステップ3S1を含む。
【0032】
さらに、前記ステップ3S1における微生物担体は、気流担体と、液体流担体と、多相流担体と、搬送移動機構を有する固体担体とを含む。
【0033】
さらに、前記微生物担体が気流担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、流速が0.0001m3/min~100000m3/minである。
【0034】
さらに、前記微生物担体が液体流担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、流速が0.0001m3/min~100000m3/minである。
【0035】
さらに、前記微生物担体が多相流担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、流速が0.0001m3/min~100000m3/minである。
【0036】
さらに、前記微生物担体が搬送移動機構を有する固体担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、線速度が0.0001m/min~60m/minである。
【0037】
さらに、前記ステップ3S1における、微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動形式は、直線移動、螺旋移動、渦巻き移動、回転移動、往復移動、ランダム移動のうちの一つ又は複数を含む。
【0038】
さらに、前記ステップ3S1における消毒滅菌チャンバ内に滞留できる消毒又は滅菌に必要な作業時間は、0.5s~24hである。
【0039】
さらに、処理が完了した後に、消毒滅菌チャンバから担体を送出し、異なるレベルの微生物殺滅率の要求に従って担体の消毒又は滅菌を実現する前記ステップは具体的に、微生物担体が消毒滅菌チャンバ内で消毒又は滅菌に必要な作業時間を経過した後に、微生物担体を消毒滅菌チャンバから送出し、消毒プロセスを完成させるステップ4S1を含む。
【0040】
別の態様において、本発明はさらに、消毒滅菌装置を提供し、該消毒滅菌装置は、消毒滅菌チャンバユニットと、圧力調整ユニットと、常圧プラズマユニットと、微生物担体搬送ユニットと、状態測定制御ユニットと、温度制御ユニットとを備える。前記消毒滅菌チャンバユニットには、前記常圧プラズマユニットの点火モジュールが内蔵されており、前記消毒滅菌チャンバユニットの入口及び出口は、前記圧力調整ユニットと連通していることにより、前記消毒滅菌チャンバのチャンバ内圧力に対する調整制御が実現される。前記微生物担体搬送ユニットが前記圧力調整ユニットと連通していることにより、微生物担体を異なる圧力環境下で前記消毒滅菌チャンバに送り込み、消毒完成後に送出することができる。前記温度制御ユニットは、消毒滅菌チャンバユニット、常圧プラズマユニット、微生物担体搬送ユニットに接続されていることにより、上記各ユニットの動作温度の調整と恒温を実現する。前記状態測定制御ユニットは、前記消毒滅菌チャンバユニット、前記常圧プラズマユニット、前記微生物担体搬送ユニット及び前記圧力調整ユニットの状態を制御することにより、消毒プロセスに対する連続的な測定、制御及び調整を行う。
【0041】
さらに、前記消毒滅菌チャンバユニットは、消毒滅菌チャンバモジュールと、光学的測定インターフェースと、電気的測定インターフェースと、温度測定インターフェースとを備える。
【0042】
さらに、前記消毒滅菌チャンバモジュールの構造は、矩形チャンバ構造、円柱型チャンバ構造、球形チャンバ構造、錐体チャンバ構造、楕円体チャンバ構造、放物面チャンバ構造、双曲面チャンバ構造、螺旋型チャンバ構造、ボリュート型チャンバ構造、異形チャンバ構造のうちの一つ又は複数の組み合わせを含む。
【0043】
さらに、前記圧力調整ユニットは、出口圧力調整モジュールと、入口圧力調整モジュールと、圧力測定インターフェースと、流量測定インターフェースとを備える。出口圧力調整モジュールと入口圧力調整モジュールにはいずれも圧力測定インターフェースと流量測定インターフェースが取り付けられている。
【0044】
さらに、前記常圧プラズマユニットは、プラズマ源パワーモジュールと、作動媒体吸気モジュールと、点火モジュールと、パワーフィードバック測定インターフェースとを備える。プラズマ源点火モジュールが消毒滅菌チャンバモジュール内に設置され、作動媒体吸気モジュールが点火モジュールの後端に取り付けられ、プラズマ源パワーモジュール自身にパワーフィードバック測定インターフェースが設けられており、状態測定制御ユニットによって監視されることが可能である。
【0045】
さらに、前記温度制御ユニットは、放熱モジュールと熱交換モジュールとを備える。熱交換モジュールは消毒滅菌チャンバユニット、常圧プラズマユニット及び微生物担体搬送ユニットと接続されており、上記ユニットの動作時に発生した熱を迅速に外へ伝達できることを保証するとともに、熱交換モジュールはさらに放熱モジュールと接続されており、熱が迅速に環境或いは冷媒/熱媒体と接触できることを保証することによって、温度を制御することができる。
【0046】
さらに、前記微生物担体搬送ユニットは、気流搬送モジュール、又は液体流搬送モジュール、又は多相流搬送モジュール、又は搬送移動機構を有する固体担体モジュールを含む。
【0047】
さらに、前記状態測定制御ユニットは、制御パネルと、主制御モジュールと、光学的測定モジュールと、電気的測定モジュールと、温度測定モジュールと、圧力測定モジュールと、流量測定モジュールと、プラズマ源パワーフィードバック測定モジュールとを備える。
【発明の効果】
【0048】
従来技術と比較して、本消毒滅菌方法は大気圧範囲で実行することができ、環境内のエアゾール、多相流などの流体に対して連続流の処理を行うことにより、開放、半密閉、密閉環境内での殺菌と消毒を実現することができるので、プラズマ消毒の空間制限問題を直接に解決することができる。また、連続的な表面殺菌と消毒についても、常圧下の固体担体モジュールによって、連続的な出入りを実現することができるので、手術器具、インプラントなどの材料に対する表面の消毒処理を大量に行うことができる。
【0049】
本発明はまた、対応する消毒滅菌装置を提供し、前述した消毒滅菌方法が上記の技術的効果を有するので、該消毒滅菌装置も対応する技術的効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明が提供する消毒滅菌装置の具体的な実施形態の構造模式図である。
【0051】
図1における符号と部材名称との間の対応関係は以下になる。
【0052】
装置ハウジング、1 トップカバー、4&10&11&16 構造フレーム板、19 フレーム、9 点検用窓、13 固定組立体、
【0053】
消毒滅菌チャンバユニット、21 消毒滅菌チャンバモジュール(表面結合誘起プラズマ源点火モジュール、作動媒体吸気モジュール、光学的測定インターフェース、電気的測定インターフェースが内蔵された矩形チャンバ構造)、20 温度測定インターフェース、
【0054】
圧力調整ユニット、14 出口圧力調整モジュールとしてのファン(圧力測定インターフェースと流量測定インターフェース付き)、15 入口圧力調整モジュールとしてのガスボンベ(圧力測定インターフェース付き)、8 流量測定インターフェース、
【0055】
常圧プラズマユニット、17 プラズマ源パワーモジュール及びパワーフィードバック測定インターフェース、6 作動媒体吸気モジュール、
【0056】
温度制御ユニット、5 温度制御ユニット、
【0057】
微生物担体搬送ユニット、7 流体搬送モジュール、
【0058】
状態測定制御ユニット、2&3 制御パネル、18 主制御モジュール。
【0059】
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の目的、技術案及び利点をより明らかにするために、以下では、本発明をさらに詳しく説明する。ここで説明する具体的な実施例は本発明を解釈するためだけに使われるのであって、本発明を限定するために使われるものではないと理解しておくべきである。矛盾しない限り、本発明における実施例及び実施例における特徴は互いと組み合わせてもよいことは、説明しておく必要がある。
【0061】
本発明は調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法及び対応する消毒滅菌装置を提供する。
【0062】
本発明で説明した、調整可能な連続流プラズマによる消毒滅菌方法は、常圧プラズマの作業中に発生する高エネルギーのプラズマとプラズマの熱、及び脱励起の過程で発生する深紫外線、極紫外線ひいては軟X線放射によって、プラズマ自体が空気中の酸素分子と衝突したり、空気中の酸素分子が深紫外線、極紫外線ひいては軟X線を吸収したりすることで発生する一連の促進酸化組み合わせて、極紫外は軟X線を放射することで発生する、オゾン、一重項酸素分子、ヒドロキシルラジカル、過酸化ラジカル、酸素原子などの一連の高級酸化媒体を、消毒因子として、接触される被処理媒体に対して全面的、徹底的な消毒或いは滅菌を行う方法である。次世代の常圧プラズマ技術、特に表面結合プラズマ技術と組み合わせることにより、効率的で広範囲の連続的な消毒または滅菌を実現することが可能である。
【0063】
従来の技術と比べて、本願の発明者らが初めて革新的に、常圧プラズマを出入口の差圧に結合することで、非真空環境下で常圧プラズマの作業範囲をさらに広げ、一定の仕様と寸法のチャンバ内で連続的なプラズマ消毒を実現し、常圧または正圧環境下での試料注入を可能にすることができるので、専用の真空チャンバを必要とすることなく、消毒プロセスを大気環境に直接開放して連続的に作業できることを保証する。
【0064】
この発明構想に基づいて、本願では、プラズマの拡散操作を維持するために、一連の異なるタイプの常圧プラズマと差圧実現形態を利用した。また、チャンバ内での移動形態の調整や制御により、微生物担体搬送ユニットをチャンバ内で異なる行程を通過させることにより、殺菌チャンバ内での滞留時間を制御し、さらにその消毒効率を高め、微生物担体搬送ユニット表面の微生物を完全に殺滅させ、高いレベルの消毒又は滅菌の消毒レベルを達成することができる。
【0065】
前記常圧プラズマは、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、高電圧直流アーク、高電圧交流アーク、マイクロ波プラズマ、表面結合誘起プラズマを含み、好ましくは表面結合誘起プラズマ、高電圧交流アーク、マイクロ波プラズマである。紫外線などの放射条件を消毒因子とする場合、プラズマを比較的に高い励起状態に励起させることで、放射脱励起する時に深紫外放射ひいては軟X線放射を発生させることを保証する必要があり、すなわち、効率の高いプラズマ励起方式によって、高いエネルギー供給効率と理想的なプラズマの作業パラメータを保証することができる。
【0066】
前記常圧プラズマのプラズマ密度が1.0×103個/cm3~1.0×1030個/cm3である。好ましくは1.0×105個/cm3~1.0×1015個/cm3である。前記常圧プラズマの原子温度が1.0×100K~1.0×1012Kであり、好ましくは3.5×101K~1.0×107Kである。前記常圧プラズマの電子温度が1.0×100K~1.0×1012Kであり、好ましくは3.5×101K~1.0×107Kである。本願にかかるプラズマ消毒プロセスにおいて、消毒時の微生物担体が気体、液体又は多相流である場合、それらの消毒チャンバ内での滞留時間は限られており、迅速な消毒が必要であり、しかもこのような担体は高密度のプラズマボンバードメントに耐えられるので、良好な消毒効果を保証するために、できるだけ高いプラズマ励起状態が必要とされ、すなわち前記プラズマ全体のイオン化程度が高くて、密度が大きくて、対応する電子温度と原子温度が高いことが必要とされる。消毒時の微生物担体が搬送移動機構を有する固体担体の場合、そのプラズマボンバードメントに対する抵抗性が弱いが、チャンバ内での滞留時間が長いため、すなわち低密度のプラズマの長時間作用が必要とされ、プラズマ密度が低く、対応する電子温度と原子温度も比較的に低いことが必要とされる。したがって、プラズマ消毒の場面では、消毒対象によって、適用するプラズマ密度、原子温度と電子温度も異なり、広い調整範囲が必要である。
【0067】
前記担体に担持される微生物は、細菌(およびその芽胞)、古細菌、真菌、放線菌、原生動物、藻類、ウイルス、マイコプラズマ、クラミジア、ウイロイド、ウイルソイド、プリオンを含む。前記微生物の殺滅率範囲は90%~99.9999%である。本願の消毒方法については、その消毒因子は従来の消毒プロセスで使用される化学的因子ではなく、紫外線照射、イオン照射に基づいて消毒を行うことが多いため、その消毒強度は十分に高く、ひいては大部分の気体有機物に対して、効率的にCHxフラグメントまで分解させることができる。そのため、よく見られる各種の微生物をすべて効果的に殺滅又は除去することができ、その典型的な指示菌、例えばバシラスステアロサーモフィラス芽胞、枯草菌芽胞、白色ブドウ球菌などであり、すべて良好な消毒滅菌効果を達成できる。したがって、その消毒対象において広いスペクトル性を持ち、微生物の殺滅率は高いレベルの消毒と滅菌の消毒レベルに達することができると考えられる。
【0068】
前記ステップ1S1における作動媒体ガスは、水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、人工空気、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガス、塩素ガス、フッ素ガス、臭素蒸気、フッ化水素ガス、塩化水素ガス、ヨウ化水素ガス、臭素化水素ガス、二酸化窒素ガス、一酸化二窒素ガス、三フッ化窒素ガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、アンモニアガス、六フッ化硫黄ガス、四フッ化炭素ガス、シランガス、ゲルマンガス、有機ガスのうちの一つ又は複数の混合物を含み、好ましくは水素ガス、酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、アンモニアガス、四フッ化炭素ガスのうちの一つ又は複数の混合物である。前記作動媒体は広い範囲のイオン化エネルギーを有し、その混合物においては様々なエキシマの励起モードが許容されるので、上記の要求されるプラズマ密度を達成することができる。
【0069】
前記ステップ1S1におけるプラズマパワー源のパワーは0.5W~100kWであり、好ましくは1W~5kWである。前記パワー範囲とすることで、消毒プロセスのエネルギーが高すぎるのを回避することができる。
【0070】
前記ステップ1S2における入力パワーを徐々に調整する方式は、最初にパワーを高く調整してからパワーを目標パワーまで下げる方式と、パワーを徐々に目標パワーに増大させる方式との二つの方式を含む。前記の二つの調整方式について、異なるパワー源に対する調整の効果が異なり、最初にパワーを高く調整してからパワーを目標パワーまで下げる調整方式を使用する場合、消毒装置のエネルギー消費量が高まり、消毒装置の部品にも一定の損傷が生じるが、形成されるプラズマは安定性が良く、維持しやすい。パワーを徐々に目標パワーに増大させる調整方式を使用する場合、エネルギー消費量が比較的低く、機械全体の動作寿命を延ばすことができるが、プラズマの安定性が悪く、作業中に消滅しやすい。したがって、具体的な調整方式は、作業時の具体的な作業状況に基づいて判断し、選択しなければならない。
【0071】
前記消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が0Pa~120Mpaであり、好ましくは0Pa~200000Paである。前記消毒滅菌チャンバの入口圧力が0.0000001Pa~120MPaであり、好ましくは100000Pa~200000Paである。前記消毒滅菌チャンバの出口圧力が0.0000001Pa~120MPaであり、好ましくは0.01Pa~100000Paである。一般的な環境下の大気圧は100000Pa、つまり0.1Mpaである。前記入口圧力と出口圧力によれば、消毒滅菌チャンバの差圧を大気圧範囲内に制御して、装置全体の消毒プロセスでは常圧に開放して消毒することができるとともに、プラズマの平均自由行程をさらに延長して、作業範囲を拡大し、作業時間を短縮することができる。
【0072】
前記ステップ2S1における出口圧力調整モジュールは、ボルテックスブロワ、遠心ファン、軸流ファン、負圧ルーツブロワ、ベンチュリ管、空気圧縮機、ガス減圧ポンプ、ピストン式コンプレッサ、ジェット真空ポンプ、スクリュー型真空ポンプ、液封真空ポンプ、回転翼型真空ポンプ、クロー型真空ポンプ、ルーツ真空ポンプ、往復式真空ポンプ、分子ポンプ、拡散ポンプ、イオン輸送ポンプ、ソープションポンプ、サブリメーションポンプ、クライオポンプのうちの一つ又は複数を含み、好ましくはボルテックスブロワ、負圧ルーツブロワ、ベンチュリ管、ピストン式コンプレッサ、ジェット真空ポンプ、液封真空ポンプのうちの一つ又は複数である。前記出口圧力調整モジュールとすることにより、上記の出口圧力要件を達成することができるとともに、作業条件に対する要求が低く、許容性が高く、本発明にかかる機能要件に適している。
【0073】
前記ステップ2S2における入口圧力調整モジュールは、ボルテックスブロワ、遠心ファン、軸流ファン、ルーツブロワ、ベンチュリ管、ガス昇圧ポンプ、ピストン式コンプレッサ、ガスボンベのうちの一つ又は複数を含み、好ましくはボルテックスブロワ、ガス昇圧ポンプ、遠心ファンのうちの一つ又は複数である。前記入口圧力調整モジュールとすることにより、上記の入口圧力要件を達成することができるとともに、エネルギー消費が少なく、効率が高く、本発明にかかる機能要件に適している。
【0074】
前記ステップ3S1における微生物担体は、気流担体と、液体流担体と、多相流担体と、搬送移動機構を有する固体担体とを含む。前記微生物担体が気流担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、流速が0.0001m3/min~100000m3/minであり、好ましくは0.5m3/min~20m3/minである。前記微生物担体が液体流担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、流速が0.0001m3/min~100000m3/minであり、好ましくは0.5m3/min~10m3/minである。前記微生物担体が多相流担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、流速が0.0001m3/min~100000m3/minであり、好ましくは0.5m3/min~20m3/minである。前記微生物担体が搬送移動機構を有する固体担体である場合、前記微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動速度は、線速度が0.0001m/min~60m/minであり、好ましくは0.01m/min~1m/minである。前記微生物担体によって本願にかかる作業対象が決まるものであり、作業対象が流体、すなわち気流、液体流、多相流である場合、それ適する流速は高い傾向にあり、消毒滅菌チャンバを迅速に通過することができる。一方、作業対象が非流体、すなわち搬送移動機構を有する固体担体である場合、機械運動が速すぎると運動機械部分への負荷が大きくなり、摩耗が生じやすいため、上記の作業速度を選択した。
【0075】
前記ステップ3S1における、微生物担体の消毒滅菌チャンバ内での移動形式は、直線移動、螺旋移動、渦巻き移動、回転移動、往復移動、ランダム移動のうちの一つ又は複数を含み、好ましくは直線移動、渦巻き移動、回転移動、ランダム移動のうちの一つ又は複数である。上記した移動形態により、消毒滅菌チャンバ内での微生物担体の行程を延長し、チャンバ内に予期しない圧力降下を生じさせる過大な管路損失及び曲げ損失を回避することができる。
【0076】
前記ステップ3S1における消毒滅菌チャンバ内に滞留できる消毒又は滅菌に必要な作業時間は、0.5s~24hである。前記作業時間内に期待される消毒力に達することができる。
【0077】
また、本発明はさらに、消毒滅菌方法に対応する消毒滅菌装置にも関する。本発明の解決策を当業者によりよく理解させるために、以下では、添付の
図1に関連して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0078】
図1を参照し、
図1は本発明が提供する消毒滅菌装置の具体的な実施形態の構造模式図である。
【0079】
具体的な実施形態において、本願は消毒滅菌装置を提供し、前記消毒滅菌装置は、
【0080】
装置ハウジングと、トップカバー1、構造フレーム板4&10&11&16、フレーム19、点検用窓9、固定組立体13、消毒滅菌チャンバユニット、消毒滅菌チャンバモジュール(表面結合誘起プラズマ源点火モジュール、作動媒体吸気モジュール、光学的測定インターフェース、電気的測定インターフェースが内蔵された矩形チャンバ構造)21、温度測定インターフェース20、圧力調整ユニット、出口圧力調整モジュールとしてのファン(圧力測定インターフェースと流量測定インターフェース付き)14、入口圧力調整モジュールとしてのガスボンベ(圧力測定インターフェース付き)15、流量測定インターフェース8、常圧プラズマユニット、プラズマ源パワーモジュール及びパワーフィードバック測定インターフェース17、作動媒体吸気モジュール6、温度制御ユニット、温度制御ユニット5、微生物担体搬送ユニット、流体搬送モジュール7、状態測定制御ユニット、制御パネル2&3、主制御モジュール18。
【0081】
該消毒滅菌装置が動作しているときは、殺菌待ちの微生物担体を、微生物担体搬送ユニット内の流体搬送モジュール7を介して、消毒滅菌チャンバユニット内の消毒滅菌チャンバモジュール21に送るとともに、圧力調整ユニット内の出口圧力調整モジュールのファン(圧力測定インターフェースと流量測定インターフェース付き)14と入口圧力調整モジュールのガスボンベ(圧力測定インターフェース付き)15によって、消毒滅菌チャンバモジュール21の動作圧力を調整し、消毒滅菌チャンバモジュール21には、常圧プラズマユニットの点火モジュール(図示せず)が含まれ、該点火モジュールの吸気は、作動媒体吸気モジュール6を介して行われ、そのパワー入力は、プラズマ源パワーモジュールおよびパワーフィードバック測定インターフェース17を介して入力される。システム全体の温度制御ついては、温度制御モジュール5によって機器全体の動作温度を調整する。作業中、温度測定インターフェース20は、消毒滅菌チャンバモジュール21上の光学的測定インターフェース、電気的測定インターフェース、出口圧力調整モジュールの圧力測定インターフェース、流量測定インターフェース14、入口圧力調整モジュールの圧力測定インターフェース15、流量測定インターフェース8およびプラズマ源パワーモジュール上のパワーフィードバック測定インターフェース17は、状態測定制御ユニットの全体制御モジュール18にそれぞれの量の測定値を同時に提供し、主制御モジュール18を介して、制御パネル2および3に入力された制御要求に従って、それぞれのユニットの制御量の開ループまたは閉ループ調整を行う。
【0082】
従来技術と比較して、本消毒滅菌装置は大気圧範囲で実行することができ、環境内のエアゾール、多相流などの流体に対して連続流の処理を行うことにより、開放、半密閉、密閉環境内での殺菌と消毒を実現することができるので、プラズマ消毒の空間制限問題を直接に解決することができる。また、連続的な表面殺菌と消毒についても、常圧下の固体担体モジュールを交換することによって、連続的な出入りを実現することができるので、手術器具、インプラントなどの材料に対する表面の消毒処理を大量に行うことができる。本願にかかる消毒滅菌方法の条件を満たすその他の関連装置も相応の有益効果を有するが、その他の関連装置については、本文では説明を省く、先行技術を参照されたい。
【0083】
以下、具体的な実施例に関連して、本発明の解決策についてさらに説明する。
【実施例1】
【0084】
消毒滅菌装置を起動し、作動媒体給気モジュール6を介して消毒滅菌チャンバモジュール21内の常圧プラズマユニットの点火モジュールにアルゴンガスを作動媒体ガスとして通し、アルゴンガスが飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源17によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。開始時には、制御パネル2&3を介してプラズマ点火パワーとして1500Wを入力し、主制御モジュール18によってプラズマ源17の出力パワーを調整する。パワーの入力が完了し、プラズマジェットが形成された後に、制御パネル2&3を介して1000Wに調整することで安定したプラズマを維持し、消毒滅菌チャンバモジュール21上の光学的測定インターフェース、電気的測定インターフェースを通して、プラズマのパラメータを測定し、プラズマ密度が5×1012個/cm3で、原子温度が4.3×105Kで、電子温度が2.0×104Kであると判定することができる。
【0085】
プラズマが安定してから、圧力調整ユニット内の出口圧力調整モジュールのボルテックスブロワ(圧力測定インターフェースと流量測定インターフェース付き)14により、消毒滅菌チャンバモジュール21の出口圧力を50000Paに調整し、入口圧力調整モジュールのガスボンベ(圧力測定インターフェース付き)15により、消毒滅菌チャンバモジュール21の入口圧力を100000Paに調整する。完成後、消毒滅菌チャンバモジュール21の出入口の差圧が50000Paとなる。細菌である白色ブドウ球菌8320を試験微生物対象として使用し、微生物担体として気流担体を使用し、流体搬送モジュール7を介して消毒滅菌チャンバモジュール21内に送り込み、出口圧力モジュール14に備えられた流量測定インターフェースを介して全体の流量を測定し、気流担体を、消毒滅菌チャンバ21内の流速が1m3/minとなり、消毒滅菌チャンバ21内で直線移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が5sとなり、消毒滅菌チャンバ21を出ると消毒が完成するように制御する。消毒完成後の気流の一部を取り出して遮断して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群の白色ブドウ球菌8320の殺滅率は99.95%に達した。
【実施例2】
【0086】
常圧プラズマとして表面結合誘起プラズマを用い、そのプラズマ密度は3.7×1011個/cm3で、原子温度が4.3×105Kで、電子温度が2.0×104Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールにアルゴンガスを作動媒体ガスとして通し、アルゴンガスが飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして800Wを使用し、プラズマジェットが形成された後に、500Wの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0087】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットは液封真空ポンプを用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットはボルテックスブロワを用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、液封真空ポンプを起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を2000Paに調整し、さらにボルテックスブロワを起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.1MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が98000Paとなる。細菌である白色ブドウ球菌8320を試験微生物対象として使用し、微生物担体として気流担体を使用する。この気流担体を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する流速を1m3/minに制御して、気流担体が毒滅菌チャンバ内で渦巻き移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が20sに達し、消毒滅菌チャンバを出ると消毒が完成するようにする。消毒完成後の気流の一部を取り出して遮断して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群の白色ブドウ球菌8320の殺滅率は99.9999%に達した。
【実施例3】
【0088】
常圧プラズマとして誘導結合プラズマを用い、そのプラズマ密度は3.5×1012個/cm3で、原子温度が5×105Kで、電子温度が3.2×104Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールに人工空気を作動媒体ガスとして通し、人工空気が飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして1000Wを使用し、プラズマジェットが形成された後に、800Wの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0089】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットは液封真空ポンプを用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットはルーツブロワを用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、液封真空ポンプを起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を4000Paに調整し、さらにルーツブロワを起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.1MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が96000Paとなる。A/Califonia/07/2009亜型豚インフルエンザ低温適応弱毒化ワクチン株を試験微生物の対象として使用し、微生物担体として、搬送移動機構を有する固体担体を使用した。この固体担体を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する線速度を1m/minに制御して、固体担体が毒滅菌チャンバ内で直線移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が60sに達し、消毒滅菌チャンバを出ると消毒が完成するようにする。消毒完成後の固体担体表面に対して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群のA/Califonia/07/2009亜型豚インフルエンザ低温適応弱毒化ワクチン株の不活化率は99.9991%に達した。
【実施例4】
【0090】
常圧プラズマとしてマイクロ波プラズマを用い、そのプラズマ密度は4×1012個/cm3で、原子温度が5×105Kで、電子温度が5×104Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールにアルゴンガスを作動媒体ガスとして通し、アルゴンガスが飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして1000Wを使用し、プラズマジェットが形成された後に、800Wの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0091】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットは液封真空ポンプを用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットは遠心ファンを用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、液封真空ポンプを起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を5000Paに調整し、さらに遠心ファンを起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.1MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が95000Paとなる。結核菌ATCC25177を試験微生物対象として使用し、微生物担体として液体担体を使用する。この液体担体を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する流速を1.5m3/minに制御して、液体担体が毒滅菌チャンバ内で渦巻き移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が100sに達し、消毒滅菌チャンバを出ると消毒が完成するようにする。消毒完成後の液流の一部を取り出して遮断して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群の結核菌ATCC25177の殺滅率は99.999%に達した。
【実施例5】
【0092】
常圧プラズマとして表面結合誘起プラズマを用い、そのプラズマ密度は3.2×1015個/cm3で、原子温度が3.4×107Kで、電子温度が3.5×105Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールにヘリウムガスを作動媒体ガスとして通し、ヘリウムガスが飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして5kWを使用し、プラズマジェットが形成された後に、3kWの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0093】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットはスクリュー型真空ポンプを用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットはガス昇圧ポンプを用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、スクリュー型真空ポンプを起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を5000Paに調整し、さらにガス昇圧ポンプを起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.2MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が195000Paとなる。フザリウムモニリフォルメBNCC186247種を試験微生物対象として使用し、微生物担体として多相流担体を使用する。この多相流担体を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する流速を1.5m3/minに制御して、多相流担体が毒滅菌チャンバ内で直線移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が1sに達すると消毒滅菌チャンバを出て、消毒が完成するようにする。消毒完成後の多相流の一部を取り出して遮断して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群のフザリウムモニリフォルメBNCC186247の殺滅率は99.99%に達した。
【実施例6】
【0094】
常圧プラズマとして誘導結合プラズマを用い、そのプラズマ密度は7.1×1012個/cm3で、原子温度が5.6×105Kで、電子温度が5.5×104Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールに二酸化炭素を作動媒体ガスとして通し、二酸化炭素が飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして1200Wを使用し、プラズマジェットが形成された後に、800Wの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0095】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットはジェット真空ポンプを用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットは空気圧縮機を用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、ジェット真空ポンプを起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を5000Paに調整し、さらに空気圧縮機を起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.3MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が295000Paとなる。豚サーコウイルス2型ウイルスを試験微生物対象として使用し、微生物担体として気流担体を使用する。この気流を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する流速を2m3/minに制御して、気流担体が毒滅菌チャンバ内でランダム移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が10hに達すると消毒滅菌チャンバを出て、消毒が完成するようにする。消毒完成後の気流の一部を取り出して遮断して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群の豚サーコウイルス2型ウイルスの不活化率は99.98%に達した。
【実施例7】
【0096】
常圧プラズマとして表面結合誘起プラズマを用い、そのプラズマ密度は7.1×1012個/cm3で、原子温度が5.6×105Kで、電子温度が5.5×104Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールに二酸化炭素を作動媒体ガスとして通し、二酸化炭素が飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして1200Wを使用し、プラズマジェットが形成された後に、800Wの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0097】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットは負圧ルーツブロワを用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットは空気圧縮機を用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、負圧ルーツブロワを起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を5000Paに調整し、さらに空気圧縮機を起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.2MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が195000Paとなる。枯草菌var.niger ATCC9732芽胞を試験微生物対象として使用し、微生物担体として気流担体を使用する。この気流を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する流速を0.2m3/minに制御して、気流担体が毒滅菌チャンバ内でランダム移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が1hに達すると消毒滅菌チャンバを出て、消毒が完成するようにする。消毒完成後の気流の一部を取り出して遮断して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群の枯草菌var.niger ATCC9732芽胞の殺滅率は99.9999%に達した。
【実施例8】
【0098】
常圧プラズマとして誘導結合プラズマを用い、そのプラズマ密度は7.2×1012個/cm3で、原子温度が5.5×105Kで、電子温度が5.3×104Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールにアルゴンガスを作動媒体ガスとして通し、アルゴンガスが飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして1200Wを使用し、プラズマジェットが形成された後に、800Wの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0099】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットは液封真空ポンプを用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットはピストン式コンプレッサを用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、液封真空ポンプを起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を5000Paに調整し、さらにピストン式コンプレッサを起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.2MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が195000Paとなる。H1N1亜型インフルエンザウイルス弱毒化ワクチン種を試験微生物対象として使用し、微生物担体として液相流担体を使用する。この液相流を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する流速を2m3/minに制御して、液相流担体が消毒滅菌チャンバ内で渦巻き移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が100sに達すると消毒滅菌チャンバを出て、消毒が完成するようにする。消毒完成後の気流の一部を取り出して遮断して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群のH1N1亜型インフルエンザウイルス弱毒化ワクチン種の不活化率は99.91%に達した。
【実施例9】
【0100】
常圧プラズマとして誘導結合プラズマを用い、そのプラズマ密度は7.2×1012個/cm3で、原子温度が5.5×105Kで、電子温度が5.3×104Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールにアルゴンガスを作動媒体ガスとして通し、アルゴンガスが飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして1200Wを使用し、プラズマジェットが形成された後に、800Wの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0101】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットは液封真空ポンプ、ルーツ真空ポンプ及び分子ポンプを用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットはボルテックスブロワを用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、液封真空ポンプ、ルーツ真空ポンプ及び分子ポンプを起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を0.00001Paに調整し、さらに軸流ファンを起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.1MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が99999.99999Paとなる。バシラスステアロサーモフィラスATCC7953芽胞を試験微生物対象として使用し、微生物担体として搬送移動機構を有する固体担体を使用する。この固体担体を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する線速度を1m/minに制御して、固体担体が毒滅菌チャンバ内で直線移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が40minに達すると消毒滅菌チャンバを出て、消毒が完成するようにする。消毒完成後の固体担体の表面に対して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群のバシラスステアロサーモフィラスATCC7953芽胞の殺滅率は99.9999%に達した。
【実施例10】
【0102】
常圧プラズマとして誘導結合プラズマを用い、そのプラズマ密度は7.1×1012個/cm3で、原子温度が5.6×105Kで、電子温度が5.5×104Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールにアルゴンガスを作動媒体ガスとして通し、アルゴンガスが飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして1200Wを使用し、プラズマジェットが形成された後に、800Wの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0103】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットは軸流ファンを用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットは軸流ファンを用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、軸流ファンを起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を95000Paに調整し、さらに軸流ファンを起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.1MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が5000Paとなる。アスペルギルスフレーバスBNCC185691種を試験微生物対象として使用し、微生物担体として液流担体を使用する。この液流を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する流速を2m3/minに制御して、液流担体が消毒滅菌チャンバ内で回転移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が20minに達すると消毒滅菌チャンバを出て、消毒が完成するようにする。消毒完成後の気流の一部を取り出して遮断して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群のアスペルギルスフレーバスBNCC185691種の殺滅率は99.6%に達した。
【実施例11】
【0104】
常圧プラズマとして高電圧交流アークを用い、そのプラズマ密度は5.5×1012個/cm3で、原子温度が4.4×105Kで、電子温度が3.5×104Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールに二酸化炭素を作動媒体ガスとして通し、二酸化炭素が飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして1000Wを使用し、プラズマジェットが形成された後に、650Wの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0105】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットはベンチュリ管を用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットは遠心ファンを用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、ベンチュリ管を起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を50000Paに調整し、さらに遠心ファンを起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.2MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が150000Paとなる。ポリオウイルスI型ワクチン種を試験微生物対象として使用し、微生物担体として多相流担体を使用する。この多相流担体を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する流速を20m3/minに制御して、多相流担体が消毒滅菌チャンバ内で渦巻き移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が0.5sに達すると消毒滅菌チャンバを出て、消毒が完成するようにする。消毒完成後の気流の一部を取り出して遮断して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群のポリオウイルスI型ワクチン種の不活化率は91%に達した。
【実施例12】
【0106】
常圧プラズマとして高電圧交流アークを用い、そのプラズマ密度は5.5×1012個/cm3で、原子温度が4.4×105Kで、電子温度が3.5×104Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールに二酸化炭素を作動媒体ガスとして通し、二酸化炭素が飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして1000Wを使用し、プラズマジェットが形成された後に、650Wの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0107】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットは液封真空ポンプを用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットは遠心ファンを用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、液封真空ポンプを起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を5000Paに調整し、さらにボルテックスブロワを起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.2MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が195000Paとなる。黄色ブドウ球菌ATCC6538種を試験微生物対象として使用し、微生物担体として多相流担体を使用する。この多相流担体を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する流速を1.5m3/minに制御して、多相流担体が消毒滅菌チャンバ内で渦巻き移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が400sに達すると消毒滅菌チャンバを出て、消毒が完成するようにする。消毒完成後の気流の一部を取り出して遮断して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群の黄色ブドウ球菌ATCC6538種の殺滅率は99.99%に達した。
【実施例13】
【0108】
常圧プラズマとして高電圧交流アークを用い、そのプラズマ密度は5.5×1012個/cm3で、原子温度が4.4×105Kで、電子温度が3.5×104Kである。常圧プラズマユニットの作動媒体給気モジュールに二酸化炭素を作動媒体ガスとして通し、二酸化炭素が飽和してプラズマユニットの雰囲気環境を置換した後に、プラズマパワー源によってプラズマユニットにエネルギーを供給し始める。最初はプラズマ点火パワーとして1000Wを使用し、プラズマジェットが形成された後に、650Wの目標パワーまで徐々にパワーを下げてプラズマを維持する。
【0109】
消毒滅菌チャンバに接続された圧力調整ユニットにおいて、その出口圧力調整ユニットは、回転翼型真空ポンプを用いて出口圧力を調整し、入口圧力調整ユニットはピストン式コンプレッサを用いて入口圧力を調整する。点火完了後、プラズマの安定性が維持できることを前提として、回転翼型真空ポンプを起動し消毒滅菌チャンバの出口圧力を5000Paに調整し、さらにピストン式コンプレッサを起動して消毒滅菌チャンバの入口圧力を0.2MPaにする。完成後、消毒滅菌チャンバの出入口の差圧が195000Paとなる。大腸桿菌ATCC8739種を試験微生物対象として使用し、微生物担体として搬送移動機構を有する固体担体を使用する。この固体担体を消毒滅菌チャンバに送り込んで消毒を行い、その消毒滅菌チャンバを通過する線速度を0.5m/minに制御して、固体担体が毒滅菌チャンバ内で渦巻き移動を行い、消毒滅菌チャンバ内で滞留する作業時間が1hに達すると消毒滅菌チャンバを出て、消毒が完成するようにする。消毒完成後の固体担体の表面に対して培養試験を行い、ブランク対照群に比べ、本実験群の大腸桿菌ATCC8739種の殺滅率は99.99%に達した。
【0110】
以上に述べたのは本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するためのものではない。本願の要旨と原則の範囲内で行われる任意の修正、均等物による置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。