(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】身体温度調整装置の被服取付構造、及び身体温度調整被服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20240723BHJP
A41D 27/00 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
A41D13/005 103
A41D13/005 106
A41D13/005 101
A41D27/00 A
(21)【出願番号】P 2024001386
(22)【出願日】2024-01-09
(62)【分割の表示】P 2023173360の分割
【原出願日】2023-10-05
【審査請求日】2024-01-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517312135
【氏名又は名称】株式会社リブレ
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀井 邦彦
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-178334(JP,A)
【文献】特開2018-159160(JP,A)
【文献】特開2022-022385(JP,A)
【文献】特開2021-011651(JP,A)
【文献】特開2020-125573(JP,A)
【文献】特開2023-111963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/005
A41D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度調整ユニットにより、身体の温度を調整可能な身体温度調整装置を、被服をなす生地に穿孔された開口に着脱自在で装着可能な身体温度調整被服では、
前記身体温度調整装置は、前記温度調整ユニットをカバー部材で包囲した本体部を有し、前記カバー部材には、前記開口の外周縁部に保持させる被支持部が形成されていること、
前記開口の前記外周縁部には、前記被支持部と係合可能な支持部が設けられ、前記身体温度調整装置は、前記本体部の一部を前記開口に挿通した状態の下、前記支持部と前記被支持部との係合により、前記生地と一体的に保持して前記開口に装着されること、
前記被支持部と前記支持部との係合態様は、凹部と凸部とを互いに嵌め合わせた構造であること、
前記支持部は、前記開口の前記外周縁部に配置される前記凸部を有し、
前記カバー部材には、前記開口の前記外周縁部を支持可能なフランジが形成され、前記被支持部は、前記フランジと、間隙を介して並設されたフランジ対向部とを
、前記カバー部材と一体構造で形成
した前記凹部であること、
前記支持部側にある前記凸部と、前記被支持部側の前記凹部とを嵌合させることにより、前記身体温度調整装置が、前記開口に装着されること、
前記支持部では、前記フランジまたは前記フランジ対向部の少なくとも一方に対し、前記凹部の開口側に位置する端部の角が、面取りされていること、
前記身体温度調整装置が前記被服の前記開口に取付けられている状態では、前記凸部は、前記凹部の前記フランジ及び前記フランジ対向部から外側にはみ出て位置する把持部を有し、
前記身体温度調整装置は、前記生地の表裏両側から人の指で前記把持部を
掴み、前記凸部のうち、前記把持部の反対側にある嵌合部を、前記フランジと前記フランジ対向部との間にある溝に嵌合させることにより、前記被服に装着されること、
を特徴とする身体温度調整装置の被服取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、
前記温度調整ユニットは、ペルチェ素子であり、前記身体温度調整装置は、通電下の前記ペルチェ素子により、吸熱下となった冷却面に呈する冷熱、または前記冷却面の反対側で、吸熱と同時に発熱下となった加熱面に呈する温熱のいずれかの放熱を、身体に伝熱可能に構成されたものであること、
を特徴とする身体温度調整装置の被服取付構造。
【請求項3】
請求項1に記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、
前記温度調整ユニットは、ファンであり、前記身体温度調整装置は、前記ファンの翼の回転により、外気より低温状態下にある冷風、または外気より高温状態下にある温風のいずれかの風を、身体に送風可能に構成されたものであること、
を特徴とする身体温度調整装置の被服取付構造。
【請求項4】
請求項1に記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、
前記支持部は、シリコーン(Silicone)からなること、
を特徴とする身体温度調整装置の被服取付構造。
【請求項5】
身体の温度を調整可能な身体温度調整装置が、被服に装着可能に形成された身体温度調整被服において、
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載する前記身体温度調整装置の被服取付構造をなす前記身体温度調整装置を、前記被服に着脱可能に装着してなること、
を特徴とする身体温度調整被服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、上着、ベスト、ズボン等、身にまとう被服に身体温度調整装置を装着した身体温度調整被服を対象とした身体温度調整装置の被服取付構造、及びその構造で構成した身体温度調整被服に関する。
【背景技術】
【0002】
人にとって不快な猛暑日は近年、年間を通じて数多くあり、このような猛暑日には、熱中症の防止策として、小まめな水分補給をはじめ、適度な冷房装置の使用が、奨励されている。しかしながら、冷房装置の設備がない、または冷房の効きが十分でない等の理由により、猛暑下の屋外で働く作業者や、屋内の蒸し暑い環境下で働く作業者、炎天下でレクリエーションやスポーツ、観戦等を行っている人は、冷房装置で涼を取ることはできない。そこで、避暑を求める人向けに、身体温度調整ユニットを有した身体温度調整被服が近年、数多く開発されている。特許文献1には、その身体温度調整被服の一例である空調衣服が、開示されている。
【0003】
特許文献1は、被服の服地に空調被服用送風ユニットを装着した空調被服である。空調被服用送風ユニットは、送風を行うプロペラと共に、その回転を制御する駆動部の周囲を通気可能に覆うケーシングに対し、その端部にフランジと、外周部に雄ネジ部をそれぞれ形成した本体と、内周部に雌ネジ部を形成した環状の押圧部材とを備えている。特許文献1では、空調被服の服地の外側から本体のケーシングが服地の開口に挿通され、服地の開口の外周縁部に本体のフランジを当接させた状態の下、押圧部材が、服地の内側から本体のケーシングに向けて配置される。そして、本体のケーシングの雄ネジ部と、押圧部材の雌ネジ部との螺合で、本体と押圧部材とを固着することにより、空調被服用送風ユニットは、本体のフランジと押圧部材との間に空調被服の服地を挟み込んだ状態で、装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような空調被服では、空調被服用送風ユニット(身体温度調整ユニット)では、空調被服用送風ユニットの本体と、この本体と別体となっている押圧部材との間に服地(被服)を挟み込み、本体側と押圧部材側を螺合して固着させる構造となっている。そのため、着用者が、日常的に空調被服用送風ユニットを実際に使用していく中で、押圧部材だけを紛失してしまうこともあり、紛失後には、空調被服を使い続けることができなくなってしまうことから問題となり、着用者には、使い勝手が良くない。
【0006】
また、特に夏季では、着用者は使用後に、装着している空調被服用送風ユニットを服地から取り外して、服地の洗濯を行うことがある。このような場合、空調被服用送風ユニットを取り外すときには、着用者は、服地に対し、その内側から押圧部材を回して本体との螺合を解除した後、その外側から本体のケーシングを開口から引き抜かなければならない。また、洗濯できれいになった服地の開口に、再び空調被服用送風ユニットを取り付けるときには、着用者は、服地に対し、その外側から開口に本体のケーシングを挿通した状態で、開口を挿通した本体のケーシングに内側から押圧部材を配置し、本体の雄ネジ部に押圧部材の雌ネジ部を螺合させて、本体のフランジと押圧部材との間に服地を挟み込まなければならない。そのため、特許文献1のような空調被服では、着用者は、服地に対し、空調被服用送風ユニットの着脱を簡単に行うことができず、空調被服用送風ユニットの着脱とも、その作業に手間がかかってしまい、作業性は良くない。それ故に、特許文献1のような空調被服では、特に服地を洗濯する場合等において、使い勝手が良くない問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、身体温度調整装置を被服に装着した身体温度調整被服で、身体温度調整装置を被服と簡単に着脱することができると共に、身体温度調整被服の使い易さの向上を図ることができる身体温度調整装置の被服取付構造、及びその構造で構成した身体温度調整被服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る身体温度調整装置の被服取付構造、及び身体温度調整被服は、以下の構成を有する。
【0009】
(1)温度調整ユニットにより、身体の温度を調整可能な身体温度調整装置を、被服をなす生地に穿孔された開口に着脱自在で装着可能な身体温度調整被服では、前記身体温度調整装置は、前記温度調整ユニットをカバー部材で包囲した本体部を有し、前記カバー部材には、前記開口の外周縁部に保持させる被支持部が形成されていること、前記開口の前記外周縁部には、前記被支持部と係合可能な支持部が設けられ、前記身体温度調整装置は、前記本体部の一部を前記開口に挿通した状態の下、前記支持部と前記被支持部との係合により、前記生地と一体的に保持して前記開口に装着されること、前記被支持部と前記支持部との係合態様は、凹部と凸部とを互いに嵌め合わせた構造であること、を特徴とする。
(2)(1)に記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、前記支持部は、前記開口の前記外周縁部に配置される前記凹部を有し、前記被支持部側にある前記凸部と、前記支持部側の前記凹部とを嵌合させることにより、前記身体温度調整装置が、前記開口に装着されること、を特徴とする。
(3)(1)に記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、前記支持部は、前記開口の前記外周縁部に配置される前記凸部を有し、前記カバー部材には、前記開口の前記外周縁部を支持可能なフランジが形成され、前記被支持部は、前記フランジを含んで形成される前記凹部であること、前記支持部側にある前記凸部と、前記被支持部側の前記凹部とを嵌合させることにより、前記身体温度調整装置が、前記開口に装着されること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、前記温度調整ユニットは、ペルチェ素子であり、前記身体温度調整装置は、通電下の前記ペルチェ素子により、吸熱下となった冷却面に呈する冷熱、または前記冷却面の反対側で、吸熱と同時に発熱下となった加熱面に呈する温熱のいずれかの放熱を、身体に伝熱可能に構成されたものであること、を特徴とする。
(5)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、前記温度調整ユニットは、ファンであり、前記身体温度調整装置は、前記ファンの翼の回転により、外気より低温状態下にある冷風、または外気より高温状態下にある温風のいずれかの風を、身体に送風可能に構成されたものであること、を特徴とする。
(6)(1)乃至(5)のいずれか1つに記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、前記支持部は、シリコーン(Silicone)からなること、を特徴とする。
(7)身体の温度を調整可能な身体温度調整装置が、被服に装着可能に形成された身体温度調整被服において、(1)乃至(5)のいずれか1つに記載する前記身体温度調整装置の被服取付構造をなす前記身体温度調整装置を、前記被服に着脱可能に装着してなること、を特徴とする。
【0010】
なお、本発明に係る被服とは、(a)ジャケット、ジャンパー、スーツ、ベスト等に挙げられる上着類、(b)パンツ、ズボン等に挙げられ下着類、(c)靴下、フットウォーマ等に挙げられる足や脚部に着用するソックス類と大別される中、(a)(b)(c)の各概念を含めた概念の総称である。
【発明の効果】
【0011】
上記構成を有する本発明に係る身体温度調整ユニットの被服取付構造、及び身体温度調整被服の作用・効果について説明する。
【0012】
(1)温度調整ユニットにより、身体の温度を調整可能な身体温度調整装置を、被服をなす生地に穿孔された開口に着脱自在で装着可能な身体温度調整被服では、身体温度調整装置は、温度調整ユニットをカバー部材で包囲した本体部を有し、カバー部材には、開口の外周縁部に保持させる被支持部が形成されていること、開口の外周縁部には、被支持部と係合可能な支持部が設けられ、身体温度調整装置は、本体部の一部を開口に挿通した状態の下、支持部と被支持部との係合により、生地と一体的に保持して開口に装着されること、被支持部と支持部との係合態様は、凹部と凸部とを互いに嵌め合わせた構造であること、を特徴とする。
【0013】
この特徴により、例えば、身体温度調整被服の使用後に、身体温度調整被服から身体温度調整装置を取り外して被服を洗濯した後、洗濯後の被服に身体温度調整装置を取り付ける場合や、被服にある複数の開口の中で、身体温度調整装置を取り付ける開口の位置を変更する場合等に、着用者は、被服に対し、身体温度調整装置の着脱を、その作業に手間をかけずに、簡単に行うことができるようになる。
【0014】
従って、本発明に係る身体温度調整ユニットの被服取付構造によれば、身体温度調整ユニットを被服に装着した身体温度調整被服では、身体温度調整ユニットを被服と簡単に着脱することができると共に、身体温度調整被服の使い易さの向上を図ることができる、という優れた効果を奏する。
【0015】
(2)に記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、支持部は、開口の外周縁部に配置される凹部を有し、被支持部側にある凸部と、支持部側の凹部とを嵌合させることにより、身体温度調整装置が、開口に装着されること、を特徴とする。また、(3)に記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、支持部は、開口の外周縁部に配置される凸部を有し、カバー部材には、開口の外周縁部を支持可能なフランジが形成され、被支持部は、フランジを含んで形成される凹部であること、支持部側にある凸部と、被支持部側の凹部とを嵌合させることにより、身体温度調整装置が、開口に装着されること、を特徴とする。
【0016】
このような特徴により、ネジ締結を要せず、身体温度調整装置側の被支持部と、被服側の支持部とを係合させるだけで、身体温度調整装置が、被服側に固着した状態で装着できるようになる。ひいては、着用者にとって、使い勝手の良い身体温度調整被服が提供できるようになる。
【0017】
(4)に記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、温度調整ユニットは、ペルチェ素子であり、身体温度調整装置は、通電下のペルチェ素子により、吸熱下となった冷却面に呈する冷熱、または冷却面の反対側で、吸熱と同時に発熱下となった加熱面に呈する温熱のいずれかの放熱を、身体に伝熱可能に構成されたものであること、を特徴とする。
【0018】
この特徴により、ペルチェ素子の放熱面が冷却面として設定されている場合、身体温度調整被服は、ペルチェ素子の放熱面を、着用者の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、この放熱面から放たれる冷熱により、例えば、特に暑さを感じている部位や、スポット的に蒸れた部位等、着用者の所望とする身体表面の特定部位だけを局所的に特化して、効率良く冷やすことができる。その反対に、ペルチェ素子の放熱面が加熱面として設定されている場合、身体温度調整被服は、ペルチェ素子の放熱面を、着用者の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、この放熱面から放たれる温熱により、例えば、特に冷えを感じている部位や、ちょうど灸のように、スポット的に温めたい部位等、着用者の所望とする身体表面の特定部位だけを局所的に特化して、効率良く温めることができる。
【0019】
(5)に記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、温度調整ユニットは、ファンであり、身体温度調整装置は、ファンの翼の回転により、外気より低温状態下にある冷風、または外気より高温状態下にある温風のいずれかの風を、身体に送風可能に構成されたものであること、を特徴とする。
【0020】
この特徴により、例えば、猛暑下の屋外で働く作業者や、屋内の蒸し暑い環境下で働く作業者、炎天下でレクリエーションやスポーツ、観戦等を行っている人に冷風(風)を供給して、熱中症の発現を防止することができる。その反対に、例えば、懐炉や簡易的なヒータ等、熱源と共に用いれば、身体温度調整装置に供給された外気を、熱源に向けて送風し、熱源で加熱された状態の温風(風)を身体に送風することで、冷えた身体を温めることができる。
【0021】
(6)に記載する身体温度調整装置の被服取付構造において、支持部は、シリコーン(Silicone)からなること、を特徴とする。
【0022】
この特徴により、支持部は、着用者に過度な負荷を掛けずに弾性変形させて、被服の生地の開口に対して、身体温度調整装置を装着することができると共に、装着している身体温度調整装置を取り外することができる。その一方で、被服の生地の開口に身体温度調整装置を装着するにあたり、支持部は、弾性と密着性を兼備すると共に、適度な硬さ・剛性を具備して形成できているため、係合先の被支持部と強固に密着し、離脱しない程度に嵌合して固着することができる。
【0023】
(7)身体の温度を調整可能な身体温度調整装置が、被服に装着可能に形成された身体温度調整被服において、(1)乃至(5)のいずれか1つに記載する身体温度調整装置の被服取付構造をなす身体温度調整装置を、被服に着脱可能に装着してなること、を特徴とする。
【0024】
この特徴により、本発明に係る身体温度調整装置の被服取付構造を採用した身体温度調整被服では、被服の生地の開口に対し、身体温度調整装置を装着するときや、装着している身体温度調整装置を取り外すとき、身体温度調整装置の着脱が簡単であり、使い勝手の良い身体温度調整被服が、着用者に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態1に係る温調被服を前側から見た正面図である。
【
図2】
図1に示す温調被服に装着される身体温度調整装置を示す斜視図である。
【
図3】実施形態1の実施例1に係る身体温度調整装置の被服取付構造で、
図1に示す温調被服を構成した場合の説明図であり、(a)は温調被服の要部を表側から見た平面図、(b)は温調被服の要部を厚み方向から見た側面図を、それぞれ示す。
【
図4】
図3(a)中、A-A矢視断面図を(a)に、
図4(a)のB部拡大図を(b)に、それぞれ示す。
【
図5】実施形態1の実施例1に係る身体温度調整装置の被服取付構造とした場合の支持部を示す斜視図である。
【
図6】実施形態1の実施例2に係る身体温度調整装置の被服取付構造で、
図1に示す温調被服を構成した場合の説明図であり、(a)は温調被服の要部を表側から見た平面図、(b)は温調被服の要部を厚み方向から見た側面図を、それぞれ示す。
【
図7】
図6(a)中、C-C矢視断面図を(a)に、
図7(a)のD部拡大図を(b)に、それぞれ示す。
【
図8】実施形態1の実施例2に係る身体温度調整装置の被服取付構造とした場合の支持部に、身体温度調整装置の被支持部を係合させる要領を示す分解斜視図である。
【
図9】実施形態2に係る温調被服を背中側から見た斜視図である。
【
図10】実施形態2の実施例1に係る身体温度調整装置の被服取付構造で、
図9に示す温調被服を構成した場合の説明図であり、温調被服の要部を表側から見た平面図である。
【
図12】実施形態2の実施例2に係る身体温度調整装置の被服取付構造で、
図9に示す温調被服を構成した場合の説明図であり、温調被服の要部を表側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る身体温度調整装置の被服取付構造、及び身体温度調整被服について、実施形態1、2を図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係る身体温度調整被服は、温度調整ユニットにより、身体の温度を調整可能な身体温度調整装置を、本発明に係る身体温度調整装置の被服取付構造で、被服をなす生地の開口に装着して構成されるものである。
【0027】
(実施形態1)
以下、本発明に係る身体温度調整被服を、実施形態1では、着用者上体に着衣するベストである場合を例示的に挙げて、本実施形態に係る身体温度調整装置の被服取付構造について、説明する。
図1は、実施形態1に係る温調被服を前側から見た正面図である。なお、本発明に係る身体温度調整被服は、本実施形態1,2では、温調被服1と称す。
【0028】
はじめに、温調被服1の構成について、
図1を用いて簡単に説明する。
図1に示すように、温調被服1(身体温度調整被服)は、一例として挙げたベストをなす被服2と、身体温度調整装置10と、図示しない操作ユニット(制御手段)と、電源30等を備えている。身体温度調整装置10は、本実施形態では、一例として、3つ有している。なお、被服2に装着する身体温度調整装置10の数は、4つ以上の場合や、2つ以下の場合であっても良く、実施形態に限定されるものではなく、種々変更可能である。
【0029】
<被服2について>
次に、被服2について、説明する。被服2は、
図1に示すように、左右に分割された前身頃3と、後身頃4とを肩部で接続したベストの形態に形成されている。被服2では、その生地5が、表側生地5Aと裏側生地5Bにより、略層状に重ねられた態様で形成されている。表側生地5Aと裏側生地5Bは双方とも、例えば、ナイロン(nylon)、ポリエステル(polyester)等、耐熱性、耐強度、蒸散性に優れた合成樹脂繊維により、メッシュ構造で構成されている。被服2の輪郭をなす縁部は、表側生地5Aの縁と裏側生地5Bの縁とを重ね合わせ、これらにパイピング処理を施して固着されている。
【0030】
また、裏側生地5Bには、身体温度調整装置10を装着可能な開口6Hが、複数の箇所に形成され、例えば、前身頃3片側に5箇所、左右両側で10箇所、後身頃4に12箇所、全22箇所に設けられている。前身頃3では、左右両側とも、開口6Hは、肩部から下方の腹部に向けて略一列状に配置されている。また、後身頃4では、開口6Hは、頚椎下部に4箇所、背中中央部と腰部に8箇所配置されている。
【0031】
<身体温度調整装置10について>
次に、身体温度調整装置10について、説明する。
図2は、
図1に示す温調被服に装着される身体温度調整装置を示す斜視図である。
図3は、実施形態1の実施例1に係る身体温度調整装置の被服取付構造で、
図1に示す温調被服を構成した場合の説明図であり、(a)は温調被服の要部を表側から見た平面図、(b)は温調被服の要部を厚み方向から見た側面図を、それぞれ示す。
図4は、
図3(a)中、A-A矢視断面図を(a)に、
図4(a)のB部拡大図を(b)に、それぞれ示す。
【0032】
図2~
図4に示すように、身体温度調整装置10は、温度調整ユニット20により、身体の温度を調整可能に構成されており、被服2をなす裏側生地5B(生地5)に穿孔された開口6Hに、着脱自在で装着可能となっている。身体温度調整装置10は、通電下の温度調整ユニット20により、吸熱下となった冷却面に呈する冷熱、または冷却面の反対側で、吸熱と同時に発熱下となった加熱面に呈する温熱のいずれかの放熱EHを、身体に伝熱可能に構成されたものである。
【0033】
具体的には、温度調整ユニット20は、本実施形態1では、ペルチェ素子である。ペルチェ素子は、板状の半導体熱電素子の一種である。ペルチェ素子に直流電流が供給されると、ペルチェ素子の平板部では、ペルチェ効果により、一面が、例えば、十℃程度に吸熱して吸熱下の状態(冷却面)になると同時に、その反対側の他面が、例えば、三十数℃程度に発熱して発熱下の状態(加熱面)となる。電源30は、温度調整ユニット20(ペルチェ素子)に電力を供給する一次電池や二次電池等の蓄電池である。電源30と温度調整ユニット20とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)接続等、コネクタを介した配線の接続により、自在に着脱可能となっている。
【0034】
身体温度調整装置10は、
図2~
図4に示すように、温度調整ユニット20をカバー部材12で包囲した本体部11を有している。温度調整ユニット20は、本体部11のうち、冷却面または加熱面のいずれかである放熱面21を外部に露出して、当該温調被服1を着衣する人の身体に放熱面21を、直接あるいは肌着を介して、接触できるようになっている。本体部11は、放熱面21の反対側に、ペルチェ素子に空気を供給する通気部22を有している。
【0035】
(実施例1)
図3及び
図4に示すように、身体温度調整装置10では、開口6Hの外周縁部7に保持させる被支持部50Aが、カバー部材12の周囲に形成されている。被支持部50Aは、開口6Hの外周縁部7に設けた支持部60Aと係合可能である。身体温度調整装置10は、その本体部11の一部を開口6Hに挿通した状態の下で、被支持部50Aと支持部60Aとの係合により、裏側生地5B(生地5)と一体的に保持して開口6Hに装着される。被支持部50Aと支持部60Aとの係合態様は、被服2の生地5側にある支持部60Aの凹部61Aと、身体温度調整装置10側にある被支持部50Aの凸部51Aとを互いに嵌め合わせた構造である。
【0036】
図5は、実施形態1の実施例1に係る身体温度調整装置の被服取付構造とした場合の支持部を示す斜視図である。具体的には、
図5に示すように、支持部60Aは、開口6Hに沿った外周縁部7に、溝の底を開口6Hの内周側に向けて配置した環状の凹部61Aと、この凹部61Aの外周側で裏側生地5Bを繋ぐ接続部62Aを有する。支持部60Aは、ある程度の柔軟性を有するメッシュ構造の裏側生地5Bに比べて、剛性の高い材質(例えば、皮製、ゴム製、樹脂製等)からなり、本実施形態では、シリコーン(Silicone)製で形成されている。
【0037】
他方、被支持部50Aは、支持部60Aより硬質な樹脂からなり、カバー部材12の外周に螺設した雄ネジと螺合する雌ネジ部52Aと、この雌ネジ部52Aからその径外に突設された凸部51Aを有する。身体温度調整装置10には、フランジ13がカバー部材12の外周に形成されている。雌ネジ部52Aは、温度調整ユニット20の放熱面21とは反対側にあるカバー部材12の端からフランジ13まで形成されている。
【0038】
身体温度調整装置10を被服2に装着するとき、人は、被服2側の凹部61Aを弾性変形させて、身体温度調整装置10側にある被支持部50Aの凸部51Aを、支持部60Aの凹部61Aの溝に挿入して、凸部51Aと凹部61Aとを係合して嵌合させる。これにより、身体温度調整装置10は、そのフランジ13を支持部60Aの凹部61Aに当接可能な態様で、被服2に固着して装着される。
【0039】
(実施例2)
次に、実施例2に係る身体温度調整装置10の被服取付構造について、
図6~
図8を用いて説明する。
図6は、実施形態1の実施例2に係る身体温度調整装置の被服取付構造で、
図1に示す温調被服を構成した場合の説明図であり、(a)は温調被服の要部を表側から見た平面図、(b)は温調被服の要部を厚み方向から見た側面図を、それぞれ示す。
図7は、
図6(a)中、C-C矢視断面図を(a)に、
図7(a)のD部拡大図を(b)に、それぞれ示す。
【0040】
図6及び
図7に示すように、身体温度調整装置10では、開口6Hの外周縁部7に保持させる被支持部50Bが、カバー部材12の周囲に形成されている。被支持部50Bは、開口6Hの外周縁部7に設けた支持部60Bと係合可能である。身体温度調整装置10は、その本体部11の一部を開口6Hに挿通した状態の下で、被支持部50Bと支持部60Bとの係合により、裏側生地5B(生地5)と一体的に保持して開口6Hに装着される。被支持部50Bと支持部60Bとの係合態様は、被服2の生地5側にある支持部60Bの凸部61Bと、身体温度調整装置10側にある被支持部50Bの凹部51Bとを互いに嵌め合わせた構造である。
【0041】
具体的には、
図6及び
図7に示すように、身体温度調整装置10のカバー部材12の外周には、フランジ13が、裏側生地5B(生地5)の開口6Hの外周縁部7で支持可能な態様で形成され、このフランジ13と間隙を介して、フランジ対向部52Bが並設されている。被支持部50Bは、フランジ対向部52Bと共に、フランジ13を含んで形成される環状の凹部51Bである。凹部51Bの溝の底は、開口6Hの外周側に向けて配置されている。
【0042】
他方、支持部60Bは、開口6Hの外周縁部7に配置される環状の凸部61Bである。凸部61Bは、裏側生地5Bと連結して繋ぐ接続部62Bを有する。支持部60Bは、ある程度の柔軟性を有するメッシュ構造の裏側生地5Bに比べて、剛性の高い材質(例えば、皮製、ゴム製、樹脂製等)からなり、本実施形態では、シリコーン(Silicone)製で形成されている。
【0043】
図8は、実施形態1の実施例2に係る身体温度調整装置の被服取付構造とした場合の支持部に、身体温度調整装置の被支持部を係合させる要領を示す分解斜視図である。身体温度調整装置10を被服2に装着するとき、人は、
図8に示すように、被服2側の凸部61B(支持部60B)を弾性変形させながら、身体温度調整装置10側にある被支持部50Bの凹部51Bの溝に挿入して、凸部61Bと凹部51Bとを係合して嵌合させる。これにより、身体温度調整装置10は、被服2に被服2に固着して装着される。
【0044】
次に、本実施形態に係る身体温度調整装置10の被服取付構造、及び温調被服1の作用・効果について説明する。
【0045】
本実施形態に係る身体温度調整装置10の被服取付構造は、温度調整ユニット20により、身体の温度を調整可能な身体温度調整装置10を、被服2をなす生地5に穿孔された開口6Hに着脱自在で装着可能な温調被服1では、身体温度調整装置10は、温度調整ユニット20をカバー部材12で包囲した本体部11を有し、カバー部材12には、開口6Hの外周縁部7に保持させる被支持部50A(または50B)が設けられていること、開口6Hの外周縁部7には、被支持部50A(または50B)と係合可能な支持部60A(または60B)が形成され、身体温度調整装置10は、本体部11の一部を開口6Hに挿通した状態の下、支持部60A(または60B)と被支持部50A(または50B)との係合により、生地5と一体的に保持して開口6Hに装着されること、被支持部50A(または50B)と支持部60A(または60B)との係合態様は、凹部61A(または51B)と凸部51A(または61B)とを互いに嵌め合わせた構造であること、を特徴とする。
【0046】
この特徴により、例えば、温調被服1の使用後に、温調被服1から身体温度調整装置10を取り外して被服2を洗濯した後、洗濯後の被服2に身体温度調整装置10を取り付ける場合や、被服2にある複数の開口6Hの中で、身体温度調整装置10を取り付ける開口6Hの位置を変更する場合等に、着用者は、被服2に対し、身体温度調整装置10の着脱を、その作業に手間をかけずに、簡単に行うことができるようになる。
【0047】
従って、実施形態1に係る身体温度調整装置10の被服取付構造によれば、身体温度調整装置10を被服2と簡単に着脱することができると共に、温調被服1の使い易さの向上を図ることができる、という優れた効果を奏する。
【0048】
また、実施形態1に係る身体温度調整装置10の被服取付構造では、実施例1の場合、支持部60Aは、開口6Hの外周縁部7に形成された凹部61Aであり、被支持部50A側にある凸部51Aと、支持部60A側の凹部61Aとを嵌合させることにより、身体温度調整装置10が、開口6Hに装着されること、を特徴とする。
【0049】
また、実施形態1に係る身体温度調整装置10の被服取付構造では、実施例2の場合、支持部60Bは、開口6Hの外周縁部7に配置される凸部61Bであり、カバー部材12には、開口6Hの外周縁部7を支持可能なフランジ13が形成され、被支持部50Bは、フランジ13と共にフランジ対向部52Bを含んで形成される凹部51Bであること、支持部60B側にある凸部61Bと、被支持部50B側の凹部51Bとを嵌合させることにより、身体温度調整装置10が、開口6Hに装着されること、を特徴とする。
【0050】
このような特徴により、ネジ締結を要せず、身体温度調整装置10側の被支持部50A(または50B)と、被服2側の支持部60A(または60B)とを係合させるだけで、身体温度調整装置10が、被服2側に固着した状態で装着できるようになる。ひいては、着用者にとって、使い勝手の良い温調被服1が提供できるようになる。
【0051】
すなわち、従来の身体温度調整被服では、開口を挿通した身体温度調整装置の本体は、別体の押圧部材とのネジ締結で、被服の生地に挟み込んで装着されていたが、着用者が、この押圧部材の紛失等をすると、身体温度調整装置が被服に装着できなくなってしまう。また、被服の生地が複数構造で構成されている場合、着用者は、積層する生地同士の間に、このような押圧部材を入れて、片端側の生地の開口に挿通した身体温度調整装置の本体と、ネジ締結を行わなければならない。このとき、着用者は、生地を挟んだ両側で、身体温度調整装置の本体と押圧部材とを位置合わせしなければならず、被服の中で穿孔されている開口の位置によっては、これらの位置合わせ作業に困難を伴うこともある。
【0052】
これに対し、本実施形態に係る身体温度調整装置10の被服取付構造では、従来の身体温度調整被服で、身体温度調整装置の本体とのネジ締結で必須となっていた別体の押圧部材やネジ締結を不要とし、被支持部50A(または50B)と、被服2側の支持部60A(または60B)とを係合させるだけで、身体温度調整装置10が、被服2の生地5の開口6Hに固着させた状態で装着できる。それ故に、本実施形態に係る身体温度調整装置10の被服取付構造が、温調被服1に採用されていると、このような押圧部材の紛失等に起因して、身体温度調整装置10を被服2に装着できなるトラブルは生じず、着用者にとって、使い勝手の良い温調被服1が提供できるようになる。
【0053】
また、本実施形態に係る身体温度調整装置10の被服取付構造では、被服2の生地5が、表側生地5Aと裏側生地5Bによる2層構造で構成されていても、着用者は、表側生地5Aと裏側生地5Bとの間に手を入れずに、裏側生地5Bの外側(着用者の身体表面と対向する側)から開口6Hに対し、身体温度調整装置10が簡単に着脱できる。そのため、着用者は、被服2中で穿孔されている開口6Hの位置に依らず、開口6Hに対し、身体温度調整装置10の着脱作業を簡単に行うことができる。
【0054】
また、実施形態1に係る身体温度調整装置の被服取付構造では、温度調整ユニット20は、ペルチェ素子であり、身体温度調整装置10は、通電下のペルチェ素子(温度調整ユニット20)により、吸熱下となった冷却面に呈する冷熱、または冷却面の反対側で、吸熱と同時に発熱下となった加熱面に呈する温熱のいずれかの放熱EHを、冷却面または加熱面の一方である放熱面21から、身体に伝熱可能に構成されたものであること、を特徴とする。
【0055】
この特徴により、ペルチェ素子(温度調整ユニット20)の放熱面21が冷却面として設定されている場合、本実施形態に係る身体温度調整装置10の被服取付構造を採用した温調被服1は、温度調整ユニット20の放熱面21を、着用者の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、この放熱面21から放たれる冷熱(放熱EH)により、例えば、特に暑さを感じている部位や、スポット的に蒸れた部位等、着用者の所望とする身体表面の特定部位だけを局所的に特化して、効率良く冷やすことができる。その反対に、温度調整ユニット20の放熱面21が加熱面として設定されている場合、温調被服1は、温度調整ユニット20の放熱面21を、着用者の身体表面に、直接または肌着等を介して間接的に当接させて、この放熱面21から放たれる温熱(放熱EH)により、例えば、特に冷えを感じている部位や、ちょうど灸のように、スポット的に温めたい部位等、着用者の所望とする身体表面の特定部位だけを局所的に特化して、効率良く温めることができる。
【0056】
また、本実施形態に係る身体温度調整装置10の被服取付構造では、支持部60A,60Bは、シリコーン(Silicone)からなること、を特徴とする。
【0057】
この特徴により、支持部60A,60Bは、着用者に過度な負荷を掛けずに弾性変形させて、被服2の生地5の開口6Hに対して、身体温度調整装置10を装着することができると共に、装着している身体温度調整装置10を取り外することができる。その一方で、被服2の生地5の開口6Hに身体温度調整装置10を装着するにあたり、支持部60A,60Bは、弾性と密着性を兼備すると共に、適度な硬さ・剛性を具備して形成できているため、係合先の被支持部50A,50Bと強固に密着し、離脱しない程度に嵌合して固着することができる。
【0058】
また、身体の温度を調整可能な身体温度調整装置10が、被服2に装着可能に形成された温調被服1において、実施形態1に係る身体温度調整装置10の被服取付構造をなす身体温度調整装置10を、被服2に着脱可能に装着してなること、を特徴とする。
【0059】
この特徴により、本実施形態に係る身体温度調整装置10の被服取付構造を採用した温調被服1では、被服2の生地5の開口6Hに対し、身体温度調整装置10を装着ときや、装着している身体温度調整装置10を取り外すとき、身体温度調整装置10の着脱が簡単であり、使い勝手の良い温調被服1が、着用者に提供できる。
【0060】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る身体温度調整装置10の被服取付構造について、
図9を用いて説明する。本発明に係る身体温度調整被服は、実施形態2では、着用者上体に着衣する上着である場合を例示的に挙げて、実施形態2に係る身体温度調整装置の被服取付構造について、説明する。実施形態1に係る身体温度調整装置10の被服取付構造では、身体温度調整装置10に構成した温度調整ユニット20を、ペルチェ素子とした。これに対し、実施形態2では、身体温度調整装置に構成する温度調整ユニットは、ファンである。実施形態2では、実施形態1とは異なる部分を中心に説明し、実施形態1と共通する部分の説明は、同じ符号を用いて簡略、または省略する。
【0061】
図9は、実施形態2に係る温調被服を背中側から見た斜視図である。
図9に示すように、温調被服101(身体温度調整被服)には、身体温度調整装置110が、一例として腰部に2つ装着されている。身体温度調整装置110は、ファンである温度調整ユニット120により、身体の温度を調整可能に構成されている。身体温度調整装置110は、ファン(温度調整ユニット120)の翼121の回転により、外気ARより低温状態下にある冷風、または外気ARより高温状態下にある温風のいずれかの風FLを、身体に送風可能に被服2に装着されている。
【0062】
(実施例1)
図10は、実施形態2の実施例1に係る身体温度調整装置の被服取付構造で、
図9に示す温調被服を構成した場合の説明図であり、温調被服の要部を表側から見た平面図である。
図11は、
図10中、E-E矢視断面図である。
図10及び
図11に示すように、身体温度調整装置110では、開口6Hの外周縁部7に保持させる被支持部50Aが、カバー部材112の周囲に形成されている。被支持部50Aは、開口6Hの外周縁部7に設けた支持部60Aと係合可能である。身体温度調整装置110は、その本体部の一部を開口6Hに挿通した状態の下で、被支持部50Aと支持部60Aとの係合により、生地5と一体的に保持して開口6Hに装着される。被支持部50Aと支持部60Aとの係合態様は、被服2の生地5側にある支持部60Aの凹部61Aと、身体温度調整装置110側にある被支持部50Aの凸部51Aとを互いに嵌め合わせた構造である。
【0063】
(実施例2)
図12は、実施形態2の実施例2に係る身体温度調整装置の被服取付構造で、
図9に示す温調被服を構成した場合の説明図であり、温調被服の要部を表側から見た平面図である。
図13は、
図12中、F-F矢視断面図である。
図12及び
図13に示すように、身体温度調整装置110では、開口6Hの外周縁部7に保持させる被支持部50Bが、カバー部材112の周囲に形成されている。被支持部50Bは、生地5に対し、開口6Hの外周縁部7に設けた支持部60Bと係合可能である。身体温度調整装置110は、その本体部の一部を開口6Hに挿通した状態の下で、被支持部50Bと支持部60Bとの係合により、生地5と一体的に保持して開口6Hに装着される。被支持部50Bと支持部60Bとの係合態様は、被服2の生地5側にある支持部60Bの凸部61Bと、身体温度調整装置110側にある被支持部50Bの凹部51Bとを互いに嵌め合わせた構造である。
【0064】
次に、実施形態2に係る身体温度調整装置110の被服取付構造、及び温調被服101の作用・効果について説明する。実施形態2に係る身体温度調整装置110の被服取付構造の作用・効果は、実施形態1による作用・効果と実質的に同じである。
【0065】
加えて、実施形態2に係る身体温度調整装置110の被服取付構造では、温度調整ユニット120は、ファンであり、身体温度調整装置110は、ファン(温度調整ユニット120)の翼121の回転により、外気ARより低温状態下にある冷風、または外気ARより高温状態下にある温風のいずれかの風FLを、身体に送風可能に構成されたものであること、を特徴とする。
【0066】
この特徴により、例えば、猛暑下の屋外で働く作業者や、屋内の蒸し暑い環境下で働く作業者、炎天下でレクリエーションやスポーツ、観戦等を行っている人に冷風(風FL)を供給して、熱中症の発現を防止することができる。その反対に、例えば、懐炉や簡易的なヒータ等、熱源と共に用いれば、身体温度調整装置110に供給された外気ARを、熱源に向けて送風し、熱源で加熱された状態の温風(風FL)を身体に送風することで、冷えた身体を温めることができる。
【0067】
以上において、本発明を実施形態1,2に即して説明したが、本発明は上記実施形態1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0068】
例えば、実施形態1では、開口6Hを生地5に設けた被服2を、着用者上体に着衣するベストとし、実施形態2では、この被服2を、着用者上体に着衣する上着として例示したが、本発明に係る身体温度調整装置の被服取付構造で対象とする被服は、ベスト、上着に限定されるものではなく、身にまとうものであれば、適宜変更可能である。
【0069】
また、実施形態1では、温度調整ユニット20(ペルチェ素子)を有した身体温度調整装置10を3つ被服2に装着する温調被服1を挙げた。また、実施形態2では、温度調整ユニット120(ファン)を有した身体温度調整装置110を2つ被服2に装着する温調被服101を挙げた。しかしながら、装着するペルチェ素子やファン等、温度調整ユニットの数量は、実施形態1,2に限定されるものではなく、本発明に係る身体温度調整被服(製品)の用途、着用者の体格等、製品の仕様に応じて、適宜変更可能である。
【0070】
また、実施形態1では、ペルチェ素子において、吸熱下の冷却面の温度は、一例として挙げた十℃程度としたが、このような温度に限定されず、例えば、零℃より高く、十℃近傍までの温度域であっても良く、ペルチェ素子での吸熱特性は、適宜変更可能である。同様に、発熱下の加熱面の温度は、一例として挙げた三十数℃程度としたが、このような温度に限定されず、例えば、体温より少し高く、火傷をしない四十℃前後の温度であっても良く、ペルチェ素子での発熱特性は、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
1,100 温調被服(身体温度調整被服)
2 被服
5 生地
6H 開口
7 外周縁部
10,110 身体温度調整装置
11 本体部
12 カバー部材
13 フランジ
20 120 温度調整ユニット(ペルチェ素子、ファン)
21 放熱面
50A,50B 被支持部
51A 凸部
51B 凹部
60A,60B 支持部
61A 凹部
61B 凸部
121 翼
EX 放熱
FL 風
【要約】
【課題】身体温度調整装置を被服と簡単に着脱することができると共に、身体温度調整被服の使い易さの向上を図ることができる身体温度調整装置の被服取付構造、及びその構造で構成した身体温度調整被服を提供する。
【解決手段】温度調整ユニット20により、身体の温度を調整する身体温度調整装置10が、生地5に穿孔した開口6Hに装着可能な温調被服では、身体温度調整装置10は、温度調整ユニット20をカバー部材12で包囲した本体部11を有し、開口6Hの外周縁部7で保持可能な被支持部50Aがカバー部材12に設けられ、被支持部50Aと係合可能な支持部60Aが、開口6Hの外周縁部7に形成され、身体温度調整装置10は、本体部11の一部を開口6Hに挿通した状態で、支持部60Aと被支持部50Aとの係合により、生地5と一体的に保持して開口6Hに装着される。被支持部50Aと支持部60Aは、凹部61Aと凸部51Aとの嵌合で係合する。
【選択図】
図3