(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】車種判定装置、車種判定方法、および車種判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/015 20060101AFI20240723BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240723BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
G08G1/015 A
G06T7/00 650B
G08G1/01 C
(21)【出願番号】P 2019042120
(22)【出願日】2019-03-08
【審査請求日】2021-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萩原 祥行
(72)【発明者】
【氏名】上野 大
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】緑川 隆
【審判官】梶尾 誠哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-45137(JP,A)
【文献】特開2013-200656(JP,A)
【文献】特開2002-230104(JP,A)
【文献】特開2014-2534(JP,A)
【文献】特開2014-99123(JP,A)
【文献】特開2002-92783(JP,A)
【文献】特開平11-86183(JP,A)
【文献】特開平7-272189(JP,A)
【文献】特開2000-222673(JP,A)
【文献】特開2016-143190(JP,A)
【文献】特開2015-76077(JP,A)
【文献】特開2002-216288(JP,A)
【文献】特開2005-182415(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169226(WO,A1)
【文献】特開2017-4527(JP,A)
【文献】特開2015-102893(JP,A)
【文献】特開平3-188599(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056399(WO,A1)
【文献】特開平10-63991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G1/00-99/00
G06T7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する走行路に対して設定された対象エリア内
を探査波で走査し
て車両の位置を含む車両検知データ
を検知する車両検知装置と、
前記車両検知装置
が検知した前記車両検知データが入力される検知データ入力部と、
前記走行路の下流側か
ら前記車両の前面
を撮像する向きに設置された
撮像装置と、
前記撮像装置が撮像したフレーム画像が入力される画像入力部と、
車両の種類別の前面の特徴量が登録された特徴量データベースと、
前記検知データ入力部に入力された前記車両検知データに基づき、前記車両が前記走行路に設定された種類判定位置に位置していたときに、前記撮像装置
によって撮像されたフレーム画像を処理して前記種類判定位置に位置していた前記車両の
前面の特徴量を抽出し、抽出した前記特徴量を、前記特徴量データベースに登録された前記車両の種類別の前面の特徴量と照合して、前記車両の種類を判定する種類判定部と、を備え、
前記車両の種類は、車両の大きさ、および
形状で分類した種類である、車種判定装置。
【請求項2】
前記検知データ入力部に入力された前記車両検知データに基づき、前記車両が前記種類判定位置に位置していた種類判定タイミングを検出する検出部を備え、
前記種類判定部は、前記画像入力部に入力された前記フレーム画像であって、撮像タイミングが前記種類判定タイミングに対応する前記フレーム画像を処理して前記車両の種類を判定する、請求項1に記載の車種判定装置。
【請求項3】
前記検知データ入力部に入力された前記車両検知データに基づき、前記車両が前記種類判定位置に位置しているかどうかを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記車両が前記種類判定位置に位置していると判定されたときに、前記撮像装置に対して撮像を指示する撮像指示部と、を備え、
前記種類判定部は、前記撮像指示部の撮像指示に応じて撮像された前記フレーム画像を処理して前記車両の種類を判定する、請求項1に記載の車種判定装置。
【請求項4】
前記車両検知装置は、前記対象エリア内の走査を設定周期で繰り返し、前記車両検知データを周期毎に出力し、
前記撮像装置は、設定フレームレートでフレーム画像を撮像するビデオカメラであり、
前記検知データ入力部に入力された前記車両検知データに基づき、前記車両が前記種類判定位置に位置していた種類判定タイミングを検出する検出部を備え、
前記種類判定部は、前記画像入力部に入力された前記フレーム画像であって、前記検出部において検出された前記種類判定タイミングと
時間的に最も近い撮像タイミングのフレーム画像を処理して前記車両の種類を判定する、請求項1に記載の車種判定装置。
【請求項5】
前記種類判定部によって判定された前記車両の種類別に、交通量を集計した交通量データを生成する交通量データ生成部を備えた、請求項1~4のいずれかに記載の車種判定装置。
【請求項6】
前記特徴量データベースは、前記車両の種類と、前記車両の種類別の名称と、前記前記車両の種類別の前面の特徴量とを対応づけて登録されたものであり、
前記種類判定部は、
前記種類判定位置に位置していた前記車両の前面の特徴量を、前記特徴量データベースに登録された前記車両の種類別の前面の特徴量と照合して、前記車両につけられている名称も判定する、請求項1~5のいずれかに記載の車種判定装置。
【請求項7】
前記種類判定位置は、前記撮像装置の被写界深度の範囲内に設定されている、請求項1~6のいずれかに記載の車種判定装置。
【請求項8】
車両が走行する走行路に対して設定された対象エリア内
を探査波で走査して検知した車両の位置を含む車両検知データ
を検知する車両検知装置と、前記車両検知装置
が検知した前記車両検知データが入力される検知データ入力部
と、前記走行路の下流側か
ら前記車両の前面
を撮像する向きに設置された
撮像装置と、前記撮像装置が撮像したフレーム画像が
入力される画像入力部
と、車両の種類別の前面の特徴量が登録された特徴量データベースと、を備える車種判定装置のコンピュータが、
前記検知データ入力部に入力された前記車両検知データに基づき、前記車両が前記走行路に設定された種類判定位置に位置していたときに、前記撮像装置
によって撮像されたフレーム画像を処理して前記種類判定位置に位置していた前記車両の
前面の特徴量を抽出し、抽出した前記特徴量を、前記特徴量データベースに登録された前記車両の種類別の前面の特徴量と照合して、前記車両の種類を判定するステップを実行する車種判定方法であって、
前記車両の種類は、車両の大きさ、および
形状で分類した種類である、車種判定方法。
【請求項9】
車両が走行する走行路に対して設定された対象エリア内
を探査波で走査して検知した車両の位置を含む車両検知データ
を検知する車両検知装置と、前記車両検知装置
が検知した前記車両検知データが入力される検知データ入力部
と、前記走行路の下流側か
ら前記車両の前面
を撮像する向きに設置された
撮像装置と、前記撮像装置が撮像したフレーム画像が
入力される画像入力部
と、車両の種類別の前面の特徴量が登録された特徴量データベースと、を備える車種判定装置のコンピュータに、
前記検知データ入力部に入力された前記車両検知データに基づき、前記車両が前記走行路に設定された種類判定位置に位置していたときに、前記撮像装置
によって撮像されたフレーム画像を処理して前記種類判定位置に位置していた前記車両の
前面の特徴量を抽出し、抽出した前記特徴量を、前記特徴量データベースに登録された前記車両の種類別の前面の特徴量と照合して、前記車両の種類を判定するステップを実行させる車種判定プログラムであって、
前記車両の種類は、車両の大きさ、および
形状で分類した種類である、車種判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両が走行する走行路における車両の種類別の交通量を計測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミリ波センサを用いて車種判別を行う装置があった(特許文献1参照)。この特許文献1の装置は、車長を計測し、計測した車長に基づいて車種を判別する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、大きさ、および形状により分類される車両の種類は、様々である。ここで言う車両の種類は、軽自動車、軽トラック、コンパクトカー、ワンボックスカー、セダン、ステーションワゴン、バス、小型トラック、大型トラック、クレーン、オートバイ(二輪車)等である。また、種類が異なる車両であっても、車長が同程度である車両も多く存在する。
【0005】
上記したように、特許文献1の装置は、車長によって車種を判別する構成であったことから、車種を大型、または小型の2種類で判別していた。したがって、特許文献1の装置は、大きさ、および形状により分類される車両の種類を判別することができなかった。
【0006】
この発明の目的は、大きさ、および形状により分類した車両の種類を判定する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の交通量計測装置は、上記目的を達成するため以下に示すように構成している。
【0008】
検知データ入力部には、車両検知装置が、車両が走行する走行路に対して設定された対象エリア内を、探査波で走査して検知した車両の位置を含む車両検知データが入力される。また、画像入力部には、撮像装置が撮像したフレーム画像が入力される。撮像装置は、走行路の下流側から、車両の前面を撮像する向きに設置されている。
【0009】
種類判定部は、検知データ入力部に入力された車両検知データに基づき、車両が走行路に設定された種類判定位置に位置していたときに、撮像装置よって撮像されたフレーム画像を処理して種類判定位置に位置していた車両の種類を判定する。この車両の種類は、車両の大きさ、および外形で分類した種類である。
【0010】
この構成によれば、種類が判定される車両は、撮像装置から一定の距離離れた種類判定位置に位置するときに、撮像装置によって撮像されるので、フレーム画像上における大きさが、略一定の比率で縮小された大きさになる。したがって、フレーム画像に撮像されている車両の種類の判定において、当該フレーム画像が撮像されたときの撮像装置と車両との距離の変動による影響を抑え、撮像されている車両の種類を判定することができる。
【0011】
また、種類判定位置を、撮像装置の被写界深度の範囲内に設定しておけば、ピントが被写体である車両にあったフレーム画像を処理して、撮像されている車両の種類を判定することができる。言い換えれば、ピントが被写体である車両にあっておらず、撮像されている車両がぼけているフレーム画像を処理して、撮像されている車両の種類を判定するのを防止できる。
【0012】
したがって、大きさ、および外形で分類した車両の種類の判定が精度よく行える。
【0013】
また、検知データ入力部に入力された車両検知データに基づき、車両が種類判定位置に位置していた種類判定タイミングを検出する検出部を備え、種類判定部は、画像入力部に入力されたフレーム画像であって、撮像タイミングが種類判定タイミングに対応するフレーム画像を処理して車両の種類を判定する構成にしてもよい。
【0014】
この構成では、撮像装置として動画像の撮像が行えるビデオカメラを用いればよい。これにより、大きさ、および形状により分類した車両の種類の判定を、リアルタイム処理に限らず、バッチ処理でも行える。
【0015】
また、検知データ入力部に入力された車両検知データに基づき、車両が種類判定位置に位置しているかどうかを判定する判定部と、この判定部によって、車両が種類判定位置に位置していると判定されたときに、撮像装置に対して撮像を指示する撮像指示部と、を備え、種類判定部は、撮像指示部の撮像指示に応じて撮像されたフレーム画像を処理して車両の種類を判定する構成にしてもよい。このように構成すれば、撮像装置として、静止画像を撮像するディジタルスチルカメラを用いることができ、また、撮像装置はフレーム画像を必要なタイミング撮像することができる。
【0016】
また、種類判定部によって判定された車両の種類別に、交通量を集計した交通量データを生成する交通量データ生成部を備える構成にしてもよい。
【0017】
このように構成すれば、生成された交通量データによって、走行路の路面の状態を(損傷の程度等)を適正に推定できる。
【0018】
また、種類判定部は、車両につけられている名称も判定する構成にしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、大きさ、および外形で分類した車両の種類の判定が行える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1(A)は、走行路を走行する車両の幅方向に視た平面図であり、
図1(B)は、車両が走行する走行路を路面に対して垂直な方向に視た平面図である。
【
図2】この例にかかる車種判定装置、電波レーダ装置、および撮像装置の接続を示す図である。
【
図3】判定対象車両が撮像されているフレーム画像を示す図である。
【
図4】この例にかかる車種判定装置の主要部の構成を示す図である。
【
図5】特徴量DBに登録されているデータを説明する図である。
【
図6】交通量データ生成部が生成する交通量データの例を示す図である。
【
図7】電波レーダ装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】この例にかかる車種判定装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】変形例にかかる車種判定装置の主要部の構成を示す図である。
【
図11】変形例にかかる車種判定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態の車種判定装置について説明する。
【0022】
<1.適用例>
図1は、この例にかかる車種判定装置で、車種を判定する対象の車両が走行する走行路を示す概略図である。
図1(A)は、走行路を走行する車両の幅方向に視た平面図であり、
図1(B)は、車両が走行する走行路を路面に対して垂直な方向に視た平面図である。
図2は、この例にかかる車種判定装置、電波レーダ装置、および撮像装置の接続を示す図である。
【0023】
図2に示すように、この例にかかる車種判定装置1には、電波レーダ装置5、および撮像装置6が接続されている。車種判定装置1は、電波レーダ装置5、および撮像装置6と、有線で接続される構成であってもよいし、無線で接続される構成であってもよい。また、後述するが、電波レーダ装置5は、走行路に対して設定した対象エリアを探査波である電波で走査できる位置に設置されている。また、撮像装置6は、対象エリア内に設定した車種判定位置101に位置する被写体にピントを合わせて設置されている。このように、電波レーダ装置5、および撮像装置6は、対象エリア100の付近に設置されることになるが、車種判定装置1は、対象エリア100付近に設置されてもよいし、対象エリア100から離れた管制センタ、データ収集センタ等に設置されていてもよい。
【0024】
図1では、3車線の走行路を示している。電波レーダ装置5、および撮像装置6は、例えば、走行路の路側に設置されたポール、またはこのポールに取り付けた走行路を走行する車両110の幅方向(車幅方向)に延びるアームに取り付けている。また、電波レーダ装置5、および撮像装置6は、走行路を跨ぐように設置されたガントリに取り付けてもよい。
【0025】
電波レーダ装置5は、
図1に示す対象エリア100内を電波(この発明で言う探査波に相当する。)で走査し、走行している車両110の位置、速度、および大きさを検知する。電波レーダ装置5は、電波による対象エリア100内の走査を、設定された時間間隔(例えば、100msec間隔)で繰り返す。
【0026】
また、電波レーダ装置5は、対象エリア100内における車両110の走行軌跡を示す追跡データを生成する構成を備えていてもよい。この例では、電波レーダ装置5が、この追跡データを生成する構成を備えているものとして説明するが、この追跡データを生成する構成については、車種判定装置1に備えてもよい。この追跡データを生成する構成は、電波レーダ装置5による前回の対象エリア100の走査において検知した車両110と、電波による今回の対象エリア100の走査において検知した車両110と、を対応づける構成である。電波レーダ装置5は、対象エリア100を走査する毎に、今回の走査で検知した車両110のID、位置、速度、および大きさを対応づけた車両検知データを出力する。
【0027】
撮像装置6は、公知のビデオカメラである。撮像装置6のフレームレートは、数十フレーム/sec(例えば、30フレーム/sec)である。この撮像装置6は、上記したように車種判定位置101に位置する被写体にピントを合わせている。この車種判定位置101が、この発明で言う種類判定位置に相当する。この車種判定位置101は、撮像装置6の設置位置から数十m(10m~30m程度)離れた位置である。撮像装置6は、車種判定位置101に位置する車両110aの前面を撮像するアングルで取り付けている。撮像装置6は、撮像した動画像を出力する。
【0028】
なお、車両110aは、車種判定位置101に位置している車両110を示している(車種判定位置101に位置していない車両110と区別している。)。
【0029】
図2に示すように、この例にかかる車種判定装置1には、電波レーダ装置5から上記した車両検知データが入力されるとともに、撮像装置6から動画像が入力される。
【0030】
車種判定装置1は、入力された車両検知データに基づき、車両110が車種判定位置101に位置している種類判定タイミングを検出する。車種判定装置1は、撮像タイミングが、ここで検出した種類判定タイミングに対応するフレーム画像を処理し、車種判定位置101に位置している車両110aの種類を判定する。種類判定タイミングに対応する撮像タイミングとは、この種類判定タイミングに対して、時間的に最も近い撮像装置6の撮像タイミングである。また、ここで判定する車両110aの種類は、大きさ、および形状により分類した種類であり、軽自動車、軽トラック、コンパクトカー、ワンボックスカー、セダン、ステーションワゴン、バス、小型トラック、大型トラック、クレーン、オートバイ(二輪車)等である。
【0031】
上記したように、撮像装置6は、車種判定位置101に位置する被写体にピントを合わせている。このため、撮像装置6が種類判定タイミングに対応する撮像タイミングで撮像したフレーム画像には、種類を判定する車両110a(以下、車両110aについては、判定対象車両110aという場合がある。)が被写界深度内に位置しているときに撮像したフレーム画像である。したがって、撮像装置6が種類判定タイミングに対応する撮像タイミングで撮像したフレーム画像においては、判定対象車両110aは、ピントずれによるボケがなく、前面がシャープに撮像されている。また、判定対象車両110aは、撮像装置6から一定の距離離れた車種判定位置101に位置するときに、撮像装置6によって撮像されるので、フレーム画像上における大きさが、略一定の比率で縮小された大きさである。したがって、フレーム画像に撮像されている判定対象車両110aの種類の判定において、当該フレーム画像が撮像されたときの撮像装置6と判定対象車両110aとの距離の変動による影響を抑え、撮像されている判定対象車両110aの種類を判定することができる。
図3は、判定対象車両が撮像されているフレーム画像を示す図である。
【0032】
車種判定装置1は、フレーム画像を処理して判定対象車両110aの特徴量を抽出し、ここで抽出した特徴量を用いて、大きさ、および形状により分類した判定対象車両110aの種類を判定する。この判定対象車両110aの種類の判定は、車両110の種類と、その車両110の前面の特徴量とを対応づけて特徴量DBに登録しておき、フレーム画像を処理して抽出して判定対象車両110aの特徴量を照合して車両110の種類を判定する構成であってもよい。また、AI(Artificial Intelligence)で、車両110の種類を判定する構成(AIが認識モデルを用いて車種を認識する構成)であってもよい。
【0033】
この車種判定装置1は、大きさ、および形状により分類した車両110の種類を判定する。また、電波レーダ装置5から入力された車両検知データを用いることにより、大きさ、および形状により分類した車両110の種類別に交通量を集計した交通量データを生成することができる。
【0034】
<2.構成例>
図4は、この例にかかる車種判定装置の主要部の構成を示す図である。この例にかかる車種判定装置1は、制御ユニット11と、検知データ入力部12と、画像入力部13と、特徴量データベース14(特徴量DB14)と、出力部15と、を備えている。
【0035】
制御ユニット11は、車種判定装置1本体各部の動作を制御する。また、制御ユニット11は、検出部21、種類判定部22、および交通量データ生成部23を有している。制御ユニット11が有する検出部21、種類判定部22、および交通量データ生成部23については後述する。
【0036】
検知データ入力部12には、電波レーダ装置5が接続されている。検知データ入力部12には、電波レーダ装置5から車両検知データが入力される。車両検知データは、検知した車両110の位置、速度、および大きさを対応づけたデータである。電波レーダ装置5は、対象エリア100を電波で走査する毎に、その走査において検知した各車両110の車両検知データを車種判定装置1に出力する。
【0037】
画像入力部13には、撮像装置6が接続されている。画像入力部13には、撮像装置6によって撮像された動画像が入力される。
【0038】
特徴量DB14は、
図5に示すように、車両110別に、その車両110の名称と、その車両110の種類と、その車両110の特徴量とを対応付けて登録したデータベースである。この特徴量DB14に登録されている各車両110の特徴量は、その車両110の前面の特徴量である。
【0039】
なお、特徴量DB14は、車両110の種類と、その車両110の特徴量とを対応付けて登録したデータベースであってもよい(車両110の名称が対応付けられていなくてもよい。)。また、ここで言う車両110の名称は、自動車メーカが、他の車両110と区別するために付けた名前である。
【0040】
出力部15は、管制センタ等の上位装置(不図示)に対して、後述する交通量データ等を出力する。
【0041】
次に、制御ユニット11が有する検出部21、種類判定部22、および交通量データ生成部23について説明する。
【0042】
検出部21は、検知データ入力部12に入力された車両検知データに基づき、車種判定位置101に車両110が位置しているかどうかを判定する。検出部21は、車種判定位置101に位置している車両110を判定対象車両110aとして検出する。
【0043】
種類判定部22は、撮像装置6によって撮像されたフレーム画像の中から、撮像タイミングが種類判定タイミングに対応するフレーム画像を選択する。
【0044】
種類判定タイミングは、例えば、電波レーダ装置5が対象エリア100の走査を開始したタイミング、または走査を終了したタイミングにしてもよいし、検出部21が車種判定位置101に車両(判定対象車両110a)が位置していると判定したタイミングにしてもよい。また、撮像タイミングが種類判定タイミングに対応するフレーム画像とは、撮像タイミングが種類判定タイミングに対して時間的に最も近いフレーム画像である。
【0045】
種類判定部22は、選択したフレーム画像を処理し、撮像されている判定対象車両110aの前面の特徴量を抽出する。種類判定部22は、抽出した判定対象車両110aの特徴量を、特徴量DB14に登録されている各車両110の特徴量と照合し、判定対象車両110aの車種を判定する。また、この例では、種類判定部22は、判定対象車両110aの名称も判定することができる。
【0046】
交通量データ生成部23は、対象エリア100における交通量データを生成する。交通量データ生成部23が生成する交通量データは、例えば
図6に示すように、ある期間(
図6では、2019年1月15日の午前7:00~午前8時までの1時間)に、対象エリア100を走行した車両110の種類別に、台数、および平均速度を対応づけたデータである。交通量データ生成部23が生成した交通量データが、出力部15において上位装置に出力される。
【0047】
なお、交通量データ生成部23が生成する交通量データは、車両110の種類別の交通量が得られるものであれば、上記した平均速度が含まれていない形式であってもよいし、車間距離の平均値等の他の項目が含まれていてもよい。
【0048】
車種判定装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかる車種判定プログラムを実行したときに、検出部21、種類判定部22、および交通量データ生成部23として動作する。また、メモリは、この発明にかかる車種判定プログラムを展開する領域や、この車種判定プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかる車種判定方法を実行するコンピュータである。
【0049】
<3.動作例>
図7は、電波レーダ装置の動作を示すフローチャートである。電波レーダ装置5は、対象エリア100の走査タイミングになると(s1)、対象エリア100を探査波である電波で走査し、その反射波を検出することにより、対象エリア100内に位置している車両110を検知する検知処理を行う(s2)。s2では、電波レーダ装置5は、電波の照射方向毎に、反射波を検出するまでの時間(電波の飛行時間)と、反射波の周波数を検出し、電波を反射した物体(車両110、路面等)の位置、この物体の大きさ、およびこの物体の速度を検知する。
【0050】
電波レーダ装置5は、s2にかかる検知処理が完了すると、前回の対象エリア100の走査で検出した車両110と、今回の対象エリア100の走査で検出した車両110と、を対応づける対応づけ処理を行う(s3)。s3にかかる対応づけ処理では、車両110の大きさ、位置、速度を用いて行う。電波レーダ装置5は、前回の走査で検知した車両110に対応づけることができた車両110(今回の走査で検知した車両110)については、対応づけた車両110に割り当てられているIDを割り当てる。一方、電波レーダ装置5は、前回の走査で検知した車両110に対応づけることができなかった車両110(今回の走査で検知した車両110)については、新たなIDを生成し、これを割り当てる。
【0051】
電波レーダ装置5は、今回の走査で検知した車両110毎に、ID、位置、速度、および大きさを対応づけた車両検知データを生成し、ここで生成した車両検知データを車種判定装置1に出力し(s4)、s1に戻る。
【0052】
この例では、電波レーダ装置5は、100msec間隔で、対象エリア100を電波で走査し、検知した車両110にかかる車両検知データを車種判定装置1に出力する。すなわち、車種判定装置1には、車両検知データが100msec間隔で入力される。
【0053】
また、電波レーダ装置5は、上記の処理を行うことによって、対象エリア100を走行した車両110毎に、
図8に示す追跡データを得ることができる。この追跡データは、車両110を識別するIDと車両110の大きさと、検知時刻毎に車両110の速度、および位置を対応づけたデータである。車両110の位置は、この例では、車両110の走行方向における第1基準位置からの距離と、走行路の幅方向における第2基準位置からの距離である。
【0054】
また、車種判定装置1も、電波レーダ装置5から入力された車両検知データをIDで分類して集計することにより、
図8に示した追跡データを得ることができる。
【0055】
また、電波レーダ装置5は、追跡データを生成しない構成にしてもよい。この場合、電波レーダ装置5は、上記したs3にかかる処理を行わず、s4で位置、速度、および大きさを対応づけた車両検知データ(IDを対応づけてない車両検知データ)を生成して、車種判定装置1に出力する。車種判定装置1が、上記したs3と同様の処理を行って、追跡データを生成する。
【0056】
図8は、ある車両の追跡データを示す図である。
図8に示すように追跡データは、車両110を識別するIDと車両110の大きさと、検知時刻毎に車両110の速度、および位置を対応づけたデータである。車両110の位置は、この例では、車両110の走行方向における第1基準位置からの距離(例えば、走行方向における電波レーダ装置5の設置位置からの距離)と、走行路の幅方向における第2基準位置からの距離(例えば、走行路の幅方向の中心位置からの距離であって、右側が正値、左側が負値)である。
【0057】
図9は、この例にかかる車種判定装置の動作を示すフローチャートである。車種判定装置1は、検知データ入力部12に車両検知データが入力されると(s11)、車種判定位置101に位置する判定対象車両110aの有無を判定する(s12)。s12にかかる処理は、検出部21が実行する。車種判定装置1は、s12で判定対象車両110aが無いと判定すると、s11に戻る。
【0058】
車種判定装置1は、s12で判定対象車両110aが有ると判定すると、画像入力部13に入力された撮像装置6の動画像の中から、判定対象車両110aの車種を判定するのに用いるフレーム画像を選択する(s13)。
【0059】
s13では、種類判定タイミングに応じて、フレーム画像を選択する。この種類判定タイミングは、s12で判定対象車両110aが有ると判定された車両検知データにかかる対象エリア100の走査が開始されたタイミングであってもよいし、またこの対象エリア100の走査が終了したタイミングであってもよいし、さらには検出部21が車種判定位置101に車両(判定対象車両110a)が位置していると判定したタイミングであってもよい。すなわち、種類判定タイミングは、車両110(判定対象車両110a)が車種判定位置101付近に位置しているタイミングであればよい。
【0060】
また、s13では、種類判定タイミングに対応する撮像タイミングで撮像されたフレーム画像を選択する。種類判定タイミングに対応する撮像タイミングとは、この種類判定タイミングに対して時間的に最も近い撮像タイミングである。したがって、s13で選択されるフレーム画像は、車両110(判定対象車両110a)が車種判定位置101付近に位置しているときに撮像されたフレーム画像である。上記したように、撮像装置6は、車種判定位置101に位置する被写体にピントを合わせているので、s13で選択したフレーム画像には、判定対象車両110aがピントずれによるボケがなく、前面がシャープに撮像されている。s13で選択されるフレーム画像は、判定対象車両110aが被写界深度の範囲内に位置しているときに撮像したフレーム画像である。
【0061】
車種判定装置1は、s13で選択したフレーム画像に撮像されている判定対象車両110aの前面の特徴量を抽出し(s14)、ここで抽出した特徴量を特徴量DB14に登録されている車両110の特徴量と照合する(s15)。車種判定装置1は、s15における特徴量の照合家結果に基づき、判定対象車両110aの車種を判定する(s16)。s16では、特徴量の類似度が最大であった車両110種類を、判定対象車両110aの種類と判定する。また、このとき、車種判定装置1は、判定対象車両110aの名称も判定する。種類判定部22が、s13~s16にかかる処理を実行する。
【0062】
車種判定装置1は、車種、速度(車種判定位置101における速度)、通過時刻(車種判定位置101の通過時刻)を対応づけた判定結果を生成し、この判定結果を図示していないメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体に記憶させ(s17)、s11に戻る。
【0063】
交通量データ生成部23は、s17で生成された判定結果を集計することにより、
図6に示した交通量データを生成する。
【0064】
このように、この例にかかる車種判定装置1は、車両110の大きさ、および外形形状により分類した車両の種類の判定が行える。したがって、大きさ、および外形形状により分類した車両の種類別に、走行路を走行した車両110の台数を集計した交通量データを得ることができ、走行路の路面等の保守管理に有益に利用できる。
【0065】
なお、上記の説明では、電波レーダ装置5は、車両検知データをほぼリアルタイムに車種判定装置1に出力し、撮像装置6は、撮像した動画像をほぼリアルタイムに車種判定装置1に出力することを前提にして説明したが、電波レーダ装置5の出力である車両検知データ、および撮像装置6の出力である動画像をハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶媒体に記憶させ、
図9に示す処理がバッチ処理にて行われる構成であってもよい、この場合、電波レーダ装置5の出力である車両検知データと、撮像装置6の出力である動画像とを対応づけるために、これらのデータにタイムスタンプ等を付加しておけばよい。
【0066】
また、車種判定装置1は、交通量データ生成部23を有していない構成であってもよい。この場合、s17で記憶する判定結果を、出力部15を介して上位装置に送信し、上位装置において、交通量データを生成させればよい。
【0067】
<4.変形例>
次に、この発明の変形例について説明する。
図10は、この変形例にかかる車種判定装置の主要部の構成を示す図である。
図10では、
図4に示した構成と同様の構成については、同じ符号を付している。この変形例にかかる車種判定装置1Aは、制御ユニット11Aが、上記の例で説明した検出部21、種類判定部22、および交通量データ生成部に加えて、レリーズ信号生成部24を備えている点で相違する。
【0068】
また、この変形例にかかる車種判定装置1Aは、上記の例で説明した検知データ入力部12、画像入力部13、特徴量DB14および出力部15に加えて、レリーズ信号出力部16を備えている点で相違する。
【0069】
レリーズ信号生成部24は、撮像装置6に対して、静止画の撮像を指示するレリーズ信号を生成する。レリーズ信号出力部16は、レリーズ信号生成部24が生成したレリーズ信号を撮像装置6に対して出力する。
【0070】
この変形例では、撮像装置6は、動画像を撮像する機能を有していないディジタルスチルカメラであってもよい。また、撮像装置6は、車種判定装置1Aからレリーズ信号が入力されたことをトリガにして、静止画像を撮像すればよく、定期的に静止画の撮像を行う必要はない。
【0071】
図11は、この変形例にかかる車種判定装置の動作を示すフローチャートである。
図11では、
図9に示した処理と同様の処理については、同じステップ番号を付している。
【0072】
この変形例にかかる車種判定装置1Aは、上記したs11、s12にかかる処理を行う。車種判定装置1Aは、s12で判定対象車両110aが有ると判定すると、レリーズ信号生成部24がレリーズ信号を生成する(s21)。車種判定装置1Aは、レリーズ信号出力部16において、s21で生成したレリーズ信号を撮像装置6に出力する(s22)。車種判定装置1Aは、s22で出力したレリーズ信号に応じて、撮像装置6が撮像したフレーム画像(静止画像)が入力されるのを待ち(s23)、フレーム画像が入力されると、上記したs14~s17の処理を実行する。
【0073】
この例でも、撮像装置6は、車種判定位置101に位置する被写体にピントを合わせている。したがって、撮像装置6が車種判定装置1Aから入力されたレリーズ信号に応じて撮像したフレーム画像には、判定対象車両110aがピントずれによるボケがなく、前面がシャープに撮像されている。
【0074】
したがって、この変形例にかかる車種判定装置1Aも、上記の例と同様に、車両110の大きさ、および外形形状により分類した車両の種類の判定が行える。したがって、大きさ、および外形形状により分類した車両の種類別に、走行路を走行した車両110の台数を集計した交通量データを得ることができ、走行路の路面等の保守管理に有益に利用できる。
【0075】
また、上記の例で説明した電波レーダ装置5は、レーザ光を探査波として用いる、レーザレーダ装置に置き換えてもよい。
【0076】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0077】
さらに、この発明に係る構成と上述した実施形態に係る構成との対応関係は、以下の付記のように記載できる。
<付記>
車両(110)が走行する走行路に対して設定された対象エリア(100)内を、探査波で走査して検知した車両(110)の位置を含む車両検知データが車両検知装置(5)から入力される検知データ入力部(12)と、
前記走行路の下流側から、前記車両(110)の前面を撮像する向きに設置された撮像装置(6)が撮像したフレーム画像が入力される画像入力部(13)と、
前記検知データ入力部(12)に入力された前記車両検知データに基づき、前記車両(110)が前記走行路に設定された種類判定位置(101)に位置していたときに、前記撮像装置(6)よって撮像されたフレーム画像を処理して前記種類判定位置(101)に位置していた前記車両(110)の種類を判定する種類判定部(22)と、を備え、
前記車両(110)の種類は、車両の大きさ、および外形で分類した種類である、車種判定装置(1)。
【符号の説明】
【0078】
1、1A…車種判定装置
5…電波レーダ装置
6…撮像装置
11、11A…制御ユニット
12…検知データ入力部
13…画像入力部
14…特徴量データベース(特徴量DB)
15…出力部
16…レリーズ信号出力部
21…検出部
22…種類判定部
23…交通量データ生成部
24…レリーズ信号生成部
100…対象エリア
101…車種判定位置
110…車両
110a…判定対象車両