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特許7525254有機アンモニウム塩とそれを用いた生体試料処理剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】有機アンモニウム塩とそれを用いた生体試料処理剤
(51)【国際特許分類】
   C07C 215/40 20060101AFI20240723BHJP
   A01N 1/02 20060101ALI20240723BHJP
   C07K 1/02 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
C07C215/40
A01N1/02
C07K1/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019206184
(22)【出願日】2019-11-14
(65)【公開番号】P2021080175
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000114318
【氏名又は名称】ミヨシ油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 恒太郎
(72)【発明者】
【氏名】河合 功治
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-023185(JP,A)
【文献】特開2014-131974(JP,A)
【文献】特開2016-041682(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103030912(CN,A)
【文献】国際公開第2011/090088(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 215/
A01N 1/
C07K 1/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式のうちいずれかで表される、有機アンモニウム塩。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【請求項2】
請求項1に記載の有機アンモニウム塩を含む生体試料処理剤。
【請求項3】
前記生体試料が生体触媒、タンパク質又は核酸である請求項2に記載の生体試料処理剤。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の生体試料処理剤及び生体試料を含む固体状組成物。
【請求項5】
請求項2又は3に記載の生体試料処理剤、生体試料及び溶媒を含む生体試料溶液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機アンモニウム塩とそれを用いた水素結合性材料処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素や酵母などの生体触媒、ペプチド、タンパク質、核酸やセルロース等の難溶性多糖類等の生体試料は、温度、pH、溶媒又は分子間の静電気的な斥力等の影響により、分子の立体構造が壊れやすく、活性すなわち触媒能力が低下するものが多く、生体触媒能の保存や生体触媒反応に利用したり、生体試料を保存する際、活性点の立体構造、アミノ酸残基の立体構造を保持する必要がある。
【0003】
生体触媒や生体試料の長期保存方法としては、粉体状態での凍結乾燥法や、低濃度、極低温度条件下で溶液に溶解して保存する凍結保存法が知られている。
【0004】
一般的に、操作上の簡便さから溶液での保存が望ましいが、凍結保存法の場合、特殊な装置が必要となるとともに、凍結時に氷が生成するために生体触媒の立体構造を破壊してしまう問題、凍結した溶液を溶解して使用する際、生体触媒の構造が変化し活性が低下してしまう問題があり、更に、保存濃度は、例えばウレアーゼ、カタラーゼの場合、一般的に1~3mg/mL程度と低く、効率的な保存が困難である。
【0005】
そうした生体触媒の失活を防ぎ、酵素の活性を維持するために、安定化剤を添加する試みがなされている。例えば、グリセリン、ソルビトールのような多価アルコールをウリカーゼの保存に使用する方法(特許文献1)、牛血清アルブミン及び糖類を、コレステロールオキシダーゼを含む溶液に添加するコレステロールオキシダーゼの安定化法(特許文献2)が提案されているが、これらの方法では、保存濃度、保存温度や保存期間に対する酵素活性の低下の問題があった。
【0006】
上記の問題点を解決するため、出願人は室温で液状のイオン液体を生体触媒、生体試料の保存に適用できることを見出した(特許文献3~5)。室温液状のイオン液体は、生体試料との親和性、保存に優れるものの、室温で固体状のものが要望される用途、例えば、臨床検査薬やバイオセンサー等には適しておらず、更なる改善が必要であった。また、液状での保存の場合、生体試料と液体の溶解性の点から、高濃度で生体試料を保存することが困難であった。そのため、固体状態として、凍結乾燥や凍結保存が用いられてきたが、生体試料の長期安定効果が低いという問題があった。
【0007】
固体状の酵素安定化剤の例としては、大豆などの加水分解物である植物由来のポリペプチドを使用する例が開示されている(特許文献6)が、安定化効果は不十分であった。
【0008】
このような生体試料保存材料の他、生体試料のような水素結合性材料の各種の処理を可能とする処理剤、例えば、水素結合性材料を固体状組成物とした後、水、溶媒等を添加した際に溶解性又は分散性に優れる処理剤、そしてこれを可能とする、水素結合性材料との親和性が良い新規な化合物が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平06-70798号公報
【文献】特開平08-187095号公報
【文献】特開2014-131974号公報
【文献】特開2014-131975号公報
【文献】国際公開第2015/156398号
【文献】特開2006-42757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、水素結合性材料の各種の処理等に有用な、新規な化合物を提供することを課題の一つとしている。
【0011】
本発明は、水素結合性材料の各種の処理に有用な処理剤を提供することを別の課題としている。
【0012】
本発明は、固体状態で、高濃度、高温、かつ長期間であっても生体試料の立体構造の保持に優れた処理剤、並びに水溶液等の溶液状態で、高濃度、高温、かつ長期間であっても生体試料の立体構造の保持に優れた生体試料溶液を提供することをさらに別の課題としている。
【0013】
本発明は、有機、無機の水素結合性材料の溶解性、分散性に優れ、また、得られた溶液又は分散液を固体状組成物とした後、水、溶媒等を添加した際に溶解性又は分散性に優れる処理剤を提供することをさらに別の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明の有機アンモニウム塩は、下記式(I)
【0015】
【化1】
(式中、Rはそれぞれ独立に、水酸基を1個以上有し、アルキル部位が炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状で、該アルキル部位が酸素原子を含んでいてもよいヒドロキシアルキル基、カルボキシ基を1個以上有し、アルキル部位が炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状で、該アルキル部位が酸素原子を含んでいてもよいカルボキシアルキル基、又は水酸基及びカルボキシ基を各々1個以上有し、アルキル部位が炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状で、該アルキル部位が酸素原子を含んでいてもよいヒドロキシカルボキシアルキル基を示す。nは0~4の整数を示す。)で表されるアンモニウムカチオン及びアニオンを含む、25℃で固体状の有機アンモニウム塩であることを特徴としている。
本発明の水素結合性材料処理剤は、前記有機アンモニウム塩を含む。
前記水素結合性材料処理剤の好ましい一例においては、前記水素結合性材料が生体試料である(以下、この場合には生体試料処理剤ともいう)。
本発明の固体状組成物は、前記水素結合性材料処理剤及び前記水素結合性材料を含む。
本発明の生体試料溶液は、前記水素結合性材料処理剤(生体試料処理剤)、生体試料及び溶媒を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水素結合性材料の各種の処理等に有用な、新規な化合物が提供される。
また、生体試料のような水素結合性材料の各種の処理に有用な処理剤が提供される。
【0017】
本発明によれば、固体状態で、高濃度、高温、かつ長期間であっても生体試料の立体構造の保持に優れた処理剤、並びに水溶液等の溶液状態で、高濃度、高温、かつ長期間であっても生体試料の立体構造の保持に優れた生体試料溶液が提供される。
【0018】
本発明によれば、有機、無機の水素結合性材料の溶解性、分散性に優れ、また、得られた溶液又は分散液を固体状組成物とした後、水、溶媒等を添加した際に溶解性又は分散性に優れる処理剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を詳細に説明する。
(有機アンモニウム塩)
【0020】
本発明の有機アンモニウム塩のカチオンにおいて、式(I)のRは、ヒドロキシアルキル基、カルボキシアルキル基又はヒドロキシカルボキシアルキル基を示す。
【0021】
前記ヒドロキシアルキル基は、水酸基を1個以上有し、アルキル部位が好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6の直鎖状もしくは分岐鎖状で、該アルキル部位が酸素原子を含んでいてもよい。
【0022】
前記カルボキシアルキル基は、カルボキシ基を1個以上有し、アルキル部位が好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6の直鎖状もしくは分岐鎖状で、該アルキル部位が酸素原子を含んでいてもよい。
【0023】
前記ヒドロキシカルボキシアルキル基は、水酸基及びカルボキシ基を各々1個以上有し、アルキル部位が好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6の直鎖状もしくは分岐鎖状で、該アルキル部位が酸素原子を含んでいてもよい。
【0024】
ここで、アルキル部位が酸素原子を含む場合、該酸素原子は、例えば、アルキル部位にエーテル結合、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、尿素結合又はウレタン結合を形成する。したがって本発明において「アルキル部位が酸素原子を含む」とは、酸素原子を含む原子団として窒素原子等のヘテロ原子をも含む基によってアルキル部位が中断される場合を包含する。
【0025】
前記ヒドロキシアルキル基としては、モノヒドロキシアルキル基、ポリヒドロキシアルキル基を挙げることができ、これらの具体例としては、アルキル部位が酸素原子を含まないヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシアルキル基、アルコキシヒドロキシアルキル基、ヒドロキシポリアルキレンオキシアルキル基等が挙げられる。
【0026】
モノヒドロキシアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロパン-1-イル基、2-ヒドロキシプロパン-1-イル基、3-ヒドロキシプロパン-1-イル基、1-ヒドロキシプロパン-2-イル基、2-ヒドロキシプロパン-2-イル基、1-ヒドロキシブタン-1-イル基、2-ヒドロキシブタン-1-イル基、3-ヒドロキシブタン-1-イル基、4-ヒドロキシブタン-1-イル基、1-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル基、2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル基、3-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル基、1-ヒドロキシブタン-2-イル基、2-ヒドロキシブタン-2-イル基、3-ヒドロキシブタン-2-イル基、4-ヒドロキシブタン-2-イル基、1-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-2-イル基、5-ヒドロキシペンタン-1-イル基、6-ヒドロキシヘキサン-1-イル基、7-ヒドロキシヘプタン-1-イル基、8-ヒドロキシオクタン-1-イル基、9-ヒドロキシノナン-1-イル基、10-ヒドロキシデカン-1-イル基等が挙げられる。モノヒドロキシアルキル基は、炭素数1~10のものが好ましく、炭素数1~6のものがより好ましく、炭素数1~3のものがさらに好ましい。
【0027】
ポリヒドロキシアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、又はオクタヒドロキシアルキル基等が挙げられる。具体的には、例えば、1,2-ジヒドロキシエチル基等のジヒドロキシエチル基;1,2-ジヒドロキシプロパン-1-イル基、2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イル基等のジヒドロキシプロパン-1-イル基;1,2-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基等のジヒドロキシプロパン-2-イル基;トリヒドロキシプロパン-1-イル基;トリヒドロキシプロパン-2-イル基;1,2-ジヒドロキシブタン-1-イル基、1,3-ジヒドロキシブタン-1-イル基、1,4-ジヒドロキシブタン-1-イル基、2,3-ジヒドロキシブタン-1-イル基、2,4-ジヒドロキシブタン-1-イル基、3,4-ジヒドロキシブタン-1-イル基等のジヒドロキシブタン-1-イル基;1,2,3トリヒドロキシブタン-1-イル基、1,2,4トリヒドロキシブタン-1-イル基、1,3,4トリヒドロキシブタン-1-イル基、2,3,4トリヒドロキシブタン-1-イル基等のトリヒドロキシブタン-1-イル基;テトラヒドロキシブタン-1-イル基;1,2-ジヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル基、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル基、2,3-ジヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル基等のジヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル基;トリヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル基;テトラヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-イル基;1,2-ジヒドロキシブタン-2-イル基、1,3-ジヒドロキシブタン-2-イル基、1,4-ジヒドロキシブタン-2-イル基、2,3-ジヒドロキシブタン-2-イル基、2,4-ジヒドロキシブタン-2-イル基、3,4-ジヒドロキシブタン-2-イル基等のジヒドロキシブタン-2-イル基;1,2,3トリヒドロキシブタン-2-イル基、1,2,4トリヒドロキシブタン-2-イル基、1,3,4トリヒドロキシブタン-2-イル基、2,3,4トリヒドロキシブタン-2-イル基等のトリヒドロキシブタン-2-イル基;テトラヒドロキシブタン-2-イル基;1,3-ジヒドロキシ-2-メチルプロパン-2-イル基、1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基;ジ、トリ、テトラ、又はペンタヒドロキシペンタン-1-イル基;ジ、トリ、テトラ、ペンタ、又はヘキサヒドロキシヘキサン-1-イル基;ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、又はヘプタヒドロキシヘプタン-1-イル基;ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、又はオクタヒドロキシオクタン-1-イル基等が挙げられる。ポリヒドロキシアルキル基は、水酸基を2~6個有する炭素数1~10のものが好ましく、炭素数1~6のものがより好ましい。また、次式(II)で表わされる分岐鎖状のポリヒドロキシアルキル基は好ましいものとして例示される。
【0028】
【化2】
(式中、R11は水素原子、炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、又は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基を示す。)
【0029】
以上のポリヒドロキシアルキル基の中でも、2,3-ジヒドロキシプロパン-1-イル基、1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、ペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基が好ましい。
【0030】
前記カルボキシアルキル基としては、モノカルボキシアルキル基、ポリカルボキシアルキル基を挙げることができ、これらの具体例としては、上記において例示したモノ、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、又はオクタヒドロキシアルキル基の水酸基をカルボキシ基に置換したものが挙げられる。
【0031】
モノカルボキシアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシメチル基、1-カルボキシエチル基、2-カルボキシエチル基、1-カルボキシプロパン-1-イル基、2-カルボキシプロパン-1-イル基、3-カルボキシプロパン-1-イル基、1-カルボキシプロパン-2-イル基、2-カルボキシプロパン-2-イル基、1-カルボキシブタン-1-イル基、2-カルボキシブタン-1-イル基、3-カルボキシブタン-1-イル基、4-カルボキシブタン-1-イル基、1-カルボキシ-2-メチルプロパン-1-イル基、2-カルボキシ-2-メチルプロパン-1-イル基、3-カルボキシ-2-メチルプロパン-1-イル基、1-カルボキシブタン-2-イル基、2-カルボキシブタン-2-イル基、3-カルボキシブタン-2-イル基、4-カルボキシブタン-2-イル基、1-カルボキシ-2-メチルプロパン-2-イル基、5-カルボキシペンタン-1-イル基、6-カルボキシヘキサン-1-イル基、7-カルボキシヘプタン-1-イル基、8-カルボキシオクタン-1-イル基、9-カルボキシノナン-1-イル基、10-カルボキシデカン-1-イル基等が挙げられる。カルボキシアルキル基は、炭素数1~10のものが好ましく、炭素数1~6のものがより好ましい。
【0032】
前記ヒドロキシカルボキシアルキル基としては、特に限定されないが、例えば、上記において例示したジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、又はオクタヒドロキシアルキル基の水酸基の一部をカルボキシ基に置換したものが挙げられる。
【0033】
本発明の有機アンモニウム塩において、式(I)におけるnは0~4の整数である。好ましくは1~4の整数である。式(I)におけるRがポリヒドロキシアルキル基である場合は、nは1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1~2が更に好ましく、1が特に好ましい。
【0034】
本発明の有機アンモニウム塩のアニオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸アニオン、ハロゲン化物アニオン、硫黄系アニオン、フッ素系アニオン、ホウ素系アニオン、窒素酸化物系アニオン、リン系アニオン、シアン系アニオン等が挙げられる。
【0035】
前記カルボン酸アニオンは、分子中に、少なくとも1個以上のカルボン酸アニオン(-COO-)を持つ有機酸アニオンであり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を持つ官能基を含んでいても良い。特に限定されないが、カルボン酸アニオンとしては、例えば、飽和脂肪族モノカルボン酸アニオン、脂環式カルボン酸アニオン、不飽和脂肪族モノカルボン酸アニオン、飽和ヒドロキシカルボン酸アニオン(飽和ヒドロキシモノカルボン酸アニオン、飽和ヒドロキシジ又はトリカルボン酸アニオン等)、飽和ジカルボン酸アニオン、不飽和ジカルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、飽和カルボニルカルボン酸アニオン、アルキルエーテルカルボン酸アニオン、ハロゲンカルボン酸アニオン等が挙げられる(以下に挙げるカルボン酸アニオンの炭素数は、カルボキシ基の炭素を含む。)。
【0036】
前記飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンは、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基と1個のカルボン酸アニオンからなり、カルボキシ基、カルボキシレート基を含んでも良く、炭素数1~22が好ましい。具体的には、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ヘンイコシル酸、ベヘン酸、イソ酪酸、2-メチル酪酸、イソ吉草酸、2-エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0037】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(I)のRは炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは炭素数1~6の直鎖状モノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=2である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=3である。
・式(II)のR11は水素原子、炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、又は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(II)のR11は炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(II)のR11は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは水酸基を2個以上有する炭素数1~10で直鎖状もしくは分岐鎖状のポリヒドロキシアルキル基、nが1~4の整数である。
・式(I)のRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=3であり、前記飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンは蟻酸アニオンである。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1又はRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1であり、前記飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンは酢酸アニオンである。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1又はRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1であり、前記飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンは酪酸アニオンである。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1又はRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1であり、前記飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンはカプロン酸アニオンである。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1-ヒドロキシエチル基、n=3、Rは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1又はRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1であり、前記飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンはカプリル酸アニオンである。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1-ヒドロキシエチル基、n=3、Rは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1又はRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1であり、前記飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンはカプリン酸アニオンである。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1-ヒドロキシエチル基、n=2、Rは1-ヒドロキシエチル基、n=3、Rは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1又はRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1であり、前記飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンはラウリン酸アニオンである。
【0038】
前記脂環式カルボン酸アニオンは、芳香族性を持たない飽和もしくは不飽和の炭素環と1個以上のカルボン酸アニオンからなり、炭素数6~20が好ましい。中でも、シクロヘキサン環骨格を有する脂環式カルボン酸アニオンが好ましく、具体的には、例えば、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0039】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記脂環式カルボン酸アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(I)のRは炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは炭素数1~6の直鎖状モノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=2である。
・式(II)のR11は水素原子、炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、又は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1-ヒドロキシエチル基、n=3又はRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1であり、前記脂環式カルボン酸アニオンはシクロヘキサンカルボン酸アニオンである。
【0040】
前記不飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンは、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基と1個以上のカルボン酸アニオンからなり、カルボキシ基、カルボキシレート基を含んでも良く、炭素数3~22が好ましい。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキドン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0041】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記不飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(I)のRは炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは炭素数1~6の直鎖状モノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。

・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1である。
・式(II)中、R11は炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1であり、前記不飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンはクロトン酸アニオンである。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基であり、前記不飽和脂肪族モノカルボン酸アニオンはオレイン酸アニオンである。
【0042】
前記飽和ヒドロキシカルボン酸アニオンは、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族飽和炭化水素基、1個以上のカルボン酸アニオン及び1個以上の水酸基からなり、カルボキシ基、カルボキシレート基を含んでも良く、炭素数2~24が好ましい。中でも、1~4個の水酸基を有する炭素数2~7の飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシデカンサン酸、3-ヒドロキシデカン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸、セレブロン酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、キナ酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0043】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオンのうち、飽和脂肪族モノヒドロキシカルボン酸アニオンである場合、炭素数2~24が好ましく、炭素数2~7がより好ましい。水酸基の個数は1~4が好ましい。式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(I)のRは炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは炭素数1~6の直鎖状モノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=2である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=3である。
・式(II)中、R11は水素原子、炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、又は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(II)中、R11は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは水酸基を2個以上有する炭素数1~10で直鎖状もしくは分岐鎖状のポリヒドロキシアルキル基、nが1~4の整数である。
・式(I)のRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1又はRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1であり、前記飽和脂肪族モノヒドロキシカルボン酸アニオンはグリコール酸アニオンである。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1又はRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1であり、前記飽和脂肪族モノヒドロキシカルボン酸アニオンは9,10-ジヒドロキシステアリン酸アニオンである。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1-ヒドロキシエチル基、n=2、Rは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1又はRは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1であり、前記飽和脂肪族モノヒドロキシカルボン酸アニオンはキナ酸アニオンである。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1であり、前記飽和脂肪族モノヒドロキシカルボン酸アニオンは12-ヒドロキシステアリン酸アニオンである。
【0044】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記飽和脂肪族ヒドロキシカルボン酸アニオンのうち、飽和脂肪族ヒドロキシジ又はトリカルボン酸アニオンである場合、炭素数4~24が好ましい。水酸基の個数は1~3が好ましい。式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(I)のRは炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは炭素数1~6の直鎖状モノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1であり、前記飽和脂肪族ヒドロキシジ又はトリカルボン酸アニオンは酒石酸である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1であり、前記飽和脂肪族ヒドロキシジ又はトリカルボン酸アニオンはクエン酸アニオンである。
【0045】
飽和ジカルボン酸アニオンは、炭素数2~24が好ましく、炭素数2~10がより好ましい。具体的には、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0046】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記飽和ジカルボン酸アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(I)のRは炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは炭素数1~6の直鎖状モノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=3である。
・式(II)中、R11は水素原子、炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、又は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(II)中、R11は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1であり、前記飽和脂肪族モノヒドロキシカルボン酸アニオンはシュウ酸アニオンである。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1又はRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1であり、前記和ジカルボン酸アニオンはコハク酸アニオンである。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基又はn=1、1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1であり、前記和ジカルボン酸アニオンはアジピン酸アニオンである。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基であり、前記和ジカルボン酸アニオンはセバシン酸アニオンである。
【0047】
不飽和ジカルボン酸アニオンは、炭素数2~24が好ましく、炭素数2~10がより好ましい。具体的には、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、2-ペンテンニ酸、メチレンコハク酸、アリルマロン酸、イソプロピリデンコハク酸、アジピン酸、2,4-ヘキサジエンニ酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0048】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記不飽和ジカルボン酸アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(I)のRは炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは炭素数1~6の直鎖状モノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1であり、前記和ジカルボン酸アニオンはマレイン酸アニオンである。
【0049】
前記芳香族カルボン酸アニオンは、芳香族性を持つ単環又は複数の環と1個以上のカルボン酸アニオンを含み、炭素数6~20が好ましい。中でも、ベンゼン環骨格を有する芳香族カルボン酸アニオンが好ましく、具体的には、例えば、安息香酸、ケイヒ酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0050】
前記芳香族カルボン酸アニオンのうち、芳香族ヒドロキシカルボン酸アニオンは、芳香族性を持つ単環あるいは複数の環、1個以上のカルボン酸アニオン及び1個以上の水酸基からなり、炭素数6~20が好ましい。中でも、1~3個の水酸基を有するベンゼン環骨格の芳香族カルボン酸アニオンが好ましく、具体的には、例えば、サリチル酸、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシメチル安息香酸、バニリン酸、シリング酸、ピロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0051】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記芳香族カルボン酸アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(I)のRは炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは炭素数1~6の直鎖状モノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=2である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=3である。
・式(II)中、R11は水素原子、炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、又は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(II)中、R11は炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(II)中、R11は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは水酸基を2個以上有する炭素数1~10で直鎖状もしくは分岐鎖状のポリヒドロキシアルキル基、nが1~4の整数である。
・式(I)のRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1-ヒドロキシエチル基、n=3、Rは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1又はペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1であり、前記芳香族カルボン酸アニオンは安息香酸アニオンである。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1-ヒドロキシエチル基、n=2、Rは1-ヒドロキシエチル基、n=3又はRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1であり、前記芳香族カルボン酸アニオンはテレフタル酸アニオンである。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1又はRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1であり、前記芳香族カルボン酸アニオンはサリチル酸アニオンである。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1-ヒドロキシエチル基、n=3又はRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1であり、前記芳香族カルボン酸アニオンはp-ヒドロキシ安息香酸アニオンである。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1であり、前記芳香族カルボン酸アニオンはマンデル酸アニオンである。
【0052】
前記飽和カルボニルカルボン酸アニオンは、分子内にカルボニル基を有する炭素数3~22のカルボン酸アニオンであり、1~2個のカルボニル基を有する炭素数3~7の飽和カルボニルカルボン酸アニオンが好ましい。中でも、CH3((CH2pCO(CH2q)COO-(p及びqは0~2の整数を示す。)で表わされる飽和カルボニルカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、ピルビン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0053】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記飽和カルボニルカルボン酸アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(I)のRは水酸基を2個以上有する炭素数1~10で直鎖状もしくは分岐鎖状のポリヒドロキシアルキル基、nが1~4の整数である。
・式(I)のRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1である。
・式(I)のRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1であり、前記飽和カルボニルカルボン酸アニオンはピルビン酸アニオンである。
【0054】
前記アルキルエーテルカルボン酸アニオンは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル カルボン酸アニオンを含む、分子内にエーテル基を有する炭素数2~22のカルボン酸アニオンであり、1~2個のエーテル基を有する炭素数2~12のアルキルカルボン酸アニオンが好ましい。中でも、CH3(CH2rO(CH2sCOO-(r及びsは0~4の整数を示す。)で表わされるアルキルエーテルカルボン酸アニオン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸、メトキシ酪酸、エトキシ酪酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0055】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記アルキルエーテルカルボン酸アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(II)中、R11は炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、n=1である
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1であり、前記アルキルエーテルカルボン酸アニオンはメトキシ酢酸アニオンである。
【0056】
前記ハロゲンカルボン酸アニオンとしては、炭素数2~22のハロゲンカルボン酸アニオンが好ましい。具体的には、例えば、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ペンタクロロプロピオン酸、ペンタブロモプロピオン酸、パーフルオロノナン酸、パークロロノナン酸、パーブロモノナン酸等のフッ素置換のハロゲンカルボン酸等からプロトンが解離したアニオンが挙げられる。
【0057】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記ハロゲンカルボン酸アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(I)のRは炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは炭素数1~6の直鎖状モノヒドロキシアルキル基、n=1~4の整数である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1である。
・式(II)中、R11は炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(II)中、R11は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1-ヒドロキシエチル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-エチルプロパン-2-イル基、n=1又はRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1であり、前記ハロゲンカルボン酸アニオンはトリフルオロ酢酸アニオンである。
【0058】
前記ハロゲン化物アニオンとしては、特に限定されないが、例えば、クロリドイオン、ブロミドイオン、ヨードイオン等が挙げられる。
【0059】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記ハロゲン化物アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1であり、前記ハロゲン化物アニオンはブロミドイオンである。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1であり、前記ハロゲン化物アニオンはクロリドイオンである。
【0060】
前記硫黄系アニオンとしては、硫酸アニオン、亜硫酸アニオン、スルホナートアニオン、水素スルホナートアニオン、アルキルスルホナートアニオン(例えば、メタンスルホナート、エチルスルホナート、ブチルスルホナート、ベンゼンスルホナート、p-トルエンスルホナート、2,4,6-トリメチルベンゼンスルホナート、スチレンスルホナート、3-スルホプロピルメタクリレートアニオン、3-スルホプロピルアクリレート等)、スルファートアニオン、水素スルファートアニオン、アルキルスルファートアニオン(例えば、メチルスルファートアニオン、エチルスルファートアニオン、ブチルスルファートアニオン、オクチルスルファートアニオン、2-(2-メトキシエトキシ)エチルスルファートアニオン等)等が挙げられる。
【0061】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記硫黄系アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(II)中、R11は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは水酸基を2個以上有する炭素数1~10で直鎖状もしくは分岐鎖状のポリヒドロキシアルキル基、nが1~4の整数である。
・式(I)のRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1又はRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1であり、前記硫黄系アニオンは硫酸アニオンである。
【0062】
前記フッ素系アニオンとしては、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドアニオン(例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)イミドアニオン、ビス(ノナフルオロブチルスルホニル)イミド等)、パーフルオロアルキルスルホナートアニオン(例えば、トリフルオロメタンスルホナートアニオン、ペンタフルオロエタンスルホナートアニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホナートアニオン、ノナフラートアニオン、パーフルオロオクタンスルホーナートアニオン等)、フルオロホスファートアニオン(例えば、ヘキサフルオロホスファートアニオン、トリ(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスファートアニオン等)、トリス(パーフルオロアルキルスルホニル)メチドアニオン(例えば、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(ペンタフルオロエタンスルホニル)メチドアニオン、トリス(ヘプタフルオロプロパンスルホニル)メチドアニオン、トリス(ノナフルオロブタンスルホニル)メチドアニオン等)、フルオロハイドロジェネートアニオン等が挙げられる。
【0063】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記フッ素系アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(II)中、R11は水素原子、炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、又は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1である。
【0064】
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1であり、前記フッ素系アニオンはビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドアニオンである。
【0065】
前記ホウ素系アニオンとしては、特に限定されないが、例えば、テトラフルオロボレートアニオン、ビスオキサレートボラートアニオン、テトラフェニルボレートアニオンのようなテトラアルキルボレートアニオン等が挙げられる。
【0066】
前記窒素酸化物系アニオンとしては、特に限定されないが、例えば、硝酸アニオン、亜硝酸アニオンが挙げられる。
【0067】
前記リン系アニオンとしては、ホスファートアニオン、水素ホスファートアニオン、二水素ホスファートアニオン、ホスホナートアニオン、水素ホスホナートアニオン、二水素ホスホナートアニオン、ホスフィナートアニオン、水素ホスフィナートアニオン、アルキルホスファートアニオン(例えば、ジメチルホスファート、ジエチルホスファート、ジプロピルホスファートアニオン、ジブチルホスファートアニオン等)、アルキルホスホナートアニオン(例えば、メチルホスホナートアニオン、エチルホスホナートアニオン、プロピルホスホナートアニオン、ブチルホスホナートアニオン、メチルメチルホスホナートアニオン等)、アルキルホスフィナートアニオン、ヘキサアルキルホスファートアニオン等が挙げられる。
【0068】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記リン系アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(II)中、R11は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは水酸基を2個以上有する炭素数1~10で直鎖状もしくは分岐鎖状のポリヒドロキシアルキル基、nが1~4の整数である。
・式(I)のRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1である。
【0069】
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1又はRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1であり、前記リン系アニオンは二水素ホスファートアニオンである。
【0070】
前記シアン系アニオンとしては、特に限定されないが、例えば、テトラシアノボレートアニオン、ジシアナミドアニオン、チオシアネートアニオン、イソチオシアネートアニオン等が挙げられる。
【0071】
有機アンモニウム塩のアニオンが前記シアン系アニオンである場合、式(I)の化合物の一例を挙げると次のとおりである。
・式(II)中、R11は水素原子、炭素数1~4の直鎖状のアルキル基、又は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(II)中、R11は炭素数1~4の直鎖状のモノヒドロキシアルキル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1である。
・式(I)のRは水酸基を2個以上有する炭素数1~10で直鎖状もしくは分岐鎖状のポリヒドロキシアルキル基、nが1~4の整数である。
・式(I)のRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1である。
・式(I)のRは1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イル基、n=1、Rは1,3-ジヒドロキシ-2-ヒドロキシメチルプロパン-2-イル基、n=1又はRはペンタヒドロキシヘキサン-1-イル基、n=1であり、前記シアン系アニオンはジシアナミドアニオンである。
【0072】
本発明の有機アンモニウム塩のアニオンのうち、カルボン酸アニオン、ハロゲン化物アニオン、硫黄系アニオン、フッ素系アニオン、窒素酸化物系アニオン、リン系アニオン、シアン系アニオンは好ましい態様であり、特に安全性の観点からカルボン酸アニオンが好ましく、その中でも飽和脂肪族モノカルボン酸アニオン、脂環式カルボン酸アニオン、不飽和脂肪族モノカルボン酸アニオン、飽和ヒドロキシカルボン酸アニオン、飽和ジカルボン酸アニオン、不飽和ジカルボン酸アニオン、飽和ヒドロキシジ又はトリカルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、飽和カルボニルカルボン酸アニオン、アルキルエーテルカルボン酸アニオン、ハロゲンカルボン酸アニオンは好ましい態様である。
本発明の有機アンモニウム塩は、特に限定されないが、例えば、次のようにして合成することができる。
【0073】
式(I)のRに対応するヒドロキシ基を1個以上有するアルカノールアミン、カルボキシ基を1個以上有するアミノ酸、ヒドロキシ基及びカルボキシ基を各々1個以上有するアミノヒドロキシアルカン酸と、アニオンに対応する有機酸もしくは無機酸を、水や有機溶媒等の溶剤中で反応させる。又は、式(I)のRに対応するヒドロキシ基を1個以上有するアルカノールアミン、カルボキシ基を1個以上有するアミノ酸、ヒドロキシ基及びカルボキシ基を各々1個以上有するアミノヒドロキシアルカン酸と、アルキレンハロヒドリン、モノハロアルキルカルボン酸、モノハロヒドロキシアルキルカルボン酸等の有機ハロゲン化合物とを溶剤中で反応させ、得られた化合物と、目的の化合物のアニオンに対応する有機酸もしくは無機酸とを水や有機溶媒等の溶剤中で反応させる。
【0074】
式(I)のアンモニウムカチオンに対応するアルカノールアミン(例えば、モノ、ジ、トリアルカノールアミン、2-アミノ-1,3-プロパンジオ-ル、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、D-グルカミン等)又はカルボキシアルキル基で構成されているアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸等)又は水酸基及びカルボキシ基を各々1個以上有するアミノヒドロキシアルカン酸(例えば、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピオン酸等)とアニオンに対応する有機酸もしくは無機酸を、水やアセトニトリル等の極性溶剤中で反応させる。反応温度と反応時間は原料の種類等にもよるが、例えば、室温下、1時間~1日程度で行うことができる。その後、溶剤を減圧留去し、必要に応じて精製することにより、目的の有機アンモニウム塩を固体状物として得ることができる。また等モルで反応させ、反応が完結した場合は精製工程も必要がなく、更に製造工程が簡素化できる。
【0075】
また、式(I)のRがヒドロキシカルボキシアルキル基及び、ヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基で構成され、水素原子を有さない(nが4)化合物は、例えば、次のようにして合成することもできる。
【0076】
最初の工程として、式(I)のアンモニウムカチオンの構造に対応させるべく、水酸基及びカルボキシ基を各々1個以上有するアミノヒドロキシアルカン酸(例えば、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピオン酸等)と水酸基を2個以上有するヒドロキシアルキルハライド又はカルボキシ基を2個以上有するハロアルキルカルボン酸とを水やアセトニトリル等の極性溶媒中で反応させる。反応温度と反応時間は原料の種類等にもよるが、例えば、室温下、1日程度で行うことができる。その後、反応物を洗浄し、式(I)のアンモニウムカチオンとハロゲン化物イオンからなる化合物を得ることができる。更にハロゲン化物イオンから目的のアニオンにする場合はアニオン交換を行う。アニオン交換を行う際には、例えば、得られた化合物と、目的の化合物のアニオンに対応する有機酸もしくは無機酸とを水中で反応させる。反応温度と反応時間は原料の種類等にもよるが、例えば、室温下、1日程度で行うことができる。あるいは、強塩基性イオン交換樹脂等を用いて、水酸化物アニオンにアニオン交換した後に、更に目的の化合物のアニオンに対応する有機酸もしくは無機酸とアニオン交換することで目的の有機アンモニウム塩を得ることができる。
【0077】
本発明の有機アンモニウム塩は、25℃で固体状である。ここで固体状とは、結晶性、非晶性のものを含み25℃で流動しない状態である。有機アンモニウム塩の純度に起因して融点(凝固点)が変化する場合があるが、従来の技術常識を考慮して式(I)の化合物を合成した25℃で固体状ものを包含する。有機アンモニウム塩の純度については、精製方法、生成物におけるアニオンとカチオンのモル比によって変化し得るが、有機アンモニウム塩の融点(凝固点)については、本願実施例に記載のように合成し、さらに精製を行った化合物は、IRスペクトル、NMRスペクトルの結果より高純度であり、化合物自体により一義的に定まる融点を持つため、本願実施例の結果が参照される。本発明の有機アンモニウム塩は、無水状態(無水物)であってもよく、空気中の水分を吸収した水和物であってもよい。水和物とは、化合物を空気中25℃で放置した時、吸水し、その水分率が飽和状態となった化合物をいう。空気中25℃で放置した時、吸水しない化合物は、水和物が無く、無水物である。
【0078】
アンモニウムカチオンの官能基や特性基及びアニオンの選択により、本発明の有機アンモニウム塩は、25℃で固体状であり、広義において融点100℃以下の有機塩であるイオン液体を包含する。高温領域で反応する際、イオン液体は構造的特徴から不揮発性であり、分解温度も高く、例えば、溶媒としての水より高温の100℃以上でも反応が可能で反応温度の適用範囲を拡張でき、引火性、可燃性が非常に低いため、利便性が高い。
【0079】
本発明の有機アンモニウム塩は、カチオンのヒドロキシ基、カルボキシ基、窒素に結合した水素原子と相互作用する水素結合性官能基又は水素結合受容性の元素を有する水素結合性材料との親和性が高く、水素結合、配位結合、イオン結合し得る水素結合性材料との親和性が求められる様々な用途に使用できる。
【0080】
本発明の有機アンモニウム塩のヒドロキシ基、カルボキシ基の水素、窒素に結合した水素は、対象とする化合物、材料の、特に限定されないが、例えば、15~17族などの孤立電子対を持つ元素、π電子系化合物と、又は、本発明の有機アンモニウム塩のヒドロキシ基、カルボキシ基の酸素原子は、対象とする化合物、材料の水素原子と水素結合を形成するため、水素結合性官能基を有する化合物、材料との親和性に優れる。
【0081】
また、本発明の有機アンモニウム塩はヒドロキシ基及び/又はカルボキシ基を有する有機塩のため、金属やイオン性の化合物、材料と配位性の相互作用や静電的な相互作用により親和性に優れる。金属としては、特に限定されないが、例えば、第2属~第14属の元素等が挙げられる。
【0082】
水素結合性官能基としては、例えば、炭素-炭素不飽和結合基、酸素含有基、窒素含有基、硫黄含有基、リン含有基、窒素に直接結合した水素原子等が挙げられる。
炭素―炭素不飽和結合基としては、特に限定されないが、例えば、ビニル基、ビニレン基、エチニル基、不飽和環状炭化水素基等が挙げられる。
【0083】
酸素含有基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、カルボニル基、エーテル基、エステル基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボキシレート基、尿素基、ウレタン基、アミド基、オキサゾール基、モルホリン基、カルバミン酸基、カルバメート基等が挙げられる。
【0084】
窒素含有基としては、特に限定されないが、例えば、アミノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0085】
硫黄含有基としては、特に限定されないが、例えば、硫酸基(-O-S(=O)2O-)、スルホニル基(-S(=O)2O-)、スルホン酸基(-S(=O)2-)、メルカプト基(-SH)、チオエーテル基(-S-)、チオカルボニル基(-C(=S)-)、チオ尿素基(-NC(=S)-N-)、チオカルボキシル基(-C(=S)OH)、チオカルボキシレート基(-C(=S)O-)、ジチオカルボキシル基(-C(=S)SH)、ジチオカルボキシレート基(-C(=S)S-)等が挙げられる。
【0086】
リン含有基としては、特に限定されないが、例えば、リン酸基(-O-P(=O)(-O-)-O-)、ホスホン酸基(-P(=O)(-O-)-O-)、ホスフィン酸基(-P(=O)-O-)、亜リン酸基(-O-P(-O-)-O-)、亜ホスホン酸基(-P(-O-)-O-)、亜ホスフィン酸基(-P-O-)ピロホスフェート基[(-O-P(=O)(-O-))2―O-]等が挙げられる。
【0087】
水素結合受容性の元素を有する水素結合性材料としては、例えば、分子や官能基の構成元素として水素結合受容性の元素やその酸化物等を有する化合物を含む材料、これらの元素やその酸化物を含む官能基で表面修飾された材料等が挙げられる。
【0088】
本発明の有機アンモニウム塩は、カチオンに水素結合性官能基のヒドロキシ基、カルボキシ基、窒素原子に結合した水素原子のいずれかを有するため、水素結合性材料との親和性に優れる。更に、有機アンモニウム塩のアニオンにも水素結合性官能基を有すると、水素結合性材料との親和性がより優れる。
水素結合性材料としては、特に限定されないが、生体試料や、有機又は無機化合物の材料等が挙げられる。
【0089】
生体試料としては、例えば、酵素等の生体触媒、ペプチド、タンパク質、核酸、セルロース等の難溶性多糖類、細胞、細胞組織液、細胞膜、血液、生体組織、抗体・抗原等が挙げられる。
【0090】
有機化合物の材料としては、上記の水素結合性官能基を有する化合物が挙げられ、特に限定されないが、例えば、有機樹脂、有機顔料、有機染料、有機蛍光色素等が挙げられる。有機樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が挙げられる。有機顔料としては、例えば、特に限定されないが、アゾ系、ジアゾ系、縮合アゾ系、チオインジゴ系、インダスロン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ベンゾイミダゾロン系、ペニレン系、フタロシアニン系、アントラピリジン系、及びジオキサジン系等が挙げられる。有機蛍光色素としては、特に限定されないが、例えば、ローダミン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、芳香族炭化水素系色素、オキサジン系色素、カルボピロニン系色素、ピロメセン系色素等が挙げられる。有機染料としては、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料等が挙げられる。ソルベント染料の具体例としては、例えば、バリファストブラック3806、バリファストブラック3807、バリファストブラック3830、スピリットブラックSB、スピロンブラックGMH、バリファストレッド1320、バリファストレッド1308、バリファストイエローAUM、スピロンイエローC2GH、スピロンバイオレットCRH、バリファストバイオレット1701、スピロンレッドCGH、スピロンピンクBH、ニグロシンベースEX、オイルブルー613、ネオザポンブルー808、バリファストブルー1621等が挙げられる。
【0091】
無機化合物の材料としては、特に限定されないが、例えば、金属、金属酸化物、希土類金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、窒化物、チタン酸化合物、炭素類等が挙げられる。金属としては、特に限定されないが、例えば、第2属~第14属の元素等が挙げられ、例えば、鉄、アルミニウム、クロム、ニッケル、コバルト、亜鉛、タングステン、インジウム、錫、パラジウム、ジルコニウム、チタン、銅、銀、金、白金等が挙げられる。金属酸化物は、本発明の有機アンモニウム塩と良好に水素結合を形成するため好ましく使用できる。金属酸化物としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、酸化アルミニウム(アルミナ)、ジルコニア、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化インジウムスズ(ITO)、コバルトブルー(CoO・Al23)、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化セシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化タングステン、酸化バナジウム、酸化カドミウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化セリウム、酸化銅、酸化鉄、酸化インジウム、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化トリウム、酸化インジウムスズ、フェライト等が挙げられる。希土類金属酸化物としては、例えば、酸化ジスプロシウム、酸化エルビウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化ホルミウム、酸化ランタン、酸化ルテチウム、酸化ネオジム、酸化プラセオジウム、酸化サマリウム、酸化スカンジウム、酸化テルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム等が挙げられる。水酸化物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化鉄等が挙げられる。炭酸塩としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト等が挙げられる。硫酸塩としては、例えば、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム等が挙げられる。ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸カルシウム、ウォラストナイト、ゾノトライト、カオリン、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、ドロマイト、ハイドロタルサイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン等が挙げられる。窒化物としては、例えば、窒化アルミ、窒化ホウ素、窒化ケイ素等が挙げられる。チタン酸化合物としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。炭素類としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、活性炭、竹炭、木炭、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、フラーレン等が挙げられる。
【0092】
(水素結合性材料処理剤)
本発明の有機アンモニウム塩は、有機、無機の水素結合性材料処理剤として使用することができる。例えば、水素結合性材料の分散媒や、生体試料保存材料、タンパク質リフォールディング剤等の生体試料処理剤、防曇剤、調湿剤等の水分調整剤、無機及び有機材料の分散剤等の表面処理剤、電解質材料、導電性材料、燃料電池等の電子材料、帯電防止剤等の樹脂添加剤、医薬品、化粧品、香粧品、抗菌剤、除菌剤、消臭剤等のライフサイエンス素材、反応助剤、熱媒体、接着剤、防曇剤、吸着剤、断熱剤、ポリマー基材等の工業素材、農業用徐放剤等の農業用素材等への利用が期待される。
【0093】
本発明の水素結合性材料処理剤は、以上に説明した本発明の有機アンモニウム塩を含む。ここで「含む」とは、本発明の有機アンモニウム塩からなるものを主な対象としているが、その他、使用目的に応じて許容し得る他の任意成分を混合したものであってもよい。他の任意成分としては、特に限定されないが、例えば、水、有機溶媒等の溶媒、分散媒が挙げられ、それらの溶液、分散液として使用することができる。溶媒、分散媒の中でも、本発明の有機アンモニウム塩と親和性の高い水、アルコール等が好ましく使用できる。
【0094】
本発明の有機アンモニウム塩は、水素結合性材料を水又は溶媒と混合した溶液、分散液として水素結合性材料を安定に保存、分散できる。上記の溶液、分散液から水又は溶媒を除去して固体状組成物とした後に、再度溶媒を加えて溶液、分散液とした場合も安定して保存、溶解、分散が可能である。
【0095】
本発明の有機アンモニウム塩を含む水素結合性材料処理剤と水素結合性材料及び溶媒を混合し、溶液、分散液とし、次いで溶媒を除去すると、水素結合性処理剤中に均一に水素結合性材料が混合した固体状組成物が得られる。これは固体状で水素結合性材料を保管する上で有用である。さらに、固体状組成物に溶媒を加えると、再度水素結合性材料が均一に溶解又は分散した溶液、分散液が得られ、固体状とした後に再度均一に溶解、分散させる方法として有用である。
【0096】
(生体試料処理剤)
生体試料処理剤は、上記水素結合性材料処理剤のうち、生体試料を処理するものであり、上記のとおり生体試料保存材料、タンパク質リフォールディング剤、バイオセンサーの安定化剤、生体試料の表面処理剤、生体試料の改質剤、毛髪処理剤、スキンケア剤等が挙げられる。
【0097】
以下においては、水素結合性材料処理剤、特に生体試料処理剤について主に説明するが、水素結合性材料処理剤についての説明も含めており、生体試料の詳細や、対象とする水素結合性材料への親和性や水素結合性官能基との相互作用に基づく各種の処理剤への本発明の有機アンモニウム塩による効果についても、以下の記述が参照される。
【0098】
本発明の水素結合性材料処理剤は、生体試料処理剤として使用でき、例えば、生体試料の立体構造の保持、生体試料の活性化、生体試料の活性保持、活性を保持した状態での長期保存等に使用できる。このため、例えば、タンパク質のリフォールディング、酵素の活性保持、生体試料の立体構造を保持した状態での保存等に有用である。
【0099】
本発明の生体試料処理剤は、以上に説明した本発明の有機アンモニウム塩を含む。ここで「含む」とは、本発明の有機アンモニウム塩からなるものを主な対象としているが、その他、生体試料の処理に際して許容し得る他の任意成分を混合したものであってもよい。
【0100】
生体試料としては、例えば、酵素等の生体触媒、ペプチド、タンパク質、核酸、セルロース等の難溶性多糖類、細胞、細胞組織液、細胞膜、血液、生体組織、抗体・抗原等が挙げられる。その中でも、生体触媒、タンパク質、核酸が好ましい。
【0101】
生体試料のうち、生体触媒とは、生化学反応の触媒であり、本発明における生体触媒とは、生物由来の微生物や動植物細胞、組織及びそれら生物由来の酵素、更には、酵素の機能を持つ人工化合物や、天然にある酵素や生体分子に人工的な改変を加えて新しい性能を持たせた人工酵素などが含まれる。
【0102】
酵素は、アミノ酸が一次元的に結合して一次構造をとるが、そのアミノ酸の配列状態と数によって、二次元以上の構造が決定される。これらの構造が各酵素特有な性質を決めている。
【0103】
一次構造は、20種のアミノ酸がペプチド結合により一次元に配列している。多くの酵素はアミノ酸が100~300個で構成され、アミノ酸の配列順序は、酵素の特性を決定させる一つの情報である。二次構造は、一次元配列全体の中である部分(複数)がαヘリックス、βシート、βターンなどの高次の規則的な構造をもつ。三次構造は、一次、二次構造が三次元的な立体構造をとる。この立体構造が酵素の反応触媒としての場である活性中心や、親水性部分・疎水性部分からなるアミノ酸残基の三次元構造などを決定し、一般的なタンパク質(構造タンパク質、輸送タンパク質、貯蔵タンパク質、収縮タンパク質、防御タンパク質、ホルモンタンパク質)にはない酵素等の生体触媒が持つ特異的な基質特異性、反応特異性を有する化学反応を発現する。四次構造は、三次元構造をとった酵素の複数分子からなる会合体である。つまり、酵素等の生体触媒は、タンパク質が持つ基質特異性に加えて、一次から四次構造による反応特異性を持ち、触媒反応に対する活性を保持するためには、一次、二次構造だけではなく三次、四次構造も保持することが重要である。
【0104】
本発明において適用可能な酵素としては、例えば、酸化還元酵素(オキシドレダクターゼ)、転移酵素(トランスフェラーゼ)、加水分解酵素(ハイドロラーゼ)、脱離酵素(リアーゼ)、異性化酵素(イソメラーゼ)、合成酵素(リガーゼ)等が挙げられる。
【0105】
酸化還元酵素としては、例えば、グルコースオキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、フルクトースデヒドロゲナーゼ、グルコン酸デヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、アミンデヒドロゲナーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、p-クレゾールメチルヒドロキシラーゼ、ヒスタミンデヒドロゲナーゼ、フマル酸リダクターゼ、硝酸レダクターゼ、ヒ酸レダクターゼ、亜硫酸レダクターゼ、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、シトクロムP450等が挙げられる。
【0106】
転移酵素としては、例えば、クエン酸シンターゼ、メチルトランスフェラーゼ、ホスホトランスフェラーゼ、グリシンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、トランスケトラーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、ヘキソキナーゼ、グリセロールキナーゼ、クレアチンキナーゼ、トランスアミナーゼ、トランスアシラーゼ等が挙げられる。
【0107】
加水分解酵素としては、例えば、カルボキシルエステラーゼ、アセチルCoAヒドロラーゼ、アルカリホスファターゼ、ホスホリパーゼ、アリールスルファターゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、DNAグリコシラーゼ、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、ウレアーゼ、セリンプロテアーゼ、リパーゼ等が挙げられる。
【0108】
脱離酵素としては、例えば、アルギン酸リアーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホケトケトラーゼ、クエン酸リアーゼ、ホスホピルビン酸ヒドラターゼ、トリプトファンシンターゼ、ペクチンリアーゼ、アスパラギン酸アンモニアリアーゼ、システインリアーゼ、アデニル酸シクラーゼ、フェロキラターゼ等が挙げられる。
【0109】
異性化酵素としては、例えば、アミノ酸ラセマーゼ、酒石酸エピメラーゼ、グルコース-6-リン酸1-エピメラーゼ、マレイン酸イソメラーゼ、フェニルピルビン酸タウトメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、ホスホマンノムターゼ、チロシン-2、3-アミノムターゼ等が挙げられる。
【0110】
合成酵素としては、例えば、チロシンtRNAリガーゼ、アセチルCoAシンセターゼ、アスパラギンシンテターゼ、GMP合成酵素、ピルビン酸カルボキシラーゼ、DNAリガーゼ等が挙げられる。
【0111】
本発明において適用可能な微生物としては、例えば、原核生物(細菌、放線菌、古細菌)、真核生物(カビ、酵母、キノコ、藻類、原生動物)等が挙げられる。動植物細胞としては、例えば、動物細胞、植物細胞、動物培養細胞、植物培養細胞等が挙げられる。
動植物由来の組織としては、例えば、動物組織、植物組織等が挙げられる。
【0112】
酵素、酵母などの生体触媒は、温度、pH、溶媒又は分子間の静電気的な斥力等の影響により、分子の立体構造が壊れやすく、活性すなわち触媒能力が低下するものが多い。そのため、生体触媒の長期保存方法としては、粉体状態での凍結乾燥法や、低濃度、極低温度条件下で溶液に溶解して保存する凍結保存法が知られているが、凍結保存法の場合、特殊な装置が必要となるとともに、凍結した溶液を溶解して使用する際、生体触媒の構造が変化し活性が低下してしまうことが多く、更に、保存濃度が低く、効率的な保存が困難である。
【0113】
酵素の親和性を高めるためには、様々な要素を配慮する必要がある。例えば、酵素分子が持つ電荷で発生する斥力(クーロン相互作用)による酵素分子間の相互作用を塩等の添加で抑制し、単位体積中に、より多くの酵素分子を存在させること、また、酵素表面に多く存在する水酸基、カルボニル基、アミノ基等のアミノ酸残基と保存用材料との親和性を高めることが重要である。
【0114】
アニオン、カチオンとの塩構造からなる有機アンモニウムは、酵素同士の分子間相互作用を抑制できるため、酵素の親和性を高めることが期待されるが、従来知られているイミダゾリウム系、テトラアルキルアンモニウム系の有機アンモニウム塩は、酵素表面との親和性が低い。一方で、酵素表面の水酸基、カルボニル基、アミノ基等のアミノ酸残基と親和性がある水酸基を持つグリセリン、プロピレングリコール、グルコース、トレハロース等の多価アルコール系等の化合物は、酵素の分子間相互作用を抑制する効果が低く、酵素に対する親和性が低い。更に、水酸基を持つイミダゾリム系の有機アンモニウム塩は、剛直な環構造を持つため、酵素に対する親和性が低い。
【0115】
これらに対して本発明の生体試料処理剤に使用される有機アンモニウム塩は、カチオン又はカチオンとアニオンの両方に水素結合性官能基を有する有機アンモニウム塩であるため、酵素の分子間相互作用を抑制することができ、また、カチオンに水素結合性官能基(水酸基、カルボキシ基、エーテル基、窒素原子に結合した水素)を有し、酵素表面の水酸基、カルボニル基、アミノ基等のアミノ残基との親和性が高く、分子サイズが小さく、柔軟な構造により、高い親和性が得られる。更に、アニオンにも水素結合性官能基を存在させることにより、より親和性を高めることができる。
【0116】
酵素活性の保存性には、酵素の立体構造を保持することが必要となる。一般的に、酵素はアミノ酸残基から発現する基質特異性、反応特異性を持ち、反応触媒として働く。基質特異性は、反応部位の立体構造とアミノ酸残基により、結合する基質の構造を認識、選択して、特定の基質のみ反応することをいう。反応特異性は、酵素が特定の化学反応しか触媒しないことをいい、反応部位の立体構造とアミノ酸残基並びに一部の酵素が持つ金属イオンが関与する。例えば、酸化還元酵素等の酵素内部に存在する金属イオンは、アミノ酸残基と3次元的に錯体形成して触媒作用を発現する。つまり、基質特異性、反応特異性、金属イオン等の失活は、アミノ酸残基の立体構造の崩壊が主要因である。そのため、酵素表面の親水性を発現する水酸基、カルボニル基、アミノ基等のアミノ残基と、活性部位の酵素内部の水酸基、カルボニル基、アミノ基等の親水性のアミノ酸残基及び疎水性官能基を有するアミノ酸残基を保護して、酵素の立体構造を保持することが重要となる。
【0117】
従来、酵素の溶媒として使用されている水・バッファーは、酵素表面の親水性部位との親和性は高いが、基質特異性、反応特異性の発現する上で重要となる酵素内部の疎水性部位の立体構造を保護できず触媒活性を保持できない。安定化剤としてタンパク質であるウシ血清アルブミンの水溶液を用いる場合があるが、BSE等の感染症の懸念があり、医療分野での使用が難しい。グリセリン、プロピレングリコール、グルコース、トレハロース等の多価アルコール系の安定化剤を用いた水溶液は、酵素表面の親水性部位とこれらの多価アルコールの水酸基と、活性点がある酵素内部の親水性並びに疎水性部位にそれぞれ多価アルコールの水酸基と疎水性のアルキル鎖と親和性があり、酵素の立体構造を保持できるが、その保存安定効果は低い。グリシン、リシン等の界面活性剤(アミノ酸)水溶液は、界面活性剤の疎水部位が酵素内部の疎水性領域にある疎水性アミノ酸残基と結合して、その疎水性領域は電荷が発生することで親水性となり、親水性の表面に移動するため、酵素の立体構造が崩れて失活する。更には、有機アンモニウム塩として従来知られている水素結合性官能基を持たないイミダゾリウム系、テトラアルキルアンモニウム系等の有機アンモニウム塩は、酵素表面及び内部の親水性のアミノ残基を保護できないため、酵素に対する親和性が低い。
【0118】
これらに対して本発明の生体試料処理剤に使用される有機アンモニウム塩は、塩を構成するカチオン、アニオンに持つ水素結合性官能基が、酵素表面、内部のアミノ酸残基の水酸基、カルボニル基、アミノ基等のアミノ酸残基と水素結合して保護する。更に、同時に内部の疎水性官能基を有するアミノ酸残基を有機アンモニウム塩中のアルキル鎖の疎水性部位で保護することで、長期間、高濃度の条件下でも、酵素の立体構造を保持して触媒活性を維持することができる。
【0119】
また、本発明の生体試料処理剤に使用される有機アンモニウム塩は、水素結合性官能基(水酸基、カルボキシ基、エーテル基、窒素原子に結合した水素)を有するカチオンとアニオンの組み合わせからなり、その静電作用から水素結合性官能基を有する非イオン性化合物より、酵素の立体構造の保持性が高く、酵素の活性の保持性が高い。
【0120】
また、本発明の生体試料処理剤に使用される有機アンモニウム塩は、分子サイズが小さく且つ柔軟な構造を有しているため、水酸基を含有しても、環状の剛直な構造のイミダゾリウム系有機アンモニウム塩より、本有機アンモニウム塩は複雑な立体構造の内部まで効率よく入り込み、立体的に歪むことなくアミノ酸残基を保護し、酵素の活性の保持性が高い。
【0121】
酸化還元酵素は、基質から水素原子の移動、電子の移動、酸素原子の付加を行うことで、触媒作用を発現する酵素である。その多くは、酵素中の金属イオンの電子移動による価数の変化によって、触媒作用を発現している。
【0122】
転移酵素は、一方の基質から他方の基質へ原子団(官能基)を移動させる反応を触媒する酵素である。反応する基質中に存在する官能基にしか転移反応しないため、基質が適合できるための立体構造を保持することが特に重要となる。
加水分解酵素は、基質と水、酵素のアミノ酸残基中の水酸基等を反応させて、基質中の特定の結合を切断(加水分解)する酵素である。
【0123】
脱離酵素は、基質分子から酸化や加水分解によらず、基質中の炭素-炭素、炭素-酸素などの結合を切断する酵素である。その多くは、金属イオンと基質が反応し、中間体を生成することで基質分子中の結合を切断させる。
異性化酵素は、基質を空間的な配置が異なる立体異性体へ変換させる酵素である。そのため、基質を結合させる酵素中のアミノ酸残基の立体構造が重要となる。
【0124】
合成酵素は、ATPの加水分解エネルギーを利用して、基質と基質を結合させる酵素である。反応はATPと酵素中の特定のアミノ酸残基が結合した中間体を介して、2つの基質を反応させて目的物を生成させる。
【0125】
つまり、いずれの酵素においてもアミノ酸残基、アミノ酸残基の立体構造もしくはアミノ酸残基と3次元的に錯体形成した金属イオンが重要であり、それらが酵素の活性を発現する。本発明の生体触媒用溶媒は、その構造的特徴により、アミノ酸残基もしくは錯体形成した金属イオンを保護して、生体触媒の活性を保持することを可能とする。
【0126】
更に、本発明の生体試料処理剤は、熱(温度)、pH等の種々ある変性要因の中でも熱による変性を抑制することができる。熱によってアミノ酸残基間の水素結合が切断され、立体構造が崩壊して酵素は変性するが、本発明の生体試料処理剤は、酵素内部のアミノ酸残基と有機アンモニウム塩中の水素結合性官能基との間に水素結合のネットワークを形成することにより、より強固に立体構造を保持して、熱変性を抑制する。つまり、本発明の生体試料処理剤は、一般的な酵素保存条件である-20~5℃よりも高い室温の条件(25℃)、酵素が失活する40℃の促進条件においても、高い酵素濃度で長期間に渡り活性を保持し、保存することができる。
【0127】
生体試料のうち、タンパク質としては特に限定されないが、例えば溶液物性の面からは、カルボキシル基を持ったアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸等)を多く含む酸性タンパク質、アミノ基を持ったアミノ酸(リシン、アルギン、ヒスチジン等)を多く含むアルカリ性タンパク質、そのバランスのとれた中性タンパク質が挙げられる。
【0128】
その構成要素からは、アミノ酸のみから構成されている単純タンパク質、アミノ酸以外の成分も含まれて構成されている複合タンパク質が挙げられる。単純タンパク質には、アルブミン、カゼイン、コラーゲン、ケラチン、プロタミン、ヒストン等があり複合タンパク質には、糖タンパク質(黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アビジン、カドヘリン、プロテオグリカン、ムチン等)、リポタンパク質(カイロミクロン、LDL、HDL等)、核タンパク質(ヒストンのタンパク質群やテロメラーゼ、プロタミン等)、色素タンパク質(クロロフィル等)、金属タンパク質(ヘモグロビン、シトクロムC等)、リンタンパク質(牛乳中のカゼイン、卵黄中のビテリン等)等がある。全ての酵素もこれらいずれかのタンパク質である。
【0129】
また、その分子の形状からは、繊維状タンパク質、(ケラチン、コラーゲン等)と球状タンパク質(ヘモグロビン等)、その働きからは、酵素タンパク質(酵素)、構造タンパク質(コラーゲン、ケラチン等)、輸送タンパク質(ヘモグロビン、アルブミン、アポリポタンパク質等)、貯蔵タンパク質(卵白中のオボアルブミン、フェリチン、ヘモシデリン等)、収縮タンパク質(アクチン、ミオシン等)、防御タンパク質(グロブリン等)、調節タンパク質(カルモジュリン等)に分けられる。
【0130】
分子及び分子間構造から一次構造(アミノ酸の配列)、二次構造(α-ヘリックスやβ-構造、ランダムコイル)、三次構造(特定の空間的配置)、四次構造(ヘモグロビン、DNAポリメラーゼ、イオンチャンネル等)を持つものが挙げられる。
【0131】
タンパク質の分子量は、特に限定されないが、4000~300000のものが考慮される。
【0132】
生体試料のうち、核酸としては、DNA、RNA等が挙げられる。これらの核酸は、水中ではその分解酵素によって容易に加水分解を受けることが知られており、溶媒に水を使用する場合にはこれらの保存に際して分解酵素を除去した水中に溶存させる必要があるが、本発明の生体試料処理剤を核酸の保存に使用し、核酸含有溶液とした状態で保存することで、核酸分解酵素が失活する環境下で核酸を保存することができ、また不揮発性で熱安定性も高いことから、簡便に核酸の長期安定保存が可能となる。
【0133】
以上のような点から、本発明の有機アンモニウム塩を生体試料処理剤に使用する場合、有機アンモニウム塩は、アニオンに水素結合性官能基を有すること、すなわちカチオンとアニオンの両方に水素結合性官能基を有する有機アンモニウム塩が特に好ましく、アニオンの官能基としては酸素含有基、窒素含有基、硫黄含有基、リン含有基等の水素結合可能な基が含まれ、上記のカルボン酸アニオン、硫黄系アニオン、リン系アニオン、シアン系アニオン、窒素酸化物系アニオンが好ましい。
【0134】
アニオンに有する水素結合性官能基としては、例えば、水酸基、カルボニル基、カルボキシ基、カルボキシレート基、スルホニル基、硫酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基が好ましく、中でも水酸基、カルボキシ基、カルボキシレート基、スルホニル基、リン酸基がより好ましい。
【0135】
本発明の生体試料処理剤に使用する有機アンモニウム塩は、上述の通り25℃で固体状であり、カチオン又はカチオンとアニオンの両方に水素結合性官能基を有するため、生体試料との親和性が高く、生体試料の保存に優れる。25℃で液体の有機アンモニウム塩に生体試料を溶解、分散させ保存する場合は生体試料の溶解度、均一な分散安定性の制限を受けるが、25℃で固体状であるとより高濃度に生体試料を混合させることができ、高濃度で保存することが可能となる。さらに、本発明の生体試料処理剤は、生体試料を高温環境下でも長期間保存することが可能であり、例えば、高温で長期間、タンパク質、核酸、酵素の構造を保持したまま保存することができ、酵素の活性を保持することができる。
【0136】
本発明の水素結合性材料処理剤は、例えば、カルボニル基やエーテル基を持つ酵素、ペプチド、タンパク質、核酸やセルロース等の難溶性多糖類等の生体試料の水素結合受容性官能基との間に水素結合を形成し、生体試料の複雑に絡み合った構造中に有機アンモニウム塩が入り込み、生体分子構造を解きほぐし、生体高分子間の相互作用を軽減化させることができるため、不活性な変性状態のタンパク質を活性状態にすることが可能となり、タンパク質リフォールディング剤として有用である。
【0137】
タンパク質リフォールディングとは、不溶化したか又は高次構造を失ったタンパク質から、天然状態(活性化した状態)の高次構造のタンパク質に回復させることである。例えば、上記の本発明の有機アンモニウム塩を含むリフォールディング溶液に直接、不溶化したか又は高次構造を失ったタンパク質を必要に応じて変性剤を添加して可溶化、リフォールディングする。又は、不溶化したか又は高次構造を失ったタンパク質を必要に応じて変性剤を添加して、一般的なタンパク可溶化剤によって可溶化し、その可溶化液を、上記の本発明の有機アンモニウム塩を含むリフォールディング溶液に溶解させてタンパク質に高次構造を回復させることにより、活性なタンパク質を得る。
【0138】
本発明の生体試料溶液は、本発明の生体試料処理剤、生体試料及び溶媒を含む。生体試料としては、生体触媒、タンパク質又は核酸が好ましい。生体試料溶液として使用する際、本発明の有機アンモニウム塩は、その構造上の特徴から高親水性で、生体試料に対して親和性が高いため、本発明の有機アンモニウム塩を単独で固体状態として用いる他、上記のとおり水や極性溶媒等の他の溶媒成分と混合して溶液又は分散液として使用することが可能である。また、添加剤を加えて使用することもできる。
【0139】
生体試料溶液は、例えば、活性化させた生体試料を含む溶液および活性状態を保持したまま保存する溶液を含む。
【0140】
活性化させた生体試料である生体触媒の保存期間は、生体触媒の種類等にもよるが、例えば30日以上、更には60日以上とすることができる。
【0141】
生体触媒の保存温度については、本発明の生体触媒溶液は、高温多湿のような過酷な条件において保存が可能となり、例えば40℃以下の範囲において、液状で長期間活性を保持したまま生体触媒を保存することができる。
【実施例
【0142】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1~6に示す実施例1~108の化合物を以下のように合成した。
<実施例1>化合物1の合成
下記式で表される化合物を合成した。
【0143】
【化3】
トリエタノールアミン(19.11g、0.128mol)と蟻酸(5.89g、0.128mmol)を水100mL中で、室温下、3時間反応後、水を減圧留去し、淡黄色固体を得た。得られた固体を洗浄することにより、白色固体の化合物1(トリエタノールアミン蟻酸塩)を得た。
FT-IR(KBr):3360cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.31(t, 6H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.85 (t, 6H, N+CH2CH 2 OH), δ 8.36 (s, 1H,HCOO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 55.4 (N+ CH2CH2OH), δ 55.6 (N+CH2 CH2OH),δ 171.0 (HCOO-).
【0144】
<実施例2~87>
表1~5に示した実施例2~87の化合物2~87を、実施例1と同様の合成方法と、表7~9に記載した配合モル比にて合成した。物性値を下記に示す。
<実施例2>化合物2の合成
【0145】
【化4】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動1543cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 1.84 (s, 3H, CH 3 COO-), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 23.3 (CH3COO-), δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 181.4 (CH3 COO-).
<実施例3>化合物3の合成
【0146】
【化5】
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 1.84 (s, 3H, CH 3 COO-), δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 23.3 (CH3COO-), δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 181.4 (CH3 COO-).
<実施例4>化合物4の合成
【0147】
【化6】
FT-IR(KBr):3375cm-1:O-H伸縮振動 2955cm-1:C-H伸縮振動 1576cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.80 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.44 (m, 2H, CH3CH 2 ), δ 2.06 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.32-3.38 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.61-3.77 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.2 (CH3CH2), δ 19.3 (CH3 CH2), δ 39.6 (CH2COO-), δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 184.1 (CH2 COO-).
<実施例5>化合物5の合成
【0148】
【化7】
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.80 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.44 (m, 2H, CH3CH 2 ), δ 2.06 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.2 (CH3CH2), δ 19.3 (CH3 CH2), δ 39.6 (CH2COO-), δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 184.1 (CH2 COO-).
<実施例6>化合物6の合成
【0149】
【化8】
FT-IR(KBr):3167cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動 1573cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.80 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.44 (m, 2H, CH3CH 2 ), δ 2.06 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 2.94-3.13 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH3 +), δ 3.51-3.72 (m, 5H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +),δ 3.89-3.96 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.2 (CH3CH2), δ 19.3 (CH3 CH2), δ 39.6 (CH2COO-), δ 41.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +),δ 62.6 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 68.9-70.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +), δ 184.1 (CH2 COO-).
<実施例7>化合物7の合成
【0150】
【化9】
FT-IR(KBr):3177cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1563cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.80 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.17 (m, 4H, CH3CH 2 CH 2 ), δ 1.44 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.04 (m, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.77 (m, 2H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.3 (CH3CH2), δ 21.8 (CH3 CH2), δ 25.5 (CH3CH2 CH2), δ 31.0 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 41.2 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 184.2 (CH2 COO-).
<実施例8>化合物8の合成
【0151】
【化10】
FT-IR(KBr):3375cm-1:O-H伸縮振動 2955cm-1:C-H伸縮振動 1576cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.80 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.17 (m, 4H, CH3CH 2 CH 2 ), δ 1.44 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.32-3.38 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.61-3.77 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz): 13.3 (CH3CH2), δ 21.8 (CH3 CH2), δ 25.5 (CH3CH2 CH2), δ 31.0 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 184.2 (CH2 COO-).
<実施例9>化合物9の合成
【0152】
【化11】
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.80 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.17 (m, 4H, CH3CH 2 CH 2 ), δ 1.44 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.3 (CH3CH2), δ 21.8 (CH3 CH2), δ 25.5 (CH3CH2 CH2), δ 31.0 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 184.2 (CH2 COO-).
<実施例10>化合物10の合成
【0153】
【化12】
FT-IR(KBr):3167cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動 1573cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.80 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.17 (m, 4H, CH3CH 2 CH 2 ), δ 1.44 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 2.94-3.13 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH3 +), δ 3.51-3.72 (m, 5H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +),δ 3.89-3.96 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.3 (CH3CH2), δ 21.8 (CH3 CH2), δ 25.5 (CH3CH2 CH2), δ 31.0 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 41.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +),δ 62.6 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 68.9-70.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +), δ 184.2 (CH2 COO-).
<実施例11>化合物11の合成
【0154】
【化13】
FT-IR(KBr):3177cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1563cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 8H, CH3(CH 2 )4), δ 1.48 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.09 (m, 2H, CH 2 COO-), δ 3.04 (m, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.77 (m, 2H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.4 (CH3CH2), δ 22.0 (CH3 CH2CH2), δ 25.9 (CH3CH2 CH2), δ 28.3 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.7 (CH2CH2CH2COO-), δ 31.0 (CH2CH2COO-), δ 37.7 (CH2COO-), δ 41.2 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 184.3 (CH2 COO-).
<実施例12>化合物12の合成
【0155】
【化14】
FT-IR(KBr):3360cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 8H, CH3(CH 2 )4), δ 1.48 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.09 (m, 2H, CH 2 COO-), δ 3.31(t, 6H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.85 (t, 6H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.4 (CH3CH2), δ 22.0 (CH3 CH2CH2), δ 25.9 (CH3CH2 CH2), δ 28.3 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.7 (CH2CH2CH2COO-), δ 31.0 (CH2CH2COO-), δ 37.7 (CH2COO-), δ 55.4 (N+ CH2CH2OH), δ 55.6 (N+CH2 CH2OH), δ 184.3 (CH2 COO-).
<実施例13>化合物13の合成
【0156】
【化15】
FT-IR(KBr):3375cm-1:O-H伸縮振動 2955cm-1:C-H伸縮振動 1576cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 8H, CH3(CH 2 )4), δ 1.48 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.09 (m, 2H, CH 2 COO-), δ 3.32-3.38 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.61-3.77 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.4 (CH3CH2), δ 22.0 (CH3 CH2CH2), δ 25.9 (CH3CH2 CH2), δ 28.3 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.7 (CH2CH2CH2COO-), δ 31.0 (CH2CH2COO-), δ 37.7 (CH2COO-), δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 184.3 (CH2 COO-).
<実施例14>化合物14の合成
【0157】
【化16】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動1543cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 8H, CH3(CH 2 )4), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 1.48 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.09 (m, 2H, CH 2 COO-), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 13.4 (CH3CH2), δ 22.0 (CH3 CH2CH2), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 25.9 (CH3CH2 CH2), δ 28.3 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.7 (CH2CH2CH2COO-), δ 31.0 (CH2CH2COO-), δ 37.7 (CH2COO-), δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 184.3 (CH2 COO-).
<実施例15>化合物15の合成
【0158】
【化17】
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 8H, CH3(CH 2 )4), δ 1.48 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.09 (m, 2H, CH 2 COO-), δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.4 (CH3CH2), δ 22.0 (CH3 CH2CH2), δ 25.9 (CH3CH2 CH2), δ 28.3 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.7 (CH2CH2CH2COO-), δ 31.0 (CH2CH2COO-), δ 37.7 (CH2COO-), δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 184.3 (CH2 COO-).
<実施例16>化合物16の合成
【0159】
【化18】
FT-IR(KBr):3167cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動 1573cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 8H, CH3(CH 2 )4), δ 1.48 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.09 (m, 2H, CH 2 COO-), δ 2.94-3.13 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH3 +), δ 3.51-3.72 (m, 5H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +),δ 3.89-3.96 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.4 (CH3CH2), δ 22.0 (CH3 CH2CH2), δ 25.9 (CH3CH2 CH2), δ 28.3 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.7 (CH2CH2CH2COO-), δ 31.0 (CH2CH2COO-), δ 37.7 (CH2COO-), δ 41.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +),δ 62.6 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 68.9-70.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +), δ 184.3 (CH2 COO-).
<実施例17>化合物17の合成
【0160】
【化19】
FT-IR(KBr):3177cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1563cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 12H, CH3(CH 2 )6), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.04 (m, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.77 (m, 2H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)2CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 41.2 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例18>化合物18の合成
【0161】
【化20】
FT-IR(KBr):3360cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 12H, CH3(CH 2 )6), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.31(t, 6H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.85 (t, 6H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)2CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 55.4 (N+ CH2CH2OH), δ 55.6 (N+CH2 CH2OH), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例19>化合物19の合成
【0162】
【化21】
FT-IR(KBr):3375cm-1:O-H伸縮振動 2955cm-1:C-H伸縮振動 1576cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 12H, CH3(CH 2 )6), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.32-3.38 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.61-3.77 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)2CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例20>化合物20の合成
【0163】
【化22】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動1543cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 12H, CH3(CH 2 )6), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)2CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例21>化合物21の合成
【0164】
【化23】
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 12H, CH3(CH 2 )6), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)2CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例22>化合物22の合成
【0165】
【化24】
FT-IR(KBr):3167cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動 1573cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 12H, CH3(CH 2 )6), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 2.94-3.13 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH3 +), δ 3.51-3.72 (m, 5H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +),δ 3.89-3.96 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)2CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 41.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +),δ 62.6 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 68.9-70.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例23>化合物23の合成
【0166】
【化25】
FT-IR(KBr):3177cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1563cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 16H, CH3(CH 2 )8), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.04 (m, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.77 (m, 2H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 41.2 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例24>化合物24の合成
【0167】
【化26】
FT-IR(KBr):3306cm-1:O-H伸縮振動 2923cm-1:C-H伸縮振動 1559cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 16H, CH3(CH 2 )8), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.15 (t, 4H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.79 (t, 4H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 48.9 (N+ CH2CH2OH), δ 56.6 (N+CH2 CH2OH), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例25>化合物25の合成
【0168】
【化27】
FT-IR(KBr):3360cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 16H, CH3(CH 2 )8), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.31(t, 6H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.85 (t, 6H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 55.4 (N+ CH2CH2OH), δ 55.6 (N+CH2 CH2OH), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例26>化合物26の合成
【0169】
【化28】
FT-IR(KBr):3375cm-1:O-H伸縮振動 2955cm-1:C-H伸縮振動 1576cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 16H, CH3(CH 2 )8), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.32-3.38 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.61-3.77 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例27>化合物27の合成
【0170】
【化29】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動1543cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 16H, CH3(CH 2 )8), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例28>化合物28の合成
【0171】
【化30】
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 16H, CH3(CH 2 )8), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例29>化合物29の合成
【0172】
【化31】
FT-IR(KBr):3167cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動 1573cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.79 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.21 (m, 16H, CH3(CH 2 )8), δ 1.47 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.10 (t, 2H, CH 2 COO-), δ 2.94-3.13 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH3 +), δ 3.51-3.72 (m, 5H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +),δ 3.89-3.96 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 13.5 (CH3CH2), δ 22.2 (CH3 CH2CH2), δ 26.0 (CH3CH2 CH2), δ 28.7 (CH3CH2CH2 CH2), δ 28.8 (CH3CH2CH2CH2 CH2), δ 29.0 ((CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.4 (CH2CH2COO-), δ 37.5 (CH2COO-), δ 41.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +),δ 62.6 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 68.9-70.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +), δ 183.6 (CH2 COO-).
<実施例30>化合物30の合成
【0173】
【化32】
FT-IR(KBr):3177cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1563cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 1.13 (m, 6H, CHCH2(CH 2 )3), δ 1.55 (m, 4H, CHCH 2 ), δ 2.03 (m, 1H, CHCOO-), δ 3.04 (m, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.77 (m, 2H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 25.5 (CH2CH2CHCOO-), δ 25.7 (CH2CHCOO-), δ 29.9 (CH2CH2CH2CHCOO-), δ 41.2 (N+ CH2CH2OH), δ 47.1 (CHCOO-), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 186.8 (CHCOO-).
<実施例31>化合物31の合成
【0174】
【化33】
FT-IR(KBr):3360cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 1.13 (m, 6H, CHCH2(CH 2 )3), δ 1.55 (m, 4H, CHCH 2 ), δ 2.03 (m, 1H, CHCOO-), δ 3.31(t, 6H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.85 (t, 6H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 25.5 (CH2CH2CHCOO-), δ 25.7 (CH2CHCOO-), δ 29.9 (CH2CH2CH2CHCOO-), δ 47.1 (CHCOO-), δ 55.4 (N+ CH2CH2OH), δ 55.6 (N+CH2 CH2OH), δ 186.8 (CHCOO-).
<実施例32>化合物32の合成
【0175】
【化34】
FT-IR(KBr):3375cm-1:O-H伸縮振動 2955cm-1:C-H伸縮振動 1576cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 1.13 (m, 6H, CHCH2(CH 2 )3), δ 1.55 (m, 4H, CHCH 2 ), δ 2.03 (m, 1H, CHCOO-), δ 3.32-3.38 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.61-3.77 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 25.5 (CH2CH2CHCOO-), δ 25.7 (CH2CHCOO-), δ 29.9 (CH2CH2CH2CHCOO-), δ 47.1 (CHCOO-), δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 186.8 (CHCOO-).
<実施例33>化合物33の合成
【0176】
【化35】
FT-IR(KBr):3177cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1563cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 1.68-1.70 (m, 3H, CH 3 CHCHCOO-), δ 3.04 (m, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.77 (m, 2H, N+CH2CH 2 OH), δ 5.69-5.75 (m, 1H, CH3CHCHCOO-), δ 6.49-6.53 (m, 1H, CH3CHCHCOO-).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 16.9 (CH3CHCHCOO-), δ 41.2 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 127.2 (CH3CHCHCOO-), δ 141.2 (CH3 CHCHCOO-), δ 175.9 (CH3CHCHCOO-).
<実施例34>化合物34の合成
【0177】
【化36】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動1543cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 0.89 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.27 (m, 20H, CH3(CH 2 )6CH2, (CH 2 )4 CH2CH2COO-), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 1.53 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.00 (m, 4H, CH 2 CH=CHCH 2 ), δ 2.14 (t, 2H, CH2CH 2 COO-), δ 2.99 (t, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3), δ 3.76 (t, 2H, N+CH2CH 2 OH), δ 5.32 (m, 2H, CH=CH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 14.0 (CH3CH2), δ 22.6 (CH3 CH2), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 26.4 (CH2CH2COO-), δ 27.2 (CH2CH=CHCH2), δ 29.3 (CH3CH2CH2(CH2)4, (CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.9 (CH3CH2 CH2), δ 37.8 (CH2CH2COO-), δ 41.9 (N+ CH2CH2OH), δ 58.6 (N+CH2 CH2OH), δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 129.7 (CH=CH), δ 181.7 (COO-).
<実施例35>化合物35の合成
【0178】
【化37】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動1543cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3), δ 3.87 (s, 2H, HOCH 2 COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 61.3 (HOCH2COO-), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 179.9 (HOCH2 COO-).
<実施例36>化合物36の合成
【0179】
【化38】
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3), δ 3.87 (s, 2H, HOCH 2 COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.3 (HOCH2COO-), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 179.9 (HOCH2 COO-).
<実施例37>化合物37の合成
【0180】
【化39】
FT-IR(KBr):3375cm-1:O-H伸縮振動 2955cm-1:C-H伸縮振動 1576cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.89 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.27 (m, 20H, CH3(CH 2 )6CH2, (CH 2 )4 CH2CH2COO-), δ 1.53 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 1.54 (m, 4H, CH 2 CH(OH)CH(OH)CH 2 ), δ 2.14 (t, 2H, CH2CH 2 COO-), δ 3.29 (m, 2H, CH(OH)CH(OH)), δ 3.32-3.38 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.61-3.77 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 14.0 (CH3CH2), δ 22.6 (CH3 CH2), δ 26.4 (CH2CH2COO-), δ 29.3 (CH3CH2CH2(CH2)4, (CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.7 (CH2CH(OH)CH(OH)CH2), δ 31.9 (CH3CH2 CH2), δ 37.8 (CH2CH2COO-), δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 77.2 (CH(OH)CH(OH)), δ 181.7 (COO-).
<実施例38>化合物38の合成
【0181】
【化40】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動1543cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 0.89 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.27 (m, 20H, CH3(CH 2 )6CH2, (CH 2 )4 CH2CH2COO-), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 1.53 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 1.54 (m, 4H, CH 2 CH(OH)CH(OH)CH 2 ), δ 2.14 (t, 2H, CH2CH 2 COO-), δ 3.29 (m, 2H, CH(OH)CH(OH)), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 14.0 (CH3CH2), δ 22.6 (CH3 CH2), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 26.4 (CH2CH2COO-), δ 29.3 (CH3CH2CH2(CH2)4, (CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.7 (CH2CH(OH)CH(OH)CH2), δ 31.9 (CH3CH2 CH2), δ 37.8 (CH2CH2COO-), δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 77.2 (CH(OH)CH(OH)), δ 181.7 (COO-).
<実施例39>化合物39の合成
【0182】
【化41】
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.89 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.27 (m, 20H, CH3(CH 2 )6CH2, (CH 2 )4 CH2CH2COO-),δ 1.53 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 1.54 (m, 4H, CH 2 CH(OH)CH(OH)CH 2 ), δ 2.14 (t, 2H, CH2CH 2 COO-), δ 3.29 (m, 2H, CH(OH)CH(OH)), δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 14.0 (CH3CH2), δ 22.6 (CH3 CH2), δ 26.4 (CH2CH2COO-), δ 29.3 (CH3CH2CH2(CH2)4, (CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.7 (CH2CH(OH)CH(OH)CH2), δ 31.9 (CH3CH2 CH2), δ 37.8 (CH2CH2COO-), δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 77.2 (CH(OH)CH(OH)), δ 181.7 (COO-).
<実施例40>化合物40の合成
【0183】
【化42】
FT-IR(KBr):3167cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動 1573cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.89 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.27 (m, 20H, CH3(CH 2 )6CH2, (CH 2 )4 CH2CH2COO-), δ 1.53 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 1.54 (m, 4H, CH 2 CH(OH)CH(OH)CH 2 ), δ 2.14 (t, 2H, CH2CH 2 COO-), δ 2.94-3.13 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH3 +), δ 3.29 (m, 2H, CH(OH)CH(OH)), δ 3.51-3.72 (m, 5H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 3.89-3.96 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 14.0 (CH3CH2), δ 22.6 (CH3 CH2), δ 26.4 (CH2CH2COO-), δ 29.3 (CH3CH2CH2(CH2)4, (CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.7 (CH2CH(OH)CH(OH)CH2), δ 31.9 (CH3CH2 CH2), δ 37.8 (CH2CH2COO-), δ 41.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 62.6 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 68.9-70.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +), δ 77.2 (CH(OH)CH(OH)), δ 181.7 (COO-).
<実施例41>化合物41の合成
【0184】
【化43】
FT-IR(KBr):3177cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1563cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 1.66-1.89 (m, 4H, CH 2 C(OH)(COO-)), δ 3.04 (m, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.35 (m, 1H, CH(OH)CH(OH)CH(OH)), δ 3.77 (m, 2H, N+CH2CH 2 OH), δ 3.79-3.95 (m, 2H, CH2CH(OH)CH(OH)).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 25.5 (CH2CH2CHCOO-), δ 25.7 (CH2CHCOO-), δ 29.9 (CH2CH2CH2CHCOO-), δ 37.3 (CH2C(OH)(COO-)), δ 40.6 (CH2C(OH)(COO-)), δ 41.2 (N+ CH2CH2OH), δ 47.1 (CHCOO-), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 66.9 (CH2 CH(OH)CH(OH)), δ 70.3 (CH2 CH(OH)CH(OH)), δ 75.1 (CH(OH)CH(OH)CH(OH)), δ 76.9 (CH2 C(OH)(COO-)), δ 181.3 (CH2C(OH)(COO-)).
<実施例42>化合物42の合成
【0185】
【化44】
FT-IR(KBr):3306cm-1:O-H伸縮振動 2923cm-1:C-H伸縮振動 1559cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 1.66-1.89 (m, 4H, CH 2 C(OH)(COO-)), δ 3.15 (t, 4H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.35 (m, 1H, CH(OH)CH(OH)CH(OH)), δ 3.79 (t, 4H, N+CH2CH 2 OH), δ 3.79-3.95 (m, 2H, CH2CH(OH)CH(OH)).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 37.3 (CH2C(OH)(COO-)), δ 40.6 (CH2C(OH)(COO-)), δ 48.9 (N+ CH2CH2OH), δ 56.6 (N+CH2 CH2OH), δ 66.9 (CH2 CH(OH)CH(OH)), δ 70.3 (CH2 CH(OH)CH(OH)), δ 75.1 (CH(OH)CH(OH)CH(OH)), δ 76.9 (CH2 C(OH)(COO-)), δ 181.3 (CH2C(OH)(COO-)).
<実施例43>化合物43の合成
【0186】
【化45】
FT-IR(KBr):3375cm-1:O-H伸縮振動 2955cm-1:C-H伸縮振動 1576cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 1.66-1.89 (m, 4H, CH 2 C(OH)(COO-)), δ 3.32-3.38 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.35 (m, 1H, CH(OH)CH(OH)CH(OH)), δ 3.61-3.77 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH), δ 3.79-3.95 (m, 2H, CH2CH(OH)CH(OH)).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 37.3 (CH2C(OH)(COO-)), δ 40.6 (CH2C(OH)(COO-)), δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 66.9 (CH2 CH(OH)CH(OH)), δ 70.3 (CH2 CH(OH)CH(OH)), δ 75.1 (CH(OH)CH(OH)CH(OH)), δ 76.9 (CH2 C(OH)(COO-)), δ 181.3 (CH2C(OH)(COO-)).
<実施例44>化合物44の合成
【0187】
【化46】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動1543cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 1.66-1.89 (m, 4H, CH 2 C(OH)(COO-)), δ 3.35 (m, 1H, CH(OH)CH(OH)CH(OH)), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3), δ 3.79-3.95 (m, 2H, CH2CH(OH)CH(OH)).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 37.3 (CH2C(OH)(COO-)), δ 40.6 (CH2C(OH)(COO-)), δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 66.9 (CH2 CH(OH)CH(OH)), δ 70.3 (CH2 CH(OH)CH(OH)), δ 75.1 (CH(OH)CH(OH)CH(OH)), δ 76.9 (CH2 C(OH)(COO-)), δ 181.3 (CH2C(OH)(COO-)).
<実施例45>化合物45の合成
【0188】
【化47】
FT-IR(KBr):3375cm-1:O-H伸縮振動 2955cm-1:C-H伸縮振動 1576cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.89 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.27 (m, 22H, CH3(CH 2 )9CH2, (CH 2 )2 CH2CH2COO-), δ 1.53 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 1.54 (m, 4H, CH 2 CH(OH)CH 2 ), δ 2.14 (t, 2H, CH2CH 2 COO-), δ 3.29 (m, 1H, CH(OH)), δ 3.32-3.38 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.61-3.77 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 14.0 (CH3CH2), δ 22.6 (CH3 CH2), δ 26.4 (CH2CH2COO-), δ 29.3 (CH3CH2CH2(CH2)7, (CH2)2CH2CH2COO-), δ 31.7 (CH2CH(OH)CH2), δ 31.9 (CH3CH2 CH2), δ 37.8 (CH2COO-), δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 77.2 (CH(OH)), δ 181.7 (COO-).
<実施例46>化合物46の合成
【0189】
【化48】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2958cm-1:C-H伸縮振動 1714cm-1:COOH伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.29-3.35 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.58-3.74 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 179.7 (HOOCCOO-).
<実施例47>化合物47の合成
【0190】
【化49】
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 2.51 (s, 4H, HOOCCH 2 CH 2 COO-), δ 3.08 (t, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.76 (t, 2H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 31.4 (HOOCCH2 CH2COO-), δ 41.3 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例48>化合物48の合成
【0191】
【化50】
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1711cm-1:COOH伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 2.51 (s, 4H, HOOCCH 2 CH 2 COO-), δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 31.4 (HOOCCH2 CH2COO-), δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例49>化合物49の合成
【0192】
【化51】
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 1.56 (t, 4H, HOOCCH2CH 2 CH 2 CH2COO-), δ 2.27 (t, 4H, HOOCCH 2 CH2CH2CH 2 COO-), δ 3.08 (t, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.76 (t, 2H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 24.8 (HOOCCH2 CH2 CH2CH2COO-), δ 35.5 (HOOCCH2CH2CH2 CH2COO-), δ 41.3 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例50>化合物50の合成
【0193】
【化52】
FT-IR(KBr):3312m-1:O-H伸縮振動 2939cm-1:C-H伸縮振動 1719cm-1:COOH伸縮振動 1588cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 1.56 (t, 4H, HOOCCH2CH 2 CH 2 CH2COO-), δ 2.27 (t, 4H, HOOCCH 2 CH2CH2CH 2 COO-), δ 3.31 (t, 6H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.85 (t, 6H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 24.8 (HOOCCH2 CH2 CH2CH2COO-), δ 35.5 (HOOCCH2CH2CH2 CH2COO-), δ 55.4 (N+ CH2CH2OH), δ 55.6 (N+CH2 CH2OH), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例51>化合物51の合成
【0194】
【化53】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2958cm-1:C-H伸縮振動 1714cm-1:COOH伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 1.56 (t, 4H, HOOCCH2CH 2 CH 2 CH2COO-), δ 2.27 (t, 4H, HOOCCH 2 CH2CH2CH 2 COO-), δ 3.29-3.35 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.58-3.74 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 24.8 (HOOCCH2 CH2 CH2CH2COO-), δ 35.5 (HOOCCH2CH2CH2 CH2COO-), δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例52>化合物52の合成
【0195】
【化54】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2958cm-1:C-H伸縮振動 1714cm-1:COOH伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 1.29 (t, 8H, HOOCCH2CH2(CH 2)4CH2CH2COO-), δ 1.56 (t, 4H, HOOCCH2CH 2 (CH 2)4CH 2 CH2COO-), δ 2.27 (t, 4H, HOOCCH 2 CH2(CH 2)4CH2CH 2 COO-), δ 3.29-3.35 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.58-3.74 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 24.8 (HOOCCH2 CH2(CH 2)4 CH2CH2COO-), δ 29.7 (HOOCCH2CH2(CH2)4CH2CH2COO-), δ 35.5 (HOOCCH2CH2(CH 2)4CH2 CH2COO-), δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例53>化合物53の合成
【0196】
【化55】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2958cm-1:C-H伸縮振動 1714cm-1:COOH伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.29-3.35 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.58-3.74 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH), δ 7.03 (t, 4H, HOOCCH=CHCOO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 137.7 (HOOCCH=CHCOO-), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例54>化合物54の合成
【0197】
【化56】
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 2.27 (t, 4H, HOOCCH 2 CH2CH2CH 2 COO-), δ 3.08 (t, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.76 (t, 2H, N+CH2CH 2 OH), δ 4.49 (s, 2H, HOOCCH(OH)CH(OH)COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 41.3 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 72.8 (HOOCCH(OH)CH(OH)COO-), δ 176.3 (HOOCCH(OH)CH(OH)COO-).
<実施例55>化合物55の合成
【0198】
【化57】
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 2.65 (m, 4H, HOOCCH 2 C(OH)(COOH)CH 2 COO-), δ 3.08 (t, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.76 (t, 2H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 41.3 (N+ CH2CH2OH), δ 43.7 (HOOCCH2C(OH)(COOH)CH2COO-), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 73.9 (HOOCCH2 C(OH)(COOH)CH2COO-), δ 174.8 (HOOCCH2C(OH)(COOH)CH2 COO-), δ 178.7 (HOOCCH2C(OH)(COOH)CH2COO-).
<実施例56>化合物56の合成
【0199】
【化58】
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.08 (t, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.76 (t, 2H, N+CH2CH 2 OH), δ 7.40-7.50 (m, 3H, CHCHCHCHCCOO-), δ 7.51-7.80 (m, 2H, CHCCOOH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 41.3 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 128.3 (CHCHCHCCOO-), δ 128.8 (CHCHCCOO-), δ 131.2 (CCOO-), δ 136.3 (CHCHCHCCOO-), δ 175.7 (COO-).
<実施例57>化合物57の合成
【0200】
【化59】
FT-IR(KBr):3360cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.31(t, 6H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.85 (t, 6H, N+CH2CH 2 OH), δ 7.40-7.50 (m, 3H, CHCHCHCHCCOO-), δ 7.51-7.80 (m, 2H, CHCCOOH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 25.5 (CH2CH2CHCOO-), δ 55.4 (N+ CH2CH2OH), δ 55.6 (N+CH2 CH2OH), δ 128.3 (CHCHCHCCOO-), δ 128.8 (CHCHCCOO-), δ 131.2 (CCOO-), δ 136.3 (CHCHCHCCOO-), δ 175.7 (COO-).
<実施例58>化合物58の合成
【0201】
【化60】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2958cm-1:C-H伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.29-3.35 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.58-3.74 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH), δ 7.40-7.50 (m, 3H, CHCHCHCHCCOO-), δ 7.51-7.80 (m, 2H, CHCCOOH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 128.3 (CHCHCHCCOO-), δ 128.8 (CHCHCCOO-), δ 131.2 (CCOO-), δ 136.3 (CHCHCHCCOO-), δ 175.7 (COO-).
<実施例59>化合物59の合成
【0202】
【化61】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動1543cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3), δ 7.40-7.50 (m, 3H, CHCHCHCHCCOO-), δ 7.51-7.80 (m, 2H, CHCCOOH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3),δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 128.3 (CHCHCHCCOO-), δ 128.8 (CHCHCCOO-), δ 131.2 (CCOO-), δ 136.3 (CHCHCHCCOO-), δ 175.7 (COO-).
<実施例60>化合物60の合成
【0203】
【化62】
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3), δ 7.40-7.50 (m, 3H, CHCHCHCHCCOO-), δ 7.51-7.80 (m, 2H, CHCCOOH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 128.3 (CHCHCHCCOO-), δ 128.8 (CHCHCCOO-), δ 131.2 (CCOO-), δ 136.3 (CHCHCHCCOO-), δ 175.7 (COO-).
<実施例61>化合物61の合成
【0204】
【化63】
FT-IR(KBr):3167cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動 1573cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 2.94-3.13 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH3 +), δ 3.51-3.72 (m, 5H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +),δ 3.89-3.96 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 7.40-7.50 (m, 3H, CHCHCHCHCCOO-), δ 7.51-7.80 (m, 2H, CHCCOOH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 41.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 62.6 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 68.9-70.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +), δ 128.3 (CHCHCHCCOO-), δ 128.8 (CHCHCCOO-), δ 131.2 (CCOO-), δ 136.3 (CHCHCHCCOO-), δ 175.7 (COO-).
<実施例62>化合物62の合成
【0205】
【化64】
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.08 (t, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.76 (t, 2H, N+CH2CH 2 OH), δ 8.34 (m, 4H, CHCCOO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 41.3 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 128.8 (CHCHCCOO-), δ 131.2 (CCOO-),δ 175.7 (COO-).
<実施例63>化合物63の合成
【0206】
【化65】
FT-IR(KBr):3306cm-1:O-H伸縮振動 2923cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1559cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.15 (t, 4H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.79 (t, 4H, N+CH2CH 2 OH), δ 8.34 (m, 4H, CHCCOO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 48.9 (N+ CH2CH2OH), δ 56.6 (N+CH2 CH2OH), δ 128.8 (CHCHCCOO-), δ 131.2 (CCOO-),δ 175.7 (COO-).
<実施例64>化合物64の合成
【0207】
【化66】
FT-IR(KBr):3360cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.31(t, 6H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.85 (t, 6H, N+CH2CH 2 OH), δ 8.34 (m, 4H, CHCCOO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 55.4 (N+ CH2CH2OH), δ 55.6 (N+CH2 CH2OH), δ 128.8 (CHCHCCOO-), δ 131.2 (CCOO-),δ 175.7 (COO-).
<実施例65>化合物65の合成
【0208】
【化67】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2958cm-1:C-H伸縮振動 1714cm-1:COOH伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.29-3.35 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.58-3.74 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH), δ 8.34 (m, 4H, CHCCOO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH),δ 128.8 (CHCHCCOO-), δ 131.2 (CCOO-),δ 175.7 (COO-).
<実施例66>化合物66の合成
【0209】
【化68】
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.08 (t, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.76 (t, 2H, N+CH2CH 2 OH), δ 6.85 (m, 2H, C(OH)CHCH, C(COO-)CHCHCH), δ 7.35 (m, 1H, CHCHC(OH)), δ 7.71 (m, 1H, C(COOH)CHCH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 41.3 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 116.3 (C(OH)CHCH), δ 118.0 (CHC(COO-)C(OH)), δ 119.4 (C(COO-)CHCHCH), δ 130.5 (C(COO-)CHCH), δ 134.0 (CHCHC(OH)), δ 159.6 (CC(OH)C), δ 175.5 (CCOO-).
<実施例67>化合物67の合成
【0210】
【化69】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動1543cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3), δ 6.85 (m, 2H, C(OH)CHCH, C(COO-)CHCHCH), δ 7.35 (m, 1H, CHCHC(OH)), δ 7.71 (m, 1H, C(COOH)CHCH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3),δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 116.3 (C(OH)CHCH), δ 118.0 (CHC(COO-)C(OH)), δ 119.4 (C(COO-)CHCHCH), δ 130.5 (C(COO-)CHCH), δ 134.0 (CHCHC(OH)), δ 159.6 (CC(OH)C), δ 175.5 (CCOO-).
<実施例68>化合物68の合成
【0211】
【化70】
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3), δ 6.85 (m, 2H, C(OH)CHCH, C(COO-)CHCHCH), δ 7.35 (m, 1H, CHCHC(OH)), δ 7.71 (m, 1H, C(COOH)CHCH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3),δ 116.3 (C(OH)CHCH), δ 118.0 (CHC(COO-)C(OH)), δ 119.4 (C(COO-)CHCHCH), δ 130.5 (C(COO-)CHCH), δ 134.0 (CHCHC(OH)), δ 159.6 (CC(OH)C), δ 175.5 (CCOO-).
<実施例69>化合物69の合成
【0212】
【化71】
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.08 (t, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.76 (t, 2H, N+CH2CH 2 OH), δ 6.83 (d, 2H, C(COO-)CHCH), δ 7.73 (d, 2H, C(OH)CHCH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 41.3 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 114.9 (C(OH)CHCH), δ 128.2 (C(COO-)), δ 131.2 (C(COO-)CHCH), δ 158.4 (C(OH)), δ 175.3 (C(COO-)).
<実施例70>化合物70の合成
【0213】
【化72】
FT-IR(KBr):3360cm-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.31(t, 6H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.85 (t, 6H, N+CH2CH 2 OH), δ 6.83 (d, 2H, C(COO-)CHCH), δ 7.73 (d, 2H, C(OH)CHCH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 55.4 (N+ CH2CH2OH), δ 55.6 (N+CH2 CH2OH), δ 114.9 (C(OH)CHCH), δ 128.2 (C(COO-)), δ 131.2 (C(COO-)CHCH), δ 158.4 (C(OH)), δ 175.3 (C(COO-)).
<実施例71>化合物71の合成
【0214】
【化73】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2958cm-1:C-H伸縮振動 1558cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.29-3.35 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.58-3.74 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH), δ 6.83 (d, 2H, C(COO-)CHCH), δ 7.73 (d, 2H, C(OH)CHCH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 54.1 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.6 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 114.9 (C(OH)CHCH) , δ 128.2 (C(COO-)) , δ 131.2 (C(COO-)CHCH) , δ 158.4 (C(OH)) , δ 175.3 (C(COO-)).
<実施例72>化合物72の合成
【0215】
【化74】
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.08 (t, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.76 (t, 2H, N+CH2CH 2 OH), δ 4.94 (s, 1H, CH(OH)(COO-)), δ 7.34 (m, 5H, (CH)5).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 41.3 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 75.0 (CH(OH)(COO-)) , δ 127.1 ((CH)2 CH(CH)2) , δ 128.2 (CHCHCCH(OH)(COO-)) , δ 128.8 (CHCCH(OH)(COO-)) , δ 140.6 (CCH(OH)(COO-)) , δ 179.4 (COO-).
<実施例73>化合物73の合成
【0216】
【化75】
FT-IR(KBr):3167cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動 1573cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 2.53 (d, 3H, CH 3 ), δ 2.94-3.13 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH3 +), δ 3.51-3.72 (m, 5H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 3.89-3.96 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 25.5 (CH3), δ 41.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 62.6 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 68.9-70.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +), δ 161.4 (COO-), δ 193.7 (CH3 C=O).
<実施例74>化合物74の合成
【0217】
【化76】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動1543cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 3.27 (s, 3H, CH 3 OCH2COO-), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3), δ 3.77 (s, 2H, CH3OCH 2 COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 57.6 (CH3OCH2COO-), δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 71.2 (CH3OCH2COO-), δ 178.0 (CH3OCH2 COO-).
<実施例75>化合物75の合成
【0218】
【化77】
FT-IR(KBr):3313m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1679cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.08 (t, 2H, N+CH 2 CH2OH), δ 3.76 (t, 2H, N+CH2CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 41.3 (N+ CH2CH2OH), δ 57.6 (N+CH2 CH2OH), δ 114.6 (CF3COO-), δ 165.1 (CF3 COO-).
<実施例76>化合物76の合成
【0219】
【化78】
FT-IR(KBr):3332m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1665cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.73-0.77 (m, 3H, NH3 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 1.50-1.56 (m, 2H, NH3 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 3.49-3.50 (m, 4H, NH3 +C(CH 2 OH)2CH2CH3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 6.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 23.2 (NH3 +C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 60.5 (NH3 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 63.3 (NH3 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 114.6 (CF3COO-), δ 165.1 (CF3 COO-).
<実施例77>化合物77の合成
【0220】
【化79】
FT-IR(KBr):3332m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1665cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.57 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 59.2 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 114.6 (CF3COO-), δ 165.1 (CF3 COO-).
<実施例78>化合物78の合成
【0221】
【化80】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2959cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.65 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 59.4 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3).
<実施例79>化合物79の合成
【0222】
【化81】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2959cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.65 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 59.4 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3).
<実施例80>化合物80の合成
【0223】
【化82】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2959cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.35-3.41 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.64-3.80 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 54.2 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.7 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH).
<実施例81>化合物81の合成
【0224】
【化83】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2959cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.65 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 59.4 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3).
<実施例82>化合物82の合成
【0225】
【化84】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2959cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 2.86-3.05 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH3 +), δ 3.41-3.68 (m, 5H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 3.83-3.88 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 41.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 62.6 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 69.2-70.8 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +).
<実施例83>化合物83の合成
【0226】
【化85】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2959cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.65 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 59.4 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3).
<実施例84>化合物84の合成
【0227】
【化86】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2959cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 2.86-3.05 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH3 +), δ 3.41-3.68 (m, 5H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 3.83-3.88 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 41.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 62.6 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 69.2-70.8 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +).
<実施例85>化合物85の合成
【0228】
【化87】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2959cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.35-3.41 (m, 1H, HOCH2CH(N+H3)CH2OH), δ 3.64-3.80 (m, 4H, HOCH 2 CH(N+H3)CH 2 OH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 54.2 (HOCH2 CH(N+H3)CH2OH), δ 58.7 (HOCH2CH(N+H3)CH2OH).
<実施例86>化合物85の合成
【0229】
【化88】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2959cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.65 (s, 6H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 59.4 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.4 (NH3 +C(CH2OH)3).
<実施例87>化合物87の合成
【0230】
【化89】
FT-IR(KBr):3388cm-1:O-H伸縮振動 2959cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 2.86-3.05 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH3 +), δ 3.41-3.68 (m, 5H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 3.83-3.88 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 41.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 62.6 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH3 +), δ 69.2-70.8 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +).
<実施例88>化合物88の合成
【0231】
【化90】
2-アミノ-2-エチル-1、3-プロパンジオ-ル(25.00g、0.210mol)と3-クロロ-1、2-プロパンジオ-ル(116.07g、1.050mol)を1-プロパノ-ル1000mL中で、還流下、48時間反応後、1-プロパノ-ルを減圧留去し、得られた液体にTHFを加えて加熱洗浄することにより、白色粉末を得た。得られた白色粉末に水酸化ナトリウムを加え、室温下、2時間攪拌後、エタノ-ルを加えて析出した結晶をろ別後、ろ液を減圧留去し、得られた液体をカラムクロマトグラフィーで精製することで、表10の実施例88に記載したアミン系化合物1を得た。
アミン系化合物1(2.50g、0.013mol)とコハク酸(1.53g、0.013mmol)を水50mmL中で、室温下、3時間反応後、水を減圧留去し、白色固体を得た。得られた固体を洗浄することにより、白色固体の化合物88(アンモニウムコハク酸塩)を得た。
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 0.86-0.92 (m, 3H, NH2 +C(CH2OH)2CH2CH 3 ), δ 1.44 (m, 2H, NH2 +C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.51 (s, 4H, HOOCCH 2 CH 2 COO-),δ 2.78-2.96 (m, 2H, NH2 +CH 2CH(OH)), δ 3.61-3.78 (m, 6H, NH2 +C(CH 2 OH)2CH2CH3, NH2 +CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.83-3.88 (m, 1H, NH2 +CH2CH(OH))
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 9.6 (NH2 +C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 22.7 (CH3 CH2CH2), δ 24.6 (NH2 +C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 31.4 (HOOCCH2 CH2COO-),δ 43.6 (NH2 + C(CH2OH)2CH2CH3), δ 45.8 (NH2 + CH2CH(OH)), δ 60.2 (NH2 +C(CH2OH)2CH2CH3), δ 62.8 (NH2 +CH2CH(OH)CH2OH), δ 71.1 (NH2 +CH2 CH(OH)CH2OH), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例89>化合物89の合成
【0232】
【化91】
D-グルカミン(25.00g、0.138mol)と3-クロロ-1、2-プロパンジオ-ル(76.26g、0.690mol)を1-プロパノ-ル1000mL中で、還流下、48時間反応後、1-プロパノ-ルを減圧留去し、得られた液体にTHFを加えて加熱洗浄することにより、白色粉末を得た。得られた白色粉末に水酸化ナトリウムを加え、室温下、2時間攪拌後、エタノ-ルを加えて析出した結晶をろ別後、ろ液を減圧留去し、得られた液体をカラムクロマトグラフィーで精製することで、表10の実施例89に記載したアミン系化合物2を得た。
アミン系化合物2(2.50g、0.010mol)とコハク酸(1.16g、0.010mol)を水50mL中で、室温下、3時間反応後、水を減圧留去し、黄色固体を得た。得られた固体を洗浄することにより、黄色固体の化合物89(アンモニウムコハク酸塩)を得た。
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 2.51 (s, 4H, HOOCCH 2 CH 2 COO-), δ 3.00-3.23 (m, 4H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH2 +, NH2 +CH 2CH(OH)), δ 3.51-3.74 (m, 7H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 + , NH2 +CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.94-3.98 (m, 1H, NH2 +CH2CH(OH), δ 4.03-4.09 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 +).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 31.4 (HOOCCH2 CH2COO-), δ 43.2 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 +), δ 45.8 (NH2 + CH2CH(OH)), δ 62.8 (NH2 +CH2CH(OH)CH2OH), δ 64.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 +), δ 70.7-72.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +, NH2 +CH2 CH(OH)CH2OH), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例90>化合物90の合成
【0233】
【化92】
アミン系化合物1(10.00g、0.052mol)と3-クロロ-1、2-プロパンジオ-ル(28.74g、0.260mol)を1-プロパノ-ル500mL中で、還流下、48時間反応後、1-プロパノ-ルを減圧留去し、得られた液体にTHFを加えて加熱洗浄することにより、白色粉末を得た。得られた白色粉末に水酸化ナトリウムを加え、室温下、2時間攪拌後、エタノ-ルを加えて析出した結晶をろ別後、ろ液を減圧留去し、得られた液体をカラムクロマトグラフィーで精製することで、表10の実施例90に記載したアミン系化合物3を得た。
アミン系化合物3(2.50g、0.013mol)とオレイン酸(1.53g、0.013mmol)を水50mL中で、室温下、3時間反応後、水を減圧留去し、白色固体を得た。得られた固体を洗浄することにより、白色固体の化合物90(アンモニウムオレイン酸塩)を得た。
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 2.51 (s, 4H, HOOCCH 2 CH 2 COO-), δ 3.00-3.23 (m, 4H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH2 +, NH2 +CH 2CH(OH)), δ 3.51-3.74 (m, 7H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 + , NH2 +CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.94-3.98 (m, 1H, NH2 +CH2CH(OH), δ 4.03-4.09 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 +).δ 0.89 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.27 (m, 20H, CH3(CH 2 )6CH2, (CH 2 )4 CH2CH2COO-),δ 1.53 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.00 (m, 4H, CH 2 CH=CHCH 2 ), δ 2.14 (t, 2H, CH2CH 2 COO-),δ 5.32 (m, 2H, CH=CH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 31.4 (HOOCCH2 CH2COO-), δ 43.2 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 +), δ 45.8 (NH2 + CH2CH(OH)), δ 62.8 (NH2 +CH2CH(OH)CH2OH), δ 64.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 +), δ 70.7-72.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +, NH2 +CH2 CH(OH)CH2OH).δ 14.0 (CH3CH2), δ 22.6 (CH3 CH2), δ 26.4 (CH2CH2COO-), δ 27.2 (CH2CH=CHCH2), δ 29.3 (CH3CH2CH2(CH2)4, (CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.9 (CH3CH2 CH2), δ 37.8 (CH2CH2COO-), δ 129.7 (CH=CH), δ 181.7 (COO-).
<実施例91>化合物91の合成
【0234】
【化93】
アミン系化合物2(10.00g、0.039mol)と3-クロロ-1、2-プロパンジオ-ル(21.56g、0.195mol)を1-プロパノ-ル500mL中で、還流下、48時間反応後、1-プロパノ-ルを減圧留去し、得られた液体にTHFを加えて加熱洗浄することにより、白色粉末を得た。得られた白色粉末に水酸化ナトリウムを加え、室温下、2時間攪拌後、エタノ-ルを加えて析出した結晶をろ別後、ろ液を減圧留去し、得られた液体をカラムクロマトグラフィーで精製することで、表10の実施例91に記載したアミン系化合物4を得た。
アミン系化合物4(2.50g、0.009mol)とオレイン酸(2.64g、0.009mol)を水50mL中で、室温下、3時間反応後、水を減圧留去し、黄色固体を得た。得られた固体を洗浄することにより、黄色固体の化合物91(アンモニウムオレイン酸塩)を得た。
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.00-3.23 (m, 6H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH+, NH+CH 2CH(OH)), δ 3.51-3.74 (m, 9H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH+ , NH+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.94-3.98 (m, 2H, NH+CH2CH(OH), δ 4.03-4.09 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH+).δ 0.89 (t, 3H, CH 3 CH2), δ 1.27 (m, 20H, CH3(CH 2 )6CH2, (CH 2 )4 CH2CH2COO-),δ 1.53 (m, 2H, CH 2 CH2COO-), δ 2.00 (m, 4H, CH 2 CH=CHCH 2 ), δ 2.14 (t, 2H, CH2CH 2 COO-),δ 5.32 (m, 2H, CH=CH).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 43.2 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH+), δ 45.8 (NH+ CH2CH(OH)), δ 62.8 (NH+CH2CH(OH)CH2OH), δ 64.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH+), δ 70.7-72.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH+, NH+CH2 CH(OH)CH2OH).δ 14.0 (CH3CH2), δ 22.6 (CH3 CH2), δ 26.4 (CH2CH2COO-), δ 27.2 (CH2CH=CHCH2), δ 29.3 (CH3CH2CH2(CH2)4, (CH2)4CH2CH2COO-), δ 31.9 (CH3CH2 CH2), δ 37.8 (CH2CH2COO-), δ 129.7 (CH=CH), δ 181.7 (COO-).
<実施例92>化合物92の合成
【0235】
【化94】
実施例90と同様の合成方法と、表10に記載した配合モル比にて合成した。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 2.51 (s, 4H, HOOCCH 2 CH 2 COO-), δ 3.00-3.23 (m, 4H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH2 +, NH2 +CH 2CH(OH)), δ 3.51-3.74 (m, 7H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 + , NH2 +CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.94-3.98 (m, 1H, NH2 +CH2CH(OH), δ 4.03-4.09 (m, 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 +).δ 2.51 (s, 4H, HOOCCH 2 CH 2 COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 31.4 (HOOCCH2 CH2COO-), δ 43.2 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 +), δ 45.8 (NH2 + CH2CH(OH)), δ 62.8 (NH2 +CH2CH(OH)CH2OH), δ 64.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH2 +), δ 70.7-72.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH3 +, NH2 +CH2 CH(OH)CH2OH). δ 31.4 (HOOCCH2 CH2COO-), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例93>化合物93の合成
【0236】
【化95】
実施例91と同様の合成方法と、表10に記載した配合モル比にて合成した。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):3162m-1:O-H伸縮振動 2950cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1578cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 3.00-3.23 (m, 6H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 NH+, NH+CH 2CH(OH)), δ 3.51-3.74 (m, 9H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2NH+ , NH+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.94-3.98 (m, 2H, NH+CH2CH(OH), δ 4.03-4.09 (m, 2H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH+).δ 2.51 (s, 4H, HOOCCH 2 CH 2 COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 43.2 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH+), δ 45.8 (NH+ CH2CH(OH)), δ 62.8 (NH+CH2CH(OH)CH2OH), δ 64.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2NH+), δ 70.7-72.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2NH+, NH+CH2 CH(OH)CH2OH). δ 31.4 (HOOCCH2 CH2COO-), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例94>化合物94の合成
【0237】
【化96】
アミン系化合物3(10.00g、0.037mol)と3-クロロ-1、2-プロパンジオ-ル(40.90g、0.370mol)をアセトニトリル200mL中で、加圧下、130℃で4時間反応後、アセトニトリルを減圧留去し、得られた固体にTHFを加えて加熱洗浄することにより、薄黄色粉末を得た。この薄黄色粉末に水を加え、アニオン交換樹脂に通水することによって、表10の実施例94に記載したアミン系化合物5を得た。
アミン系化合物5(5.00g、0.014mol)とイソステアリン酸(3.98g、0.0140mol)を水50mL中で、室温下、3時間反応後、水を減圧留去し、黄色固体を得た。得られた固体を洗浄することにより、黄色固体の化合物94(第4級アンモニウムイソステアリン酸塩)を得た。
FT-IR(KBr):3350cm-1:O-H伸縮振動 2940cm-1:C-H伸縮振動 1560cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.86-0.92 (m, 6H, N+C(CH2OH)2CH2CH 3 , CH 3 CH2CH2), δ 1.44 (m, 2H, N+C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.78-2.96 (m, 6H, N+CH 2CH(OH)), δ 3.61-3.78 (m, 10H, N+C(CH 2 OH)2CH2CH3, N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.83-3.88 (m, 3H, N+CH2CH(OH)). δ 0.83-0.90 (m, 6H, CH 3 (CH2)8CH((CH2)6CH 3 )COO-), δ1.08-1.58 (m, 28H, CH3(CH 2 )8CH((CH 2 )6CH3)COO-), δ 2.24-2.28 (m, 1H, CH3(CH2)8CH((CH2)6CH3)COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 9.6 (N+C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 24.6 (N+C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 43.6 (N+ C(CH2OH)2CH2CH3), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 60.2 (N+C(CH2OH)2CH2CH3), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 71.1 (N+CH2 CH(OH)CH2OH). δ 14.1 (CH3CH2), δ 22.7 (CH3 CH--2CH2), δ 27.1 (CH2CH2CHCOO-), δ 30.0 (CH3CH2CH2(CH2)4CH2CH2CH(CH2CH2(CH2)2CH2CH2CH3)COO-,CH2 CH2CHCOO-), δ 31.9 (CH3CH2 CH2), δ 37.2 (CHCOO-), δ 182.1 (CHCOO-).
<実施例95>化合物95の合成
【0238】
【化97】
アミン系化合物4(10.00g、0.030mol)と3-クロロ-1、2-プロパンジオ-ル(33.16g、0.300mol)をアセトニトリル200mL中で、加圧下、130℃で4時間反応後、アセトニトリルを減圧留去し、得られた固体にTHFを加えて加熱洗浄することにより、薄黄色粉末を得た。この薄黄色粉末に水を加え、アニオン交換樹脂に通水することによって、表10の実施例95に記載したアミン系化合物6を得た。
アミン系化合物6(5.00g、0.012mol)とコハク酸(1.42g、0.012mol)を水50mL中で、室温下、3時間反応後、水を減圧留去し、黄色固体を得た。得られた固体を洗浄することにより、黄色固体の化合物95(第4級アンモニウムコハク酸塩)を得た。
FT-IR(KBr):3344cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1554cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 3.00-3.23 (m, 8H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 N+, N+CH 2CH(OH)), δ 3.51-3.74 (m, 11H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2N+ , N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.94-3.98 (m, 3H, N+CH2CH(OH)), δ 4.03-4.09 (m 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+).δ 2.51 (s, 4H, HOOCCH 2 CH 2 COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 43.2 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 64.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+),δ 70.7-72.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2N+, N+CH2 CH(OH)CH2OH). δ 31.4 (HOOCCH2 CH2COO-), δ 179.7 (COOH, COO-).
【0239】
<実施例96~108>
表6に示した実施例96~101、103、105、107の化合物96~101、103、105、107を、実施例94と同様の合成方法と、表10に記載した配合モル比にて合成した。また、実施例102、104、106、108の化合物102、104、106、108を、実施例95と同様の合成方法と、表10に記載した配合モル比にて合成した。物性値を下記に示す。
<実施例96>化合物96の合成
【0240】
【化98】
FT-IR(KBr):3398cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1560cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.86-0.92 (m, 6H, N+C(CH2OH)2CH2CH 3 , CH 3 CH2CH2), δ 1.44 (m, 2H, N+C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.78-2.96 (m, 6H, N+CH 2CH(OH)), δ 3.61-3.78 (m, 10H, N+C(CH 2 OH)2CH2CH3, N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.83-3.88 (m, 3H, N+CH2CH(OH)). δ 2.51 (s, 4H, HOOCCH 2 CH 2 COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 9.6 (N+C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 24.6 (N+C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 43.6 (N+ C(CH2OH)2CH2CH3), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 60.2 (N+C(CH2OH)2CH2CH3), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 71.1 (N+CH2 CH(OH)CH2OH). δ 31.4 (HOOCCH2 CH2COO-), δ 179.7 (COOH, COO-).
<実施例97>化合物97の合成
【0241】
【化99】
FT-IR(KBr):3398cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動 1715cm-1:COOH伸縮振動 1560cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.86-0.92 (m, 6H, N+C(CH2OH)2CH2CH 3 , CH 3 CH2CH2), δ 1.44 (m, 2H, N+C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.78-2.96 (m, 6H, N+CH 2CH(OH)), δ 3.61-3.78 (m, 10H, N+C(CH 2 OH)2CH2CH3, N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.83-3.88 (m, 3H, N+CH2CH(OH)). δ 2.66-2.83 (m, 4H, HOOCCH 2 C(OH)(COOH)CH 2 COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 9.6 (N+C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 24.6 (N+C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 43.6 (N+ C(CH2OH)2CH2CH3), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 60.2 (N+C(CH2OH)2CH2CH3), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 71.1 (N+CH2 CH(OH)CH2OH). δ 43.7 (HOOCCH2C(OH)(COOH)CH2COO-), δ 73.8 (HOOCCH2 C(OH)(COOH)CH2COO-), δ 174.7 (HOOCCH2C(OH)(COOH)CH2 COO-) , δ 178.6 (HOOCCH2C(OH)(COOH)CH2COO-).
<実施例98>化合物98の合成
【0242】
【化100】
FT-IR(KBr):3398cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動 1560cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.86-0.92 (m, 6H, N+C(CH2OH)2CH2CH 3 , CH 3 CH2CH2), δ 1.44 (m, 2H, N+C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.78-2.96 (m, 6H, N+CH 2CH(OH)), δ 3.61-3.78 (m, 10H, N+C(CH 2 OH)2CH2CH3, N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.83-3.88 (m, 3H, N+CH2CH(OH)). δ 6.80-6.86 (m, 2H, C(OH)CHCH, C(COO-)CHCHCH), δ 7.35-7.39 (m, 1H, CHCHC(OH)), δ 7.68-7.73 (m, 1H, C(COOH)CHCH).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 9.6 (N+C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 24.6 (N+C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 43.6 (N+ C(CH2OH)2CH2CH3), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 60.2 (N+C(CH2OH)2CH2CH3), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 71.1 (N+CH2 CH(OH)CH2OH). δ 116.2 (C(OH)CHCH), δ 118.0 (CHC(COO-)C(OH)), δ 119.3 (C(COO-)CHCHCH), δ 130.5 (C(COO-)CHCH), δ 133.9 (CHCHC(OH)), δ 159.6 (CC(OH)C), δ 175.5 (CCOO-).
<実施例99>化合物99の合成
【0243】
【化101】
FT-IR(KBr):3398cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動 1560cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.86-0.92 (m, 6H, N+C(CH2OH)2CH2CH 3 , CH 3 CH2CH2), δ 1.44 (m, 2H, N+C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.78-2.96 (m, 6H, N+CH 2CH(OH)), δ 3.61-3.78 (m, 10H, N+C(CH 2 OH)2CH2CH3, N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.83-3.88 (m, 3H, N+CH2CH(OH)). δ 0.99 (s, 3H, CH 3 CH2OCH2COO-), δ 3.34-3.39 (q, 2H, CH3CH 2 OCH2COO-), δ 3.49-3.64 (m, 2H, CH3CH2OCH 2 COO-).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 9.6 (N+C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 24.6 (N+C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 43.6 (N+ C(CH2OH)2CH2CH3), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 60.2 (N+C(CH2OH)2CH2CH3), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 71.1 (N+CH2 CH(OH)CH2OH). δ 14.0 (CH3CH2O),δ 66.4 (CH3 CH2O), δ 69.1 (CH3CH2OCH2COO-), δ 178.1 (CH3CH2OCH2 COO-).
<実施例100>化合物100の合成
【0244】
【化102】
FT-IR(KBr):3398cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動 1665cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.86-0.92 (m, 6H, N+C(CH2OH)2CH2CH 3 , CH 3 CH2CH2), δ 1.44 (m, 2H, N+C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.78-2.96 (m, 6H, N+CH 2CH(OH)), δ 3.61-3.78 (m, 10H, N+C(CH 2 OH)2CH2CH3, N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.83-3.88 (m, 3H, N+CH2CH(OH)).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 9.6 (N+C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 24.6 (N+C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 43.6 (N+ C(CH2OH)2CH2CH3), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 60.2 (N+C(CH2OH)2CH2CH3), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 71.1 (N+CH2 CH(OH)CH2OH). δ 114.6 (CF3COO-), δ 165.1 (CF3 COO-).
<実施例101>化合物101の合成
【0245】
【化103】
FT-IR(KBr):3398cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.86-0.92 (m, 6H, N+C(CH2OH)2CH2CH 3 , CH 3 CH2CH2), δ 1.44 (m, 2H, N+C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.78-2.96 (m, 6H, N+CH 2CH(OH)), δ 3.61-3.78 (m, 10H, N+C(CH 2 OH)2CH2CH3, N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.83-3.88 (m, 3H, N+CH2CH(OH)).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 9.6 (N+C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 24.6 (N+C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 43.6 (N+ C(CH2OH)2CH2CH3), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 60.2 (N+C(CH2OH)2CH2CH3), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 71.1 (N+CH2 CH(OH)CH2OH).
<実施例102>化合物102の合成
【0246】
【化104】
FT-IR(KBr):3344cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 3.00-3.23 (m, 8H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 N+, N+CH 2CH(OH)), δ 3.51-3.74 (m, 11H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2N+ , N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.94-3.98 (m, 3H, N+CH2CH(OH)), δ 4.03-4.09 (m 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 43.2 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 64.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+),δ 70.7-72.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2N+, N+CH2 CH(OH)CH2OH).
<実施例103>化合物103の合成
【0247】
【化105】
FT-IR(KBr):3398cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.86-0.92 (m, 6H, N+C(CH2OH)2CH2CH 3 , CH 3 CH2CH2), δ 1.44 (m, 2H, N+C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.78-2.96 (m, 6H, N+CH 2CH(OH)), δ 3.61-3.78 (m, 10H, N+C(CH 2 OH)2CH2CH3, N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.83-3.88 (m, 3H, N+CH2CH(OH)). δ 2.75 (s, 3H, CH 3 SO3 -).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 9.6 (N+C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 24.6 (N+C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 43.6 (N+ C(CH2OH)2CH2CH3), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 60.2 (N+C(CH2OH)2CH2CH3), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 71.1 (N+CH2 CH(OH)CH2OH). δ 38.5 (CH3SO3 -).
<実施例104>化合物104の合成
【0248】
【化106】
FT-IR(KBr):3344cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 3.00-3.23 (m, 8H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 N+, N+CH 2CH(OH)), δ 3.51-3.74 (m, 11H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2N+ , N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.94-3.98 (m, 3H, N+CH2CH(OH)), δ 4.03-4.09 (m 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+).δ 2.75 (s, 3H, CH 3 SO3 -).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 43.2 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 64.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+),δ 70.7-72.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2N+, N+CH2 CH(OH)CH2OH). δ 38.5 (CH3SO3 -).
<実施例105>化合物105の合成
【0249】
【化107】
FT-IR(KBr):3398cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.86-0.92 (m, 6H, N+C(CH2OH)2CH2CH 3 , CH 3 CH2CH2), δ 1.44 (m, 2H, N+C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.78-2.96 (m, 6H, N+CH 2CH(OH)), δ 3.61-3.78 (m, 10H, N+C(CH 2 OH)2CH2CH3, N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.83-3.88 (m, 3H, N+CH2CH(OH)).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 9.6 (N+C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 24.6 (N+C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 43.6 (N+ C(CH2OH)2CH2CH3), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 60.2 (N+C(CH2OH)2CH2CH3), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 71.1 (N+CH2 CH(OH)CH2OH).
<実施例106>化合物106の合成
【0250】
【化108】
FT-IR(KBr):3344cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 3.00-3.23 (m, 8H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 N+, N+CH 2CH(OH)), δ 3.51-3.74 (m, 11H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2N+ , N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.94-3.98 (m, 3H, N+CH2CH(OH)), δ 4.03-4.09 (m 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 43.2 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 64.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+),δ 70.7-72.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2N+, N+CH2 CH(OH)CH2OH).
<実施例107>化合物107の合成
【0251】
【化109】
FT-IR(KBr):3398cm-1:O-H伸縮振動 2922cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 0.86-0.92 (m, 6H, N+C(CH2OH)2CH2CH 3 , CH 3 CH2CH2), δ 1.44 (m, 2H, N+C(CH2OH)2CH 2 CH3), δ 2.78-2.96 (m, 6H, N+CH 2CH(OH)), δ 3.61-3.78 (m, 10H, N+C(CH 2 OH)2CH2CH3, N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.83-3.88 (m, 3H, N+CH2CH(OH)).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 9.6 (N+C(CH2OH)2CH2 CH3), δ 24.6 (N+C(CH2OH)2 CH2CH3), δ 43.6 (N+ C(CH2OH)2CH2CH3), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 60.2 (N+C(CH2OH)2CH2CH3), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 71.1 (N+CH2 CH(OH)CH2OH).
<実施例108>化合物108の合成
【0252】
【化110】
FT-IR(KBr):3344cm-1:O-H伸縮振動 2920cm-1:C-H伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz): δ 3.00-3.23 (m, 8H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH 2 N+, N+CH 2CH(OH)), δ 3.51-3.74 (m, 11H, HOCH 2 (CH(OH))3CH(OH)CH2N+ , N+CH2CH(OH)CH 2 OH), δ 3.94-3.98 (m, 3H, N+CH2CH(OH)), δ 4.03-4.09 (m 1H, HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+).
13C-NMR (D2O 100MHz): δ 43.2 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+), δ 45.8 (N+ CH2CH(OH)), δ 62.8 (N+CH2CH(OH)CH2OH), δ 64.7 (HOCH2(CH(OH))3CH(OH)CH2N+),δ 70.7-72.9 (HOCH2(CH(OH))3 CH(OH)CH2N+, N+CH2 CH(OH)CH2OH).
<実施例109>化合物109の合成
【0253】
【化111】
表6に示した実施例109の化合物109を、実施例1と同様の合成方法と、表10に記載した配合モル比にて合成した。物性値を下記に示す。
FT-IR(KBr):3145cm-1:O-H伸縮振動 2946cm-1:C-H伸縮振動 1572cm-1:COO-伸縮振動
1H-NMR (D2O 400MHz):δ 2.28 (s, 4H, -OOCCH 2 CH 2 COO-), δ 3.61 (s, 12H, NH3 +C(CH 2 OH)3).
13C-NMR (D2O 100MHz):δ 34.0(-OOCCH2 CH2COO-), δ 59.4 (NH3 + C(CH2OH)3), δ 61.3 (NH3 +C(CH2OH)3), δ 182.3 (COO-).
【0254】
【表1】
【0255】
【表2】
【0256】
【表3】
【0257】
【表4】
【0258】
【表5】
【0259】
【表6】
【0260】
<比較例1>化合物110
トリブチルアンモニウム乳酸塩
特開2014-131974号公報に記載の方法で合成した。
【0261】
<比較例2>化合物111
コリン酢酸塩
特開2014-131974号公報に記載の方法を参考に、水酸化コリンと酢酸を用いて合成した。
【0262】
<比較例3>化合物112
1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムブロマイド
特開2016-041682号公報に記載の方法を参考に、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートとイオン交換樹脂、臭化水素酸を用いて合成した。
【0263】
<比較例4>化合物113
D(+)-グルコースとして、関東化学株式会社製の試薬を用いた。
【0264】
<比較例5>化合物114
ゼラチンとして、ニッピペプタイドFCP-AS-L(株式会社ニッピ製)を用いた。
【0265】
<比較例6>化合物115
アルブミンとして、ナカライテスク株式会社製(牛由来、一般グレード、pH5.2)を用いた。
【0266】
<比較例7>化合物116
ウレアーゼとして、和光純薬工業株式会社製の試薬(ナタ豆由来)を用いた。
【0267】
<比較例8>化合物117
ウレアーゼ用のバッファーとして、水酸化ナトリウムでpH7.5に調製したリン酸二水素カリウムの10mM水溶液を用いた。
【0268】
<比較例9>化合物118
シトクロムCとして、ナカライテクス株式会社製の試薬(Horse Heart 分子量12384)を用いた。
【0269】
<比較例10>化合物119
シトクロムC、DNA用のバッファーとして、50mMリン酸2水素カリウム及び50mMリン酸水素2カリウムで調製したpH7.4の50mMリン酸バッファーを用いた。
【0270】
<比較例11>化合物120
特開2014-131974号公報に記載の方法で作成したDNAを用いた。
<比較例12>化合物121
臭化テトラ-n-ブチルアンモニウムとして、関東化学株式会社製の試薬を用いた。
【0271】
<参考例1>化合物122
特開2014-131974号公報に記載の方法で合成した。
【0272】
<参考例2>化合物123
特開2014-131974号公報に記載の方法で合成した。
【0273】
上記の実施例及び比較例の化合物について、次の測定及び評価を行った。
1.室温(25℃)での性状
実施例1~109の化合物について、スクリュ-管に添加して減圧乾燥させ無水物として、室温(25℃)での性状(液体、固体)を確認した。結果を表7~10に示す。なお表7~10中の"solid"は室温(25℃)で固体であることを示す。減圧乾燥処理の結果、実施例1~109の化合物は、いずれも室温(25℃)で固体であった。
【0274】
よって、本発明の有機アンモニウム塩は、従来の有機アンモニウム塩に比べ、ポリヒドロキシアルキル基とすることで、分子内の水素結合が強固なカチオン構造となり、結晶化しやすくなるため、構造設計において官能基や特性基の選択による融点への影響及び広い範囲の各種アニオンを適用できることが判明した。
【0275】
【表7】
【0276】
【表8】
【0277】
【表9】
【0278】
【表10】
【0279】
2.酵素長期安定性(1)
表11記載の化合物を安定化剤として用い、化合物の50%水溶液を作成し、表11記載の酵素濃度となるようにウレアーゼを加えて溶解させた後、水を減圧留去した。減圧留去後、得られた固体サンプルを、一般的に酵素を保存する温度、湿度より高い40℃、80%RHの条件に設定した恒温恒湿器に放置した。所定期間放置した後、各サンプルを採取し、下記方法を用いて、それぞれの化合物中に保存した酵素の活性保持率を測定することで、各化合物の酵素における立体構造の保持性、安定化効果を確認した。
【0280】
<加水分解酵素:ウレアーゼの活性測定>
ウレアーゼの活性は、ウレアーゼの酵素反応によって、尿素から分解生成するアンモニウムイオンをインドフェノール法によって定量して測定した。
【0281】
まず、三角フラスコに1mMの基質溶液(pH7.5の10mMリン酸緩衝液に基質となる尿素を溶解して調製)を100mL取り、30℃で約30分間予備加温した。
【0282】
次に、表11中に記載の設定濃度及び温度で、所定期間放置したサンプルを、酵素量が0.5mgとなるように上記の基質溶液に加え、30℃で60分間反応させた。
【0283】
反応後、反応溶液を0.1mL採取し、直ちにフェノール溶液(イオン交換水にフェノール10gとペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム50mgを溶解した後、イオン交換水で1000mLにメスアップして調製)2mLと、次亜塩素酸ナトリウム溶液(イオン交換水に水酸化ナトリウム5gと5%の次亜塩素酸ナトリウム溶液8.4mLを溶解した後、イオン交換水で1000mLにメスアップして調製)2mLを加え、37℃の恒温槽中で20分間反応させた。
【0284】
この反応液の波長635nmの吸光度を紫外可視分光光度計(V-550:日本分光株式会社)で測定し、得られたインドフェノール量からアンモニウムイオンの生成量を求めて、ウレアーゼ活性を算出した。アンモニウムイオンの定量は、0.1~3.0mMの濃度範囲でアンモニウムイオン溶液を調製して、上記と同様にインドフェノール法で定量して得られた検量線を用いた。
【0285】
なお、酵素活性保持率の基準となる酵素活性の値は、次のように算出した。適正温度で保存したウレアーゼ粉末をバッファー(pH7.5の10mMリン酸緩衝液)に溶解して酵素濃度50mg/mLの酵素溶液を調製した。調製後、直ちにその溶液を、上記と同様に、酵素量が0.5mgとなるように基質溶液に加え、酵素反応を行った後、インドフェノール法で定量したアンモニウムイオン量を基準として、酵素活性保持率を算出した。
【0286】
表11の40℃の条件の結果では、イミダゾリム系有機アンモニウム塩、一般的な添加剤中で保存した酵素並びに添加剤を加えていない酵素は、30日後には0~3%の活性保持率に低下したのに対して、本発明の化合物は、30日後には、いずれの安定化剤:酵素の割合の条件においても、比較例よりも高い活性保持率を示した。
【0287】
また、25℃で液体の参考例1、2は、安定化剤:酵素の割合が1:1、0.1:1では酵素が溶解できず保存が困難であったが、本発明の化合物は固体同士を混合するため、酵素を高濃度で保存することが可能となった。
つまり、高濃度、高温、長期間の条件下において、本発明の化合物は酵素の活性を保持し、酵素の立体構造の高い保持性を有することが示唆された。
【0288】
【表11】
表12中の化合物の50%水溶液を作成し、表12記載の酵素濃度となるようにウレアーゼを加えて溶解させた後、一般的に酵素を保存する温度、湿度より高い40℃、80%RHの条件に設定した恒温恒湿器に放置した。所定期間放置した後、各サンプルを採取し、下記方法を用いて、それぞれの化合物中に保存した酵素の活性保持率を測定することで、各化合物の酵素における立体構造の保持性、安定化効果を確認した。
【0289】
表12の水溶液状態における40℃の条件の結果では、イミダゾリム系有機アンモニウム塩、一般的な添加剤の50%水溶液及びバッファー中で保存した酵素は、30日後には0~2%の活性保持率に低下したのに対して、本発明の化合物を添加した50%水溶液は、30日後には、比較例よりも高い活性保持率を示した。
【0290】
つまり、高濃度、高温、長期間の条件下において、本発明の化合物は、固体状態だけでなく、水溶液においても酵素の活性を保持し、酵素の立体構造の高い保持性を有することが示唆された。
【0291】
【表12】
【0292】
3.タンパク質長期安定性
表13中の化合物の50%水溶液を作成し、表13記載のタンパク質濃度となるようにシトクロムCを加えて溶解させた後、水を減圧留去した。減圧留去後、得られた固体サンプルを、一般的にタンパク質を保存する温度、湿度より高い40℃、80%RHの条件に設定した恒温恒湿器に放置した。所定期間放置した後、各サンプルを採取し、下記方法を用いて、それぞれの化合物中に保存したタンパク質のIRスペクトル、UVスペクトルを測定することで、タンパク質の長期安定性を確認した。
【0293】
まず、IRスペクトルによるアミド吸収の変化を詳細に確認し、タンパク質の高次構造(ターン、α-へリックス、ランダムコイル、β-シート)を確認した。アミドI領域(1600-1700cm-1)、アミドII領域(1500-1600cm-1)をフーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR-6100:日本分光株式会社)によるATR法を用いて測定し、シトクロムC未添加の有機アンモニウム塩試料(ブランク)とシトクロムCを添加した有機アンモニウム塩試料(サンプル)の差からピークを検出した。
【0294】
また、UVスペクトルの吸収により、シトクロムCの活性状態(Fe2+:還元型、Fe3+:酸化型)を確認した。シトクロムCを添加した有機アンモニウム塩試料をpH7.4の50mMリン酸バッファー(50mMリン酸2水素カリウム及び50mMリン酸水素2カリウムで調製)で1%に希釈した直後に、紫外可視分光光度計で光路幅2mmの石英セルにて測定した。
結果を表13に示した。タンパク質に対して長期安定性を示すものを:○、長期安定性を有さないものを:×とした。
【0295】
IRスペクトルによるアミド吸収の同定では、タンパクの高次構造を文献値(Chem.Commun 2005, 4804-4806、Biomacromolecules 2010, 11, 2944-2948、蛋白質科学会アーカイブ,2,e054(2009))と対比して確認した。添加前のシトクロムCの粉末をIR測定したところ、アミドI領域の1645cm-1並びにアミドII領域の1537cm-1に吸収が認められ、ラン
ダムコイルに変性していた。次に、リン酸バッファー中のシトクロムCは変性せず(アミドI領域:1653cm-1、アミドII領域:1547cm-1)、α-へリックス構造であ
ることを確認した。実施例の有機アンモニウム塩中のシトクロムCは、リン酸バッファーと同等の測定結果(アミドI領域:1652-1655cm-1、アミドII領域:1545
-1549cm-1)となったことから、いずれも実施例の有機アンモニウム塩中で保存したシトクロムCは、変性した構造ではなく、α-ヘリックス構造を維持していることを確認した。つまり、本発明品の有機アンモニウム塩を用いて不活性な変性状態のタンパク質(シトクロムC)の固体を溶解することで、タンパク質の活性を発現することから、リフォールティングの効果を発現してシトクロムCを変性することなく保持していることを示した。
【0296】
シトクロムCは細胞内の電子伝達の際にFe2+(還元型)とFe3+(酸化型)に可逆的に状態が変わり、活性状態では二次構造を維持し、UVスペクトルの吸収において還元型はα帯で550nm、β帯で521nm、γ帯で415nm付近にそれぞれピークを持ち、酸化型ではα帯とβ帯は明確なピークがなくγ帯では396nm付近に低波長シフトする。失活状態では変性し、α帯とβ帯とγ帯のピークが消失する。比較例のピークと比較して実施例は、α帯、β帯、γ帯のそれぞれに還元型のピークを示した。これにより、本発明品の有機アンモニウム塩中で保存したシトクロムCは還元型の活性状態で、二次構造を維持していることが確認された。
【0297】
すなわち、本発明品は、高温条件下でも長期に渡りタンパク質を変性させない、優れたタンパク質の保存材料であり、さらに、タンパク質リフォールディング剤としても有用であることが示された。
【0298】
【表13】
さらに、表14の水溶液状態における40℃の条件の結果から、本発明の化合物を添加した50%水溶液においても、固体サンプル中の保存と同様に、リフォールティングの効果、二次構造の保持を発現していることが確認された。
【0299】
すなわち、本発明品は、水溶液として使用した場合においても、高温条件下でも長期に渡りタンパク質を変性させない、優れたタンパク質の保存材料であり、さらに、タンパク質リフォールディング剤としても有用であることが示された。
【0300】
【表14】
【0301】
4.DNA長期安定性
【0302】
表15中の化合物の50%水溶液を作成し、DNAを表15記載の濃度となるように加えて溶解させた後、水を減圧留去した。減圧留去後、得られた固体サンプルを、一般的にDNAを保存する温度、湿度より高い40℃、80%RHの条件に設定した恒温恒湿器に放置した。所定期間放置した後、各サンプルを採取し、下記方法を用いて、それぞれの化合物中に保存したDNAのUVスペクトルを測定することで、DNAの長期安定性を確認した。
【0303】
結果を表15に示した。DNAに対して長期安定性を示すものを:○、長期安定性を有さないものを:×とした。
【0304】
DNAは活性状態では二重らせん構造を維持し、UVスペクトルの吸収において260nm付近にピークを持つが、変性した場合、DNAのUV吸収の相対吸光度が大きく増加する。表15に示す実施例化合物はいずれも0.1wt%のDNA溶液とDNA未溶解の試料(ブランク)との差から、有機アンモニウム塩中のDNAの吸収を表すピークが258nmに得られ、水に溶解した(1wt%)DNAの吸収(259nm)と同様のピークであり、有機アンモニウム塩中に溶解したDNAは活性状態の二重らせん構造を保持していることを確認した。
【0305】
すなわち、本発明品は、DNAに対する保存安定性に優れ、DNAなどの核酸の保存材料として有用であることが示された。
【0306】
【表15】
【0307】
さらに、表16の水溶液状態における40℃の条件の結果から、本発明の化合物を添加した50%水溶液においても、固体サンプル中の保存と同様に、DNAは活性状態の二重らせん構造を保持していることが確認された。
【0308】
すなわち、本発明品は、水溶液として使用した場合においても、DNAに対する保存安定性に優れ、DNAなどの核酸の保存材料として有用であることが示された。
【0309】
【表16】
【0310】
5.酵素長期安定性(2)
表17中の溶解溶液から溶媒留去試料の作成方法は、化合物の50%水溶液を作成し、ウレアーゼを表17記載の酵素濃度となるように加えて溶解させた後、水を減圧留去して固体サンプルを得た。一方、乳鉢で混合は、本発明品と表17記載の酵素濃度のウレアーゼを、乳鉢で混合させ、固体サンプルを得た。
【0311】
そして、各サンプルを、一般的に酵素を保存する温度、湿度より高い40℃、80%RHの条件に設定した恒温恒湿器に放置した。所定期間放置した後、各サンプルを採取し、下記方法を用いて、それぞれの化合物中に保存した酵素の活性保持率を測定することで、各化合物の酵素における立体構造の保持性、安定化効果を確認した。
【0312】
乳鉢で混合したサンプルと比べて溶解溶液から作成した固体サンプルの方が、高い活性保持率を示した。以上の結果より、本発明品と酵素を溶解することで、酵素内部の立体構造を保持することが可能となり、高い活性保持性を示す生体試料処理剤を得ることが可能となった。
【0313】
【表17】
【0314】
6.金属酸化物分散性試験
表18に示す各実施例、比較例の化合物について、各化合物0.25gと水0.50g、酸化ジルコニウム(IV)(和光純薬工業(株))0.10gとを自転公転ミキサー((株)シンキー、ARE-310)で2000rpm、1min×5回混合した後の分散状態を目視で確認した。酸化ジルコニウムが分散しているものを○、分散せず沈降している状態を×で評価した。結果を表18に示す。
【0315】
実施例の化合物はいずれも酸化ジルコニウムを良好に分散し、分散液が得られた。一方、比較例12の化合物は直ちに酸化ジルコニウムが沈降し分散しなかった。
【0316】
すなわち、本発明の有機アンモニウム塩は、第4級アンモニウムカチオンに、水素結合供与性及び配位性の水酸基を多く持つカチオンで構成された構造的特徴を活かして、水素結合受容性の酸化ジルコニウムの酸素原子との親和性が高くなり、更に、4級アンモニウム塩のヒドロキシ基と配位性の酸化ジルコニウムの金属原子との親和性により、酸化ジルコニウムを良好に分散したと考えられる。
【0317】
【表18】
表19に示す各実施例、比較例の化合物について、各化合物0.25gと水0.50g、酸化チタン(IV)(和光純薬工業(株))0.10gとを自転公転ミキサー((株)シンキー、ARE-310)で2000rpm、1min×5回混合した後の分散状態を目視で確認した。酸化チタンが分散しているものを○、分散せず沈降している状態を×で評価した。結果を表19に示す。
【0318】
実施例の化合物はいずれも酸化チタンを良好に分散し、分散液が得られた。一方、比較例12の化合物は酸化チタンが沈降し分散性が低かった。
【0319】
すなわち、本発明の有機アンモニウム塩は、第4級アンモニウムカチオンに、水素結合供与性及び配位性の水酸基を多く持つカチオンで構成された構造的特徴を活かして、水素結合受容性の酸化チタンの酸素原子との親和性が高くなり、更に、4級アンモニウム塩のヒドロキシ基と配位性の酸化チタンの金属原子との親和性により、酸化チタンを良好に分散したと考えられる。
【0320】
この結果から、本発明の有機アンモニウム塩は、水素結合受容性官能基をもつ金属や金属酸化物などの無機系材料との親和性に優れ、それら無機系材料の処理剤、化粧品等に有用であることが示唆された。
【0321】
【表19】
【0322】
7.カーボンナノチューブ分散性試験
表20に示す各実施例、比較例の化合物について、各化合物0.25gと水0.75gカーボンナノチューブ(多層、3~20nm)(和光純薬工業(株))0.025gとを自転公転ミキサー((株)シンキー、ARE-310)で2000rpm、1min×5回混合した後の分散状態を目視で確認した。カーボンナノチューブが分散しているものを○、分散せず沈降している状態を×で評価した。結果を表20に示す。
【0323】
その結果、実施例化合物はいずれもカーボンナノチューブを良好に分散し、ハンドリングが良い低粘度の分散液が得られた。一方、比較例12の化合物はカーボンナノチューブが沈降し分散しなかった。
【0324】
すなわち、本発明の有機アンモニウム塩は、第4級アンモニウムカチオンに、水素結合供与性の水酸基を多く持つカチオンで構成された構造的特徴を活かして、水素結合受容性のカーボンナノチューブの炭素-炭素不飽和結合(π電子系)との親和性が高くなり、カーボンナノチューブを良好に分散したと考えられる。
【0325】
この結果から、本発明の有機アンモニウム塩は、炭素-炭素不飽和結合を有する化合物や材料との親和性に優れ、そのような材料の処理剤に有用であることが示唆された。
【0326】
【表20】
【0327】
8.有機染料分散性試験
表21に示す各実施例、比較例の化合物について、各化合物0.2gと水0.7g、有機染料バリファストブラック3830(オリエント化学工業製)0.1gとを超音波分散後、24時間放置し、混合した24時間後の分散状態を目視で確認した。有機染料が分散しているものを○、目視で粒が沈降している状態を×で評価した。結果を表21に示す。
その結果、実施例化合物はいずれも有機染料を良好に分散し、均一な分散液が得られた。一方、比較例12の化合物は有機染料が沈降し分散しなかった。
【0328】
すなわち、本発明の有機アンモニウム塩は、第4級アンモニウムカチオンに、水素結合供与性及び配位性の水酸基を多く持つカチオンで構成された構造的特徴を活かして、水素結合受容性の有機染料の窒素原子、酸素原子との親和性が高くなり、更に、4級アンモニウム塩のヒドロキシ基と配位性の有機染料の金属原子(クロム)との親和性が高くなり、良好に分散したと考えられる。
【0329】
この結果から、本発明の有機アンモニウム塩は、有機染料をはじめとする水素結合受容性官能基を持つ有機化合物や材料の処理剤に有用であることが示唆された。
【0330】
【表21】
【0331】
9.再分散性
表22に示した実施例28、36、48、109、比較例12の酸化ジルコニウム、酸化チタン、有機染料バリファストブラック3830の分散液を50℃で3時間減圧脱水を行い、乾燥状態の化合物を得た。そこに、酸化ジルコニウム、酸化チタンのサンプルには水を0.50g、有機染料バリファストブラック3830のサンプルには水0.7gを加えて自転公転ミキサー((株)シンキー、ARE-310)で2000rpm、1min×5回混合した後の分散状態を目視で確認した。その結果、実施例化合物はいずれも良好に分散し、均一な分散液が得られた。一方、比較例の化合物は、ミキサーで混合後、すぐに沈降物が見られた。
【0332】
この結果より、分散後の化合物を乾燥させた後、再度分散を行っても、良好に分散したことを確認した。また、本発明の有機アンモニウム塩の水溶液に金属酸化物、有機染料を加えて分散させた系の分散方法に加え、粉末状態に水を加えて分散させた系においても良好に分散したことから、水素結合受容性官能基を持つ有機化合物や材料の処理剤、化粧品等の再分散が可能となり、これらの用途に有用であることが示唆された。
【0333】
また、化合物原料のアミン化合物、酸には医薬部外品原料規格に登録されている化合物を用いているため、安全性が高く、これらの用途において有効であることが示唆された。
【0334】
【表22】
【0335】
10.金属酸化物分散性試験2
表23に示す各実施例、比較例の化合物について、各化合物0.25gと水0.50g、酸化亜鉛(石原産業(株))0.10gとを自転公転ミキサー((株)シンキー、ARE-310)で2000rpm、1min×5回混合した後の分散状態を目視で確認した。酸化亜鉛が分散しているものを○、分散せず沈降している状態を×で評価した。結果を表23に示す。
【0336】
実施例の化合物はいずれも酸化亜鉛を良好に分散し、分散液が得られた。一方、比較例12の化合物は直ちに酸化亜鉛が沈降し分散しなかった。
【0337】
すなわち、本発明の有機アンモニウム塩は、第4級アンモニウムカチオンに、水素結合供与性及び配位性の水酸基を多く持つカチオンで構成された構造的特徴を活かして、水素結合受容性の酸化亜鉛の酸素原子との親和性が高くなり、更に、4級アンモニウム塩のヒドロキシ基と配位性の酸化亜鉛の金属原子との親和性により、酸化亜鉛を良好に分散したと考えられる。
【0338】
【表23】
【0339】
11.金属酸化物分散性試験3
表24に示す各実施例、比較例の化合物について、各化合物0.25gと水0.50g、チタン酸バリウム(関東化学(株))0.10gとを自転公転ミキサー((株)シンキー、ARE-310)で2000rpm、1min×5回混合した後の分散状態を目視で確認した。チタン酸バリウムが分散しているものを○、分散せず沈降している状態を×で評価した。結果を表24に示す。
【0340】
実施例の化合物はいずれもチタン酸バリウムを良好に分散し、分散液が得られた。一方、比較例12の化合物は直ちにチタン酸バリウムが沈降し分散しなかった。
【0341】
すなわち、本発明の有機アンモニウム塩は、第4級アンモニウムカチオンに、水素結合供与性及び配位性の水酸基を多く持つカチオンで構成された構造的特徴を活かして、水素結合受容性のチタン酸バリウムの酸素原子との親和性が高くなり、更に、4級アンモニウム塩のヒドロキシ基と配位性の酸化亜鉛の金属原子との親和性により、チタン酸バリウムを良好に分散したと考えられる。
【0342】
【表24】