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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】アミノ安息香酸類水酸化反応の評価方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/26 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
C12Q1/26 ZNA
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019233554
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021101628
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野中 鏡士朗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 史員
【審査官】小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-283163(JP,A)
【文献】J. Biotechnol.,1999年,Vol. 72,p. 141-149
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00 - 1/70
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素又は微生物を用いてアミノ安息香酸類を水酸化してアミノヒドロキシ安息香酸類を製造する反応において、アミノヒドロキシ安息香酸類の酸化誘導体を検出する工程を含む、アミノ安息香酸類の水酸化反応の評価方法であって、アミノ安息香酸類が4-アミノ安息香酸類、アミノヒドロキシ安息香酸類が4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類であり、酸化誘導体が反応液とラッカーゼを接触させることにより誘導される酸化誘導体である、方法。
【請求項2】
4-アミノ安息香酸類が、下記の一般式(1):
【化1】
〔式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、メチル基、エチル基を示し、Rは水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、メチル基、エチル基を示し、 水素原子又はカルボキシ基を示し、X はカルボキシ基を示す。〕
で示されるアミノ安息香酸誘導体であり、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類が下記の一般式(2):
【化2】
〔式中、R、R、X及びXは前記と同じものを示す。〕
で示されるアミノヒドロキシ安息香酸誘導体である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
水酸化反応が微生物を用いた発酵である、請求項1又は2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアミノ安息香酸類を水酸化してアミノヒドロキシ安息香酸類を生産する反応の反応性を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリベンズオキサゾール(PBO)は耐熱性や力学強度に優れたエンジニアリングプラスチックとして知られており、繊維材料及び半導体素子の絶縁膜等に利用される(非特許文献1)。ベンズオキサゾール骨格はo-アミノフェノール骨格とカルボン酸との縮合により生成されることから、これらの官能基を分子内に有する4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸(以下、4,3-AHBAという。)や3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸(以下、3,4-AHBAという。)のようなアミノヒドロキシ安息香酸類はPBOモノマーとして有用であると期待されている(特許文献1、非特許文献2)。
【0003】
また、近年、地球環境負荷軽減等に向けて再生可能資源を原料とした微生物発酵による化合物の製造方法が注目されている。
【0004】
斯かる状況の下、本出願人は、特定の4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素を産生する微生物がアミノ安息香酸類を効率よく水酸化できることを見出し、特許出願している(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許4381132号公報
【文献】特願2018-171849
【非特許文献】
【0006】
【文献】村瀬浩貴,SENI GAKKAISHI(繊維と工業), Vol.66, No.6 (2010)
【文献】Lon J. Mathias et al., Macromolecules, Vol.18, No.4, pp.616-622 (1985)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、アミノ安息香酸類を水酸化してアミノヒドロキシ安息香酸類を生産する反応の反応性を評価する方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題に鑑み検討したところ、アミノ安息香酸類からアミノヒドロキシ安息香酸類を製造する水酸化反応において、アミノヒドロキシ安息香酸類を酸化誘導体へ変換した場合、その呈色度又は蛍光強度とアミノヒドロキシ安息香酸類の量がよく相関し、当該呈色度又は蛍光強度から水酸化反応の反応性を評価できることを見出した。
【0009】
すなわち、酵素又は微生物を用いてアミノ安息香酸類を水酸化してアミノヒドロキシ安息香酸類を製造する反応において、アミノヒドロキシ安息香酸類の酸化誘導体を検出する工程を含む、アミノ安息香酸類の水酸化反応の評価方法、を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、酵素又は微生物が有するアミノ安息香酸類水酸化活性を利用してアミノヒドロキシ安息香酸類を製造する際に、当該反応の反応性能、すなわち反応に作用する酵素の酵素活性や発酵生産性、具体的には酵素又は微生物が有するアミノ安息香酸類水酸化活性を簡便に評価することができる。本発明の方法を用いることにより、アミノ安息香酸類水酸化活性を有する酵素又はそれを生産する微生物を効率的にスクリーニングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の含有比とその酸化誘導体の呈色度との相関を示すグラフ。
図2】4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の含有比とその酸化誘導体の蛍光強度との相関を示すグラフ。
図3】培養液上清中の4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸濃度とその酸化誘導体の呈色度との相関を示すグラフ。
図4】培養液上清中の4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸濃度とその酸化誘導体の蛍光強度との相関を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のアミノ安息香酸類の水酸化反応の評価方法は、酵素又は微生物を用いてアミノ安息香酸類を水酸化してアミノヒドロキシ安息香酸類を製造する反応において、アミノヒドロキシ安息香酸類の酸化誘導体を検出する工程を含むものである。
本発明において、「酵素又は微生物を用いてアミノ安息香酸類を水酸化してアミノヒドロキシ安息香酸類を製造する反応」とは、酵素又は微生物が保有するアミノ安息香酸類を水酸化してアミノヒドロキシ安息香酸類に変換する触媒活性、すなわちアミノ安息香酸類水酸化活性を利用して、アミノ安息香酸類からアミノヒドロキシ安息香酸類を製造する反応を意味する。
【0013】
ここで、アミノ安息香酸類としては、好ましくは4-アミノ安息香酸類又は3-アミノ安息香酸類が挙げられ、より好ましくは、下記一般式(1):
【0014】
【化1】
【0015】
〔式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基(-OH)、メトキシ基(-OCH)、アミノ基(-NH)、ハロゲン原子、カルボキシ基(-COOH)、メチル基(-CH)、エチル基(-CHCH)を示し、Rは水素原子、ヒドロキシ基(-OH)、メトキシ基(-OCH)、アミノ基(-NH)、ハロゲン原子、カルボキシ基(-COOH)、メチル基(-CH)、エチル基(-CHCH)を示し、X及びXは水素原子又はカルボキシ基であって少なくとも一方はカルボキシ基を示す。〕
で示されるアミノ安息香酸誘導体が挙げられる。
【0016】
また、アミノヒドロキシ安息香酸類としては、好ましくは、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類又は3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸類が挙げられ、より好ましくは下記の一般式(2):
【0017】
【化2】
【0018】
〔式中、R、R、X及びXは前記と同じものを示す。〕
で示されるアミノヒドロキシ安息香酸誘導体が挙げられる。
【0019】
式(1)又は(2)において、R及びRで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
【0020】
で示される官能基としては、水素原子、メトキシ基(-OCH)、フッ素原子(-F)、塩素原子(-Cl)、又はメチル基(-CH)が好ましい。
で示される官能基としては、水素原子、メトキシ基(-OCH)、フッ素原子(-F)、塩素原子(-Cl)、又はメチル基(-CH)が好ましい。
及びRは、共に水素原子であるのがより好ましい。
【0021】
本発明の水酸化反応に用いられる「酵素」は、アミノ安息香酸類を水酸化してアミノヒドロキシ安息香酸類に変換する触媒活性(アミノ安息香酸類水酸化活性)を有するポリペプチドを意味し、好ましくは、4-アミノ安息香酸類水酸化活性又は3-アミノ安息香酸類水酸化活性を有するポリペプチド、より好ましくは4-アミノ安息香酸類の3位を水酸化する活性又は3-アミノ安息香酸類の4位を水酸化する活性を有するポリペプチドが挙げられる。
斯かるアミノ安息香酸類水酸化活性を有するポリペプチドとしては、特に限定されないが、例えば、前記特許文献2に記載された、下記の(A)又は(B)のポリペプチドや、当該ペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは複数の位置での1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加等を含む配列を有し、且つアミノ安息香酸類水酸化活性を有するペプチド変異体又は人為的な改変体が挙げられる(例えば、特願2019-203523、特願2019-233484、特願2019-233485、後記参考例3等)。
【0022】
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素活性を有するポリペプチド
(B)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素活性を有するポリペプチド
【0023】
ここで、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(「HFM122」とも称する)、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド(「HFM689」とも称する)は、4-ヒドロキシ安息香酸-3-モノオキシゲナーゼ(EC1.14.13.2)として知られている。「4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素活性」とは、4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素が示す触媒活性を意味し、4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素とは4-ヒドロキシ安息香酸の水酸化を触媒する酵素、好ましくは4-ヒドロキシ安息香酸の3位を水酸化して、プロトカテク酸を生成する反応とその逆反応のいずれか又は両方を促進する触媒活性を有する4-ヒドロキシ安息香酸-3-モノオキシゲナーゼを意味する。4-ヒドロキシ安息香酸-3-モノオキシゲナーゼは、本来の基質である4-ヒドロキシ安息香酸の他に、類似する分子構造を有する4-アミノ安息香酸の3位の水酸化を触媒する活性を有することが知られている(例えば、Domenico L. Gatti et al., Biochemistry, Vol.35, No.2, pp.567-578 (1996))。斯かるHFM122及びHFM689は、本出願人により、4-アミノ安息香酸類の水酸化を触媒する活性、好ましくは4-アミノ安息香酸類の3位の水酸化を触媒する活性を有することが見出されている(前記特許文献2)。4-アミノ安息香酸水酸化活性は、当該特許文献2に記載の方法等により決定することができる。
【0024】
配列番号2又は4で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列の例としては、配列番号2又は4で示されるアミノ酸配列に対して1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列が挙げられる。
【0025】
ここで、アミノ酸配列に関する「少なくとも90%の同一性」とは、90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さらにより好ましくは98%以上、なお好ましくは99%以上の同一性をいう。
【0026】
また、「1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列」とは、1個以上10個以下、好ましくは1個以上8個以下、より好ましくは1個以上5個以下、さらに好ましくは1個以上3個以下のアミノ酸が欠失、置換、付加、又は挿入されたアミノ酸配列をいう。また、アミノ酸の「付加」には、配列の一末端及び両末端へのアミノ酸の付加が含まれる。
【0027】
本発明の水酸化反応に用いられる「微生物」としては、上記の酵素、すなわちアミノ安息香酸類水酸化活性を有するポリペプチドを産生する微生物を意味する。ここで、微生物は、アミノ安息香酸類水酸化活性を有するポリペプチドを本来発現するものでよく、またポリペプチドを発現するように組換えられたものでもよい。すなわち、微生物は、アミノ安息香酸類水酸化活性を有するポリペプチドの発現に必要なポリヌクレオチドを発現可能な状態で含むものであればよく、好ましくは、当該ポリヌクレオチドが発現可能なように導入された微生物、当該ポリヌクレオチドの発現が強化された微生物、すなわち遺伝子組換え微生物である。
微生物は、真菌、酵母、放線菌、大腸菌、枯草菌等のいずれであってもよいが、大腸菌、放線菌が好ましい。放線菌としては、コリネバクテリウム属菌、マイコバクテリウム属菌、ロドコッカス属菌、ストレプトマイセス属菌、プロピオニバクテリウム属菌等が挙げられ、好ましくはコリネバクテリウム属菌であり、より好ましくはコリネバクテリウム・グルタミカムである。
斯かる微生物としては、前述した(A)又は(B)のポリペプチドを産生する微生物(前記特許文献2)や、当該ペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは複数の位置での1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加等を含む配列を有し、且つアミノ安息香酸類水酸化活性を有するペプチド変異体又は人為的な改変体を産生する微生物(例えば、特願2019-203523、特願2019-233484、特願2019-233485、後記参考例3等)が例示できる。
【0028】
酵素又は微生物を用いたアミノヒドロキシ安息香酸類の製造反応は、アミノ安息香酸類を、酵素又は微生物と接触させることにより実施される。なお、微生物を用いる場合、アミノ安息香酸類は、菌体内で供給(生合成)されるものでもよく、外部から供給されるものでもよい。
【0029】
酵素又は微生物とアミノ安息香酸類との接触条件は、用いる酵素又は微生物に応じて適宜設計することができる。
微生物を用いる場合、微生物の培養物(培養液、培養上清、培養菌体、菌体の破砕物等が包含される)と菌体内又は菌体外のアミノ安息香酸類とを接触させるが、その方法は特に制限されず、微生物の培養中に接触させてもよく、培養後に別途接触させても良い。
【0030】
酵素を用いる場合、酵素は、当該酵素を産生する微生物を培養した培地成分等を含有した酵素含有水性液体を乾燥して得られたものでもよいが、これらを含有していない実質的に酵素自体から構成されるものでもよい。酵素としては、例えば、微生物を培養後、菌体を除去して製造された酵素含有水性液体から固定化したもの、もしくは酵素含有水性液体を粉末化したものを使用できる。
固定化酵素としては、酵素をシリカ、セライト、珪藻土、パーライト、ポリビニールアルコール、陰イオン交換樹脂、フェノール吸着樹脂、疎水性担体、陽イオン交換樹脂、キレート樹脂等の担体に固定化したものが挙げられる。粉末酵素は、酵素含有水性液体をスプレードライ、フリーズドライ、溶剤沈澱後の乾燥等の方法で乾燥、粉末化したものが挙げられる。
【0031】
接触条件は特に制限されないが、通常20℃~50℃で、5分~72時間、好ましくは1時間~60時間、より好ましくは1時間~24時間、必要に応じ撹拌又は振とうしながら行うことができる。
【0032】
本発明において、アミノ安息香酸類の水酸化反応の評価は、アミノヒドロキシ安息香酸類の酸化誘導体を検出することにより行われる。
アミノヒドロキシ安息香酸類の酸化誘導体は、反応液と酸化剤又は酸化触媒を接触させ、反応液中に生成したアミノヒドロキシ安息香酸類と酸化剤又は酸化触媒を反応させることにより誘導できる。
水酸化反応が微生物を用いた反応である場合、培養液をそのまま、或いは遠心分離等により菌体を除去した後に、酸化誘導に供することができる。なお、アミノヒドロキシ安息香酸類が主に菌体内に生産される場合には、通常知られている方法、例えば、菌体を機械的方法、リゾチーム等を用いた酵素的方法又は界面活性剤等を用いた化学的処理によって破壊し、必要に応じて菌体を除去した後、酸化誘導に供するのが好ましい。
【0033】
アミノヒドロキシ安息香酸類の酸化誘導体としては、呈色可能な誘導体であれば限定されないが、例えば、下記式(3):
【0034】
【化3】
【0035】
〔式中、R、R、X及びXは前記と同じものを示す。〕
で示されるアミノフェノキサジノン類が挙げられる。斯かるアミノフェノキサジノン類は、350~550nm付近に吸収を持ち、また当該吸収波長により励起され600~800nm付近に蛍光を発することから、例えば440nmの吸光度を測定すること、また例えば励起波長を440nmとして750nmの蛍光強度を測定すること等により容易に検出することができる。
【0036】
アミノヒドロキシ安息香酸類の酸化誘導に用いられる酸化剤又は酸化触媒としては、アミノヒドロキシ安息香酸類からアミノフェノキサジノン類等の呈色可能な酸化誘導体を形成できるものであれば限定されない。
酸化剤としては、酸素、過酸化水素、フェリシアン化カリウム、酸化銀、過マンガン酸塩、マンガン酸塩、過ヨウ素酸塩、二クロム酸塩等が挙げられ、酸化触媒としては、ラッカーゼ、カテコールオキシダーゼ、チロシナーゼ、ペルオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、モノフェノールオキシダーゼ、ジフェノールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、o-ジフェノラーゼ、銅担持触媒、白金担持触媒等が挙げられる。
【0037】
アミノヒドロキシ安息香酸類と酸化剤又は酸化触媒の接触は、反応系に酸化剤又は酸化触媒を添加し、室温で、一定時間、例えば1~5時間程度、放置又は振盪することにより実施できる。
【0038】
斯くして、生成されたアミノヒドロキシ安息香酸類の酸化誘導体は、特定波長(例えば440nm)における吸光度又は特定波長(例えば750nm)における蛍光強度を測定することにより、検出することができる。
【0039】
上述した実施形態に関し、本発明においては更に以下の態様が開示される。
<1>酵素又は微生物を用いてアミノ安息香酸類を水酸化してアミノヒドロキシ安息香酸類を製造する反応において、アミノヒドロキシ安息香酸類の酸化誘導体を検出する工程を含む、アミノ安息香酸類の水酸化反応の評価方法。
<2>酵素が下記の(A)又は(B)のポリペプチド、又は当該ペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは複数の位置での1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加等を含む配列を有し、且つアミノ安息香酸類水酸化活性を有するペプチド変異体又は人為的な改変体である、<1>の方法。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素活性を有するポリペプチド
(B)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素活性を有するポリペプチド
<3>微生物が下記の(A)又は(B)のポリペプチドを産生する微生物、又は当該ペプチドのアミノ酸配列において、1若しくは複数の位置での1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加等を含む配列を有し、且つアミノ安息香酸類水酸化活性を有するペプチド変異体又は人為的な改変体を産生する微生物である、<1>の方法。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素活性を有するポリペプチド
(B)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は配列番号2で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、且つ4-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素活性を有するポリペプチド
<3>微生物が、コリネバクテリウム属菌である、<2>の方法。
<4>コリネバクテリウム属菌が、コリネバクテリウム・グルタミカムである、<3>の方法。
<5>アミノ安息香酸類が4-アミノ安息香酸類又は3-アミノ安息香酸類であり、アミノヒドロキシ安息香酸類が4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類又は3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸類である、<1>~<4>のいずれかの方法。
<6>4-アミノ安息香酸類又は3-アミノ安息香酸類が、下記の一般式(1):
【0040】
【化4】
【0041】
〔式中、Rは水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、メチル基、エチル基を示し、Rは水素原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、メチル基、エチル基を示し、X及びXは水素原子又はカルボキシ基であって少なくとも一方はカルボキシ基を示す。〕
で示されるアミノ安息香酸誘導体であり、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸類又は3-アミノ-4-ヒドロキシ安息香酸類が下記の一般式(2):
【0042】
【化5】
【0043】
〔式中、R、R、X及びXは前記と同じものを示す。〕
で示されるアミノヒドロキシ安息香酸誘導体である、<5>の方法。
<7>式(1)及び(2)において、R及びRが共に水素原子である、<6>の方法。
<8>水酸化反応が微生物を用いた発酵である、<1>~<7>のいずれかの方法。
<9>酸化誘導体が、反応液と酸化剤又は酸化触媒を接触させることにより誘導される、<1>~<8>のいずれかの方法。
<10>酸化剤が、酸素、過酸化水素、フェリシアン化カリウム、酸化銀、過マンガン酸塩、マンガン酸塩、過ヨウ素酸塩、二クロム酸塩から選ばれる酸化剤である、<9>の方法。
<11>酸化触媒が、ラッカーゼ、カテコールオキシダーゼ、チロシナーゼ、ペルオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、モノフェノールオキシダーゼ、ジフェノールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、o-ジフェノラーゼから選ばれる酸化酵素である、<9>又は<10>の方法。
<12>糖類からアミノヒドロキシ安息香酸類を製造する方法であって、前記<1>~<11>のいずれかに記載の評価方法を工程として含むアミノヒドロキシ安息香酸類の製造方法。
<13>前記糖類が、グルコース、マルトース、スクロース、フルクトース、キシロース、モラセス、グリセリン、でんぷん加水分解物及びこれらの含有物である、<12>の方法。
【実施例
【0044】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
参考例1 4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の酸化誘導体の検出
25mL容の遠心管(IWAKI)内でラッカーゼM120(天野エンザイム)粉末0.04gを100mMクエン酸緩衝液(pH4.5)20mLと混合し、遠心分離(1500×g,5分)を行った後の上清を酵素液とした。遠心分離機にはhimac CF7D2 (HITACHI)を用いた。また、4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸(「4,3-AHBA」:東京化成工業)及び4-アミノ安息香酸(「4-ABA」:東京化成工業)それぞれ2mgを1Mクエン酸緩衝液(pH4.5)10mLに溶解し、表1に示す比率で混合したものを基質溶液とした。
96穴アッセイプレート(IWAKI)を用いて酵素液180μLに対し基質溶液20μLを添加し、室温で1時間静置した後、Infinite 200 PRO(TECAN)を用いて440nmの吸光度を測定した。続いて反応液180μLをAssay Plate 96 well Black, Flat Bottom (CORNING)に移し、Infinite 200 PROを用いて750nm(励起波長440nm)の蛍光強度を測定した。図1及び図2に示す通り、440nmの吸光度及び750nmの蛍光強度は4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の含有比と相関した。
【0045】
【表1】
【0046】
また、同様に調製された酸化誘導後の溶液100μLをメタノール200μLと混合し、アクロプレップ96フィルタープレート(0.2μmGHP膜、日本ポール)を用いて不溶物の除去を行なった後LC-MS(LCMS-2020、島津製作所)に供した。分析カラムにはSunrise C28(3μm, 2.9mmi.d.×150mm、化学物質評価研究機構)を用い、溶離液Aを10mM酢酸アンモニウム水溶液、溶離液Bを10mM酢酸アンモニウム+99%メタノール溶液とし、流速0.2mL/分、カラム温度40℃の条件にてグラジエント溶出を行なった。溶出時間7.7分にて440nm付近に吸収を持つ物質(m/z=257)が検出され、下記式(4)で示される2-アミノフェノキサジン-3-オン-7-カルボン酸(2-aminophenoxazin-3-one-7-carboxylic acid)の分子量(Mw:256,[M+H]=257)と一致した。
【0047】
【化6】
【0048】
実施例1 培養液上清における4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の酸化誘導体の検出
後述する参考例3に従って作成したアミノ安息香酸水酸化活性を持つ酵素を産生するコリネバクテリウム・グルタミカム菌株を、96 Square Well Storage Plate(AB-0661, Thermo Scientific)を用いてそれぞれ表2に示すCGXII培地(カナマイシン硫酸塩50mg/Lを含む)0.6mLに接種し、Bioshaker M・BR-024(TAITEC)を用いて30℃・1200rpmにて2日間振盪した。
【0049】
得られた培養液を遠心分離(1500×g,5分)し、上清を培養液上清とした。また、25mL容の遠心管(IWAKI)内でラッカーゼM120(天野エンザイム)粉末0.04gを100mMクエン酸緩衝液(pH4.5)20mLと混合し、遠心分離(1500×g,5分)を行った後の上清を酵素液とした。培養液上清10μLを酵素液190μLと混合し、室温で1時間静置した後、Infinite 200 PROを用いて440nmの吸光度及び750nmの蛍光強度(励起波長:440nm)を測定した。培養液上清中の4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸濃度を参考例2の方法に従って算出し、吸光度及び蛍光強度と比較した。図3及び図4に示すように、培養液上清を使用した場合においても、440nmの吸光度及び750nmの蛍光強度は4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸濃度と相関した。
【0050】
【表2】
【0051】
参考例2 4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の定量
4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の定量はHPLCにより行った。HPLC分析に供する反応液を0.1%リン酸にて適宜希釈した後、アクロプレップ96フィルタープレート(0.2μmGHP膜、日本ポール)を用いて不溶物の除去を行なった。
HPLCの装置は、Chromaster(日立ハイテクサイエンス)を用いた。分析カラムには、L-カラム ODS(4.6mm I.D.×150mm、化学物質評価研究機構)を用い、溶離液Aを0.1M リン酸二水素カリウムの0.1%リン酸溶液、溶離液Bを70%メタノールとし、流速1.0mL/分、カラム温度40℃の条件にてグラジエント溶出を行なった。4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の検出にはUV検出器(検出波長280nm)を用いた。標準試料〔4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸(販売元コードA1194、東京化成工業)〕を用いて濃度検量線を作成し、濃度検量線に基づいて4-アミノ-3-ヒドロキシ安息香酸の定量を行なった。
【0052】
参考例3 形質転換株の作製
以下の例において、特に記載のない限りPCRはPrimeSTAR Max Premix(タカラバイオ)を使用して行った。
(1)野生型酵素をコードする遺伝子を含むプラスミドの作製
(a)プラスミドpECsf_gapS_pabABCの作製
コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)ATCC13032株から常法によって抽出されたゲノムを鋳型に、プライマーGN14_127(配列番号5,TATTAATTAAATGCGCGTTTTAATTATTGATAATTATGATTC)とGN14_133(配列番号6,TTGCGGCCGCTTGTTTAAACCTCCTTACAGAAAAATGGTTGGGCG)を用いたPCRにて4-アミノ-4-デオキシコリスミ酸シンターゼ及び4-アミノ-4-デオキシコリスミ酸リアーゼをコードする遺伝子が含まれたDNA断片を増幅し、これをプラスミドpECsf_gapS(特願2015-25491参照)のPacI部位とNotI部位の間に挿入することで、プラスミドpECsf_gapS_pabABCを得た。
【0053】
(b)プラスミドpECsf_gapS_pabABC_HFM122の作製
上記で得られたプラスミドpECsf_gapS_pabABCを鋳型に、プライマーpabABCcory vec R(配列番号7,AAATTTAAACCTCCTTTACAGAAAAATGGTTGG)とpabABCcory vec F(配列番号8,GGAGGTTTAAACAAGCGGCCGCGATATC)を用いたPCRにてベクター用DNA断片を合成した。続いてアミノ安息香酸水酸化活性を有するポリペプチドHFM122をコードする遺伝子(配列番号1)を含むプラスミドを人工遺伝子合成により作製し、これを鋳型としてプライマーpECsfD HFM122 F(配列番号9,AGGAGGTTTAAATTTATGCGCACTCAGGTGGCTAT)とpECsfD HFM122 R(配列番号10,CTTGTTTAAACCTCCTTATACGAGTGGCAGTCCTA)を用いたPCRにてインサート用DNA断片を合成した。これらのPCR産物に対してDpnI(タカラバイオ)による処理を行った後、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up(タカラバイオ)を用いて各DNA断片を精製し、In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)により連結することでプラスミドpECsf_gapS_pabABC_HFM122を構築した。得られたプラスミド溶液を用いてECOS Competent E. coli DH5α株(ニッポンジーン)を形質転換し、細胞液をLBKm寒天培地(Bacto Trypton 1%、Yeast Extract 0.5%、NaCl 1%,カナマイシン硫酸塩50μg/mL、寒天 1.5%)に塗布した後37℃で一晩静置し、得られたコロニーに対しSapphire Amp(タカラバイオ)及びプライマーpabABC+pobA for CPCR F (配列番号11,GCTATCAAAACATTCGGCACATTGGTTTTCC)、pabABC+pobA for CPCR R(配列番号12,GGAAGATGCGTGATCTGATCCTTCAACTC)を用いたPCR反応を行い、目的DNA断片の導入が確認された形質転換株を選抜した。得られた形質転換株をLBKm液体培地(Bacto Trypton 1%、Yeast Extract 0.5%、NaCl 1%,カナマイシン硫酸塩50μg/mL)2mLに接種し、37℃で一晩培養した。この培養液よりNucleoSpin Plasmid EasyPure(タカラバイオ)を用いてプラスミドの精製を行った。
【0054】
(c)プラスミドpECsf_gapS_pabABC_tuD_HFM122の作製
上記で得られたプラスミドpECsf_gapS_pabABC_HFM122を鋳型に、プライマーpabC last R(配列番号13,TTACAGAAAAATGGTTGGGCGCAA)とHFM122 F(配列番号14,ATGCGCACTCAGGTGGCTATCG)を用いたPCRにてベクター用DNA断片を合成した。続いて、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株が有するtuf遺伝子(cg0587)のプロモーター(以下、tuプロモーターと称する)を含むDNA断片(配列番号15,TACGTACCTGCAGGTAGCGTGTCAGTAGGCGCGTAGGGTAAGTGGGGTAGCGGCTTGTTAGATATCTTGAAATCGGCTTTCAACAGCATTGATTTCGATGTATTTAGCTGGCCGTTACCCTGCGAATGTCCACAGGGTAGCTGGTAGTTTGAAAATCAACGCCGTTGCCCTTAGGATTCAGTAACTGGCACATTTTGTAATGCGCTAGATCTGTGTGCTCAGTCTTCCAGGCTGCTTATCACAGTGAAAGCAAAACCAATTCGTGGCTGCGAAAGTCGTAGCCACCACGAAGTCCAAAGGAGGATCTAAATTATGAATAATATAAAAGGAGGAATTAATTAA)を人工遺伝子合成により作製し、これを鋳型としてプライマーpabC-Ptu F(配列番号16,ACCATTTTTCTGTAATACGTACCTGCAGGTAGCGTG)とPtu-HFM122 R(配列番号17,CACCTGAGTGCGCATTTAATTAATTCCTCCTTTTA)を用いたPCRにてインサート用DNA断片を合成した。これらのPCR産物に対してDpnI(タカラバイオ)による処理を行った後、NucleoSpin Gel and PCR Clean-up(タカラバイオ)を用いて各DNA断片を精製し、In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ)により連結することでプラスミドpECsf_gapS_pabABC_tuD_HFM122を構築した。得られたプラスミド溶液を用いてECOS Competent E. coli DH5α株(ニッポンジーン)を形質転換し、細胞液をLBKm寒天培地に塗布した後37℃で一晩静置し、得られたコロニーに対しSapphire Amp(タカラバイオ)及びプライマーPtu seq 1(配列番号18,GCTTGTTAGATATCTTGAAATCGGCTTTC)、pabABC+pobA for CPCR R(配列番号12,GGAAGATGCGTGATCTGATCCTTCAACTC)を用いたPCR反応を行い、目的DNA断片の導入が確認された形質転換株を選抜した。得られた形質転換株をLBKm液体培地2mLに接種し、37℃で一晩培養した。この培養液よりNucleoSpin Plasmid EasyPure(タカラバイオ)を用いてプラスミドの精製を行った。
構築したプラスミドにおいては、gapプロモーターの制御下に4-アミノ-4-デオキシコリスミ酸シンターゼ及び4-アミノ-4-デオキシコリスミ酸リアーゼをコードする遺伝子が連結され、さらにtuプロモーターの制御下に野生型HFM122をコードする遺伝子が連結されている。
【0055】
(2)変異型酵素をコードする遺伝子を含むプラスミドの作製
変異型酵素をコードする遺伝子を含むプラスミドの作製について、HFM122の47位のバリンがロイシンに置換された変異型酵素をコードする遺伝子を含むプラスミドの作製を例として以下に示す。
プラスミドpECsf_gapS_pabABC_tuD_HFM122を鋳型として、相補的プライマーHFM122 V47L F(配列番号19,GCTGGTCTCCTGGAACGTATCACGGTG)、HFM122 V47L R(配列番号20,TTCCAGGAGACCAGCCCGAACTCGGCC)を用いたPCRにてプラスミドpECsf_gapS_pabABC_tuD_HFM122_V47Lを構築した。PCR産物に対してDpnI(タカラバイオ)による処理を行い、処理後の液を用いてECOS Competent E. coli DH5α株(ニッポンジーン)を形質転換し、細胞液をLBKm寒天培地に塗布した後37℃で一晩静置し、得られたコロニーを形質転換株として選抜した。形質転換株をLBKm液体培地2mLに接種し、37℃で一晩培養した。この培養液よりNucleoSpin Plasmid EasyPure(タカラバイオ)を用いてプラスミドの精製を行った。
同様に、プライマーHFM122 V47L F及びHFM122 V47L Rに代えて表3の「プライマー」に示すプライマーを用いたPCRにて各酵素変異体をコードする遺伝子を含むプラスミドを得た。
【0056】
【表3】
【0057】
(3)プラスミドの宿主細胞への導入
上記で得られた各プラスミドを用いて、コリネバクテリウム・グルタミカムDRHG145株(特願2014-523757参照)をエレクトロポレーション法(Bio-rad)により形質転換した。得られた形質転換細胞液をLBKm寒天培地に塗布した後30℃で2日間静置し、得られたコロニーを形質転換株とした。
図1
図2
図3
図4
【配列表】
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