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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】平面研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 7/04 20060101AFI20240723BHJP
   B24B 49/16 20060101ALI20240723BHJP
   B24B 53/02 20120101ALI20240723BHJP
   B24B 53/12 20060101ALI20240723BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
B24B7/04 A
B24B49/16
B24B53/02
B24B53/12 Z
H01L21/304 631
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020028757
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021133428
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】391011102
【氏名又は名称】株式会社岡本工作機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】上原 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】三井 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】井出 悟
(72)【発明者】
【氏名】山本 栄一
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-164773(JP,A)
【文献】実開昭50-015493(JP,U)
【文献】特開2002-239900(JP,A)
【文献】特開2019-147232(JP,A)
【文献】特開昭63-093556(JP,A)
【文献】特開2009-285738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 7/04
B24B 49/16
B24B 53/02
B24B 53/12
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着面に板状の加工物の底面を固定して前記吸着面に垂直な縦軸を中心として回転するワークテーブルと、
回転している前記ワークテーブル上の前記加工物の平面を第1の研削横軸を中心として回転しながら円周面で研削する第1の研削といしと、
回転している前記ワークテーブル上の前記加工物の平面を第2の研削横軸を中心として回転しながら円周面で研削する第2の研削といしと、
前記第1の研削といしを回転させる第1のモータと、
前記第2の研削といしを回転させる第2のモータと、
前記第1の研削といし及び前記第2の研削といしの送りを制御する制御装置と、
前記第1のモータ及び前記第2のモータの少なくとも一方の回転負荷を検出する回転負荷検出手段と、
前記加工物の上面と底面との段差を検出して前記加工物の加工寸法を計測する定寸装置と、を具備し、
前記ワークテーブルには、前記縦軸から逸れた位置に複数の前記加工物が固定され、前記加工物よりも中央側に、前記第1の研削といし及び前記第2の研削といしの少なくとも一方の研削面のツルーイングを行い前記研削面を調整するツルーイングブロックと、前記研削面のドレッシングを行い前記研削面を調整するドレッサと、が設けられており、
前記制御装置は、前記回転負荷検出手段によって検出される前記回転負荷及び前記定寸装置で計測される前記加工寸法に基づいて前記第1の研削といし及び前記第2の研削といしの送りを制御し、
前記第1の研削といしで前記加工物を研削した後に前記第2の研削といしで前記加工物を研削することを特徴とする平面研削装置。
【請求項2】
回転している前記ワークテーブル上の前記加工物の平面を第3の研削横軸を中心として回転しながら円周面で研削する第3の研削といしと、を具備し、
前記第1の研削といしによる前記加工物の前記研削が行われたであって前記第2の研削といしによる前記加工物の前記研削が行われる前に前記第3の研削といしで前記加工物を研削することを特徴とする請求項1に記載の平面研削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面研削装置に関し、特に、硬脆性材料からなる板状の加工物の研削に適した横軸タイプのロータリー平面研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ等の基板状の加工物を研削する平面研削装置として、ワークテーブルに保持されて回転している基板の上面に回転するカップホイール型の研削といしをダウンフィードして基板を研削する装置が知られている。例えば、特許文献1には、吸着チャックに固定されたシリコン基板をカップホイール型研削といしによりダウンフィード研削加工することが開示されている。
【0003】
また例えば、特許文献2には、カップ型といしを配置して構成された粗研削といし、中研削といし及び精研削といしを有し、シリコンウェハ、シリコンカーバイドウェハ等の高硬度、高脆性を示すウェハの研削加工を連続して行う加工装置が開示されている。
【0004】
同文献の加工装置は、ウェハを吸着保持する複数のチャックを同心円上に配置し、チャックを粗研削ステージ、中研削ステージ及び精研削ステージに回転搬送するインデックステーブルを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-103441号公報
【文献】特開2019―155525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術による平面研削装置では、効率的な研削加工を実現するために改善すべき点があった。即ち、半導体製品の高性能化、小型化に伴い、半導体基板の更なる薄肉化、高精度化に対応でき、且つ生産性に優れた研削加工が要求されている。
【0007】
具体的には、近年、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)、サファイア等の硬脆性材料からなる半導体基板の製造工程において、ウェハ状の加工物を更に高精度且つ高効率に研削することができる生産性の高い加工技術の開発が求められている。
【0008】
現在生産されている上記の半導体基板は、その直径が約6インチである。例えば、半導体基板の生産性を向上させるために、基板サイズを大径化することが考えられる。
【0009】
しかしながら、上記した従来技術のように、回転する加工物を回転軸が略同一方向であるカップホイール型の研削といしで研削するダウンフィード型の研削装置では、基板サイズを大きくすることが難しいという問題点があった。即ち、縦軸タイプのカップホイール型の研削といしを使用したダウンフィード研削では、加工物の半径の大小によって研削抵抗が大きく異なるので、基板の大径化が難しい。
【0010】
また、高精度な半導体基板の研削加工においては、加工物の仕上げ面粗さを良くするために高番手の研削といしで加工物を仕上げる必要があり、加工時間が長くなるという問題点がある。
【0011】
また、特許文献2に開示された従来技術のように、低番手の研削といしを用いて粗研削を行い、その後、高番手の研削といしで精研削を行うという方法がある。また例えば、粗研削専用と精研削専用の研削装置を用意し、粗研削専用の研削装置で加工物を粗研削した後、加工物を精研削専用の研削装置に搬送し、仕上げの研削を実行することも考えられる。
【0012】
しかしながら、粗研削後に加工物を搬送する方法では、薄く、反りも大きくなる大型の半導体基板を高精度に加工するために、移動後の加工物を研削する際にエアーカットを大きく取る必要がある。即ち、エアーカットが十分でないと研削初期に研削といしの脱落が大きくなり、最良の面粗さ仕上げができなくなってしまうので、エアーカットを含めて研削代を大きく設定する。そのため、切り込みの小さい精研削に対して、大きなエアーカットを行うための時間を要し、研削時間が長くなってしまう。
【0013】
また、粗研削から精研削に移行する際に加工物を搬送せず、粗研削用の研削といしを取り外して、精研削用の研削といしに付け替える方法も考えられる。しかしながら、研削といしの付け替え作業に時間を要し、また、高精度な研削加工を行うために、付け替え後に研削といしを高精度に調整するツーリングやドレッシング等を行う必要がある。よって、作業効率が低いという問題点がある。
【0014】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、SiC、GaN、サファイア、ダイヤモンド等の硬脆性材料からなる板状の加工物を効率良く高精度に研削することができる平面研削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の平面研削装置は、吸着面に板状の加工物の底面を固定して前記吸着面に垂直な縦軸を中心として回転するワークテーブルと、回転している前記ワークテーブル上の前記加工物の平面を第1の研削横軸を中心として回転しながら円周面で研削する第1の研削といしと、回転している前記ワークテーブル上の前記加工物の平面を第2の研削横軸を中心として回転しながら円周面で研削する第2の研削といしと、前記第1の研削といしを回転させる第1のモータと、前記第2の研削といしを回転させる第2のモータと、前記第1の研削といし及び前記第2の研削といしの送りを制御する制御装置と、前記第1のモータ及び前記第2のモータの少なくとも一方の回転負荷を検出する回転負荷検出手段と、前記加工物の上面と底面との段差を検出して前記加工物の加工寸法を計測する定寸装置と、を具備し、前記ワークテーブルには、前記縦軸から逸れた位置に複数の前記加工物が固定され、前記加工物よりも中央側に、前記第1の研削といし及び前記第2の研削といしの少なくとも一方の研削面のツルーイングを行い前記研削面を調整するツルーイングブロックと、前記研削面のドレッシングを行い前記研削面を調整するドレッサと、が設けられており、前記制御装置は、前記回転負荷検出手段によって検出される前記回転負荷及び前記定寸装置で計測される前記加工寸法に基づいて前記第1の研削といし及び前記第2の研削といしの送りを制御し、前記第1の研削といしで前記加工物を研削した後に前記第2の研削といしで前記加工物を研削することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の平面研削装置によれば、吸着面に板状の加工物の底面を固定して縦軸を中心として回転するワークテーブルと、回転している加工物の平面を第1の研削横軸を中心として回転しながら円周面で研削する第1の研削といしと、回転している加工物の平面を第2の研削横軸を中心として回転しながら円周面で研削する第2の研削といしと、を具備し、加工物を第1の研削といしで研削した後に第2の研削といしで研削する。
【0017】
このような構成により、大きな径の硬脆性基板を加工物として、高精度な研削加工を実行することができる。詳しくは、横軸タイプのロータリー平面研削装置を採用することにより、加工物のウェハサイズが大きくなっても研削といしの研削抵抗を同等に維持することができる。よって、基板の大型化を図ることができ、半導体基板の生産性を向上させることができる。
【0018】
また、第1の研削といしと第2の研削といしを有するので、第1の研削といしで粗研削を実行した後、加工物を取り外して搬送することなく、第2の研削といしで精研削を実行することができる。よって、精研削におけるエアーカットの加工代を小さくすることができ、加工時間を短縮して、生産効率を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の平面研削装置によれば、前記ワークテーブルには、前記縦軸から逸れた位置に前記加工物が固定されても良い。
このような構成により、加工物の平面は、回転中心から外れて全面が回転移動することになる。よって、加工物の平面全体を高精度に研削加工することができる。また、ワークテーブルには、縦軸を中心として複数の加工物を略環状に配置することができる。よって、複数の基板を一工程で同時に研削することができ、加工時間を大幅に短縮して生産効率を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の平面研削装置によれば、前記吸着面の中央側には、前記第1の研削といし及び前記第2の研削といしの少なくとも一方の研削面を調整する研削面調整工具が設けられても良い。
【0021】
このような構成により、研削面調整工具としてのツルーイングブロックやドレッサをワークテーブルの上面略中央部に固定しておけるので、研削前及び研削途中において、工程の段取りを崩すことなく研削といしのツルーイングやドレッシングを実行することができる。これにより、研削といしを調整する時間を短縮し、且つ高精度な研削面を調整することができ、高効率且つ高精度な研削加工を行うことができる。
【0022】
また、本発明の平面研削装置によれば、前記第1の研削といしを回転させる第1のモータと、前記第2の研削といしを回転させる第2のモータと、前記第1の研削といし及び前記第2の研削といしの送りを制御する制御装置と、前記第1のモータ及び前記第2のモータの少なくとも一方の回転負荷を検出する回転負荷検出手段と、を具備し、前記制御装置は、前記回転負荷検出手段によって検出される前記回転負荷に基づいて前記第1の研削といしまたは前記第2の研削といしの研削面の状態を検知しても良い。
【0023】
このように制御装置は、研削といしを回転させるモータの負荷を検出して、研削といしの位置、研削面と加工物との接触、及び研削面と研削面調整工具との接触等の研削の状況を正確に検知できる。これにより、高精度な研削加工を短時間で効率的に実行することができる。
【0024】
また、本発明の平面研削装置によれば、回転している前記ワークテーブル上の前記加工物の平面を第3の研削横軸を中心として回転しながら円周面で研削する第3の研削といしと、を具備し、前記第1の研削といしで前記加工物を研削した後、前記第3の研削といしで前記加工物を研削し、その後前記第2の研削といしで前記加工物を研削しても良い。
【0025】
これにより、加工工程の途中で加工物を搬送することなく、研削といしを変更した研削加工を順次実行することができる。例えば、第1の研削といしで粗研削、第3の研削といしで中研削、第2の研削といしで精研削、を効率良く実行することができる。よって、硬脆性材料からなる大型サイズの板状の加工物を短時間で高精度に研削することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る平面研削装置の概略を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る平面研削装置の粗研削工程の状態を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る平面研削装置の精研削工程の状態を示す平面図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る平面研削装置の概略を示す平面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る平面研削装置の概略を示す平面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る平面研削装置の概略を示す平面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る平面研削装置の概略を示す平面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る平面研削装置の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る平面研削装置を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る平面研削装置10の概略を示す正面図である。図2は、平面研削装置10の概略を示す平面図であり、粗研削工程の状態を示している。なお、以下の説明では、適宜、図1における上下方向をZ方向、左右方向をX方向と称する。
【0028】
図1及び図2を参照して、平面研削装置10は、加工物Wを研削する横軸タイプのロータリー平面研削装置である。
平面研削装置10の加工対象物である加工物Wは、例えば、SiC、GaN、サファイア、ダイヤモンド等の硬脆性材料からなる半導体基板であっても良い。平面研削装置10は、硬脆性材料からなる大面積で薄板状の加工物Wを高精度に効率良く加工することができる。
【0029】
平面研削装置10は、本体40の上部に、加工物Wが載置されるワークテーブル41と、加工物Wの平面を研削する第1の研削といしとしての粗研削といし11と、加工物Wの平面を研削する第2の研削といしとしての精研削といし20と、を有する。
【0030】
ワークテーブル41は、略円盤状の形態をなし、その上面には、板状の加工物Wの底面を真空吸着またはワックス等で固定して保持する吸着面が形成されている。加工物Wを研削する際、加工物Wの底面は、ワークテーブル41の吸着面に吸着され保持される。
【0031】
ワークテーブル41は、研削工程において加工物Wを吸着保持した状態で回転するテーブルである。詳しくは、ワークテーブル41は、略円盤状の形態の略中心部を回転中心として回転する。ワークテーブル41は、その上面の吸着面が略水平になるよう設けられており、その回転中心は、略垂直に、即ちZ方向に延在する、縦軸である。
【0032】
ワークテーブル41は、回転中心となる縦軸を約±5°まで傾斜させることができるよう設けられても良い。これにより、加工物Wの厚みを高精度に調整する精密な平面研削加工が可能となる。
【0033】
研削加工を実行する前に、加工物Wは、図示しない搬送装置によってワークテーブル41の上面に搬送され、ワークテーブル41に吸着保持される。研削工程の際には、ワークテーブル41は図示しないモータによって回転駆動され、加工物Wは、ワークテーブル41に保持された状態で縦軸を中心として略水平に回転する。そして、研削工程が終了すると、ワークテーブル41による加工物Wの吸着が解除され、加工物Wは、図示しない搬送装置によって次の工程を行う装置に搬送される。
【0034】
なお、本実施形態に係る平面研削装置10では、加工物Wをワークテーブル41から取り外して移動することなく、粗研削といし11を用いた粗研削と、精研削といし20を用いた仕上げ研削と、が行われる。
【0035】
粗研削といし11は、回転しながら加工物Wを研削するダイヤモンド砥粒を有する横軸回転方式の研削といしである。即ち、粗研削といし11は、略円盤状の形態をなし、略水平方向、詳しくは略X方向、に延在するといし軸13の回転軸を中心として回転し、粗研削といし11の円周面であるといし刃先12が、加工物Wを研削する面となる。粗研削といし11がダイヤモンド砥粒を有することにより、硬脆性材料からなる半導体基板等の加工物Wを高精度且つ高効率に加工することができる。
【0036】
粗研削といし11は、主として加工物Wの粗研削を行う低番手の研削といしであり、その粒度は、♯240から♯2000、好ましくは、♯700から♯1500、更に好ましくは、♯1000である。粗研削といし11として低番手の研削といしが利用されることにより、切り込みが深く、能率の良い研削ができる。
【0037】
粗研削といし11の側方から上方には、といし刃先12を覆うようにカバー14が設けられている。カバー14の下部は開口しており、といし刃先12は、加工物Wの平面に接触するようカバー14の下部の開口から下方に突出している。
【0038】
といし軸13は、粗研削といし11の中心部を支持し、粗研削といし11と共に回転する第1の研削横軸である。といし軸13の回転軸は、X方向に延在しており、粗研削といし11の回転軸となる。粗研削といし11は、といし軸13を介して第1のモータとしてのモータ16に接続されており、モータ16によって回転駆動される。
【0039】
平面研削装置10は、ワークテーブル41に対して粗研削といし11を縦軸の軸方向及び第1の研削横軸の軸方向に送る第1の送り手段を有する。具体的には、粗研削といし11、といし軸13及びモータ16は、平面研削装置10の本体40に設けられた第1の送り手段を構成するコラム15に支持されている。
【0040】
コラム15は、ワークテーブル41に対してZ方向に移動可能に設けられており、といし軸13は、コラム15に対してX方向に移動可能である。モータ16によって回転駆動される粗研削といし11は、コラム15によってX方向及びZ方向に移動し、といし刃先12は、回転している加工物Wの上面、即ち平面、に接触してそこを研削する。
【0041】
また、粗研削といし11の回転軸となる第1の研削横軸としてのといし軸13は、略水平方向に回動自在に設けられていても良い。具体的には、といし軸13は、その回転軸が延在する方向を、略水平方向に±45°の角度まで変化させるよう回動自在であっても良い。
【0042】
このような構成により、刃先12と加工物Wの接触点において、粗研削といし11の回転による刃先12の移動方向と、ワークテーブル41の回転による加工物Wの移動方向と、を好適な角度に傾けて交差させることができる。これにより、加工物Wの研削幅を好適に調節することができ、高精度な研削加工面が得られる。
【0043】
精研削といし20は、ワークテーブル41を挟んで粗研削といし11に対向する位置に設けられており、回転しながら加工物Wを研削する横軸回転方式のダイヤモンドといしである。即ち、精研削といし20は、略円盤状の形態をなし、略水平方向、詳しくは略X方向、に延在するといし軸22の回転軸を中心として回転し、精研削といし20の円周面であるといし刃先21が、加工物Wを研削する面となる。
【0044】
精研削といし20としては、ダイヤモンド砥粒を有するといしが特に好ましい。精研削といし20がダイヤモンド砥粒を有することにより、例えば、SiC、GaN、サファイア、ダイヤモンド等の硬脆性材料からなる半導体基板等の加工物Wを高精度且つ高効率に加工することができる。
【0045】
精研削といし20は、主として加工物Wの仕上げ研削を行う高番手の研削といしであり、精研削といし20の粒度は、粗研削といし11の粒度よりも大きい。具体的には、精研削といし20の粒度は、♯2000から♯30000、好ましくは、♯6000から♯10000、更に好ましくは、♯8000である。精研削といし20が高番手の研削といしであることにより、加工物Wの仕上げ面粗さを良好にすることができる。
【0046】
精研削といし20の側方から上方には、といし刃先21を覆うようにカバー23が設けられている。カバー23の下部は開口しており、といし刃先21は、加工物Wの平面に接触するようカバー23の下部の開口から下方に突出している。
【0047】
といし軸22は、精研削といし20の中心部を支持し、精研削といし20と共に回転する第2の研削横軸である。といし軸22の回転軸は、X方向に延在しており、精研削といし20の回転軸となる。精研削といし20は、といし軸22を介して第2のモータとしてのモータ25に接続されており、モータ25によって回転駆動される。
【0048】
平面研削装置10は、ワークテーブル41に対して精研削といし20を縦軸の軸方向及び第2の横軸の軸方向に送る第2の送り手段を有する。具体的には、精研削といし20、といし軸22及びモータ25は、平面研削装置10の本体40に設けられた第2の送り手段を構成するコラム24に支持されている。
【0049】
コラム24は、ワークテーブル41に対してZ方向に移動可能に設けられており、といし軸22は、コラム15に対してX方向に移動可能である。モータ25によって回転駆動される精研削といし20は、コラム24によってX方向及びZ方向に移動し、といし刃先21は、回転している加工物Wの平面に接触してそこを研削する。
【0050】
また、精研削といし20の回転軸となる第2の研削横軸としてのといし軸22は、略水平方向に回動自在に設けられていても良い。具体的には、といし軸22は、その回転軸が延在する方向を、略水平方向に±45°の角度まで変化させるよう回動自在であっても良い。
【0051】
このような構成により、精研削といし20の刃先21と加工物Wの接触点において、精研削といし20の回転による刃先21の移動方向と、ワークテーブル41の回転による加工物Wの移動方向と、を好適な角度に傾けて交差させることができる。これにより、加工物Wの研削幅を好適に調節することができ、高精度な研削加工面が得られる。
【0052】
前述のとおり、粗研削といし11及び精研削といし20は、ワークテーブル41を挟んで対向する位置に配設されており、それぞれ略同一の方向、即ちX方向及びZ方向、に移動可能に設けられている。詳しくは、粗研削といし11及び精研削といし20は、それぞれ独立してX方向及びZ方向に移動可能である。
【0053】
換言すれば、粗研削といし11を支持するといし軸13及びコラム15と、精研削といし20を支持するといし軸22及びコラム24と、はワークテーブル41を挟んで対向する位置に配設され、それぞれ独立してX方向及びZ方向に移動可能である。
【0054】
図3は、平面研削装置10の概略を示す平面図であり、精研削工程の状態を示している。平面研削装置10は、上述の構成により、加工物Wをワークテーブル41から取り外して搬送することなく、図2に示すように、粗研削といし11のみによる粗研削と、図3に示すように、精研削といし20のみによる仕上げ研削と、を実行可能である。
【0055】
詳しくは、図1及び図2に示す如く、精研削といし20は、加工物Wに接触しないようワークテーブル41から外れたX方向位置に送られて、モータ25による回転も停止する。
【0056】
粗研削といし11は、モータ16によって回転駆動され、コラム15の移動によってX方向に送られ、回転している加工物Wの上方に移動する。そして、Z方向送り、及びX方向送りを繰り返して、といし刃先12が加工物Wの平面に接触して粗研削が行われる。
【0057】
粗研削といし11による粗研削が終了した後には、図3に示す如く、粗研削といし11は、加工物Wに接触しないようZ方向(図1参照)に上昇し、ワークテーブル41から外れたX方向位置に送られて、モータ16による回転が停止する。
【0058】
精研削といし20は、モータ25によって回転駆動され、コラム24の移動によってX方向に送られ、回転している加工物Wの上方に移動する。そして、Z方向送り、及びX方向送りを繰り返して、といし刃先21(図1参照)が加工物Wの平面に接触して精研削が行われる。
【0059】
このように平面研削装置10は、2つの横軸タイプの研削といし、即ち粗研削といし11及び精研削といし20、を有する。そして、平面研削装置10は、前述の如く、加工物Wを、粗研削といし11で粗研削を実行した後に、ワークテーブル41から取り外して搬送することなく、精研削といし20で精研削を実行することができる。よって、精研削におけるエアーカットの加工代を小さくすることができ、加工時間を短縮して、生産効率を向上させることができる。
【0060】
また、加工物Wの位置を変更することなく粗研削といし11と精研削といし20で順次加工物Wを研削することができるので、粗研削用のテーブル設置設備と精研削用のテーブル設置設備を分けて設ける必要がない。よって、平面研削装置10の大型化を抑えて、大型の加工物Wを効率良く研削することができる。
【0061】
また、前述の構成により、加工物Wとして大径の硬脆性材料からなる基板に対して、高精度な研削加工を実行することができる。詳しくは、粗研削といし11及び精研削といし20は、横軸タイプであるので、加工物Wのウェハサイズが大きくなっても、粗研削といし11及び精研削といし20の研削抵抗を、ウェハサイズが小さい場合と同等に維持することができる。よって、加工物Wの大型化を図ることができ、半導体基板等の生産性を向上させることができる。
【0062】
図2を参照して、ワークテーブル41には、回転中心となる縦軸から逸れた位置、即ちオフセットした位置、に加工物Wが固定される。このような構成により、加工物Wの平面は、回転中心から外れて全面が回転移動することになる。よって、加工物Wの平面全体を高精度に研削加工することができる。
【0063】
また、ワークテーブル41には、回転中心となる縦軸から外れた位置に、複数の加工物Wを吸着することができる。例えば、ワークテーブル41の吸着面には、5枚の板状の加工物Wが縦軸を中心として環状に吸着され、複数の加工物Wは、一工程で同時に研削されても良い。
【0064】
このように平面研削装置10は、加工物Wとして複数枚の基板を一工程で同時に研削することが可能であるため、加工時間を大幅に短縮して生産効率を向上させることができる。
【0065】
図1及び図2を参照して、ワークテーブル41の吸着面の中央側には、粗研削といし11及び精研削といし20の少なくとも一方の研削面を調整する研削面調整工具が設けられても良い。
【0066】
研削面調整工具は、例えば、粗研削といし11や精研削といし20のツルーイングを行うためのツルーイングブロック42やドレッシングを行うためのドレッサ43である。
【0067】
ツルーイングブロック42やドレッサ43は、ワークテーブル41の上面略中央部に固定されている。このような構成により、研削前及び研削途中において、工程の段取りを崩すことなく粗研削といし11及び精研削といし20のツルーイングやドレッシングを実行することができる。
【0068】
これにより、粗研削といし11及び精研削といし20を調整する時間を短縮し、且つ、といし刃先12、21を高精度な研削面として調整することができる。よって、高効率且つ高精度な研削加工を行うことができる。
【0069】
なお、ツルーイングブロック42及びドレッサ43は、加工物Wよりもワークテーブル41の中心側であり、加工物Wの研削を妨げない位置であれば良い。図2に示すように、ツルーイングブロック42が外周側、ドレッサ43が中心側に配置されても良いし、その逆に、ツルーイングブロック42が中心側、ドレッサ43が外周側に配置されても良い。また、ツルーイングブロック42及びドレッサ43は、何れか一方のみが設けられても良い。
【0070】
また、平面研削装置10には、粗研削といし11及び精研削といし20の回転及び送りを制御する図示しない制御装置が設けられている。制御装置は、図示しない制御盤に設けられており、各種情報を入力するための図示しない入力部や各種情報を表示する図示しないモニター、各種演算等を行う図示しない演算部等を有する。制御装置は、入力された情報に基づき、各種演算を実行し、平面研削装置10全体における加工の監視及び制御等を行う。
【0071】
例えば、制御装置は、研削加工の準備工程から停止工程まで自動で行う自動サイクル研削の制御を行うことができる。具体的には、制御装置は、粗研削といし11による粗研削工程、精研削といし20による精研削工程、精研削といし20のZ方向送りを停止しX方向送りを繰り返すスパークアウト工程、精研削といし20をワークテーブル41の外周端に送って停止する停止工程等の制御を行う。
【0072】
また、制御装置は、研削条件を安定させ研削量を常に一定にするよう不等速送りの制御を行っても良い。詳しくは、制御装置は、粗研削といし11及び精研削といし20がワークテーブル41の外周側から中心側に向かうにしたがって、ワークテーブル41の回転速度を上昇させ、粗研削といし11や精研削といし20の回転速度も増速させる制御を行うことができる。
【0073】
また、平面研削装置10は、モータ16及びモータ25の少なくとも一方の回転負荷を検出する図示しない回転負荷検出手段を備えていても良い。制御装置は、回転負荷検出手段によって検出されるモータ16またはモータ25の回転負荷に基づいて、粗研削といし11または精研削といし20の研削面の状態を検知する。即ち、制御装置は、粗研削といし11のといし刃先12と加工物Wの平面との接触状況、または精研削といし20のといし刃先21と加工物Wとの接触状況を検出する。
【0074】
このように制御装置は、粗研削といし11を回転させるモータ16の負荷、または精研削といし20を回転させるモータ25の負荷を検出して、粗研削といし11や精研削といし20の位置、研削面であるといし刃先12、21と加工物Wとの接触等、研削の状況を正確に検知できる。これにより、高精度な研削加工を短時間で効率的に実行することができる。
【0075】
また、制御装置は、粗研削といし11を回転させるモータ16の負荷、または精研削といし20を回転させるモータ25の負荷を検出して、粗研削といし11や精研削といし20の研削面と研削面調整工具との接触の状況や、研削面の調製の状況を正確に検知できる。
【0076】
即ち、ドレッシングサイクル等において、調整中の粗研削といし11または精研削といし20の回転負荷をモニタリングして、といし刃先12、21と、ツルーイングブロック42またはドレッサ43と、の接触を正確に検出することができる。
【0077】
これにより、粗研削といし11や精研削といし20のといし刃先12、21を効率良く好適な状態に調整することができ、高精度な研削加工を短時間で効率的に実行することができる。
【0078】
また、本体40の上部には、ワークテーブル41の近傍に、定寸装置44が設けられている。定寸装置44は、加工物Wを高精度に研削するため、加工物Wの上面と底面との段差を正確に検出して加工物Wの加工寸法を計測する装置である。
【0079】
研削工程の開始前においては、定寸装置44によって加工物Wの厚さが測定され、加工物Wの平面よりエアーカット分高い位置に研削開始の位置が決められる。そして、研削工程の実行中においては、定寸装置44で測定する加工物Wの厚さが指定した厚さになったら、粗研削といし11または精研削といし20の下降を停止する。その後、スパークアウト研削を実行した後、粗研削といし11または精研削といし20をワークテーブル41の外周側に送り、上昇させて回転を停止する。
【0080】
このように加工物Wの加工寸法を正確に計測することができる定寸装置44が付けられることにより、自動定寸研削を実行することができる。よって、高精度な研削加工を効率良く実行することができる。
【0081】
また、前述のとおり、平面研削装置10は、回転負荷検出手段によって検出されるモータ16またはモータ25の回転負荷に基づいて粗研削といし11または精研削といし20の研削面の状態を検知することができる。よって、定寸装置44による検出と、モータ16またはモータ25の回転負荷による検出と、を利用して、更に高精度で効率の良い研削加工が可能となる。
【0082】
また、平面研削装置10には、粗研削といし11及び精研削といし20を冷却し洗浄するための図示しない注水装置が設けられても良い。注水装置には、粗研削といし11に研削液を供給するための第1の注水ノズルと、精研削といし20に研削液を供給するための第2の注水ノズルと、が設けられても良い。
【0083】
注水ノズルからは、粗研削工程においては粗研削といし11のといし刃先12付近に、精研削工程においては精研削といし20のといし刃先21付近に、研削液が注水される。これにより、研削工程において、粗研削といし11及び精研削といし20を冷却すると共に、粗研削といし11及び精研削といし20に付着した削り屑を洗い流すことができ、加工物Wを高精度に研削することができる。
【0084】
次に、図4ないし図8を参照して、実施形態を変形した例として、平面研削装置110、210、310、410、510について詳細に説明する。なお、既に説明した実施形態と同一若しくは同様の作用、効果を奏する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
図4は、本発明の他の実施形態に係る平面研削装置110の概略を示す平面図である。
図4に示すように、平面研削装置110では、粗研削といし11と精研削といし20は、それぞれの回転軸が平面視で略直交するように設けられている。
【0086】
即ち、粗研削といし11とそのといし軸13、モータ16及びコラム15は、ワークテーブル41の右側に設けられており、Z方向(図1参照)に移動可能であると共に、ワークテーブル41の略中央に向かってX方向に移動可能である。
【0087】
精研削といし20とそのといし軸22、モータ25及びコラム24は、ワークテーブル41の奥側、即ち図4において上方、に設けられており、Z方向に移動可能であると共に、ワークテーブル41の略中央に向かってY方向に移動可能である。
【0088】
換言すれば、粗研削といし11と精研削といし20は、それぞれの回転中心である第1の研削横軸と第2の研削横軸が平面視で約90度の角度で交差するよう配設されている。
【0089】
このような構成により、設置場所に適した大きさの平面研削装置110が得られる。なお、粗研削といし11と精研削といし20の配置や回転軸の方向、といし軸13、22、モータ16、25及びコラム15、24の配置等は、その他の形式を採用することも可能である。
【0090】
図5は、本発明の他の実施形態に係る平面研削装置210の概略を示す平面図である。
図5に示すように、平面研削装置210は、回転しているワークテーブル41上の加工物Wの平面を研削する第3の研削といしとしての中研削といし30を有する。そして、平面研削装置210は、粗研削といし11、中研削といし30、精研削といし20の順で、加工物Wの平面を研削する。
【0091】
詳しくは、中研削といし30は、第3の研削横軸を中心に回転しながら加工物Wを研削するダイヤモンドといしである。即ち、中研削といし30は、略円盤状の形態をなし、略Y方向に延在するといし軸32の回転軸を中心として回転し、中研削といし30の円周面であるといし刃先31が、加工物Wを研削する面となる。
【0092】
中研削といし30は、主として加工物Wの粗研削と精研削との中間の研削を行う中番手の研削といしであり、その粒度は、♯500から♯8000、好ましくは、♯1000である。
【0093】
中研削といし30の側方から上方には、といし刃先31を覆うようにカバー33が設けられている。カバー33の下部は開口しており、といし刃先31は、加工物Wの平面に接触するようカバー33の下部の開口から下方に突出している。
【0094】
といし軸32は、中研削といし30の中心部を支持し、中研削といし30と共に回転する第3の研削横軸である。といし軸32の回転軸は、Y方向に延在しており、中研削といし30の回転軸となる。中研削といし30は、といし軸32を介して第3のモータとしてのモータ35に接続されており、モータ35によって回転駆動される。
【0095】
平面研削装置210は、ワークテーブル41に対して中研削といし30をY方向及びZ方向(図1参照)に送る第3の送り手段を有する。具体的には、中研削といし30、といし軸32及びモータ35は、平面研削装置210の本体40に設けられた第3の送り手段を構成するコラム34に支持されている。
【0096】
コラム34は、ワークテーブル41に対してY方向及びZ方向に移動可能に設けられている。モータ35によって回転駆動される中研削といし30は、コラム34によってY方向及びZ方向に移動し、といし刃先31は、回転している加工物Wの平面に接触してそこを研削する。
【0097】
上記の構成により、粗研削といし11による粗研削と、精研削といし20による精研削と、の間に中研削といし30による中間研削が実行される。即ち、加工工程の途中で加工物Wを取り外して搬送することなく、粗研削といし11、中研削といし30、精研削といし20と研削といしを変更した研削加工を順次実行することができる。
【0098】
即ち、第1の研削といしとしての粗研削といし11で粗研削、第3の研削といしとしての中研削といし30で中研削、第2の研削といしとしての精研削といし20で精研削、を効率良く実行することができる。このように、本実施形態によれば、硬脆性材料からなる大型サイズの板状の加工物Wを短時間で高精度に研削することができる。
【0099】
なお、粗研削といし11、中研削といし30及び精研削といし20の配置や回転軸の方向、といし軸13、22、32、モータ16、25、35及びコラム15、24、34の配置等は、その他の形式を採用することも可能である。
【0100】
また、第1の研削といしとしての粗研削といし11及びそれを駆動するための第1の研削横軸としてのといし軸13、第1のモータとしてのモータ16等は、それぞれ複数設けられても良い。このような構成において、複数の粗研削といし11は、順次利用されても良い。即ち、一の粗研削といし11を用いて加工物Wを研削する工程が実行された後に、他の粗研削といし11を用いた粗研削加工が実行されても良い。
【0101】
また、複数の粗研削といし11が設けられた場合において、複数の粗研削といし11は、同時に回転可能な構成でも良い。このような構成により、一工程で複数の粗研削といし11を同時に回転させて利用し、加工物Wを効率良く研削することができる。
【0102】
また、第2の研削といしとしての精研削といし20及びそれを駆動するための第2の研削横軸としてのといし軸22、第2のモータとしてのモータ25等についても同様に、それぞれ複数設けられても良い。そして、このような構成において、複数の精研削といし20は、順次利用されても良い。即ち、一の精研削といし20を用いて加工物Wを研削する工程が実行された後に、他の精研削といし20を用いた精研削加工が実行されても良い。
【0103】
また、複数の精研削といし20が設けられた場合において、複数の精研削といし20は、同時に回転可能な構成でも良い。このような構成により、一工程で複数の精研削といし20を同時に回転させて利用し、加工物Wを効率良く研削することができる。
【0104】
また、第4の研削といし、第5の研削といし等、更に多くの横軸タイプの研削といし及びそれを駆動するためのといし軸、モータ、コラム等を設け、それぞれの研削といしが独立して加工物Wの平面を研削することができるよう構成しても良い。
【0105】
図6は、本発明の他の実施形態に係る平面研削装置310の概略を示す平面図である。
図6に示すように、ワークテーブル41は、移動可能に設けられても良い。具体的には、平面研削装置310は、上面にワークテーブル41が載置される回転自在なインデックステーブル50を有する。
【0106】
ワークテーブル41は、インデックステーブル50の上面に載置され、インデックステーブル50の回転により移動可能である。インデックステーブル50の上面には、例えば、2つのワークテーブル41が載置可能である。一方のワークテーブル41は、インデックステーブル50のスタンバイ位置51に設けらえれ、他方のワークテーブル41は、研削位置52に設けられる。
【0107】
インデックステーブル50の回転により、スタンバイ位置51にあるワークテーブル41は、研削位置52に移動し、研削位置52にあるワークテーブル41は、スタンバイ位置51に移動する。
【0108】
スタンバイ位置51では、例えば、図示しない搬送装置等によって加工物Wが搬送され、ワークテーブル41の上面への加工物Wのセットや取り外し等工程が実行される。研削位置52は、粗研削といし11による加工物Wの粗研削加工や精研削といし20による精研削加工が行われる。
【0109】
このような構成により、加工物Wを搬送してセット等する工程と、加工物Wを研削加工する工程と、を同時に実行することができるので、生産時間を短縮し、生産性を向上させることができる。
【0110】
図7は、本発明の他の実施形態に係る平面研削装置410の概略を示す平面図である。
図7を参照して、ワークテーブル41は、移動可能に設けられ、粗研削加工と、中研削加工と、精研削加工と、がワークテーブル41の位置を変えて行われても良い。
【0111】
具体的には、平面研削装置410は、回転してワークテーブル41を移動させるインデックステーブル450を有する。インデックステーブル450の上面には、複数、例えば3つ、のワークテーブル41がそれぞれ回転自在に固定されている。
【0112】
インデックステーブル450の回転により、ワークテーブル41は、粗研削が実行される粗研削位置53、中研削が実行される中研削位置54及び精研削が実行される精研削位置55、に順次移動する。即ち、平面研削装置510は、粗研削といし11による粗研削と、中研削といし30による中研削と、精研削といし20による精研削と、を位置を変えて行うことができる。
【0113】
このような構成により、粗研削といし11による粗研削と、中研削といし30による中研削と、精研削といし20による精研削と、を同時に実行することができる。よって、加工時間の大幅な短縮を図ることができ、生産性が向上する。
【0114】
図8は、本発明の他の実施形態に係る平面研削装置510の概略を示す平面図である。
図8に示すように、1つのコラム515に、2つの研削といし、例えば、粗研削といし11と、精研削といし20と、が設けられる構成を採用することも可能である。
【0115】
コラム515は、例えば、水平回動自在に構成され、粗研削といし11と精研削といし20とは、コラム515の対面側に設けられている。コラム515が回動することにより、粗研削といし11と精研削といし20を切り替えて、加工物Wの研削加工を行うことができる。
【0116】
このように、1つのコラム515に複数の研削といし、例えば、粗研削といし11、精研削といし20を設ける構成により、平面研削装置510を小型化できる。また、更に多くの種類の研削といしを搭載して、硬脆性材料からなる板状の加工物Wに適した研削加工の効率化を図ることができる。
【0117】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0118】
10、110、210、310、410、510 平面研削装置
11 粗研削といし
12 といし刃先
13 といし軸
14 カバー
15、515 コラム
16 モータ
20 精研削といし
21 といし刃先
22 といし軸
23 カバー
24 コラム
25 モータ
30 中研削といし
31 といし刃先
32 といし軸
33 カバー
34 コラム
35 モータ
40 本体
41 ワークテーブル
42 ツルーイングブロック
43 ドレッサ
44 定寸装置
50、450 インデックステーブル
51 スタンバイ位置
52 研削位置
53 粗研削位置
54 中研削位置
55 精研削位置
W 加工物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8