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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】支援システム、及び支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q50/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020051208
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021149805
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504368480
【氏名又は名称】一般財団法人 日本建築センター
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】宮本 敬行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩
(72)【発明者】
【氏名】大内 政治
(72)【発明者】
【氏名】星仲 智幸
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 茂之
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 利昭
(72)【発明者】
【氏名】上倉 理香
(72)【発明者】
【氏名】服部 謙次
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝
(72)【発明者】
【氏名】大野 敏資
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 丞治
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-117087(JP,A)
【文献】特開2018-005507(JP,A)
【文献】特開2004-013380(JP,A)
【文献】特開2015-162025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築確認申請を支援する支援システムであって、
建築確認申請において記載すべき事項に関する確認項目リストを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記確認項目リストに基づいて、建築確認申請において申請の対象となる対象物の属性を追加する追加部と、
前記追加部によって追加された前記属性に、建築確認申請において記載する情報を設定する設定部と、
前記設定部によって前記属性に情報が設定された前記対象物を示す申請情報を出力する出力部と、
を備え、
前記出力部は、前記追加部によって追加された前記属性と、元から存在している属性とを互いに異なる表示態様で表示させる
支援システム。
【請求項2】
前記設定部によって設定された情報が、建築確認申請に適合するか否かを判定する判定部を更に備え、
前記出力部は、前記判定部によって判定された判定結果を出力する、
請求項1に記載の支援システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記設定部によって設定された情報が、建築確認申請に適合するか否かを、建築確認申請にて確認される項目ごとに判定し、
前記出力部は、前記判定部によって判定された判定結果を、前記項目ごとに出力する、
請求項2に記載の支援システム。
【請求項4】
建築確認申請を支援する支援システムであって、
建築確認申請において記載すべき事項に関する確認項目リストを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記確認項目リストに基づいて、建築確認申請において申請の対象となる対象物の属性を追加する追加部と、
前記追加部によって追加された前記属性に、建築確認申請において記載する情報を設定する設定部と、
前記設定部によって前記属性に情報が設定された前記対象物を示す申請情報を審査側装置に送信する申請側通信部と、
を有する申請側装置と、
前記申請側装置によって送信された前記申請情報が、建築確認申請に適合するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって判定された判定結果を前記申請側装置に送信する審査側通信部と
を有する審査側装置と、
を備え、
前記審査側装置は、前記追加部によって追加された前記属性と、元から存在している属性とを互いに異なる表示態様で表示させる
支援システム。
【請求項5】
建築確認申請を支援する支援システムの支援方法であって、
取得部が、建築確認申請において記載すべき事項に関する確認項目リストを取得し、
追加部が、前記取得部によって取得された前記確認項目リストに基づいて、建築確認申請において申請の対象となる対象物の属性を追加し、
設定部が、前記追加部によって追加された前記属性に、建築確認申請において記載する情報を設定し、
出力部が、前記設定部によって前記属性に情報が設定された前記対象物を示す申請情報を出力し、記追加部によって追加された前記属性と、元から存在している属性とを互いに異なる表示態様で表示させる
支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築確認申請を支援する支援システム、及び支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物を建てる際に建築確認申請を行う必要がある。建築確認申請とは、建築基準法に基づく申請行為である。具体的には、申請に必要な設計図書を指定された審査機関に提出し、建築物が建築基準法に適合している旨の確認を受ける行為である。申請に必要な設計図書は、申請用の一般図、地盤面算定図、求積図、及び申請書類などである。一般図は、各階の平面図、立面図、断面図などである。特許文献1には、建築基準法に適合しているか否かの判定結果を、判定のプロセスと共に、申請者側に通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-162175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築確認申請には、図面に建築物の高さや面積など、建築確認申請において確認すべき事項を加筆した申請用の設計図書を作成する必要があり手間がかかるという問題があった。また、審査の過程で図面に不備があると、申請側と審査側とで協議を行うなど申請における確認作業に大きな負担が発生するという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、建築確認申請における手間を低減させることができる支援システム、及び支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために本発明の一実施形態の支援システムは、建築確認申請を支援する支援システムであって、建築確認申請において記載すべき事項に関する確認項目リストを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記確認項目リストに基づいて、建築確認申請において申請の対象となる対象物の属性を追加する追加部と、前記追加部によって追加された前記属性に、建築確認申請において記載する情報を設定する設定部と、前記設定部によって前記属性に情報が設定された前記対象物を示す申請情報を出力する出力部と、を備え、前記出力部は、前記追加部によって追加された前記属性と、元から存在している属性とを互いに異なる表示態様で表示させる。
【0007】
また、本発明の一実施形態の支援システムは、前記設定部によって設定された情報が、建築確認申請に適合するか否かを判定する判定部を更に備え、前記出力部は、前記判定部によって判定された判定結果を出力する。
【0008】
また、本発明の一実施形態の支援システムでは、前記判定部は、前記設定部によって設定された情報が、建築確認申請に適合するか否かを、建築確認申請にて確認される項目ごとに判定し、前記出力部は、前記判定部によって判定された判定結果を、前記項目ごとに出力する。
【0009】
また、本発明の一実施形態の支援システムは、建築確認申請を支援する支援システムであって、建築確認申請において記載すべき事項に関する確認項目リストを取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記確認項目リストに基づいて、建築確認申請において申請の対象となる対象物の属性を追加する追加部と、前記追加部によって追加された前記属性に、建築確認申請において記載する情報を設定する設定部と、前記設定部によって前記属性に情報が設定された前記対象物を示す申請情報を審査側装置に送信する申請側通信部と、を有する申請側装置と、前記申請側装置によって送信された前記申請情報が、建築確認申請に適合するか否かを判定する判定部と、前記判定部によって判定された判定結果を前記申請側装置に送信する審査側通信部とを有する審査側装置と、を備え、前記審査側装置は、前記追加部によって追加された前記属性と、元から存在している属性とを互いに異なる表示態様で表示させる。
【0010】
また、本発明の一実施形態の支援方法は、建築確認申請を支援する支援システムの支援方法であって、取得部が、建築確認申請において記載すべき事項に関する確認項目リストを取得し、追加部が、前記取得部によって取得された前記確認項目リストに基づいて、建築確認申請において申請の対象となる対象物の属性を追加し、設定部が、前記追加部によって追加された前記属性に、建築確認申請において記載する情報を設定し、出力部が、前記設定部によって前記属性に情報が設定された前記対象物を示す申請情報を出力し、記追加部によって追加された前記属性と、元から存在している属性とを互いに異なる表示態様で表示させる。

【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、建築確認申請における手間を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る支援システム1の構成例を示す構成図である。
図2】第1の実施形態の申請情報180の構成例を示す図である。
図3】設計に用いられる図面の例を示す図である。
図4】第1の実施形態の建築確認申請に用いられる図面の例を示す図である。
図5】第1の実施形態の建築確認申請に用いられる図面の例を示す図である。
図6】第1の実施形態の支援システム1が行う処理の流れを示すシーケンス図である。
図7】第2の実施形態の支援システム1Aの構成例を示す構成図である。
図8】第2の実施形態の支援システム1Aが行う処理の流れを示すシーケンス図である。
図9】第2の実施形態の支援システム1Aが行う処理の流れを示すシーケンス図である。
図10】第2の実施形態の支援システム1Aが行う処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る支援システム1の構成例を示す構成図である。支援システム1は、例えば、申請側装置10と、選定装置20と、審査側装置30とを備える。支援システム1の各装置(申請側装置10、選定装置20、及び審査側装置30)は、通信ネットワークNWを介して互いに通信可能に接続されている。
【0015】
申請側装置10は、建築確認申請を行う申請側のコンピュータである。申請側装置10は、建築物の設計データを基に、建築確認申請に必要な設計図書を作成する。ここでの設計データとは、建築物を構成するオブジェクトに、識別情報、構造、仕上げ、管理情報などの属性情報を対応づけた情報である。設計データは、例えば、BIM(Building Information Modeling)によるモデリングに用いられるデータである。
【0016】
申請側装置10は、設計データに、選定装置20から通知される確認項目リストを反映させることにより、建築確認申請に必要な設計図書を作成する。確認項目リストは、建築確認申請において確認される項目のリストである。確認項目リストには、建築確認申請において確認される項目ごとに、根拠となる法令、明示すべき記載事項、記載図面、記載部位などが示されている。申請側装置10が建築確認申請に必要な設計図書を作成する方法は後で詳しく説明する。
【0017】
選定装置20は、確認項目リストを作成するコンピュータである。選定装置20は、例えば、通信部21と、制御部22と、記憶部23とを備える。通信部21は、通信ネットワークNWを介して、申請側装置10及び審査側装置30と通信する。制御部22は、選定装置20を統括的に制御する。制御部22は、確認項目リストを作成する。制御部22は、例えば予め記憶されたチェックリストに、作業員等の入力操作によって設定された情報を反映させることにより、確認項目リストを作成する。チェックリストは、例えば、建築確認申請において確認される項目ごとに、根拠となる法令、明示すべき記載事項、記載図面、記載部位などが記載されたリストである。例えば、記載部位には、屋根、軒裏、外壁、間仕切壁、柱、床、梁、階段、天井、開口部など、建築物における部位が列挙されている。制御部22は、これらの部位から何れかの部位を選択する旨の情報を、キーボードなどの入力装置(不図示)から取得し、取得した情報をチェックリストに反映させる。記憶部23は、選定装置20の各機能を実現させるためのプログラムを記憶する。記憶部23は、例えば、チェックリストを記憶する。
【0018】
審査側装置30は、建築確認申請において提出された設計図書が建築基準法に適合していることを確認する審査側のコンピュータ装置である。審査側装置30は、例えば、通信部31と、審査部32と、審査結果出力部33と、記憶部34とを備える。通信部31は、通信ネットワークNWを介して申請側装置10及び選定装置20と通信する。審査部32は、建築確認申請において、申請側装置10から提出された設計図書が建築基準法に適合しているか否かを判定する。審査部32が判定を行う方法については後で詳しく説明する。審査結果出力部33は、審査部32によって行われた判定の内容を審査結果として出力する。記憶部34は、審査側装置30の各機能を実現させるためのプログラムを記憶する。
【0019】
申請側装置10は、例えば、通信部11と、表示部12と、記載情報取得部13と、属性追加部14と、属性情報設定部15と、適合判定部16と、表示制御部17と、記憶部18とを備える。
【0020】
通信部11は、通信ネットワークNWを介して、選定装置20及び審査側装置30と通信する。通信部11は、選定装置20から確認項目リストを受信する。通信部11は、審査側装置30に、建築確認申請のための設計図面に係る設計データを送信する。通信部11は、審査側装置30から審査結果を受信する。
【0021】
表示部12は、例えば、申請側装置10と接続されるディスプレイである。表示部12は、表示制御部17の制御にしたがい、設計データに基づく建築物の三次元モデルなどを表示する。表示部12は、作業員の操作に基づいて、建築物を構成するオブジェクトに対応づけられた、識別情報、構造、仕上げ、管理情報などの属性情報を表示する。
【0022】
記載情報取得部13は、確認項目リストを取得する。確認項目リストは、建築確認申請において記載すべき事項に関する情報のリストであり、「記載情報」の一例である。記載情報取得部13は、例えば、通信部11を介して、選定装置20から通知される確認リストを取得する。記載情報取得部13は、取得した確認リストを属性追加部14に出力する。
【0023】
属性追加部14は、確認リストに基づいて、建築物を構成するオブジェクトに属性を追加する。ここで追加される属性は、確認項目リストに基づいて決定される、建築確認申請のための設計図面に記載すべき事項を設定するための属性である。
【0024】
例えば、確認項目リストに、「防火区画において、火気が使用される居室の内装に不燃部材を使用しているか」との確認項目がある場合を考える。この場合、建築確認申請のための設計図面には、防火区画か否かが示される必要がある。また、防火区画に部屋が設計されている場合には、その部屋において火気が使用されるか否か、居室非居室の別、内装制限の有無などが明記される必要がある。内装制限とは、内装に不燃部材を使用するか否かなどが示される項目である。
【0025】
従来の手法においては、設計データを表示させ、表示させた設計データに、防火区画を描画したり、防火区画に設計された部屋に火気が使用されるか否かなどを描画したりする加筆作業を作業員が画面上で行っていた。また、地盤面算定図や求積図など、設計データに加筆する作業のみでは作成できない設計図書については、新たな図面等を作成する必要があり手間がかかっていた。
【0026】
この対策として、本実施形態では、設計データに加筆する作業を行うことなく、建築確認申請のための設計図面を作成可能とする。具体的に、建築物を構成するオブジェクトに、建築確認申請のための設計図面に記載すべき項目の属性を追加する。例えば、部屋オブジェクトには、設計に必要なデータとして、面積や天井高などの寸法や、天井仕上げ、壁仕上げ、床仕上げなどの内装に関する属性が存在する。各属性に面積値などが設定されることにより部屋の寸法や内装が設計される。しかしながら、現状の設計データには、部屋オブジェクトに、防火区画であるか否か等を設定することができない。防火区画であるか否かを設定できる属性が存在していないためである。そこで、属性追加部14は、確認リストに基づいて、建築物を構成するオブジェクトに、建築確認申請のための設計図面に記載すべき事項を設定するための属性を追加する。属性追加部14は、例えば、部屋オブジェクトに、防火区画、火気の使用、居室非居室、内装制限の属性を追加する。
【0027】
属性追加部14は、例えば、VPL(Visual Programming Language)の手法を用いて、作業員が視覚的にアルゴリズムを構築する情報に基づいて、属性を追加する。文字コードのみのプログラム言語に比べ、視覚的に理解しやすい。このため、確認項目リストに基づいて適切な属性を追加されているか否かを、作業員等が容易に確認することができ、的確な属性の追加が可能となる。
【0028】
属性情報設定部15は、属性追加部14によってオブジェクトに追加された属性に、建築確認申請において記載する情報を設定する。属性情報設定部15は、例えば、防火区画に設計された部屋を抽出する。属性情報設定部15は、抽出した部屋に対応づけられた部屋オブジェクトにおける、追加された属性(防火区画)に、防火区画である旨を設定する。また、属性情報設定部15は、追加された属性(火気の使用)に、火気の使用があるか否かを設定する。属性情報設定部15は、追加された属性(居室非居室)に、居室又は非居室の別を設定する。属性情報設定部15は、追加された属性(内装制限)に、内装制限の有無を設定する。属性情報設定部15は、例えば、作業員によって操作入力された情報に基づいて、属性に情報を設定する。
【0029】
適合判定部16は、属性情報設定部15によって設定された情報が、建築確認申請に適合するか否かを判定する。適合判定部16は、例えば、確認項目リストごとに、建築確認申請に適合するか否かを判定する。確認項目リストに示される項目は、「建築確認申請にて確認される項目」の一例である。
【0030】
適合判定部16は、例えば、追加された属性のそれぞれに情報が設定された設計データ(以下、申請用設計データと称する)に基づく図面(以下、申請用図面と称する)を表示部12に表示させる。適合判定部16は、表示させた申請用図面が、作業員等の目視確認によって確認された確認結果を入力装置などから取得することにより、属性情報設定部15によって設定された情報が、建築確認申請に適合するか否かを判定する。或いは、適合判定部16は、申請用設計データを、選定装置20に送信し、選定装置20に、確認項目リストと申請用図面との整合性を確認する依頼を行うようにしてもよい。
【0031】
表示制御部17は、表示部12に表示させる画像、例えば申請用設計データの表示を制御する。表示制御部17は、例えば、属性追加部14によって追加された属性と、元から存在している属性とを異なる表示態様にて表示させる。これにより、作業員は、属性追加部14によって追加された属性を認識し易くなり、属性に設定値を設定する作業が容易となる。
【0032】
表示制御部17は、属性追加部14によって追加された属性に設定された情報を、元の図面とは異なる表示態様にて申請用図面に表示する。例えば、表示制御部17は、防火区画に存在する部屋と、防火区画に存在しない部屋とを、異なる色で表示する。これにより、作業員は、設定値が適切に設定されているかの確認が容易となる。
【0033】
或いは、表示制御部17は、フェーズに応じて、属性追加部14によって追加された属性を表示するか否かを制御するようにしてもよい。ここでのフェーズとは、作業員の作業に沿った各段階であり、例えば、設計フェーズと、申請フェーズである。表示制御部17は、設計フェーズにおいて、属性追加部14によって追加された属性を表示しない。一方、表示制御部17は、申請フェーズにおいて、属性追加部14によって追加された属性を表示する。これにより、設計、申請の各フェーズにおいて、作業に不必要な属性が非表示となり、各フェーズに必要な属性のみが表示されるため作業がし易くなる。
【0034】
記憶部18は、申請側装置10の各機能を実現するためのプログラムを記憶する。記憶部18は、申請情報180を記憶する。申請情報180は、建築確認申請のための設計図面に係る設計データである。
【0035】
図2は、第1の実施形態の申請情報180の構成例を示す図である。申請情報180は、オブジェクトごとに作成される。申請情報180は、例えば、部材ID、属性グループ1、属性グループ2、などの項目を備える。部材IDは、部材(オブジェクト)を一意に識別する識別情報である。属性グループ1は、所定の単位、例えば、設計のフェーズ単位で用いられる属性をまとめたグループである。属性グループ1は、属性と設定値の項目を備える。属性には、部材名称、タイプ、サイズなど、設計に用いられる属性が示されている。設定値には、属性の設定値が示される。属性グループ1は、所定の単位、例えば、申請のフェーズ単位で用いられる属性をまとめたグループである。属性グループ2は、属性と設定値の項目を備える。属性には、防火区画、防火性能、遮炎性能など、申請(建築確認申請)において用いられる属性が示されている。設定値には、属性の設定値が示される。
【0036】
図3は、設計に用いられる図面の例を示す図である。図3には、事務室の設計図の一部が示されている。図3に示すように、設計に用いられる図面には、例えば、窓のオブジェクトT1~T5が示されている。それぞれのオブジェクトには、サッシのサイズや、サッシのガラス厚などの属性に、設定値が設定されており、設定された寸法にて設計図が作成されている。
【0037】
図4は、第1の実施形態の建築確認申請に用いられる図面(申請用図面)の例を示す図である。図4には、図3と同じ事務室の設計図の一部が示されている。図4に示すように、申請用図面には、例えば、延焼線ELが示される。延焼線ELは、敷地境界線SLから所定の距離(例えば、5m)にある線であり、敷地境界の外(例えば、道路や隣家)で火災が発生した場合に延焼する恐れがある領域の境界である。延焼線から敷地境界側の領域においては、特に、放火対策が施された部材を使用する必要がある。このような、延焼線から敷地境界側の領域においては放火対策が施された部材が使用されているか否かが、建築確認申請において確認される項目となる。
【0038】
図4には、延焼線から敷地境界側の領域に設置される窓には、丸囲みの「耐」「網」などのマークM1~M3が示され、これらの窓に放火対策が施された部材が使用されることが明示されている。図3の窓のオブジェクトT1、T2、T3に対応するオブジェクトには、防火区画などの属性に、防火区画である旨の設定値が設定されており、設定された情報に基づいてマークM1~M3が描画されている。
【0039】
図5は、第1の実施形態の建築確認申請に用いられる図面(申請用図面)の例を示す図である。図5には、図3と同じ事務室の設計図の一部が三次元モデルで示されている。図5に示すように、申請用図面が三次元である場合、延焼線ELも三次元で示される。また、放火対策が施された窓は、放火対策が施されていない窓とは、異なる表示態様にて表示される。
【0040】
図6は、第1の実施形態の支援システム1が行う処理の流れを示すシーケンス図である。
選定装置20は、確認項目リストを作成し、作成した確認項目リストを申請側装置10に通知する(ステップS10)。申請側装置10は、確認項目リストを取得し(ステップS11)、取得した確認項目リストに基づいて、建築確認申請において必要な属性をオブジェクトに追加し(ステップS12)、追加した属性に、設定値を設定する(ステップS13)。
【0041】
申請側装置10は、事前の適合判定を行う(ステップS14)。申請側装置10は、例えば、申請用図面を表示させ、申請に必要な事項が明示されているか否かを作業員が確認することにより、事前の適合判定を行う。或いは、申請側装置10は、申請用図面の設計データを選定装置20に通知し、選定装置20に申請に必要な事項が明示されているか否かを確認するように依頼してもよい。選定装置20は、必要に応じて、確認項目リストを更新するようにしてもよい。確認項目リストが更新された場合、申請側装置10は、更新後の確認項目リストを取得し、ステップS12、S13に示す処理を行う。
【0042】
申請側装置10は、事前の適合判定において、申請に必要な事項が明示されているとの判定結果が得られるまで、ステップS12、S13に示す処理を繰返し行う。申請側装置10は、申請に必要な事項が明示されているとの判定結果が得られた場合、申請図面の設計データ(申請情報)を審査側装置30に送信し(ステップS15)、建築確認申請を行う。
【0043】
審査側装置30は、申請情報を受信し(ステップS16)、受信した申請情報に基づいて、申請に必要な事項が明示されているか否かを判定する審査を行う(ステップS17)。審査側装置30は、審査部32によって審査を行う。審査部32が審査を行う方法は、適合判定部16が申請に必要な事項が明示されているか否かを確認する方法と同様である。つまり、審査部32は「判定部」の一例である。審査側装置30は、審査結果を申請側装置10に送信する(ステップS18)。申請側装置10は、選定装置20から審査結果を受信する(ステップS19)。
【0044】
なお、上述したフローチャートでは、ステップS10において選定装置20が確認項目リストを申請側装置10に通知する場合を例に説明したが、これに限定されない。申請側装置10は、少なくとも確認項目リストを取得すればよい。例えば、申請側装置10は、作業員等の入力操作により入力された確認項目リストを取得するようにしてもよい。また、申請側装置10は、別の外部装置から通知された確認項目リストを取得するようにしてもよい。
【0045】
以上、説明したように、第1の実施形態の支援システム1は、記載情報取得部13(「取得部」の一例)と、属性追加部14(「追加部」の一例)と、属性情報設定部15(「設定部」の一例)と、表示部12(「出力部」の一例)を備える。記載情報取得部13は、確認項目リスト(建築確認申請において記載すべき事項に関する記載情報)を取得する。属性追加部14は、記載情報取得部13によって取得された確認項目リストに基づいて、建築確認申請において申請の対象となる対象物(オブジェクト)の属性を追加する。属性情報設定部15は、属性追加部14によって追加された属性に、建築確認申請において記載する情報を設定する。表示部12は、属性情報設定部15によって情報が設定された対象物を示す申請情報を出力する。これにより、実施形態の支援システム1においては、オブジェクトに追加した属性に設定した設定値に基づいて、申請用の図面を作成する支援を行うことが可能である。したがって、設計図に加筆する場合と比較して、建築確認申請における手間を低減させることができる。
【0046】
また、第1の実施形態の支援システム1は、適合判定部16(「判定部」の一例)を備える。適合判定部16は、属性情報設定部15によって設定された情報が、建築確認申請に適合するか否かを判定する。これにより、実施形態の支援システム1においては、事前に申請用図面が建築確認申請に適合するか否かを判定することが可能である。また、必要に応じて追加する属性を変更したり、設定値を変更したり、確認項目リストを更新したりすることも可能である。したがって、申請図面に不整合が生じ難く、事前の適合判定を行わない場合と比較して、建築確認申請における申請側と審査側で行われるやり取りを低減することができる。したがって、設計図に加筆する場合と比較して、建築確認申請における手間を低減させることができる。
【0047】
また、第1の実施形態の支援システム1は、申請側装置10と審査側装置30を備える構成であってもよい。申請側装置10は、記載情報取得部13と、属性追加部14と、属性情報設定部15と、通信部11を備える。通信部11は申請用図面のデータを審査側装置30に送信する。審査側装置30は、申請側装置10と通信ネットワークNWを介して、通信可能に接続される。審査側装置30は、審査部32(「判定部」の一例)と、通信部31と、を備える。審査部32は、審査結果を申請側装置10に通知する。これにより、実施形態の支援システム1は、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0048】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。本実施形態では、申請側装置10Aと、審査側装置30Aとの両方からアクセス可能なサーバ装置40を備える点において、上述した第1の実施形態と相違する。本実施形態では、申請側装置10Aは、建築確認申請を行う申請情報をサーバ装置40にアップロードする。審査側装置30Aはサーバ装置40から申請情報をダウンロードし、ダウンロードした申請情報に基づいて審査を行う。これにより、申請から審査までの過程がスムーズに行えるようにするとともに、建築確認申請された内容と、実際の設計データとの不整合が生じることを抑制する。
【0049】
図7は、第2の実施形態の支援システム1Aの構成例を示す構成図である。支援システム1Aは、例えば、申請側装置10Aと、審査側装置30Aと、サーバ装置40とを備える。
【0050】
申請側装置10Aは、例えば、通信部11と、表示部12と、記憶部18と、制御部19とを備える。通信部11と、表示部12とは、上述した第1の実施形態と同様の機能であるため、その説明を省略する。記憶部18には、設計データ(BIMによるモデリングに用いられるデータ、以下、BIMモデルとも称する)を編集するためのソフトウェアなどのプログラム等が記憶されている。BIMモデルを編集するためのソフトウェアとは、例えば、上述した第1の実施形態で説明した機能(記載情報取得部13、属性追加部14、属性情報設定部15、適合判定部16、及び表示制御部17)を実現するものである。
【0051】
制御部19は、建築確認申請の対象とするBIMモデルに対し、申請に必要な属性を、建築物を構成するオブジェクトに追加する。ここで追加される属性は、属性追加部14により追加される属性と同様であるためその説明を省略する。
【0052】
制御部19は、サーバ装置40に属性を追加したBIMモデルを登録した上で、事前の承認を審査側装置30Aに依頼する。具体的に、制御部19は、属性を追加したBIMモデル、或いは追加する属性の情報をサーバ装置40にアップロードするなどして、BIMモデルへの属性の追加を要求することにより、属性が追加されたBIMモデルをサーバ装置40に記憶させる。制御部19は、属性が追加されたBIMモデルがサーバ装置40に記憶された後、通信部11を介して、審査側装置30Aに事前の承認依頼を通知する。
【0053】
申請側装置10Aは、審査側装置30AからBIMモデルに追加された属性が適切であるか否かを検討した検討結果を受信する。申請側装置10Aは、審査側装置30Aから、承認が得られるまで、サーバ装置40に記憶させたBIMモデル更新と、審査側装置30Aへの事前の承認依頼とを繰り返す。最終的に、サーバ装置40には、審査側装置30Aから事前の承認が得られたモデル(属性が追加されたBIMモデル)が記憶される。
【0054】
また、制御部19は、審査側装置30Aから事前の承認が得られたモデル(属性が追加されたBIMモデル)に、その追加した属性に属性情報を設定する。これにより、制御部19は、建築確認申請用のBIMモデルを作成する。属性に属性情報を設定する方法は、属性情報設定部15により属性情報が設定される方法と同様であるためその説明を省略する。
【0055】
制御部19は、サーバ装置40に建築確認申請用のBIMモデルを記憶させた上で、審査側装置30Aに審査を依頼する。具体的に、制御部19は、建築確認申請用のBIMモデル(追加した属性に属性情報が設定されたBIMモデル)をサーバ装置40にアップロードするなどして、サーバ装置40に建築確認申請用のBIMモデルを登録(記憶)させる。制御部19は、建築確認申請用のBIMモデルがサーバ装置40に登録(記憶)された後、通信部11を介して、審査側装置30Aに審査の依頼を通知する。
【0056】
申請側装置10Aは、審査側装置30Aから申請したBIMモデルの審査結果を受信する。申請側装置10Aは、審査側装置30Aから、肯定的な審査結果が得られるまで、サーバ装置40に記憶させたBIMモデル更新と、審査側装置30Aへの審査依頼とを繰り返す。これにより、サーバ装置40には、審査側装置30Aから肯定的な審査結果が得られたBIMモデルが最終的に記憶される。
【0057】
審査側装置30Aは、例えば、通信部31と、記憶部34と、表示部35と、制御部36とを備える。通信部31は通信部11と、記憶部34は記憶部18と、表示部35は表示部12と、制御部36は制御部19と、それぞれ同様の機能であることから、これらの機能の説明を省略する。
【0058】
制御部36は、申請側装置10Aからの依頼(事前の承認、及び審査)に応じて、BIMモデルに追加された属性が適切であるか否かを判定、或いは、BIMモデルが建築確認申請において確認すべき項目が明記されているかを審査する。制御部36が、当該判定、及び審査をする方法は、適合判定部16が判定を行う方法、及び審査部32が審査を行う方法と同様であるためその説明を省略する。
【0059】
制御部36は、サーバ装置40を介して、申請側装置10Aから依頼された内容を判定、或いは審査する。制御部36は、申請側装置10Aからの依頼に応じて、通信部31を介してサーバ装置40にアクセスし、サーバ装置40に記憶されたBIMモデルをダウンロードすることにより、依頼の対象となるBIMモデルを取得する。制御部36は、取得したBIMモデルに基づいて、申請側装置10Aから依頼された内容を判定或いは審査し、その結果を申請側装置10Aに通知する。
【0060】
サーバ装置40は、例えば、通信部41と、記憶部42と、制御部43と、を備える。通信部41は、通信ネットワークNWを介して申請側装置10A及び審査側装置30Aと通信する。記憶部42は、申請情報420を記憶する。申請情報420は、申請情報180と同様の情報であるためその説明を省略する。制御部43は、例えば、記載情報取得部430と、属性追加部431と、属性情報設定部432と、適合判定部433と、表示制御部434と、を備える。記載情報取得部430は記載情報取得部13と、属性追加部431は属性追加部14と、属性情報設定部432は属性情報設定部15と、適合判定部433は適合判定部16と、それぞれ同様の機能部であるためその説明を省略する。
【0061】
制御部43は、申請側装置10Aから要求に応じて、属性が追加されたBIMモデルを記憶部42に記憶させる。また、制御部43は、申請側装置10Aから要求に応じて、建築確認申請用のBIMモデルを記憶部42に記憶させる。制御部43は、審査側装置30Aから要求に応じて、記憶部42に記憶されたモデル(属性が追加されたBIMモデル)を示す情報を審査側装置30Aに出力する。制御部43は、審査側装置30Aから要求に応じて、記憶部42に記憶されたモデル(確認申請用のBIMモデル)を示す情報を審査側装置30Aに出力する。
【0062】
図8から図10は、第2の実施形態の支援システム1Aが行う処理の流れを示すシーケンス図である。
【0063】
図8には、属性が追加されたBIMモデルが承認される処理の流れが示されている。申請側装置10Aは、確認項目リストを取得する(ステップS20)。申請側装置10Aは、上述した図6のステップS11と同様に選定装置20から確認項目リストを取得してもよいし、別の外部装置或いは作業員等の入力操作により、確認項目リストを取得するようにしてもよい。申請側装置10Aは、確認項目リストに従い、BIMモデルの建築物を構成するオブジェクトに建築確認申請に必要な属性を追加する(ステップS21)。申請側装置10Aは、属性を追加したBIMモデルをサーバ装置40にアップロードし(ステップS22)、BIMモデルへの属性の追加を要求する(ステップS23)。
【0064】
サーバ装置40は、申請側装置10Aからの要求に応じ、属性が追加されたBIMモデルを、記憶部42に記憶させる(ステップS24)。
【0065】
申請側装置10Aは、属性が追加されたBIMモデルについて承認が得られるか、審査側装置30Aに、事前の判定(承認)を依頼する(ステップS25)。
【0066】
審査側装置30Aは、申請側装置10Aからの依頼に応じ、依頼の対象であるBIMモデルをサーバ装置40からダウンロードし(ステップS26)、BIMモデルに追加された属性に関する情報を取得する(ステップS27)。審査側装置30Aは、ダウンロードしたBIMモデルを画面に表示させ、作業員等が視認する等して、BIMモデルに追加された属性が、建築確認申請に適切に対応しているか否かを判定する(ステップS28)。審査側装置30Aは、BIMモデルに追加された属性について、事前の承認をするか否かを示す判定結果を申請側装置10Aに通知する(ステップS29)。
【0067】
図9には、建築確認用のBIMモデルが審査される処理の流れが示されている。申請側装置10Aは、BIMモデルに追加された属性についての審査側装置30Aからの判定結果に応じて、BIMモデルに追加する属性を確定させる(ステップS30)。申請側装置10Aは、確定させた属性に、属性情報を設定する(ステップS31)ことにより、建築確認申請用のBIMデータ(申請書類)を作成する(ステップS32)。申請側装置10Aは、作成した建築確認申請用のBIMデータを、サーバ装置40にアップロードし(ステップS33)、サーバ装置40に建築確認申請用のBIMデータを登録させる(ステップS34)。
【0068】
サーバ装置40は、申請側装置10Aからの登録の要求に応じ、建築確認申請用のBIMモデルを、記憶部42に記憶させる(ステップS35)。
【0069】
申請側装置10Aは、建築確認申請用のBIMモデルについて、審査側装置30Aに、審査を依頼する(ステップS36)。
【0070】
審査側装置30Aは、申請側装置10Aからの審査の依頼に応じ、審査の対象であるBIMモデルをサーバ装置40からダウンロードし(ステップS37)、建築確認申請用のBIMモデルを取得する(ステップS38)。審査側装置30Aは、ダウンロードしたBIMモデルを画面に表示させ、作業員等が視認する等して、BIMモデルを審査する(ステップS39)。審査側装置30Aは、審査したBIMモデルの審査結果を申請側装置10Aに通知する(ステップS40)。
【0071】
図10には、建築確認用のBIMモデルが訂正された後、再度の審査がなされる処理の流れが示されている。申請側装置10Aは、建築確認申請用のBIMデータ(申請書類)を訂正する(ステップS50)。申請側装置10Aは、訂正した建築確認申請用のBIMデータを、サーバ装置40にアップロードし(ステップS51)、サーバ装置40に、訂正後の建築確認申請用のBIMデータを登録させる(ステップS52)。
【0072】
サーバ装置40は、申請側装置10Aからの登録の要求に応じ、訂正後の建築確認申請用のBIMモデルを、記憶部42に記憶させる(ステップS53)。
【0073】
申請側装置10Aは、訂正後の建築確認申請用のBIMモデルについて、審査側装置30Aに、再度の審査を依頼する(ステップS54)。
【0074】
審査側装置30Aは、申請側装置10Aからの再度の審査の依頼に応じ、審査の対象である訂正後のBIMモデルをサーバ装置40からダウンロードし(ステップS55)、建築確認申請用のBIMモデルを取得する(ステップS56)。審査側装置30Aは、ダウンロードしたBIMモデルを画面に表示させ、作業員等が視認する等して、訂正後のBIMモデルを、再度、審査する(ステップS57)。審査側装置30Aは、訂正後のBIMモデルの審査結果を申請側装置10Aに通知する(ステップS58)。
【0075】
以上、説明したように、第2の実施形態の支援システム1Aは、申請側装置10A及び審査側装置30Aと通信可能に接続されたサーバ装置40を備える。申請側装置10Aは、属性を追加したBIMモデル(設計データ)を、サーバ装置40に記憶させる。ここでの属性とは、確認項目リストに基づいて追加された建築確認申請において申請の対象となる対象物(オブジェクト)の属性である。申請側装置10Aは、サーバ装置40に記憶させたモデル(属性を追加したBIMモデル)について、事前の承認を審査側装置30Aに依頼する。申請側装置10Aは、サーバ装置40に記憶させたモデル(属性を追加したBIMモデル)について審査側装置30Aから得られた事前の承認を判定した判定結果に基づいてBIMモデルに追加する属性を確定させる。これにより、第2の実施形態の支援システム1Aでは、属性の追加に係る承認がスムーズに行われるようにする。また、事前の承認の対象とするBIMモデルをサーバ装置40に登録することにより、認証が得られたモデルと実際の設計データとが整合しているかを確認することを容易とする。
【0076】
また、第2の実施形態の支援システム1Aでは、申請側装置10Aは、建築確認申請用のBIMモデル(設計データ)を、サーバ装置40に記憶させる。申請側装置10Aは、サーバ装置40に記憶させた建築確認用のBIMモデルについての審査を審査側装置30Aに依頼する。これにより、第2の実施形態の支援システム1Aでは、建築確認申請に係る審査がスムーズに行われるようにする。また、審査の対象とするBIMモデルをサーバ装置40に登録することにより、審査が得られたモデルと実際の設計データとが整合しているかを確認することを容易とする。
【0077】
(実施形態の変形例)
上述した実施形態の変形例を説明する。本変形例は、上述した第1の実施形態、および第2の実施形態の何れにおいても適用することができる。本変形例では、申請側装置10(10A)が、適合判定プログラムを備える点において、上述した実施形態と相違する。適合判定プログラムは、BIMモデルが、建築基準法および関連法に適合するか否かを自動判定するプログラムである。この適合判定プログラムは、上述した第1の実施形態における適合判定部16や審査部32、或いは第2の実施形態における適合判定部433により行われる処理の一部であってもよい。
【0078】
記憶部18は、適合判定プログラムを記憶する。申請側装置10(10A)は、記憶部18に記憶された適合判定プログラムを実行することにより、BIMモデルが、建築基準法および関連法に適合するか否かを判定する。
【0079】
適合判定プログラムは、審査側がそのアルゴリズムを承認できるプログラミング言語で作成される。具体的に、適合判定プログラムは、当該適合判定プログラムにおける判定の経緯を、人が認識可能に提示する手段を有する。例えば、適合判定プログラムは、VPLなどの視覚的なオブジェクトを用いてプログラミングするプログラミング言語で作成される。
【0080】
審査側は、アルゴリズムの承認と併せて、属性を含んだファミリを承認する。ここでのファミリは、建築に用いられる部材の集合体であり、例えば、内部間仕切壁、建具(サッシや窓、戸など)、部屋などの部材ごとに定義される。適合判定プログラムは、ファミリごとに、判定対象となる属性を表示する。例えば、適合判定プログラムは、建具のファミリにおいて判定対象となる属性として、防火性能、遮炎性能、開閉方式などの項目を表示する。審査側では、ファミリごとに判定に必要な属性が適切に追加されているか否かを目視などにより確認し、適切であれば、その属性を含んだファミリを承認する。
【0081】
適合判定プログラムは、建築基準法および関連法に適合するか否かを審査する審査内容に応じて、複数作成される。例えば、建具ファミリについての適合判定プログラム、部屋ファミリについての適合判定プログラムなどが作成される。
【0082】
建具ファミリについての適合判定プログラムは、建具表と区画図などを表示するプログラムである。例えば、建具表には、建具の種類や仕様と共に、防火性能や遮炎性能の項目(属性)があり、それぞれの属性に防火性能のタイプや、遮炎性能の有無などが設定され、その設定内容が人の操作等に応じて表示可能である。
【0083】
部屋ファミリについての適合判定プログラムは、仕上表と法チェック図などを表示するプログラムである。例えば、仕上表には、各部屋の床や壁、天井などに使う仕上げ材が明記されると共に、防火区画領域などの項目(属性)があり、防火区画領域であるか否かを示す情報が設定され、その設定内容が人の操作等に応じて表示可能である。
【0084】
適合判定プログラムは、属性に設定されている設定内容とBIMモデルとの整合を判定することにより、BIMモデルが、建築基準法および関連法に適合するか否かを判定する。例えば、適合判定プログラムは、例えば、居室の排煙についての項目(属性)に「自然排煙」と設定されている場合、BIMモデルにて、当該居室における天井から80cm以内の開放面積(窓)が、居室面積の1/50以上あるか否かを判定する。そして、適合判定プログラムは、該居室における天井から80cm以内の開放面積(窓)が、居室面積の1/50以上ある場合、BIMモデルが、当該項目について、建築基準法および関連法に適合すると判定する。
【0085】
適合判定プログラムは、BIMモデルに搭載される。具体的には、適合判定プログラムは、BIMの設計データと連動するように作成される。より具体的には、適合判定プログラムは、BIMモデルに用いられる部材に対応した属性やその設定値を表示可能とする。また、適合判定プログラムは、申請側も審査側もプログラムによるチェックが可能となるように作成される。具体的には、適合判定プログラムは、申請側装置10(10A)と審査側装置30(30A)とが共に実行可能となるように作成される。より具体的には、申請側装置10(10A)と審査側装置30(30A)とに、適合判定プログラムがインストールされている。これにより、申請側装置10(10A)と審査側装置30(30A)とで、同一のBIMモデルの判定結果として、同一の内容を出力させることが可能となり、申請側の事前の審査結果が、審査側にて再現させることが可能である。従来の図面による審査の場合、平面図や断面図、立面図と法チェック図の整合を確認していたが、本願ではBIMモデルを用いて法チェックを行うことで、実際の建築データとの整合性が担保され、業務が効率化する。
【0086】
なお、適合判定プログラムは、全ての判定項目についてその適合を判定するものでなくともよい。例えば、構造計算、日影計算、斜線制限などの適合性は、既存のソフトウェアを用いて計算させるようにしてもよい。
【0087】
上述した実施形態における支援システム1、1Aの全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0088】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1、1A…支援システム、10、10A…申請側装置、11…通信部(申請側通信部)、12…表示部(出力部)、13…記載情報取得部(取得部)、14…属性追加部(追加部)、15…属性情報設定部(設定部)、16…適合判定部(判定部)、17…表示制御部、18…記憶部、19…制御部、20…選定装置、30、30A…審査側装置、31…通信部(審査側通信部)、32…審査部(判定部)、40…サーバ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10