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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】船外機、船外機の制御方法および船舶
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/16 20060101AFI20240723BHJP
   B63H 20/00 20060101ALI20240723BHJP
   B63H 23/24 20060101ALI20240723BHJP
   H02J 7/14 20060101ALI20240723BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20240723BHJP
   H02P 101/25 20150101ALN20240723BHJP
   H02P 103/20 20150101ALN20240723BHJP
   H02P 101/35 20150101ALN20240723BHJP
【FI】
H02J7/16 Y
B63H20/00 610
B63H23/24
H02J7/14 H
H02J7/16 H
H02P9/04 J
H02P101:25
H02P103:20
H02P101:35
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020073522
(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2021170887
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】藤本 慎平
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特許第5367382(JP,B2)
【文献】特開2015-165763(JP,A)
【文献】国際公開第2007/114268(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/16
B63H 20/00
B63H 23/24
H02J 7/14
H02P 9/04
H02P 101/25
H02P 103/20
H02P 101/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機関部と、
前記駆動機関部が動作することにより発電する発電機と、
前記発電機により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力を複数のバッテリ部に供給する電力変換部と、
前記電力変換部により変換された直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、
前記発電機により発電された交流電力の出力電圧の位相に対する通電タイミングである通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御である遅角進角制御を行う位相角制御部と、を備え、
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が、前記遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、前記遅角進角制御を行うように構成され
前記複数のバッテリ部のうちの少なくとも1つが前記発電機に接続された状態と遮断された状態とを切り替え可能に構成されており、
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合に、前記発電機に接続された状態の前記バッテリ部の数が変更される前後に亘って継続して、前記通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御を行うように構成されている、船外機。
【請求項2】
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値以上になるまで、前記通電位相角を所定の角度分、複数回遅角させるか、または、複数回進角させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載の船外機。
【請求項3】
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合に、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行うとともに、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値以上で、かつ、予め設定された第2設定電圧値以上になったことに基づいて、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行うように構成されている、請求項1または2に記載の船外機。
【請求項4】
前記位相角制御部は、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合に、前記直流電力の電圧値が前記第2設定電圧値未満になったことに基づいて、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を再び行う制御を行うように構成されている、請求項に記載の船外機。
【請求項5】
前記第2設定電圧値は、前記バッテリ部の充電定格電圧値である、請求項3または4に記載の船外機。
【請求項6】
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合で、かつ、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合で、かつ、前記通電位相角が第1の制限位相角となった場合に、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を停止するとともに、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行う制御を行うように構成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の船外機。
【請求項7】
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合で、かつ、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合で、かつ、前記通電位相角が第2の制限位相角となった場合に、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を再び行う制御を行うように構成されている、請求項に記載の船外機。
【請求項8】
前記発電機と前記複数のバッテリ部のうちの少なくとも1つとの間に配置され、前記複数のバッテリ部のうちの少なくとも1つと前記発電機とが接続された状態と遮断された状態とを切り替えるリレー部をさらに備え、
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合に、前記リレー部により前記発電機に接続された状態の前記バッテリ部の数が変更される前後に亘って継続して、前記通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御を行うように構成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の船外機。
【請求項9】
駆動機関部と、
前記駆動機関部が動作することにより発電する発電機と、
前記発電機により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力を複数のバッテリ部に供給する電力変換部と、
前記電力変換部により変換された直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、
前記発電機により発電された交流電力の出力電圧の位相に対する通電タイミングである通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御である遅角進角制御を行う位相角制御部と、を備え、
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が、前記遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、前記遅角進角制御を行うように構成され、
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合に、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行うとともに、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値以上で、かつ、予め設定された第2設定電圧値以上になったことに基づいて、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止する制御を行うように構成されている、船外機。
【請求項10】
駆動機関部と、
前記駆動機関部が動作することにより発電する発電機と、
前記発電機により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力を複数のバッテリ部に供給する電力変換部と、
前記電力変換部により変換された直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、
前記発電機により発電された交流電力の出力電圧の位相に対する通電タイミングである通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御である遅角進角制御を行う位相角制御部と、を備え、
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が、前記遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、前記遅角進角制御を行うように構成され、
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合で、かつ、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合で、かつ、前記通電位相角が第1の制限位相角となった場合に、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止する制御を行うように構成されている、船外機。
【請求項11】
駆動機関部が動作することにより発電する発電機を備えた船外機の制御方法であって、
前記発電機により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力を複数のバッテリ部に供給するステップと、
前記直流電力の電圧値を検出するステップと、
前記発電機により発電された交流電力の出力電圧の位相に対する通電タイミングである通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御である遅角進角制御を行うステップと、を備え、
前記遅角進角制御を行うステップは、前記直流電力の電圧値が、前記遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、前記遅角進角制御を行うステップを含み、
前記複数のバッテリ部のうちの少なくとも1つが前記発電機に接続された状態と遮断された状態とを切り替え可能に構成されており、
前記遅角進角制御を行うステップは、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合に、前記発電機に接続された状態の前記バッテリ部の数が変更される前後に亘って継続して、前記遅角進角制御を行うステップを含む、船外機の制御方法。
【請求項12】
前記遅角進角制御を行うステップは、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値以上になるまで、前記通電位相角を所定の角度分、複数回遅角させるか、または、複数回進角させるステップを含む、請求項11に記載の船外機の制御方法。
【請求項13】
前記遅角進角制御を行うステップは、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合に、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行うとともに、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値以上で、かつ、予め設定された第2設定電圧値以上になったことに基づいて、前記通電位相角を進角させることと遅角させることとのうちの少なくとも一方を停止するステップを含む、請求項11または12に記載の船外機の制御方法。
【請求項14】
前記遅角進角制御を行うステップは、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合に、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行うとともに、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値以上で、かつ、予め設定された第2設定電圧値以上になったことに基づいて、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行うステップを含む、請求項11または12に記載の船外機の制御方法。
【請求項15】
前記遅角進角制御を行うステップは、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合に、前記直流電力の電圧値が前記第2設定電圧値未満になったことに基づいて、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を再び行う制御を行うステップを含む、請求項14に記載の船外機の制御方法。
【請求項16】
前記第2設定電圧値は、前記バッテリ部の充電定格電圧値である、請求項13~15のいずれか1項に記載の船外機の制御方法。
【請求項17】
前記遅角進角制御を行うステップは、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合で、かつ、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合で、かつ、前記通電位相角が第1の制限位相角となった場合に、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止するステップを含む、請求項11~16のいずれか1項に記載の船外機の制御方法。
【請求項18】
前記遅角進角制御を行うステップは、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合で、かつ、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合で、かつ、前記通電位相角が第1の制限位相角となった場合に、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を停止するとともに、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行うステップを含む、請求項11~16のいずれか1項に記載の船外機の制御方法。
【請求項19】
前記遅角進角制御を行うステップは、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合で、かつ、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合で、かつ、前記通電位相角が第2の制限位相角となった場合に、前記通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を再び行うステップを含む、請求項18に記載の船外機の制御方法。
【請求項20】
複数のバッテリ部と、
前記複数のバッテリ部に接続された船外機と、を備え、
前記船外機は、
駆動機関部と、
前記駆動機関部が動作することにより発電する発電機と、
前記発電機により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力を前記複数のバッテリ部に供給する電力変換部と、
前記電力変換部により変換された直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、
前記発電機により発電された交流電力の出力電圧の位相に対する通電タイミングである通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御である遅角進角制御を行う位相角制御部と、を備え、
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が、前記遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、前記遅角進角制御を行うように構成され
前記複数のバッテリ部のうちの少なくとも1つが前記発電機に接続された状態と遮断された状態とを切り替え可能に構成されており、
前記位相角制御部は、前記直流電力の電圧値が前記第1設定電圧値未満の場合に、前記発電機に接続された状態の前記バッテリ部の数が変更される前後に亘って継続して、前記通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御を行うように構成されている、船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発電機を備える船外機、船外機の制御方法および船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電機を備える船外機、船外機の制御方法および船舶が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、発電機を備える船舶推進機(船外機)が開示されている。この船舶推進機には、整流回路と、第1の蓄電池と、第2の蓄電池とが設けられている。整流回路は、発電機から出力される交流電流を直流電流に変換するように構成されている。また、第1の蓄電池は、整流回路から出力される直流電流により充電されるとともに、船舶推進機を制御する制御システムに電力を供給するように構成されている。また、第2の蓄電池は、整流回路から出力される直流電流により充電されるとともに、船舶に備えられる装備機器に電力を供給するように構成されている。
【0004】
また、従来、交流発電とバッテリとの間に接続されたバッテリ充電装置における遅角制御方法が知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【0005】
上記特許文献2には、整流回路と進角/遅角制御回路とを備えたバッテリ充電装置における遅角制御方法が開示されている。この整流回路は、進角/遅角制御回路による指令に基づいて、スイッチング素子の通電タイミングを交流発電機の交流出力電圧の位相に対して遅らせることにより遅角制御を行うように構成されている。また、バッテリ充電装置には、電流センサが設けられている。そして、バッテリ充電装置は、電流センサを用いて発電量を取得するように構成されている。そして、進角/遅角制御回路は、遅角制御後の発電量である今回発電量が、遅角制御前の発電量である前回発電量よりも小さい場合に、前回発電量に対応する遅角量を遅角リミット値として設定するように構成されている。そして、バッテリ充電装置は、この遅角リミット値による通電タイミングにより、バッテリに充電を行うように構成されている。すなわち、この遅角制御方法では、発電量を検出するたび(遅角させるたび)に、今回発電量と前回発電量とを比較して、今回発電量が前回発電量よりも小さい場合に、遅角制御が終了される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5367382号公報
【文献】特許第4990883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記特許文献1に記載の発電機を備える船舶推進機に、上記特許文献2に記載の遅角制御方法を適用することが考えられる。しかしながら、上記特許文献1に記載の船舶推進機では、複数の蓄電池(第1の蓄電池および第2の蓄電池)が設けられているため、複数の蓄電池を合わせた電気容量は比較的大きくなる。このため、複数の蓄電池に接続された整流回路の通電タイミング(通電位相角)を遅らせた(遅角させた)場合でも、今回発電量の前回発電量に対する差異が小さくなる。これにより、今回発電量の前回発電量に対する差異が、発電量の検出に関する分解能よりも小さくなる場合があると考えられる。この場合、バッテリ充電装置は、今回発電量が前回発電量よりも微小に増加している場合でも、誤差等に起因して今回発電量が前回発電量よりも減少しているかまたは変化してしないものと誤って判定してしまう可能性があると考えられる。この場合、発電量が比較的小さい前回発電量に対応する通電位相角で整流された電力により、複数の蓄電池に充電が行われる。この結果、上記特許文献2に記載の遅角制御方法を適用した上記特許文献1に記載の複数の蓄電池を備える船舶推進機(船外機)では、複数の蓄電池を効率良く充電させることができない場合がある。そこで、複数の蓄電池(バッテリ部)に発電機からの電力を供給する場合にも、効率良く充電させることが可能な船舶推進機(船外機)、船外機の制御方法および船舶が望まれている。さらに、上記特許文献2に記載の遅角制御方法では、電流センサが用いられているが、軽量かつコンパクト性が要求される船外機用充電装置には電流センサを設けないことが好ましい。したがって、船外機においては、センサレスが求められ、電圧検出を電力検出(電流検出)の代替にすることが考えられる。位相に対する電圧の関係は、負の比例定数の2次関数で表され、電圧の極大値を有する。ただし、条件により、最大値と、そのときの位相値および比例定数の各々が変化する。したがって、いかなる条件でも、電圧の山を登ることが可能な船舶推進機(船外機)、船外機の制御方法および船舶が望まれている。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数のバッテリ部に発電機からの電力を供給する場合にも、効率良く充電させることが可能な船外機、船外機の制御方法および船舶を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明の第1の局面による船外機は、駆動機関部と、駆動機関部が動作することにより発電する発電機と、発電機により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力を複数のバッテリ部に供給する電力変換部と、電力変換部により変換された直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、発電機により発電された交流電力の出力電圧の位相に対する通電タイミングである通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御である遅角進角制御を行う位相角制御部と、を備え、位相角制御部は、直流電力の電圧値が、遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、遅角進角制御を行うように構成され、複数のバッテリ部のうちの少なくとも1つが発電機に接続された状態と遮断された状態とを切り替え可能に構成されており、位相角制御部は、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合に、発電機に接続された状態のバッテリ部の数が変更される前後に亘って継続して、通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御を行うように構成されている
【0010】
この第1の局面による船外機では、上記のように、位相角制御部を、直流電力の電圧値が、遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、遅角進角制御を行うように構成する。これにより、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になるまで継続して遅角進角制御が行われるので、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になる前に遅角進角制御が停止されるのを抑制することができる。このため、複数のバッテリ部に電力を供給する場合に、遅角進角制御前後における直流電力の電圧値の上昇量が直流電力の電圧値の検出分解能よりも小さい場合でも、継続して遅角進角制御を行うことができる。すなわち、直流電力の電圧値(発電量)が上昇していること(前回に検出された直流電力の電圧値よりも今回に検出された直流電力の電圧値が高いこと)が検出されない場合でも、遅角進角制御を継続することができる。この結果、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になる前に遅角進角制御が終了される場合に比べて、複数のバッテリ部に発電機からの電力を供給する場合にも、複数のバッテリ部に効率良く充電することができる。
【0011】
上記第1の局面による船外機において、好ましくは、位相角制御部は、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になるまで、通電位相角を所定の角度分、複数回遅角させるか、または、複数回進角させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、通電位相角を所定の角度分、遅角させるか、または、進角させた場合に、直流電力の電圧値の変化量が比較的小さい場合でも、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になる前に遅角進角制御が終了されることなく、複数回遅角させるか、または、複数回進角させることができる。この結果、直流電力の電圧値の変化が比較的小さいことにより、遅角進角制御が終了される場合に比べて、複数のバッテリ部に効率良く充電することができる。また、直流電力の電圧値の変化量が比較的小さい場合でも、遅角進角制御が終了されないので、上記所定の角度を比較的小さい値に設定することができる。この結果、通電位相角を微調整することができるので、最適な通電位相角に、より精度良く調整することができる。
【0013】
上記第1の局面による船外機において、好ましくは、位相角制御部は、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合に、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行うとともに、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上で、かつ、予め設定された第2設定電圧値以上になったことに基づいて、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行うように構成されている。このように構成すれば、直流電力の電圧値が第2設定電圧値以上になった場合に、通電位相角を変化させる方向を反転させることができる。この結果、直流電力の電圧値が必要以上に上昇した場合でも、通電位相角を変化させる方向を反転させることにより、直流電力の電圧値を適切な値(第2設定電圧値)に近づけることができる。
【0014】
上記直流電力の電圧値が第2設定電圧値以上になったことに基づいて、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行う船外機において、好ましくは、位相角制御部は、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合に、直流電力の電圧値が第2設定電圧値未満になったことに基づいて、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を再び行う制御を行うように構成されている。このように構成すれば、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合に、直流電力の電圧値が第2設定電圧値未満になった場合でも、再び、直流電力の電圧値が第2設定電圧値以上に上昇させることができる。この結果、直流電力の電圧値を第2設定電圧値の近傍の値に維持させることができる。
【0015】
上記直流電力の電圧値が第2設定電圧値以上になったことに基づいて、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止する船外機において、好ましくは、第2設定電圧値は、バッテリ部の充電定格電圧値である。このように構成すれば、バッテリ部の充電定格電圧値を第2設定電圧値として設定することにより、直流電力の電圧値がバッテリ部の充電定格電圧値以上になるまで継続して、通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御を行うことができる。この結果、直流電力の電圧値をより確実にバッテリ部の充電定格電圧値以上にすることができる。この結果、バッテリ部に対してより適切な電圧値により充電を行うことができる。
【0017】
上記第1の局面による船外機において、好ましくは、位相角制御部は、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合で、かつ、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合で、かつ、通電位相角が第1の制限位相角となった場合に、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を停止するとともに、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行う制御を行うように構成されている。このように構成すれば、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合に、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上にならない場合でも、第1の制限位相角を折り返し点として、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行うことができる。この結果、第1の制限位相角を超えて遅角されることまたは進角されることを抑制しながら、通電位相角を継続的に変化させることにより、より充電効率の良い通電位相角を探すことができる。
【0018】
上記通電位相角が第1の制限位相角となった場合に、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を停止するとともに、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行う船外機において、好ましくは、位相角制御部は、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合で、かつ、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合で、かつ、通電位相角が第2の制限位相角となった場合に、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を再び行う制御を行うように構成されている。このように構成すれば、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行った場合でも、第2の制限位相角を超えて通電位相角が変化されるのを抑制することができる。また、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行った場合でも、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上にならない場合には、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を、再び行うことができるので、より充電効率の良い通電位相角を継続して探すことができる。
【0019】
上記第1の局面による船外機において、好ましくは、発電機と複数のバッテリ部のうちの少なくとも1つとの間に配置され、複数のバッテリ部のうちの少なくとも1つと発電機とが接続された状態と遮断された状態とを切り替えるリレー部をさらに備え、位相角制御部は、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合に、リレー部により発電機に接続された状態のバッテリ部の数が変更される前後に亘って継続して、通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御を行うように構成されている。このように構成すれば、発電機に接続されたバッテリ部の数が、リレー部の動作によって変更された場合にも、継続して通電位相角を遅角させるか、または、進角させるので、バッテリ部の数の変化にかかわらず、効率良くバッテリ部に充電することができる。
この発明の船外機は、駆動機関部と、駆動機関部が動作することにより発電する発電機と、発電機により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力を複数のバッテリ部に供給する電力変換部と、電力変換部により変換された直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、発電機により発電された交流電力の出力電圧の位相に対する通電タイミングである通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御である遅角進角制御を行う位相角制御部と、を備え、位相角制御部は、直流電力の電圧値が、遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、遅角進角制御を行うように構成され、位相角制御部は、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合に、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行うとともに、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上で、かつ、予め設定された第2設定電圧値以上になったことに基づいて、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止する制御を行うように構成されている。
この船外機では、上記のように、位相角制御部を、直流電力の電圧値が、遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、遅角進角制御を行うように構成する。これにより、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になるまで継続して遅角進角制御が行われるので、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になる前に遅角進角制御が停止されるのを抑制することができる。このため、複数のバッテリ部に電力を供給する場合に、遅角進角制御前後における直流電力の電圧値の上昇量が直流電力の電圧値の検出分解能よりも小さい場合でも、継続して遅角進角制御を行うことができる。すなわち、直流電力の電圧値(発電量)が上昇していること(前回に検出された直流電力の電圧値よりも今回に検出された直流電力の電圧値が高いこと)が検出されない場合でも、遅角進角制御を継続することができる。この結果、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になる前に遅角進角制御が終了される場合に比べて、複数のバッテリ部に発電機からの電力を供給する場合にも、複数のバッテリ部に効率良く充電することができる。ここで、直流電力の電圧値が第2設定電圧値以上になった後にも継続して通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行った場合には、直流電力の電圧値が低下して、充電の効率が低下するか、または、直流電力の電圧値が必要以上に上昇する場合がある。これに対して、本発明では、直流電力の電圧値が第2設定電圧値以上になったことに基づいて、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止するので、直流電力の電圧値が低下して充電の効率が低下するのを抑制することができるとともに、直流電力の電圧値が必要以上に上昇しすぎるのを抑制することができる。
この発明の他の局面の船外機は、駆動機関部と、駆動機関部が動作することにより発電する発電機と、発電機により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力を複数のバッテリ部に供給する電力変換部と、電力変換部により変換された直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、発電機により発電された交流電力の出力電圧の位相に対する通電タイミングである通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御である遅角進角制御を行う位相角制御部と、を備え、位相角制御部は、直流電力の電圧値が、遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、遅角進角制御を行うように構成され、位相角制御部は、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合で、かつ、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合で、かつ、通電位相角が第1の制限位相角となった場合に、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止する制御を行うように構成されている。
この発明の他の局面の船外機は、上記のように、位相角制御部を、直流電力の電圧値が、遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、遅角進角制御を行うように構成する。これにより、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になるまで継続して遅角進角制御が行われるので、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になる前に遅角進角制御が停止されるのを抑制することができる。このため、複数のバッテリ部に電力を供給する場合に、遅角進角制御前後における直流電力の電圧値の上昇量が直流電力の電圧値の検出分解能よりも小さい場合でも、継続して遅角進角制御を行うことができる。すなわち、直流電力の電圧値(発電量)が上昇していること(前回に検出された直流電力の電圧値よりも今回に検出された直流電力の電圧値が高いこと)が検出されない場合でも、遅角進角制御を継続することができる。この結果、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になる前に遅角進角制御が終了される場合に比べて、複数のバッテリ部に発電機からの電力を供給する場合にも、複数のバッテリ部に効率良く充電することができる。また、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合に、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上にならない場合でも、第1の制限位相角を超えて遅角されることまたは進角されることを抑制することができる。この結果、遅角進角制御を行うことによっては、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上にならない場合でも、遅角し過ぎることまたは進角し過ぎることを抑制することができる。これにより、遅角し過ぎることまたは進角し過ぎることにより、直流電力の電圧値が低下し、充電効率が低下するのを抑制することができる。
【0020】
この発明の第2の局面による船外機の制御方法は、駆動機関部が動作することにより発電する発電機を備えた船外機の制御方法であって、発電機により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力を複数のバッテリ部に供給するステップと、直流電力の電圧値を検出するステップと、発電機により発電された交流電力の出力電圧の位相に対する通電タイミングである通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御である遅角進角制御を行うステップと、を備え、遅角進角制御を行うステップは、直流電力の電圧値が、遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、遅角進角制御を行うステップを含み、複数のバッテリ部のうちの少なくとも1つが発電機に接続された状態と遮断された状態とを切り替え可能に構成されており、遅角進角制御を行うステップは、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合に、発電機に接続された状態のバッテリ部の数が変更される前後に亘って継続して、遅角進角制御を行うステップを含む
【0021】
この発明の第2の局面による船外機の制御方法では、上記のように構成することにより、第1の局面による船外機と同様に、複数のバッテリ部に発電機からの電力を供給する場合にも、複数のバッテリ部に効率良く充電することが可能な船外機の制御方法を提供することができる。
【0022】
上記第2の局面による船外機の制御方法において、好ましくは、遅角進角制御を行うステップは、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になるまで、通電位相角を所定の角度分、複数回遅角させるか、または、複数回進角させるステップを含む。このように構成すれば、通電位相角を所定の角度分、遅角させるか、または、進角させた場合に、直流電力の電圧値の変化量が比較的小さい場合でも、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上になる前に遅角進角制御が終了されることなく、複数回遅角させるか、または、複数回進角させることができる。この結果、直流電力の電圧値の変化が比較的小さいことにより、遅角進角制御が終了される場合に比べて、複数のバッテリ部に効率良く充電することができる。また、直流電力の電圧値の変化量が比較的小さい場合でも、遅角進角制御が終了されないので、上記所定の角度を比較的小さい値に設定することができる。この結果、通電位相角を微調整することができるので、最適な通電位相角に、より精度良く調整することができる。
【0023】
上記第2の局面による船外機の制御方法において、好ましくは、遅角進角制御を行うステップは、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合に、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行うとともに、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上で、かつ、予め設定された第2設定電圧値以上になったことに基づいて、通電位相角を進角させることと遅角させることとのうちの少なくとも一方を停止するステップを含む。このように構成すれば、直流電力の電圧値が第2設定電圧値以上になったことに基づいて、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を停止するので、直流電力の電圧値が低下して充電の効率が低下するのを抑制することができるとともに、直流電力の電圧値が必要以上に上昇しすぎるのを抑制することができる。
【0024】
上記第2の局面による船外機の制御方法において、好ましくは、遅角進角制御を行うステップは、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合に、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行うとともに、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上で、かつ、予め設定された第2設定電圧値以上になったことに基づいて、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行うステップを含む。このように構成すれば、直流電力の電圧値が第2設定電圧値以上になった場合に、通電位相角を変化させる方向を反転させることができる。この結果、直流電力の電圧値が必要以上に上昇した場合でも、通電位相角を変化させる方向を反転させることにより、直流電力の電圧値を適切な値(第2設定電圧値)に近づけることができる。
【0025】
この場合、好ましくは、遅角進角制御を行うステップは、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合に、直流電力の電圧値が第2設定電圧値未満になったことに基づいて、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を再び行う制御を行うステップを含む。このように構成すれば、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合に、直流電力の電圧値が第2設定電圧値未満になった場合でも、再び、直流電力の電圧値を第2設定電圧値以上に上昇させることができる。この結果、直流電力の電圧値を第2設定電圧値の近傍の値に維持させることができる。
【0026】
上記直流電力の電圧値が第2設定電圧値以上になったことに基づいて、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止する船外機の制御方法において、好ましくは、第2設定電圧値は、前記バッテリ部の充電定格電圧値である、このように構成すれば、バッテリ部の充電定格電圧値を第2設定電圧値として設定することにより、直流電力の電圧値がバッテリ部の充電定格電圧値以上になるまで継続して、通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御を行うことができる。この結果、直流電力の電圧値をより確実にバッテリ部の充電定格電圧値以上にすることができる。この結果、バッテリ部に対してより適切な電圧値により充電を行うことができる。
【0027】
上記第2の局面による船外機の制御方法において、好ましくは、遅角進角制御を行うステップは、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合で、かつ、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合で、かつ、通電位相角が第1の制限位相角となった場合に、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止するステップを含む。このように構成すれば、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合に、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上にならない場合でも、第1の制限位相角を超えて遅角されることまたは進角されることを抑制することができる。この結果、遅角進角制御を行うことによっては、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上にならない場合でも、遅角し過ぎることまたは進角し過ぎることを抑制することができる。これにより、遅角し過ぎることまたは進角し過ぎることにより、直流電力の電圧値が低下し、充電効率が低下するのを抑制することができる。
【0028】
上記第2の局面による船外機の制御方法において、好ましくは、遅角進角制御を行うステップは、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合で、かつ、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合で、かつ、通電位相角が第1の制限位相角となった場合に、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を停止するとともに、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行うステップを含む。このように構成すれば、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合に、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上にならない場合でも、第1の制限位相角を折り返し点として、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行うことができる。この結果、第1の制限位相角を超えて遅角されることまたは進角されることを抑制しながら、通電位相角を継続的に変化させることにより、より充電効率の良い通電位相角を探すことができる。
【0029】
この場合、好ましくは、遅角進角制御を行うステップは、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合で、かつ、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合で、かつ、通電位相角が第2の制限位相角となった場合に、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を再び行うステップを含む。このように構成すれば、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行った場合でも、第2の制限位相角を超えて通電位相角が変化されるのを抑制することができる。また、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの他方を行った場合でも、直流電力の電圧値が第1設定電圧値以上にならない場合には、通電位相角を遅角させることと進角させることとのうちの一方を、再び行うことができるので、より充電効率の良い通電位相角を継続して探すことができる。
【0030】
この発明の第3の局面による船舶は、複数のバッテリ部と、複数のバッテリ部に接続された船外機と、を備え、船外機は、駆動機関部と、駆動機関部が動作することにより発電する発電機と、発電機により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力を複数のバッテリ部に供給する電力変換部と、電力変換部により変換された直流電力の電圧値を検出する電圧検出部と、発電機により発電された交流電力の出力電圧の位相に対する通電タイミングである通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御である遅角進角制御を行う位相角制御部と、を備え、位相角制御部は、直流電力の電圧値が、遅角進角制御の開始時の電圧値よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値以上になるまで継続して、遅角進角制御を行うように構成され、複数のバッテリ部のうちの少なくとも1つが発電機に接続された状態と遮断された状態とを切り替え可能に構成されており、位相角制御部は、直流電力の電圧値が第1設定電圧値未満の場合に、発電機に接続された状態のバッテリ部の数が変更される前後に亘って継続して、通電位相角を遅角させるか、または、進角させる制御を行うように構成されている
【0031】
この発明の第3の局面による船舶では、上記のように構成することにより、第1の局面による船外機および第2の局面による船外機の制御方法と同様に、複数のバッテリ部に発電機からの電力を供給する場合にも、複数のバッテリ部に効率良く充電することが可能な船舶を提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、上記のように、複数のバッテリ部に発電機からの電力を供給する場合にも、効率良く充電させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】一実施形態による船外機を備えた船外機艇を模式的に示した斜視図である。
図2】一実施形態による船外機、メインバッテリおよびハウスバッテリの構成を説明するためのブロック図である。
図3】一実施形態による遅角進角制御を説明するための図である。
図4】一実施形態による単位角度と検出分解能との関係を説明するための図である。
図5】一実施形態による通電位相角を遅角させることを説明するための図である。
図6】一実施形態による出力電圧値が設定電圧値未満の場合の遅角進角制御および出力電圧値が設定電圧値以上の場合の遅角進角制御を説明するための図である。
図7】一実施形態による制限位相角を説明するための図である。
図8】一実施形態による船外機の制御処理を示すフロー図である。
図9】一実施形態による出力電圧値のピーク値が2つ存在する場合の遅角進角制御の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
(船外機艇の構成)
図1図7を参照して、本実施形態による船外機艇100の構成について説明する。なお、図中、FWDは、船外機艇100の前進方向を示しており、BWDは、船外機艇100の後進方向を示している。なお、船外機艇100は、特許請求の範囲の「船舶」の一例である。
【0036】
船外機艇100は、図1に示すように、船外機1と、船体2と、メインバッテリ3aと、ハウスバッテリ3bとを備える。船外機1は、たとえば、船体2の後方に1機設けられている。なお、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bは、それぞれ、特許請求の範囲の「バッテリ部」の一例である。
【0037】
図2に示すように、船外機1は、エンジン11と、発電機12と、レクチファイアレギュレータ13(以下「RECT/REG13」とする)と、クランク角センサ14とを含む。なお、エンジン11は、特許請求の範囲の「駆動機関部」の一例である。
【0038】
エンジン11は、内燃機関であり、燃料を燃焼させることにより、駆動力を発生させるように構成されている。そして、エンジン11は、発生させた駆動力によりクランクシャフト11aを回転させて、船外機1のプロペラを回転させる。プロペラの回転により推進力が発生して船体2が移動する。また、エンジン11には、スタータモータ(図示せず)が設けられている。そして、エンジン11は、メインバッテリ3aから供給される電力によりスタータモータが駆動させることによりクランクシャフト11aが回転され、始動するように構成されている。
【0039】
発電機12は、エンジン11が動作することにより発電するように構成されている。具体的には、発電機12は、ステータ12aと、ロータ12bとを含む。ステータ12aには、たとえば、RECT/REG13に接続されたコイルが設けられている。また、ロータ12bには、永久磁石が設けられている。そして、エンジン11のクランクシャフト11aが回転されることにより、ロータ12bがステータ12aに対して回転することにより、起電力が生じる。そして、発電機12は、発生させた交流電力をRECT/REG13に供給するように構成されている。たとえば、発電機12は、ロータ12bの回転により、3相(U相、V相およびW相)の交流電力を発生させる。また、ロータ12bは、クランクシャフト11aのフライホイールとしての機能も有する。
【0040】
RECT/REG13は、発電機12により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力の出力電圧値Vaを調整するように構成されている。具体的には、RECT/REG13は、整流回路13aと、制御回路13bと、電圧検出回路13cとを含む。なお、整流回路13aは、特許請求の範囲の「電力変換部」の一例である。また、制御回路13bは、特許請求の範囲の「位相角制御部」の一例である。
【0041】
整流回路13aは、発電機12により発電された交流電力を直流電力に変換(整流)するとともに、変換(整流)した直流電力をメインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bの各々に供給するように構成されている。具体的には、整流回路13aは、複数のスイッチング素子を含む。そして、発電機12から出力された交流電力は、複数のスイッチング素子のスイッチング(通電と遮断との繰り返し)により、3相の交流電力が直流電力に変換される。
【0042】
制御回路13bは、たとえば、CPU(Central Processing Unit)を含む。そして、制御回路13bは、CPUがプログラムを実行することにより、各制御処理を実行するように構成されている。そして、制御回路13bは、後述するように発電機12により発電された交流電力の出力電圧の位相に対する通電タイミングである通電位相角θを遅角させるか、または、進角させる制御(遅角進角制御)を行うように構成されている。
【0043】
電圧検出回路13cは、整流回路13aにより変換された直流電力の出力電圧値Vaを検出するように構成されている。そして、電圧検出回路13cは、検出した出力電圧値Vaを制御回路13bに伝達するように構成されている。
【0044】
クランク角センサ14は、エンジン11のクランクシャフト11aの回転角(クランク角)を検出するように構成されている。そして、クランク角センサ14は、検出したクランク角の情報(信号)をRECT/REG13の制御回路13bに伝達するように構成されている。
【0045】
メインバッテリ3aは、ケーブルを介して、たとえば、図示しないエンジン補機の負荷群およびスタータモータに電力を供給するように構成されている。また、ハウスバッテリ3bは、ケーブルを介して、たとえば、図示しない船内電装の負荷群に電力を供給するように構成されている。
【0046】
また、船外機1は、発電機12とハウスバッテリ3bとの間に配置され、発電機12とハウスバッテリ3bとが接続された状態と遮断された状態とを切り替えるリレー部3cを含む。また、船外機1は、リレー部3cを制御することにより、発電機12に接続されるバッテリの数を変更する制御を行うバッテリ制御部3dを含む。バッテリ制御部3dは、リレー部3cを動作させることにより、発電機12とハウスバッテリ3bとが接続された状態と遮断された状態とを切り替える制御を行うように構成されている。
【0047】
(遅角進角制御に関する構成)
本実施形態では、図3に示すように、制御回路13bは、整流回路13aから出力された直流電力の電圧値である出力電圧値Vaが遅角進角制御の開始時の電圧値Vs0よりも高い電圧値でかつ予め設定された電圧値である第1設定電圧値Vs1(Vs1a、Vs1bまたはVs1c)以上になるまで継続して、遅角進角制御を行うように構成されている。なお、図3では、横軸を通電位相角θとし、縦軸を出力電圧値Vaとした船外機1の充電に関する特性の例を示している。たとえば、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1aとなった時点に、第1設定電圧値Vs1よりも高い電圧値である新たな第1設定電圧値Vs1bを設定する。そして、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1b以上になるまで継続して、遅角進角制御を行う。また、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1bとなった時点に、第1設定電圧値Vs1bよりも高い電圧値である新たな第1設定電圧値Vs1cを設定する。そして、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1c以上になるまで継続して、遅角進角制御を行う。なお、本実施形態では、第1設定電圧値Vs1a~Vs1cを互いに区別しない場合、単に「第1設定電圧値Vs1」と記載する。
【0048】
また、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上になるまで継続して、遅角進角制御を行う。ここで、本実施形態では、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bの充電定格電圧値が第2設定電圧値Vs2として設定されている。すなわち、制御回路13bは、出力電圧値Vaがメインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bの充電定格電圧値以上になるまで継続して、通電位相角θを遅角させるか、または、進角させる制御を行うように構成されている。図3では、第1設定電圧値Vs1cが第2設定電圧値Vs2と一致する例を示しているが、第1設定電圧値Vs1cと第2設定電圧値Vs2とが互いに異なる値であってもよい。
【0049】
詳細には、制御回路13bは、クランク角センサ14からクランク角の情報を取得するように構成されている。ここで、クランクシャフト11aとロータ12bとは、同期して回転しているため、制御回路13bは、クランク角の位相を発電機12により発電された交流電力の出力電圧の位相として、通電位相角θを遅角させるか、または、進角させる制御を行うように構成されている。また、整流回路13aは、発電機12により発電された交流電力の出力電圧の位相を、クランク角の情報(信号)に基づいて取得するように構成されている。すなわち、制御回路13bは、クランク角の位相を基準として、通電位相角θを遅角させるか、または、進角させる制御を行うように構成されている。
【0050】
図4に示すように、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上になるまで、通電位相角θを単位角度θu分、複数回遅角させるか、または、複数回進角させる制御を行うように構成されている。ここで、単位角度θu分、1回遅角させた場合の出力電圧値Vaの上昇量をVuとする。この場合、電圧検出回路13cの電圧値の検出分解能がVuよりも大きいVdの場合、電圧検出回路13cは、Vu分上昇していることは検出することはできない。なお、検出分解能とは、電圧検出回路13cが検出可能な電圧最小幅を意味するものとする。そこで、本実施形態では、制御回路13bは、出力電圧値Vaが設定電圧値Vs以上になるまで継続して、通電位相角θを単位角度θu分、複数回遅角させる制御を行う。これにより、出力電圧値VaがVuの複数回分(Vu×回数分)上昇することにより、Vuに遅角させた回数を乗算した電圧値が検出分解能Vdよりも大きくなる。なお、図4では、単位角度θu分、4回遅角させることにより出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1となる例を示しているが、この例に限られない。なお、単位角度θuは、特許請求の範囲の「所定の角度」の一例である。
【0051】
図5に示すように、本実施形態では、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1(第2設定電圧値Vs2)未満の場合に、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの一方を行うとともに、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1c以上でかつ第2設定電圧値Vs2以上になったことに基づいて、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止させるように構成されている。本実施形態では、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1c以上でかつ第2設定電圧値Vs2以上になったことに基づいて、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの一方を停止するとともに、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの他方を行うように構成されている。また、図6に示すように、制御回路13bは、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合に、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満になったことに基づいて、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの一方を再び行う制御を行うように構成されている。
【0052】
詳細には、図5に示すように、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満の場合に、まず、通電位相角θを遅角させる。たとえば、後述する制限位相角L2から通電位相角θを遅角させる。そして、通電位相角θが遅角させることにより、出力電圧値Vaが上昇し、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上になる。この場合、図6に示すように、制御回路13bは、通電位相角θが遅角させることを停止して、通電位相角θを進角させる。すなわち、制御回路13bは、通電位相角θを変化させる方向を反転させる。これにより、出力電圧値Vaが下降する。そして、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満になったことに基づいて、通電位相角θを進角させることを停止して、通電位相角θを再び遅角させる。すなわち、制御回路13bは、検出された出力電圧値Vaに基づいて、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2に近づくように、通電位相角θを遅角させることと進角させることとを繰り返すように構成されている。これにより、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2の近傍の値となる。
【0053】
図7に示すように、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合で、かつ、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの一方を行っている場合で、かつ、通電位相角θが制限位相角L1となった場合に、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止する。本実施形態では、制御回路13bは、この場合、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの一方を停止する。そして、制御回路13bは、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの他方を行う制御を行うように構成されている。また、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合で、かつ、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合で、かつ、通電位相角θが制限位相角L2となった場合に、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの一方を再び行う制御を行うように構成されている。なお、制限位相角L2とは、制限位相角L1とは異なる値(より進角の値)である。
【0054】
たとえば、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合に、まず、通電位相角θを遅角させる。そして、通電位相角θが遅角させることにより、出力電圧値Vaが変化する一方、図7に示すように、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上にならない場合がある。この場合、制御回路13bは、通電位相角θを遅角させることを継続する。そして、制御回路13bは、通電位相角θが制限位相角L1となった場合に、通電位相角θを遅角させることを停止して、通電位相角θを遅角させる。すなわち、制御回路13bは、通電位相角θが制限位相角L1となった場合に、通電位相角θを変化させる方向を反転させる。その後、通電位相角θを進角させることにより、出力電圧値Vaが変化する一方、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上にならない場合、制御回路13bは、通電位相角θを進角させることを継続する。そして、制御回路13bは、通電位相角θが制限位相角L2となった場合に、通電位相角θを進角させることを停止して、通電位相角θを再び遅角させる。これにより、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上にならない場合、通電位相角θが、制限位相角L1と制限位相角L2との範囲内で遅角されることと進角されることとが繰り返される。
【0055】
また、制御回路13bは、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合に、リレー部3c(図2参照)により発電機12に接続された状態のバッテリの数が変更される前後に亘って継続して、通電位相角θを遅角させるか、または、進角させる制御を行うように構成されている。たとえば、リレー部3cが開の状態では、発電機12にはメインバッテリ3aのみが接続されており、リレー部3cが閉の状態では、発電機12にはメインバッテリ3aとハウスバッテリ3bとが接続されている。
【0056】
[船外機の制御方法]
次に、図8を参照して、本実施形態による船外機1の制御方法について説明する。図8には、船外機1の制御工程に関するフロー図が示されている。
【0057】
ステップS1において、発電機により発電された交流電力を直流電力に変換するとともに、変換した直流電力が複数のバッテリ部に供給される。すなわち、複数のバッテリ部への充電が開始される。そして、ステップS2に進む。
【0058】
ステップS2において、直流電力の電圧値である出力電圧値Vaが検出される。そして、ステップS3に進む。
【0059】
ステップS3において、出力電圧値Vaが予め設定された第1設定電圧値Vs1以上か否かが判断される。出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上の場合、ステップS10に進み、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合、ステップS4に進む。
【0060】
ステップS4において、遅角または進角の一方が行われる。たとえば、通電位相角θが単位角度θu分、遅角される。そして、ステップS5に進む。すなわち、本実施形態では、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上になるまで、通電位相角θが遅角される。また、ステップS4を複数回行った場合には、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上になるまで、通電位相角θが、単位角度θu分、複数回遅角される。
【0061】
ステップS5において、遅角された通電位相角θが制限位相角L1か否かが判断される。遅角された通電位相角θが制限位相角L1でない場合、ステップS2に戻り、遅角された通電位相角θが制限位相角L1の場合、ステップS6に進む。
【0062】
ステップS6において、遅角または進角の他方が行われる。たとえば、通電位相角θが単位角度θu分、進角される。すなわち、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合で、かつ、通電位相角θを遅角させることを行っている場合で、かつ、通電位相角θが制限位相角L1となった場合に、通電位相角θが遅角されることが停止されるとともに、通電位相角θが進角される。その後、ステップS7に進む。
【0063】
ステップS7において、進角された通電位相角θが制限位相角L2か否かが判断される。進角された通電位相角θが制限位相角L2でない場合、ステップS8に進み、進角された通電位相角θが制限位相角L2の場合、ステップS4に戻る。
【0064】
ステップS8において、直流電力の電圧値である出力電圧値Vaが検出される。そして、ステップS9に進む。
【0065】
ステップS9において、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上か否かが判断される。出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上の場合、ステップS15に進み、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合、ステップS6に戻る。
【0066】
ステップS3において出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上となった場合に進むステップS10において、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上か否かが判断される。出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上の場合、ステップS12に進み、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満の場合、ステップS11に進む。
【0067】
ステップS11において、新たな第1設定電圧値Vs1が設定される。その後、ステップS4に進む。
【0068】
ステップS12において、遅角または進角の他方が行われる。たとえば、通電位相角θが単位角度θu分、進角される。その後、ステップS13に進む。
【0069】
ステップS13において、直流電力の電圧値である出力電圧値Vaが検出される。そして、ステップS14に進む。
【0070】
ステップS14において、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満か否かが判断される。出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満の場合、ステップS4に戻る。すなわち、通電位相角θを進角させることが行われている場合に、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満になったことに基づいて、通電位相角θを遅角させることが再び行われる。また、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上の場合、ステップS12に戻る。
【0071】
ステップS9において出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上となった場合に進むステップS15において、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上か否かが判断される。出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上の場合、ステップS17に進み、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満の場合、ステップS16に進む。
【0072】
ステップS16において、新たな第1設定電圧値Vs1が設定される。その後、ステップS6に進む。
【0073】
ステップS17において、遅角または進角の一方が行われる。たとえば、通電位相角θが単位角度θu分、遅角される。その後、ステップS18に進む。
【0074】
ステップS18において、直流電力の電圧値である出力電圧値Vaが検出される。そして、ステップS19に進む。
【0075】
ステップS19において、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満か否かが判断される。出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満の場合、ステップS6に戻る。また、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上の場合、ステップS17に戻る。
【0076】
また、上記ステップS1~S19においては、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合に、リレー部3cにより発電機12に接続された状態のバッテリ部の数が変更される前後に亘って継続して、通電位相角θが遅角させるか、または、進角させる。すなわち、上記の制御処理が実行されている間に、リレー部3cにより発電機12とハウスバッテリ3bとが切断された状態から通電された状態に切り替えられた場合、および、通電された状態から切断された状態に切り替えられた場合にも、上記のステップS1~S19は継続して実行される。
【0077】
(制御方法の具体例)
次に、図5図7および図9を参照して、本実施形態による船外機1の制御方法の具体例を説明する。図5および図6は、遅角進角制御を行った場合に、出力電圧値Vaのピーク値Vp1が第1設定電圧値Vs1を超える場合の例を示している。また、図7は、遅角進角制御を行った場合に、出力電圧値Vaのピーク値Vp2が第1設定電圧値Vs1未満の場合の例を示している。図9は、遅角進角制御を行った場合に、出力電圧値Vaのピーク値(山)が2つ(Vp3およびVp4)存在する場合の例を示している。2つのピーク値のうちのVp3は第1設定電圧値Vs1未満であり、Vp4は第1設定電圧値Vs1以上であるとする。
【0078】
図5の例では、まず、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1c(第2設定電圧値Vs2)以上になるまで、通電位相角θが継続して遅角される。そして、図6に示すように、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上なった場合、通電位相角θが進角される。そして、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満なった場合、通電位相角θが継続して遅角される。これにより、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2近傍の値に調整される。
【0079】
また、図7の例では、まず、通電位相角θが遅角される。そして、通電位相角θが制限位相角L1になったことに応じて、通電位相角θが進角される。そして、通電位相角θが制限位相角L2になったことに応じて、通電位相角θが遅角される。これにより、通電位相角θが制限位相角L1と制限位相角L2との間で往復するように走査される。その後、船外機1における負荷の大きさの変動等により、図7の状態から図5図6または図9の状態に変化した際に、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2近傍の値に調整される。
【0080】
また、図9の例では、通電位相角θが第1設定電圧値Vs1以上になるまで、通電位相角θが継続して遅角される。すなわち、ピーク値Vp3となる通電位相角θを超えて遅角が継続される。そして、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上なった場合(ピーク値Vp4の近傍)、通電位相角θが進角される。そして、出力電圧値Vaが設定電圧値Vs未満なった場合、通電位相角θが継続して遅角される。これにより、出力電圧値Vaが設定電圧値Vs近傍(ピーク値Vp4近傍)の値に調整される。
【0081】
[本実施形態の構造の効果]
本実施形態の構造では、以下のような効果を得ることができる。
【0082】
本実施形態では、上記のように、制御回路13bを、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上になるまで継続して、遅角進角制御を行うように構成する。これにより、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上になるまで継続して遅角進角制御が行われるので、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上になる前に遅角進角制御が停止されるのを抑制することができる。このため、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bに電力を供給する場合に、遅角進角制御前後における出力電圧値Vaの上昇量が出力電圧値Vaの検出分解能Vdよりも小さい場合でも、継続して遅角進角制御を行うことができる。すなわち、出力電圧値Va(発電量)が上昇していること(前回に検出された出力電圧値Vaよりも今回に検出された出力電圧値Vaが高いこと)が検出されない場合でも、遅角進角制御を継続することができる。この結果、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1Vs以上になる前に遅角進角制御が終了される場合に比べて、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bに発電機12からの電力を供給する場合にも、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bに効率良く充電することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、制御回路13bを、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上になるまで、通電位相角θを単位角度θu分、複数回遅角させるか、または、複数回進角させる制御を行うように構成する。これにより、通電位相角θを単位角度θu分、遅角させるか、または、進角させた場合に、出力電圧値Vaの変化量が比較的小さい場合でも、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上になる前に遅角進角制御が終了されることなく、複数回遅角させるか、または、複数回進角させることができる。この結果、出力電圧値Vaの変化が比較的小さいことにより、遅角進角制御が終了される場合に比べて、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bに効率良く充電することができる。また、出力電圧値Vaの変化量が比較的小さい場合でも、遅角進角制御が終了されないので、上記単位角度θuを比較的小さい値に設定することができる。この結果、通電位相角θを微調整することができるので、最適な通電位相角θに、より精度良く調整することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、制御回路13bを、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合に、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの一方を行うとともに、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上で、かつ、予め設定された第2設定電圧値Vs2以上になったことに基づいて、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止する制御を行うように構成する。これにより、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上になったことに基づいて、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの少なくとも一方を停止するので、出力電圧値Vaが低下して充電の効率が低下するのを抑制することができるとともに、出力電圧値Vaが必要以上に上昇しすぎるのを抑制することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、制御回路13bを、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合に、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの一方を行うとともに、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上で、かつ、予め設定された第2設定電圧値Vs2以上になったことに基づいて、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの他方を行うように構成する。これにより、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上になった場合に、通電位相角θを変化させる方向を反転させることができる。この結果、出力電圧値Vaが必要以上に上昇した場合でも、通電位相角θを変化させる方向を反転させることにより、出力電圧値Vaを適切な値(第2設定電圧値Vs2)に近づけることができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、制御回路13bを、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合に、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満になったことに基づいて、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの一方を再び行う制御を行うように構成する。これにより、通電位相角θを遅角させることと進角させることとのうちの他方を行っている場合に、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2未満になった場合でも、再び、出力電圧値Vaが第2設定電圧値Vs2以上に上昇させることができる。この結果、出力電圧値Vaを第2設定電圧値Vs2の近傍の値に維持させることができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、第2設定電圧値Vs2は、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bの充電定格電圧値である。これにより、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bの充電定格電圧値を第2設定電圧値Vs2として設定することにより、出力電圧値Vaがメインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bの充電定格電圧値以上になるまで継続して、通電位相角θを遅角させるか、または、進角させる制御を行うことができる。この結果、出力電圧値Vaをより確実にメインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bの充電定格電圧値以上にすることができる。この結果、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bに対してより適切な電圧値により充電を行うことができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、制御回路13bを、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合で、かつ、通電位相角θを遅角させることを行っている場合で、かつ、通電位相角θが制限位相角L1となった場合に、通電位相角θを遅角させることを停止する制御を行うように構成する。これにより、通電位相角θを遅角させることを行っている場合に、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上にならない場合でも、制限位相角L1を超えて遅角されることを抑制することができる。この結果、遅角進角制御を行うことによっては、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上にならない場合でも、遅角し過ぎることを抑制することができる。これにより、遅角し過ぎることにより、出力電圧値Vaが低下し、充電効率が低下するのを抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記のように、制御回路13bを、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合で、かつ、通電位相角θを遅角させることを行っている場合で、かつ、通電位相角θが制限位相角L1となった場合に、通電位相角θを遅角させることを停止するとともに、通電位相角θを進角させることを行う制御を行うように構成する。これにより、通電位相角θを遅角させることを行っている場合に、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上にならない場合でも、制限位相角L1を折り返し点として、通電位相角θを進角させることを行うことができる。この結果、制限位相角L1を超えて遅角されることを抑制しながら、通電位相角θを継続的に変化させることにより、より充電効率の良い通電位相角θを探すことができる。
【0090】
また、本実施形態では、上記のように、制御回路13bを、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合で、かつ、通電位相角θを進角させることを行っている場合で、かつ、通電位相角θが制限位相角L2となった場合に、通電位相角θを遅角させることとを再び行う制御を行うように構成する。これにより、通電位相角θを進角させることを行った場合でも、制限位相角L2を超えて通電位相角θが変化されるのを抑制することができる。また、通電位相角θを進角させることを行った場合でも、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1以上にならない場合には、通電位相角θを遅角させることを、再び行うことができるので、より充電効率の良い通電位相角θを継続して探すことができる。
【0091】
また、本実施形態では、上記のように、発電機12とメインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bのうちの少なくとも1つとの間に配置され、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bのうちの少なくとも1つと発電機12とが接続された状態と遮断された状態とを切り替えるリレー部3cをさらに備える。そして、制御回路13bを、出力電圧値Vaが第1設定電圧値Vs1未満の場合に、リレー部3cにより発電機12に接続された状態のバッテリの数が変更される前後に亘って継続して、通電位相角θを遅角させるか、または、進角させる制御を行うように構成する。これにより、発電機12に接続されたバッテリの数が、リレー部3cの動作によって変更された場合にも、継続して通電位相角θを遅角させるか、または、進角させるので、バッテリの数の変化にかかわらず、効率良くメインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bに充電することができる。
【0092】
[本実施形態の制御方法の効果]
本実施形態の制御方法では、以下のような効果を得ることができる。
【0093】
本実施形態では、上記のように構成することにより、上記船外機1の構造の効果と同様に、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bに発電機12からの電力を供給する場合にも、メインバッテリ3aおよびハウスバッテリ3bに効率良く充電することが可能な船外機の制御方法を提供することができる。
【0094】
[変形例]
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0095】
たとえば、上記実施形態では、駆動機関部としてエンジンを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、駆動機関部として、電力により駆動力を生じさせる電動機を用いてもよいし、エンジンと電動機とを組み合わせたハイブリッドシステムを用いてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、発電された交流電力の出力電圧の位相を、クランク角センサによるクランク角の情報(信号)に基づいて取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、発電機のロータの回転角を検出する回転角センサにより検出された信号に基づいて、発電された交流電力の出力電圧の位相を取得してもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、2つのバッテリ(メインバッテリおよびハウスバッテリ)を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、3つ以上のバッテリを設けてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、メインバッテリおよびハウスバッテリを船体に配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、メインバッテリおよびハウスバッテリの少なくとも一方を、船外機内に配置してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、先に通電位相角を遅角させた後に進角させる例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、先に通電位相角を進角させた後に遅角させてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、出力電圧値が第1設定電圧値以上になるまで、通電位相角を単位角度分、複数回遅角させる(進角させる)例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、出力電圧値が第1設定電圧値以上になるように、1回のみ通電位相角を遅角させるかまたは進角させてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、通電位相角を遅角させた場合に、出力電圧値が第2設定電圧値以上になったことに基づいて、通電位相角を進角させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、出力電圧値が第2設定電圧値以上になったことに基づいて、通電位相角を出力電圧値が第2設定電圧値以上になった角度に固定してもよい。すなわち、出力電圧値が第2設定電圧値以上になったことに基づいて、進角および遅角の両方を停止させてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、2つの制限位相角を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、2つの制限位相角のうちの少なくとも一方を設けずに、通電位相角を継続して遅角させるかまたは進角させてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、通電位相角を遅角させた(進角させた)場合に、通電位相角が制限位相角になったことに基づいて、通電位相角を進角させる(遅角させる)例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、通電位相角を遅角させた(進角させた)場合に、通電位相角を制限位相角に固定してもよい。すなわち、通電位相角が制限位相角になったことに基づいて、進角および遅角の両方を停止させてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、船外機にリレー部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、船外機にリレー部を設けずに、発電機とメインバッテリおよびハウスバッテリとを常時接続してもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、第2設定電圧値をメインバッテリおよびハウスバッテリの充電定格電圧値に設定する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、第2設定電圧値をメインバッテリおよびハウスバッテリの充電定格電圧値以外の値に設定してもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、船外機にバッテリ制御部およびリレー部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、船体にバッテリ制御部およびリレー部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 船外機、3a メインバッテリ(バッテリ部)、3b ハウスバッテリ(バッテリ部)、3c リレー部、11 エンジン(駆動機関部)、12 発電機、13a 整流回路(電力変換部)、13b 制御回路(位相角制御部)、13c 電圧検出回路(電圧検出部)、100 船外機艇(船舶)、L1 制限位相角(第1の制限位相角)、L2 制限位相角(第2の制限位相角)、Va 出力電圧値(直流電力の電圧値)、Vs1 第1設定電圧値、Vs2 第2設定電圧値、θ 通電位相角、θu 単位角度(所定の角度)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9