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特許7525306電流モード制御における電流共有スキームを有するマルチフェーズDC-DCコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】電流モード制御における電流共有スキームを有するマルチフェーズDC-DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240723BHJP
【FI】
H02M3/155 W
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2020096627
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2020198778
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】62/857,175
(32)【優先日】2019-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/880,814
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518364964
【氏名又は名称】ルネサス エレクトロニクス アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RENESAS ELECTRONICS AMERICA INC.
【住所又は居所原語表記】1001 Murphy Ranch Road, Milpitas, California 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャオドン デイビッド チャン
(72)【発明者】
【氏名】プラブジョット シン
(72)【発明者】
【氏名】ロン ロビン ユー
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0365002(US,A1)
【文献】特開2007-135390(JP,A)
【文献】特開2017-135812(JP,A)
【文献】特開2016-048988(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0189221(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフェーズを有する第1の電圧レギュレータと、
第2のフェーズを有する第2の電圧レギュレータとを有し、
前記第1の電圧レギュレータは、第1のバッファーと、前記第1のバッファーの出力を入力する第1のオフセット増幅器と、前記第1のバッファーの入力に結合された第1の出力、および前記第1のオフセット増幅器の出力に結合された第2の出力を有する第1の電流検知制御ペアと、を備え、
前記第2の電圧レギュレータは、第2のバッファーと、前記第2のバッファーの出力を入力する第2のオフセット増幅器と、前記第2のバッファーの入力に結合された第1の出力、および前記第2のオフセット増幅器の出力に結合された第2の出力を有する第2の電流検知制御ペアと、を備え、
前記第1の電圧レギュレータおよび前記第2の電圧レギュレータは、電流共有構成に基づいて電流共有を達成するように構成され、電流共有構成は、出力電流と平均電流との整合に基づいて構成される、装置。
【請求項2】
前記電流共有構成は、複数のインダクタの中の第1のインダクタに対する電流検知信号の電圧を調整することに基づいており、前記電流検知信号の電圧は、第1のインダクタ電流に対する平均電流の比較に基づいて調整され、前記第1のインダクタ電流は、パルス幅変調信号によって決定される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のインダクタに対する前記電流検知信号の電圧に対して行われる前記調整は、パルス幅変調周期の間に行われる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記電流共有構成は、前記第1の電圧レギュレータ及び前記第2の電圧レギュレータを補償信号を介して接続する第1の電気的接続と、共有バスを介して前記第1の電圧レギュレータ及び前記第2の電圧レギュレータを接続する第2の電気的接続と、をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記共有バスは、前記第1のバッファー、前記第2のバッファー、前記第1のオフセット増幅器、前記第2のオフセット増幅器、1つ以上の電流源、前記第1の電流検知制御ペア、および前記第2の電流検知制御ペアを使用して決定される前記共有バス上の平均電流を転送する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記補償信号は、誤差増幅器からの出力信号であり、前記誤差増幅器は、基準電圧とシステム出力電圧との間の誤差を測定して前記出力信号を出力し、前記システム出力電圧は、抵抗分割器構成によって検知される、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のフェーズは、第1のインダクタによって構成され、前記第1のインダクタからの電流は、ピーク電流モードを制御する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2のフェーズは、第2のインダクタによって構成され、前記第2のインダクタからの電流は、ピーク電流モードを制御する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のフェーズは、第1のインダクタによって構成され、前記第1のインダクタからの電流は、バレー電流モードを制御する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第2のフェーズは、第2のインダクタによって構成され、前記第2のインダクタからの電流は、バレー電流モードを制御する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、マルチフェーズアプリケーションを支援するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記マルチフェーズアプリケーションは、1つ以上の並列電圧レギュレータによって提供され、前記1つ以上の並列電圧レギュレータは、それぞれ、1つ以上のフェーズを有する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上の並列電圧レギュレータは、補償信号を介して、共有バス、入力電圧、システム出力電圧、およびフィードバック電圧に電気的に接続され、前記補償信号は、誤差増幅器からの出力信号であり、前記誤差増幅器は、基準電圧とシステム出力電圧との間の誤差を測定する出力信号を出力し、前記システム出力電圧は、抵抗分割器構成によって検知され、前記共有バスは、平均電流を転送し、前記フィードバック電圧は、前記誤差増幅器に基づくフィードバック電圧である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1の電圧レギュレータおよび前記第2の電圧レギュレータはそれぞれ、少なくとも電圧ループおよび電流ループを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記電流ループは、電流検知オペアンプに結合されたインダクタをさらに含み、前記電流検知オペアンプは比較器に結合されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記電流検知オペアンプは、インダクタに基づいて電流を測定し、電流検知電圧を出力し、前記電流検知電圧は、前記比較器に入力される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記電流検知オペアンプによって測定された前記電流検知電圧は、インダクタ電流に基づいている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記電流検知オペアンプによって測定された前記電流検知電圧はゲインを掛けられる、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記電圧ループは、誤差増幅器に結合された抵抗分圧器構成を更に含み、前記誤差増幅器は比較器に結合される、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記抵抗分割器構成は、システム出力電圧を検知し、前記システム出力電圧を前記誤差増幅器を介して基準信号と比較することで補償信号を生成し、前記補償信号は前記比較器に入力される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記装置はフィルタをさらに含み、前記フィルタは、少なくとも1つの抵抗器および少なくとも1つのコンデンサを含み、前記フィルタは、周波数リップルを希釈する、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、一般にDC-DCコンバータに関し、より詳細には、マルチフェーズ構成における並列コンバータ間の電流共有を提供する方式に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2019年6月4日に出願された米国仮特許出願第62/857,175号の優先権を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
従来の技術では、マルチフェーズDC-DCコンバータ構成における電流共有は、並列コンバータの電圧ループ誤差増幅器出力を一緒に接続することによって試みられる。つまり、並列コンバータのピーク電流ループ・リファレンスは結合されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固有のコンポーネントオフセット、スロープ補償オフセット、およびランプスルーレートの不整合は、並列接続されたコンバータ間で電流シェア誤差を引き起こす可能性がある。したがって、これらおよび他の問題に対する解決策が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施の形態は、一般にDC-DCコンバータに関し、より詳細には、マルチフェーズ構成における並列コンバータ間の電流共有を提供する方式に関する。ある実施例では、補償信号オフセットに対するサイクル毎の瞬時補正が、瞬時電流共有性能を改善するように、並列コンバータ間の電流共有誤差に基づいて提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、ピーク電流モード制御における従来の電流共有を示す模式図である。
図2図2は、ピーク電流モード制御における従来の電流共有に関する問題を示すタイミング図である。
図3図3は、本実施の形態による瞬間アクティブ電流回路の例示的な手法を示す模式図である。
図4A図4Aは、本実施の形態に従って設計され、無負荷で動作する回路の模擬動作状態を示すタイミング図である。
図4B図4Bは、本実施の形態および10Aロードに従って設計された回路の模擬動作状態を示すタイミング図である。
図5A図5Aは、図3に示すような回路を含む本実施の形態のバーストモードの模擬動作条件を示すタイミング図である。
図5B図5Bは、図3に示すような回路を含む本実施の形態のバーストモードの模擬動作状態を示す別のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで、本実施の形態を、当業者が本実施例および当業者に明らかな代替物を実施することを可能にするように、本実施例の例示的な実施例として提供される図面に関連して詳細に説明する。特に、以下の図面および実施例は、本実施の形態の範囲を単一の実施例に限定することを意味するものではなく、説明または図示された素子の一部または全部を交換することによって他の実施例を行うことができる。さらに、本実施の形態のいくつかの要素が、既知の構成要素を使用して部分的にまたは完全に実装され得る場合、本実施の形態を理解するために必須であるそのような既知の構成要素の部分のみが説明され、そのような既知の構成要素の他の部分の発明を実施するための形態は、本実施の形態を曖昧にしないように省略される。ソフトウェアで実装されるものとして説明される実施例は、それに限定されるべきではなく、本明細書で特に指定されない限り、当業者には明らかなように、ハードウェアで実装される実施例、またはソフトウェアとハードウェアの組合せを含むことができ、その逆も同様である。本明細書では、単数形の構成要素を示す実施例は、限定的であると見なされるべきではなく、むしろ、本明細書で特に明記しない限り、本発明は、複数の同じ構成要素を含む他の実施例を包含することが意図され、その逆もまた同様である。さらに、出願人は、明細書又はクレーム中の何れかの条件が、そのように明示的に記載されていない限り、珍しい又は特別な意味に解釈されることを意図していない。さらに、本実施の形態は、例示として本明細書で言及される既知の構成要素に対する現在および将来の既知の同等物を包含する。
【0008】
図1は、従来のマルチフェーズ構成における電流共有の手法を示す模式図である。図1に示すように、負荷に電流を供給するときに電流出力を共有するために、並列コンバータをマルチフェーズ構成に配置することにはいくつかの利点があることに留意されたい。第1に、共有電流は、コンバータへのストレスを減少させ、部品の寿命を増加させる。さらに、並列のコンバータは、フェールセーフを提供し、一方のモジュールが2フェーズの例で故障した場合、他方のモジュールは、電流の50%を提供することから電流の100%を提供することまで、その電流出力を迅速に増加させ、負荷へのシャットダウンまたは分断を最小限に抑えることができる。
【0009】
図1は、マルチフェーズ構成で互いに接続された2つのそれぞれのフェーズの2つのコンバータ、100-1及び100-2を示す。ループ106が電圧ループである一方、各コンバータ又はフェーズにおけるループ101は電流ループである。電流ループ101では、電流103(IL)はインダクタ102内の電流を表す。インダクタ電流103は、電流検知オペアンプ104によって検知され、比較器105への入力の1つを生成する。電流検知オペアンプ104は、電流を測定し、電流検知信号110としてゲインを掛けてもよい電圧を出力する。電圧ループ106では、出力電圧は抵抗分圧器によって検知され、誤差増幅器108を使用する基準電圧と比較される。誤差増幅器108からの出力は、Vcomp信号109である。
【0010】
電流検知信号110は、ランプ生成器116からのランプ信号111に追加され、比較器105によって110と111の和がVcomp信号109と比較される。比較器105からの出力信号は、クロック信号によって設定されるフリップフロップ112のためのリセットとして使用され、その結果、クロック信号によって決定される周波数を有するパルス幅変調器信号(PWM)が得られる。フリップフロップ112の出力から生成されるPWM信号のパルス幅は、比較器105の出力によって制御される。出力PWM信号は、インダクタ102に供給される電圧を制御するために使用されるスイッチ113のハイ/ローペア(例えば、パワーMOSFET)を駆動し、その後、インダクタ電流103を変調する。
【0011】
比較器105の出力は、それにより、インダクタ電流を制御するPWM信号のデューティサイクルを変調する。負荷がより多くの電流または電圧を必要とする場合、デューティサイクルは高くなる(すなわち、PWM信号は、それがオフである時間に対してよりオンになるように制御される)。逆に、負荷がより少ない電流または電圧を必要とする場合、デューティサイクルは低減される(すなわち、PWM信号がオンである時間は、オフである時間に対して低減されるように制御される)。従来、図1の例に示すように、2つのコンバータ100-1及び100-2のVcomp信号109を一緒に接続することにより、2つの並列コンバータ間で電流を共有することができる。
【0012】
理論的には、2つの並列コンバータをまたいでVcomp信号を接続することで、上述のPWM信号変調方式に従ってフェーズ間で等しい電流共有という目標を達成することができる。しかしながら、実際には、構成部品の許容誤差が不均等な電流分担をもたらす課題を引き起こす。構成部品の許容誤差により、すべての構成部品が同じように設計されていても、並列コンバータの多くの動作特性は互いに異なる。例えば、構成部品の許容誤差により、コンバータの出力電圧はまったく同じにはならない。周知の電力方程式「Current=Power/Voltage」における逆電流-電圧関係によって示されるように、わずかな電圧の差が電流の大きな差を引き起こす可能性がある。従って、小さな成分不整合は重大な問題を引き起こす可能性があり、電流は相間で不均等にコンバータから発生する可能性がある。
【0013】
1つのコンバータが他のコンバータよりも多くの電流を負荷に生成する場合、いくつかの問題が発生する可能性がある。例えば、より多くの電流を供給するコンバータは、より高いストレスを受け、信頼性が低下する可能性がある。これにより、コンバータの寿命が短くなる可能性がある。さらに、あるコンバータから引き出されるかなりの電流が、そのコンバータの過電流保護のトリガーとなり、そのコンバータをシャットダウンする可能性がある。さらに、一方のコンバータから引き出され、他方のコンバータから引き出されない電流の大部分は、熱ホットスポットを生成し得る。最後に、並列コンバータが負荷に電流を不均衡に供給しており、大部分の電流を供給しているコンバータが故障した場合、最小限の電流、例えば電流の5%を供給していた電流は、その電流出力を5%から100%にスパイクさせなければならない。上述の電流共有シナリオとは対照的に、両方のコンバータが電流を均等に供給し、負荷への混乱を最小限に抑える場合、このシナリオでは、負荷は、現在の生産量のシフトを補償する必要があるコンバータによって、性能が低下する可能性がある。
【0014】
図2は、図1に示すようなマルチフェーズ構成における従来の電流共有技術に関する問題を示すタイミング図である。図1を参照すると、ランプ生成器116からの出力信号111は、Vslope_compとラベル付けされた信号として図2に示されている。この信号とインダクタ電流信号110との和は、図2において、Vslope_comp+VILとラベル付けされた信号201として示されている。上述したように、この信号201は比較器105によってVcomp信号109と比較される。さらに、図2に見られるように、加算された信号201の大きさは、電流検知信号110と比較して、ランプ信号111に大きく依存する。
【0015】
図1に示される従来の技術は、各フェーズにおける図2に示されるVcomp信号109を同じにする原因となるが、電流共有の課題は依然として起こり得る。例えば、各変換器内の各構成要素(例えば、ランプ生成器116)は、それ自体の装置及び性能特性を有する。これらの差異は、オフセット202および傾斜203に影響を与え、したがって、信号111の全体的な特性を決定する。各比較器、構成部品、および/またはICの動作特性をフェーズ間で整合させることは、不可能ではないにしても困難であり得る。従って、各比較器、部品及び/又はICは、不整合特性を有し、従って、各フェーズは、各フェーズにおいてPWM信号を生成する過程においてVcomp信号との比較を行うための不整合成分を有する。上述したように、これらの不整合特性は、コンバータが負荷に分配される電流をどのように共有するかにおいて、実質的な差異を引き起こす可能性がある。したがって、並列コンバータは、等しく電流を共有しない可能性が高い。
【0016】
図3は、本実施の形態によるアクティブ電流共有の例示的な手法を示す図である。本実施の形態は、例示的なピーク電流モード制御構成に関連して説明されるが、これは限定ではなく、代替実施例は、バレー電流モード制御構成などの他の制御方式に含めることができる。さらに、本実施の形態は、例示的な2相構成に関連して説明されるが、本実施の形態は、この例に限定されず、本実施例は、3相、4相などの他のマルチフェーズ構成に含まれてもよいことに留意されたい。
【0017】
図3は、2フェーズ構成で互いに接続された2つのコンバータ、300-1及び300-2を示す。本実施の形態による電流共有を達成するために、コンバータは、Vcomp信号109及び共有バス301の2つの手段を介して一緒に結合される。以下でより明らかになるように、共有バス301は、コンバータが従来の手法と比較してより均等に電流を共有することを可能にする追加の閉ループを生成する。共有バス301上の信号は、全ての並列コンバータの平均電流を表す。この電流共有技術は、出力電流を平均電流と一致させるように設計されている。この図を使用した回路解析は、回路がどのように電圧と電流を分配するか、また出力電流がどのように平均電流に合わせて調整されるかを実証する際に役立ちます。Rimon302は、外部抵抗である。
【0018】
図3の例にさらに示されるように、共有バス301を介して平均電流情報を含めることを容易にするために、コンバータ300(300-1、300-2)はそれぞれ、共有バス301(301-1、301-2)、電流検知オペアンプ104(104-1、104-2) および比較器105(105-1,105-2)の間の経路内にいくつかの新しい構成要素を含む。これらは、バッファー330(330-1,330-2)、ゲインGishを有する第1のオフセット増幅器332(332-1,332-2)、ゲインGerrを有する第2のオフセット増幅器334(334-1,334-2)、電流検知制御ペア336(336-1,336-2)、ならびに第1、第2および第3のオフセット電流源338(338-1,338-2)、340(340-1,340-2)および341(341-1,341-2)をそれぞれ含む。一般的な動作では、追加された新しいコンポーネントは、瞬間的アクティブ電流共有フィードバックループを形成して、並列コンバータのインダクタ電流を強制的に共有バス301によって設定された平均電流に追従させる。
【0019】
周知の回路解析技術を使用して、並列コンバータ間の共有バス301上の電圧の値Vishは、下記の数1の式のように、図3に示す構成要素および値に関して記述することができる。
【0020】
【数1】
【0021】
次に、I_offset1=I_offset2 = I_offset3=0と仮定する(例えば、図3の構成部品の設計および/または制御による)。この仮定と、式(1)に示すような並列コンバータ間で共有される電圧Vishとを使用し、IavgとVishに代入することで、インダクタの電流検知信号を計算することができる。インダクタ1の電流検知信号の電圧(例えば、V_IL1)は、以下数2の式に示される。
【0022】
【数2】
【0023】
さらに簡単にするために、(Gish×Rimon)/(Rish)=1であると仮定する。(例えば、図3の部品の設計および/または制御によって)図3の回路要素に関するV_IL1の簡略式を数3の式に示す。
【0024】
【数3】
【0025】
上記の数3の式を考慮すると、IL1>Iavgの場合はいつも、V_IL1がIL1とIavgとの間の差分に比例して増加することが明らかである(例えば、上記の数3の式において、IL1とIavgとの間の差分値に比例する)。このV_IL1の増大は、共有バス301および発明された回路が存在しない場合にV_IL1に反映されるものよりも大きい。この場合、図1に関連して上述したように、コンバータは、I_L1が減少してIavgに近づくように、スイッチ113に供給されるPWM信号のデューティサイクルを減少させる。あるいは、もしIL1<Iavgであれば、V_IL1はこの追加量だけ減少し、そしてI_L1が増加してIavg増加して近づくように、その後デューティサイクルが増加する。 このようにして、各コンバータは、各PWMサイクル中に同じ量の電流Iavgを提供することを独立して目的とし、したがって、フェーズ間でのサイクルごとの「アクティブ」および/または「瞬時」電流共有を達成する。
【0026】
抵抗器304およびキャパシタ303を含む小さなフィルタを使用して、I_L1- Iavgを計算することで得られる高周波リップルを希釈することができる。
【0027】
他の実施例において、本電流共有方式は、入力電圧、出力電圧、及び帰還電圧が一緒に接続されることに加えて、マルチフェーズ構成における全ての並列コンバータのVcomp信号109及と共有バス301を一緒に結び付けることによって、マルチフェーズアプリケーションに拡張することができる。
【0028】
本実施の形態による電流共有技術のシミュレーション結果は、以下の表1に再現されている。以下の表1は、本実施の形態に従って設計された回路のシミュレーション結果を、従来の電流共有手法に従って設計された回路のシミュレーション結果と比較したものである。表中の値は、電流誤差を表し、これは、IL1-IL2によって計算される。各行に示されているように、Rimonとアウトプット電流の種々の値に対して、電流誤差値が得られた。すべてのケースにおいて、電流誤差値は、2つのコンバータにおけるVcompオフセット間の差が300mV、および2つのコンバータにおけるランプジェネレータ間のスルーレートにおける充電電流差が100nAの条件下で得られた。第1列の値は、本実施の形態に係る電流共有回路を有するコンバータの電流誤差値シミュレーション結果であり、第2列の値は、従来の電流共有回路を有するコンバータの電流誤差値シミュレーション結果である。
【0029】
【表1】
【0030】
これからわかるように、従来の手法では、外部抵抗Rimonに関係なく、2つのコンバータ間の電流誤差が非常に大きくなっている。具体的には、それぞれRimon=19.2kおよび18kのとき、電流誤差は16.5Aであった。さらに、20Aまたは0Aが出力されたかどうかにかかわらず、現在の共有誤差は同じ16.5Aであった。対照的に、本実施の形態を実行する回路では、5つのシミュレーションのそれぞれの間、電流誤差は小さく、1.9Aのままであった。調整されたRimonであっても、調整された出力電流であっても、電流誤差は+/-5%以内に制御されている。
【0031】
図4Aは、本実施の形態に従って設計され、無負荷の存在下で動作する回路のシミュレートされた動作状態を示すタイミング図である。図4Aに示すように、コンバータは、波形401によって表される調整された電圧出力を同時に提供するように共に動作している。本実施例の態様によれば、これらの状態の間、両方のコンバータによって供給される電流は、実質的に同じであるが、無負荷状態の間、かなり最小である(この実施形態では、各相で約41mA)。図4Aにおいて、波形402-1は、一方のコンバータ(例えば、300-1)によって出力される電流を表し、波形402-2は、他方のコンバータ(例えば、300-2)によって出力される電流を表す。波形403は、第1のフェーズにおけるPWM信号を表す。さらに明らかなように、コンバータ300-1及び300-2は、フェーズインターリーブを実装する。
【0032】
図4Bは、本実施の形態に従って設計され、全荷重の存在下で動作する回路のシミュレートされた動作状態を示すタイミング図である。図4B及び前の例で示されているように、コンバータは、波形405によって表される調整された電圧出力を共同で提供するように共に動作している。さらに、本実施例の態様によれば、これらの条件下では、両方のコンバータによって供給される電流が組み合わせられ、この例では10Aの全負荷電流を提供する。図4Bにおいて、波形406-1は、一方のコンバータ(例えば、300-1)によって出力される電流を表し、波形406-2は、他方のコンバータ(例えば、300-2)によって出力される電流を表す。さらに明らかなように、本実施例の電流共有態様によれば、コンバータ300-1および300-2によって供給される電流は、実質的に等しい(例えば、+/-1%以内)。
【0033】
図5A及び図5Bは、バーストモードにおける本実施の形態のシミュレーションされた動作結果を示すタイミング図である。特に、図5Bは、バーストモードの比較的短い持続時間に焦点を当てた、図5Aのズームされたバージョンである。
【0034】
バーストモードは、負荷が軽く、入力電圧が高く、デューティサイクルが小さい場合に使用できる。場合によっては、入力電圧が高いときに、小さいデューティサイクルを生成して維持することが困難になることがある。バスト・オフ・モード中は、スイッチとトランジスタがアイドル状態になり、出力電圧が低下する可能性があります。出力電圧があるしきい値に達すると、スイッチとトランジスタがオンになり、出力電圧が再び意図した値に達するようにします。このアイドルバースト方式では、導通損失およびスイッチング損失が低減される。
【0035】
図5Aおよび図5Bに示すように、バーストモードであっても、本実施の形態の「瞬間」および「アクティブ」電流共有機能によれば、本実施の形態に従って設計された回路は良好に機能し、電流は等しく共有される。図5Aに示されるように、バーストモードの間、波形501によって表される出力電圧は、非常に短い期間でジャンプし、その間、波形502によって表されるような相当量の電流が生成される。図5Bにさらに示されるように、これらのバーストモード条件下であっても、並列コンバータのそれぞれ(波形502-1および502-2によって示される)によって生成される相対電流は、実質的に同様であり、インターリーブされる。波形502-1に対応する第1のフェーズのPWM信号は、完全性のために波形503として提供される。
【0036】
本実施の形態は、その好ましい例に関して特に記載されているが、形態および細部における変更および修正が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得ることは、当業者には容易に明らかであるはずである。添付の特許請求の範囲は、そのような変更および修正を包含することが意図される。
【0037】
本明細書で説明される主題は、異なる他の構成要素内に含まれるか、または異なる他の構成要素と接続された異なる構成要素を示すことがある。このように描かれたアーキテクチャは例示的なものであり、実際には、同じ機能を実現する多くの他のアーキテクチャを実装他ことが理解されるべきである。概念的な意味では、同じ機能性を達成するための構成要素の任意の配置は、所望の機能性が達成されるように、効果的に「関連付けられる」。したがって、特定の機能性を達成するために本明細書で組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間構成要素に関係なく、所望の機能性が達成されるように、互いに「関連付けられる」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられる任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するために、互いに「動作可能に接続される」または「動作可能に結合される」と見なすこともでき、そのように関連付けられることができる任意の2つの構成要素は、所望の機能性を達成するために、互いに「動作可能に結合可能である」動作可能に結合可能な特定の例には、物理的に結合可能および/または物理的に相互作用する構成要素、および/または無線で相互作用可能および/または無線で相互作用する構成要素、および/または論理的に相互作用可能および/または論理的に相互作用可能な構成要素が含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書における複数および/または単数の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途に適切であるように、複数から単数へ、および/または単数から複数へと翻訳することができる。様々な単数/複数の置換は、明確にするために、本明細書に明確に記載されてもよい。
【0039】
当業者であれば、一般に、本明細書で使用される用語、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)は、一般に、「開いた」用語として意図されることを理解するであろう(例えば、「含む」という用語は、「含むがこれに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は、「含むがこれに限定されない」などと解釈されるべきである)。
【0040】
図および説明は、方法ステップの特定の順序を示すことができるが、そのようなステップの順序は、上で異なるように指定されない限り、示され、説明されるものとは異なることができる。また、2つ以上の工程は、上記で異なるように指定されない限り、同時に、または部分的に同時に実行されてもよい。このようなバリエーションは、例えば、選択されたソフトウェア及びハードウェアシステム、並びに設計者の選択に依存し得る。全てのそのような変形は、本開示の範囲内である。同様に、記述された方法のソフトウェア実装は、様々な接続ステップ、処理工程、比較ステップ、および決定ステップを達成するために、ルールベースの論理および他の論理をもつ標準プログラミング技術によって達成することができる。
【0041】
特定の数の導入されたクレームの列挙が意図される場合、そのような意図はクレームに明示的に列挙され、そのような列挙がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、理解を助けるために、以下の添付の請求項には、請求項の記載を導入するための導入語句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」を含むことができるが、このような語句の使用は、当該導入された請求項の記載を含む特定の請求項の記載を、たとえ同一の請求項が「1つ以上」又は「少なくとも1つ」の導入語句及び「a」又は「an」のような不定な物品を含む場合であっても、不定な物品「a」又は「an」による請求項の記載の導入が、かかる記載を1つのみ含む発明に限定することを意味するものと解釈されるべきではない。(例えば、「a」又は「an」は、典型的には「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。さらに、たとえ特定の数の導入されたクレーム引用が明示的に引用されたとしても、当業者は、そのような引用は、典型的には、少なくとも引用された数を意味すると解釈されるべきであることを認識するであろう(クレーム引用を導入するために、しかしながら、そのようなフレーズの使用は、不定冠詞によるクレーム引用の導入を暗示すると解釈されるべきではない)。
【0042】
さらに、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する規約が使用される場合、一般に、そのような構成は、当業者がその規約を理解することを意図する(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、AおよびB単独、AおよびB単独、AおよびC単独、AおよびC単独、BおよびC単独、ならびに/またはA、BおよびC単独などを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する規約が使用される場合、一般に、そのような構成は、当業者がその規約を理解するであろうという意味で意図される(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、A単独、B単独、C単独、AおよびB同士、AおよびC同士、BおよびC同士、および/またはA、BおよびC同士などを有するシステムを含むが、それらに限定されない)。さらに、説明、特許請求の範囲、または図面のいずれかにおいて、2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の離接的な単語および/または句は、用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、または用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、語句「AまたはB」は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解される。
【0043】
さらに、特に断らない限り、「おおよそ」、「約」、「大体」、「実質的に」などの用語の使用は、プラスまたはマイナス10パーセントを意味する。
【0044】
図示的な実施例の前述の説明は、図示および説明の目的のために提示されている。これは、開示された正確な形態に関して網羅的または限定的であることを意図するものではなく、上記の教示に照らして修正および変形が可能であり、または開示された実施例の実施から獲得され得る。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
100、100-1、100-2、300、300-1、300-2 コンバータ
102、102-1、102-2 インダクタ
103、103-1、103-2、IL、IL1、IL2 インダクタ電流
104、104-1、104-2 電流検知オペアンプ
105、105-1、105-2 比較器
106、106-1、106-2 電圧ループ
108、108-1、108-2 誤差増幅器
109 Vcomp信号
110、110-1、110-2 電流検知信号
111、111-1、111-2 ランプ信号
112、112-1、112-2 フリップフロップ
116、116-1、116-2 ランプ生成器
202 オフセット
203 傾斜
301、301-1、301-2 共有バス
302、302-1、302-2 外部抵抗
303、303-1、303-2 キャパシタ
304、304-1、304-2 抵抗器
330、330-1、330-2 バッファー
332、332-1、332-2 第1のオフセット増幅器
334、334-1、334-2 第2のオフセット増幅器
336、336-1、336-2 電流検知制御ペア
338、338-1、338-2 第1のオフセット電流源
340、340-1、340-2 第2のオフセット電流源
341、341-1、341-2 第3のオフセット電流源
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B