(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】コネクタおよびコネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20240723BHJP
H01R 13/629 20060101ALI20240723BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/629
H01R13/639
(21)【出願番号】P 2020097183
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100229736
【氏名又は名称】大場 剛
(72)【発明者】
【氏名】山根 友和
(72)【発明者】
【氏名】幸松 聖児
(72)【発明者】
【氏名】時津 隆太郎
(72)【発明者】
【氏名】松尾 健佑
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-238929(JP,A)
【文献】特開2009-117096(JP,A)
【文献】特開2020-004512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
H01R 13/629
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに嵌合する第1コネクタと第2コネクタとを備えたコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタが、
主ハウジングと、
前記主ハウジングに備えられた主電源導通用の第1の主コンタクトと、
前記主ハウジングに、前記第2コネクタとの嵌合の向きにスライド自在に支持された第1の副ハウジングと、
前記第1の副ハウジングに備えられた、前記第2コネクタとの嵌合検知用の第1の副コンタクトと、
前記主ハウジングに回動およびスライド可能に支持された操作子を備え、
前記第2コネクタが、
第2のハウジングと、
前記第2のハウジングに備えられた主電源導通用の第2の主コンタクトと、
前記第1コネクタとの嵌合検知用の第2の副コンタクトとを備え、
前記操作子が第1の姿勢から第2の姿勢へ向けて回動すると、前記主ハウジングが前記第2コネクタに近接移動し、
前記操作子が前記第2の姿勢に到達すると前記第1の主コンタクトが前記第2の主コンタクトと導通し、
前記操作子が前記第2の姿勢から嵌合の向きとは異なる向きへスライドすると、前記第1の副ハウジングが前記主ハウジングに対しさらに嵌合の向きに移動し、該第1の副コンタクトが前記第2の副コンタクトと導通し、
前記第2のハウジングが、前記第1コネクタと前記第2コネクタとの嵌合時における、
前記主ハウジングが該第2のハウジングに完全嵌合するよりも前の不完全嵌合時に前記第1の副ハウジングが前記主ハウジングに対し嵌合の向きにスライドしてきた場合に、該第1の副ハウジングに突き当たって前記第1の副コンタクトが前記第2の副コンタクトに接するのを阻止する第2の誤嵌合阻止部(213)を有し、
前記第1の副コンタクトが、前記不完全嵌合時に前記主ハウジングに対し嵌合の向きにスライドした場合に、前記第2の誤嵌合阻止部に突き当たって前記第1の
副コンタクトが前記第2の副コンタクトに接するのを阻止し、前記操作子の、前記第2の姿勢からのスライドにより前記第2の誤嵌合阻止部への突き当てが解除されて前記第1の副コンタクトを前記第2の副コンタクトに導通させる第1の誤嵌合阻止部(132)を有し、
前記第2の誤嵌合阻止部(213)は、前記第2コネクタ(20)の前記第1コネクタ(10)との嵌合の向きに片持ち梁形状に延びており、
前記第1の誤嵌合阻止部(132)は、前記第1コネクタ(10)の前記第2コネクタ(20)との嵌合の向きに片持ち梁形状に延びることを特徴とするコネクタ組立体。
【請求項2】
前記第1の誤嵌合阻止部が、相手コネクタである前記第2コネクタに突き当たる先端部を有し、前記操作子の前記第2の姿勢からのスライドにより嵌合の向きに押されて嵌合の向きに交わる向きに撓むことにより、前記第2コネクタの前記第2のハウジングへの突き当てが解除されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項3】
前記第1の誤嵌合阻止部は、先端部に横向きに突き出る第1斜面(132a)を有する第1凸部(132b)を備え、
前記第2の誤嵌合阻止部は、先端部に横向きに突き出る第2斜面(213a)を有する第2凸部(213b)を備え、
前記第1斜面(132a)が第2斜面(213a)に突き当たることで前記第1コネクタ(10)の前記第1の副コンタクト(14)と前記第2コネクタ(20)の前記第2の副コンタクト(232)との結合が防止される、
請求項1または請求項2に記載のコネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車やハイブリッドカーの部品として取り付けられて、電源システムから供給される電流を中継するコネクタおよびコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッドカーでは、例えば100アンペアという大電流を流すことができるコネクタ装置が使用されている。保守などの場面では、このコネクタ装置における、嵌合している(2つの)コネクタを外す必要を生じる場合がある。その場合には、感電を避けるために、流れていた電流の流れを止めてからコネクタを外す必要がある。このために、嵌合しているコネクタを外す前に電流の流れを確実に止める仕組みが必要である。
【0003】
特許文献1には、回動により、2つのコネクタを嵌合させ、あるいは逆向きの回動によりコネクタの嵌合状態を解除するレバーを備えたコネクタ装置が開示されている。このコネクタ装置は、大電流を流すための主コンタクトのほかに、コネクタの嵌合または取り外しを検知する副コンタクトを備えている。そして、レバーは、コネクタが嵌合した状態で、回動のほかスライドする構造を有する。レバーを回動させて主コンタクトを結合させ、その後のスライドで副コンタクトを結合させる。副コンタクトの結合によりコネクタが嵌合したことが検知され、その後、主コンタクトに大電流が流れる。嵌合を解除するときは、先ずはレバーをスライドさせる。これにより副コンタクトの結合が外れ、これにより大電流の遮断が行われる。その後、レバーを回動させることにより、コネクタを外す。この構造により、大電流が確実に遮断された後に、コネクタが外れることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような、主コンタクトと副コンタクトを備えたコネクタ装置では、レバーの回動操作で主コンタクトを結合させた後、スライド操作で副コンタクトを結合させるという操作が確実に行われる必要がある。ここで、主コンタクトと副コンタクトを備えたコネクタ装置では、主コンタクトと副コンタクトに別々の動きをさせる必要がある。このため、コネクタ装置の構造によっては、何らかのミスあるいは不用意な力が作用し、コネクタの完全嵌合よりも前に副コンタクトが結合して大電流が流れ始めるというトラブルが発生するおそれがある。また、レバーの回動操作の後、スライド操作を行うことができないといったトラブルが発生するおそれもある。
【0006】
本発明は、レバーのスライド操作よりも前に副コンタクトが結合することを防止し、レバーの回動操作とその後のスライド操作を確実に行うことができるコネクタおよびコネクタ組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明のコネクタは、所定の嵌合の向きにおいて相手コネクタと嵌合し、当該コネクタは、
主ハウジングと、
主電源導通用の第1の主コンタクトと、
主ハウジングに、スライド自在に支持された副ハウジングと、
副ハウジングに固定された、相手コネクタとの嵌合検知用の第1の副コンタクトと、
第1の姿勢から第2の姿勢へ回動可能であって、主ハウジングを嵌合の向きに移動させて第1の主コンタクトを相手コネクタの主電源導通用の第2の主コンタクトと導通させる操作子であって、第2の姿勢からの、嵌合の向きとは異なる向きへのスライドにより、第1の副ハウジングを主ハウジングに対しさらに嵌合の向きに移動させて第1の副コンタクトを相手コネクタの嵌合検知用の第2の副コンタクトと導通させる操作子とを備え、
第1の副コンタクトが、相手コネクタとの嵌合時における、主ハウジングが相手コネクタに完全嵌合するよりも前の不完全嵌合時に主ハウジングに対し嵌合方向にスライドした場合に、相手コネクタに突き当たって第1の副コンタクトが相手コネクタの第2の副コンタクトに接するのを阻止し、操作子の、第2の姿勢からのスライドにより相手コネクタへの突き当てが解除されて第1の副コンタクトを第2の副コンタクトに導通させる誤嵌合阻止部を有することを特徴とする。
【0008】
ここで、本発明のコネクタにおいて、誤嵌合阻止部は、嵌合の向きに片持ち梁形状に延び、相手コネクタに突き当たる先端部を有し、操作子の第2の姿勢からのスライドにより嵌合の向きに押されて嵌合の向きに交わる向きに撓むことにより、相手コネクタのハウジングへの突き当てが解除される構造を有していてもよい。
【0009】
また、上記目的を達成する本発明のコネクタ組立体は、互いに嵌合する第1コネクタと第2コネクタとを備えたコネクタ組立体であって、
第1コネクタが、
主ハウジングと、
主電源導通用の第1の主コンタクトと、
主ハウジングに、第2コネクタとの嵌合の向きにスライド自在に支持された第1の副ハウジングと、
第1の副ハウジングに固定された、第2コネクタとの嵌合検知用の第1の副コンタクトとを備え、
第2コネクタが、
第2のハウジングと、
主電源導通用の第2の主コンタクトと、
第1コネクタとの嵌合検知用の第2の副コンタクトとを備え、
第1コネクタが、さらに、第1の姿勢から第2の姿勢への回動により、主ハウジングを嵌合の向きに移動させて第1の主コンタクトを第2の主コンタクトと導通させ、第2の姿勢からの、嵌合の向きとは交わる向きへのスライドにより、第1の副ハウジングを主ハウジングに対しさらに嵌合の向きに移動させて第1の副コンタクトを第2の副コンタクトと導通させる操作子を備え、
第2のハウジングが、第1コネクタと第2コネクタとの嵌合時における、主ハウジングが第2のハウジングに完全嵌合するよりも前の不完全嵌合時に第1の副ハウジングが主ハウジングに対し嵌合の向きにスライドしてきた場合に、第1の副ハウジングに突き当たって第1の副コンタクトが第2の副コンタクトに接するのを阻止する第2の誤嵌合阻止部を有し、
第1の副コンタクトが、不完全嵌合時に主ハウジングに対し嵌合の向きにスライドした場合に、第2の誤嵌合阻止部に突き当たって第1の副コンタクトが第2の副コンタクトに接するのを阻止し、操作子の、第2の姿勢からのスライドにより第2の誤嵌合阻止部への突き当てが解除されて第1の副コンタクトを第2の副コンタクトに導通させる第1の誤嵌合阻止部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のコネクタおよびコネクタ組立体は、上記の誤嵌合防止構造を備えている。したがって、本発明によれば、スライド操作よりも前に副コンタクトが結合することが防止される。また、本発明によれば、回動操作とその後のスライド操作を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】第1コネクタを構成する副ハウジングの拡大斜視図(A)および拡大側面図(B)である。
【
図6】第2コネクタを構成するハウジングの平面図(A)、断面図(B)、および断面図(B)の円Rの部分の拡大図(C)である。
【
図7】第1コネクタを第2コネクタの上に重ねた、嵌合の初期状態を示した側面図(A)および断面図(B)である。
【
図8】副ハウジングが位置ずれした状態にあるときの、嵌合の初期状態を示した側面図(A)および断面図(B)である。
【
図9】嵌合途中の状態を示した側面図(A)および断面図(B)である。
【
図10】レバーを最終の回動位置まで回動させた状態を示した側面図(A)および断面図(B)である。
【
図11】レバーをスライドさせた後の状態を示した側面図(A)および断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
【0014】
また、
図2は、第1コネクタ10の分解斜視図である。
【0015】
この第1コネクタ10は、本発明のコネクタの一例、および本発明のコネクタ組立体を構成する第1コネクタの一例に相当する。
【0016】
この第1コネクタ10は、主ハウジング11と主コンタクト12を備えている。主ハウジング11は少なくとも一部に開口部を備え、上下に大きく開いた形状を有してもよい。主コンタクト12には例えば100アンペアもの大電流が流れる。この主コンタクト12は、その規格を超えた過電流を防止するためのヒューズ121を備えている。この主コンタクト12は、主ハウジング11に備えられ、例えば開口部を通して主ハウジング11内に配置、格納、または固定される。この主コンタクト12は、本発明にいう第1の主コンタクトの一例に相当する。
【0017】
また、この第1コネクタ10は、副ハウジング13と副コンタクト14を備えている。副コンタクト14は、嵌合検知用の回路端子である。この副コンタクト14は、副ハウジング13に備えられ、例えば副ハウジング13に圧入される。副ハウジング13と、その副ハウジング13に備えられた副コンタクト14を合わせた構成を、ここでは副コネクタ13Aと称する。副コネクタ13Aは、主ハウジング11内に、コネクタと上下にスライド自在に配置される。副ハウジング13および副コンタクト14は、本発明にいう、それぞれ第1の副ハウジングおよび第1の副コンタクトの各一例に相当する。
【0018】
この第1コネクタ10は、さらにレバー15を備えている。このレバー15は、
図1に示すように、主ハウジング11に回動およびスライド可能に取り付けられる。例えば、レバー15は、ハンドルによってつながる側面を2つ備え、両側面が主ハウジング11を跨ぐように取り付けられる。このレバー15は、使用者の操作によって、回動およびスライドが可能である。このレバー15にはその跨いだ両側面の少なくとも一方に回動カム溝151とスライドガイド溝152が形成されている。また、このレバー15の主ハウジング11を跨いだ両側面の少なくとも一方に、スライド操作により副ハウジング13をスライドさせるスライドカム溝153が形成されている。主ハウジング11には、レバー15の回動の中心軸となるボス111が設けられている。このボス111は、
図1に示すように、スライドガイド溝152に入れ込まれる。このボス111は、レバー15の回動の中心軸となるとともに、レバー15のスライドのガイドとなる。また、副ハウジング13には、スライドカム溝153に入れ込まれるスライドカムピン131が形成されている。このレバー15は、本発明にいう操作子の一例に相当する。
【0019】
この第1コネクタ10は、さらに、蓋16を備えてもよい。主コンタクト12と、副コネクタ13Aを主ハウジング11内に配置した後、主ハウジング11に蓋16が被せられる。主ハウジング11に蓋16を被せると、この第1コネクタ10は、一方に開いた嵌合開口を有するコネクタとなる。
【0020】
【0021】
また、
図4は、第2コネクタ20の分解斜視図である。
【0022】
この第2コネクタ20は、本発明のコネクタにいう相手コネクタの一例、および本発明のコネクタ組立体を構成する第2コネクタの一例に相当する。
【0023】
この第2コネクタ20は、ハウジング21を備えている。このハウジング21は、第1コネクタ10との嵌合のための、第1コネクタ10の嵌合開口と対向する嵌合開口を有する。(第2コネクタ10と第2コネクタ20の嵌合状態は、
図7(A)から
図11(B)ならびにそれに対応する下記説明を参照。)また、このハウジング21の側面には、第1コネクタ10に設けられるレバー15の回動カム溝151に入れ込まれるカムピン212が突き出ている。このハウジング21は、本発明にいう第2のハウジングの一例に相当する。
【0024】
また、この第2コネクタ20には、主コンタクト22が備えられている。この主コンタクト22は、第1コネクタ10の主コンタクト12と結合して大電流を流す回路端子である。この主コンタクト22は、本発明にいう第2の主コンタクトの一例に相当する。
【0025】
また、この第2コネクタ20は、インターロックワイヤハーネス23が備えられている。このインターロックワイヤハーネス23は、副ハウジング231とその副ハウジング231の内部に備えられた副コンタクト232とからなる副コネクタ23Aを備えている。この副コネクタ23Aを構成する副ハウジング231内の副コンタクト232は、本発明にいう第2の副コンタクトの一例に相当する。この副コネクタ23Aは嵌合検知用のコネクタであり、このインターロックワイヤハーネス23を経由して、不図示のコントローラ等に、嵌合、取り外しの信号が伝えられる。
【0026】
さらに、この第2コネクタ20は、ヒューズ保持ばね24を備えている。このヒューズ保持ばね24は、第1コネクタ10と嵌合した際に、第1コネクタ10の主コンタクト12のヒューズ121を保持する部品である。
【0027】
図4には、さらに、部材をネジ止めするためのネジ25やカラー26が示されているが、それらの説明は省略する。
【0028】
次に、本実施形態の特徴部分について説明する。
【0029】
図5(A)から(B)は、第1コネクタ10に備えられる副ハウジング13の拡大斜視図(A)および拡大側面図(B)である。
【0030】
この副ハウジング13には、誤嵌合阻止部132が設けられている。この誤嵌合阻止部132は、第1コネクタ10と第2コネクタとの嵌合の向きに片持ち梁形状に延び、先端部に斜面132aが形成されている。また、この誤嵌合阻止部132には、横向きに突き出た凸部132bが形成されている。この誤嵌合阻止部132の作用については、後述する。この誤嵌合防止部132は、本発明のコネクタにいう誤嵌合防止部の一例、および本発明のコネクタ組立体にいう第1の誤嵌合防止部の一例に相当する。また、斜面132aは、本発明にいう先端部の一例に相当する。
【0031】
図6(A)から(C)は、第2コネクタ20を構成するハウジング21の平面図(A)、断面図(B)、および断面図(B)の円Rの部分の拡大図(C)である。
【0032】
ここには、上向きに突き出た誤嵌合防止突起213が設けられている。
図5に示した副ハウジング13の誤嵌合阻止部132の先端の斜面132aが誤嵌合防止突起213の、斜面に形成された頂面213aに突き当たることで第1コネクタ10の副コンタクト14と、第2のコネクタ20の副コンタクト232どうしの結合を防止している。また、この誤嵌合防止突起213の側面には、凹部213bが形成されている。誤嵌合防止突起213は、本発明にいう第2の誤嵌合防止部の一例に相当する。
【0033】
次に、両コネクタの嵌合時の動きについて説明する。以下に説明する
図7(A)以降の各図では、本実施形態の特徴部分を分かり易く示すために、副コンタクト14および第2コネクタ20の副コネクタ23Aは、図示が省略されている。副ハウジング13は、本実施形態の特徴部分の説明のために必要なため、図示されている。
【0034】
図7(A)から(B)は、第1コネクタ10を第2コネクタ20の上に重ねた、嵌合の初期状態を示した側面図(A)および断面図(B)である。ただし、
図7(A)には、
図1に示されている側面とは反対側の側面が現れている。
【0035】
ここでは、レバー15は、未だ垂直に立てたままの状態にあり、回動開始位置にある。また、
図7(A)に示すように、第2コネクタ20のハウジング21のカムピン212が回動カム溝151に入り込んでいる。また、
図7(B)に示すように、副ハウジング13は、第2コネクタ20のハウジング21に設けられた誤嵌合防止突起213の直上にある。この際、第1コネクタ10の副コンタクト14は、第2コネクタ20の副コンタクト232とは結合しない。副ハウジング13は、嵌合前の正規の初期位置にある。
【0036】
この
図7(A)から(B)に示す第1コネクタ10と第2コネクタ20の相関状態を、正規の嵌合の初期状態と呼ぶ。
【0037】
図8(A)から(B)は、副ハウジング13が正規の初期位置からずれた状態(非正規の初期位置)にあるときの、第1コネクタ10と第2コネクタ20の非正規の嵌合の初期状態を示した側面図(A)および断面図(B)である。
【0038】
図7(A)と
図8(A)とを比べると分かるように、
図8(A)では
図7(A)に比べて副ハウジング13に設けられているスライドカムピン131が下方に移動している。
図7(B)と
図8(B)とを比べても分かる通り、副コネクタ13が下方に移動している。ただし、副ハウジング13のみが下方に移動していて、第1コネクタ10の、副コネクタ13以外の要素は、
図7(A)、(B)と
図8(A)、(B)では同じ高さ位置にある。例えば、レバー15は、回動開始位置にある。
【0039】
副ハウジング13は、主ハウジング11に、上下にスライド自在に支持されている。このため、何らかのミスあるいは不用意な力により、正規には
図7(A)、(B)に示す高さに配置されているはずの副ハウジング13が
図8(A)、(B)に示す位置まで下方に移動してしまう可能性がある。本実施形態の場合、非正規の嵌合の初期状態において、非正規の初期位置に副ハウジング13が移動していても、レバー15のスライド動作(以下、
図10(A)から
図11(B)およびそれら説明文を参照)に先立って副コンタクト14,232どうしが結合する(第1コネクタ10と第2コネクタ20が誤嵌合する)という事故の発生が防止される構造を有する。そして、副コンタクト14,232どうしの結合は、常に、レバー15のスライド動作によって実行される。
【0040】
以下では、副ハウジング13が
図8(A)、(B)に示す非正規の初期位置まで下に移動した状態のまま、操作者が第1コネクタ10と第2コネクタ20を嵌合しようとした場合の各部材の動きについて説明する。
【0041】
図9(A)から(B)は、嵌合途中の状態を示した側面図(A)および断面図(B)である。
【0042】
この
図9(A)から(B)では、レバー15が途中まで回動している。このとき、回動カム溝151の形状にしたがって、そこに入り込んでいるカムピン212が下向きに押され、第1コネクタ10の主ハウジング11が、嵌合完了位置へ向けて第2のコネクタ20に対し近接移動(すなわち図面では下向きに移動)する。この主ハウジング11内に設けられている主コンタクト12(
図1参照)も、主ハウジング11とともに下向きに移動する。さらに、副ハウジング13も、主ハウジング11とともに下向きに移動する。
図8(A)と
図9(A)とを比べると、主ハウジング11に対する副ハウジング13のスライドカムピン131の相対的な位置は同一である。このことから、副ハウジング13が、主ハウジング11と一緒に下向きに移動していることが分かる。
【0043】
レバー15がこの
図9(A)、(B)に示すような角度まで回動開始位置から回動すると、
図9(B)に示すように、副ハウジング13の誤嵌合阻止部132の先端の斜面132a(
図5参照)が、誤嵌合防止突起213の頂面213a(
図6(C)参照)に突き当たった状態となる。
【0044】
図10(A)、(B)は、レバーを回動終了位置まで回動させた状態を示した側面図(A)および断面図(B)である。
【0045】
図9(A)、(B)と比べると、主ハウジング11は、回動カム溝151の形状にしたがって、第2コネクタ20に向かってさらに下がった位置にある。ただし、
図10(B)に示すように、副ハウジング13は、誤嵌合阻止部132が誤嵌合防止突起213に突き当たっており、
図9(B)と同じ高さ位置に留まっている。仮に、誤嵌合阻止部132と誤嵌合防止突起213が形成されていなかった場合、
図9(B)の状態から
図10(B)の状態に進む際に副ハウジング13が主ハウジング11とともにさらに下まで進んでしまう。すなわち、レバー15が正規にスライド操作されたことによって副コンタクト14,232どうしが結合したものと誤検知されるおそれがある。本実施形態の場合、副ハウジング13は、誤嵌合阻止部132が誤嵌合防止突起213に突き当たった高さ位置に留まるため、誤検知のおそれはない。このように、副ハウジング13は、レバー15が
図9(A)、(B)に示す角度から
図10(A)、(B)に示す最終の角度に移動するまでの間、副ハウジング13の高さ位置が留まる。このため、レバー15を
図10(A)、(B)に示す最終角度まで回動させると、副ハウジング13が、嵌合初期状態で
図7(A)、(B)に示す正規の初期位置にあった場合と同じ状態となる。また、レバー15をこの
図10(A)、(B)に示す最終角度まで回動させると、スライドカムピン131がスライドカム溝153に入り込む。
【0046】
レバー15は、この後、
図10(A)に示す矢印Aの向きのように、両コネクタの嵌合の向きとは異なる向き(例:交差する向き)にスライド操作される。このスライド操作の際は、回動カム溝151に入り込んでいるカムピン212は、回動カム溝151の水平に延びている部分をレバー15に対し相対的に略水平に進む。また、スライドガイド溝152も水平に延び、そのスライドガイド溝152に入り込んでいるボス111もレバー15に対し相対的に略水平に進む。すなわち、レバー15の、矢印Aの向きへのスライドによっては主ハウジング11の高さはほぼ変化せず、スライド前とおよそ同じ高さに留まる。
【0047】
これに対し、スライドカム溝153は斜め下向きに延びている。このスライドカム溝153には、副ハウジング13のスライドカムピン131が入り込んでいる。このため、レバー15を矢印Aの向きにスライドさせると、副ハウジング13は、さらに下向きに移動する。
【0048】
図11(A)、(B)は、レバーを矢印Aの向きにスライドさせた後の状態を示した側面図(A)および断面図(B)である。
【0049】
図11(B)に示す通り、副ハウジング13は、
図10(B)と比べ、さらに下がった位置にある。
【0050】
図10(A)、(B)に示す状態からレバー15を矢印Aの向きにスライドさせると、副ハウジング13の誤嵌合阻止部132が一旦横向きに撓んで誤嵌合防止突起213への突き当てが外れる。そして、レバー15の矢印Aの向きへのさらなるスライドにより下方に移動し、最終的には、ハウジング13の誤嵌合阻止部132の凸部132b(
図5参照)が、誤嵌合防止突起213の側面の凹部213b(
図6参照)に入り込む。
【0051】
このように、本実施形態は、誤嵌合阻止部132と誤嵌合防止突起213を備えているため、誤嵌合が防止される。また、本実施形態では、嵌合初期状態における副ハウジング13の高さ位置によらず、レバー15の正しい操作が行われる。
【0052】
コネクタの嵌合状態を外すときは、前述の嵌合操作とは逆の操作が行われる。すなわち、レバー15を、先ずは、
図11(A)に示す矢印Bの向きにスライドさせる。すると、副ハウジング13のみが
図10に示す位置まで持ち上げられる。この段階で、副コネクタ13A,23Aどうしの嵌合が外れ、取り外しの操作が行われたことが検知される。主コンタクト12,22を通る大電流の遮断には、取り外しの操作が行われたことの検知から、短時間ではあるがある一定時間が必要である。本実施形態では、レバー15の、スライド操作の後の回動操作によって主コンタクト12,22の結合が外れる。スライド操作の後、続けて回動操作を行っても、大電流遮断のための一定時間の確保には十分である。
【0053】
レバー15を矢印Bの向きへスライド操作した後、レバー15の
図11(A)に示す姿勢から
図7(A)に示す姿勢へ向けて回動させることにより、第1コネクタ10を第2コネクタ20から取り外すことができる。
【符号の説明】
【0054】
10 第1コネクタ
11 主ハウジング
12 主コンタクト
13 副ハウジング
13A 副コネクタ
131 スライドカムピン
132 誤嵌合阻止部
132a 斜面(先端部)
14 副コンタクト
15 レバー
20 第2コネクタ
21 ハウジング
213 誤嵌合防止突起
22 主コンタクト
23A 副コネクタ