(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 56/00 20090101AFI20240723BHJP
H04L 7/00 20060101ALI20240723BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20240723BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20240723BHJP
【FI】
H04W56/00 110
H04L7/00 930
H04W88/08
H04W92/20
(21)【出願番号】P 2020125456
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100093104
【氏名又は名称】船津 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 弘一
(72)【発明者】
【氏名】近江 泰志
【審査官】鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-159525(JP,A)
【文献】特開2015-133550(JP,A)
【文献】特開2020-088671(JP,A)
【文献】国際公開第2019/003320(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体無線通信装置と無線通信を行うと共に、地上制御装置に接続される地上固定無線機を有する無線通信システムであって、
前記地上固定無線機が、別の地上固定無線機との間において、無線回線による同期制御に加えて、有線回線による同期制御のオプションを備え、当該オプションが採用されると、前記有線回線による同期制御に切り替えるものであり、
前記地上固定無線機がスレーブ装置である場合に、マスタ装置の地上固定無線機から送信された送信用のコードが示すカウンタ値とカウンタ部のカウンタ値とを比較し、同期リセットタイミングが特定の範囲外となった場合には、前記カウンタ部が自走し続けることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
地上固定無線機が、エリアの干渉を監視する地上制御装置からの指示又は予め設定された無線通信環境に基づいて、有線回線による同期制御のオプションを採用することを特徴とする請求項1記載の無線通信システム。
【請求項3】
地上固定無線機が、
別の地上固定無線機又は前記地上制御装置に有線接続する有線インタフェース部と、
前記有線インタフェース部を介して受信した信号を復調して同期コードを取得する復調部と、
前記取得した同期コードのタイミングでリセットタイミングを生成する同期リセット生成部と、
自走でカウントアップするカウンタ部と、
前記カウンタ部のカウンタ値を送信用のコードに変調する変調部と、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の無線通信システム。
【請求項4】
地上固定無線機は、有線により受信した光信号から同期信号が含まれる波長を分波する光フィルタ部と、
前記受信した光信号を電気信号に変換する光/電気変換部と、を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の無線通信システム。
【請求項5】
地上固定無線機は、コード変調部で変調したカウンタ値の送信用のコードを含む電気信号を光信号に変換する電気/光変換部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の無線通信システム。
【請求項6】
地上固定無線機は、送信する光信号を受信した光信号の光回線に重畳するために、光信号の合成と分波を行う光フィルタ部を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の無線通信システム。
【請求項7】
移動体無線通信装置と無線通信を行うと共に、地上制御装置に接続される地上固定無線機を有する無線通信システムであって、
前記地上固定無線機が、
請求項1記載の地上固定無線機をスレーブ装置として、当該スレーブ装置から有線接続によりカウンタ値の送信用のコードを受信するマスタ装置であり、
受信した無線信号を復調して
同期コードを検出すると、リセットタイミング信号を出力する無線処理部と、
自走でカウントアップし、前記
リセットタイミング信号によりリセットするカウンタ部と、
前記スレーブ装置から送信された送信用のコードが示すカウンタ値と前記カウンタ部のカウンタ値を比較し、遅延量を算出する遅延量算出部と、を有する無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の無線通信システムに係り、特に、無線回線を利用した同期制御とは別に同期制御を有線回線で実現するオプションを設けた無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
無線通信システムでは、移動体が無線基地局間をシームレスにハンドオーバーできるようにするために、複数の無線基地局同士でフレーム同期させる必要があり、その手段の一つとして、無線基地局が送信する無線電波を他の無線基地局が受信することにより同期を取る方法が先行技術にある。
【0003】
[関連技術]
前述の関連する先行技術としては、特開2015-100057号公報「他無線通信基地局に従属同期する無線通信基地局」(特許文献1)が挙げられる。
特許文献1には、無線基地局間同期のために、無線資源を有効活用できる無線同期方式を実現する方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の無線通信システムを工場内の自動搬送機等に応用して使用する場合などでは、工場内の建屋の構造によって壁面や支柱が存在する中で、電波の遮断又はマルチパスによる干渉等の影響を考慮してシステムを構築する必要があるが、工場内の生産物の変更、生産ラインの変更や自動搬送機の待機等によって、自動搬送機の停止位置が必ずしも一定ではなく変更されるケースが想定され、その場合、自動搬送機の停止位置によっては地上制御装置近くで停止するなどして、電波の遮断又は干渉が発生し、無線回線での同期確立ができないことがあるという問題点があった。
【0006】
尚、特許文献1には、電波の遮断又は干渉が発生し無線回線での同期確立ができない場合の無線回線で行う同期確立の方法や、その場合に無線回線での同期確立と合わせて有線回線での同期確立を実現するオプションを備える構成について記載がない。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、無線通信における同期制御に加えて、有線による同期制御を実現するオプションを備え、干渉の多い無線通信区間では有線による同期制御を利用する無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、移動体無線通信装置と無線通信を行うと共に、地上制御装置に接続される地上固定無線機を有する無線通信システムであって、地上固定無線機が、別の地上固定無線機との間において、無線回線による同期制御に加えて、有線回線による同期制御のオプションを備え、当該オプションが採用されると、有線回線による同期制御に切り替えるものであり、地上固定無線機がスレーブ装置である場合に、マスタ装置の地上固定無線機から送信された送信用のコードが示すカウンタ値とカウンタ部のカウンタ値とを比較し、同期リセットタイミングが特定の範囲外となった場合には、カウンタ部が自走し続けることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記無線通信システムにおいて、地上固定無線機が、エリアの干渉を監視する地上制御装置からの指示又は予め設定された無線通信環境に基づいて、有線回線による同期制御のオプションを採用することを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記無線通信システムにおいて、地上固定無線機が、別の地上固定無線機又は地上制御装置に有線接続する有線インタフェース部と、有線インタフェース部を介して受信した信号を復調して同期コードを取得する復調部と、取得した同期コードのタイミングでリセットタイミングを生成する同期リセット生成部と、自走でカウントアップするカウンタ部と、カウンタ部のカウンタ値を送信用のコードに変調する変調部と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記無線通信システムにおいて、地上固定無線機が、有線により受信した光信号から同期信号が含まれる波長を分波する光フィルタ部と、受信した光信号を電気信号に変換する光/電気変換部と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記無線通信システムにおいて、地上固定無線機が、コード変調部で変調したカウンタ値の送信用のコードを含む電気信号を光信号に変換する電気/光変換部を有することを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記無線通信システムにおいて、地上固定無線機が、送信する光信号を受信した光信号の光回線に重畳するために、光信号の合成と分波を行う光フィルタ部を有することを特徴とする。
【0015】
本発明は、移動体無線通信装置と無線通信を行うと共に、地上制御装置に接続される地上固定無線機を有する無線通信システムであって、地上固定無線機が、上記地上固定無線機をスレーブ装置として、当該スレーブ装置から有線接続によりカウンタ値の送信用のコードを受信するマスタ装置であり、受信した無線信号を復調して同期コードを検出すると、リセットタイミング信号を出力する無線処理部と、自走でカウントアップし、リセットタイミング信号によりリセットするカウンタ部と、スレーブ装置から送信された送信用のコードが示すカウンタ値とカウンタ部のカウンタ値を比較し、遅延量を算出する遅延量算出部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、移動体無線通信装置と無線通信を行うと共に、地上制御装置に接続される地上固定無線機を有する無線通信システムであって、地上固定無線機が、別の地上固定無線機との間において、無線回線による同期制御に加えて、有線回線による同期制御のオプションを備え、当該オプションが採用されると、有線回線による同期制御に切り替えるものであり、地上固定無線機がスレーブ装置である場合に、マスタ装置の地上固定無線機から送信された送信用のコードが示すカウンタ値とカウンタ部のカウンタ値とを比較し、同期リセットタイミングが特定の範囲外となった場合には、カウンタ部が自走し続ける無線通信システムとしているので、有線による同期制御を実現して、干渉の多い無線通信区間では有線による同期制御を利用でき、通信性能を向上させることができる効果がある。
【0017】
本発明によれば、地上固定無線機が、別の地上固定無線機又は地上制御装置に有線接続する有線インタフェース部と、有線インタフェース部を介して受信した信号を復調して同期コードを取得する復調部と、取得した同期コードのタイミングでリセットタイミングを生成する同期リセット生成部と、自走でカウントアップするカウンタ部と、カウンタ部のカウンタ値を送信用のコードに変調する変調部と、を有する上記無線通信システムとしているので、有線による同期制御を実現して、干渉の多い無線通信区間では有線による同期制御を利用でき、通信性能を向上させることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図6】有線スレーブのBSの構成ブロック図である。
【
図7】別の有線スレーブのBSの構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線通信システム(本システム)は、地上固定無線機(無線基地局)が無線による同期制御に加えて、有線による同期制御のオプションを備え、当該オプションが採用されると、まず、有線による同期制御を行い、有線での同期制御ができない場合に無線での同期制御を行うもので、地上固定無線機のスレーブ装置では、有線で受信した同期コードで自走カウンタをリセットすると共に、リセットしたカウンタ値を地上固定無線機のマスタ装置に送信し、マスタ装置で遅延時間を検出するものであり、干渉が多くても、同期制御を実現でき、通信性能を向上させることができるものである。
【0020】
[本システムの概要:
図1]
本システムについて、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本システムの概略図である。
本システムは、
図1に示すように、自動搬送機の経路に沿って複数配置される地上固定無線機(無線基地局,基地局,BS(Base Station))1と、基地局1が有線にて接続する地上無線局ネットワーク接続装置(BSC:Base Station Connection Unit)2と、BSC2に接続する上位装置となる地上制御装置(BSM:Base Station Master)3と、有線によるリングネットワーク4と、自動搬送機に搭載される移動体無線通信装置(MS:Mobile Station)5とを基本的に有している。
【0021】
[本システムの各部]
BS1は、近くを走行する自動搬送機のMS5と無線通信を行い、更に、隣接するBS1と無線通信で接続すると共に有線ケーブルでも接続し、BSC2を介してBSM3に接続する。有線ケーブルは、光ファイバーケールを想定し、光多重により通信を行っている。
また、BS1のマスタ装置としての構成、スレーブ装置としての構成については後述する。
【0022】
BSC2は、BS1とBSM3に接続し、BS1とBSM3とを接続するための装置である。BSC2は、場合によっては省略され、BS1とBSM3とを直接に接続することがある。
【0023】
BSM3は、信号の送受信状況からBS1のエリアの干渉を監視しており、エリア環境の悪いBS1について有線接続の同期制御を行うよう指示し、当該指示を受けたBS1は、無線接続の同期制御に代えて有線接続の同期制御を行う。
【0024】
リングネットワーク4は、全てのBS1とBSC2が接続し、信号は一方向に送受信されるよう通信される。尚、リング構成の一方が切断されても、逆方向でリンクアップの接続が可能である。
また、リング状ではなく、集中Hub構成でもよい。
【0025】
本システムでは、BS1間のタイミング同期に関して、無線接続の同期制御に加えて有線接続の同期制御のオプション(有線オプション)を追加し、その有線オプションを既存の光ファイバーのケーブルを用いて光多重で通信している。
【0026】
[有線方式]
本システムでの有線方式は、有線回線として光ファイバーケーブルを使用している。
また、構成としては、PLD(Programmable Logic Device)とトランシーバを用い、コード送信方法は、同期ワード(同期コード)をフレームに組み込むコード変換方式を用いている。コード変換方式は、同期ワードにのみ意味があり、それを組み込むだけであるので、設計の自由度が高く、安価に構成することができる。
【0027】
[BS1での処理:
図2~4]
次に、本システムにおけるBS1での処理について
図2~4を参照しながら説明する。
図2は、有線同期オプション処理のフロー図であり、
図3は、有線同期確認処理のフロー図であり、
図4は、無線同期確認処理のフロー図である。
本システムのBS1では、通常、無線同期確認処理を行うようにしており、BSM3からの指示又は予めの設定によって無線通信環境が良くない等と判断された特定のBS1が有線同期オプションを実行するものである。
【0028】
[有線同期オプション処理:
図2]
有線同期オプションがBSM3から設定されたBS1は、
図2に示すように、有線同期オプション処理を実行する同期元監視処理が開始されると、内部自走カウンタをインクリメントする(S1)。例えば、インクリメントタイミングが自走1msとすると、カウンタ値の上限は2000(2秒)で、その後にリセットされる。
【0029】
次に、有線同期確認処理を行う(S2)。有線同期確認処理については後述する。
有線同期確認処理の結果、有線同期受信OKか否かを判定し(S3)、有線同期受信OKであれば(Yesの場合)、無線同期を無効とし、有線同期を有効にする設定を行う(S4)。そして、自走カウンタ(タイミングカウンタ)をリセットし、同期タイミング(内部基準タイミング)を送出(出力)する(S5)。
【0030】
また、判定処理S3で有線同期受信NGの場合(Noの場合)、無線同期確認処理を行う(S6)。無線同期確認処理については後述する。
無線同期確認処理の結果、無線同期受信OKか否かを判定し(S7)、無線同期受信OKであれば(Yesの場合)、無線同期を有効とし、有線同期を無効にする設定を行う(S8)。そして、処理S5に移行する。
【0031】
処理S5を終了した場合、または、判定処理S7で無線同期受信NGの場合(Noの場合)、同期元監視処理の終了か否かを判定し(S9)、処理が終了の場合(Yesの場合)、終了する。また、判定処理S9で同期元監視処理を終了しない場合(Noの場合)、処理S1に戻り、自走カウンタをインクリメントする。
【0032】
[有線同期確認処理:
図3]
次に、有線同期確認処理は、光回線(光ファイバーケーブル)から同期タイミングを取得する処理であり、
図3に示すように、まず、光受信レベルが規定値以上か否かを判定し(S11)、規定値以上であれば(Yesの場合)、復調(デコード)処理を行い(S12)、復調の結果、同期コードを取得できたか否かを判定し(S13)、同期コードを取得した場合(Yesの場合)、有線同期が受信OKであると設定し(S14)、処理を終了する。
【0033】
判定処理S11で光受信レベルが規定値未満の場合(Noの場合)、更に、判定処理S13で同期コードを取得できなかった場合(Noの場合)、有線同期が受信NGであることを設定して(S15)、処理を終了する。処理S14と処理S15の設定内容は、
図2の判定処理S3で利用される。
【0034】
[無線同期確認処理:
図4]
次に、無線同期確認処理は、複数ある無線フレームから同期タイミングを取得する処理であり、まず、無線受信レベルが規定値以上か否かを判定し(S21)、規定値以上であれば(Yesの場合)、復調とフレーム再生の処理を行い(S22)、復調とフレーム再生の結果、同期コードを取得できたか否かを判定し(S23)、同期フレーム(同期コード)を取得した場合(Yesの場合)、無線同期が受信OKであると設定し(S24)、処理を終了する。
【0035】
判定処理S21で無線受信レベルが規定値未満の場合(Noの場合)、更に、判定処理S23で同期コードを取得できなかった場合(Noの場合)、無線同期が受信NGであることを設定して(S25)、処理を終了する。処理S24と処理S25の設定内容は、
図2の判定処理S7で利用される。
【0036】
[BS(有線マスタ):
図5]
次に、BS1における有線マスタ1aについて
図5を参照しながら説明する。
図5は、有線マスタのBSの構成ブロック図である。
BS(有線マスタ)1aは、無線処理本体部10aと、アンテナ部11と、光フィルタ部105とを備えている。無線処理本体部10aは、一つの回路を形成している。
【0037】
無線処理本体部10aは、無線処理部101と、自走カウンタ部102と、コード生成部103と、電気/光変換部104と、光/電気変換部106と、コード復調部107と、遅延量算出部108とを備えている。
【0038】
有線マスタ1aの各部を説明する。
アンテナ11は、無線信号を送受信する。
無線処理部101は、アンテナ部11に接続し、信号処理、A/D(Analog/Digital)変換、D/A(Digital/Analog)変換、RF(Radio Frequency)信号変換を行い、MS5との通信を行う。
特に、無線処理部101は、アンテナ部11で受信した無線同期信号を復調してフレーム再生を行い、同期コードを検出すると、自走カウンタ部102にリセットタイミング信号を出力する。
【0039】
自走カウンタ部102は、内部の発振器等のクロックによりカウントするもので、無線同期信号(同期コード)からのリセットタイミング信号によりリセットを行う。自走カウンタ部102は、無線同期信号に同期したカウンタである。
また、自走カウンタ部102は、カウンタ値をコード生成部103と遅延量算出部108に出力する。
【0040】
コード生成部103は、自走カウンタ部102からのカウンタ値を入力し、リセットタイミングのカウンタ値(カウンタ値「0」)に基づいて同期コードを生成して電気/光変換部104に出力する。カウンタ値「0」は、請求項において「指定されたフレームタイミング」としている。
電気/光変換部104は、コード生成部103から入力された同期コードを電気信号から光信号に変換して光フィルタ部105に出力する。
【0041】
光フィルタ部105は、光信号の分波・合成を行うもので、図示していないが、同期コード以外の通信データのパケットも光信号に変換され、同期コードの光信号と合成されて光回線に送信する。
また、光フィルタ部105は、光回線から光信号を受信し、通信データのパケットの光信号と同期コードの光信号に分波し、同期コードの光信号を光/電気変換部106に出力する。
【0042】
光/電気変換部106は、光信号を電気信号に変換し、コード復調部107に出力する。
コード復調部107は、変換された電気信号をコードに復調して遅延量算出部108に出力する。
遅延量算出部108は、自走カウンタ部102からのカウンタ値とコード復調部107からのコード(有線スレーブ1bのカウンタ部のカウンタ値)を入力し、両者のカウンタ値の差分を検出して遅延量を算出する。遅延量は、無線処理部101に出力され、上位装置のBSM3に送信されて報告される。
【0043】
[BS(有線スレーブ):
図6]
次に、BS1における有線スレーブ1bについて
図6を参照しながら説明する。
図6は、有線スレーブのBSの構成ブロック図である。
BS(有線スレーブ)1bは、
図6に示すように、無線処理本体部10bと、アンテナ部11と、光フィルタ部111とを備えている。無線処理本体部10bは、一つの回路を形成している。
【0044】
無線処理本体部10bは、有線インタフェース部112と、復調部113と、同期リセット部114と、カウンタ部115と、無線処理部116と、コード変調部117と、電気/光変換部118とを備えている。
【0045】
有線スレーブ1bの各部を説明する。
光フィルタ部111は、光信号の分波・合成を行うもので、光回線から光信号を受信し、図示していないが、同期コード以外の通信データのパケットの光信号と同期コードの光信号に分波し、同期コードの光信号を有線インタフェース部112に出力する。
また、光フィルタ部111は、通信データのパケットの光信号と同期コードの光信号を合成し、光回線に送信する。
【0046】
有線インタフェース部112は、入力される信号が光信号であれば、光信号を電気信号に変換して復調部113に出力する。
復調部113は、変換された電気信号を復調し、同期コードを取得して同期リセット部114に出力する。
同期リセット部114は、復調部113からの同期コードを検出し、リセットタイミング信号をカウンタ部115に出力する。
【0047】
カウンタ部115は、同期リセット部114からのリセットタイミング信号でリセットする自走カウンタである。
また、カウンタ部115は、カウンタ値を無線処理部116とコード変調部117に出力する。
【0048】
無線処理部116は、アンテナ部11に接続し、カウンタ部115からのカウンタ値に基づいて信号処理、A/D変換、D/A変換、RF信号変換を行い、MS5と通信を行う。
コード変調部117は、カウンタ部115からのカウンタ値をコード変調して電気/光変換部118に出力する。
電気/光変換部118は、コード変調部117からの変調されたカウンタ値を電気信号から光信号に変換して光フィルタ部111に出力する。
【0049】
このように、有線スレーブ1bは、有線マスタ1aからの同期コードを受信して、その同期コードのタイミングで自走カウンタのカウンタ部115をリセットし、そのカウンタ部115のカウンタ値を有線マスタ1aに返信するもので、有線マスタ1aの同期タイミングで動作が行われるようになっている。
【0050】
[別のBS(有線スレーブ):
図7]
次に、別のBS1における有線スレーブ1bについて
図7を参照しながら説明する。
図7は、別の有線スレーブのBSの構成ブロック図である。
別のBS(有線スレーブ)1bは、
図7に示すように、基本的に
図6の構成と同様であり、相違する点は、無線処理本体部10bに、有効判定部119が設けられている。
【0051】
図6と相違する部分について具体的に説明する。
図6では、同期リセット部114からの同期コードに基づくリセットタイミングによりカウンタ部115をリセットしているが、
図7では、同期リセット部114からの同期リセットタイミング信号を有効判定部119に一旦入力する。
そして、有効判定部119は、カウンタ部115からのカウンタ値とリセットタイミングのカウンタ値「0」と比較し、その差分が予め設定された許容範囲内であるか否かを判定し、許容範囲内であれば同期リセット部114からの同期リセットタイミングでカウンタ部115をリセットする。
【0052】
また、有効判定部119が、上記差分が許容範囲内でなければ、つまり、許容範囲外であれば、同期リセット部114からの同期リセットタイミング信号を無視し、カウンタ部115でのリセットを行わない。
これにより、
図7の別のBS(有線スレーブ)1bは、許容範囲を超えたリセットを行わないよう制御でき、BS1bの動作を安定化できるものである。
【0053】
[実施の形態の効果]
本システムによれば、BS1が無線による同期制御に加えて、有線による同期制御のオプションを備え、BSM3からの指示等により当該オプションを採用すると、まず、有線による同期制御を行い、有線での同期制御ができない場合に無線での同期制御を行うもので、BS(有線スレーブ)1bでは、有線で受信した同期コードで自走のカウンタ部115をリセットすると共に、リセットしたカウンタ値をBS(有線マスタ)1aに送信し、BS(有線マスタ)1aで遅延時間を検出するものであり、干渉が多くても、同期制御を実現でき、通信品質を維持することができる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、無線通信における同期制御に加えて、有線による同期制御を実現するオプションを備え、干渉の多い無線通信区間では有線による同期制御を利用する無線通信システムに好適である。
【符号の説明】
【0055】
1…地上固定無線機(無線基地局,基地局,BS(Base Station))、 1a…BS(有線マスタ)、 1b…BS(有線スレーブ)、 2…地上無線局ネットワーク接続装置(BSC:Base Station Connection Unit)、 3…地上制御装置(BSM:Base Station Master)、 4…リングネットワーク、 5…移動体無線通信装置(MS:Mobile Station)、 10a,10b…無線処理本体部、 11…アンテナ部、 101…無線処理部、 102…自走カウンタ部、 103…コード生成部、 104…電気/光変換部、 105…光フィルタ部、 106…光/電気変換部、 107…コード復調部、 108…遅延量算出部、 111…光フィルタ部、 112…有線インタフェース部、 113…復調部、 114…同期リセット部、 115…カウンタ部、 116…無線処理部、 117…コード変調部、 118…電気/光変換部、 119…有効判定部