(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】タクシー営業管理システムおよびタクシー営業管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240723BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240723BHJP
【FI】
G06Q50/40
G16Y10/40
(21)【出願番号】P 2020138468
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】釣田 隆弘
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207503(JP,A)
【文献】特開2008-293175(JP,A)
【文献】特開2009-223733(JP,A)
【文献】特開2013-097608(JP,A)
【文献】特開2018-128842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G16Y 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシー車両の乗務員の労働可能時間帯に関する労務計画情報を格納する格納部と、
前記タクシー車両の稼働状態を検知する稼働状態検知部と、
前記タクシー車両の営業状態を検知する営業状態検知部と、
前記タクシー車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記タクシー車両において前記営業状態を表示する営業状態表示部と、
前記労務計画情報、前記稼働状態の情報、前記営業状態の情報および前記位置情報を外部装置に無線送信する通信部と、
受信した前記稼働状態の情報に基づいて、前記タクシー車両に対して警告情報を送信する前記外部装置において、
前記位置情報に基づいて、前記タクシー車両が所定の営業区域内に居るか否か、または前記営業状態の情報に基づいて、
前記タクシー車両が予め設定された営業時間帯内に含まれるか否かを判定する第1の判定部と、
前記労務計画情報と、前記第1の判定部による営業区域内に居るか否かの判定結果および前記営業時間帯内に含まれるか否かの判定結果とに基づいて、
営業区域内に居ないとの判定結果である場合、または予め設定した営業時間帯に含まれないとの判定結果である場合に、前記営業状態表示部の前記営業状態の表示が正当であるか否かを判定する第2の判定部と、
を備え
、
前記営業状態の表示が回送状態であるとき、前記第2の判定部は、前記タクシー車両が回送の時間帯であるか、または回送を行う位置である場合には前記営業状態の表示が正当であると判定する、タクシー営業管理システム。
【請求項2】
前記外部装置は、複数の前記タクシー車両を管理する管理サーバで構成される請求項1に記載のタクシー営業管理システム。
【請求項3】
前記乗務員の操作により空車、賃送、回送、支払および迎車を含む営業状態を選択可能な営業状態選択部をさらに備え、
前記営業状態検知部は、前記営業状態選択部の選択状態に基づいて前記タクシー車両の営業状態を検知し、
前記営業状態表示部は、前記営業状態選択部の選択状態に基づいて前記営業状態を表示する、請求項1または請求項2に記載のタクシー営業管理システム。
【請求項4】
前記格納部、前記稼働状態検知部、前記営業状態検知部、前記営業状態表示部および前記通信部は、前記タクシー車両に搭載される車載器で構成される請求項1から請求項3の何れか1項に記載のタクシー営業管理システム。
【請求項5】
タクシー車両に搭載される車載器で実行され、
タクシー車両の乗務員の労働可能時間帯に関する労務計画情報を格納する格納過程と、
前記タクシー車両の稼働状態を検知する稼働状態検知過程と、
前記タクシー車両の営業状態を検知する営業状態検知過程と、
前記タクシー車両の位置情報を取得する位置情報取得過程と、
前記タクシー車両において前記営業状態を表示する営業状態表示過程と、
前記労務計画情報、前記稼働状態の情報、前記営業状態の情報および前記位置情報を外部装置に無線送信する通信過程と、
受信した前記稼働状態の情報に基づいて、前記タクシー車両に対して警告情報を送信する前記外部装置で実行され、
前記位置情報に基づいて、前記タクシー車両が所定の営業区域内に居るか否か、または前記営業状態の情報に基づいて、
前記タクシー車両が予め設定された営業時間帯内に含まれるか否かを判定する第1の判定過程と、
前記労務計画情報と、営業区域内に居るか否かの判定結果および前記営業時間帯内に含まれるか否かの判定結果とに基づいて、
営業区域内に居ないとの判定結果である場合、または予め設定した営業時間帯に含まれないとの判定結果である場合に、前記営業状態の表示が正当であるか否かを判定する第2の判定過程と、
を有
し、
前記営業状態の表示が回送状態であるとき、前記第2の判定過程において、前記タクシー車両が回送の時間帯であるか、または回送を行う位置である場合には前記営業状態の表示が正当であると判定する、タクシー営業管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシーの営業管理に適用可能なタクシー営業管理システムおよびタクシー営業管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タクシー車両について、その位置と、「回送」を含む営業状態を管理する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
これにより、タクシー事業者等は、管理対象としてのタクシー車両がどこを走行しているのか、およびタクシー車両の営業状態が「回送」であるか否か等を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タクシー車両の「回送」を示す回送表示は、本来は運行終了時の帰庫時に使用したり、区域外から帰って来るときに使用する表示である。
【0006】
しかしながら、乗務員によっては、乗車を拒否するために回送表示を使用したり、営業区域内であるにも関わらず自分が得意とする営業区域までの間に回送表示を使用する場合があった。
【0007】
このような不当な「回送」の表示などは、売り上げの低下などにつながるため、タクシー事業者にとっては認められるものではなく、タクシー営業の管理上問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、不当な回送状態の表示などを判定して抑制することができるタクシー営業管理システムおよびタクシー営業管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様に係るタクシー営業管理システムは、タクシー車両の乗務員の労働可能時間帯に関する労務計画情報を格納する格納部と、前記タクシー車両の稼働状態を検知する稼働状態検知部と、前記タクシー車両の営業状態を検知する営業状態検知部と、前記タクシー車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記タクシー車両において前記営業状態を表示する営業状態表示部と、前記労務計画情報、前記稼働状態の情報、前記営業状態の情報および前記位置情報を外部装置に無線送信する通信部と、前記外部装置において、前記位置情報に基づいて、前記タクシー車両が所定の営業区域内に居るか否か、または前記営業状態の情報に基づいて、予め設定された営業時間帯内に含まれるか否かを判定する第1の判定部と、前記労務計画情報と、前記第1の判定部による営業区域内に居るか否かの判定結果および前記営業時間帯内に含まれるか否かの判定結果とに基づいて、前記営業状態表示部の前記営業状態の表示が正当であるか否かを判定する第2の判定部と、を備える。
前記外部装置は、複数の前記タクシー車両を管理する管理サーバで構成されることが好ましい。
【0010】
前記乗務員の操作により空車、賃送、回送、支払および迎車を含む営業状態を選択可能な営業状態選択部をさらに備え、前記営業状態検知部は、前記選択状態に基づいて前記タクシー車両の営業状態を検知し、前記営業状態表示部は、前記選択状態に基づいて前記営業状態を表示することが好ましい。
【0011】
前記格納部、前記稼働状態検知部、前記営業状態検知部、前記営業状態表示部および前記通信部は、前記タクシー車両に搭載される車載器で構成されることが好ましい。
【0012】
本発明の他の態様に係るタクシー営業管理プログラムは、タクシー車両に搭載される車載器で実行され、タクシー車両の乗務員の労働可能時間帯に関する労務計画情報を格納する格納過程と、前記タクシー車両の稼働状態を検知する稼働状態検知過程と、前記タクシー車両の営業状態を検知する営業状態検知過程と、前記タクシー車両の位置情報を取得する位置情報取得過程と、前記タクシー車両において前記営業状態を表示する営業状態表示過程と、前記労務計画情報、前記稼働状態の情報、前記営業状態の情報および前記位置情報を外部装置に無線送信する通信過程と、前記外部装置で実行され、前記位置情報に基づいて、前記タクシー車両が所定の営業区域内に居るか否か、または前記営業状態の情報に基づいて、予め設定された営業時間帯内に含まれるか否かを判定する第1の判定過程と、前記労務計画情報と、前記第1の判定部による営業区域内に居るか否かの判定結果および前記営業時間帯内に含まれるか否かの判定結果とに基づいて、前記営業状態の表示が正当であるか否かを判定する第2の判定過程と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、不当な回送状態の表示などを判定して抑制することができるタクシー営業管理システムおよびタクシー営業管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態に係るタクシー営業管理システムの機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】実施の形態に係るタクシー営業管理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3A】実施の形態に係るタクシー営業管理システムで実行されるタクシー営業管理処理の処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図3B】実施の形態に係るタクシー営業管理システムで実行されるタクシー営業管理処理の処理手順の例の続きを示すフローチャートである。
【
図4】実施の形態に係るタクシー営業管理システムで実行される回送状態判定処理の処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態に係るタクシー営業管理システムにおける車載器の警告表示例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~
図5を参照して、本発明の実施の形態に係るタクシー営業管理システムS1について説明する。
【0016】
(タクシー営業管理システムの機能構成)
図1を参照して、本実施の形態に係るタクシー営業管理システムS1の機能構成について説明する。
図1に示すように、タクシー営業管理システムS1は、タクシー車両(V1、V2…)に搭載されるタクシーメータ等で構成される車載器TM1と、外部装置としての管理サーバSA1とから構成される。
【0017】
車載器TM1は、タクシー車両(V1、V2…)の乗務員の労働可能時間帯に関する労務計画情報を格納するフラッシュメモリ等で構成される格納部10を備える。
【0018】
また、マイクロコンピュータ等で構成され、タクシー車両(V1、V2…)の稼働状態を検知する稼働状態検知部11と、営業状態を検知する営業状態検知部12とを備える。
また、GPS受信器等で構成され、タクシー車両(V1、V2…)の位置情報を取得する位置情報取得部13を備える。
【0019】
また、乗務員の操作により「空車」、「賃送」、「回送」、「支払」および「迎車」を含む営業状態を選択可能なスイッチ等で構成あされる営業状態選択部14を備える。
【0020】
また、LED表示器や液晶表示器等で構成され、営業状態選択部14で選択された「回送」を含む上記営業状態の何れかを表示する営業状態表示部15を備える。
また、労務計画情報、稼働状態の情報、営業状態の情報および位置情報を管理サーバSA1に無線回線N1を介して送信する通信部16を備える。
なお、営業状態検知部12は、営業状態選択部14の選択状態に基づいてタクシー車両(V1、V2…)の営業状態を検知するようにできる。
また、営業状態表示部は、営業状態選択部14の選択状態に基づいて営業状態を表示するようにできる。
外部装置としての管理サーバSA1は、各タクシー車両(V1、V2…)の車載器TM1から各種情報を受信する通信部100を備える。
【0021】
また、CPU200等で構成され、受信した位置情報に基づいて、タクシー車両(V1、V2…)が所定の営業区域内に居るか否か、または受信した営業状態の情報に基づいて、予め設定された営業時間帯内に含まれるか否かを判定する第1の判定部201を備える。
【0022】
また、同じくCPU200等で構成され、受信した労務計画情報と、第1の判定部201による営業区域内に居るか否かの判定結果および営業時間帯内に含まれるか否かの判定結果とに基づいて、営業状態表示部15の営業状態の表示が正当であるか否かを判定する第2の判定部202を備える。
【0023】
これにより、例えば、乗務員の恣意的な操作によって、乗車を拒否するために回送表示を使用したり、営業区域内であるにも関わらず自分が得意とする営業区域までの間に回送表示を使用している状態を判定することができる。
【0024】
そして、判定結果に基づいて、タクシー車両(V1、V2…)の車載器TM1、または乗務員の携帯端末(スマートフォン等)300に対し、通信回線N1、N2を介して、不当な「回送」の表示を行わないよう警告するメッセージを送信することができる。
これにより、乗務員による不当な回送状態の表示などを抑制することができ、タクシー営業管理を適正に行うことが可能となる。
【0025】
(タクシー営業管理システムの構成例)
図2を参照して、本実施の形態に係るタクシー営業管理システムS1の構成例について説明する。
タクシー営業管理システムS1は、車載器(タクシーメータ)TM1、管理サーバSA1および乗務員の携帯端末(スマートフォン等)300とから構成されている。
管理サーバSA1は、一般的なサーバ装置を適用可能である。
車載器TM1は、タクシー車両(V1、V2…)に搭載され、例えばカーナビゲーションユニット機能、タクシーメータ機能等を備えている。
カーナビゲーションユニット機能としては、例えば車両の現在位置を検出する機能や、現在位置を含む地図の情報を出力する機能などが含まれる。
【0026】
図2に示す構成例では、車載器TM1の内部に、稼働状態検知部11、営業状態検知部12等を構成するマイクロコンピュータ(CPU)200、演算処理の作業領域等を構成する記憶部(RAM)52を備える。
【0027】
また、演算プログラム等のソフトウェアや運賃データ等の各種データを格納する固定情報記憶部(ROM)53、運賃等の各種情報を表示する表示部(LCD)120を備える。
また、位置情報取得手段を構成するGPS(Global Positioning System)受信器13を備える。
【0028】
さらに、GPS受信器13、営業状態表示部15等を接続する入力インタフェース57および演算タイミング等を図るクロック信号を生成する時計IC(RTC)58を備える。
【0029】
また、各種データを書き込み可能なメモリカード64を装着可能なカードR/Wインタフェース54、空車、賃走、回送、迎車等の選択を行う営業状態選択部14を備える。
また、入力インタフェース59を介して接続されるETC車載器63を備える。
【0030】
また、管理サーバSA1との間で、労務計画情報、稼働状態の情報、営業状態の情報および位置情報等の送受信を行う通信部16および入力インタフェース60を備える。
また、各種の報知を行うスピーカ18、運賃等を印刷する感熱式等のプリンタ65等が設けられている。
【0031】
なお、メモリカード64には、例えば、乗務員の認証に必要なデータ、タクシー車両の走行履歴、運賃履歴等の営業データや時系列データ、乗務員の労働可能時間帯に関する労務計画情報等を保存する。
【0032】
また、マイクロコンピュータ(CPU)200には、車両から出力される走行パルスP1が入力され、実走運賃に相当するメータ値を算出する。また、マイクロコンピュータ(CPU)200には、タリフ情報が入力されるようになっている。
また、入力インタフェース56を介してドライブレコーダ121等が接続される。
【0033】
(タクシー営業管理処理について)
次に、
図3A、3Bのフローチャートを参照してタクシー営業管理システムS1で実行されるタクシー営業管理処理の処理手順の例について説明する。
なお、ここでは、タクシー車両V1に搭載された車載器(タクシーメータ)TM1、管理サーバSA1によって、タクシー営業管理処理を実行する例を示すが、他のタクシー車両V2…における処理も同様である。
また、タクシー営業管理処理の処理手順は、車載器(タクシーメータ)TM1および管理サーバSA1が有するCPUが備える記憶部に格納されたプログラム(ソフトウェア)に従ってCPUが実行するようにできる。
なお、以下の処理手順の一部または全部は、例えばDSP、ASIC等のハードウェアにより実行させることもできる。
この処理が開始されると、ステップS10で乗務員の労働可能時間帯に関する労務計画情報を入力、格納してステップS11に移行する。
ステップS11では、タクシー車両V1の稼働状態を走行パルス等に基づいて検知してステップS12に移行する。
ステップS12では、営業状態選択部14の選択状態に基づいて、「回送」を含む営業状態の何れであるかを検知してステップS13に移行する。
ステップS13では、GPS受信器13からのデータに基づいてタクシー車両V1の位置情報を取得してステップS14に移行する。
ステップS14では、営業状態選択部14の選択状態に基づいて、「回送」を含む営業状態を表示してステップS15に移行する。
ステップS15では、労務計画情報、稼働状態の情報、営業状態の情報および位置情報等の各種情報を管理サーバSA1に送ってステップS16に移行する。
【0034】
ステップS16では、管理サーバSA1において、労務計画情報、稼働状態の情報、営業状態の情報および位置情報等の各種情報を受信してステップS17に移行する。
ステップS17では、タクシー車両V1は所定の営業区域内に居るか否かが判定される。
判定結果が「Yes」の場合にはステップS11に戻り、「No」の場合にはステップS18に移行する。
【0035】
ステップS18では、営業表示は正当か否か判定される。即ち、例えば、「回送」の表示が行われている場合に、受信した労務計画情報と、営業区域内に居るか否かの判定結果に基づいて、営業状態表示部15の営業状態の表示が正当であるか否かを判定する。
そして、判定結果が「No」の場合にはステップS19に移行する。
【0036】
ステップS19では、タクシー車両V1側に対し、例えば「回送表示が不正です。通常の営業走行を行って下さい」等の警告情報を送信してステップS20に移行する。
【0037】
ステップS20では、タクシー車両V1の車載器TM1において、警告情報を受信し、ステップS21で、その警告情報を表示(例えば、
図5の「回送表示が不正です。通常の営業走行を行って下さい」の表示例を参照)して処理を終了する。
また、ステップS18の判定結果が「Yes」の場合にはステップS11に戻る。
一方、ステップS17で「Yes」と判定された場合にはステップS22に移行する。
ステップS22では、タクシー車両V1について、予め設定した営業時間帯に含まれるか否かが判定される。
判定結果が「Yes」の場合にはステップS11に戻り、「No」の場合にはステップS23に移行する。
【0038】
ステップS23では、営業表示は正当か否か判定される。即ち、例えば、「回送」の表示が行われている場合に、受信した労務計画情報と、営業区域内に居るか否かの判定結果および予め設定した営業時間帯に含まれるかの判定結果に基づいて、営業状態表示部15の営業状態の表示が正当であるか否かを判定する。
そして、判定結果が「No」の場合にはステップS19に移行して上述の処理を実行する。また、「Yes」の場合にはステップS11に戻る。
このような処理により、乗務員による不当な回送状態の表示などを抑制することができ、タクシー営業管理を適正に行うことが可能となる。
【0039】
(回送情報判定処理について)
図4のフローチャートおよび
図5の表示例を参照して、回送状態の判定に特化した回送情報判定処理について説明する。
なお、ここでは、タクシー車両V1について、管理サーバSA1によって回送情報判定処理を実行する例を示すが、他のタクシー車両V2…における処理も同様である。
【0040】
ステップS101では、タクシー車両V1の出庫を検知(例えば、車載器TM1から送られる出庫ステータスによって検知する)してステップS102に移行する。
ステップS102では、営業状態選択部14の選択状態に基づいて、「回送」を含む営業状態の何れであるかを検知してステップS103に移行する。
ステップS103では、タクシー車両V1の表示は回送状態であるか否かが判定される。
【0041】
そして、判定結果が「No」の場合にはステップS104に移行する。ステップS104では、タクシー車両V1は入庫状態であるか否かが判定され、「Yes」の場合には処理を終了し、「No」の場合にはステップS102に戻る。
また、ステップS103で「Yes」と判定された場合にはステップS105に移行する。
【0042】
ステップS105では、回送状態が予め設定した時間以上であるか否かが判定される。判定結果が「No」である場合にはステップS102に移行する。また、判定結果が「Yes」の場合にはステップS106に移行する。
ステップS106では、タクシー車両V1が回送の時間帯であるか、または回送を行う位置であるか否かが判定される。
そして、判定結果が「Yes」の場合にはステップS102に戻り、「No」の場合にはステップS107に移行する。
ステップS107では、タクシー車両V1のACCスイッチがオンか否か(即ち、タクシー車両V1が稼働状態か否か)が判定される。
【0043】
そして、判定結果が「Yes」の場合にはステップS108に移行して、タクシー車両V1の車載器TM1に対して警告情報を送信してステップS102に戻る。
【0044】
これにより、タクシー車両V1の車載器TM1は、受信した警告情報に基づいて、
図5に示すような警告メッセージ(例えば、「回送表示が不正です。通常の営業走行を行って下さい」等のメッセージ)を表示部120に表示する。
また、スピーカ18から警告音や、上述のような警告メッセージを音声出力するようにしてもよい。
これにより、乗務員による不当な回送状態の表示などを抑制することができ、タクシー営業管理を適正に行うことが可能となる。
一方、ステップS107で「No」と判定された場合には、ステップS109に移行する。
【0045】
ステップS109では、乗務員の携帯端末(スマートフォン等)300に警告メール(例えば、「回送表示が不正です。通常の営業走行を行って下さい」等の内容のメール)等を送信してステップS102に戻る。
【0046】
これにより、タクシー車両V1から乗務員が降車しているような場合であっても警告を行うことができ、乗務員による不当な回送状態の表示などを抑制することができる。
なお、管理サーバSA1側では、回送中にタクシー車両V1、V2…および乗務員名等をマップ上に表示するなどして管理することができる。
また、回送状態に移行後の「回送経過時間」、「走行時間」、「走行距離」等をタクシー車両V1、V2…毎に表示して管理するようにしてもよい。
【0047】
以上、本発明のタクシー営業管理システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【符号の説明】
【0048】
S1 タクシー営業管理システム
V1、V2… タクシー車両
SA1 管理サーバ
TM1 車載器(タクシーメータ)
10 格納部
11 稼働状態検知部
12 営業状態検知部
13 位置情報取得部(GPS受信器)
14 営業状態選択部
15 営業状態表示部
16 通信部
201 第1の判定部
202 第2の判定部
300 乗務員の携帯端末