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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】充放電機能付き車体部材
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20240723BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240723BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240723BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20240723BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20240723BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/411 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 50/512 20210101ALI20240723BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240723BHJP
   B62D 25/06 20060101ALN20240723BHJP
   B62D 29/04 20060101ALN20240723BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/052
H01M10/0562
H01M4/133
H01M4/587
H01M50/211
H01M50/249
H01M50/411
H01M50/512
H01M10/44 P
B62D25/06 A
B62D29/04 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020139177
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2021097031
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0167252
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宋 元 基
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-216846(JP,A)
【文献】特表2011-513895(JP,A)
【文献】国際公開第1988/008210(WO,A1)
【文献】特開2009-035082(JP,A)
【文献】特開2008-284946(JP,A)
【文献】特開2018-127093(JP,A)
【文献】特開平07-065861(JP,A)
【文献】特開平07-029598(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0305292(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/133
H01M 4/583
H01M 10/05
H01M 10/44
H01M 50/20
H01M 50/40
H01M 50/50
B60J 5/00
B60J 7/00
B62D 25/00
B62D 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を構成する部材であって、
炭素繊維からなる第1陰極部と、前記第1陰極部の一面に接触して配置され、陽極活物質及び固体電解質を含んで形成される第1陽極部とから構成される第1セル部、
炭素繊維からなる第2陰極部と、前記第2陰極部の他面に接触して配置され、陽極活物質及び固体電解質を含んで形成される第2陽極部とから構成される第2セル部、
前記第1セル部の一面と前記第2セル部の他面との間に介在して前記第1セル部と前記第2セル部とを絶縁させる絶縁層、
前記第1セル部の第1陽極部と前記第2セル部の第2陽極部とを並列に接続させる陽極集電体、並びに
前記第1セル部の第1陰極部と前記第2セル部の第2陰極部とを並列に接続させる陰極集電体、を含むことを特徴とする充放電機能付き車体部材。
【請求項2】
前記第1陰極部及び前記第2陰極部は、炭素繊維が互いに異なる配列方向に設けられた多数の強化繊維シートを積層して形成されることを特徴とする請求項1に記載の充放電機能付き車体部材。
【請求項3】
前記第1陽極部は、前記第1陰極部の一面に対向して配置され、陽極活物質が分布する第1陽極層と、前記第1陰極部と前記第1陽極層との間で前記第1陰極部及び前記第1陽極層にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成される第1固体電解質層とから構成され、
前記第2陽極部は、前記第2陰極部の他面に対向して配置され、陽極活物質が分布する第2陽極層と、前記第2陰極部と前記第2陽極層との間で前記第2陰極部及び前記第2陽極層にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成される第2固体電解質層とから構成され、
前記第1陽極層と前記第2陽極層との間は前記絶縁層で絶縁されることを特徴とする請求項1に記載の充放電機能付き車体部材。
【請求項4】
前記車体部材は、多数個が備えられ、
それぞれの車体部材を構成する陽極集電体同士が並列に接続され、
それぞれの車体部材を構成する陰極集電体同士が並列に接続され、
前記陽極集電体と前記陰極集電体は、スイッチによって車両のオルタネータまたは電子機器手段に選択的に接続され、
前記陽極集電体と前記陰極集電体が車両のオルタネータに電気的に接続される間、前記車体部材を介しての充電が行われ、
前記陽極集電体と前記陰極集電体が車両の電子機器手段に接続される間、前記車体部材を介しての放電によって発生した電源を車両の電子機器手段に供給することを特徴とする請求項1に記載の充放電機能付き車体部材。
【請求項5】
多数個が備えられる前記車体部材は、少なくとも一つが車両のルーフパネルを形成し、残りの車体部材が車両のルーフレールを形成することを特徴とする請求項4に記載の充放電機能付き車体部材。
【請求項6】
ルーフパネルを形成する車体部材と、ルーフレールを形成する車体部材とは絶縁部材によって絶縁されることを特徴とする請求項5に記載の充放電機能付き車体部材。
【請求項7】
前記第1セル部、前記第2セル部及び前記絶縁層は樹脂でモールドされることを特徴とする請求項1に記載の充放電機能付き車体部材。
【請求項8】
前記第1セル部を構成する第1陰極部には、ボルト形状の結合ボルトが少なくとも一つ形成され、
前記第1セル部を構成する第1陽極部、前記第2セル部を構成する第2陰極部及び第2陽極部、並びに絶縁層には、前記結合ボルトが貫通する少なくとも一つの貫通孔が形成され、
前記貫通孔に挿入された前記結合ボルトの端部には、結合ナットが締結されることを特徴とする請求項1に記載の充放電機能付き車体部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電機能付き車体部材に係り、より詳しくは、軽量化及び補強の用途に使用される炭素繊維を活用した充放電機能付き車体部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、車両を構成する車体構造及び各種部品を、スチール素材を用いて製造するのが一般的であったが、最近では、軽量化による燃費向上のために、繊維強化樹脂複合材などの複合素材がスチール素材の代わりに用いられている。
【0003】
一般に、繊維強化樹脂複合材は、素材に付加される荷重を担う役割をする強化材、及び強化材と組み合わせて素材の全体的な形状を実現しながら、素材に付加される荷重を強化材に伝達する役割をする母材を基本構造とする。この時、強化材としては、通常、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などの繊維型強化材が多用され、母材としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などを含む熱硬化性樹脂や、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)樹脂などを含む熱可塑性樹脂などの樹脂型母材が多用される。
【0004】
一方、車両を構成する部品の多くは、バッテリーから供給される電源によって作動する電子機器手段であって、最近では、電子機器手段の増加により、車両からバッテリーの容量を増加させることについての研究が継続的に行われている。
【0005】
本発明は、繊維強化樹脂複合材の強化材として使用される炭素繊維が、二次電池を構成する陰極として活用できることに着目したものであって、車両の軽量化及び強度補強のための強化材を活用して充放電が可能な車両用バックビームを提案した。
【0006】
前述の背景技術として説明された内容は、本発明の背景に対する理解増進のためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術に該当することを認めるものとして受け入れられるべきものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国特許第10-1125362号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、車両のルーフを構成するルーフパネル及びルーフレールに補強材として使用される炭素繊維を陰極の役割として活用した充放電機能付き車体部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る充放電機能付き車体部材は、車体を構成する部材であって、炭素繊維からなる第1陰極部と、前記第1陰極部の一面に接触して配置され、陽極活物質及び固体電解質を含んで形成される第1陽極部とから構成される第1セル部、炭素繊維からなる第2陰極部と、前記第2陰極部の他面に接触して配置され、陽極活物質及び固体電解質を含んで形成される第2陽極部とから構成される第2セル部、前記第1セル部の一面と第2セル部の他面との間に介在して第1セル部と第2セル部とを絶縁させる絶縁層、前記第1セル部の第1陽極部と第2セル部の第2陽極部とを並列に接続させる陽極集電体、並びに前記第1セル部の第1陰極部と第2セル部の第2陰極部とを並列に接続させる陰極集電体、を含むことを特徴とする。
【0010】
前記第1陰極部及び第2陰極部は、炭素繊維が互いに異なる配列方向に設けられた多数の強化繊維シートを積層して形成されることを特徴とする。
【0011】
前記第1陽極部は、前記第1陰極部の一面に対向して配置され、陽極活物質が分布する第1陽極層と、前記第1陰極部と第1陽極層との間で前記第1陰極部及び第1陽極層にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成される第1固体電解質層とから構成され、前記第2陽極部は、前記第2陰極部の他面に対向して配置され、陽極活物質が分布する第2陽極層と、前記第2陰極部と第2陽極層との間で前記第2陰極部及び第2陽極層にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成される第2固体電解質層とから構成され、前記第1陽極層と第2陽極層との間は前記絶縁層で絶縁されることを特徴とする。
【0012】
前記車体部材は、多数個が備えられ、それぞれの車体部材を構成する陽極集電体同士が並列に接続され、それぞれの車体部材を構成する陰極集電体同士が並列に接続され、前記陽極集電体と陰極集電体は、スイッチによって車両のオルタネータまたは電子機器手段に選択的に接続されるが、前記陽極集電体と前記陰極集電体が車両のオルタネータに電気的に接続される間、前記車体部材を介しての充電が行われ、前記陽極集電体と前記陰極集電体が車両の電子機器手段に接続される間、前記車体部材を介しての放電によって発生した電源を車両の電子機器手段に供給することを特徴とする。
【0013】
多数個が備えられる前記車体部材は、少なくとも一つが車両のルーフパネルを形成し、残りの車体部材が車両のルーフレールを形成することを特徴とする。
【0014】
ルーフパネルを形成する車体部材と、ルーフレールを形成する車体部材とは絶縁部材によって絶縁されることを特徴とする。
【0015】
前記第1セル部、第2セル部及び絶縁層は樹脂でモールドされることを特徴とする。
【0016】
前記第1セル部を構成する第1陰極部には、ボルト形状の結合ボルトが少なくとも一つ形成され、前記第1セル部を構成する第1陽極部、第2セル部を構成する第2陰極部及び第2陽極部、並びに絶縁層には、前記結合ボルトが貫通する少なくとも一つの貫通孔が形成され、前記貫通孔に挿入された前記結合ボルトの端部には、結合ナットが締結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態によれば、車両用ルーフを構成するルーフパネル及びルーフレールの剛性補強のために使用される炭素繊維を二次電池の陰極として活用し、ルーフパネル及びルーフレールの内部に固体電解質及び陽極の役割をする手段を一緒に内蔵して、車両用ルーフに充放電が可能な二次電池機能を付加することができるという効果が期待される。
【0018】
また、ルーフパネル及びルーフレールをそれぞれ充放電が可能な二次電池で製作し、それぞれを並列に接続して二次電池の容量を増大させることができるという効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る充放電機能付き車体部材が適用される車両を示す図である。
図2図1の要部を拡大して示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る充放電機能付き車体部材の断面を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る充放電機能付き車体部材を示す回路図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る充放電機能付き車体部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態をさらに詳細に説明する。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現される。但し、これらの実施形態は、本発明の開示を十分たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範疇を十分に知らせるために提供されるものである。図面上において、同一の符号は同一の構成要素を指す。
【0021】
図2(a)は、図1の「V1」部分を拡大して示す図であり、図2(b)は図1の「V2」部分を拡大して示す図である。また、図3図1のA-A線に沿った断面図である。
【0022】
まず、本発明の一実施形態に係る充放電機能付き車体部材は、車体を構成する様々な部品に適用できる。以下、車体部材の例として、車体のルーフ部材、すなわちルーフパネルとルーフレールについて説明する。
【0023】
図示の如く、本発明の一実施形態に係る充放電機能付き車体部材は、多数個が備えられ、少なくとも一つが車体10のルーフパネル20を形成し、残りの車体部材が車体10のルーフレール30を形成する。この時、ルーフパネル20とルーフレール30を形成するそれぞれの車体部材20、30は、それぞれ充放電機能を有する二次電池の役割を果たす。
【0024】
このため、それぞれの車体部材20、30は、炭素繊維からなる第1陰極部110と、前記第1陰極部110の一面に接触して配置され、陽極活物質及び固体電解質を含んで形成される第1陽極部120とから構成される第1セル部100、炭素繊維からなる第2陰極部210と、前記第2陰極部210の他面に接触して配置され、陽極活物質及び固体電解質を含んで形成される第2陽極部220とから構成される第2セル部200、前記第1セル部100の一面と第2セル部200の他面との間に介在し、第1セル部100と第2セル部200とを絶縁させる絶縁層300、前記第1セル部100の第1陽極部120と第2セル部200の第2陽極部220とを並列に接続させる陽極集電体500、並びに前記第1セル部100の第1陰極部110と第2セル部200の第2陰極部210とを並列に接続させる陰極集電体600、を含む。このため、第1セル部100と第2セル部200は、電気的に並列接続されて充放電容量を増加させる。
【0025】
第1セル部100は、一つの単位セルを形成する手段であって、第1陰極部110と第1陽極部120とから構成される。
【0026】
この時、第1陰極部110は、ルーフパネル20及びルーフレール30の形状を実現しながら剛性を補強する補強手段であって、本実施形態では、充放電機能を行うための陰極の役割も一緒に果たす。このため、第1陰極部110は、リチウムイオンの酸化及び還元が円滑に行われる炭素材質の炭素繊維で形成される。
【0027】
この時、前記第1セル部100は、剛性の補強のために、互いに異なる配列方向に設けられた多数の強化繊維シートを積層させて設けることができる。
【0028】
第1陽極部120は、充放電機能を行うための陽極の役割と全固体分離膜の役割を一緒に果たす手段であって、通常の二次電池において陽極として使用される陽極活物質素材を含んで実現することができる。例えば、第1陽極部120はリチウム金属酸化物を含むことができる。また、第1陽極部120は、通常の二次電池において固相の電解質、すなわち固体電解質として使用される素材を用いて実現することができる。
【0029】
例えば、第1陽極部120は、第1陰極部110の一面に対向して配置され、陽極活物質が分布する第1陽極層121と、第1陰極部110と第1陽極層121との間で第1陰極部110及び第1陽極層121にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成される第1固体電解質層122とから構成できる。この時、第1固体電解質層122の内部には、第1陰極部110と第1陽極層121とを分離させる第1分離膜123がさらに介在してもよい。
【0030】
前記第2セル部200も、第1セル部100と同様に、一つの単位セルを形成する手段であって、第2陰極部210及び第2陽極部220から構成される。
【0031】
この時、第2陰極部210は、ルーフパネル20及びルーフレール30の形状を実現しながら剛性を補強する補強手段であって、本実施形態では、充放電機能を行うための陰極の役割も果たす。このため、第2陰極部210は、リチウムイオンの酸化及び還元が円滑に行われる炭素材質の炭素繊維で形成される。
【0032】
この時、前記第2セル部200も、剛性の補強のために、互いに異なる配列方向に設けられた多数の強化繊維シートを積層させて設けることができる。
【0033】
第2陽極部220は、充放電機能を行うための陽極の役割と全固体分離膜の役割を一緒に果たす手段であって、通常の二次電池において陽極として使用される陽極活物質素材を含んで実現することができる。たとえば、第2陽極部220はリチウム金属酸化物を含むことができる。また、第2陽極部220は、通常の二次電池において固相の電解質、すなわち固体電解質として使用される素材を用いて実現することができる。
【0034】
たとえば、第2陽極部220は、第2陰極部210の他面に対向して配置され、陽極活物質が分布する第2陽極層221と、第2陰極部210と第2陽極層221との間で第2陰極部210及び第2陽極層221にそれぞれ接触するように配置され、固体電解質で形成される第2固体電解質層222とから構成できる。この時、第2固体電解質層222の内部には、第2陰極部210と第2陽極層221とを分離させる第2分離膜223がさらに介在してもよい。
【0035】
第1陽極層121と第2陽極層221との間は絶縁層300で絶縁される。このため、第1セル部100と第2セル部200は、絶縁層300を基準として互いに対称となるように配置される。
【0036】
この時、第1セル部100、第2セル部200及び絶縁層300は、車体部材20、30の形状を実現しながら、外部との絶縁のために絶縁性を有する樹脂(図示せず)でモールドされることが好ましい。
【0037】
一方、本実施形態では、それぞれが一つの単位セルを構成する第1セル部100と第2セル部200とを電気的に並列接続して充放電容量を増加させる。
【0038】
このため、第1セル部100の第1陽極層121と第2セル部200の第2陽極層221とを並列に接続させる陽極集電体500、及び第1セル部100の第1陰極部110と第2セル部200の第2陰極部210とを並列に接続させる陰極集電体600が備えられる。
【0039】
例えば、陽極集電体500は、第1セル部100の第1陽極層121と絶縁層300との間に介在するとともに、第2セル部200の第2陽極層221と絶縁層300との間に介在しながら、第1セル部100の第1陽極層121と第2セル部200の第2陽極層221とを並列に接続させる。
【0040】
また、陰極集電体600は、第1セル部100の第1陰極部110に接続されるとともに、第2セル部200の第2陰極部210に接続されながら、第1セル部100の第1陰極部110と第2セル部200の第2陰極部210とを並列に接続させる。
【0041】
一方、車体10を構成する車体部材20、30は、通常、一つのルーフパネル20及び多数のルーフレール30から構成される。
【0042】
このため、図4に示すように、車体部材20、30が一つのルーフパネル20及び多数のルーフレール30から構成される場合、ルーフパネル20を構成する陽極集電体500と、それぞれのルーフレール30を構成する陽極集電体500とは並列に接続され、ルーフパネル20を構成する陰極集電体600と、それぞれのルーフレール30を構成する陰極集電体600とは並列に接続される。
【0043】
このように構成される陽極集電体500と陰極集電体600は、スイッチ3によって車両のオルタネータ1または電子機器手段2に選択的に接続される。
【0044】
このため、陽極集電体500と陰極集電体600とが車両のオルタネータ1に電気的に接続される間、ルーフパネル20及びルーフレール30を介しての充電が行われ、陽極集電体500と陰極集電体600が車両の電子機器手段2に接続される間、ルーフパネル20及びルーフレール30を介しての放電によって発生した電源が車両の電子機器手段2に供給される。
【0045】
この時、電子機器手段2は、車両に備えられ、電源の供給によって作動する構成品を意味する。例えば、室内に備えられるルームランプのような各種ランプなどが該当することができる。
【0046】
また、ルーフパネル20及び多数のルーフレール30から構成される車体部材は、車体10の構造上、多数のルーフレール30が相互に等間隔で離隔した状態で配置され、その上部にルーフパネル20が配置されて構成される。このため、多数のルーフレール30とルーフパネル20との間に絶縁部材400を介在して相互間を絶縁することができる。
【0047】
一方、本実施形態に係る車体部材20、30は、第1陰極部110、第1陽極部120、絶縁層300、第2陽極部220及び第2陰極部210が順次積層される構造を持つが、各層を形成する素材が互いに異なって各層間の強度及び結合力が異なる。これにより、各層間の結合力を強化させて車体部材20、30の強度を向上させるために、各層を構造的に結合することができる。
【0048】
図5は本発明の他の実施形態に係る充放電機能付き車体部材を示す図である。
【0049】
図5に示すように、第1セル部100を構成する第1陰極部110にボルト形状の結合ボルト111を少なくとも一つ形成する。
【0050】
このとき、結合ボルト111は、第1陰極部110の製作時にオーバーモールドして一体に形成することもでき、第1陰極部110と結合ボルト111を別途の射出物に製作した後に組み立てることもできる。図5では第1陰極部110の製作時に結合ボルト111をオーバーモールドして一体に形成したことを示す。
【0051】
第1陰極部110を除いた残りの構成である第1セル部100の第1陽極部120、第2セル部200の第2陰極部210及び第2陽極部220、並びに絶縁層300には、前記結合ボルト111が貫通する少なくとも一つの貫通孔(図示せず)を形成する。
【0052】
このため、第1セル部100と第2セル部200の形成および積層の際に、第1陰極部110に形成された結合ボルト111を用いて残りの構成品を貫通した後、別途の結合ナット211を締結することにより、第1セル部100と第2セル部200との層間結合力を強化させることができる。
【0053】
本発明について、添付図面及び前述した好適な実施形態を参照して説明したが、本発明は、これらに限定されず、後述する特許請求の範囲によって規定される。よって、本技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲の技術的思想から外れることなく本発明を様々に変形及び修正することができる。
【符号の説明】
【0054】
10 車体
20 ルーフパネル
30 ルーフレール
100 第1セル部
110 第1陰極部
120 第1陽極部
121 第1陽極層
122 第1固体電解質層
123 第1分離膜
200 第2セル部
210 第2陰極部
220 第2陽極部
221 第2陽極層
222 第2固体電解質層
223 第2分離膜
300 絶縁層
400 絶縁部材
500 陽極集電体
600 陰極集電体
図1
図2
図3
図4
図5