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特許7525337無線信号伝送装置、および無線信号伝送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】無線信号伝送装置、および無線信号伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/44 20060101AFI20240723BHJP
   H04B 10/2575 20130101ALI20240723BHJP
【FI】
H04B1/44
H04B10/2575 120
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020144213
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039269
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】相葉 孝充
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-163196(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0104524(US,A1)
【文献】特開2002-223176(JP,A)
【文献】特開2016-163218(JP,A)
【文献】特開2009-272732(JP,A)
【文献】特開平04-373317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/44
H04B 10/2575
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号伝送装置と通信を行う機器との間で送受信される無線信号を、光ファイバを介して装置に送受信する前記無線信号伝送装置であって、
前記機器からアンテナ部を介して受信した受信信号を増幅する受信用増幅器と、
前記受信用増幅器で増幅された前記受信信号を光信号に変換し、前記光ファイバへ送信する発光部と、
前記光ファイバから受信した光信号を電気信号に変換し、前記アンテナ部を介して、前記機器へ送信する送信信号を生成する受光部と、
前記受光部で生成された前記送信信号を増幅する送信用増幅器と、
前記アンテナ部を介して受信した前記受信信号に関する受信信号情報を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記受信信号情報を判定する判定部と、
前記判定部で判定した判定結果と、前記受信信号および前記送信信号の切替えタイミングを示す周期情報と、に基づいて、前記受信用増幅器と、前記送信用増幅器とのオン、オフを制御する制御部と、を備える、無線信号伝送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記判定結果と、前記周期情報とに基づいて、さらに、前記発光部と、前記受光部とのオン、オフを制御する、請求項1に記載の無線信号伝送装置。
【請求項3】
前記受信信号情報は、前記機器から受信した前記受信信号のパワーレベルがオフになったことを示す情報である、請求項1または2に記載の無線信号伝送装置。
【請求項4】
前記受信信号情報は、前記機器からの前記受信信号、および前記機器への前記送信信号の切替えタイミングを示す情報である、請求項1または2に記載の無線信号伝送装置。
【請求項5】
前記制御部からの制御信号に応じて、前記アンテナ部と、前記受信用増幅器または前記送信用増幅器との接続を切り替えるスイッチ部をさらに備え、
前記制御部は、前記判定結果と、前記周期情報とに基づいて、前記スイッチ部の切替えを制御する、請求項1から4のいずれか一項に記載の無線信号伝送装置。
【請求項6】
サーキュレータをさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の無線信号伝送装置。
【請求項7】
アンテナ部と、
光ファイバと、
無線信号伝送装置と通信を行う機器との間で、前記アンテナ部を介して送受信される無線信号を、前記光ファイバを介して装置に送受信する前記無線信号伝送装置と、を備え、
前記無線信号伝送装置は、
前記機器から前記アンテナ部を介して受信した受信信号を増幅する受信用増幅器と、
前記受信用増幅器で増幅された前記受信信号を光信号に変換し、前記光ファイバへ送信する発光部と、
前記光ファイバから受信した光信号を電気信号に変換し、前記アンテナ部を介して、前記機器へ送信する送信信号を生成する受光部と、
前記受光部で生成された前記送信信号を増幅する送信用増幅器と、
前記アンテナ部を介して受信した前記受信信号に関する受信信号情報を検出する検出部と、
前記検出部で検出した前記受信信号情報を判定する判定部と、
前記判定部で判定した判定結果と、前記受信信号および前記送信信号の切替えタイミングを示す周期情報と、に基づいて、前記受信用増幅器と、前記送信用増幅器とのオン、オフを制御する制御部と、を備える、無線信号伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号伝送装置、および無線信号伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上り下りの信号を交互に送受信する時分割複信方式(TDD:Time Division Duplex方式)によって、基地局との双方向無線通信を可能とする装置がある。例えば、特許文献1には、送信系回路、受信系回路、TDDスイッチを有する装置における送受信切替方法が開示されている。特許文献1に開示された送受信切替方法は、送信信号と受信信号とを交互に伝送するために、TDD制御回路で制御されるTDDスイッチ(送受信切替スイッチ)で、信号が伝送する回路を切り替えて使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-244018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信装置において、基地局と無線信号を送受信する伝送装置から、実際に無線信号を処理する装置までの伝送距離が長い場合や、伝送経路におけるノイズによる影響を抑制したい場合に、光ファイバを用いて信号を伝送するための光送受信器が用いられる場合がある。この場合、伝送装置において、送受信の切替えを行うスイッチ部のアイソレーションが十分でない場合や、送信経路と受信経路との間でクロストークが発生した場合に、信号の回り込みが発生する恐れがある。例えば、基地局への送信経路の信号が受信経路に流れる、信号の回り込みが発生した場合、信号の特性が劣化したり、受信経路側の増幅器で増幅された信号により光信号を生成するレーザー(E/O変換器)等が故障したりする場合がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、外部の基地局等との間で送受信される無線信号を内部の装置に対して伝送するための伝送装置において、伝送装置内の送信回路、および受信回路の間のクロストークを低減することができる無線信号伝送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る無線信号伝送装置は、外部の基地局等との間で送受信される無線信号を、光ファイバを介して装置に送受信する無線信号伝送装置であって、基地局等からアンテナ部を介して受信した受信信号を増幅する受信用増幅器と、受信用増幅器で増幅された受信信号を光信号に変換し、光ファイバへ送信する発光部と、光ファイバから受信した光信号を電気信号に変換し、アンテナ部を介して、基地局等へ送信する送信信号を生成する受光部と、受光部で生成された送信信号を増幅する送信用増幅器と、アンテナ部を介して受信した受信信号に関する受信信号情報を検出する検出部と、検出部で検出した受信信号情報を判定する判定部と、判定部で判定した判定結果と、受信信号および送信信号の切替えタイミングを示す周期情報と、に基づいて、受信用増幅器と、送信用増幅器とのオン、オフを制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明の他の態様に係る無線信号伝送装置における制御部は、判定結果と、周期情報とに基づいて、さらに、発光部と、受光部とのオン、オフを制御することが好ましい。
【0008】
本発明のさらに他の態様に係る無線信号伝送装置における受信信号情報は、基地局等から受信した受信信号のパワーレベルがオフになったことを示す情報であることが好ましい。
【0009】
本発明のさらに他の態様に係る無線信号伝送装置における受信信号情報は、基地局等からの受信信号、および基地局等への送信信号の切替えタイミングを示す情報であることが好ましい。
【0010】
本発明のさらに他の態様に係る無線信号伝送装置は、制御部からの制御信号に応じて、アンテナ部と、受信用増幅器または送信用増幅器との接続を切り替えるスイッチ部をさらに備えることが好ましい。また、制御部は、判定結果と、周期情報とに基づいて、スイッチ部の切替えを制御することが好ましい。
【0011】
本発明のさらに他の態様に係る無線信号伝送装置は、サーキュレータをさらに備えることが好ましい。
【0012】
本発明の他の態様に係る無線信号伝送システムは、アンテナ部と、光ファイバと、外部の基地局等との間で、アンテナ部を介して送受信される無線信号を、光ファイバを介して装置に送受信する無線信号伝送装置と、を備え、無線信号伝送装置は、基地局等からアンテナ部を介して受信した受信信号を増幅する受信用増幅器と、受信用増幅器で増幅された受信信号を光信号に変換し、光ファイバへ送信する発光部と、光ファイバから受信した光信号を電気信号に変換し、アンテナ部を介して、基地局等へ送信する送信信号を生成する受光部と、受光部で生成された送信信号を増幅する送信用増幅器と、アンテナ部を介して受信した受信信号に関する受信信号情報を検出する検出部と、検出部で検出した受信信号情報を判定する判定部と、判定部で判定した判定結果と、受信信号および送信信号の切替えタイミングを示す周期情報と、に基づいて、受信用増幅器と、送信用増幅器とのオン、オフを制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外部の基地局等との間で送受信される無線信号を内部の装置に対して伝送するための伝送装置において、伝送装置内の送信回路、および受信回路の間のクロストークを低減する無線信号伝送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る無線信号伝送装置の一例を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る無線信号伝送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】本実施形態に係る無線信号伝送装置と、基地局等とがやり取りするデータの構成を説明するための図である。
図4】本実施形態に係る無線信号伝送装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係る無線信号伝送装置と、基地局等とのデータのやり取りを説明するための図である。
図6】本実施形態に係る無線信号伝送装置と、基地局等とがやり取りするデータのうち、パケットのデータ構成を示す図である。
図7】本実施形態に係る無線信号伝送装置の一例を示すブロック図である。
図8】本実施形態に係る無線信号伝送装置の一例を示すブロック図である。
図9】本実施形態に係る無線信号伝送装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本実施形態に係る無線信号伝送装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、無線信号伝送装置100の一例を示すブロック図である。無線信号伝送装置100は、アンテナ部200と接続され、アンテナ部200を介して外部の基地局や端末等(以下、基地局等とする)との無線通信を行う。また、無線信号伝送装置100は、光ファイバ400と接続され、光ファイバ400を介して内部の装置300とデータの送受信を行う。本実施形態において、装置300は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)、RF信号再放射アンテナ装置、またはWi-Fi(登録商標)無線信号に変換しPCや携帯電話につなぐ機器等である。但し、装置300は、これらの装置に限定されず、無線信号伝送装置100を介して、基地局等とデータを送受信し、基地局等との間でやり取りされるデータを処理する装置であればよい。
【0017】
第1の実施形態において、無線信号伝送装置100は、検出部110と、判定部120と、制御部130と、受信回路140と、送信回路150と、スイッチ部160と、を備える。
【0018】
検出部110は、基地局等から送られてくるダウンリンクデータ(以下、DLデータをする)に関する受信信号情報を検出する。第1の実施形態において、検出部110は、受信信号情報として、DLデータのパワーレベルを検出する。検出部110は、検出したDLデータのパワーレベルを受信信号情報として判定部120に送る。
【0019】
判定部120は、検出部110で検出されたDLデータに関する受信信号情報に基づいて、受信回路140と、送信回路150と、の切り替えを行うタイミングであるか否かを判定する。第1の実施形態において、判定部120は、受信信号情報であるDLデータのパワーレベルがオフになったか否かを判定する。判定部120は、DLデータのパワーレベルがオフになったと判定した場合、切替えタイミングであることを示す制御信号を判定結果として制御部130に送る。
【0020】
制御部130は、判定部120から送られてきた制御信号に基づいて、受信回路140、送信回路150、およびスイッチ部160を制御する。制御部130は、無線信号伝送装置100が、外部の基地局等からアンテナ部200を介してDLデータを受信する場合には、受信回路140を有効(オン)にし、送信回路150を無効(オフ)にする。一方で、制御部130は、無線信号伝送装置100が、アンテナ部200を介して外部の基地局等にアップリンクデータ(以下、ULデータをする)を送信する場合には、送信回路150を有効(オン)にし、受信回路140を無効(オフ)にする。
【0021】
制御部130は、デフォルトの状態において、DLデータを受信する状態になるように受信回路140を有効(オン)にし、送信回路150を無効(オフ)にする。第1の実施形態において、判定部120から送られてきた制御信号に基づいて、制御部130は、送受信の切り替えを行う。すなわち、制御部130は、判定部120から送られてきた制御信号に基づいて、送信回路150を有効(オン)にし、受信回路140を無効(オフ)にする。この制御により、無線信号伝送装置100からアンテナ部200を介して、基地局等にULデータが送信される。
【0022】
また、制御部130は、送信回路150が有効(オン)の状態において、所定の時間経過後、送受信の切替えタイミングを示す周期情報に基づいて、受信回路140が有効(オン)、送信回路150が無効(オフ)となる制御を行う。第1の実施形態において、送受信の切替えタイミングを示す周期情報は、あらかじめユーザによって設定され、無線信号伝送装置100の記憶部(図示なし)に記憶されている。この周期情報は、DLデータとULデータの切替え周期を示す。すなわち、制御部130は、周期情報に基づいて、ULデータが基地局等に送信されている時間を判定し、所定の時間経過後、受信回路140、および送信回路150の制御を行い、基地局等からのDLデータを受信する状態(デフォルト状態)に戻す。
【0023】
受信回路140は、受信用増幅器140aと、発光部140bとを備える。受信用増幅器140aは、アンテナ部200により受信したDLデータを、スイッチ部160を介して受信する。受信用増幅器140aは、受信信号を増幅する増幅器(アンプ)であり、DLデータを増幅し、発光部140bへ送る。
【0024】
発光部140bは、光ファイバ400に送信する光信号を生成する。具体的には、発光部140bは、受信用増幅器140aから送られてきたDLデータ(電気信号)を光信号に変換して、光ファイバ400に送る。発光部140bは、電気信号を光信号に変換するE/O変換器(Electronic/Optical変換器)であり、例えば半導体レーザーなどの発光素子が用いられる。また、半導体レーザーとしては、DFB(Distributed FeedBack)レーザー、FP(Fabry-Perot)レーザー、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等が用いられるが、本実施形態の内容を限定するものではない。なお、本実施形態における、制御部130による受信回路140のオン、オフの制御は、受信回路140に備えられた受信用増幅器140aと、発光部140bとの両方に対して行われるが、制御対象はこれに限定されない。例えば、制御部130による受信回路140のオン、オフの制御において、受信用増幅器140aに対してのみオン、オフの制御を行う構成とすることもできる。ただし、受信回路140のオン、オフの制御においては、受信用増幅器140aと、発光部140bとの両方に対して行われる構成とするのが好ましい。これは、以下に述べるいずれの実施形態においても同様にあてはまるものとする。
【0025】
送信回路150は、送信用増幅器150aと、受光部150bとを備える。受光部150bは、光ファイバ400を介して送られてきた光信号を電気信号に変換するO/E変換器(Optical/Electronic変換器)であり、例えばフォトダイオードが用いられる。送信用増幅器150aは、受光部150bで電気信号に変換された送信信号を増幅する増幅器であり、送信信号をULデータとして増幅し、スイッチ部160へ送る。なお、本実施形態における、制御部130による送信回路150のオン、オフの制御は、送信回路150に備えられた送信用増幅器150aと、受光部150bとの両方に対して行われるが、制御対象はこれに限定されない。例えば、制御部130による送信回路150のオン、オフの制御において、送信用増幅器150aに対してのみオン、オフの制御を行う構成とすることもできる。ただし、送信回路150のオン、オフの制御においては、送信用増幅器150aと、受光部150bとの両方に対して行われる構成とするのが好ましい。これは、以下に述べるいずれの実施形態においても同様にあてはまるものとする。
【0026】
スイッチ部160は、制御部130からの制御信号に応じて、アンテナ部200と、受信回路140または送信回路150との接続を切り替える。制御部130からの制御信号により、受信回路140側が有効な場合には、アンテナ部200からのDLデータが受信回路140に入力される。一方で、制御部130からの制御信号により、送信回路150側が有効な場合には、送信回路150からのULデータがスイッチ部160を介してアンテナ部200に送られる。
【0027】
次に、図2のフローチャートを用いて、第1の実施形態における検出部110、判定部120、および制御部130の処理を説明する。
【0028】
ステップS201において、検出部110は、基地局等から送られてくる信号のパワーレベルを検出する。ここで、基地局等との無線信号伝送装置100とでやり取りされるデータは、例えば図3(a)、(b)に示すように、DLデータおよびULデータが所定の規則に従ってやり取りされる。図3(a)は、DLデータとULデータの構成周期が可変である場合の例を示し、図3(b)は、DLデータとULデータの構成周期が固定の場合の例を示す。
【0029】
例えば、図3(a)に示すデータの構成例において、DLデータとULデータの間にスイッチング期間(Switching period)が設けられている。図3(a)の構成例において、このDLデータ、スイッチング期間、およびULデータの1周期の期間は、例えば、0.5ms、0.625ms、1ms、1.25ms、2ms、2.5ms、5ms、または10ms等を用いることができる。図3(a)に示すデータの構成例の場合、これらの1周期の期間、DLデータの期間、スイッチング期間、およびULデータの期間を周期情報として設定することができる。なお、図3(a)に示すスイッチング期間において、無線信号のパワーレベルは0となる。
【0030】
また、図3(b)に示すデータの構成例は、3GPP(Third Generation Partnership Project、登録商標)等によって規定されているデータ構成の一例を示す。図3(b)に示す例では、DLデータとULデータとの間にSデータが存在する。Sデータには、さらに、「DwPTS(Downlink Pilot Time Slot)」、「Guard Period」、および「UpPTS(Uplink Pilot Time Slot)」が存在する。「DwPTS」期間においては、DLデータが存在する。また、「UpPTS」期間においては、ULデータが存在する。図3(b)に示すデータの構成例において、DLデータ、Sデータ、およびULデータの期間は、それぞれ1msで固定である。なお、図3(b)に示すデータの構成例では、Sデータは、「Guard Period」において、無線信号のパワーレベルは0となる。
【0031】
ステップS201において、検出部110は、例えば、図3(a)または図3(b)に示すデータに対してパワーレベルを検出し、パワーレベルを受信信号情報として判定部120に送り、ステップS202へ進む。なお、図3(a)および図3(b)に示すデータの構成例は、一例であり、一定の周期においてDLデータの後にパワーレベルが0となる期間が存在し、その後、ULデータとなる構成であれば、第1の実施形態において適用可能である。
【0032】
ステップS202において判定部120は、検出部110から送られてきた受信信号情報であるパワーレベルに基づいて、切替えタイミングであるか否かを判定する。例えば、図3(a)に示すデータの構成例の場合は、スイッチング期間において、パワーレベルは0である。したがって、判定部120は、DLデータにおける一定のパワーレベルから、スイッチング期間においてパワーレベルが0となるタイミングにおいて、パワーが途切れたと判定し、このタイミングが切替えタイミングであると判定することができる。
【0033】
また、図3(b)に示すデータの構成例の場合は、Sデータは、「Guard Period」において、パワーレベルは0である。したがって判定部120は、Sデータの「DwPTS」のパワーレベルから、「Guard Period」においてパワーレベルが0となるタイミングにおいて、パワーが途切れたと判定し、このタイミングが切替えタイミングであると判定することができる。
【0034】
ステップS202において、判定部120が、受信信号情報におけるパワーレベルが0ではなく、切替えタイミングではないと、判定した場合(ステップS202:NO)、ステップS201に戻る。一方で、ステップS202において、判定部120が、切替えタイミングであると判定した場合(ステップS202:YES)、ステップS203に進む。
【0035】
ステップS203において、判定部120は、制御部130に対し、判定結果として制御信号を送る。ここで、判定部120から制御部130に送られる制御信号は、切替えタイミングであることを示す信号である。その後、ステップS201に戻り、検出部110および判定部120での処理は、上述のステップS201からステップS203を繰り返す。
【0036】
ステップS204において、制御部130は、判定部120から判定結果として制御信号を受信する。その後、ステップS205に進む。
【0037】
ステップS205において、制御部130は、スイッチ部160に対して、DLデータ/ULデータの切替え制御を行う。すなわち、スイッチ部160を、受信用増幅器140aとの接続から送信用増幅器150aとの接続に切り替えるための制御信号をスイッチ部160に送る。次にステップS206に進む。
【0038】
ステップS206において、制御部130は、受信回路140および送信回路150に対し電圧制御を行う。本実施形態において、制御部130は、受信用増幅器140aおよび発光部140bの電圧を0にすることで、受信用増幅器140aおよび発光部140bをオフにする。また、制御部130は、送信用増幅器150aおよび受光部150bに電圧を与えることで、送信用増幅器150aおよび受光部150bをオンにする。
【0039】
次に、ステップS207において、制御部130は、ステップS206における電圧制御から所定の時間が経過したか否かを判定する。ここで、本実施形態において所定の時間は、ULデータの送信が完了するまでの時間である。また、本実施形態において所定の時間は、あらかじめ無線信号伝送装置100内の記憶部(図示なし)に設定された周期情報である。本実施形態において、所定の時間を示す周期情報は、あらかじめユーザによって設定されているものとする。なお、周期情報の設定は、ユーザによる設定に限定されず、例えば、検出部110が検出したDLデータを解析することにより、ULデータの送信が完了するまでの時間を記憶部に記憶する形態を用いてもよい。
【0040】
図3(a)のデータの構成例で周期が10msである場合には、例えばULデータが5.6ms、スイッチング期間が0.4ms、およびULデータが4msという周期情報があらかじめユーザによって設定される。この場合、制御部130は、ステップS207において、ULデータが送信される4msが経過したか否かを判定する。
【0041】
また、基地局等との無線通信において送受信されるデータが、例えば図3(b)のデータの構成例の場合、上述の通り、DLデータ、Sデータ、およびULデータの期間はそれぞれ1msである。また、「UpPTS」は、規格に応じて、例えば、0.0712ms、0.1425ms、0.0833ms、および0.1666ms等が規定され、ユーザによって設定されている。よって、制御部130は、ステップS207において、「UpPTS」の経過時間およびULデータが送信される1msが経過したか否かを判定する。
【0042】
ステップS207において、制御部130が所定の時間経過したと判定した場合(ステップS207:YES)、ステップS208に進む。一方で、ステップS207において、制御部130が所定の時間経過していないと判定した場合(ステップS207:NO)、ステップS207に戻り、所定の時間が経過するまでステップS207が繰り返される。
【0043】
ステップS208において、制御部130は、受信回路140および送信回路150に対し電圧制御を行う。本実施形態において、制御部130は、受信用増幅器140aおよび発光部140bに電圧を与えることで、受信用増幅器140aおよび発光部140bをオンにする。また、制御部130は、送信用増幅器150aおよび受光部150bの電圧を0にすることで送信用増幅器150aおよび受光部150bをオフにする。
【0044】
その後、ステップS209において、制御部130は、スイッチ部160に対して、DLデータ/ULデータの切替え制御を行ない、検出部110、判定部120、および制御部130における処理が終了する。ステップS209において、制御部130は、スイッチ部160を、送信用増幅器150aとの接続から、受信用増幅器140aとの接続に切り替えるための制御信号をスイッチ部160に送る。
【0045】
上述の通り、第1の実施形態における無線信号伝送装置100では、基地局等からの受信信号のパワーレベルを検出し、基地局等からの受信と基地局等への送信の切替えタイミングを検出する。この検出した結果に基づいて制御部130は、受信用増幅器140a、発光部140b、送信用増幅器150a、および受光部150bのオン、オフを切り替える。すなわち、基地局等と無線信号の送受信が行われていない経路をオフにすることで、送受信の切替えを行うスイッチ部160のアイソレーションが十分に行われ、送信経路と受信経路でクロストークが発生した場合の信号の回り込みを低減することができる。
【0046】
また、第1の実施形態における無線信号伝送装置100では、実際に基地局等とやり取りさせる無線信号に基づいて、制御部130が、送信経路、または受信経路のオン、オフを制御する。これにより、制御部130におけるオン、オフの制御が、基地局等との間でやり取りされるデータに対応づけられるため、より正確にオン、オフの制御を行うことができる。
【0047】
また、第1の実施形態における無線信号伝送装置100は、DLデータおよびULデータの切替えタイミングを示す周期情報に基づいて、受信回路140をオンにし、送信回路150をオフにする。これにより、ULデータの送信が終わったタイミングで確実に受信回路140をオンにすることができるため、DLデータの取りこぼしを防ぐことができる。例えば、基地局等との無線信号のみで送受信を判定するような装置においては、ULデータからDLデータの切替えのタイミングで、DLデータを検出してから切替えの制御が行われるため、既に受信したDLデータの取りこぼしが想定される。これに対し、第1の実施形態に係る無線信号伝送装置100では、ULデータからDLデータの切替えのタイミングにおいて、DLデータの検出ではなく、周期情報に基づいて切替えの制御が行われるため、DLデータの取りこぼしを防ぐことが可能となる。
【0048】
(第2の実施形態)
以上の通り、具体的な実施形態を一つ説明したが、上述した実施形態は例示であって実施形態を限定するものではない。例えば、上述の実施形態では、DLデータのパワーレベルを検出し、受信回路140および送信回路150の切替えを制御する形態を例示した。ここではさらに、DLデータに含まれる情報を解析する第2の実施形態に係る無線信号伝送装置について、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
【0049】
図4は、第2の実施形態に係る検出部110、判定部120、および制御部130の動作の一例を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS401において、検出部110は、基地局等から送信されるDLデータを解析する。例えば、3GPPに規定されるLTE(Long Term Evolution、登録商標)通信の場合、図5に示すように、コンフィギュレーションによって定まるデータの順番で基地局等との間でデータがやり取りされる。例えば、図5に示すコンフィギュレーションが2の場合においては、図5に示すように、DLデータ、Sデータ、ULデータ、DLデータ、というデータの順番でやり取りされる。Sデータは、上述の図3(b)に示す「DwPTS」、「Guard Period」、および「UpPTS」で構成されるデータである。なお、上述の図3(b)に示すデータの構成例は、図5に示すコンフィギュレーションが2の場合の例を示すものである。
【0051】
図5に示すデータの構成例の場合においては、検出部110は、信号解析を行い、データがDLデータ、Sデータ、またはULデータのいずれかであるかを検出し、受信信号情報として判定部120へ送る。
【0052】
また、基地局等からの受信データがパケットである場合、基地局等からの受信信号は、図6(a)に示すようなデータの構成となる。図6(a)に示すパケットの構成例において、パケットには、ヘッダ部とデータ部が設けられる。さらに、ヘッダ部には、データの属性等を示すデータが含まれる。ウインドウサイズは、基地局等から送信される受信データの数を示す。例えば、図6(b)に示すように、ウインドウサイズが1の場合、基地局等からデータが一つ端末に送られると、端末からはACK信号を返す。一方で図6(c)に示すように、ウインドウサイズが3の場合には、基地局等から受信データが3回送られ、その後、端末からACK信号が返されるというプロトコルになる。図6(a)~(c)に示すデータの構成例の場合には、検出部110は、例えば受信データが何番目のデータかを検出し、受信信号情報として判定部120へ送る。なお、図6(b)、(c)における端末は本実施形態における無線信号伝送装置100に相当する。
【0053】
図4のフローチャートに戻り、判定部120の処理について説明する。ステップS402において、判定部120は、検出部110から送られてきた受信信号情報の検出結果に基づき、DLデータおよびULデータの切替えタイミングを決定する。
【0054】
例えば、図5に示すデータの構成例の場合、Sデータの次にULデータとなるため、Sデータの検出のタイミングが、切替えタイミングとなる。なお、図5に示すデータの構成例において、Sデータの前は必ずDLデータとなる。すなわち、判定部120は、直前のデータの種類を記憶部(図示なし)に記憶しておき、直前のデータがDLデータであり、検出部110で検出されたデータがSデータである場合に、切替えタイミングであると判定する。
【0055】
また、基地局等とのデータのやり取りが、図6(a)に示すようなパケット通信である場合、判定部120は、データの受信回数をあらかじめ記憶部(図示なし)に記憶しておく。そして、判定部120は、ウインドウサイズに基づき、データの受信回数がウインドウサイズに達した場合に、切替えタイミングであると判定する。
【0056】
ステップS403において、判定部120は、切替えタイミングであると判定すると、ステップS404に進む。一方、ステップS403において、判定部120は、切替えタイミングでないと判定すると、ステップS401に戻り、再び信号解析を行う。
【0057】
ステップS404において、判定部120は、制御部130に対し、判定結果として制御信号を送る。ここで、判定部120から制御部130へ送られる制御信号は、切替えタイミングである旨の信号である。その後、ステップS401に戻り、検出部110および判定部120は、上述のステップS401からステップS404を繰り返す。
【0058】
ステップS405において、制御部130は、判定部120から判定結果として、制御信号を受信する。その後、ステップS406に進む。
【0059】
ステップS406において、制御部130は、スイッチ部160に対して、DLデータ/ULデータの切替え制御を行う。すなわち、スイッチ部160を、受信用増幅器140aとの接続から送信用増幅器150aとの接続に切り替えるための制御信号をスイッチ部160に送る。次にステップS407に進む。
【0060】
ステップS407において、制御部130は、受信回路140および送信回路150に対し電圧制御を行う。本実施形態において、制御部130は、受信用増幅器140aおよび発光部140bの電圧を0にすることで、受信用増幅器140aおよび発光部140bをオフにする。また、制御部130は、送信用増幅器150aおよび受光部150bに電圧を与えることで、送信用増幅器150aおよび受光部150bをオンにする。
【0061】
次に、ステップS408において、制御部130は、ステップS407における電圧制御から所定の時間が経過したか否かを判定する。ここで、本実施形態において所定の時間は、ULデータの送信が完了するまでの時間である。また、本実施形態において所定の時間は、あらかじめ無線信号伝送装置100内の記憶部(図示なし)に設定された周期情報である。本実施形態において、所定の時間を示す周期情報は、あらかじめユーザによって設定されているものとする。なお、周期情報の設定は、ユーザによる設定に限定されず、例えば、検出部110が検出したDLデータを解析することにより、ULデータの送信が完了するまでの時間を記憶部に記憶する形態でもよい。
【0062】
周期情報は、基地局等との無線通信において送受信されるデータが、例えば図5のデータにおけるコンフィギュレーションが2の場合、上述の通り、DLデータ、Sデータ、およびULデータの期間はそれぞれ1msである。また、「UpPTS」は、規格に応じて、例えば、0.0712ms、0.1425ms、0.0833ms、および0.1666ms等が規定され、ユーザによって設定されている。よって、制御部130は、ステップS408において、「UpPTS」の経過時間およびULデータが送信される1msが経過したか否かを判定する。また、基地局等との無線通信において送受信されるデータが、図6(a)に示すパケットの場合、あらかじめ設定されたULデータの期間が経過したか否かを判定する。
【0063】
ステップS408において、制御部130が所定の時間経過したと判定した場合(ステップS408:YES)、ステップS409に進む。一方で、ステップS408において、制御部130が所定の時間経過していないと判定した場合(ステップS408:NO)、ステップS408に戻り、所定の時間が経過するまでステップS408が繰り返される。
【0064】
ステップS409において、制御部130は、受信回路140および送信回路150に対し電圧制御を行う。本実施形態において、制御部130は、受信用増幅器140aおよび発光部140bに電圧を与えることで、受信用増幅器140aおよび発光部140bをオンにする。また、制御部130は、送信用増幅器150aおよび受光部150bの電圧を0にすることで送信用増幅器150aおよび受光部150bをオフにする。
【0065】
その後、ステップS410において、制御部130は、スイッチ部160に対して、DLデータ/ULデータの切替え制御を行ない、検出部110、判定部120、および制御部130における処理が終了する。ステップS410において、制御部130は、スイッチ部160を、送信用増幅器150aとの接続から、受信用増幅器140aとの接続に切り替えるための制御信号をスイッチ部160に送る。
【0066】
上述の通り、第2の実施形態に係る無線信号伝送装置では、DLデータやパケットデータの信号解析を行い、それに基づいて切替えタイミングを判定する。基地局等との無線信号のやり取りについては、あらかじめ定められた通信規則(プロトコル)に従ってデータが送受信されるため、DLデータおよびULデータの切替えタイミングを信号解析によって容易に検出することができる。この切替えタイミング、および周期情報を用いることで、受信回路140と送信回路150の切替えを確実に行うことが可能となる。また、信号解析によって容易に切替えタイミングを検出することができるため、検出部110の制御や回路の簡素化を図ることができる。
【0067】
(他の実施形態)
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0068】
上述の実施形態において、無線信号伝送装置100は、スイッチ部160を用いる構成としたが、無線信号伝送装置100の構成は、これに限定されない。例えば、スイッチ部160の代わりにサーキュレータ170を用いることが可能である。サーキュレータ170を用いる場合には、制御部130からの制御信号は必要なく、制御部130における制御が簡素化できる。
【0069】
また、上述の実施形態においては、アンテナ部200が一つであり、スイッチ部160、または、サーキュレータ170でアンテナ部200との無線データの送信、受信を切り替える例を示したがこれに限定されない。例えば、図8に示すように、受信用のアンテナ部200に加え、送信用のアンテナ部210を備える構成としてもよい。図8に示す実施形態においては、スイッチ部160、または、サーキュレータ170を用いる必要がなく、スイッチ部160、または、サーキュレータ170を用いる場合に比べ、無線信号伝送装置100の回路面積を小さくすることが可能となる。
【0070】
また、上述の実施形態における無線信号伝送装置100においては、図8に示すように、A/D変換器140cおよびD/A変換器150cを設けることができる。この場合、無線信号伝送装置100と、装置300との間の光信号によるデータの送受信は、デジタル信号で行うことができる。
【0071】
また、上述の実施形態における無線信号伝送装置100と同等の構成が、装置300に組み込まれている場合もある。この場合、装置300を無線信号伝送装置100に置き換えて考え、上述の無線信号伝送装置100に対して行った制御と同様の制御が、装置300側で行われてもよい。また、上述の無線信号伝送装置100に対して行った制御と同様の制御は、無線信号伝送装置100と、装置300との両方で行われてもよい。
【0072】
以下に、本実施形態の無線信号伝送装置、および無線信号伝送システムの特徴について記載する。
【0073】
第1の態様に係る無線信号伝送装置100は、外部の基地局等との間で送受信される無線信号を、光ファイバ400を介して装置に送受信する無線信号伝送装置100である。無線信号伝送装置100は、基地局等からアンテナ部200を介して受信した受信信号を増幅する受信用増幅器140aと、受信用増幅器140aで増幅された受信信号を光信号に変換し、光ファイバへ送信する発光部140bと、を備える。また、無線信号伝送装置100は、光ファイバ400から受信した光信号を電気信号に変換し、アンテナ部200を介して、基地局等へ送信する送信信号を生成する受光部150bと、受光部150bで生成された送信信号を増幅する送信用増幅器150aとを備える。さらに、無線信号伝送装置100は、アンテナ部200を介して受信した受信信号に関する受信信号情報を検出する検出部110と、検出部110で検出した受信信号情報を判定する判定部120と、を備える。また、無線信号伝送装置100は、判定部120で判定した判定結果と、受信信号および送信信号の切替えタイミングを示す周期情報と、に基づいて、受信用増幅器と、送信用増幅器とのオン、オフを制御する制御部130と、を備える。
【0074】
上記構成によれば、制御部130は、判定部120で判定した判定結果と、受信信号、送信信号の切替えタイミングを示す周期情報とに基づいて、受信用増幅器140aと、送信用増幅器150aとのオン、オフを制御する。これにより、制御部130の制御が、基地局等との間でやり取りされるデータに対応づけられるため、より正確にオン、オフの制御を行うことができる。さらに、周期情報に基づいてオン、オフを制御するため、DLデータ(受信データ)の取りこぼしを防ぐことが可能となる。
【0075】
第2の態様に係る無線信号伝送装置100の制御部130は、判定結果と、周期情報とに基づいて、さらに、発光部140bと、受光部150bとのオン、オフを制御することが好ましい。
【0076】
上記構成によれば、制御部130は、判定部120で判定した判定結果と、受信信号、送信信号の切替えタイミングを示す周期情報とに基づいて、さらに、発光部140bと、受光部150bとのオン、オフを制御する。これにより、基地局等と無線信号の送受信が行われていない経路をオフにすることで、送受信の切替えを行うスイッチ部160のアイソレーションが十分に行われ、送信経路と受信経路でクロストークが発生した場合の信号の回り込みを低減することができる。
【0077】
第3の態様に係る無線信号伝送装置100の受信信号情報は、基地局等から受信した受信信号のパワーレベルがオフになったことを示す情報であることが好ましい。
【0078】
上記構成によれば、受信信号情報は、基地局等から受信した受信信号のパワーレベルがオフになったことを示す情報である。これにより、DLデータ(受信データ)の受信が終わったことを確実に検出し、切替えタイミングを正確に判定できるため、制御部130におけるオン、オフの制御を正確に行うことが可能となる。
【0079】
第4の態様に係る無線信号伝送装置100の受信信号情報は、基地局等からの受信信号、および基地局等への送信信号の切替えタイミングを示す情報であることが好ましい。
【0080】
上記構成によれば、検出部110で検出される受信信号情報は、切替えタイミングを示す情報である。基地局等との無線信号のやり取りについては、あらかじめ定められた通信規則(プロトコル)に従ってデータが送受信されるため、信号解析によって容易に切替えタイミングを検出することができる。これにより、検出部110の簡素化を図ることが可能となる。
【0081】
第5の態様に係る無線信号伝送装置100は、制御部130からの制御信号に応じて、アンテナ部200と、受信用増幅器140aまたは送信用増幅器150aとの接続を切り替えるスイッチ部160をさらに備えることが好ましい。さらに、制御部130は、判定結果と、周期情報とに基づいて、スイッチ部160の切替えを制御することが好ましい。
【0082】
上記構成によれば、制御部130は、判定部120で判定した判定結果と、受信信号および送信信号の切替えタイミングを示す周期情報とに基づいて、スイッチ部160の切替えを制御する。この制御部130からの制御信号に応じて、アンテナ部200と、受信用増幅器140aまたは送信用増幅器150aとの接続を切り替えが行われるため、適切なタイミングで接続を切り替えることが可能となる。これにより、受信回路140と送信回路150との間で十分なアイソレーションを確保することができる。
【0083】
第6の態様に係る無線信号伝送装置100は、サーキュレータ170をさらに備えることが好ましい。
【0084】
上記構成によれば、アンテナ部200と接続される、受信回路140または送信回路150の切替えにおいて、制御部130からの制御信号は必要なく、制御部130における制御の簡素化を図ることができる。
【0085】
第7の態様に係る無線信号伝送システムは、アンテナ部200と、光ファイバ400と、外部の基地局等との間で、アンテナ部を介して送受信される無線信号を、光ファイバを介して装置に送受信する無線信号伝送装置100と、を備える。無線信号伝送装置100は、基地局等からアンテナ部200を介して受信した受信信号を増幅する受信用増幅器140aと、受信用増幅器140aで増幅された受信信号を光信号に変換し、光ファイバへ送信する発光部140bと、を備える。また、無線信号伝送装置100は、光ファイバ400から受信した光信号を電気信号に変換し、アンテナ部200を介して、基地局等へ送信する送信信号を生成する受光部150bと、受光部150bで生成された送信信号を増幅する送信用増幅器150aとを備える。さらに、無線信号伝送装置100は、アンテナ部200を介して受信した受信信号に関する受信信号情報を検出する検出部110と、検出部110で検出した受信信号情報を判定する判定部120と、を備える。また、無線信号伝送装置100は、判定部120で判定した判定結果と、受信信号および送信信号の切替えタイミングを示す周期情報と、に基づいて、受信用増幅器と、送信用増幅器とのオン、オフを制御する制御部130と、を備える。
【0086】
上記構成によれば、制御部130は、判定部120で判定した判定結果と、受信信号、送信信号の切替えタイミングを示す周期情報とに基づいて、受信用増幅器140aと、送信用増幅器150aと、発光部140bと、受光部150bとのオン、オフを制御する。これにより、制御部130の制御が、基地局等との間でやり取りされるデータに対応づけられるため、より正確にオン、オフの制御を行うことができる。さらに、周期情報に基づいてオン、オフを制御するため、DLデータ(受信データ)の取りこぼしを防ぐことが可能となる。
【符号の説明】
【0087】
100 無線信号伝送装置
110 検出部
120 判定部
130 制御部
140 受信回路
140a 受信用増幅器
140b 発光部
140c A/D変換器
150 送信回路
150a 送信用増幅器
150b 受光部
150c D/A変換器
160 スイッチ部
170 サーキュレータ
200、210 アンテナ部
300 装置
400 光ファイバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9