(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240723BHJP
H01L 21/302 20060101ALI20240723BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20240723BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240723BHJP
G03F 1/82 20120101ALI20240723BHJP
【FI】
H01L21/30 572
H01L21/302 201A
H01L21/306 S
H01L21/304 645Z
H01L21/304 651M
H01L21/304 651L
H01L21/304 647Z
H01L21/304 651B
G03F1/82
(21)【出願番号】P 2020146099
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 直子
(72)【発明者】
【氏名】鰍場 真樹
【審査官】植木 隆和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-163034(JP,A)
【文献】特開昭63-018630(JP,A)
【文献】国際公開第2010/021020(WO,A1)
【文献】特開2010-056263(JP,A)
【文献】特開2019-054136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/42
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化層を有するレジストを基板の表面から除去するための基板処理方法であって、
前記基板を150℃以上に加熱する加熱工程と、前記加熱工程によって加熱されている前記基板の表面にオゾンガスを供給するオゾンガス供給工程とを含み、前記基板の表面付近で酸素ラジカルを発生させて前記硬化層を除去する硬化層除去工程と、
前記硬化層除去工程の後に、前記基板の表面に硫酸を含む処理液を供給して、前記基板の表面から前記レジストを除去するウェット処理工程と、を含
み、
前記加熱工程が、熱処理チャンバ内に配置したホットプレート上に前記基板を載置することによって行われ、
前記オゾンガス供給工程が、前記熱処理チャンバ内にオゾンガスを導入することによって行われ、
前記基板処理方法が、前記オゾンガス供給工程を停止して前記硬化層除去工程を終えた後に、前記熱処理チャンバ内に150℃以上の不活性ガスを導入する高温不活性ガス供給工程をさらに含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記高温不活性ガス供給工程の後に、前記熱処理チャンバ内に室温の不活性ガスを導入する室温不活性ガス供給工程をさらに含む、請求項
1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記オゾンガス供給工程は、150℃未満のオゾンガスを前記基板の表面に供給する、請求項1
または2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
基板を収容する熱処理チャンバを有し、前記熱処理チャンバ内で基板を150℃以上に加熱できる基板加熱ユニットと、
前記熱処理チャンバ内にオゾンガスを供給するオゾンガス供給ユニットと、
基板に硫酸を含む処理液を供給する処理液供給ユニットと、
前記熱処理チャンバ内に150℃以上の不活性ガスを供給する高温不活性ガス供給ユニットと、を含む基板処理装置。
【請求項5】
前記熱処理チャンバ内に室温の不活性ガスを供給する室温不活性ガス供給ユニットをさらに含む、請求項
4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記オゾンガス供給ユニットが、150℃未満のオゾンガスを前記熱処理チャンバ内に供給する、請求項
4または5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記基板加熱ユニットが、基板が載置されるホットプレートを含む、請求項
4~6のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記処理液供給ユニットが、前記熱処理チャンバとは別の液処理チャンバ内で基板に硫酸を含む処理液を供給するように構成されている、請求項
4~7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理するための方法および装置に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置および有機EL(Electroluminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板等が含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程は、半導体基板(典型的にはシリコンウエハ)にイオンを照射する工程を含む。たとえば、半導体基板に不純物イオンを導入するためのイオン注入工程、パターン形成のためのイオンエッチング工程が該当する。これらの工程では、半導体基板の表面にレジストがパターン形成され、そのレジストをマスクとして、半導体基板に向けてイオンが照射される。それにより、半導体基板に対して選択的にイオンを照射できる。
【0003】
マスクとして使用されるレジストにもイオンが照射される。それにより、レジストの表層が炭化および変質して硬化層が形成される。とりわけ、高ドーズ量のイオンが注入されたレジストの表面には強固な硬化層が形成される。
硬化層を有するレジストを基板の表面から除去するための一つの処理は、高温の硫酸過酸化水素水混合液(SPM:sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture)を基板の表面に供給して行う高温SPM処理である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、硬化層は容易には除去できないため、長時間に亘って高温SPM処理を行う必要がある。そのため、SPMの消費量が多くなる。とりわけ、SPMの構成液である硫酸は、環境負荷が大きく、中和するとしてもコストを要するので、その使用量を削減することが望ましい。また、長時間の処理は、生産性の向上を妨げるので、処理時間を短縮できれば好ましい。
【0006】
そこで、この発明の一実施形態は、硫酸を含む処理液の使用量を削減しながら、硬化層を有するレジストを基板から除去できる基板処理方法および基板処理装置を提供する。また、この発明の一実施形態は、硬化層を有するレジストを短時間の処理で基板から除去できる基板処理方法および基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一実施形態は、硬化層を有するレジストを基板の表面から除去するための基板処理方法を提供する。この方法は、前記基板を150℃以上に加熱する加熱工程と、前記加熱工程によって加熱されている前記基板の表面にオゾンガスを供給するオゾンガス供給工程とを含み、前記基板の表面付近で酸素ラジカルを発生させて前記硬化層を除去する硬化層除去工程(オゾン処理工程)と、前記硬化層除去工程の後に、前記基板の表面に硫酸を含む処理液を供給して、前記基板の表面から前記レジストを除去するウェット処理工程と、を含む。
【0008】
この方法によれば、150℃以上に加熱された基板の表面にオゾンガスが供給される。オゾンガスは、基板の表面からの熱を受けて熱分解し、それにより酸素ラジカルが生成する。この酸素ラジカルが硬化層に作用することにより、硬化層が除去される。その後に、硫酸を含む処理液を基板の表面に供給するウェット処理工程を行うと、処理液は、レジストの非硬化層に速やかに到達し、非硬化層を溶解する。したがって、短時間のウェット処理でレジストを除去することができる。その結果、硫酸を含む処理液の消費量を削減できる。しかも、短時間のウェット処理でレジストを除去できるので、処理時間を短縮して生産性の向上に寄与できる。
【0009】
基板加熱およびオゾンガス供給を併用して行う硬化層除去工程においては、硬化層の一部が除去されてもよく、硬化層の全部が除去されてもよい。ウェット処理を開始する段階で硬化層の一部が残っていたとしても、硫酸を含む処理液がレジストの非硬化層に達するまでの時間および処理液の消費量は、加熱された基板にオゾンガスを供給して行う硬化層除去工程を行わない場合よりも少なくなる。硬化層除去工程では、少なくとも、硬化層を貫通して非硬化層に到達する処理液の経路が形成されるまで、硬化層が除去されることが好ましい。それにより、ウェット処理において、硫酸を含む処理液が速やかに非硬化層に到達するので、硬化層が残留しても、非硬化層とともにその硬化層をリフトオフできる。
【0010】
基板加熱に伴うレジストのポッピングを回避するためには、加熱工程における基板の温度は170℃以下とすることが好ましい。
この発明の一実施形態では、前記加熱工程が、熱処理チャンバ(好ましくは密閉チャンバ)内に配置したホットプレート上に前記基板を載置することによって行われる。また、前記オゾンガス供給工程が、前記熱処理チャンバ内にオゾンガスを導入することによって行われる。そして、前記基板処理方法が、前記オゾンガス供給工程を停止して前記硬化層除去工程を終えた後に、前記熱処理チャンバ内に150℃以上の不活性ガスを導入する高温不活性ガス供給工程をさらに含む。
【0011】
この方法によれば、熱処理チャンバ内に配置されたホットプレート上に基板が載置されて150℃以上に加熱される。そして、熱処理チャンバ内にオゾンガスが導入されることにより、そのオゾンガスが基板の表面に達し、基板からの熱を受けて分解する。一方、オゾンガスの供給を停止して硬化層除去工程を終えた後には、150℃以上の不活性ガスが熱処理チャンバに導入される。
【0012】
熱処理チャンバ内でホットプレートおよび基板から遠い位置では、オゾンガスの温度が150℃に達しないので、そこでは、オゾンガスの熱分解が生じない。オゾンは有害であるので、熱処理チャンバを開放して基板を取り出す前に熱処理チャンバ内からオゾンを排出する必要がある。しかし、熱処理チャンバ内のオゾン濃度が許容値以下になるまで熱処理チャンバ内の雰囲気を置換するには、相応の時間を要する。そこで、この実施形態では、150℃以上の高温の不活性ガスが熱処理チャンバに導入される。それにより、熱処理チャンバ内に残留しているオゾンが速やかに熱分解される。熱分解によって酸素ラジカルが生じるが、その寿命は短時間であるので、結果的に、短時間で熱処理チャンバ内のオゾンを消失させることができる。こうして、硬化層除去工程とウェット処理工程との間の時間を短縮できるので、生産性を一層向上できる。
【0013】
この発明の一実施形態では、前記基板処理方法は、前記高温不活性ガス供給工程の後に、前記熱処理チャンバ内に室温の不活性ガスを導入する室温不活性ガス供給工程をさらに含む。
基板の加熱および高温不活性ガスの供給によって熱処理チャンバが高温になるので、その後に、室温の不活性ガスを供給して熱処理チャンバの内部雰囲気を置換することにより、熱処理チャンバを速やかに冷却できる。それにより、熱処理チャンバから基板を取り出すまでの時間を短縮できる。熱処理チャンバ内のオゾンは、高温不活性ガスの供給による熱分解によって消失しているので、室温不活性ガスの供給を長時間にわたって行う必要はない。
【0014】
室温とは、当該基板処理方法が実施される環境温度を意味し、典型的には、当該基板処理方法が実施される工場内の温度である。室温の不活性ガスとは、具体的には、不活性ガス供給源から加熱されることなく供給される不活性ガスである。
この発明の一実施形態では、前記オゾンガス供給工程は、150℃未満のオゾンガスを前記基板の表面に供給する。
【0015】
150℃未満のオゾンガスを供給することにより、基板の表面までオゾンガスを未分解の状態で到達させることができる。したがって、基板からの熱によって基板の表面近傍でオゾンの熱分解を起こさせ、酸素ラジカルを生成できる。それにより、酸素ラジカルを確実にレジストの硬化層に作用させることができるので効率的な処理を実現できる。
この発明の一実施形態は、基板を収容する熱処理チャンバを有し、前記熱処理チャンバ内で基板を150℃以上に加熱できる基板加熱ユニットと、前記熱処理チャンバ内にオゾンガスを供給するオゾンガス供給ユニットと、基板に硫酸を含む処理液を供給する処理液供給ユニットと、を含む基板処理装置を提供する。
【0016】
この構成により、前述のような基板処理方法を実施することができる。すなわち、熱処理チャンバ内で150℃以上に基板を加熱し、その加熱されている基板の表面にオゾンガスを供給できる。それにより、基板の表面でオゾンが熱分解して酸素ラジカルが生成し、その作用によって、レジストの硬化層を除去できる。したがって、その後に行う硫酸を含む処理液による処理は短時間の処理でレジストの除去を達成できるので、硫酸を含む処理液の消費量を抑制でき、かつ生産性を向上できる。
【0017】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置は、前記熱処理チャンバ内に150℃以上の不活性ガスを供給する高温不活性ガス供給ユニットをさらに含む。
この構成により、基板を加熱した状態で熱処理チャンバ内にオゾンを供給してレジストの硬化層を除去した後に、150℃以上の不活性ガスを熱処理チャンバに供給できる。それにより、熱処理チャンバ内に未分解で残留しているオゾンを熱分解できる。したがって、熱処理チャンバ内のオゾンを速やかに減少させることができるので、処理後の基板を熱処理チャンバから搬出するまでの時間を短縮して、生産性を向上できる。
【0018】
この発明の一実施形態では、前記基板処理装置は、前記熱処理チャンバ内に室温の不活性ガスを供給する室温不活性ガス供給ユニットをさらに含む。
この構成により、熱処理チャンバ内の雰囲気を室温の不活性ガスに置換できるので、熱処理チャンバの冷却を促進できる。それにより、熱処理チャンバから基板を取り出すまでの時間を短縮できるので、生産性を向上できる。
【0019】
この発明の一実施形態では、前記オゾンガス供給ユニットが、150℃未満のオゾンガスを前記熱処理チャンバ内に供給する。
この構成により、オゾンガスを未分解の状態で基板の表面にまで至らせることができる。オゾンが熱分解して生成される酸素ラジカルの寿命は短時間であるので、酸素ラジカルをレジストの硬化層に作用させるためには、基板の表面付近においてオゾンの熱分解を生じさせることが望ましい。そこで、150℃未満のオゾンガスを供給することにより、基板の表面付近で熱分解を生じさせ、それにより生成される酸素ラジカルをレジストの硬化層に作用させることができる。
【0020】
この発明の一実施形態では、前記基板加熱ユニットが、基板が載置されるホットプレートを含む。ホットプレートによる加熱により、熱処理チャンバ全体を加熱することなく、基板を加熱できる。それにより、基板の表面においてオゾンの熱分解を効率的に生じさせることができる。
この発明の一実施形態では、前記処理液供給ユニットが、前記熱処理チャンバとは別の液処理チャンバ内で基板に硫酸を含む処理液を供給するように構成されている。このように、ドライ処理(硬化層除去工程)と、ウェット処理とを別のチャンバで行うことにより、効率的に基板を処理することができる。すなわち、ドライ処理の後にウェット処理のためにチャンバ内の環境を整えたり、ウェット処理の後にドライ処理のためにチャンバ内の環境を整えたりする必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式的な平面図である。
【
図2】
図2は、前記基板処理装置に備えられたドライ処理ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
【
図3】
図3は、前記熱処理ユニットに対する気体の給気系統および排気系統の構成例を説明するための系統図である。
【
図4】
図4は、前記基板処理装置に備えられたウェット処理ユニットの構成例を説明するための図解的な断面図である。
【
図5】
図5は、前記基板処理装置の制御に関する構成例を説明するためのブロック図である。
【
図6A-6C】
図6A~
図6Cは、前記基板処理装置によって行われる基板処理の典型例を示す。
【
図7】
図7は、オゾンガスの熱分解を説明するための図である。
【
図8A-8B】
図8Aおよび
図8Bは、前記基板処理装置による具体的な基板処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図9A-9B】
図9Aおよび
図9Bは、オゾン処理および高温SPM処理によってレジストを剥離する処理の効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式的な平面図である。基板処理装置1は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板Wは、たとえば、半導体ウエハなどである。基板処理装置1は、基板Wを収容する複数のキャリアCをそれぞれ保持する複数のロードポートLPと、複数のロードポートLPから搬送された基板Wを処理液や処理ガスなどの処理流体で処理する複数の処理ユニット2とを含む。
【0023】
基板処理装置1は、さらに、基板Wを搬送する搬送ユニット(IR,SH,CR)と、基板処理装置1を制御する制御装置3とを含む。制御装置3は、典型的にはコンピュータであり、プログラム等の情報を記憶するメモリ3mとメモリ3mに記憶された情報に従って基板処理装置1を制御するプロセッサ3pとを含む。
搬送ユニット(IR,SH,CR)は、複数のロードポートLPから複数の処理ユニット2に延びる搬送経路上に配置されたインデクサロボットIR、シャトルSH、およびセンターロボットCRを含む。インデクサロボットIRは、複数のロードポートLPとシャトルSHとの間で基板Wを搬送する。シャトルSHは、インデクサロボットIRとセンターロボットCRとの間で往復移動して基板Wを搬送する。センターロボットCRは、シャトルSHと複数の処理ユニット2との間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、さらに、複数の処理ユニット2の間で基板Wを搬送する。
図1に示す太線の矢印は、インデクサロボットIRおよびシャトルSHの移動方向を示している。
【0024】
複数の処理ユニット2は、水平に離れた4つの位置にそれぞれ配置された4つの塔を形成している。各塔は、上下方向に積層された複数の処理ユニット2を含む。4つの塔は、搬送経路の両側に2つずつ配置されている。複数の処理ユニット2は、基板Wを乾燥させたまま当該基板Wを処理する複数のドライ処理ユニット2Dと、処理液で基板Wを処理する複数のウェット処理ユニット2Wとを含む。ロードポートLP側の2つの塔は、複数のドライ処理ユニット2Dで形成されており、残り2つの塔は、複数のウェット処理ユニット2Wで形成されている。
【0025】
図2は、ドライ処理ユニット2Dの構成例を説明するための図解的な断面図である。ドライ処理ユニット2Dは、基板Wが通過する搬入搬出口4aが設けられたドライチャンバ4と、ドライチャンバ4の搬入搬出口4aを開閉するシャッタ5と、ドライチャンバ4内で基板Wを加熱しながら処理ガスを基板Wに供給する熱処理ユニット8と、熱処理ユニット8によって加熱された基板Wをドライチャンバ4内で冷却する冷却ユニット7と、ドライチャンバ4内で基板Wを搬送する室内搬送機構6とを含む。センターロボットCRは、搬入搬出口4aを介して、ドライチャンバ4に基板Wを出し入れする。搬入搬出口4aの近傍のドライチャンバ4内に冷却ユニット7が配置されている。
【0026】
冷却ユニット7は、クールプレート20と、クールプレート20を貫通して上下動するリフトピン22と、リフトピン22を上下動させるピン昇降駆動機構23とを含む。クールプレート20は、基板Wが載置される冷却面20aを備えている。クールプレート20の内部には、冷媒(典型的には冷却水)が循環する冷媒経路(図示省略)が形成されている。リフトピン22は、冷却面20aよりも上方で基板Wを支持する上位置と、先端が冷却面20aよりも下方に没入する下位置との間で上下動される。
【0027】
熱処理ユニット8は、ホットプレート30と、ホットプレート30を収容する熱処理チャンバ34と、ホットプレート30を貫通して上下動するリフトピン38と、リフトピン38を上下動させるピン昇降駆動機構39とを含む。ホットプレート30は、基板Wが載置される加熱面30aを備え、ヒータ33を内蔵している。
ヒータ33は、加熱面30aに置かれた基板Wを150℃以上に加熱できるように構成されており、たとえば、基板Wを250℃まで加熱できるように構成されていてもよい。加熱面30aは、基板Wの形状に倣い、基板Wよりも一回り大きな平面形状を有している。具体的には、基板Wが円形であれば、加熱面30aは、基板Wよりもひとまわり大きな円形に形成される。
【0028】
熱処理チャンバ34は、チャンバ本体35と、チャンバ本体35の上方で上下動する蓋36とを備えている。熱処理ユニット8は、蓋36を昇降する蓋昇降駆動機構37を備えている。チャンバ本体35は、上方に開放する開口35aを有しており、この開口35aを蓋36が開閉する。蓋36は、チャンバ本体35の開口35aを塞いで内部に密閉処理空間を形成する閉位置(下位置)と、開口35aを開放するように上方に退避した上位置との間で上下動される。リフトピン38は、加熱面30aよりも上方で基板Wを支持する上位置と、先端が加熱面30aよりも下方に没入する下位置との間で上下動される。
【0029】
チャンバ本体35の底部には、排気ポート41が形成されている。排気ポート41は、周方向に間隔を開けて複数箇所(たとえば3箇所)に配置されていることが好ましい。排気ポート41は、排気ライン42を介して排気設備43(
図3参照)に結合される。
蓋36は、加熱面30aに平行に延びるプレート部45と、プレート部45の周縁から下方に延びる筒部46とを含む。プレート部45は、具体的にはほぼ円形であり、それに応じて、筒部46は円筒形状を有している。筒部46の下端は、チャンバ本体35の上端に対向している。それにより、蓋36の上下動によって、チャンバ本体35の開口35aを開閉できる。
【0030】
プレート部45を貫通するように気体導入ポート48が形成されている。この実施形態では、気体導入ポート48は、プレート部45の中央部に形成されている。気体導入ポート48は、気体供給ライン49に接続されている。気体導入ポート48から導入された気体は、その下方の処理空間へと供給される。したがって、処理空間内に置かれた基板Wに気体が供給される。気体は、加熱面30aのほぼ全域(したがって基板Wの上面のほぼ全域)に向かって均等に供給される。
【0031】
室内搬送機構6は、ドライチャンバ4の内部で基板Wを搬送する。より具体的には、室内搬送機構6は、冷却ユニット7と熱処理ユニット8との間で基板Wを搬送する室内搬送ハンド6Hを備えている。室内搬送ハンド6Hは、冷却ユニット7のリフトピン22との間で基板Wを受渡しでき、かつ熱処理ユニット8のリフトピン38との間で基板Wを受渡しできるように構成されている。それにより、室内搬送ハンド6Hは、冷却ユニット7のリフトピン22から基板Wを受け取って熱処理ユニット8のリフトピン38にその基板Wを渡すように動作できる。さらに、室内搬送ハンド6Hは、熱処理ユニット8のリフトピン38から基板Wを受け取って冷却ユニット7のリフトピン22にその基板Wを渡すように動作できる。
【0032】
ドライ処理ユニット2Dの典型的な動作は、次のとおりである。
センターロボットCR(
図1参照)が基板Wをドライチャンバ4に搬入するとき、シャッタ5は、搬入搬出口4aを開放する開位置に制御される。その状態で、センターロボットCRのハンドHがドライチャンバ4に進入し、基板Wをクールプレート20の上方に配置する。すると、リフトピン22が上位置まで上昇し、センターロボットCRのハンドHから基板Wを受け取る。その後、センターロボットCRのハンドHはドライチャンバ4外へと後退する。次に、室内搬送機構6の室内搬送ハンド6Hは、リフトピン22から基板Wを受け取って熱処理ユニット8のリフトピン38へと基板Wを搬送する。このとき蓋36は開位置(上位置)にあり、リフトピン38は受け取った基板Wを上位置で支持する。室内搬送ハンド6Hが熱処理チャンバ34から退避した後、リフトピン38は下位置まで下降して、基板Wを加熱面30aに載置する。一方、蓋36は、閉位置(下位置)へと下降し、ホットプレート30を内包する密閉処理空間を形成する。この状態で、基板Wに対する熱処理が行われる。
【0033】
熱処理を終えると、蓋36が開位置(上位置)へと上昇して熱処理チャンバ34が開放される。さらに、リフトピン38が上位置へと上昇し、基板Wを加熱面30aの上方へと押し上げる。その状態で、室内搬送機構6の室内搬送ハンド6Hは、リフトピン38から基板Wを受け取って、冷却ユニット7のリフトピン22へとその基板Wを搬送する。リフトピン22は、受け取った基板Wを上位置で支持する。室内搬送ハンド6Hの退避を待って、リフトピン22が下位置へと下降し、それにより、基板Wがクールプレート20の冷却面20aに載置される。それにより、基板Wが冷却される。
【0034】
基板Wの冷却を終えると、リフトピン22が上位置へと上昇し、それにより、基板Wを冷却面20aの上方へと押し上げる。その状態で、シャッタ5が開かれ、センターロボットCRのハンドHがドライチャンバ4へと進入し、上位置にあるリフトピン22によって支持された基板Wの下方に配置される。その状態で、リフトピン22が下降することにより、センターロボットCRのハンドHに基板Wが渡される。基板Wを保持したハンドHは、ドライチャンバ4外へと退避し、その後に、シャッタ5が搬入搬出口4aを閉じる。
【0035】
図3は、熱処理ユニット8に対する気体の給気系統および排気系統の構成例を説明するための系統図である。
気体導入ポート48に接続された気体供給ライン49には、オゾンガス供給ライン51、室温不活性ガス供給ライン52および高温不活性ガス供給ライン53が結合されている。気体供給ライン49には、流通する気体中の異物を濾過するフィルタ50が介装されている。
【0036】
オゾンガス供給ライン51は、オゾンガス発生器55で生成されたオゾンガスを供給する。オゾンガスの温度は、150℃未満であり、典型的には室温である。オゾンガス供給ライン51には、その流路を開閉するオゾンガスバルブ56が介装されている。オゾンガス供給ライン51およびオゾンガスバルブ56は、オゾンガス供給ユニットの一例である。
【0037】
室温不活性ガス供給ライン52は、不活性ガス供給源58から供給される室温の不活性ガスを供給する。不活性ガスは、窒素ガス、アルゴンガス等の化学的に不活性な気体である。室温不活性ガス供給ライン52は、不活性ガス供給源58から供給される不活性ガスを加熱することなく気体供給ライン49に供給する。室温不活性ガス供給ライン52には、その流路を開閉する室温不活性ガスバルブ59、流量を調整する流量調整バルブ60および流量計61が介装されている。室温不活性ガス供給ライン52および室温不活性ガスバルブ59などは、室温不活性ガス供給ユニットの一例である。
【0038】
高温不活性ガス供給ライン53は、室温よりも高温の不活性ガスを供給する。具体的には、高温不活性ガス供給ライン53は、不活性ガス供給源58から供給される室温の不活性ガスを加熱して供給する。より具体的には、高温不活性ガス供給ライン53には、ヒータ63が介装されている。ヒータ63は、高温不活性ガス供給ライン53を流れる不活性ガスを150℃以上の高温に加熱する。さらに具体的には、ヒータ63は、熱処理チャンバ34内の処理空間を150℃以上の不活性ガスで満たすことができるように、高温不活性ガス供給ライン53を流れる不活性ガスを加熱する。高温不活性ガス供給ライン53には、ヒータ63よりも上流に、その流路を開閉する高温不活性ガスバルブ64、流量を調整する流量調整バルブ65および流量計66が介装されている。高温不活性ガス供給ライン53、ヒータ63、高温不活性ガスバルブ64などは、高温不活性ガス供給ユニットの一例である。
【0039】
熱処理チャンバ34の排気ポート41には、排気ライン42が接続されている。排気ライン42は、排気設備43に接続されている。排気ライン42による排気は、主として、熱処理チャンバ34外にオゾンガスが流出することを防止する。
オゾンガス供給ライン51には、オゾンガスバルブ56よりも上流側に、オゾン排気ライン68が接続されている。オゾン排気ライン68は、排気設備43に接続されている。オゾン排気ライン68には、オゾン排気バルブ69が介装されている。オゾン排気バルブ69は、オゾンガス発生器55の動作を停止した後に、オゾンガス供給ライン51に残留するオゾンガスを排気するときに開かれる。
【0040】
図4は、ウェット処理ユニット2Wの構成例を説明するための図解的な断面図である。
ウェット処理ユニット2Wは、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の液処理ユニットである。ウェット処理ユニット2Wは、内部空間を区画する箱形のウェットチャンバ9(
図1参照)と、ウェットチャンバ9内で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線A1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック70(基板保持手段)と、スピンチャック70に保持されている基板Wに硫酸を含む処理液(この実施形態では硫酸過酸化水素水混合液(SPM:sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture))を供給するSPM供給ユニット71と、リンス液供給ユニット72と、スピンチャック70を取り囲む筒状のカップ73とを含む。
図1に示すように、ウェットチャンバ9には、基板Wが通過する搬入搬出口9aが形成されており、この搬入搬出口9aを開閉するためのシャッタ10が備えられている。ウェットチャンバ9は、その内部で処理液を用いた基板処理が行われる液処理チャンバの一例である。
【0041】
スピンチャック70は、水平な姿勢で保持された円板状のスピンベース74と、スピンベース74の上方で基板Wを水平な姿勢で保持する複数のチャックピン75と、スピンベース74の中央部から下方に延びる回転軸76と、回転軸76を回転させることにより基板Wおよびスピンベース74を回転軸線A1まわりに回転させるスピンモータ77とを含む。スピンチャック70は、複数のチャックピン75を基板Wの周端面に接触させる挟持式のチャックに限らず、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)をスピンベース74の上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。
【0042】
カップ73は、スピンチャック70に保持されている基板Wよりも外方(回転軸線A1から離れる方向)に配置されている。カップ73は、スピンベース74の周囲を取り囲んでいる。カップ73は、スピンチャック70が基板Wを回転させている状態で、処理液が基板Wに供給されるときに、基板Wの周囲に排出される処理液を受け止める。カップ73に受け止められた処理液は、図示しない回収装置または排液装置に送られる。
【0043】
リンス液供給ユニット72は、スピンチャック70に保持されている基板Wに向けてリンス液を吐出するリンス液ノズル80と、リンス液ノズル80にリンス液を供給するリンス液配管81と、リンス液配管81からリンス液ノズル80へのリンス液の供給および供給停止を切り替えるリンス液バルブ82とを含む。リンス液ノズル80は、リンス液ノズル80の吐出口が静止された状態でリンス液を吐出する固定ノズルであってもよい。リンス液供給ユニット72は、リンス液ノズル80を移動させることにより、基板Wの上面に対するリンス液の着液位置を移動させるリンス液ノズル移動ユニットを備えていてもよい。
【0044】
リンス液バルブ82が開かれると、リンス液配管81からリンス液ノズル80に供給されたリンス液が、リンス液ノズル80から基板Wの上面中央部に向けて吐出される。リンス液は、たとえば、純水(脱イオン水:Deionized Water)である。リンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水および希釈濃度(たとえば、10~100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。リンス液の温度は、室温であってもよいし、室温よりも高い温度(たとえば、70~90℃)であってもよい。
【0045】
SPM供給ユニット71は、SPMを基板Wの上面に向けて吐出するSPMノズル85と、SPMノズル85が先端部に取り付けられたノズルアーム86と、ノズルアーム86を移動させることにより、SPMノズル85を移動させるノズル移動ユニット87とを含む。
SPMノズル85は、たとえば、連続流の状態でSPMを吐出するストレートノズルであり、たとえば基板Wの上面に垂直な方向に処理液を吐出する垂直姿勢でノズルアーム86に取り付けられている。ノズルアーム86は、水平方向に延びており、スピンチャック70の周囲で鉛直方向に延びる揺動軸線(図示しない)まわりに旋回可能に設けられている。
【0046】
ノズル移動ユニット87は、揺動軸線まわりにノズルアーム86を旋回させることにより、平面視で基板Wの上面中央部を通る軌跡に沿ってSPMノズル85を水平に移動させる。ノズル移動ユニット87は、SPMノズル85から吐出されたSPMが基板Wの上面に着液する処理位置と、SPMノズル85が平面視でスピンチャック70の周囲に位置するホーム位置との間で、SPMノズル85を水平に移動させる。処理位置は、SPMノズル85から吐出されたSPMが基板Wの上面中央部に着液する中央位置と、SPMノズル85から吐出されたSPMが基板Wの上面周縁部に着液する周縁位置とを含む。
【0047】
SPM供給ユニット71は、SPMノズル85に接続され、硫酸供給源88から硫酸(H2SO4)が供給される硫酸配管89と、SPMノズル85に接続され、過酸化水素水供給源94から過酸化水素水(H2O2)が供給される過酸化水素水配管95とを含む。
硫酸供給源88から供給される硫酸と、過酸化水素水供給源94から供給される過酸化水素水とは、いずれも水溶液である。硫酸の濃度は、たとえば90~98%であり、過酸化水素水の濃度は、たとえば30~50%である。
【0048】
硫酸配管89には、硫酸配管89の流路を開閉する硫酸バルブ90と、硫酸の流量を変更する硫酸流量調整バルブ91と、硫酸を加熱するヒータ92とが、SPMノズル85側からこの順に介装されている。ヒータ92は、硫酸を室温よりも高い温度(70~190℃の範囲内の一定温度。たとえば90℃)に加熱する。
過酸化水素水配管95には、過酸化水素水配管95の流路を開閉する過酸化水素水バルブ96と、過酸化水素水の流量を変更する過酸化水素水流量調整バルブ97とが、SPMノズル85側からこの順に介装されている。過酸化水素水バルブ96には、温度調整されていない室温(たとえば約23℃)の過酸化水素水が、過酸化水素水配管95を通して供給される。
【0049】
SPMノズル85は、たとえば略円筒状のケーシングを有している。このケーシングの内部には、混合室が形成されている。硫酸配管89は、SPMノズル85のケーシングの側壁に配置された硫酸導入口に接続されている。過酸化水素水配管95は、SPMノズル85のケーシングの側壁に配置された過酸化水素水導入口に接続されている。
硫酸バルブ90および過酸化水素水バルブ96が開かれると、硫酸配管89からの硫酸(高温の硫酸)が、SPMノズル85の硫酸導入口からその内部の混合室へと供給されるとともに、過酸化水素水配管95からの過酸化水素水が、SPMノズル85の過酸化水素水導入口からその内部の混合室へと供給される。
【0050】
SPMノズル85の混合室に流入した硫酸および過酸化水素水は、混合室で十分に撹拌混合される。この混合によって、硫酸および過酸化水素水が均一に混ざり合い、それらの反応によってSPM(硫酸過酸化水素水混合液)が生成される。SPMは、酸化力が強いペルオキソ一硫酸(Peroxymonosulfuric acid;H2SO5)を含む。高温に加熱された硫酸が供給され、かつ硫酸と過酸化水素水との混合は発熱反応であるので、高温のSPMが生成される。具体的には、混合前の硫酸および過酸化水素水のいずれの温度よりも高い温度(100℃以上。たとえば、160℃)のSPMが生成される。SPMノズル85の混合室において生成された高温のSPMは、ケーシングの先端(下端)に開口した吐出口から基板Wに向けて吐出される。
【0051】
図5は、基板処理装置1の制御に関する構成例を説明するためのブロック図である。制御装置3は、たとえばマイクロコンピュータなどによって構成されている。制御装置3は、プログラム等の情報を記憶するメモリ3mと、メモリ3mに記憶された情報に従って基板処理装置1を制御するプロセッサ3p(CPU)とを含む。基板Wの処理手順および処理工程を示すレシピは、メモリ3mに記憶されている。制御装置3は、メモリ3mに記憶されているレシピに基づいて基板処理装置1を制御することにより、基板Wに対する処理を実行するようにプログラムされている。
【0052】
制御装置3の具体的な制御対象は、インデクサロボットIR、シャトルSH、センターロボットCR、室内搬送機構6、ピン昇降駆動機構23,39、ヒータ33、蓋昇降駆動機構37、オゾンガス発生器55、オゾンガスバルブ56、室温不活性ガスバルブ59、流量調整バルブ60、ヒータ63、高温不活性ガスバルブ64、流量調整バルブ65、オゾン排気バルブ69、スピンモータ77、リンス液バルブ82、ノズル移動ユニット87、硫酸バルブ90、硫酸流量調整バルブ91、ヒータ92、過酸化水素水バルブ96、過酸化水素水流量調整バルブ97などである。
【0053】
図6A~
図6Cは、基板処理装置1によって行われる基板処理の典型例を示す。処理対象の基板Wは、たとえば、シリコン基板(シリコンウエハ)である。基板Wの表面には、レジスト100の膜が形成されている。レジスト100は、基板Wに対する選択的イオン注入のためのマスクとして用いられたものである。とくに、高ドーズ量でのイオン注入処理が行われた後の基板W上のレジスト100には、その表層部分に硬化層101が形成される。硬化層101は、レジスト100の炭化等の変質によって形成される。硬化層101の下方側(基板W表面側)には、硬化していないレジスト層102(以下「非硬化層102」という。)が存在している。ここでは、硬化層101を表層部に有するレジスト100を基板Wの表面から剥離または除去する基板処理、すなわち、レジスト剥離処理またはレジスト除去処理について説明する。
【0054】
この基板処理は、オゾン処理(
図6A)と、SPM処理(
図6B)とを含む。
オゾン処理(
図6A参照)は、基板Wを加熱し、かつその加熱されている基板Wの表面(より詳細にはレジスト100の硬化層101)にオゾンガスを供給する処理である。加熱温度、すなわち、加熱状態の基板Wの温度は150℃以上とされる。基板Wの表面にオゾンガスが達すると、オゾンガスが基板Wからの熱を受けて加熱される。それにより、オゾンガスが酸素と酸素ラジカルとに分解される。こうして生成される酸素ラジカルと硬化層101とが反応し、硬化層101が雰囲気中に揮発する。それにより、硬化層101が除去される。すなわち、オゾン処理は、レジスト100の硬化層101を除去する硬化層除去処理である。硬化層101は、少なくとも部分的に除去され、好ましくは全てが除去される。
【0055】
SPM処理(
図6B参照)は、オゾン処理(硬化層除去処理)の後に実行される。SPM処理は、基板Wの表面(レジスト100が形成された表面)にSPMを供給する液処理である。SPMは、レジスト100の硬化層101および非硬化層102を除去する働きを有するが、硬化層除去速度は、非硬化層除去速度に比較してはるかに小さい。したがって、レジスト100の表面に硬化層101が存在しなければ、SPMの供給によって、基板Wの表面のレジスト100(非硬化層102)を速やかに除去できる(
図6C参照)。レジスト100の表面にわずかに硬化層101が残留していても、そのわずかな硬化層101の除去は短時間のSPM処理によって達成できるので、やはり、短時間でレジスト100を除去できる。さらに、レジスト100の表面に硬化層101が残留していても、非硬化層102の露出部分があれば、すなわち、硬化層101を貫通して非硬化層102に達する液経路が存在すれば、SPMは、非硬化層102へと浸透して非硬化層102を除去する。それにより、硬化層101が非硬化層102とともにリフトオフされるので、やはり、短時間のSPM処理によって、レジスト100全体を基板Wの表面から除去できる。
【0056】
このように、オゾン処理(
図6A)による硬化層101の除去の後に、SPM処理(
図6B)を実行することにより、オゾン処理を行わずにSPM処理を行う場合に比較して、速やかに、基板Wの表面からレジスト100を除去することができる(
図6C)。
図7は、オゾンガスの熱分解を説明するための図である。オゾン(O
3)は、活性エネルギー以上のエネルギーを与えることによって、熱分解を起こして酸素ラジカルを発生することが知られている。温度の上昇とともに分解速度(化学反応速度定数k1)が大きくなる。
図7から、化学反応速度定数k1>0となり、酸素ラジカルが発生するのは、150℃以上であることが分かる。そこで、オゾン処理における基板Wの温度を150℃以上とすることにより、基板表面付近で熱分解反応が生じ、それによって生成した酸素ラジカルをレジストの硬化層に作用させることができる。レジストのポッピングを回避するために、加熱時の基板Wの温度は170℃以下とすることが好ましい。
【0057】
オゾンガスの熱分解は、オゾンガスの無害化の目的のために用いることもできる。すなわち、オゾン処理後に熱処理チャンバ34内にオゾンガスが残留しているときには、そのオゾンガスを150℃以上とすることによって、熱分解させることができる。熱分解によって生成される酸素ラジカルは、その寿命が短く、速やかに消滅して酸素となるので、実質上無害である。
【0058】
図8Aおよび
図8Bは、基板処理装置1による具体的な基板処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図8Aは、オゾン処理(硬化層除去処理)の詳細を示し、
図8Bはその後に行われるSPM処理の詳細を示す。これらの処理は、制御装置3が対応する制御対象を制御することによって実現される。
未処理の基板Wは、インデクサロボットIRによって取り出されて、シャトルSHに渡される。センターロボットCRは、その基板Wを受け取って、ドライチャンバ4に搬入する。ドライチャンバ4に搬入された基板Wは、室内搬送機構6によって、熱処理ユニット8のリフトピン38に渡され、そのリフトピン38の下降によって、ホットプレート30の加熱面30a上に載置される(ステップS1)。その後、蓋36が下降されて、チャンバ本体35と蓋36とによって形成される密閉された空間内で、ホットプレート30上に基板Wが載置された状態となる。
【0059】
ホットプレート30は、加熱面30a上に載置された基板Wを150℃~170℃(たとえば170℃)に加熱する加熱工程を実行する(ステップS2)。この加熱工程と並行して、オゾンガスが熱処理チャンバ34に導入され、オゾンガス供給工程が実行される(ステップS3)。すなわち、オゾンガスバルブ56が開かれることによって気体導入ポート48からオゾンガスが導入され、かつ排気ポート41から熱処理チャンバ34の内部雰囲気が排気される。それにより、熱処理チャンバ34内の空気がオゾンガスに置換され、そのオゾンガスは、ホットプレート30上で加熱されている基板Wの表面(より具体的には硬化層の表面)に到達する。すると、基板Wの表面でオゾンガスの熱分解が生じて、酸素ラジカルが生成される。この酸素ラジカルの働きによって、レジストの硬化層が除去される。この処理が、予め定める所定時間(たとえば30秒程度)に渡って行われる。熱処理チャンバ34に導入されるオゾンガスは、150℃未満(典型的には室温)である。このオゾンガスの濃度は、たとえば100~200g/cm3であってもよい。また、オゾンガスの供給流量は、5~20リットル/分程度であってもよい。
【0060】
酸素ラジカルによる硬化層の除去処理が終了すると、制御装置3は、オゾンガスバルブ56を閉じてオゾンガスの供給を停止し(ステップS4)、代わって、高温不活性ガスバルブ64を開く。これにより、高温の不活性ガスが気体導入口から熱処理チャンバ34内に導入され、高温不活性ガス供給工程が実行される(ステップS5)。この高温の不活性ガスは、150℃以上の温度(たとえば170℃)を保持して熱処理チャンバ34内に供給される。それにより、熱処理チャンバ34内に残留しているオゾンガスを熱分解する。とくに、蓋36の筒部46の周辺のように、熱処理チャンバ34内には気体の滞留が生じる箇所がある(
図2参照)。このような滞留箇所に高温の不活性ガスが供給されることにより、滞留しているオゾンガスが熱分解されて速やかに無害化される。高温不活性ガスの供給は、たとえば、10秒程度行われる。
【0061】
なお、基板Wをホットプレート30で150℃以上(たとえば170℃程度)に加熱しても、蓋36等の温度は150℃未満(たとえば100℃程度)であり、基板Wおよびホットプレート30から離れた位置では、オゾンの熱分解は生じない。換言すれば、熱処理チャンバ34内であっても、基板Wから離れた位置にある部材、とくに基板Wに向かうオゾンガスの供給経路上の部材の温度が150℃未満に保たれることにより、基板Wに到達する前にオゾンの熱分解が起こることを抑制できる。それにより、オゾンの熱分解を基板Wの表面付近で効率的に起こさせることができるので、処理効率を高めることができる。
【0062】
次に、制御装置3は、高温不活性ガスバルブ64を閉じ、代わって、室温不活性ガスバルブ59を開く。これにより、室温の不活性ガスが気体導入ポート48から熱処理チャンバ34内に導入されて、室温不活性ガス供給工程(ステップS6)が実行される。それにより、熱処理チャンバ34の内部の雰囲気が室温の不活性ガスで置換される。これにより、熱処理チャンバ34が冷却される。室温不活性ガスの供給は、たとえば、30秒以下でよい。その後、制御装置3は、室温不活性ガスバルブ59を閉じる。
【0063】
次いで、制御装置3は、蓋36を上方に退避させて、熱処理チャンバ34を開く。その後、リフトピン38が基板Wを押し上げ、この押し上げられた基板Wは、室内搬送機構6によって、冷却ユニット7へと搬送され、そのリフトピン22に渡される。そして、リフトピン22が下降することによって、基板Wは、クールプレート20上に載置されて冷却される(ステップS7)。これにより、基板Wは、室温程度まで冷却される。この基板冷却処理の後、リフトピン22は基板Wを押し上げ、その基板Wは、センターロボットCRによってドライチャンバ4外へと搬出される(ステップS8)。
【0064】
センターロボットCRは、その基板Wを、SPM処理(ウェット処理工程)のために、ウェットチャンバ9へと搬入する(ステップS11)。具体的には、制御装置3は、基板Wを保持しているセンターロボットCR(
図1参照)を制御して、そのハンドHをウェットチャンバ9の内部に進入させることにより、基板Wをその表面(レジストが形成された表面)が上方に向けられた状態でスピンチャック70の上に置く。その後、制御装置3は、スピンモータ77によって基板Wの回転を開始させる(ステップS12)。基板Wの回転速度は、予め定める処理回転速度(100~500rpmの範囲内。たとえば約300rpm)まで上昇させられ、その処理回転速度に維持される。
【0065】
基板Wの回転速度が処理回転速度に達すると、制御装置3は、硫酸を含む処理液であるSPMを基板Wに供給するSPM処理工程(ステップS13)を行う。具体的には、制御装置3は、ノズル移動ユニット87を制御することにより、SPMノズル85をホーム位置から処理位置に移動させる。これにより、SPMノズル85が基板Wの上方に配置される。
【0066】
SPMノズル85が基板Wの上方に配置された後、制御装置3は、硫酸バルブ90および過酸化水素水バルブ96を開く。これにより、過酸化水素水配管95を流通する過酸化水素水と、硫酸配管89の内部を流通する硫酸とがSPMノズル85に供給される。それにより、SPMノズル85の混合室において硫酸と過酸化水素水とが混合され、高温(たとえば、160℃)のSPMが生成される(生成工程)。その高温のSPMが、SPMノズル85の吐出口から吐出され、基板Wの上面に着液する(供給工程)。制御装置3は、ノズル移動ユニット87を制御することにより、基板Wの上面に対するSPMの着液位置を中央部と周縁部との間で移動させる。
【0067】
SPMノズル85から吐出されたSPMは、処理回転速度(たとえば300rpm)で回転している基板Wの上面に着液した後、遠心力によって基板Wの上面に沿って外方に流れる。そのため、SPMが基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面全域を覆うSPMの液膜が基板W上に形成される。この処理が所定のSPM処理時間(たとえば30秒程度)に渡って行われ、それにより、基板Wの表面のレジストがSPMによって除去される。
【0068】
SPMの吐出開始から所定のSPM処理時間が経過すると、SPM処理工程(ステップS13)が終了する。具体的には、制御装置3は、過酸化水素水バルブ96および硫酸バルブ90を閉じる。また、制御装置3は、ノズル移動ユニット87を制御することにより、SPMノズル85を処理位置からホーム位置に移動させる。これにより、SPMノズル85が基板Wの上方から退避する。
【0069】
次いで、リンス液を基板Wに供給するリンス液供給工程(ステップS14)が行われる。具体的には、制御装置3は、リンス液バルブ82を開いて、基板Wの上面中央部に向けてリンス液ノズル80からリンス液を吐出させる。リンス液ノズル80から吐出されたリンス液は、基板W上のSPMを置換して洗い流す。リンス液バルブ82が開かれてから所定のリンス液供給時間が経過すると、制御装置3は、リンス液バルブ82を閉じて、リンス液ノズル80からのリンス液の吐出を停止させる。
【0070】
次いで、基板Wを乾燥させる乾燥工程(ステップS15)が行われる。具体的には、制御装置3は、スピンモータ77を制御することにより、乾燥回転速度(たとえば数千rpm)まで基板Wを加速させ、乾燥回転速度で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上の液体に加わり、基板Wに付着している液体が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから液体が除去され、基板Wが乾燥する。そして、基板Wの高速回転が開始されてから所定時間が経過すると、制御装置3は、スピンモータ77を制御することにより、スピンチャック70による基板Wの回転を停止させる(ステップS16)。
【0071】
次に、ウェットチャンバ9内から基板Wを搬出する搬出工程が行われる(ステップS17)。具体的には、制御装置3は、センターロボットCRのハンドHをウェットチャンバ9の内部に進入させて、スピンチャック70上の基板Wを保持させた後に、そのハンドHをウェットチャンバ9から退出させる。これにより、処理済みの基板Wがチャンバから搬出される。
【0072】
センターロボットCRは、基板WをシャトルSHに渡す。シャトルSHは、インデクサロボットIRに向かって基板Wを搬送する。インデクサロボットIRは、シャトルSHから処理済みの基板Wを受け取って、キャリアCに収容する。
図9Aおよび
図9Bは、オゾン処理および高温SPM処理によってレジストを剥離する処理の効果を説明するための図である。具体的には、レジストをシリコンウエハの表面に形成し、エネルギー10keV、ドーズ量1×10
15ions/cm
2で燐イオン注入処理を施した基板を処理対象とした。
【0073】
このような基板に対して、比較例として、高温SPM処理のみで、すなわちオゾン処理を行わずに、レジスト除去処理を行った結果を
図9Aに示す。比較例1として、高温SPMを900ミリリットル/分の流量で90秒間供給した後にパーティクルカウンタによって基板上の異物(粒子径88nm以上)の数を測定した。結果は110個以上であった。比較例2として、高温SPMを同じ流量(900ミリリットル/分)で120秒間供給した後にパーティクルカウンタによって基板上の異物(粒子径88nm以上)の数を測定した。結果は10個程度であった。
【0074】
一方、前述のような基板に対して、実施例1として、オゾン処理およびその後の高温SPM処理によってレジスト除去処理を行った結果を
図9Bに示す。オゾン処理は、基板温度を170℃とし、処理時間を30秒とした。このオゾン処理後、高温SPMを900ミリリットル/分の流量で60秒間供給した後にパーティクルカウンタによって基板上の異物(粒子径88nm以上)の数を測定した。測定結果は、10個程度であった。実施例2として、実施例1と同様のオゾン処理後に、高温SPMを900ミリリットル/分の流量で30秒間供給した後にパーティクルカウンタによって基板上の異物(粒子径88nm以上)の数を測定した。測定結果は、10個程度であった。したがって、高温SPMによる処理時間は30秒程度で十分であり、それにより、高温SPM処理を120秒間行った場合とほぼ同等の結果を得ることができた。
【0075】
図10Aおよび
図10Bは、処理による基板への影響を調べた実験結果を示す。
図10Aは、表面にSiN膜が形成された基板(シリコンウエハ)に対して前述の比較例2(120秒の高温SPM処理)および実施例2(オゾン処理および30秒の高温SPM処理)による処理をそれぞれ行い、SiNの膜減り(膜厚の減少)を測定した結果を示す。比較例2の処理よりも実施例2の処理の方が、膜減りが少なく、SiN膜に対する影響が少ないことが分かる。
【0076】
図10Bは、ベアシリコンウエハに対して前述の比較例2(120秒の高温SPM処理)および実施例2(オゾン処理および30秒の高温SPM処理)による処理をそれぞれ行い、酸化膜の成長を測定した結果を示す。酸化膜の成長はほぼ同程度であることが分かる。
このように、オゾン処理の後に高温SPM処理を行うレジスト除去処理は、高温SPM処理のみによるレジスト除去処理に比較して、基板に対する影響において、劣るところがない。
【0077】
以上のように、この実施形態によれば、150℃以上に基板Wを加熱した状態で基板Wの表面に150℃未満のオゾンガスを供給して行うオゾン処理によって、レジスト表層の硬化層を除去する硬化層除去工程が行われる。硬化層が除去された後に、基板Wの表面に高温のSPMが供給されるウェット処理工程が実行されるので、SPMは硬化層と基板Wの表面の間の非硬化層(バルクレジスト層)へと容易に進入し、レジストを基板Wの表面から短時間で剥離する。これにより、SPMを用いる液処理時間が短縮されるので、生産性が向上する。加えて、SPMの消費量、とりわけその原料となる硫酸の消費量を削減できる。それによって、環境負荷を低減できる。前述のとおり、オゾン処理を行わずに、専ら高温SPMによる液処理のみで硬化層を有するレジストを除去する処理に比較して、SiNの膜減りおよび酸化膜の成長の観点において不利益はなく、基板に対する処理品質が低下することもない。つまり、SPMによる液処理のみでのレジスト剥離処理と同等の処理を、短時間で、かつSPM(とくに硫酸)の消費量を削減しながら、実現することができる。
【0078】
この実施形態では、基板Wを加熱するホットプレート30は、蓋36を閉じて密閉可能な熱処理チャンバ34内に置かれ、熱処理チャンバ34に150℃未満のオゾンガスが導入される。したがって、オゾンガスは、150℃以上に加熱されている基板Wの表面付近に達してから熱分解するので、熱分解によって生じる酸素ラジカルをレジストの硬化層に確実に作用させることができる。したがって、効率的に硬化層を除去できる。
【0079】
一方、この実施形態では、オゾン処理による硬化層除去工程の後に、熱処理チャンバ34に、150℃以上に加熱した高温不活性ガスが導入される。それにより、熱処理チャンバ34内に存在しているオゾンは、速やかに熱分解される。これにより、熱処理チャンバ34内の雰囲気を速やかに無害化できるので、処理後の基板Wを速やかに取り出すことができる。したがって、オゾン処理に要する時間を短縮して、生産性の向上に寄与できる。
【0080】
熱処理チャンバ34の蓋36を開く前に、室温の不活性ガスが熱処理チャンバ34に導入されるが、これは、熱処理チャンバ34内のオゾンガスを置換する目的ではなく、熱処理チャンバ34(とくにその内部雰囲気)を冷却する目的で行われる。したがって、短時間の不活性ガス供給で十分である。そして、短時間の不活性ガス供給によって、熱処理チャンバ34を速やかに冷却できるので、基板Wを取り出すまでの時間を短縮できる。それに応じて、処理時間を短縮できるから、生産性の向上に寄与できる。
【0081】
もしも、高温不活性ガス供給工程を省くとすれば、室温の不活性ガスによって熱処理チャンバ34内のオゾンを排除するには、たとえば180秒程度にわたって室温不活性ガスを熱処理チャンバ34に供給するのが適切である。
以上、この発明の一実施形態について説明してきたが、この発明は、さらに他の形態で実施することが可能である。
【0082】
たとえば、前述の実施形態では、オゾン処理を行うドライ処理とSPMを供給するウェット処理とを別の処理ユニット(すなわち別のチャンバ)で行う例について説明した。しかし、オゾン処理およびSPMを供給するウェット処理を同一の処理ユニット(同一チャンバ内)で行うようにしてもよい。ただし、ドライ処理(オゾン処理)とウェット処理との切り替えの際にチャンバ内の環境を整える必要があるので、ドライ処理およびウェット処理を別のチャンバで行う方が効率的に基板を処理できるので好ましい。
【0083】
また、前述の実施形態では、硫酸を含む処理液として、SPMをレジスト剥離液の例に挙げたが、レジスト剥離液の他の例として、硫酸中にオゾンを混合する硫酸オゾン液、硫酸過酸化水素水にフッ酸を添加したフッ酸硫酸過酸化水素水混合液、硫酸のみなどを挙げることができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0084】
W 基板
IR インデクサロボット
CR センターロボット
1 基板処理装置
2 処理ユニット
2D ドライ処理ユニット
2W ウェット処理ユニット
3 制御装置
4 ドライチャンバ
6 室内搬送機構
7 冷却ユニット
8 熱処理ユニット
9 ウェットチャンバ
20 クールプレート
30 ホットプレート
34 熱処理チャンバ
41 排気ポート
42 排気ライン
45 プレート部
46 筒部
48 気体導入ポート
49 気体供給ライン
51 オゾンガス供給ライン
52 室温不活性ガス供給ライン
53 高温不活性ガス供給ライン
55 オゾンガス発生器
56 オゾンガスバルブ
58 不活性ガス供給源
59 室温不活性ガスバルブ
63 ヒータ
64 高温不活性ガスバルブ
70 スピンチャック
71 SPM供給ユニット
72 リンス液供給ユニット
85 SPMノズル
86 ノズルアーム
87 ノズル移動ユニット
88 硫酸供給源
89 硫酸配管
90 硫酸バルブ
92 ヒータ
94 過酸化水素水供給源
95 過酸化水素水配管
96 過酸化水素水バルブ
100 レジスト
101 硬化層
102 非硬化層