(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20240723BHJP
【FI】
G06Q10/02
(21)【出願番号】P 2020153480
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】520168055
【氏名又は名称】avatarin株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】深堀 昂
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 ケビン
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-070624(JP,A)
【文献】特開2019-148864(JP,A)
【文献】米国特許第09796091(US,B1)
【文献】特開2002-101333(JP,A)
【文献】特開2020-046791(JP,A)
【文献】特開2019-125117(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0054280(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定されていないロボットを使用するための予約をユーザから受け付ける予約受付部と、
前記予約受付部により受け付けられた前記予約により指定された使用日時に、前記ロボットへのアクセス権限を前記ユーザに付与する権限付与部と、
前記予約に関する予約情報及び前記ロボットの状況に基づいて、前記予約に対応する一台以上の前記ロボットの中から、前記アクセス権限が付与された前記ユーザが使用する前記ロボットを選定する選定部と、
を備え
、
前記予約受付部は、前記ロボットを使用する場ごとに設定される予約枠を前記ユーザに提示し、前記ロボットを使用する場及び前記使用日時を前記ユーザに特定させることで、前記予約を受け付け、
一つの前記予約枠に対して予約できるユーザ数は、前記ロボットを使用する場のそれぞれにおいて、複数のユーザが同時に接続して稼働させることができる最大のロボット数であり、
前記予約受付部は、前記ユーザの予約を確定するときに、前記ロボットを使用する場及び前記使用日時を確定する一方、前記ユーザが使用するロボットは確定しない、
情報処理装置。
【請求項2】
前記ロボットの状況には、少なくとも、前記ロボットの起動状況、前記ロボットの充電状況、前記ロボットの通信状況及び前記ロボットの利用状況のうち、いずれかが含まれる、
請求項
1記載の情報処理装置。
【請求項3】
プロセッサにより実行される方法であって、
固定されていないロボットを使用するための予約をユーザから受け付けることと、
受け付けられた前記予約により指定された使用日時に、前記ロボットへのアクセス権限を前記ユーザに付与することと、
前記予約に関する予約情報及び前記ロボットの状況に基づいて、前記予約に対応する一台以上の前記ロボットの中から、前記アクセス権限が付与された前記ユーザが使用する前記ロボットを選定することと、
を含
み、
前記予約をユーザから受け付けることは、前記ロボットを使用する場ごとに設定される予約枠を前記ユーザに提示し、前記ロボットを使用する場及び前記使用日時を前記ユーザに特定させることで、前記予約を受け付け、
一つの前記予約枠に対して予約できるユーザ数は、前記ロボットを使用する場のそれぞれにおいて、複数のユーザが同時に接続して稼働させることができる最大のロボット数であり、
前記予約をユーザから受け付けることは、前記ユーザの予約を確定するときに、前記ロボットを使用する場及び前記使用日時を確定する一方、前記ユーザが使用するロボットは確定しない、
情報処理方法。
【請求項4】
コンピュータに、
固定されていないロボットを使用するための予約をユーザから受け付けることと、
受け付けられた前記予約により指定された使用日時に、前記ロボットへのアクセス権限を前記ユーザに付与することと、
前記予約に関する予約情報及び前記ロボットの状況に基づいて、前記予約に対応する一台以上の前記ロボットの中から、前記アクセス権限が付与された前記ユーザが使用する前記ロボットを選定することと、
を実行させ
、
前記予約をユーザから受け付けることは、前記ロボットを使用する場ごとに設定される予約枠を前記ユーザに提示し、前記ロボットを使用する場及び前記使用日時を前記ユーザに特定させることで、前記予約を受け付け、
一つの前記予約枠に対して予約できるユーザ数は、前記ロボットを使用する場のそれぞれにおいて、複数のユーザが同時に接続して稼働させることができる最大のロボット数であり、
前記予約をユーザから受け付けることは、前記ユーザの予約を確定するときに、前記ロボットを使用する場及び前記使用日時を確定する一方、前記ユーザが使用するロボットは確定しない、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠隔地からネットワークを介して操作するロボットが開発されている。下記特許文献1には、遠隔地にいるユーザの代わりに、買物や荷物の運搬等を行うロボットに関する技術が開示されている。この特許文献1では、ユーザがロボットを予約する場合に、特定のロボットを選択して予約している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ロボットは、充電やメンテナンスが必要であったり、各ユーザが使用することでロボットの配置場所が変わってしまうことがある。したがって、予約したロボットを使用する際に、その予約したロボットよりも条件の良いロボットが存在することがある。しかしながら、条件の良いロボットを使用できるようにする予約方法は確立されていない。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、予約したロボットを使用する際に、条件の良いロボットを使用できるようにする情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様である情報処理装置は、固定されていないロボットを使用するための予約をユーザから受け付ける予約受付部と、前記予約受付部により受け付けられた前記予約により指定された使用日時に、前記ロボットへのアクセス権限を前記ユーザに付与する権限付与部と、前記予約に関する予約情報及び前記ロボットの状況に基づいて、前記予約に対応する一台以上の前記ロボットの中から、前記アクセス権限が付与された前記ユーザの使用に適する状況にある前記ロボットを選定する選定部と、を備える。
【0007】
この態様によれば、予約した使用日時にロボットへのアクセス権限をユーザに付与し、その時点のロボットの状況に基づいて、予約に対応するロボットの中から、ユーザが使用するロボットを選定することができる。したがって、予約したロボットをユーザが使用する際に、その時点で条件が良いロボットを使用させることが可能となる。
【0008】
上記態様において、前記予約受付部は、前記ロボットを使用する場及び前記使用日時を前記ユーザに特定させることで、前記予約を受け付けることとしてもよい。この態様によれば、ロボットを使用する場に適合するロボットの中から、使用する時点で条件が良いロボットをユーザに割り当てることが可能となる。
【0009】
上記態様において、前記ロボットを使用する場に対応付けて、一台以上の前記ロボットの識別情報を記憶する記憶部を、さらに備え、前記予約受付部は、前記ロボットを使用する場ごとに設定される予約枠を前記ユーザに提示し、当該予約枠に基づいて、前記予約を受け付けることとしてもよい。この態様によれば、ロボットを使用する場ごとに予約を受け付け、その後ロボットを使用するときに、予約した場に適合するロボットの中から、使用する時点で条件が良いロボットをユーザに割り当てることが可能となる。
【0010】
上記態様において、前記ロボットの状況には、少なくとも、前記ロボットの起動状況、前記ロボットの充電状況、前記ロボットの通信状況及び前記ロボットの利用状況のうち、いずれかが含まれることとしてもよい。この態様によれば、ロボットを使用する時点における、ロボットの起動状況、ロボットの充電状況、ロボットの通信状況及びロボットの利用状況の少なくともいずれかに基づいて、ロボットを選定することができるため、使用する時点で最適なロボットをユーザに割り当てることが可能となる。
【0011】
本発明の他の態様である情報処理方法は、プロセッサにより実行される方法であって、固定されていないロボットを使用するための予約をユーザから受け付けることと、受け付けられた前記予約により指定された使用日時に、前記ロボットへのアクセス権限を前記ユーザに付与することと、前記予約に関する予約情報及び前記ロボットの状況に基づいて、前記予約に対応する一台以上の前記ロボットの中から、前記アクセス権限が付与された前記ユーザが使用する前記ロボットを選定することと、を含む。
【0012】
この態様によれば、予約した使用日時にロボットへのアクセス権限をユーザに付与し、その時点のロボットの状況に基づいて、予約に対応するロボットの中から、ユーザが使用するロボットを選定することができる。したがって、予約したロボットをユーザが使用する際に、その時点で条件が良いロボットを使用させることが可能となる。
【0013】
本発明の他の態様であるプログラムは、コンピュータに、固定されていないロボットを使用するための予約をユーザから受け付けることと、受け付けられた前記予約により指定された使用日時に、前記ロボットへのアクセス権限を前記ユーザに付与することと、前記予約に関する予約情報及び前記ロボットの状況に基づいて、前記予約に対応する一台以上の前記ロボットの中から、前記アクセス権限が付与された前記ユーザが使用する前記ロボットを選定することと、を実行させる。
【0014】
この態様によれば、予約した使用日時にロボットへのアクセス権限をユーザに付与し、その時点のロボットの状況に基づいて、予約に対応するロボットの中から、ユーザが使用するロボットを選定することができる。したがって、予約したロボットをユーザが使用する際に、その時点で条件が良いロボットを使用させることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、予約したロボットを使用する際に、条件の良いロボットを使用できるようにする情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係るサーバ装置を含むシステムの構成を例示する図である。
【
図2】実施形態に係るサーバ装置の機能構成を例示するブロック図である。
【
図3】予約枠を用いた予約の仕組みを説明するための模式図である。
【
図4】予約した使用日時にロボットを選定する仕組みを説明するための模式図である。
【
図5】ロボットを使用するための予約を行う際の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【
図6】予約した使用日時にユーザが使用するロボットを選定する処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【
図7】実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成を例示するブロック図である。
【
図8】実施形態に係るロボットのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。また、以下においては、理解を容易にするために、情報処理装置(又はコンピュータ)を利用して本発明が実現される実施の形態を例にして説明するが、本発明はそれに限定されない。
【0018】
[システムの構成]
図1を参照して、実施形態に係るサーバ装置を含むシステムの例示的な構成について説明する。本実施形態において、システム1は、例えば、使用可能なロボット4の検索やロボット4を使用するための予約等の処理を行うことができる。
【0019】
図1に示すように、システム1は、サーバ装置2、1台以上の端末装置3、及び1台以上のロボット4を備える。各装置又はロボットは、他の装置又はロボットと、無線若しくは有線により(又はその両者により)通信可能に構成されている。各端末装置3は、それぞれ同様の構成を有してもよいし、異なる構成を有してもよい。各ロボット4は、それぞれ同様の構成を有してもよいし、異なる構成を有してもよい。以下に、それぞれの装置及びロボットの概要を説明する。
【0020】
サーバ装置2は、例えば、ロボット4を使用するための予約処理等を実行する装置である。サーバ装置2は、サーバコンピュータ等の情報処理装置により構成される。サーバ装置2は、1つの情報処理装置により構成されてもよいし、複数の情報処理装置(例えば、クラウドコンピューティング又はエッヂコンピューティング)により構成されてもよい。
【0021】
端末装置3は、ロボット4の操作や、ロボット4の予約のために、ユーザにより使用される情報処理装置である。端末装置3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistants)、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、特定用途の操作系等の汎用又は専用の情報処理装置である。
【0022】
ロボット4は、固定されていないロボットである。固定されていないとは、例えば、ロボット4が車輪等の移動のための駆動部を有する移動型である場合や、人が装着でき、マニピュレータ等の動作のための駆動部を有する装着型である場合を含む。
【0023】
移動型のロボットは、例えば、一輪、二輪又は多輪により走行するもの、キャタピラにより走行するもの、レールの上を走行するもの、飛び跳ねて移動するもの、二足歩行、四足歩行又は多足歩行するもの、スクリューにより水上又は水中を航行するもの、及びプロペラ等により飛行するものを含む。
【0024】
装着型のロボットは、例えば、MHD Yamen Saraiji, Tomoya Sasaki, Reo Matsumura, Kouta Minamizawa and Masahiko Inami, "Fusion: full body surrogacy for collaborative communication," Proceeding SIGGRAPH '18 ACM SIGGRAPH 2018 Emerging Technologies Article No. 7.にて公開されているものを含む。
【0025】
ロボット4には、以下のものもさらに含まれる。自動走行若しくは半自動走行が可能な車両や重機、ドローンや飛行機、スポーツスタジアム等に設置され、レールの上を移動可能なカメラを備えたロボット、宇宙空間に打ち上げられる衛星型ロボットであって姿勢制御やカメラの撮影方向の制御が可能なロボット。また、ロボット4は、いわゆるテレプレゼンスロボットやアバターロボットであってよい。
【0026】
ユーザは、端末装置3を介してロボット4の操作(例えば、ロボット4の移動やロボット4に搭載されたカメラの操作)を行う。ロボット4を操作するための信号は、端末装置3からサーバ装置2又はその他の装置を介して、ロボット4に送信される。当該操作するための信号が端末装置3からロボット4に直接送信されてもよい。ロボット4は、受信した信号に応じて動作し、ロボット4に搭載されたカメラ、マイク及びその他の装置を通じて取得された画像データ及び音声データ等、ロボット4がいる場所に関してロボット4が取得又は検知等したデータを端末装置3に送信する。これにより、ユーザは、端末装置3及びロボット4を介して、ロボット4がいる場所に自分もいるかのようなエクスペリエンスを得ることができる。ロボット4から送信されるデータは、サーバ装置2又はその他の装置を介して端末装置3に送信されてもよいし、端末装置3に直接送信されてもよい。
【0027】
図2を参照して、サーバ装置2の機能的な構成について説明する。これらの機能は、サーバ装置2のプロセッサ(制御部)が、記憶装置(記憶部)に記憶されたコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより実現される。サーバ装置2のハードウェア構成については、後述する。
【0028】
図2に示すように、サーバ装置2は、機能的な構成として、例えば、予約受付部21、権限付与部22、選定部23、及びデータベース24を有する。サーバ装置2が有する機能は、これらに限定されず、コンピュータが一般的に有する機能、及び他の機能を有してもよい。
【0029】
予約受付部21は、ロボット4を使用するための予約をユーザから受け付けて確定する予約処理を実行する。ユーザは、予約を申し込む際に、ロボット4を使用する場及びロボット4の使用日時等を指定する。予約受付部21は、ユーザにより指定された場及び使用日時に基づいて予約を確定する。
【0030】
ロボット4を使用する場は、例えば、ロボット4を使用する場面や、ロボット4を使用する場所ごとに、任意に設けることができる。ロボット4を使用する場面には、例えば、イベント、展覧会、アトラクション、ショッピング、会議、疑似体験等が含まれる。ロボット4を使用する場所には、例えば、イベント会場に設けられる各イベントスペース、展覧会施設に設けられる各展示エリア、アトラクション内にある各施設、ショッピング施設内にある各店舗、会社内にある各会議室、疑似体験の各会場等が含まれる。
【0031】
また、ロボット4を使用する場として、例えばロボット4を点検、整備等するスタッフ向けの場を別途設けることとしてもよい。このスタッフ向けの場では、ロボット4を使用できるユーザをスタッフに限定することが望ましい。
【0032】
ロボット4の使用日時は、例えば、ロボット4を使用する場ごとに設定される予約枠を用いて、ユーザに指定させる。予約枠は、例えば、30分や1時間等の所定時間単位に、任意に設定することができる。
図3を参照して、予約枠について、具体的に説明する。
【0033】
図3には、システム1又はロボット4を管理する管理者Mが、サーバ装置2を操作して設定する予約枠の一覧表Ra,Rbが例示されている。同図には、ロボット4を使用する場として、日本のA美術館と、フランスのB美術館とが例示されている。
【0034】
一覧表Raの予約枠は、日本のA美術館に配置される三台のロボット4に対応する予約枠である。一覧表Rbの予約枠は、フランスのB美術館に配置される六台のロボット4に対応する予約枠である。
【0035】
サーバ装置2のデータベース24には、ロボット4の割り当てに関するロボット割当情報が登録されている。このロボット割当情報には、例えば、ロボット4を使用する場と、その場に配置されるロボット4を識別するロボットIDとが含まれる。それぞれの場には、一台以上のロボット4を登録することができる。
【0036】
例えば、A美術館に対しては、三台のロボット4が登録され、それぞれのロボットIDとして、A1、A2及びA3が設定されている。また、B美術館に対しては、六台のロボット4が登録され、それぞれのロボットIDとして、B1、B2、B3、B4、B5及びB6が設定されている。
【0037】
ロボット割当情報には、それぞれの場において、複数のユーザが同時に接続して稼働させることができる最大のロボット数が、さらに含まれる。
【0038】
例えば、A美術館では、最大のロボット数として二台が設定されている。したがって、A美術館では、三台のロボット4のうち、同じ時間帯に最大で二台までロボット4を稼働させることができる。つまり、A美術館では、一つの予約枠に対して予約できるユーザ数は、最大で二人までとなる。また、B美術館では、最大のロボット数として四台が設定されている。したがって、B美術館では、六台のロボット4のうち、同じ時間帯に最大で四台までロボット4を稼働させることができる。つまり、B美術館では、一つの予約枠に対して予約できるユーザ数は、最大で四人までとなる。
【0039】
このような予約枠を用いて、ユーザは、以下のように予約する。
【0040】
例えば、ユーザUaが、端末装置3aを操作して、ロボット4を使用する場としてA美術館を指定すると、A美術館に対応する予約枠の一覧表Raが、端末装置3aの画面上に表示される。
【0041】
ユーザUaが、端末装置3aを操作して、一覧表Raの中から、予約に空きがあり、かつユーザUaが所望する予約枠を指定して予約の確定操作を行うと、ユーザUaが指定したA美術館の予約枠に対するユーザUaの予約が確定する。このとき、ユーザUaが使用するロボット4は、決定されない。ユーザUaが使用するロボット4は、後述するように、ユーザUaがロボット4を使用する際に選定される。
【0042】
同様に、ユーザUbが、端末装置3bを操作して、ロボット4を使用する場としてB美術館を指定すると、B美術館に対応する予約枠の一覧表Rbが、端末装置3bの画面上に表示される。
【0043】
ユーザUbが、端末装置3bを操作して、一覧表Rbの中から、予約に空きがあり、かつユーザUbが所望する予約枠を指定して予約の確定操作を行うと、ユーザUbが指定したB美術館の予約枠に対するユーザUbの予約が確定する。このとき、ユーザUbが使用するロボット4は、決定されない。ユーザUbが使用するロボット4は、後述するように、ユーザUbがロボット4を使用する際に選定される。
【0044】
上記のように予約が確定すると、予約に関する予約情報がサーバ装置2のデータベース24に登録される。予約情報には、例えば、予約したユーザを識別するユーザID、ロボット4を使用する場を特定する場情報、ロボット4を使用する時間帯を含む使用日時情報、及び予約したユーザが使用する端末装置3に関する端末情報等が含まれる。
【0045】
図2の説明に戻る。権限付与部22は、確定した予約の使用日時になると、予約したユーザに対し、予約した場に配置されたロボット4へのアクセス権限を付与する。
【0046】
選定部23は、予約情報及び後述するロボット状況情報に基づいて、予約した場に配置された一台以上のロボット4の中から、アクセス権限が付与されたユーザが使用するロボット4を選定する。
【0047】
ロボット状況情報は、各ロボット4の状況に関する情報であり、サーバ装置2のデータベース24に随時記憶される。ロボット状況情報には、例えば、ロボット4が配置されている場を特定する情報、ロボットID、ロボット4の起動状況情報、ロボット4の充電状況情報、ロボット4の通信状況情報、及びロボット4の利用状況情報等が含まれる。
【0048】
図4を参照して、ユーザが使用するロボット4の選定について、具体的に説明する。同図には、予約をしたユーザUa、Ubに割り当てられたロボット4が、枠Fa、Fbにより囲まれて表示されている。
【0049】
例えば、サーバ装置2の権限付与部22は、予約した使用日時になると、ユーザUaの端末装置3aに対し、日本のA美術館のロボット4を使用するためのアクセス権限を付与する。一方、ユーザUbの端末装置3bに対し、フランスのB美術館のロボット4を使用するためのアクセス権限を付与する。
【0050】
また、サーバ装置2の選定部23は、日本のA美術館に配置された三台のロボット4の中から、ロボットIDがA3であるロボット4を、ユーザUaが使用するロボット4として選定する。選定されたロボット4は、予約により指定された期間、ユーザUaが操作する端末装置3aからの指令に基づいて動作する。これにより、ユーザUaは、ロボット4がいる日本のA美術館に自分もいるかのようなエクスペリエンスを得ることができる。
【0051】
サーバ装置2の選定部23は、フランスのB美術館に配置された六台のロボット4の中から、ロボットIDがB6であるロボット4を、ユーザUbが使用するロボット4として選定する。選定されたロボット4は、予約により指定された期間、ユーザUbが操作する端末装置3bからの指令に基づいて動作する。これにより、ユーザUbは、ロボット4がいるフランスのB美術館に自分もいるかのようなエクスペリエンスを得ることができる。
【0052】
選定部23は、ロボット4を選定する際に、ロボット状況情報に基づいて最適であると判定したロボット4を選定する。最適であると判定する際の基準について、以下の(1)乃至(7)に例示する。
【0053】
(1)ロボット4の起動状況情報に基づいて、現在起動しているロボットを優先的に選定する。
(2)ロボット4の充電状況情報に基づいて、バッテリーの残容量が多いロボットを優先的に選定する。
(3)ロボット4の通信状況情報に基づいて、通信部の電波強度が高いロボットを優先的に選定する。
(4)ロボット4の利用状況情報に基づいて、直近に充電又はメンテナンスがなされたロボットを優先的に選定する。
(5)ロボット4の利用状況情報に基づいて、故障フラグがOFFになっているロボットを優先的に選定する。
(6)ロボット4の利用状況情報に基づいて、直前の時間帯から延長使用が申請されていないロボットを優先的に選定する。
(7)ロボット4の利用状況情報に基づいて、現在配置されている場所が、所定の起点位置に近いロボットを優先的に選定する(ロボットの使い捨て等を考慮)。
【0054】
上記(1)乃至(7)の基準を適宜組み合わせて最適なロボット4を選定することができる。その際、基準ごとに重みを付ける等して優先度を算定し、優先度の最も高いロボットを選定することとしてもよい。
【0055】
また、上記の他に、ロボット4の能力やロボット4のカメラの性能が高いロボット4を優先的に選定することとしてもよい。
【0056】
図2の説明に戻る。データベース24は、サーバ装置2で実行される処理に必要なデータ、及び当該処理により生成又は設定されたデータ等、各種のデータを記憶する。各種のデータには、上述したロボット割当情報、予約情報及びロボット状況情報が含まれる他、ロボット4に関するロボット情報や、ロボット4を使用するユーザに関するユーザ情報等が含まれる。ロボット情報には、例えば、ロボットID、ロボット4の能力に関する情報、及びロボット4のカメラの性能に関する情報等が含まれる。
【0057】
上記では、
図2を参照してサーバ装置2が有する機能について説明したが、上述した機能の一部又は全てが、端末装置3又はロボット4が有する機能として実現されてもよい。
【0058】
[システムの動作]
図5を参照して、ロボット4を使用するための予約を行う際の処理手順について説明する。この処理手順は、サーバ装置2及び端末装置3において、プロセッサが、記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより実現される。なお、この処理における各処理ステップについて、既に詳細を説明しているものについては、ここでは詳細な説明を省略する。
【0059】
この処理手順は、システム1にログインしたユーザが、端末装置3を操作してロボット4の予約処理をサーバ装置2に要求したときに開始する。
【0060】
最初に、サーバ装置2は、ロボット4を使用する場の一覧表を端末装置3の画面上に表示させる(ステップS101)。
【0061】
続いて、ユーザが端末装置3を操作して、画面上に表示された場の一覧表の中からユーザが所望する場を指定すると、指定した場の情報がサーバ装置2に送信される(ステップS102)。
【0062】
続いて、サーバ装置2は、上記ステップS102で指定された場に対応する予約枠の一覧表を端末装置3の画面上に表示させる(ステップS103)。
【0063】
続いて、ユーザが端末装置3を操作して、画面上に表示された予約枠の一覧表の中から、予約に空きがあり、かつユーザが所望する予約枠を指定し、予約の確定を要求すると、指定した予約枠での予約確定要求がサーバ装置2に送信される(ステップS104)。
【0064】
続いて、サーバ装置2は、上記ステップS102で指定された場、及び上記ステップS104で指定された予約枠に基づいて、予約情報を生成し、データベース24に登録する(ステップS105)。これにより、ユーザの予約が確定する。
【0065】
図6を参照して、予約した使用日時にユーザが使用するロボット4を選定する処理手順について説明する。この処理手順は、サーバ装置2及び端末装置3において、プロセッサが、記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを読み込んで実行することにより実現される。なお、この処理における各処理ステップについて、既に詳細を説明しているものについては、ここでは詳細な説明を省略する。
【0066】
この処理手順は、システム1にログインしたユーザが、端末装置3を操作してロボット4の使用をサーバ装置2に要求したときに開始する。
【0067】
最初に、サーバ装置2は、予約した使用日時になると、予約したユーザに対し、予約した場に配置されたロボット4へのアクセス権限を付与する(ステップS201)。
【0068】
続いて、サーバ装置2は、ロボット状況情報に基づいて、予約した場に配置されたロボット4の中から、上記ステップS201でアクセス権限が付与されたユーザが使用するロボット4を選定する(ステップS202)。
【0069】
続いて、サーバ装置2は、選定したロボット4の通信相手にユーザの端末装置3を割り当てる処理を行う(ステップS203)。
【0070】
続いて、ユーザは、端末装置3を操作して、ロボット4に対する指令を端末装置3から送信させることで、上記ステップS202で選定されたロボット4を操作する(ステップS204)。これにより、ユーザは、予約により指定された期間、予約により指定した場に配置されたロボット4を操作することが可能となる。
【0071】
以上のように、本実施形態に係るサーバ装置2によれば、予約した使用日時にロボット4へのアクセス権限をユーザに付与し、その時点のロボット状況情報に基づいて、予約に対応するロボット4の中から、ユーザが使用するロボット4を選定することができる。したがって、予約したロボット4をユーザが使用する際に、その時点で条件が良いロボット4を使用させることが可能となる。
【0072】
また、ロボットを使用する場ごとに予約を受け付けることができるため、予約した場に適合するロボットの中から、使用する時点で条件が良いロボットをユーザに割り当てることが可能となる。
【0073】
さらに、ロボットを使用する時点における、ロボットの起動状況、ロボットの充電状況、ロボットの通信状況及びロボットの利用状況のうち、少なくともいずれかに基づいて、ロボットを選定することができるため、予約した場に適合するロボットの中から、使用する時点で最適なロボットをユーザに割り当てることが可能となる。
【0074】
[コンピュータのハードウェア構成]
図7を参照して、本実施形態におけるサーバ装置2及び端末装置3を実装するためのコンピュータ(情報処理装置)の例示的なハードウェア構成を説明する。ここでは、サーバ装置2のハードウェア構成について説明するが、端末装置3のハードウェア構成も同様である。
【0075】
図7に示すように、サーバ装置2は、ハードウェア構成として、例えば、プロセッサ201、メモリ202、記憶装置203、通信部204、入力部205、及び表示部206を備える。サーバ装置2は、これらの構成のうち一部を備えなくてもよい。また、サーバ装置2は、これらの構成以外に、汎用コンピュータ又は専用コンピュータが一般的に備える他の構成を備えてもよい。
【0076】
プロセッサ201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ201は、メモリ202に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ装置2における各種の処理を制御する制御部である。プロセッサ201は、サーバ装置2が備える他の構成と、プログラムとの協働により、上記の実施形態で説明したサーバ装置2の機能を実現し、上記の処理の実行を制御する。
【0077】
メモリ202は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ202には、プロセッサ201によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータが、記憶装置203等から一時的に読み出される、又は予め記憶されている。
【0078】
記憶装置203は、例えばハードディスクドライブ(HDD)等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置203は、オペレーティングシステム、上記各構成を実現するための各種プログラム、上述した処理結果のデータ等を記憶する。
【0079】
通信部204は、サーバ装置2の外部の装置と有線又は無線により、ネットワークを介したデータ通信を行うための装置である。通信部204は、サーバ装置2に取り外し可能に接続されてもよい。その場合、通信部204は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してサーバ装置2に接続される。
【0080】
入力部205は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスや、サーバ装置2の外部からデータを入力するためのデバイスである。入力部205の具体例として、キーボード、マウス、タッチパネル、ジョイスティック、各種センサ、ウェアラブルデバイスや、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。入力部205は、サーバ装置2に取り外し可能に接続されてもよい。その場合、入力部205は、例えばUSB等のインタフェースを介してサーバ装置2に接続される。
【0081】
表示部206は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示部206の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、ウェアラブルデバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示部206は、サーバ装置2の外部に取り外し可能に接続されてもよい。その場合、表示部206は、例えばディスプレイケーブル等を介してサーバ装置2に接続される。また、入力部205としてタッチパネルが採用される場合に、表示部206は、入力部205と一体化して構成することも可能である。
【0082】
図8を参照して、本実施形態におけるロボット4に搭載されるコンピュータ(情報処理装置)及びその他の主な構成の例示的なハードウェア構成を説明する。ロボット4は、ハードウェア構成として、例えば、プロセッサ401、RAM402、ROM(Read only Memory)403、通信部404、入力部405、表示部406、駆動部407、及びカメラ408を備える。
図8に示す構成は一例であり、ロボット4は、これらの構成のうち一部を備えなくてもよいし、これら以外の構成を備えてもよい。例えば、ロボット4は、スピーカ、マイク、各種センサを備えてもよい。
【0083】
プロセッサ401は、ロボット4の演算部であり、例えば、CPUである。プロセッサ401は、RAM402又はROM403に記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。プロセッサ401は、例えば、ロボットを介したコミュニケーションを制御するプログラム(コミュニケーションプログラム)を実行する。プロセッサ401は、入力部405や通信部404から種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示部406に表示したり、RAM402に格納したりする。
【0084】
コミュニケーションプログラムは、RAM402やROM403等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部404により接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。ロボット4では、プロセッサ401がコミュニケーションプログラムを実行することで、ロボット4を制御するための様々な動作が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、ロボット4は、プロセッサ401とRAM402やROM403が一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
【0085】
RAM402及びROM403は、各種処理に必要なデータ及び処理結果のデータを記憶する記憶部である。ロボット4は、RAM402及びROM403以外に、ハードディスクドライブ等の大容量の記憶部を備えてもよい。通信部404は、外部装置との通信を行うデバイスである。
【0086】
入力部405は、ロボット4の外部からデータを入力するためのデバイスである。入力部405は、ユーザからデータの入力を受け付けるものとして、例えば、キーボード及びタッチパネルを含むこととしてよい。また、入力部405は、音声入力のためのマイクを含んでもよい。
【0087】
表示部406は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示部406は、プロセッサ401による演算結果を視覚的に表示するものとして、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されてもよい。表示部406は、ロボット4のカメラ408で撮影された画像を表示してもよい。
【0088】
駆動部407は、遠隔操作可能なアクチュエータを含み、車輪等の移動部やマニピュレータ等を含む。ロボット4が移動型のロボットである場合、駆動部407は、少なくとも車輪等の移動部を含むが、マニピュレータを含んでもよい。ロボット4が装着型である場合、駆動部407は、少なくともマニピュレータを含む。
【0089】
カメラ408は、静止画又は動画を撮像する撮像素子を含み、撮像した静止画又は動画を、通信部404を介して外部装置に送信する。
【0090】
[変形例]
本実施形態におけるシステム1(又は、サーバ装置2、端末装置3、又はロボット4)を実装するためのプログラムは、CD-ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリ等の各種の記録媒体に記録しておくことができる。また、記録媒体を通じて、又は通信ネットワーク等を介して上記のプログラムをダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【0091】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0092】
1…システム、2…サーバ装置、3…端末装置、4…ロボット、21…予約受付部、22…権限付与部、23…選定部、24…データベース、201…プロセッサ、202…メモリ、203…記憶装置、204…通信部、205…入力部、206…表示部、401…プロセッサ、402…RAM、403…ROM、404…通信部、405…入力部、406…表示部、407…駆動部、408…カメラ