(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】プリペイドシステム、プリペイドサーバー及びガスメータ
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240723BHJP
G01F 3/22 20060101ALI20240723BHJP
G01F 15/06 20220101ALI20240723BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20240723BHJP
G08C 19/00 20060101ALI20240723BHJP
G01D 4/00 20060101ALI20240723BHJP
G07F 15/10 20060101ALI20240723BHJP
G07F 15/06 20060101ALI20240723BHJP
G16Y 10/35 20200101ALI20240723BHJP
G16Y 20/30 20200101ALI20240723BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20240723BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240723BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20240723BHJP
【FI】
G06Q50/06
G01F3/22 D
G01F15/06
G08C15/00 C
G08C19/00 X
G08C15/00 D
G01D4/00
G07F15/10 101
G07F15/06 101
G16Y10/35
G16Y20/30
G16Y40/10
G16Y40/20
G16Y40/30
(21)【出願番号】P 2020185697
(22)【出願日】2020-11-06
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】友田 憲吾
(72)【発明者】
【氏名】大江 英城
(72)【発明者】
【氏名】小畑 滋男
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誉虎
(72)【発明者】
【氏名】夏目 実佳
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-148882(JP,A)
【文献】特開2008-117247(JP,A)
【文献】特開2018-125748(JP,A)
【文献】特開2001-266279(JP,A)
【文献】特開2019-125065(JP,A)
【文献】特開2009-259157(JP,A)
【文献】特開2009-037296(JP,A)
【文献】特開平11-211534(JP,A)
【文献】特開2003-333200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01F 3/22
G01F 15/06
G08C 15/00
G08C 19/00
G01D 4/00
G07F 15/10
G07F 15/06
G16Y 10/35
G16Y 20/30
G16Y 40/10
G16Y 40/20
G16Y 40/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリペイド金額が入金されると、ガス供給可能な状態に切り替わるガスメータと、
通信網を介して前記ガスメータに接続されて、前記ガスメータを監視する監視センターサーバーと、
前記監視センターサーバーに通信可能に接続されて、前記プリペイド金額を管理するプリペイドサーバーと、
を備え、
前記ガスメータは、第1の時間間隔で、前記ガスメータの検針値を含む検針情報を、前記監視センターサーバーに送信し、
前記監視センターサーバーは、前記検針情報を前記プリペイドサーバーに送信し、
前記プリペイドサーバーは、前記検針情報に含まれる検針値に基づいて、前記第1の時間間隔の間に使用されたガス使用量を算出し、算出した前記ガス使用量に対応する金額を前記プリペイド金額から減算して、前記プリペイド金額を更新し、
前記プリペイドサーバーは、更新された前記プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、前記監視センターサーバーを介して、1つ以上の警告判定値を前記ガスメータに送信し、
前記ガスメータは、前記1つ以上の警告判定値を受信すると、前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、ガス使用量を計測して、計測した前記ガス使用量を積算し、
前記ガスメータは、前記ガス使用量の積算値が各警告判定値を超えると、前記監視センターサーバーを介して、警告信号を前記プリペイドサーバーに送信し、
前記プリペイドサーバーは、前記警告信号を受信すると、前記ガスメータを利用するガス使用者の端末機器に残量警告を送信するプリペイドシステム。
【請求項2】
前記プリペイドサーバーは、算出した複数のガス使用量を記憶し、
前記プリペイドサーバーは、記憶した前記複数のガス使用量を用いて、前記1つ以上の警告判定値を設定する請求項1に記載のプリペイドシステム。
【請求項3】
前記ガスメータは、前記1つ以上の警告判定値を受信した後も、前記第1の時間間隔で、前記検針情報を前記監視センターサーバーに送信し、
前記監視センターサーバーは、前記検針情報を前記プリペイドサーバーに送信する請求項1又は2に記載のプリペイドシステム。
【請求項4】
前記プリペイドサーバーは、前記第1の時間間隔で送信される前記検針情報に含まれる検針値に基づいて、超過して使用されたガス使用量を算出し、更に、超過して使用された前記ガス使用量に対応する金額を算出し、
前記プリペイドサーバーは、プリペイド金額が入金されると、前記プリペイド金額から、超過して使用された前記ガス使用量に対応する金額を減算する請求項3に記載のプリペイドシステム。
【請求項5】
プリペイド金額が入金されると、ガス供給可能な状態に切り替わるガスメータと、通信網を介して前記ガスメータに接続されて、前記ガスメータを監視する監視センターサーバーとを備えるプリペイドシステムにおいて、前記プリペイド金額を管理するために使用されるプリペイドサーバーであって、
第1の時間間隔で、前記ガスメータの検針値を含む検針情報を、前記監視センターサーバーを介して前記ガスメータから受信する受信部と、
前記検針情報に含まれる検針値に基づいて、前記第1の時間間隔の間に使用されたガス使用量を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記ガス使用量に対応する金額を前記プリペイド金額から減算して、前記プリペイド金額を更新する更新部と、
前記更新部によって更新された前記プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回るか否かを判定する判定部と、
前記判定部が、前記プリペイド金額で使用可能なガス量が前記設定値を下回ると判定すると、1つ以上の警告判定値を、前記監視センターサーバーを介して前記ガスメータに送信する送信部と、
を備え、
前記受信部は、前記ガスメータによって前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で計測されたガス使用量の積算値が各警告判定値を超えると前記ガスメータから送信される警告信号を、前記監視センターサーバーを介して受信し、
前記受信部が前記警告信号を受信すると、前記送信部は、前記ガスメータを利用するガス使用者の端末機器に残量警告を送信するプリペイドサーバー。
【請求項6】
前記算出部によって算出された複数のガス使用量を記憶する記憶部と、
記憶した前記複数のガス使用量を用いて、前記1つ以上の警告判定値を設定する設定部と、
を更に備える請求項5に記載のプリペイドサーバー。
【請求項7】
前記送信部が前記1つ以上の警告判定値を送信した後も、前記受信部は、前記第1の時間間隔で、前記検針情報を、前記監視センターサーバーを介して前記ガスメータから受信する請求項5又は6に記載のプリペイドサーバー。
【請求項8】
入金されたプリペイド金額を管理する管理部を更に備え、
前記算出部は、前記第1の時間間隔で送信される前記検針情報に含まれる検針値に基づいて、超過して使用されたガス使用量を算出し、
前記算出部は、超過して使用された前記ガス使用量に対応する金額を算出し、
前記管理部は、プリペイド金額が入金されると、前記プリペイド金額から、超過して使用された前記ガス使用量に対応する金額を減算する請求項7に記載のプリペイドサーバー。
【請求項9】
プリペイド金額が入金されると、ガス供給可能な状態に切り替わり、かつ、通信網を介して、ガスの使用状況を監視する監視センターサーバーに接続されるガスメータであって、
第1の時間間隔で、前記ガスメータの検針値を含む検針情報を、前記監視センターサーバーに送信する送信部と、
前記プリペイド金額を管理するプリペイドサーバーによって設定された1つ以上の警告判定値を、前記監視センターサーバーから受信する受信部と、
前記受信部が前記1つ以上の警告判定値を受信すると、前記第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔でガス使用量を計測する流量計測部と、
前記流量計測部によって計測されたガス使用量を積算し、前記ガス使用量の積算値が各警告判定値を超えるか否かを判定する残量管理部と、
を備え、
前記残量管理部が、前記ガス使用量の積算値が各警告判定値を超えると判定すると、前記送信部は、警告信号を、前記監視センターサーバーに送信するガスメータ。
【請求項10】
前記受信部が前記1つ以上の警告判定値を受信した後も、前記送信部は、前記第1の時間間隔で、前記検針情報を前記監視センターサーバーに送信する請求項9に記載のガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリペイドシステム、プリペイドサーバー及びガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス使用者が、ガス料金を前払い(プリペイド)して、プリペイド金額に対応するガス量だけ、ガスを使用することができるプリペイドシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたプリペイドシステムでは、プリペイド金額が入金されると、ガスメータは、遮断弁を開いて、ガス供給可能な状態に切り替わる。ガス供給可能な状態において、使用されたガス使用量に対応する金額が、プリペイド金額から減算される。ガスメータは、プリペイド残金がゼロになると、遮断弁を閉じて、ガス供給不可な状態に切り替わる。
【0004】
ガス供給可能な状態において、ガスメータは、通信装置を用いて、ガスメータの指示数(検針値)を監視センターに送信する。これにより、監視センターは、ガスの使用状況を監視することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のプリペイドシステムでは、ガス事業者が、直接、ガスメータへのプリペイド設定を行う。また、従来のプリペイドシステムでは、ガスメータが、使用されたガス使用量に応じて使用者に警告を行い、ガス供給を遮断する。その際、警告は、ガスメータから、ガス使用者の住宅に設置された警報器に伝えられ、かつ、ガス供給の遮断は自動的に行われる。
【0007】
このように、従来のプリペイドシステムでは、プリペイド設定、警告の送信及びガス供給の遮断には、監視センターは関与していない。
【0008】
このため、従来のプリペイドシステムでは、ガス使用者が、プリペイド金額の入金を忘れて、プリペイド残金がゼロになると、ガス供給が自動停止される。この場合、再度入金を行うまで、ガス使用者はガスを使用することができなくなり、利便性が悪くなるといった問題が生じていた。
【0009】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。本発明の目的は、監視センター側でプリペイド金額を管理して、ガス使用者の利便性を向上し得るプリペイドシステム、プリペイドサーバー及びガスメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様に係るプリペイドシステムは、プリペイド金額が入金されると、ガス供給可能な状態に切り替わるガスメータと、通信網を介してガスメータに接続されて、ガスメータを監視する監視センターサーバーと、監視センターサーバーに通信可能に接続されて、プリペイド金額を管理するプリペイドサーバーと、を備え、ガスメータは、第1の時間間隔で、ガスメータの検針値を含む検針情報を、監視センターサーバーに送信し、監視センターサーバーは、検針情報をプリペイドサーバーに送信し、プリペイドサーバーは、検針情報に含まれる検針値に基づいて、第1の時間間隔の間に使用されたガス使用量を算出し、算出したガス使用量に対応する金額をプリペイド金額から減算して、プリペイド金額を更新し、プリペイドサーバーは、更新されたプリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、監視センターサーバーを介して、1つ以上の警告判定値をガスメータに送信し、ガスメータは、1つ以上の警告判定値を受信すると、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、ガス使用量を計測して、計測したガス使用量を積算し、ガスメータは、ガス使用量の積算値が各警告判定値を超えると、監視センターサーバーを介して、警告信号をプリペイドサーバーに送信し、プリペイドサーバーは、警告信号を受信すると、ガスメータを利用するガス使用者の端末機器に残量警告を送信する。
【0011】
プリペイドサーバーは、算出した複数のガス使用量を記憶し、記憶した複数のガス使用量を用いて、1つ以上の警告判定値を設定することが好ましい。
【0012】
ガスメータは、1つ以上の警告判定値を受信した後も、第1の時間間隔で、検針情報を監視センターサーバーに送信し、監視センターサーバーは、前記検針情報をプリペイドサーバーに送信することが好ましい。
【0013】
プリペイドサーバーは、第1の時間間隔で送信される検針情報に含まれる検針値に基づいて、超過して使用されたガス使用量を算出し、更に、超過して使用された前記ガス使用量に対応する金額を算出し、プリペイド金額が入金されると、プリペイド金額から、超過して使用された前記ガス使用量に対応する金額を減算することが好ましい。
【0014】
本発明の他の態様に係るプリペイドサーバーは、プリペイド金額が入金されると、ガス供給可能な状態に切り替わるガスメータと、通信網を介してガスメータに接続されて、ガスメータを監視する監視センターサーバーとを備えるプリペイドシステムにおいて、プリペイド金額を管理するために使用されるプリペイドサーバーであって、第1の時間間隔で、ガスメータの検針値を含む検針情報を、監視センターサーバーを介してガスメータから受信する受信部と、検針情報に含まれる検針値に基づいて、第1の時間間隔の間に使用されたガス使用量を算出する算出部と、算出部によって算出されたガス使用量に対応する金額をプリペイド金額から減算して、プリペイド金額を更新する更新部と、更新部によって更新されたプリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回るか否かを判定する判定部と、判定部が、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、1つ以上の警告判定値を、監視センターサーバーを介してガスメータに送信する送信部と、を備え、受信部は、ガスメータによって第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で計測されたガス使用量の積算値が各警告判定値を超えるとガスメータから送信される警告信号を、監視センターサーバーを介して受信し、受信部が警告信号を受信すると、送信部は、ガスメータを利用するガス使用者の端末機器に残量警告を送信する。
【0015】
プリペイドサーバーは、算出部によって算出された複数のガス使用量を記憶する記憶部と、記憶した複数のガス使用量を用いて、1つ以上の警告判定値を設定する設定部と、を更に備えることが好ましい。
【0016】
プリペイドサーバーにおいて、送信部が1つ以上の警告判定値を送信した後も、受信部は、第1の時間間隔で、検針情報を、監視センターサーバーを介してガスメータから受信することが好ましい。
【0017】
入金されたプリペイド金額を管理する管理部を更に備え、算出部は、第1の時間間隔で送信される検針情報に含まれる検針値に基づいて、超過して使用されたガス使用量を算出し、更に、超過して使用された前記ガス使用量に対応する金額を算出し、管理部は、プリペイド金額が入金されると、プリペイド金額から、超過して使用されたガス使用量に対応する金額を減算することが好ましい。
【0018】
本発明の他の態様に係るガスメータは、プリペイド金額が入金されると、ガス供給可能な状態に切り替わり、かつ、通信網を介して、ガスの使用状況を監視する監視センターサーバーに接続されるガスメータであって、第1の時間間隔で、ガスメータの検針値を含む検針情報を、監視センターサーバーに送信する送信部と、プリペイド金額を管理するプリペイドサーバーによって設定された1つ以上の警告判定値を、監視センターサーバーから受信する受信部と、受信部が1つ以上の警告判定値を受信すると、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔でガス使用量を計測する流量計測部と、流量計測部によって計測されたガス使用量を積算し、ガス使用量の積算値が各警告判定値を超えるか否かを判定する残量管理部と、を備え、残量管理部が、前記ガス使用量の積算値が各警告判定値を超えると判定すると、送信部は、警告信号を、前記監視センターサーバーに送信する。
【0019】
ガスメータにおいて、受信部が1つ以上の警告判定値を受信した後も、送信部は、第1の時間間隔で、検針情報を前記監視センターサーバーに送信することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、適切なタイミングで、監視センター側でプリペイド金額を管理して、ガス使用者の利便性を向上し得るプリペイドシステム、プリペイドサーバー及びガスメータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るプリペイドシステムの全体概略構成図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るガスメータの機能ブロック構成図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る監視センターサーバーの機能ブロック構成図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るプリペイドサーバーの機能ブロック構成図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るプリペイドデータベースの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る設定値及び警告判定値の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係るガスメータの開栓手順におけるシーケンスを示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係るプリペイド金額の管理手順におけるシーケンスを示す図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係るプリペイドサーバーによる判定処理におけるフローチャートを示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る残量警告の送信手順におけるシーケンスを示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係るガスメータによる残量管理処理におけるフローチャートを示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態に係る、使用可能なガス量を超過してガスを使用した場合でのプリペイド金額の管理手順におけるシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を用いて、本実施形態に係るプリペイドシステム、プリペイドサーバー及びガスメータについて詳細に説明する。なお、同一の機能や構成には、同一又は類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0023】
[プリペイドシステムの全体概略構成]
図1は、本実施形態に係るプリペイドシステム1の全体概略構成図である。プリペイドシステム1は、ガスメータ10と、端末機器30と、警報器31と、金融機関サーバー40と、ガス事業者サーバー50と、監視センターサーバー60と、プリペイドサーバー80とを備える。
【0024】
ガスメータ10は、ガス使用者の住宅2に設置されて、ネットワーク100(通信網)を介して、監視センターサーバー60に通信可能に接続される。本実施形態では、ガスメータ10は、低消費電力広域(LPWA)の通信規格をサポートする通信モジュールを用いて、監視センターサーバー60と通信を行う。
【0025】
ガスメータ10は、ガス料金が前払い(プリペイド)されると、遮断弁を開いて、ガス供給可能な状態に切り替わる。ガス供給可能な状態において、ガスメータ10は、流量センサを用いて、ガス使用量を計測する。
【0026】
ガスメータ10は、一定時間毎に、ガス使用量を計測して、計測したガス使用量を積算する。ガスメータ10は、ガスメータ10の指示数として、ガス使用量の積算値を保持する。ガスメータ10は、所定の時間間隔(以下、第1の時間間隔という)で、ガスメータ10の検針値として、ガスメータ10の指示数を監視センターサーバー60に送信する。本実施形態では、第1の時間間隔は1日(24時間)である。
【0027】
ガスメータ10は、後述する残量管理処理において、所定の時間間隔(以下、第2の時間間隔という)で、ガス使用量を計測して、計測したガス使用量を積算する。ガスメータ10は、残量管理カウンタ値として、ガス使用量の積算値を保持する。第2の時間間隔は、第1の時間間隔よりも短い。第2の時間間隔は、例えば2秒である。
【0028】
端末機器30は、ガス使用者に所有されており、ネットワーク100を介して、金融機関サーバー40及びガス事業者サーバー50に通信可能に接続される。ガス使用者は、端末機器30を用いて、金融機関サーバー40にアクセスして、金融機関3に開設されているガス事業者4の口座にプリペイド金額を入金することにより、ガス料金を前払いすることができる。また、ガス使用者は、端末機器30を用いて、ガス事業者サーバー50にアクセスして、ガスメータ10を用いてガスを利用するための各種手続を行うことができる。
【0029】
警報器31は、ガス使用者の住宅2内に設置されて、ガスメータ10に接続されている。ガスメータ10は、ガス漏れ、長時間にわたるガス使用などの異常を検出すると、警報信号を警報器31に送信する。警報器31は、警報信号を受信すると、警報光、警報音、音声などを用いて、異常が発生したことをガス使用者に知らせる。
【0030】
金融機関サーバー40は、金融機関3に設置されて、ネットワーク100を介して、ガス事業者サーバー50に通信可能に接続される。金融機関サーバー40は、ガス事業者4の口座にプリペイド金額が入金されると、入金通知をガス事業者サーバー50に送信する。
【0031】
ガス事業者サーバー50は、ガス事業者4に設置されて、ネットワーク100を介して、プリペイドサーバー80に通信可能に接続される。ガス事業者サーバー50は、入金通知を金融機関サーバー40から受信すると、ガス事業者4の口座に入金されたプリペイド金額を、プリペイドサーバー80に入力する。
【0032】
監視センターサーバー60は、監視センター5に設置されて、プリペイドサーバー80に通信可能に接続される。監視センター5は、ガスメータ10の管理及び監視と、プリペイド金額の管理とを、ガス事業者4から委託されている。監視センターサーバー60は、ガスメータ10の管理及び監視を行う。監視センターサーバー60は、ガスメータ10から送信される検針値を用いて、ガスの使用状況を監視する。また、監視センターサーバー60は、ガスメータ10から送信される検針値を、プリペイドサーバー80に送信する。
【0033】
プリペイドサーバー80は、監視センター5に設置される。なお、プリペイドサーバー80は、セキュリティを確保できれば、監視センター5の外部に設置されてもよい。この場合、プリペイドサーバー80は、ネットワーク100を介して、監視センターサーバー60に通信可能に接続される。プリペイドサーバー80は、監視センターサーバー60から受信したガスメータ10の検針値を用いて、プリペイド金額の管理を行う。
【0034】
プリペイドサーバー80は、後述するように、プリペイド金額で使用可能なガス量が所定値(以下、設定値という)を下回るか否かを判定する。プリペイドサーバー80は、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、監視センターサーバー60を介して、1つ以上の警告判定値をガスメータ10に送信して、ガスメータ10に残量管理処理を開始させる。
【0035】
監視センターサーバー60及びプリペイドサーバー80は、監視センター5側の装置と総称される。なお、プリペイドサーバー80は、監視センター5の外部に設置される場合でも、監視センターサーバー60を介して、ガスメータ10と通信を行うため、監視センター5側の装置と見なすことができる。
【0036】
[プリペイドシステムの機能ブロック構成]
次に、プリペイドシステムの機能ブロック構成について説明する。具体的には、ガスメータ10、監視センターサーバー60、及びプリペイドサーバー80の機能ブロック構成について説明する。以下、本実施形態における特徴に関連する部分についてのみ説明する。従って、ガスメータ10、監視センターサーバー60、及びプリペイドサーバー80は、本実施形態における特徴に直接関係しない他の機能ブロックを備えることは勿論である。
【0037】
最初に、ガスメータ10の機能ブロック構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るガスメータ10の機能ブロック構成図である。
図2に示すように、ガスメータ10は、受信部11、送信部13、制御部15、記憶部17、時間管理部19、遮断弁開閉部21、流量計測部23、指示数管理部25、検針情報作成部27、及び残量管理部29を備える。
【0038】
受信部11及び送信部13は、ガスメータ10と監視センターサーバー60との間において、LPWAの通信規格に準拠した無線通信を実行する。受信部11は、開栓指示及び1つ以上の警告判定値を、監視センターサーバー60から受信する。送信部13は、開栓通知、検針情報、及び警告信号を、監視センターサーバー60に送信する。
【0039】
制御部15は、ガスメータ10における処理全体を制御する。具体的には、制御部15は、受信部11、送信部13、記憶部17、時間管理部19、遮断弁開閉部21、流量計測部23、指示数管理部25、検針情報作成部27、及び残量管理部29の各々の動作を制御する。記憶部17は、ガスメータ10の識別番号、ガス使用量の積算値(指示数)、及び残量管理処理におけるガス使用量の積算値(残量管理カウンタ値)を記憶する。
【0040】
時間管理部19は、検針情報作成部27によって作成された検針情報を、送信部13に送信させる時間間隔(第1の時間間隔)を管理する。時間管理部19は、残量管理処理において、流量計測部23にガス使用量を計測させる時間間隔(第2の時間間隔)を管理する。
【0041】
遮断弁開閉部21は、受信部11が開栓指示を受信すると、ガス機器に向けてガスを供給する供給通路に設置された遮断弁を開く。遮断弁開閉部21は遮断弁を開くと、開栓通知を送信部13に送信させる。なお、監視センターサーバー60が、必要に応じて、遮断信号をガスメータ10に送信すると、遮断弁開閉部21は遮断弁を閉じる。
【0042】
流量計測部23は、遮断弁開閉部21が遮断弁を開くと、流量センサを用いて、ガス使用量を計測する。流量センサとして、例えば、電子式の流量センサ、機械式の流量センサなどが使用される。
【0043】
指示数管理部25は、一定時間毎に、流量計測部23にガス使用量を計測させる。指示数管理部25は、流量計測部23がガス使用量を計測する毎に、記憶部17に記憶されたガスメータ10の指示数を読み出す。指示数管理部25は、読み出したガスメータ10の指示数に、流量計測部23によって計測されたガス使用量を加算して、ガスメータ10の指示数を更新する。
【0044】
検針情報作成部27は、第1の時間間隔で検針情報を作成して、当該検針情報を送信部13に送信させる。検針情報は、ガスメータ10の識別番号と、ガスメータ10の検針値とを含む。ガスメータ10の識別番号は、ガスメータ10を識別するための番号であり、ガスメータ10の製造時に記憶部17に記憶されている。ガスメータ10の検針値は、検針情報の作成時に、記憶部17に記憶されているガス使用量の積算値(指示数)である。
【0045】
残量管理部29は、プリペイドサーバー80がプリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、残量管理処理を開始する。具体的には、プリペイドサーバー80は、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、監視センターサーバー60を介して、1つ以上の警告判定値をガスメータ10に送信する。残量管理部29は、受信部11が1つ以上の警告判定値を受信すると、残量管理処理を開始する。
【0046】
残量管理部29は、残量管理処理において、各警告判定値に基づいて、警告信号の送信判定(発呼判定)を行う。具体的には、残量管理部29は、残量管理処理を開始すると、残量管理カウンタ値をリセットして、第2の時間間隔で、流量計測部23にガス使用量を計測させる。残量管理部29は、流量計測部23がガス使用量を計測する毎に、記憶部17に記憶された残量管理カウンタ値を読み出す。残量管理部29は、読み出した残量管理カウンタ値に、流量計測部23によって計測されたガス使用量を加算して、残量管理カウンタ値を更新する。
【0047】
残量管理処理において、流量計測部23が、電子式の流量センサを用いて、ガス使用量を計測する場合、例えば、2秒毎にガス流量を監視して、ガス使用量を計測する。一方、流量計測部23が、機械式の流量センサを用いて、ガス使用量を計測する場合、例えば、パルス出力単位0.75L/P毎にガス流量を監視して、ガス使用量を計測する。
【0048】
残量管理部29は、残量管理カウンタ値(残量管理処理におけるガス使用量の積算値)が各警告判定値を超えるか否かを判定する。残量管理部29は、残量管理カウンタ値が各警告判定値を超えると判定すると、警告信号を送信部13に送信させる。警告信号は、ガスメータ10の識別番号と、当該判定時におけるガスメータ10の検針値と、残量管理カウンタ値が各警告判定値を超えたことを表す警告識別子とを含む。
【0049】
次に、監視センターサーバー60の機能ブロック構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る監視センターサーバー60の機能ブロック構成図である。
図3に示すように、監視センターサーバー60は、受信部61、送信部63、制御部65、記憶部67、ガスメータ管理部69及びガスメータ監視部71を備える。
【0050】
受信部61は、開栓指示及び1つ以上の警告判定値を、プリペイドサーバー80から受信する。受信部61は、開栓通知、検針情報、及び警告信号を、ガスメータ10から受信する。
【0051】
送信部63は、開栓指示及び1つ以上の警告判定値を、ガスメータ10に送信する。送信部63は、開栓通知、検針情報、及び警告信号を、プリペイドサーバー80に送信する。
【0052】
制御部65は、監視センターサーバー60における処理全体を制御する。具体的には、制御部65は、受信部61、送信部63、記憶部67、ガスメータ管理部69、及びガスメータ監視部71の各々の動作を制御する。
【0053】
記憶部67は、ガスメータ10の識別番号と、ガスメータ10の検針値と、日付情報とを紐付ける管理データベースを記憶する。
【0054】
ガスメータ管理部69は、受信部61が開栓指示を受信すると、開栓指示に含まれるガスメータ10の識別番号に対応する管理データベースを作成し、記憶部67に記憶させる。ガスメータ管理部69は、受信部61が検針情報を受信すると、検針情報に含まれるガスメータ10の識別番号に対応する管理データベースに、検針情報に含まれるガスメータ10の検針値と、検針時刻を受信した日付とを入力する。
【0055】
ガスメータ監視部71は、受信部61が開栓通知を受信すると、ガスメータ10の監視を開始する。ガスメータ監視部71は、管理データベースを用いて、時系列に沿って、ガスの使用状況を監視する。ガスメータ監視部71は、必要に応じて、送信部63を用いて、遮断信号をガスメータ10に送信することができる。
【0056】
次に、プリペイドサーバー80の機能ブロック構成について説明する。
図4は、本実施形態に係るプリペイドサーバー80の機能ブロック構成図である。
図4に示すように、プリペイドサーバー80は、受信部81、送信部83、制御部85、記憶部87、プリペイド金額管理部89、算出部91、更新部93、判定部95、及び設定部97を備える。
【0057】
受信部81は、プリペイド金額の入力情報をガス事業者サーバー50から受信する。受信部81は、開栓通知、検針情報、及び警告信号を、監視センターサーバー60から受信する。
【0058】
送信部83は、開栓通知及び残量警告を、ガス事業者サーバー50に送信する。送信部83は、開栓指示及び1つ以上の警告判定値を、監視センターサーバー60に送信する。
【0059】
制御部85は、プリペイドサーバー80における処理全体を制御する。具体的には、制御部85は、受信部81、送信部83、記憶部87、プリペイド金額管理部89、算出部91、更新部93、判定部95、及び設定部97の各々の動作を制御する。
【0060】
記憶部87は、ガスメータ10の識別番号と、プリペイド金額と、日付情報とを紐付けるプリペイドデータベースを記憶する。記憶部87は、ガスメータ10の検針値をガスメータ10の識別番号に紐付けて記憶する。記憶部87は、設定値及び警告判定値をガスメータ10の識別番号に紐付けて記憶する。記憶部87は、ガス使用量に対応する金額(ガス料金)を算出するのに用いられる第1の算出式又は第1の算出表を記憶する。記憶部87は、プリペイド金額で使用可能なガス量を算出するのに用いられる第2の算出式又は第2の算出表を記憶する。
【0061】
プリペイド金額管理部89は、受信部81がプリペイド金額の入力情報を受信すると、プリペイド金額の管理を開始する。具体的には、プリペイド金額管理部89は、プリペイド金額の入力情報に含まれるガスメータ10の識別番号に対応するプリペイドデータベースを作成し、記憶部87に記憶させる。プリペイド金額管理部89は、作成したプリペイドデータベースに、プリペイド金額の入力情報に含まれるプリペイド金額と、プリペイド金額の入力情報を受信した日付とを入力する。
【0062】
算出部91は、受信部81が検針情報を受信すると、検針情報に含まれるガスメータ10の検針値に基づいて、第1の時間間隔の間に使用されたガス使用量を算出する。
【0063】
具体的には、算出部91は、受信部81が第1の時間間隔で検針情報を受信する毎に、検針情報に含まれるガスメータ10の識別番号に紐付けられたガスメータ10の最新の検針値を、記憶部87から読み出す。算出部91は、検針情報に含まれるガスメータ10の検針値と、記憶部87から読み出したガスメータ10の最新の検針値との差分を算出して、算出した差分の値を、第1の時間間隔の間に使用されたガス使用量とする。算出部91は、当該差分を算出すると、検針情報に含まれるガスメータ10の検針値を、ガスメータ10の識別番号に紐付けて、記憶部87に記憶させる。
【0064】
更新部93は、記憶部87に記憶された第1の算出式又は第1の算出表を用いて、算出部91によって算出されたガス使用量に対応する金額を算出する。更新部93は、検針情報に含まれるガスメータ10の識別番号に対応するプリペイドデータベースを記憶部87から読み出して、プリペイド金額から、算出部91によって算出されたガス使用量に対応する金額を減算し、プリペイド金額を更新する。更新部93は、検針情報に含まれるガスメータ10の識別番号に対応するプリペイドデータベースに、更新したプリペイド金額と、検針情報を受信した日付とを入力する。
【0065】
図5は、本実施形態に係るプリペイドデータベースの一例を示す図である。
図5に示すように、本実施形態では、検針情報は1日間隔でガスメータ10から送信されるため、1日に使用されたガス使用量に基づいて、プリペイド金額が更新されている。
【0066】
なお、算出部91は、受信部81が警告信号を受信する場合、警告信号に含まれるガスメータ10の検針値に基づいて、直前の検針情報の送信時と警告信号の送信時との間に使用されたガス使用量を算出する。この場合、更新部93は、算出部91によって算出されたガス使用量に対応する金額を算出し、プリペイド金額を更新する。更新部93がプリペイド金額を更新すると、送信部83は、ガス事業者サーバー50を介して、残量警告を端末機器30に送信する。残量警告は、ガスメータ10の識別番号と、プリペイド金額で使用可能なガス量が残り少なくなったため、プリペイド金額の入金をガス使用者に促すメッセージと、現在のプリペイド金額と、現在のプリペイド金額で使用可能なガス量とを含む。
【0067】
判定部95は、記憶部87に記憶された第2の算出式又は第2の算出表を用いて、更新部93によって更新されたプリペイド金額で使用可能なガス量を算出する。判定部95は、記憶部87に記憶された設定値を読み出して、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回るか否かを判定する。判定部95が、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、送信部83は、ガス事業者サーバー50を介して、残量警告を端末機器30に送信する。残量警告は、ガスメータ10の識別番号と、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ったことを、ガス使用者に通知するメッセージと、現在のプリペイド金額と、現在のプリペイド金額で使用可能なガス量とを含む。
【0068】
設定部97は、ガスメータ毎に設定値を設定して、記憶部87に記憶させる。設定値は、ガスメータ10に残量管理処理を起動させるトリガとなる。
【0069】
ガスメータ10が1日間隔で検針情報を送信する場合、例えば、設定部97は、設定値として、14日分の最大流量を設定する。なお、最大流量は、ガスメータ10において、1日に使用できるガス使用量の上限である。また、最大流量は、ガス事業者4により任意に設定されてもよい。14日分の最大流量を設定することにより、ガス使用者がプリペイド金額を入金するまでに余裕を持たせることができる。
【0070】
設定部97は、設定値として、記憶部87に記憶した所定日数(例えば7日間)のガス使用量から、1日あたりのガス使用量の平均値を算出して、算出した平均値を用いて、14日分のガス使用量を設定してもよい。また、設定部97は、記憶部87に記憶した所定日数(例えば7日間)のガス使用量のうち、1日あたりの最大ガス使用量を用いて、14日分のガス使用量を設定してもよい。
【0071】
図6は、本実施形態に係る設定値及び警告判定値の一例を示す図である。
図6に示すように、例えば、最大流量、1日あたりのガス使用量の平均値、又は1日あたりの最大ガス使用量が1m
3である場合、設定部97は、設定値として、14m
3(1m
3/日×14日)を設定する。
【0072】
設定部97は、判定部95がプリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、1つ以上の警告判定値を設定する。各警告判定値は、ガスメータ10に警告信号を送信させるトリガとなる。
【0073】
ガスメータ10が1日間隔で検針情報を送信する場合、例えば、設定部97は、次のように、3つの警告判定値を設定する。設定部97は、警告レベル1の警告判定値として、設定値から7日分の最大流量を減算した値を設定する。設定部97は、警告レベル2の警告判定値として、設定値から2日分の最大流量を減算した値を設定する。設定部97は、警告レベル3の警告判定値として、設定値(設定値から0日分の最大流量を減算した値)を設定する。
【0074】
設定部97は、記憶部87に記憶した過去のガス使用量を用いて、ガス使用者毎に、1つ以上の警告判定値を設定してもよい。例えば、設定部97は、記憶部87に記憶した所定日数(例えば7日間)のガス使用量から、1日あたりのガス使用量の平均値を算出し、算出した平均値を用いて、次のように、3つの警告判定値を設定する。設定部97は、1日あたりのガス使用量の平均値を用いて、7日分のガス使用量を算出し、警告レベル1の警告判定値として、設定値から、算出した7日分のガス使用量を減算した値を設定する。設定部97は、1日あたりのガス使用量の平均値を用いて、2日分のガス使用量を算出し、警告レベル2の警告判定値として、設定値から、算出した2日分のガス使用量を減算した値を設定する。設定部97は、警告レベル3の警告判定値として、設定値(設定値から0日分のガス使用量を減算した値)を設定する。
【0075】
また、設定部97は、記憶部87に記憶した所定日数(例えば7日間)のガス使用量のうち、1日あたりの最大ガス使用量を用いて、次のように、3つの警告判定値を設定してもよい。設定部97は、1日あたりの最大ガス使用量を用いて、7日分のガス使用量を算出し、警告レベル1の警告判定値として、設定値から、算出した7日分のガス使用量を減算した値を設定する。設定部97は、1日あたりの最大ガス使用量を用いて、2日分のガス使用量を算出し、警告レベル2の警告判定値として、設定値から、算出した2日分のガス使用量を減算した値を設定する。設定部97は、警告レベル3の警告判定値として、設定値(設定値から0日分のガス使用量を減算した値)を設定する。
【0076】
図6に示すように、例えば、最大流量、1日あたりのガス使用量の平均値、又は1日あたりの最大ガス使用量が1m
3である場合、設定部97は、3つの警告判定値として、次の値を設定する。設定部97は、7m
3(警告レベル1の警告判定値)、12m
3(警告レベル2の警告判定値)、及び14m
3(警告レベル3の警告判定値)の各値を設定する。
【0077】
設定部97は、1つ以上の警告判定値を設定すると、送信部83を用いて、1つ以上の警告判定値を監視センターサーバー60に送信する。
【0078】
[プリペイドシステムの動作]
次に、プリペイドシステム1の動作について説明する。具体的には、ガスメータ10の開栓手順、プリペイド金額の管理手順、プリペイドサーバー80による判定処理、残量警告の送信手順、及びガスメータ10による残量管理処理について説明する。また、使用可能なガス量を超過してガスを使用した場合におけるプリペイド金額の管理手順についても説明する。
【0079】
[ガスメータの開栓手順]
図7は、本実施形態に係るガスメータの開栓手順におけるシーケンスを示す図である。ガスメータの開栓手順を行う前に、端末機器30は、ガス事業者サーバー50にアクセスして、ガスメータ10を用いてガスを利用するための各種手続を行い、金融機関3に開設されているガス事業者4の口座情報を取得する。なお、ガス利用者は、ガス事業者4の窓口で各種手続を行うこともできる。
【0080】
図7に示すように、端末機器30は、金融機関サーバー40にアクセスして、ガス事業者4の口座にプリペイド金額を入金する(S11)。なお、ガス利用者は、金融機関3の窓口でプリペイド金額の入金を行うこともできる。
【0081】
金融機関サーバー40は、ガス事業者4の口座にプリペイド金額が入金されると、入金通知をガス事業者サーバー50に送信する(S13)。入金通知は、ガス使用者の個人情報(端末機器30のメールアドレス及び電話番号を含む)、ガスメータ10の識別番号と、プリペイド金額とを含む。
【0082】
ガス事業者サーバー50は、入金通知を金融機関サーバー40から受信すると、プリペイド金額の入力情報を、プリペイドサーバー80に送信する(S15)。入力情報は、ガスメータ10の識別番号と、プリペイド金額とを含む。
【0083】
プリペイドサーバー80において、受信部81がプリペイド金額の入力情報を受信すると、プリペイド金額管理部89は、プリペイド金額の管理を開始する(S17)。プリペイド金額管理部89がプリペイド金額の管理を開始すると、送信部83は、ガスメータ10の開栓指示を監視センターサーバー60に送信する(S19)。
【0084】
監視センターサーバー60において、受信部61がガスメータ10の開栓指示を受信すると、送信部63は、当該開栓指示をガスメータ10に送信する(S21)。なお、ガスメータ管理部69は、ガスメータ10の開栓指示に基づいて、ガスメータ10の管理データベースを作成する。
【0085】
ガスメータ10において、受信部11がガスメータ10の開栓指示を受信すると、遮断弁開閉部21は遮断弁を開く(S23)。これにより、ガスメータ10はガス供給可能な状態に切り替わる。遮断弁開閉部21が遮断弁を開くと、送信部13は、開栓通知を監視センターサーバー60に送信する(S25)。
【0086】
監視センターサーバー60において、受信部61が開栓通知を受信すると、ガスメータ監視部71は、ガスメータ10の監視を開始する(S27)。ガスメータ監視部71がガスメータ10の監視を開始すると、送信部63は、開栓通知をプリペイドサーバー80に送信する(S31)。
【0087】
プリペイドサーバー80において、受信部81が開栓通知を受信すると、送信部83は、ガス事業者サーバー50を介して、開栓通知を端末機器30に送信する(S33,S35)。端末機器30は、開栓通知を受信すると、開栓手順の終了をガス使用者に通知する(S37)。これにより、ガス使用者は、ガスの使用を開始することができる。
【0088】
[プリペイド金額の管理手順]
図8は、本実施形態に係るプリペイド金額の管理手順におけるシーケンスを示す図である。プリペイド金額の管理手順は、検針情報が送信される第1の時間間隔で、ガスメータ10、監視センターサーバー60、及びプリペイドサーバー80によって実行される。
【0089】
図8に示すように、ガスメータ10において、検針情報作成部27は、第1の時間間隔で検針情報を作成する(S51)。検針情報は、ガスメータ10の識別番号と、ガスメータ10の検針値とを含む。検針情報作成部27が検針情報を作成すると、送信部13は、検針情報を監視センターサーバー60に送信する(S53)。
【0090】
監視センターサーバー60において、受信部61が検針情報を受信すると、送信部63は、検針情報をプリペイドサーバー80に送信する(S55)。ガスメータ管理部69は、受信部61が検針情報を受信すると、検針情報に含まれるガスメータ10の識別番号に対応する管理データベースに、検針情報に含まれるガスメータ10の検針値と、検針時刻を受信した日付とを入力する。ガスメータ監視部71は、管理データベースを用いて、ガスの使用状況を監視する(S57)。
【0091】
プリペイドサーバー80において、受信部81が検針情報を受信すると、算出部91は、検針情報に含まれるガスメータ10の検針値に基づいて、第1の時間間隔の間に使用されたガス使用量を算出する(S59)。更新部93は、記憶部87に記憶された第1の算出式又は第1の算出表を用いて、算出部91によって算出されたガス使用量に対応する金額を算出して、プリペイド金額を更新する(S61)。更新部93は、検針情報に含まれるガスメータ10の識別番号に対応するプリペイドデータベースに、更新したプリペイド金額と、検針情報を受信した日付とを入力する。
【0092】
[プリペイドサーバーによる判定処理]
図9は、本実施形態に係るプリペイドサーバー80による判定処理におけるフローチャートを示す図である。判定処理は、ガスメータ10に残量管理処理を起動させるか否かを判定する処理であり、プリペイドサーバー80によって実行される。
【0093】
図9に示すように、設定部97は、受信部81が検針情報を受信し始める前に、設定値を決定する(S101)。ガスメータ10が1日間隔で検針情報を送信する場合、例えば、設定部97は、設定値として、14日分の最大流量を設定する。
【0094】
受信部81が検針情報を受信する(S103)と、算出部91は、検針情報に含まれるガスメータ10の検針値に基づいて、第1の時間間隔の間に使用されたガス使用量を算出する(S105)。更新部93は、算出部91によって算出されたガス使用量に対応する金額を算出して、プリペイド金額を更新する(S107)。なお、S105及びS107の処理内容は、
図8のS59及びS61の処理内容と同じである。
【0095】
判定部95は、更新部93によって更新されたプリペイド金額で使用可能なガス量を算出し、プリペイド金額で使用可能なガス量が、S101で決定した設定値を下回るか否かを判定する(S109)。判定部95が、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、ガスメータ10に残量管理処理を起動させる(S111)。一方、判定部95が、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回らないと判定すると、S103の処理に戻る。
【0096】
[残量警告の送信手順]
図10は、本実施形態に係る残量警告の送信手順におけるシーケンスを示す図である。残量警告の送信手順は、プリペイドサーバー80が、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、ガスメータ10、端末機器30、ガス事業者サーバー50、監視センターサーバー60、及びプリペイドサーバー80によって実行される。なお、残量警告の送信手順は、上述したガスメータ10による残量管理処理を含む。
【0097】
図10では、プリペイドサーバー80は3つの警告判定値を設定する。なお、警告判定値の数は3つに限定されない。各警告判定値は、ガスメータ10に警告信号を送信させるトリガとなる。
【0098】
図10に示すように、プリペイドサーバー80において、判定部95が、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、送信部83は、1回目の残量警告をガス事業者サーバー50に送信する(S151)。ガス事業者サーバー50は、1回目の残量警告を受信すると、残量警告に含まれるガスメータ10の識別番号に紐付けて管理されている端末機器30のメールアドレスを用いて、受信した1回目の残量警告を端末機器30に送信する(S153)。端末機器30が受信する1回目の残量警告は、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ったことを、ガス使用者に通知するメッセージと、現在のプリペイド金額と、現在のプリペイド金額で使用可能なガス量とを含む。
【0099】
プリペイドサーバー80において、送信部83が1回目の残量警告を送信すると、設定部97は、3つの警告判定値を設定する(S155)。ガスメータ10が1日間隔で検針情報を送信する場合、例えば、設定部97は、次のように3つの警告判定値を設定する。警告レベル1として、設定値から7日分の最大流量を減算した値が設定される。警告レベル2として、設定値から2日分の最大流量を減算した値が設定される。警告レベル3として、設定値(設定値から0日分の最大流量を減算した値)が設定される。なお、S155の処理は、S151の処理の前、又はS151の処理と並行して行われてもよい。
【0100】
設定部97が3つの警告判定値を設定すると、送信部83は、ガスメータ10の識別番号と一緒に、3つの警告判定値を監視センターサーバー60に送信する(S157)。監視センターサーバー60において、受信部61が3つの警告判定値を受信すると、送信部63は、ガスメータ10の識別番号を参照して、3つの警告判定値をガスメータ10に送信する(S159)。
【0101】
ガスメータ10において、受信部11が、3つの警告判定値を受信すると、残量管理部29は、残量管理処理を開始し、残量管理カウンタ値をリセットする(S161)。残量管理処理において、残量管理部29は、検針情報を送信する第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、流量計測部23にガス使用量を計測させて、残量管理カウンタ値(残量管理処理におけるガス使用量の積算値)を更新する。
【0102】
残量管理部29が、残量管理カウンタ値が警告レベル1の警告判定値を超えたと判定する(S163)と、送信部13は、ガスメータ10の識別番号を含む第1回目の警告信号を送信する。具体的には、送信部13は、監視センターサーバー60を介して、1回目の警告信号を、プリペイドサーバー80に送信する(S165,S167)。
【0103】
プリペイドサーバー80において、受信部81が1回目の警告信号を受信すると、送信部83は、2回目の残量警告をガス事業者サーバー50に送信する(S169)。ガス事業者サーバー50は、2回目の残量警告を受信すると、残量警告に含まれるガスメータ10の識別番号に紐付けて管理されている端末機器30のメールアドレスを用いて、受信した2回目の残量警告を端末機器30に送信する(S171)。端末機器30が受信する2回目の残量警告は、プリペイド金額で使用可能なガス量が残り少なくなったため、プリペイド金額の入金をガス使用者に促すメッセージと、現在のプリペイド金額と、現在のプリペイド金額で使用可能なガス量とを含む。
【0104】
続いて、残量管理部29が、残量管理カウンタ値が警告レベル2の警告判定値を超えたと判定する(S173)と、送信部13は、ガスメータ10の識別番号を含む2回目の警告信号を送信する。具体的には、送信部13は、監視センターサーバー60を介して、2回目の警告信号を、プリペイドサーバー80に送信する(S175,S177)。
【0105】
プリペイドサーバー80において、受信部81が2回目の警告信号を受信すると、送信部83は、3回目の残量警告をガス事業者サーバー50に送信する(S179)。ガス事業者サーバー50は、3回目の残量警告を受信すると、残量警告に含まれるガスメータ10の識別番号に紐付けて管理されている端末機器30のメールアドレスを用いて、受信した3回目の残量警告を端末機器30に送信する(S181)。端末機器30が受信する3回目の残量警告は、プリペイド金額で使用可能なガス量が残り少なくなったため、プリペイド金額の入金をガス使用者に強く促すメッセージと、現在のプリペイド金額と、現在のプリペイド金額で使用可能なガス量とを含む。
【0106】
続いて、残量管理部29が、残量管理カウンタ値が警告レベル3の警告判定値を超えたと判定する(S183)と、送信部13は、ガスメータ10の識別番号を含む3回目の警告信号を送信する。具体的には、送信部13は、監視センターサーバー60を介して、3回目の警告信号を、プリペイドサーバー80に送信する(S185,S187)。
【0107】
プリペイドサーバー80において、受信部81が3回目の警告信号を受信すると、送信部83は、4回目の残量警告をガス事業者サーバー50に送信する(S189)。ガス事業者サーバー50は、4回目の残量警告を受信すると、残量警告に含まれるガスメータ10の識別番号に紐付けて管理されている端末機器30のメールアドレスを用いて、受信した4回目の残量警告を端末機器30に送信する(S191)。端末機器30が受信する4回目の残量警告は、プリペイド金額で使用可能なガス量が0になったため、プリペイド金額を至急入金するようにガス使用者に促すメッセージを含む。
【0108】
なお、S191において、ガス事業者サーバー50が4回目の残量警告を端末機器30に送信する代わりに、次の動作を行ってもよい。ガス事業者4の管理者が、残量警告に含まれるガスメータ10の識別番号に紐付けされて管理されている端末機器30の電話番号を用いて、プリペイド金額で使用可能なガス量が0になったため、プリペイド金額を至急入金するように、ガス使用者に直接伝える。
【0109】
[ガスメータによる残量管理処理]
図11は、本実施形態に係るガスメータ10による残量管理処理におけるフローチャートを示す図である。本フローチャートを用いて、
図10のS161、S163、S165、S173、S175、S183、及びS185の処理を詳細に説明する。
【0110】
図11に示すように、ガスメータ10において、受信部11が3つの警告判定値を受信する(S201)と、残量管理部29は、残量管理処理を開始し、残量管理カウンタ値をリセットする(S203)。残量管理部29は、残量管理カウンタ値をリセットすると、第2の時間間隔で、流量計測部23にガス使用量を計測させて(S205)、残量管理カウンタ値を更新する(S207)。
【0111】
続いて、残量管理部29は、1回目の警告信号を送信したか否かを判定する(S209)。残量管理部29は、1回目の警告信号を送信していないと判定すると、1回目の警告信号の送信判定(発呼判定)を行う(S211)。具体的には、残量管理部29は、残量管理カウンタ値が警告レベル1の警告判定値を超えたか否かを判定する。残量管理部29は、残量管理カウンタ値が警告レベル1の警告判定値を超えたと判定すると、1回目の警告信号を送信部13に送信させる(S213)。残量管理部29は、残量管理カウンタ値が警告レベル1の警告判定値を超えていないと判定すると、S205の処理に戻る。
【0112】
残量管理部29は、S209にて、1回目の警告信号を送信したと判定すると、2回目の警告信号を送信したか否かを判定する(S215)。残量管理部29は、2回目の警告信号を送信していないと判定すると、2回目の警告信号の送信判定(発呼判定)を行う(S217)。具体的には、残量管理部29は、残量管理カウンタ値が警告レベル2の警告判定値を超えたか否かを判定する。残量管理部29は、残量管理カウンタ値が警告レベル2の警告判定値を超えたと判定すると、2回目の警告信号を送信部13に送信させる(S219)。残量管理部29は、残量管理カウンタ値が警告レベル2の警告判定値を超えていないと判定すると、S205の処理に戻る。
【0113】
残量管理部29は、S215にて、2回目の警告信号を送信したと判定すると、3回目の警告信号の送信判定(発呼判定)を行う(S221)。具体的には、残量管理部29は、残量管理カウンタ値が警告レベル3の警告判定値を超えたか否かを判定する。残量管理部29は、残量管理カウンタ値が警告レベル3の警告判定値を超えたと判定すると、3回目の警告信号を送信部13に送信させる(S223)。残量管理部29は、残量管理カウンタ値が警告レベル3の警告判定値を超えていないと判定すると、S205の処理に戻る。なお、S223において、 送信部13が3回目の警告信号を送信すると、残量管理部29は、残量管理処理を終了する。
【0114】
[使用可能なガス量を超過してガスを使用した場合におけるプリペイド金額の管理手順]
図12は、本実施形態に係る、使用可能なガス量を超過してガスを使用した場合でのプリペイド金額の管理手順におけるシーケンスを示す図である。ガスメータ10は、
図11のS221において、残量管理カウンタ値が警告レベル3の警告判定値を超えると判定しても、遮断弁を自動的に閉じずに、ガス供給可能な状態を維持する。このため、ガスメータ10は、残量管理処理を開始した後も、第1の時間間隔でガスメータ10の検針値を、監視センターサーバー60に送信し続ける。これにより、ガス使用者が、プリペイド金額で使用可能なガス量を超過してガスを使用し続けた場合でも、超過して使用されたガス使用量に対応する金額(ガス料金)を取り逃すことを回避することができる。
【0115】
図12のS251,S253、S255、及びS257の処理は、
図8のS51、S53、S55、及びS57の処理と同一であるため、説明を省略する。
【0116】
図12に示すように、プリペイドサーバー80において、受信部81が検針情報を受信すると、算出部91は、検針情報に含まれるガスメータ10の検針値に基づいて、第1の時間間隔の間に、超過して使用されたガス使用量を算出する(S259)。算出部91は、記憶部87に記憶された第1の算出式又は第1の算出表を用いて、超過して使用されたガス使用量に対応する金額(ガス料金)を算出する。プリペイド金額管理部89は、算出した金額を、ガスメータ10の識別番号に紐づけて、記憶部87に記憶させる(S261)。
【0117】
ガス使用者がプリペイド金額を入金すると、受信部81は、プリペイド金額の入力情報を、ガス事業者サーバー50から受信する(S263)。受信部81がプリペイド金額の入力情報を受信すると、プリペイド金額管理部89は、プリペイド金額から、S261にて、記憶部87に記憶させた金額を減算する(S265)。プリペイド金額管理部89は、入力情報に含まれるガスメータ10の識別番号に対応するプリペイドデータベースに、減算したプリペイド金額と、入力情報を受信した日付とを入力する。
【0118】
[作用・効果]
本実施形態によれば、プリペイドサーバー80において、受信部81は、第1の時間間隔で、監視センターサーバー60を介して、検針情報をガスメータ10から受信する。算出部91は、検針情報に含まれる検針値に基づいて、第1の時間間隔の間に使用されたガス使用量を算出する。更新部93は、算出部91によって算出されたガス使用量に対応する金額をプリペイド金額から減算して、プリペイド金額を更新する。判定部95は、更新部93によって更新されたプリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回るか否かを判定する。判定部95が、プリペイド金額で使用可能なガス量が設定値を下回ると判定すると、送信部83は、監視センターサーバー60を介して、1つ以上の警告判定値をガスメータ10に送信する。
【0119】
ガスメータ10において、受信部11が、1つ以上の警告判定値を受信すると、流量計測部23は、ガスメータ10の検針値を送信する第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で、ガス使用量を計測する。残量管理部29は、流量計測部23によって計測されたガス使用量を積算する。残量管理部29は、ガス使用量の積算値が各警告判定値を超えると、警告信号を、監視センターサーバー60を介してプリペイドサーバー80に送信する。プリペイドサーバー80において、受信部81が警告信号を受信すると、送信部83は、端末機器30に残量警告を送信する。
【0120】
このような構成により、監視センター5側の装置において、残量警告を効率的に行うことができる。
【0121】
一般的に、ガスメータでは、数年(例えば10年)の間、電池を交換することなく使用することを前提としているため、省電力化が求められる。このため、通常の動作では、ガスメータ10は、検針値を送信する時間間隔(第1の時間間隔)を長くして(例えば1日)、監視センター5側の装置との通信による電力消費を抑えている。
【0122】
しかしながら、検針値を送信する時間間隔が長くなるにつれ、監視センター5側の装置が、使用可能なガス量が残り少なくなったと判断するタイミングが遅れる。このため、監視センター5側の装置が、第1の時間間隔で送信されるガスメータ10の検針値に基づいて、残量警告を行う場合、監視センター5側でガス使用者に残量警告を行う前に、プリペイド残金がゼロになり、ガス供給が停止する可能性がある。
【0123】
これに対して、本実施形態では、監視センター5側の装置は、第1の時間間隔よりも短い第2の時間間隔で送信されるガスメータの検針値に基づいて、残量警告を行う。このため、監視センター5側の装置が、第1の時間間隔で送信されるガスメータ10の検針値に基づいて、残量警告を行う場合と比較して、残量警告を行うタイミングが遅れることを回避することができる。このため、プリペイド残金がゼロになる前に、監視センター5側でガス使用者に残量警告を行うことができる。
【0124】
また、ガスメータ10は、ガス使用量の積算値が各警告判定値を超えるまで、警告信号を送信しない。このため、ガスメータ10において、外部との通信によるガスメータの電力消費を抑えることができる。
【0125】
更に、プリペイドサーバー80は、残量警告を端末機器30に送信する。このため、警報器31が、残量警告を受信して、プリペイド金額で使用可能なガス量が残り少なくなったことをガス使用者に知らせる場合と比較して、ガス使用者は、警報器31が通知する他の警報と区別できない可能性を回避することができる。
【0126】
従って、本実施形態によれば、監視センター5側で、プリペイド金額を管理することにより、適切なタイミングでガス利用者に残量警告を行って、ガス使用者がプリペイド金額を入金し忘れのを防止することができるため、ガス使用者の利便性を向上し得る。
【0127】
本実施形態によれば、プリペイドサーバー80において、設定部97は、記憶部87に記憶した複数のガス使用量を用いて、1つ以上の警告判定値を設定する。
【0128】
このような構成により、ガス利用者毎に、異なる警告判定値を設定することができる。例えば、設定部97は、記憶部87に記憶した所定日数のガス使用量のうち、1日あたりのガス利用量の平均値、又は1日あたりの最大ガス使用量を用いて、1つ以上の警告判定値を設定する。従って、ガス利用者毎に、ガス使用量が大幅に異なる場合でも、プリペイドサーバー80は、適切なタイミングで、警告信号をガスメータ10から受信することができる。
【0129】
例えば、ガス使用者が入金したプリペイド金額で使用可能なガス量の80%の値を、警告判定値として一律に設定する場合、ガス使用者毎に、残りの20%のガス量を使用するペースが異なる。このため、ガス使用者毎に、残量警告を行ってからプリペイド残金がゼロになるまでの時間に大きな差が生じる可能性がある。
【0130】
これに対して、本実施形態では、ガス利用者毎に、第1の時間間隔の間に使用されたガス使用量を複数用いて、異なる警告判定値を設定する。例えば、ガス量を使用するペースが速いガス利用者には、警告判定値を低く設定して、早めに残量警告を送信する。一方、ガス量を使用するペースが遅いガス利用者には、警告判定値を高く設定して、遅めに残量警告を送信する。このため、ガス使用者毎に、残量警告を行ってからプリペイド残金がゼロになるまでの時間に大きな差が生じることを回避し得る。
【0131】
本実施形態によれば、ガスメータ10において、送信部13は、1つ以上の警告判定値を受信した後も、第1の時間間隔で検針情報を監視センターサーバー60に送信する。プリペイドサーバー80において、受信部81は、1つ以上の警告判定値を送信した後も、監視センターサーバー60を介して、検針情報をガスメータ10から受信する。
【0132】
このような構成により、プリペイド残金がゼロになった後も、ガスメータ10がガス供給可能な状態を維持する場合、プリペイドサーバー80は、プリペイド金額で使用可能なガス量を超過して使用されたガス使用量に対応する金額を算出することができる。
【0133】
本実施形態によれば、プリペイドサーバー80において、算出部91は、第1の時間間隔で送信される検針情報に含まれる検針値に基づいて、超過して使用されたガス使用量を算出する。更に、算出部91は、超過して使用されたガス使用量に対応する金額を算出する。プリペイド金額管理部89は、プリペイド金額が入金されると、当該プリペイド金額から、超過して使用されたガス使用量に対応する金額を減算する。
【0134】
このような構成により、ガス使用者がプリペイド金額を入金すると、プリペイドサーバー80は、超過して使用されたガス使用量に対応する金額を、入金されたプリペイド金額から減算することができる。これにより、プリペイド残金がゼロになった場合でも、ガス使用者はガスを使用することができるとともに、超過して使用されたガス使用量に対応する金額(ガス料金)を取り逃すことを回避することができる。
【0135】
従って、本実施形態によれば、監視センター5側で、プリペイド金額を管理することにより、プリペイド残金がゼロになった場合でも、ガス使用者はガスを使用することができるため、ガス使用者の利便性を向上し得る。
【0136】
[その他の実施形態]
上述した実施形態では、全ての警告判定値を、プリペイド金額で使用可能なガス量が残り少なくなったことを知らせる警告信号の送信判定(発呼判定)に使用したが、これに限定されない。例えば、複数の警告判定値のうち、一部の警告判定値を、プリペイド金額で使用可能なガス量が残り少なくなったことを知らせる警告信号の送信判定(発呼判定)に使用してもよい。この場合、残りの警告判定値は、ガス供給元であるガス管内のガス量が残り少なくなったことを知らせる警告信号の送信判定(発呼判定)に使用されてもよい。これにより、ガスメータ10の残量管理部29は、プリペイド金額で使用可能なガス量を管理する処理と、ガス管内のガス量を管理する処理とを同時に行うことができる。
【0137】
例えば、監視センターサーバー60は、3つの警告判定値のうち、1つの警告判定値を、プリペイド金額で使用可能なガス量が残り少なくなったことを知らせる警告信号の送信判定に使用することを、プリペイドサーバー80及びガスメータ10に通知する。監視センターサーバー60は、残りの2つの警告判定値を、ガス管内のガス量が残り少なくなったことを知らせる警告信号の送信判定に使用することを、プリペイドサーバー80及びガスメータ10に通知する。
【0138】
上述した実施形態では、設定部97は、記憶部87に記憶した所定日数のガス使用量のうち、1日あたりの最大ガス使用量を用いて、設定値及び各警告判定値を設定する例を説明したが、これに限定されない。例えば、設定部97は、記憶部87に記憶した所定日数のガス使用量を用いて推定した、1日あたりの推定最大ガス使用量を用いて、設定値及び各警告判定値を設定してもよい。また、設定部97は、記憶部87に記憶した所定日数のガス使用量のうち、1日あたりの最大ガス使用量に季節係数(又は家族人数係数)を掛けた値を用いて、設定値及び警告判定値を設定してもよい。これにより、ガス利用者毎に、より適切な設定値及び警告判定値を設定することができる。
【0139】
上述した実施形態では、設定部97によって設定された警告判定値は固定されているが、これに限定されない。例えば、設定部97は、ガス使用者によるプリペイド金額の入金実績に応じて、警告判定値を調整してもよい。具体的には、プリペイドサーバー80が3又は4回目の残量警告を送信した場合に、プリペイド金額を入金する頻度が高いガス利用者に対しては、設定部97は、設定した警告判定値を減少させる。これにより、プリペイド金額を入金するタイミングが遅いガス使用者には、残量警告を送信するタイミングを早めに設定することができる。
【0140】
また、監視センターサーバー60において、ガスメータ監視部71が、ガスメータ10の識別番号に対応する管理データベースを参照して、過去のガスメータ10の検針値を用いて学習を行ってもよい。この場合、送信部63は、学習結果をプリペイドサーバー80に送信する。設定部97は、受信部81によって受信した学習結果に応じて、警告判定値を変更する。
【0141】
上述した実施形態では、プリペイドサーバー80は、監視センターサーバー60を介して、ガスメータ10から警告信号が送信されるのを待っているが、これに限定されない。例えば、プリペイド金額管理部89は、プリペイド金額で使用可能なガス量が、警告レベル1の警告判定値を超えていても、ガスメータ10から警告信号を受信していない場合に、問い合わせ信号の送信指示を監視センターサーバー60に行ってもよい。この場合、ガスメータ10は、問い合わせ信号を監視センターサーバー60から受信すると、残量管理設定の状態を監視センターサーバー60に返信する。これにより、監視センターサーバー60は、ガスメータ10の残量管理設定の状態を確認することができる。
【0142】
上述した実施形態の説明に用いたブロック構成図(
図2~
図4)は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックを実現する方法は、特に限定されない。例えば、各機能ブロックは、物理的または論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的または間接的に接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、1つの装置または複数の装置に、ソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0143】
ガスメータ10、監視センターサーバー60及びプリペイドサーバー80の各々が、複数のハードウェア要素で構成される場合、各機能ブロックは、何れかのハードウェア要素、又は当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。ハードウェア要素として、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信装置、入力装置、出力装置、バスなどが挙げられる。
【0144】
また、この場合、ガスメータ10、監視センターサーバー60及びプリペイドサーバー80の各機能は、プロセッサ、メモリなどのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって実現される。具体的には、各機能は、ハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、プロセッサが演算を行い、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込みを制御することによって実現される。
【0145】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0146】
1 プリペイドシステム
10 ガスメータ
11 受信部
13 送信部
23 流量計測部
29 残量管理部
30 端末機器
60 監視センターサーバー
80 プリペイドサーバー
81 受信部
83 送信部
87 記憶部
91 算出部
93 更新部
95 判定部
97 設定部