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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/10 20060101AFI20240723BHJP
   F27B 9/02 20060101ALI20240723BHJP
   F27B 9/36 20060101ALI20240723BHJP
   F27D 7/02 20060101ALI20240723BHJP
   F27D 7/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
F27B9/10
F27B9/02
F27B9/36
F27D7/02
F27D7/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020188435
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077580
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000167200
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトサーモシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】巽 智彦
(72)【発明者】
【氏名】森本 巌穂
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-114210(JP,U)
【文献】特開平7-100422(JP,A)
【文献】特開2010-25367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/10
F27B 9/02
F27B 9/36
F27D 7/02
F27D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送方向に複数のワークを搬送する昇温搬送部と、
前記第1搬送方向に直交する直交方向に前記昇温搬送部と並ぶように配置されている均熱搬送部であって、前記昇温搬送部により搬送された前記複数のワークを前記第1搬送方向の反対方向である第2搬送方向に搬送する均熱搬送部と、
前記昇温搬送部と前記均熱搬送部との間の少なくとも一部において前記昇温搬送部から前記均熱搬送部へと前記直交方向に空気が流動できるように、前記昇温搬送部及び前記均熱搬送部を収容している収容部と、
空気を加熱する加熱部と、
前記加熱部が加熱した空気を前記昇温搬送部に供給する供給部と、
前記昇温搬送部から前記均熱搬送部へと向かう前記直交方向の空気の流れを発生させる流動部と、
を備えている、
加熱装置。
【請求項2】
前記流動部は、前記収容部内の空気を吸引する複数の吸引部であり、
前記直交方向において前記昇温搬送部より前記均熱搬送部の近くに設けられている前記吸引部の数は、前記直交方向において前記均熱搬送部より前記昇温搬送部の近くに設けられている前記吸引部の数より多い、
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記加熱部は、前記吸引部が吸引した空気を加熱する、
請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記流動部は、前記昇温搬送部における気圧を前記均熱搬送部における気圧より高くする、
請求項1に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記流動部は、前記昇温搬送部から前記均熱搬送部へと向かう風を生じさせる送風部である、
請求項1に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱装置に関連する発明としては、例えば、特許文献1に記載の塗装乾燥炉が知られている。この塗装乾燥炉は、昇温ゾーン及び均熱ゾーンを備えている。昇温ゾーンと均熱ゾーンとは、左から右へとこの順に一列に並んでいる。昇温ゾーンには、ガス遠赤外線ヒータが設けられている。ガス遠赤外線ヒータは、昇温ゾーン内の空気を加熱する。加熱された空気は、右方向に流れて、昇温ゾーンから均熱ゾーンへと移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-100422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の塗装乾燥炉では、均熱ゾーンにおいて温度のばらつきが発生する。より詳細には、均熱ゾーンの左端部は、昇温ゾーンの近くに位置する。一方、均熱ゾーンの右端部は、昇温ゾーンの遠くに位置する。そのため、均熱ゾーンの左端部の温度は、均熱ゾーンの右端部の温度より高くなる。その結果、均熱ゾーンにおいて温度のばらつきが発生する。
【0005】
そこで、本発明の目的は、均熱搬送部における温度のばらつきを低減できる加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る加熱装置は、
第1搬送方向に複数のワークを搬送する昇温搬送部と、
前記第1搬送方向に直交する直交方向に前記昇温搬送部と並ぶように配置されている均熱搬送部であって、前記昇温搬送部により搬送された前記複数のワークを前記第1搬送方向の反対方向である第2搬送方向に搬送する均熱搬送部と、
前記昇温搬送部と前記均熱搬送部との間の少なくとも一部において前記昇温搬送部から前記均熱搬送部へと前記直交方向に空気が流動できるように、前記昇温搬送部及び前記均熱搬送部を収容している収容部と、
空気を加熱する加熱部と、
前記加熱部が加熱した空気を前記昇温搬送部に供給する供給部と、
前記昇温搬送部から前記均熱搬送部へと向かう前記直交方向の空気の流れを発生させる流動部と、
を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、均熱搬送部における温度のばらつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、加熱装置10の上面図である。
図2図2は、図1のA-A及びB-Bにおける加熱装置10の断面図である。
図3図3は、図1のC-Cにおける加熱装置10の断面図である。
図4図4は、加熱装置10aの上面図である。
図5図5は、加熱装置10bの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下に、本発明の一実施形態に係る加熱装置10について図面を参照しながら説明する。図1は、加熱装置10の上面図である。図1では、加熱装置10の内部構造が視認できるように、収容部18の上面の記載を省略した。図2は、図1のA-A及びB-Bにおける加熱装置10の断面図である。図3は、図1のC-Cにおける加熱装置10の断面図である。
【0010】
以下に、本明細書における用語の定義について説明する。まず、本明細書における部材の位置関係について定義する。XないしZは、加熱装置10を構成する部材又は部品である。本明細書において、XがYの前に配置されるとは、以下の状態を指す。Xの少なくとも一部は、Yが前方向に平行移動するときに通過する領域内に配置されている。よって、Xは、Yが前方向に平行移動するときに通過する領域内に収まっていてもよいし、Yが前方向に平行移動するときに通過する領域から突出していてもよい。この場合、X及びYは、前後方向に並んでいる。この定義は、前後方向以外の方向にも適用される。
【0011】
本明細書において、XがYより前に配置されるとは、以下の状態を指す。Xは、Yの前端を通り前後方向に直交する平面の前に配置される。この場合、X及びYは、前後方向に並んでいてもよく、並んでいなくてもよい。この定義は、前後方向以外の方向にも適用される。
【0012】
本明細書において、特に断りのない場合には、Xの各部について以下のように定義する。Xの前部とは、Xの前半分を意味する。Xの後部とは、Xの後半分を意味する。Xの左部とは、Xの左半分を意味する。Xの右部とは、Xの右半分を意味する。Xの上部とは、Xの上半分を意味する。Xの下部とは、Xの下半分を意味する。Xの前端とは、Xの前方向の端を意味する。Xの後端とは、Xの後方向の端を意味する。Xの左端とは、Xの左方向の端を意味する。Xの右端とは、Xの右方向の端を意味する。Xの上端とは、Xの上方向の端を意味する。Xの下端とは、Xの下方向の端を意味する。Xの前端部とは、Xの前端及びその近傍を意味する。Xの後端部とは、Xの後端及びその近傍を意味する。Xの左端部とは、Xの左端及びその近傍を意味する。Xの右端部とは、Xの右端及びその近傍を意味する。Xの上端部とは、Xの上端及びその近傍を意味する。Xの下端部とは、Xの下端及びその近傍を意味する。
【0013】
以下では、昇温搬送部12a~12cがワークWを搬送する方向を右方向と定義する。均熱搬送部14a~14cがワークWを搬送する方向を左方向と定義する。昇温搬送部12a~12c及び均熱搬送部14a~14cが並ぶ方向を前後方向と定義する。前後方向は、左右方向と直交する。上下方向は、前後方向及び左右方向に直交する方向である。
【0014】
加熱装置10は、例えば、車載用バッテリモジュールの接着剤を硬化させるために、車載用バッテリモジュールに加熱処理を施す。従って、ワークWは、車載用バッテリモジュールである。加熱装置10は、図1ないし図3に示すように、昇温搬送部12a~12c、均熱搬送部14a~14c、搬送切替部15a~15c、収容部18、20a~20f、吸引部22a~22f、加熱部24a~24f及び供給部26a~26fを備えている。
【0015】
昇温搬送部12a~12cは、右方向(第1搬送方向)に複数のワークWを搬送する。昇温搬送部12a~12cは、図1に示すように、左右方向に延びるベルトコンベアである。昇温搬送部12a~12cは、図2及び図3に示すように、上から下へとこの順に一列に並んでいる。
【0016】
均熱搬送部14a~14cのそれぞれは、昇温搬送部12a~12cにより搬送された複数のワークWを左方向(第1搬送方向の反対方向である第2搬送方向)に搬送する。均熱搬送部14a~14cは、図1に示すように、左右方向に延びるベルトコンベアである。均熱搬送部14a~14cのそれぞれは、図2に示すように、前方向(第1搬送方向に直交する直交方向)に昇温搬送部12a~12cと並ぶように配置されている。より詳細には、均熱搬送部14a~14cは、図2及び図3に示すように、上から下へとこの順に一列に並んでいる。均熱搬送部14a~14cのそれぞれは、昇温搬送部12a~12cの前に配置されている。従って、均熱搬送部14a~14cのそれぞれは、前後方向に見て、昇温搬送部12a~12cと重なっている。
【0017】
搬送切替部15a~15cのそれぞれは、昇温搬送部12a~12cが搬送した複数のワークWを昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cに移し替える。そのため、搬送切替部15a~15cのそれぞれは、昇温搬送部12a~12cの右端部及び均熱搬送部14a~14cの右端部に連結されている。
【0018】
収容部18は、昇温搬送部12a~12cと均熱搬送部14a~14cとの間の少なくとも一部において昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと前方向(直交方向)に空気が流動できるように、昇温搬送部12a~12c及び均熱搬送部14a~14cを収容している。また、収容部18は、搬送切替部15a~15cも収容している。本実施形態では、収容部18は、左右方向に延びる容器である。また、昇温搬送部12a~12cと均熱搬送部14a~14cとの間の全体において昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと前方向(直交方向)に空気が流動できる。そこで、収容部18は、昇温搬送部12a~12cと均熱搬送部14a~14cとの間に空気の流動を阻害する壁を含んでいない。
【0019】
昇温搬送部12a~12cの左端部及び均熱搬送部14a~14cの左端部は、収容部18外に位置している。これにより、昇温搬送部12a~12cは、収容部18外から収容部18内へと複数のワークWを搬送する。均熱搬送部14a~14cは、収容部18内から収容部18外へと複数のワークWを搬送する。
【0020】
収容部20aは、図1に示すように、収容部18の左部かつ後部に連結されている。収容部20aは、図2に示すように、収容部18の下部に連結されている。収容部20aは、吸引部22a、加熱部24a及び供給部26aを収容している。これにより、吸引部22a、加熱部24a及び供給部26aは、前後方向において、均熱搬送部14a~14cより昇温搬送部12a~12cの近くに配置されている。
【0021】
収容部20bは、図1に示すように、収容部18の右部かつ後部に連結されている。収容部20bは、図2に示すように、収容部18の下部に連結されている。収容部20bは、吸引部22b、加熱部24b及び供給部26bを収容している。これにより、吸引部22b、加熱部24b及び供給部26bは、前後方向において、均熱搬送部14a~14cより昇温搬送部12a~12cの近くに配置されている。
【0022】
収容部20dは、図1に示すように、収容部18の左部かつ前部に連結されている。収容部20dは、図2に示すように、収容部18の下部に連結されている。収容部20dは、吸引部22d、加熱部24d及び供給部26dを収容している。これにより、吸引部22d、加熱部24d及び供給部26dは、前後方向において、昇温搬送部12a~12cより均熱搬送部14a~14cの近くに配置されている。
【0023】
収容部20cは、図1に示すように、収容部18の左部かつ前部に連結されている。収容部20cは、図2に示すように、収容部20dの上に配置されている。収容部20cは、吸引部22c、加熱部24c及び供給部26cを収容している。これにより、吸引部22c、加熱部24c及び供給部26cは、前後方向において、昇温搬送部12a~12cより均熱搬送部14a~14cの近くに配置されている。
【0024】
収容部20fは、図1に示すように、収容部18の右部かつ前部に連結されている。収容部20fは、図2に示すように、収容部18の下部に連結されている。収容部20fは、吸引部22f、加熱部24f及び供給部26fを収容している。これにより、吸引部22f、加熱部24f及び供給部26fは、前後方向において、昇温搬送部12a~12cより均熱搬送部14a~14cの近くに配置されている。
【0025】
収容部20eは、図1に示すように、収容部18の右部かつ前部に連結されている。収容部20eは、図2に示すように、収容部20fの上に配置されている。収容部20eは、吸引部22e、加熱部24e及び供給部26eを収容している。これにより、吸引部22e、加熱部24e及び供給部26eは、前後方向において、昇温搬送部12a~12cより均熱搬送部14a~14cの近くに配置されている。
【0026】
吸引部22a~22fは、収容部18内の空気を吸引する。吸引部22a~22fは、例えば、ファンである。吸引部22a~22fは、昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと向かう前方向(直交方向)の空気の流れを発生させる流動部である。より詳細には、前後方向において昇温搬送部12a~12cより均熱搬送部14a~14cの近くに設けられている吸引部22c~22fの数は、前後方向において均熱搬送部14a~14cより昇温搬送部12a~12cの近くに設けられている吸引部22a,22bの数より多い。これにより、吸引部22c~22fが吸引する均熱搬送部14a~14cの周囲の空気の量は、吸引部22a,22bが吸引する昇温搬送部12a~12cの周囲の空気の量よりも多い。その結果、昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと向かう前方向(直交方向)の空気の流れが発生する。
【0027】
加熱部24a~24fは、空気を加熱する。本実施形態では、加熱部24a~24fのそれぞれは、吸引部22a~22fが吸引した空気を加熱する。
【0028】
供給部26a~26fのそれぞれは、以下に説明するように、加熱部24a~24fが加熱した空気を昇温搬送部12a~12cに供給する。加熱装置10は、図1ないし図3に示すように、ダクト28a~28f及びノズル30a~30cを更に備えている。ノズル30a~30cのそれぞれは、昇温搬送部12a~12cの上に設けられている。ノズル30a~30cは、左右方向に延びる中空部材である。ただし、ノズル30a~30cのそれぞれの下面には、複数の孔が設けられている。複数の孔は、左右方向に一列に並んでいる。
【0029】
ダクト28aは、供給部26aとノズル30bとを連結している。これにより、加熱部24aが加熱した空気は、供給部26aによりダクト28a及びノズル30bを介して、昇温搬送部12bに供給される。ダクト28bは、供給部26bとノズル30bとを連結している。これにより、加熱部24bが加熱した空気は、供給部26bによりダクト28b及びノズル30bを介して、昇温搬送部12bに供給される。ダクト28cは、供給部26cとノズル30aとを連結している。これにより、加熱部24cが加熱した空気は、供給部26cによりダクト28c及びノズル30aを介して、昇温搬送部12aに供給される。ダクト28dは、供給部26dとノズル30cとを連結している。これにより、加熱部24dが加熱した空気は、供給部26dによりダクト28d及びノズル30cを介して、昇温搬送部12cに供給される。ダクト28eは、供給部26eとノズル30aとを連結している。これにより、加熱部24eが加熱した空気は、供給部26eによりダクト28e及びノズル30aを介して、昇温搬送部12aに供給される。ダクト28fは、供給部26fとノズル30cとを連結している。これにより、加熱部24fが加熱した空気は、供給部26fによりダクト28f及びノズル30cを介して、昇温搬送部12cに供給される。
【0030】
以上のような加熱装置10では、昇温搬送部12a~12cにより搬送される複数のワークWの温度は、加熱部24a~24fにより加熱される高温の空気により上昇させられる。一方、均熱搬送部14a~14cにより搬送される複数のワークWの温度は、昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと向かう前方向(直交方向)の空気の流れにより、所定の温度に保たれる。これにより、ワークWが車載用バッテリモジュールである場合、車載用バッテリモジュールの接着剤が硬化する。
【0031】
[効果]
本実施形態に係る加熱装置10によれば、均熱搬送部14a~14cにおける温度のばらつきを抑制できる。より詳細には、特許文献1に記載の塗装乾燥炉では、高温の空気は、均熱ゾーンの左端部から均熱ゾーンに流入する。均熱ゾーンの右端部は、均熱ゾーンの左端部から遠く離れている。そのため、均熱ゾーンの左端部の温度は、均熱ゾーンの右端部の温度より高くなる。
【0032】
そこで、加熱装置10では、昇温搬送部12a~12cと均熱搬送部14a~14cとの間の少なくとも一部において昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと前方向(直交方向)に空気が流動できるように、昇温搬送部12a~12c及び均熱搬送部14a~14cを収容している。更に、吸引部22a~22fは、昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと向かう前方向(直交方向)の空気の流れを発生させる。これにより、均熱搬送部14a~14cの左端部又は右端部以外の位置(流入位置)を介して高温の空気が均熱搬送部14a~14cに流入することが可能になる。よって、加熱装置10における流入位置から均熱搬送部14a~14cの左端部又は右端部までの距離は、特許文献1に記載の塗装加熱炉における均熱ゾーンの左端部(流入位置に相当)から均熱ゾーンの右端部までの距離より短くなりやすい。その結果、均熱搬送部14a~14cにおける温度のばらつきが低減される。
【0033】
また、加熱装置10によれば、均熱搬送部14a~14cにおける温度のばらつきがより低減される。より詳細には、収容部18は、昇温搬送部12a~12cと均熱搬送部14a~14cとの間に空気の流動を阻害する壁を含んでいない。これにより、昇温搬送部12a~12cと均熱搬送部14a~14cとの間の全体において昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと前方向(直交方向)に空気が流動できる。その結果、高温の空気は、均熱搬送部14a~14cの全体に供給される。以上より、均熱搬送部14a~14cにおける温度のばらつきがより低減される。
【0034】
加熱装置10によれば、加熱装置10の製造コストが低減される。より詳細には、加熱装置10と同様の構造を有する加熱装置において、均熱搬送部における温度のばらつきを低減するためには、加熱部により加熱された空気をダクト及びノズルを介して均熱搬送部に供給すればよい。この場合、加熱部、ダクト及びノズルが必要となり、加熱装置の製造コストが高騰する。
【0035】
一方、加熱装置10では、昇温搬送部12a~12cと均熱搬送部14a~14cとの間の少なくとも一部において昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと前方向(直交方向)に空気が流動できるように、昇温搬送部12a~12c及び均熱搬送部14a~14cを収容している。更に、吸引部22a~22fは、昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと向かう前方向(直交方向)の空気の流れを発生させる。これにより、均熱搬送部14a~14cに高温の空気を供給するための加熱部、ダクト及びノズルが追加されることなく、均熱搬送部14a~14cにおける温度のばらつきが低減されている。その結果、加熱装置10の製造コストが低減される。
【0036】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係る加熱装置10aについて図面を参照しながら説明する。図4は、加熱装置10aの上面図である。
【0037】
加熱装置10aは、収容部20c~20f、吸引部22c~22f、加熱部24c~24f、供給部26c~26f、ダクト28a~28f及びノズル30a~30cを備えていない点、及び、送風部50a~50cを備えている点において、加熱装置10と相違する。
【0038】
送風部50a~50cは、昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと向かう風を生じさせる。送風部50a~50cは、例えば、ファンである。送風部50a~50cは、図4に示すように、昇温搬送部12a~12cの後に設けられている。送風部50a~50cは、前方向に向かって風を生じさせる。これにより、昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと前方向(直交方向)に高温の空気が流動する。なお、加熱装置10aのその他の構造は、加熱装置10と同じであるので説明を省略する。
【0039】
加熱装置10aにおいても、加熱装置10と同じ理由により、均熱搬送部14a~14cにおける温度のばらつきを抑制できる。
【0040】
(第2変形例)
以下に、第2変形例に係る加熱装置10bについて図面を参照しながら説明する。図5は、加熱装置10bの上面図である。
【0041】
加熱装置10bは、収容部20a,20b、吸引部22a,22b、加熱部24a,24b、供給部26a,26bを備えていない点、及び、収容部18が壁120を含んでいる点において、加熱装置10と相違する。
【0042】
壁120は、昇温搬送部12a~12cと均熱搬送部14a~14cとの間に設けられている。これにより、壁120は、収容部18内の空間を昇温空間A1と均熱空間A2とに分離している。ただし、壁120には、複数(例えば、5個)の孔が設けられている。これにより、昇温搬送部12a~12cと均熱搬送部14a~14cとの間の少なくとも一部において昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと前方向(直交方向)に空気が流動できる。
【0043】
また、吸引部22c~22fは、均熱空間A2の空気を吸引する。加熱部24c~24fは、吸引部22c~22fが吸引した空気を加熱する。そして、供給部26c~26fは、加熱部24c~24fが加熱した空気を昇温空間A1に供給する。そのため、昇温空間A1の気圧は、均熱空間A2の気圧よりも高くなる。その結果、高温の空気は、壁120の孔を介して、昇温空間A1から均熱空間A2へと流動する。このように、加熱装置10bでは、吸引部22c~22f、加熱部24c~24f、供給部26a~26f及び壁120は、昇温搬送部12a~12cにおける気圧を均熱搬送部14a~14cにおける気圧より高くする流動部として機能する。
【0044】
加熱装置10bにおいても、加熱装置10と同じ理由により、均熱搬送部14a~14cにおける温度のばらつきを抑制できる。
【0045】
(その他の実施形態)
本発明に係る加熱装置は、加熱装置10,10a,10bに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。なお、加熱装置10,10a,10bの構成を任意に組み合わせてもよい。
【0046】
なお、前後方向及び左右方向は、加熱装置10,10a,10bの説明のために便宜上定義した方向である。従って、昇温搬送部12a~12cがワークWを搬送する方向を左方向と定義してもよい。この場合、均熱搬送部14a~14cがワークWを搬送する方向を右方向と定義する。また、例えば、昇温搬送部12a~12cがワークWを搬送する方向を前方向と定義してもよい。この場合、均熱搬送部14a~14cがワークWを搬送する方向を後方向と定義する。昇温搬送部12a~12c及び均熱搬送部14a~14cが並ぶ方向を左右方向と定義する。
【0047】
なお、加熱部24a~24fのそれぞれは、吸引部22a~22fが吸引した空気を加熱している。しかしながら、加熱部24a~24fは、例えば、収容部18外の空気を加熱してもよい。
【0048】
なお、収容部18は、昇温搬送部12a~12cと均熱搬送部14a~14cとの間の少なくとも一部において昇温搬送部12a~12cから均熱搬送部14a~14cへと前方向に空気が流動できるように、昇温搬送部12a~12c及び均熱搬送部14a~14cを収容していればよい。「昇温搬送部12a~12cと均熱搬送部14a~14cとの間の少なくとも一部」は、均熱搬送部14a~14cの左端部及び右端部以外に位置していればよい。
【0049】
なお、ワークWは、車載用バッテリモジュールに限らない。ワークWは、例えば、塗装された部材であってもよいし、その他の物品であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10,10a,10b:加熱装置
12a~12c:昇温搬送部
14a~14c:均熱搬送部
15a~15c:搬送切替部
18,20a~20f:収容部
22a~22f:吸引部
24a~24f:加熱部
26a~26f:供給部
28a~28f:ダクト
30a~30c:ノズル
50a~50c:送風部
120:壁
A1:昇温空間
A2:均熱空間
W:ワーク
図1
図2
図3
図4
図5