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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】リッド開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/34 20140101AFI20240723BHJP
   B60K 15/05 20060101ALI20240723BHJP
   E05B 81/30 20140101ALI20240723BHJP
   E05B 81/72 20140101ALI20240723BHJP
   E05C 19/02 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
E05B83/34
B60K15/05 B
E05B81/30
E05B81/72
E05C19/02 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020190610
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022079806
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】吉本 宗弘
(72)【発明者】
【氏名】桑原 直也
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-173422(JP,A)
【文献】国際公開第2019/087860(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/038034(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 77/00-85/28
E05C 19/02
B60K 15/00-15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に往復移動可能に構成されると共に、外周部に突起部を有するプッシュロッドと、
前記プッシュロッドを軸方向に移動可能に且つ軸回りに回転可能に収容する筒状のスリーブと、
前記スリーブに形成され、前記スリーブの周方向全周に亘って延在され、前記突起部が相対移動可能に挿入されると共に、前記プッシュロッドにおける軸方向の往復移動時に前記突起部をガイドして前記プッシュロッドを回転方向一方側へ回転させるカム孔と、
ロック位置とアンロック位置との間を移動可能に構成され、前記プッシュロッドに係合可能に構成されたロック部を有すると共に、前記ロック位置において前記ロック部が前記プッシュロッドに係合することで前記プッシュロッドの移動が規制されるロック部材と、
を備え、
前記ロック位置では、前記スリーブの径方向から見て、前記ロック部が前記カム孔と重なる位置に配置されているリッド開閉装置。
【請求項2】
前記ロック位置において、前記ロック部が、前記突起部と係合する請求項1に記載のリッド開閉装置。
【請求項3】
前記ロック部材を作動させるモータを備え、
前記モータは、モータ本体と、前記プッシュロッドの径方向外側において前記プッシュロッドと平行に配置され且つ前記モータ本体から前記プッシュロッドの軸方向一方側へ突出した出力軸と、を含んで構成され、
前記ロック部材は、
前記出力軸に固定された固定部と、
前記固定部から前記出力軸の径方向外側へ延出されたロックアームと、
前記ロックアームの先端部に形成された前記ロック部と、
を有している請求項1又は請求項2に記載のリッド開閉装置。
【請求項4】
前記ロック部材の前記ロック位置及び前記アンロック位置を検知する検知スイッチを備え、
前記ロック部材は、前記検知スイッチを押圧可能に構成されたスイッチ操作部を有しており、前記スイッチ操作部が、前記ロックアームから前記プッシュロッドの軸方向他方側へ延出している請求項3に記載のリッド開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッド開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のリッド開閉装置では、所謂プッシュプッシュ機構によって、フューエルリッドを開閉する。このプッシュプッシュ機構は、フューエルリッドを閉じる方向に押込むことで、移動部材(プッシュロッド)を押込位置に保持してフューエルリッドを閉じて、フューエルリッドを再度押込むことで、移動部材を突き出してフューエルリッドを開くようになっている。
【0003】
また、移動部材には、突部が形成されており、突部は、本体部のガイド溝(カム孔)に相対移動可能に挿入されている。これにより、移動部材の軸方向の移動時には、突部がガイド溝によってガイドされて、移動部材が回転しながら軸方向に移動する。
【0004】
さらに、移動部材におけるフューエルリッドとは反対側の端部には、ロック溝が形成されており、ロック溝は移動部材の周方向に沿って延在されている。そして、移動部材の押込位置において、係止部材がロック溝に係合することで、押込位置における移動部材の軸方向の移動が規制される。これにより、フューエルリッドが不用意に開くことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2018/038034号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記リッド開閉装置では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記リッド開閉装置では、移動部材において、ロック溝がフューエルリッドとは反対側の端部に設けられており、突部とロック溝とが移動部材の軸方向に離間して配置されている。このため、移動部材の軸長が比較的長くなり、リッド開閉装置の体格が大型化するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、小型化することができるリッド開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、軸方向に往復移動可能に構成されると共に、外周部に突起部を有するプッシュロッドと、前記プッシュロッドを軸方向に移動可能に且つ軸回りに回転可能に収容する筒状のスリーブと、前記スリーブに形成され、前記スリーブの周方向全周に亘って延在され、前記突起部が相対移動可能に挿入されると共に、前記プッシュロッドにおける軸方向の往復移動時に前記突起部をガイドして前記プッシュロッドを回転方向一方側へ回転させるカム孔と、ロック位置とアンロック位置との間を移動可能に構成され、前記プッシュロッドに係合可能に構成されたロック部を有すると共に、前記ロック位置において前記ロック部が前記プッシュロッドに係合することで前記プッシュロッドの移動が規制されるロック部材と、を備え、前記ロック位置では、前記スリーブの径方向から見て、前記ロック部が前記カム孔と重なる位置に配置されているリッド開閉装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ロック位置において、前記ロック部が、前記突起部と係合するリッド開閉装置である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ロック部材を作動させるモータを備え、前記モータは、モータ本体と、前記プッシュロッドの径方向外側において前記プッシュロッドと平行に配置され且つ前記モータ本体から前記プッシュロッドの軸方向一方側へ突出した出力軸と、を含んで構成され、前記ロック部材は、前記出力軸に固定された固定部と、前記固定部から前記出力軸の径方向外側へ延出されたロックアームと、前記ロックアームの先端部に形成された前記ロック部と、を有しているリッド開閉装置である。
【0011】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記ロック部材の前記ロック位置及び前記アンロック位置を検知する検知スイッチを備え、前記ロック部材は、前記検知スイッチを押圧可能に構成されたスイッチ操作部を有しており、前記スイッチ操作部が、前記ロックアームから前記プッシュロッドの軸方向他方側へ延出しているリッド開閉装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施の形態に係るリッド開閉装置を示す斜視図である。
図2図1に示されるリッド開閉装置の分解斜視図である。
図3図1に示されるリッド開閉装置を、アッパケースを取外した状態で示す平面図である。
図4図3に示されるリッド開閉装置のプッシュロッドを押込位置に押込んだ状態を示す平面図である。
図5図2に示されるプッシュプッシュ機構の分解斜視図である。
図6図5に示されるスリーブの3面図である。
図7図2に示されるロック部材の斜視図である。
図8】(A)は、プッシュロッドが押込位置に配置され且つロック部材がロック部材に配置された状態を示す前側から見た正面図であり、(B)は、プッシュロッドが突出位置に配置されロック部材がアンロック位置に配置された状態を示す正面図である。
図9図8(A)に示されるカム突起とロック部との係合状態を示す断面図(図8(A)の9-9線拡大断面図)である。
図10図5に示されるスリーブのカム孔の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係るリッド開閉装置10について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UP,矢印FR、及び矢印RHは、それぞれリッド開閉装置10の上側、前側、右側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、リッド開閉装置10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0015】
図1及び図2に示されるように、リッド開閉装置10は、車両(自動車)の給油口を開閉するフューエルリッド(図示省略)の開閉装置として構成されている。リッド開閉装置10は、リッド開閉装置10の外郭を構成するケース12と、プッシュプッシュ機構20と、ロック機構40と、を含んで構成されている。
【0016】
また、詳細については後述するが、プッシュプッシュ機構20は、前後方向を軸方向とするプッシュロッド30を有しており、プッシュロッド30は、図3に示される突出位置と、突出位置から後側へ押し込まれた押込位置(図4参照)と、の間を移動可能(進退可能)に構成されている。そして、プッシュロッド30が突出位置に配置されることで、フューエルリッドが給油口を開く開状態になるように設定されている。一方、フューエルリッドが給油口を閉じた閉状態になるときには、フューエルリッドによってプッシュロッド30が突出位置から押込位置に押込まれて、リッド開閉装置10によってフューエルリッドの閉状態が維持されるようになっている。以下、リッド開閉装置10の各構成について説明する。
【0017】
(ケース12について)
図1図4に示されるように、ケース12は、上側から見た平面視で、右側へ開放された略U字形箱状に形成されている。ケース12は、上下方向に2分割されている。具体的には、ケース12は、ケース12の下側部分を構成するロアケース14と、ケース12の上側部分を構成するアッパケース16と、を含んで構成されている。
【0018】
ロアケース14は、上側へ開放された箱状に形成されている。ロアケース14の右部における前側部分は、後述するプッシュプッシュ機構20を収容する第1収容部14Aとして構成されている。第1収容部14Aの前壁には、円形状の挿通孔14Bが貫通形成されている。また、挿通孔14Bの前側の開口縁部は、前側へ突出しており、当該開口縁部には、円筒状のパッド18が嵌入されている。
【0019】
ロアケース14の左部は、後述するロック機構40を収容する第2収容部14Cとして構成されている。第2収容部14Cの後端部には、右側へ突出したコネクタ部14Dが形成されており、コネクタ部14Dは、第1収容部14Aの後側に配置されると共に、右側へ開放されている。第2収容部14Cの前部は、ロック部材収容部14Eとして構成され、第2収容部14Cの後部は、モータ収容部14Fとして構成されており、ロック部材収容部14Eとモータ収容部14Fとは区画壁14Gによって区画されている。ロック部材収容部14Eの底面の前部には、上側へ隆起した隆起部14Hが形成されており、後述するロック部材50を隆起部14H(図3図4、及び図8参照)によって保持するようになっている。
【0020】
アッパケース16は、上下方向を板厚方向とするプレート状に形成されており、平面視で、アッパケース16の外形が、ロアケース14の外形と相似形を成すように形成されている。そして、アッパケース16が、爪篏合によってロアケース14に組付けられて、ロアケース14の開口部を閉塞している。また、アッパケース16の一部が、後述するプッシュプッシュ機構20及びロック機構40に対応して、上側へ隆起している。
【0021】
(プッシュプッシュ機構20について)
図2図6に示されるように、プッシュプッシュ機構20は、スリーブ22と、プッシュロッド30と、付勢部材としてのスプリング34と、を含んで構成されている。
【0022】
<スリーブ22について>
スリーブ22は、樹脂製とされると共に、全体として前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。スリーブ22は、ケース12の第1収容部14A内において挿通孔14Bと同軸上に配置されると共に、アッパケース16及びロアケース14によってケース12に固定されている。スリーブ22は、スリーブ22の前部(軸方向一方側部分)を構成する第1スリーブとしての小径筒部23と、スリーブ22の後部(軸方向他方側部分)を構成する第2スリーブとしての大径筒部24と、小径筒部23及び大径筒部24を連結する一対の連結部25と、を含んで構成されている。小径筒部23及び大径筒部24は、前後方向に離間して配置されている。これにより、スリーブ22の外周壁には、小径筒部23と大径筒部24との間において、カム孔26が形成されており、カム孔26は、スリーブ22の周方向全周に亘って形成されている。そして、カム孔26によって、後述するプッシュロッド30の移動をガイドするようになっている。
【0023】
小径筒部23の直径は、大径筒部24の直径よりも小さく設定されており、スリーブ22の軸方向から見て、小径筒部23が大径筒部24の径方向内側に配置されている。具体的には、小径筒部23の外径が、大径筒部24の内径と一致している。すなわち、スリーブ22の軸方向から見て、小径筒部23及び大径筒部24が、重ならない位置に配置されている。
【0024】
一対の連結部25は、スリーブ22の径方向外側に配置されると共に、スリーブ22の周方向に略180度離間して配置されて、小径筒部23及び大径筒部24を連結している。具体的には、一方の連結部25が、小径筒部23及び大径筒部24から上側へ突出し、他方の連結部25が、小径筒部23及び大径筒部24から下側へ突出している。連結部25は、連結本体部25Aと、第1脚部25Bと、第2脚部25Cと、を含んで構成されている。
【0025】
連結本体部25Aは、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略長尺プレート状に形成されている。第1脚部25Bは、連結本体部25Aの前端部における幅方向中間部からスリーブ22の径方向内側へ突出して、小径筒部23の前端部に接続されている。第2脚部25Cは、連結本体部25Aの後部からスリーブ22の径方向内側へ突出して大径筒部24の外周部に接続されている。これにより、連結部25によって小径筒部23及び大径筒部24が連結されている。
【0026】
図5及び図10に示されるように、カム孔26は、複数(本実施の形態では、2箇所)の第1カム孔部27と、複数(本実施の形態では、2箇所)の第2カム孔部28と、を含んで構成されている。第1カム孔部27は、スリーブ22の周方向一方側(図5及び図10の矢印A方向側)へ向かうに従い後側へ傾斜する方向に延在しており、第2カム孔部28は、スリーブ22の周方向一方側へ向かうに従い前側へ傾斜する方向に延在している。そして、第1カム孔部27及び第2カム孔部28が、スリーブ22の周方向に交互に配置されて、第1カム孔部27及び第2カム孔部28の前端部同士が接続されると共に、第1カム孔部27及び第2カム孔部28の後端部同士が接続されている。また、前述した連結部25の連結本体部25Aが、第2カム孔部28に対して、スリーブ22の径方向外側に配置されている。
【0027】
図10に示されるように、第1カム孔部27の幅方向一方側面(前面)は、小径側第1カム面27Aとして構成されており、第1カム孔部27の幅方向他方側面(後面)が、大径側第1カム面27Bとして構成されている。また、第2カム孔部28の幅方向一方側面が、小径側第2カム面28Aとして構成されており、第2カム孔部28の幅方向他方側面が、大径側第2カム面28Bとして構成されている。これにより、小径側第1カム面27A及び小径側第2カム面28Aが、小径筒部23の後端面によって構成され、大径側第1カム面27B及び大径側第2カム面28Bが、大径筒部24の前端面によって構成されている。
【0028】
カム孔26における幅方向一方側の内周面には、小径側第1カム面27Aの前端部と小径側第2カム面28Aの前端部との接続部において、第1保持部26Aが形成されている。第1保持部26Aは、スリーブ22の径方向から見て、スリーブ22の周方向一方側へ向かうに従い前側へ傾斜している。また、スリーブ22の周方向に対する第1保持部26Aの傾斜角度が、スリーブ22の周方向に対する小径側第2カム面28Aの傾斜角度よりも小さく設定されている。そして、第1保持部26Aと小径側第1カム面27Aとの接続部が、大径側第1カム面27Bの前端部に対してスリーブ22の周方向一方側に配置されている。この第1保持部26Aは、後述するプッシュロッド30を突出位置に保持する保持部として構成されている。
【0029】
カム孔26における幅方向一方側の内周面には、小径側第1カム面27Aの後端部と小径側第2カム面28Aの後端部との接続部において、第2保持部26Bが形成されている。第2保持部26Bは、後側へ開放された凹状に形成されている。具体的には、第2保持部26Bは、スリーブ22の径方向から見て、スリーブ22の周方向一方側へ向かうに従い前側へ傾斜している保持傾斜面26B1と、保持傾斜面26B1の前端部から後側へ延出し且つ小径側第2カム面28Aの後端部に接続された回転規制面26B2と、を含んで構成されている。この第2保持部26Bは、後述するプッシュロッド30を押込位置に保持する保持部として構成されている。
【0030】
カム孔26における幅方向他方側の内周面には、大径側第1カム面27Bの後端部と大径側第2カム面28Bの後端部との接続部において、ストッパ部26Cが形成されている。すなわち、第2保持部26Bとストッパ部26Cとが、前後方向に対向して配置されている。ストッパ部26Cは、スリーブ22の径方向から見て、凹凸状に形成されている。具体的には、ストッパ部26Cは、大径側第1カム面27Bの後端部から前側へ延出した第1ストッパ面26C1と、第1ストッパ面26C1の前端部からスリーブ22の周方向一方側且つ後側へ延出したストッパ傾斜面26C2と、ストッパ傾斜面26C2の後端部からスリーブ22の周方向一方側へ延出した水平面26C3と、水平面26C3の先端部から前側へ延出した第2ストッパ面26C4と、を含んで構成されている。そして、スリーブ22の周方向において、ストッパ部26Cの第1ストッパ面26C1が、第2保持部26Bの保持傾斜面26B1の長手方向中間部と重なる位置に配置されている。また、スリーブ22の周方向において、第2保持部26Bの回転規制面26B2が、ストッパ部26Cのストッパ傾斜面26C2の長手方向中間部と重なる位置に配置されている。
【0031】
図5図6、及び図10に示されるように、大径筒部24には、連結部25の第2脚部25Cとの接続部において、後述するプッシュロッド30のカム突起32を挿通させるための挿通溝29が形成されている。挿通溝29は、前後方向において、大径筒部24、連結本体部25A、及び第2脚部25Cを貫通している。具体的には、挿通溝29が、連結本体部25Aの幅方向中央部を貫通して、挿通溝29によって第2脚部25Cが2分割されている。また、挿通溝29の前端部が、スリーブ22の径方向において、カム孔26(第2カム孔部28)と重なる位置に配置されている。これにより、大径筒部24が、挿通溝29によって、径方向外側へ一部開放された円筒状に形成されている。また、挿通溝29によって、カム孔26における第2カム孔部28の一部が後側へ開放されると共に、大径側第2カム面28Bが分断されている。
【0032】
さらに、挿通溝29の溝幅は、第1脚部25Bの幅寸法よりも大きく設定されている。そして、前後方向から見て、第1脚部25Bが、挿通溝29の内部に配置されるように、第1脚部25Bと挿通溝29とが重なっている。
【0033】
(プッシュロッド30について)
図1図5に示されるように、プッシュロッド30は、前後方向を軸方向とし且つ後側へ開放された略有底円筒状に形成されている。プッシュロッド30は、スリーブ22の内部に収容されると共に、前後方向に移動可能に且つ軸回りに回転可能に小径筒部23に支持されている。また、プッシュロッド30の前方側部分(軸方向一方側)の部分は、ロアケース14の挿通孔14B内を挿通しており、プッシュロッド30の前端部が、パッド18から前側へ突出している。
【0034】
プッシュロッド30の先端部(前端部)には、係止部30Aが形成されており、係止部30Aはプッシュロッド30の軸方向を板厚方向とした略トラック形プレート状に形成されている。また、プッシュロッド30の外周部には、係止部30Aの後側において、プッシュロッド30よりも小径のくびれ部30Bが形成されている。
【0035】
図9にも示されるように、プッシュロッド30における後端部の外周部には、径方向外側へ突出した複数(本実施の形態では、2箇所)の突起部としてのカム突起32が一体に形成されている。一対のカム突起32は、プッシュロッド30の周方向に180度離間して配置されている。カム突起32は、プッシュロッド30の径方向から見て、略台形ブロック状に形成されている。具体的には、カム突起32は、プッシュロッド30の径方向から見て、プッシュロッド30の回転方向一方側(図5及び図9の矢印A方向側)へ向かうに従い前側へ傾斜した前側傾斜面32Aと、前側傾斜面32Aの後側に配置され且つプッシュロッド30の回転方向一方側へ向かうに従い後側へ傾斜した後側傾斜面32Bと、前後方向に延在され且つ前側傾斜面32Aの前端部及び後側傾斜面32Bの後端部を連結する第1連結面32Cと、前後方向に延在され且つ前側傾斜面32Aの後端部と後側傾斜面32Bの前端部とを連結する第2連結面32Dと、を含んで構成されている。
【0036】
カム突起32の幅寸法(第1連結面32Cと第2連結面32Dとの間の寸法)は、スリーブ22の挿通溝29の幅溝寸法よりも小さく設定されている。そして、プッシュロッド30がスリーブ22内に後側から挿入されることで、カム突起32が、挿通溝29を挿通して、スリーブ22のカム孔26内に配置されている。また、前側から見て、カム突起32の先端面(プッシュロッド30の径方向外側端面)が、大径筒部24の外周面に対して径方向外側へ僅かに突出するように、カム突起32がカム孔26内に配置されている(図8参照)。
【0037】
また、カム突起32の先端部には、第1連結面32Cの前端部において、ロッド側係合部32Eが形成されている。ロッド側係合部32Eは、略矩形ブロック状に形成され、カム突起32からプッシュロッド30の回転方向一方側へ突出すると共に、小径筒部23の径方向外側に配置されている。
【0038】
<スプリング34について>
図3図5に示されるように、スプリング34は、圧縮コイルスプリングとして構成されている。スプリング34は、スリーブ22の後端部内に配置されており、スプリング34の前端部が、プッシュロッド30の後端部に係止され、スプリング34の後端部が、ロアケース14における第1収容部14Aの後壁に係止されている。これにより、スプリング34が、プッシュロッド30を前側(軸方向一方側であり、突出方向ともいう)へ付勢して、プッシュロッド30におけるカム突起32の前端部(前側傾斜面32Aと第1連結面32Cとの境界部分)が、カム孔26の幅方向一方側面に当接する構成になっている。一方、プッシュロッド30をスプリング34の付勢力に抗して後側(軸方向他方側であり、押込方向ともいう)へ押圧することで、カム突起32の後端部(後側傾斜面32Bと第1連結面32Cとの境界部分)がカム孔26の幅方向他方側面に当接するようになっている。
【0039】
そして、スプリング34の付勢力によって、プッシュロッド30の押込位置では、カム突起32がカム孔26の第2保持部26Bに保持され、プッシュロッド30の突出位置では、カム突起32がカム孔26の第1保持部26Aに保持される構成になっている。また、プッシュロッド30の前側には、車両の給油口を開閉するためのフューエルリッド(図示省略)が設けられている。そして、給油口を閉塞するように、フューエルリッドがプッシュロッド30を押込位置に押込むことで、プッシュロッド30の係止部30Aがフューエルリッドと係合して、フューエルリッドの閉塞状態が維持されるようになっている。一方、プッシュロッド30の押込位置において、フューエルリッドを押込むと、プッシュロッド30が突出位置に突出されると共に、フューエルリッドの閉塞状態が解除される構成になっている。
【0040】
(ロック機構40について)
図2図4に示されるように、ロック機構40は、ロアケース14の第2収容部14C内に収容されている。ロック機構40は、押込位置に配置されたプッシュロッド30の突出位置への移動を規制する機構として構成されている。ロック機構40は、モータ42と、検知スイッチ46と、ロック部材50と、を含んで構成されている。
【0041】
<モータ42について>
モータ42は、前後方向を軸方向として配置されており、モータ42のモータ本体42Aが、ロアケース14のモータ収容部14F内に収容されて、ロアケース14及びアッパケース16に固定されている。すなわち、モータ本体42Aが、スリーブ22及びプッシュロッド30の左側で且つ後側に配置されている。モータ42の出力軸42Bは、モータ本体42Aから前側へ延出されて、ロアケース14のロック部材収容部14E内に配置されている。すなわち、モータ42の出力軸42Bが、スリーブ22及びプッシュロッド30の左側において平行に配置されている。なお、モータ本体42Aの後端部には、一対のモータターミナル44の一端部が接続されており、モータターミナル44は、所定の形状に屈曲されて、モータターミナル44の他端部が、コネクタ部14Dの内部に配置されている。そして、モータターミナル44が、制御部60(図2参照)に電気的に接続されており、制御部60によってモータ42が駆動する構成になっている。
【0042】
<検知スイッチ46について>
検知スイッチ46は、モータ本体42Aの上側に配置されて、アッパケース16に固定されている。すなわち、モータ本体42A及び検知スイッチ46が、前後方向において重なる位置に配置されると共に、ケース12の第2収容部14Cに収容されている。検知スイッチ46は、プッシュ式のスイッチとして構成されている。具体的には、検知スイッチ46は、スイッチ本体46Aと、スイッチ本体46Aから前側へ突出したスイッチ部46Bと、を含んで構成されている。なお、検知スイッチ46には、一対のスイッチターミナル48の一端部が接続されており、スイッチターミナル48は、所定の形状に屈曲されて、スイッチターミナル48の他端部が、コネクタ部14Dの内部に配置されている。そして、スイッチターミナル48が、制御部60に電気的に接続されており、スイッチ部46Bが後側へ押圧されることで、オン信号を制御部60へ出力する構成になっている。
【0043】
<ロック部材50について>
図2図4図7、及び図8に示されるように、ロック部材50は、固定部51と、ロック部53と、スイッチ操作部55と、手動操作部56と、ロック保持部57と、を含んで構成されている。
【0044】
固定部51は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。そして、モータ42の出力軸42Bが固定部51内に嵌入されて、固定部51が出力軸42Bに一体回転可能に固定されている。これにより、モータ42が駆動することで、ロック部材50が、アンロック位置(図8(B)に示される位置)と、ロック位置(図8(A)に示される位置)と、の間を回転するようになっている。以下の説明では、ロック部材50のアンロック位置として説明する。また、固定部51の前端側部分には、ロックアーム52が一体に形成されており、ロックアーム52は、固定部51から上側へ延出している。
【0045】
ロック部53は、ロックアーム52の先端部(上端部)に形成されると共に、ロックアーム52から右側へ突出した略矩形ブロック状に形成されている。ロック部53の前端部には、係合溝54(図7参照)が形成されており、係合溝54は、下側及び前側へ開放されている。また、係合溝54の前側開口部には、切欠部54A(図7参照)が形成されており、切欠部54Aによって係合溝54の前側開口部が、右側へ開放されている。
【0046】
そして、図8(A)及び図9に示されるように、ロック部材50のロック位置では、ロック部53の先端部が、スリーブ22のカム孔26内に配置されると共に、押込位置におけるプッシュロッド30のカム突起32に対してプッシュロッド30の回転方向一方側に隣接配置される設定になっている。これにより、押込位置におけるプッシュロッド30の回転方向一方側への回転が規制される構成になっている。また、ロック部材50のロック位置では、カム突起32のロッド側係合部32Eが係合溝54内に配置される設定になっている。このため、プッシュロッド30を後側へ移動させると、ロッド側係合部32Eが係合溝54に係合して、プッシュロッド30の後側への移動が規制される構成になっている。すなわち、ロック部材50のロック位置では、スリーブ22の径方向から見て、ロック部53が、カム孔26と重なる位置に配置されて、プッシュロッド30と係合する構成になっている。
【0047】
図3図4、及び図7に示されるように、スイッチ操作部55は、ロックアーム52の先端部から後側へ延出された柱状に形成されており、スイッチ操作部55の後端部が右側へ屈曲している。スイッチ操作部55の後端部は、スイッチ押圧部55Aとして構成されている。また、スイッチ押圧部55Aの後面には、右端部において、傾斜面55Bが形成されており、傾斜面55Bは、平面視で、右側へ向かうに従い前側へ傾斜している。そして、ロック部材50のアンロック位置では、スイッチ押圧部55Aが検知スイッチ46のスイッチ部46Bを押圧しない状態で、スイッチ操作部55が検知スイッチ46の左側に配置されている(図3参照)。一方、ロック部材50のロック位置では、スイッチ操作部55の後面によって、検知スイッチ46のスイッチ部46Bが後側へ押圧される設定になっている。
【0048】
手動操作部56は、ロックアーム52の先端部から上側へ延出された略矩形柱状に形成されている。手動操作部56は、アッパケース16に形成された操作溝16A内を挿通しており、手動操作部56の先端部が、アッパケース16の外部に手動操作可能に露出されている(図1参照)。
【0049】
図2図7、及び図8に示されるように、ロック保持部57は、固定部51の下側に配置されると共に、左側から見て、略L字形板状に形成されている。具体的には、ロック保持部57は、上下方向を板厚方向とし且つ前後方向に延在された矩形板状の保持本体部57Aと、保持本体部57Aの後端部から上側へ突出した接続部57Bと、を含んで構成されており、接続部57Bが、固定部51に接続されている。保持本体部57Aの先端部には、下側へ突出した当接部57Cが一体に形成されており、当接部57Cは、下側へ凸となる略半球状に形成されている。また、ロック保持部57は、上下方向に弾性変形可能に構成されている。すなわち、ロック保持部57は、所謂板バネとして構成されている。そして、ロック部材50のロック位置及びアンロック位置の何れの位置においても、当接部57Cがロアケース14の隆起部14Hに当接して、ロック保持部57が上側へ弾性変形している(図8参照)。これにより、ロック部材50が、ロック位置及びアンロック位置に保持される構成になっている。
【0050】
(作用及び効果について)
次に、図10を用いてリッド開閉装置10の動作を説明しつつ、本実施の形態の作用及び効果について説明する。なお、図10では、押込位置に配置されたプッシュロッド30のカム突起32が実線にて図示されている。また、2点鎖線にて記載されたカム突起32は、プッシュロッド30の各動作位置に対応するカム突起32を示しており、実線にて示されたカム突起32と区別するために、2点鎖線にて示されたカム突起32の符号にハイフンを付している。
【0051】
(プッシュロッド30の押込位置から突出位置への動作について)
プッシュロッド30の押込位置では、フューエルリッドが車両の給油口を閉じた閉状態になっており、プッシュロッド30の係止部30Aがフューエルリッドと係合して、フューエルリッドの閉状態が維持されている。また、この状態では、プッシュロッド30のカム突起32の前端部が、スリーブ22の第2保持部26B内に配置されて、プッシュロッド30が押込位置に保持されている。具体的には、カム突起32の前端部が、第2保持部26Bの保持傾斜面26B1に当接して、プッシュロッド30の前側への移動が規制されると共に、カム突起32の第1連結面32Cが、第2保持部26Bの回転規制面26B2に当接して、プッシュロッド30の回転方向一方側への回転が規制されている。さらに、この状態では、ロック部材50がロック位置に配置されており、ロック部材50のロック部53とプッシュロッド30のカム突起32とが係合している(図8(A)及び図9参照)。これにより、プッシュロッド30の押込方向への移動が、ロック部材50によって規制されている。
【0052】
この状態で、制御部60によってモータ42を駆動させて、ロック部材50をロック位置からアンロック位置へ回転させる(図8(B)参照)。これにより、ロック部材50のロック部53とプッシュロッド30のカム突起32とが係合状態が解除されて、プッシュロッド30の押込方向への移動が、許可された状態になる。
【0053】
ロック部材50のアンロック位置への回転後、フューエルリッドを押込方向へ押込むと、フューエルリッドを介してプッシュロッド30が後側へ押込まれる。これにより、プッシュロッド30のカム突起32が後側へ変位して、カム突起32の後端部が、スリーブ22のストッパ傾斜面26C2に当接する。プッシュロッド30がさらに押込まれると、カム突起32の後端部が、スリーブ22のストッパ傾斜面26C2及び水平面26C3上を摺動して、プッシュロッド30が回転方向一方側へ回転する。そして、カム突起32が、スリーブ22の第2ストッパ面26C4に到達して、第2ストッパ面26C4に当接すると、プッシュロッド30の回転方向一方側への回転が規制される(図10において2点鎖線にて示されるカム突起32-1を参照)。
【0054】
カム突起32の第2ストッパ面26C4への到達時には、カム突起32の前端部が、第2カム孔部28の小径側第2カム面28Aの後側に配置される。このため、この状態で、フューエルリッドに対する押込みを解除すると、スプリング34の付勢力によってプッシュロッド30が前側へ移動して、カム突起32の前端部が、小径側第2カム面28Aに当接する。そして、カム突起32の前端部が、小径側第2カム面28A上を摺動しながら、カム突起32が第2カム孔部28の後端部から前端部へと移動する(図10において2点鎖線にて示されるカム突起32-2を参照)。これにより、プッシュロッド30が、回転方向一方側へ回転しながら、突出方向側へ移動する。したがって、プッシュロッド30の係止部30Aとフューエルリッドとの係合状態が解除されると共に、プッシュロッド30によって、フューエルリッドが前側へ押圧されて、車両の給油口が開かれる。
【0055】
そして、プッシュロッド30が突出位置へ到達すると、カム突起32の前端部がスリーブ22の第1保持部26Aに当接して、プッシュロッド30の突出方向への移動が規制される。これにより、プッシュロッド30が、突出位置に保持される(図10において2点鎖線にて示されるカム突起32-3を参照)。
【0056】
(プッシュロッド30の突出位置から押込位置への動作について)
フューエルリッドが給油口を開いている状態では、プッシュロッド30が突出位置に配置されると共に、カム突起32の前端部が、カム孔26の第1保持部26Aに当接している(図10において2点鎖線にて示されるカム突起32-4を参照)。この状態で、フューエルリッドを閉じると、フューエルリッドがプッシュロッド30の前端部を後側へ押込む。これにより、プッシュロッド30がスプリング34の付勢力に抗して突出位置から後側へ変位して、カム突起32の後端部が、カム孔26における第1カム孔部27の大径側第1カム面27Bに当接する。フューエルリッドによってプッシュロッド30を押込方向へさらに押込むと、カム突起32の後端部が、大径側第1カム面27B上を摺動しながら、カム突起32が第1カム孔部27の前端部から後端部へ移動する(図10において2点鎖線にて示されるカム突起32-5を参照)。これにより、プッシュロッド30が、回転方向一方側へ回転しつつ、押込方向へ移動する。また、このときには、プッシュロッド30の係止部30Aがフューエルリッドと係合する。
【0057】
そして、カム突起32が、カム孔26のストッパ部26Cに到達すると、カム突起32の第1連結面32Cがストッパ部26Cの第1ストッパ面26C1に当接して、カム突起32の後側への移動及び回転方向一方側への回転が規制される(図10において2点鎖線にて示されるカム突起32-6を参照)。さらに、この状態では、カム孔26における第2保持部26Bの保持傾斜面26B1が、カム突起32の前端部の前側に配置されている。このため、フューエルリッドによる押込みを解除すると、スプリング34の付勢力によってプッシュロッド30が前側へ変位して、カム突起32の前端部が、第2保持部26Bの保持傾斜面26B1に当接すると共に、保持傾斜面26B1に沿って前側且つ回転方向一方側へ摺動する。これにより、カム突起32の前端部が、第2保持部26Bの保持傾斜面26B1に当接して、プッシュロッド30の前側への移動が規制されると共に、カム突起32の第1連結面32Cが、第2保持部26Bの回転規制面26B2に当接して、プッシュロッド30の回転方向一方側への回転が規制される(図10において実線にて示されるカム突起32を参照)。
【0058】
この状態において、制御部60によってモータ42を駆動させて、ロック部材50をアンロック位置からロック位置へ回転させる。これにより、ロック部材50のロック部53とプッシュロッド30のカム突起32とが係合して、プッシュロッド30の押込方向側への移動及び回転方向一方側への回転が規制された状態になる。したがって、プッシュロッド30が押込位置に保持されると共に、フューエルリッドの閉状態が維持される。
【0059】
なお、ロック位置におけるロック部53の先端部が、押込位置におけるプッシュロッド30のカム突起32に対してプッシュロッド30の回転方向一方側に隣接配置されている。このため、プッシュロッド30が突出位置にある状態において、何等かの原因によってロック部材50がロック位置へ回転しても、プッシュロッド30は押込位置まで移動可能となる。すなわち、プッシュロッド30の突出位置から押込位置への動作時に、カム突起32は、ロック部53に干渉することはなく、第1保持部26Aから第1カム孔部27を通って、ロック部53の回転方向他方側から第2保持部26Bまで移動可能する。このような場合においても、ロック部53とカム突起32とが係合した状態となり、プッシュロッド30の押込方向側への移動及び回転方向一方側への回転が規制された状態となる。したがって、フューエルリッドが開状態から閉じることができずに、開状態で維持される事態を防ぐことができる。
【0060】
このように、本実施の形態のリッド開閉装置10では、プッシュロッド30が軸方向に移動可能に且つ軸回りに回転可能にスリーブ22に支持されている。また、スリーブ22は、カム孔26を有しており、プッシュロッド30のカム突起32がカム孔26に相対移動可能に挿入されている。そして、プッシュロッド30の押込位置と突出位置との間の往復移動時には、カム突起32がカム孔26によってガイドされて、プッシュロッド30が、回転方向一方側へ回転する。
【0061】
ここで、リッド開閉装置10は、ロック部材50を有しており、ロック部材50は、ロック位置とアンロック位置との間を移動可能に構成されている。また、ロック部材50は、ロック位置において、プッシュロッド30のカム突起32に係合するロック部53を有しており、ロック部53がカム突起32に係合することで、押込位置におけるプッシュロッド30の回転方向一方側への回転が規制される。このため、ロック部材50のロック位置では、スリーブ22の径方向から見て、ロック部53がカム孔26に重なる位置に配置されている。これにより、スリーブ22の径方向から見て、ロック部53がカム孔26に重なる位置に配置されない構成と比べて、前後方向におけるリッド開閉装置10の小型化を図ることができる。
【0062】
すなわち、例えば、背景技術に記載のリッド開閉装置のように、プッシュロッドにおいて、ロック部材と係合するロック溝を形成する構造(以下、この構造を比較例のリッド開閉装置という)でも、プッシュロッドの回転をロック部材によって規制することができる。この場合には、背景技術に記載のリッド開閉装置のように、例えば、プッシュロッドを後側へ延ばして、上記ロック溝をプッシュロッドの後端部に形成する。そして、プッシュロッドの押込位置において、当該ロック溝をスリーブの後側に露出させて、ロック部材をロック溝に係合させる。これにより、比較例のリッド開閉装置では、プッシュロッドの軸長が長くなり、リッド開閉装置の体格が大型化する可能性がある。
【0063】
これに対して、本実施の形態のリッド開閉装置10では、上述のように、ロック部材50のロック位置において、スリーブ22の径方向から見て、ロック部53が、カム孔26に重なる位置に配置されて、カム突起32と係合する。つまり、プッシュロッド30におけるスリーブ22のカム孔26から露出された部位に、ロック部材50が係合する。これにより、上記の比較例のリッド開閉装置と比べて、プッシュロッド30の軸方向の長さを短くすることができる。したがって、プッシュロッド30の小型化を行うことができると共に、リッド開閉装置10の小型化を行うことができる。
【0064】
また、ロック部材50のロック位置では、ロック部53の一部がスリーブ22のカム孔26内に配置されて、カム突起32と係合する。これにより、例えば、カム突起32をスリーブ22の径方向外側へ突出させて、スリーブ22の径方向外側において、ロック部53とカム突起32と係合させる構成と比べて、スリーブ22の径方向におけるリッド開閉装置10の小型化を図ることができる。
【0065】
また、上述のように、ロック部材50のロック位置において、ロック部53が、プッシュロッド30のカム突起32に係合する。このため、プッシュロッド30の軸方向の移動時に、プッシュロッド30の回転を誘導させるためのカム突起32を活用して、ロック部53をプッシュロッド30に係合させることができる。これにより、プッシュロッド30を簡易な形状にしつつ、リッド開閉装置10の小型化を図ることができる。また、カム突起32は、プッシュロッド30の外周部から突出している。このため、例えば、プッシュロッド30の外周部に凹部や孔部を形成し、当該凹部や孔部にロック部53を係合させる構成と比べて、プッシュロッド30の強度を高くすることができる。
【0066】
また、ロック部材50は、モータ42の出力軸42Bに固定された固定部51と、固定部51から出力軸42Bの径方向に延出されたロックアーム52と、ロックアーム52の先端部に形成されたロック部53と、を含んで構成されている。そして、出力軸42Bが、プッシュロッド30の左側において、プッシュロッド30と平行に配置されている。これにより、上記比較例のリッド開閉装置と比べて、プッシュロッド30の左側において、モータ42全体を前側に寄せて配置することができる。したがって、モータ42を含むリッド開閉装置10の前後方向の体格の小型化を図ることができる。また、モータ42とプッシュロッド30とが平行に配置されているため、リッド開閉装置10の左右方向における体格の小型化を行うことができる。
【0067】
また、ロック部材50は、検知スイッチ46を押圧操作可能に構成されたスイッチ操作部55を有しており、スイッチ操作部55は、ロックアーム52から後側(プッシュロッド30の軸方向他方側)へ延出している。これにより、前後方向において、検知スイッチ46とモータ本体42Aとを重なる位置に配置することができる。すなわち、モータ42と検知スイッチ46とを、ケース12の第2収容部14Cに集約して配置することができる。したがって、リッド開閉装置10の体格を効果的に小型化することができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、プッシュロッド30の押込位置において、ロック部材50のロック部53がプッシュロッド30のカム突起32に係合して、プッシュロッド30の回転方向一方側への回転が規制される構成になっているが、ロック部材50のプッシュロッド30の回転を規制する構成はこれに限らない。例えば、プッシュロッド30の押込位置において、カム孔26から露出されるプッシュロッド30の外周部に、凹部や孔部を形成して、当該凹部や孔部とロック部53とを係合させて、プッシュロッド30の回転方向一方側への回転を規制する構成にしてもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、ロック部材50のロック位置において、ロック部53の一部がスリーブ22のカム孔26内に配置されて、カム突起32と係合する。これに代えて、カム突起32をスリーブ22の径方向外側へ突出させて、スリーブ22の径方向外側において、ロック部53とカム突起32と係合させてもよい。
【0070】
また、本実施の形態では、ロック部材50のロック部53が、プッシュロッド30のカム突起32に対して、プッシュロッド30の回転方向一方側に隣接配置されて、プッシュロッド30の回転方向一方側への回転が規制されている。また、プッシュロッド30のカム突起32にロッド側係合部32Eが形成され、ロック部材50のロック部53に係合溝54及び切欠部54Aが形成され、ロッド側係合部32Eが係合溝54に係合することで、プッシュロッド30の後側への移動が規制されている。すなわち、ロック部材50によって、プッシュロッド30の回転方向一方側への回転及び後側への移動が規制されている。これに代えて、ロック部材50によって、プッシュロッド30の回転方向一方側への回転又は後側への移動を規制するように構成してもよい。例えば、カム突起32においてロッド側係合部32Eを省略し、ロック部53において係合溝54及び切欠部54Aを省略して、ロック部材50によってプッシュロッド30の回転方向一方側への回転のみを規制するように構成してもよい。この場合でも、プッシュロッド30の押込位置から突出位置側への移動を規制することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 リッド開閉装置
22 スリーブ
26 カム孔
30 プッシュロッド
32 カム突起(突起部)
42 モータ
42A モータ本体
42B 出力軸
46 検知スイッチ
50 ロック部材
51 固定部
52 ロックアーム
53 ロック部
55 スイッチ操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10