(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】基板作業機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20240723BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
H05K13/08 T
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2020191708
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻山 岳史
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152235(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154761(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して作業を実行する基板作業機であって、
前記基板を前記基板作業機内の作業位置に搬送する搬送装置と、
前記作業位置に位置するときの前記基板の下方に配置されるバックアッププレートと、
前記バックアッププレートの上面に着脱可能に載置され、上方に向かって光を照射する照明部と、
前記作業位置に位置するときの前記基板の上方に配置され、前記基板からの光を検知する光検知部と、を備え
、
前記照明部は、バッテリを備えており、
前記基板作業機は、前記バッテリの残量に基づいて、前記照明部を前記バックアッププレートの上面に載置する移動機構をさらに備える、基板作業機。
【請求項2】
前記照明部は、前記作業位置に位置するときの前記基板の下方となる領域内に設定された配置位置と、前記基板の下方となる領域外に設定された待機位置との間で移動可能に構成される、請求項1に記載の基板作業機。
【請求項3】
前記バックアッププレートの上面に着脱可能に載置され、前記基板が前記作業位置に位置するときに、前記基板の裏面に当接して前記基板を支持するバックアップピン
をさらに備えており、
前記移動機構は、前記照明部を移動可能である共に、前記バックアップピンを移動
可能に構成されている、請求項1又は2に記載の基板作業機。
【請求項4】
前記バッテリの残量を検出可能な検出部をさらに備えている、請求項
1~3のいずれか一項に記載の基板作業機。
【請求項5】
前記照明部は、前記バッテリの残量を表示する表示部を備え、
前記基板作業機は、前記表示部を撮像する撮像装置をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、基板作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対して所定の作業を実行する基板作業機(例えば、部品実装機等)では、基板が基板作業機内の所定の位置に搬送され、基板への作業が実行される。基板が基板作業機内の適切な位置に正確に位置しているか否かを判定するために、基板作業機は、基板に設けられた貫通孔の位置を検出し、検出した貫通孔の位置を基準として基板の位置を判定することがある。また、基板に設けられた貫通孔に電子部品のリード等の部材を挿入する場合には、貫通孔の位置を正確に検出する必要が生じることがある。例えば、特許文献1には、基板の下方から基板の裏面に向かって光を照射する照明部を備える基板作業機が開示されている。照明部は基板の裏面に光を照射し、貫通孔を通過した光を基板の上方に配置されたカメラで検出することにより、基板に設けられた貫通孔の位置が特定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、基板に設けられた貫通孔の位置を検出するために、基板の下方に基板の裏面に向かって光を照射する照明部が設けられている。特許文献1では、照明部は、基板の下方に固定的に設置され、基板下方から取り外すことができない。しかしながら、基板作業機で作業される基板には、貫通孔が設けられていない基板もあり、全ての基板に対して貫通孔の位置を検出する必要があるわけではない。特許文献1では、基板の貫通孔の位置を特定する必要がない場合にも、照明部は基板の下方に配置された状態となる。例えば、基板作業機の作業対象となる基板は、当該基板の下方に配置されたバックアップピン等で下方から支持されることがある。基板の下方に不要な部材が設置されていると、他の部材(例えば、バックアップピン等)の配置を制限することとなる。
【0005】
本明細書は、基板に設けられた貫通孔の位置を適切に検出する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する基板作業機は、基板に対して作業を実行する。基板作業機は、基板を基板作業機内の作業位置に搬送する搬送装置と、作業位置に位置するときの基板の下方に配置されるバックアッププレートと、バックアッププレートの上面に着脱可能に載置され、上方に向かって光を照射する照明部と、作業位置に位置するときの基板の上方に配置され、基板からの光を検知する光検知部と、を備える。
【0007】
上記の基板作業機では、照明部をバックアッププレートの上面に配置すると、照明部は、基板が作業位置に位置するときに基板の裏面に適切に光を照射することができる。これにより、照明部から照射される光は、基板に設けられる貫通孔を通過し、基板の上方に配置された光検知部で検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1、2に係る基板作業機の一例である、部品実装機の概略構成を示す図。
【
図5】回路基板の貫通孔を検出する処理の一例を示すフローチャート。
【
図6】実施例1の照明部の他の一例の概略構成を示す図。
【
図7】実施例2の照明部の一例の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
本明細書に開示する基板作業機では、基板が作業位置に位置するときに、照明部が基板の裏面に光を照射することにより、貫通孔の位置を適切に検出することができる。また、照明部は、バックアッププレートの上面に着脱可能である。このため、基板の貫通孔の位置を検知する際は、バックアッププレートの上面に照明部を載置し、基板の貫通孔の位置を検知する必要がないときは、照明部はバックアッププレートの上面から取り外される。このように、基板の下方のバックアッププレートの上面に照明部を載置しない状態とすることができる。これによって、照明部が他の作業の邪魔となることを抑制することができる。
【0011】
本明細書に開示する基板作業機では、照明部は、作業位置に位置するときの基板の下方となる領域内に設定された配置位置と、基板の下方となる領域外に設定された待機位置との間で移動可能に構成されていてもよい。このような構成によると、照明部がバックアッププレートの上面に載置された状態と、照明部がバックアッププレートの上面に載置されていない状態とに容易に変更することができる。
【0012】
本明細書に開示する基板作業機は、バックアッププレートの上面に着脱可能に載置され、基板が作業位置に位置するときに、基板の裏面に当接して基板を支持するバックアップピンと、バックアップピンを移動させる移動機構と、をさらに備えていてもよい。照明部は、移動機構によって移動可能に構成されていてもよい。このような構成によると、照明部を、バックアップピンを移動するための移動機構で移動することができる。このため、照明部を移動するための機構を追加することなく、照明部を所望の位置に配置することができる。
【0013】
本明細書に開示する基板作業機では、照明部は、バッテリを備えていてもよい。このような構成によると、バッテリを備えることにより、照明部には、外部から電力を常時供給する必要がない。このため、照明部に、電力を供給するための配線等の構成を設ける必要がなく、照明部を所望の位置に容易に移動することができる。
【0014】
本明細書に開示する基板作業機は、バッテリの残量を検出可能な検出部をさらに備えていてもよい。このような構成によると、バッテリの残量を把握することができ、バッテリ切れを回避できる。
【実施例】
【0015】
(実施例1)
図面を参照して、実施例に係る基板作業機について説明する。ここで、基板作業機の一例として、部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。回路基板2は、部品実装ラインの一端から他端に向かって送られる。回路基板2には、各部品実装機10において、予め定められた電子部品4が実装される。部品実装ラインの他端まで送られた回路基板2は、最終製品として出荷、又は半製品として後工程に送られる。
【0016】
図1及び
図2に示すように、部品実装機10は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、把持装置26と、撮像装置30と、基板コンベア20と、ピン収容部32と、基板支持装置34と、制御装置22と、タッチパネル24を備える。部品実装機10の外部には、部品実装機10と通信可能に構成された管理装置8が配置されている。各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、巻テープ上に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、又は、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
【0017】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。
【0018】
装着ヘッド16は、電子部品4を吸着する吸着ノズル6を有する。吸着ノズル6は、装着ヘッド16に着脱可能に取り付けられている。装着ヘッド16は、吸着ノズル6をZ方向(ここでは鉛直方向)に移動可能であり、部品フィーダ12や回路基板2に対して、吸着ノズル6を接近及び離反させる。装着ヘッド16は、部品フィーダ12から電子部品4を吸着ノズル6によって吸着すると共に、吸着ノズル6に吸着された電子部品4を回路基板2上に装着することができる。なお、装着ヘッド16は、単一の吸着ノズル6を有するものに限られず、複数の吸着ノズル6を有するものであってもよい。
【0019】
ヘッド移動装置18は、部品フィーダ12とピン収容部32との間で、装着ヘッド16、把持装置26及び撮像装置30を移動させる。一例ではあるが、本実施例のヘッド移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットであり、移動ベース18aに対して装着ヘッド16が固定されている。また、移動ベース18aには、把持装置26及び撮像装置30が固定されており、装着ヘッド16、把持装置26及び撮像装置30は移動ベース18aの移動と共に一体的に移動する。なお、装着ヘッド16は、移動ベース18aに固定されるものに限られず、移動ベース18aに着脱可能に取り付けられるものであってもよい。
【0020】
把持装置26は、移動ベース18aに固定されており、移動ベース18aと一体的に移動する。把持装置26は、把持部28を備えている。把持部28は、爪部28a、28bによって構成されている。爪部28a、28bは図示しないアクチュエータによって駆動され、爪部28a、28bの間が近接離間可能となっている。爪部28a、28bが駆動されることによって、後述するバックアップピン38又は照明部50を爪部28a、28bで把持することができる。把持装置26は、移動ベース18aが移動することによって、ピン収容部32と基板支持装置34との間を移動する。また、把持装置26は、Z方向(鉛直方向)に移動可能であり、ピン収容部32や基板支持装置34に対して把持部28を接近及び離間させる。把持装置26は、ピン収容部32に収容されるバックアップピン38又は照明部50を把持すると共に、把持装置26に把持されたバックアップピン38又は照明部50を所定の配置位置に配置する。また、把持装置26は、所定の配置位置に配置されるバックアップピン38又は照明部50を把持すると共に、把持装置26に把持されたバックアップピン38又は照明部50をピン収容部32に移動させる。
【0021】
撮像装置30は、移動ベース18aに固定されており、移動ベース18aと一体的に移動する。撮像装置30は、カメラと、照明用光源(図示省略)と、プリズム(図示省略)を備える。カメラは、下方に向かって配置されており、回路基板2の上面を撮像する。カメラには、例えばCCDカメラが用いられる。照明用光源は、LEDにより構成されており、回路基板2の撮像面(本実施例ではXY平面)を照らす。プリズムは、カメラの光軸を撮像対象に合わせる。照明用光源により回路基板2の上面が照らされ、その反射光がプリズムで反射してカメラに導かれることで、カメラは回路基板2の上面を撮像する。撮像装置30によって撮像された画像の画像データは、制御装置22のメモリ(図示省略)に記憶される。
【0022】
基板コンベア20は、回路基板2をX方向へ搬送する。基板コンベア20は、Y方向に間隔を空けて配置され、X方向に平行に伸びる一対のコンベアで構成される。基板コンベア20は、一方側に隣接する部品実装機(又は、はんだ印刷機等の他の基板作業機)から回路基板2を受け取り、予め設定された部品実装位置まで搬送する。回路基板2に対する電子部品4の実装が完了すると、基板コンベア20は、他方側に隣接する部品実装機(又は、基板検査機等の他の基板作業機)へ回路基板2を送り出す。本実施例の基板コンベア20は、コンベアベルトをモータによって駆動するベルトコンベア(図示省略)であるが、基板コンベア20の具体的な構成については、特に限定されない。例えば、基板コンベア20はローラコンベアであってもよい。また、一対の基板コンベア20は、アクチュエータ(図示省略)の駆動によってY方向に移動し、互いに近接離間が可能となっている。
【0023】
ピン収容部32は、一対の基板コンベア20のうち、フィーダ保持部14から離れた位置に配置される基板コンベア20の外側(すなわち、+Y方向側に配置される基板コンベア20のさらに+Y方向側)に固定されている。ピン収容部32には、バックアップピン38及び照明部50が収容可能とされており、具体的な構成については特に限定されない。ピン収容部32に収容されたバックアップピン38及び照明部50は、把持装置26によって把持され、基板支持装置34上に配置可能となっている。また、基板支持装置34上に配置されたバックアップピン38及び照明部50は、把持装置26によって把持され、ピン収容部32に収容可能となっている。なお、バックアップピン38及び照明部50については後に詳述する。
【0024】
基板支持装置34は、基板コンベア20上の回路基板2を下方から支持する装置である。基板支持装置34は、バックアッププレート36上に配置された複数のバックアップピン38を備え、バックアッププレート36を上昇させることでバックアップピン38を回路基板2の下面に当接させ、バックアップピン38によって回路基板2を下方から支持する。複数のバックアップピン38の配置位置は、実装処理を行う回路基板2の回路パターンに応じて変更可能となっている。
【0025】
制御装置22は、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータを用いて構成されている。制御装置22は、管理装置8から送信される生産プログラムに基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。
図3に示すように、制御装置22は、ヘッド移動装置18、把持装置26、撮像装置30、基板コンベア20及びタッチパネル24と接続しており、ヘッド移動装置18、把持装置26、撮像装置30、基板コンベア20及びタッチパネル24の各部を制御している。タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。
【0026】
ここで、バックアップピン38及び照明部50について説明する。
図4に示すように、バックアップピン38は、円柱状の基台40と、基台40の上面から突出するピン42を備えている。バックアップピン38は、把持装置26によってピン42が把持されることによって、バックアッププレート36上の支持位置とピン収容部32内の待機位置との間を移動する。なお、本実施例では、バックアップピン38の基台40は円柱状であるが、ピン収容部32内に収容可能な形状であればよく、基台40の形状は特に限定されない。
【0027】
図4に示すように、照明部50は、円柱状の基台52と、基台52の上面から突出する突出部54と、突出部54の上面に設置されるライト56と、バッテリ57と、表示部58を備えている。
【0028】
基台52は、バックアップピン38の基台40と同様の形状を有している。突出部54は、平面視したときにバックアップピン38のピン42と同様の形状であり、ピン42より高さ方向の寸法が小さくされている。このため、突出部54の先端が回路基板2の下面に当接することはなく、回路基板2の下面から所定の距離だけ離れた位置にライト56を配置することができる。なお、照明部50は、バックアップピン38と類似した形状を有することからバックアップピン型であると言え、照明部50は、ピン収容部32内に収容可能な形状を有している。照明部50は、把持装置26によって突出部54が把持されることによって、バックアッププレート36上の配置位置とピン収容部32内の待機位置との間を移動する。ライト56は、突出部54の上面に配置されると共に、上方に向かって光を照射するように設けられている。したがって、照明部50が配置位置に配置されると、ライト56は、配置位置の上方の回路基板2の裏面を照明する。
【0029】
なお、本実施例では、基台52は円柱状であるが、ピン収容部32内に収容可能な形状であればよく、基台52の形状は特に限定されない。また、本実施例では、突出部54はバックアップピン38のピン42の高さ方向の寸法を小さくした形状を有しているが、その上面にライト56を設置可能であると共に、把持装置26によって把持可能であればよく、突出部54の形状は特に限定されない。
【0030】
照明部50は、回路基板2が部品実装機10内の所定の位置に搬送されたときに、回路基板2の下方となるバックアッププレート36上の位置に配置される。さらに具体的には、照明部50は、回路基板2に設けられる貫通孔2aの下方となる位置に配置される(
図4参照)。回路基板2が部品実装機10内に搬送されると、撮像装置30を貫通孔2aの上方に移動させ、貫通孔2aを上方から撮影する。このとき、照明部50のライト56によって貫通孔2aは下方から照明されている。これにより、撮像装置30は、貫通孔2aを正確に撮像できる。例えば、貫通孔2aは、回路基板2の表面側から打ち抜き等によって形成されるため、一般的に、回路基板2の表面側より裏面側のほうが僅かに小さくなっていることが多い。回路基板2の表面側を照明した場合には、撮像装置30で撮像した画像から、貫通孔2aの上面側の輪郭は正確に検出できる。一方で、例えば、照明の当て方や貫通孔2a下方のバックアッププレート36の色等の影響により、貫通孔2aの裏面側の輪郭は正確に検出できないことがある。本実施例では、照明部50によって回路基板2の裏面から貫通孔2aを照明する。これにより、撮像装置30で撮像した画像から、貫通孔2aの裏面側の輪郭を正確に検出することができる。
【0031】
また、照明部50は、ライト56に電力を供給するためのバッテリ57を内蔵している。照明部50には、接点開放型のスイッチ(図示省略)が設けられており、このスイッチによってバッテリ57からライト56への電力の供給がオンオフされる。具体的には、スイッチは、照明部50がピン収容部32から取り出されるとオンとなり、照明部50がピン収容部32に収容されるとオフとなるように構成されている。したがって、照明部50がピン収容部32から取り出されると、スイッチがオンとなり、バッテリ57からライト56へ電力が供給される。照明部50がピン収容部32に収容されると、スイッチがオフとなり、バッテリ57からライト56への電力の供給が遮断される。照明部50がバッテリ57を内蔵することによって、照明部50は、照明部50の外部(すなわち、部品実装機10の本体)からライト56を点灯するための電力を供給する必要がない。このため、照明部50には、部品実装機10から電力を供給するための配線を設ける必要がなくなり、照明部50の移動を容易にすることができる。
【0032】
表示部58は、基台52の上面に設置されている。表示部58は、インジケータ型の表示器であり、バッテリ57の残量を表示する。具体的には、照明部50には、バッテリ57の電圧を計測する電圧計(図示省略)が設けられており、電圧計によって計測された計測値(すなわち、バッテリ57の電圧値)が表示部58に表示される。照明部50をバックアッププレート36上に配置すると、回路基板2を部品実装機10内に搬送する前に、撮像装置30を表示部58の上方に移動させ、撮像装置30で表示部58を撮像する。撮像装置30で撮像した画像から、バッテリ57の残量を検出する。これにより、部品実装ラインの稼働中にバッテリ切れが発生することを事前に回避することができる。
【0033】
次に、回路基板2の貫通孔2aを検出する処理について説明する。回路基板2に設けられた貫通孔2aには、電子部品4のリードやその他の部材(例えば、レンズ等)が挿入されることがある。あるいは、貫通孔2aの位置を基準として、回路基板2の位置を特定することがある。このため、貫通孔2aの位置を正確に検出する必要が生じることがある。以下では、照明部50を用いて、制御装置22が回路基板2の貫通孔2aの位置を検出する処理について説明する。
【0034】
図5に示すように、まず、制御装置22は、照明部50をバックアッププレート36上の所定の配置位置に配置する(S12)。ステップS12の処理は、回路基板2が部品実装機10内に搬送される前に実行される。照明部50の配置位置は、このあと搬送される回路基板2に設けられる貫通孔2aの下方となる位置である。照明部50は以下の手順で配置される。まず、制御装置22は、ピン収容部32に収容されている照明部50の上方に把持装置26が配置されるように、移動ベース18aを移動させる。次いで、制御装置22は、把持装置26を下方に移動させ、把持装置26によって突出部54を把持する。次いで、制御装置22は、把持装置26が突出部54を把持した状態のまま、把持装置26を上方に移動させる。そして、制御装置22は、把持した照明部50が所定の配置位置の上方に位置するように、移動ベース18aを移動させる。最後に、制御装置22は、把持装置26を下方に移動させ、照明部50をバックアッププレート36上の所定の配置位置に配置する。
【0035】
次いで、制御装置22は、撮像装置30で表示部58を撮像する(S14)。具体的には、制御装置22は、表示部58の上方に撮像装置30が配置されるように、移動ベース18aを移動させる。そして、制御装置22は、撮像装置30の下方にある表示部58を撮像する。
【0036】
次いで、制御装置22は、ステップS14で撮像された撮像画像から、バッテリ57の残量を検出する(S16)。表示部58にはバッテリ57の残量が表示されている。このため、ステップS14で撮像された撮像画像には、バッテリ57の残量が撮像されている。制御装置22は、この撮像画像からバッテリ57の残量を検出する。バッテリ57の残量が所定量以上の場合(ステップS18でYES)、制御装置22は、照明部50のバッテリ57の残量が十分であると判断する。一方、バッテリ57の残量が所定量未満の場合(ステップS18でNO)、制御装置22は、照明部50のバッテリ57の残量が不十分であると判断する。このため、制御装置22は、ステップS12で配置位置に配置した照明部50を再びピン収容部32に戻す(S20)。そして、制御装置22は、ステップS12の処理に戻り、ステップS12~ステップS18の処理を繰り返す。これにより、バッテリ57の残量が不十分な照明部50の代わりに、バッテリ57の残量が十分な別の照明部50が配置位置に配置される。
【0037】
次いで、制御装置22は、回路基板2を部品実装機10内に搬送する(22)。上述したように、ステップS12において、照明部50は回路基板2の貫通孔2aの下方となる位置に配置される。このため、回路基板2が部品実装機10内に搬送されると、照明部50は回路基板2の貫通孔2aの下方に位置する。
【0038】
次いで、制御装置22は、撮像装置30で貫通孔2aを撮像する(S24)。具体的には、制御装置22は、貫通孔2aの上方に撮像装置30が配置されるように、移動ベース18aを移動させる。そして、制御装置22は、撮像装置30の下方にある貫通孔2aを撮像する。
【0039】
次いで、制御装置22は、ステップS24で撮像された撮像画像から、貫通孔2aを検出する(S26)。貫通孔2aの下方には、照明部50が配置されており、照明部50によって貫通孔2aは下方から照明される。これにより、貫通孔2aの上方に配置される撮像装置30によって貫通孔2aの裏面側の輪郭が正確に検出される。また、本実施例では、照明部50は、把持装置26によってバックアッププレート36上とピン収容部32との間で移動可能に構成されている。このため、照明部50は、回路基板2に貫通孔2aが設けられている場合には、貫通孔2aの下方に配置される。一方で、回路基板2に貫通孔2aが設けられていない場合には、バックアッププレート36上に配置されない。このため、照明部50が不要な場合には、照明部50がバックアッププレート36上にない状態となり、照明部50によって他の作業を邪魔することを抑制できる。
【0040】
なお、本実施例の照明部50では、ライト56がピン状の突出部54の上面に設置されていたがこのような構成に限定されない。例えば、
図6に示すように、ライト156は、ピン状の支持部154aの側方に配置されていてもよい。具体的には、照明部150は、基台52と、基台52の上面に設置されるピン状の支持部154aと、支持部154aに固定される支持台154bと、ライト156と、バッテリ57(図示省略)と、表示部58を備えている。基台52、バッテリ57及び表示部58は、上述の照明部50(
図4参照)の基台52、バッテリ57及び表示部58と同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0041】
支持部154aは、バックアップピン38のピン42と同様に形状を有している。支持台154bは、支持部154aの下部(基台40側)に固定され、支持部154aの側方に延びている。支持台154bの上面には、ライト156が設置されている。したがって、照明部150は、バックアップピン38のピン42に支持台154b及びライト156が固定された形状を有していると言える。支持台154bの上面は、支持部154aの上面より大きくされている。このため、ライト156も、上述の照明部50(
図4参照)のライト56より大きくされている。これにより、ピン状の支持部154aを把持することで照明部150が把持装置26により移動可能であると共に、照明部150で照明する範囲を大きくすることができる。また、支持部154aは、バックアップピン38のピン42と同様の形状を有しているため、照明部150は、回路基板2を裏面側から照明すると共に、バックアップピン38として用いることもできる。
【0042】
また、本実施例では、バッテリ57の残量を表示部58に表示していたが、このような構成に限定されない。バッテリ57の残量を検出できればよく、例えば、照明部50は送信部を備えており、制御部60は、送信部を介してバッテリ57の残量を制御装置22に送信してもよい。なお、送信部による通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。また、本実施例では、照明部50はバッテリ57を備えていたが、このような構成に限定されない。例えば、照明部50は、無線で電力が供給されるように構成されていてもよいし、有線で電力が供給されるように構成されていてもよい。また、照明部50、150は、把持装置26で移動可能に構成されているが、作業者によってバックアッププレート36上の所定の位置に配置されてもよい。
【0043】
(実施例2)
上記の実施例1では、照明部50、150はバックアップピン型であったが、このような構成に限定されない。例えば、
図7に示すように、照明部250は、プレート型であってもよい。具体的には、照明部250は、基台252と、ライト256を備えている。基台252は、バックアップピン38の基台40より大きくされている。なお、基台252の大きさは特に限定されるものではなく、バックアッププレート36上に載置可能な大きさであれば適宜選択することができる。ライト256は、基台252の上面に設置されている。照明部250では、実施例1の照明部50、150より基台252が大きくされているため、ライト256も実施例1の照明部50、150のライト56、156より大きくすることができる。このため、より広い範囲に亘って照明することができる。一方で、照明部250はプレート型であるため、把持装置26で移動することができない。このため、照明部250は、作業者によってバックアッププレート36上に移動される。なお、部品実装機に、照明部250を移動するための移動装置を設置してもよい。
【0044】
なお、上記の実施例1及び2では、部品実装機10が照明部50、150、250を備えていたが、このような構成に限定されない。機内で回路基板2に対して作業する装置であればよく、例えば、スクリーン印刷機が上記の実施例1又は2の照明部50、150、250を備えていてもよい。
【0045】
実施例で説明した部品実装機10に関する留意点を述べる。実施例の部品実装機10は、「基板作業機」の一例であり、基板コンベア20は、「搬送装置」の一例であり、撮像装置30は、「光検知部」及び「検出部」の一例であり、把持装置26は、「移動機構」の一例である。
【0046】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0047】
2:回路基板
4:電子部品
6:吸着ノズル
8:管理装置
10:部品実装機
12:部品フィーダ
14:フィーダ保持部
16:装着ヘッド
18:ヘッド移動装置
20:基板コンベア
22:制御装置
24:タッチパネル
26:把持装置
28:把持部
30:撮像装置
32:ピン収容部
34:基板支持装置
36:バックアッププレート
38:バックアップピン
40:基台
42:ピン
38:バックアップピン
50:照明部
52:基台
54:突出部
56:ライト
57:バッテリ
58:表示部
60:制御部