(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】ジ又はトリアミド及びそれらの混合物に基づくレオロジー添加剤
(51)【国際特許分類】
C08G 65/332 20060101AFI20240723BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20240723BHJP
C08K 5/42 20060101ALI20240723BHJP
C08K 5/521 20060101ALI20240723BHJP
C08L 27/06 20060101ALI20240723BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20240723BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20240723BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20240723BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20240723BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C08G65/332
C08K5/10
C08K5/42
C08K5/521
C08L27/06
C08L63/00 C
C08L67/00
C08L71/02
C08L75/04
C08L83/04
(21)【出願番号】P 2020544980
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(86)【国際出願番号】 FR2018052643
(87)【国際公開番号】W WO2019102087
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-07-26
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール,ミシェル・イグレク
(72)【発明者】
【氏名】コレスニク,ディミトリ
(72)【発明者】
【氏名】ルピネ,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】ルロイ,バンサン
(72)【発明者】
【氏名】ベティエ,フランソワ
【審査官】大塚 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-503032(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0094245(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107099029(CN,A)
【文献】特表2015-535846(JP,A)
【文献】特開2005-015799(JP,A)
【文献】特開昭61-234919(JP,A)
【文献】アミン類,巴工業株式会社,https://www.tomo-e.co.jp/chemical/products/detail.php?id=25QU050
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/332
C08K 5/10
C08K 5/42
C08K 5/521
C08L 27/06
C08L 63/00
C08L 67/00
C08L 71/02
C08L 75/04
C08L 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式(I):
R[(-X-R1-NHCO-R2)
n-n1][(-X-R1-NHCO-R2′)
n1](I)
(式中、
nは、3であり、
n
1は、0又は1に等しく、
R-(X-R1-)
nは、第一級トリアミンである第一級ポリアミンR(-X-R1-NH
2)
nの価数nの残基であり、
各第一級アミン基-NH
2は、ポリエーテルから選択される二価のオリゴマー鎖セグメントR1が有する末端基であり、
Rは、ポリオールR(OH)
nから、又はポリアミンR(NH
2)
n若しくはR(NH-R3)
nからから生じた、価数nのC
3-C
10炭化水素基であり、
Xは、O、NH又はNR3であり、
R2は、C
12-C
52の脂肪酸R2CO
2Hの脂肪残基であり、
R2′は、C
2-C
10の酸R2′CO
2Hのモノカルボン酸残基であり、
少なくとも1つのR2残基は、非末端ヒドロキシル基を有するヒドロキシル化脂肪酸R2CO
2Hの残基であり、前記R2残基は同一又は異なることが可能であり、
R3は、C
1-C
2アルキル置換基である)
によって表されることを特徴とする多官能性脂肪酸アミドであって、
前記アミドの融解温度を意味する融点は、10℃/分で2回のパスの後にDSCによって測定して、10~110℃の範囲である、
多官能性脂肪酸アミド。
【請求項2】
ポリスチレン等価物としてTHF中でGPCにより測定される、前記脂肪酸アミドの数平均分子量Mnが、
n=3のとき1000~6000
で変化することを特徴とする、請求項1に記載の脂肪酸アミド。
【請求項3】
前記オリゴマー鎖セグメントR1が、オキシプロピレン単位が優勢なオキシプロピレン/オキシエチレンコポリマーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の脂肪酸アミド。
【請求項4】
前記オリゴマー鎖セグメントR1が、ポリオキシプロピレン鎖セグメントであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の脂肪酸アミド。
【請求項5】
前記オリゴマー鎖セグメントR1が、400~2000の範囲の数平均分子量Mnを有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の脂肪酸アミド。
【請求項6】
前記ヒドロキシル化脂肪酸R2CO
2Hが、12-ヒドロキシステアリン酸(12-HSA)、9-又は10-ヒドロキシステアリン酸(9-HSA又は10-HSA)、及び14-ヒドロキシエイコサン酸(14-HEA)から選択されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の脂肪酸アミド。
【請求項7】
前記ヒドロキシル化脂肪酸が、12-ヒドロキシステアリン酸であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の脂肪酸アミド。
【請求項8】
前記酸R2′CO
2Hが、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸から選択されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の脂肪酸アミド。
【請求項9】
前記アミドが、トリアミドであり、すべてのR2残基がヒドロキシル化脂肪酸R2CO
2Hから生じることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の脂肪酸アミド。
【請求項10】
前記アミドが、トリアミドであり、2つのR2残基がヒドロキシル化脂肪酸R2CO
2Hから生じ、1つのR2残基が非ヒドロキシル化脂肪酸から生じることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の脂肪酸アミド。
【請求項11】
有機結合剤の配合組成物であって、
a)少なくとも1つの有機結合剤と、
b)請求項1~10のいずれか一項に従って定義される少なくとも1つの脂肪酸アミドと
を含むことを特徴とする、配合組成物。
【請求項12】
前記結合剤a)が、ブロック化シラン基で終端するポリシロキサン樹脂、ブロック化シラン基で終端するポリエーテル樹脂、ブロック化シラン基で終端するポリスルフィド樹脂、イソシアネート基で終端するポリウレタンプレポリマー樹脂、プラスチゾル用PVC樹脂、エポキシ基を有するエポキシ樹脂から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
a)及びb)に加えて、前記結合剤に応じて、以下に定義される可塑剤又は反応性希釈剤:
c)ポリシロキサン樹脂、ポリウレタンプレポリマー樹脂及びプラスチゾル用PVC樹脂のための可塑剤、又は
d)エポキシ樹脂のためのエポキシ化モノマーからの反応性希釈剤、
及び任意選択的に、
e)2成分系の場合、エポキシ樹脂又はポリウレタン樹脂のための硬化剤
を含むことを特徴とする、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
前記脂肪酸アミドが、チキソトロープ剤であるレオロジー添加剤として使用されることを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記有機結合剤a)が、ポリシロキサン樹脂、ポリウレタンプレポリマー樹脂又はプラスチゾル用PVC樹脂であり、前記可塑剤が、フタレート、アジペート、トリメリテート、セバケート、ベンゾエート、シトレート、ホスフェート、エポキシド、ポリエステル、アルキルスルホン酸エステル及びフタレートの非フタレート代替物から選択されることを特徴とする、請求項1
3に記載の組成物。
【請求項16】
透明又は不透明のマスチック配合組成物であることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記アミドがレオロジー添加剤として使用されることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に定義される少なくとも1つの脂肪酸アミドの使用。
【請求項18】
前記レオロジー添加剤が、チキソトロープ剤であることを特徴とする、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
コーティング、接着剤、PVCプラスチゾル又はマスチック組成物における使用に関することを特徴とする、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
PVCプラスチゾル組成物における使用に関することを特徴とする、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
ブロック化シラン基で終端するポリシロキサン樹脂、ブロック化シラン基で終端するポリエーテル樹脂、ブロック化シラン基で終端するポリスルフィド樹脂、又はイソシアネート基で終端するポリウレタンプレポリマー樹脂に基づく湿気により架橋可能なマスチック組成物における使用に関することを特徴とする、請求項19に記載の使用。
【請求項22】
湿気によって架橋可能なマスチック組成物における使用に関し、当該マスチックが透明であるか、又は透明ではないことを特徴とする、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
レオロジー添加剤としての、請求項1~10のいずれか一項に定義される少なくとも1つの脂肪酸アミドの使用から生じることを特徴とする、コーティング、PVCプラスチゾル、接着シール又はマスチックシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノゲル化剤として、特にレオロジー添加剤として、より詳細にはコーティング組成物において使用するのに適した特定の多官能性アミド(ジ及びトリアミド)に関する。
【背景技術】
【0002】
EP1514912は、ポリエーテルアミンに基づく非ヒドロキシル化脂肪酸の分岐トリアミドを記載し、これは、相変化インク(「ホットメルトインク」として知られる)において相変化ベクトル剤として使用され、周囲温度での固体状態からインクジェットプリンタ内の高温での液体状態にインクを通過させる機能を有し、液体インク液滴がこの温度で噴出された後、急速に固化することを可能にする。EP1514912は、これらのポリアミドのオルガノゲル化剤又はチキソトロープ剤としての使用を少なくとも示唆しておらず、使用した脂肪酸によって非末端ヒドロキシを有するポリアミドを少なくとも示唆していない。
【0003】
脂肪族ジアミン(ポリエーテルセグメントなし)とヒドロキシル化脂肪酸とに基づく脂肪ジアミドは、オルガノゲル化剤として、特にチキソトロープ剤として知られている。
【0004】
WO2014/053774は、特にコーティング、成形、マスチック剤、漏洩防止剤又は化粧品組成物における、オルガノゲル化剤として、又はレオロジー添加剤としても知られているヒドロキシル化脂肪酸ジアミドを記載している。
【0005】
WO2015/011375は、特定のモル比の脂環式ジアミンと脂肪族ジアミンとの両方を構造に含む脂肪酸ジアミンと、これらの生成物の、特にコーティング、成形、マスチック剤、漏洩防止剤又は化粧品組成物におけるオルガノゲル化剤又はレオロジー添加剤としての使用とを記載している。
【0006】
FR2993885は、特定のヒドロキシル化カルボン酸を構造に含む脂肪酸ジアミドと、コーティング、成形、マスチック剤、漏洩防止剤組成物におけるオルガノゲル化剤としてのこの生成物の使用とを記載している。
【0007】
このタイプのジアミドは、粉末状態で微粉化する必要があり、その後、必要なレオロジー性能品質を得るには、事前に「活性化」する必要がある。活性化工程では、生成物によっては、高速せん断及び場合によって100℃までの範囲の加熱が必要である。さらに、温度条件及び系の極性に応じて、最小限の時間が必要である。さらに、これらの添加剤は、反応性配合物のためのいくつかの結合剤又は活性化に使用されるいくつかの希釈剤若しくは可塑剤とあまり適合しない場合がある。その結果、この活性化段階は、この分野で添加剤として使用されるポリアミド粉末及び硬化ヒマシ油誘導体にとって特に不利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許第1514912号明細書
【文献】国際公開第2014/053774号
【文献】国際公開第2015/011375号
【文献】仏国特許出願公開第2993885号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、シラン末端ポリエーテル、シラン末端ポリウレタン、イソシアネートで終端するポリウレタン、シリコーン、ポリスルフィド、エポキシなどの反応性配合物で使用される反応性結合剤及び可塑剤/希釈剤との適合性の範囲がさらに広く、より単純かつ容易な成形及び使用(事前の予備活性化の必要なしに、最終用途の反応性配合物の可塑剤又は結合剤に容易に溶解するフレーク形態に成形)を可能にし、特に、最終的には、表面欠陥のない透明なコーティング、マスチックシールまたはシーリング剤シールにより、最終製品の表面及び美的外観を改善させる新規の脂肪ポリアミドが必要であり、これは、これらの対象となるポリアミドの特定の構造及び特定の組成に関連する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも1つのポリエーテルセグメントを構造中に含む第一級ポリアミン(ジ及びトリアミン)に基づく、特にポリオキシプロピレンに基づく、及び少なくとも1つのヒドロキシル化脂肪酸を含む脂肪酸に基づく、新規の脂肪ポリアミド(多官能性脂肪酸アミド、特にジ及びトリアミド)を用いて、上記の新しい要件を満たすことを可能にする。
【0011】
本発明の第1の主題は、ポリエーテルポリアミン(ジアミン又はトリアミン)及び少なくとも1つの飽和直鎖脂肪酸に基づく、脂肪ジアミド若しくはトリアミド又はそれらの混合物である多官能性脂肪酸アミドに関し、前記飽和直鎖脂肪酸の少なくとも1つは、任意に別のより短いC2-C10酸の存在下で、非末端ヒドロキシル基を有する。
【0012】
本発明の第2の主題は、特にレオロジー添加剤としての有機結合剤の配合組成物に関し、該組成物は、少なくとも1つの有機結合剤と、本発明に従って定義される少なくとも1つの脂肪酸アミドとを含む。
【0013】
本発明はまた、レオロジー添加剤としての、本発明に従って定義される少なくとも1つの脂肪酸アミドの使用を包含する。
【0014】
最後に、本発明は、レオロジー添加剤、特にチキソトロープ剤としての、本発明に従って定義される少なくとも1つの脂肪酸アミドの使用から得られる最終生成物も包含する。
【0015】
したがって、本発明の第1の主題は、ジアミド若しくはトリアミド又はそれらの混合物である多官能性脂肪酸アミドであって、上記脂肪酸アミドは、
A)次式(I):
R[(-X-R1-NHCO-R2)n-n1][(-X-R1-NHCO-R2′)n1](I)
(式中、
-nは、2又は3、好ましくは3であり、
-n1は、0又は1に等しく、R-(X-R1-)nは、第一級ジアミン又はトリアミンである第一級ポリアミンR(-X-R1-NH2)nの価数nの残基であり、各第一級アミン基-NH2は、ポリエーテル及びアルコキシル化されたポリエステル(アルコキシル化ポリエステル)、好ましくはポリエーテル、より好ましくはポリオキシプロピレン又はオキシプロピレン単位が優勢なオキシプロピレン/オキシエチレンコポリマーから選択される二価のオリゴマー鎖セグメントR1が有する末端基であり、
-Rは、ポリオールR(OH)nから、又はポリアミンR(NH2)n若しくはR(NH-R3)nから、好ましくはポリオールR(OH)nから生じた、価数nのC3-C10アルキレン残基であり、
-Xは、O又はN、好ましくはOであり、
-R2は、特に飽和直鎖の、C12-C52、好ましくはC16-C36、より好ましくはC16-C24の脂肪酸R2CO2Hの脂肪残基であり、
-R2′は、C2-C10、好ましくはC3-C8のモノカルボン酸残基であり、少なくとも1つのR2残基、好ましくは少なくとも2つの、より好ましくはすべてのR2残基は、非末端ヒドロキシル基を有するヒドロキシル化脂肪酸R2CO2Hの残基であり、上記R2残基は同一又は異なることが可能であり、
-R3は、C1-C2アルキル置換基である)、
又は
B)上記アミドがジアミドである場合、以下の式(II):
R2CONH-R′-O-[CH2-CH(R4)-O]x-CH2-CH(R4)-NHCOR′2(II)
(式中、
R′は、OHを含まないモノプロピレングリコール残基:-CH(CH3)-CH2-であり、
R2及びR′2は、上記の式(I)で定義され、
R4は、H又はメチルであり、繰り返しオキシアルキレン単位-CH2-CH(R4)-O-が、R4がHの場合はエトキシであり、R4がメチルの場合はプロポキシであるか、又は、R4は、エトキシ/プロポキシ混合物に対応し、好ましくはR4は、上記オキシアルキレン単位がプロポキシであるメチルであり、上記アミドの融解温度を意味する融点は、10℃/分で2回のパスの後にDSCによって測定して、10~110℃、好ましくは25~100℃の範囲である)、
によって表される多官能性脂肪酸アミドである。
【0016】
「融点」という用語は、10℃/分の加熱速度でDSCによって測定された融解温度に対応する。この温度は、指定された加熱速度でDSCによって記録された融解ピークに対応する温度である。
【0017】
残基Rに関して、上記C3-C10アルキレンは、炭素-炭素結合に加えて、ポリオール残基の場合にはエーテル架橋-O-、又はポリアミン残基の場合には-NH-架橋を含み得る。
【0018】
X=Nの場合、R残基を含むポリアミンの上記の式から明らかなように、これは、Nが-NH-及び-N(R3)-を表すことを意味する。
【0019】
R2CO2Hの意味に関して、これは、非末端ヒドロキシを有する直鎖ヒドロキシル化脂肪酸に関連する。これらの直鎖脂肪酸は、直鎖C12-C52、好ましくはC16-C36、より優先的にはC16-C24脂肪鎖を含み、特にC-C結合のみからなるため、この直鎖内にエステル基を含まない。したがって、この定義は、R2CO2Hの定義から、ヒドロキシル化脂肪酸の自己重縮合に由来するポリエステル又はオリゴエステルを除外する。
【0020】
上記で定義された第一級ジアミン又はトリアミンである式R(-X-R1-NH2)nに対応する第一級ポリアミンの適切な例として以下が挙げられる。
【0021】
例えば、アミン(n=2)又はトリアミン(n=3)として、ポリエーテルセグメント若しくはアルコキシル化ポリエステル(ポリエステル-ポリエーテル)セグメントによって担持される2つの第一級アミン官能基を有する第一級ジアミン、又は3つのポリエーテル若しくはアルコキシル化ポリエステル(ポリエステル-ポリエーテル)セグメントによって担持される3つの第一級アミン官能基を有するトリアミンが挙げられ、ジアミン、又はトリアミンの場合は3つのポリエーテル若しくはアルコキシル化ポリエステルセグメントの組み合わせの、上記ポリエーテル若しくはアルコキシル化ポリエーテルセグメントは、500~3000の範囲の数平均分子量Mnを有する。特に、これらは、第一級ジアミン及びトリアミンポリエーテル、より具体的には、Huntsman社により販売されているJeffamine(R)ジアミン及びトリアミンなどの第一級ジアミン及びトリアミンポリオキシプロピレンであり、より詳細な適切な例としては、Jeffamine(R)D-2000(オキシプロピレン単位数が33の、2つの第一級アミン基を有するポリオキシプロピレンセグメントを有する第一級ジアミン)、又はJeffamine(R)T-3000(オキシプロピレン単位の総数が50の、3つのポリオキシプロピレンセグメントを有する第一級トリアミン)が挙げられる。他のアミン、例えばJeffamine(R)D-400、Jeffamine(R)D-2010、Jeffamine(R)T-403、Jeffamine(R)T-5000なども使用することができる。
【0022】
原則として、本発明によるジアミド及びトリアミドを調製するのに適した上記ポリエーテルジアミン又はポリエーテルトリアミンは、US4766245又はGB2175910に記載されているように、触媒の存在下での末端OH官能基の還元的アミノ化により、対応するポリエーテルポリオール(それぞれジオール又はトリオール)前駆体から得ることができる。
【0023】
ポリエーテルジアミン又はトリアミンのそれぞれのポリエーテルポリオール(ジオール又はトリオール)前駆体については、対応するアルキレンオキシド(ポリオキシエチレンジオール/トリオールの場合はエチレンオキシド、ポリオキシプロピレンジオール/トリオールの場合はプロピレンオキシド)又は上記アルキレンオキシドの混合物を、第一級OH基を有するポリオールアルコキシド開始剤(それぞれ(第一級OH基を有する)ジオール若しくはトリオール)又はポリアミン開始剤(それぞれ(上記ポリエーテル:ジオール若しくはトリオールの官能性による)ジアミン及びトリアミン)の存在下で、塩基性媒体中でアニオン重合することによって得られる。ジオール開始剤の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブチレングリコールが挙げられる。トリオール開始剤の例としては、トリメチロールプロパンが挙げられる。
【0024】
二価の開始剤(2つの第一級アルコキシド官能基又は2つのアミン官能基)の場合、鎖の中央に(エーテル結合-O-又は-NH-結合を介して)開始剤が組み込まれた対称構造となり、使用される開始剤の各アルコキシド又はアミン官能基に対してポリエーテル鎖の開始点を有する。
【0025】
三価の開始剤(第一級アルコキシドトリオール又はトリアミン)の場合、各アルコキシド又はアミンは、ポリエーテル鎖の開始点であり、その結果、上記開始剤の分子が3つのポリエーテル鎖を有し、その残基は、本発明によるアミドについて上記で定義された式におけるRに対応する。
【0026】
ポリエーテルジアミンの特定の場合では、ポリエーテルジオール前駆体は、開始剤の第二級炭素上にOHを有する一価の第一級アルコキシド開始剤(第二級OHはアルキレンオキシドを開環するように反応しない)に由来するアルキレンオキシド又は対応するアルキレンオキシドの混合物(例えば、それぞれ、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール及び(オキシエチレン-オキシプロピレン)ジオールコポリマーの場合、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物)のアニオン重合によっても得られる。このような場合、単一のポリエーテル鎖は第一級アルコキシドから形成され、開始剤の他の(第二級)OH部分は遊離して変化しないため、形成されたポリエーテルは、ジオール(上記に記載したように末端OHのNH2への変換によるポリエーテルジアミン前駆体)である。一価のジオール開始剤(1つの単一の第一級OH)の例は、以下:
HO-CH(CH3)-CH2O-
のような第一級アルコキシド形態のモノプロピレングリコールである。
【0027】
ポリオキシプロピレンに基づくポリエーテルジアミンのより特定の場合では、モノプロピレングリコールは一価の開始剤として作用し、プロピレンオキシドの重合(電子が最も少ない炭素原子(-CH2-)上でアニオン性アルコキシド開始剤の攻撃によるプロピレンオキシドの開環開始とそれに続く鎖成長)中に第二級ヒドロキシルは影響を受けず、2つの第二級OHを有する、次式:
HO-CH(CH3)-CH2-O-(CH2-CH(CH3)-O)x-CH2-CH(CH3)-OH
のポリオキシプロピレンジオールが生成される。
【0028】
(US4766245又はGB2175910に記載のNH3圧力下での触媒還元的アミノ化による)末端第二級ヒドロキシルの変換後、次式:
H2N-CH(CH3)-CH2O-(CH2-CH(CH3)-O)x-CH2-CH(CH3)-NH2
のポリオキシプロピレンジアミンが得られる。
【0029】
そのようなポリオキシプロピレンジアミンの例としては、Huntsman社により販売されているJeffamine(R)D2000が挙げられる。
【0030】
本発明により定義されるヒドロキシル化飽和直鎖脂肪酸R2CO2H(R2は非末端OHを有する)として、12-ヒドロキシステアリン酸(12-HSA)、9-ヒドロキシステアリン酸(9-HSA)、10-ヒドロキシステアリン酸(10-HSA)又は14-ヒドロキシエイコサン酸(14-HEA)から選択されるヒドロキシ脂肪酸を使用することができる。
【0031】
より短いC2-C10酸R2′CO2Hとして、酢酸、プロパン酸、酪酸、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸又はデカン酸を使用することができる。好ましくは、これらの任意の酸は、C2-C8酸である。
【0032】
本発明による脂肪酸アミドは、ポリスチレン等価物(ポリスチレン標準によって較正)としてTHF中でGPCにより測定される、式(I)によるA)によって表される脂肪酸アミドの数平均分子量Mnが、
-n=2(ジアミド)のとき800~4000、好ましくは1000~3800、
-n=3(トリアミド)のとき1000~6000、好ましくは2000~5500
で変化することが好ましい。
【0033】
式(II)によるB)によって表されるジアミドは、好ましくは、ポリスチレン等価物(ポリスチレン標準によって較正)としてTHF中でGPCにより測定される数平均分子量Mnの範囲が、A)によって表されるジアミドの数平均分子量Mnの範囲(800~4000、好ましくは1000~3800)と同じであることが好ましい。
【0034】
上記脂肪酸アミドの特定の選択肢によれば、それは、式(II)によるB)によって表されるジアミドである。
【0035】
好ましい選択肢によれば、上記オリゴマー鎖セグメントR1(選択肢A)の式(I)による)は、ポリエーテル鎖セグメントである。
【0036】
より特に好ましい選択肢によれば、上記オリゴマー鎖セグメントR1は、ポリオキシプロピレン鎖セグメントである。
【0037】
上記オリゴマー鎖セグメントR1は、400~2000、好ましくは500~1500の範囲の数平均分子量Mnを有することができる。
【0038】
好ましい選択肢によれば、上記ヒドロキシル化脂肪酸R2CO2Hは、12-ヒドロキシステアリン酸(12-HSA)、9-又は10-ヒドロキシステアリン酸(9-HSA又は10-HSA)、好ましくは9-及び10-ヒドロキシステアリン酸の混合物、14-ヒドロキシエイコサン酸(14-HEA)又はそれらのペアの混合物から選択される。最も好ましいヒドロキシル化酸R2CO2Hは、12-ヒドロキシステアリン酸である。
【0039】
好ましくは、上記モノカルボン酸R2′CO2Hは、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸又はオクタン酸から選択される。
【0040】
特に好ましい選択肢によれば、上記アミドは、すべてのR2残基がヒドロキシル化脂肪酸R2CO2Hから生じるジアミド又はトリアミドである。より具体的には、上記アミドは、R2残基がヒドロキシル化脂肪酸R2CO2Hから生じるジアミドである。
【0041】
本発明の別の特定の選択肢によれば、上記アミドは、2つのR2残基がヒドロキシル化脂肪酸R2CO2Hから生じ、1つのR2残基が非ヒドロキシル化脂肪酸R2CO2Hから生じるトリアミドである。
【0042】
本発明の第2の主題は、有機結合剤の配合組成物に関し、該組成物は、
a)少なくとも1つの有機結合剤と、
b)特にレオロジー添加剤としての、本発明に従って上記で定義された少なくとも1つの脂肪酸アミドと
を含むことを特徴とする。
【0043】
より具体的には、上記結合剤配合組成物において、上記結合剤a)は、ブロック化シラン基で終端するポリシロキサン樹脂、ブロック化シラン基で終端するポリエーテル樹脂、ブロック化シラン基で終端するポリスルフィド樹脂、イソシアネート基で終端するポリウレタンプレポリマー樹脂、プラスチゾル用PVC樹脂、エポキシ基を有するエポキシ樹脂から選択される。
【0044】
上記組成物は、a)及びb)に加えて、上記結合剤に応じて、以下に定義される可塑剤又は反応性希釈剤:
c)ポリシロキサン樹脂、ポリウレタンプレポリマー樹脂及びプラスチゾル用PVC樹脂のための可塑剤、又は
d)エポキシ樹脂のためのエポキシ化モノマーからの反応性希釈剤、
及び任意選択的に、
e)2成分系の場合、エポキシ樹脂又はポリウレタン樹脂のための硬化剤
を含み得る。
【0045】
より具体的には、本発明による上記組成物において、上記脂肪酸アミドは、チキソトロープ剤であるレオロジー添加剤として使用される。
【0046】
上記組成物において、上記有機結合剤a)は、ポリシロキサン樹脂、ポリウレタンプレポリマー樹脂又はプラスチゾル用PVC樹脂から選択され得、上記可塑剤は、フタレート、アジペート、トリメリテート、セバケート、ベンゾエート、シトレート、ホスフェート、エポキシド、ポリエステル、アルキルスルホン酸エステル及びフタレートの非フタレート代替物から選択され得る。
【0047】
特定の選択肢によれば、上記組成物は、透明又は不透明のマスチック配合組成物である。より具体的な選択肢によれば、上記組成物は、透明なマスチック配合組成物である。
【0048】
本発明の別の主題は、本発明による上記で定義された少なくとも1つの脂肪酸アミドの使用であって、上記アミドがレオロジー添加剤として使用される使用を包含する。
【0049】
上記使用において、上記レオロジー添加剤は、チキソトロープ剤として使用することができる。
【0050】
より具体的には、上記使用は、コーティング、接着剤、PVCプラスチゾル又はマスチック組成物、好ましくはPVCプラスチゾル組成物及びマスチック組成物における使用であり得る。
【0051】
別の特定の使用は、PVCプラスチゾル組成物における使用である。
【0052】
別の特定の使用は、ブロック化シラン基で終端するポリシロキサン樹脂、ブロック化シラン基で終端するポリエーテル樹脂、ブロック化シラン基で終端するポリスルフィド樹脂、特にアルコキシ基でブロックされたシラン又はイソシアネート基で終端するポリウレタンプレポリマー樹脂に基づく湿気により架橋可能なマスチック組成物における使用である。
【0053】
別の特定の使用は、湿気によって架橋可能なマスチック組成物における使用であり、マスチックは透明であるか、又は透明ではない。
【0054】
最後に、本発明は、コーティング、特にPVCプラスチゾルコーティング又は接着シール若しくはマスチックシールであり得る最終生成物を包含し、最終生成物は、本発明に従って上記で定義された少なくとも1つの脂肪酸アミドを、レオロジー添加剤、特にチキソトロープ剤として使用することによって得られる。
【0055】
以下の実験部分の以下の例は、本発明及びその性能品質の説明のために提示されており、決してその範囲を限定するものではない。
【0056】
実験部分
1)使用する出発物質及びコード
以下の表1を参照。
【0057】
【0058】
明確にするために、以下の略語を使用する。
【0059】
・12HSA:12-ヒドロキシステアリン酸
・SA:ステアリン酸
・HMDA:ヘキサメチレンジアミン
・D2000:Jeffamine(R)D-2000ポリエーテルアミン
・T3000:Jeffamine(R)T-3000ポリエーテルアミン
【0060】
2)実施例
本発明による実施例A-T3000-12HSA3
305.9gのJeffamine(R)T-3000(0.099mol、1eq)と94.1gの12-ヒドロキシステアリン酸(0.297mol、3eq)とを、温度計、ディーン・スターク装置、コンデンサ及びスターラーを備えた1リットルの丸底フラスコに加える。混合物を不活性雰囲気下で180℃に加熱する。除去された水は、150℃からディーン・スターク装置に蓄積する。反応は、酸価及びアミン価によって監視する。酸価及びアミン価がそれぞれ6未満の場合、反応は停止する。反応混合物を140℃に冷却し、シリコーン型に注入する。周囲温度まで冷却されたら、生成物をフレーク状にする。
【0061】
本発明による実施例B-12HSA-D2000-12HSA
304.4gのJeffamine(R)D-2000(0.15mol、1eq)と95.6gの12-ヒドロキシステアリン酸(0.3mol、2eq)とを、温度計、ディーン・スターク装置、コンデンサ及びスターラーを備えた1リットルの丸底フラスコに加える。混合物を不活性雰囲気下で180℃に加熱する。除去された水は、150℃からディーン・スターク装置に蓄積する。反応は、酸価及びアミン価によって監視する。酸価及びアミン価がそれぞれ6未満の場合、反応は停止する。反応混合物を140℃に冷却し、シリコーン型に注入する。周囲温度まで冷却されたら、生成物をフレーク状にする。
【0062】
実施比較例C-T3000-SA3
313.6gのJeffamine(R)T-3000(0.10mol、1eq)と86.4gのステアリン酸(0.3mol、3eq)とを、温度計、ディーン・スターク装置、コンデンサ及びスターラーを備えた1リットルの丸底フラスコに加える。混合物を不活性雰囲気下で180℃に加熱する。除去された水は、150℃からディーン・スターク装置に蓄積する。反応は、酸価及びアミン価によって監視する。酸価及びアミン価がそれぞれ6未満の場合、反応は停止する。反応混合物を140℃に冷却し、シリコーン型に注入する。
【0063】
実施比較例D-SA-D2000-SA
312.2gのJeffamine(R)D-2000(0.15mol、1eq)と87.8gのステアリン酸(0.3mol、2eq)とを、温度計、ディーン・スターク装置、コンデンサ及びスターラーを備えた1リットルの丸底フラスコに加える。混合物を不活性雰囲気下で180℃に加熱する。除去された水は、150℃からディーン・スターク装置に蓄積する。反応は、酸価及びアミン価によって監視する。酸価及びアミン価がそれぞれ6未満の場合、反応は停止する。反応混合物を140℃に冷却し、シリコーン型に注入する。
【0064】
3)オルガノゲル化剤のゲル化力の研究
この比較例では、レオロジー添加剤が、PVCプラスチゾル配合物に使用される従来の可塑剤(Jayflex(R)DIUP)のみを含む単純化配合物でゲルを形成する能力を調査する。
【0065】
配合物は、分散ディスク及びスクレーパーを備えた実験室用「プラネタリー」ミキサー(Molteni(R)EMD 1タイプ)を使用して調製し、これにより、高粘度生成物だけでなく、非流体系における粉末の混合も可能になる。分散時の湿気の浸入を防ぐ真空ポンプを搭載している。Molteni(R)EMD 1内の温度は、スクレーパーに取り付けられたプローブによって記録され、バスによって調整することができる。
【0066】
【0067】
レオロジー添加剤を可塑剤に導入し、その混合物を統合温度(表3を参照)にして5分間分散させる。分散の終わりに、混合物を周囲温度に冷却し、ゲルの挙動を視覚的に調査する。
【0068】
【0069】
ゲル試験の結果は、本発明による生成物(T3000-12HSA3、12HSA-D2000-12HSA)がゲルを形成する一方で、比較生成物は液体形態であることを示している。したがって、特に特許EP1514912A2に記載の化合物T3000-SA3からは、ゲル(配合物F3を参照)は得られず、このことは、ヒドロキシル基の存在が超分子集合体及び繊維の3D網目構造形成に必須であることを強く示している。
【0070】
オルガノゲル化剤の挙動は、使用されるジアミンの初期構造によっても影響を受ける可能性がある。したがって、WO2014/053774A1に記載のオルガノゲル化剤(12HSA-HMDA-12HSA)と本発明による化合物12HSA-D2000-12HSAとを比較すると、ゲル強度に有意な差が観察され得る。特に、脂肪族アミンをポリエーテルアミンに置き換えると、ゲル化力が高まり、さらには、透明なゲルを得ることもできる。完全な溶解には、化合物12HSA-HMDA-12HSA(配合物F5を参照)は、本発明による生成物よりも高い温度を必要とすることに留意されたい。
【0071】
さらに、ゲルの性能品質は、レオロジー添加剤の物理的性質に関連し得る。結果として、一定温度(60℃)でレオロジー添加剤の統合が始まる配合物F6及びF7について、ゲル強度の違いが観察される。すなわち、添加剤がフレーク形態である場合(配合物F6を参照)、ゲル強度は低下し、これは、溶解度の欠如により、配合物中の生成物の統合が不完全であったためと説明され得る。さらに、この仮説を裏付け得る顆粒を観察することができた。
【0072】
また、粉末状の添加剤をその最適温度(F7で60°C)より高い温度(F7で80°C)で統合すると、ゲル強度が低下することが観察される場合があり、これはさらに、おそらく生成物の完全な溶解に起因する温度への感受性を示している。したがって、標準生成物の場合、オルガノゲル化剤が効果的な温度範囲を実際に観察することが重要である。
【0073】
本発明による生成物に基づく配合物F1及びF2に関して、統合温度に関係なく、強力なゲルの形成が観察され得る。調査した温度では、レオロジー添加剤は完全に溶解していることに言及すべきである。さらに、配合物は、完全に透明な外観を示す。
【0074】
4)単純化されたハイブリッドマスチック配合物におけるレオロジー性能品質の評価
この比較例では、単純化されたハイブリッドマスチック配合物の添加剤のレオロジー性能品質を示す。
【0075】
【0076】
これを行うために、同じMolteni(R)EMD 1ミキサーを使用して配合物を調製する。樹脂及び可塑剤は、最初の段階で、示された比率で添加し、均質化する。添加剤を秤量し、その後第2段階中に添加する。したがって、反応混合物は、混合段階の間、真空下に保ち、5分間で80℃にする。この段階の終わりに、混合物は25℃に冷却し、排出する。
【0077】
【0078】
本発明によるトリアミドレオロジー添加剤T3000-12HSA3は、標準的な粉末添加剤Crayvallac(R)Antisettle CVP(配合物F9を参照)と比較して、レオロジー性能品質(配合物F8を参照)の点ではるかに効果的であることがわかる。ジアミド生成物12HSA-D2000-12HSAに関して、同様に、粉末状の化合物12HSA-HMDA-12HSAを使用した場合(配合物F11を参照)よりも優れたレオロジー性能品質(配合物F10を参照)を示す。
【0079】
さらに、本発明による生成物は、硬化ヒマシ油誘導体に基づく粉末状の従来の添加剤では必要となるような、レオロジーを発現させるための特定の処理工程を必要としない。
【0080】
さらに、本発明による生成物はフレーク状であるため、したがって、粉末の使用に際して発生する問題(取り扱い、毒性など)が排除される。これらの生成物によって、完全に透明なMSマスチック配合物を得ることができることにも注意すべきである。