(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】メルトブローンダイチップアセンブリ及び方法
(51)【国際特許分類】
D01D 4/02 20060101AFI20240723BHJP
D01D 5/08 20060101ALI20240723BHJP
D01D 5/098 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
D01D4/02
D01D5/08 C
D01D5/098
(21)【出願番号】P 2020546296
(86)(22)【出願日】2018-11-21
(86)【国際出願番号】 US2018062345
(87)【国際公開番号】W WO2019104240
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2021-11-19
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520178412
【氏名又は名称】エクストルージョン グループ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】EXTRUSION GROUP,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】弁理士法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クック,マイケル チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,カーティス リー
(72)【発明者】
【氏名】ヒューストン,マイケル トロイ
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-184805(JP,A)
【文献】特開平05-261790(JP,A)
【文献】特表平06-502453(JP,A)
【文献】特開2010-163736(JP,A)
【文献】特表2005-530058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 1/00-13/02
D04H 1/00-18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メルトブローンダイチップアセンブリにおいて、
取付構造体であって、前記取付構造体に形成されており、ポリマー流を受け入れるように構成された少なくとも1つのポリマー流路と、前記取付構造体に形成されており、第1の空気流を受け入れるように構成された第1の空気流路と、前記取付構造体に形成されており、第2の空気流を受け入れるように構成された第2の空気流路とを含んでいる取付構造体と、
第1の開口及び第2の開口を有するポリマー流チャンバと、ポリマー流先端部と、第1の衝突面を有する第1の空気流調節チャネルと、第2の衝突面を有する第2の空気流調節チャネルと、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを含む細長いダイチップであって、
前記第1の衝突面は、前記細長いダイチップの一部として設けられ、前記第1の空気流調節チャネルの一部にわたって延びており、
前記第2の衝突面は、前記細長いダイチップの一部として設けられ、前記第2の空気流調節チャネルの一部にわたって延びており、
前記細長いダイチップの前記ポリマー流チャンバは、前記細長いダイチップの前記ポリマー流チャンバの前記第1の開口において、前記取付構造体の前記少なくとも1つのポリマー流路と流体連通しており、
前記ポリマー流チャンバは、前記取付構造体の前記少なくとも1つのポリマー流路からの前記ポリマー流の少なくとも一部を受け入れるように構成されており、
前記細長いダイチップの前記ポリマー流チャンバは、前記第2の開口において前記ポリマー流先端部と流体連通するように構成されており、
前記細長いダイチップの前記ポリマー流先端部は、前記第2の開口において前記ポリマー流チャンバから前記ポリマー流の少なくとも一部を受け入れるように構成されており、
前記ポリマー流先端部は、前記ポリマー流の少なくとも一部を出すように構成された先端開口を有しており、
前記細長いダイチップの前記第1の空気流調節チャネルは、前記取付構造体の前記第1の空気流路から前記第1の空気流を受け入れ、少なくとも前記第1の衝突面を用いて前記第1の空気流を調節し、前記細長いダイチップの前記第1の傾斜面に隣接して前記第1の空気流を出すように構成されており、
前記細長いダイチップの前記第2の空気流調節チャネルは、前記取付構造体の前記第2の空気流路から前記第2の空気流を受け入れ、少なくとも前記第2の衝突面を使用して前記第2の空気流を調節し、前記細長いダイチップの前記第2の傾斜面に隣接して前記第2の空気流を出すように構成されている、
細長いダイチップと、
前記細長いダイチップの前記第1の傾斜面に少なくとも部分的に隣接して配置されている第1の空気板であって、前記細長いダイチップの前記第1の空気流調節チャネルから出た前記第1の空気流を受け入れて、前記ポリマー流先端部の前記先端開口及び前記ポリマー流の少なくとも一部とに隣接して前記第1の空気流を出す第1の空気出口流路を形成するように構成されている第1の空気板と、
前記細長いダイチップの前記第2の傾斜面に少なくとも部分的に隣接して配置されている第2の空気板であって、前記細長いダイチップの前記第2の空気流調節チャネルから出た前記第2の空気流を受け入れて、前記ポリマー流先端部の前記先端開口及び前記ポリマー流の少なくとも一部とに隣接して前記第2の空気流を出す第2の空気出口流路を形成するように構成されている第2の空気板と、
を備えており、
前記第1の空気流及び前記第2の空気流は、前記ポリマー流先端部にて前記ポリマー流を補助し、
前記細長いダイチップの一部として設けられた前記第1の衝突面は、1又は複数の場所で前記第1の空気流調節チャネルの幅を延ばしている、メルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項2】
前記細長いダイチップは、前記第1の空気流調節チャネル及び前記第2の空気流調節チャネルを収容する衝突部を含む、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項3】
前記細長いダイチップは、前記衝突部よりも狭く、前記第1の空気流調節チャネル及び前記第2の空気流調節チャネルの空気流を妨害する首部を含む、請求項2に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項4】
前記衝突部は、前記細長いダイチップの前記衝突部に前記第1の空気板及び前記第2の空気板を固定するファスナーを受け入れる複数の締結可能な穴を含む、請求項2に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項5】
前記細長いダイチップは、前記取付構造体にねじ留めされていない、請求項4に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項6】
前記細長いダイチップと前記第1の空気板及び前記第2の空気板とは、交換可能なカートリッジを形成する、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項7】
前記取付構造体の前記少なくとも1つのポリマー流路から前記ポリマー流チャンバへの前記ポリマー流を調節する少なくとも1つのブレーカープレートを更に備える、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのブレーカープレートが、前記ポリマー流を濾過して調節するための複数の孔を含む、請求項7に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのブレーカープレートは2つの積層ブレーカープレートを含んでおり、1又は複数のスクリーンフィルタが、前記2つの積層ブレーカープレートの間に配置されている、請求項8に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項10】
前記第1の空気板及び前記第2の空気板は、前記ポリマー流チャンバの垂直方向軸に平行な複数のファスナーを使用して前記取付構造体に取り付けられる、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項11】
前記第1の空気流調節チャネルは、前記取付構造体の前記第1の空気流路から前記第1の空気流を受け入れ、前記第1の空気流を調節し、前記第1の空気流から前記細長いダイチップに熱を伝達し、前記細長いダイチップの前記第1の傾斜面に隣接して前記第1の空気流を出すように構成されており、
前記第2の空気流調節チャネルは、前記取付構造体の前記第2の空気流路から前記第2の空気流を受け入れ、前記第2の空気流を調節し、前記第2の空気流から前記細長いダイチップに熱を伝達し、前記細長いダイチップの前記第2の傾斜面に隣接して前記第2の空気流を出すように構成されている、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項12】
前記第1の空気流及び前記第2の空気流は、前記ポリマー流を液体状態に維持する温度範囲で前記ダイチップアセンブリを動作させる、請求項11に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項13】
前記ポリマー流先端部は50度乃至90度の外角を有する、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項14】
前記取付構造体と前記細長いダイチップは一体のピースである、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項15】
前記細長いダイチップは更に傾斜先端部を含んでおり、前記第1の空気板は更に第1の先端部を含んでおり、前記第2の空気板は更に第2の先端部を含んでおり、前記傾斜先端部と前記第1の先端部と前記第2の先端部の中点との間の垂直距離は、0.5mm乃至4.0mmであるセットバック寸法を規定する、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項16】
前記第1の先端部と前記第2の先端部の間の距離は先端間距離を規定しており、前記セットバック寸法と前記先端間距離の比が0.25乃至2.5である、請求項15に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項17】
前記取付構造体の前記少なくとも1つのポリマー流路は、前記取付構造体の前記少なくとも1つのポリマー流路の内面にアクセスできるように、前記ポリマー流チャンバの前記第1の開口付近に開口幅を含む、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項18】
前記取付構造体の前記少なくとも1つのポリマー流路の内面は、前記ポリマー流を分配のテーパー状の上面を含む、請求項17に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項19】
前記第1の空気板が第1の外面を含み、前記第2の空気板が第2の外面を含み、前記第1の外面と前記第2の外面とは90度乃至180度の角度を成している、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項20】
前記第1の空気板が前記第1の外面を含み、前記第2の空気板が前記第2の外面を含み、前記第1の外面と前記第2の外面とは90度乃至140度の角度を成している、請求項19に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項21】
空気及びポリマーを供給するために前記取付構造体に流体接続されたメルトブローンビームを更に含んでおり、前記メルトブローンビーム及び前記取付構造体は、制御領域内における前記ダイチップの周囲の空気に他の障害物が干渉しないような高さを前記ダイチップ上方に生じ、前記制御領域は、前記ダイチップ上方の前記高さとオフセット距離とで決定される角度で規定される、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項22】
前記メルトブローンビームと前記取付構造体は一体のピースである、請求項21に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項23】
前記第1の空気流及び前記第2の空気流はチップ頂点で混合されて、前記ポリマー流と周囲の空気とを引き込み、干渉する構造物は前記チップ頂点の少なくとも38mm以内に存在しない、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項24】
前記細長いダイチップの前記ポリマー流チャンバは、前記ポリマー流チャンバの第1の側壁と前記ポリマー流チャンバの対向する第2の側壁とを接続するリブ構造を含み、前記リブ構造は、前記ポリマー流の層流を促進する断面流体力学的形状を有する、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項25】
前記第1の衝突面は、前記細長いダイチップの上面に又は前記細長いダイチップの上面に隣接して配置されている、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項26】
前記第1の衝突面は、前記第1の空気流調節チャネル内に配置されている、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項27】
前記細長いダイチップは1.0乃至5.5メートルの全幅を有しており、前記ポリマー流先端部は、全幅に沿って1インチ当たり25乃至100個のポリマー流先端部で繰り返される、請求項1に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項28】
前記ポリマー流先端部は、0.05mm乃至1.00mmの直径を有する、請求項27に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項29】
前記第1の空気流及び前記第2の空気流は合流して、前記細長いダイチップの全幅にわたる出力気流を生成し、前記出力気流は、前記細長いダイチップの端部付近の流量が、前記出力気流の平均流量の97.5%以上であるような均一性レベルを有する、請求項27に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項30】
細長いダイチップであって、
本体部と、ポリマー流チャンバと、ポリマー流先端部と、第1の空気流調節チャネルと、第1の傾斜面と、第2の空気流調節チャネルと、前記第1の傾斜面の反対側にある第2の傾斜面とを備えており、
前記第1の傾斜面及び前記第2の傾斜面は、前記ポリマー流先端部に隣接して配置されており、
前記ポリマー流チャンバはポリマー流を受け入れて、前記ポリマー流を前記ポリマー流先端部に送るように構成されており、
前記第1の空気流調節チャネルは第1の空気流を受け入れて、前記第1の空気流を調節し、前記第1の空気流を前記第1の傾斜面に隣接して送るように構成されており、
前記第2の空気流調節チャネルは第2の空気流を受け入れるように構成されており、
前記本体部は、前記細長いダイチップの一部として設けられた少なくとも1つの衝突面を有する前記第1の空気流調節チャネルの一部を含んでおり、前記少なくとも1つの衝突面は、前記第1の空気流と衝突して前記第1の空気流を調節するように構成されており、
前記少なくとも1つの衝突面は、少なくとも部分的に前記第1の空気流調節チャネルにわたって延びており、
前記第1の傾斜面は、前記第1の空気流が前記ポリマー流先端部から前記ポリマー流を引き出すように前記ポリマー流先端部に隣接して配置され、
前記第1の傾斜面は、前記少なくとも1つの衝突面によって妨害された前記第1の空気流を方向づけるための第1の空気板に隣接している、細長いダイチップ。
【請求項31】
前記本体部は、前記本体部の幅を減少させる狭い首部を含んでおり、前記首部は、前記第1の空気流調節チャネルを出る前記第1の空気流と衝突する前記第1の傾斜面への移行面を与える、請求項30に記載の細長いダイチップ。
【請求項32】
前記第1の空気流は、前記少なくとも1つの衝突面が前記第1の空気流に衝突すると前記第1の空気流が前記本体部を加熱して、前記第1の空気流から前記細長いダイチップへの熱伝達を支援する、請求項30に記載の細長いダイチップ。
【請求項33】
前記第2の空気流調節チャネルは
、前記第2の傾斜面に隣接した前記第2の空気流をもたらす、請求項30に記載の細長いダイチップ。
【請求項34】
前記本体部が、前記第2の空気流調節チャネルの前記第2の空気流を調節するために前記第2の空気流と衝突する第2の衝突面を含む、請求項33に記載の細長いダイチップ。
【請求項35】
前記第2の空気流は、前記ポリマー流先端部に達すると前記第1の空気流と実質的に同じ程度の速度に加速されて、前記第1の空気流及び前記第2の空気流の両方は混合されて、前記ポリマー流先端部から前記ポリマー流を引き出して吹き出す、請求項34に記載の細長いダイチップ。
【請求項36】
前記第1の空気流及び前記第2の空気流は、前記ポリマー流を引き込み、前記ポリマー流を前記ポリマー流先端部から吹き出すように混合する、請求項35に記載の細長いダイチップ。
【請求項37】
前記第1の空気流が前記第1の空気流調節チャネルから前記ポリマー流先端部に達するように移動し、且つ、前記第2の空気流が前記第2の空気流調節チャネルから前記ポリマー流先端部に達するように移動する場合に、前記第1の空気流及び前記第2の空気流は、ファスナーで妨害されない又はファスナーと接触しない、請求項35に記載の細長いダイチップ。
【請求項38】
前記第1の空気流及び前記第2の空気流は、前記ポリマー流先端部から少なくとも38mm離れたところで妨害されない、請求項37に記載の細長いダイチップ。
【請求項39】
前記第2の傾斜面に少なくとも部分的に隣接して配置された第2の空気板を備えており、
前記第1の空気板は更に第1の先端部を含み、前記第2の空気板は更に第2の先端部を含み、前記ポリマー流先端部と前記第1の先端部と前記第2の先端部の中間点との間の垂直距離が0.5mm乃至4.0mmのセットバック寸法を規定する、請求項37に記載の細長いダイチップ。
【請求項40】
前記第1の先端部と前記第2の先端部との間の距離は先端部間距離を規定し、前記セットバック寸法と前記先端部間距離との比は0.25乃至2.5である、請求項39に記載の細長いダイチップ。
【請求項41】
前記細長いダイチップは、前記第1の空気板及び前記第2の空気板にねじ留めされる、請求項39に記載の細長いダイチップ。
【請求項42】
メルトブローンダイチップアセンブリにおいて、
ポリマー流路及び空気流路を有する取付構造体と、
前記取付構造体に密に取り付けられたダイチップであって、前記ダイチップは、前記取付構造体の前記ポリマー流路からポリマー流を受け入れ、前記取付構造体の前記空気流路から空気流を受け入れ、前記ダイチップは、前記空気流を受け入れて跳ね返して前記空気流を強制的に再構成するために前記ダイチップの空気流調節チャネルの一部として設けられた衝突面と、狭い首部であって、前記空気流調節チャネルから第1の傾斜面へと出る前記空気流を前記首部からの移行面が妨げる首部と、前記メルトブローンダイチップアセンブリからポリマー流を供給するためのポリマー流先端部とを含んでいる、ダイチップと、
前記取付構造体に取り付けられて前記ダイチップの横に配置されており、前記ポリマー流先端部に隣接して前記メルトブローンダイチップアセンブリを出る前記空気流をもたらす空気出口流路を形成する空気板と、
を備えており、
前記衝突面は、少なくとも部分的に前記空気流路にわたって延びており、
前記移行面は、少なくとも部分的に前記空気
流調節チャネルにわたって延びており、
前記空気流は、前記ポリマー流先端部から前記ポリマー流を引き出し、前記ポリマー流の少なくとも一部を繊維化する、メルトブローンダイチップアセンブリ。
【請求項43】
前記ダイチップは、前記ダイチップと前記空気板との間に第2の移行面を含む、請求項42に記載のメルトブローンダイチップアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<仮出願の相互参照及び優先権主張>
本願は、2017年11月22日に出願された米国仮特許出願第62/590,037号の利益及び優先権を主張し、当該米国仮特許出願の全ての内容は、全ての目的について参照により本明細書の一部となる。
【0002】
本開示は、メルトブローン装置、メルトブローン製品、及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
不織布シート製品、例えば、真空バック、バスワイプ、ティーバッグフィルターなどは、大抵の場合、メルトブローと呼ばれる従来の製造方法によって製造される。関連する生産装置又は製造装置はメルトブローン装置と称されることがあり、関連する製品は、メルトブローン製品と称されることがある。典型的には、製造方法は、最初に、熱可塑性ポリマーを液体又は流動性の形態に溶融させ、次に、ノズル(ダイチップとしても知られている)を通してポリマーを押し出し、且つノズルの周囲に高速且つ高温のガスを吹き付けることでポリマーを繊維化させ、そして、繊維化されたポリマーを基板表面などの表面に堆積させる。堆積したポリマーが硬化して不織布シートが形成される。このような不織布シート製品は、様々な用途、例えば、濾過、吸着媒、衣類、薬物送達などの用途で使用することができる。
【0004】
熱可塑性特性を有するポリマーは、液体状態と固体状態の間の遷移における特性からメルトブローに適している。遷移温度は、ガラス転移温度として知られており、ポリマーによって異なる。これらのポリマーとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエチレン、及びポリカーボネートが挙げられる。これらのポリマーのガラス転移温度及び流動特性(例えば、粘度、接着性など)は異なることから、メルトブローン装置は、大抵の場合、特定の均一性、繊維サイズ、又はそれら両方を有する製品を製造する能力で限定される。ポリマー繊維の均一性は、大抵の場合、ダイチップを取り囲む高速空気の均一性によって制限される。更に、これらの特定の制限は、生産速度の全体的な制限を導いて、このような製品の生産性及び経済的実行可能性を制限し得る。このような制限は、マルチフォームプロセスのような、木材パルプ又は他の繊維を含む形成プロセスで、2つ以上のメルトブローンダイチップが一緒に使用される場合に、更に大きくなる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、特定の実施形態において、製品の均一性、繊維サイズ、生産速度、ポリマー生産性能、並びに、改善された装置及び生産の運転効率のうちの1又は複数を改善することができるメルトブロー方法、アセンブリ、及びシステムを記載している。ある特定の態様において、開示されるメルトブローンダイチップアセンブリは、従来のダイチップアセンブリと比較してより均一な、ダイチップを囲む高速高温空気流を生じる。特定の実施形態では、開示されるメルトブローンシステムは、特定のポリマー材料及び生産速度が与えられる場合に、より均一な生産物とより縮小された繊維サイズとをもたらす。より均一な生産物の生産効率は、幾つかの実施形態では、より徹底的な清掃を可能にする装置設計によって、及び/又は、保守停止時間を低減又はできるだけ短くできるように、ホットスタンバイ時のように、装置に交換の準備を整えておくことによって達成できる。
【0006】
概して、開示されるメルトブローン装置は、ポリマービーム及び空気チャンバと、ダイチップアセンブリとを含んでいる。ダイチップアセンブリは、特定の実施形態では、ポリマービーム及び空気チャンバに迅速に取り付けられ、又は、ポリマービーム及び空気チャンバから迅速に取り外される。空気チャンバは、空気供給システムと共に、ダイチップアセンブリに空気を供給するための空気加熱ビームに含まれてよい。空気供給システムは、分配孔を通じて高速空気を供給して、孔内の熱伝達を増加させることができる。孔は、空気流を受ける対応構造体(例えば、板)が、出て行く空気を利用して熱伝達効率を高めることを可能にする位置に配置される。例えば、熱伝達効率は、空気流が衝突するダイチップで、ダイチップの空気孔で、又はそれら両方で増加してもよい。
【0007】
ダイチップは、空気流と引き出されたポリマーとをそのノズルで合流させる。ノズルでは、両側の高速で均一な空気流が、繊維化するためにポリマーを同伴して引き出す。特定の実施形態では、ポリマー通路の空気流、又はノズル内若しくはその付近の空気流にファスナー又は望ましくない障害物が(特定の実施形態では、空気流妨害を引き起こすファスナーを有する構成を意図的に回避していることで)使用されていないので、空気及び/又はポリマーのダイチップノズルへの所望の供給は妨げられない。特に、本開示は、メルトブローンダイチップ構造の一実施形態を示しており、当該メルトブローンダイチップ構造は、ノズルの外面の約10cm(即ち、4'')内において、或いは、ダイ内部の空気チャネル又は通路内において、ボルトヘッド又はカウンターシンク加工領域を排除する。これにより、生産性及び製品の均一性が大幅に向上する。
【0008】
特定の実施形態では、メルトブローンシステムは、単一の投入物(例えば、ポリマー材料)を含む。メルトブローンシステムは、投入物の流れを手助けするテーパー構造を含んでよい。そのようなテーパー状構造をポリマー分配要素と称することができる。開示されるメルトブローンシステムの幾つかの実施形態で使用されるアセンブリ機構は、従来のポリマー分配要素よりもより便利且つ徹底的に、使用毎にポリマー分配要素を清掃することを可能にする。例えば、ポリマー分配要素と共に取付板が使用される場合、単一のポリマーシール(例えば、複数の丸型シール又はチャネル上の細長いガスケットの代わりに単一の丸型シールが使用されてよい)が使用されてよい。これにより、組立エリアでのオフラインでの清掃が容易になり、装置への設置も容易になる。取付板が使用されない場合、特定の実施形態では、空気チャンバの底板を使用して、又はメルトブローンビームの底部アクセスから清掃を行うことができる。
【0009】
特定の例では、開示されるメルトブローンシステムで使用されるダイチップアセンブリは、プリンタにおけるカートリッジ交換に類似した方法で、別の交換用ダイチップアセンブリと置換可能又は交換可能である。他の例では、ダイチップアセンブリは、2つの空気流を含む空気出力を有しており、それらの流れは、鋭角又はさもなければ所望の角度で混合しており、微細なポリマー繊維を製造する能力が改善される。これは、使用されるポリマーの種類、及び/又は、生産される製品の種類若しくは所望の特性に依存してよい。更に他の幾つかの例では、ダイチップアセンブリはまた、詳細な説明で更に説明されるように、セットバック距離や先端間距離のような新規な幾何学的設定を提供する。
【0010】
本開示は、既存のメルトブローン装置及び方法を超えた更なる利点を提供し得るダイチップアセンブリの1又は複数の実施形態を示す。例えば、開示されるダイチップアセンブリは、加熱された空気のより最適化された使用を妨害しない手法で提供してよい。ダイチップアセンブリは、特定の実施形態では、特定の要件に応じてコンパクトなサイズに構成されてよく、例えば、パルプ繊維と組み合わせる構成において、2つ以上のダイチップアセンブリを生産中に一緒に配置することができる。特定の実施形態では、ダイチップアセンブリは、良好な幾何学的安定性をもたらすために、溶接強度又は機械加工強度のリブ構造を有する(
図4B乃至4Dで与えられている例)。
【0011】
第1の一般的な態様において、メルトブローンダイチップアセンブリは取付構造体を備えており、当該取付構造体は、それに形成されており、ポリマー流を受け入れるように構成された少なくとも1つのポリマー流路と、それに形成されており、第1の空気流を受け入れるように構成された第1の空気流路と、それに形成されており、第2の空気流を受け入れるように構成された第2の空気流路とを含んでいる。メルトブローンダイチップアセンブリは、ポリマー流チャンバを有する細長いダイチップと、ポリマー流先端部と、第1の衝突面を有する第1の空気流調節チャネルと、第2の衝突面を有する第2の空気流調節チャネルと、第1の傾斜面と、第2の傾斜面とを更に含む。細長いダイチップのポリマー流チャンバは、細長いダイチップのポリマー流チャンバの第1の開口において、取付構造体の少なくとも1つのポリマー流路と流体連通している。ポリマー流チャンバは、取付構造体の少なくとも1つのポリマー流路からのポリマー流の少なくとも一部を受け入れるように構成されている。細長いダイチップのポリマー流チャンバは、第1の開口において細長いダイチップと流体連通するように構成されている。
【0012】
細長いダイチップのポリマー流チャンバは、第1の開口からポリマー流の少なくとも一部を受け入れるように構成されており、細長いダイチップのポリマー流チャンバは、第2の開口でポリマー流先端部と流体連通している。ポリマー流先端部は、第2の開口でポリマー流チャンバからポリマー流の少なくとも一部を受け入れるように構成されている。特定の実施形態において第2の開口とみなされ得るポリマー流先端部は、ポリマー流の少なくとも一部を出すように構成された先端開口を有する。第1の空気流調節チャネルは、取付構造体の第1の空気流路から第1の空気流を受け入れ、少なくとも第1の衝突面を用いて第1の空気流を調節し、細長いダイチップの第1の傾斜面に隣接して第1の空気流を出すように構成されている。第2の空気流調節チャネルは、取付構造体の第2の空気流路から第2の空気流を受け入れ、少なくとも第2の衝突面を使用して第2の空気流を調節し、第2の傾斜面に隣接して第2の空気流を出すように構成されている。
【0013】
メルトブローンダイチップアセンブリは更に、細長いダイチップの第1の傾斜面に少なくとも部分的に隣接して配置されており、第1の空気出口流路を形成するように構成された第1の空気板を含んでおり、細長いダイチップの第1の空気流調節チャネルから出た第1の空気流を受け入れて、ポリマー流先端部の先端開口及びポリマー流の少なくとも一部とに隣接して第1の空気流を出して、第1の空気流をポリマー流に少なくとも部分的に流入させるように構成されている。そのアセンブリは更に、細長いダイチップの第2の傾斜面に少なくとも部分的に隣接して配置されており、第2の空気出口流路を形成するように構成された第1の空気板を含んでおり、細長いダイチップの第2の空気流調節チャネルから出た第2の空気流を受け入れて、ポリマー流先端部の先端開口及びポリマー流の少なくとも一部とに隣接して第2の空気流を出して、第2の空気流をポリマー流に少なくとも部分的に流入させるように構成されている。
【0014】
幾つかの実施形態では、細長いダイチップは、第1の空気流調節チャネル及び第2の空気流調節チャネルを収容する衝突部を含む。第1の空気流調節チャネルは第1の衝突面を有する。第2の空気流調節チャネルは第2の衝突面を有する。第1の衝突面及び第2の衝突面は夫々、第1の空気流及び第2の空気流を調節することを補助する。例えば、第1の衝突面は、初期進行方向の第1の空気流と衝突し、又はそれを妨害することで、空気流を旋回させて再編成又は再構成させる。加えて、第1の空気流と第1の衝突面との間の衝撃は、第1の空気流から衝突部、ひいてはダイチップへのエネルギーの伝達を助ける。例えば、第1の空気流及び第2の空気流は、ポリマー流の流動性状態を維持するために高温でメルトブローンシステムに入ってよい。第1の衝突面及び第2の衝突面のような衝突部は、効率的な熱伝達、並びに第1及び第2の空気流の均一性の調節のための機構を提供する。他の実施形態では、空気流調節チャネルに、複数の衝突面が存在してよい。
【0015】
幾つかの他の実施形態では、細長いダイチップは首部を含んでおり、当該首部は、衝突部よりも狭く、第1の空気流調節チャネル及び第2の空気流調節チャネルを出る気流を妨害する。
【0016】
更に他の幾つかの実施形態では、衝突部は、細長いダイチップの衝突部に第1の空気板及び第2の空気板を固定するファスナーを受け入れるための複数の締結可能な穴を含む。これは、水平方向、垂直方向、又は斜め方向に向けられたファスナー、又はそれらの組合せを使用して、達成されてよい。
【0017】
幾つかの実施形態では、細長いダイチップと第1及び第2の空気板とは、交換可能なカートリッジを形成する。
【0018】
幾つかの他の実施形態では、メルトブローンダイチップアセンブリは、取付構造体のポリマー流路からポリマー流チャンバへのポリマー流を制御する少なくとも1つのブレーカープレートを更に含む。少なくとも1つのブレーカープレートは、ポリマー流を濾過して調節するための複数の孔を含む。少なくとも1つのブレーカープレートは、幾つかの実施形態では、2つの積層ブレーカープレートと、それらの間に配置された1又は複数のスクリーンフィルタとを含んでよい。
【0019】
更に他の幾つかの実施形態では、第1の空気板及び第2の空気板は、1又は複数のファスナーを使用して取付構造体に取り付けられてよく、それらファスナーは、ポリマー流チャンバに平行であってよい。
【0020】
幾つかの実施形態では、第1の空気流調節チャネルは、取付構造体の第1の空気流路から第1の空気流を受け入れ、第1の空気流を調節し、第1の空気流から細長いダイチップに熱を伝達し、細長いダイチップの第1の傾斜面に隣接して第1の空気流を出すように構成されている。第2の空気流調節チャネルは、取付構造体の第2の空気流路から第2の空気流を受け入れ、第2の空気流を調節し、第2の空気流から前長いダイチップに熱を伝達し、細長いダイチップの第2の傾斜面に隣接して前記第2の空気流を出すように構成されている。
【0021】
幾つかの他の実施形態では、第1の空気流及び第2の空気流により、ダイチップアセンブリは、ポリマー流を液体状態に維持する温度に維持される。
【0022】
幾つかの他の実施形態では、ポリマー流先端部は、約50度乃至約90度の外角を有する。
【0023】
幾つかの実施形態では、取付構造体と細長いダイチップは一体化されたピースである。例えば、取付構造と細長いダイチップとは、ボルトで一緒に、溶接で一緒に、又は他の方法で(例えば、接着剤で)結合又は取り付けられる場合、一体化されたピースであるとみなされてよい。他の実施例では、取付構造体と細長いダイチップとは、一体化されたピースとして製造され、それもまた、一体化されたピースとみなされるであろう。
【0024】
幾つかの他の実施形態では、細長いダイチップは更に傾斜した先端部を備えてよい。第1の空気板は更に第1の先端部を備えており、第2の空気板は更に第2の先端部を備えており、傾斜した先端部と、第1の先端部と第2の先端部の中間点との間の垂直距離が、約0.5mm乃至約4.0mmのセットバック(setback)寸法を規定する。第1の先端部と第2の先端部の間の距離は、セットバック寸法と先端間距離の比が約0.25乃至約2.5であるように先端間距離を規定する。
【0025】
幾つかの他の実施形態では、取付構造体の少なくとも1つのポリマー流路は、清掃用具が取付構造体の少なくとも1つのポリマー流路の内面にアクセスできるようにポリマー流チャンバの第1の開口付近の開口幅を含む。取付構造体の少なくとも1つのポリマー流路の内面は、ポリマー流を出すためのテーパー状の上面を含む。
【0026】
幾つかの実施形態では、第1の空気板は第1の外面を含む。第2の空気板は、第2の外面を含む。第1の外面及び第2の外面は、約90度乃至約140度の角度を成す。
【0027】
幾つかの他の実施形態では、メルトブローンダイチップアセンブリは、空気及びポリマーを供給するために取付構造体と流体接続されたメルトブローンビームを更に含む。メルトブローンビーム及び取付構造体は、他の障害物が制御領域内でダイチップの周囲空気と干渉しないようなダイチップの上方の高さを生じる。メルトブローンビームと取付構造体は一体化されたピースである。
【0028】
更に他の幾つかの実施形態では、第1の空気流及び第2の空気流は、チップ頂点で混ぜられてポリマー流及び周囲空気を引き寄せており、干渉する構造物がチップ頂点の少なくとも約38mm以内に存在しないようにされている。
【0029】
幾つかの実施形態では、細長いダイチップのポリマー流チャンバは、ポリマー流チャンバの第1の側壁とポリマー流チャンバ対向する第2の側壁とを接続するリブ構造を含んでおり、当該リブ構造は、ポリマー流の層流を促進する流体力学的断面形状を有する。
【0030】
幾つかの他の実施形態では、第1の衝突面は、細長いダイチップの上面に配置されている。
【0031】
更に他の幾つかの実施形態では、第1の衝突面は、第1の空気流調節チャネル内に配置される。
【0032】
第2の一般的な態様において、ポリマー流及び空気の混合のためのダイチップであって、ダイチップは、本体部と、ポリマー流チャンバと、ポリマー流先端部と、第1の空気流調節チャネルと、第1の傾斜面と、第2の空気流調節チャネルと、第1の傾斜面と対向する第2の傾斜面とを含んでおり、第1の傾斜面及び第2の傾斜面は、ポリマー流先端部に隣接して配置されているか、又はポリマー流先端部を規定している。ポリマー流チャンバは、ポリマー流を受け入れ、ポリマー流をポリマー流先端部に送るように構成されている。第1の空気流調節チャネルは、加速された速度で第1の傾斜面に提供される第1の空気流を受け入れる。本体部は、第1の空気流を調節するために第1の空気流を衝突させる少なくとも1つの衝突面を含む。第1の傾斜面は、加速された速度の第1の空気流がポリマー流先端部からポリマー流を引き出して吹き出すのを助けるようにポリマー流先端部に隣接するように、又はポリマー流先端部の一部を規定するように設けられる。
【0033】
幾つかの実施形態では、本体部は首部を含んでおり、当該首部は、首部から第1の傾斜面への移行面が、第1の空気流調節チャネルを出る第1の空気流を妨害するように本体部の幅を減少させる。少なくとも1つの衝突面は、移行面を含んでよい。
【0034】
幾つかの他の実施形態では、第1の傾斜面は、移行面によって阻害された第1の空気流を指示して加速するための第1の空気板に隣接している。第1の空気流は、第1の空気流が移行面に衝突すると、ダイチップの本体部を加熱し、第1及び第2の空気流の熱をダイチップに伝達するのを助ける。第2の空気流調節チャネルは、第2の空気流を受け入れ、第2の空気流を第2角度面に送る。本体部は、第2の空気流調節チャネル内の第2の空気流を調節するための第2の空気流を衝突させる第2の衝突面を含む。第2の空気流は、第1の空気流及び第2の空気流の両方が、ポリマー流の先端からポリマーを引き出して吹き出すために巻き込むように、ポリマー流の先端に到達したときに、第1の空気流と実質的に同じレベルの速度に加速されてもよい。
【0035】
まだ幾つかの他の実施形態では、第1の空気流及び第2の空気流は、ポリマー流を引き出し、ポリマー流をポリマー流の先端から吹き出すか又は引き出すように混合する。特定の実施形態では、第1の空気流及び第2の空気流は、第1の空気流が第1の空気流調節チャネルからポリマー流先端部に到達するように移動し、第2の空気流が第2の空気流調節チャネルからポリマー流先端部に到達するように移動する際に、任意のファスナーによって、又は任意のファスナーと接触して阻害されない。第1の空気流と第2の空気流は、ポリマー流先端部から少なくとも約38mm離れたところでは妨げられない。
【0036】
幾つかの実施形態では、第1の空気板は第1の先端部を更に含み、第2の空気板は第2の先端部を更に含み、ポリマー流先端部と第1の先端部及び第2の先端部の中間点との間の垂直距離は、約0.5mm乃至約4.0mmのセットバック寸法を規定する。第1の先端部と第2の先端部の間の距離は、セットバック寸法と先端間距離の比が約0.25乃至2.5であるように先端間距離を規定する。
【0037】
第3の一般的な態様において、メルトブローンダイチップアセンブリは、ポリマー流導管及び空気流導管を有する取付構造体を含む。メルトブローンダイチップアセンブリは、取付構造体に少なくとも部分的に封止されて取り付けられたダイチップを含む。ダイチップは、取付構造体のポリマー流導管からポリマー流を受け入れて、取付構造体の空気流導管から空気流を受け入れる。ダイチップは、空気流を受け入れて跳ね返し、空気流を少なくとも部分的に再集合させるための衝突面を含む。空気板は、取付構造体に密に取り付けられており、ダイチップから出る気流を加速するための通路をもたらすためにダイチップに隣接して取り付けられている。加速された空気流は、ダイチップからポリマー流を引き出し、要望通りにポリマー流を繊維化する。
【0038】
幾つかの実施形態では、ダイチップは、ダイチップと空気板の間に、又はダイチップ内に第2の衝突面を含む。
【0039】
第4の一般的な形態では、メルトブローンシステムに単に均一な空気流を供給することによって、均一な又はより均一なメルトブローン製品を製造するための方法が開示されている。この方法は、第1の空気流を形成するために、加圧された空気を取付構造体の1又は複数の空気流路に供給することを含む。第1の空気流は、取付構造体の空気流路の出口付近の第1の衝突面と衝突する。第1の衝突面と衝突した第1の空気流は、その後、第1の衝突面の上方にある又はそれに隣接するプレナム若しくはボリューム内で再構成される。再構成された第1の空気流は、空気調節路に通過する。再構成された第1の空気流は、次に、メルトブローのためのポリマーを引き出すために加速される。
【0040】
幾つかの実施形態では、本開示の方法は、再構成された第1の空気流をダイチップの首部の第2の衝突面を使用して衝突させて、第2の衝突面と衝突した第1の空気流を、第2の衝突面の上方にある又はそれに隣接している第2のプレナム又は第2のボリューム内で再構成することを更に含む。
【0041】
詳細な開示及び実施例が以下に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、メルトブローンシステムの分解斜視図である。
【0043】
【
図2A】
図2Aは、
図1のメルトブローンシステムで使用されるダイチップアセンブリの交換カートリッジの第1の実施形態の分解斜視図である。
【0044】
【
図2B】
図2Bは、
図1のメルトブローンシステムで使用されるダイチップアセンブリの交換カートリッジの別の実施形態の分解斜視図である。
【0045】
【0046】
【
図3F】
図3Fは、
図3Aに示された実施例に対応する交換カートリッジの実施形態の断面図である。
【
図3G】
図3Gは、
図3Bに示された実施例に対応する交換カートリッジの実施形態の断面図である。
【
図3H】
図3Hは、
図3Cに示された実施例に対応する交換カートリッジの実施形態の断面図である。
【
図3I】
図3Iは、
図3Dに示された実施例に対応する交換カートリッジの実施形態の断面図である。
【
図3J】
図3Jは、
図3Eに示された実施例に対応する交換カートリッジの実施形態の断面図である。
【0047】
【
図3K】
図3Kは、
図3Iの交換カートリッジの実施形態における空気流を示す詳細断面図である。
【0048】
【
図4】
図4A乃至Dは、ダイチップの一実施形態の特定の特徴を示す局所断面図である。
【0049】
【
図5】
図5は、ダイチップのポリマー流先端部の一実施形態を局所的に示す正面図である。
【0050】
【
図6】
図6は、ダイチップのポリマー流先端部の一実施形態を局所的に示す別の正面図である。
【0051】
【
図7】
図7は、
図2のダイチップアセンブリの一実施形態において使用されるブレーカープレートを部分的に示す平面図及び側断面図を含む。
【0052】
【
図8A】
図8Aは、取付構造体の一実施形態におけるポリマー流路を示す透視斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、取付構造体の一実施形態におけるポリマー流路を示す透視斜視図である。
【0053】
【
図9】
図9は、制御領域を例示するメルトブローンシステムの一実施形態の例示的な正面図である。
【0054】
【
図10】
図10は、
図3A乃至Jの実施例の特徴を組み込んだ例示的な交換カートリッジによって生じた気流の均一性の測定値のプロットである。
【0055】
同じの要素は、同じ数字を用いて符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本開示は、ダイチップアセンブリを有するメルトブローンシステムと、高度に均一なメルトブローン材料を製造することができる関連メルトブローン方法とを示す。メルトブローンシステムは、ある特定の実施形態では、例えば、特に繊維サイズ及び間隙率の点で従来のメルトブローン機械及び方法に制限をもたらすポリマー材料を取り扱う際の高度な動作を提供する。開示されるメルトブローンシステムは、(単位時間当たり長さ当たりの体積又は質量によって測定される)所定のスループットのためのある特定の実施形態において、縮小された繊維サイズを有する均一な又はより均一なポリマー製品を製造することができる。それは、所望の製品の品質にとって重要である。メルトブローンシステムはまた、容易な洗浄、迅速なツール交換、均一な加熱又は冷却、均一なポリマーの流動などの幾つかの運転上の利点をもたらしてよい。メルトブローンシステムの1又は複数の実施形態の詳細は、以下に記載される。
【0057】
図1は、メルトブローンシステム100の一実施形態の分解斜視図である。メルトブローンシステム100は、ダイチップアセンブリ110と、メルトブローンビーム120と、1又は複数のエンドプレート130とを含む。メルトブローンビーム120は、1又は複数の導管122を介して外部供給源から空気を受け入れ、1又は複数の導管124を介して外部供給源から液体状態のポリマーを受け入れる。空気及びポリマーを供給する供給源は、当技術分野で良く知られている。空気、例えば、加圧及び/又は加熱された空気は、液体ポリマーの液体繊維のスプレーを生成するために使用される。スプレーでは、繊維の長い糸が受け面又は基材に着地して、不織布シートを形成する。このメルトブロープロセスは、ダイチップアセンブリ(スピナレット(spinneret)アセンブリとしても知られている)110内の機構を用いて達成される。
【0058】
ダイチップアセンブリ110は、図示された例示的な実施形態では、取付構造体112、ダイチップ114、第1の空気板116、及び第2の空気板118を含んでよい。エンドプレート130は、ダイチップアセンブリ110のこれらの構成要素を端で固定するのを補助してよい。幾つかの実施形態では、別のエンドプレート(図示せず)が、ダイチップアセンブリ110の幾つかの構成要素を他方の端で固定する。具体的には、エンドプレート130(と図示しない別のエンドプレート)は、細長いダイチップ114の正面端部と、2つの空気板116及び空気板118の正面端部と、取付構造体112の正面端部とに固定可能であって、完全なアセンブリが、メルトブローンビーム120から各構成要素を時間をかけて取り外すことなく、ホットスタンバイモードの間に迅速且つ便利に置き換え又は交換できるように、交換用カートリッジを構成することができる。取付構造体112は、ビーム120からポリマーを受け入れるためのポリマー受け入れ導管又は孔117を含んでよい。取付構造体112はまた、空気を受け入れるためのスロット又は多数の孔119を含む。幾つかの実施形態では、取付構造体は、一実施形態では、ポリマー受け入れ孔117に対して対称に配置された2つのスロット119及びスロット126を含む。スロット119及びスロット126の各々は、ダイチップアセンブリ110内に空気を提供するための孔又は導管を含んでよい。
【0059】
以下で更に説明されるように、ダイチップ114は、メルトブロープロセスを実行するために高速に加速する気流の通路を作るために、第1の空気板116及び第2の空気板118と組み合わされる。取付構造体112は、メルトブローンビーム120からポリマー材料及び空気流を受け入れて、それらを下のダイチップ114にきちんと供給するか、又は方向づける。幾つかの実施形態では、取付構造体112は、メルトブローンビーム120の一部又はそれと一体であってよく、ダイチップ114と、第1の空気板116及び第2の空気板118とは、メルトブローンビーム120の取付構造体112の下側に取り付けられる。幾つかの他の実施形態では、取付構造体112は、ダイチップ114の一部であってよく、第1の空気板116及び第2の空気板118を受ける。組立て後、第1の空気板116及び第2の空気板118は、比較的大きな先端間距離を有する。幾つかの実施形態では、距離は、約1.27mm(又は0.05’’)、又はそのような距離を含む範囲であり得る
【0060】
図2Aは、
図1のメルトブローンシステム100で使用されるダイチップアセンブリ110の交換カートリッジの第1の実施形態の分解斜視図である。
図2Aでは、
図1に示されている1又は複数のエンドプレート130は図示されていない。等価なエンドシール構造が、ダイチップ114、第1の空気板116、第2の空気板118、及び取付構造体112の何れかと一体化されていてよいことから、交換カートリッジは、別個の1又は複数のエンドプレート130を含んでいてもいなくてもよい。
図2Aに図示された第1の実施形態では、交換カートリッジはユニット全体として使用されてよく、これによって、新たに加熱された交換ユニットが、装着されて使用されたユニットと交換するために待機状態で提供される。交換可能性を利用することで、交換カートリッジは、運用効率を高める。他の幾つかの実施形態では、交換可能部分は、取付構造体112を含んでも含んでいなくてもよい例えば、
図2Bの第2の実施形態に示すように、例えば、取付構造体112がメルトブローンビーム120又はダイチップ114と一体化されている場合には、交換カートリッジは、取付構造体112を含まなくてよい。
【0061】
図2Aにおいて、分解図は構成要素の組立関係を示す。ダイチップ114、第1の空気板116及び第2の空気板118は、一緒に固定されてよい。例えば、ダイチップ114は、ねじ、ボルト、又は治具などによって空気板116及び空気板118を固定するための複数のファスナー穴を両側に有してよい。他の実施形態では、それらの空気板は、溶接、木工接合、接着剤、或いは、他の一時的又は恒久的手段のような他の公知の又は利用可能な締結方法を使用して、ダイチップ114に固定されてよい。ダイチップ114、空気板116及び空気板118はその後、取付構造体112と組み合わされてよい。例えば、垂直ファスナーが使用されて、空気板116及び空気板118を取付構造体112に向けて保持してよい。他の例では、垂直ファスナー又は斜めファスナーが使用されて、ダイチップ114を取付構造体112に向けて保持してよい。アセンブリの精度を確保するために、幾つかの実施形態では、第1の空気板116及び第2の空気板118を有するダイチップ114が、少なくとも1つの合わせピンを使用して取付構造体112に揃えられてよい。
【0062】
図2Aに図示された実施形態では、ブレーカープレート210が、ポリマー流がダイチップ114に到達する前にポリマー流を調節及び/又は濾過するためにカートリッジアセンブリで使用されてよい。幾つかの実施形態では、1つのブレーカープレート210が、フィルタ又はスクリーン220と一緒に使用されてよい。他の実施形態では、
図2Aに示すように、2つ以上のブレーカープレート210が、1又は複数のフィルタ又はスクリーン220と共に使用されて、1又は複数のフィルタ又はスクリーン220は、2つ以上のブレーカープレート210の間に配置されて、特定のサイズより大きい物体などの不要な物質を濾過して除去する。
【0063】
ブレーカープレート210及び(使用されるならば)フィルタ220は、ポリマー流路に沿った任意の場所に、例えば、
図2Aに示す取付構造体112の開口に又は
図2Bに示すダイチップ114の開口に配置されてよい。
図2Aは、ブレーカープレート210及びフィルタ220が、メルトブローンビーム120に向いている取付構造体112の開口に収容される模様を示しているが、他の実施形態では、開口は、ダイチップ114に向いていてよい(例えば、取付構造体112における反対側)。幾つかの更に他の実施形態では、ブレーカープレート210及びフィルタ220を入れる開口は、(
図2Bに示すように)ダイチップ114に配置される。幾つかの他の実施形態では、開口は、取付構造体112上方のメルトブローンビーム120の内側に配置されてよい。構成は、特定の製造要求に応じて変化してよい。
【0064】
図2Bは、
図1のメルトブローンシステムで使用されるダイチップアセンブリ110の交換カートリッジの第2の実施形態の分解斜視図である。この実施形態では、取付構造体112は、交換用カートリッジにて置き換えられて又は含まれておらず、ブレーカープレート210及び(使用されるならば)フィルタ220はダイチップ114の内部に取り付けられている。第2の実施形態では、取付構造体112は、メルトブローンビーム120の一部であってよく、或いは、動作条件に応じた交換を必要としなくてよい。例えば、この実施形態では、ブレーカープレート210が目詰まりしていた場合、ブレーカープレート210で流れ効率が低下している場合、又はダイチップ114が清掃を必要としている場合、ダイチップ114、第1の空気板116及び第2の空気板118のみが、必要に応じて1又は複数のブレーカープレート210と共に、そして適用されている場合には1又は複数のフィルタ又はスクリーン220と共に交換される。
【0065】
図3A乃至3Eに目を向けると、これらの図は、異なる実施形態におけるダイチップアセンブリ110の正面図であり、それらが組み立てられた場合の構成要素の関係を示している。
図3F乃至3Jは、
図3A乃至3Eに夫々対応した断面図を示す。断面図は、隣接する2つの構成要素の間の境界を明確に示している。幾つかの実施形態では、
図3F乃至3Jの断面図で表されている境界と、孔又はキャビティとは、図示されているように同一平面内にあってよく、なくてもよい。例えば、第1の空気流路340及び第1の空気調節チャネル352は、断面図では同一平面内にあるように示されているが、他の実施形態では、異なる平面内に配置されていてよい。他の実施形態では、左側及び右側に示されている特徴は、平面の内外にオフセットされてよい(即ち、図示されているように断面図で対称でなくてよい)。これらの5つの実施形態は夫々特定の特徴を有するが、図示された特徴は、別の状況では、寸法制限、性能要件、又はコストの懸念に応じて当該技術分野の通常の技術を有する者によって提案されるように、図示された特徴の少なくとも1つ又は全てを使用して組み合わせられて又は変更されてよい。これらの5つの実施形態は、以下で説明される幾つかの共通の特徴を共有している。
【0066】
取付構造体112は、上側取付面310及び下側取付面320を有する。取付構造体112は、メルトブローンビーム120からのポリマー流を受け入れる少なくとも1つのポリマー流路330を含む。取付構造体112は、そこに形成された第1の空気流路340を含む。前述したように、特定の実施形態では、取付構造体112は、メルトブローンビーム120又はダイチップ114の何れかと一体化されてよい。例えば、上側取付面310及び下側取付面320は、異なる実施形態では存在しない場合がある。上側取付面310は、取付構造体112がメルトブローンビーム120と一体化されている場合には存在しなくてよい。或いは、下側取付面320は、取付構造体112がダイチップ114の一部である場合には存在しなくてよい。
図3A乃至3Jに図示された実施形態のように、取付構造体112を別個のピースとして有することは、機械加工、メンテナンス、及び組立てにおける利点をもたらす。
【0067】
第1の空気流路340は、メルトブローンビーム120からの第1の空気流を受け入れるように構成されている。取付構造体112は、そこに形成された第2の空気流路342を更に含む。第2の空気流路342は、メルトブローンビーム120からの第2の空気流を受け入れる。図示された実施形態では、第1の空気流路340及び第2の空気流路342は、ポリマー流路330に対して対称である。しかしながら、他の実施形態では、第1の空気流路340及び第2の空気流路342は、異なる場所に配置されてよく、及び/又は異なる平面内でオフセットされてよい。
【0068】
細長いダイチップ114は、特定の実施形態では、少なくとも部分的に第1の空気板116及び第2の空気板118を介して、取付構造体112の下側に取り付けられている。ダイチップ114は、ポリマー流チャンバ350を有する。ポリマー流チャンバ350は、ポリマー流路330からポリマー流を受け入れる。ダイチップ114は、本体部360及びポリマー流先端部372を含む。本体部360は、ポリマー流チャンバ350の両側に配置された第1の空気流調節チャネル352及び第2の空気流調節チャネル354を含む。本体部360は、第1の傾斜面362及び第2の傾斜面364を含む。ポリマー流先端部372は、第1の空気板116及び第2の空気板118の先端部の間の仮想水平線から垂直距離だけ離れた位置に配置されてよい。この垂直距離は「セットバック(setback)」と呼ばれており、ある実施形態では、約0.5mm(約0.02’’)、又は、第1の空気板116及び第2の空気板118の先端間距離(約1.27mm)の約0.25倍乃至約2.5倍であってよい。特定の実施形態では、セットバックは、第1の空気板116及び第2の空気板118の先端間距離の約0.5乃至1.8倍であってもよい。
【0069】
図3A乃至3Eに示すように、ポリマー流チャンバ350は、ポリマー流チャンバ350の第1の開口358において、取付構造体112の少なくとも1つのポリマー流路330と流体連通している。ポリマー流チャンバ350は、取付構造体112の少なくとも1つのポリマー流路330のポリマー流の少なくとも一部を受け入れるように構成されている。ポリマー流路330の幅は、清掃用具が取付構造体112の少なくとも1つのポリマー流路の内面にアクセスできるように、ポリマー流チャンバ350の第1の開口359付近で増加してよい。他の実施形態では、ポリマー流路330は、
図3A乃至3Jに示された図とは異なる形状又は構成を有してよい。ポリマー流路330の2つの例示的な変形例は、
図8A及び
図8Bで提供されている。
【0070】
一時的に
図8A及び8Bを参照すると、ポリマー流路804の例が図示されており、ポリマー流路330の代わりに使用される。
図8A及び8Bは、取付構造体112における実施形態でのポリマー流路804の透視図を示す。ポリマー流路804は概して、第1の開口358に対応する下側開口810と、テーパー状分配部803と、垂直分配部800とを含む。しかしながら、ポリマー流路804の特定の構成は、以下に説明するように変化してよい。
【0071】
図8Aでは、ポリマー流路804は、入口802と、テーパー状分配部803と、下側開口810をテーパー状分配部803に接続する垂直分配部800とを含む。少なくとも1つのポリマー流路804の内面は、テーパー状分配部803の上面のようなテーパー状の上面を含んでよい。垂直分配部800の開口幅は、所定の流量に応じて変化してよい。例えば、
図8Aは、垂直分配部800の開口幅がテーパー状分配部803の幅と一致することを例示している。他の実施形態では、
図8Bに示すように、垂直分配部800の開口幅は、テーパー状分配部803の幅より狭くてよい。
図8Bでは、2つ以上の反復入口802及びテーパー状分配部803が設けられてよく、特定の高さの制約下で大きな幅を横切るポリマー流が均等に分布する。
図8Bには2つの繰返しのみが示されているが、より多くの繰返しが追加されてよい。
【0072】
図3A乃至3Jに戻ると、ポリマー流路330は、第1の開口359においてポリマー流チャンバ350と流体連通している。ポリマー流チャンバ350は、第1の開口359において、ポリマー流路330からのポリマー流の少なくとも一部を、例えば、(例えば、
図2A及び
図2Bに示す)1又は複数のブレーカープレート202を介して受け入れるように構成されている。ポリマー流チャンバ350は、第2の開口384においてポリマー流先端部372と流体連通している。ポリマー流チャンバ350、第1の開口359、第2の開口384、及びポリマー流先端部372は、細長いダイチップ114の本体部360から機械加工されており、さもなくば他の方法で中空にされている。ポリマー流先端部372は、第2の開口384において、ポリマー流チャンバ350からのポリマー流の少なくとも一部を受け入れる。ポリマー流先端部372は、ポリマー流の少なくとも一部を出すように構成された先端開口(
図5参照)を有する。
【0073】
第1の空気流調節チャネル352は、取付構造体112の第1の空気流路340から第1の空気流を受け入れるように構成されている。第1の空気流調節チャネル352は第1の空気流を調節して、第1の傾斜面362に隣接する第1の空気流を出す。同様に、第2の空気流調節チャネル354は、取付構造体112の第2の空気流路342から第2の空気流を受け入れるように構成されている。第2の空気流調節チャネル354は第2の空気流の調節を補助して、第2の傾斜面364に隣接する第2の空気流を出す。
【0074】
第1の空気流調節チャネル352及び第2の空気流調節チャネル354は、一様な方向などのある方向に沿った制限された流れの断面を与えることによって第1及び第2の空気流を夫々調節し、第1及び第2の空気流は、計算された又は所望の加速された速度で第1の空気流調節チャネル352及び第2の空気流調節チャネル354を出る。出口速度は、空気の供給源にてシステムに供給される圧力のような公知の初期システム圧力に対応している。
【0075】
幾つかの実施形態では、細長いダイチップ114は、第1の空気流調節チャネル352及び第2の空気流調節チャネル354を収容している衝突部361を含む。第1の空気流調節チャネル352は第1の衝突面353を有する。第2の空気流調節チャネルは第2の衝突面355を有する。第1の衝突面353及び第2の衝突面355は、第1の空気流及び第2の空気流を夫々調節する。例えば、第1の衝突面353は、第1の空気流の初期進行方向に第1の空気流と衝突し又は第1の空気流に乱れを生じさせて、空気流の旋回及び再構成を強制的に行う。加えて、第1の空気流と第1の衝突面353との間の衝撃は、第1の空気流から衝突部361、ひいてはダイチップ114へのエネルギーの伝達を助ける。例えば、第1の空気流及び第2の空気流は、ポリマー流の流動状態を維持するために高温でメルトブローンシステムに入ってよい。衝突部361、第1の衝突面353及び第2の衝突面355は、効率的な熱伝達と、第1及び第2の空気流の均一性を調節する機構をもたらす。
【0076】
第1の空気板116は、細長いダイチップ114の第1の傾斜面362に少なくとも部分的に隣接して配置されている。第1の空気板116は、第1の空気出口流路382を形成するように構成されている。第1の空気出口流路382は、細長いダイチップ114の第1の空気流調節チャネル352から出された第1の空気流を受け入れるように構成されている。第1の空気出口流路382は、ポリマー流先端部372の先端開口374に隣接した第1の空気流を出す。ポリマー流の少なくとも一部は、第1の空気流の高速度に起因して、第1の空気流で少なくとも部分的に引き出される。幾つかの実施形態では、第1の空気流は、空気中の音速の約0.8倍までの速度で先端開口374を出てよい。他の実施形態では、この速度は、空気中の音速の約0.8倍までを含む範囲であってよい。
【0077】
図3A乃至3Jに図示された実施形態では、第2の空気板118は、ダイチップ114について第1の空気板116と対称的に配置される。即ち、第2の空気板118は、特定の実施形態では細長いダイチップ114の第2の傾斜面364に少なくとも部分的に隣接して配置される。第2の空気板118は、第2の空気出口流路383を形成するように構成されており、第2の空気出口流路383は、細長いダイチップ114の第2の空気流調節チャネル354から出された第2の空気流を受け入れるように構成されている。第2の空気出口流路383は、ポリマー流先端部372の先端開口374に隣接して第2の空気流を出し、ポリマー流の少なくとも一部は第2の空気流に少なくとも部分的に同伴する。
【0078】
図3A乃至3J、特に
図3D、
図3E、
図3I、及び
図3Jに示された実施形態では、本体部360は、第1の空気流調節チャネル352及び第2の空気流調節チャネル354を収容する衝突部361を含む。衝突部361は、複数のねじ穴205を形成するための基部をもたらし、それらねじ穴205は、第1の空気板116及び第2の空気板118を組み合わせるために使用される。幾つかの実施形態では、第1の空気板116及び第2の空気板118が、複数のねじ穴205に係合するファスナーを使用してダイチップ114に組み合わせられる場合、衝突部361は、取付構造体112の第1の空気流路340及び第2の空気流路342を出る空気流が第1の空気流調節チャネル352及び第2の空気流調節チャネル354に入るように向けられるように、第1の空気板116及び第2の空気板118と密に結合される。
【0079】
図3A及び
図3Fに示したような幾つかの実施形態では、空気板116及び空気板118は、ファスナー395を使用して、受け穴394にて穴392を介して取付構造体112に直接固定されてよい。幾つかの実施形態では、細長いダイチップ114は、取付構造体112に直接締結されるのではなく、取付構造体112に密に取り付けるために空気板116及び空気板118に依拠している。幾つかの実施形態では、
図3A、
図3D、及び/又は
図3Eのファスナーの構成は、修正を加えて組み合わせられて、それらに含まれる両方又は全ての特徴が利用されてよい。
【0080】
ある実施形態では、取付構造体112の第1の空気流路340は、第1の空気流調節チャネル352と揃えられておらず、これによって、本体部360の衝突部361は、第1の空気流調節チャネル352に供給される前に空気流を減速させて再編成又は再構成することができる。このような調節効果は、第1の空気流調節チャネル352における空気流ダイナミクスが、第1の空気流路340の空気流ダイナミクスから少なくとも部分的に独立しているように、空気流ダイナミクスをリセットする。
【0081】
同様に、取付構造体112の第2の空気流路342は、第2の空気流調節チャネル354と完全に揃えられておらず、本体部360の衝突部361が、第2の空気流調節チャネル354に供給される前に空気流を減速して再構成することができる。この配置は、第2の空気流調節チャネル354における空気流ダイナミクスが第2の空気流路342の空気流ダイナミクスと異なるように空気流ダイナミクスをリセットする。
【0082】
加えて、ダイチップ114の本体部360は、衝突部361よりも狭い首部365を含む。首部365は、首部365の何れか一方の側から第1の傾斜面362又は第2の傾斜面364に延びる移行面363(例えば、第2の衝突面)を用いて、第1の空気流調節チャネル352及び第2の空気流調節チャネル354を出る空気流を妨害する。このように、首部365は本体部360の幅を減少させており、これによって、首部365から第1の傾斜面362に延びる移行面363が、第1の空気流調節チャネル352を出る第1の空気流を妨げる。移行面363はそれ故に、第2のレベルの衝突面として機能することができ、衝突面353及び衝突面355と同様にして第1の空気流又は第2の空気流を調節し、再構成させることができる。第1の傾斜面362は第1の空気板116に隣接しており、移行面363によって妨げられた第1の空気流を方向づけて、加速させる。
【0083】
第1の空気流調節チャネル352は、取付構造体112の第1の空気流路340から第1の空気流を受け入れるように構成されている。第1の空気流調節チャネル352及び首部365は、上述したように、首部361及び
移行面363周りで減速及び加速させた後に、第1の傾斜面362に隣接した第1の空気流を調節して出すように構成されている。例えば、
図3B乃至
図3E、及び
図3G乃至
図3Jに示された実施形態では、首部365及び
移行面363は、熱伝達を効率化し、フローバイ(flowing-by)空気流を乱して後続の流れの均一性を改善する別の衝突位置及び機構を提供している。
【0084】
第2の空気流調節チャネル354はまた、取付構造体112の第2の空気流路342から第2の空気流を受け入れるように構成されている。第2の空気流調節チャネル354及び首部365は第2の空気流を調節して、首部361周りで減速及び加速させた後に、第2の傾斜面に隣接する第2の空気流を出す。首部365は、第1の傾斜面362及び第2の傾斜面364周りで、後の渦流の形成の進展を効果的に回避、除去、又は減少させることで、より均一で高速な空気流を達成する。首部365及び衝突部361の両方は、特定の実施形態では、本体部360が、第1の空気流路340及び第2の空気流路342から先端開口374への第1又は第2の空気流に干渉するファスナーを有することを避けることを可能にする。
【0085】
各実施形態の特定の特徴に目を向けると、
図3A(
図3F)は、
図3B(
図3G)、
図3D(
図3I)、及び
図3E(
図3J)に示されているような首部365を含まない実施形態を示している。しかしながら、他の実施形態では、
図3Aは、
図3B(
図3G)に示されるような首部365と同じような構造を含んでよく、例えば、ダイチップ114内又は取付構造体112内の何れかに空気流を調節する狭窄部を有する。
図3C(
図3H)が示す実施形態では、取付構造体112は、メルトブローンビーム120と一体であって、図示されているようにメルトブローンシステム100の別個の構成要素ではない。
【0086】
図3D(
図3I)及び
図3E(
図3J)は、取付構造体112及びダイチップ114に加えて。第1の空気板116及び第2の空気板118を含む交換カートリッジ110を示している。しかしながら、他の実施形態では、取付構造体112及びダイチップ114は、同じピースとして製造されてよい。第1の空気板116及び第2の空気板118はまた、ダイチップ114と組み合わされる。他の実施形態では、しかしながら、
図3D(
図3I)及び
図3E(
図3J)は、ねじ穴205が異なる位置にあるので、空気板116及び空気板118とダイチップ114の間の接続位置(例えば、ファスナーが設けられている位置)が異なる場所にある点で異なっている。他の実施形態が可能であって、例えば、
図3A乃至
図3Jに示された2つ以上の特徴を組み合わせること、又は、混合することができる。
【0087】
図3E及び
図3Jに示す実施形態では、第1の空気板116及び第2の空気板118は、ねじ穴205において、ポリマー流チャンバ330の垂直方向に垂直な複数のファスナー-390を用いて取付構造体112に取り付けられている。ファスナー390は、そのような特定の向きで図示されているが、他の実施形態では、アクセスの制限に応じて、ファスナー390は垂直又は斜めであってよい。それでもまた、第1の空気流及び第2の空気流は、第1の空気流が第1の空気流調節チャネル352からポリマー流先端部372に達するように移動し、第2の空気流が第2の空気流調節チャネル354からポリマー流先端部372に達するように移動する際に、任意のファスナー又は他の望ましくない障害物によって、或いはそれらと接触して妨げられることはない。幾つかの実施形態では、細長いダイチップは、約0.5乃至約1.0メートルから約5.5メートルのページへの全体的な幅を有する。例えば、ポリマー流先端部372は、全体の幅に沿って、1インチ当たり約25乃至約100個のポリマー流先端部(即ち、1mm当たり約1乃至4m個のポリマー流先端部)で繰り返されてよい。ポリマー流先端部372は、約0.05mm乃至約1.00mmの直径を有する。
【0088】
運転中、第1の空気流及び第2の空気流は、細長いダイチップの先端開口でポリマー流体を繊維化するために、例えば、約0.7乃至約0.8マッハの速度まで加速され、また、約100乃至約375℃まで加熱されてよい。第2の空気流は、ポリマー流先端部372に到達すると、第1の空気流と実質的に同じレベルの速度まで加速されて、第1の空気流及び第2の空気流の両方は、ポリマー流先端部372からポリマーを引き出して吹き出すように混合する。幾つかの実施形態では、第1の空気流及び第2の空気流は、約50度の鋭角又は所望の角度で混合する。他の実施形態では、第1の空気流及び第2の空気流は、50度より大きく90度未満の角度で混合される。これに対応して、第1の空気板116及び第2の空気板118の外面は、約100度乃至約160度の角度を形成してよい。
【0089】
図3A乃至3Jに示された実施形態は、非常に高い均一性で第1の空気流及び第2の空気流の混合空気流を生成することができる。
図10を見ると、ダイチップアセンブリ110の幅にわたる空気の均一性の測定値が示されている。横軸1000は、ダイチップアセンブリ110の幅位置(一端から測定されたミリメートル単位)を示す。垂直軸1100は、フィート/分(FPM)で気流混合点(例えば、
図4Aの混合点430)約12mm(又は0.5’)で測定された出力速度を示す。グループ化された測定値1010、測定値1020、測定値1030、及び測定値1040は夫々、空気圧縮機又は空気出力の25%、50%、75%、及び98%の出力パーセンテージを示す。測定の変動又は誤差を考慮して、3組の測定値1040が、98%の出力について提供されている。測定が示すように、出力速度は、ダイチップアセンブリ110の幅にわたって安定している。コンプレッサの出力が98%の場合、ダイチップアセンブリ110の両端で出力速度のわずかな減少が観察されるかも知れないが、その変動は、平均出力速度の2.5%以内に留まる。このような均一な性能は、引き出されたポリマー流の均一性及びその繊維化を改善する。
【0090】
図3Kを参照すると、詳細な断面図は、
図3Iに示された交換カートリッジの実施形態における第1の空気流301及び第2の空気流303を示している。他の
図3F、
図3G、
図3H、及び
図3Jの実施形態は、
図3Kの実施形態と同じような図示された流れパターンを共有する。第1の空気流301が第1の空気流路340に入る際には、第1の空気流301は均一ではなく、第1の空気流路340内で異なる速度及び/又は異なる圧力を示してよい。第1の空気流301及び第2の空気流303の均一性を向上させる方法について説明する。加圧された空気が取付構造体112の1又は複数の空気流路(例えば、空気流路340、空気流路342)に供給されると、空気は高速で移動する。移動する空気は、第1の空気流路340の出口付近で、衝突面353と衝突する。衝突面353によってもたらされる妨害は、第1の空気流301を強制的に再配分し、衝突面353の上方にある第1のプレナム341内で再集合させる。第1のプレナム341内では、第1の空気流301は、再配分又は再構成した空気流302となる。第1のプレナム341は、取付構造体112内にあるように図示されているが、他の実施形態では、第1のプレナム341は、ダイチップ114が占める空間へと延びてよい。
【0091】
再構成された第1の空気流302は、ダイチップ114の空気流調節チャネル352を進み、首部365と第1の空気板116の間に形成された第2の容積又はプレナム345に入る。同様に、第2の空気流303は、第2の空気流路342に入って第1のプレナム343内で再構成されて、再構成空気流304となって第2の空気調節チャネル354に入り、首部365と第2の空気板118の間に形成された第2のプレナム346内で再び再構成される。第2のプレナム345及び第2のプレナム346は、遷移(第2の衝突)面363によってもたらされる下側境界を有しており、これは、空気流301及び空気流303を更に乱して、再び構成することを引き起こす。このようにして、空気流301及び空気流303の均一性が改善される。空気流301及び空気流303はその後、一組の出口孔369に通って、空気出口流路382及び空気出口流路383に夫々入る。空気流301及び空気流303は、空気出口流路382及び空気出口流路383内で加速されて、メルトブローのためにポリマー流先端部372内に提供されたポリマーを引き出す。
【0092】
幾つかの実施形態では、移行面363の下の出口孔369は、首部365の下にある幅広部375と空気板116及び空気板118の何れかとの間のギャップ(図示せず)のような同等の構造で置き換えられてよい。ギャップの幅は、ダイチップ114の幅に沿った(横方向に)一定であってよい。そのような構成によって、ダイチップ114の幅に沿った複数の出口孔369の微細な機械加工不整合が避けられる。
【0093】
図4A乃至4Dは、ダイチップ114の一実施形態における特定の特徴の局所断面図である。最初に
図4Aを参照すると、ダイチップ114と第1の空気板116及び第2の空気板118との間の幾何学的関係が示されている。第1の空気板116及び第2の空気板118は、互いの外面の間で尖った角度410を形成する。ダイチップ114は、尖った角度又は外角420を形成する。幾つかの実施形態では、尖った角度410は、90度乃至140度の範囲である。他の実施形態では、尖った角度420は、50度乃至90度の範囲である。細長いダイチップ114は、
図3Aのポリマー流先端部372のような傾斜先端部412を含む。第1の空気板116は第1の先端部402を含む。
【0094】
第2の空気板118は、第2の先端部409を含む。第1の先端部402と第2の先端部409の間の距離は、先端間距離404として定義される。傾斜先端部412と第1の先端部402及び第2の先端部409の両方との間の垂直距離は、セットバック寸法404として定義される。幾つかの実施形態では、セットバック寸法440は、約0.5mm乃至約4.0mmである。幾つかの実施形態では、セットバック寸法440と先端間距離404の比は、良好なメルトブロー性能を達成するための設計パラメータである。例えば、セットバック寸法と先端間距離の比は、約0.25乃至2.5とされる。
【0095】
図4Aは更に、例示的な引き込み点430を示す。引き込み点430は、第1の空気流及び第2の空気流が高速で出会って低圧点を生成し、細長いダイチップ114からポリマー流を引き出すと共に、周囲の空気を引き込む場所を表す。引き込み点430は、干渉する構造が設けられないように混合される第1の空気流及び第2の空気流のためのチップ頂点とみなされてよく、ある実施形態では、チップ頂点から少なくとも約38mm離れた位置にあるとみなされ得る。例えば、ある実施形態では、引き込み点430と第1の空気調節チャネル340又は第2の空気調節チャネル342の出口開口との間の距離は少なくとも38mmであり、第1の空気板116及び第2の空気板118の外部空間には、如何なる妨害構造も含まれない。このような構成は、ダイチップ114のポリマー流出力の繊維サイズを改善する能力を改善すると共に、混合空気流の均一性を改善する。
【0096】
図4B乃至4Dは、ダイチップ114の内部キャビティを支持するリブ構造450の実施形態を示す。細長いダイチップ114のポリマー流チャンバ364は、第1の側壁432と、第1の側壁432に対向する第2の側壁434とを有する。リブ450は、第1の側壁432と第2の側壁434とを連結している。リブ450は、細長いダイチップ114のポリマー流チャンバ364内で、ポリマー流の層流を促進する断面流体力学的形状を有する。
図4C及び
図4Dは、リブ450について2つの異なる実施形態を提供する。
【0097】
図5は、
図3及び
図4に示すダイチップ114のポリマー流先端部372の一実施形態の局所的な断面正面図である。図示された実施形態では、ポリマー流先端部372は、一実施形態では約30度の内角510を有する。先端開口572は、一実施形態では約0.3ミリメートルの直径を有するが、当該直径は必要に応じて変化してよい。ポリマー流先端部372は、先端開口572付近で丸い遷移を規定する遷移半径520を含む。図示された実施形態では、遷移半径520は約1.2mmである。他の実施形態では、遷移半径520は、約0.5mm乃至約2.5mmで設けられてよい。幾つかの実施形態では、内角510は、ポリマー流先端部372の尖りの変動に応じて変化してよい。例えば、ポリマー流先端部372がより大きな角度を有する場合、内角510は、それに応じて大きくなってよい。
【0098】
図6は、ダイチップ114のポリマー流先端部の一実施形態の別の局所的正面図である。この図では、第1の空気板116の内面694及び第2の空気板118の内面690が平坦であって、細長いダイチップ114の傾斜面362及び傾斜面364にほぼ平行であることが示されている。他の実施形態では、そのような表面は平行でなくてもよい。内面694及び内面690は夫々、幅「W」だけ傾斜面362及び傾斜面364から離れている。ダイチップ114のポリマー流先端部372からダイチップ114の基部までのクリアランス距離「L」がある。幾つかの実施形態では、クリアランス距離は少なくとも38mmの長さであり、その長さ内に他の障害物が空間に侵入しない。幾つかの実施形態では、WとLの比は、約10乃至約40のような所望の範囲に設定されてよい。他の実施形態では、幅Wは、例えば、第1の空気流及び第2の空気流の速度を加速するための特定のプロファイルに応じて、Lの長さに沿って変化してよい。
【0099】
図7は、
図2のダイチップアセンブリで使用されるブレーカープレート210の部分的な上面図及び部分的な断面側面図を含んでいる。ブレーカープレート210は、取付構造体112のポリマー流路330からダイチップ114のポリマー流チャンバ350へのポリマー流を調節する(例えば、まとめる、フィルタリングする、及び/又は遅くする)。ブレーカープレート210は、複数の孔710を含む。孔710は、図示されているように、千鳥状又はアレイ状など、様々な態様で配置されてよい。特定の実施形態では、孔710は円筒形であってよく、他の実施形態では、孔710は、ポリマーの分配とフィルタスクリーンの支持とを達成するためにテーパー状に又は成形されてよい。複数の円柱状の孔710は、ポリマー流の移動方向を制限する。
【0100】
図9は、メルトブローンシステム100の一実施形態の例示的な正面図であって、空間的要求を示している。メルトブローンビーム120、取付構造体112、及びダイチップ114は、制御領域910において、他の障害物がダイチップ114の周囲の空気と干渉しないような高さ902を形成する。制御領域910は、ダイチップ114上方の高さとオフセット距離904とによって決定される角度(θ)で規定されてよい。幾つかの実施形態では、制御領域910は、45度以下であってよい。幾つかの実施形態では、制御領域910は、30度以下であってよい。高さ902は、約8インチ乃至約30インチであってよい。オフセット距離904は、ダイチップ114上方の高さとtan(θ)とで規定されてよい。幾つかの実施形態では、オフセット距離904は、約0乃至約12インチとされる。このようなクリアランス要件により、
図4Aに示された引き込み点430の周囲の空気への潜在的な負の空気流効果が回避される。
【0101】
他の実施形態も可能である。例えば、メルトブローンプロセスは、不織布製品を製造するための熱可塑性材料に一般的に使用されているが、熱可塑性材料以外の異なるポリマーを本開示の装置で使用してよい。例えば、液体形態の硬化性材料は、同じ装置又は同じ動作原理を用いて改変された装置を用いて標的基板上に送られてよい。他の例では、取付構造体112及びダイチップ114は、2つの別個の構造として図示されているが、他の実施形態では、それらは1つの一体的な構造であってよく、ダイチップ114が取付構造体112に対して嵌められる場合に、追加の封止工程を不要にする。幾つかの他の実施形態では、ダイチップ114並びに第1の空気板116及び第2の空気板118は、中間の取付構造体112を介さずにメルトブローンビーム120に直接嵌合してもよい。