IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ コーニング コーポレーションの特許一覧

特許7525401水分硬化性オルガノポリシロキサン組成物及び電気/電子機器
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】水分硬化性オルガノポリシロキサン組成物及び電気/電子機器
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/14 20060101AFI20240723BHJP
   C08L 83/06 20060101ALI20240723BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20240723BHJP
   C09D 183/06 20060101ALI20240723BHJP
   C09D 183/14 20060101ALI20240723BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20240723BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240723BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20240723BHJP
【FI】
C08L83/14
C08L83/06
C08K5/5415
C09D183/06
C09D183/14
H05K3/28 C
H01L23/30 R
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020564094
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 US2019035488
(87)【国際公開番号】W WO2019236648
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】62/681,324
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ディングマン、デビット アール.
(72)【発明者】
【氏名】ホーストマン、ジョン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】スウェア、スティーブン
【審査官】前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-007553(JP,A)
【文献】特表2017-500394(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017397(WO,A1)
【文献】特開2006-316190(JP,A)
【文献】特表2021-517188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00- 83/16
C09D183/00-183/16
C09J183/00-183/16
H01L 21/00- 23/66
H05K 3/00- 3/46
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であって、成分(A)と(B)と(C)とを含むものであり、
(A)以下の一般式:
X-(SiR11 O)-SiR11 -X
(式中、各R11は、脂肪族不飽和結合を含まない同一の又は異なる一価炭化水素基であり、各Xは、以下の一般式:
-R 13 -SiR 11 (OR 12 (3-a)
で表される基、
以下の一般式:
-R 13 -(SiR 11 O) -SiR 11 -R 13 -SiR 11 (OR 12 (3-a)
で表される基、
及び、以下の一般式:
-R 13 -(SiR 11 O) -SiR 11 -[OSiR 11 -R 13 -SiR 11 (OR 12 (3-a) (3-b)
で表される基、
(式中、各R 11 は上記のとおりであり、各R 12 はアルキル基であり、各R 13 は同一の又は異なるアルキレン基であり、「a」は0、1、又は2であり、「b」は0又は1、「n」は1~20の整数である)
からなる群から選択されるアルコキシシリル含有基であり、「m」は20~1000の整数である)
で表されるポリオルガノシロキサンを、成分(A)~(C)を組み合わせた質量に基づいて1~40質量%と、
(B)50モル%~150モル%の範囲のOZ含有量(前記OZ含有量は、 29 Si NMR分析から測定され、Si単位に基づくモル分率であり、式中、
OZがシラノール基及び/又はケイ素原子結合アルコキシ基を表すように、各ZはH又はアルキル基である)を有し、以下の平均単位式:
(R21 SiO1/2(R21 SiO2/2(R21SiO3/2(SiO4/2
(式中、各R21は同一の又は異なる一価炭化水素基であり、「c」、「d」、「e」、及び「f」は、以下の条件:0≦c<0.2、0≦d≦0.5、0.4<e≦1.0、0≦f<0.2、及びc+d+e+f=1を満たす数である)
で表される、ポリオルガノシロキサン樹脂を、成分(A)~(C)を組み合わせた質量に基づいて5~30質量%と、
(C)以下の平均単位式:
(R31 SiO1/2(SiO4/2
(式中、各R31は同一の又は異なるものであり、一価炭化水素基又は上記のXから選択され、ただし、1分子当たり少なくとも1つのR31がXであることが条件である。「g」は0.5~1.5の数である)
で表されるポリオルガノシロキサン樹脂を、成分(A)~(C)を組み合わせた質量に基づいて4~70質量%と、
を含む、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項2】
成分(A)中のXが、以下の式:
-C-Si(CHO-Si(CH-C-Si(OCH
で表される基である、請求項1に記載の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項3】
成分(B)が、以下の平均単位式:
(R21 SiO2/2(R21SiO3/2
(式中、各R21は上記のとおりであり、「d」及び「e」は以下の条件:0<d≦0.5、0.5≦e<1.0、及びd+e=1を満たす数である)
で表されるポリオルガノシロキサン樹脂である、請求項1または2に記載の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項4】
成分(C)中のXが、
以下の一般式:
-R13-SiR11 (OR12(3-a)
で表される基、
以下の一般式:
-R13-(SiR11 O)-SiR11 -R13-SiR11 (OR12(3-a)
で表される基、
及び、以下の一般式:
-R13-(SiR11 O)-SiR11 -[OSiR11 -R13-SiR11 (OR12(3-a)(3-b)
で表される基、
(式中、各R11は上記のとおりであり、各R12はアルキル基であり、各R13は同一の又は異なるアルキレン基であり、「a」は0、1、又は2であり、「b」は0又は1であり、「n」は1~20の整数である)
からなる群から選択されるアルコキシシリル含有基である、請求項1~のいずれか一項に記載の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項5】
成分(C)中のXが、以下の式:
-C-Si(CHO-Si(CH-C-Si(OCH
で表される基である、請求項1~のいずれか一項に記載の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項6】
(D)縮合反応用触媒を、成分(A)~(C)の総量100質量部当たり0.01~20質量部の量で更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項7】
(E)任意的な量の溶剤を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項8】
一般式:
41 Si(OR42(4-x)
(式中、R41は一価炭化水素基であり、R42はアルキル基であり、「x」は0~2の整数である)
で表される(F)アルコキシシランを、成分(A)~(C)の総量100質量部当たり0.1~20質量部の量で更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を含む、コンフォーマルコーティング剤。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を使用して得られた、電気/電子機器。
【請求項11】
請求項1~のいずれか一項に記載の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物から形成された、硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月06日に出願された米国仮特許出願第62/681,324号の優先権及び全ての利点を主張するものであり、その内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、空気中の水分と接触することで硬化することができる水分硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及び本組成物を使用して得られた、電気/電子機器に関する。
【背景技術】
【0003】
空気中の水分と接触することで硬化物を形成する水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、硬化に加熱を必要としないことから、電気/電子機器のシーラント、接着剤、又はコーティングとして使用される。特許文献1では、RSiO1/2シロキサン単位とSiO4/2シロキサン単位とを0.6~1.2のモル比で含み(式中、Rは一価のC1~6炭化水素基である)、ヒドロキシシリル含有量が0.04モル/100g未満であるポリオルガノシロキサン樹脂と、アルキレン結合を介して分子鎖に組み込まれた加水分解性シリル基を有するポリオルガノシロキサンと、硬化触媒と、を含む水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が提案されている。特許文献2では、反応性樹脂と、反応性ポリマーと、水分硬化触媒と、架橋剤樹脂と、を含む水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であって、反応性樹脂は、ヒドロシリル化触媒の存在下における、RSiO1/2シロキサン単位及びSiO4/2シロキサン単位(式中、Rは上記のとおりである)を含むアルケニル官能性シロキサン樹脂と、少なくとも1つのケイ素原子結合水素原子を有するアルコキシシラン官能性オルガノシロキサン化合物との反応の反応生成物を含み、反応性ポリマーは、ヒドロシリル化触媒の存在下における、少なくとも1つのケイ素原子結合水素原子を有するアルコキシシラン官能性オルガノシロキサン化合物と、1分子当たり平均で少なくとも2つの脂肪族不飽和有機基を有するポリオルガノシロキサンとの反応の反応生成物を含む、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が提案されている。特許文献3では、両末端アルコキシシリル基末端ポリオルガノシロキサン及びアルコキシシラン化合物の部分加水分解縮合物からなるポリオルガノシロキサンと、アルコキシシラン化合物又はその部分加水分解縮合物と、有機チタン化合物と、を含む水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が提案されている。更に、特許文献4では、分子内にて、分子鎖中のケイ素原子上に少なくとも2つのアルコキシシリル含有基を有するポリオルガノシロキサンと、ジオルガノジアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物と、縮合反応用触媒と、を含む水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が提案されている。
【0004】
しかし、特許文献1~4に記載の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は基材に対して良好な接着性を有する硬化物を形成するが、それらは硬化物が破断応力及び破断伸び等の機械的特性に劣るという問題を有する。
【0005】
先行技術文献
特許文献
特許文献1:米国特許第7,754,829(B2)号
【0006】
特許文献2:米国特許出願公開第2015/0376482(A1)号
【0007】
特許文献3:米国特許出願公開第2015/0140346(A1)号
【0008】
特許文献4:国際公開第2015/098118(A1)号
【発明の概要】
【0009】
発明が解決しようとする課題
本発明の目的は、良好ないし優れたコーティング性能を示し、かつ空気中の水分と接触することで硬化し、良好ないし優れた機械的特性を示す硬化物を形成することができる、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供することである。本発明の別の目的は、良好ないし優れた信頼性を示す電気/電子機器を提供することである。
【0010】
課題を解決するための手段
様々な実施形態において、本開示の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、成分(A)と(B)と(C)とを含むものであり、
(A)以下の一般式:
X-(SiR11 O)-SiR11 -X
(式中、各R11は、脂肪族不飽和結合を含まない同一の又は異なる一価炭化水素基であり、各Xはアルコキシシリル含有基であり、「m」は20~1000の整数である)で表されるポリオルガノシロキサンを、成分(A)~(C)を組み合わせた質量に基づいて約17~約40質量%と、
(B)約50モル%~約150モル%の範囲のOZ含有量(式中、OZがシラノール基及び/又はケイ素原子結合アルコキシ基を表すように、各ZはH又はアルキル基である)を有し、以下の平均単位式:
(R21 SiO1/2(R21 SiO2/2(R21SiO3/2(SiO4/2
(式中、各R21は同一の又は異なる一価炭化水素基であり、「c」、「d」、「e」、及び「f」は、以下の条件:0≦c<0.2、0≦d≦0.5、0.4<e≦1.0、0≦f<0.2、及びc+d+e+f=1を満たす数である)で表される、ポリオルガノシロキサン樹脂を、成分(A)~(C)を組み合わせた質量に基づいて約5~約30質量%と、
(C)以下の平均単位式:
(R31 SiO1/2(SiO4/2
(式中、各R31は同一の又は異なるものであり、上記のように一価炭化水素基又はXから選択され、ただし、1分子当たり少なくとも1つのR31がXであることが条件である。「g」は約0.5~約1.5の数である)で表されるポリオルガノシロキサン樹脂を、成分(A)~(C)を組み合わせた質量に基づいて約40~約70質量%と、を含む。
【0011】
様々な実施形態において、成分(A)中のXは、
以下の一般式:
-R13-SiR11 (OR12(3-a)
で表される基、
以下の一般式:
-R13-(SiR11 O)-SiR11 -R13-SiR11 (OR12(3-a)
で表される基、
及び、以下の一般式:
-R13-(SiR11 O)-SiR11 -[OSiR11 -R13-SiR11 (OR12(3-a)(3-b)
で表される基、
(式中、各R11は上記のとおりであり、各R12はアルキル基であり、各R13は同一の又は異なるアルキレン基であり、「a」は0、1、又は2であり、「b」は0又は1である)からなる群から選択されるアルコキシシリル含有基である。
【0012】
様々な実施形態において、成分(A)中のXは、以下の式:
-C-Si(CHO-Si(CH-C-Si(OCH
で表される基である。
【0013】
様々な実施形態において、成分(B)は、以下の平均単位式:
(R21 SiO2/2(R21SiO3/2
(式中、各R21は上記のとおりであり、「d」及び「e」は以下の条件:0<d≦0.5、0.5≦e<1.0、及びd+e=1を満たす数である)で表されるポリオルガノシロキサン樹脂である。
【0014】
様々な実施形態において、成分(C)中のXは、
以下の一般式:
-R13-SiR11 (OR12(3-a)
で表される基、
以下の一般式:
-R13-(SiR11 O)-SiR11 -R13-SiR11 (OR12(3-a)
で表される基、
及び、以下の一般式:
-R13-(SiR11 O)-SiR11 -[OSiR11 -R13-SiR11 (OR12(3-a)(3-b)
で表される基、
(式中、各R11は上記のとおりであり、各R12はアルキル基であり、各R13は同一の又は異なるアルキレン基であり、「a」は0、1、又は2であり、「b」は0又は1である)からなる群から選択されるアルコキシシリル含有基である。
【0015】
様々な実施形態において、成分(C)中のXは、以下の式:
-C-Si(CHO-Si(CH-C-Si(OCH
で表される基である。
【0016】
様々な実施形態において、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、(D)縮合反応用触媒を、成分(A)~(C)の総量100質量部当たり約0.1~約20質量部の量で更に含む。
【0017】
様々な実施形態において、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、(E)任意的な量の溶剤を更に含む。
【0018】
様々な実施形態において、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、一般式:
41 Si(OR42(4-x)
(式中、R41は一価炭化水素基であり、R42はアルキル基であり、「x」は0~2の整数である)で表される(F)アルコキシシランを、成分(A)~(C)の総量100質量部当たり約0.1~約20質量部の量で更に含む。
【0019】
本開示の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、様々な用途に使用することができる。特定の実施形態において、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、コンフォーマルコーティング剤として、例えば、電気/電子機器用のコンフォーマルコーティング剤として使用される。したがって、様々な実施形態において、本開示の電気/電子機器は、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を使用して得ることができる。
【0020】
発明の効果
本開示による水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、概して良好ないし優れたコーティング性能を示す。更に、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、空気中の水分と接触することで硬化し、良好ないし優れた破断応力及び/又は伸び等の機械的特性を示す硬化物を形成することができる。
【0021】
更に、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の硬化物における硬度の高さ及び/又は良好ないし優れた熱衝撃安定性特性(thermal shock stability properties)により、本開示による電気/電子機器は、概して良好ないし優れた信頼性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
「含むこと(comprising)」又は「含む(comprise)」という用語は、本明細書において、それらの最も広い意味で、「含むこと(including)」、「含む(include)」、「から本質的になる(consist(ing)essentially of)」、及び「からなる(consist(ing)of)」)という見解を意味し、包含するように使用されている。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば/など(such as)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した、又は同等の例を包含する。本明細書で使用されている「約(about)」という用語は、機器分析により測定した、又は試料を取り扱った結果としての数値のわずかな変動を、合理的に包含若しくは説明する働きをする。このようなわずかな変動は、数値の±0~25%、±0~10%、±0~5%、又は±0~2.5%程度であり得る。更に、「約」という用語は、ある範囲の値に関連する場合、数値の両方に当てはまる。更に、「約」という用語は、明確に記載されていない場合であっても、数値に当てはまることがある。
【0023】
全般的に、本明細書で使用されている、ある範囲の値におけるハイフン「-」又はダッシュ「-」は、「まで(to)」又は「から(through)」であり、「>」は「~を上回る(above)」又は「超(greater-than)」であり、「≧」は「少なくとも(at least)」又は「以上(greater-than or equal to)」であり、「<」は「~を下回る(below)」又は「未満(less-than)」であり、「≦」は「多くとも(at most)」又は「以下(less-than or equal to)」である。前述の特許出願、特許、及び/又は特許公開のそれぞれは、個別の基準で、1つ以上の非限定的な実施形態における参照により明示的にその全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
添付の特許請求の範囲は、詳細な説明に記載されている表現、及び特定の化合物、組成物又は方法に限定されず、これらは、添付の特許請求の範囲内にある特定の実施形態の間で変化し得ることが、理解されるべきである。様々な実施形態の詳細な特徴又は態様について記載している、本明細書で依拠とされたいずれかのマーカッシュ群に関しては、異なる、特別な、及び/又は想定外の結果が、他の全マーカッシュ要素とは無関係のそれぞれのマーカッシュ群の各要素から得ることができることは理解されるべきである。マーカッシュ群の各要素は、個々に、及び、又は組み合わされて依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。
【0025】
本発明の様々な実施形態の記載を依拠とする任意の範囲及び部分的範囲は、独立して、及び包括的に、添付の特許請求の範囲内にあることも理解されるべきであり、整数値及び/又は分数値を含む全ての範囲を、そのような値が本明細書で明確に書かれていなくても、説明し、想定することが理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分的範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分的範囲は、更に関連性がある2等分、3等分、4等分、5等分などに描かれ得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9」の範囲は、更に、下方の3分の1、すなわち、0.1~0.3、中央の3分の1、すなわち、0.4~0.6、及び上方の3分の1、すなわち、0.7~0.9に描かれ得、これらは、個々に、及び包括的に、添付の特許請求の範囲内であり、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。更に、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」「未満」「以下」などに関して、そのような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などを本質的に含み、各部分範囲は、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けるものである。最終的に、開示した範囲内の個々の数が依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。例えば、「1~9」の範囲は、様々な個々の整数、例えば3、並びに、小数点を含む個々の数(又は分数)、例えば4.1を含み、これは、依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。
【0026】
<水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物>
【0027】
様々な実施形態において、本開示による水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物(以下、「本組成物」)は、上記の成分(A)~(C)を含む。更なる実施形態において、本組成物は、1つ以上の所望による添加剤を更に含む。例えば本組成物は、以下に更に記載されるように、成分(D)、(E)、及び(F)、並びに/又は当該技術分野において理解される他の添加剤のうち1つ以上を含んでもよい。いかなる特定の理論にも束縛される又は限定されることなく、本組成物は良好ないし優れた貯蔵安定性を示すと考えられる。更に、本組成物は、空気中の水分と接触することで、良好ないし優れた破断応力及び/又は伸び等の機械的特性を示す硬化物を形成することができる。
【0028】
様々な実施形態において、成分(A)は以下の一般式:
X-(SiR11 O)-SiR11 -X
で表されるポリオルガノシロキサンを含む、又はそのものである。
【0029】
式中、各R11は、脂肪族不飽和結合を含まない同一の又は異なる一価炭化水素基である。このような基の例としては、以下に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、及びオクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、及びフェニルプロピル基等のアラルキル基;並びに3-クロロプロピル基及び3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。特定の実施形態において、各R11は、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である。更なる実施形態において、各R11は、メチル基又はフェニル基である。
【0030】
式中、「m」は重合度(「DP」)を意味する。様々な実施形態において、「m」は20~1000の整数であり、所望により20~500の整数であり、所望により50~500の整数であり、所望により50~300の整数であり、所望により50~200の整数である。「m」が上記範囲の下限以上であると、硬化物の弾性特性が改善され、「m」が上記範囲の上限以下であると、得られる組成物の混和性、ハンドリング性、及び加工性が改善されると考えられる。
【0031】
式中、各Xは、アルコキシシリル含有基である。様々な実施形態において、Xは、
以下の一般式:
-R13-SiR11 (OR12(3-a)
で表される基、
以下の一般式:
-R13-(SiR11 O)-SiR11 -R13-SiR11 (OR12(3-a)
で表される基、
及び、以下の一般式:
-R13-(SiR11 O)-SiR11 -[OSiR11 -R13-SiR11 (OR12(3-a)(3-b)
で表される基、
からなる群から選択される。
【0032】
式中、各R11は上記のとおりである。式中、各R12はアルキル基である。このような基の例としては、以下に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、及びオクタデシル基が挙げられる。特定の実施形態において、各R12は、メチル基又はエチル基である。
【0033】
式中、各R13は、同一の又は異なるアルキレン基である。このような基の例としては、以下に限定されないが、メチルメチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、及びオクチレン基が挙げられる。特定の実施形態において、各R13は、メチルメチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、又はプロピレン基である。
【0034】
式中、「a」は、0、1又は2であり、所望により0又は1である。式中、「b」は0又は1であり、所望により0である。式中、「n」は1~20の整数、所望により1~10の整数、所望により1~5の整数である。
【0035】
好適なアルコキシシリル含有基の例としては、以下の式:
-C-Si(OCH
-C-SiCH(OCH
-C-Si(OCH
-C-Si(OC
-C-Si(CHO-Si(CH-C-Si(OCH
-C-Si(CHO-Si(CH-C-Si(OCH
-C-Si(CHO-Si(CH-C-SiCH(OCH
-C-Si(CHO-Si(CH-C-Si(OCH
-C-Si(CHO-Si(CH-C-Si(OCH
-C-Si(CHO-Si(CH-C12-Si(OCH
-C-[Si(CHO]-Si(CH-C-Si(OCH
-C-Si(CHO-Si(CH-C-Si(OC
-C-Si(CHOSiC[OSi(CH-C-Si(OCH
-C-Si(CHOSiCH[OSi(CH-C-Si(OCH
-C-Si(CHOSiC[OSi(CH-C-SiCH(OCH
で表される基が挙げられる。
【0036】
成分(A)の23±2℃における粘度は限定されない。様々な実施形態において、成分(A)の23±2℃における粘度は約100~約10,000mPa・sの範囲、所望により約100~約1,000mPa・sの範囲である。成分(A)の粘度が上記範囲の最小値以上であると、硬化物の弾性特性が改善され、上記範囲の最大値以下であると、得られる組成物の混和性、ハンドリング性、及び加工性が改善されると考えられる。
【0037】
様々な実施形態において、成分(A)の含有量は、成分(A)~(C)を組み合わせた質量に基づいて、約17~約40質量%の範囲、所望により約18~約40質量%の範囲、所望により約20~約40質量%の範囲、所望により約20~約35質量%の範囲、所望により約20~約32質量%の範囲である。成分(A)の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる硬化物の可撓性又は熱衝撃安定性が改善され、含有量が上記範囲の上限以下であると、良好な熱衝撃安定性とともに硬度が改善されると考えられる。
【0038】
様々な実施形態において、成分(B)は、以下の平均単位式:
(R21 SiO1/2(R21 SiO2/2(R21SiO3/2(SiO4/2
で表されるポリオルガノシロキサン樹脂を含む、又はそのものである。
【0039】
式中、各R21は、同一の又は異なる一価炭化水素基である。このような基の例としては、以下に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、及びオクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、及びフェニルプロピル基等のアラルキル基;並びに3-クロロプロピル基及び3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。特定の実施形態において、各R21は、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基である。更なる実施形態において、各R21は、メチル基又はフェニル基である。
【0040】
式中、「c」、「d」、「e」、及び「f」は、以下の条件を満たす数である:0≦c<0.2、0≦d≦0.5、0.4<e≦1.0、0≦f<0.2、及びc+d+e+f=1、所望によりc=0、0<d≦0.5、0.5≦e<1.0、f=0、及びc+d+e+f=1、所望によりc=0、0≦d≦0.1、0.9≦e≦1、f=0、所望によりc=0、0<d≦0.1、0.9≦e<1、f=0、所望によりc=0、0.01≦d≦0.1、0.9≦e≦0.99、f=0、及びc+d+e+f=1。「d」が上記範囲の下限以上であると、本組成物は良好な可撓性を示す硬化物を形成し、「e」が上記範囲の上限以下であると、本組成物は良好な機械的強度を示す硬化物を形成すると考えられる。
【0041】
特定の形態において、成分(B)は、以下の平均単位式:
[(CHSiO2/2(CHSiO3/2
で表されるオルガノポリシロキサン樹脂を含む。
【0042】
式中、「d」及び「e」は、上記の数である。
【0043】
様々な実施形態において、成分(B)は、約50モル%~約150モル%の範囲、所望により約60モル%~約150モル%の範囲、所望により約70モル%~約150モル%の範囲、所望により約50モル%~約140モル%の範囲、所望により約50モル%~約130モル%の範囲、所望により約60モル%~約130モル%の範囲、所望により約70モル%~約130モル%の範囲、所望により約70モル%~約120モル%の範囲のOZ含有量を有する。OZ含有量が上記範囲にあると、成分(A)中の成分(B)の相溶性が改善されると考えられる。式中、OZがシラノール基及び/又はケイ素原子結合アルコキシル基を表すように、各ZはH又はアルキル基である。特定の実施形態において、OZがシラノール基及び/又はケイ素原子結合メトキシ基を表すように、各ZはH又はメチル基である。様々な実施形態において、OZ含有量は、シラノール基、ケイ素原子結合アルコキシル基、又はシラノール基とケイ素原子結合アルコキシル基との組み合わせを含む。
【0044】
OZ含有量を測定するための試験方法の一例は、以下のとおりである。OZのモル%を得るための試験方法では、29Si及び13C NMRにより重水素化ベンゼン中でそれを分析する。全OZ含有量は、29Si NMR分析から測定され、Si単位に基づくモル分率として報告される。特定の実施形態において、メトキシであるこのOZ含有量は、13C NMR分析(1,4-ジオキサンを内部標準として使用する)から測定される。全OZ含有量とメトキシの量との差は、存在するシラノール基の量であった。
【0045】
成分(B)は、概してある分子量分布を有し、複数のポリオルガノシロキサン樹脂の混合物である。更に、成分(B)は、個別に調製されたポリオルガノシロキサン樹脂をブレンドすることにより得ることができる。このような場合、各ポリオルガノシロキサン樹脂は上記の平均単位式に対応する必要はなく、それらの混合物が上記平均単位式を満たしてもよい。
【0046】
様々な実施形態において、成分(B)の含有量は、成分(A)~(c)を組み合わせた質量に基づいて、約5~約30質量%の範囲、所望により約5~約25質量%の範囲、所望により約8~約25質量%の範囲である。成分(B)の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる硬化物の熱衝撃安定性が改善され、含有量が上記範囲の上限以下であると、良好な熱衝撃安定性とともに硬度が改善されると考えられる。
【0047】
特定の実施形態において、成分(C)は、以下の平均単位式:
(R31 SiO1/2(SiO4/2
で表されるポリオルガノシロキサン樹脂を含む、又はそのものである。
【0048】
式中、各R31は同一の又は異なるものであり、一価炭化水素基又はXから選択される。R31のこのような一価炭化水素基の例としては、以下に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、及びオクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、及びフェニルプロピル基等のアラルキル基;並びに3-クロロプロピル基及び3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。Xは、上記のようなアルコキシシリル含有基である。特定の実施形態において、1分子当たり少なくとも1つのR31はXである。好適なアルコキシシリル含有基の例としては、上記の式で表される基が挙げられる。
【0049】
式中、「g」は約0.5~約1.5の数であり、所望により約0.6~約1.5の数であり、所望により約0.7~約1.5の数であり、所望により約0.5~約1.4の数であり、所望により約0.5~約1.3の数であり、所望により約0.7~約1.4の数であり、所望により約0.6~約1.3の数である。「g」が上記範囲の下限以上であると、本組成物は良好な可撓性を示す硬化物を形成し、「g」が上記範囲の上限以下であると、本組成物は良好な機械的強度を示す硬化物を形成すると考えられる。
【0050】
様々な実施形態において、成分(C)の含有量は、成分(A)~(C)を組み合わせた質量に基づいて、約40~約70質量%の範囲、所望により約45~約70質量%の範囲、所望により約40~約65質量%の範囲、所望により約45~約65質量%の範囲、所望により約50~約60質量%の範囲である。成分(C)の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる硬化物の機械的強度又は硬度が改善され、含有量が上記範囲の上限以下であると、得られた硬化物の可撓性が、良好な熱衝撃安定性とともに改善されると考えられる。
【0051】
上記に紹介したように、本開示による組成物は、成分(A)~(C)に加えて、成分(A)~(C)以外の成分を更に含んでもよい。例えば、本組成物は、縮合反応用触媒(D)、溶剤(E)、アルコキシシラン(F)、蛍光増白剤、腐食防止剤、キレート化剤、接着促進剤等のうち少なくとも1つを更に含んでもよい。
【0052】
成分(D)は縮合反応用触媒である。成分(D)の例としては、以下に限定されないが、ジメチルスズジネオデカノエート、第一スズオクトエート等のスズ化合物;及びテトラ(イソプロポキシ)チタン、テトラ(n-ブトキシ)チタン、テトラ(t-ブトキシ)チタン、ジ(イソプロポキシ)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ(イソプロポキシ)ビス(メチルアセトアセテート)チタン、ジ(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)チタン等のチタン化合物が挙げられる。
【0053】
成分(D)の含有量は、得られる組成物の十分な硬化性を付与することができる量であれば、限定されない。様々な実施形態において、成分(D)の含有量は、成分(A)~(C)の総量100質量部に対して、約0.01~約20質量部の範囲、所望により約0.01~約15質量部の範囲、所望により約0.01~約10質量部の範囲、所望により約0.01~約5質量部の範囲、所望により約0.05~約10質量部の範囲、所望により約0.05~約5質量部の範囲である。成分(D)の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる組成物が空気中の水分によって十分に硬化し、含有量が上記範囲の上限以下であると、得られる組成物の表面硬化速度が改善されると考えられる。
【0054】
成分(E)は溶剤である。成分の例としては、以下に限定されないが、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、及びウンデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤;並びに直鎖ジメチルシロキサンオリゴマー、環状ジメチルシロキサンオリゴマー、及びテトラキス(トリメチルシロキシ)シラン等のシロキサン系溶剤が挙げられる。
【0055】
成分(E)の含有量は、得られる組成物のコーティング性能が改善される量であれば、限定されない。様々な実施形態において、成分(E)の含有量は、成分(A)~(C)の総量100質量部に対して、約0.1~約50質量部の範囲、所望により約0.1~約30質量部の範囲、所望により約0.1~約20質量部の範囲、所望により約0.1~約15質量部の範囲、所望により約0.1~約10質量部の範囲である。
【0056】
様々な実施形態において、成分(F)は、一般式:
41 Si(OR42(4-x)
で表されるアルコキシシランを含む、又はそのものである。
【0057】
式中、R41は一価炭化水素基である。このような基の例としては、以下に限定されないが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、及びオクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、及びオクタデセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、及びフェニルプロピル基等のアラルキル基;並びに3-クロロプロピル基及び3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。特定の実施形態において、R41は、アルキル基又はアルケニル基である。更なる実施形態において、R41は、メチル基又はビニル基である。
【0058】
式中、R42はアルキル基である。このような基の例としては、R41について上述したアルキル基が挙げられる。特定の実施形態において、R42は、メチル基又はエチル基である。
【0059】
式中、「x」は、0~2の整数、所望により1又は2である。
【0060】
成分(F)の例としては、以下に限定されないが、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、及びジメチルジエトキシシランが挙げられる。成分(F)は、これらのアルコキシシランのうちの1つであってもよく、又は混合物として使用される2つ以上の組み合わせであってもよい。特定の実施形態において、成分(F)は、ジメチルジメトキシシラン及び/若しくはメチルトリメトキシシランを含む、又はそのものである。
【0061】
成分(F)の含有量は、得られる組成物の十分な保管寿命を付与することができる量であれば、限定されない。様々な実施形態において、成分(F)の含有量は、成分(A)~(C)の総量100質量部に対して、約0.5~約20質量部の範囲、所望により約1~約20質量部の範囲、所望により約1~約15質量部の範囲、所望により約0.5~約10質量部の範囲である。成分(F)の含有量が上記範囲の下限以上であると、得られる組成物が空気中の水分によって速やかに硬化し、含有量が上記範囲の上限以下であると、得られる組成物の硬化性が十分であり、得られる組成物の水分遮断下における保管寿命が改善されると考えられる。
【0062】
様々な実施形態において、本組成物は、蛍光増白剤を更に含む。蛍光増白剤の例としては、以下に限定されないが、Tinopal OBの商標名でBASFから市販されている、2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾキサゾール)等のベンゾキサゾール誘導体、Tinopal DMSの商標名でCiba-Geigy AGから市販されている、4,4’-ビス-(2-モルホリノ-4アニリノ-s-トリアジン-6-イルアミノ)スチルベンジスルホネートの二ナトリウム塩等のジアミノスチルベン-スルホン酸誘導体、及びTinopal CBSの商標名でCiba-Geigy AGから市販されている、2,2’-ビス-(フェニル-スチリル)ジスルホネートの二ナトリウム塩等のビスフェニル-ジスチリル誘導体、及びジアリールピラゾリン誘導体が挙げられる。
【0063】
蛍光増白剤の含有量は、得られる組成物のコーティングの視認性が紫外線曝露下で改善される量であれば、限定されない。様々な実施形態において、蛍光増白剤の含有量は、成分(A)~(C)の総量100質量部に対して、約0.001~約0.1質量部の範囲、所望により約0.005~約0.1質量部の範囲、所望により約0.005~約0.05質量部の範囲である。
【0064】
様々な実施形態において、本組成物は、腐食防止剤を更に含む。腐食防止剤の例としては、以下に限定されないが、1H-1,2,3-トリアゾール、2H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、4H-1,2,4-トリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1H-1,2,3-トリアゾール、2H-1,2,3-トリアゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、4H-1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール-5-メチルカルボキシレート、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-1,2,4-トリアゾール、5-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、クロロベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾール、アミノベンゾトリアゾール、シクロヘキサノ[1,2-d]トリアゾール、4,5,6,7-テトラヒドロキシトリルトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、エチルベンゾトリアゾール、ナフトトリアゾール、1-N,N-ビス(2-エチルヘキシル)-[(1,2,4-トリアゾール-1-イル)メチル]アミン、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]トリルトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-アミノメチル]トリルトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(1-ブチル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1-[N,N-ビス(1-オクチル)アミノメチル]カルボキシベンゾトリアゾール、1-(2’,3’-ジ-ヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1-(2’,3’-ジ-カルボキシエチル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-4’-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール-6-カルボン酸、1-オレオイルベンゾトリアゾール、1,2,4-トリアゾール-3-オール、5-アミノ-3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、5-アミノ-1,2,4-トリアゾール-3-カルボン酸、1,2,4-トリアゾール-3-カルボキシアミド、4-アミノウラゾール、及び1,2,4-トリアゾール-5-オンが挙げられる。
【0065】
腐食防止剤の含有量は、得られる組成物の硬化物で被覆された基材の腐食を抑制できる量であれば、限定されない。様々な実施形態において、腐食防止剤の含有量は、質量単位で、本組成物のうちの約0.01ppm~約3%の範囲である。
【0066】
様々な実施形態において、本組成物は、キレート化剤を更に含む。キレート化剤の例としては、以下に限定されないが、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート等のα-置換アセト-酢酸エステルが挙げられる。
【0067】
キレート化剤の含有量は、得られる組成物の十分な安定性を付与することができる量であれば、限定されない。様々な実施形態において、キレート化剤の含有量は、成分(A)~(C)の総量100質量部に対して、約0.01~約20質量部の範囲、所望により約0.01~約15質量部の範囲である。
【0068】
様々な実施形態において、本組成物は、接着促進剤を更に含む。接着促進剤の例としては、以下に限定されないが、3-グリシドキシトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、及び4-オキシシラニルブチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリル基含有アルコキシシラン;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン;並びに上記エポキシ基含有アルコキシシランと上記アミノ基含有アルコキシシランとの反応混合物が挙げられる。特定の実施形態において、接着促進剤は、上記エポキシ基含有アルコキシシランと上記アミノ基含有アルコキシシランとの反応混合物を含む、又はこれらの反応混合物から選択される。
【0069】
接着促進剤の含有量は、硬化中に本組成物が接触した様々な基材に十分な接着性を付与できる量であれば、限定されない。様々な実施形態において、接着促進剤の含有量は、成分(A)~(C)の総量100質量部に対して、約0.01~約10質量部の範囲、所望により約0.01~約5質量部の範囲である。
【0070】
[電気/電子機器]
【0071】
様々な実施形態において、本開示による電気/電子機器は、上記の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を使用して得られる。電気/電子機器は特に限定されないが、電気回路、電極等を備える電気/電子機器によって例示される。このような電気/電子機器は、硬化物の硬化中に接触する基材に対する良好ないし優れた接着性、及び/又は良好ないし優れた熱衝撃安定性により、良好ないし優れた信頼性を有すると考えられる。
【実施例
【0072】
以下の実施例では、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物及び硬化物を例示している。この実施例は本発明を例示することを目的とするものであり、本発明を限定するものではない。なお、実施例及び比較例では、本組成物の不粘着時間、並びに本組成物を硬化して得た硬化物の機械的特性及び接着特性を以下のように評価した。
【0073】
<コーティング方法>
【0074】
吸着盤と、10cm幅のZehntnerの調節可能コーティングバー(ZUA2000)とを備えたZehntnerのオートコーター(ZAA2300)を使用して、ドローダウン法によりコーティングを作製した。明記する試験方法用に、以下の基材をコーティングした:
【0075】
応力/ひずみ試験:3M 9956 PETフルオロポリマー剥離ライナー
【0076】
接着性/摩耗試験:(3”幅×3”長さ×1/32”厚)Garolite G-10ガラス繊維/エポキシ基板。
【0077】
マンドレル屈曲試験:A-36アルミニウムQ-Panel
【0078】
全ての配合物及び基材に関して、最終的な乾燥/硬化コーティング厚100μmを目標としてバーを調整した。全てのコーティングは、室温で25mm/秒にて実施した。コーティング後、試料を室温で1/2時間乾燥させ、その後、湿度/温度が22℃/50%RHに制御された部屋に3日間置いた。
【0079】
<不粘着時間>
【0080】
配合物を、最終的なコーティング厚100μmを目標とした10ミルの正方形-5cm幅ドローダウンバーを使用して、A-36アルミニウムQ-Panel上に手動でコーティングした。コーティングの直後、コーティング表面の粘着性を、不粘着時間に達するまで30秒毎に試験した。この時間を記録し、試験を完了した。ニトリルグローブを手にぴったりと装着し、1本の指(清潔/乾燥)をコーティング表面に軽く押し付け、すぐに離した。離した際にいくらかでも接着性が観察された場合、それから、粘着が観察されなくなるまで試験を継続した。
【0081】
<応力/ひずみ試験>
【0082】
応力/応力試験は、フィルムテンションクランプ(film tension clamp)を備えたTA RSA G2 Solids Analyzerを使用して完了した。ASTM D1708のダイを用いて試料を打ち抜いた。ドッグボーン試料は、長さが22mm、タブ間の幅が5mmである。打ち抜き後、試験前に試料を剥離ライナーから取り外した。次に、ドッグボーンをTAテンションクランプの上部及び下部ブラケットに固定し、試料の幅にわたりテンションが均一に分布していることを確認した(バックルなし)。試験開始前に、予め10gのテンションをかけた。試料を100mm/分にて(全て室温で)引っ張った。破断を観察した後、試験を完了した。各条件用に3つの試料を使用して、データを収集した(一部の試料は早期の破損を呈した。この場合、それら試料について繰り返した)。データ分析にはTA Triosを使用し、3つの試料の平均として、以下の結果を報告した。
降伏応力(MPa)
降伏ひずみ(%)
破断応力(MPa)
破断ひずみ(%)
0%~2%にて計算したヤング率(MPa)
【0083】
脆い試料はダイでの打ち抜き中に破損したため、試験が完了しなかった。これらの試料は、「脆性」とラベル付けされた。注意:最終的な硬化コーティングの色、透明度、及び表面外観を観察し、試験前に文書化した。
【0084】
<接着性/摩耗試験>
【0085】
22℃/50%RHにて3日間の後、コーティングしたG-10基板を試験前に少なくとも1時間室温で静置した。基板上のコーティングの外観を観察し、文書化した。Precision Gage & Toolの接着性試験キットを試験に使用した。キットには、11個の歯/間隙1.5mmのブレードを備えた接着切り込み工具(adhesion cutting tool)、及び硬い剛毛ナイロンブラシ(2×7cm)が備えられていた。切り込み工具を使用し、強い均一圧力を用いて試料表面に刻みを入れた。刃先の角度は、15~30度であった。各試料に対して互いに垂直な2つの切り込みを入れ、試料の中心に100個の正方形からなる格子を作った。次に、ナイロンブラシを使用して試料表面を摩擦した。適度な力及び速度を用いて、刻んだ格子の対角方向に20ストローク(各ストロークにおいて前後)を実施した。次に、刻んだ格子の対角方向にテープを適度な力で接着させ、その後直ちに取り外した。次に、格子を注意深く検査し、接着性を以下のように報告した。
【0086】
<接着性の評点>
【0087】
格子内の基材から剥がれたコーティングの量に基づいて、試料を0~5に評点付けした。「5」は最高評点であり、コーティングの剥がれがないことを示すものである。「0」は最低評点であり、コーティングの65%超が基材から剥がれたことを示すものである。
【0088】
<#除去されたセクション>
【0089】
このデータは、試験中にコーティングが失われた格子内セクション数を計数することにより収集した。各試料には100個のセクションが存在する。
【0090】
<摩耗の評点>
【0091】
摩耗を比較観察として記録し、コーティングが受けたブラシからの表面損傷(引掻き)の量に基づいて、0~5に評点付けした。「5」は最高評点であり、表面損傷がないことを明示するものである。「0」は最低評点であり、完全な表面損傷を明示するものである。
【0092】
<マンドレル屈曲試験>
【0093】
22℃/50%RHにて3日間の後、コーティングしたA-36パネルを試験前に少なくとも1時間室温で静置した。マンドレル屈曲試験は、Gardner Laboratory Mandrel Set(MG 1412)を使用して実施した。1/8”直径の試験棒を選択し、試験セット上部の棒ホルダーに配置した。各試料について、A-36パネルを垂直に配置し、コーティングした側を上に向けた状態で棒を中心に合わせた。パネルの各端に均一圧力を加えて、パネルを下方に曲げ、パネルを試験棒の周囲に巻き付けた(内側におよそ40℃の屈曲角度を残した)。屈曲部及びその周辺のコーティング表面における亀裂、剥離、及び欠陥を観察した。値は、「合格」又は「不合格」のいずれかとして記録した。「合格」は欠陥がないことを明示するものであり、「不合格」はその重大度とは無関係に任意の種類の欠陥を明示するものである。試験は初期に実施し、7日目(室温で貯蔵)に再度実施した。
【0094】
<参考例1:メチル-T樹脂の調製>
【0095】
500mLの4つ口丸底フラスコに、メチルトリメトキシシラン(350.0g、2.569モル)を投入した。次に触媒であるトリフルオロメタンスルホン酸(0.175g)を加え、続いてDI水(52.08g、2.891モル)を、室温にて開始してゆっくりと加えた。添加完了後、反応物を還流状態で3時間加熱した。その後、それを50℃に冷却し、この時点で炭酸カルシウム(0.70g)を加えてトリフルオロメタンスルホン酸を中和した。それを室温で一晩混合した。翌日、ディーンスターク装置を挿入し、ポット温度115℃までメタノールを蒸留した。反応を115℃で1時間保持した。材料を1つ口ロータリーエバポレーターフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで、油浴温度110℃及びおよそ1~2mmHgにて溶媒を除去した。それを室温まで冷却し、次に、直径47mmのMagna,Nylon,Supported,Plain,0.45Micronフィルターを通して加圧濾過した。生成物は、室温にて透明な低粘度の液体であった。単離収量:194.9g、NMR分析からの生成物組成:[(CHSiO2/20.014[CHSiO3/20.986、OZ含有量=73.46モル%(OCHが68.45モル%、OHが5.01モル%)、Mw=2455g/モル。
【0096】
<参考例2:ビニル官能性メチル-T樹脂の調製>
【0097】
500mLの4つ口丸底フラスコに、メチルトリメトキシシラン(350.0g、2.569モル)及びジビニルテトラメチルジシロキサン(12.5g、Si換算で0.134モル)を投入した。次に触媒であるトリフルオロメタンスルホン酸(0.181g)を加え、続いてDI水(51.17g、2.84モル)を、室温にて開始してゆっくりと加えた。添加完了後、反応物を還流状態で3時間加熱した。その後、それを50℃に冷却し、この時点で炭酸カルシウム(0.72g)を加えてトリフルオロメタンスルホン酸を中和した。それを、室温まで冷却しながら2時間混合した。ディーンスターク装置を挿入し、ポット温度115℃までメタノールを蒸留した。反応を115℃で1時間保持した。材料を1つ口ロータリーエバポレーターフラスコに移し、ロータリーエバポレーターで、油浴温度110℃及びおよそ1~2mmHgにて溶媒を除去した。それを室温まで冷却し、次に、直径47mmのMagna,Nylon,Supported,Plain,0.45Micronフィルターを通して加圧濾過した。生成物は、室温にて透明な低粘度の液体であった。単離収量:206.4g、NMR分析からの生成物組成:[(CH=CH)(CH SiO 1/2 0.039[(CHSiO2/20.012[CHSiO3/20.949、OZ含有量=73.56モル%(OCHが69.40モル%、OHが4.16モル%)、Mw=1773g/モル。
【0098】
<実施例1~17及び比較例1~5>
【0099】
以下の成分を表1に示す組成(質量部)にて混合して、水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を調製した。これらの不粘着時間、機械的特性、及び接着特性を評価した。これらの結果を表1に示す。
【0100】
以下の成分を、成分(A)として使用した。
成分(a-1):以下の式で表されるポリジメチルシロキサン:
X-[(CHSiO]180Si(CH-X
(式中、X=-C-Si(CHOSi(CH-C-Si(OCH
成分(a-2):以下の式で表されるポリジメチルシロキサン:
X-[(CHSiO]124Si(CH-X
(式中、X=-C-Si(CHOSi(CH-C-Si(OCH
【0101】
成分(B)として以下の成分を使用した。
成分(b-1):以下の平均単位式で表されるポリオルガノシロキサン:
[(CHSiO2/20.013[CHSiO3/20.987、OZ含有量=109.7モル%(OCHが108.3モル%、OHが1.4モル%)、Mw=1300g/モル。
成分(b-2):参考例1により調製したポリオルガノシロキサン樹脂。
成分(b-3):参考例2により調製したポリオルガノシロキサン樹脂。
【0102】
以下の成分を、成分(C)として使用した。
成分(c-1):以下の平均単位式で表されるポリオルガノシロキサン:
[(CHSiO1/20.34[X(CHSiO1/20.11[SiO4/20.55
(式中、X=-C-Si(CHOSi(CH-C-Si(OCH
【0103】
以下の成分を、成分(D)として使用した。
成分(d-1):チタンエチルアセトアセテート錯体
【0104】
以下の成分を、成分(E)として使用した。
成分(e-1):オクタン
【0105】
以下の成分を、成分(F)として使用した。
成分(f-1):メチルトリメトキシシラン
【0106】
以下が、配合物調製の手順概要であった:
【0107】
ブレンドした成分(A)~(C)の15gを、20mLのホウケイ酸バイアルに量り取った。所望の場合、追加で成分(C)を加えた(均一に分散するまでボルテックス混合した)。次に、成分(D)~(F)の各々を加えた。バイアルをNでパージし、密封し、均一に分散するまでボルテックス混合した。次に、試料を回転式の試料ミキサー(rotary sample mixer)にて10~15rpmで1~2時間混合した:低粘度(<1000cP)の場合は1時間、高粘度(>1000cP)の場合は2時間混合した。脱気のため、試料を室温で1~2時間静置した。配合物を調製し、10時間以内にコーティングした。
【0108】
【表1】
【表2】
【表3】
【0109】
【表1】



【0110】
実施例及び比較例により、本発明の利点ったが明確に示された。すなわち、比較例1では成分(B)のポリオルガノシロキサン樹脂を利用せず、結果として弾性率が非常に低くなり、耐摩耗性が劣るものとなった。比較例2、3、及び4では成分(C)のポリオルガノシロキサン樹脂を省いているので、応力-ひずみ曲線に降伏点が存在しないことは、実施例1~17と比較して機械的靱性が低いことを示す。更に、これらの比較例は弾性率が低く、かつ接着性が乏しい。比較例5は、水分硬化フィルムが脆くなりすぎる前に成分(B)及び(C)をどの程度加えることができるかに限界があることを示すものである。これにより、これら2成分の上限質量%が設定されることになる。実施例では、成分(A)のポリオルガノシロキサンの重合度及び成分(C)の濃度に加えて、成分(B)の分子量、構造、及び配合物中の量に関して、ポリオルガノシロキサン樹脂を変化させている。全ての配合物は、許容可能な不粘着時間、機械的靱性、接着抵抗、耐摩耗性、及び可撓性を有する。
【0111】
産業上の利用可能性
本開示の水分硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は空気中の水分と接触することで室温にて硬化し、硬化中に接触した基材への良好ないし優れた接着性を示し、かつ良好ないし優れた破断応力及び/又は伸び等の機械的特性を示す硬化物を形成するので、電気/電子機器のコンフォーマルコーティングとして有利に使用される。
【0112】
本発明は、実例となる様式で本明細書に記載されており、使用されている用語は限定目的よりも、むしろ説明のための言葉としての性質が意図されているものと理解されるべきである。本発明の多くの修正形態及び変形形態が、上記教示を踏まえて可能である。本発明は、添付の特許請求の範囲内に具体的に記載されているもの以外に、他の方法で実行してもよい。独立請求項及び従属請求項、単一及び複数の従属請求項の両方の、主題の全ての組み合わせが、本明細書において明確に想定されている。