(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-22
(45)【発行日】2024-07-30
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 59/38 20230101AFI20240723BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240723BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240723BHJP
H10K 59/121 20230101ALI20240723BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20240723BHJP
【FI】
H10K59/38
G02B5/20 101
G09F9/30 338
G09F9/30 349A
G09F9/30 365
H10K59/121
H10K59/35 452
(21)【出願番号】P 2020565695
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2019050870
(87)【国際公開番号】W WO2020145148
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2019001112
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】元山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】浅木 玲生
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124540(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108493211(CN,A)
【文献】特表2012-504852(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0322432(US,A1)
【文献】特開2019-029188(JP,A)
【文献】特開2013-175433(JP,A)
【文献】特開2012-018868(JP,A)
【文献】特開2018-081831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 59/38
G02B 5/20
G09F 9/30
H10K 59/121
H10K 59/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1発光領域、及び、第1発光領域の上方に配設された第1カラーフィルタ層を備えた第1発光素子、
第2発光領域、及び、第2発光領域の上方に配設された第2カラーフィルタ層を備えた第2発光素子、並びに、
第3発光領域、及び、第3発光領域の上方に配設された第3カラーフィルタ層を備えた第3発光素子、
から構成された発光素子群が、複数、基体上に配列されて成り、
隣接する発光素子において、カラーフィルタ層の発光領域と対向する底面の境界線と発光領域の端部とを結ぶ最短の線分が基体の法線と成す角度は、各発光素子において同じであ
り、
前記第2カラーフィルタ層は、前記第1カラーフィルタ層及び前記第3カラーフィルタ層よりも下地への密着性が高い部材により構成されるとともに前記第1カラーフィルタ層と隣接する側面及び前記第3カラーフィルタ層と隣接する側面が前記線分に沿うテーパー形状に構成され、
前記第1カラーフィルタ層は、前記第3カラーフィルタ層よりも下地への密着性が高い部材により構成されるとともに前記第3カラーフィルタ層と隣接する側面が前記線分に沿うテーパー形状に構成される
表示装置。
【請求項2】
カラーフィルタ層頂面とカラーフィルタ層頂面との境界線で囲まれたカラーフィルタ層の頂面領域の基体に対する正射影像の面積は、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において同じである請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において、発光領域の面積は異なる請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
カラーフィルタ層頂面とカラーフィルタ層頂面との境界線で囲まれたカラーフィルタ層の頂面領域の基体に対する正射影像の面積は、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において異なる請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において、発光領域の面積は同じである請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
第1発光領域、第2発光領域及び第3発光領域は白色光を発光する請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
第1発光領域は赤色光を発光し、第2発光領域は緑色光を発光し、第3発光領域は青色光を発光する請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
複数の発光素子群を構成する第1発光素子は第1の方向に沿って配列されており、
複数の発光素子群を構成する第2発光素子は第1の方向に沿って配列されており、
複数の発光素子群を構成する第3発光素子は第1の方向に沿って配列されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
発光素子群は、2×2に配列された4つの発光素子から構成されており、
第1発光素子は、2つの第3発光素子に隣接して配置されており、
第2発光素子は、2つの第3発光素子に隣接して配置されており、
2つの第3発光素子のそれぞれは、第1発光素子及び第2発光素子に隣接して配置されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
発光素子群は、1つの第1発光素子、1つの第2発光素子、及び、1つの第3発光素子から構成されており、
第1発光素子は、第2発光素子及び第3発光素子に隣接して配置されており、
第2発光素子は、第1発光素子及び第3発光素子に隣接して配置されている請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
第1発光領域、及び、第1発光領域の上方に配設された第1カラーフィルタ層を備えた第1発光素子、
第2発光領域、及び、第2発光領域の上方に配設された第2カラーフィルタ層を備えた第2発光素子、並びに、
第3発光領域、及び、第3発光領域の上方に配設された第3カラーフィルタ層を備えた第3発光素子、
から構成された発光素子群が、複数、基体上に配列されて成り、
隣接する発光素子において、カラーフィルタ層の発光領域と対向する底面の境界線の基体に対する正射影像から、発光領域の端部の基体に対する正射影像までの距離は、各発光素子において同じであ
り、
前記第2カラーフィルタ層は、前記第1カラーフィルタ層及び前記第3カラーフィルタ層よりも下地への密着性が高い部材により構成されるとともに前記第2発光領域と対向する底面の境界線と前記第2発光領域の端部とを結ぶ最短の線分に沿うテーパー形状に構成される前記第1カラーフィルタ層と隣接する側面及び前記第3カラーフィルタ層と隣接する側面を有し、
前記第1カラーフィルタ層は、前記第3カラーフィルタ層よりも下地への密着性が高い部材により構成されるとともに前記第1発光領域と対向する底面の境界線と前記第1発光領域の端部とを結ぶ最短の線分に沿うテーパー形状に構成される前記第3カラーフィルタ層と隣接する側面を有する
表示装置。
【請求項12】
カラーフィルタ層頂面とカラーフィルタ層頂面との境界線で囲まれたカラーフィルタ層の頂面領域の基体に対する正射影像の面積は、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において同じである請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において、発光領域の面積は異なる請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
カラーフィルタ層頂面とカラーフィルタ層頂面との境界線で囲まれたカラーフィルタ層の頂面領域の基体に対する正射影像の面積は、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において異なる請求項11に記載の表示装置。
【請求項15】
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において、発光領域の面積は同じである請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
第1発光領域、第2発光領域及び第3発光領域は白色光を発光する請求項11に記載の表示装置。
【請求項17】
第1発光領域は赤色光を発光し、第2発光領域は緑色光を発光し、第3発光領域は青色光を発光する請求項11に記載の表示装置。
【請求項18】
複数の発光素子群を構成する第1発光素子は第1の方向に沿って配列されており、
複数の発光素子群を構成する第2発光素子は第1の方向に沿って配列されており、
複数の発光素子群を構成する第3発光素子は第1の方向に沿って配列されている請求項11に記載の表示装置。
【請求項19】
発光素子群は、2×2に配列された4つの発光素子から構成されており、
第1発光素子は、2つの第3発光素子に隣接して配置されており、
第2発光素子は、2つの第3発光素子に隣接して配置されており、
2つの第3発光素子のそれぞれは、第1発光素子及び第2発光素子に隣接して配置されている請求項11に記載の表示装置。
【請求項20】
発光素子群は、1つの第1発光素子、1つの第2発光素子、及び、1つの第3発光素子から構成されており、
第1発光素子は、第2発光素子及び第3発光素子に隣接して配置されており、
第2発光素子は、第1発光素子及び第3発光素子に隣接して配置されている請求項11に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の発光素子を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光素子として有機電界発光(EL:Electroluminescence)素子を用いた表示装置(有機ELディスプレイ)の開発が進んでいる。この表示装置では、例えば、画素毎に分離して形成された第1電極(下部電極、例えば、アノード電極)の上に、少なくとも発光層を含む有機層、及び、第2電極(上部電極、例えば、カソード電極)が形成される。そして、例えば、白色光あるいは赤色光を発光する有機層と赤色カラーフィルタ層とが組み合わされた赤色発光素子、白色光あるいは緑色光を発光する有機層と緑色カラーフィルタ層とが組み合わされた緑色発光素子、白色光あるいは青色光を発光する有機層と青色カラーフィルタ層とが組み合わされた青色発光素子のそれぞれが、副画素として設けられ、これらの副画素から1画素が構成される。第2電極(上部電極)を介して、発光層からの光が外部に出射される。
【0003】
このような表示装置においては、色ズレや混色が、屡々、問題となる。そして、このような問題を解決する表示装置が、例えば、特開2013-152853公報から周知である。この特許公開公報に開示された表示装置にあっては、発光素子を構成する各種の層の厚さ、各種の層を構成する材料の屈折率、カラーフィルタ層の幅及び厚さ等が規定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、実際の発光素子の製造工程において、カラーフィルタ層の側面は、通常、順テーパー状態あるいは逆テーパー状態となる。然るに、上記の特許公開公報にあっては、このようなカラーフィルタ層の側面の傾斜は考慮されていない。しかも、カラーフィルタ層の側面の傾斜角度(テーパー角度)は、通常、発光素子毎に異なっているので、これらを考慮しない限り、視野角特性の向上は見込めない。特に、画素ピッチが非常に小さい場合、カラーフィルタ層のアスペクト比が大きくなり、側面のテーパー状態の影響が大きい。
【0006】
従って、本開示の目的は、色ズレや混色が発生し難い構成、構造を有する発光素子の複数を備えた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る表示装置は、
第1発光領域、及び、第1発光領域の上方に配設された第1カラーフィルタ層を備えた第1発光素子、
第2発光領域、及び、第2発光領域の上方に配設された第2カラーフィルタ層を備えた第2発光素子、並びに、
第3発光領域、及び、第3発光領域の上方に配設された第3カラーフィルタ層を備えた第1発光素子、
から構成された発光素子群が、複数、基体上に配列されて成る。
【0008】
そして、本開示の第1の態様の表示装置にあっては、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層の発光領域と対向する底面の境界線と発光領域の端部とを結ぶ最短の線分が基体の法線と成す角度(θ)は、各発光素子において同じである。また、本開示の第2の態様の表示装置にあっては、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層の発光領域と対向する底面の境界線の基体に対する正射影像から、発光領域の端部の基体に対する正射影像までの距離(L)は、各発光素子において同じである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例1の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を模式的に示す図、及び、実施例1の表示装置の概念的な断面図である。
【
図2】
図2は、実施例1の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を模式的に示す図、及び、実施例1の表示装置の概念的な断面図である。
【
図3】
図3は、実施例1の表示装置における発光領域の配置を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施例1の表示装置において混色が発生し難いことを説明するための、実施例1の表示装置の概念的な断面図である。
【
図5】
図5は、実施例2の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を模式的に示す図、及び、実施例2の表示装置の概念的な各種断面図である。
【
図6】
図6は、実施例2の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を模式的に示す図、及び、実施例2の表示装置の概念的な各種断面図である。
【
図7】
図7は、実施例2の表示装置における発光領域の配置を模式的に示す図である。
【
図8】
図8は、実施例2の表示装置において混色が発生し難いことを説明するための、実施例2の表示装置の概念的な各種断面図である。
【
図9】
図9は、実施例2の表示装置において混色が発生し難いことを説明するための、実施例2の表示装置の概念的な各種断面図である。
【
図10】
図10は、実施例2の表示装置において混色が発生し難いことを説明するための、実施例2の表示装置の概念的な各種断面図である。
【
図11】
図11は、実施例2の表示装置において混色が発生し難いことを説明するための、実施例2の表示装置の概念的な各種断面図である。
【
図13】
図13は、実施例3の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を模式的に示す図、及び、実施例3の表示装置の概念的な各種断面図である。
【
図14】
図14は、実施例3の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を模式的に示す図、及び、実施例3の表示装置の概念的な各種断面図である。
【
図15】
図15は、実施例3の表示装置における発光領域の配置を模式的に示す図である。
【
図16】
図16は、実施例4の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を模式的に示す図、及び、実施例3の表示装置の概念的な各種断面図である。
【
図18】
図18は、実施例1の表示装置の模式的な一部断面図である。
【
図19】
図19は、実施例2の表示装置における発光領域の変形例の配置を模式的に示す図である。
【
図20】
図20A及び
図20Bは、本開示の表示装置をレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラに適用した例を示し、デジタルスチルカメラの正面図を
図20Aに、背面図を
図20Bに示す。
【
図21】
図21は、本開示の表示装置をヘッドマウントディスプレイに適用した例を示すヘッドマウントディスプレイの外観図である。
【
図22】
図22は、従来の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を模式的に示す図、及び、従来の表示装置の概念的な各種断面図である。
【
図23】
図23は、従来の表示装置において混色が発生することを説明するための、従来の表示装置の概念的な各種断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様~第2の態様に係る表示装置、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様~第2の態様に係る表示装置)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の別の変形)
5.実施例4(実施例1の更に別の変形)
6.その他
【0011】
〈本開示の第1の態様~第2の態様に係る表示装置、全般に関する説明〉
本開示の第1の態様~第2の態様に係る表示装置において、カラーフィルタ層頂面(光出射面)とカラーフィルタ層頂面(光出射面)との境界線で囲まれたカラーフィルタ層の頂面領域の基体(あるいは後述する第1基板あるいは第2基板)に対する正射影像の面積(Stop)は、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において同じである形態とすることができる。そして、この場合、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において、発光領域の面積(SEL)は異なる形態とすることができる。
【0012】
あるいは又、本開示の第1の態様~第2の態様に係る表示装置において、カラーフィルタ層頂面(光出射面)とカラーフィルタ層頂面(光出射面)との境界線で囲まれたカラーフィルタ層の頂面領域の基体(あるいは後述する第1基板あるいは第2基板)に対する正射影像の面積(Stop)は、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において異なる形態とすることができる。そして、この場合、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において、発光領域の面積(SEL)は同じである形態とすることができる。
【0013】
以上に説明した各種の好ましい形態を含む本開示の第1の態様~第2の態様に係る表示装置において、第1発光領域、第2発光領域及び第3発光領域は白色光を発光する構成とすることができるし、あるいは又、第1発光領域は赤色光を発光し、第2発光領域は緑色光を発光し、第3発光領域は青色光を発光する構成とすることができるが、これに限定するものではなく、白色光を発光する第4発光素子、赤色光、緑色光、青色光以外の色の光を発光する第4発光素子を加えることもできる。
【0014】
第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の配列、配置状態として、以下を例示することができる。即ち、
複数の発光素子群を構成する第1発光素子は第1の方向に沿って配列されており、
複数の発光素子群を構成する第2発光素子は第1の方向に沿って配列されており、
複数の発光素子群を構成する第3発光素子は第1の方向に沿って配列されている形態(所謂ストライプ配列)とすることができる。あるいは又、
発光素子群は、2×2に配列された4つの発光素子から構成されており、
第1発光素子は、2つの第3発光素子に隣接して配置されており、
第2発光素子は、2つの第3発光素子に隣接して配置されており、
2つの第3発光素子のそれぞれは、第1発光素子及び第2発光素子に隣接して配置されている形態(所謂ダイアゴナル配列)とすることができる。この場合、発光素子群は、例えば、矩形の領域を占める。あるいは又、
発光素子群は、1つの第1発光素子、1つの第2発光素子、及び、1つの第3発光素子から構成されており、
第1発光素子は、第2発光素子及び第3発光素子に隣接して配置されており、
第2発光素子は、第1発光素子及び第3発光素子に隣接して配置されている形態とすることができる。尚、この場合、発光素子群は、例えば、矩形の領域を占める。あるいは又、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子の配列として、ストライプ配列、デルタ配列、レクタングル配列、ペンタイル配列を挙げることができる。
【0015】
本開示の第1の態様の表示装置にあっては、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層の発光領域と対向する底面の境界線と発光領域の端部とを結ぶ最短の線分が基体(あるいは後述する第1基板あるいは第2基板)の法線と成す角度(θ)は、各発光素子において同じである。また、本開示の第2の態様の表示装置にあっては、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層の発光領域と対向する底面の境界線の基体(あるいは後述する第1基板あるいは第2基板)に対する正射影像から、発光領域の端部の基体(あるいは後述する第1基板あるいは第2基板)に対する正射影像までの距離(L)は、各発光素子において同じである。ここで、「同じ」であるとは、例えば、表示装置を第1象限、第2象限、第3象限及び第1象限の4つの領域に分割し、各象限の中央部及び原点を含む5つの領域において、1又は複数の発光素子群を適宜選択し、選択された発光素子群において、各発光素子における角度(θ)あるいは距離(L)を求め、更には、角度(θ)あるいは距離(L)の平均値θave,Lave、標準偏差σangle,σdistanceを求める。そして、
σangle/θave ≦0.015
σdistance/Lave≦0.2
であるとき、「同じ」であるとし、
σangle/θave >0.015
σdistance/Lave>0.2
であるとき、「異なる」とする。但し、これらの規定は例示である。例えば、θave=76度、σangle=1.125度のとき、θaveの値が設計値から±5度あるいはそれ以上変化したときには「異なる」とする。或るカラーフィルタ層の端部領域の上に、隣接するカラーフィルタ層の端部領域が重なっている場合、或るカラーフィルタ層の端部を底面の境界線とする。
【0016】
以上に説明した好ましい形態、構成を含む本開示の第1の態様~第2の態様に係る表示装置(以下、これらを総称して、『本開示の表示装置等』と呼ぶ)にあっては、隣接するカラーフィルタ層の境界領域において、カラーフィルタ層底面を含む底部に、透明な樹脂から成る構造物(透明樹脂層から成り、例えば、特開2014-089804号公報参照)を設けてもよい。カラーフィルタ層は、所望の顔料や染料から成る着色剤を添加した樹脂(例えば、光硬化型の樹脂)によって構成されており、顔料や染料を選択することにより、目的とする赤色、緑色、青色等の波長域における光透過率が高く、他の波長域における光透過率が低くなるように調整されている。このようなカラーフィルタ層は、周知のカラーレジスト材料から構成すればよい。白色光を出射する発光素子にあっては透明なフィルタを配設すればよい。
【0017】
本開示の表示装置等は、第2基板から光を出射するトップエミッション方式(上面発光方式)の表示装置(上面発光型表示装置)である。上面発光型表示装置にあっては、第1基板の上方に、例えば、カラーフィルタ層を形成すればよいが、カラーフィルタ層は、第1基板側に設けられていてもよいし(OCCF構造、オンチップカラーフィルタ層構造)、第2基板側に設けられていてもよい。本開示の表示装置等は、別の表現をすれば、第1基板、第2基板、及び、第1基板と第2基板とによって挟まれた画像表示部を備えており、画像表示部には、以上に説明した好ましい形態、構成を含む発光素子が、複数、2次元マトリクス状に配列されている。ここで、第1基板側に発光素子が形成されている。
【0018】
本開示の表示装置等における発光素子は、具体的には、第1電極、第1電極上に形成された有機層、有機層上に形成された第2電極、第2電極上に形成された保護層(平坦化層)、及び、保護層上に形成されたカラーフィルタ層から構成されている。そして、有機層からの光が第2電極、保護層及びカラーフィルタ層を介して外部に出射される。第1電極は、各発光素子毎に設けられている。有機層は、各発光素子毎に設けられており、あるいは又、発光素子に共通して設けられている。第2電極は、発光素子に共通して設けられている。即ち、第2電極は、所謂ベタ電極である。基体の下方には第1基板が配置されており、カラーフィルタ層頂面の上あるいは上方に第2基板が配置されている。発光領域は基体上に設けられている。
【0019】
本開示の表示装置等において、第1電極は有機層の一部と接している構成とすることができるし、あるいは又、第1電極の一部は有機層と接している構成とすることができる。これらの場合、具体的には、第1電極の大きさは有機層よりも小さい構成とすることができるし、あるいは又、第1電極の大きさは有機層と同じ大きさである構成とすることができるし、あるいは又、第1電極の大きさは有機層より大きい構成とすることもできるし、第1電極の縁部と有機層との間に絶縁層が形成されている構成とすることもできる。第1電極と有機層とが接する領域が、発光領域である。
【0020】
第1発光領域、第2発光領域及び第3発光領域が白色光を発光する構成とする場合、有機層は白色光を出射するが、この場合、有機層は、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層の積層構造を有する形態とすることができる。あるいは又、有機層は、青色光を発光する青色発光層、及び、黄色を発光する黄色発光層の2層が積層された構造とすることができ、全体として白色光を発光する。あるいは又、青色光を発光する青色発光層、及び、橙色を発光する橙色発光層の2層が積層された構造とすることができ、全体として白色光を発光する。
【0021】
本開示の表示装置等において、有機層は、上述したとおり、異なる色を発光する少なくとも2層の発光層から構成されている形態とすることができ、この場合、有機層から出射される光は白色光である形態とすることができる。具体的には、有機層は、赤色光(波長:620nm乃至750nm)を発光する赤色発光層、緑色光(波長:495nm乃至570nm)を発光する緑色発光層、及び、青色光(波長:450nm乃至495nm)を発光する青色発光層の3層が積層された構造とすることができ、全体として白色光を発光する。あるいは又、青色光を発光する青色発光層、及び、黄色を発光する黄色発光層の2層が積層された構造とすることができ、全体として白色光を発光する。あるいは又、青色光を発光する青色発光層、及び、橙色を発光する橙色発光層の2層が積層された構造とすることができ、全体として白色光を発光する。そして、このような白色光を発光する有機層と赤色カラーフィルタ層とを組み合わせることで赤色発光素子が構成され、白色光を発光する有機層と緑色カラーフィルタ層とを組み合わせることで緑色発光素子が構成され、白色光を発光する有機層と青色カラーフィルタ層とを組み合わせることで青色発光素子が構成される。赤色発光素子、緑色発光素子及び青色発光素子といった副画素の組合せによって1画素が構成される。場合によっては、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子及び白色光を出射する発光素子(あるいは補色光を出射する発光素子)によって1画素を構成してもよい。異なる色を発光する少なくとも2層の発光層から構成されている形態にあっては、実際には、異なる色を発光する発光層が混合し、明確に各層に分離されていない場合がある。
【0022】
あるいは又、有機層は、1層の発光層から構成されている形態とすることができる。この場合、発光素子を、例えば、赤色発光層を含む有機層を有する赤色発光素子、緑色発光層を含む有機層を有する緑色発光素子、あるいは、青色発光層を含む有機層を有する青色発光素子から構成することができる。そして、これらの3種類の発光素子(副画素)から1画素が構成される。
【0023】
保護層(平坦化層)を構成する材料として、アクリル系樹脂、SiN、SiON、SiC、アモルファスシリコン(α-Si)、Al2O3、TiO2を例示することができる。保護層の形成方法として、各種CVD法、各種塗布法、スパッタリング法や真空蒸着法を含む各種PVD法、スクリーン印刷法といった各種印刷法等の公知の方法に基づき形成することができる。また、保護層の形成方法として、更には、ALD(Atomic Layer Deposition)法を採用することもできる。保護層は、複数の発光素子において共通化されていてもよいし、各発光素子において個別に設けられていてもよい。保護層と第2基板とは、例えば、樹脂層(封止樹脂層)を介して接合される。樹脂層(封止樹脂層)を構成する材料として、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤といった熱硬化型接着剤や、紫外線硬化型接着剤を挙げることができる。
【0024】
表示装置の光を出射する最外面(具体的には、第2基板の外面)には、紫外線吸収層、汚染防止層、ハードコート層、帯電防止層を形成してもよいし、保護部材(例えば、カバーガラス)を配してもよい。
【0025】
更には、本開示の表示装置等において、光出射側にオンチップマイクロレンズが設けられている構成とすることができる。オンチップマイクロレンズを設けることで、有機層からの光を所望の状態に発散させることができる結果、視野角特性の制御を行うことができる。オンチップマイクロレンズは、例えば、アクリル系樹脂等の周知の透明樹脂材料から構成することができ、透明樹脂材料を、メルトフローさせることで得ることができるし、あるいは又、エッチバックすることで得ることができるし、グレートーンマスクを用いたフォトリソグラフィ技術とエッチング法の組合せで得ることができるし、ナノプリント法に基づき透明樹脂材料をレンズ形状に形成するといった方法によって得ることもできる。
【0026】
本開示の表示装置等において、基体は第1基板の上あるいは上方に形成されている。基体を構成する材料として、絶縁材料、例えば、SiO2、SiN、SiONを例示することができる。あるいは又、基体の上や上方に形成される絶縁層等とエッチング選択比のある絶縁材料から基体を構成すればよい。基体は、基体を構成する材料に適した形成方法、具体的には、例えば、各種CVD法、各種塗布法、スパッタリング法や真空蒸着法を含む各種PVD法、スクリーン印刷法といった各種印刷法、メッキ法、電着法、浸漬法、ゾル-ゲル法等の公知の方法に基づき形成することができる。
【0027】
基体の下あるいは下方には、限定するものではないが、発光素子駆動部が設けられている。発光素子駆動部は、例えば、第1基板を構成するシリコン半導体基板に形成されたトランジスタ(具体的には、例えば、MOSFET)や、第1基板を構成する各種基板に設けられた薄膜トランジスタ(TFT)から構成されている。発光素子駆動部を構成するトランジスタやTFTと第1電極とは、基体に形成されたコンタクトホール(コンタクトプラグ)を介して接続されている形態とすることができる。発光素子駆動部は、周知の回路構成とすることができる。第2電極は、表示装置の外周部において、基体に形成されたコンタクトホール(コンタクトプラグ)を介して発光素子駆動部と接続される。第1基板側に発光素子が形成されている。第2電極は、前述したとおり、複数の発光素子において共通電極とされていてもよい。即ち、第2電極は、所謂ベタ電極とされていてもよい。
【0028】
第1基板あるいは第2基板を、シリコン半導体基板、高歪点ガラス基板、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)基板、硼珪酸ガラス(Na2O・B2O3・SiO2)基板、フォルステライト(2MgO・SiO2)基板、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)基板、表面に絶縁材料層が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁材料層が形成された石英基板、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)に例示される有機ポリマー(高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチックフィルムやプラスチックシート、プラスチック基板といった高分子材料の形態を有する)から構成することができる。第1基板と第2基板を構成する材料は、同じであっても、異なっていてもよい。但し、第2基板は発光素子からの光に対して透明であることが要求される。
【0029】
第1電極を構成する材料として、第1電極をアノード電極として機能させる場合、例えば、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、タンタル(Ta)といった仕事関数の高い金属あるいは合金(例えば、銀を主成分とし、0.3質量%乃至1質量%のパラジウム(Pd)と0.3質量%乃至1質量%の銅(Cu)とを含むAg-Pd-Cu合金や、Al-Nd合金、Al-Cu合金)を挙げることができる。更には、アルミニウム(Al)及びアルミニウムを含む合金等の仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料を用いる場合には、適切な正孔注入層を設けるなどして正孔注入性を向上させることで、アノード電極として用いることができる。第1電極の厚さとして、0.1μm乃至1μmを例示することができる。あるいは又、後述する光反射層を設ける場合、第1電極を構成する材料として、酸化インジウム、インジウム-錫酸化物(ITO,Indium Tin Oxide,SnドープのIn2O3、結晶性ITO及びアモルファスITOを含む)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO,Indium Zinc Oxide)、インジウム-ガリウム酸化物(IGO)、インジウム・ドープのガリウム-亜鉛酸化物(IGZO,In-GaZnO4)、IFO(FドープのIn2O3)、ITiO(TiドープのIn2O3)、InSn、InSnZnO、酸化錫(SnO2)、ATO(SbドープのSnO2)、FTO(FドープのSnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム・ドープの酸化亜鉛(AZO)、ガリウム・ドープの酸化亜鉛(GZO)、BドープのZnO、AlMgZnO(酸化アルミニウム及び酸化マグネシウム・ドープの酸化亜鉛)、酸化アンチモン、酸化チタン、NiO、スピネル型酸化物、YbFe2O4構造を有する酸化物、ガリウム酸化物、チタン酸化物、ニオブ酸化物、ニッケル酸化物等を母層とする透明導電性材料といった各種透明導電材料を挙げることができる。あるいは又、誘電体多層膜やアルミニウム(Al)といった光反射性の高い反射膜上に、インジウムとスズの酸化物(ITO)や、インジウムと亜鉛の酸化物(IZO)等の正孔注入特性に優れた透明導電材料を積層した構造とすることもできる。一方、第1電極をカソード電極として機能させる場合、仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料から構成することが望ましいが、アノード電極として用いられる光反射率の高い導電材料に適切な電子注入層を設けるなどして電子注入性を向上させることで、カソード電極として用いることもできる。
【0030】
第2電極を構成する材料(半光透過材料あるいは光透過材料)として、第2電極をカソード電極として機能させる場合、発光光を透過し、しかも、有機層(発光層)に対して電子を効率的に注入できるように仕事関数の値の小さな導電材料から構成することが望ましく、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と銀(Ag)[例えば、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)との合金(Mg-Ag合金)]、マグネシウム-カルシウムとの合金(Mg-Ca合金)、アルミニウム(Al)とリチウム(Li)の合金(Al-Li合金)等の仕事関数の小さい金属あるいは合金を挙げることができ、中でも、Mg-Ag合金が好ましく、マグネシウムと銀との体積比として、Mg:Ag=5:1~30:1を例示することができる。あるいは又、マグネシウムとカルシウムとの体積比として、Mg:Ca=2:1~10:1を例示することができる。第2電極の厚さとして、4nm乃至50nm、好ましくは、4nm乃至20nm、より好ましくは6nm乃至12nmを例示することができる。あるいは又、Ag-Nd-Cu、Ag-Cu、Au及びAl-Cuから成る群から選択された少なくとも1種類の材料を挙げることができる。あるいは又、第2電極を、有機層側から、上述した材料層と、例えばITOやIZOから成る所謂透明電極(例えば、厚さ3×10-8m乃至1×10-6m)との積層構造とすることもできる。第2電極に対して、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金、銅、銅合金、金、金合金等の低抵抗材料から成るバス電極(補助電極)を設け、第2電極全体として低抵抗化を図ってもよい。第2電極の平均光透過率は50%乃至90%、好ましくは60%乃至90%であることが望ましい。一方、第2電極をアノード電極として機能させる場合、発光光を透過し、しかも、仕事関数の値の大きな導電材料から構成することが望ましい。
【0031】
第1電極や第2電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)やMOCVD法、イオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、メタルマスク印刷法といった各種印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル・ゲル法等を挙げることができる。各種印刷法やメッキ法によれば、直接、所望の形状(パターン)を有する第1電極や第2電極を形成することが可能である。尚、有機層を形成した後、第2電極を形成する場合、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さな成膜方法、あるいは又、MOCVD法といった成膜方法に基づき形成することが、有機層のダメージ発生を防止するといった観点から好ましい。有機層にダメージが発生すると、リーク電流の発生による「滅点」と呼ばれる非発光画素(あるいは非発光副画素)が生じる虞がある。
【0032】
有機層は有機発光材料から成る発光層を備えているが、具体的には、例えば、正孔輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造、正孔輸送層と電子輸送層を兼ねた発光層との積層構造、正孔注入層と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と電子注入層との積層構造等から構成することができる。有機層の形成方法として、真空蒸着法等の物理的気相成長法(PVD法);スクリーン印刷法やインクジェット印刷法といった印刷法;転写用基板上に形成されたレーザ吸収層と有機層の積層構造に対してレーザを照射することでレーザ吸収層上の有機層を分離して、有機層を転写するといったレーザ転写法、各種の塗布法を例示することができる。有機層を真空蒸着法に基づき形成する場合、例えば、所謂メタルマスクを用い、係るメタルマスクに設けられた開口を通過した材料を堆積させることで有機層を得ることができる。
【0033】
本開示の表示装置等においては、絶縁層、層間絶縁層が形成されるが、これらを構成する絶縁材料として、SiO2、NSG(ノンドープ・シリケート・ガラス)、BPSG(ホウ素・リン・シリケート・ガラス)、PSG、BSG、AsSG、SbSG、PbSG、SOG(スピンオングラス)、LTO(Low Temperature Oxide、低温CVD-SiO2)、低融点ガラス、ガラスペースト等のSiOX系材料(シリコン系酸化膜を構成する材料);SiON系材料を含むSiN系材料;SiOC;SiOF;SiCNを挙げることができる。あるいは又、酸化チタン(TiO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化クロム(CrOx)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化スズ(SnO2)、酸化バナジウム(VOx)といった無機絶縁材料を挙げることができる。あるいは又、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂といった各種樹脂や、SiOCH、有機SOG、フッ素系樹脂といった低誘電率絶縁材料(例えば、誘電率k(=ε/ε0)が例えば3.5以下の材料であり、具体的には、例えば、フルオロカーボン、シクロパーフルオロカーボンポリマー、ベンゾシクロブテン、環状フッ素系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、アモルファステトラフルオロエチレン、ポリアリールエーテル、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、パリレン(ポリパラキシリレン)、フッ化フラーレン)を挙げることができるし、Silk(The Dow Chemical Co. の商標であり、塗布型低誘電率層間絶縁膜材料)、Flare(Honeywell Electronic Materials Co. の商標であり、ポリアリルエーテル(PAE)系材料)を例示することもできる。そして、これらを、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。場合によっては、基体を、以上に説明した材料から構成してもよい。絶縁層や層間絶縁層、基体は、各種CVD法、各種塗布法、スパッタリング法や真空蒸着法を含む各種PVD法、スクリーン印刷法といった各種印刷法、メッキ法、電着法、浸漬法、ゾル-ゲル法等の公知の方法に基づき形成することができる。
【0034】
以上に説明した各種の好ましい形態、構成を含む本開示の表示装置等は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置)から成る構成とすることができるし、発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)から成る構成とすることができる。
【0035】
有機EL表示装置は、更に一層の光取出し効率の向上を図るために、共振器構造を有することが好ましい。具体的には、第1電極と有機層との界面によって構成された第1界面(あるいは、第1電極の下に層間絶縁層が設けられ、層間絶縁層の下に光反射層が設けられた構造にあっては、光反射層と層間絶縁層との界面によって構成された第1界面)と、第2電極と有機層との界面によって構成された第2界面との間で、発光層で発光した光を共振させて、その一部を第2電極から出射させる。そして、発光層の最大発光位置から第1界面までの距離をL1、光学距離をOL1、発光層の最大発光位置から第2界面までの距離をL2、光学距離をOL2とし、m1及びm2を整数としたとき、以下の式(1-1)及び式(1-2)を満たしている。
【0036】
0.7{-Φ1/(2π)+m1}≦2×OL1/λ≦1.2{-Φ1/(2π)+m1} (1-1)
0.7{-Φ2/(2π)+m2}≦2×OL2/λ≦1.2{-Φ2/(2π)+m2} (1-2)
ここで、
λ :発光層で発生した光のスペクトルの最大ピーク波長(あるいは又、発光層で発生した光の内の所望の波長)
Φ1:第1界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)。但し、-2π<Φ1≦0
Φ2:第2界面で反射される光の位相シフト量(単位:ラジアン)。但し、-2π<Φ2≦0
である。
【0037】
ここで、m1の値は0以上の値であり、m2の値は、m1の値と独立して、0以上の値であるが、(m1,m2)=(0,0)である形態、(m1,m2)=(0,1)である形態、(m1,m2)=(1,0)である形態、(m1,m2)=(1,1)である形態を例示することができる。
【0038】
発光層の最大発光位置から第1界面までの距離L1とは、発光層の最大発光位置から第1界面までの実際の距離(物理的距離)を指し、発光層の最大発光位置から第2界面までの距離L2とは、発光層の最大発光位置から第2界面までの実際の距離(物理的距離)を指す。また、光学距離とは、光路長とも呼ばれ、一般に、屈折率nの媒質中を距離Lだけ光線が通過したときのn×Lを指す。以下においても、同様である。従って、平均屈折率をnaveとしたとき、
OL1=L1×nave
OL2=L2×nave
の関係がある。ここで、平均屈折率naveとは、有機層(あるいは、有機層、第1電極及び層間絶縁層)を構成する各層の屈折率と厚さの積を合計し、有機層(あるいは、有機層、第1電極及び層間絶縁層)の厚さで除したものである。
【0039】
第1電極又は光反射層及び第2電極は入射した光の一部を吸収し、残りを反射する。従って、反射される光に位相シフトが生じる。この位相シフト量Φ1,Φ2は、第1電極又は光反射層及び第2電極を構成する材料の複素屈折率の実数部分と虚数部分の値を、例えばエリプソメータを用いて測定し、これらの値に基づく計算を行うことで求めることができる(例えば、"Principles of Optic", Max Born and Emil Wolf, 1974 (PERGAMON PRESS) 参照)。有機層や層間絶縁層等の屈折率もエリプソメータを用いて測定することで求めることができる。
【0040】
光反射層を構成する材料として、アルミニウム、アルミニウム合金(例えば、Al-NdやAl-Cu)、Al/Ti積層構造、Al-Cu/Ti積層構造、クロム(Cr)、銀(Ag)、銀合金(例えば、Ag-Pd-Cu、Ag-Sm-Cu)を挙げることができ、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル・ゲル法等によって形成することができる。
【0041】
このように、共振器構造を有する有機EL表示装置にあっては、実際には、白色光を発光する有機層と赤色カラーフィルタ層とを組み合わせることで構成された赤色発光素子は、発光層で発光した赤色光を共振させて、赤味がかった光(赤色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極から出射する。また、白色光を発光する有機層と緑色カラーフィルタ層とを組み合わせることで構成された緑色発光素子は、発光層で発光した緑色光を共振させて、緑味がかった光(緑色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極から出射する。更には、白色光を発光する有機層と青色カラーフィルタ層とを組み合わせることで構成された青色発光素子は、発光層で発光した青色光を共振させて、青味がかった光(青色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極から出射する。即ち、発光層で発生した光の内の所望の波長λ(具体的には、赤色の波長、緑色の波長、青色の波長)を決定し、式(1-1)、式(1-2)に基づき、赤色発光素子、緑色発光素子、青色発光素子のそれぞれにおけるOL1,OL2等の各種パラメータを求めて、各発光素子を設計すればよい。例えば、特開2012-216495の段落番号[0041]には、有機層を共振部とした共振器構造を有する有機EL素子が開示されており、発光点(発光面)から反射面までの距離を適切に調整することが可能となるため、有機層の膜厚は、80nm以上500nm以下であることが好ましく、150nm以上350nm以下であることがより好ましいと記載されている。
【0042】
有機EL表示装置にあっては、正孔輸送層(正孔供給層)の厚さと電子輸送層(電子供給層)の厚さは、概ね等しいことが望ましい。あるいは又、正孔輸送層(正孔供給層)よりも電子輸送層(電子供給層)を厚くしてもよく、これによって、低い駆動電圧で高効率化に必要、且つ、発光層への十分な電子供給が可能となる。即ち、アノード電極に相当する第1電極と発光層との間に正孔輸送層を配置し、しかも、電子輸送層よりも薄い膜厚で形成することで、正孔の供給を増大させることが可能となる。そして、これにより、正孔と電子の過不足がなく、且つ、キャリア供給量も十分多いキャリアバランスを得ることができるため、高い発光効率を得ることができる。また、正孔と電子の過不足がないことで、キャリアバランスが崩れ難く、駆動劣化が抑制され、発光寿命を長くすることができる。
【0043】
表示装置は、例えば、パーソナルコンピュータを構成するモニタ装置として使用することができるし、テレビジョン受像機や携帯電話、PDA(携帯情報端末,Personal Digital Assistant)、ゲーム機器に組み込まれたモニタ装置として使用することができる。あるいは又、電子ビューファインダ(Electronic View Finder,EVF)や頭部装着型ディスプレイ(Head Mounted Display,HMD)に適用することができる。あるいは又、電子ブック、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、家電製品の表示部、ポイントカード等のカード表示部、電子広告、電子POPにおける画像表示装置を構成することができる。本開示の表示装置を発光装置として使用し、液晶表示装置用のバックライト装置や面状光源装置を含む各種照明装置を構成することができる。頭部装着型ディスプレイは、例えば、
(イ)観察者の頭部に装着されるフレーム、及び、
(ロ)フレームに取り付けられた画像表示装置、
を備えており、
画像表示装置は、
(A)本開示の表示装置、及び、
(B)本開示の表示装置から出射された光が入射され、出射される光学装置、
を備えており、
光学装置は、
(B-1)本開示の表示装置から入射された光が内部を全反射により伝播した後、観察者に向けて出射される導光板、
(B-2)導光板に入射された光が導光板の内部で全反射されるように、導光板に入射された光を偏向させる第1偏向手段(例えば、体積ホログラム回折格子膜から成る)、及び、
(B-3)導光板の内部を全反射により伝播した光を導光板から出射させるために、導光板の内部を全反射により伝播した光を複数回に亙り偏向させる第2偏向手段(例えば、体積ホログラム回折格子膜から成る)、
から成る。
【実施例1】
【0044】
実施例1は、本開示の第1の態様~第2の態様に係る表示装置に関する。実施例1の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を模式的に
図1の(A)及び
図2の(A)に示し、
図1の(A)の矢印B-Bに沿った実施例1の表示装置の概念的な断面図を
図1の(B)及び
図2の(B)に示す。更に、実施例1の表示装置における発光領域の配置を
図3に模式的に示し、実施例1の表示装置において混色が発生し難いことを説明するための、実施例1の表示装置の概念的な断面図を
図4に示す。また、実施例1の表示装置の模式的な一部断面図を
図18に示す。尚、
図18においては、カラーフィルタ層と発光領域の位置関係を無視して表示装置を図示している。具体的には、実施例1の表示装置は有機EL表示装置から成り、発光素子は有機EL素子から成る。また、実施例1の表示装置は、第2基板から光を出射するトップエミッション方式(上面発光方式)の表示装置(上面発光型表示装置)であるし、カラーフィルタ層は、第1基板側に設けられている。即ち、カラーフィルタ層は、オンチップカラーフィルタ層構造(OCCF構造)を有する。
【0045】
実施例1あるいは後述する実施例2~実施例4の表示装置は、
第1発光領域11R、及び、第1発光領域11Rの上方に配設された第1カラーフィルタ層51Rを備えた第1発光素子10R、
第2発光領域11G、及び、第2発光領域11Gの上方に配設された第2カラーフィルタ層51Gを備えた第2発光素子10G、並びに、
第3発光領域11B、及び、第3発光領域11Bの上方に配設された第3カラーフィルタ層51Bを備えた第3発光素子10B、
から構成された発光素子群が、複数、基体26上に配列されて成る。
【0046】
そして、本開示の第1の態様の表示装置に則って説明すると、実施例1の表示装置にあっては、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層51の発光領域11と対向する底面の境界線と発光領域11の端部とを結ぶ最短の線分(
図1の(B)、
図4において点線で示す)が基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)の法線と成す角度(θ)は、各発光素子10R,10G,10Bにおいて同じである。また、本開示の第2の態様の表示装置に則って説明すると、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層51の発光領域11と対向する底面の境界線の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像から、発光領域11の端部の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像までの距離(L)は、各発光素子10R,10G,10Bにおいて同じである。尚、
図1の(B)において、これらの正射影像を一点鎖線で示す。
【0047】
ここで、実施例1あるいは後述する実施例2~実施例3の表示装置において、カラーフィルタ層頂面(光出射面)とカラーフィルタ層頂面(光出射面)との境界線で囲まれたカラーフィルタ層51R,51G,51Bの頂面領域の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像の面積(S
top)は、第1発光素子10R、第2発光素子10G及び第3発光素子10Bにおいて同じである。そして、第1発光素子10R、第2発光素子10G及び第3発光素子10Bにおいて、発光領域11R,11G,11Bの面積(S
EL-R,S
ER-G,S
EL-B)は異なる。具体的には、
図1の(B)、
図5の(B)及び(C)、
図13の(B)及び(C)に示すように、S
EL-G<S
ER-R<S
EL-B である。
【0048】
また、実施例1あるいは後述する実施例2~実施例4の表示装置において、第1発光領域11R、第2発光領域11G及び第3発光領域11Bは白色光を発光する。
【0049】
1つの画素は、第1発光素子10R、第2発光素子10G及び第3発光素子10Bの3つの発光素子から構成されている。第1基板41はカラーフィルタ層51R,51G,51Bを備えている。即ち、各発光領域11R,11G,11Bは白色光を発光し、各発光素子10R,10G,10Bは、白色光を発光する発光領域11R,11G,11Bとカラーフィルタ層51R,51G,51Bとの組合せから構成されている。有機層33は、全体として白色光を発光する。画素数は、例えば1920×1080であり、1つの発光素子(表示素子)は1つの副画素を構成し、発光素子(具体的には有機EL素子)は画素数の3倍である。第1発光素子10Rは赤色カラーフィルタ層51Rを備えており、赤色光を出射する。第2発光素子10Gは緑色カラーフィルタ層51Gを備えており、緑色光を出射する。第3発光素子10Bは青色カラーフィルタ層51Bを備えており、青色光を出射する。
【0050】
更には、実施例1の表示装置において、複数の発光素子群を構成する第1発光素子10Rは第1の方向に沿って配列されており、複数の発光素子群を構成する第2発光素子10Gは第1の方向に沿って配列されており、複数の発光素子群を構成する第3発光素子10Bは第1の方向に沿って配列されている。即ち、実施例1の表示装置にあっては、発光素子は、ストライプ配列とされている。即ち、副画素の配列はストライプ配列である。
【0051】
実施例1あるいは後述する実施例2~実施例4の表示装置において、発光素子は、具体的には、
第1電極31(31R,31G,31B)、
第1電極31上に形成された有機層33、
有機層33上に形成された第2電極32、
第2電極32上に形成された保護層(平坦化層)34、及び、
保護層34上に形成されたカラーフィルタ層51(51R,51G,51B)、
から構成されている。そして、有機層33からの光が第2電極32、保護層34及びカラーフィルタ層51を介して外部に出射される。
【0052】
具体的には、赤色光を出射する第1発光素子10Rは、
第1電極31R、
第1電極31R上に形成された有機層33、
有機層33上に形成された第2電極32、
第2電極32上に形成された保護層(平坦化層)34、及び、
保護層34上に形成されたカラーフィルタ層51R、
から構成されている。また、緑色光を出射する第2発光素子10Gは、
第1電極31G、
第1電極31G上に形成された有機層33、
有機層33上に形成された第2電極32、
第2電極32上に形成された保護層(平坦化層)34、及び、
保護層34上に形成されたカラーフィルタ層51G、
から構成されている。更には、青色光を出射する第3発光素子10Bは、
第1電極31B、
第1電極31B上に形成された有機層33、
有機層33上に形成された第2電極32、
第2電極32上に形成された保護層(平坦化層)34、及び、
保護層34上に形成されたカラーフィルタ層51B、
から構成されている。
【0053】
第1電極31R,31G,31Bは、各発光素子10R,10G,10B毎に設けられている。第2電極32は、発光素子10R,10G,10Bに共通して設けられている。即ち、第2電極32は、所謂ベタ電極である。絶縁材料から構成された基体26の下方には第1基板41が配置されており、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの頂面の上方に第2基板42が配置されている。第1電極31(31R,31G,31B)と第1電極31上に形成された有機層33が接する領域から構成された発光領域11(11R,11G,11B)は、基体26の上に設けられている。より具体的には、第1電極31(31R,31G,31B)は基体26上に形成されている。
【0054】
CVD法に基づき形成されたSiONから成る基体26の下方には、発光素子駆動部が設けられている。発光素子駆動部は周知の回路構成とすることができる。発光素子駆動部は、第1基板41に相当するシリコン半導体基板に形成されたトランジスタ(具体的には、MOSFET)から構成されている。MOSFETから成るトランジスタ20は、第1基板41上に形成されたゲート絶縁層22、ゲート絶縁層22上に形成されたゲート電極21、第1基板41に形成されたソース/ドレイン領域24、ソース/ドレイン領域24の間に形成されたチャネル形成領域23、並びに、チャネル形成領域23及びソース/ドレイン領域24を取り囲む素子分離領域25から構成されている。トランジスタ20と第1電極31とは、基体26に設けられたコンタクトプラグ27を介して電気的に接続されている。尚、図面においては、1つの発光素子駆動部につき、1つのトランジスタ20を図示した。
【0055】
また、基体26の上には、上述したとおり、各発光素子毎に第1電極31が設けられている。そして、底部に第1電極31が露出した開口部29を有する絶縁層28が基体26の上に形成されており、有機層33は、少なくとも、開口部29の底部に露出した第1電極31の上に形成されている。具体的には、有機層33は、開口部29の底部に露出した第1電極31の上から絶縁層28の上に亙り形成されているし、絶縁層28は、第1電極31から基体26の上に亙り形成されている。有機層33の実際に発光する部分は、絶縁層28によって囲まれている。即ち、絶縁層28によって囲まれた有機層33の領域が発光領域に相当する。絶縁層28及び第2電極32は、SiNから成る保護層34によって覆われている。カラーフィルタ層51と第2基板42とは、アクリル系接着剤から成る樹脂層(封止樹脂層)35により全面に亙って貼り合わされている。
【0056】
第2電極32は、表示装置の外周部において、基体26に形成された図示しないコンタクトホール(コンタクトプラグ)を介して発光素子駆動部と接続されている。尚、表示装置の外周部において、第2電極32の下方に第2電極32に接続された補助電極を設け、補助電極を発光素子駆動部と接続してもよい。
【0057】
第1電極31はアノード電極として機能し、第2電極32はカソード電極として機能する。第1電極31は、光反射材料、具体的には、Al-Nd合金から成り、第2電極32は、ITO等の透明導電材料から成る。第1電極31は、真空蒸着法とエッチング法との組合せに基づき形成されている。また、第2電極32は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法によって成膜されている。第1基板41はシリコン半導体基板から成り、第2基板42はガラス基板から成る。
【0058】
ところで、カラーフィルタ層の形成にあっては、通常、所望の顔料や染料から成る着色剤を添加した光硬化型の樹脂から構成されている。そして、例えば、保護層34の上に、以下に説明する方法に基づき形成される。現在のところ、青色カラーフィルタ層51Bを形成するための材料、赤色カラーフィルタ層51Rを形成するための材料、緑色カラーフィルタ層51Gを形成するための材料の順で、下地への密着性が高い。
【0059】
従って、先ず、最も密着性の高い緑色カラーフィルタ層51Gを保護層34の上に形成する。具体的には、緑色カラーフィルタ層51Gを構成する光感光性の材料を全面に塗布し、露光、ベーキング、現像を行うことで、所望のパターン形状を有する緑色カラーフィルタ層51Gを形成する。尚、緑色カラーフィルタ層51Gを形成する際の光感光性の材料の塗布、露光、ベーキング、現像によって、得られた緑色カラーフィルタ層51Gの断面形状は、
図17Aに示すように、側面が逆テーパー形状となる。
【0060】
次いで、赤色カラーフィルタ層51Rを構成する光感光性の材料を全面に塗布し、露光、ベーキング、現像を行うことで、所望のパターン形状を有する赤色カラーフィルタ層51Rを形成する。尚、赤色カラーフィルタ層51Rを形成する際の光感光性の材料の塗布、露光、ベーキング、現像によって、得られた赤色カラーフィルタ層51Rの断面形状は、
図17Bに示すように、緑色カラーフィルタ層51Gと接しない場合には、側面が逆テーパー形状となる。また、
図17Cに示すように、緑色カラーフィルタ層51Gと片側が接する場合には、側面の一方は逆テーパー形状、他方は順テーパー形状となる。更には、
図17Gに示すように、緑色カラーフィルタ層51Gと両側が接する場合には、両側の側面は順テーパー形状となる。
【0061】
最後に、青色カラーフィルタ層51Bを構成する光感光性の材料を全面に塗布し、露光、ベーキング、現像を行うことで、所望のパターン形状を有する青色カラーフィルタ層51Bを形成する。尚、青色カラーフィルタ層51Bは、緑色カラーフィルタ層51G、赤色カラーフィルタ層51Rが形成されていない領域に形成される。青色カラーフィルタ層51Bを形成する際の光感光性の材料の塗布、露光、ベーキング、現像によって、得られた青色カラーフィルタ層51Bの断面形状は、
図17D、
図17Eあるいは
図17Fに示すように、側面が順テーパー形状となる。
【0062】
実施例1の表示装置にあっては、緑色カラーフィルタ層51G、赤色カラーフィルタ層51Rの断面形状及び青色カラーフィルタ層51Bの断面形状は、
図17Fに示す断面形状となる(
図1の(B)及び
図2の(B)も参照)。
【0063】
ここで、前述したとおり、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの発光領域11R,11G,11Bと対向する底面の境界線(
図4の参照番号52
1,52
2,52
3もを参照)と発光領域11R,11G,11Bの端部(
図4の参照番号11R
R,11R
L,11G
R,11G
L,11B
R,11B
Lも参照)とを結ぶ最短の線分(
図4の点線も参照)が基体26(あるいは第1基板41、第2基板42)の法線と成す角度(θ)は、各発光素子10R,10G,10Bにおいて同じである。また、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの発光領域11R,11G,11Bと対向する底面の境界線(
図4の参照番号52
1,52
2,52
3もを参照)の基体26(あるいは第1基板41、第2基板42)に対する正射影像(
図4の一点鎖線も参照)から、発光領域11R,11G,11Bの端部の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像(
図4の一点鎖線も参照)までの距離(L)は、各発光素子10R,10G,10Bにおいて同じである。
【0064】
図4に模式的に示すように、第2発光領域11Gの右端部11G
Rから出射された白色光が、緑色カラーフィルタ層51Gと青色カラーフィルタ層51Bの底面の境界線52
1よりも
図4の右側の青色カラーフィルタ層51Bに侵入すると(
図4の矢印G
1を参照)、本来、緑色を表示する副画素が青色を表示することになる。同様に、第3発光領域11Bの右端部11B
Rから出射された白色光が、青色カラーフィルタ層51Bと赤色カラーフィルタ層51Rの底面の境界線52
2よりも
図4の右側の赤色カラーフィルタ層51Rに侵入すると(
図4の矢印B
1を参照)、本来、青色を表示する副画素が赤色を表示することになる。同様に、第1発光領域11Rの右端部11R
Rから出射された白色光が、赤色カラーフィルタ層51Rと緑色カラーフィルタ層51Gの底面の境界線52
3よりも
図4の右側の緑色カラーフィルタ層51Gに侵入すると(
図4の矢印R
1を参照)、本来、赤色を表示する副画素が緑色を表示することになる。
【0065】
また、第3発光領域11Bの左端部11B
Lから出射された白色光が、境界線52
1よりも
図4の左側の緑色カラーフィルタ層51Gに侵入すると(
図4の矢印B
2を参照)、本来、青色を表示する副画素が緑色を表示することになる。同様に、第1発光領域11Rの左端部11R
Lから出射された白色光が、境界線52
2よりも
図4の左側の青色カラーフィルタ層51Bに侵入すると(
図4の矢印R
2を参照)、本来、赤色を表示する副画素が青色を表示することになる。同様に、第2発光領域11Gの左端部11G
Lから出射された白色光が、境界線52
3よりも
図4の左側の赤色カラーフィルタ層51Rに侵入すると(
図4の矢印G
2を参照)、本来、緑色を表示する副画素が赤色を表示することになる。
【0066】
このように、例えば、或る画素を、
図4の「A」に示す右斜め上から眺めたとき、混色や色ズレが生じるが、混色や色ズレが発生し始めるときの角度Θは、赤色発光素子10R、緑色発光素子10G及び青色発光素子10Bにおいて、同じである。例えば、或る画素が白色を表示する場合、混色や色ズレが発生し始めるときの角度Θが各発光素子において同じであるが故に、この或る画素を角度Θよりも大きな斜めの角度で眺めても、白色を表示した状態として観察されるので、混色や色ズレは生じない。
【0067】
もしも、角度(θ)が各発光素子において異なる場合、例えば、緑色発光素子における角度(θ)が、赤色発光素子及び青色発光素子における角度(θ)よりも小さい場合、例えば、或る画素が白色を表示するとき、混色や色ズレが発生し始めるときの角度Θが緑色発光素子において最も小さい場合には、この或る画素を角度ΘGよりも大きな斜めの角度で眺めたとき、本来、白色に見える画素が、緑色掛かって観察され、混色や色ズレが生じる。
【0068】
以上のとおり、実施例1あるいは後述する各種実施例の表示装置にあっては、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層の底面の境界線と発光領域の端部とを結ぶ最短の線分が基体(あるいは後述する第1基板あるいは第2基板)の法線と成す角度(θ)は、各発光素子において同じであるし、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層の底面の境界線の基体(あるいは後述する第1基板あるいは第2基板)に対する正射影像から、発光領域の端部の基体(あるいは後述する第1基板あるいは第2基板)に対する正射影像までの距離(L)は、各発光素子において同じである。従って、或る発光領域から出射され、隣接する発光素子を構成するカラーフィルタ層へと侵入する光の挙動の発光素子毎の相違を小さくすることができる結果、色ズレや混色が発生し難い。
【0069】
実施例1において、有機層33は、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)、正孔輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、及び、電子注入層(EIL:Electron InjectionLayer)の積層構造を有する。発光層は、異なる色を発光する少なくとも2層の発光層から構成されており、有機層33から出射される光は白色である。具体的には、発光層は、赤色を発光する赤色発光層、緑色を発光する緑色発光層、及び、青色を発光する青色発光層の3層が積層された構造を有する。発光層を、青色を発光する青色発光層、及び、黄色を発光する黄色発光層の2層が積層された構造とすることもできるし、青色を発光する青色発光層、及び、橙色を発光する橙色発光層の2層が積層された構造とすることができる。前述したとおり、赤色を表示すべき赤色発光素子10Rには赤色カラーフィルタ層51Rが備えられており、緑色を表示すべき緑色発光素子10Gには緑色カラーフィルタ層51Gが備えられており、青色を表示すべき青色発光素子10Bには青色カラーフィルタ層51Bが備えられている。赤色発光素子10R、緑色発光素子10G及び青色発光素子10Bは、カラーフィルタ層51R,51G,51B、及び、発光領域11R,11G,11Bの位置関係を除き、同じ構成、構造を有する。
【0070】
正孔注入層は、正孔注入効率を高める層であると共に、リークを防止するバッファ層として機能し、厚さは、例えば2nm乃至10nm程度である。正孔注入層は、例えば、以下の式(A)又は式(B)で表されるヘキサアザトリフェニレン誘導体から成る。尚、正孔注入層の端面が第2電極と接した状態になると、画素間の輝度バラツキ発生の主たる原因となり、表示画質の低下につながる。
【0071】
【0072】
ここで、R1~R6は、それぞれ、独立に、水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、アルールアミノ基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のカルボニル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のカルボニルエステル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のアルキル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のアルケニル基、炭素数20以下の置換あるいは無置換のアルコキシ基、炭素数30以下の置換あるいは無置換のアリール基、炭素数30以下の置換あるいは無置換の複素環基、ニトリル基、シアノ基、ニトロ基、又は、シリル基から選ばれる置換基であり、隣接するRm(m=1~6)は環状構造を介して互いに結合してもよい。また、X1~X6は、それぞれ、独立に、炭素又は窒素原子である。
【0073】
【0074】
正孔輸送層は発光層への正孔輸送効率を高める層である。発光層では、電界が加わると電子と正孔との再結合が起こり、光を発生する。電子輸送層は発光層への電子輸送効率を高める層であり、電子注入層は発光層への電子注入効率を高める層である。
【0075】
正孔輸送層は、例えば、厚さが40nm程度の4,4’,4”-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)又はα-ナフチルフェニルジアミン(αNPD)から成る。
【0076】
発光層は、混色により白色光を生じる発光層であり、例えば、上述したとおり、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層が積層されて成る。
【0077】
赤色発光層では、電界が加わることにより、第1電極31から注入された正孔の一部と、第2電極32から注入された電子の一部とが再結合して、赤色の光が発生する。このような赤色発光層は、例えば、赤色発光材料、正孔輸送性材料、電子輸送性材料及び両電荷輸送性材料の内、少なくとも1種類の材料を含んでいる。赤色発光材料は、蛍光性の材料であってもよいし、燐光性の材料であってもよい。厚さが5nm程度の赤色発光層は、例えば、4,4-ビス(2,2-ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)に、2,6-ビス[(4’-メトキシジフェニルアミノ)スチリル]-1,5-ジシアノナフタレン(BSN)を30質量%混合したものから成る。
【0078】
緑色発光層では、電界が加わることにより、第1電極31から注入された正孔の一部と、第2電極32から注入された電子の一部とが再結合して、緑色の光が発生する。このような緑色発光層は、例えば、緑色発光材料、正孔輸送性材料、電子輸送性材料及び両電荷輸送性材料の内、少なくとも1種類の材料を含んでいる。緑色発光材料は、蛍光性の材料であってもよいし、燐光性の材料であってもよい。厚さが10nm程度の緑色発光層は、例えば、DPVBiに、クマリン6を5質量%混合したものから成る。
【0079】
青色発光層では、電界が加わることにより、第1電極31から注入された正孔の一部と、第2電極32から注入された電子の一部とが再結合して、青色の光が発生する。このような青色発光層は、例えば、青色発光材料、正孔輸送性材料、電子輸送性材料及び両電荷輸送性材料の内、少なくとも1種類の材料を含んでいる。青色発光材料は、蛍光性の材料であってもよいし、燐光性の材料であってもよい。厚さが30nm程度の青色発光層は、例えば、DPVBiに、4,4’-ビス[2-{4-(N,N-ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を2.5質量%混合したものから成る。
【0080】
厚さが20nm程度の電子輸送層は、例えば、8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)から成る。厚さが0.3nm程度の電子注入層は、例えば、LiFあるいはLi2O等から成る。
【0081】
但し、各層を構成する材料は例示であり、これらの材料に限定するものではない。また、例えば、発光層は、青色発光層と黄色発光層から構成されていてもよいし、青色発光層と橙色発光層から構成されていてもよい。
【0082】
発光素子10R,10G,10Bは、有機層33を共振部とした共振器構造を有している。尚、発光面から反射面迄の距離(具体的には、発光面から第1電極31及び第2電極32迄の距離)を適切に調整するために、有機層33の厚さは、8×10-8m以上、5×10-7m以下であることが好ましく、1.5×10-7m以上、3.5×10-7m以下であることがより好ましい。共振器構造を有する有機EL表示装置にあっては、実際には、赤色発光素子10Rは、発光層で発光した赤色光を共振させて、赤味がかった光(赤色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極32から出射する。また、緑色発光素子10Gは、発光層で発光した緑色光を共振させて、緑味がかった光(緑色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極32から出射する。更には、青色発光素子10Bは、発光層で発光した青色光を共振させて、青味がかった光(青色の領域に光スペクトルのピークを有する光)を第2電極32から出射する。
【0083】
以下、
図18に示した実施例1の発光素子の製造方法の概要を説明する。
【0084】
[工程-100]
先ず、シリコン半導体基板(第1基板41)に発光素子駆動部を公知のMOSFET製造プロセスに基づき形成する。
【0085】
[工程-110]
次いで、CVD法に基づき全面に基体26を形成する。
【0086】
[工程-120]
次に、トランジスタ20の一方のソース/ドレイン領域の上方に位置する基体26の部分に、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき接続孔を形成する。その後、接続孔を含む基体26の上に金属層を、例えば、スパッタリング法に基づき形成し、次いで、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき金属層をパターニングすることで、基体26の上に第1電極31を形成することができる。第1電極31は、各発光素子毎に分離されている。併せて、接続孔内に第1電極31とトランジスタ20とを電気的に接続するコンタクトホール(コンタクトプラグ)27を形成することができる。
【0087】
[工程-130]
次に、例えば、CVD法に基づき、全面に絶縁層28を形成した後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、第1電極31上の絶縁層28の一部に開口部29を形成する。開口部29の底部に第1電極31が露出している。
【0088】
[工程-140]
その後、第1電極31及び絶縁層28の上に、有機層33を、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法といったPVD法、スピンコート法やダイコート法等のコーティング法等によって成膜する。次いで、例えば真空蒸着法等に基づき、全面に第2電極32を形成する。このようにして、第1電極31上に、有機層33及び第2電極32を形成することができる。
【0089】
[工程-150]
その後、例えばCVD法又はPVD法によって、全面に保護層34を形成する。そして、前述したとおり、保護層34の上にカラーフィルタ層51R,51G,51Bを形成する。最後に、樹脂層(封止樹脂層)35を介して、第2基板42とカラーフィルタ層51R,51G,51Bとを貼り合わせる。こうして、
図18に示した有機EL表示装置を得ることができる。
【実施例2】
【0090】
実施例2は、実施例1の変形である。実施例2の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を
図5の(A)及び
図6の(A)に模式的に示し、
図5の(A)の矢印B-Bに沿った実施例2の表示装置の概念的な断面図を
図5の(B)、
図6の(B)に示し、
図5の(A)の矢印C-Cに沿った実施例2の表示装置の概念的な断面図を
図5の(C)、
図6の(C)に示し、
図5の(A)の矢印D-Dに沿った実施例2の表示装置の概念的な断面図を
図5の(D)、
図6の(D)に示し、
図5の(A)の矢印E-Eに沿った実施例2の表示装置の概念的な断面図を
図5の(E)、
図6の(E)に示し、実施例2の表示装置における発光領域の配置を
図7に模式的に示す。また、実施例2の表示装置において混色が発生し難いことを説明するための、実施例2の表示装置の概念的な断面図を
図8、
図9、
図10、
図11に示し、実施例2及び従来の表示装置において混色が発生するメカニズムを
図12A、
図12B及び
図12Cに示す。
【0091】
実施例2の表示装置において、発光素子群は、2×2に配列された4つの発光素子から構成されており、
第1発光素子10Rは、2つの第3発光素子10Bに隣接して配置されており、
第2発光素子10Gは、2つの第3発光素子10Bに隣接して配置されており、
2つの第3発光素子10Bのそれぞれは、第1発光素子10R及び第2発光素子10Gに隣接して配置されている。即ち、実施例2の表示装置にあっては、発光素子は、ダイアゴナル配列とされている。即ち、副画素の配列はダイアゴナル配列である。発光素子群は、例えば、矩形の領域を占める。
【0092】
図5の(B)、(C)、
図8、
図9に示すように、実施例2においても、実施例1と同様に、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの発光領域11R,11G,11Bと対向する底面の境界線52
1,52
2と発光領域11R,11G,11Bの端部11B
R,11G
L,11B
R,11R
Lとを結ぶ最短の線分(
図5の(B)、
図8、
図9において点線で示す)が基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)の法線と成す角度(θ)は、各発光素子10R,10G,10Bにおいて同じである。また、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの発光領域11R,11G,11Bと対向する底面の境界線52
1,52
2の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像から、発光領域11R,11G,11Bの端部11B
R,11G
L,11B
R,11R
Lの基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像までの距離(L)は、各発光素子10R,10G,10Bにおいて同じである。尚、
図5の(B)、
図8、
図9において、これらの正射影像を一点鎖線で示す。
【0093】
実施例2の表示装置にあっては、緑色カラーフィルタ層51G、赤色カラーフィルタ層51Rの断面形状及び青色カラーフィルタ層51Bの断面形状は、
図17D及び
図17Eに示す断面形状となる(
図5の(B)、(C)、
図6の(B)、(C)、
図8、
図9も参照)。
【0094】
以上の点を除き、実施例2の表示装置の構成、構造は、実施例1において説明した表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0095】
図8に模式的に示すように、第3発光領域11Bの右端部11B
Rから出射された白色光が、青色カラーフィルタ層51Bと緑色カラーフィルタ層51Gの底面の境界線52
1よりも
図8の右側の緑色カラーフィルタ層51Gに侵入すると、本来、青色を表示する副画素が緑色を表示することになる。
図8において、この領域を、「第3発光領域からの光によって混色が発生する領域」として表示する。尚、第3発光領域11Bの右端部11B
Rから出射された白色光が、青色カラーフィルタ層51Bと緑色カラーフィルタ層51Gの頂面の境界線53
1よりも
図8の右側の緑色カラーフィルタ層51Gに侵入すると、本来、青色を表示する副画素からの青色光が緑色カラーフィルタ層51Gによって吸収されるので、緑色カラーフィルタ層51Gからは出射されない。
図8において、この領域を、「領域-A」で示す。
【0096】
また、第2発光領域11Gの左端部11G
Lから出射された白色光が、境界線52
1よりも
図8の左の青色カラーフィルタ層51Bに侵入すると、本来、緑色を表示する副画素が青色を表示することになる。
図8において、この領域を、「第2発光領域からの光によって混色が発生する領域」として表示する。
【0097】
同様に、
図9に模式的に示すように、第3発光領域11Bの右端部11B
Rから出射された白色光が、青色カラーフィルタ層51Bと赤色カラーフィルタ層51Rの底面の境界線52
2よりも
図9の右側の赤色カラーフィルタ層51Rに侵入すると、本来、青色を表示する副画素が赤色を表示することになる。
図8において、この領域を、「第3発光領域からの光によって混色が発生する領域」として表示する。尚、第3発光領域11Bの右端部11B
Rから出射された白色光が、青色カラーフィルタ層51Bと赤色カラーフィルタ層51Rの頂面の境界線53
2よりも
図8の右側の赤色カラーフィルタ層51Rに侵入すると、本来、青色を表示する副画素からの青色光が赤色カラーフィルタ層51Rによって吸収されるので、赤色カラーフィルタ層51Rからは出射されない。
図8において、この領域を、「領域-B」で示す。
【0098】
また、第1発光領域11Rの左端部11R
Lから出射された白色光が、境界線52
1よりも
図9の左の青色カラーフィルタ層51Bに侵入すると、本来、赤色を表示する副画素が青色を表示することになる。
図9において、この領域を、「第1発光領域からの光によって混色が発生する領域」として表示する。
【0099】
このように、例えば、或る画素を、
図8及び
図9の「A」に示す左斜め上から眺めたとき、混色や色ズレが生じるが、混色や色ズレが発生し始めるときの角度Θは、赤色発光素子10R及び緑色発光素子10Gにおいて同じである。例えば、或る画素が白色を表示する場合、混色や色ズレが発生し始めるときの角度Θが各発光素子において同じであるが故に、この或る画素を角度Θよりも大きな斜めの角度で眺めても、白色を表示した状態として観察されるので、混色や色ズレは生じない(
図12A参照)。そして、混色を防止することができるので、画素を単色発光させたときの色純度が増加し、色度点が深くなる。それ故、色域が広くなり、表示装置の色表現の幅が広がる。
【0100】
図10に、第3発光領域11B及び第2発光領域11Gから出射される白色光が青色カラーフィルタ層51B及び緑色カラーフィルタ層51Gを通過するときのZ減衰角度及びY減衰角度を示す。また、第3発光領域11B及び第1発光領域11Rから出射される白色光が青色カラーフィルタ層51B及び赤色カラーフィルタ層51Rを通過するときのZ減衰角度及びX減衰角度を示す。更には、視野角とX,Y,Zの相対強度の関係を模式的に
図12Bに示すが、実施例2の表示装置においては、X,Y,Zの相対強度の変化は同じであり、混色や色ズレは生じない。
【0101】
従来の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を模式的に
図22の(A)に示し、
図22の(A)の矢印B-Bに沿った従来の表示装置の概念的な断面図を
図22の(B)に示す。また、従来の表示装置において混色が発生することを説明するための、従来の表示装置の概念的な各種断面図を
図23に示す。従来の表示装置にあっては、カラーフィルタ層頂面(光出射面)とカラーフィルタ層頂面(光出射面)との境界線で囲まれたカラーフィルタ層51R,51G,51Bの頂面領域の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像の面積(S
top)は、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において同じである。また、発光領域111R,111G,111Bの面積も同じである。従って、必然的に、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの発光領域111R,111G,111Bと対向する底面の境界線と発光領域111R,111G,111Bの端部とを結ぶ最短の線分が基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)の法線と成す角度(θ
R-1,θ
R-2,θ
G-1,θ
G-2,θ
B-1,θ
B-2)は、各発光素子において異なるし、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの発光領域111R,111G,111Bと対向する底面の境界線の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像から、発光領域の端部の基体(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像までの距離(L
R-1,L
R-2,L
G-1,L
G-2,L
B-1,L
B-2)は、各発光素子において異なる。
【0102】
図23に模式的に示すように、第2発光領域11Gの右端部11G
Rから出射された白色光が、緑色カラーフィルタ層51Gと青色カラーフィルタ層51Bの底面の境界線52
1よりも
図23の右側の青色カラーフィルタ層51Bに侵入すると(
図23の矢印G
1を参照)、本来、緑色を表示する副画素が青色を表示することになる。同様に、第3発光領域11Bの右端部11B
Rから出射された白色光が、青色カラーフィルタ層51Bと赤色カラーフィルタ層51Rの底面の境界線52
2よりも
図23の右側の赤色カラーフィルタ層51Rに侵入すると(
図23の矢印B
1を参照)、本来、青色を表示する副画素が赤色を表示することになる。同様に、第1発光領域11Rの右端部11R
Rから出射された白色光が、赤色カラーフィルタ層51Rと緑色カラーフィルタ層51Gの底面の境界線52
3よりも
図23の右側の緑色カラーフィルタ層51Gに侵入すると(
図23の矢印R
1を参照)、本来、赤色を表示する副画素が緑色を表示することになる。
【0103】
また、第3発光領域11Bの左端部11B
Lから出射された白色光が、境界線52
1よりも
図23の左側の緑色カラーフィルタ層51Gに侵入すると(
図23の矢印B
2を参照)、本来、青色を表示する副画素が緑色を表示することになる。同様に、第1発光領域11Rの左端部11R
Lから出射された白色光が、境界線52
2よりも
図23の左側の青色カラーフィルタ層51Bに侵入すると(
図23の矢印R
2を参照)、本来、赤色を表示する副画素が青色を表示することになる。同様に、第2発光領域11Gの左端部11G
Lから出射された白色光が、境界線52
2よりも
図23の左側の赤色カラーフィルタ層51Rに侵入すると(
図23の矢印G
2を参照)、本来、緑色を表示する副画素が赤色を表示することになる。
【0104】
このように、例えば、或る画素を、
図23の「A」に示す右斜め上から眺めたとき、混色や色ズレが生じるが、混色や色ズレが発生し始めるときの角度Θは、赤色発光素子10R、緑色発光素子10G、青色発光素子10Bにおいて異なる。例えば、或る画素が白色を表示する場合、混色や色ズレが発生し始めるときの角度Θが緑色発光素子10Gにおいて最も小さい。従って、この或る画素を角度Θよりも大きな斜めの角度で眺めると、白色に見える画素が、緑色掛かって観察され、混色や色ズレが生じる(
図12A及び
図12C参照)。
【実施例3】
【0105】
実施例3も、実施例1の変形である。実施例3の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を
図13の(A)及び
図14の(A)に模式的に示し、
図5の(A)の矢印B-Bに沿ったと同様の実施例3の表示装置の概念的な断面図を
図13の(B)、
図14の(B)に示し、
図5の(A)の矢印C-Cに沿ったと同様の実施例3の表示装置の概念的な断面図を
図13の(C)、
図14の(C)に示し、
図5の(A)の矢印D-Dに沿ったと同様の実施例3の表示装置の概念的な断面図を
図13の(D)、
図14の(D)に示し、
図5の(A)の矢印E-Eに沿ったと同様の実施例3の表示装置の概念的な断面図を
図13の(E)、
図14の(E)に示し、実施例3の表示装置における発光領域の配置を
図15に模式的に示す。
【0106】
実施例3の表示装置において、発光素子群は、1つの第1発光素子10R、1つの第2発光素子10G、及び、1つの第3発光素子10Bから構成されており、
第1発光素子10Rは、第2発光素子10G及び第3発光素子10Bに隣接して配置されており、
第2発光素子10Gは、第1発光素子10R及び第3発光素子10Bに隣接して配置されている。尚、発光素子群は、例えば、矩形の領域を占める。
【0107】
図13の(B)、(C)、(E)に示すように、実施例3においても、実施例1と同様に、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの発光領域11R,11G,11Bと対向する底面の境界線と発光領域11R,11G,11Bの端部とを結ぶ最短の線分(
図13の(B)において点線で示す)が基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)の法線と成す角度(θ)は、各発光素子10R,10G,10Bにおいて同じである。また、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの発光領域11R,11G,11Bと対向する底面の境界線の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像から、発光領域11R,11G,11Bの端部の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像までの距離(L)は、各発光素子10R,10G,10Bにおいて同じである。尚、
図13の(B)、(C)、(E)において、これらの正射影像を一点鎖線で示す。
【0108】
実施例3の表示装置にあっては、緑色カラーフィルタ層51G、赤色カラーフィルタ層51Rの断面形状及び青色カラーフィルタ層51Bの断面形状は、
図17D、
図17E及び
図17Gに示す断面形状となる(
図13の(B)、(C)、
図14の(B)も参照)。
【0109】
実施例3に各発光素子における混色や色ズレに関する議論は、基本的に、実施例2の各発光素子における混色や色ズレに関する議論と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、以上の点を除き、実施例3の表示装置の構成、構造は、実施例2において説明した表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0110】
実施例4も実施例1の変形である。実施例4の表示装置におけるカラーフィルタ層の配置を
図16の(A)に模式的に示し、
図16の(A)の矢印B-Bに沿った実施例4の表示装置の概念的な断面図を
図16の(B)に示す。
【0111】
実施例4の表示装置にあっては、カラーフィルタ層頂面(光出射面)とカラーフィルタ層頂面(光出射面)との境界線で囲まれたカラーフィルタ層51R,51G,51Bの頂面領域の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像の面積(Stop-R,Stop-G,Stop-B)は、第1発光素子10R、第2発光素子10G及び第3発光素子10Bにおいて異なる。第1発光素子10R、第2発光素子10G及び第3発光素子10Bにおいて、発光領域11R,11G,11Bの面積(SEL-R,SEL-G,SEL-B)は同じである。
【0112】
図16の(B)に示すように、実施例4においても、実施例1と同様に、隣接する発光素子10R,10G,10Bにおいて、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの発光領域11R,11G,11Bと対向する底面の境界線と発光領域11R,11G,11Bの端部とを結ぶ最短の線分(
図16の(B)において点線で示す)が基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)の法線と成す角度(θ)は、各発光素子10R,10G,10Bにおいて同じである。また、隣接する発光素子において、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの発光領域11R,11G,11Bと対向する底面の境界線の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像から、発光領域11R,11G,11Bの端部の基体26(あるいは又、第1基板41や第2基板42)に対する正射影像までの距離(L)は、各発光素子10R,10G,10Bにおいて同じである。尚、
図16の(B)において、これらの正射影像を一点鎖線で示す。
【0113】
また、カラーフィルタ層頂面(光出射面)とカラーフィルタ層頂面(光出射面)との境界線で囲まれたカラーフィルタ層51R,51G,51Bの頂面領域の中心、及び、発光領域11R,11G,11Bの中心を、基体の法線方向から眺めた場合、これらの中心は重なっていない。
【0114】
実施例4に各発光素子における混色や色ズレに関する議論は、基本的に、実施例1の各発光素子における混色や色ズレに関する議論と同様であるので、詳細な説明は省略する。また、以上の点を除き、実施例4の表示装置の構成、構造は、実施例1において説明した表示装置の構成、構造と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。尚、実施例4の表示装置の構成、構造を、実施例2、実施例3において説明した表示装置に適用することができることは云うまでもない。
【0115】
以上、本開示を好ましい実施例に基づき説明したが、本開示はこれらの実施例に限定するものではない。実施例において説明した表示装置(有機EL表示装置)、発光素子(有機EL素子)の構成、構造の構成は例示であり、適宜、変更することができるし、表示装置の製造方法も例示であり、適宜、変更することができる。実施例においては、専ら、白色発光素子とカラーフィルタ層の組合せから3つの副画素から1つの画素を構成したが、例えば、白色光を出射する発光素子を加えた4つの副画素から1つの画素を構成してもよい。この場合、白色光を出射する発光素子を除く3つの発光素子が、本開示の第1の態様~第2の態様に係る表示装置の要件を満足すればよい。
【0116】
あるいは又、第1発光領域11Rは赤色光を発光し、第2発光領域11Gは緑色光を発光し、第3発光領域11Bは青色光を発光する構成とすることができる。即ち、発光素子は、有機層が赤色を生じさせる発光素子、有機層が緑色を生じさせる発光素子、有機層が青色を生じさせる発光素子とし、これらの3種類の発光素子(副画素)を組み合わせることで、1つの画素を構成してもよい。このような構成の表示装置にあっても、色純度の向上等を目的としてカラーフィルタ層を設けるので、混色や色ズレが発生し得る。
【0117】
実施例2の表示装置における発光領域11R,11G,11Bの変形例の配置を模式的に
図19に示すように、第1発光領域11R及び第2発光領域11Gの平面形状は、2つの隅が切り欠かれた形状とすることもできる。尚、
図19は、第1発光領域11R、第2発光領域11G及び第3発光領域11Bにおける切り欠き部を示す目的のみの図であり、発光領域の大きさの関係を無視して発光領域を図示している。
【0118】
第1基板41と対向する第2基板42の面側にカラーフィルタ層51R,51G,51Bを形成してもよい。この場合、各カラーフィルタ層51R,51G,51Bの上下方向の配置状態は、各実施例において説明したカラーフィルタ層51R,51G,51Bの上下方向の配置状態と、天地が逆になる。例えば、
図1に示す実施例1にあっては、第1基板側から眺めたとき、青色カラーフィルタ層51Bは逆テーパー、緑色カラーフィルタ層51Gは順テーパーとなる。このような場合にあっても、表示装置は、本開示の第1の態様~第2の態様に係る表示装置における規定を満足する必要がある。他の実施例における表示装置においても同様である。
【0119】
隣接するカラーフィルタ層51R,51G,51Bの境界領域において、カラーフィルタ層底面を含む底部の領域に、透明な樹脂から成る構造物(透明樹脂層)を設けてもよい。このような形態にあっては、カラーフィルタ層51R,51G,51Bの発光領域11R,11G,11Bと対向する底面の境界線は構造物上に位置する。
【0120】
実施例においては、発光素子駆動部をMOSFETから構成したが、TFTから構成することもできる。第1電極や第2電極を、単層構造としてもよいし、多層構造としてもよい。
【0121】
或る発光素子に隣接した発光素子に、或る発光素子から出射した光が侵入し、光学的クロストークが発生することを防止するために、発光素子と発光素子との間に遮光層を設けてもよい。即ち、発光素子と発光素子との間に溝部を形成し、この溝部を遮光材料で埋め込んで遮光層を形成してもよい。このように遮光層を設ければ、或る発光素子から出射した光が隣接発光素子に侵入する割合を低減させることができ、混色が発生し、画素全体の色度が所望の色度からずれてしまうといった現象の発生を抑制することができる。遮光層を構成する遮光材料として、具体的には、チタン(Ti)やクロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、MoSi2等の光を遮光することができる材料を挙げることができる。遮光層は、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、CVD法やイオンプレーティング法等によって形成することができる。
【0122】
本開示の表示装置をレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラに適用することができる。デジタルスチルカメラの正面図を
図20Aに示し、背面図を
図20Bに示す。このレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラは、例えば、カメラ本体部(カメラボディ)211の正面右側に交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)212を有し、正面左側に撮影者が把持するためのグリップ部213を有している。そして、カメラ本体部211の背面略中央にはモニタ214が設けられている。モニタ214の上部には、電子ビューファインダ(接眼窓)215が設けられている。撮影者は、電子ビューファインダ215を覗くことによって、撮影レンズユニット212から導かれた被写体の像を視認して構図決定を行うことが可能である。このような構成のレンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルスチルカメラにおいて、電子ビューファインダ215として本開示の表示装置を用いることができる。
【0123】
あるいは又、本開示の表示装置をヘッドマウントディスプレイに適用することができる。
図21に外観図を示すように、ヘッドマウントディスプレイ300は、本体部301、アーム部302及び鏡筒303を有する透過式ヘッドマウントディスプレイから構成されている。本体部301は、アーム部302及び眼鏡310と接続されている。具体的には、本体部301の長辺方向の端部はアーム部302に取り付けられている。また、本体部301の側面の一方の側は、接続部材(図示せず)を介して眼鏡310に連結されている。尚、本体部301は、直接的に人体の頭部に装着されてもよい。本体部301は、ヘッドマウントディスプレイ300の動作を制御するための制御基板や表示部を内蔵している。アーム部302は、本体部301と鏡筒303とを連結させることで、本体部301に対して鏡筒303を支える。具体的には、アーム部302は、本体部301の端部及び鏡筒303の端部と結合されることで、本体部301に対して鏡筒303を固定する。また、アーム部302は、本体部301から鏡筒303に提供される画像に係るデータを通信するための信号線を内蔵している。鏡筒303は、本体部301からアーム部302を経由して提供される画像光を、眼鏡310のレンズ311を透して、ヘッドマウントディスプレイ300を装着するユーザの目に向かって投射する。上記の構成のヘッドマウントディスプレイ300において、本体部301に内蔵される表示部として、本開示の表示装置を用いることができる。
【0124】
共振器構造を設ける場合、第1電極31よりも下方に(第1基板41側に)光反射層37を形成してもよい。即ち、基体26の上に光反射層37を設け、光反射層37を覆う層間絶縁層38の上に第1電極31を設ける場合、第1電極31、光反射層37、層間絶縁層38を、前述した材料から構成すればよい。光反射層37は、コンタクトホール(コンタクトプラグ)27に接続されていてもよいし、接続されていなくともよい。
【0125】
以下、
図24A(第1例)、
図24B(第2例)、
図25A(第3例)、
図25B(第4例)、
図26A(第5例)、
図26B(第6例)、
図27A(第7例)、並びに、
図27B及び
図27C(第8例)を参照して、第1例~第8例に基づき共振器構造について説明する。ここで、第1例~第4例、第7例において、第1電極及び第2電極は、各発光部において同じ厚さを有する。一方、第5例~第6例において、第1電極は、各発光部において異なる厚さを有し、第2電極は、各発光部において同じ厚さを有する。また、第8例において、第1電極は、各発光部において異なる厚さを有する場合もあるし、同じ厚さを有する場合もあり、第2電極は、各発光部において同じ厚さを有する。
【0126】
尚、以下の説明において、第1発光素子101、第2発光素子102及び第3発光素子103を構成する発光部を参照番号301,302,303で表し、第1電極を参照番号311,312,313で表し、第2電極を参照番号321,322,323で表し、有機層を参照番号331,332,333で表し、光反射層を参照番号371、372、373で表し、層間絶縁層を参照番号381,382,383,381’,382’,383’で表す。以下の説明において、使用する材料は例示であり、適宜、変更することができる。
【0127】
図示した例では、式(1-1)及び式(1-2)から導かれる第1発光素子101、第2発光素子102及び第3発光素子103の共振器長を、第1発光素子101、第2発光素子102、第3発光素子103の順で短くしたが、これに限定するものではなく、m1,m2の値を、適宜、設定することで最適な共振器長を決定すればよい。
【0128】
共振器構造の第1例を有する発光素子の概念図を
図24Aに示し、共振器構造の第2例を有する発光素子の概念図を
図24Bに示し、共振器構造の第3例を有する発光素子の概念図を
図25Aに示し、共振器構造の第4例を有する発光素子の概念図を
図25Bに示す。第1例~第6例、第8例の一部において、発光部30の第1電極31の下に層間絶縁層38,38’が形成されており、層間絶縁層38,38’の下に光反射層37が形成されている。第1例~第4例において、層間絶縁層38,38’の厚さは、発光部30
1,30
2,30
3において異なる。そして、層間絶縁層38
1,38
2,38
3,38
1’,38
2’,38
3’の厚さを適切に設定することで、発光部30の発光波長に対して最適な共振を生ずる光学的距離を設定することができる。
【0129】
第1例では、発光部301,302,303において、第1界面(図面においては、点線で示す)は同じレベルとされる一方、第2界面(図面においては、一点鎖線で示す)のレベルは、発光部301,302,303において異なる。また、第2例では、発光部301,302,303において、第1界面は異なるレベルとされる一方、第2界面のレベルは、発光部301,302,303において同じである。
【0130】
第2例において、層間絶縁層381’,382’,383’は、光反射層37の表面が酸化された酸化膜から構成されている。酸化膜から成る層間絶縁層38’は、光反射層37を構成する材料に依存して、例えば、アルミニウム酸化物、タンタル酸化物、チタン酸化物、マグネシウム酸化物、ジルコニウム酸化物等から構成される。光反射層37の表面の酸化は、例えば、以下の方法で行うことができる。即ち、容器の中に充填された電解液中に、光反射層37が形成された第1基板41を浸漬する。また、光反射層37と対向するように陰極を配置する。そして、光反射層37を陽極として、光反射層37を陽極酸化する。陽極酸化による酸化膜の膜厚は、陽極である光反射層37と陰極との電位差に比例する。それ故、光反射層371、372、373のそれぞれに発光部301,302,303に応じた電圧を印加した状態で陽極酸化を行う。これによって、厚さの異なる酸化膜から成る層間絶縁層381’,382’,383’を、一括して、光反射層37の表面に形成することができる。光反射層371、372、373の厚さ、層間絶縁層381’,382’,383’の厚さは、発光部301,302,303によって異なる。
【0131】
第3例にあっては、光反射層37の下に下地膜39が配設されており、下地膜39は、発光部301,302,303において、異なる厚さを有する。即ち、図示した例では、発光部301、発光部302、発光部303の順に、下地膜39の厚さは厚い。
【0132】
第4例にあっては、成膜時の光反射層371,372,373の厚さが、発光部301,302,303において異なる。第3例~第4例では、発光部301,302,303において、第2界面は同じレベルとされる一方、第1界面のレベルは、発光部301,302,303において異なる。
【0133】
第5例~第6例においては、第1電極311,312,313の厚さが、発光部301,302,303において異なる。光反射層37は各発光部30において同じ厚さを有する。
【0134】
第5例において、第1界面のレベルは、発光部301,302,303において同じである一方、第2界面のレベルは、発光部301,302,303において異なる。
【0135】
第6例においては、光反射層37の下に下地膜39が配設されており、下地膜39は、発光部301,302,303において、異なる厚さを有する。即ち、図示した例では、発光部301、発光部302、発光部303の順に、下地膜39の厚さは厚い。第6例では、発光部301,302,303において、第2界面は同じレベルとされる一方、第1界面のレベルは、発光部301,302,303において異なる。
【0136】
第7例において、第1電極311,312,313は光反射層を兼ねており、第1電極311,312,313を構成する材料の光学定数(具体的には、位相シフト量)が、発光部301,302,303によって異なる。例えば、発光部301の第1電極311を銅(Cu)から構成し、発光部302の第1電極312と発光部303の第1電極313をアルミニウム(Al)から構成すればよい。
【0137】
また、第8例において、第1電極311,312は光反射層を兼ねており、第1電極311,312を構成する材料の光学定数(具体的には、位相シフト量)が、発光部301,302によって異なる。例えば、発光部301の第1電極311を銅(Cu)から構成し、発光部302の第1電極312と発光部303の第1電極313をアルミニウム(Al)から構成すればよい。第8例では、例えば、発光部301,302に第7例を適用し、発光部303に第1例を適用している。第1電極311,312,313の厚さは、異なっていてもよいし、同じであってよい。
【0138】
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《表示装置:第1の態様》
第1発光領域、及び、第1発光領域の上方に配設された第1カラーフィルタ層を備えた第1発光素子、
第2発光領域、及び、第2発光領域の上方に配設された第2カラーフィルタ層を備えた第2発光素子、並びに、
第3発光領域、及び、第3発光領域の上方に配設された第3カラーフィルタ層を備えた第1発光素子、
から構成された発光素子群が、複数、基体上に配列されて成り、
隣接する発光素子において、カラーフィルタ層の発光領域と対向する底面の境界線と発光領域の端部とを結ぶ最短の線分が基体の法線と成す角度は、各発光素子において同じである表示装置。
[A02]《表示装置:第2の態様》
第1発光領域、及び、第1発光領域の上方に配設された第1カラーフィルタ層を備えた第1発光素子、
第2発光領域、及び、第2発光領域の上方に配設された第2カラーフィルタ層を備えた第2発光素子、並びに、
第3発光領域、及び、第3発光領域の上方に配設された第3カラーフィルタ層を備えた第1発光素子、
から構成された発光素子群が、複数、基体上に配列されて成り、
隣接する発光素子において、カラーフィルタ層の発光領域と対向する底面の境界線の基体に対する正射影像から、発光領域の端部の基体に対する正射影像までの距離は、各発光素子において同じである表示装置。
[A03]カラーフィルタ層頂面とカラーフィルタ層頂面との境界線で囲まれたカラーフィルタ層の頂面領域の基体に対する正射影像の面積は、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において同じである[A01]又は[A02]に記載の表示装置。
[A04]第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において、発光領域の面積は異なる[A03]に記載の表示装置。
[A05]カラーフィルタ層頂面とカラーフィルタ層頂面との境界線で囲まれたカラーフィルタ層の頂面領域の基体に対する正射影像の面積は、第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において異なる[A01]又は[A02]に記載の表示装置。
[A06]第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子において、発光領域の面積は同じである[A05]に記載の表示装置。
[A07]第1発光領域、第2発光領域及び第3発光領域は白色光を発光する[A01]乃至[A06]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A08]第1発光領域は赤色光を発光し、第2発光領域は緑色光を発光し、第3発光領域は青色光を発光する[A01]乃至[A06]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A09]複数の発光素子群を構成する第1発光素子は第1の方向に沿って配列されており、
複数の発光素子群を構成する第2発光素子は第1の方向に沿って配列されており、
複数の発光素子群を構成する第3発光素子は第1の方向に沿って配列されている[A01]乃至[A08]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A10]発光素子群は、2×2に配列された4つの発光素子から構成されており、
第1発光素子は、2つの第3発光素子に隣接して配置されており、
第2発光素子は、2つの第3発光素子に隣接して配置されており、
2つの第3発光素子のそれぞれは、第1発光素子及び第2発光素子に隣接して配置されている[A01]乃至[A08]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A11]発光素子群は、1つの第1発光素子、1つの第2発光素子、及び、1つの第3発光素子から構成されており、
第1発光素子は、第2発光素子及び第3発光素子に隣接して配置されており、
第2発光素子は、第1発光素子及び第3発光素子に隣接して配置されている[A01]乃至[A08]のいずれか1項に記載の表示装置。
【符号の説明】
【0139】
10,10R,10G,10B・・・発光素子、11,11R,11G,11B・・・発光領域、11GRR,11RL,11GR,11GL,11BR,11BL・・・発光領域の端部、20・・・トランジスタ、21・・・ゲート電極、22・・・ゲート絶縁層、23・・・チャネル形成領域、24・・・ソース/ドレイン領域、25・・・素子分離領域、26・・・基体、28・・・絶縁層、27・・・コンタクトプラグ、29・・・開口部、31・・・第1電極、32・・・第2電極、33・・・有機層、34・・・保護膜、35・・・樹脂層(封止樹脂層)、37・・・光反射層、38・・・層間絶縁層、39・・・下地膜、41・・・第1基板、42・・・第2基板、51R,51G,51B・・・カラーフィルタ層、521,522,523,531,532・・・カラーフィルタ層の境界線